JP5618466B2 - 高剛性高減衰能鋳鉄 - Google Patents

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Description

この発明は、ヤング率及び振動減衰性に優れた高剛性高減衰能鋳鉄に関する。この発明の鋳鉄は、例えば剛性の要求される工作機械や高精密工作機械、あるいはヤング率と振動が問題となる精密測定器の構造材料等として使用することによって、それらの加工効率、加工品の精度、精密精度を高めることができる。
従来から、工作機械用構造材料として、振動減衰能に比較的優れた片状黒鉛鉛鋳鉄が主に使用されてきた。片状黒鉛鋳鉄は、片状黒鉛を多量に含むことによる複合型防振機構を有することから鋼等に比べて減衰能が高く、しかも大型の構造材を製作するに当っての成形性及びコストの面で有利な特徴を有している。なお、片状黒鉛鋳鉄に代わる工作機械構造材へ適用を考えて、コンクリート系材料、天然グラナイト、CFRP等優れた減衰能を有する材料の研究がされてきた。しかし、いずれも剛性の低さ、加工性、コスト等の問題で実用化に至っていない。
現在、減衰性、鋳造性、コストの点で優れている片状黒鉛鋳鉄は、工作機械のベッド、テーブル、コラムなど構造材料に広く使用されている。しかし、加工硬化の激しい難加工性材料等の加工を行う工作機械には、大切り込みを安定して維持する高い剛性と、有害な振動の発生を抑制する高い振動減衰能が必要とされる。このように、振動減衰能が更に激しく求められる場合には、現状の片状黒鉛鋳鉄では振動の影響のため、加工効率、加工品の精度が充分に得られない場合がある。
従来から工作機械等に用いられているFC300等の片状黒鉛鋳鉄は、複合型減衰機構を発現する片状黒鉛を多量に含んでいるため、従来材料の中では振動減衰能に優れる構造材料である。この片状黒鉛鋳鉄の振動減衰能を改善するには、片状黒鉛の量を増加させればよい。しかし、片状黒鉛鋳鉄が増加するに伴って動的ヤング率(以下、単にヤング率と呼ぶ)が低下してしまう問題がある。片状黒鉛鋳鉄の黒鉛量の調整は、C及びSiの量によって制御できる。工作機械の構造材料としては、ヤング率が低下すると剛性保持のため構造材料の肉厚を増加する必要が出てくる。そのため、構造設計上の問題が発生するばかりでなく、コストも増加することになり好ましくない。
振動減衰能を改善する方法として、片状黒鉛鋳鉄の基地組織をベイナイトやマルテンサイトを形成させる方法が提案されている(鋳造工学68(1996)876)。しかし、これらの方法では振動減衰能が改善されるに伴ってヤング率が低下するため、両者の両立は難しい。また、振動減衰能を改善する方法は、例えば特許文献1,2,3に開示されている。いずれの特許文献1〜3にも対数減衰能を改善する方法等が記載されている。
これらの特許文献1〜3には、振動減衰能の測定結果が示されている。しかし、ヤング率に関しては何ら記載されていないため、その値は不明である。具体的には、特許文献1,2はブレーキ材料に関するものであるために、ヤング率は必要不可欠ではなくむしろ強度が重要視されることが推察される。特に、特許文献1には、ねずみ鋳鉄並みの優れた強度を有し、且つねずみ鋳鉄以上の優れた減衰能をもつブレーキ材料の提供することが発明の目的である旨記載されている。特許文献3には、工作機械、精密加工機器の制振性向上も視野において制振性能を改良するためにアルミニウム含有制振鋳鉄を発明した旨記載されている。しかし、機械精度の維持を図るためには、構造材料の剛性を維持することは必要不可欠であるが、それが示されていない。
これらの特許文献1〜3から、アルミニウムを添加することによって振動減衰能を改善できると分かるが、その方法は仔細に見れば異なっている。具体的には、特許文献1は、アルミニウムを添加した鋳鉄をA変態点以上(910〜1000℃)で加熱処理し、その後冷却速度を調整して面積率でパーライトを70%以上にした振動減衰能に優れ強度のあるブレーキ材料を得ている。特許文献2は、A添加の効果と過共晶組成にして黒鉛の増量と微細気孔を形成することにより振動減衰能の改善が図られているが、この方法はヤング率が大きく低下すると推察される。特許文献3は、アルミニウムを添加して振動減衰能の改善を図っている例であるが、ヤング率に関しては触れていない。即ち、特許文献1〜3に記載されている方法では、必ずしもヤング率及び振動減衰能の両立は図れないので、更に振動減衰能を改善する必要がある。
特開昭63−140064号公報 特開2001−200330号公報 特開2002−348634号公報
この発明はこうした事情を考慮してなされたもので、従来技術の問題であったヤング率と振動減衰能を両立させながら、更に振動減衰能を改善し得るヤング率及び振動減衰性に優れた高剛性高減衰能鋳鉄を提供することを目的とする。この発明は、具体的には、従来から用いられている振動減衰能に優れた片状黒鉛鋳鉄と同程度のヤング率を有し大幅に振動減衰能に優れた高剛性高減衰能鋳鉄を提供することを目的とする。
この発明(第1の発明)に係る高剛性高減衰能鋳鉄は、Al:3〜7%を含有した鋳鉄であり、鋳造後280〜630℃で加熱し、さらに冷却処理して得られることを特徴とする。より具体的には、第1の発明は、Al:3〜7%と、Mn:0.25〜1.0%と、P:0.04%以下と、S:0.03%以下と、残部C、Si、Fe及び不可避的不純物からなり、下記式(1)に示す炭素当量が3.30〜3.95である鋳鉄であり、鋳造後280〜630℃で加熱し、さらに冷却処理して得られることを特徴とする。
炭素当量(%)=C量(%)+(1/3)×Si量(%) …(1)
また、この発明(第2の発明)に係る高剛性高減衰能鋳鉄は、Al:3〜7%と、Sn:0.03〜0.20%を含有した鋳鉄であり、鋳造後280〜630℃で加熱し、さらに冷却処理して得られることを特徴とする。より具体的には、第2の発明は、Al:3〜7%と、Mn:0.25〜1.0%と、P:0.04%以下と、S:0.03%以下と、Sn:0.03〜0.20%と、残部C、Fe及び不可避的不純物からなる鋳鉄であり、鋳造後280〜630℃で加熱し、さらに冷却処理して得られることを特徴とする。
更に、この発明(第3の発明)に係る高剛性高減衰能鋳鉄は、下記式(1)に示す炭素当量が3.30〜3.95となるC及びSiと、Al:3〜7%を含有したる鋳鉄であり、鋳造後280〜630℃で加熱し、さらに冷却処理して得られることを特徴とする。
炭素当量(%)=C量(%)+(1/3)×Si量(%) …(1)
より具体的には、第3の発明は、上記記式(1)に示す炭素当量が3.30〜3.95となるC及びSiと、Al:3〜7%と、Mn:0.25〜1.0%と、P:0.04%以下と、S:0.03%以下と、Sn:0.03〜0.20%と、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋳鉄であり、鋳造後280〜630℃で加熱し、さらに冷却処理して得られることを特徴とする。
この発明によれば、ヤング率と振動減衰能を両立させながら、更に振動減衰能を改善し得るヤング率及び振動減衰性に優れた高剛性高減衰能鋳鉄が得られる。具体的には、従来から用いられている振動減衰能に優れた片状黒鉛鋳鉄と同程度のヤング率を有しかつ大幅に振動減衰能の優れた高剛性高減衰能鋳鉄が得られる。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明者等は、上記特許文献1〜3の課題を解決するために、先に炭素当量とC量,Si量との関係を開示した高剛性鋼減衰能鋳鉄を提案した(特願2007−33894)。しかし、本特許の場合では、十分な減衰性能が得られない事が判明した。
こうしたことから、本発明者等は、更に改良を進めて本発明を究明するに至った。
片状黒鉛鋳鉄(高剛性高減衰能鋳鉄)は、Al(アルミニウム)の添加量に伴って振動減衰能が改善されるが限界が現れる。例えば、Alの添加量を順次増やしてその振動減衰能及びヤング率を測定すると、3%Al添加から改善が見られるが、7%を超えると振動減衰能はむしろ低下する。しかし、本発明者らは、これらAlを添加した片状黒鉛鋳鉄にスズ(Sn)を適量添加すると、ヤング率及び振動減衰能が改善されることを究明するに至った。更に、本発明者らは、振動減衰能及びヤング率は、片状黒鉛鋳鉄の炭素当量(C.E.)、Al、Snの添加量の調整によって大きく変動することも明らかにした。ヤング率を維持したまま振動減衰能を改善するには、特許請求の範囲に記載するC.E.、Al、Snの値の適正な調整が必要である。
本発明において、Al:3〜7%と規定するのは次の理由による。即ち、AlとSnを添加した片状黒鉛鋳鉄でAlの添加量が振動減衰能に好ましい影響を及ぼすのは3%からで、3%より少ない場合、ほとんど改善効果は認められない。また、6%以上になると振動減衰能は徐々に低下し、7%を超えると更に振動減衰能が低下する。そして、Alの添加量が7%を超えると、Alの添加によって形成される鉄Al炭化物が硬く脆くなるので、割れ易くなり且つ加工性が悪くなる。このような理由より、Alの適正添加量を3〜7%とした。
Al添加による片状黒鉛鋳鉄の振動減衰能の改善機構に関しては、Alを固溶した鉄合金の形成によるものとする説(前者)と、鉄Al炭化物の形成によるものとする説(後者)があるが、本発明者らの研究では後者の説を捉えている。いずれの説もこれらの形成される物質の強磁性型の減衰機構によるものと推測されている点では同じである。
本発明において、Sn:0.03〜0.2%と規定するのは次の理由による。即ち、Snの添加量は少なすぎると、ヤング率及び振動減衰能の改善効果が認められない。0.03%ぐらいからヤング率、振動減衰能の改善に効果を現し、0.08%前後で最も顕著な効果を現す。Snの添加量が多くなると次第に効果が低減し、0.2%以上になると効果が大きく低下し、改善効果が得られなくなる。そのため、Snの添加量は0.03〜0.2%が適正値である。Snは、ヤング率、振動減衰能の改善ばかりでなく引張強度も改善するため、重要な添加元素である。
なお、Sn添加による改善効果の機構については諸説あるが、次にように考えられる。即ち、片状黒鉛鋳鉄にAlを添加すると、鉄とAlと炭素の反応により鉄Al炭化物が形成されるといわれている。また、鉄Al炭化物は強磁性体であり、強磁性体型の振動減衰機構を発現するといわれている。本発明者らの研究によれば、Alの添加量を増やしていけば、鉄Al炭化物が増加していくが、およそ6%前後で鉄Al炭化物が増加しなくなる。しかし、Snを添加すると、Al単独の添加に比較して常により多くの鉄Al炭化物が形成されるようになり、その結果Sn添加による改善効果が現れるものと考えられる。
本発明において、本発明の高剛性高減衰能鋳鉄は、上記Al,Sn以外に、C,Si,Mn,P,S等を含んでいる。ここで、C及びSiの量は後に詳述するとおりである。
Mnは通常の片状黒鉛鋳鉄の場合と同様に、0.25〜1.0%とする。この理由は、Mnは0.25%以上では鋳鉄の強さ、硬さを増すが、1.0%を超えると鋳鉄をチル化させ、硬く脆くするので、上記数値範囲とした。
Pは通常の片状黒鉛鋳鉄の場合と同様に、0.04%以下とする。この理由は、Pは0.04%を超えると、鉄と反応して硬い化合物であるステダイトを形成し鋳鉄を脆くするため、上記数値範囲とした。
Sは、通常の片状黒鉛鋳鉄の場合と同様に、0.03%以下とする。この理由は、Sが0.03%を超えると、溶湯の流動性を悪くするとともに、鋳鉄をチル化させ硬く脆くするためである。
第3の発明において、上記式(1)に示す炭素当量は上記したように3.30〜3.95%にする。炭素当量は、大きくなると振動減衰能が改善されヤング率が低下する。炭素当量の増減では両者の両立はできないが、振動減衰能とヤング率に与える影響は大きいので適正な値にする必要がある。Alが添加された場合、従来の片状黒鉛鋳鉄に比較して、オーステナイトと黒鉛の共晶反応が起きる共晶組成が変化する。従来の片状黒鉛鋳鉄は上記式1で表される炭素当量が4.3%で共晶反応を生じるが、Alが添加されるとこの値よりも小さい値で共晶反応が起きるようになる。共晶組成より大きな炭素当量になると過共晶となりヤング率が大きく低下するので好ましくない。
本発明の場合、炭素当量(C.E.)が3.95%を超えると、振動減衰能が大きく改善されるが、ヤング率が大きく低下する。これは、炭素当量が共晶組成を超えて過共晶になるためだと考えられる。一方、炭素当量が小さい場合には、黒鉛の形成量が減少するためヤング率が改善されるが、振動減衰能が低下するので、3.3%以上の炭素当量が必要である。従って、炭素当量は3.30〜3.90とした。
本発明において、鋳造後の熱処理温度は280〜630℃とした。加熱冷却処理による性能改善は、加熱温度により大きく変化する。この熱処理による効果を図1に示す。なお、図1はAl,Snを加えた発明材料の場合を示したが、Alのみを添加した場合もほぼ同様の傾向を示した。熱処理温度が280℃未満ではその効果は小さく、630℃を超えた場合も同様に効果は小さい。
即ち、減衰性能の改善率が5%以上になる温度範囲、280〜630℃で加熱処理した後に冷却するのが良い。なお、効果が20%以上に改善される温度範囲は、360〜580℃である。これらの温度範囲で高い効果が現れるが、最も効果のあるのは500℃に加熱し冷却した場合である。冷却方法は、炉冷、空冷のどちらでもよい。なお、熱処理によって減衰性能が改善される理由は不明である。
熱処理する工程は、本発明による鋳造品の鋳造後の工程により異なる。例えば、鋳造後鋳肌のまま使用される場合は、鋳造後に熱処理する。また、例えば、鋳造後に機械加工して所定の寸法に仕上げてから使用される場合、機械加工後に熱処理するのが最も好ましい。但し、機械加工後に熱処理できない理由がある場合には、機械加工前に熱処理してもよい。
次に、本発明の具体的な実施例について比較例とともに説明する。
(実施例1〜8及び比較例1〜8)
まず、高周波溶解炉を用いて鋳鉄の組成を調整した。次に、黒鉛ルツボにFC300で製作した鋳鉄塊、加炭材、フェロマンガン、炭化珪素を入れて溶解し、その後フェロシリコンと加炭材で炭素量、シリコン量を調整し、溶解量を約20kgとした。但し、得られる鋳造品のAl量はフェロアルミ、スズ量は純スズを添加して調整した。また、溶解温度は約1450℃とした。出湯前にCa−Si−Ba系接種剤を添加した後、φ30×300mmのフラン自硬性鋳型に鋳込んだ。
得られた鋳造品を4×20×200mmに加工して、振動減衰能の評価値として対数減衰率及び動的ヤング率を求めた。このとき、熱処理しないものとの比較を行った。即ち、実施例1〜8ではAl添加鋳鉄を熱処理し、比較例1〜8ではAl添加鋳鉄を熱処理しなかった。試験方法は、JISG0602に準拠した。即ち、試験片を二点吊りして電磁加振器で1×10−4のひずみ振幅を与え、その後加振を止めて自由減衰させて、対数減衰率と動的ヤング率を求めた。このようにして得られた鋳造品の特性を下記表1に示す。但し、対数減衰率は、振動のひずみ振幅が1×10−4の時の値を示した。なお、P,Sは表1に示さなかったが、いずれも、P<0.025、S<0.020である。また、実施例には同組成のものがあるが、これらは溶解が同じで、鋳造試料が異なることを意味する。
Figure 0005618466
上記表1に示したデータのうち、各試料のヤング率−対数減衰率の関係を示したグラフを図2に示した。ヤング率と対数減衰率を同時に評価した場合、図2で比較すると分かりやすい。各試料のヤング率と対数減衰率の値はばらつくが、平均的値を直線で表わした。図2において、線aは実施例1〜8のデータを、線bは比較例1〜8のデータを示す。なお、上記データのヤング率が、115〜130GPaの範囲にあるのは、現用鋳鉄のFC250,FC300で振動減衰性能を重視した場合のヤング率がおよそ120GPaを示すため、これらとの比較をする目的でその範囲のデータを掲載した。
図2から比較例1〜8(熱処理しない場合)のヤング率−対数減衰特性に対して、熱処理を施した本発明は約40%の性能改善が認められる。この値は、現用鋳鉄のFC250,FC300の特性(ヤング率が120PGaのときの対数減衰率は約100×10−4)と比較すると約2.5〜3.0倍以上の性能を示す。
(実施例9〜16及び比較例9〜16)
上記実施例1〜8及び比較例1〜8と同様な操作により、φ30×300mmのフラン自硬性鋳型に鋳込んだ。
得られた鋳造品を4×20×200mmに加工して、振動減衰能の評価値として対数減衰率及び動的ヤング率を求めた。このとき、熱処理しないものとの比較を行った。即ち、実施例9〜16ではAl,Sn添加鋳鉄を熱処理し、比較例9〜16ではAl,Sn添加鋳鉄を熱処理しなかった。試験方法は、JISG0602に準拠した。即ち、試験片を二点吊りして電磁加振器で1×10−4のひずみ振幅を与え、その後加振を止めて自由減衰させて、対数減衰率と動的ヤング率を求めた。このようにして得られた鋳造品の特性を下記表2に示す。但し、対数減衰率は、振動のひずみ振幅が1×10−4の時の値を示した。なお、P,Sは表2に示さなかったが、いずれも、P<0.025、S<0.020である。また、実施例には同組成のものがあるが、これらは溶解が同じで、鋳造試料が異なることを意味する。
Figure 0005618466
上記表2に示したデータのうち、各試料のヤング率−対数減衰率の関係を示したグラフを図3に示した。ヤング率と対数減衰率を同時に評価した場合、図3で比較すると分かりやすい。各試料のヤング率と対数減衰率の値はばらつくが、平均的値を直線で表わした。図3において、線aは実施例9〜16のデータを、線bは比較例8〜16のデータを示す。なお、上記データのヤング率が、115〜130GPaの範囲にあるのは、現用鋳鉄のFC250,FC300で振動減衰性能を重視した場合のヤング率がおよそ120GPaを示すため、これらとの比較をする目的でその範囲のデータを掲載した。
図3から比較例9〜16(熱処理しない場合)のヤング率−対数減衰特性に対して、熱処理を施した本発明は約30%の性能改善が認められる。この値は、現用鋳鉄のFC250,FC300の特性(ヤング率が120PGaのときの対数減衰率は約100×10−4)と比較すると約3.5倍の性能を示す。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲でAl,Sn,C,Si,Mn,P,S等の組成を適宜変えて具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の組成の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。
図1は、熱処理温度と減衰性能の改善率との関係を示す特性図である。 図2は、Al添加片状黒鉛鋳鉄によるヤング率と対数減衰率との関係を示す特性図である。 図3は、Al,Sn添加片状黒鉛鋳鉄によるヤング率と対数減衰率との関係を示す特性図である。

Claims (2)

  1. Al:3〜7%と、Mn:0.25〜1.0%と、P:0.04%以下と、S:0.03%以下と、残部C、Si、Fe及び不可避的不純物からなり、下記式(1)に示す炭素当量が3.30〜3.95である鋳鉄であり、鋳造後280〜630℃で加熱し、さらに冷却処理して得られることを特徴とする高剛性高減衰能鋳鉄。
    炭素当量(%)=C量(%)+(1/3)×Si量(%) …(1)
  2. 下記式(1)に示す炭素当量が3.30〜3.95となるC及びSiと、Al:3〜7%と、Mn:0.25〜1.0%と、P:0.04%以下と、S:0.03%以下と、Sn:0.03〜0.20%と、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋳鉄であり、鋳造後280〜630℃で加熱し、さらに冷却処理して得られることを特徴とする高剛性高減衰能鋳鉄。
    炭素当量(%)=C量(%)+(1/3)×Si量(%) …(1)
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