JP2006056968A - 導電性膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 導電性とその耐久性に優れた導電性膜の製造方法を提供すること。
【解決手段】 基材上に、導電性粒子と相互作用しうる官能基及び架橋性官能基を有するグラフトポリマーを直接結合させる工程と、
該グラフトポリマーが有する導電性粒子と相互作用しうる官能基に、導電性粒子を吸着させて導電性粒子吸着層を形成する工程と、
該導電性粒子吸着層にエネルギーを付与することにより、該導電性粒子吸着層中に架橋構造を形成する工程と、
を有することを特徴とする導電性膜の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、導電性膜材の製造方法に係り、より詳細には、表示素子や太陽電池などに有用な、電気伝導性と耐久性に優れる導電性膜に関する。
近年、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、更にエレクトロルミネッセンス(EL)素子などに代表される画像表示体(ディスプレイ)が、テレビ、コンピューターや近年普及してきた各種モバイル装置など、様々な分野で広く用いられるようになってきており、目覚ましい発展を遂げている。また、地球環境に配慮した脱化石エネルギーの一環として、太陽電池の高機能化による普及への要求が高まっている。
このような表示素子、太陽電池には透明導電性膜が使用されている。この透明導電性膜は高い電気伝導性と可視光領域での高い透過率、具体的には波長380〜780nmの範囲において80%以上の透過率を達成しうるものが好ましい。
当初、導電性膜はAu、Ag、Cu、Alなどの金属を厚さ3〜15nm程度の薄膜に製膜して用いていたが、金属薄膜は吸収が大きく、更に膜強度にも問題があった。近年、透明導電性膜としてガラス基板上に、錫をドーパントとして含む酸化インジウム(In23)を製膜してなる所謂ITO膜と称する低抵抗膜が液晶等の表示素子用電極として広く用いらるようになってきた。しかしながら、ITOの場合、出発原料が希少金属であるインジウムであるため高価であることから、基板の低コスト化には限界がある。
このため、酸化亜鉛(ZnO)膜を主成分とする透明導電性膜がコスト及び安定供給の観点から徐々に普及してきている。このZnO膜はAl等の不純物を添加することによりITOに匹敵する低抵抗膜が得られる。このようなZnO系透明導電性膜は、スパッタリング法及びCVD法により製造されるのが一般的である。スパッタリング法は、製造装置が高価であるため製造コストが高くなる、大面積の膜は形成しにくいなどの問題がある。また、CVD法は、装置が安価であり、連続生産可能なため製造コストが低いものの、平滑な表面の膜を形成すると抵抗値が上がり、導電性が低くなるというになるという欠点がある。更に、スパッタリング法やCVD法などのいずれの方法をとるにしても、金属薄膜は膜強度が不充分で耐磨耗性が低いという問題があった。
膜強度向上の観点から、金属などの導電性粒子をバインダーを用いて基材上に固定化する方法も提案されている。しかし、この方法で得られた導電性膜は、バインダー自体は導電性を有さず、微粒子の固定状態によっては、導電性が低下する可能性もあるため、十分な膜強度と高い導電性とを両立するには不充分であった。
この問題を解決するために、例えば、イオン性基を有する表面グラフト重合体を備える基材を用い、そのイオン性に導電性微粒子を静電的に結合させてなる導電性膜が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この導電性膜によれば、導電性微粒子は基材表面に対してイオン的に吸着し、固定化されて導電性発現領域が形成されることから、十分な膜強度と高い導電性とを両立することに一定の成果を得ることができる。しかしながら、この導電性膜のように、イオン結合により固定化された導電性粒子は、食塩水などの電解質溶液に触れた場合等に、グラフト重合体から脱離してしまう懸念があった。
このことから、高い導電性とその耐久性については、更なる改良が望まれているのが現状である。
特開2003−8040号公報
本発明は、前記従来技術における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、高い導電性を有し、かつ、その耐久性に優れる導電性膜の製造方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、導電性粒子が吸着したグラフトポリマーを含む導電性粒子吸着層中に、架橋構造を導入することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明に想到するに至った。
即ち、基材上に、導電性粒子と相互作用しうる官能基(以下、適宜、「相互作用性基」と称する。)及び架橋性官能基(以下、適宜、「架橋性基」と称する。)を有するグラフトポリマーを直接結合させる工程と、
該グラフトポリマーが有する導電性粒子と相互作用しうる官能基に、導電性粒子を吸着させて導電性粒子吸着層を形成する工程と、
該導電性粒子吸着層にエネルギーを付与することにより、該導電性粒子吸着層中に架橋構造を形成する工程と、
を有することを特徴とする導電性膜の製造方法である。
上述の如く、本発明は、基材上に直接結合したグラフトポリマーが有する相互作用性基に導電性粒子を吸着させて導電性粒子吸着層を設けた後に、グラフトポリマー中に存在する架橋性基を反応させて、導電性粒子吸着層中に架橋構造を形成することを特徴としている。
本発明の作用は明確ではないが以下のように推測される。
本発明においては、導電性粒子吸着層中に架橋構造を形成したことで、グラフトポリマーの相互作用性基に吸着した導電性粒子は、更に、架橋構造中に内包され、物理的に固定化されることとなる。これにより、本発明に係る導電性粒子吸着層は、グラフトポリマーの相互作用性基の存在に起因する導電性粒子の保持性に加えて、導電性粒子吸着層中の架橋構造の存在に起因する固定化により導電性粒子の保持持続性が著しく向上するものと考えられる。
本発明によれば、高い導電性を有し、かつ、その耐久性に優れる導電性膜の製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
基材上に、導電性粒子と相互作用しうる官能基(相互作用性基)及び架橋性基を有するグラフトポリマーを直接結合させる工程(以下、適宜、「グラフトポリマー生成工程」と称する。)と、
該グラフトポリマーが有する導電性粒子と相互作用しうる官能基に、導電性粒子を吸着させて導電性粒子吸着層を形成する工程(以下、適宜、「導電性粒子吸着層形成工程」と称する。)と、
該導電性粒子吸着層にエネルギーを付与することにより、該導電性粒子吸着層中に架橋構造を形成する工程(以下、適宜、「架橋構造形成工程」と称する。)と、
を有することを特徴とする。
以下、本発明における各工程について順次説明する。
<グラフトポリマー生成工程>
本発明においては、先ず、グラフトポリマー生成工程において、基材上にグラフトポリマーを直接結合させる。
このように、基板上にグラフトポリマーが結合している状態を形成する方法としては、公知の方法を適用すればよく、具体的には、例えば、日本ゴム協会誌、第65巻、604、1992年、杉井新治著、「マクロモノマーによる表面改質と接着」の記載を参考にすることができる。その他、以下に述べる表面グラフト重合法と呼ばれる方法を適用することもできる。
(表面グラフト重合法)
本発明におけるグラフトポリマーは、表面グラフト重合法により生成されたものであることが好ましい。
表面グラフト重合法とは、一般に、固体表面を形成する高分子化合物鎖上に活性種を与え、この活性種を起点として別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法である。
本発明を実現するための表面グラフト重合法としては、文献記載の公知の方法をいずれも使用することができる。例えば、新高分子実験学10、高分子学会編、1994年、共立出版(株)発行、p135には、表面グラフト重合法として、光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法が記載されている。また、吸着技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、p203,p695には、γ線、電子線などの放射線照射グラフト重合法が記載されている。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報、及び特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法においては、上記記載の文献、及びY.Ikada et al,Macromolecules vol.19,page 1804(1986)などの記載の方法にて作製することができる。具体的には、PETなどの高分子表面をプラズマ若しくは電子線にて処理し、表面にラジカルを発生させ、その後、その活性表面とモノマーとを反応させることによりグラフトポリマーを得ることができる。
光グラフト重合法は、上記記載の文献の他に、特開昭53−17407号公報(関西ペイント)や、特開2000−212313号公報(大日本インキ)記載のように、フィルム基材の表面に光重合性組成物を塗布し、その後、ラジカル重合化合物を接触させ光を照射することによってもグラフトポリマーを得ることができる。
また、基板上にグラフトポリマーが結合している状態を形成する手段としては、これらの他、高分子化合物鎖の末端にトリアルコキシシリル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を付与し、これと基材表面官能基とのカップリング反応により形成することもできる。
本発明におけるグラフトポリマー生成工程において、表面グラフト重合法を用いる場合の具体的な方法について説明する。
本発明では、基材表面に下記に示す相互作用性基を有する重合性化合物及び架橋性基を有する重合性化合物を接触させ、エネルギーを付与することで、該基板表面のに活性点を発生させて、この活性点と重合性化合物の重合性基とが反応し、表面グラフト重合反応が引き起こされる。
これら重合性化合物の基材表面への接触は、該重合性化合物を含有する液状組成物中に基材を浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、該重合性化合物を含有する液状組成物を基板表面に塗布することで行われることが好ましい。
また、エネルギーの付与方法としては、例えば、加熱や、輻射線照射を用いることができる。具体的には、例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱等が可能である。
本発明において、基材上に直接結合させるグラフトポリマーは、相互作用性基及び架橋性基を有するグラフトポリマーであり、そのポリマー構造中に相互作用性基と架橋性基とを有していることで、導電性粒子の吸着及び架橋構造形成の両機能を発揮することができる。
本発明におけるグラフトポリマーは、相互作用性基を有する重合性化合物と架橋性基を有する重合性化合物との共重合により生成されるものであり、上記した表面グラフト重合法を用いることで、基材上に、この共重合体であるグラフトポリマーを直接結合させることができる。
なお、相互作用性基を有する重合性化合物及び架橋性基を有する重合性化合物は共に、モノマー、マクロマー、重合性基を有するポリマーのいずれの態様でも構わないが、重合性の観点から、モノマーであることが特に好ましい。
グラフトポリマーの生成に使用される、相互作用性基を有するモノマー、及び、架橋性基を有するモノマーとしては、それぞれ1種づつを用いてもよいし、複数種のモノマーを併用してもよい。
本発明におけるグラフトポリマーの生成に際しては、相互作用性基を有するモノマーと架橋性基を有するモノマーとを、少なくとも1種づつ用いる必要があるが、本発明の効果を損ねない範囲で、更に、それ以外の他の共重合モノマーを用いてもよい。
グラフトポリマーにおける相互作用性基を有するモノマー成分と架橋性基を有するモノマー成分との含有比としては、導電性粒子の吸着と架橋構造形成の両立の観点からは、モル比で、30:70〜99:1が好ましく、50:50〜95:5がより好ましく、60:40〜90:10が更に好ましい。
なお、導電性粒子の吸着に関する事項及び架橋構造形成に関する事項の詳細は、後述する「導電性粒子吸着層形成工程」及び「架橋構造形成工程」の説明において詳述する。
以下、本発明におけるグラフトポリマーの生成に用いうる、相互作用性基を有するモノマー、及び、架橋性基を有するモノマーについて詳細に説明する。
−相互作用性基を有するモノマー−
グラフトポリマーが有する相互作用性基は、グラフトポリマーに吸着させる導電性粒子に応じた相互作用性を有する官能基である。
本発明において、相互作用性基は導電性粒子を吸着しうる官能基であるが、導電性粒子が吸着していない場合には、架橋反応に用いられる構造を有する官能基として機能してもよい。
本発明における相互作用性基としては、極性基であることが好ましく、イオン性基であることがより好ましい。従って、本発明における相互作用性基を有するモノマーとしては、イオン性基を有するモノマー(イオン性モノマー)が好適に用いられる。
上記イオン性モノマーとしては、アンモニウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有するモノマー、又は、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離しうる酸性基を有するモノマー等が挙げられる。
本発明において好適に用い得るイオン性基を形成し得るイオン性モノマーとは、前記したように、アンモニウム,ホスホニウムなどの正の荷電を有するモノマー若しくはスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離しうる酸性基を有するモノマーが挙げられる。
本発明において特に有用なイオン性モノマーの具体例としては、次のモノマーを挙げることができる。例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン酸塩、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、スチレンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチレン(メタ)アクリレート、3−スルホプロピレン(メタ)アクリレート若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート若しくはそれらの塩、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリレート、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライド、などを使用することができる。
また、相互作用性基として下記に示すような非イオン性の極性基を有するモノマーを用いることもできる。
即ち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが有用である。
本発明における相互作用性基を有するモノマーとしては、特に、アクリル酸などのアニオン性官能基を有するモノマー(アニオン性モノマー)が好ましい。
−架橋性基を有するモノマー−
グラフトポリマーが有する架橋性基は、相互作用性基やグラフトポリマーが有する他の官能基と反応し、共有結合を形成する反応性基であり、例えば、水酸基、メチロール基、グリシジル基、イソシアネート基、アミノ基等の官能基が挙げられる。
本発明においては用いうる架橋性基を有するモノマー(即ち、反応性モノマー)としては、公知のものから適宜選択して使用することができる。
架橋性基を有するモノマーの具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどの水酸基を有するもの;N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メチロールステアロアミドなどのメチロール基を有するもの;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基を有するもの;2−イソシアネートエチルメタアクリレート(例えば、商品名:カレンズMOI,昭和電工)などのイソシアネート基を有するもの;2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタアクリレートなどのアミノ基を有するものなどが挙げられるれる。
(基材)
本発明に用いられる基材としては、寸度的に安定な板状物であり、必要な可撓性、強度、耐久性等を満たせばいずれのものも使用でき、使用目的に応じて適宜選択される。
光透過性を必要とする透明基材を選択する場合には、例えば、ガラス、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)等が挙げられる。
また、透明性を必要としない導電性膜の基材としては、上記のものに加えて、紙、プラスチックがラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等を挙げることができる。
本発明において、基材は、導電性膜の用途及び吸着される導電性粒子との関係に応じて適宜選択されるが、加工性、透明性の観点からは、高分子樹脂からなる表面を有する基材が好ましく、具体的には、樹脂フィルム、表面に樹脂が被覆されているガラスなどの透明無機基材、表面層が樹脂層からなる複合材のいずれも好適である。
表面に樹脂が被覆されている基材としては、表面に樹脂フィルムが貼着された積層板、プライマー処理された基材、ハードコート処理された基材などが代表例に挙げられる。また、表面層が樹脂層からなる複合材としては、裏面に接着剤層が設けられた樹脂シール材、ガラスと樹脂との積層体である合わせガラスなどが代表例に挙げられる。
また、基材は、その使用目的に応じて粗面化処理が行われていてもよい。
例えば、導電性粒子の単位面積当たりの吸着量をより向上させるために、表面積を増加させてより多くのイオン性基の導入を図る目的で、基材表面を予め粗面化することが可能である。
基材を粗面化する方法としては基材の材質に適合する公知の方法を選択することができる。具体的には、例えば、基材が樹脂フィルムの場合には、グロー放電処理、スパッタリング、サンドブラスト研磨法、バフ研磨法、粒子付着法、粒子塗布法等が挙げられる。また、基材がガラス板などの無機材料の場合には、機械的に粗面化する方法が適用できる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。
−基材表面或いは中間層−
本発明における基材は、上述のように、グラフトポリマーが化学的に直接結合できるような表面を有するものである。本発明においては、基材の表面自体がこのような特性を有していてもよく、このような特性を有する中間層を基材表面に設けてもよい。
中間層としては、特に、光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法によりグラフトポリマーを合成する場合には、有機表面を有する層であることが好ましく、特に有機ポリマーの層であることが好ましい。また、有機ポリマーとしてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン系樹脂、フォルマリン樹脂などの合成樹脂、ゼラチン、カゼイン、セルロース、デンプンなどの天然樹脂のいずれも使用することができる。光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法などではグラフト重合の開始が有機ポリマーの水素の引き抜きから進行するため、水素が引き抜かれやすいポリマー、特に、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂などを使用することが、特に製造適性の点で好ましい。
−重合開始能を発現する層−
本発明においては、基材表面に、エネルギーを付与することにより重合開始能を発現する化合物として、重合性化合物と重合開始剤を添加し、中間層或いは基材表面として重合開始能を発現する層を形成することが、グラフト重合の際に活性点を効率よく発生させるという観点から好ましい。
重合開始能を発現する層(以下、適宜、重合性層と称する)は、必要な成分を、それらを溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基材表面上に設け、加熱又は光照射により硬膜し、形成することができる。
(a)重合性化合物
重合性層に用いられる重合性化合物は、基材との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により相互作用性基を有するモノマー及び架橋性基を有するモノマーが付加し得るものであれば特に制限はないが、中でも、分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーが好ましい。
このような疎水性ポリマーとしては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリぺンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタクリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
更には、前記のポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリペンタジエンなどのジエン系単量体又はアリル基含有モノマーを構成単位として含む、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどとの二元又は多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二重結合を有する線状高分子又は3次元高分子類;などが挙げられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
重合性化合物の含有量は、重合性層中、固形分で0〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲が特に好ましい。
(b)重合開始剤
本発明における重合性層には、エネルギー付与により重合開始能を発現させるための重合開始剤を含有することが好ましい。ここで用いられる重合開始剤は、所定のエネルギー、例えば、活性光線の照射、加熱、電子線の照射などにより、重合開始能を発現し得る公知の熱重合開始剤、光重合開始剤などを目的に応じて、適宜選択して用いることができる。中でも、熱重合よりも反応速度(重合速度)が高い光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、重合性層に含まれる重合性化合物と、相互作用性基を有するモノマー及び架橋性基を有するモノマーと、を重合させることが可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができる。
そのような光重合開始剤としては、具体的には、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノン(4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、の如きケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きベンジルケタール類、などが挙げられる。
重合開始剤の含有量は、重合性層中、固形分で0.1〜70質量%の範囲が好ましく、1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
重合性化合物及び重合開始剤を塗布する際に用いる溶媒は、それらの成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
重合性層を基材上に形成する場合の塗布量は、充分な重合開始能の発現、および、膜性を維持して膜剥がれを防止するといった観点からは、乾燥後の質量で、0.1〜20g/m2が好ましく、更に、1〜15g/m2が好ましい。
上記のように、基材表面上に上記の重合性層形成用の組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜させて重合性層を形成するが、このとき、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬化が予め行なわれるので、基材上にグラフトポリマーが生成した後に重合性層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制し得るため好ましい。ここで、予備硬化に光照射を利用するのは、前記光重合開始剤の項で述べたのと同様の理由による。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
加熱乾燥後に所望により行われる光照射は、光源として、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。引き続き行われるグラフトポリマーの生成と、エネルギー付与により実施される重合性層の活性点とグラフト鎖との結合の形成を阻害しないという観点から、重合性層中に存在する重合性化合物が部分的にラジカル重合しても、完全にはラジカル重合しない程度に光照射することが好ましく、光照射時間については光源の強度により異なるが、一般的には30分以内であることが好ましい。このような予備硬化の目安としては、溶剤洗浄後の膜残存率が10%以上となり、且つ、予備硬化後の開始剤残存率が1%以上であることが、挙げられる。
また、本発明において、基材上にグラフトポリマーを生成させる好適な態様の一つとして、基材表面に重合開始能を有する化合物を結合させ、かかる化合物が有する重合開始部位を起点として、グラフトポリマーを生成させる態様が挙げられる。
この態様に適用しうる重合開始能を有する化合物としては、例えば、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位(Q)と基材結合部位(Y)とを有する化合物(以下、適宜、「光開裂化合物(Q−Y)」と称する。)等が挙げられる。
以下、光開裂化合物(Q−Y)を基材表面に結合させる方法について説明する。
光開裂化合物(Q−Y)を基材表面に結合させるには、基材上に光開裂化合物(Q−Y)を付与し、基材表面と接触させ、基材表面に存在する官能基(Z)と、基材結合部位(Q)とを結合させて、基材表面に光開裂化合物(Q−Y)を導入すればよい。
基材表面に存在する官能基(Z)としては、具体的には、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。これらの官能基はシリコン基板、ガラス基板における基材の材質に起因して基材表面にもともと存在しているものでもよく、基材表面にコロナ処理などの表面処理を施すことにより表面に存在させたものであってもよい。
光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位(以下、単に、「重合開始部位(Y)」と称する。)は、光により開裂しうる単結合を含む構造である。
この光により開裂する単結合としては、カルボニルのα開裂、β開裂反応、光フリー転位反応、フェナシルエステルの開裂反応、スルホンイミド開裂反応、スルホニルエステル開裂反応、N−ヒドロキシスルホニルエステル開裂反応、ベンジルイミド開裂反応、活性ハロゲン化合物の開裂反応、などを利用して開裂が可能な単結合が挙げられる。これらの反応により、光により開裂しうる単結合が切断される。この開裂しうる単結合としては、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合等が挙げられる。
また、これらの光により開裂しうる単結合を含む重合開始部位(Y)は、グラフトポリマー生成工程におけるグラフト重合の起点となることから、光により開裂しうる単結合が開裂すると、その開裂反応によりラジカルを発生させる機能を有する。このように、光により開裂しうる単結合を有し、かつ、ラジカルを発生可能な重合開始部位(Y)の構造としては、以下に挙げる基を含む構造が挙げられる。
即ち、芳香族ケトン基、フェナシルエステル基、スルホンイミド基、スルホニルエステル基、N−ヒドロキシスルホニルエステル基、ベンジルイミド基、トリクロロメチル基、ベンジルクロライド基、などである。
このような重合開始部位(Y)は、露光により開裂して、ラジカルが発生すると、そのラジカル周辺に重合可能な化合物が存在する場合には、このラジカルがグラフト重合反応の起点として機能し、所望のグラフトポリマーを生成することができる。
このため、表面に光開裂化合物(Q−Y)が導入された基材を用いてグラフトポリマーを生成させる場合には、エネルギー付与手段として、重合開始部位(Y)を開裂させうる波長での露光を用いることが必要である。
基材結合部位(Q)としては、基材表面に存在する官能基(Z)と反応して結合しうる反応性基で構成され、その反応性基としては、具体的には、以下に示すような基が挙げられる。
Figure 2006056968
重合開始部位(Y)と、基材結合部位(Q)と、は直接結合していてもよいし、連結基を介して結合していてもよい。この連結基としては、炭素、窒素、酸素、及びイオウからなる群より選択される原子を含む連結基が挙げられ、具体的には、例えば、飽和炭素基、芳香族基、エステル基、アミド基、ウレイド基、エーテル基、アミノ基、スルホンアミド基、等が挙げられる。また、この連結基は更に置換基を有していてもよく、その導入可能な置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、等が挙げられる。
基材結合部位(Q)と、重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)の具体例〔例示化合物1〜例示化合物16〕を、開裂部と共に以下に示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
Figure 2006056968
Figure 2006056968
Figure 2006056968
光開裂化合物(Q−Y)を、基材表面に存在する官能基(Z)に結合させる具体的な方法としては、光開裂化合物(Q−Y)を、トルエン、ヘキサン、アセトンなどの適切な溶媒に溶解又は分散し、その溶液又は分散液を基材表面に塗布する方法、又は、溶液又は分散液中に基材を浸漬する方法などを適用すればよい。これらの方法により、光開裂化合物(Q−Y)が導入された基材表面が得られる。
このとき、溶液中又は分散液の光開裂化合物(Q−Y)の濃度としては、0.01質量%〜30質量%が好ましく、特に0.1質量%〜15質量%であることが好ましい。接触させる場合の液温としては、0℃〜100℃が好ましい。接触時間としては、1秒〜50時間が好ましく、10秒〜10時間がより好ましい。
以上のようにして、基材上にグラフトポリマーが結合され、しかる後に、導電性粒子吸着層形成工程が行われる。
<導電性粒子吸着層形成工程>
導電性粒子吸着層形成工程においては、前記グラフトポリマー生成工程により、基材上に結合されたグラフトポリマーの相互作用性基に導電性粒子を吸着させて導電性粒子吸着層を形成する。
グラフトポリマーの相互作用性基に吸着する導電性粒子は、相互作用性基としてイオン性基を挙げて説明するに、イオン性基の存在状態に応じて、規則正しくほぼ単層状態に配置されたり、長いグラフトポリマー鎖のそれぞれのイオン性基にナノスケールの微粒子が一つづつ吸着し、結果として、多層状態に配列されたりする。
次に、本発明に用い得る導電性粒子について具体的に説明する。
導電性粒子としては、導電性の金属粒子及び金属酸化物粒子、半導体特性を有する金属酸化物粒子及び金属化合物微粒子、及び、導電性樹脂微粒子から選択される少なくとも1種の微粒子を用いることが好ましい。
上記導電性の金属粒子及び金属酸化物粒子としては、比抵抗値が1×103Ω・cm以下の導電性金属又は金属酸化物の粉末であれば幅広く用いることができ、具体的には、例えば、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などの単体とその合金の他、酸化錫(SnO2)、酸化インジウム(In23)、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化ルテニウム(RuO2)、などを用いることができる。
また、上記半導体としての特性を有する金属酸化物粒子及び金属化合物粒子を用いてもよく、例えば、In23、SnO2、ZnO、Cdo、TiO2、CdIn24、Cd2SnO2、Zn2SnO4、In23−ZnOなどの酸化物半導体粒子、及びこれらに適合する不純物をドーパントさせた材料を用いた粒子、更には、MgInO、CaGaOなどのスピネル形化合物粒子、TiN、ZrN、HfNなどの導電性窒化物粒子、LaBなどの導電性ホウ化物粒子などが挙げられる。
これらの導電性粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、所望の導電性を得るため、予め複数の材料を混合して用いることもできる。
なお、導電性粒子は、好ましい態様として、相互作用性基に対してイオン的に吸着するため、導電性粒子の表面電荷、イオン性基の数により、粒径や吸着量が制限されることはいうまでもない。
導電性粒子の粒径は、目的や用途に応じて選択することができるが、導電性発現の点、吸着性の点から、一般的には、0.1nmから1μmの範囲であることが好ましく、1nmから300nmの範囲であることが更に好ましく、5nmから100nmの範囲であることが特に好ましい。
−グラフトポリマーの相互作用性基(イオン性基)と導電性粒子との関係−
前記グラフトポリマー生成工程にて得られるグラフトポリマーが、カルボキシル基、スルホン酸基、若しくはホスホン酸基などの如きアニオン性を有する相互作用性基(イオン性基)を有する場合は、相互作用性基が負の電荷を有するようになるため、ここに正の電荷を有するカチオン性の導電性粒子を吸着させることで導電性粒子吸着層が形成される。
このようなカチオン性の導電性粒子としては、正電荷を有する金属(酸化物)微粒子などが挙げられる。表面に高密度で正荷電を有する微粒子は、例えば、米澤徹らの方法、すなわち、T.Yonezawa,Chemistry Letters.,1999 page1061,T.Yonezawa,Langumuir 2000,vol16,5218及び米澤徹,Polymer preprints,Japan vol.49.2911(2000)に記載された方法にて作製することができる。米澤らは金属−硫黄結合を利用し、正荷電を有する官能基で高密度に化学修飾された金属粒子表面が形成できることを示している。
一方、得られるグラフトポリマーが特開平10−296895号公報に記載のアンモニウム基などの如きカチオン性基の相互作用性基(イオン性基)を有する場合は、相互作用性基が正の電荷を有するようになるため、ここに負の電荷を有する導電性粒子を吸着させることで導電性粒子吸着層が形成される。
負に帯電した導電性粒子としては、クエン酸還元で得られた金若しくは銀粒子を挙げることができる。
導電性粒子をグラフトポリマーの相互作用性基(イオン性基)に吸着させる方法としては、導電性粒子を溶解又は分散させた液体を、グラフトポリマーが直接結合した基材表面に塗布する方法、及び、導電性粒子を溶解又は分散させた液体中に、グラフトポリマーが直接結合した基材を浸漬する方法などが挙げられる。
塗布、浸漬のいずれの場合にも、過剰量の導電性粒子を供給し、グラフトポリマーの相互作用性基(イオン性基)との間に十分なイオン結合による導入がなされるために、溶液又は分散液とグラフトポリマー生成面との接触時間は、10秒〜24時間程度であることが好ましく、1分〜180分程度であることが更に好ましい。
また、導電性粒子は、グラフトポリマーの親水性基に吸着し得る最大量結合されることが好ましく、また、導電性確保の観点からは、導電性粒子を含む分散液の分散濃度は、0.001〜20質量%程度が好ましい。
このようにして、基材に直接結合したグラフトポリマーの相互作用性基に導電性粒子が吸着して、導電性粒子吸着層を得ることができる。
導電性粒子吸着層の膜厚は目的により選択できるが、耐キズ性(膜強度)や透明性などの観点からは、一般的には、0.001μm〜10μmの範囲が好ましく、0.01μm〜5μmの範囲が更に好ましく、0.1μm〜2μmの範囲が最も好ましい。
<架橋構造形成工程>
架橋構造形成工程においては、前記導電性粒子吸着工程により形成された導電性粒子吸着層にエネルギーを付与することにより、該導電性粒子吸着層中に架橋構造を形成する。
架橋構造形成においては、(1)導電性粒子が吸着していない相互作用性基が架橋構造形成に用いられる態様であってもよいし、(2)相互作用性基は導電性粒子を吸着するのみに用いられ、架橋構造形成に用いられない態様であってもよい。
上記(1)及び(2)の架橋構造形成におけるグラフトポリマーの例は以下の通りである。
上記(1)の場合としては、例えば、グラフトポリマーが、カルボキシル基を有するモノマーとグリシジル基を有するモノマーの二元重合体である場合が挙げられる。
上記(2)の場合としては、例えば、グラフトポリマーが、カルボキシル基を有するモノマーと、水酸基を有するモノマーと、イソシアネート基を有するモノマーとの三元重合体である場合や、グラフトポリマーが、カルボキシル基を有するモノマーと、N−メチロールアクリルアミド等のそれ自身が反応して架橋構造を形成しうるモノマーとの二元重合体である場合等が挙げられる。
架橋反応は、導電性粒子吸着層に対して、エネルギーを付与することにより生起される。エネルギー付与の態様としては、加熱、光照射、超音波照射、電子線照射等が挙げられる。
本発明においては、加熱により架橋構造を形成させる態様であることが好ましい。具体的な例としては、グラフトポリマーが有する相互作用性基であるカルボキシル基と架橋性基であるグリシジル基との反応を挙げることができる。
エネルギー付与が加熱により行われる場合であれば、加熱手段としては、例えば、ヒーターを用いたオーブンやホットプレート、赤外線や可視光線を用いた光熱変換による加熱等を用いることができる。
また、加熱処理は、形成されるグラフトポリマーの種類によっても異なるが、50℃〜300℃で、0.1秒〜60分程度加熱することにより行われる。
エネルギー付与が光照射により行われる場合であれば、光照射手段としては、例えば、低圧〜高圧までの各種水銀灯、メタルハライトランプ、キセノンランプなどの紫外〜可視域までの光源を用いることができる。
このようにして導電性粒子吸着層中に架橋構造が形成される。この架橋構造における架橋率は、架橋構造が形成された導電性粒子吸着層を溶媒に一定時間浸漬した後の質量増加率にて見積もることができる。ここで用いられる溶媒は、架橋構造が形成された導電性粒子吸着層に対して最も親和性の高い溶媒から選ばれるものであり、該導電性粒子吸着層を構成するグラフトポリマーがイオン性モノマーや極性基を有するモノマーから生成されている場合には、水、若しくは、N,N−ジメチルアセトアミドなどを選択することができる。
架橋構造が形成された導電性粒子吸着層の質量増加率は、30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
なお、このような導電性粒子吸着層が設けられた基材が、架橋率を見積もる際に用いられる溶剤に対し親和性がない場合には、基材ごと溶剤に浸漬させても、架橋構造が形成された導電性粒子吸着層の質量増加率を算出することができる。
以上説明した、本発明の製造方法に係る各工程により、導電性膜を製造することができる。
本発明により得られる導電性膜は、グラフトポリマーを基材上に直接結合させたことにより、該グラフトポリマーが有する相互作用性基に、導電性粒子が静電気的に高密度で均一に吸着した導電性粒子吸着層を有する。また、本発明においては、バインダーを用いることなく、しかも、グラフトポリマーが有する相互作用性基に導電性粒子が単層状態或いは多層状態で吸着した層が形成されているため、高い導電性を発現することができる。更には、導電性粒子吸着層中に架橋構造が形成されることで、導電性粒子が導電性粒子吸着層中に強固に固定化されることから、導電性膜が使用される環境等に起因して導電性粒子の脱離が生じることもなく、導電性の耐久性に優れることとなる。
また、導電性粒子が吸着してなる導電性粒子吸着層は、任意の基材表面に比較的簡易な処理で形成することが可能であり、更には、優れた導電性を発現しうる導電性粒子吸着層の導電性粒子の保持性が良好であるため、先に述べた、表示素子や太陽電池の他、多用な用途に適用可能であり、例えば、赤外線カット材料、電磁波防止材料、電機配線を製造する際に用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
[実施例1]
1.グラフトポリマー生成工程
PET(188μm、東レ社製)を基材として用い、その表面に下記の光重合性組成物をロッドバー18番を用いて塗布し、80℃で2分間乾燥し、膜厚6μmの中間層を形成した。
<光重合性組成物>
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 2g
(共重合モル比率80/20、平均分子量10万)
・エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート 4g
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 16g
−グラフトポリマーの生成−
次に、中間層上に、アクリル酸/グリシジルメタクリレート(モル比:80/20)の5質量%のモノマー水溶液を5ml滴下し、その上に石英板をかぶせて、そのモノマー水溶液を均一に中間層と石英板の間に挟み込んだ。次に、露光機(UVX−02516S1LP01、ウシオ電機社製)をもちいて5分間露光した。以上のようにして、基材表面にアクリル酸とグリシジルメタクリレートとの共重合体からなるグラフトポリマーが結合した基材を得た。得られたを基材Aとする。
2.導電性粒子吸着層形成工程
この基材Aを、以下のようにして得られた正電荷を有するAg粒子分散液中に浸漬し、その後、流水で表面を充分洗浄して余分な粒子分散液を除去し、導電性粒子が吸着してなる導電性粒子吸着層を得た。
(Ag粒子分散液の調製)
過塩素酸銀のエタノール溶液(5mmol/l)50mlにビス(1,1−トリメチルアンモニウムデカノイルアミノエチル)ジスルフィド3gを加え、激しく撹拌しながら水素化ホウ素ナトリウム溶液(0.4mol/l)30mlをゆっくり滴下してイオンを還元し、4級アンモニウムで被覆された銀粒子の分散液を得た。この銀粒子のサイズを電子顕微鏡で測定したところ、平均粒径は5nmであった。
3.架橋構造形成工程
導電性粒子吸着層が形成された基材Aを、ホットプレート(型式:T2Z.Bamstead社製)を用いて、140℃で5分加熱を行い、グラフトポリマーが有するカルボキシル基とグリシジル基を架橋させて、導電性粒子吸着層中に架橋構造を形成した。
以上のようにして、実施例1の導電性膜を得た。
[比較例1]
実施例1のクラフトポリマー生成工程のグラフトポリマー形成において、アクリル酸とグリシジルメタクリレート(80/20モル比)とからなるグラフトポリマーを生成させる代わりに、アクリル酸のみからなるグラフトポリマーを生成させ、かつ、架橋構造形成工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして比較例1の導電性膜を得た。
<評価>
(導電性の評価)
実施例1の導電性膜における架橋構造が形成された導電性粒子吸着層の表面導電性をLORESTA−FP(三菱化学(株)製)を用いて四探針法により測定したところ、1.1Ω/□を示した。
また、比較例1の導電性膜における導電性粒子吸着面の表面導電性を、実施例1と同様の方法で測定した、1.5Ω/□を示した。
これらのことから、実施例1及び比較例1においても、導電性に優れた導電性膜が形成されていることがわかった。
(耐久性の評価)
実施例1及び比較例1の導電性膜をそれぞれ飽和食塩水に10分間浸漬し、浸漬前後の表面導電性を比較することにより、導電性粒子の保持耐久性を評価した。ここで、表面導電性の測定方法は、上記導電性の評価における表面導電性の測定方法と同様である。なお、浸漬前の表面導電性は、上記導電性の評価の結果とする。測定結果を下記表1に示す。
Figure 2006056968
上記の評価結果より、導電性粒子吸着層中に架橋構造を形成した、実施例1の導電性膜は、飽和食塩水浸漬前後における表面導電性が高いまま維持され、その耐久性に優れていることが分かる。
一方、アクリル酸のみからなるグラフトポリマーを生成して導電性粒子吸着層を形成して、その導電性粒子吸着層に架橋構造を形成しなかった、比較例1の導電性膜は、飽和食塩水浸漬前は、実施例1と同程度の表面導電性を示しているが、飽和食塩水浸漬後では、表面導電性が著しく低下しており、導電性粒子の脱離が発生しているものと推測される。

Claims (1)

  1. 基材上に、導電性粒子と相互作用しうる官能基及び架橋性官能基を有するグラフトポリマーを直接結合させる工程と、
    該グラフトポリマーが有する導電性粒子と相互作用しうる官能基に、導電性粒子を吸着させて導電性粒子吸着層を形成する工程と、
    該導電性粒子吸着層にエネルギーを付与することにより、該導電性粒子吸着層中に架橋構造を形成する工程と、
    を有することを特徴とする導電性膜の製造方法。
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