JP2006045736A - クラフトパルプの漂白方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 無塩素又は完全無塩素漂白方式で行われるクラフトパルプの漂白方法における好適な酸処理条件を提案すること。
【解決手段】 無塩素又は完全無塩素漂白方式で行われるクラフトパルプの漂白方法において、アルカリ酸素脱リグニン工程後で且つ無塩素又は完全無塩素漂白工程前に、pH1.5〜2.5、反応温度75〜80℃、反応時間300〜500分の条件下でクラフトパルプの酸処理を行う。酸処理用鉱酸は、純粋鉱酸及び/又は他の工程で得られる廃鉱酸とするのがよい。また、酸処理後に得られるパルプのヘキセンウロン酸含有量が酸処理前のそれよりも40%以上低減され、さらに酸処理後に得られるパルプのカッパー価が酸処理前のそれよりも30%以上低減されることが推奨される。

Description

本願発明は、無塩素又は完全無塩素漂白の方式で行われるクラフトパルプの漂白方法に関し、さらに詳しくは、クラフトパルプのアルカリ酸素脱リグニン工程後で且つ初段の二酸化塩素そして/またはオゾンの無塩素又は完全無塩素漂白工程前において行われるパルプの酸処理方法に関するものである。
紙及びパルプの原料となる木材、非木材のチップをクラフト法で蒸解して得られたパルプは、アルカリ酸素脱リグニンと精選洗浄の工程を順次に行い,次いで漂白工程へ移行する。現在、漂白方法として塩素漂白、無塩素漂白(Elemental Chlorine Free:ECF)及び完全無塩素漂白(Totally Chlorine Free:TCF)の3方法があり、その中で、塩素漂白での元素状塩素、次亜塩素酸塩等の使用による排出漂白排水中の有害有機塩素化合物質負荷は環境に悪影響を及ぼす恐れがあり、近年の環境保護の高まりにより元素状塩素、次亜塩素酸塩等の使用が避けられ、現状では、ECFとTCF漂白が主力方法になり、その場合、一般的な使用漂白薬品としては、ECF漂白法では二酸化塩素、過酸化水素、オゾン、酸素、苛性ソーダ等、TCF漂白法ではキレート剤、過酸化水素、オゾン、酸素、苛性ソーダ及び過酢酸等であるが、ECFパルプはTCFパルプよりコストが安価であるためECF漂白法が現在の主流となりつつある。
一般に、塩素漂白からECF漂白へ転換した場合、設備費用をおさえるために塩素段と次亜塩素酸塩段の旧設備を利用するのが企業の有効手段であり、これにより塩素段の代替は初段の二酸化塩素段(D0段)、次亜塩素酸塩段の代替は過酸化水素段(P段)となっており、最近、オゾン漂白の導入例もあり、その設置位置は漂白シーケンスの最初または中間にある。
しかしながら、初段を二酸化塩素段とするECF漂白法で得られたパルプは、従来塩素漂白法に比べ物流・保管時等における熱退色性が劣り、最終製品である紙の品質を悪化させる(本願発明者の先発明にかかる特願2003−334843)。この熱退色性悪化の一原因として漂白パルプ中のヘキセンウロン酸(以下、HexA)があると知見される。
リグノセルロース物質(木材、非木材)のヘミセルロースであるキシランの側鎖には、4−O−メチルグルクロン酸残基が存在し、クラフトパルプ化過程でアルカリ加水分解反応を受け、さらに脱メトキシー反応を行い、HexAを生成する(Buchert, J. et al., Tappi J. 78(11):125(1995))。
二酸化塩素を用いるECF漂白において、HexAはD0段の二酸化塩素と反応し無塩素化及び塩素化のジカルボキシル酸を生成し、漂白パルプの熱退色性を悪化させる。ECF漂白前に酸処理を行うとパルプ中のHexAが酸加水分解され、2−フロン酸と5−カルボキシー−2−フラルデヒドの副産物質を生成することによって晒パルプの熱退色性が改善される(Gellerstedt, G., Li, J. Carbohydrate Research 294 : 41−54 (1996))。
一方、オゾンを使用するECF漂白では、HexAがオゾンを消費し、蓚酸を生成してこの物質はまたパルプシステムの液のカルシウムと反応し、スケールとなる蓚酸カルシウムを発生してパルプ生産を減産させる原因となる(Vuorinen, T. et al., 9th International Symposium on Wood and Pulping Chemistry (ISWPC), Montreal, Quebec, Canada, 1997年6月9日−12日,第2巻、901頁)。つまり、オゾン漂白する前に酸処理を行うとオゾン漂白効率を維持でき、さらに蓚酸カルシウムのスケール問題も避けられる。
一方、後記特許文献などによれば、ECFパルプやTCFパルプは塩素漂白パルプより漂白薬品コストが高く、その原因としてパルプの漂白薬品を消費する物質は、従来のリグニン以外にHexAが大きく関与していること、及びしたがって、HexAを除去できれば、漂白薬品の効率を改善することができる、ということが指摘されている。
そして、その具体的手段として、クラフトパルプの無塩素または完全無塩素漂白の工程前に、同パルプに対して所定の酸処理を施せば、HexAの低減に効果があることも指摘されている。
特許文献1では、その酸処理の具体的方法として、請求項1において、次のような手段を開示している。
特許文献1の特許請求の範囲1
セルロースパルプを加熱し、約85〜150℃の温度で約2〜5のpHで処理し、セルロースパルプ中のヘHexAの少なくとも約50%を除去し、パルプのカッパー価を2〜9単位減少させる。
また、無塩素漂白方式で行われるクラフトパルプの漂白方法における酸処理に言及した他の従来例としては、さらに後記特許文献2が存在しており、同特許文献2では、その請求項1ないし2において次のような手段を開示している。
特許文献2の請求項1
アルカリ性薬品にてリグノセルロース物質を蒸解後、酸素脱リグニン工程処理を行うことによってパルプのカッパー価を8〜15にし、得られたパルプを酸性水溶液中で処理し、前工程の酸素脱リグニン工程対比でパルプのカッパー価換算で30%以上低下させてパルプのカッパー価を3〜10とする。
特許文献2の請求項
酸性水溶液中での処理は、pH2.5〜4.0、かつ反応温度が80℃〜130℃の条件下で行う。
無塩素漂白方式で行われるクラフトパルプの漂白方法におけるHexAの低減について言及したさらに他の従来例としては、後記特許文献3が存在しており、同特許文献3では、その特許請求の範囲において、次のような手段を開示している。
特許文献3の請求項1
酸素脱リグニン後の広葉樹パルプの漂白工程において、pH=2.0〜3.0、反応温度80〜85℃、反応時間0.5〜5.0時間の条件下、パルプを酸処理する。
特開平10−508346 特開2000−290887 特開2003−342885
本願発明者は、上記各特許文献に記載されている酸処理方法(カッパー価とHexA低減方法)を種々検討したところ、これらの公知の酸処理方法のほかに、これらとは異なる有用な酸処理方法があることを知見し、本願発明に到達したもので、その具体的内容は以下の通りである。
本願発明は、先ず無塩素又は完全無塩素漂白方式で行われるクラフトパルプ(主として、広葉樹クラフトパルプ)の漂白方法において、アルカリ酸素脱リグニン工程後で且つ無塩素又は完全無塩素漂白工程前において、pH1.5〜2.5、反応温度75〜80℃、反応時間300〜500分の条件下でクラフトパルプの酸処理を行うことを基本的特徴とし、これにより上記各特許文献に記載されている酸処理方法と同様な効果が得られるものである。
以上のように、本願発明においては、無塩素又は完全無塩素漂白処理によってパルプ(主として、広葉樹クラフトパルプ)を漂白するものであるから、従来の塩素又は塩素系薬品を用いた漂白方法に比して環境への負荷が軽減されるという本来的な効果があり、またその際、新規な酸処理方法を用いることにより、漂白薬品の低減効果が得られるとともに、漂白処理方法されたパルプは、従来の塩素漂白によるパルプに比して熱退色性の改善度が同等か、それ以上であるという効果がある。
また、本願発明の方法で酸処理され、製造されたパルプは、そのような酸処理を行わないで製造されたパルプに比してパルプ粘度は少し低下したものの、強度(裂断長、破裂強度、引裂強度、耐折強度、等)が同等程度もしくはそれ以上向上する、という効果が得られる。
本願発明に適用されるパルプとしては、木材または非木材の:
1)ソーダ/アントラキノン(AQ)法、
2)コンベンショナルクラフト法(KP)、
3)歩留向上のクラフト法であるポリサルファイド法(PS)、PS/AQ法またはチオ尿素法、チオ尿素/AQ法(本願発明者の先発明にかかる特願2002−310672)、
4)市販クラフト改良法であるMCC、EMCC、ITC、Lo−Solids、KobudoMari、Compact法、
等により製造され、蒸解釜としては連続蒸解釜あるいはバッチ釜の方式のどちらでも良く、また蒸解条件(蒸解温度、Hファクター、活性アルカリまたは有効アルカリのパ−センティージ、白液の硫化度等)については特にこだわらないが、アルカリ性酸素脱リグニン処理工程前のカッパー価は14−20の範囲が好ましく、そして次にアルカリ性酸素脱リグニン処理を行うものであり、このアルカリ性酸素脱リグニン処理は、低濃度(パルプ濃度:3%−8%)、中濃度(パルプ濃度:8%−15%)、高濃度(パルプ濃度:20%−30%)の方式は特に問わないが、アルカリ性酸素脱リグニン処理工程後(つまり、酸処理工程前)のカッパー価は8−14の範囲が好ましい。
酸処理に使用する酸の種類は、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸等の鉱酸を使用できるが、薬品費用を低減するには、他の工程で発生した廃酸の使用も可能であり、例えば、化学パルプ生産工場では一般的に漂白工程があり、その中で二酸化塩素がオンサイトで製造され、製造方法はR2、R8/SVP法等であり、いずれも廃棄物質として廃硫酸があり、この廃硫酸の純度は4−10Nで純粋硫酸の36Nに比べ低いが使用できる。
前記特許文献2と3によると、酸処理時のpHを2未満とした場合、HexAの除去は十分であるがパルプの酸加水分解が進み、パルプ粘度並びにパルプ強度の低下が大きく望ましくないとされている。しかし、以下に記載のように本願発明において酸処理時のpHは低いほどパルプ粘度が低下するが、pH1.5以上ではパルプ粘度が低いにもかかわらず酸処理後のパルプの強度が酸処理前のものと同等で、酸処理後パルプからなる紙製品の物理特性への悪影響はなく、つまり酸処理はパルプ繊維を分解せず解重合を行ったことが確認できる。酸処理のpHを1.5−2.5とすることにより、酸処理の温度を下げることが可能で、酸処理用の蒸気使用量を低減でき、コストの節減が図れる。
前記特許文献3によると、酸処理時の温度が80℃未満では、HexAの除去効果がないとされている。しかし、以下に記載のように本願発明においてpH1.5−2.5時の酸処理の温度75−80℃の範囲は好適でHexA除去の効果があり、前記特許文献1、2と3記載の酸処理温度80−150℃より低いため、蒸気使用量は少なく、エネルギー費用が安価である。
本願発明の方法における酸処理の反応時間は、300−500分の範囲である。反応時間が300分未満の場合はカッパー価の低下が小さく、後工程の漂白性への効果も小さく好ましくない。また、反応時間が500分を超えると、酸処理後のパルプは酸処理前のものより白色度が低下し、この場合でもパルプの漂白性への効果も小さく好ましくない。
前記特許文献1、2記載の代表的な酸処理酸条件(温度:90℃;pH:3.0;反応時間:180分)下で酸処理を行ったパルプと酸処理前のもののカッパー価の差異41%に対し、本願発明を実施した場合の酸処理後に得られるパルプのカッパー価が酸処理前のそれよりも41−42%低下し、前記特許文献1、2の結果とほぼ同等である。酸処理後のカッパー価が45%以上低下した場合は、パルプの白色度が減少し、後工程のパルプ漂白性への効果も小さく好ましくない。一方、酸処理後のカッパー価が30%未満しか低下しないと酸処理後のパルプ中の残存リグニンとHexA含有量は高く、後工程の漂白性への効果も小さく好ましくない。
さらに、前記特許文献1、2記載の酸処理酸条件下(pH:3.0)で得られるパルプのHexA含有量は酸処理前のそれよりも52.5%低減する。一方、本願発明を実施するにあたって、酸処理後に得られるパルプのHexA含有量は、酸処理前のそれよりも酸処理pH2.0−2.5の範囲で48.7%、酸処理pH1.5−2.0の範囲で45.4%減少することが確認されており、HexAの除去は十分であり、これらの結果によると、酸処理pHは低いほどHexAの除去率が低下し、言換えると、HexAの除去率は酸処理pHに依存することがわかる。また、これらのpHで酸処理を行ったパルプのカッパー価が同等であるため、酸処理pHが低いとHexAよりもパルプ中の残留リグニンの方が除去しやすくなることがわかる。
本願発明を実施するにあたっては、酸処理後のパルプは洗浄段を行うことなく、脱水だけで十分であり、そして引き続き多段無塩素漂白にて最終白色度82〜90%ISOとなるようパルプを漂白することが望ましい。この場合、多段無塩素漂白の初段は二酸化塩素段または高濃度オゾン段であることが推奨される。漂白シーケンスとして(AZE)(D1)(D2);(AZE)(D)(P);(AZE)(P)(D);(AD0)(Eo)(D1)(D2);(AD0)(Eop)(D1)(D2);(AD0)(Eo)(D1)(P);(AD0)(Eo)(P)(D1)等が挙げられる。ただし、()の間は洗浄段、()内は単独漂白段または洗浄段がない多段漂白段、Aは酸処理、Zは高濃度又は中濃度オゾン漂白、Dは二酸化塩素漂白、Pは過酸化水素漂白、Eはアルカリ抽出、Eoは酸素を添加したアルカリ抽出、Eopは酸素と過酸化水素を添加したアルカリ抽出、D0は初段の二酸化塩素漂白、D1、D2は後段の二酸化塩素漂白を意味する。
さらに、本願発明者の先発明にかかる特願2003−308517には、多段無塩素漂白工程では高濃度オゾン段を含むとともに、高濃度オゾン段後には洗浄段を行うことなく、さらに初期pH7〜8、最終pH6〜7、処理時間20〜40分の条件下でアルカリ抽出段を行うことを含む技術が開示されている。
以下に、いくつかの試験例を示して本願発明とその実施例をより具体的に説明するが、勿論本願発明はこれらの実施例に限定されるものではない。パルプの品質の測定は次の実験方法を用いて行った。
<パルプ品質測定方法>
カッパー価の測定:「JIS P8211」記載の方法にてカッパー価を測定した。
HexAの測定:次の文献に詳細に記載した方法にてパルプ中のHexAの測定を行った。Gellerstedt, G., Li, J. “A HLPC Method for the Quantitative Determination of Hexeneuronic Acid Groups in Chemical Pulps”, Carbohydrate Research 294 : 41−54 (1996)。島津製作所製紫外線スペックトロフォトメーターUV−265FSにてHexAを測定した。
*の測定:CIEシステムのb*は、Macbeth Color−eye試験機にて測定を行った。
白色度の測定:「JIS P8123」記載の方法にて白色度を測定した。
粘度の測定:米国「Tappi Standards T230 om−89」記載の方法にて粘度を測定した。
酸処理有及び無のパルプは、「JIS P8221−2」記載のPFIミルにより叩解を行い、「JIS P8121」記載のカナダ標準ろ水度(フリーネス)でフリーネスを測定した後、「JIS P222」及び「JIS P8223」記載の方法にて各フリーネス水準での手抄シートを作成し、紙質試験に供した。測定項目は以下に記載する。
裂断長:「JIS P8113」記載の方法を基に裂断長を求めた。
比破裂度:「JIS P8112」記載の方法を用いて比破裂度として示した。
比引裂度:「JIS P8116」記載の方法にて比引裂度を測定した。
耐折度:「JIS P8115」記載の方法を基に耐折度を測定した。
(試験例1)
アルカリ酸素脱リグニン後の広葉樹クラフトパルプ(カッパー価11.11、粘度21.4mPa.s)にpHが1.85になるように硫酸を添加するとともに、7水準の反応時間を変化させ酸処理を行った。酸処理後のパルプは、カッパー価、HexA、粘度、白色度、b*、裂断長、破裂強度、引裂強度、耐折度を測定した。
酸処理条件:パルプ濃度10%;pH1.85;温度77℃;反応時間2,3,4,5,6,7時間
(試験例2)
アルカリ酸素脱リグニン後の広葉樹クラフトパルプ(カッパー価11.11、粘度21.4mPa.s)にpHが2.20になるように硫酸を添加するとともに、7水準の反応時間を変化し酸処理を行った。酸処理後のパルプは、カッパー価、HexA、粘度、白色度、b*、裂断長、破裂強度、引裂強度、耐折度を測定した。
酸処理条件:パルプ濃度10%;pH2.20;温度77℃;反応時間2,3,4,5,6,7時間
(試験例3)
アルカリ酸素脱リグニン後の広葉樹クラフトパルプ(カッパー価11.11、粘度21.4mPa.s)にpHが3.15になるように硫酸を添加するとともに、3水準の反応時間を変化し酸処理を行った。酸処理後のパルプは、カッパー価、HexA、粘度、白色度、b*、裂断長、破裂強度、引裂強度、耐折度を測定した。
酸処理条件:パルプ濃度10%;pH3.15;温度90℃;反応時間1,2,3時間
(試験例4)
アルカリ酸素脱リグニン後の広葉樹クラフトパルプ(カッパー価12.24、粘度22.6mPa.s)にpHが1.78になるように硫酸を添加するとともに、7水準の反応時間を変化し酸処理を行った。酸処理後のパルプは、カッパー価、粘度、白色度、b*を測定した。
酸処理条件:パルプ濃度10%;pH1.78;温度77℃;反応時間2,3,4,5,6,7時間
(試験例5)
アルカリ酸素脱リグニン後の広葉樹クラフトパルプ(カッパー価12.24、粘度22.6mPa.s)にpHが3.08になるように硫酸を添加するとともに、7水準の反応時間を変化し酸処理を行った。酸処理後のパルプは、カッパー価、白色度、b*を測定した。
酸処理条件:パルプ濃度10%;pH3.08;温度90℃;反応時間0.5,1.0,1.5,2.0,2.5,3.0時間
これらの試験例1〜5の結果を表1に示すとともに、これらの試験結果によって示される酸処理条件(pH、酸処理温度、酸処理時間)と、パルプの諸物性(カッパー価、HexA含有量、粘度、白色度、b*、裂断長、破裂強度、引裂強度、耐折度、等)の変化の傾向を図1〜図7に示す。
Figure 2006045736
次に、これらの試験例から得られる知見について説明する。
表1及び図1、図2によると、低pHと低反応温度(たとえば、試験例1の例では、pH1.85、温度77℃、試験例2の例ではpH2.20、温度77℃、試験例4の例では、pH1.78、温度77℃)での酸処理は、一般的な高pH、高反応温度の酸処理(たとえば、試験例3の例では、pH3.15、温度90℃)の最終カッパー価(試験例3の例では、6.54)と同等のカッパー価になるための反応時間が約2倍必要であった(試験例1の例では、カッパー価6.46になるまでに約6時間、試験例2の例ではでは、カッパー価6.71になるまでに約6時間、試験例4の例では、カッパー価6.51になるまでに約6時間、試験例3の例では、カッパー価が6.54になるまでに約3時間、それぞれかかっている)。しかし、上記の試験例1,2,4からもわかるように、一般的な酸処理の場合と同等のカッパー価を得るためには、酸処理時間を長くすれば(300〜500分)、本願発明の方法のような低温度(75〜80℃)でも可能であり、又そのためのpHの範囲としては、既述のように、1.5〜2.5が好適である。
また、HexA低減量についてみても、試験例1の場合は、酸処理時間6時間でHexA低減率が約54%(84.4→39.0mmol/g絶乾パルプ)、試験例2の場合は、同じく酸処理時間6時間でHexA低減率が約57%(84.4→35.7mmol/g絶乾パルプ)で、一般的な酸処理方法(たとえば、試験例3における酸処理時間3時間の場合)におけるHexA低減率(約62%:84.4→31.9mmol/g絶乾パルプ)に比べて実用上の問題はみられない。
さらに、その他のパルプの諸物性についてみても、本願発明の範囲にあるものは、粘度が多少低くなるものの、その他の諸物性(白色度、b*、裂断長、破裂強度、引裂強度、耐折度、等)については、一般的な酸処理方法のものに比べてほぼ同等の数値が得られることがわかる(図3〜図7参照)。
以上のような知見から、本願発明者は、酸処理後のカッパー価として実用上問題のない数値が得られる範囲のもの(酸処理前のカッパー価より30%以上低減される範囲のもの)、すなわち、試験例1,2,4において酸処理時間が5時間(300分)以上のものを本願発明の実施例として規定するものである。
試験例1と試験例3における、酸処理時間とカッパー価の関係を示すグラフである。 試験例2と試験例3における、酸処理時間とカッパー価の関係を示すグラフである。 試験例1,2,3における酸処理時間と白色度の関係を示すグラフである。 試験例1,2,3における酸処理時間とb*の関係を示すグラフである。 試験例1,2,3における裂断長と破裂強度の関係を示すグラフである。 試験例1,2,3における裂断長と引裂強度の関係を示すグラフである。 試験例1,2,3における裂断長と耐折強度の関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 無塩素又は完全無塩素漂白方式で行われるクラフトパルプの漂白方法であって、アルカリ酸素脱リグニン工程後で且つ無塩素又は完全無塩素漂白工程前において、pH1.5〜2.5、反応温度75〜80℃、反応時間300〜500分の条件下でクラフトパルプの酸処理を行うことを特徴とするクラフトパルプの漂白方法。
  2. 酸処理用鉱酸は、純粋鉱酸及び/又は他の工程で得られる廃鉱酸であることを特徴とする請求項1記載のクラフトパルプの漂白方法。
  3. 酸処理後に得られるパルプのヘキセンウロン酸含有量が酸処理前のそれよりも40%以上低減され、さらに酸処理後に得られるパルプのカッパー価が酸処理前のそれよりも30%以上低減されることを特徴とする請求項1又は2記載のクラフトパルプの漂白方法。
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