JP2006042011A - 電気機械共振器およびその製造方法 - Google Patents

電気機械共振器およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006042011A
JP2006042011A JP2004220082A JP2004220082A JP2006042011A JP 2006042011 A JP2006042011 A JP 2006042011A JP 2004220082 A JP2004220082 A JP 2004220082A JP 2004220082 A JP2004220082 A JP 2004220082A JP 2006042011 A JP2006042011 A JP 2006042011A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibrating body
electrode
electromechanical resonator
electromechanical
resonator according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004220082A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunihiko Nakamura
邦彦 中村
Yoshito Nakanishi
淑人 中西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2004220082A priority Critical patent/JP2006042011A/ja
Publication of JP2006042011A publication Critical patent/JP2006042011A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Micromachines (AREA)
  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

【課題】 簡易な方法で振動体と電極間の狭ギャップを高精度に形成することの可能な電気機械共振器を提供する。
【解決手段】 振動体202と電極203の間に形成されたギャップは、加工後にいずれかを変位させることにより、半導体製造技術で製作可能な最小間隙よりも小さなギャップとすることが可能となり、より大きな静電力での振動体の励振、または振動に伴うより大きな電流の発生が可能となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は電気機械共振器およびその製造方法に係り、特に高密度に集積化された電気回路内において、狭ギャップ化をはかり、高性能のフィルタ回路を実現可能な電気機械共振器に関する。
近年、電気機械共振器を利用したフィルタとしては、静電力で振動体を励振し、振動を再び電気信号に変換するものが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。図10は、前記非特許文献1に記載された従来の機械共振器の原理を示すもので、図10(a)は平面図を、図10(b)はA−A’の横断面図をあらわす。
図10(a)および(b)において、101はディスク型の振動体であり、ディスク中心に位置するアンカー102を介して基板103に固定されている。104はギャップgを介してディスク半周上に配された励振電極、105はギャップgを介して他方の半周上に配された検出電極である。この共振器では、振動体101が半径方向に伸縮する共振モード(ディスクコンターモード)を利用している。図10(c)に示すように、励振電極104と振動体101の間に交流信号viを印加すると、振動体101には静電力が印加されて振動が励起され、共振周波数近傍で振動振幅は最大となる。この振動は振動体101と検出電極105間の静電容量変化に伴う電流iの発生として検出され、その結果入力ポートinと出力ポートoutの間では共振周波数近傍に通過帯域を持つバンドバスフィルタが構成される。
ディスク半径をr、励振電極104と振動体101の間の静電容量をC、検出電極105と振動体101の間の静電容量をCとすると、振動体に作用する静電力Fは(数1)で、振動体の振動により発生する電流iは(数2)であらわされる。
Figure 2006042011
Figure 2006042011
Figure 2006042011
(数1)(数2)より、ΔC/Δrが大きいほど振動体への励振力は増大し、また検出される電流値も大きくなるのでエネルギー変換効率のよいフィルタを構成することができる。ΔC/Δrは(数3)に示されるようにギャップgの値が小さいほど大きな値をとるので、gの値は可能な限り小さいことが望ましい。
非特許文献1に示された電気機械共振器では、ディスク直径20μmに対して、ギャップgの値は100nmである。
Jing Wang, Zeying Ren, and Clark T.-C. Nguyen, "SELF-ALIGNED 1.14-GHZ VIBRATING RADIAL-MODE DISK RESONATORS", TRANSDUCERS '03, Boston, June 2003, pp.947-950
しかしながら、上記構成では、ギャップgを形成するためには複雑な製造工程を必要とする。上記構成を示す図10(a)の領域Bについて、その製造方法の概略を図11に示す。図11では、加工上の問題で検出電極105の端縁が振動体103の上方に張り出しているが、十分に離間しているため影響はない。図11(a)に示すように、半導体製造技術により、シリコン基板103上に第1の犠牲層(シリコン酸化膜)S1、振動体(ポリシリコン)101、第2の犠牲層(シリコン酸化膜)S2、第3の犠牲層(シリコン酸化膜)S3、電極(ポリシリコン)105を順次積層する。犠牲層は最終的にフッ酸により除去されて振動体は振動可能となり、振動体101と電極105との間には第3の犠牲層S3の膜厚で決定されるギャップgが形成される(同図(b))。
図11に示した前記製造工程では、第1乃至第3の犠牲層S1〜S3、振動体101および電極(104,)105それぞれの層についての成膜とパターニングを繰り返し行うために数多くのマスクが必要となり、製造コストがかかるという課題を有していた。また、より狭いギャップgの形成を目指すほど、エッチャントの回り込みが遅く、第3の犠牲層のエッチングの進行速度が著しく低下するという問題があった。
このように、狭いギャップgを精度よく形成するのは極めて困難であった。
また、このギャップgの大きさにより、特性は大きく変化するため、ギャップgの大きさを微細化することおよび高精度に設定することは極めて重要な課題となっている。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、簡易な方法で振動体と電極間の狭ギャップを高精度に形成することの可能な電気機械共振器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の電気機械共振器は、機械的振動を行う振動体と、前記振動体に近接して位置する電極とを有してなり、形状加工後に、前記振動体または前記電極の位置を変化させ、前記振動体と前記電極間の相対位置を調整することによりギャップの狭小化をはかるようにしたことを特徴とする。
すなわち本発明の電気機械共振器は、機械的振動を行う振動体と、前記振動体に対して所定の間隔を隔てて配設された電極とを有し、前記振動体が機械的振動を生起しうるように構成され、電気機械変換を可能にする電気機械共振器であって、前記振動体または前記電極の初期位置が、加工後に変位せしめられたものであることを特徴とする。
この構成により、加工後に振動体と電極との間の相対的位置を変化させ、狭ギャップ化をはかることができるため、加工精度のみに依存するのではなく、加工限界を超えて、ギャップの大きさを調整することが可能である。
また本発明の電気機械共振器は、前記振動体または前記電極の初期位置が、位置決め機構によって、前記振動体と前記電極間の相対位置がより狭ギャップとなるように変位されて決定されるものを含む。
この構成により、位置決め機構によって振動体と電極との間の相対的位置を調整し、狭ギャップ化をはかることができるため、加工精度のみに依存するのではなく、加工限界を超えて、ギャップの大きさを調整することが可能である。
また、本発明の電気機械共振器は、前記位置決め機構は梁構造であり、駆動源は梁の製造時に梁内部に蓄積された応力であり、応力緩和による梁の撓みを利用し、振動体と電極間の相対位置を調整するようにしたものを含む。
引っ張り性の内部応力、あるいは圧縮性の内部応力を持つように形状加工し、加工後の応力緩和を利用して、狭ギャップ化をはかることにより、加工限界を超えて、容易に狭ギャップ構造を得ることができる。
また、本発明の電気機械共振器は、前記位置決め機構は前記振動体または前記電極の位置を変位させるための移動力を発生する駆動源とを備えたものを含む。
この構成により、駆動源を用いることで、前記振動体と前記電極間の相対位置を、容易に調整することができる。
また、本発明の電気機械共振器は、前記駆動源は、静電気力を生起させる電極を具備したものを含む。
また、本発明の電気機械共振器は、前記振動体と前記電極は同一の基板上に半導体製造技術を用いて作製されたものを含む。
この構成により、簡単な半導体製造技術を用いて高精度で信頼性の高い電気機械共振器を得ることができる。
また、本発明の電気機械共振器は、前記位置決め機構および駆動源が、前記基板上に半導体製造技術を用いて作製されたものを含む。
この構成により、大幅な小型化をはかることができる。ここで駆動源は、電源を除く駆動回路が、同一基板上に形成されていればよく、電源は別途接続するものも含む。
また、本発明の電気機械共振器は、前記位置決め機構が、梁構造体を備え、前記駆動源により前記梁構造体の少なくとも1つの梁を所定量だけ変位させることにより、前記振動体または前記電極を前記所定量よりも小さな量だけ変位させ、前記振動体と前記電極との距離をgからg’への微調整を実現するように構成されたものを含む。
この構成により、加工直後の振動体と電極との間隔がgである場合、gからg’への調整が可能となり、振動体へ励振力は、g/g’の2乗とすることができ、振幅の増大をはかることができる。
また、本発明の電気機械共振器は、前記位置決め機構が、振動体と電極の間に印加される電圧に応じて、振動体と電極の初期位置を所定量だけ変位するようにしたものを含む。
この構成によれば、電圧によって振動体と電極の初期位置を複数段に決定することができ、高精度の調整が容易に可能となる。
また、本発明の電気機械共振器は、前記位置決め機構が、複数の前記梁構造体を備えたものを含む。
この構成によれば、複数の梁構造体を接続して用いることにより、大電圧の励振信号が投入されて一段目のギャップがゼロ、すなわち接触状態に陥っても、次段の振動体を励振させるようにすることができる。
また、本発明の電気機械共振器は、電気的に並列に配置された複数個の電気機械共振器を含むものを含む。
この構成によれば、1つの駆動源で複数段の振動体・電極間の間隔を調整可能であるという効果がある。
また、本発明の電気機械共振器は、前記電気機械共振器が、真空雰囲気となるように封止されたケース内に収納したものを含む。
この構成によれば、長寿命でかつノイズの少ない電気機械共振器を形成することができる。また、振動体の振動は空気の粘性抵抗を受けない。
また、本発明のフィルタは、上記電気機械共振器を用いて形成される。
この構成によれば、高感度かつ高精度で信頼性の高いフィルタを得ることができる。
また、本発明の電気回路は、上記電気機械共振器を用いて形成される。
また、本発明の電気機械共振器の製造方法は、機械的振動を行う振動体と、前記振動体に対して所定の間隔を隔てて配設された電極とを有し、前記振動体が機械的振動を生起しうるように構成され、電気機械変換を可能にする電気機械共振器の製造方法であって、基板上に、前記振動体および前記電極を含む梁構造体を形状加工する工程と、前記振動体と前記電極との間隔が所望の値となるように、前記前記振動体または前記電極を変位させる工程とを含む。
この方法によれば、加工後に、振動体と電極との間の相対的位置を調整し、狭ギャップ化をはかることができるため、加工精度のみに依存するのではなく、加工限界を超えて、あるいは加工後に変位させることによりギャップの大きさを調整することが可能である。
本発明の電気機械共振器の構成によれば、極めて簡単なプロセスで、電気・機械および機械・電気の変換効率の優れた電気機械共振器を容易に形成することができる。
本構成によれば、簡易な方法で通常の解像限界を超えて振動体と電極間の狭ギャップを形成することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の電気機械共振器の平面図である。図1(a)は加工直後の状態を示す図、図1(b)は、加工後内部応力の緩和によりギャップが変化した状態を示す図である。図1において、ハッチング部分は基板上に固定された固定部分、他の部分は可動部分である。この電気機械共振器は、MEMS工程によって1枚のシリコン基板から形成されるもので、両持ち梁構造で基板201(図1では省略、図2(d)参照)に張架せしめられ、機械的振動を行う振動体202と、この振動体202に対して所定の間隔を隔てて配設された電極203とを有し、この振動体202の機械的振動と、前記機械的振動に伴う前記振動体202と電極203との間の相対的位置変化による電気的変化との間で電気−機械変換を実現するもので、MEMS工程により振動体202および電極203を加工後、振動体と電極とのギャップgを狭小化することにより、加工限界を超えて微細なギャップを効率よく形成するようにしたことを特徴とするものである。ここでギャップgは半導体製造技術を用いて作製可能な最小線幅(数百nm〜数μm)に一旦加工され、加工後に狭小化される。
ここで、振動体202は両端を基板201上に固定された両持ち梁であり、203は振動体202に近接して配され、振動体を励振、または振動体の振動を検出するための電極である。ここで電極203は引っ張り性の内部応力をもつ位置決め用梁211に支持されており、加工直後に図1(a)に示すように形成したギャップgを、位置決め用梁211の引張り性の内部応力によって、図1(b)に示すようにギャップgを狭めて安定化させたものである。
電極203は位置決め用梁X211の中心部に配され、位置決め用梁X211の両端は2本の位置決め用梁Y212に連結され、位置決め用梁Y212の他方の端点は基板に固定されている。振動体202と電極203の間にはギャップgが形成されている。
そしてこの位置決め用梁X211およびY212はともに半導体製造技術を用いて形成した薄膜パターンで構成されており、基板平面方向の残留内部応力が引張り応力となるように製造される。
次に、本発明の実施の形態1における電気機械共振器の製造方法について説明する。図2(a)乃至(d)は図1に示した電気機械共振器の構造中で、特に振動体202と電極203付近を拡大してその製造方法を示した製造工程図である。振動体202および電極203は基板201上に形成される。例えば基板201は、表面に熱酸化による酸化シリコン膜および減圧CVD法による窒化シリコン膜が堆積された高抵抗シリコン基板である。
まず図2(a)に示すように、シリコン基板201にフォトレジストからなる犠牲層をスピンコートし、フォトリソグラフィにより、露光、現像したのち、ホットプレートでベークを行い、犠牲層207を形成する。
次に、基板全面にスパッタリング法によりアルミニウム薄膜208を堆積する(図2(b))。
次にアルミニウム薄膜208上にフォトレジストを形成し、フォトリソグラフィによりパターニングを行い、前記フォトレジストからなるパターンをマスクとしてアルミニウムのドライエッチングを行うことで、振動体202および電極203を形成する(図2(c))。さらに酸素プラズマによりフォトレジストからなるパターンならびに犠牲層207を除去する。これにより、振動体202は、振動可能な両持ち梁となり、電極203との間でコンデンサを形成する(図2(d))。
この製造方法を用いることで、犠牲層207のパターニング用ならびに図1に示したすべてのアルミニウム薄膜を用いたアルミニウム構造体のパターニング用の2枚マスクで図1(a)に示した電気機械共振器を実現することができる。
このようにして、図2(d)に示した犠牲層の除去工程を終えると、位置決め用梁X211内の残留応力が緩和され、すなわち位置決め用梁X211はその長さ方向に縮もうとし、位置決め用梁Y212は応力を緩和しようとする位置決め用梁X211に引張られ、最終的に図1(b)のように撓んだ状態で静止する。その結果、振動体202と電極203の間のギャップgはg’に変化し、初期のギャップgの値よりも小さくなる。
すなわち、本実施の形態においては、位置決め機構は位置決め用梁X211および位置決め用梁Y212のみで構成されていることになる。これにより使用する半導体製造技術で作製可能な最小間隙gに制限されない狭ギャップを形成することができる。
かかる構成によれば、駆動源を梁の内部応力とし、内部応力の緩和による梁の撓みを利用して、振動体と電極との間のギャップを、加工限界を超えて狭ギャップとすることができ、十分に大きな振幅を持つ高感度の電気機械共振器を実現することが可能となる。従ってこの電気機械共振器を用いることにより、電気−機械および機械−電気の変換効率の優れたフィルタを提供することができる。
なお本実施の形態では高抵抗のシリコン基板を用いたが、通常のシリコン基板、化合物半導体基板、絶縁材料基板を用いても良い。
また、高抵抗のシリコン基板201上に絶縁膜としてシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜を形成したが、基板の抵抗が十分高い場合これら絶縁性膜の形成を省略しても良い。
なお、本実施の形態では振動体および電極を形成する材料としてアルミニウムを用いたが、他の金属材料Mo、Ti、Au、Cu、ならびに高濃度に不純物導入のなされた半導体材料例えばアモルファスシリコン、ポリシリコン、導電性を有する高分子材料などを用いても良い。さらに成膜方法としてスパッタを用いたがCVD法、メッキ法などを用いて形成しても良い。
なお、図2(d)の状態でアルミニウム薄膜で構成された構造体全面にプラズマCVDによりシリコン窒化膜を堆積してもよい。
なお、上記実施の形態において、振動体202の共振周波数に比べて、位置決め用梁211、212、電極203すべてを包含した構造体の共振周波数は周波数軸上で充分に離れているため、本来振動体202が振動すべき共振周波数で位置決め用梁211、212、電極203が振動するのを抑制することはできるが、本発明の実施の形態1における電気機械共振器をフィルタに確実に実現する際には、振動体202以外の構造体の共振周波数を周波数帯域にもたないフィルタ入力信号を用いるか、または、フィルタの出力信号から、振動体202以外の構造体の共振により発生した周波数成分を電気回路素子で構成されたフィルタで抑圧すればよい。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、アルミニウム薄膜からなる電極203を担持する位置決め用梁X211内の残留応力の緩和による、長さ方向の縮みによって振動体202と電極203との間のギャップを加工限界を超えて小さくなるように構成したが、本実施の形態では、圧縮性の内部応力を持った状態で加工された梁の伸びようとする力を回転方向の力に変換し、連結梁204を回転させることによりギャップgを狭めるようにしたことを特徴とするものである。
ここで図3は、本発明の実施の形態2の電気機械共振器の平面図である。図3(a)は加工直後の状態を示す図、図3(b)は、加工後内部応力の緩和によりギャップが変化した状態を示す図である。図3において、ハッチング部分は基板上に固定された固定部分、他の部分は可動部分である。
製造工程としては、前記実施の形態1と同様にMEMS工程を用いて実現されるがこの、加工直後は図3(a)に示すように、すなわち、図示しない支持台としての基板に対し、回転中心となる支点Oで支持された片持ち梁構造の連結梁204の先端部に電極203を形成したもので、この電極203にギャップgを隔てて振動体202が形成されている。ここで、支点O近傍には点対称位置に第1および第2の圧縮性梁211R1,211R2が連設されている。
そして所定時間経過すると、図3(b)に示すように、第1および第2の圧縮性梁211R1,211R2は伸びようとして応力F1,F2を連結梁204に印加することになり、電極203が振動体202に近づく方向に変位する。これにより、ギャップgからg’となり、狭小化される。
このようにして加工限界を超えた微細なギャップが形成される。
あらかじめ、このギャップの寸法差をシミュレートして演算しておくようにし、形成後、設計値となるようにしてもよい。
ここで、振動体202は自身の圧縮応力により座屈しないよう、片持ち梁としたが、振動体202と電極203とを別材料で構成することにより、前記実施の形態1と同様、両持ち梁構造としてもよい。
(実施の形態3)
なお前記実施の形態1,2では、梁をあらかじめ内部応力をもつように形成しておき、その後で、応力緩和によりギャップgを狭小化するようにしたが、本実施の形態では、図4(a)に示すように、連結梁205の自由端205Sを係止する係止部221を、あらかじめMEMS工程で一体形成するように加工しておき、加工後に図4(b)に示すように、外力Fをかけ、この自由端205Sを係止部221に係止させ、梁を所定位置まで変位させるようにしたものである。これに伴い電極203を振動体202に近接させることができギャップgをg’まで狭小化したことを特徴とするものである。
すなわち、前記実施の形態1,2の場合と同様にMEMS工程により、梁構造体を形状加工し、AFM(Atomic Force Microscopy)プローブ等、鋭利な先端をもつプローブをマニピュレートして梁205を押し、係止部221を用いた保持機構で保持する。これによりギャップgは狭められ、あらかじめ設計された間隔g’を得ることができる。
(実施の形態4)
また、前記実施の形態3では、外力を印加してプローブをマニピュレートして連結梁205を押し、保持するようにしたが、図5に示すようにこの外力として駆動用電源209を用いて連結梁205を変位させ、係止部221を有する保持機構に保持させるようにしてもよい。
なお前記実施の形態では、連結梁205上に電極203を1個配置したが、本実施の形態では振動体202a、202bと電極203a、203bを配設し、振動体電極の対を2個配置している。
加工後、駆動用電源209に所望の電圧Vdriveを印加し、静電力により電極203a、203bを変位させ、先端部205Sが係止部221に係止されるまで連結梁205を変位させる。
そして保持させた後は、この駆動用電源209をオフにする。またこの駆動用電源209を交流信号viに重畳するDCバイアス電源として用いるようにしてもよい。
(実施の形態5)
前記実施の形態1または2では、加工後に、内部応力の緩和によってギャップを狭小化する例について説明したが、本実施の形態では、図6(a)乃至(c)に示すように、その圧縮応力のため座屈して電極203が基板と接触した状態で、ピエゾ素子を用いて電極を振動体に近付けるようにしたものである。図6(a)は加工後、圧縮応力の緩和により電極が基板に向けて変位した状態を示す上面図、図6(b)は図6(a)のA−A’断面図、図6(c)は図6(b)をピエゾ素子の振動により電極を振動体に近付けるように変位させた状態を示すものである。
本実施の形態では、基板201の裏面にせん断ピエゾ素子300を貼り付け、X方向にピエゾ素子を振動させる。
このピエゾ素子は、PZTなどの圧電体301の両端に電極302、303を形成したものでこれらの電極302、303の間に電源304によって電圧を印加し、ギャップgを狭小化するものである。
このとき図6(b)に示したようにのこぎり波状の電圧を印加することで、基板201は+X方向にゆっくりと移動し、−X方向に急速に移動する。基板201が+X方向にゆっくり移動する際には基板201と電極203は接触したまま移動するが、基板203が−X方向に急速に戻ろうとするときには電極はその慣性力のために急速には戻れない。その結果、基板と電極は接触しながらも電極のみが+X方向に移動していく。最終的に図6(c)に示すように、充分にギャップgが狭小化したところでせん断ピエゾ素子300をはずす。
このようにして、狭ギャップの電気機械共振器が完成する。
このとき、振動体と電極はZ方向の高さが異なるため、振動体と電極両者間の静電力は振動体側面の下部の方に集中する。従って振動体の捩り回転中心を軸としたモーメントが働くため、捩り共振器に適した構造となる。
かかる構成によれば、電極の一部を基板に接触させることにより、簡易な方法で振動体と電極間の狭ギャップを実現することが可能となり、電気−機械および機械−電気の変換効率の優れたフィルタを提供することができる。
(実施の形態6)
前記実施の形態1または2では、加工後に、内部応力の緩和によってギャップを狭小化する例について説明したが、本実施の形態では、図7および図8に示すように、初期のギャップはゼロとなるように加工し、SAM(Self-assembled monolayer)と呼ばれる薄い層を剥離材として用いて加工し、加工後にこのSAMを剥離することによって狭ギャップを形成する。図7は加工中の状態を示す図、図8はギャップ形成後の状態を示す図、図9は本実施の形態の原理を示す説明図である。図7(b)は図7(a)のA−A’断面図、図8(b)は図8(a)のA−A’断面図である。
図7(a)および(b)に示すように、スペ−サSを構成する金属膜を形成しこれをパターニングし、凹部に犠牲層としてのレジストRを充填し、その上層に振動体202となるポリシリコン層を形成しさらにこれをパターニングし、この後電極203となる金薄膜を形成し、このパターンのない領域を埋める。
そして図8(a)および(b)に示すように、犠牲層としてのレジストRを除去する。これにより、金薄膜からなる電極203のパターンが形成されるとともに、振動体202および電極203の一部が基板201からリリースされた状態となる。このようにし、振動体202および電極203の一部が基板201からリリースされた状態を作り出すと、電極203は基板面に平行な方向すなわち水平方向に縮もうとして振動体202との接触界面から剥離し、狭ギャップgを作り出すことができる。
この構成を用いることで、半導体製造技術などによるギャップ加工精度の限界を超えた百ナノメートル以下の狭ギャップを形成することができる。
なお、この剥離をより容易にするには、図9に示すように、振動体202の周囲に電極と203との剥離を容易にする離型剤層210を形成しておけばよい。例えば厚み数ナノメートルの離型剤としてSAM(Self-assembled monolayer)を用いることができる。例えば振動体202は表面を酸化させておくのが望ましい。電極203は金属、SAMとしてDTS(dodecyltrichlorosilane)膜を使うことによりこの離型は実現可能である。
このSAMの形成に際しては、SAM溶液をつけたペンで基板上をなぞっていくとなぞった領域にSAMが形成されるディップペンリソグラフィ法あるいは、インクジェット法などの直接描画法が用いられる。
本発明にかかる電気機械共振器は、製造工程が簡略化され、かつ電気−機械および機械−電気の変換効率の優れたフィルタが提供できる効果を有し、携帯型無線端末に積載される高密度に集積化された高周波フィルタ回路等として有用である。また、音声帯域や超音波帯域におけるスペクトル解析や、機械共振による質量分析等の医用や環境分野等の用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1における電気機械共振器の上面図 本発明の実施の形態1における電気機械共振器の製造工程図 本発明の実施の形態2における電気機械共振器の上面図 本発明の実施の形態3における電気機械共振器の上面図 本発明の実施の形態4における電気機械共振器の上面図 本発明の実施の形態5における電気機械共振器を示す図 本発明の実施の形態6における電気機械共振器の製造方法の説明図 本発明の実施の形態6における電気機械共振器を示す図 本発明の実施の形態6における電気機械共振器の製造方法において離型剤を用いた場合の説明図 従来の電気機械共振器を利用したフィルタの説明図 従来の電気機械共振器の製造方法の説明図
符号の説明
101 振動体
102 アンカー
103 基板
104 励振電極
105 検出電極
200 位置決め機構
201 基板
202 振動体
203 電極
204 連結梁
205 位置決め用梁
206 位置決め用電極
207 犠牲層
208 アルミニウム
210 離型剤層
211 位置決め用梁X
212 位置決め用梁Y
221 保持機構

Claims (14)

  1. 機械的振動を行う振動体と、前記振動体に対して所定の間隔を隔てて配設された電極とを有し、前記振動体が機械的振動を生起しうるように構成され、電気機械変換を可能にする電気機械共振器であって、
    前記振動体または前記電極の初期位置が、加工後に変位せしめられたものである電気機械共振器。
  2. 請求項1に記載の電気機械共振器であって、
    前記振動体または前記電極の初期位置は、
    位置決め機構によって、前記振動体と前記電極間の相対位置がより狭ギャップとなるように変位されて決定されることを特徴とする電気機械共振器。
  3. 請求項2に記載の電気機械共振器であって、
    前記位置決め機構は梁構造であり、駆動源は梁の製造時に梁内部に蓄積された応力であり、応力緩和による梁の撓みを利用し、振動体と電極間の相対位置を調整することを特徴とする電気機械共振器。
  4. 請求項2に記載の電気機械共振器であって、
    前記位置決め機構は前記振動体または前記電極の位置を変位させるための移動力を発生する駆動源とを備えたことを特徴とする電気機械共振器。
  5. 請求項4に記載の電気機械共振器であって、
    前記駆動源は、静電気力を生起させる電極を具備したことを特徴とする電気機械共振器。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の電気機械共振器であって、
    前記振動体と前記電極は同一の基板上に半導体製造技術を用いて作製されたものである機械共振器。
  7. 請求項2乃至6のいずれかに記載の電気機械共振器であって、
    前記位置決め機構および駆動源は、前記基板上に半導体製造技術を用いて作製されたものである電気機械共振器。
  8. 請求項2乃至7のいずれかに記載の電気機械共振器であって、
    前記位置調整機構は、梁構造体を備え、前記駆動源により前記梁構造体の少なくとも1つの梁を所定量だけ変位させることにより、前記振動体または前記電極を前記所定量よりも小さな量だけ変位させ、微調整を実現するように構成されたことを特徴とする電気機械共振器。
  9. 請求項6乃至8のいずれかに記載の電気機械共振器であって、
    前記位置決め機構手段は、複数の前記梁構造体を備えたことを特徴とする電気機械共振器。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の電気機械共振器であって、
    電気的に並列に配置された複数個の電気機械共振器を含むことを特徴とする機械共振器。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の電気機械共振器であって、
    前記電気機械共振器が、真空雰囲気となるように封止されたケース内に収納したことを特徴とする電気機械共振器。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の電気機械共振器を用いたことを特徴とするフィルタ。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載の電気機械共振器を用いたことを特徴とする電気回路。
  14. 機械的振動を行う振動体と、前記振動体に対して所定の間隔を隔てて配設された電極とを有し、前記振動体が機械的振動を生起しうるように構成され、電気機械変換を可能にする電気機械共振器の製造方法であって、
    基板上に、前記振動体および前記電極を含む梁構造体を形状加工する工程と、
    前記振動体と前記電極との間隔が所望の値となるように、前記前記振動体または前記電極を変位させる工程とを含む電気機械共振器の製造方法。
JP2004220082A 2004-07-28 2004-07-28 電気機械共振器およびその製造方法 Pending JP2006042011A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004220082A JP2006042011A (ja) 2004-07-28 2004-07-28 電気機械共振器およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004220082A JP2006042011A (ja) 2004-07-28 2004-07-28 電気機械共振器およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006042011A true JP2006042011A (ja) 2006-02-09

Family

ID=35906508

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004220082A Pending JP2006042011A (ja) 2004-07-28 2004-07-28 電気機械共振器およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006042011A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010124024A (ja) * 2008-11-17 2010-06-03 Casio Computer Co Ltd アンテナ装置、受信装置および電波時計
JP2012070418A (ja) * 2011-11-11 2012-04-05 Seiko Epson Corp 半導体装置
JP2012080557A (ja) * 2011-11-11 2012-04-19 Seiko Epson Corp 半導体装置
JP2014053763A (ja) * 2012-09-07 2014-03-20 Seiko Epson Corp 電子装置の製造方法および電子装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010124024A (ja) * 2008-11-17 2010-06-03 Casio Computer Co Ltd アンテナ装置、受信装置および電波時計
JP4645727B2 (ja) * 2008-11-17 2011-03-09 カシオ計算機株式会社 アンテナ装置、受信装置および電波時計
JP2012070418A (ja) * 2011-11-11 2012-04-05 Seiko Epson Corp 半導体装置
JP2012080557A (ja) * 2011-11-11 2012-04-19 Seiko Epson Corp 半導体装置
JP2014053763A (ja) * 2012-09-07 2014-03-20 Seiko Epson Corp 電子装置の製造方法および電子装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Mihailovich et al. Dissipation measurements of vacuum-operated single-crystal silicon microresonators
Qiu et al. Large displacement vertical translational actuator based on piezoelectric thin films
US6387713B2 (en) Method for manufacturing microfabrication apparatus
JP5883871B2 (ja) 懸架されたビーム及びビームの変位を検出するピエゾ抵抗手段を有するデバイス及びデバイスを製造する方法
JP2007285879A (ja) 角速度センサおよびその製造方法
Zhou et al. Analysis and design of a self-powered piezoelectric microaccelerometer
Hareesh et al. Transverse interdigitated electrode actuation of homogeneous bulk PZT
JP2010136542A (ja) 圧電型発電機およびその製造方法
JP2008153944A (ja) 圧電振動子およびその製造方法、並びに、memsデバイスおよびその製造方法
JP2008241547A (ja) 加速度センサおよび電子機器
Sharma et al. Piezoelectric over Silicon-on-Nothing (pSON) process
JP4857744B2 (ja) Mems振動子の製造方法
Tiwari et al. Enabling fabrication of PZT based piezomems devices
WO2009104486A1 (ja) マイクロエレクトロメカニカルデバイス及びその製造方法。
JP2006042011A (ja) 電気機械共振器およびその製造方法
JP2006042005A (ja) 電気機械共振器
Kommepalli et al. Design, fabrication, and performance of a piezoelectric uniflex microactuator
JP2008233029A (ja) 加速度センサおよび電子機器
Park et al. Fabrication and properties of PZT micro cantilevers using isotropic silicon dry etching process by XeF2 gas for release process
JP2005331485A (ja) 圧電素子および電気機械変換装置
WO2014172617A1 (en) Monolithic pzt actuator, stage, and method for making
Gao et al. A piezoelectric micro-actuator with a three-dimensional structure and its micro-fabrication
Cheong et al. Fabrication and performance of a flextensional microactuator
CN111024194A (zh) 一种用于微小质量检测的耦合双端固支梁谐振器及质量检测方法
JP2010187059A (ja) ウォーク型振動片およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060327