JP2006032185A - スパークプラグ - Google Patents

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Kenji Nunome
健二 布目
Wataru Matsutani
渉 松谷
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Abstract

【課題】 火花放電を行う電極に、耐酸化性、耐火花消耗性に優れた電極チップを接合することで、安価に長寿命化を実現したスパークプラグを提供する。
【解決手段】 電極チップ90は、W−Cr−X合金を材料として形成される(ただし、Xは、Pd,Pt,Ir,Rh,Ru,Reのうち一種または2種以上の組み合わせとする。)。この合金は、Crを3〜20重量%、Xを0.3〜15重量%含有し、残部をWとする。耐火花消耗性に優れるWの耐酸化性の低さをCrで補うため、WとCrとを含む合金は、耐酸化性、耐火花消耗性に優れている。しかし、W中に含有されるCrは偏析する場合があるため、WとCrとを含む合金にさらにXを含有することで、Crの偏析を抑制することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、火花放電を行う電極に電極チップを接合した内燃機関用のスパークプラグに関するものである。
従来、内燃機関には点火のためのスパークプラグが用いられている。このスパークプラグでは、一般的には、中心電極が挿設された絶縁碍子を保持する主体金具の先端部に接地電極を溶接して、接地電極の他端部を中心電極の先端部と対向させて、火花放電間隙を形成している。そして、中心電極と接地電極との間で火花放電が行われる。さらに、中心電極と接地電極との火花放電間隙を形成している部位に、耐火花消耗性向上のための電極チップが形成されている。
この電極チップの材料には、従来、耐火花消耗性が良好なイリジウムが利用されている。しかし、イリジウムは高価であるためイリジウムに代わる安価な材料として、W(タングステン)を主成分とする電極チップが検討されている。Wは融点が3407℃と高く、イリジウムよりも耐熱性や耐火花消耗性に優れているが、酸素との親和力が大きく耐酸化性に劣る。そこで、耐酸化性に優れたCr(クロム)をWに含有させて、Wの耐酸化性を補うとよいことが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開昭61−26748号公報
しかしながら、WとCrとを含む合金は、融点がWと比べて低いCr(Crの融点は1857℃)の偏析が生じた場合に、Crの濃度の高い部分では耐火花消耗性が低下し、Wの濃度が高い部分では耐酸化性が低下するため、電極チップとしての耐久性の問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、火花放電を行う電極に、耐酸化性、耐火花消耗性に優れた電極チップを接合することで、安価に長寿命化を実現したスパークプラグを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のスパークプラグは、内燃機関の燃焼室内に露出される火花放電電極の先端に接合される電極チップの材料に、Crを3〜20重量%、Xを0.3〜15重量%(ただし、Xは、Pd,Pt,Ir,Rh,Ru,Reのうちの一種または2種以上の組み合わせとする。)、残部をWとするW−Cr−X合金を用いたことを特徴とする。
また、請求項2に係る発明のスパークプラグは、内燃機関の燃焼室内に露出される火花放電電極の先端に接合される電極チップの材料に、前記電極チップの重心を含む断面の断面積において、Cr濃度が30重量%以上である組織が5%以下であるCr偏析の少ないW−Cr−X合金を用いたことを特徴とする(ただし、Xは、Pd,Pt,Ir,Rh,Ru,Reのうちの一種または2種以上の組み合わせとする。)。
また、請求項3に係る発明のスパークプラグは、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記W−Cr−X合金は、Crを3〜20重量%、Xを0.3〜15重量%含み、残部がWからなることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明のスパークプラグは、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加え、中心電極と、軸線方向に貫通する軸孔の先端側で前記中心電極を保持する絶縁碍子と、前記絶縁碍子の径方向周囲を取り囲み、前記絶縁碍子を保持する主体金具と、一端部が前記主体金具に接合され、他端部が前記中心電極と対向する接地電極とを備えたスパークプラグであって、前記電極チップは、少なくとも前記中心電極の先端部と前記接地電極の他端部のいずれか一方に、レーザー溶接により接合されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明のスパークプラグでは、火花放電を行う電極の先端に接合される電極チップの材料に、W、Crに加えX成分を含有させたW−Cr−X合金(ただし、Xは、Pd,Pt,Ir,Rh,Ru,Reのうちの一種または2種以上の組み合わせとする。)としたことで、Crの偏析を抑制した耐酸化性、耐火花消耗性に優れた電極チップを提供することができる。このW−Cr−X合金は単に各成分が含有されていれば上記効果を奏するものではなく、特定の成分比にて一体不可分に含有することが肝要である。
各成分が互いに奏する作用は次の通りである。Wは融点が高く耐火花消耗性に優れるが、耐酸化性が良好でないため、耐酸化性に優れたCrを含有することで両者の性質を兼ね備えた合金とすることができる。WとCrとを含む合金におけるこうした耐酸化性向上の効果は、Crの含有量を3重量%以上とすることでWに対するCrの相対的な含有量が増えるため発揮される。しかし、Wに対してCrの融点が低いことからWに対するCrの相対的な含有量が増えすぎると、WとCrとを含む合金全体での耐火花消耗性が低下してしまうが、Crの含有量を20重量%以下とすることで、耐火花消耗性の低下を抑え、耐火花消耗性の効果を十分に得ることができる。
また、WとCrとを含有する合金にCrの偏析を抑制させる第3元素としてのXは、その含有量を0.3重量%以上とすることで発揮される。しかし、Wに対してXの融点もまた低いことからWに対するXの相対的な含有量が増えすぎると、W−Cr−X合金全体での耐火花消耗性が低下してしまうが、Xの含有量を15重量%以下とすることで、耐火花消耗性の低下を抑え、耐火花消耗性の効果を十分に得ることができる。
また、請求項2に係る発明のスパークプラグでは、火花放電を行う電極の先端に接合される電極チップの材料に、WにCrとXとを含有したW−Cr−X合金(ただし、Xは、Pd,Pt,Ir,Rh,Ru,Reのうちの一種または2種以上の組み合わせとする。)を用いたので、Crの偏析が少なく、耐酸化性、耐火花消耗性に優れた電極チップを提供することができる。
このW−Cr−X合金において、Wに対するCrとXとの含有量を調整して電極チップを作製し、そのチップの重心を含む断面の面積において、Cr濃度が30重量%以上である組織が5%以下であるCrの偏析の少ないものを実現する。するとこの電極チップは、局所的にCrの濃度の高い部分や低い部分の割合をチップ全体として少なくできることとなる。さらにこの電極チップは耐火花消耗性および耐酸化性において良好なW−Cr−X合金から構成されているので、安価に長寿命化を実現したスパークプラグを提供することができる。
また、請求項3に係る発明のスパークプラグでは、融点が高く耐火花消耗性に優れるが耐酸化性が良好でないWに、耐酸化性に優れたCrを含有することで両者の性質を兼ね備えた合金とすることができる。このWとCrとを含む合金において、Wに対するCrの相対的な含有量の調整を行い、Crの含有量を3重量%以上として耐酸化性を向上させつつも、20重量%以下として耐火花消耗性の低下を防止すれば、耐酸化性、耐火花消耗性に優れた電極チップを提供することができる。このWとCrとを含む合金に、さらに、第3元素としてのXを含有させる。このとき、Xの含有量を0.3重量%以上としてCrの偏析を低減させつつも、Xの含有量を15重量%以下にして耐火花消耗性の低下を抑えれば、耐酸化性、耐火花消耗性において、より優れた電極チップを提供することができる。
また、請求項4に係る発明のスパークプラグでは、請求項1乃至3のいずれかに係る発明の効果に加え、W−Cr−X合金からなる電極チップをレーザ溶接により、少なくとも中心電極の先端部と接地電極の他端部のいずれか一方に接合したので、電極チップの接合が強固に維持させることができ、電極チップの耐久性を高めることができる。
以下、本発明を具体化したスパークプラグの一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本実施の形態のスパークプラグ100の構造について説明する。図1は、スパークプラグ100の部分断面図である。
図1に示すように、スパークプラグ100は、概略、絶縁体を構成する絶縁碍子1と、絶縁碍子1の長手方向略中央部に設けられ、この絶縁碍子1を保持する主体金具5と、絶縁碍子1内に軸線方向に保持された中心電極2と、主体金具5の先端部57に一端部(基部62)を溶接され、他端部(先端部61)が中心電極2の先端部22に対向する接地電極60と、中心電極2の上端部に設けられた端子金具4とから構成されている。
次に、このスパークプラグ100の絶縁体を構成する絶縁碍子1について説明する。絶縁碍子1は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その後端部(図1における上部)には、沿面距離を稼ぐためのコルゲーション11が形成されている。また、絶縁碍子1の先端部(図1における下部)には、内燃機関の燃焼室に曝される脚長部13が設けられている。さらに、絶縁碍子1の軸中心には軸孔12が形成され、この軸孔12には中心電極2が保持されている。中心電極2は、インコネル(商標名)600または601等のニッケル系合金等からなる電極母材21を少なくとも表層部に有している。
中心電極2の先端部22は絶縁碍子1の先端面から突出しており、先端側に向かって径小となるように形成されている。その先端部22の先端面25には、柱状の電極チップ90が、柱軸を中心電極2の軸線にあわせるようにして溶接されている。また、中心電極2は、軸孔12の内部に設けられたシール体14およびセラミック抵抗3を経由して、上方の端子金具4に電気的に接続されている。そして端子金具4には高圧ケーブル(図示外)がプラグキャップ(図示外)を介して接続され、高電圧が印加されるようになっている。
次に、主体金具5について説明する。図1に示すように、主体金具5は、絶縁碍子1を保持し、図示外の内燃機関にスパークプラグ100を固定するためのものである。絶縁碍子1は主体金具5に囲まれて支持されている。主体金具5は低炭素鋼材で形成され、図示外のスパークプラグレンチが嵌合する工具係合部である六角部51と、図示外の内燃機関上部に設けられたエンジンヘッドに螺合するねじ部52とを備えている。主体金具5は、かしめ部53をかしめることにより、板パッキン8を介して段部56に絶縁碍子1が支持されて、主体金具5と絶縁碍子1とが一体にされる。かしめによる密閉を完全なものとするため、主体金具5と絶縁碍子1との間に環状のリング部材6,7が介在され、リング部材6,7の間にはタルク(滑石)9の粉末が充填されている。また、主体金具5の中央部には鍔部54が形成され、ねじ部52の後端部側(図1における上部)近傍、すなわち鍔部54の座面55にはガスケット10が嵌挿されている。
次に、接地電極60について説明する。接地電極60は、耐腐食性の高い金属から構成され、一例として、インコネル(商標名)600または601等のニッケル合金が用いられる。この接地電極60は自身の長手方向の横断面が略長方形を有しており、基部62が主体金具5の先端部57に溶接されている。また、接地電極60の先端部61は、中心電極2の先端部22に対向するように屈曲されている。この中心電極2に対向する側の面である接地電極60の内面63は、中心電極2の軸線方向に略直交している。この内面63には前記同様の円柱状の電極チップ90が溶接され、その電極チップ90の対向面91が、中心電極2の電極チップ90の対向面91に対向されている。対向面91同士は、電極チップ90の軸線方向に対して直交する平面となっている。
このような材料からなる電極チップ90は、スパークプラグ100の中心電極2や接地電極60に、レーザ溶接によって接合される。以下、図2を参照して、電極チップ90のレーザ溶接について説明する。図2は、スパークプラグ100の中心電極2および接地電極60と、電極チップ90との接合部の要部拡大断面図である。
図2に示すように、本実施の形態のスパークプラグ100では、中心電極2の先端面25および接地電極60の内面63にはそれぞれ、柱状の電極チップ90が、柱軸を中心電極2の軸線にあわせるようにしてレーザ溶接されている。電極チップ90は、中心電極2の先端面25および接地電極60の内面63に抵抗溶接により仮接合された後、全周にわたってYAGレーザの照射を受け、レーザ溶接される。レーザ光の照射を受けて溶融した溶融部80は、抵抗溶接と比べその深度が深いため、レーザ溶接による電極チップ90の接合は、強固なものとなる。すなわち、電極チップ90の接合が強固に維持させることができ、電極チップ90の耐久性を高めることができる。また、図示しないが、接地電極60への電極チップ90の接合は、接地電極60が延ばされた状態で行われ、接合後に接地電極60が屈曲されて、中心電極2と接地電極60との双方に接合された電極チップ90の互いの対向面91同士が対向する。
本実施の形態では、電極チップ90の材料には、耐消耗性に優れたW(タングステン)を主成分とし、Cr(クロム)を3〜20重量%と、X(Pd(パラジウム),Pt(プラチナ),Ir(イリジウム),Rh(ロジウム),Ru(ルテニウム),Re(レニウム)のうち一種または2種以上の組み合わせをXとする。)を0.3〜15重量%とが含有された、W−Cr−X合金が用いられる。なお、主成分とは、その成分が、含有される全成分のうち最も含有量が多い成分であることを示す。
Wは融点が3407℃と高く、耐火花消耗性が良好である。このWに耐酸化性に優れたCrを含有させることで、WとCrとを含む合金は、耐火花消耗性と耐酸化性との特徴を併せ持つことができる。このWとCrとを含む合金に第3元素としてのXを加えれば、Crの偏析を抑制する効果を得ることができる。本実施の形態の電極チップ90では、その材料に上記Xを含有させたW−Cr−X合金を用い、Crの偏析を抑制してW中に略均一にCrを固溶させるている。
もっとも、W−Cr−X合金は単に各成分が含有されていれば上記効果を奏するものではなく、特定の成分比にて一体不可分に含有することが肝要である。W−Cr−X合金からなる電極チップ90において、Crの含有量が3重量%未満であると、相対的にWの含有量が増え、電極チップ90の耐火花消耗性は向上するが、耐酸化性が低下する。一方、Crの含有量が20重量%より多くなると、上記とは逆に、電極チップ90の耐酸化性は向上するが、融点が1857℃と低いCrの含有量が多くなることから耐火花消耗性が低下する。
また、Xの含有量が0.3重量%未満であると、W−Cr−X合金ではCrの偏析が起こりやすくなるため局所的にCrの濃度の多い部分や少ない部分が発生してしまう。すると、Crの濃度の多い部分では相対的にWの濃度が少なくなり、耐火花消耗性が低下する。一方、Crの濃度の少ない部分では相対的にWの濃度が多くなるため、耐酸化性が低下することとなる。また、Xの含有量が15重量%より多くなると、Wと比べ融点の低いXの含有量が増えることとなり、耐火花消耗性が低下する。
Crの偏析の有無は、例えば公知の電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いて分析することによって、容易に確認することができる。本実施の形態において、電極チップ90の重心を含む面で電極チップ90を切断した切断面を用い、Crの偏析について分析を行った場合、Crが30重量%以上である組織(部分)の全面積がその切断面の面積の5%以下であることが好ましい。Crが30重量%以上である組織の全面積がその切断面の面積の5%より大きい場合、W中のCrの偏析の度合いが大きいことを意味する。すなわち、その材料を電極チップ90の材料として用いると、耐火花消耗性および耐酸化性の面で十分な効果を得ることができない。
なお、Pdの場合はCrの偏析を抑える効果が比較的低い。上記のように、電極チップ90をW−Cr−Pd合金から構成した場合、Pdの含有量が0.3〜2重量%であっても、電極チップ90は、耐酸化性、耐火花消耗性を得ることができるが、比較的Crが偏析しやすくなるため、十分な効果を得られない場合がある。このため、望ましくは、Pdの含有量を2重量%より多くした方がよい。
[実施例1]
このように、電極チップの材料としてのW−Cr−X合金における各元素の含有量を規定して、耐火花消耗性および耐酸化性に対し効果があるかを確認するため評価試験を行った。
評価試験では、まず、表1に示すように、W−Cr−X合金の組成が異なる以下の23種類の材料を用い、Φ0.6mm、高さ0.8mmの電極チップをサンプルとして作製した。サンプル1番〜5番の組成はそれぞれ、W−10Cr,W−1Cr−3Pd,W−3Cr−3Pd,W−10Cr−3Pd,W−20Cr−3Pdとした。同様に、サンプル6番〜10番の組成はそれぞれ、W−30Cr−3Pd,W−10Cr−0.1Pd,W−10Cr−0.3Pd,W−10Cr−10Pd,W−10Cr−15Pdとした。また、サンプル11番〜14番の組成はそれぞれ、W−10Cr−20Pd,W−10Cr−3Pt,W−10Cr−3Ir,W−10Cr−3Rhとした。サンプル15番〜19番の組成はそれぞれ、W−10Cr−3Ru,W−10Cr−3Re,W−10Cr−2Pd−1Ir,W−10Cr−2Ir−1Rh,W−10Cr−2Ir−1Ruとした。そして、サンプル20番〜23番の組成はそれぞれ、W−10Cr−1Pd−1Ir−1Rh,W−10Cr−1Ir−1Rh−1Ru,W−10Cr−1Pd−1Ir−1Rh−1Ru,W−10Cr−1Pd−1Ir−1Rh−1Ru−Niとした。この各サンプルについて、机上酸化試験とエンジン試験とを行い、また、Cr偏析について分析を行った。
Figure 2006032185
机上酸化試験では、各サンプル1番〜23番のそれぞれの重量を測定後、電気炉にて大気雰囲気下で、1050℃、20時間の加熱を行った。そして、加熱後に各サンプルの重量を再度測定し、数式1で示す、サンプルの重量変化a(%)をそれぞれ求めた。
Figure 2006032185
そして、サンプルの重量変化aが50%以上105%未満であれば、酸化しなかったものとみなし「☆」と評価した。また、サンプルの重量変化aが30%以上50%未満であれば、酸化したものの電極チップとして用いる場合に影響はないとして「○」と評価した。さらに、サンプルの重量変化aが30%未満である場合、または、105%以上である場合、酸化して電極チップとして使用するには影響が生じたとして「×」と評価した。
この机上酸化試験の結果、サンプル2番は「×」と評価され、また、サンプル3番は「○」と評価された。それ以外のサンプルについては「☆」と評価された。
また、エンジン試験では、各サンプル1番〜23番としての電極チップをニッケル合金製の中心電極の先端にレーザ溶接したスパークプラグをそれぞれ作製した。なお、接地電極にはΦ0.9mmのPt合金製の電極チップを接合した。このときの初期放電ギャップ(電極チップの対向面同士の間の距離)が1.1mmとなるように調整した。そして、図示外の直列6気筒エンジン(排気量2800cc)に取り付け、スロットル全開、回転数を5500rpmの条件で、100時間連続運転した。このとき、中心電極付近の温度は約900℃であった。この運転の終了後に各サンプルを用いたスパークプラグの放電ギャップを測定し、初期放電ギャップと比較することで、放電ギャップの増加量(mm)を調べた。
そして、放電ギャップの増加量が0.3mm未満であった場合、耐火花消耗性は良好であるとして「☆」と評価した。また、放電ギャップの増加量が0.3mm以上0.5mm未満であった場合、火花放電による消耗が多少あったものの耐火花消耗性に問題はないとして「○」と評価した。さらに、放電ギャップの増加量が0.5mm以上であった場合、火花放電によって電極チップが消耗し、耐火花消耗性に問題があるとして「×」と評価した。
このエンジン試験の結果、サンプル1番,2番,6番,7番,11番については「×」と評価され、サンプル3番,5番,8番,10番,16番については「○」と評価された。それ以外のサンプルについては「☆」と評価された。
また、Cr偏析の分析は、各サンプル1番〜23番をそれぞれ、重心を含む断面で切断した。その切断面に対し、電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)(JEOL社製 JXA−8800M)を用い、加速電圧:20KV、ビーム電流:2.5×10−8mA、スポット径:最小(1μm以下)の条件において分析を行った。そして、Crが30重量%で色を異ならせるように設定したEPMA画像を出力し、さらにスキャナで取り込みアドビ社製Photoshopにて二階調処理した後、切断面の面積におけるCrが30重量%以上の部分の全面積の割合(%)を算出した。
机上酸化試験の結果、Crが30重量%以上の部分の面積の割合が5%を越えるサンプルは、1番,6番,7番,11番であり、それぞれ12%,9%,11%,8%であった。これらのサンプルではCr偏析の度合いが大きく、電極チップとしての耐火花消耗性および耐酸化性の面において十分な効果が期待できない。また、サンプル2番〜5番,8番〜10番,12番〜23番についてはCrが30重量%以上の部分の面積の割合がそれぞれ、1%,1%,3%,5%,5%,4%,5%,3%,3%,4%,4%,5%,4%,4%,4%,4%,4%,4%,5%であった。これらのサンプルについては、耐火花消耗性および耐酸化性の面において良好であると評価できる。
この評価試験の結果から、サンプル1番,2番,6番,7番,11番については、いずれかの試験において評価がよくなかった。サンプル1番はWとCrのみからなる合金であり、Xが含有されていないと耐火花消耗性に問題が生ずることがわかった。サンプル2番〜6番は、WとX(Pd)の含有量は一定とし、Crの含有量を変動させたものであり、Crの含有量が3〜20重量%であれば、電極チップは耐酸化性、耐火花消耗性の両面において良好であることがわかった。サンプル7番〜11番は、WとCrの含有量は一定とし、X(Pd)の含有量を変動させたものであり、Xの含有量が0.3〜15重量%であれば、電極チップは耐酸化性、耐火花消耗性の両面において良好であることがわかった。
サンプル12番〜16番は、XをPdの代わりにPt,Ir,Rh,Ru,Reとしたものである。Xは、上記各元素のいずれかに変更しても、電極チップは耐酸化性、耐火花消耗性の両面において良好であることがわかった。サンプル17番〜23番は、XをPd,Pt,Ir,Rh,Ru,Re,Niのうちの2種以上の組み合わせとしたものである。この場合においても、電極チップは耐酸化性、耐火花消耗性の両面において良好であることがわかった。
なお、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、電極チップ90は直接中心電極2や接地電極60に接合したが、両者間に台座となる金属チップを介在させ、スパークプラグ100を1つ製造するにあたり消費される電極チップの材料の消費量を低減させてもよい。また、電極チップ90はレーザ溶接により中心電極2や接地電極60に接合したが、抵抗溶接で行ってもよい。また、電極チップ90は円柱形状としたが、角柱形状、角錐形状または円錐形状であってもよい。
本発明はスパークプラグに限られず、火花放電を行う電極チップの材料に、本発明の組成からなるW−Cr−X合金を用いることができる。
スパークプラグ100の部分断面図である。 スパークプラグ100の中心電極2および接地電極60と、電極チップ90との接合部の要部拡大断面図である。
符号の説明
1 絶縁碍子
2 中心電極
5 主体金具
12 軸孔
60 接地電極
61 先端部
62 基部
63 内面
90 電極チップ
100 スパークプラグ

Claims (4)

  1. 内燃機関の燃焼室内に露出される火花放電電極の先端に接合される電極チップの材料に、Crを3〜20重量%、Xを0.3〜15重量%(ただし、Xは、Pd,Pt,Ir,Rh,Ru,Reのうちの一種または2種以上の組み合わせとする。)、残部をWとするW−Cr−X合金を用いたことを特徴とするスパークプラグ。
  2. 内燃機関の燃焼室内に露出される火花放電電極の先端に接合される電極チップの材料に、前記電極チップの重心を含む断面の断面積において、Cr濃度が30重量%以上である組織が5%以下であるCr偏析の少ないW−Cr−X合金を用いたことを特徴とするスパークプラグ(ただし、Xは、Pd,Pt,Ir,Rh,Ru,Reのうちの一種または2種以上の組み合わせとする。)。
  3. 前記W−Cr−X合金は、Crを3〜20重量%、Xを0.3〜15重量%含み、残部がWからなることを特徴とする請求項2に記載のスパークプラグ。
  4. 中心電極と、軸線方向に貫通する軸孔の先端側で前記中心電極を保持する絶縁碍子と、前記絶縁碍子の径方向周囲を取り囲み、前記絶縁碍子を保持する主体金具と、一端部が前記主体金具に接合され、他端部が前記中心電極と対向する接地電極とを備えたスパークプラグであって、
    前記電極チップは、少なくとも前記中心電極の先端部と前記接地電極の他端部のいずれか一方に、レーザー溶接により接合されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスパークプラグ。
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