JP2006028683A - 制電性立毛シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の立毛シートは、制電性およびその持続性に優れ、外観を損なうことの無い高級感を有し、該立毛シートを用いた衣料および手袋は静電気の発生を抑え着用感に優れる。
【解決手段】 極細繊維からなる制電性立毛シートにおいて、該シートが少なくとも2層の積層構造を有し、その少なくとも1層が電気比抵抗が10〜10Ω・cmである単繊維繊度5デシテックス以下の有機導電性繊維を含有する導電層(A)であり、少なくとも表面に露出している1層が導電性繊維を含まない非導電層(B)であり、かつ該導電層(A)に含有されている有機導電性繊維の含有率が0.5〜10質量%であることを特徴とする制電性立毛シート。



Description

本発明は、耐久性のある自己放電能を有する立毛シートに関するものである。そして、静電気の発生を抑え、高湿下のみならず低湿下でも耐久性のある自己放電能を有し、かつ、手袋・衣料用途において外観、風合および表面タッチを損ねることのない色の一体感を得ることができる立毛シートに関する。
従来、繊維製品の帯電防止対策として導電繊維を含有する手段が知られている中で、導電性繊維を含有した起毛シート状物で、有機導電性繊維2.5デニールを2質量%と基体繊維1.25デニールを98%で混綿した起毛シート状物が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)しかしながら、該基体繊維には、カーボンブラックが含有しておらず、耐久性と制電効果が得られないと共に、有機導電性繊維が濃色である為、表層に導電繊維が露出することにより、外観が低下する傾向がある。また有機導電性繊維を含有した起毛シート状物で裏側に半導体層を付与することにより、スパーク放電現象を抑える方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。しかしながら、半導体層の付与により風合いが固くなり、基体部での徐電効果はおこなっておらずスパーク徐電現象を抑える方法として十分とはいえない。
特開昭55−51838号公報 特開平2−133680号公報
従来、立毛シートとしてはポリウレタンやゴム等の弾性重合体を含浸するしないにかかわらず合成繊維を主体として構成されていることから、摩擦により静電気が発生しやすい。このような立毛シートをたとえば、手袋・衣料として用いた場合、他の衣料へのまとわりつきや放電音を発して不快感を与え、またほこりの付着が起こりやすい、特に濃色物ではほこりの付着が目立ちやすく立毛とからみあってほこりの除去が困難である。特に、極細繊維立毛においてそれらの傾向は顕著である。また、弾性重合体と有機導電性繊維を含有させた繊維立毛シートも見られるが、乾燥された低湿下では、十分なる効果が得られない。さらに、有機導電性繊維により外観を損ねやすい。本発明は、上記問題点を解決し、耐久性と制電性を有する高級な外観をもつ制電性立毛シートを提供することにある。
上記課題を達成すべく本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、極細繊維からなる制電性立毛シートにおいて、該シートが少なくとも2層の積層構造を有し、その少なくとも1層が電気比抵抗が10〜10Ω・cmである単繊維繊度5デシテックス以下の有機導電性繊維を含有する導電層であり、少なくとも表面に露出している1層が導電性繊維を含まない非導電層であり、かつ該導電層に含有されている有機導電性繊維の含有率が0.5〜10質量%であることを特徴とする制電性立毛シートである。
また、導電層(A)と非導電層(B)の質量比率が(A)/(B)=10/90〜90/10で積層されることが好ましい。そして、該制電性立毛シートを少なくとも指先部に使用した手袋である。
本発明の制電性立毛シートは、制電性およびその持続性に優れ、外観を損なうことの無い高級感を有し、該立毛シートを用いた衣料および手袋は静電気の発生を抑え着用感に優れる。
本発明の導電層(A)および非導電層(B)は、極細繊維および/またはその束状繊維から構成されたシートであり、そして好ましくは弾性ポリマーをその内部に付与したシートである。そして該シートの表面を起毛処理して立毛シートとする。
本発明に用いられる極細繊維および/またはその束状繊維は、単成分を用いた直接紡糸から得られるもの、あるいは、少なくとも2種類のポリマーからなる極細繊維発生型繊維から製造される。上記の極細繊維発生型繊維は、例えば、海成分が溶剤または分解することで島成分がフィブリル化する海島型繊維あるいは機械的にまたは処理剤によって各ポリマーからなる極細繊維にフィブリル化する分割型繊維等があげられる。
極細繊維を構成するポリマーは、特に限定するものではなく公知のポリマーが用いられる。例えば、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロン−11、ナイロン−12やそれらの共重合体をはじめとする溶融紡糸可能なポリアミド類、ポリエチレンテレフタレ―ト、ポリブチレンテレフタレ―ト、カチオン可染型変性ポリエチレンテレフタレ―トをはじめとする溶融紡糸可能なポリエステル類、ポリプロピレンやそれらの共重合体をはじめとする溶融紡糸可能なポリオレフィン類、ポリウレタン類などから選ばれた、少なくとも1種類の溶融紡糸可能なポリマ―である。もちろん2種以上のポリマーを混合使用してもよい。海島型繊維としてポリウレタン類を用いる場合には、海成分を構成するポリマーの融点は230℃程度以下、ポリエステル類やポリアミド類を使用する場合には、海成分を構成するポリマーの融点は260℃程度以下のものを選択するのが紡糸安定性の点から好ましい。
ここで、上記極細繊維の繊度は、立毛シートとして優美な外観と柔軟な触感を得るためには極細繊維の繊度は、0.5デシテックス以下が好ましく、0.3デシテックス以下がより好ましく、0.1デシテックス以下が更に好ましい。
ポリエステル類やポリアミド類で代表される非弾性ポリマーからなる極細繊維発生型繊維が海島型繊維の場合、島成分を構成する非弾性ポリマーは、非弾性ポリマーからなる極細繊維同士を必要以上に膠着させることなく分繊、ミクロファイバー化させる必要がある。従って、上記繊維が海島型繊維の場合、海成分を抽出除去するのに使用する溶剤等の処理によって、少なくとも非弾性ポリマー同士が癒着しない非弾性ポリマーを選択することが好ましい。具体的には該処理における極細繊維化に用いる溶剤に対する溶剤膨潤率が10質量%以下であるポリマーが好ましい。
一方、海成分を構成するポリマ―(抽出または分解除去されるポリマー)としては、島成分ポリマーと溶剤または分解剤に対する溶解性または分解性を異にし、例えば、海成分を構成するポリマーの方が溶解性または分解性が大きく、島成分ポリマーとの相溶性または親和性の小さいポリマ―であって、かつ同一溶融系に存在する島成分の溶融粘度より小さい溶融粘度であるか、あるいは表面張力の小さいポリマ―であり、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、変性ポリスチレン、エチレンプロピレン共重合体などの易溶解性のポリマーや、スルホイソフタル酸ナトリウムやポリエチレングリコール等で変性(共重合)したポリエチレンテレフタレートなどの易分解性のポリマ―から選ばれた少なくとも1種の溶融紡糸可能なポリマーである。
また、溶融紡糸安定性の点から、非弾性ポリマーおよび海成分を構成するポリマーは島成分が弾性ポリマーの場合、溶融紡糸可能温度に適した融点を持つポリマーを選択することが好ましい。そして、極細繊維中に、本発明の効果を損なわない範囲で顔料や樹脂の熱安定性向上剤等の添加剤を添加することも可能である。
本発明で用いられる有機導電性繊維は、電気比抵抗が10〜10Ω・cmである必要があり、導電性カーボンブラックを15〜50質量%、好ましくは20〜40質量%含有する導電性ポリアミド層と特定組成のポリアミドからなる保護ポリマー層とが複合されていることが好ましく、該導電性ポリアミド層が繊維表面に露出し、その表面露出部数が1フィラメントあたり3以上であることがより好ましい。また、前述の特定組成のポリアミドからなる保護ポリマー層とは、融点が170℃以上の熱可塑性ポリアミドからなる層であることが好ましい。170℃以上の熱可塑性ポリアミドの製造方法は特に制限されず、結晶性ポリアミドを製造する方法として公知の任意の方法を用いることができる。たとえば、酸クロライドとジアミンとを原料とする溶液重合法あるいは界面重合法、ジカルボン酸またはジカルボン酸のアルキルエステルとジアミンとを原料とする溶融重合法、固相重合法等の方法により製造できる。上述のポリアミドは本発明の重要なポイントの一つである導電性ポリマー層との接着性も良好であり、界面剥離も生じ難く耐熱性、繊維物性の点から好適である。
本発明の導電性ポリアミド層に用いる樹脂として熱可塑性ポリアミドを使用することが重要である。熱可塑性ポリアミドとしては、具体的にはナイロン12、ナイロン11、ナイロン6、ナイロン66、ナイロンエラストマー等を挙げることができる。また、導電性ポリマー層に前述の保護ポリマー層を構成するポリアミドを使用しても差し支えない。
なお、導電性カーボンブラック含量は15質量%未満ではほとんど効果がなく、20質量%以上になると急激に導電性が向上する。また、本発明の有機導電性繊維は、金属を実質的に含まない樹脂から成る複合繊維が好ましい。一般に用いられている有機導電性繊維の電気比抵抗は10Ω・cm未満であることが多く、電気抵抗の点でこれらの有機導電性繊維は一般的に本発明では使用できない。
本発明において特に繊維素材の風合いを損なわないためには、また、本発明の有機導電性繊維を構成する繊度は5デシテックス以下である必要があり、3デシテックス以下が好ましい。5デシテックスを超えた有機導電性繊維を使用すると風合いを損ねてしまう。
そして、本発明の極細繊維発生型繊維および有機導電性繊維からなる導電層(A)は公知の方法で製造することができる。例えば、非弾性ポリマーからなる極細繊維発生型繊維および有機導電性繊維を延伸後、捲縮、カット、油剤を付与し、所望の比率で混綿した後、それをカードで解繊し、ウェバーを通してウェブを形成する。この場合、極細繊維発生型繊維と有機導電性繊維の混綿比率としては、有機導電性繊維(b):極細繊維(a)が質量比で、(b):(a)=0.5:99.5〜10:90となるように混面することが伸縮性と風合いに優れる点で必要であり、1.5:98.5〜5:95であることが立毛シートとした場合に制電性能が良好である点でより好ましい。すなわち有機導電性繊維の比率が0.5未満の場合には、得られる立毛シートの制電性が低下する傾向があり、10を超えた場合には、制電性能は、これ以上含有させても効果はあがらない。また、有機導電性繊維が表面に露出しやすくなり外観および表面タッチを損ねてしまう傾向がある。
本発明の立毛シートに、十分な静電性能、徐電性能を付与するため導電層(A)に使用している有機導電性繊維は、電気比抵抗が10〜10Ω・cmである有機導電性繊維がある程度の密度をもって含有していること、すなわち前述の通り極細繊維に対しての有機導電性繊維の含有率は0.5〜10質量%であることが必要である。そして、この立毛シートに、十分な静電性能、徐電性能を付与するためには、立毛シート中での分散状態が大きく寄与するため、混綿もしくは、共捲縮することにより分散状態を向上させることができる。そして極細繊維3万本に対して有機導電性繊維1本以上の割合で存在している分散状態が望ましい。
また、上記の極細繊維発生型繊維と有機導電性繊維を必要な一定長に切断した後混綿する手法、もしくは切断する前に必要な比率で各々の繊維束を集束し、必要があれば延伸、捲縮、切断する方法によって両繊維を均一に混綿し、それをカードで解繊し、ウェバーを通してウェブを形成する。
得られたウェブは、所望の重さ、厚さに積層して導電層(A)とするか、次いで、ニードルパンチ、高速水流などの公知の方法で絡合処理を行って導電層(A)とする。
本発明の非導電層(B)は公知の方法で製造することができる。例えば、前述の非弾性ポリマーからなる極細繊維発生型繊維を延伸後、捲縮、カット、油剤を付与し、所望の比率で混綿した後、それをカードで解繊し、ウェバーを通してウェブを形成する。
得られたウェブは、所望の重さ、厚さに積層して非導電層(B)とするか、次いで、ニードルパンチ、高速水流などの公知の方法で絡合処理を行って非導電層(B)とする。
上記の導電層(A)および非導電層(B)は質量比率(A)/(B)=10/90〜90/10の範囲で積層することが好ましい。導電層(A)が10未満の場合は、制電効果が低下する傾向がある。また90を超える場合は、有機導電繊維の繊度が非導電層を構成する極細繊維より繊度が大きい為、表面外観を損ねる傾向がある。より好ましい質量比率は(A)/(B)=40/60〜60/40の範囲であり、制電効果と外観を両立した優美な立毛シートを提供することができる。
本発明の立毛シートの積層方法は公知の方法を用いることが可能である。例えば、導電層(A)と非導電層(B)は、それらを構成する繊維をウェブの状態でそれぞれ積層し、その後にニードルパンチ等の公知の方法で絡合処理する方法。または、導電層(A)と非導電層(B)はそれらを構成する不織布の状態でそれぞれ積層し、その後、さらにニードルパンチ等の公知の方法で絡合処理することによる積層方法。また、導電層(A)と非導電層(B)を接着剤で接着することによる積層方法等が挙げられる。
また、必要に応じて該導電層(A)と非導電層(B)を絡合処理した不織布に例えばポリビニルアルコール系樹脂などの水溶性糊剤等で代表される後の工程で溶解除去可能な樹脂を付与して不織布を仮固定してもよい。また、表面の平滑性を向上させ、ライティング効果に優れる点から不織布の表面を公知の方法で熱プレス処理してもよい。
得られた不織布の厚みは、得られる立毛シートの用途等によって任意に選択でき、特に制限されるものではないが、1枚ものの場合にその厚みは0.2〜10mm程度であることが好ましく、0.4〜5mm程度であることがより好ましい。密度は0.20〜0.65g/cmが好ましく、0.25〜0.55g/cmがより好ましい。0.20g/cm未満であると繊維の立毛感が不足し、さらに機械物性も低下する。0.65g/cmを超えると得られる立毛シートの風合いが硬くなる傾向がある。
次に該不織布には公知の方法にて弾性ポリマー溶液または分散液を付与することが可能である。この立毛シートに含有せしめる弾性ポリマーは特に限定することはないが、例えば、平均分子量700〜3000のポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルエーテルジオール、ポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオールなどから選ばれた少なくとも1種類のポリマージオール、芳香族ジイソシアネート及び/または脂環族から選ばれた少なくとも1種類の有機ジイソシアネートを主体に、1,4−ブタンジオール、エチレンジアミンなどの活性水素原子を2個有する鎖伸長剤とを反応させて得られるポリウレタン類、アクリル類、ポリエステルエラストマーやポリエーテルエステルエラストマーなどのエステル系エラストマー類、ポリエーテルエステルアミドエラストマーやポリエステルアミドエラストマーなどのアミド系エラストマー類、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどの共役ジエン系重合体あるいは共役ジエン系重合体ブロックを分子中に有するブロック共重合体ポリマー類またはその他ゴム弾性挙動を有するエラストマー類が挙げられる。中でも、その柔軟性・低反発性や摩擦抵抗が高く非弾性ポリマーからなる極細繊維への密着効果が高いこと、更には耐熱性および耐久性に優れることなどの点でポリウレタン類が最も好ましい。
ポリウレタン等で代表される弾性ポリマー中にカーボンブラックが1〜10質量%濃度添加されていることが、徐電効果が向上する点で好ましく、5〜10質量%添加することにより、シート自体の静電気発生を低下させ、高湿度下のみならず低湿度下でも耐久性のある自己放電能を有し、かつ、手袋・衣料用途において外観を損ねることない色の一体感を得ることが可能となる。
次に該不織布を構成する繊維が極細繊維発生型繊維の場合には該繊維を極細化する必要がある。極細繊維発生型繊維が海島型繊維の場合、島成分には非溶剤または非分解剤で海成分には溶剤または分解剤である液体で処理する。例えば、海成分がポリエチレンやポリスチレンである場合にはトルエンが使用され、また海成分が易アルカリ分解性ポリエステルである場合には苛性ソーダ水溶液等で代表されるアルカリ水溶液が使用される。
次に、極細繊維化処理により得られたシートの表面をバフィング処理等の公知の方法で起毛処理して立毛シートを得る。
このバフィング処理工程では、通常、有機導電性繊維を含まない立毛シートを処理する場合、帯電量が大きく作業に支障をきたしている現状があるが、本発明の立毛シートの処理では、帯電が起きにくいことから工程通過性に優れ、さらに汚れや異物付着が発生し難いため製品収率の向上にもつながるといった利点もある。
次に該立毛シートを公知の方法にて染色して立毛シートを得た。
なお、本発明の立毛シートは、該シート表面に高電位に帯電した人体等の帯電体が接触しようとするとき、まず接触直前に帯電体の静電気は繊維層の有機導電性繊維に集電されコロナ放電により帯電体の電位が下がり徐電される。また、徐電される過程で、シートの繊維中にカーボンブラックが含有されているため、静電気の集電が有機導電性繊維に集中せず、一挙に放電しない為にスパークすることなく徐電されると推定している。
そして、制電性立毛シートを少なくとも指先部に使用した手袋は、蓄電をコロナ放電により自己放電するために、パチパチ感の違和感はなくなり、防爆施設における作業手袋として最適である。
以下本発明の実施態様を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部および%はすべて質量に関するものである。なお、得られた制電性立毛シートを制電性能評価として摩擦帯電電荷量測定法(JIS T8118)、半減期測定法および摩擦耐電圧測定法(JIS L1094)と簡易脱衣評価法により測定をおこなった。簡易脱衣評価法は、既存の放電パルス測定装置を使用して、人が脇に立毛シートをはさみ脇から抜き出した時に発生する放電パレスを測定する方法である。評価は、0:まったく感じない。1:わずかにパチパチ感を感じる。2:パチパチ感を感じる。3:強くパチパチ感を感じる。でおこなった。
カーボンブラックを8質量%練り込んだナイロン−6を50部とポリエチレン50部とをスクリューエクストレイダーで溶融し、280℃で溶融紡糸し、繊度が10デシテックスのナイロン−6が島成分となる極細繊維発生型繊維を得た。該繊維を2.4倍に延伸し、捲縮後に、繊維長51mmに切断して4デシテックスの極細繊維発生型短繊維(a)を得た。それらの繊維を捲縮後カードで解繊し、クロスラップウェバーでウェブ(a)とした。別途該短繊維(a)に、導電性カーボンブラックを35質量%含有するナイロン−6からなる導電性ポリアミド層と熱可塑性ポリアミドからなる保護ポリマー層とが複合されてなり、かつ該導電性ポリアミド層が繊維表面に露出している繊度3デシテックスの有機導電性短繊維(「クラカーボ」株式会社クラレ製)が1.5%になるように該極細繊維発生型短繊維と混綿機により混綿し、混合短繊維(b)を得た。続いて、それらの繊維を捲縮後カードで解繊し、クロスラップウェバーでウェブ(b)とした。そして、ウェブ(a)とウェブ(b)を(a)/(b)/(a)の質量比率=25/50/25の割合となるように積層し、1バーブのニードル針で560パンチ/cmの条件にて処理することにより、目付900g/cmの不織布を得た。この不織布を乾燥しながら乾燥機中で熱処理を行い、海成分のポリエチレンを軟化させて繊維間を部分接着させて厚みを、2.6mm、目付800g/m、密度0.299g/cmの保型性の良好な不織布を得た。
次に、該不織布にカーボンブラック5%ポリエステル系ポリウレタンの12.5%DMF溶液を含浸し、次に40℃のDMF30%水溶液中で湿式凝固し、さらに水洗して不織布中に存在するDMFを除去した。次に90℃熱トルエン溶液中で極細繊維発生型繊維中のポリエチレンを溶解除去乾燥後、極細繊維に対する有機導電性繊維の含有率が3%、厚さ約1.3mmの立毛シート用の基体得た。得られた基体のナイロンからなる極細繊維の平均単繊度は0.01デシテックスである。この基体を厚み方向で2分割し、分割面をサンドペーパーでバフィングして厚さを0.8mmに厚み合わせを行った後、分割面と反対側の面をエメリーバフにより起毛処理し立毛面を形成させた後、染色し非導電層(B)/導電層(A)=50/50からなる立毛シートを得た。得られた立毛シートの非導電層を表として手袋の指先部分を構成するように縫製して得られた手袋は外観、風合および表面タッチに優れたものであり、該立毛シートを用いて徐電性能を評価した。結果は、表1の通りである。また作業手袋として1ヶ月以上長期使用した時にも制電性変化は見られなかった。
比較例1
カーボンブラックを8質量%練り込んだナイロン−6を50部とポリエチレン50部とをスクリューエクストレイダーで溶融し、280℃で溶融紡糸し、繊度が10デシテックスのナイロン−6が島成分となる極細繊維発生型繊維を得た。該繊維を2.4倍に延伸し、捲縮後に、繊維長51mmに切断して4デシテックスの極細繊維発生型短繊維を得た。導電性カーボンブラックを35質量%含有するナイロン−6からなる導電性ポリアミド層と熱可塑性ポリアミドからなる保護ポリマー層とが複合されてなり、かつ該導電性ポリアミド層が繊維表面に露出している繊度3デシテックスの有機導電性繊維(「クラカーボ」株式会社クラレ製)が1.5%になるように該極細繊維発生型短繊維と混綿機により混綿し、混合ステープル繊維(c)を得た。該混合ステープル繊維をカードで解繊した後、クロスラップウェバーでウェブとし、1バーブのニードル針で560パンチ/cm処理することにより、目付900g/cmの不織布を得た。この不織布を乾燥しながら乾燥機中で熱処理を行い、海成分のポリエチレンを軟化させて繊維間を部分接着させて厚みを、2.6mm、目付800g/m、密度0.299g/cmの保型性の良好な不織布を得た。
次に、該不織布にカーボンブラック5%ポリエステル系ポリウレタンの12.5%DMF溶液を含浸し、40℃のDMF30%水溶液中に投入湿式凝固し、さらに水洗して不織布中に存在するDMFを除去した。次に90℃熱トルエン溶液中で極細繊維発生型繊維中のポリエチレンを溶解除去乾燥後の極細繊維に対する有機導電性繊維の含有率が3%、厚さ約1.3mmの立毛シート用の基体得た。得られた基体のナイロンからなる極細繊維の平均単繊度は0.01デシテックスである。この基体を2分割し、分割面をサンドペーパーでバフィングして厚さを0.8mmに厚み合わせを行った後、分割面と反対側の面をエメリーバフにより起毛処理を行い立毛面を形成させた後、染色し立毛シートを得た。得られた立毛シートおよび該立毛シートを手袋の指先部分を構成するように縫製して得られた手袋は外観、風合および表面タッチで実施例1に劣るものであった。該立毛シートを用いて徐電性能を評価した。結果は、表1の通りである。また作業手袋として1ヶ月以上長期使用した時にも制電性変化は見られなかった。
比較例2
カーボンブラックを8質量%練り込んだナイロン−6を50部とポリエチレン50部とをスクリューエクストレイダーで溶融し、280℃で溶融紡糸し、繊度が10デシテックスのナイロン−6が島成分となる極細繊維発生型繊維を得た。該繊維を2.4倍に延伸し、捲縮後に、繊維長51mmに切断して4デシテックスの極細繊維発生型短繊維を得た。導電性カーボンブラックを35質量%含有するナイロン−6からなる導電性ポリアミド層と熱可塑性ポリアミドからなる保護ポリマー層とが複合されてなり、かつ該導電性ポリアミド層が繊維表面に露出している繊度12デシテックスの有機導電性繊維(「クラカーボ」株式会社クラレ製)が1.5%になるように該極細繊維発生型ステープル繊維と混綿機により混綿し、混合短繊維(d)を得た。該混合短繊維をカードで解繊した後、クロスラップウェバーでウェブとし、1バーブのニードル針で560パンチ/cm処理することにより、目付900g/cmの不織布を得た。この不織布を乾燥しながら乾燥機中で熱処理を行い、海成分のポリエチレンを軟化させて繊維間を部分接着させて厚みを、2.6mm、目付800g/m、密度0.299g/cmの保型性の良好な不織布を得た。
次に、該不織布にカーボンブラック5%ポリエステル系ポリウレタンの12.5%DMF溶液を含浸し、40℃のDMF30%水溶液中に投入湿式凝固し、さらに水洗して不織布中に存在するDMFを除去した。次に90℃熱トルエン溶液中で極細繊維発生型繊維中のポリエチレンを溶解除去乾燥後、の極細繊維に対する有機導電性繊維の含有率3%、厚さ約1.3mmの立毛シート用基体得た。得られた基体のナイロンからなる極細繊維の平均単繊度は0.01デシテックスである。この基体を2分割し、分割面をサンドペーパーでバフィングして厚さを0.8mmに厚み合わせを行った後、分割面と反対側の面をエメリーバフにより起毛処理を行い立毛面を形成させた後、染色し立毛シートを得た。得られた立毛シートおよび該立毛シートを手袋の指先部分を構成するように縫製して得られた手袋は表面タッチに若干劣るものであった。該立毛シートを用いて徐電性能を評価した。結果は、表1の通りである。
比較例3
カーボンブラックを8質量%練り込んだナイロン−6を50部とポリエチレン50部とをスクリューエクストレイダーで溶融し、280℃で溶融紡糸し、繊度が10デシテックスのナイロン−6が島成分となる極細繊維発生型繊維を得た。該繊維を2.4倍に延伸し、捲縮後に、繊維長51mmに切断して4デシテックスの極細繊維発生型短繊維を得た。該短繊維をカードで解繊した後、クロスラップウェバーでウェブとし、1バーブのニードル針で560パンチ/cm処理することにより、目付900g/cmの不織布を得た。この不織布を乾燥しながら乾燥機中で熱処理を行い、海成分のポリエチレンを軟化させて繊維間を部分接着させて厚みを、2.6mm、目付800g/m、密度0.299g/cmの保型性の良好な不織布を得た。
次に、該不織布にカーボンブラック5%ポリエステル系ポリウレタンの12.5%DMF溶液を含浸し、40℃のDMF30%水溶液中に投入湿式凝固し、さらに水洗して不織布中に存在するDMFを除去した。次に90℃熱トルエン溶液中で極細繊維発生型繊維中のポリエチレンを溶解除去乾燥後、の極細繊維に対する有機導電性繊維の含有率3%、厚さ約1.3mmの立毛シート用基体得た。得られた基体のナイロンからなる極細繊維の平均単繊度は0.01デシテックスである。この基体を2分割し、分割面をサンドペーパーでバフィングして厚さを0.8mmに厚み合わせを行った後、分割面と反対側の面をエメリーバフにより起毛処理を行い立毛面を形成させた後、染色し立毛シートを得た。立毛シートおよび該立毛シートが手袋の指先部分を構成するように手袋を縫製した。得られた立毛シートおよび該立毛シートを手袋の指先部分を構成するように縫製して得られた手袋は外観、風合および表面タッチに優れたものであり、該立毛シートを用いて徐電性能を評価した。結果は、表1の通りである。また作業手袋として使用した時は最初から電気ショックを感じた。
Figure 2006028683
得られた制電性立毛シートは衣料、手袋用途、さらにカーシート、プリンターロール、玩具、衣料などに使用できる。

Claims (3)

  1. 極細繊維からなる制電性立毛シートにおいて、該シートが少なくとも2層の積層構造を有し、その少なくとも1層が電気比抵抗が10〜10Ω・cmである単繊維繊度5デシテックス以下の有機導電性繊維を含有する導電層(A)であり、少なくとも表面に露出している1層が導電性繊維を含まない非導電層(B)であり、かつ該導電層(A)に含有されている有機導電性繊維の含有率が0.5〜10質量%であることを特徴とする制電性立毛シート。
  2. 導電層(A)と非導電層(B)の質量比率が(A)/(B)=10/90〜90/10で積層されてなる請求項1に記載の制電性立毛シート。
  3. 請求項1または2に記載の制電性立毛シートを少なくとも指先部に使用した手袋。

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