JP2006026967A - 成形装置、成形方法および光ディスク - Google Patents

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宣之 荒川
Shoji Akiyama
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Abstract

【課題】 薄いカバー層をフィルムを使用しないで成形法で作成する。
【解決手段】 樹脂注入口208からキャビティ206内に成形材料が注入される。スタンパー205は、最外周近傍が外周リング202によって保持される。温調機204および211が金型温度を調節する目的で設けられている。スタンパー205と固定側ミラー金型201との間に、固定側ヒータ部203が設けられ、キャビティ206と可動側ミラー金型212との間に、可動側ヒータ部210が設けられている。セラミックヒーターをONにしてキャビティ206の表面を所望の温度まで加熱した段階で樹脂を射出し、ヒーターをOFFにして所定の温度まで冷却する。セラミックヒーターのON、OFFのタイミングは、成形装置の動きと連動してなされる。
【選択図】 図2

Description

この発明は、光ディスクのディスク基板の成形に対して適用可能な成形装置、成形方法および光ディスクに関する。
近年、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)といった、レーザ光を用いて記録・再生を行う、ディスク状記録媒体(以下、光ディスクと適宜略する)が既に広く普及している。また、次世代の光ディスクとしては、青紫レーザを用いて12cmサイズのディスクで記録再生する高密度ディスク(Blu-ray-Disc。以下BDディスクと適宜略する)が提案されている。
BD規格では、ビームスポット径を小さくするために、光源波長を405nmとし、対物レンズの開口数(Numerical Aperture :以下、NAと適宜略する) を0.85と大きくしている。高NAである結果、ディスク面とレーザ光の光軸がなす角度の90°からの傾きに許される角度誤差(チルト・マージンと称される)が小さくなっている。
BDディスクでも読み出し専用タイプは記録容量が少なく、書き換え可能タイプと同一の記録容量を得るためには、ディスクの構造を多層例えば2層積層構造とすることが提案されている。
2層構造のディスクは、ポリカーボネート樹脂(以下、PCと適宜略する)からなる基板の信号面に、反射膜を成膜後、同じく信号面を持ち、信号面の上に半透過性反射膜が成膜された、例えば0.1t以下の光学的に透明なフィルム等からなる積層部(以下、カバー層と適宜略する)を、信号面が対向するように、UVで硬化する透明な接着剤などで接着して得られる。
反射膜と半透過反射膜との間に介在する中間層は、一つの対物レンズで、レーザ光の焦点位置を変えることにより積層された反射膜および半透過反射膜を再生する場合、反射膜の厚さとの合計が許容厚み誤差内にする必要があり、対物レンズの性能上、中間層を含む基板の厚さの合計が70〜100μmの均一な厚さの層にする必要がある。
光ディスクで使用されているディスク基板は、例えば下記特許文献1に記載されているように、金型装置を有する射出成形機で、加熱溶融された樹脂材料(PC等)を射出成形することにより、凹凸パターンが転写され、作成されている。
特開平11−48291号公報
最近では、多層構造のディスクに限らず、単層構造においても、BDディスクの開発が各社で検討されており、トラックピッチをCDの1/4以下に狭めたBDディスクが提案されている。微細な凹凸信号を転写するために、金型温度を樹脂の熱変形温度近くにして基板の成形を行う必要がある。例えばガラス転移点が143°Cで、加重たわみ温度が128°CであるPCを成形材料とする場合、金型温度を130°C〜140°Cに上げて、基板の成形を行わねばならない。
しかしながら、樹脂の加重たわみ温度を超える高温金型での成形では、射出時の配向応力歪み以外に、金型からディスクを取り出す時に、エジェクターや離型エアーや真空吸着の機械応力により、基板の変形が生じるため、当然ながら樹脂の冷却時間を長くする必要があり、そのため、成形サイクルも長く、CDに比べて生産性が著しく劣り、生産コストも高くなる。しかも、このような高温金型での成形方法により、成形基板のチルト等の反り特性は悪くなり、BDディスクの一つの特徴である、対物レンズが高NAの基板では、チルト・マージンが少ないことと矛盾する成形法になる。
一方、加熱と加圧プレスとで成形を行う基板成形法であるコンプレッション法は、CDやLD(Laser Disc)など光ディスク開発初期には、LPレコード盤製法の延長として使用された。コンプレッション法には、蒸気と水の、加熱と冷却との繰り返しの関係から、耐熱性の低い塩ビ系樹脂等が材料として用いられた。しかしながら、耐熱性のあるPCの材料が主流になるに伴い、コンプレッション法は、光ディスク生産法としては生産性が劣ることもあって使用されずに、現在では、熱可塑性プラスチック成形において,多段成形等によりICカード等の生産に使用されている。
一方、最近本願発明者らが提案した、ガラス転位点が215°Cである低融点ガラスを用いたディスク成形においては、コンプレッション法を用いているが、微細な凹凸信号を短時間で転写するには、金型温度を400°C近くにする必要である。常時400°C前後の高温雰囲気下では、Ni(ニッケル)スタンパーの酸化劣化が生じて、信号が劣化するため、窒素雰囲気下での成形が必要となるが、窒素雰囲気下で成形をしても、キャビティ外の金型部が酸化腐食することは、避けることができない。
図9は、Niスタンパーの酸化劣化による、低周波数域のノイズの増加を示すデータである。すなわち、金型温度135°Cで通常のディスク成形を行った後、スタンパーを400°Cの空気雰囲気下で4時間放置冷却後、前と同じ成形条件である135°Cの金型温度でディスクを成形しノイズ増加の有無を調べたものである。高温雰囲気下に曝されたディスクの特性41は、高温雰囲気下に曝されないディスクの特性42と比較して低周波数域のノイズが増加している。金型部材にも、TiNコーティング等の対処をしないと、たとえステンレス系の金型材質を用いても、空気に触れる部分は酸化による錆等が発生し、摺動不良により連続成形に問題が出る。
金型温度が100°C以下、または加熱媒体による金型温調を必要としない金型で、単層構造のディスク基板に限らず、トラックピッチをCDの1/4以下に狭めた微細な凹凸信号の転写が確保できれば、高密度光ディスクの成形においても、従来の高温金型のように長い冷却時間が必要なくなり、成形サイクルもCD並の生産性が得られる。また、成形基板のチルト等の反り特性は、CD並みかそれ以上の特性の改善が得られる。
多層積層構造のディスクにおいては、微細な凹凸信号が転写された光学的に透明な0.1mm厚以下の基板を射出成形法により作成し、通常の基板と貼り合わせることができれば、DVD等従来の生産設備が利用できるばかりか、キャスト法で製造されたフィルム(以下、適宜キャストフィルムと称する)に凹凸信号を転写し、打ち抜く方法に比べて、材料費や工程が削減できる。また、フィルムの打ち抜きカスを廃棄する費用も必要もなく、省資源になる。
このため、BDディスク等では、射出成形により、微細な凹凸信号が転写された光学的に透明な0.1mm厚の基板の成形が、これまで各メーカーで検討されてきたが、射出成形では0.3mm厚の基板までしか得られていない。
例えば、光ディスクの基板成形おいて、ガラス転移点が143°CであるPCを材料として用いた場合、シリンダー内で330°C〜370°Cに加熱され溶融した樹脂は、130°C〜140°Cの一定温度に温調された金型内のスプルーやゲートを通過して、キャビティに充填される。充填時に、溶融樹脂が金型表面やスタンパーと接触した部分で冷却され、固化が始まり、スキン層が形成される。スキン層は、固化して流動しない部分である。このように、成形条件にもよるが、例えば片側に0.1mm厚前後のスキン層が形成されるため、金型や樹脂温度あるいは射出圧を高くしても、0.3mm厚のディスク基板の成形が限界であった。
金型表面で固化が始まった樹脂は、殆ど流動することがなく、0.3mm厚以上のディスク基板の成形においては、流動先端部より新しい溶融樹脂(すなわち、コア層)がキャビティ内に次々に広がり供給され、ディスク外径に達し、所望の基板を得ることができる。しかしながら、0.1mm厚のディスク基板の成形においては、コア層がないため、金型温度を樹脂のガラス転移点近くに高くしても、ゲートを通過してすぐに固化してしまい、光学特性や基板変形を維持して0.1mm厚のディスク基板は得られない。したがって、従来の技術では、0.3mm厚前後のディスクしか得られないのが実情である。
一方、光学特性等を要求しないスピーカーコーン等の振動板成形では、0.1mm厚の成形が実用化されている。この成形では、射出速度を1000mm/sec 以上の高速にして、樹脂を充填させる。この時の樹脂はディスク成形用の樹脂と異なり高い流動性を持ち、かつ樹脂流動方向に非常に大きい分子配向を伴い、製品外周にバリを出させて均一な厚さを確保している。
スピーカー振動板は、射出速度を高速にして、あえて樹脂に分子配向性を持たせ、剛性を出すことで振動板としての機能を持たせているが、光ディスクの成形においては、樹脂が光学的に透明で、且つ複屈折の少ないことが絶対条件であることから、分子配向を極力なくした成形が前提であるため、射出速度を高くしても、せいぜい300mm/secでの成
形が限界である。
上述したように、光ディスクの基板として、射出成形法により光学的に透明な0.1mm厚の基板が得られていないことから、現状では、0.1mm厚以下のキャスティングフィルムや、溶融押し出し法で製造されたフィルム(以下、押し出しフィルムと適宜称する)を所望の円板形状に打ち抜く。単層構造のディスクでは、1.1mm厚のディスク基板とフィルムとを、透明粘着シートないしはUV樹脂で貼り合わせる方法か、またはスピンコートによりUV樹脂を塗布し、表層のカバー層にUVを照射し、硬化させて貼り合わせる方法がとられていた。
多層構造のディスクでは、フィルム上に凹凸信号を直接転写し、またはUV樹脂などで積層転写した後、半透過反射膜をスパッターなどを用いて成膜後、上記方法で貼り合わせ積層するのが一般的である。あるいは、スピンコートによりUV樹脂を回転延伸し、ディスク基板上に100μmの厚さで塗布し、基板に信号を転写するといった方法で、貼り合わせを行っている。
しかしながら、厚み精度に優れた光学的透明フィルムや透明粘着シートは、その製法からコストが高い。また、スピンコートによりUV樹脂を厚く塗布する場合、塗布する面にセンターホールがある場合は、回転延伸による製法の基本的問題である、センターホールにUV樹脂が回り込んでセンターホールが小さくなる問題を避けるため、センターホールの位置から離れた位置にUV樹脂を塗布後、回転延伸するのが一般的である。
2層以上の多層構造のディスクを作る場合には、光学的に透明なフィルム上に直接凹凸情報を熱転写するか、あるいは、2P法によりUV層の凹凸情報をフィルム上に転写させ、記録膜を成膜後、上述した方法により貼り合わせて積層ディスクを作成する。または、UV樹脂の回転塗布による方法では、スタンパーとディスク基板間にUV樹脂で凹凸信号を重ね、その上に反射膜を成膜後、さらに100μmのUV層を積層する必要があり、空気の巻き込みや厚さムラも起こりやすい欠点がある。また、センターホール付近における樹脂のスタンパーの裏面やディスクの読み取り面に回り込んでしまうことを防ぐために、センターホールから離れた位置にドーナツ状に塗布するため、センターホール付近の内周部には塗布されない欠点もある。
BDディスク等のカバー層である0.1mm厚基板にフィルムを使用し、基板との接着層としてUV樹脂や粘着シートを使用する場合は、フィルムの複屈折等の光学特性と、押し出しフィルムに見られる表面の微少な凹凸等の問題から、ポリマーを溶剤で溶かしたキャスティングによる製法以外には特性を満足することができない。しかしながら、キャストフィルムは、非常に高価なであるばかりか、製造過程でのフィルムのハンドリング問題や、搬送過程時のゴミの挟み込みや、接着層が薄いことにより静電気等でフィルムに付着した異物が基板との間に挟み込みによって起こる突起が、実サイズ以上の欠陥として拡大するといった欠点がある。
したがって、この発明の目的は、金型のスタンパーおよびキャビティー側の表面部位の温度を制御し、熱応力や分子配向歪みが少なく、転写性に優れたディスク基板を作成することが可能な成形装置、成形方法および光ディスクを提供することにある。
上述した課題を解決するために、この発明の第1の態様は、キャビティ内に溶融樹脂を注入してスタンパーの凹凸パターンが転写された基板を成形する成形装置において、
接離自在で、互いに対向する面を有する可動側ミラー金型および固定側ミラー金型と、
可動側ミラー金型および固定側ミラー金型の温度を制御する温調手段と、
可動側ミラー金型および固定側ミラー金型の対向するそれぞれの面に取り付けられた可動側ヒータ部および固定側ヒータ部と、
可動側ヒータ部および固定側ヒータ部の一方の面に固定されたスタンパとを備え、
可動側ヒータ部および固定側ヒータ部は、それぞれ非導電性のセラミックからなる第1および第2の部材で発熱体が挟まれた構成とされ、
第1および第2の部材の内の一方の部材が可動側ミラー金型および固定側ミラー金型と接触する面を有し、
第1および第2の部材の内の他方の部材がキャビティーまたはスタンパーと接触する面を有することを特徴とする成形装置である。
この発明の第2の態様は、キャビティ内に溶融樹脂を注入してスタンパーの凹凸パターンが転写された基板を成形する成形方法において、
接離自在で、互いに対向する面を有する可動側ミラー金型および固定側ミラー金型の温度を50℃以上で且つ成形材料の熱変形温度以下の一定温度に制御する工程と、
可動側ミラー金型および固定側ミラー金型の対向するそれぞれの面に取り付けられた可動側ヒータ部および固定側ヒータ部をONする工程と、
キャビティを構成する表面の温度をガラス転移点以上に加熱した状態で、樹脂を注入する工程と、
可動側ヒータ部および固定側ヒータ部をOFFする工程とからなる成形方法である。
この発明の第3の態様は、射出成形法で作成されるディスク基板を有する光ディスクにおいて、
中心穴の周囲の第1の領域の厚みが第1の領域の外周側の第2の領域より小とされた第1の基板と、
中心穴の周囲の第3の領域の厚みが第3の領域の外周側の第4の領域の厚みに比して大とされた第2の基板と、
第2の領域と第4の領域の対向する面の境界に形成された情報層とからなり、
情報層を挟んで第1および第2の基板を貼り合わせた厚みが一定とされた光ディスクである。
金型装置にセラミックヒーターを設け、セラミックヒーターでキャビティ表面のみを選択的に任意の温度に加熱することにより、成形時の熱応力や分子配向歪みを無くし、転写性に優れた基板が得られる。キャビティ表面を成形材料のガラス転位点以上に加熱することで、微細な凹凸信号が転写された0.1mm厚基板を成形することができる。
信号が転写した0.1mm厚基板が射出成形で得られることにより、キャストフィルムや押し出しフィルムからの円板打ち抜き行程や抜きカスが必要なくなり、材料費の無駄やフィルムよりも低コストでDVD等の従来の製造装置を利用できる。
この発明では、セラミックヒーター部の局所加熱故に金型全体が400℃にすることを必要とせず腐食することも無い。6)信号をエンボスしたガラス基板成形にあっては低融点ガラスといえどもスタンパーを含む金型全体を400℃近い温度にしないと微細凹凸信号転写が得られない。このため、酸化劣化による信号劣化や金型腐食が発生していたが、セラミックヒーター部の局所加熱故に金型全体が400℃にすることを必要とせず腐食することも無い。
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態による高密度光ディスク例えば読み出し専用タイプの光ディスクを示す。図1Aにおいて、ディスクの中心穴近傍のC部の拡大断面図が図1Bである。図1Aにおいて、参照符号1がディスク内周側のクランプ部を示し、参照符号2が内周部を示し、参照符号3が外周部をそれぞれ示す。
図1Bに示すように、通常の射出成形により成形された基板16上に、情報層例えば反射膜15が成膜される。参照符号12は、この発明の一実施形態による金型装置を用いて成形された0.1mm厚カバー層を示す。カバー層12には、微細凹凸が転写されており、半透過反射膜13が成膜されている。反射膜15と半透過反射膜13との対向面が中間層15を介して貼り合わされる。カバー層12は、内周部2および外周部3の厚みが0.1mmとされ、中心穴の周囲のクラン部1では、厚みがより大きなものとされている。例えばクランプ部が0.3〜0.8mm厚とされる。ディスク全体は、1.2mm厚である。中心穴の周囲の領域を厚くすることによって、ディスク製造時例えば成形後のディスク取り出しに際してクランプ部1を真空吸着することが可能となる等、ディスク基板のハンドリングが容易となる。
図2Aは、この発明の一実施形態による金型装置の断面図である。図2Bは、図2AのD部の部分拡大断面図である。金型装置は、固定側金型部213と、固定側金型部213に対して接離動作される可動側金型部214とを備えている。固定側金型部213と可動側金型部214、および固定側金型部213に取り付けられた外周リング202とによって構成される閉空間が、成形材料が充填されるキャビティ206とされる。外周リング202によって、キャビティ206の外周部分を閉鎖することで、成形される基板の外周が規定される。
固定側金型部213は、固定側ミラー金型201と、固定側ミラー金型201のキャビティ206側の面に取り付けられた固定側ヒータ部203と、固定側ヒータ部203の面に取り付けられるスタンパー205とからなる。そして、固定側金型部213の中央部には、樹脂注入口208からキャビティ206内に成形材料を供給するためのスプルー207が設けられている。
スタンパー205はディスク基板成形の際の原盤となるものであり、キャビティ206側の面に、基板に転写するための微細凹凸パターンが形成されている。このスタンパー205は、図示しない内径をガイドに金型に嵌合固定され且つ内径近傍と外形近傍を真空で吸引することによって固定側ミラー210に固定されている。
可動側金型部214は、可動側ミラー金型212を備えており、可動側金型部214の中央部にはゲートカットパンチ209が設けられている。
固定側温調溝204と可動側温調溝211とが、金型温度を調節する目的で、固定側ミラー金型201と可動側ミラー金型212とにそれぞれ設けられている。
一実施形態においては、スタンパー205と固定側ミラー金型201との間に、固定側ヒータ部203が設けられ、キャビティ206と可動側ミラー金型212との間に、可動側ヒータ部210が設けられており、従来の金型装置のキャビティ206面に相当する部分にセラミックヒーターを搭載し金型温調機により液体媒体例えば加圧した熱水や油を用いることで、金型を例えば50°C以上で且つ成形材料の熱変形温度以下の一定温度に常時保持する。
また、セラミックヒーターをONにしてキャビティ206の表面を所望の温度まで加熱した段階で樹脂を射出し、ヒーターをOFFにして所定の温度まで冷却する。セラミックヒーターのON、OFFのタイミングは、成形装置と連動してなされる。冷却の際に、金型本体と接するセラミック部材側は熱伝導率が悪く、蓄熱性ゆえに冷却に時間が掛かるため、金型装置内を循環する液体媒体により冷却を行い、キャビティ206の表面温度の冷却時間を短縮する。
従来の金型装置では、例えばガラス転移点が143°CであるPCを用いて、トラックピッチ0.5μm以下であり、溝深さ60nm以上であるBDディスクを製造するために、微細な凹凸信号を転写するには金型全体を130〜150°Cの高い温度に加熱する必要があり、そのため冷却時間も10秒を越える時間を必要とした。
しかしながら、この発明の一実施形態による金型装置では、100°C以下の温度、例えば60°Cに金型全体を温調した状態で、セラミックヒーターをONにすると、200Vで3.3秒間加熱程度で、スタンパー205の表面を含むキャビティを形成する表面の温度が成形機シリンダー内の樹脂溶融温度とほぼ同じである300°Cまで昇温する。局所的加熱であるので、金型全体を高い温度に加熱せずに微細な凹凸信号を転写することが可能である。
図3は、固定側ヒータ部203および可動側ヒータ部210をほぼ半分に切断した状態を詳細に示す。固定側ヒータ部203は、固定側ミラー金型201のキャビティ面に接する円板状のセラミックの台座部材31と、発熱体としての円板状のプリントヒーター32と、円板状のセラミックの表層部材33とを順に積層した構成とされている。台座部材31、プリントヒーター32および表層部材33は、円板状のものである。表層部材33上にスタンパー205が積層配置される。
可動側ヒータ部210は、固定側ヒータ部203と同様に、発熱体としてのプリントヒーター35を円板状のセラミックの表層部材34および台座部材36でサンドイッチした三層構造とされている。台座部材36が可動側ミラー金型212のキャビティ側の面に取り付けられる。固定側ヒータ部203および可動側ヒータ部210は、スタンパー205とほぼ等しい径(例えば直径120mm)を有する。キャビティ206に樹脂が注入されることによって、スタンパー205の凹凸パターンが転写されたディスク基板37(カバー層に相当する)が成形される。
上述したセラミックヒーターでは、一例として、表層部材33および表層部材34としては熱伝導性に優れた材質例えば窒化アルミが使用され、台座部材31および台座部材36として熱伝導性に劣る材質例えば窒化シリコンが使用される。表層部材33および表層部材34として使用される窒化アルミは、熱放射面が鏡面ラップ加工された、熱伝導率150(RT)( W/m・K) 以上である。表層部材33および表層部材34の鏡面ラップ加工された熱放射面の表面粗度は、Raが0.01μmであり、金型鏡面に一般に使用されるSUS系材料であるSTAVAXのラップ加工品と同等の表面性を有する。
断熱層である台座部材31および台座部材36は、表層部材と同一素材で構成する場合では熱伝導率の悪い材質、または、表層部材と線膨張係数が近く、且つ熱伝導率の悪い異材質が使用される。同一材質の例としての窒化アルミでは、熱伝導率90(RT)(W/m・K)
以下のものが使用される。異材質では、窒化シリコンや炭化シリコンが良い。台座部材31および台座部材36として熱伝導性が劣る材料を使用しているので、同一パワーでヒーターを加熱した時に、台座部材31および台座部材36を加熱する量が少なく、熱伝導性の良いセラミック面側よりも、熱がより多く放散されるため効率がよい。
図4は、プリントヒーター32および35の構成の一例を示す。参照符号41はプリントヒーターを示し、参照符号42は端子を示す。ヒーターパターンは表面を均一な温度に加熱するためにヒーターの線密度を外周域になるほど増加させることが好ましい。パターン形状は面内温度分布を均一にする目的から、同心円形状に限らずスパイラル状、あるいは図4に示すように複数の扇形形状等に分割しても良い。一つの面を構成する発熱体を複数に分割するのは、個々に加わる通電時の電流負荷を分散するためである。
ヒーター材質は、白金単体あるいはその合金をパターン印刷後に焼成した材質を使用しているが、この材質以外のものでも支障はない。また、プリントヒーター32および35がある程度の厚みを有するので、プリントヒーター32および35をサンドイッチする一対のセラミックのいずれか片側に、溝が加工され、この溝にプリントヒーター32および35のパターンを充填することにより接着嵌合し、一対のセラミックの上下平行度を確保するようになされる。
図5は、金型装置を搭載した射出成形機の構成を示す。図5Aに示すように、射出成形機は、成形材料が充填される加熱シリンダ510と、加熱シリンダ510に成形材料を投入するためのホッパー511と、加熱シリンダ510に充填された成形材料を混錬溶融して金型装置に射出するスクリュー514と、スクリュー514を駆動する油圧モータ512および油圧シリンダ513と、型締めする型締めシリンダ515と、加熱シリンダ510の一端に設けられ、金型装置への射出口となるノズル516と、固定側金型517および可動側金型518と、固定側ダイプレート519と、可動側ダイプレート520とを備えている。
図5Bは、図5Aで示した射出成形機の平面図である。参照符号521〜523は温調機を示し、温調機は温調配管ホース524を介して射出成形機と連結している。温調機521は、可動側温調機であり、温調機522は固定側温調機であり、温調機523はスプルー温調機である。操作盤525によって射出成形機の動作が制御される。
この発明の一実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。金型装置にセラミックヒーターを設け、セラミックヒーターでキャビティ206表面のみを選択的に任意の温度に加熱することにより、成形時に熱応力や分子配向歪みを無くし、転写性に優れた基板が得られる。また、微細な凹凸信号が転写された光学的に透明な0.1mm厚基板の成形をすることもできる。
また、ガラス基板成形においては、同様に上述したセラミックヒーターを金型装置に設けることにより、金型装置全体を400°C近い高温にせずに微細な凹凸信号を転写することが可能である。
図6は、この発明の他の実施形態による金型装置を示す。他の実施形態は、セラミックヒーターと加熱プレス併用構造のものである。プレス成形装置は、上下動する構造のセラミックヒーターを備える金型からなる。
参照符号601で示す上固定盤に対して、上熱盤602が固定される。上熱盤602に対してセラミックヒーター603および上スタンパー604が積層され、外周リング605によって固定される。
下固定盤611に対して下熱盤610が取り付けられ、下熱盤610に対してガイドピン607が立設される。ガイドピン607に中心穴を通すように、セラミックヒーター609、スタンパー608およびガラスまたはプラスチック円板606が順に積層される。
セラミックヒーター603および609のそれぞれの構成は、上述した一実施形態におけるセラミックヒーターと同様である。上熱盤602および下熱盤610がプレス機の熱盤ヒーターによって、常時一定温度で、金型全体を加熱し、キャビティを構成する近傍のみをセラミックヒーター603および609によって選択的に加熱する。参照符号612は、油圧ラムを示す。
例えば、ガラス転移点285°Cである低融点ガラスの成形においても、微細な信号を転写するには、スタンパーやキャビティの表面温度を350°C前後にするために、金型全体を350°C以上にする必要がある。しかしながら、金型、型内摺動部品およびシール材等を350°C前後温度に加熱すると、SUS系の金型材料でも錆で機能しなくなる上、高温下でシールできる材質もない。仮にディスクを成形することができたとしても、図9で示したように、スタンパーも酸化劣化してディスクノイズが増加する。
このため、図6に示す成形機本体を上下熱盤で常時加熱温度を100〜200°Cと低くし、セラミックヒーターで、例えば370°Cの成形温度まで部分的に短時間に加熱することにより、金型装置全体が加熱されることがなく、また加熱する時間が短時間であるため、酸化劣化や腐食が生ぜず、従来の金型部品やシール剤の利用が可能である。
しかも、従来の常時、金型装置全体を加熱する場合に見られたような、金型装置外の熱盤部よりの輻射熱や放熱により装置全体が加熱され、酸化劣化や熱による上下プレートの平行度の狂いやワークの出し入れに際し熱によるハンドリングに支障を及ぼすことがない。
図7は、この発明の一実施形態による金型装置のセラミックヒーターをON、OFFにしたときのニッケルスタンパーの表面温度の時間変化の一例を示す。図7の特性は、図6の成形装置の上熱盤602、下熱盤610に固定されていて熱盤の加熱や金型内に冷却水を流さないオープンな状態で測定した結果得られたデータである。図8は同じく下記実施例の実際の射出成形金型で金型全体を80°Cに温調した状態でセラミックヒーターが金型上に固定された状態でのヒーター昇温特定で一定温度で温調されているためセラミックヒーターの冷却効率が高い。
セラミックヒーター:表層部材33および表層部材34は、熱伝導率200W、厚さが4.0mmである鏡面仕上げされた窒化アルミからなり、台座部材31および台座部材36は、熱伝導率90W、厚さが3.0mmである窒化アルミからなり、表層部材と台座部材との中間には、図4に示したようにヒーター表面が均一温度になるようにパターンニングされた白金系の発熱体が設けられ、それぞれがセラミックないしはガラス系接着剤で接着されている構造のヒーターを使用。また、他の例として、台座部材31および台座部材36の熱伝導率を40W(窒化シリコン)のヒーターを使用。
コンプレッション成形装置について説明する。
成形機:300KN油圧自動プレス機(株 渡辺機械製作所)
図6に示すように、上下加熱盤602、610および上下冷却加熱盤601、611がプレス機本体600に取り付けられ、油圧ラム612と一体になった下部本体600が上下に駆動される装置。
上熱盤602と下熱盤610には図示しない通常の市販ヒーターが組み込まれ80°C前後に一定温度に保持される。
上下熱盤602、610よりの熱で成形機本体600の平行度や面精度等のくるいを防止するために、それぞれには冷却盤601、611が設けられており、この冷却盤には20°C前後の冷却水が常時流れて成形機本体を一定温度に保っている。
金型:図6に示すように、冷却媒体を使用しない金型構造であり、上熱盤602には上セラミックヒーター603、さらには上スタンパー604が順次固定されている。
同様に下熱盤610には下セラミックヒーター609、そして下スタンパー608が固定されている。
この上下のセラミックヒーターとスタンパーは、下のガイドピン607でガイドされ、プレス上昇時に上下のスタンパーとセラミックヒーターがガイドピン607で嵌合する構造である。
上下スタンパー604、608は、内外径近傍を図示しない真空機構でそれぞれ吸引固定されている。
外周リング605は、加圧成形時にディスクの外径を規定するものであり、ディスクの厚さは、上下の金型本体613で規定される。
上述したセラミックヒーターを図6で示す温調されていない上下熱盤602、610に固定し、図示しないコントローラーによって、220Vの電圧を3.0秒間通電し、固定側ヒータ部に真空クランプされた0.4mm厚のニッケルスタンパー上のKタイプ熱電対の温度を記録したのが図7に示す特性である。つまり、図7は、ニッケルスタンパーの大気中での昇温・冷却曲線を示す。図7において、t1がセラミックヒーターがONされる期間であり、t2がセラミックヒーターがOFFされる期間である。スタンパーの表面温度が最高値となる時点の前後の期間t3で、樹脂或いはガラス円板がキャビティ内で加圧圧縮される。
参照符号71は、台座部材31および台座部材36が伝導率90W(窒化アルミ)のヒーターを使用した場合のスタンパーの温度変化を示し、参照符号72は、台座部材31および台座部材36が伝導率40W(窒化シリコン)のヒーターを使用した場合のスタンパーの温度変化を示す。
同じく図8は80°Cの一定温度で温調した射出成形金型の場合の台座部材36が伝導率90W(窒化アルミ)のヒーターを使用したスタンパーの温度変化を示し、セラミックヒーターをONにした時のスタンパー205の表面温度は、ヒーター容量と通電量にもよるが、例えば220Vでt1(=3.3)秒間加熱すると、金型と同じ温度である80°Cから360°C近くまで昇温し、ヒーターをOFFすると、スタンパー205の表面温度は、金型内の循環液体媒体による冷却と大気中への放熱とにより急速に冷えて、10秒程度で元の金型温調温度80°C近くに戻る。
このように、100°C以下の温度に金型全体を温調した状態で、セラミックヒーターをONにすると、200V以上で3秒間強加熱程度、スタンパー205の表面温度が成形機シリンダー内の樹脂溶融温度とほぼ同じでか、それ以上の温度である300°C以上に昇温し、ヒーター電源をOFFすると急速に冷却することができ、金型全体を常時高い温度に加熱せずに微細な凹凸信号を転写することが可能である。
図7の参照符号71と参照符号72とを比較すると、台座部材の窒化シリコンの熱伝導率が窒化アルミ90Wに比べ35Wと蓄熱性があり、ヒーターOFF後の冷却特性が窒化アルミに比して悪いことが分かる。冷却特性は悪いが、投入パワーが少なくて済み、ガラスのコンプレッション成形等では急冷されることはなく金型内でアニールすることによって冷却ひずみを除去できる利点がある。
ファインセラミックの複数の例についての特性を下記の表1および表2に示す。この表から窒化アルミの熱伝導率が高いことが分かる。
Figure 2006026967
Figure 2006026967
射出成形法による1.1mm厚基板の成形に関する実施例を以下に記載する。
金型:冷却媒体として水等の冷却媒体を用いる図2に示す構成の金型構造であり、金型全体が温調溝204および温調溝211により80°C前後に常時一定温度に保持され、金型本体の表面には、固定側ヒータ部203が固定され、固定側ヒータ部203上にはニッケルスタンパー205が真空固定されているものを使用。
成形機:最大型締め圧が40トンであるディスク仕様の射出圧縮成形機(日精樹脂工業製MO40H)を使用。
樹脂:ST3000(帝人化成:Tg点143°C)またはAD5503S(帝人化成:Tg点145°C)但し、測定時では樹脂を注入しない。
樹脂溶融温度:350°C
冷却時間:14sec
ヒーター:図8に示す特性101を得るためのものと同様のヒーターを使用。
金型装置:図2に示す金型装置を使用。固定側金型部213、可動側金型部214に一対のセラミックヒーターが固定され、固定側にはスタンパー205が固定されている。金型本体はチラーを経由した冷媒を温調溝より金型本体に供給して80°C以下の一定温度にスタンパー205やキャビティ206表面を冷却する。
表層部材33および表層部材34の窒化アルミの熱伝導率は200Wであり、台座部材31および台座部材36の窒化アルミの熱伝導率は90Wであるヒーターを用い、220V、通電時間3.3秒でスタンパー205の表面温度は、図8に示すように、80°Cから360°Cまで上昇した。通電して2〜4秒後のスタンパー205の表面温度が樹脂のガラス転移点以上である260°C以上の時に樹脂を金型内に充填し、ディスク基板を得た。
基板の射出成形の成形プロセスは、以下の通りである。
成形機より冷却完了または金型開の信号で遅延タイマーが作動し、金型開→基板取り出し→金型閉の間の任意時間にセラミックヒーターをONさせキャビティ206およびスタンパー205表面の加熱を開始する。
金型開→ディスク取り出し→金型閉→射出開始まで約1.5〜3.0秒間要するので、その間加熱して表面温度を260°C以上好ましくは300°C以上にする。
次に成形機シリンダー内で350°C(ノズル温度は300〜365°C)前後に加熱されたPC(ST3000)の射出速度を段階的に200mm/sec 〜50mm/sec に減速して、キャビティ206内に溶融樹脂を射出する。この時、金型は射出前0.2〜0.3mm金型が開いていて樹脂が射出されながら金型が締まる型開射出圧縮成形法を取った。この成形法は、金型内ゲート0.2〜0.3mmのままだと射出された溶融樹脂がゲート通過時に樹脂流動疎外を防止する為に充填時のみゲートを広げるのが目的である。
射出終了と共に、セラミックヒーターをOFFにし、冷却を14秒行い80°Cの温度で凸クランプ部を真空吸着して、信号部0.1mm厚でクランプ部0.3〜0.8mm厚のディスク基板を取り出した。
この発明の他の実施形態による低融点ガラスを用いたコンプレッション成形法によるガラスディスクの成形の実施例は以下の通りである。
金型装置:図6に示した構造の金型装置を使用。
ヒーター:表層部材33および表層部材34は、直径75mm、厚さ3.0mmであり、熱伝導率200Wの窒化アルミFAN−200からなる。台座部材31および台座部材36は直径100mm、厚さ4.0mmであり、熱伝導率35Wの窒化シリコンであるSN−55からなる。これらの窒化アルミと窒化シリコンとの間には白金系の発熱体がサンドイッチされた構造のものを使用。
低融点ガラス円板:ガラス転移点285°C、屈服点310°C、屈折率nd≒1.50である低融点ガラス、K−PG325(住田光学ガラス製)を使用。
図6の上熱盤602および下熱盤610には、キャビティを構成する上下外周リング605で固定された、上下に分割されたセラミックヒーター603およびセラミックヒーター609は、射出成形金型と同様に、図3で示すように、表層部材33および表層部材34として窒化アルミ、台座部材31および台座部材36として4.0mm厚の熱伝導率40Wの窒化シリコンからなり、その中間に白金系発熱体がパターンニングされセラミック系接着剤で接着されたヒーター32を図6で示すコンプレッション成形機の上熱盤602および下熱盤610に取り付けられている。上熱盤602および下熱盤610は、通常のカートリッジヒーターなどにより、成形材料の熱変形温度以下に、常時一定の温度に加熱保持する。
コンプレッション成形法によるガラスディスク成形のプロセスは以下の通りである。
上記低融点ガラスでできた、内外形が所望形状に近く、厚さが所望の厚さより若干厚い(100μm以内)、両面Ra=10μm程度に梨地加工されたガラス円板を準備する。
上熱盤602および下熱盤610を、ガラス転移点以下の150°C前後に常時加熱保持し、上固定盤601および下固定盤611には、熱盤からの熱で上下の平行が狂わないように、循環冷媒で常温近くに全体を常時冷却する。
低融点ガラス円板606を金型内のセンターガイドピン607をガイドに挿入する。この時予めガラス円板を別の乾燥炉等で事前に金型温度以下の例えば120°Cの温度で予備加熱させておくことが望ましい。これは高温金型内に常温のガラスを挿入すると内外熱膨張歪みでガラス円板が割れるのを防止すると共に予熱時間を短縮するためである。
油圧ラム612を上昇させ、上下金型が接触する0.5〜1.0mmの位置で停止させ、キャビティ内に窒素ガスを流しながら、ガラス円板606を150°C前後の均一温度に全体を保持させる。
コントローラーより、セラミックヒーター603およびセラミックヒーター609に、160Vで20秒間通電しスタンパーの表面温度を300°Cの温度に固定保持しガラス円板を充分予熱軟化させる。さらに200Vで6秒間通電し、スタンパーの表面温度を380°Cとする。
油圧ラム612をさらに上昇させ、金型を閉じる直前で窒素ガスの供給を止め、且つキャビティ内を真空にする。
20〜30KNの圧力で、型締めを行うと同時に、ヒーター通電をOFFにし、加圧を2秒間行い、そのまま停止させると圧力はクリープ現象で徐々に低下し金型内応力が緩和される。
基板上に信号転写を行う際の加圧は、金型内のガラス基板全体が溶融する必要はなく、ガラス基板表層が溶融する程度でよい。
その後、金型温度が150°C近くになった段階で、油圧ラム612を下降させ、金型よりディスクを取り出す。
台座部材として熱伝導率の悪い窒化シリコン等のセラミック部材を用いると、通電OFF後の冷却曲線が除冷になるので、ガラス基板成形ではガラス内部の熱歪みをアニールする効果がある。台座部材の熱伝導率が150W以上であると急冷になり、取り出し時に基板が割れやすくなる。
以上説明したこの発明の一実施形態および他の実施形態は、以下の効果を奏する。
1)金型内スタンパーやキャビティー表面温度を樹脂注入前に、成形樹脂のガラス転移点以上成形機ののシリンダー溶融温度以内の任意温度に昇温することにより、金型内樹脂流動抵抗を下げて樹脂を充填固化させることにより、従来の一定金型温度の温調では樹脂が流動粘度(抵抗)を増しながらの固化が避けられ、分子配向による光学歪みや熱応力によるスキュー等を極端に低減できる。
2)樹脂注入後ヒーターをOFFすることにより金型温度を熱変形温度以下の低温で取り出し可能になり一定温度の温調による金型では不可能であったスキュー等反り変形の少ない基板が射出成形で可能となった。
3)信号が転写した0.1mm厚基板が射出成形で得られることによりBDディスクに見られるキャストフィルムや押し出しフィルムからの円板打ち抜き行程や抜きカスが必要なくなり、材料費の無駄やフィルムよりも低コストでDVD等の従来の製造装置を利用できる。
4)BDディスクでも多層構造例えば2層ROM等のディスク作成では、フィルム使用する方法では、フィルム上に熱プレスで直接或いは2P法で間接的に信号入り0.1mm厚基板を作り円盤状に打ち抜いて使用せねばならなかった等の多くの行程を省略することができ、工程も簡略化できる。
5)0.1mm厚基板を用いる例えばBD2層構造にあって、フィルムを使用する生産プロセス工程間の吸着式によるハンドリングでは、0.1mm厚円板の腰が無く変形を伴ったり積み重ねスタックするにもスぺーサーを必要したが、射出成形基板ではハンドリングに使用する中心部のクランプ部板厚を厚くし、1層目をその分薄くして2層構造にした時全厚さを1.2mmにでき、信号部を0.1mm厚にクランプ部を厚くすることで生産工程のハンドリングを良くできる。
6)信号をエンボスしたガラス基板成形にあっては低融点ガラスといえどもスタンパーを含む金型全体を400℃近い温度にしないと微細凹凸信号転写が得られない。このため、酸化劣化による信号劣化や金型腐食が発生していたが、セラミックヒーター部の局所加熱故に金型全体が400℃にすることを必要とせず腐食することも無い。
7)金型内キャビティー部位にセラミックヒーターを用いて金型全体温度とは別に部分的に昇温できることにより多点ゲートの成型品でウエルドが出易い部位にこのセラミックヒーターを用いることでウエルドレスの成形品が得られる。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、この発明は、読み出し専用型の光ディスク以外に書き換え可能な光ディスクまたは追記型光ディスクに対しても適用できる。その場合では、微細凹凸パターンとして、ピットではなく、溝が形成される。また、上述の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
この発明を適用できる2層構造ディスクを示す斜視図および一部拡大断面図である。 この発明の一実施形態による外部加熱媒体併用金型装置の断面図である。 この発明の一実施形態におけるセラミックヒーター構造および位置関係を示す斜視図である。 この発明の一実施形態におけるセラミックヒーターのプリントヒーターのパターンを示す略線図である。 この発明の一実施形態による金型装置を搭載した射出成形機の模式図および平面図である。 この発明を加圧・加熱プレス機に適用した他の実施形態の断面図である。 この発明の一実施形態におけるNiスタンパーの大気中で昇温曲線および冷却曲線の一例を示すグラフである。 この発明の一実施形態におけるNiスタンパーの大気中で昇温曲線および冷却曲線の他の例を示すグラフである。 Niスタンパーに酸化劣化が生じて、ディスクの低周波数域のノイズが発生することを説明するためのグラフである。
符号の説明
31、36・・・台座部材
32、35・・・プリントヒーター
33、34・・・表層部材
203・・・固定側ヒータ部
205・・・スタンパー
206・・・キャビティ
210・・・可動側ヒータ部
603、609・・・セラミックヒーター

Claims (13)

  1. キャビティ内に溶融樹脂を注入してスタンパーの凹凸パターンが転写された基板を成形する成形装置において、
    接離自在で、互いに対向する面を有する可動側ミラー金型および固定側ミラー金型と、
    上記可動側ミラー金型および固定側ミラー金型の温度を制御する温調手段と、
    上記可動側ミラー金型および固定側ミラー金型の対向するそれぞれの面に取り付けられた可動側ヒータ部および固定側ヒータ部と、
    上記可動側ヒータ部および固定側ヒータ部の一方の面に固定されたスタンパとを備え、
    上記可動側ヒータ部および固定側ヒータ部は、それぞれ非導電性のセラミックからなる第1および第2の部材で発熱体が挟まれた構成とされ、
    上記第1および第2の部材の内の一方の部材が上記可動側ミラー金型および上記固定側ミラー金型と接触する面を有し、
    上記第1および第2の部材の内の他方の部材が上記キャビティーまたは上記スタンパーと接触する面を有することを特徴とする成形装置。
  2. 請求項1において、
    上記発熱体に対する通電をON,OFFすることにより、上記キャビティー表面部位を金型本体温度とは別に加熱することを特徴とする成形装置。
  3. 請求項1において
    上記他方の部材のキャビティーまたは上記スタンパーと接触する面が鏡面加工仕上げされたことを特徴とする成形装置。
  4. 請求項3において
    上記鏡面加工仕上げは、表面の粗さがRa0.1μm以下とするものであることを特徴とする成形装置。
  5. 請求項1において
    上記一方の部材の熱伝導率が上記他方の部材の熱伝導率に比して低いことを特徴とする成形装置。
  6. 請求項5において、
    上記一方の部材は、熱伝導率が90(RT)(W/m・ k)以下の熱伝導性が悪い部材であり、
    上記他方の部材は、熱伝導率が150(RT)(W/m・ k)以上の熱伝導性に優れた部材であることを特徴とする成形装置。
  7. 請求項5において、
    上記一方の部材が窒化シリコンであり、上記他方の部材が窒化アルミであることを特徴とする成形装置。
  8. 請求項1において、
    上記発熱体は、一つの面を構成する発熱体が複数に分割され、
    上記第1および第2の部材の一方に、溝が形成され、上記溝に上記発熱体を配置することを特徴とする成形装置。
  9. キャビティ内に溶融樹脂を注入してスタンパーの凹凸パターンが転写された基板を成形する成形方法において、
    接離自在で、互いに対向する面を有する可動側ミラー金型および固定側ミラー金型の温度を50℃以上で且つ成形材料の熱変形温度以下の一定温度に制御する工程と、
    上記可動側ミラー金型および固定側ミラー金型の対向するそれぞれの面に取り付けられた可動側ヒータ部および固定側ヒータ部をONする工程と、
    キャビティを構成する表面の温度をガラス転移点以上に加熱した状態で、樹脂を注入する工程と、
    上記可動側ヒータ部および固定側ヒータ部をOFFする工程とからなる成形方法。
  10. 請求項9において、
    上記可動側ヒータ部および固定側ヒータ部をON、OFFする指令は、金型装置の動作信号と同期するようになされ、
    金型開の指令からディスク取出し→金型閉→樹脂射出充填まで上記可動側ヒータ部および固定側ヒータ部がONし、
    冷却開始指令から冷却終了まで上記可動側ヒータ部および固定側ヒータ部がOFFすることを特徴とする成形方法。
  11. 射出成形法で作成されるディスク基板を有する光ディスクにおいて、
    中心穴の周囲の第1の領域の厚みが上記第1の領域の外周側の第2の領域より小とされた第1の基板と、
    中心穴の周囲の第3の領域の厚みが上記第3の領域の外周側の第4の領域の厚みに比して大とされた第2の基板と、
    上記第2の領域と上記第4の領域の対向する面の境界に形成された情報層とからなり、
    上記情報層を挟んで上記第1および第2の基板を貼り合わせた厚みが一定とされた光ディスク。
  12. 請求項11において、
    上記第3の領域の厚みが0.3〜0.8mmで、上記第4の領域の厚みが0.1mmで、光ディスクの厚みが1.2mmである光ディスク。
  13. 請求項11において、
    上記情報層が2以上である光ディスク。
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