JP2006013247A - 積層型電子部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スタック性(積層時の接着性)が高く、電極層を良好かつ高精度に形成することができ、非接着欠陥(ノンラミネーション)およびショート不良率を低減することができ、コストが安価な積層セラミックコンデンサなどの積層型電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 電極層を支持シート上に形成する前に、支持シート上に、誘電体を含有する剥離層を形成する工程と、電極層を有するグリーンシートの反電極層側表面に接着層を形成し、この接着層を介して、電極層を有するグリーンシートを積層する工程とを含有する積層型電子部品の製造方法。
【選択図】 図3






Description

本発明は、たとえば積層セラミックコンデンサなどの積層型電子部品の製造方法に関し、さらに詳しくは、グリーンシートを極めて薄くした場合においても、スタック性(積層時の接着性)が高く、塗料中の溶剤が原因となるシートアタックを有効に防止し、電極層を良好かつ高精度に形成することができ、非接着欠陥(ノンラミネーション)およびショート不良率を低減することができ、かつ、コストが安価な積層型電子部品の製造方法に関する。
近年、各種電子機器の小型化により、電子機器の内部に装着される電子部品の小型化および高性能化が進んでいる。電子部品の一つとして、積層セラミックコンデンサがあり、この積層セラミックコンデンサも小型化および高性能化が求められている。
この積層セラミックコンデンサの小型化および高容量化を進めるために、誘電体層の薄層化が強く求められており、最近では、焼成後に誘電体層を形成することになる誘電体グリーンシートの厚みも数μm以下に薄層化されている。
誘電体グリーンシートを製造するには、通常、まず誘電体粉末、バインダ、可塑剤および有機溶剤(トルエン、アルコール、MEKなど)からなるグリーンシート用塗料を準備する。次に、このグリーンシート用塗料を、ドクターブレード法などによりPETなどのキャリアフィルム上に塗布し、乾燥させて製造する。
また、近年、誘電体粉末とバインダが溶媒に混合されたセラミック懸濁液を準備し、この懸濁液を押出成形して得られるフィルム状成形体を二軸延伸して製造することも検討されている。
前述のセラミックグリーンシートを用いて、積層セラミックコンデンサを製造する方法を具体的に説明すると、誘電体グリーンシート上に、金属粉末とバインダを含む内部電極用ペーストを所定パターンで印刷し、乾燥させて内部電極パターンを形成する。次に、前記誘電体グリーンシートからキャリアシートを剥離し、これらを複数、積層したものをチップ状に切断してグリーンチップとする。次に、このグリーンチップを焼成した後、外部電極を形成して製造する。
ところが、内部電極用ペーストを、グリーンシート上に直接印刷すると、内部電極用ペースト中の溶剤がグリーンシート中に染み込んでしまい、いわゆるシートアタックという現象が生じてしまう。この溶剤の染み込みによるシートアタックは、グリーンシートのピンホール発生の原因となるとともに、短絡不良の原因となる場合が多い。特に、誘電体グリーンシートをきわめて薄く形成した場合には、このシートアタックの影響が顕著になるため、シートの層間厚みの薄層化が困難であった。
これに対して、下記の特許文献1〜4では、内部電極パターンを支持シートに形成した後に乾燥させ、乾式タイプの電極パターンを別に準備している。そして、この乾式タイプの電極パターンを、各誘電体グリーンシートの表面、あるいは誘電体グリーンシートの積層体の表面に転写する内部電極パターン転写法が提案されている。
ところが、この特許文献1〜4に示す技術では、特にグリーンシートの厚みが薄い場合に、電極パターン層をグリーンシートの表面に良好に接着して高精度に転写することはきわめて困難であり、また、転写工程においては、誘電体グリーンシートが部分的に破損してしまいショート不良が発生するという問題があった。さらに、上記の特許文献1〜4のように、電極パターン層を形成したグリーンシートを、直接に積層すると、内部電極形成面とグリーンシート面との間における接着力が不十分となり、接着不良が発生してしまうという問題もあった。
あるいは、上述のシートアタックの問題を解決するために、PETフィルムなどの支持シート上に、内部電極ペーストを用いた印刷法により直接に電極層を形成し、この電極層の表面にグリーンシートを形成する方法も提案されている。しかしながら、この場合においては、支持シート上に内部電極ペーストを直接に印刷することとなるため、ペーストのはじきによる電極層の欠陥が生じたり、あるいは、剥離不良が生じるなどの問題があった。
また、接着不良やショート不良の問題を解決するために、たとえば、特許文献5〜7では、内部電極パターンを有するグリーンシートとして、上下両面をグリーンシート層に挟まれた構造を有するグリーンシートを形成し、このグリーンシートを積層する方法が開示されている。これらの文献に記載の方法では、たとえば、所望の厚みの約半分程度となっているグリーンシート層同士を接着し、所望の厚み(1層分の厚み)としている。この方法によると、積層する際には、グリーンシート層同士を接着させることとなるため、各シート間の接着力を向上させることができるとともに、ピンホールに起因するショート不良の低減が可能となる。しかしながら、この方法では、グリーンシート層を所望の厚みの約半分程度、すなわち極めて薄くする必要があるため、グリーンシートのさらなる薄層化への対応が困難であった。
さらに、特許文献8〜13では、内部電極パターンを有するグリーンシートとして、グリーンシート層を2層以上重ねて形成したグリーンシートを使用して、積層する方法が開示されている。これらの文献によると、ショート不良やデラミネーションの発生が抑制できるという旨が記載されている。しかしながら、これらの文献に記載の方法では、グリーンシート自体を薄層化する為には、各グリーンシート層をそれ以上に薄くする必要があるため、グリーンシートのさらなる薄層化への対応が困難であった。
特に、これらの文献では、数μm程度の厚みを有するグリーンシート層を2層以上重ねて形成したグリーンシートを使用している。すなわち、特許文献5,6では2〜3μm程度のグリーンシート層を2〜3層、特許文献7,8では6〜7μm程度のグリーンシート層を2層、特許文献9,10では3〜3.4μm程度のグリーンシート層と0.6〜1μm程度のグリーンシート層を重ねて形成している。そのため、これらの文献では、薄層化への対応は困難である。
特開昭63−51616号公報 特開平3−250612号公報 特開平5−159966号公報 特開平7−312326号公報 特開平7−297073号公報 特開2004−103983号公報 特開2004−119802号公報 特開平10−50552号公報 特開平11−144992号公報 特開平8−37128号公報 特開平5−101970号公報 特開2003−264120号公報 特開2003−272947号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、グリーンシートを極めて薄くした場合においても、スタック性(積層時の接着性)が高く、塗料中に含有される溶剤によるシートアタックを有効に防止し、電極層を良好かつ高精度に形成することができ、非接着欠陥(ノンラミネーション)およびショート不良率を低減することができ、かつ、コストが安価な積層セラミックコンデンサなどの積層型電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、電極層を支持シート上に形成する前に、支持シート上に、誘電体を含有する剥離層を形成する工程と、電極層を有するグリーンシートの反電極層側表面に接着層を形成し、この接着層を介して、電極層を有するグリーンシートを積層する工程とを採用することで、本発明の目的を達成することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の積層型電子部品の製造方法は、
第1支持シート上に電極層を形成する工程と、
前記電極層の表面にグリーンシートを形成し、電極層を有するグリーンシートを得る工程と、
前記電極層を有するグリーンシートを積層し、グリーンチップを形成する工程と、
前記グリーンチップを焼成する工程と、を有する積層型電子部品の製造方法であって、
前記電極層を、誘電体を含有する剥離層を介して、前記第1支持シート上に形成し、かつ、
前記電極層を有するグリーンシートを積層する前に、前記電極層を有するグリーンシートの反電極層側表面に、接着層を形成し、
前記接着層を介して、前記電極層を有するグリーンシートを積層することを特徴とする。
本発明の製造方法では、電極層を有するグリーンシートの反電極層側表面に、接着層を形成し、その接着層を介して、電極層を有するグリーンシートの積層を行いグリーンチップを形成する。そのため、スタック性(積層時の接着性)を向上させ、非接着欠陥(ノンラミネーション)および接着不良を防止することができる。さらに、積層する際に、高い圧力や熱が不要となり、より低圧および低温での接着が可能となり、グリーンシートが極めて薄い場合でも、グリーンシートが破壊されることはなくなり、良好に積層することができる。
しかも、本発明においては、まず、第1支持シート上に電極層を形成し、次いで、この電極層の表面にグリーンシートを形成することにより、電極層を有するグリーンシートを製造する。そのため、内部電極用ペーストをグリーンシート上に直接印刷する際に、特に問題となっていたグリーンシート中への溶剤の染み込み(シートアタック)を有効に防止することができ、ショート不良率の低減が可能となる。また、溶剤の染み込みを防止することができるため、電極層またはグリーンシートの組成に悪影響を与えるおそれがない。
さらに、本発明では、電極層の第1支持シート上への形成を、誘電体を含有する剥離層を介して行う。そのため、電極はじきを有効に防止することができ、電極層の形成を良好に、かつ、高精度に行うことができる。特に、本発明においては、前記剥離層には、粘着性を示さない誘電体が含有されているため、剥離層の粘着力を低下させることができ、剥離強度を低くすることができる。したがって、電極層からの第1支持シートの剥離を、容易かつ良好に行うことができ、また、剥離時に電極層を破損させることもない。なお、本発明において、“電極はじき”とは、たとえば電極ペーストを使用した印刷法などにより、支持シート上に電極層を形成する場合において、電極ペーストが、支持シートからはじかれてしまい、電極層を良好に、あるいは高精度に形成できないことを意味する。
本発明においては、前記グリーンシートは、接着層を用いることなく、前記電極層の表面に形成することができる。前記グリーンシートの形成方法としては、たとえば誘電体ペーストを用いる塗布法などの厚膜形成方法、あるいは蒸着、スパッタリングなどの薄膜法などが挙げられ、特に、ダイコーターを使用したダイコーティング法により、形成することが好ましい。接着層を用いることなく、前記グリーンシートを前記電極層の表面に形成する場合には、製造工程の簡略化や製造コストの低減を図ることができる。しかも、本発明では、その場合でも、電極層を有するグリーンシートの積層を、前記接着層を介して行うため、スタック性(積層時の接着性)を高く保つことができる。
好ましくは、前記接着層の厚みが、0.02〜0.3μm、より好ましくは0.02〜0.1μmである。
本発明においては、デラミネーションおよびクラックの防止という観点より、前記接着層の厚みを上記範囲とすることが好ましい。接着層の厚みが薄すぎると、グリーンシート表面の凹凸よりも接着層の厚みが小さくなり、接着性が著しく低下する傾向にある。また、接着層の厚みが厚すぎると、その接着層の厚みに依存して焼結後の素子本体の内部に隙間ができやすく、クラック発生の起点となったり、その体積分の静電容量が著しく低下する傾向にある。また、グリーンシートに含まれる誘電体粒子の平均粒径よりも厚い接着層を形成すると、その接着層の厚みに依存して焼結後の素子本体の内部に隙間ができやすく、その体積分の静電容量が著しく低下する傾向にある。
好ましくは、前記グリーンシートの厚みが1.5μm以下であり、前記接着層の厚みが、前記グリーンシートの厚みの1/10以下である。また、好ましくは、前記電極層の厚みが1.5μm以下である。本発明によると、グリーンシートおよび電極層を、上記厚みに薄層化した場合においても、スタック性が高く、非接着欠陥およびショート不良率を低減することができる。
さらに、本発明においては、前記グリーンシートと前記電極層との合計の厚みを3.0μm以下とすることが好ましい。本発明は、前記グリーンシートおよび電極層の厚みを、上記範囲とした場合に、特に効果が大きい。
なお、本発明においては、前記接着層、グリーンシートおよび電極層の厚みは、乾燥時の厚みを意味する。
好ましくは、前記グリーンシートは、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体粒子を含み、前記誘電体粒子の平均粒径が、0.3μm以下である。誘電体粒子の平均粒径が大きすぎると、薄いグリーンシートの形成が困難になる傾向にある。
好ましくは、前記グリーンシートは、バインダとして、アクリル系樹脂および/またはブチラール系樹脂を含む。薄いグリーンシートを形成する場合には、このようなバインダを用いることで、薄くても十分な強度を有するグリーンシートを形成することができる。
好ましくは、前記接着層は、前記グリーンシートに含まれるバインダと実質的に同一の有機高分子材料を含む。グリーンチップの脱バインダ時に、バインダが同一条件の脱バインダ処理でチップから除去されるようにするためである。
好ましくは、前記接着層は、可塑剤を含み、その可塑剤は、フタル酸エステル、グリコール、アジピン酸、燐酸エステルの中の少なくとも1つである。この種の可塑剤を所定量で含ませることで、良好な接着性を発揮させることができる。
好ましくは、前記接着層は、帯電除剤を含み、当該帯電除剤は、イミダゾリン系界面活性剤の中の1つを含み、前記帯電除剤の重量基準添加量は、前記有機高分子材料の重量基準添加量以下である。この種の帯電除剤を所定量で含ませることで、静電気防止の効果が得られる。
前記接着層は、誘電体粒子を含んでも良く、その誘電体粒子は、前記グリーンシートに含まれる誘電体粒子の平均粒径と同等または小さい平均粒径を持ち、前記グリーンシートに含まれる誘電体組成と実質的に同一種類の誘電体組成を含むものでも良い。接着層は、焼成後の素子本体の一部となるので、グリーンシートに含まれる誘電体粒子と実質的に同一種類の誘電体粒子が含まれていることが好ましい。なお、接着層は、その厚みを制御する必要があることから、その誘電体粒子の平均粒径は、同等または小さいことが好ましい。
好ましくは、前記接着層に含まれる誘電体粒子の重量基準添加割合は、前記グリーンシートに含まれる誘電体粒子の重量基準添加割合よりも少ない。接着層の接着性を良好に保つためである。
また、接着層、電極層およびグリーンシートには、バインダ樹脂と共に、可塑剤が含まれても良く、可塑剤は、バインダ樹脂100質量部に対して、好ましくは25〜100質量部含まれる。
好ましくは、前記剥離層の厚みは、0.05〜0.2μm、より好ましくは0.05〜0.1μmとする。剥離層の厚みが薄すぎると、剥離層を形成した効果が得られなくなる傾向にある。また、剥離層が厚すぎると、電極層が、第1支持シートから剥がれ難くなってしまい、剥離時に電極層が破損してしまうおそれがある。
本発明においては、前記剥離層は、電極層から第1支持シートを剥離する際に、第1支持シートとともに、電極層から剥離されることが好ましいが、少量程度なら、電極層側に残存しても構わない。なお、この場合においても、その残存している剥離層は、グリーンシートや電極層に比較して十分薄く、しかも、剥離層に含有される誘電体は、焼成後にグリーンシートと同じように誘電体層の一部となるため、問題となることはない。
好ましくは、前記剥離層に含有される誘電体は、前記グリーンシートを構成する誘電体と実質的に同じ誘電体組成を有する。このようにすることで、電極層から第1支持シートを剥離する際に、剥離層の一部が電極層側に付着して残存し、焼成後に誘電体層の一部を形成することになった場合においても、良好に誘電体層を形成することができる。
好ましくは、前記剥離層に含有される誘電体の平均粒径が0.2μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。剥離層を薄層化するためには、剥離層に含有される誘電体も微小化する必要があるためである。なお、本発明においては、平均粒径は、たとえば、レーザー回折法などの光散乱を利用した方法により、体積基準累積50%径(D50径)を測定することにより求めることができる。
好ましくは、前記剥離層はバインダとして、たとえば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体などを含有する。なかでも、支持シートとの親和性の観点より、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂およびエポキシ樹脂から選ばれる1種または2種以上を使用することが好ましい。剥離層中にこれらの樹脂を含有させることで、電極はじきの改善効果が特に大きく、電極層の形成を、より高精度に行うことができる。
本発明において、好ましくは、前記剥離層に含まれる誘電体に対するバインダの含有割合が、前記グリーンシートに含まれる誘電体に対するバインダの含有割合と同等、またはそれよりも低い。また、前記剥離層には、可塑剤が含有されていても良く、好ましくは、前記剥離層に含まれる誘電体に対する可塑剤の含有割合が、前記グリーンシートに含まれる誘電体に対する可塑剤の含有割合と同等または高い。好ましくは、前記剥離層に含まれる誘電体に対する離型剤の含有割合が、前記グリーンシートに含まれる誘電体に対する離型剤の含有割合よりも高い。
本発明においては、たとえば前記接着層の接着力を、前記剥離層の粘着力よりも強くすることにより、前記第1支持シートを、選択的かつ容易に剥離することができる。
好ましくは、前記電極層は、前記剥離層の表面に所定パターンで形成され、前記電極層が形成されていない前記剥離層の表面には、前記電極層と実質的に同じ厚みの余白パターン層が形成され、前記余白パターン層が、前記グリーンシートと実質的に同じ材質で構成してある。すなわち、本発明においては、あらかじめ剥離層上に電極層と余白パターン層とを形成しておくことにより、グリーンシートの表面に所定パターンの電極層、およびそれと相補的なパターンを有する余白パターン層が形成されるようにすることが好ましい。
電極層が形成されていない部分に余白パターン層を形成することで、所定パターンの電極層による表面の段差が解消される。そのため、グリーンシートを多数積層し、加圧しても、積層体の外面が平面に保たれると共に、電極層が平面方向に位置ズレすることなく、しかも、電極層がグリーンシートを突き破ることによる短絡の発生を防止することもできる。なお、本発明において、余白パターン層とは、電極層と相補的なパターンで形成されている誘電体層を意味する。
好ましくは、前記電極層を有するグリーンシートを積層する前に、前記電極層を有するグリーンシートから前記第1支持シートを剥離し、
前記第1支持シートを剥離した状態で、前記電極層を有するグリーンシートの電極層側表面を、他のグリーンシート上に積層する。
あるいは、前記第1支持シートを有する状態で、前記電極層を有するグリーンシートの反電極層側表面を、他のグリーンシート上に積層し、
前記電極層を有するグリーンシートを積層した後に、前記電極層を有するグリーンシートから前記第1支持シートを剥離することが好ましい。
本発明においては、前記接着層を、転写法、あるいは塗布法により形成することが好ましい。
前記接着層を、転写法により形成する際には、
前記接着層は、最初に第2支持シートの表面に剥離可能に形成され、前記電極層を有するグリーンシートの反電極層側表面に、押し付けられて転写されることが好ましい。
前記接着層を、転写法により形成することにより、接着層の成分の電極層および/またはグリーンシートへの染み込みを有効に防止することができる。そのため、電極層および/またはグリーンシートの組成に悪影響を与えるおそれがない。さらに、接着層を薄く形成した場合でも、接着層の成分が電極層および/またはグリーンシートへ染み込むことがないため、接着性を高く保つことができる。
あるいは、前記接着層を、塗布法により形成する際には、
前記接着層は、ダイコーティング法により、前記電極層を有するグリーンシートの反電極層側表面に、直接、塗布して形成されることが好ましい。
前記接着層を、ダイコーターを使用したダイコーティング法で形成することにより、転写法により接着層を形成する場合と比較して、PETフィルムの使用量を削減することができるとともに、接着層形成に要する時間を短縮することができ、工程のリードタイムおよびタクトの改善が可能となる。
本発明により製造される積層型電子部品としては、特に限定されないが、たとえば積層セラミックコンデンサ、積層インダクタ素子などが例示される。
また、本発明において、電極層とは、焼成後に内部電極層となる電極ペースト膜を含む概念で用いる。
本発明によると、電極層を有するグリーンシートの積層を、接着層を介して行うため、グリーンシートを極めて薄くした場合においても、スタック性(積層時の接着性)が高く、非接着欠陥(ノンラミネーション)を低減することができ、かつ、コストが安価な積層セラミックコンデンサなどの積層型電子部品の製造方法を提供することができる。しかも、本発明によると、電極層の第1支持シート上への形成を、誘電体を含有する剥離層を介して行うため、電極はじきを有効に防止することができ、電極層の形成を良好に、かつ、高精度に行うことができる。特に、本発明では、剥離層中に誘電体を含有させることにより、剥離層の剥離強度を低くすることができる。したがって、電極層からの第1支持シートの剥離を、容易かつ良好に行うことができ、また、剥離時に電極層を破損させることもない。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図、
図2(A)〜図2(C)は本発明の一実施形態に係る電極層およびグリーンシートの形成方法を示す要部断面図、
図3(A)〜図3(C)は本発明の一実施形態に係る接着層の形成方法を示す要部断面図、
図4(A)〜図4(C)、図5(A)、図5(B)および図6(A)、図6(B)は本発明の一実施形態に係る電極層を有するグリーンシートの積層方法を示す要部断面図、
図7(A)〜図7(C)および図8(A)〜図8(C)は本発明の他の実施形態に係る電極層を有するグリーンシートの積層方法を示す要部断面図である。
まず、本発明に係る方法により製造される電子部品の一実施形態として、積層セラミックコンデンサの全体構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、コンデンサ素体4と、第1端子電極6と第2端子電極8とを有する。コンデンサ素体4は、誘電体層10と、内部電極層12とを有し、誘電体層10の間に、これらの内部電極層12が交互に積層してある。交互に積層される一方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の第1端部の外側に形成してある第1端子電極6の内側に対して電気的に接続してある。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の第2端部の外側に形成してある第2端子電極8の内側に対して電気的に接続してある。
本実施形態では、内部電極層12は、後で詳細に説明するように、図2に示すように、キャリアシート20上に剥離層22を介して、電極層12aを所定パターンで形成することにより、製造される。
誘電体層10の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムおよび/またはチタン酸バリウムなどの誘電体材料で構成される。各誘電体層10の厚みは、特に限定されないが、数μm〜数百μmのものが一般的である。特に本実施形態では、好ましくは3μm以下、より好ましくは1.5μm以下に薄層化されている。
端子電極6および8の材質も特に限定されないが、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極6および8の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。
積層セラミックコンデンサ2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。積層セラミックコンデンサ2が直方体形状の場合は、通常、縦(0.6〜5.6mm、好ましくは0.6〜3.2mm)×横(0.3〜5.0mm、好ましくは0.3〜1.6mm)×厚み(0.1〜1.9mm、好ましくは0.3〜1.6mm)程度である。
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2の製造方法の一例を説明する。
本実施形態では、まず、図2(A)〜図2(C)に示す方法により、キャリアシート20上に、剥離層22、電極層12a、余白パターン層24およびグリーンシート10aをそれぞれ形成する。
最初に、図2(A)に示すように、キャリアシート20上に剥離層22を形成する。
キャリアシート20としては、たとえばPETフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、シリコン樹脂などがコーティングしてあるものが好ましい。キャリアシート20の厚みは、特に限定されないが、好ましくは、5〜100μmである。
剥離層22は、誘電体粒子を含有し、剥離層22に含有される誘電体粒子は、後に詳述するグリーンシート10aを構成する誘電体と実質的に同じ誘電体組成とすることが好ましい。また、この剥離層22は、誘電体粒子以外に、バインダと、可塑剤と、離型剤とを含んでも良い。
剥離層22に含有される誘電体粒子の粒径は、グリーンシートに含まれる誘電体粒子の粒径と同じでも良いが、より小さいことが好ましい。特に、剥離層22の誘電体粒子の平均粒径は、0.2μm以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.1μm以下とする。誘電体粒子の平均粒径が大きすぎると剥離層の薄層化が困難となる。
本実施形態では、剥離層22の厚みは、好ましくは0.05〜0.2μm、より好ましくは0.05〜0.1μmとする。剥離層22の厚みが薄すぎると、剥離層22を形成した効果が得られなくなる傾向にある。また、剥離層22が厚すぎると、電極層12aが、キャリアシート20から剥がれ難くなってしまい、剥離時に電極層12aが破損してしまうおそれがある。
剥離層22の形成方法としては、特に限定されないが、きわめて薄く形成する必要があるために、たとえばワイヤーバーコーターまたはダイコーターを用いる塗布方法が好ましい。剥離層22は、塗布後に、好ましくは、乾燥温度50〜100°C、乾燥時間1〜10分の条件で乾燥される。
剥離層22のバインダとしては、キャリアフィルム20上に良好に形成可能な樹脂であれば特に限定されないが、たとえば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体などが挙げられる。なかでも、支持シートとの親和性の観点より、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂およびエポキシ樹脂から選ばれる1種または2種以上を使用することが好ましい。剥離層22中にこれらのバインダ樹脂を含有させることで、剥離層の強度改善や電極はじきの改善効果が特に大きく、電極層12aの形成を、より高精度に行うことができる。また、誘電体粒子とバインダの含有比率は、特に限定されないが、バインダの含有量は、誘電体粒子に対して、好ましくは12〜50質量%、より好ましくは24〜50質量%とする。
上記アクリル樹脂としては、アクリル酸エステル(たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルなど)およびメタクリル酸エステル(たとえば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸グリシジルなど)の単独重合体やこれらの共重合体などが使用できる。
上記ブチラール樹脂としては、たとえば、ポリビニルブチラールなどが挙げらる。ポリビニルブチラールの重合度およびブチラール化度は、特に限定されないが、通常、重合度は1000〜3600程度、ブチラール化度は63〜77%程度とする。
上記アセタール樹脂としては、たとえば、ポリビニルアセタールなどが挙げらる。ポリビニルアセタールの重合度およびアセタール化度は、特に限定されないが、通常、重合度は1000〜3600程度、アセタール化度は62〜74%程度とする。アセタール樹脂は、比較的高い強度を有するため、好適に用いることができる。
剥離層22のための可塑剤としては、特に限定されないが、たとえばフタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。剥離層22に含まれる可塑剤は、グリーンシート10aに含まれる可塑剤と同じでも異なっていても良い。可塑剤の添加量は、バインダ樹脂に対して、好ましくは20〜200PHR(Parts per hundred Parts of regin)、より好ましくは20〜70PHRとする。
剥離層22のための剥離剤としては、特に限定されないが、たとえばパラフィン、ワックス、シリコーン油などが例示される。剥離層22に含まれる剥離剤は、グリーンシート10aに含まれる剥離剤と同じでも異なっていても良い。
剥離層22を形成する際に使用される溶剤としては、特に限定されず、たとえば、アルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ミネラルスピリット、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ステアリン酸ブチルなどの有機溶剤が用いられる。
可塑剤の含有量は、剥離層22中に、バインダ100質量部に対して、0〜200質量部、好ましくは20〜100質量部、さらに好ましくは20〜70質量部とする。
剥離剤は、剥離層22中に、バインダ100質量部に対して、0〜100質量部、好ましくは2〜50質量部、さらに好ましくは5〜20質量部で含まれることが好ましい。
剥離層22をキャリアシート20の表面に形成した後、図2(B)に示すように、剥離層22の表面に、焼成後に内部電極層12を構成することになる電極層12aを所定パターンで形成する。電極層12aの厚みは、1.5μm以下とすることが好ましい。電極層12aは、単一の層で構成してあってもよく、あるいは2以上の組成の異なる複数の層で構成してあってもよい。なお、本実施形態では、剥離層22上に電極層12aを形成するため、電極はじきを有効に防止することができ、電極層12aの形成を良好に、かつ、高精度に行うことができる。
電極層12aは、たとえば電極ペーストを用いる印刷法などの厚膜形成方法、あるいは蒸着、スパッタリングなどの薄膜法により、剥離層22の表面に形成することができる。厚膜法の1種であるスクリーン印刷法あるいはグラビア印刷法により、剥離層22の表面に電極層12aを形成する場合には、以下のようにして行う。
まず、電極ペーストを準備する。電極ペーストは、各種導電性金属や合金からなる導電体材料、あるいは焼成後に上記した導電体材料となる各種酸化物、有機金属化合物、またはレジネート等と、有機ビヒクルとを混練して調製する。
電極ペーストを製造する際に用いる導体材料としては、NiやNi合金さらにはこれらの混合物を用いる。このような導体材料は、球状、リン片状等、その形状に特に制限はなく、また、これらの形状のものを混合したものであってもよい。導体材料の平均粒子径は、通常、0.1〜2μm、好ましくは0.2〜1μm程度のものを用いればよい。
有機ビヒクルは、バインダおよび溶剤を含有するものである。バインダとしては、例えばエチルセルロース、アクリル樹脂、ポリビニルブチラールなどのブチラール樹脂、ポリビニルアセタールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体などが例示されるが、なかでも、エチルセルロースや、ポリビニルブチラールなどのブチラール樹脂が好ましい。
バインダは、電極ペースト中に、導体材料(金属粉末)100質量部に対して、好ましくは4〜10質量部含まれる。溶剤としては、例えばテルピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン、アセトン、イソボニルアセテート等公知のものはいずれも使用可能である。溶剤含有量は、ペースト全体に対して、好ましくは20〜55質量%程度とする。
グリーンシートとの接着性を改善するために、電極ペーストには、可塑剤または粘着剤が含まれることが好ましい。可塑剤としては、フタル酸ジオクチルやフタル酸ベンジルブチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。可塑剤の添加量は、電極ペースト中に、バインダ100質量部に対して、好ましくは10〜300質量部、さらに好ましくは10〜200質量部である。なお、可塑剤または粘着剤の添加量が多すぎると、焼成前の電極層の強度が著しく低下する傾向にある。また、電極ペースト中には、可塑剤や粘着剤を添加して、電極ペーストの接着性や粘着性を向上させることが好ましい。
剥離層22の表面に、所定パターンの電極ペースト層を印刷法で形成した後、またはその前に、電極層12aが形成されていない剥離層22の表面に、電極層12aと実質的に同じ厚みの余白パターン層24を形成する。余白パターン層24は、後に詳述するグリーンシート10aと同様な材質で構成される。また、余白パターン層24は、電極層12aあるいは、後に詳述するグリーンシート10aと同様な方法で形成することができる。電極層12aおよび余白パターン層24は、必要に応じて乾燥される。乾燥温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜120°Cであり、乾燥時間は、好ましくは5〜15分である。
次いで、図2(C)に示すように、剥離層22上に形成した電極層12aおよび余白パターン層24の表面に、グリーンシート10aを形成する。グリーンシート10aは、焼成後に図1に示す誘電体層10を構成することとなる。なお、本実施形態では、接着層を用いることなく、電極層12aおよび余白パターン層24の表面に、グリーンシート10aを形成することができる。グリーンシート10aを、接着層を用いることなく、電極層12aおよび余白パターン層24上に形成することにより、積層時の接着力を高く保ちつつ、かつ、製造工程の簡略化および製造コストの低減を図ることができる。
グリーンシート10aは、誘電体原料を含有する誘電体ペーストを用いて、ダイコーティング法などにより、電極層12aおよび余白パターン層24の表面に形成される。グリーンシート10aは、好ましくは0.5〜5μm、より好ましくは0.5〜3μm程度の厚みで形成され、電極層12aおよび余白パターン層24上に形成された後に乾燥される。グリーンシート10aの乾燥温度は、好ましくは50〜100°Cであり、乾燥時間は、好ましくは1〜20分である。乾燥後のグリーンシート10aの厚みは、乾燥前に比較して、5〜25%の厚みに収縮する。乾燥後のグリーンシートの厚みは、1.5μm以下が好ましく、さらに、グリーンシート10aは、グリーンシート10aと電極層12aとの合計の厚みが3.0μm以下となるように形成することが好ましい。
グリーンシート10aを製造するための誘電体ペーストは、通常、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
誘電体原料としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。誘電体原料は、通常、平均粒子径が0.3μm以下、好ましくは0.2μm以下の粉末として用いられる。なお、極めて薄いグリーンシートを形成するためには、グリーンシート厚みよりも細かい粉末を使用することが望ましい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いられるバインダとしては、特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などの通常の各種バインダが用いられるが、好ましくは、アクリル樹脂、あるいはポリビニルブチラールなどのブチラール樹脂が用いられる。
また、有機ビヒクルに用いられる有機溶剤も特に限定されず、アルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ステアリン酸ブチルなどの有機溶剤が用いられる。また、水系ペーストにおけるビヒクルは、水に水溶性バインダを溶解させたものである。水溶性バインダとしては特に限定されず、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョンなどが用いられる。誘電体ペースト中の各成分の含有量は特に限定されず、通常の含有量、たとえばバインダは1〜5質量%程度、溶剤(または水)は10〜50質量%程度とすればよい。
誘電体ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、ガラスフリット、絶縁体、帯電助剤などから選択される添加物が含有されても良い。ただし、これらの総含有量は、10質量%以下とすることが望ましい。可塑剤としては、フタル酸ジオクチルやフタル酸ベンジルブチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。バインダ樹脂として、ブチラール樹脂を用いる場合には、可塑剤は、バインダ樹脂100質量部に対して、25〜100質量部の含有量であることが好ましい。可塑剤が少なすぎると、グリーンシートが脆くなる傾向にあり、多すぎると、可塑剤が滲み出し、取り扱いが困難である。
次いで、上記のキャリアシート20とは別に、図3(A)に示すように、第2支持シートとしてのキャリアシート26の表面に接着層28が形成してある接着層転写用シートを準備する。キャリアシート26は、キャリアシート20と同様なシートで構成される。キャリアシート26の厚みは、キャリアシート20と同じ厚みとしても良いし、また異なる厚みとしても良い。
接着層28は、バインダと、可塑剤とを含む。接着層28には、グリーンシート10aを構成する誘電体と同じ誘電体粒子を含ませても良いが、誘電体粒子の粒径よりも厚みが薄い接着層を形成する場合には、誘電体粒子を含ませない方がよい。また、接着層28に誘電体粒子を含ませる場合には、その誘電体粒子の粒径は、グリーンシートに含まれる誘電体粒子の粒径より小さいことが好ましい。
接着層28のためのバインダとしては、たとえば、アクリル樹脂、ポリビニルブチラールなどのブチラール樹脂、ポリビニルアセタールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体からなる有機質、またはエマルジョンで構成される。本実施形態では、上記バインダとして、アクリル樹脂、あるいはポリビニルブチラール等のブチラール樹脂を用いることが、特に好ましい。また、接着層28に含まれるバインダは、グリーンシート10aに含まれるバインダと同じでも異なっていても良いが同じであることが好ましい。
接着層28のための可塑剤としては、特に限定されないが、たとえばフタル酸ジオクチルやフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)などのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。接着層28に含まれる可塑剤は、グリーンシート10aに含まれる可塑剤と同じでも異なっていても良い。
可塑剤は、接着層28中に、バインダ100質量部に対して、0〜200質量部、好ましくは20〜200質量部、さらに好ましくは30〜70質量部で含まれることが好ましい。
接着層28は、さらに帯電除剤を含むことが好ましく、当該帯電除剤は、イミダゾリン系界面活性剤の中の1つを含み、帯電除剤の重量基準添加量は、バインダ(有機高分子材料)の重量基準添加量以下であることが好ましい。帯電除剤の含有量は、接着層28中に、バインダ100質量部に対して、0〜200質量部、好ましくは20〜200質量部、さらに好ましくは50〜100質量部で含まれることが好ましい。
接着層28の厚みは、好ましくは0.02〜0.3μm、より好ましくは0.02〜0.1μmであり、しかもグリーンシートに含まれる誘電体粒子の平均粒径よりも薄いことが好ましい。また、接着層28の厚みが、グリーンシート10aの厚みの1/10以下であることが好ましい。
接着層28の厚みが薄すぎると、接着力が低下し、厚すぎると、その接着層の厚みに依存して焼結後の素子本体の内部に隙間ができやすく、その体積分の静電容量が著しく低下する傾向にある。
接着層28は、第2支持シートとしてのキャリアシート26の表面に、たとえばバーコータ法、ダイコータ法、リバースコータ法、ディップコーター法、キスコーター法などの方法により形成され、必要に応じて乾燥される。乾燥温度は、特に限定されないが、好ましくは室温〜80°Cであり、乾燥時間は、好ましくは1〜5分である。
次いで、図2(C)に示す電極層12aおよび余白パターン層24上に形成されたグリーンシート10aの表面に、接着層28を形成し、図3(C)に示す積層体ユニットU1aを得る。本実施形態においては、接着層28の形成方法として、転写法を採用している。すなわち、図3(A)、図3(B)に示すように、キャリアシート26の接着層28を、グリーンシート10aの表面に押し付け、加熱加圧して、その後キャリアシート26を剥がすことにより、図3(C)に示すように、接着層28を、グリーンシート10aの表面に転写し、積層体ユニットU1aを得る。
接着層28を、転写法により形成することにより、接着層の成分のグリーンシート10a、あるいは電極層12aや余白パターン層24への染み込みを有効に防止することができる。そのため、グリーンシート10a、あるいは電極層12aや余白パターン層24の組成に悪影響を与えるおそれがない。さらに、接着層28を薄く形成した場合でも、接着層の成分が、グリーンシート10a、あるいは電極層12aや余白パターン層24へ染み込むことがないため、接着性を高く保つことができる。
転写時の加熱温度は、40〜100°Cが好ましく、また、加圧力は、0.2〜15MPaが好ましい。加圧は、プレスによる加圧でも、カレンダロールによる加圧でも良いが、一対のロールにより行うことが好ましい。
次いで、電極層12a、余白パターン層24、グリーンシート10a、および接着層28から構成される積層体ユニットを、複数積層することにより、グリーンチップを形成する。積層体ユニットの積層は、図4〜図6に示すように、接着層28を介して、各積層体ユニット同士を接着することにより行う。以下、積層方法について説明する。
まず、図4(A)、図4(B)に示すように、上記にて作製した積層体ユニットU1aから第1支持シート20を剥がす。次に、図4(C)に示すように、積層体ユニットU1aを、外層用のグリーンシート30(電極層が形成されていない10〜30μmの厚みのグリーンシートを、複層積層した厚み100〜200μmの積層体)上に積層する。
本実施形態においては、積層体ユニットU1aは、剥離層22を介してキャリアシート20上に形成されているため、積層体ユニットU1aからのキャリアシート20の剥離を、容易かつ良好に行うことができる。また、剥離時に、電極層12aや余白パターン層24を破損させることもない。なお、剥離層22は、キャリアシート20とともに、積層体ユニットU1aから剥離されることが好ましいが、少量程度なら、積層体ユニットU1a側に残存しても構わない。この場合においても、その残存している剥離層22は、グリーンシート10aや電極層12aに比較して十分薄く、しかも、剥離層22に含有される誘電体は、焼成後にグリーンシート10aと同じように誘電体層10の一部を構成することとなるため、問題となることはない。
次に、図5(A)に示すように、積層体ユニットU1aと同様の方法により作製した別の積層体ユニットU1bを準備する。準備した積層体ユニットU1bから、第1支持シート20を剥がし、図5(B)に示すように、キャリアシート20が剥離された積層体ユニットU1bと、積層体ユニットU1aとを、積層体ユニットU1aの接着層28を介して、接着し、積層する。
次に、図6(A)、図6(B)に示すように、同様にして、積層体ユニットU1b上に、別の積層体ユニットU1cを、積層体ユニットU1bの接着層28を介して、接着し、積層する。そして、この図6(A)、図6(B)に示す工程を繰り返すことにより、複数の積層体ユニットを積層する。次いで、この積層体の上面に、外層用のグリーンシート30を積層し、最終加圧を行い、その後、積層体を所定サイズに切断し、グリーンチップを形成する。なお、最終加圧時の圧力は、好ましくは10〜200MPaとし、また、加熱温度は、好ましくは、40〜100°Cとする。
このグリーンチップは、脱バインダ処理、焼成処理が行われ、そして、誘電体層を再酸化させるため、熱処理が行われる。
脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、内部電極層を構成する導電体材料としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、下記の条件で行うことが好ましい。
昇温速度:5〜300℃/時間、特に10〜50℃/時間、
保持温度:200〜400℃、特に250〜350℃、
保持時間:0.5〜20時間、特に1〜10時間、
雰囲気 :加湿したNとHとの混合ガス。
焼成条件は、下記の条件が好ましい。
昇温速度:50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間、
保持温度:1100〜1300℃、特に1150〜1250℃、
保持時間:0.5〜8時間、特に1〜3時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間、
雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス等。
ただし、焼成時の空気雰囲気中の酸素分圧は、10−2Pa以下、特に10−2〜10−8 Paにて行うことが好ましい。前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にあり、また、酸素分圧があまり低すぎると、内部電極層の電極材料が異常焼結を起こし、途切れてしまう傾向にある。
このような焼成を行った後の熱処理は、保持温度または最高温度を、好ましくは1000℃以上、さらに好ましくは1000〜1100℃として行うことが好ましい。熱処理時の保持温度または最高温度が、前記範囲未満では誘電体材料の酸化が不十分なために絶縁抵抗寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲をこえると内部電極のNiが酸化し、容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にある。熱処理の際の酸素分圧は、焼成時の還元雰囲気よりも高い酸素分圧であり、好ましくは10−3Pa〜1Pa、より好ましくは10−2Pa〜1Paである。前記範囲未満では、誘電体層2の再酸化が困難であり、前記範囲をこえると内部電極層12が酸化する傾向にある。
そして、そのほかの熱処理条件は下記の条件が好ましい。
保持時間:0〜6時間、特に2〜5時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、特に100〜300℃/時間、
雰囲気用ガス:加湿したNガス等。
なお、Nガスや混合ガス等を加湿するには、例えば加温した水にガスを通し、バブリングする装置等を使用すればよい。この場合、水温は0〜75℃程度が好ましい。また脱バインダ処理、焼成および熱処理は、それぞれを連続して行っても、独立に行ってもよい。これらを連続して行なう場合、脱バインダ処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて焼成の際の保持温度まで昇温して焼成を行ない、次いで冷却し、熱処理の保持温度に達したときに雰囲気を変更して熱処理を行なうことが好ましい。一方、これらを独立して行なう場合、焼成に際しては、脱バインダ処理時の保持温度までNガスあるいは加湿したNガス雰囲気下で昇温した後、雰囲気を変更してさらに昇温を続けることが好ましく、熱処理時の保持温度まで冷却した後は、再びNガスあるいは加湿したNガス雰囲気に変更して冷却を続けることが好ましい。また、熱処理に際しては、Nガス雰囲気下で保持温度まで昇温した後、雰囲気を変更してもよく、熱処理の全過程を加湿したNガス雰囲気としてもよい。
このようにして得られた焼結体(素子本体4)には、例えばバレル研磨、サンドプラスト等にて端面研磨を施し、端子電極用ペーストを焼きつけて端子電極6,8が形成される。端子電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じ、端子電極6,8上にめっき等を行うことによりパッド層を形成する。なお、端子電極用ペーストは、上記した電極ペーストと同様にして調製すればよい。
このようにして製造された本発明の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
本実施形態では、非接着欠陥(ノンラミネーション)が比較的問題とならない工程では、接着層を用いることなく積層を行う。しかも、非接着欠陥(ノンラミネーション)が起こりやすい工程では、接着層を介して積層を行う。すなわち、電極層12a上へグリーンシート10aを形成する際には、接着層を用いないため、製造工程の簡略化や製造コストの低減を図ることができる。さらに、電極層12aを有するグリーンシート10aを積層する際には、接着層28を介して積層を行うため、接着性の向上、および非接着欠陥(ノンラミネーション)の低減を図ることができる。そのため、本実施形態の製造方法によると、グリーンシートを極めて薄くした場合においても、接着性を高く保ちつつ、非接着欠陥(ノンラミネーション)を低減することができ、かつ、製造工程の簡略化や製造コストの低減が可能となる。
さらに本実施形態では、まず、キャリアシート20上に、誘電体を含有する剥離層28を形成し、その上に、電極層12a、余白パターン層24およびグリーンシート10aを形成する。そのため、電極層形成時における電極はじきを有効に防止することができ、電極層を良好に、かつ、高精度に形成することができる。特に、本実施形態においては、剥離層22には、粘着性を示さない誘電体粒子が含有されているため、剥離層22の粘着力を低下させることができ、剥離強度を低くすることができる。したがって、電極層12aからのキャリアシート20の剥離を、容易かつ良好に行うことができ、また、剥離時に電極層12aを破損させることもない。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、本発明の方法は、積層セラミックコンデンサの製造方法に限らず、その他の積層型電子部品の製造方法としても適用することが可能である。
また、上述した実施形態では、接着層28を転写法により形成したが、たとえば、ダイコーティング法などにより、グリーンシート10a上に、直接、塗布することにより接着層28を形成しても良い。
また、上述した実施形態では、積層体ユニットU1aのキャリアシート20を剥離せずに、各積層体ユニットを積層したが、図6に示すように、あらかじめ、積層体ユニットU1aからキャリアシート20を剥離して、外層用のグリーンシート30(電極層が形成されていないグリーンシートを複層積層した厚めの積層体)上に、積層体ユニットU1aを形成して、積層しても良い。
すなわち、図7(A)、図7(B)に示すように、まず、外層用のグリーンシート30上に、キャリアシート20を剥離していない積層体ユニットU1aを、接着層28を介して、接着し、積層する。次に、図7(C)に示すように、積層体ユニットU1aからキャリアシート20を剥離する。
次に、図8(A)〜図8(C)に示すように、同様にして、積層体ユニットU1a上に、別の積層体ユニットU1bを、積層体ユニットU1bの接着層28を介して、接着し、積層する。そして、この図8(A)〜図8(C)に示す工程を繰り返すことにより、複数の積層体ユニットを積層する。次いで、この積層体の上面に、外層用のグリーンシートを積層し、最終加圧を行い、その後、積層体を所定サイズに切断し、グリーンチップを形成することができる。
なお、図7、図8に示す工程を採用した場合においては、接着層28の接着力を剥離層22の粘着力よりも強くすることにより、キャリアシート20を、選択的かつ容易に剥離することができるため、特に有効である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
まず、下記の各ペーストを準備した。
グリーンシート用ペースト
まず、添加物(副成分)原料として、(Ba,Ca)SiO:1.48重量部、Y:1.01重量部、MgCO:0.72重量部、MnO:0.13重量部およびV:0.045重量部を準備した。次に、準備したこれらの添加物(副成分)原料を混合し、添加物(副成分)原料混合物を得た。
次いで、上記にて得られた添加物原料混合物:4.3重量部、エタノール:3.11重量部、プロパノール:3.11重量部、キシレン:1.11重量部および分散剤:0.04重量部を、ボールミルを使用して混合粉砕し、添加物スラリーを得た。混合粉砕は、250ccポリエチレン製樹脂容器を用い、2mmφのZrOメディア450gを投入し、周速45m/分および16時間の条件で行った。なお、粉砕後の添加物原料の粒径はメジアン径は0.1μmであった。
次いで、上記にて得られた添加物スラリー:11.65重量部、BaTiO粉末(BT−02/堺化学工業(株)):100重量部、エタノール:35.32重量部、プロパノール:35.32重量部、キシレン:16.32重量部、フタル酸ジオクチル(可塑剤):2.61重量部、ミネラルスピリット:7.3重量部、分散剤:2.36重量部、帯電助剤:0.42重量部、有機ビヒクル:33.74重量部、MEK:43.81重量部および2−ブトキシエタノール:43.81重量部を、ボールミルを使用して混合し、グリーンシート用ペーストを得た。なお、ボールミルによる混合は、500ccポリエチレン製樹脂容器を用い、2mmφのZrOメディア900gを投入し、周速45m/分および20時間の条件で行った。また、上記の有機ビヒクルは、重合度1450、ブチラール化度69%のポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製):15重量部を、エタノール:42.5重量部およびプロパノール:42.5重量部に、50°Cの温度で、撹拌溶解することにより作製した。すなわち、有機ビヒクル中の樹脂含有量(ポリビニルブチラール樹脂の量)は、15重量%とした。
内部電極用ペースト
まず、上記のグリーンシート用ペーストと同様にして、添加物原料混合物を作製した。
次いで、上記にて得られた添加物原料混合物:100重量部、アセトン:150重量部、ターピネオール:104.3重量部、ポリエチレングリコール系分散剤:1.5重量部を混合して、スラリー化し、得られたスラリーを粉砕機(アシザワ・ファインテック(株) 型式LMZ0.6)により粉砕し、添加物スラリーを得た。
なお、スラリー中の添加物の粉砕は、ローターを周速14m/分の条件で回転させ、スラリーをベッセルとスラリータンクとの間を循環させることにより行った。なお、ベッセルには、直径0.1mmのZrOビーズを、ベッセル容量に対して、80%になるように充填し、また、粉砕は、全スラリーのベッセル内での滞留時間が5分となるように行った。なお、粉砕後の添加物のメジアン径は0.1μmであった。
次いで、粉砕後の添加物スラリーについて、エバポレータを用い、スラリー中からアセトンを蒸発させることにより除去し、添加物原料がターピネオールに分散された添加物スラリーを調製した。なお、アセトンを除去した後の添加物スラリー中の添加物原料濃度は49.3重量%であった。
次いで、ニッケル粉末(粒径0.2μm/川鉄工業(株)):100重量部、添加物スラリー:1.77重量部、BaTiO粉末(粒径0.05μm/堺化学工業(株)):19.14重量部、有機ビヒクル:56.25重量部、ポリエチレングリコール系分散剤:1.19重量部、フタル酸ジオクチル(可塑剤):2.25重量部、イソボニルアセテート:32.19重量部およびアセトン56重量部を、ボールミルを使用して混合し、ペースト化した。次いで、得られたペーストを、エバポレータおよび加熱機構を備えた攪拌装置を使用して、アセトンを蒸発させることにより、除去し、内部電極用ペーストを得た。
なお、ボールミルによる混合は、ボールミル中に2mmφのZrOメディアを30容積%、上記各原料の混合物を60容積%充填し、周速45m/分および16時間の条件で行った。また、上記の有機ビヒクルは、70°Cの温度で、分子量13万のエチルセルロース樹脂:4重量部と分子量23万のエチルセルロース樹脂:4重量部とをイソボニルアセテート:92重量部に撹拌溶解することにより作製した。すなわち、有機ビヒクル中の樹脂含有量(エチルセルロース樹脂の量)は、8重量%とした。
次いで、得られた内部電極用ペーストの粘度を、円錐円盤粘度計(HAAKE社製)を用いて、25℃、剪断速度8sec−1における粘度V、および50sec−1における粘度V50を、それぞれ測定した。測定の結果、V=15.5cps、V50=8.5cps、V/V50=1.73であり、印刷法に良好に用いることができる粘度となっていることが確認できた。
余白パターン用ペースト
まず、内部電極用ペーストと同様にして、添加物原料がターピネオールに分散された添加物スラリーを調製した。
次いで、添加物スラリー:8.87重量部、BaTiO粉末(BT−02/堺化学工業(株)):95.70重量部、有機ビヒクル:104.36重量部、ポリエチレングリコール系分散剤:1.0重量部、フタル酸ジオクチル(可塑剤):2.61重量部、イソボニルアセテート:19.60重量部、アセトン57.20重量部、およびイミダゾリン系界面活性剤(帯電助剤):0.4重量部を、ボールミルを使用して混合し、ペースト化した。次いで、得られたペーストを、エバポレータおよび加熱機構を備えた攪拌装置を使用して、アセトンを蒸発させることにより、除去し、余白パターン用ペーストを得た。なお、上記有機ビヒクルとしては、内部電極用ペーストと同じ有機ビヒクルを使用した。すなわち、エチルセルロース樹脂の8重量%イソボニルアセテート溶液とした。
次いで、内部電極用ペーストと同様にして、得られた余白パターン用ペーストの粘度を測定した。測定の結果、V=19.9cps、V50=10.6cps、V/V50=1.88であり、印刷法に良好に用いることができる粘度となっていることが確認できた。
接着層用ペースト
ブチラール樹脂(重合度800、ブチラール化度83%、積水化学工業(株) BM−SH):1.5重量部、MEK:98.5重量部およびDOP(フタル酸ジオクチルおよびフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)の混合溶媒):50重量部を、撹拌溶解することにより接着層用ペーストを作製した。
剥離層用ペースト
剥離層用ペーストの製造は、まず、添加物原料混合物を含有する添加物スラリーを調整し、この添加物スラリー、BaTiO粉末、バインダおよび有機溶剤をボールミルにて混合することにより1次スラリーを調製する。次いで、得られた1次スラリーに、バインダおよび有機溶剤を添加して、ボールミルにて混合し、最後に高分散処理を施すことにより行う。以下、剥離層用ペーストの製造方法について、説明する。
(1)添加物スラリーの調整
まず、上記のグリーンシート用ペーストと同様にして、添加物原料混合物を作製した。
次いで、上記にて得られた添加物原料混合物:4.38重量部、エチルアルコール:3.11重量部、n−プロパノール:3.11重量部、キシレン:1.11重量部およびポリエチレングリコール系分散剤:0.04重量部をボールミルを使用して混合し、添加物スラリーを得た。混合粉砕は、250ccポリエチレン製樹脂容器を用い、2mmφのZrOメディア450gを投入し、周速45m/分および20時間の条件で行った。なお、粉砕後の添加物原料の粒径はメジアン径は0.1μmであった。
(2)1次スラリーの作製
次いで、上記にて得られた添加物スラリー:11.65重量部、BaTiO粉末(BT−02/堺化学工業(株)):100重量部、エタノール:32.2重量部、n−プロパノール:32.2重量部、キシレン:21.3重量部、フタル酸ジオクチル(可塑剤):3.1重量部、ミネラルスピリット:7.3重量部およびポリエチレングリコール系分散剤:1.0重量部を、ボールミルを使用して混合し、スラリー化した。なお、ボールミルによる混合は、1Lのポリエチレン製樹脂容器を用い、2mmφのZrOメディア1.8kgを投入し、周速45m/分および4時間の条件で行った。
次いで、上記のスラリーに、ポリビニルブチラール樹脂(重合度1450、ブチラール化度69%、残留アセチル基量12%)の15%ラッカー(ポリビニルブチラール樹脂を、エタノール:n−プロパノール=1:1で溶解):39.4重量部を追加添加し、さらに16時間混合を行い、1次スラリーを得た。ここにおいて、ポリビニルブチラール樹脂の添加量は、チタン酸バリウムと添加物原料混合物との合計重量に対して、6重量%となるように調整した。なお、このようにして作製された1次スラリーの不揮発分濃度は、41.3重量%であった。
(3)1次スラリーの希釈
次いで、上記の1次スラリーを、ポリビニルブチラール樹脂の含有量が、チタン酸バリウムと添加物原料混合物との合計重量に対して、6重量%、スラリー中の不揮発分濃度が、15重量%となるように、溶剤およびラッカーを使用して、希釈した。本実施例においては、高分散かつ低濃度のスラリーを1工程で製造することが困難であるため、まず、比較的濃度の高い1次スラリーを作製し、次いで、この1次スラリーを希釈することにより、剥離層用ペーストを製造する。
1次スラリーの希釈は、エチルアルコール:207.9重量部、n−プロパノール:207.9重量部、キシレン:73.4重量部を、追加添加し、ボールミルにて混合を行った。なお、ボールミルによる混合は、3Lのポリエチレン製樹脂容器を用いて、周速45m/分および4時間の条件で行った。また、フタル酸ジオクチル(可塑剤)の添加量は、ポリビニルブチラール樹脂に対して、50重量%とした。
(4)高分散処理
上記にて得られたスラリーを湿式ジェットミル((株)スギノマシン製 HJP−25005)を使用して、処理することにより、剥離層用ペーストを作製した。処理条件は、圧力100MPaで、処理回数は、1回とした。
剥離層、内部電極層、余白パターンおよびグリーンシートの形成
以下に示す方法により、図2(C)に示すような、剥離層22を介して、第1支持シート20上に形成された電極層12aおよび余白パターン24を有するグリーンシート10aを製造した。
まず、表面にシリコーン系樹脂による剥離処理を施したPETフィルム(第1支持シート)上に、剥離層を形成した。剥離層の形成は、上記の剥離層用ペーストを、ダイコーターを使用し、塗布速度70m/min.の条件で塗布し、次いで、炉内温度を80℃とした乾燥炉を使用して、乾燥することにより行った。剥離層は、乾燥時の膜厚が0.1μmとなるように形成した。
次いで、PETフィルム上に形成した剥離層の表面に、上記の内部電極用ペーストをスクリーン印刷機により印刷し、90℃および5分の条件で乾燥することにより、所定パターンを有する内部電極層を形成した。内部電極層は、乾燥時の膜厚が1μmとなるように形成した。なお、本実施例においては、内部電極形成時の電極はじきを有効に防止することができ、内部電極層を良好に、かつ高精度に形成することが可能であった。
次いで、剥離層の表面の内部電極層が形成されていない部分に、上記の余白パターン用ペーストをスクリーン印刷機により印刷し、90℃および5分の条件で乾燥することにより、余白パターンを形成した。余白パターンの印刷には、上記内部電極ペーストを印刷する際に使用したパターンと、相補的なパターンとなっているスクリーン製版を使用した。余白パターンは、乾燥時の膜厚が内部電極層と同じ厚みとなるように形成した。
次いで、上記にて形成した内部電極層および余白パターン上に、上記のグリーンシート用ペーストを、ダイコーターにより塗布し、その後、乾燥することにより、グリーンシートを形成した。塗布速度は50m/min.とし、乾燥は、炉内温度を80°Cとした乾燥炉を使用して行った。グリーンシートは、乾燥時の膜厚が1μmとなるように形成した。
接着層の形成、接着層の転写
まず、別のPETフィルム(第2支持シート)を準備し、このPETフィルム上に、上記の接着層用ペーストを、ダイコーターにより塗布し、次いで、乾燥することにより、接着層を形成した。塗布速度は70m/min.とし、乾燥は、炉内温度を80℃とした乾燥炉を使用して行った。接着層は、乾燥時の膜厚が0.1μmとなるように形成した。なお、上記の第2支持シートは、第1支持シートと同様に、表面にシリコーン系樹脂により剥離処理を施したPETフィルムを使用した。
次いで、上記にて作製した電極層12aおよび余白パターン24を有するグリーンシート10a上に、図3に示す方法により、接着層28を転写し、積層体ユニットU1aを形成した。転写時には、一対のロールを用い、その加圧力は、5MPa、温度は、100°Cであり、転写は、良好に行えることが確認できた。
グリーンチップの作製
まず、厚み10μmに成形された複数枚の外層用グリーンシートを、積層時の厚みが約50μmとなるように積層し、焼成後に積層コンデンサの蓋部分(カバー層)となる外層を形成した。積層は、プレス圧力200MPaおよびプレス温度50℃の条件で行った。なお、外層用グリーンシートは、上記にて製造したグリーンシート用塗料を使用し、乾燥後の厚みが10μmとなるように形成したグリーンシートである。
次いで、その上に、図4〜図6に示す方法により、上記にて製造した積層体ユニットを100枚積層した。さらに、その上に、厚み10μmに成形された複数枚の外層用グリーンシートを、積層時の厚みが約50μmとなるように、積層し、焼成後に積層コンデンサの蓋部分(カバー層)となる外層を形成した。そして、得られた積層体を100MPaおよび70°Cの条件でプレス成形を行い、その後、ダイシング加工機によって、切断することにより、焼成前のグリーンチップを得た。なお、本実施例では、焼成前のグリーンチップについて、後に説明する方法により、非接着欠陥(ノンラミネーション)比率の測定を行った。
焼結体の作製
次いで、最終積層体を所定サイズに切断し、脱バインダ処理、焼成およびアニール(熱処理)を行って、チップ形状の焼結体を作製した。
脱バインダは、
昇温速度:50℃/時間、
保持温度:240℃、
保持時間:8時間、
雰囲気ガス:空気中、
で行った。
焼成は、
昇温速度:300℃/時間、
保持温度:1200℃、
保持時間:2時間、
冷却速度:300℃/時間、
雰囲気ガス:露点20℃に制御されたNガスとH(5%)との混合ガス、
で行った。
アニール(再酸化)は、
保持時間:3時間、
冷却速度:300℃/時間、
雰囲気用ガス:露点20℃に制御されたNガス、
で行った。なお、雰囲気ガスの加湿には、ウェッターを用い、水温0〜75℃にて行った。
次いで、チップ形状の焼結体の端面をサンドブラストにて研磨したのち、In−Ga合金ペースストを端部に塗布することにより外部電極を形成し、図1に示す構成の積層セラミックコンデンサのサンプルを得た。
剥離強度の測定
剥離強度の測定は、たとえば図3(B)に示す状態で、キャリアシート20の一端を積層体の平面に対して90度の方向に8mm/min.の速度で引き上げ、その時に、キャリアシート20に作用する力(mN/cm)を剥離強度として測定した。剥離強度を低くすることにより、電極層からの第1支持シートの剥離を、良好に行うことができ、また、剥離時における電極層の破損も有効に防止することができるため、剥離強度は、低いほうが好ましい。また、剥離層の剥離強度の下限については、接着層の剥離強度(4mN/cm程度)より大きいほうが好ましい。結果を表1に示す。
非接着欠陥(ノンラミネーション)比率の測定
上記にて得られた焼成前のグリーンチップのサンプルについて、非接着欠陥(ノンラミネーション)の発生度合いを測定した。測定は、まず、50個のグリーンチップサンプルを、誘電体層および内部電極層の側面が露出するように、2液硬化性エポキシ樹脂中に埋め込み、その後、2液硬化性エポキシ樹脂を硬化させた。次いで、エポキシ樹脂中に埋め込んだグリーンチップサンプルを、サンドペーパーを使用して、深さ1.6mmまで研磨した。なお、サンドペーパーによる研磨は、#400のサンドペーパー、#800のサンドペーパー、#1000のサンドペーパーおよび#2000のサンドペーパーを、この順に使用することにより行った。次いで、サンドペーパーによる研磨面を、ダイヤモンドペーストを使用して、鏡面研磨処理を施した。そして、光学顕微鏡を使用し、この研磨面を、拡大倍率400倍にて、観察し、非接着欠陥の有無を調べた。光学顕微鏡による観察の結果、全測定サンプルに対する、非接着欠陥が発生していたサンプルの比率を、非接着欠陥比率とした。結果を表1に示す。
ショート不良率の測定
ショート不良率は、50個のコンデンササンプルを準備し、ショート不良が発生した個数を調べて測定した。
具体的には、絶縁抵抗計(HEWLETT PACKARD社製E2377Aマルチメーター)を使用して、抵抗値を測定し、抵抗値が100kΩ以下となったサンプルをショート不良サンプルとし、全測定サンプルに対する、ショート不良サンプルの比率をショート不良率とした。結果を表1に示す。
実施例2
接着層の形成を、転写法ではなく、塗布法にて行った以外は、実施例1と同様にして焼成前のグリーンチップおよび積層セラミックコンデンサのサンプルを作製し、実施例1と同様にして、剥離強度、非接着欠陥比率およびショート不良率の測定を行った。
すなわち、実施例2においては、接着層用ペーストを、ダイコーターを使用して、グリーンシート上に直接に塗布し、次いで、乾燥を行うことにより、接着層を形成した。接着層用ペーストは、塗布速度70/min.の条件で塗布し、乾燥は、炉内温度を80°Cとした乾燥炉にて行った。なお、接着層は、乾燥時の膜厚が1μmとなるように形成した。
比較例1
剥離層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして焼成前のグリーンチップおよび積層セラミックコンデンサのサンプルを作製し、実施例1と同様にして、剥離強度、非接着欠陥比率およびショート不良率の測定を行った。
すなわち、比較例1においては、電極層を、剥離層を介すことなく、直接に第1支持シート上に形成した。
Figure 2006013247
評価1
表1に、実施例1,2、比較例1の電極はじきの有無、剥離強度、非接着欠陥比率およびショート不良率をそれぞれ示す。
表1より、電極層を、剥離層を介して、第1支持シート上に形成した実施例1および実施例2では、いずれも、電極はじきを有効に防止することができ、内部電極層を良好に、かつ高精度に形成することができた。これに対して、電極層を、剥離層を介すことなく、直接に第1支持シート上に形成した比較例1は、内部電極を形成する際に、電極はじきが発生してしまい、高精度に内部電極層を形成することが困難であった。
また、実施例1および実施例2では、剥離強度が、いずれも18mN/cmと低く、キャリアシートの剥離を良好に行うことができた。これに対して、比較例1では、剥離強度が102mN/cmと高く、キャリアシートを剥離させる際には、より強い力で剥離させる必要があり、剥離時に、電極層や余白パターン層の破損が起こってしまった。
さらに、実施例1および実施例2では、接着層を介して、電極層を有するグリーンシートの積層を行っているため、非接着欠陥比率がいずれも0%となり、非接着欠陥不良を有効に防止できることが確認できた。なお、実施例1では、ショート不良率が4%であり、実施例2よりも良好な結果となった。この理由としては、実施例1では、接着層を転写法により形成したため、接着層の成分の電極層やグリーンシートへの染み込みを、有効に防止することができたことによると考えられる。
この結果より、電極層を、誘電体を含有する剥離層を介して、第1支持シート上に形成することにより、電極はじきを有効に防止することができ、電極層の形成を良好に、かつ、高精度に行うことができるとともに、剥離強度を低くすることができることが確認できた。しかも、接着層を介して、電極層を有するグリーンシートの積層を行うことにより、スタック性(積層時の接着性)の向上を図り、非接着欠陥および接着不良を有効に防止することが可能であった。さらに、接着層を、好ましくは、転写法により形成することにより、ショート不良率のさらなる低減が可能となることが確認できた。
実施例3
グリーンシート用のバインダとして、ポリビニルブチラール樹脂の代わりに、アクリル系の樹脂を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、焼成前のグリーンチップおよび積層セラミックコンデンサのサンプルを作製し、実施例1と同様にして、剥離強度、非接着欠陥比率およびショート不良率の測定を行った。
すなわち、実施例3においては、グリーンシート用ペーストとして、以下の方法により製造したアクリル系樹脂のグリーンシート用ペーストを使用した。
アクリル系樹脂のグリーンシート用ペースト
まず、実施例1のグリーンシート用ペーストと同様にして、添加物原料混合物を作製した。
次いで、上記にて得られた添加物原料混合物:4.3重量部、酢酸エチル:6.85重量部、および分散剤:0.04重量部を、ボールミルを使用して混合粉砕し、添加物スラリーを得た。混合粉砕は、250ccポリエチレン製樹脂容器を用い、2mmφのZrOメディア450gを投入し、周速45m/分および16時間の条件で行った。なお、粉砕後の添加物原料の粒径はメジアン径は0.1μmであった。
次いで、上記にて得られた添加物スラリー:11.2重量部、BaTiO粉末(BT−02/堺化学工業(株)):100重量部、酢酸エチル:163.76重量部、トルエン:21.48重量部、分散剤:1.04重量部、PEG400(帯電助剤):0.83重量部、ジアセトンアルコール:1.04重量部、フタル酸ベンジルブチル(可塑剤):2.61重量部、ステアリン酸ブチル:0.52重量部、ミネラルスピリット:6.78重量部および有機ビヒクル:34.77重量部を、ボールミルを使用して混合し、グリーンシート用ペーストを得た。なお、ボールミルによる混合は、500ccポリエチレン製樹脂容器を用い、2mmφのZrOメディア900gを投入し、周速45m/分および20時間の条件で行った。また、上記の有機ビヒクルは、アクリル系樹脂:15重量部を、酢酸エチル:85重量部に、50°Cの温度で、撹拌溶解することにより作製した。すなわち、有機ビヒクル中の樹脂含有量(アクリル系樹脂の量)は、15重量%とした。なお、アクリル系樹脂としては、分子量45万、酸価5mgKOH/g、Tg=70℃のメタクリル酸メチル(MMA)とアクリル酸ブチル(BA)のコポリマー(MMA/BA=82/18:重量比)を使用した。
評価2
グリーンシート用のバインダとして、ポリビニルブチラール樹脂の代わりに、アクリル系の樹脂を使用した実施例3は、実施例1と同様に、内部電極層形成時における電極はじきを有効に防止することができ、内部電極層を良好に、かつ高精度に形成することができた。
また、剥離強度、非接着欠陥比率およびショート不良率についても、剥離強度が、18.5mN/cm、非接着欠陥比率が、0%、ショート不良率が、12%となり、良好な結果となった。この結果より、グリーンシート用のバインダとして、アクリル系の樹脂を使用した場合においても、本発明の作用効果が十分に発揮されることが確認できた。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図2(A)〜図2(C)は本発明の一実施形態に係る電極層およびグリーンシートの形成方法を示す要部断面図である。 図3(A)〜図3(C)は本発明の一実施形態に係る接着層の形成方法を示す要部断面図である。 図4(A)〜図4(C)は本発明の一実施形態に係る電極層を有するグリーンシートの積層方法を示す要部断面図である。 図5(A)、図5(B)は図4の続きの工程を示す要部断面図である。 図6(A)、図6(B)は図5の続きの工程を示す要部断面図である。 図7(A)〜図7(C)は本発明の他の実施形態に係る電極層を有するグリーンシートの積層方法を示す要部断面図である。 図8(A)〜図8(C)は図7の続きの工程を示す要部断面図である。
符号の説明
2… 積層セラミックコンデンサ
4… コンデンサ素体
6,8… 端子電極
10… 誘電体層
10a… グリーンシート
12… 内部電極層
12a… 電極層
20… キャリアシート(第1支持シート)
22… 剥離層
24… 余白パターン層
26… キャリアシート(第2支持シート)
28… 接着層
30… 外層用グリーンシート
U1a〜U1c… 積層体ユニット

Claims (15)

  1. 第1支持シート上に電極層を形成する工程と、
    前記電極層の表面にグリーンシートを形成し、電極層を有するグリーンシートを得る工程と、
    前記電極層を有するグリーンシートを積層し、グリーンチップを形成する工程と、
    前記グリーンチップを焼成する工程と、を有する積層型電子部品の製造方法であって、
    前記電極層を、誘電体を含有する剥離層を介して、前記第1支持シート上に形成し、かつ、
    前記電極層を有するグリーンシートを積層する前に、前記電極層を有するグリーンシートの反電極層側表面に、接着層を形成し、
    前記接着層を介して、前記電極層を有するグリーンシートを積層することを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
  2. 前記グリーンシートは、接着層を用いることなく、前記電極層の表面に形成される請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
  3. 前記接着層の厚みが、0.02〜0.3μmである請求項1または2に記載の積層型電子部品の製造方法。
  4. 前記剥離層の厚みが、0.05〜0.2μmである請求項1〜3のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  5. 前記剥離層に含有される誘電体が、前記グリーンシートを構成する誘電体と実質的に同じ誘電体組成となっている請求項1〜4のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  6. 前記剥離層に含有される誘電体の平均粒径が0.2μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  7. 前記グリーンシートの厚みが1.5μm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  8. 前記電極層の厚みが1.5μm以下である請求項1〜7のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  9. 前記グリーンシートと前記電極層との合計の厚みが3.0μm以下である請求項1〜8のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  10. 前記電極層は、前記剥離層の表面に所定パターンで形成され、前記電極層が形成されていない前記剥離層の表面には、前記電極層と実質的に同じ厚みの余白パターン層が形成され、前記余白パターン層が、前記グリーンシートと実質的に同じ材質で構成してある請求項1〜9のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  11. 前記電極層を有するグリーンシートを積層する前に、前記電極層を有するグリーンシートから前記第1支持シートを剥離し、
    前記第1支持シートを剥離した状態で、前記電極層を有するグリーンシートの電極層側表面を、他のグリーンシート上に積層する請求項1〜10のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  12. 前記第1支持シートを有する状態で、前記電極層を有するグリーンシートの反電極層側表面を、他のグリーンシート上に積層し、
    前記電極層を有するグリーンシートを積層した後に、前記電極層を有するグリーンシートから前記第1支持シートを剥離する請求項1〜10のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  13. 前記接着層を、転写法により形成する請求項1〜12のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  14. 前記接着層は、最初に第2支持シートの表面に剥離可能に形成され、前記電極層を有するグリーンシートの反電極層側表面に、押し付けられて転写される請求項13に記載の積層型電子部品の製造方法。
  15. 前記接着層を、塗布法により形成する請求項1〜12のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。

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