JP2006009207A - 抄紙用フェルト及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】MD方向糸及びCMD方向糸がともに単糸のみからなる織布で基体が構成され、且つ、寸法安定性及び耐脱毛性に優れ、ツララ現象を抑制することができる抄紙用フェルトを提供すること。
【解決手段】抄紙用フェルト10は、基体20と、基体20に一体化されたバット層30からなり、基体20は、MD方向糸22及びCMD方向糸24がともに単糸のみで構成された織布からなる。基体20をヒートセットしMD方向糸22にクリンプを付与することにより、寸法安定性及び耐脱毛性に優れ、ツララ現象を抑制することができる抄紙用フェルトが得られる。
【選択図】図1
【解決手段】抄紙用フェルト10は、基体20と、基体20に一体化されたバット層30からなり、基体20は、MD方向糸22及びCMD方向糸24がともに単糸のみで構成された織布からなる。基体20をヒートセットしMD方向糸22にクリンプを付与することにより、寸法安定性及び耐脱毛性に優れ、ツララ現象を抑制することができる抄紙用フェルトが得られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、抄紙機に使用される抄紙用フェルトに関し、特に、寸法安定性に優れた抄紙用プレスフェルト(以下、単に「フェルト」という。)に関する。
抄紙機のプレスパートは、一対のプレスロール、又はプレスロールとシューとで構成されたニップ部からなり、このニップ部において湿紙を加圧して、湿紙から搾水するようにされている。
そして、このような抄紙機のプレスパートでは、湿紙から搾り出された水分を吸収するための抄紙用フェルトが使用されている。
そして、このような抄紙機のプレスパートでは、湿紙から搾り出された水分を吸収するための抄紙用フェルトが使用されている。
抄紙用フェルト1は、図2に示すように、基体2と、バット繊維からなるバット層3とで構成されており、基体2とバット層3は、ニードルパンチングにより絡合一体化されている。
基体2は織布からなり、抄紙用フェルト1の強度を発現させるために設けられている。
そして、この基体2を構成する織布のMD方向糸2A及び/又はCMD方向糸2Bとして、従来、主に、撚糸が使用されている。このように、抄紙用フェルト1の基体2に撚糸を使用することにより、ニードルパンチにより植毛されるバット繊維の固着性やフェルトの耐脱毛性を向上させることができる。また、基体2を構成する織布は、CMD方向糸2Bのみにクリンプが付与され、MD方向糸2Aはストレートな形状を有する。ここで、クリンプとは、ストレートな形状を有するMD方向糸2Aに対して交差する、CMD方向糸2Bの浮き沈みをいう。
基体2は織布からなり、抄紙用フェルト1の強度を発現させるために設けられている。
そして、この基体2を構成する織布のMD方向糸2A及び/又はCMD方向糸2Bとして、従来、主に、撚糸が使用されている。このように、抄紙用フェルト1の基体2に撚糸を使用することにより、ニードルパンチにより植毛されるバット繊維の固着性やフェルトの耐脱毛性を向上させることができる。また、基体2を構成する織布は、CMD方向糸2Bのみにクリンプが付与され、MD方向糸2Aはストレートな形状を有する。ここで、クリンプとは、ストレートな形状を有するMD方向糸2Aに対して交差する、CMD方向糸2Bの浮き沈みをいう。
しかしながら、撚糸を使用することの欠点は、織布が嵩張るために通水度が下がる結果、搾水性が悪くなることや、撚糸の撚り数の多い程に伸長傾向が高くなり、寸法安定性が悪くなることである。また、撚糸の撚り戻りの性質が織成後に現れることから、ニードルパンチ時に織布面に吊れ弛みが現れることもあり問題となっていた。
これに対し、寸法安定性を向上させるための様々な試みがこれまでなされてきた。
特許文献1には、MD方向糸がCMD方向糸よりも10〜40%低い弾性モジュラスを有するシート表面織物構造と、その反対側の面が織られたMD方向糸とCMD方向糸を有する相対的に粗い摩耗表面織物構造を有し、2つの構造は摩耗表面織物構造のCMD方向糸をシート表面織物構造のMD方向糸と織り交ぜることにより一体化され、これにより2方向クリンプ性を示すシート面と増大した摩耗性と耐伸張性を示す機械面を有するとされる抄紙用織物が開示されている。
特許文献1には、MD方向糸がCMD方向糸よりも10〜40%低い弾性モジュラスを有するシート表面織物構造と、その反対側の面が織られたMD方向糸とCMD方向糸を有する相対的に粗い摩耗表面織物構造を有し、2つの構造は摩耗表面織物構造のCMD方向糸をシート表面織物構造のMD方向糸と織り交ぜることにより一体化され、これにより2方向クリンプ性を示すシート面と増大した摩耗性と耐伸張性を示す機械面を有するとされる抄紙用織物が開示されている。
特許文献2には、基体として、2/1、1/2の経二重組織を有する織布を用いることにより、フェルト基体の経糸と緯糸の接結力を高め、抄紙機上で使用中に経糸がフェルト表面にループ状に飛び出すこと(ツララ現象)を防ぐことができることが開示されている。
特許文献3には、段落0004、0005、0024に、織布をヒートセットすることにより、経糸又は緯糸にクリンプを付与し、寸法安定性を向上させることが開示されている。ここで、ヒートセットとは、熱処理により糸の織目を固定化することであり、従来から熱可塑性繊維品等の形態を安定させるために行なわれていた。
特開昭57−47996号公報
特開平9−31881号公報
特表2003−529686号公報
しかし、これら特許文献1〜3の抄紙用フェルトのいずれも、或る程度寸法安定性が向上するものの、十分に満足できるものではなかった。
一方、MD方向糸及びCMD方向糸がともに単糸のみで構成すると、織布が嵩張らず通水度が上がり、搾水性が向上することや、伸長傾向が低くなり寸法安定性が向上すること知られている。
一方、MD方向糸及びCMD方向糸がともに単糸のみで構成すると、織布が嵩張らず通水度が上がり、搾水性が向上することや、伸長傾向が低くなり寸法安定性が向上すること知られている。
しかし、MD方向糸及びCMD方向糸がともに単糸のみで構成すると、ニードルパンチされ、植毛されるバット繊維の固着が悪く、フェルトの耐脱毛性が劣ることがある。特に、MD方向糸及びCMD方向糸をともに単糸のみで構成すると、単糸のみで構成された織布は、MD方向糸及びCMD方向糸の交差点が点接触であるため、MD方向糸とCMD方向糸の接結力に乏しく、抄紙機で使用中に経糸がフェルト面からループ状に飛び出すツララ現象が発生することから問題となっていた。
本発明は、上記の問題点に鑑み、基体がMD方向糸及びCMD方向糸がともに単糸のみからなる織布で構成され、且つ、寸法安定性及び耐脱毛性に優れ、ツララ現象を抑制することができる抄紙用フェルトを提供することを目的とする。
本発明は、基体と、該基体に一体化されたバット層とからなる抄紙用フェルトにおいて、前記基体が、MD方向糸及びCMD方向糸がともに単糸のみで構成された織布からなり、前記基体をヒートセットすることにより前記MD方向糸にクリンプが付与されていることを特徴とする抄紙用フェルトによって、前記の課題を解決した。
本発明によれば、基体をMD方向糸及びCMD方向糸がともに単糸のみからなる織布で構成し、基体をヒートセットしてMD方向糸にクリンプを付与することにより、寸法安定性及び耐脱毛性に優れ、ツララ現象を抑制することができる抄紙用フェルトを提供することができる。
本発明を図1に基づいて説明する。
本発明の抄紙用フェルト10は、基体20と、基体20に一体化されたバット層30からなり、基体20は、MD方向糸22及びCMD方向糸24がともに単糸のみで構成された織布からなる。基体20はヒートセットされ、MD方向糸22にクリンプが付与されている。
このように、基体20を、MD方向糸22及びCMD方向糸24がともに単糸のみからなる織布で構成し、基体20がヒートセットされMD方向糸22にクリンプが付与されることにより、寸法安定性及び耐脱毛性に優れ、ツララ現象を抑制することができる抄紙用フェルトが得られる。
本発明の抄紙用フェルト10は、基体20と、基体20に一体化されたバット層30からなり、基体20は、MD方向糸22及びCMD方向糸24がともに単糸のみで構成された織布からなる。基体20はヒートセットされ、MD方向糸22にクリンプが付与されている。
このように、基体20を、MD方向糸22及びCMD方向糸24がともに単糸のみからなる織布で構成し、基体20がヒートセットされMD方向糸22にクリンプが付与されることにより、寸法安定性及び耐脱毛性に優れ、ツララ現象を抑制することができる抄紙用フェルトが得られる。
MD方向糸22に付与されるクリンプは、ピッチpが5.0mm以下、高さh0.10mmが以上であることが好ましい。一方、ピッチpが5.0mmより大きく、高さhが0.10未満の場合、ツララ現象の発生が認められた。
また、MD方向糸22は500〜2200dtexであり、CMD方向糸24は800〜2400dtexであることが好ましい。
さらに、基体20は織機において継目がないように織成してなる袋織であることが好ましい。ここで、袋織は当業者に周知であるので説明は省略する。
また、MD方向糸22は500〜2200dtexであり、CMD方向糸24は800〜2400dtexであることが好ましい。
さらに、基体20は織機において継目がないように織成してなる袋織であることが好ましい。ここで、袋織は当業者に周知であるので説明は省略する。
基体20のヒートセットは、基体を一対のロールに掛けて周回させつつ、0.5トン/m以下に調整された張力下で行われることが好ましい。
実際に、1トン/mの一定張力下でロール間隙を調整しつつ、ロール内部及び/又は外部からの熱源によって織布をヒートセットしたところ、MD方向糸にはクリンプは付与されずストレートな糸形状のままであった。
実際に、1トン/mの一定張力下でロール間隙を調整しつつ、ロール内部及び/又は外部からの熱源によって織布をヒートセットしたところ、MD方向糸にはクリンプは付与されずストレートな糸形状のままであった。
本発明の実施例を、以下、説明する。
MD方向糸 800〜1000dtexのナイロン6単糸
CMD方向糸 1000〜1200dtexのナイロン6単糸
織布3/1 1/3組織の経二重袋織
上記織布を一対のロールに掛けて、0.2トン/mの一定張力下になるようにロール間隙を調整しつつ、ロール内部及び/又は外部からの熱源によって織布をヒートセットして、MD方向糸にピッチ2.4mm、高さ0.12mmのクリンプを付与した。
さらに、この織布をニードルパンチ機械に掛けてバット繊維をニードルパンチングにより植毛して、抄紙用フェルトを製作した。
この抄紙用フェルトを抄紙機に使用したところ、伸長や脱毛がなく、ツララ現象も起きないことが確認された。
MD方向糸 800〜1000dtexのナイロン6単糸
CMD方向糸 1000〜1200dtexのナイロン6単糸
織布3/1 1/3組織の経二重袋織
上記織布を一対のロールに掛けて、0.2トン/mの一定張力下になるようにロール間隙を調整しつつ、ロール内部及び/又は外部からの熱源によって織布をヒートセットして、MD方向糸にピッチ2.4mm、高さ0.12mmのクリンプを付与した。
さらに、この織布をニードルパンチ機械に掛けてバット繊維をニードルパンチングにより植毛して、抄紙用フェルトを製作した。
この抄紙用フェルトを抄紙機に使用したところ、伸長や脱毛がなく、ツララ現象も起きないことが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、基体をMD方向糸及びCMD方向糸がともに単糸のみからなる織布で構成し、基体をヒートセットすることによりMD方向糸にクリンプを付与することにより、寸法安定性及び耐脱毛性に優れ、ツララ現象を抑制することができる抄紙用フェルトを提供することができる
10:抄紙用フェルト
20:基体
22:MD方向糸
24:CMD方向糸
30:バット層
20:基体
22:MD方向糸
24:CMD方向糸
30:バット層
Claims (5)
- 基体と、該基体に一体化されたバット層とからなる抄紙用フェルトにおいて、
前記基体が、MD方向糸及びCMD方向糸がともに単糸のみで構成された織布からなり、前記基体をヒートセットすることにより前記MD方向糸にクリンプが付与されていることを特徴とする、
抄紙用フェルト。 - 前記MD方向糸に付与されるクリンプが、ピッチが5.0mm以下、高さが0.10mm以上である、請求項1の抄紙用フェルト。
- 前記基体が袋織の織布である、請求項1又は2の抄紙用フェルト。
- 前記基体のMD方向糸が500〜2200dtex、CMD方向糸が800〜2400dtexである、請求項1から3のいずれかの抄紙用フェルト。
- 基体と、該基体に一体化されたバット層とからなり、前記基体が、MD方向糸及びCMD方向糸がともに単糸のみで構成された織布からなり、前記基体をヒートセットすることにより前記MD方向糸にクリンプが付与されている抄紙用フェルトの製造方法であって、
前記基体を一対のロールに掛けて、0.5トン/m以下に調整された張力下でヒートセットして、前記MD方向糸にクリンプを付与することを特徴とする、
抄紙用フェルトの製造方法。
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JP2004189744A JP2006009207A (ja) | 2004-06-28 | 2004-06-28 | 抄紙用フェルト及びその製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008248447A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Ichikawa Co Ltd | 抄紙用プレスフェルト |
WO2009038066A1 (ja) * | 2007-09-18 | 2009-03-26 | Ichikawa Co., Ltd. | 湿紙搬送用ベルト |
JP4625135B1 (ja) * | 2009-11-10 | 2011-02-02 | イチカワ株式会社 | 抄紙用プレスフェルトおよび抄紙方法 |
-
2004
- 2004-06-28 JP JP2004189744A patent/JP2006009207A/ja active Pending
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WO2009038066A1 (ja) * | 2007-09-18 | 2009-03-26 | Ichikawa Co., Ltd. | 湿紙搬送用ベルト |
US8382954B2 (en) | 2007-09-18 | 2013-02-26 | Ichikawa Co., Ltd. | Belt for conveying wet web |
JP5571957B2 (ja) * | 2007-09-18 | 2014-08-13 | イチカワ株式会社 | 湿紙搬送用ベルト |
JP4625135B1 (ja) * | 2009-11-10 | 2011-02-02 | イチカワ株式会社 | 抄紙用プレスフェルトおよび抄紙方法 |
JP2011102444A (ja) * | 2009-11-10 | 2011-05-26 | Ichikawa Co Ltd | 抄紙用プレスフェルトおよび抄紙方法 |
US8303775B2 (en) | 2009-11-10 | 2012-11-06 | Ichikawa Co., Ltd. | Papermaking press felt and papermaking method |
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