JP2006008531A - 抗酸化酵素産生促進剤及びその製造方法。 - Google Patents
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Abstract
【課題】 生体内でSOD及びカタラーゼの産生を促進する抗酸化酵素産生促進剤を提供する。
【解決手段】 ローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物を有効成分として含有する抗酸化酵素産生促進剤。
【選択図】 なし
【解決手段】 ローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物を有効成分として含有する抗酸化酵素産生促進剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は、抗酸化酵素産生促進剤及びその製造方法に関する。
活性酸素には、スーパーオキシドアニオン(O2 −)、過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシラジカル(・OH)などの種類がある。これらの活性酸素は、ストレスやアルコール摂取、紫外線を浴びることなどによって体内に大量に発生し、時には炎症反応を惹起し、動脈硬化や高血圧、癌、糖尿病、白内障、痴呆症など多くの疾患の原因となる。また、皮膚においては、活性酸素は、コラーゲンやエラスチンを変性させ、シワ形成や皮膚の弾性低下といった皮膚の老化の原因となる。
スーパーオキシドアニオンは、呼吸により取り込んだ酸素分子からエネルギーを作り出すのに伴って生成される活性酸素であり、生体内で常に発生している。また、紫外線を浴びることによっても、スーパーオキシドアニオンは発生する。さらに、スーパーオキシドアニオンは、生体内に存在する鉄イオンや銅イオンと反応することによって、最も反応性が高い活性酸素であるヒドロキシラジカルへと変化する。ヒドロキシラジカルは、タンパク質やDNAを切断し、脂質の過酸化を惹起する。
その一方、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)及びカタラーゼは、細胞が作り出す活性酸素を消去する抗酸化酵素である。SODが不均化反応によりスーパーオキシドアニオンを過酸化水素へと変換し、カタラーゼが過酸化水素を水に変換することにより、生体内の活性酸素は消去され、活性酸素による傷害が抑制されている。しかし、加齢に伴いSOD及びカタラーゼの産生が低下することが報告されており(非特許文献1〜3)、その結果、活性酸素の消去が不十分となり、それが様々な疾患や老化現象を引き起こしていると考えられている。
SOD及びカタラーゼの活性を高めることができれば、活性酸素が原因となる様々な疾患や紫外線によって引き起こされる皮膚の老化現象などを予防することができる。それゆえ、SOD様活性やカタラーゼ様活性を有する物質の探索が行われており、酒粕抽出物(特許文献1)、マンガン(III)−2,6−ピリジンカルボキシレート錯体(特許文献2)、メロンの可溶性タンパク質抽出物(特許文献3)及びメシマコブ菌糸体抽出物(特許文献4)などがかかる活性を有することが知られている。
しかしながら、上記のようなSOD様活性やカタラーゼ様活性を有する物質は、経口投与及び経皮投与での吸収性や安定性の問題からバイオアベイラビリティが低く、充分な効果が発揮されなかったり、活性を安定して長期間保持させることが困難であったりした。充分な活性酸素消去効果を得るには、生体内においてSOD及びカタラーゼの産生そのものを向上させることが好ましいが、そのような活性を有する物質については報告がない。
したがって、本発明の目的は、生体内でSOD及びカタラーゼの産生を促進する抗酸化酵素産生促進剤を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ローズマリー抽出物、セージ抽出物はSOD及びカタラーゼの産生を促進する活性を有することを見出した。さらに、これらの抽出物の中でも、カルノソール、ロスマノール、エピロスマノール及びカルノジン酸はSOD及びカタラーゼの産生を促進する強い活性を有することを見出した。そして、本発明者らは、これらの知見に基づき、以下の発明により上記従来技術の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物を有効成分として含有する抗酸化酵素産生促進剤を提供する。本発明は、また、抗酸化酵素産生促進剤の中でも特にSOD産生促進剤及びカタラーゼ産生促進剤を提供する。
前述のように、ローズマリー抽出物及びセージ抽出物は、SOD及びカタラーゼの産生を促進する活性を有している。したがって、生体内の活性酸素消去反応に関与する2つの酵素の双方の産生を促進することにより、本発明の抗酸化酵素産生促進剤は生体内の活性酸素を効率的に消去することが可能である。ここで、SOD及びカタラーゼの産生を促進する活性を充分保有する抽出物を得るために、前記抽出物は、エタノール又は水とエタノールとの混合溶媒で抽出されることが好ましい。
本発明は、また、ローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物を有効成分として含有する抗酸化酵素産生促進剤の製造方法であって、ローズマリー及び/又はセージをエタノール又は80%(v/v)以上100%(v/v)未満のエタノールを含有する水溶液に浸漬して粗抽出物を得る工程と、粗抽出物に水又は40%(v/v)以下のエタノールを含有する水溶液を添加して析出した析出物をローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物として得る工程と、を備える製造方法を提供する。
かかる製造方法によれば、カルノソール、ロスマノール、エピロスマノール及びカルノジン酸を高濃度に含んだローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物が得られるため、SOD及びカタラーゼの産生促進能に優れた抗酸化酵素産生促進剤が得られる。
本発明は、さらに、カルノソール、ロスマノール、エピロスマノール及びカルノジン酸からなる群から選ばれる化合物を有効成分として含有する抗酸化酵素産生促進剤を提供し、抗酸化酵素産生促進剤の中でも特にSOD産生促進剤及びカタラーゼ産生促進剤を提供する。
カルノソール、ロスマノール、エピロスマノール及びカルノジン酸は、SOD及びカタラーゼの産生を促進する強い活性を有している。したがって、生体内の活性酸素消去反応に関与する2つの酵素の双方の産生を促進することにより、本発明の抗酸化酵素産生促進剤は効率的に生体内の活性酸素を消去することが可能である。
本発明の抗酸化酵素産生促進剤によれば、経口投与又は経皮投与により生体内において極めて安全にSOD及びカタラーゼの産生を効率的に促進することができる。SOD及びカタラーゼの産生量の増加により、生体内の抗酸化力が増強され、活性酸素が原因とされる皮膚の老化現象や各種疾患の予防及び治療が期待できる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明の第一の抗酸化酵素産生促進剤は、ローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物を有効成分として含有する。かかる抽出物はSOD及びカタラーゼの両酵素の産生を促進することが可能であり、本発明の第一の抗酸化酵素産生促進剤は生体内の活性酸素を効率的に消去することが可能である。
ローズマリー(Rosmarinus officinalis L.)及びセージ(Salvia officinalis L.)は、古来より西洋ハーブとして薬、香料、料理などの広範な用途に使用されている、安全性の高い植物である。本発明の第一の抗酸化酵素産生促進剤は、ローズマリー抽出物、セージ抽出物及びそれらの混合物のいずれを有効成分として含有してもよい。
上記抽出物の含有量は、抗酸化酵素産生促進剤を基準として、0.0001重量%〜100重量%、好ましくは0.1重量%〜100重量%である。抽出物の含有量が0.0001重量%未満では、SOD及びカタラーゼの産生を充分に促進することができない。
上記抽出物は、ローズマリー及び/又はセージの全草を抽出溶媒に浸漬して抽出を行い、抽出液をろ過して不溶物を除去することにより得られる。また、全草を入れた抽出溶媒を加熱還流して抽出を行ってもよい。抽出溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エーテル類、クロロホルム及びジクロロメタンなどの有機溶媒並びに水が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、また混合溶媒として用いてもよい。抽出効率が高い点を考慮すると、抽出溶媒は、メタノール、エタノール、酢酸エチル又はこれらの溶媒と水との混合溶媒であることが好ましく、生体内において毒性が低い点を考慮すると、エタノール又はエタノールと水の混合溶媒であることがさらに好ましい。
さらに、上記抽出物は以下の方法で得ることが好ましい。まず、ローズマリー及び/又はセージをエタノール又は80%(v/v)以上100%(v/v)未満のエタノールを含有する水溶液に浸漬して粗抽出物を得る。次に、得られた粗抽出物に水又は40%(v/v)以下のエタノールを含有する水溶液を添加して析出する析出物をローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物として得る。
この方法で抽出を行うと、カルノソール、ロスマノール、エピロスマノール及びカルノジン酸を高濃度で含有する抽出物が得られる。これらの化合物は抗酸化酵素産生促進活性が高いため、この方法で抽出した抽出物を含有する抗酸化酵素産生促進剤は、優れた抗酸化酵素産生促進活性を有する。
上記抽出方法において、カルノソール等の化合物を効率よく抽出するためには、粗抽出物を抽出するための溶媒は、エタノール又は90%(v/v)以上100%(v/v)未満のエタノールを含有する水溶液であることがより好ましい。浸漬温度及び浸漬時間は特に限定されず、当業者により適切な条件を設定することができる。典型的には、20℃〜50℃の温度で24時間〜72時間浸漬した後、抽出液をろ過して不溶物を除去することにより粗抽出物が得られる。
こうして得られた粗抽出物に水又は40%(v/v)以下のエタノールを含有する水溶液を添加することでローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物が析出する。ここで、効率よくカルノソール等の化合物を含んだ抽出物を析出させるためには、添加する溶媒は水又は30%(v/v)以下のエタノールを含有する水溶液であることが好ましい。析出させる温度及び時間は特に限定されず、当業者により適切な条件を設定することができる。典型的には、0℃〜25℃の温度で16時間〜48時間静置させることで、カルノソール等の化合物を含んだ抽出物が析出する。析出物をろ取することにより、ローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物が得られる。
本発明の第一の抗酸化酵素産生促進剤は、化粧品、食品、医薬品などの適切な形態に加工される。また、本発明の第一の抗酸化酵素産生促進剤は、経口投与及び経皮投与のいずれの投与方法で投与されてもよい。
化粧品に加工される場合、ローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物とその他の化粧品原料とが混合される。化粧品原料とは、化粧品、医薬部外品等に通常用いられている様々な成分であり、例えば、油剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、顔料、粉体、pH調整剤、薬効成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、香料等である。本発明に係る化粧品は常法により製造することができる。また、剤型はクリーム、乳液、化粧水、ファンデーション、パック、ローション、ゲル、溶液、スティック等、目的に応じて適宜選択することができる。
食品に加工される場合、ローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物とその他の食品原料とが混合される。一般に用いられている食品原料を使用することができ、例えば、米、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、スイートポテト、大豆、昆布、ワカメ、テングサなどの粉類、水飴、乳糖、グルコース、果糖、スクロース、マンニトールなどの糖類などが挙げられる。さらに、香辛料、着色料、甘味料、食用油、ビタミンなどの添加物を本発明に係る食品に添加してもよい。さらに必要に応じて水を添加して、所望の形状に食品を加工してもよい。
医薬品に加工される場合、ローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物と添加剤とが混合される。添加剤の例としては、界面活性剤、賦形剤、着色料、保存料、コーティング補助剤などが挙げられる。これらの添加剤は、医薬品製造における通常の添加剤であれば特に限定されず、より具体的な例としては、ラクトース、デキストリン、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ソルビトール、結晶性セルロース、ポリビニルピロリドンなそが挙げられる。さらに、香味料や甘味料などを添加してもよく、必要に応じて他の薬剤を添加してもよい。上記添加剤の含有量は特に限定されず、ローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物の含有量に合わせて適宜調整され得る。
本発明の第二の抗酸化酵素産生促進剤は、カルノソール、ロスマノール、エピロスマノール及びカルノジン酸からなる群から選ばれる化合物を有効成分として含有する。これらの化合物はSOD及びカタラーゼの両酵素の産生を促進する高い活性を有しているため、本発明の第二の抗酸化酵素産生促進剤は生体内の活性酸素を効率的に消去することが可能である。これらの化合物の構造式を以下に示す。
これらの化合物の含有量は、抗酸化酵素産生促進剤を基準として、0.00001重量%〜100重量%、好ましくは0.001重量%〜100重量%である。抽出物の含有量が0.00001重量%未満では、SOD及びカタラーゼの産生を充分に促進することができない。
これらの化合物を化学合成することも可能であるが、通常は、植物抽出物を、好ましくは上記ローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物を、様々な分離精製手法を用いて精製することにより得られる。典型的には、ローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、カルノソール、ロスマノール、エピロスマノール、カルノジン酸をそれぞれ単離精製することが可能である。
本発明の第二の抗酸化酵素産生促進剤も、本発明の第一の抗酸化酵素産生促進剤と同様、化粧品、食品、医薬品などの適切な形態に加工され、経口投与及び経皮投与のいずれの投与方法で投与されてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1:ローズマリー抽出物の調製)
ローズマリーの全草(60g)を90%エタノール水溶液(300mL)に浸漬し、40℃で48時間静置して抽出を行った。抽出液をろ過して不溶物を除去し、ろ液を100mLまで減圧濃縮した後、再びろ過して不溶物を除去した。ろ液に200mLの精製水を添加して、4℃にて一晩放置した。ろ過を行い、不溶性の残渣をローズマリー抽出物(乾燥重量3.5g)として得た。
ローズマリーの全草(60g)を90%エタノール水溶液(300mL)に浸漬し、40℃で48時間静置して抽出を行った。抽出液をろ過して不溶物を除去し、ろ液を100mLまで減圧濃縮した後、再びろ過して不溶物を除去した。ろ液に200mLの精製水を添加して、4℃にて一晩放置した。ろ過を行い、不溶性の残渣をローズマリー抽出物(乾燥重量3.5g)として得た。
(実施例2:セージ抽出物の調製)
セージの全草(60g)をエタノール(300mL)に浸漬し、室温で一晩静置して抽出を行った。抽出液をろ過して不溶物を除去し、ろ液を100mLまで減圧濃縮した後、再びろ過して不溶物を除去した。ろ液に600mLの精製水を添加して、4℃にて一晩放置した。ろ過を行い、不溶性の残渣をセージ抽出物(乾燥重量4g)として得た。
セージの全草(60g)をエタノール(300mL)に浸漬し、室温で一晩静置して抽出を行った。抽出液をろ過して不溶物を除去し、ろ液を100mLまで減圧濃縮した後、再びろ過して不溶物を除去した。ろ液に600mLの精製水を添加して、4℃にて一晩放置した。ろ過を行い、不溶性の残渣をセージ抽出物(乾燥重量4g)として得た。
(実施例3:カルノソール、ロスマノール、エピロスマノール及びカルノジン酸の調製)
ローズマリーの全草(5kg)をエタノール(20L)に浸漬し、40℃で72時間静置して抽出を行った。抽出液をろ過して不溶物を除去し、ろ液を1Lまで減圧濃縮した後、再びろ過して不溶物を除去した。ろ液に2Lの精製水を添加して、生じた析出物(105g)をろ取した。この析出物を酢酸エチルに溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=1:4)で精製することにより、カルノソール(450mg)、ロスマノール(43mg)、エピロスマノール(25mg)及びカルノジン酸(83mg)を得た。なお、これらの化合物は、1H−NMR、質量分析、元素分析等により同定を行った。
ローズマリーの全草(5kg)をエタノール(20L)に浸漬し、40℃で72時間静置して抽出を行った。抽出液をろ過して不溶物を除去し、ろ液を1Lまで減圧濃縮した後、再びろ過して不溶物を除去した。ろ液に2Lの精製水を添加して、生じた析出物(105g)をろ取した。この析出物を酢酸エチルに溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=1:4)で精製することにより、カルノソール(450mg)、ロスマノール(43mg)、エピロスマノール(25mg)及びカルノジン酸(83mg)を得た。なお、これらの化合物は、1H−NMR、質量分析、元素分析等により同定を行った。
(試験例1:抗酸化酵素の産生促進活性の測定)
実施例1〜3で調製した、各抽出物及び各化合物の抗酸化酵素産生促進活性を以下の方法で測定した。
実施例1〜3で調製した、各抽出物及び各化合物の抗酸化酵素産生促進活性を以下の方法で測定した。
ヒト由来線維芽細胞株(NB1RGB細胞)を10%FCS−MEM(ウシ胎児血清(GIBCO社)を10%含有するMEM培地)に懸濁させ、2×104cell/mLの細胞懸濁液を調製した。この懸濁液を平底6ウェルプレート(IWAKI社)に2mL/ウェルで播種し、CO2インキュベーター(37℃、5%CO2)で3日間培養した。
被検物質を含有する10%FCS−MEMに培地を交換して、さらに24時間培養した。被検物質は、実施例1〜3で得た、ローズマリー抽出物、セージ抽出物、カルノソール、ロスマノール、エピロスマノール又はカルノジン酸である。被検物質の濃度(培地中の最終濃度)は、抽出物が5μg/mLであり、化合物が10μMである。培養終了後、細胞を回収して以下のRT−PCRに供した。なお、被検物質を含まない10%FCS−MEMに培地を交換して24時間培養した後、回収した細胞を、ネガティブコントロールとして以下のRT−PCRに供した。
RNA精製キット(ニッポンジーン社、ISOGEN)を用いて、その使用書に従い、被検物質に曝した細胞及びネガティブコントロールの細胞から全RNAを調製した。次に、RT−PCRキット(タカラバイオ社、LA−PCR kit AMV ver1.1)を用いて、キットの仕様書に従い、RT−PCRを行った。PCRの内部標準としてβ−アクチンを選んだ。SOD、カタラーゼ及びβ−アクチン用のプライマーとして下記塩基配列を有するプライマーを使用した。
SOD用プライマー
配列番号1:5'-aatcaggatc cactgcaagg-3'
配列番号2:5'-catccctaca agtccccaaa-3'
カタラーゼ用プライマー
配列番号3:5'-gcctgggacc caattatctt-3'
配列番号4:5'-gaatctccgc acttctccag-3'
β−アクチン用プライマー
配列番号5:5'-gatcattgct cctcctgagc-3'
配列番号6:5'-caccttcacc gttccagttt-3'
SOD用プライマー
配列番号1:5'-aatcaggatc cactgcaagg-3'
配列番号2:5'-catccctaca agtccccaaa-3'
カタラーゼ用プライマー
配列番号3:5'-gcctgggacc caattatctt-3'
配列番号4:5'-gaatctccgc acttctccag-3'
β−アクチン用プライマー
配列番号5:5'-gatcattgct cctcctgagc-3'
配列番号6:5'-caccttcacc gttccagttt-3'
PCRは、変性温度94℃、アニーリング温度58℃及び伸長反応温度72℃で行った。サイクル数は、SOD及びカタラーゼの場合は30回、β−アクチンの場合は23回とした。これら以外の条件は、キットの使用書の条件に従った。PCR後の反応溶液10μLをとり、1.5%アガロースゲルにアプライし、100V、30分間電気泳動を行った。電気泳動後、アガロースゲルをエチジウムブロマイドで染色し、デンシトメーター(ChemiImager 4000、Alpha Innotech社)によりSOD、カタラーゼ及びβ−アクチンの発現量を測定した。表1にデンシトメーターの測定値を示す。なお、各抽出物及び各化合物の値は、ネガティブコントロールを100とした相対値である。
表1に示した結果から明らかなように、ローズマリー抽出物、セージ抽出物、カルノソール、ロスマノール、エピロスマノール及びカルノジン酸に曝した細胞において、SOD及びカタラーゼの遺伝子発現レベルが増加した。以上の結果から、上記抽出物及び化合物は、SOD及びカタラーゼの産生を促進する活性を有していることが分かった。
Claims (8)
- ローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物を有効成分として含有する抗酸化酵素産生促進剤。
- 前記抽出物がエタノール又は水とエタノールとの混合溶媒で抽出されたものである、請求項1に記載の抗酸化酵素産生促進剤。
- 前記抗酸化酵素がスーパーオキシドジスムターゼである、請求項1又は2に記載の抗酸化酵素産生促進剤。
- 前記抗酸化酵素がカタラーゼである、請求項1又は2に記載の抗酸化酵素産生促進剤。
- ローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物を有効成分として含有する抗酸化酵素産生促進剤の製造方法であって、
ローズマリー及び/又はセージをエタノール又は80%(v/v)以上100%(v/v)未満のエタノールを含有する水溶液に浸漬して粗抽出物を得る工程と、
粗抽出物に水又は40%(v/v)以下のエタノールを含有する水溶液を添加して析出した析出物をローズマリー抽出物及び/又はセージ抽出物として得る工程と、
を備える製造方法。 - カルノソール、ロスマノール、エピロスマノール及びカルノジン酸からなる群から選ばれる化合物を有効成分として含有する抗酸化酵素産生促進剤。
- 前記抗酸化酵素がスーパーオキシドジスムターゼである、請求項6に記載の抗酸化酵素産生促進剤。
- 前記抗酸化酵素がカタラーゼである、請求項6に記載の抗酸化酵素産生促進剤。
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CSNC200801383014, 小坂 邦男 Kunio Kosaka, "特集 新しい抗酸化・抗老化原料の開発動向", FRAGRANCE JOURNAL Vol.32, No.8, 第32巻, 津野田 勲 ▲C▼フレグランス ジャーナル社 * |
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