JP2006007913A - タイヤモデル、タイヤの挙動シミュレーション方法、タイヤの挙動解析プログラム及びタイヤの挙動解析プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

タイヤモデル、タイヤの挙動シミュレーション方法、タイヤの挙動解析プログラム及びタイヤの挙動解析プログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 有限要素法(FEM)等の数値解析手法によるタイヤの解析において、計算上で発生する振動を最小限に抑える。
【解決手段】 使用状態でタイヤの挙動を模擬的に解析するために、タイヤを数値計算モデルに対応させて計算するタイヤモデルについて、タイヤ周方向について1周を、120個以上でかつ360個以下の要素に分割したタイヤモデルを提供する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、タイヤモデル、タイヤの挙動シミュレーション方法、タイヤの挙動解析プログラム及びタイヤの挙動解析プログラムを記録した記録媒体にかかり、自動車等に使用される空気入りタイヤの性能を解析するときに用いられるタイヤモデル、そのタイヤモデルを用いた、タイヤの挙動シミュレーション方法、タイヤの挙動解析プログラム及びタイヤの挙動解析プログラムを記録した記録媒体に関する。
タイヤ挙動についての解析は、実際に設計・製造したタイヤを計測したり自動車に装着して得た性能試験結果を用いたりしたものから、計算機(コンピュータ)環境の発達に伴って、計算機上でシミュレーションによって実現できるようになってきている。このタイヤ挙動をシミュレーションによって解析する主要な方法としては、有限要素法(FEM)等の数値解析手法が主に用いられている。FEMは、構造体を有限個の要素でモデル化して、コンピュータを用いて構造体の挙動を解析する手法であり、その特徴から構造体を有限個の要素に分割する(以下、MESH分割、または要素分割という。)ことが必要である(例えば、特許文献1参照)。
従って、タイヤをFEMで解析する場合にはタイヤを要素分割する必要であるが、タイヤは円環状の形状であるから、タイヤの断面に対して2次元の要素分割を行い、これを円環状に360度展開して3次元モデル化するのが通常である。ここで、タイヤ転動方向をタイヤの周方向とすると、一般的に、タイヤの周方向に通常60分割程度の要素を配置している。また、タイヤのケース部分(Sidewall部分とトレッド下のカーカス部分及びビード部分を含む)と、タイヤのトレッド部分を結合させるモデル化においても、通常はケース部分の円環形状を周方向に分割する。例えば、上記特許文献1のFEMタイヤモデルでも、ケース部分とトレッド部分は別々に作成されているため、ケース部分は周方向に均等に60分割している。
特開平11−153520号公報
周方向に分割されたタイヤモデルで、移動体の走行を想定した回転接触解析を行う場合、幾何学的には多角形のものが路面を転がるわけであるから、タイヤが路面より受ける反力は振動する。この振動は、多角形の頂点が路面に接触する場合と、頂点と頂点を結ぶ線分が路面に接触する場合で、タイヤモデルの半径が異なることおよびその部分の剛性が異なることにより発生している。この振動は、上記特許文献1のように、タイヤトレッドをケースに貼り付けた場合にも生じる。その原因はタイヤケース部分の多角形でモデル化された形状にあることが想定される。すなわち、ケース部分に貼り付けるパターンを細かく要素分割しても、ケース部分の要素(MESH)が周方向に対して充分に細かくモデル化されていなければ、タイヤは上下に振動しながら転がる解析結果となる。このように、タイヤ軸力(タイヤの回転中心軸が受ける力、通常路面の反力と同じとなる)が振動していると、タイヤ全体が予期せぬ振動をしながら解析されていることになり、適切な解析結果を得られない場合がある。
本発明は、上記事実を考慮して、有限要素法(FEM)等の数値解析手法によるタイヤの解析において、計算上で発生する振動を最小限に抑えることを可能とする、タイヤモデル、タイヤの挙動シミュレーション方法、タイヤの挙動解析プログラム及びタイヤの挙動解析プログラムを記録した記録媒体を得ることが目的である。
上記目的を達成するために本発明は、計算上で発生する振動を最小限に抑えたタイヤの挙動解析を可能としたものである。
詳細には、請求項1に記載の発明は、使用状態でタイヤの挙動を模擬的に解析するために、タイヤを数値計算モデルに対応させて計算するタイヤモデルであって、タイヤ周方向について1周を、120個以上でかつ360個以下の要素に分割したことを特徴とする。
本発明では、基本的には、タイヤの周方向に対する分割を120以上にする。また、その分割は、360個以下にもする。この場合、タイヤのケース部分を分割することが好ましい。
すなわち、FEMでタイヤをモデル化する場合、従来、タイヤのケース部分の周方向分割は60個程度であり、このときタイヤは周方向に6度毎に分割されていることになる。ここで、タイヤモデルを回転させて解析する場合には、路面から大きな振動力を受ける。これは、FEMのタイヤモデルの頂点が路面と接触する場合と、FEMのタイヤモデルの頂点と頂点を絡んだ線分が路面に接触する場合で、変形が異なるからである。
そこで、本発明では、タイヤ(特にケース部分)の周方向分割を120以上に定める。この分割にあたって、ケース部分を120分割以上の要素分割にすることが特に好ましいものであり、ケースの上に貼り付けられるパターンは、ケースと同じ程度の分割数でも良いし、それ以上の分割数でも良い。すなわち、重要なのはケース部分が、タイヤのサイド変形に対して非常に支配的な変形を決めており、トレッド部分を細かく要素分割してもケース部分を充分に分割しなくては、精度の高い解析が実現できない点である。このため、ケース部分の分割に注目した。
タイヤのケースを120分割したとき、タイヤは3.0度毎に分割される。このようにタイヤを120分割することで、タイヤは多角形ではあるが、60程度の分割に比べて円形状に近づく。これは、タイヤモデルを周方向に、180分割、さらには360分割と分割数を増加すれば、それに従って振動を抑えることができる。
一方、従来のように周方向に60分割、72分割をしたのでは大きな振動が発生する。本発明者は、種々の実験や検討から、特に、100〜120分割の間で振動が大きく収まるという知見を得た。すなわち、120分割が、タイヤをFEMモデルを用いた転動解析に置いて、正確な計算を実施するために必要な最低限の周方向分割数である、というものである。
従って、タイヤ周方向に、タイヤ(のケース部分)を120分割以上に分割数を増加するに従って振動を抑えることができる。ところが、180分割、360分割、またそれ以上と細分化するにつれて、解析の演算時間が2次曲線的に増加する。例えば、180分割と360分割を比べると、タイヤの多角形性に起因する振動は変化が少ない場合が多い。また、720分割と360分割では、殆ど振動レベルに変化がない。このため、360分割以上の要素に分割したタイヤを解析しても、解析精度は360分割の場合と変化がないのに、計算時間が大幅に増加する不都合が生じる。このため、本発明では分割数の上限を360分割としている。
請求項2に記載の発明は、使用状態でタイヤの挙動を模擬的に解析するために、タイヤを数値計算モデルに対応させて計算するタイヤモデルであって、タイヤ接地面についてタイヤ周方向に10個以上でかつ30個以下の要素に分割したことを特徴とする。
通常のタイヤにおいて、周方向に120分割したFEMのタイヤモデルでは、解析したときの接地面(すなわち、タイヤが路面と接触している部分)には周方向に要素が10個以上存在する。従って、接地面に最低でも10個の要素が周方向に連続してさせて配置することが好ましい。
有限要素法でタイヤの転動解析をする場合は、多角形のものが回転する。周方向に60分割程度では、タイヤの接地面の中に6要素程度しか周方向に要素が存在しない。すなわち、タイヤが転動する場合に、ある瞬間では、6要素から5要素になったり6要素に戻ったりと、回転角度によって接地している要素の数が変化する。この要素数の変化が振動に大きく影響する。接地面の周方向に要素が10個以上ある場合は、タイヤの回転角度によって接触している要素の数が変化したとしても、10個が9個に、9個が10個になるもので、その変化は、6要素が5要素になる従来のモデル化に比べるとはるかに小さい。本発明者は、種々の検討の結果、10個程度の要素が接触していると、振動を大きく抑えることができる、という知見を得た。また、一般的なタイヤで、周方向に120分割した場合、接地面積の中に要素が10個並んだ場合と同程度の分割数になっている。このため、上限の360個相当の分割は、接地面内に30個の要素が並んだ場合となる。
この分割数は、180分割、360度分割、720度分割と増加すれば、タイヤが回転するときの振動は非常に小さくなるが、360分割と720分割ではさほど振動のレベルに変化はない。ところが60分割と120分割では大差があり、120分割がタイヤ開発の効率化と解析精度の両方でバランスできる、工業上利用できる最低限レベルであるという結論に至った。すなわち、開発効率化を考えた場合、120分割以上または接触面の周方向に10個以上の要素が配置されていることが、必要最低限の閾値である。
また、タイヤは、安価なものから高性能なもの、大きいサイズの物から小さいサイズのもの、自動車用のもの、トラックバス用のもの、航空機用のものと多種類のものがある。これらタイヤは中に配置される部材が異なったり、トレッド幅が異なったり、形状が異なったりするため、タイヤが路面と接地する部分(接地形状と呼ぶ)の形状も様々である。例えば、一般の乗用車用タイヤでは、高性能系ほど偏平率が小さく、接地形状は幅方向に広く、周方向には短い。このため、FEMのタイヤモデルにおいても、偏平系ほど周方向に分割数を増やして、接地面内に、周方向に10個以上の要素が配置されるようなモデル化をしないと、タイヤの転動解析を実施したときにタイヤが振動し易くなる。
請求項3に記載の発明は、使用状態でタイヤの挙動を模擬的に解析するために、タイヤを数値計算モデルに対応させて計算するタイヤモデルであって、前記解析として振動解析をするために、タイヤ周方向に要素分割した要素で発生する振動周波数が、タイヤを組み付けるリムの共振周波数を除く振動周波数となるように、タイヤ周方向に要素分割数を設定したことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のタイヤモデルであって、前記タイヤを組み付けるリムの共振周波数を除く振動周波数でタイヤ周方向に要素分割した要素で発生する振動周波数は、500Hz以上であることを特徴とする。
次に、タイヤの固有振動数や、タイヤと組合わせるホイルの固有振動数の面から、タイヤの周方向分割数を考える。タイヤは構造体であるので、固有振動数を持っており、一般的に50Hz付近に前後方向の固有振動数が、100Hz付近に上下方向の固有振動数がある。また、一般に200Hz付近にタイヤの内部の空気を充填しているドーナツ状の空間と、その中の空気により生じる空洞共鳴周波数がある。さらに、重要なのは、ホイルの固有振動数である。一般的な乗用車のホイルの振動数は、400Hzから450Hz付近である。タイヤとホイルを組み合わせてタイヤの転動解析をする場合、タイヤモデルのタイヤ周方向の分割要素数から生じる特定の周波数の振動が、これらタイヤやホイルの固有値と共振してしまうと精度の高い解析が望めない。すなわち、これらの固有振動数がケース部分の要素(MESH)の分割次第で強調されることを避けなければ、精度の高い解析は望めない。
例えば・時速50キロで、タイヤとホイルとを回転させる解析を考える。一般的な乗用車用のタイヤの外周は約2mであり、時速50キロで転動した場合、1秒間にタイヤは、約7回転する。タイヤモデルを、従来のように周方向に60分割した場合は、7回転/秒・60分割=420Hzとなり、要素分割の多角形性が生じる振動数は約420Hzとなる。これは、ホイルの固有振動数と一致して、本来有ってはならない共振現象が、解析で発生する可能性が高い。この場合、例えばタイヤを120個の要素に分割すれば、要素分割の多角形性が生じる振動数は840Hzの高周波となり、共振を避けることができる。一般に、タイヤの固有値による移動体(例えば自動車)の共振は、速度が30キロ程度の所謂低速度領域の場合と、速度が80キロ以上の高速度領域について考えることが多い。例えば、速度が時速30キロの場合は、タイヤは1秒間に、4.2回転しており、ホイルとの共振を避けるために、ケース部分の要素(MESH)の多角形性から生じる解析上の振動を500Hz以上にすることを考えると、500Hz/4.2=119分割以上にすることが必要である。これよりさらに速度が遅い領域では、その速度に応じてケース部分の要素(MESH)数を制御する必要がある。速度20キロでは、ホイルとの共振を避けるために、要素分割数を180分割以上とする必要がある。すなわち、タイヤとホイルの組み立て構造体では、主要な固有周波数中、ホイルとの共振が比較的高めの振動周波数であり、解析時に注意が必要である。ホイルの固有周波数は一般的に、400Hz〜450Hzであるので、要素分割から生じる周波数をこれより大きい500Hz以上と設定すれば共振を避けることができる。
さらに検証すると、タイヤの直径を2R(m)としたとき、タイヤの外周は2Rπ(m)となり、タイヤが時速V(km)で転動する場合、タイヤモデルの周方向分割数をNとすると、タイヤモデルは1秒間に、
(V/3.6)/(2Rπ) ・・・(1)
だけ回転することになる。タイヤ1周がN分割されているので、要素分割によって、解析上に生じる振動成分は、
N・(V/3.6)/(2Rπ) Hz ・・・(2)
となる。本発明では、この周波数を、ホイルの固有振動数よりも大きい500Hz以上とすることを定めている。
N・(V/3.6)/(2Rπ)>500Hz ・・・(3)
特に、問題となるのが、時速30キロ程度の低速時での解析であり、この場合、上記(1)〜(3)式に、V=30(km/h),R=0.3(m)を代入すると、解析上に発生する振動数を500Hz以上にするためには、113分割以上のNが必要である。
さらに速度が遅い場合は、さらに分割する必要があるが、通常の解析で用いる速度は時速30(km)以下になることは稀であるので、要素分割数を120分割以上にしておけば、実用上十分なものである。もちろん、時速20(km)といったさらに低速での解析を実行するときは、さらに細かい分割をすればよい。
前記のタイヤモデルを用いることで、計算上で発生する振動を最小限に抑えてタイヤの挙動をシミュレーションすることができる。詳細には、(a)数値計算モデルとして接地及び転動により変形を与えることが可能なタイヤモデルとして、前記記載のタイヤモデルを定めるステップ、(b)タイヤ性能を使用状態で解析するために、前記タイヤモデルに使用条件を付与するステップ、(c)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステップ、(d)前記ステップ(c)におけるタイヤモデルに生じる物理量を求めるステップ、(e)前記物理量によりタイヤの挙動を予測するステップ、を含むタイヤの挙動シミュレーション方法によって、使用状態でタイヤの挙動を模擬的に解析することができる。
また、コンピュータによってタイヤの挙動を解析する場合、(A)数値計算モデルとして接地及び転動により変形を与えることが可能なタイヤモデルとして、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のタイヤモデルを定めるステップ、(B)タイヤ性能を使用状態で解析するために、前記タイヤモデルに使用条件を付与するステップ、(C)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステップ、(D)前記ステップ(C)におけるタイヤモデルに生じる物理量を求めるステップ、(E)前記物理量によりタイヤの挙動を予測するステップ、を含むタイヤの挙動解析プログラムによって、計算上で発生する振動を最小限に抑えてタイヤの挙動を解析することができる。
さらに、コンピュータによってタイヤの挙動を解析する場合、(1)数値計算モデルとして接地及び転動により変形を与えることが可能なタイヤモデルとして、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のタイヤモデルを定めるステップ、(2)タイヤ性能を使用状態で解析するために、前記タイヤモデルに使用条件を付与するステップ、(3)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステップ、(4)前記ステップ(3)におけるタイヤモデルに生じる物理量を求めるステップ、(5)前記物理量によりタイヤの挙動を予測するステップ、を含むタイヤの挙動解析プログラムを記憶媒体に記憶するようにし実行させ、データ収集するようにすれば、計算上で発生する振動を最小限に抑えたタイヤの挙動解析が可能となる。
以上説明したように本発明によれば、計算上で発生する振動を最小限に抑えて精度良くタイヤの挙動解析を可能とするタイヤモデルを提供でき、効率的なタイヤ開発を実現できる、という効果がある。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態は、タイヤの挙動解析に本発明を適用したものである。
〔第1実施の形態〕
図1には本発明のタイヤの挙動シミュレーション方法を実施するためのパーソナルコンピュータの概略が示されている。このパーソナルコンピュータは、データ等を入力するためのキーボード10、予め記憶された処理プログラムに従ってタイヤの性能を予測するコンピュータ本体12、及びコンピュータ本体12の演算結果等を表示するCRT14から構成されている。
なお、コンピュータ本体12には、記録媒体としてのフレキシブルディスク(FD)が挿抜可能なフレキシブルディスクユニット(FDU)を備えている。なお、後述する処理ルーチン等は、FDUを用いてフレキシブルディスクFDに対して読み書き可能である。従って、後述する処理ルーチンは、予めFDに記録しておき、FDUを介してFDに記録された処理プログラムを実行してもよい。また、コンピュータ本体12にハードディスク装置等の大容量記憶装置(図示省略)を接続し、FDに記録された処理プログラムを大容量記憶装置(図示省略)へ格納(インストール)して実行するようにしてもよい。また、記録媒体としては、CD−ROMやDVD等の光ディスクや、MD,MO等の光磁気ディスクがあり、これらを用いるときには、上記FDUに代えてまたはさらに、対応する装置を用いればよい。また、パーソナルコンピュータの他に、ワークステーションやスーパーコンピュータをタイヤ解析に用いてもよいことは勿論である。
(挙動シミュレーション)
図2は、本実施の形態にかかるタイヤの挙動解析プログラムの処理ルーチンを示すものである。ステップ100では、挙動解析の対象となるタイヤの設計案(タイヤ形状、構造、材料など)を定める。次のステップ102では、タイヤ設計案を数値解析上のモデルに落とし込むためのタイヤ(例えばパターンを有していないスムースタイヤやパターンを有するタイヤ)のタイヤモデルを作成する。このタイヤモデルの作成は、用いる数値解析手法により若干異なる。本実施の形態では数値解析手法として有限要素法(FEM)を用いるものとする。従って、上記ステップ102で作成するタイヤモデルは、有限要素法(FEM)に対応した要素分割、例えば、メッシュ分割によって複数の要素に分割され、タイヤを数値的・解析的手法に基づいて作成されたコンピュータプログラムヘのインプットデータ形式に数値化したものをいう。この要素分割とはタイヤ、及び路面等の対象物を小さな幾つかの(有限の)小部分に分割することをいう。この小部分ごとに計算を行い全ての小部分について計算した後、全部の小部分を足し合わせることにより全体の応答を得ることができる。なお、分割にあたっては詳細を後述するように、本実施の形態では、許容範囲を設定している。
上記ステップ102のタイヤモデルの作成では、図3に示すタイヤモデル作成ルーチンが実行される。まず、ステップ140において、有限要素法(FEM)に対応した要素分割の分割数を設定する。詳細は後述するが、分割数は、タイヤ周方向について1周を、120個以上でかつ360個以下の要素に分割することを許容範囲として、120から360の間に設定する。次のステップ142では、タイヤ径方向断面のモデル(すなわちタイヤ断面データ)を作成する。タイヤ断面データは、タイヤ外形をレーザー形状測定器等で計測した値を用いることができる。また、タイヤ内部の構造は設計図面および実際のタイヤ断面データ等の正確な値を用いることができる。また、タイヤ断面内のゴム、補教材(ベルト、プライ等、鉄・有機繊維等でできた補強コードをシート状に束ねたもの)をそれぞれ有限要素法のモデル化手法に応じてモデル化する。次のステップ144では、2次元データであるタイヤ断面データ(タイヤ径方向断面のモデル)を周方向に一周分(360度)展開し、タイヤの3次元(3D)モデルを作成する。この周方向に一周分(360度)展開するときに、上記ステップ140で設定した分割数を反映させる。すなわち、タイヤ周方向について1周を、120個以上でかつ360個以下の要素となるように展開する。図4には、上述のようにして作成されたタイヤモデルを路面に載せた状態を示した。図4(A)は、72分割した例であり、(B)は144分割した例である。
上記のようにしてタイヤモデルを作成した後には、図2のステップ104へ進み、路面の設定すなわち路面モデルの作成と共に路面状態の入力がなされる。このステップ104では、路面をモデル化し、そのモデル化した路面を実際の路面状態に設定するために入力するものである。路面のモデル化は、路面形状を要素分割してモデル化し、路面の摩擦係数μを選択設定することで路面状態を入力する。例えば、路面状態により乾燥(DRY)、濡れ(WET)、氷上、雪上、非舗装等に対応する路面の摩擦係数μが存在するので、摩擦係数μについて適正な値を選択することで、実際の路面状態を再現させることができる。
なお、流体モデルを作成して、路面とタイヤモデルの間に設けても良い。流体モデルは、タイヤの一部(または全部)および接地面、タイヤが移動・変形する領域を含む流体領域を分割し、モデル化するものであり、タイヤモデルと流体モデルは一部重なって定義されることが好ましい。
このようにして、路面状態の入力がなされると、次のステップ106において、境界条件の設定がなされる。この境界条件とは、タイヤモデルに解析上すなわちタイヤの挙動をシミュレートする上で必要なものであり、タイヤモデルに付与する各種条件である。
上記ステップ106の境界条件の設定では、図5に示す境界条件設定ルーチンが実行される。まず、ステップ152ではタイヤモデルには内圧を与え、次のステップ154ではタイヤモデルに回転変位及び直進変位(変位は力、速度でも良い)の少なくとも一方と、予め定めた負荷荷重とを与える。なお、路面との摩擦を考慮する場合は、回転変位(または力、速度でもよい)もしくは直進変位(または力、速度でもよい)のどちらか一方のみでよい。
次に、ステップ106までに作成されたり設定されたりした数値モデルをもとに、解析としてのタイヤモデルの変形計算を行う。すなわち、上記ステップ106で境界条件の設定が終了すると、ステップ108へ進み、タイヤモデルの変形計算を行う。このステップ108では、タイヤモデルおよび与えた境界条件より、有限要素法に基づいてタイヤモデルの変形計算を行う。この変形計算は、タイヤ転動時の状態を得るために(過渡的な状態を得るために)、タイヤモデルの変形計算を繰り返し(例えば1msec以内の計算を繰り返して行い)、その度に境界条件を更新するようにしてもよい。また、変形計算は、タイヤ変形が定常状態となることを想定した予め定めた計算時間を採用することができる。次のステップ110では、上述の計算結果を出力する。この計算結果とは、タイヤ変形時の物理量を採用する。具体的には、タイヤ中心に作用する力の振動(kgf)を導出する。
なお、計算結果の出力は、タイヤの接地部の形状や接地圧の分布、タイヤ中心に作用する力等の値または分布を可視化することを採用してもよい。これらは計算結果の値や変化量または変化率、力の向き(ベクトル)そして分布から導出することができ、それらをタイヤモデル周辺やパターン周辺とを共に線図等で表せば、把握しやすく提示可能な可視化をすることができる。
(分割数)
上記タイヤの挙動シミュレーションを基にして、タイヤモデルを分割するにあたっての許容範囲について説明する。本発明者は、種々の実験及び検討を行い、タイヤ周方向について1周を、120個以上でかつ360個以下の要素に分割することが好ましい、という知見に至った。
まず、図6は、タイヤを60分割したときのタイヤモデルを示したもので、(A)は接地面の面積、(B)はタイヤモデルの側面図である。同様に、図7はタイヤを120分割したときのタイヤモデル、図8はタイヤを180分割したときのタイヤモデルである。
各図から理解されるように分割数を増加するにつれて周方向に並ぶ要素数が増加する。すなわち、タイヤを60分割したタイヤモデルは接地面に4〜5個の要素が周方向に並び、120分割したタイヤモデルは接地面に9〜10個の要素が周方向に並び、360分割したタイヤモデルは接地面に13〜14個の要素が周方向に並ぶ。
次に、タイヤを路面に接触させて転がしたときのタイヤ軸力についてシミュレーションを行った。具体的には、タイヤサイズ215/55R15のタイヤについて、荷重が400kg、速度が50km/h、スリップ角が0度、路面との摩擦係数が1.0、タイヤ充填内圧が1.8(SI単位系では0.18Mpa)の条件で上記タイヤの挙動シミュレーション(回転接触解析)を行った。その計算結果(FEMによる解析結果)を図9乃至図12に示した。図9は、タイヤを72分割したときの解析結果を示し、図10は、タイヤを120分割したときの解析結果を示し、図11は、タイヤを180分割したときの解析結果を示し、図12は、タイヤを360分割したときの解析結果を示した。計算結果は、タイヤの転動距離を横軸に、タイヤの上下振動を縦軸に設定した特性とした。なお、タイヤの上下振動とは、タイヤ中心に作用する力の振動である。この解析上では、400kgfのときのタイヤ接地形状はタイヤを72分割したタイヤモデルは図6とほぼ同様であり、120分割したタイヤモデルは図7であり、180分割したタイヤモデルは図8である。
また、図13には、上記タイヤを路面に接触させて転がしたときのタイヤ軸力について、タイヤモデルの分割数と振動振幅との関係を求めた結果を示した。
図13から理解されるように、タイヤモデルの60分割(72分割)と120分割とでは大差がある。また、120分割以上の分割では、タイヤ固有の振動が存在するため、軸力が0になることなく、なだらかに振動振幅が減少することが想定される。また、タイヤモデルを120分割した場合、振動振幅は10kgfであり、400kgfの付与力に対して2.5%となり、実用に供するレベルである。
さらに、図14には、タイヤモデルの分割数(タイヤ周方向)と計算時間との関係を求めた結果を示した。解析に要する計算時間はタイヤモデルの分割数が増加するに従って指数関数的に増加する。この図では、2次関数曲線的に増加傾向にある。つまり、60分割のときの計算時間を1として指数で示したものであり、360分割を超えると現実的な分割数ではない。
これらの図から、タイヤモデルの60分割(72分割)に比較して120分割は振動を大きく抑えていることが理解される。また、これらの図から120分割のレベルで、タイヤ開発の現場に十分に利用できるだけの精度があると判断できる。
すなわち、図9乃至図12(横軸:タイヤの周方向分割数、縦軸:垂直軸力の振動振幅)で得られた結果からも十分得られるものである。従来のように、60分割だと400kgfの垂直荷重に対して、FEMによるタイヤモデルを転がすだけで、33kgfの軸力振動が生じる。400kgfに対する33kgfは、大きな誤差となる。これに対して120分割では、軸力振動は10kgfになる。このように誤差(振動振幅)が劇的に小さくなる。また追加の実験により、この振動は、分割数が180分割以上に増やしても殆ど低減しないことが結果として得られた。すなわち、タイヤモデルの分割を60から120分割へと変更するところに、顕著な改善がある。
振動振幅は、有限要素法を利用する以上、分割によって生じた多角形が回転するという原理に基づいて発生するので、分割数を増加すれば誤差である振動を減少できることは勿論だが、120分割が、工業的な現場の設計に利用するのに十分である。
従って、タイヤモデルを用いたFEMによる解析を行う場合、要素に分割する分割数は、振動振幅を考慮して120個の要素となる分割数以上(120分割以上)にすることが好ましく、計算負荷(計算時間)を考慮して360個の分割数以下(360分割以下)にすることが実用上好ましいという結論に至る。
このように、本実施の形態では、タイヤモデルを用いたFEMによる解析を行う場合、要素に分割する分割数を120分割以上でかつ360分割以下に設定するので、計算上で発生する振動を最小限に抑えつつ計算負荷を軽減して解析をすることができるタイヤモデルを提供することができる。
なお、上記計算結果からトレッド部分のパターン(例えば溝)や形状を求めるようにしてもよい。そして、上記導出したパターンを、タイヤ周方向に展開し、パターン付のタイヤモデルを作成することにより、タイヤモデルを再構成できる。
〔第2実施の形態〕
本実施の形態は、上記実施の形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、本実施の形態では、解析対象として横力を採用している。すなわち、上記実施の形態では、タイヤ変形時の物理量として、タイヤ中心に作用する力の振動(kgf)の例を説明したが、本実施の形態では横力を採用する。
詳細には、本実施の形態では、スリップ角(SA)を0〜12度(deg)はで変化させて解析を実行し、そのときの横力を計算結果として出力する。本実施の形態で対象としたタイヤ及びその状態は、タイヤサイズ215/55R15の上記実施の形態と同様のタイヤについて、荷重が400kgf、速度が50km/h、路面との摩擦係数が1.3、タイヤ充填内圧が1.8(SI単位系では0.18Mpa)の条件で、スリップ角(SA)を0〜12度変化させたときの挙動シミュレーション(回転接触解析)を行った。その計算結果(FEMによる解析結果)を図15及び図16に示した。
図15は、スリップ角を変化させたときの横力の最大値(Fy−max)を求めた解析結果を示し、スリップ角度を横軸に、横力の最大値を縦軸に設定した特性図として示した。図16は、タイヤモデルを60分割、120分割、180分割、360分割したときの解析結果について、分割数と横力の最大値との関係を求めた結果を示したものである。
これらの図から、タイヤモデルの分割数が少ない(粗い要素の)場合、横力の最大値が小さくなる。例えば60分割のときは、475kgfであり、120分割に比較して小さくなることが理解される。これは、60分割のように要素分割が粗く分割数が少ないと、タイヤモデルが上下に振動して、タイヤモデルの接触状態が悪化し、十分な摩擦力を得られないためと考えられる。これに対して120分割以上では、横力の最大値が495〜499kgfであり、振動による影響が抑制されると考えられる。従って、120分割以上のレベルで、横力を考慮する場合にあっても、タイヤ開発の現場に十分に利用できるだけの精度があると判断できる。
このように、本実施の形態では、タイヤモデルを用いたFEMによる解析を行う場合、要素に分割する分割数を120分割以上でかつ360分割以下に設定することにより、横力を考慮しつつ振動を最小限に抑えつつ計算負荷を軽減して解析をすることができるタイヤモデルを提供することができる。
〔第3実施の形態〕
本実施の形態は、上記実施の形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、本実施の形態では、解析対象として横力を採用している。すなわち、上記実施の形態では、タイヤ変形時の物理量として、タイヤ中心に作用する力の振動(kgf)の例を説明したが、本実施の形態では横力を採用する。
タイヤはその利用形態(走行状態や装着する移動体の種類)により種々のものがある。例えば、扁平率が異なったり構造が異なったりするので、同一の大きさのタイヤでも接地長(接地している部分の周方向の長さ)が異なる。従って、上記実施の形態のようにタイヤ周方向の分割数を規定したのみでは、厳密な部分(個々のタイヤヘの対応)が不十分となる場合がある。そこで、本実施の形態では、タイヤモデルについて接地面を規定する。上記の厳密な部分の不十分ということは、接地長が短いタイヤでは、120分割しても接地面内に入る要素の数が少なくなり、場合によっては振動しやすくなることである。例えば、接地部分に周方向に要素が10個並んでいる場合、タイヤが回転すると、ある瞬間では、周方向の要素が11個または9個と変動する。10個に対する1個の増減に対して6個に対する1個の増減はその変動が大きく、その結果振動が大きくなる。このため、本実施の形態では、接地面内に10個以上の要素が存在することを規定している。
本実施の形態で対象としたタイヤ及びその状態は、タイヤサイズ245/50R17の高性能系のタイヤについて、荷重が400キロ、速度が50km/h、タイヤ充填内圧が2.0(200kPa)の条件で、上記実施の形態と同様の挙動シミュレーション(回転接触解析)を行った。その計算結果(FEMによる解析結果)を図17乃至図19に示した。
図17は、タイヤモデルを60分割したときの解析結果について、タイヤモデルの接地面を示したものである。同様に、図18はタイヤモデルを120分割したときの解析結果についてタイヤモデルの接地面を示し、図19はタイヤモデルを180分割したときの解析結果についてタイヤモデルの接地面を示したものである。
本実施の形態で採用した高性能系のタイヤは、接地面の形状が周方向に短くかつ幅方向に長くなりやすい。また、荷重が軽いと接地面積が小さくなり、接地長が短くなる。図17に示す60分割の場合では、4個程度の要素しか接地面に存在しないため、振動が極端に大きくなる。これに対し、上記実施の形態のように、120分割した、図18の例であっても、接地面には6〜7個の要素しか存在しない結果であった。このため、振動は強めに出力された。
そこで、図19に示すように、180分割した場合、接地面には10個程度の要素が存在して振動が抑制された。すなわち、タイヤモデルを周方向に180分割することで、接地面内には10個の要素が周方向に並ぶ。従って、タイヤ全体(ケース部分)の分割数に加えて、接地面内の要素数を規定する分割数を設定すること、または接地面内の要素数を規定する分割数のみを設定することが有効になる場合がある。
従って、周方向に120分割することで接地面内に10個の要素が並ぶタイヤモデルが存在する一方、それ未満例えば7個程度しか並ばないタイヤモデルでは分割数を増加して接地面内に10個の要素が並ぶようにする。また、計算負荷を考慮すると、30個を超えると計算時間がかかって好ましくないため、接地面内に30以内の要素に分割することが好ましい。
これらのことから、接地面内に10個以上でかつ30以内の要素が並ぶようにタイヤモデルを分割する分割数を規定する許容を有することが、種々のタイヤの種類を考慮する場合にあっても、タイヤ開発の現場に十分に利用できるだけの精度があると判断できる。
このように、本実施の形態では、タイヤモデルを用いたFEMによる解析を行う場合、要素に分割する分割数を接地面内に要素が10個以上でかつ30個以下に存在するようにすることにより、タイヤの種類に依存せずに振動を最小限に抑えつつ計算負荷を軽減して解析をすることができるタイヤモデルを提供することができる。
〔第4実施の形態〕
本実施の形態は、上記実施の形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、本実施の形態では、解析対象としてタイヤとリムの組み合わせたものを採用する。
まず、本実施の形態で考慮する振動数に関して説明する。タイヤの振動は、車に装着して道路を走る場合の騒音になったり、またはドライバーが感じ取る乗り心地性能と密な関係がある。そこで、タイヤの振動モード、共振周波数を知ることは、タイヤ開発の現場では非常に重要である。そして、タイヤを様々なリム(ホイール)と組み合わせて利用することを考えた場合、リムとタイヤを1体の構造物として振動解析を行なうことが重要である。ここで問題となるのが、リムの振動モードであり、リム単体の共振点(共振周波数)は400Hzから450Hz付近にある。これは一般的なリムであるが、ほぼ全てのリムについて適用可能である。
これに対してタイヤの共振点は、複数の振動形態(すなわち、複数の振動モード)があるが、ほぼ200Hz前後かそれ以下が多い。すなわち、実際のタイヤでは、タイヤとリムを組み合わせた場合、200Hz以下の振動は主にタイヤによって起きている振動で、400−450Hz付近の振動はリムによる振動と考えられる。
そこで、タイヤの挙動シミュレーションでも、リムとタイヤの両方をFEMでモデル化して(図2のステップ102でリムを組み合わせればよい。)、これを組み合わせて解析する。この解析では、タイヤが200Hz以下の振動を起こし、リムが400−450Hz付近の振動を起こすという実際と同様の結果が得られた。
ところが、タイヤ転動時の振動について挙動シミュレーションするとき、タイヤモデルが回転すると、タイヤモデルは円ではなく、多角形のため転動のみ(回転するだけ)で振動が生じる。この振動は、実際のタイヤにはない、解析固有の振動である。すなわち、実際にはない振動が、解析のためにモデル化したタイヤモデルが多角形のために生じるものである。
そこで、例えば、時速50キロで、タイヤとホイルとを回転させる解析を考えと、一般的な乗用車用のタイヤの外周は約2mであり、時速50キ口で転動した場合、1秒間にタイヤは、約7回転する。タイヤモデルを、従来のように周方向に60分割した場合は、7回転/秒・60分割=420Hzとなり、要素分割の多角形性が生じる振動数は約420Hzとなる。これは、ホイルの固有振動数と一致して、共振現象が解析で発生する可能性が高い。この場合、時速50キロなので、これは秒速13.89mに相当する。タイヤの外周が約2mであるので、13.89m/2mで、7回転する。つまり、時速50キロで走行するタイヤは、1秒間に7回転する。次に、タイヤのケース部分を60分割すると、モデルの多角形の頂点がタイヤ1回転の間に、60回路面に接するということで、タイヤが1回転すると60回の振動が起こる。従って、(時速50キロのタイヤは1秒間に7回転する)+(タイヤモデルは1回転すると60回振動する幾何学的特性を持っている)=(時速50キロで走行する挙動シミュレーションでは、7・60=420Hzの“実際には起こりえない解析上の、モデルの幾何学的形状に起因する余計な振動”を発生する)、
ことになる。
ここで、ホイル(リム)との関係について説明する。実際のリムは400−450Hzに共振周波数がある。この周波数と、タイヤの挙動シミュレーションでしか起こりえない振動が重なると振動が増幅され大きく発生する。つまり、シミュレーションではタイヤの振動が丁度リムの共振点と一致するために、420Hz付近の振動が誇張されて解析結果として出力される。
そこで、タイヤモデルを120分割とすれば、要素分割の多角形性が生じる振動数は840Hzの高周波となり、共振を避けることができる。一般に、タイヤの固有値による車両の共振を考える場合、速度が30キロ程度のいわゆる低速度領域の場合と、速度が80キロ以上の高速度領域について考えることが多い。例えば、速度が時速30キロの場合は、タイヤは1秒間に、4.2回転しているわけであり、ホイルとの共振を避けるために、ケース部分の要素(MESH)の多角形性から生一じる解析上の振動を500Hz以上にすることを考えると、500Hz/4.2=119分割以上にすることが必要である。さらに、速度が遅い領域では、その速度に応じてケース部分の要素(MESH)数をコントロールする必要がある。速度20キロでは、ホイルとの共振を避けるために、要素分割数を180分割以上とする必要がある。すなわち、タイヤとホイルの組み立て構造体を考えた場合、主要な固有周波数の中では、ホイルとの共振が比較的高めの振動周波数であり、解析時に注意しなければならないものとなる。ホイルの固有周波数は一般的に400Hz〜450Hzであるので、要素分割から生じる周波数をこれより大きい500Hz以上と設定すれば共振を避けることができる。
すなわち、本実施の形態は、タイヤの振動解析を考えた場合、本来有ってはならないリムとの共振現象が起こらないように、タイヤFEMモデルの分割数を設定する(図3のステップ140)。
上記課題を解決するための手段の欄に記載した数式は、リムの共振点400−450Hzに、タイヤモデルの多角形形状に起因する幾何学的な要因の振動が重ならないようにするために、最低限必要な周方向の要素分割数を指定するものである。
このように、本実施の形態では、タイヤモデルを用いたFEMによる解析を行う場合、要素に分割する分割数を、分割した要素から発生する振動数が500Hz以上となるように設定することにより、タイヤとリムを組み合わせた組立体について振動を最小限に抑えつつ計算負荷を軽減して解析をすることができる。
本発明の実施の形態にかかる、タイヤの挙動シミュレーション方法を実施するためのパーソナルコンピュータの概略図である。 本発明の第1実施の形態にかかる、タイヤの挙動解析プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 タイヤモデル作成処理の流れを示すフローチャートである。 タイヤモデルと路面とを示す斜視図である。 境界条件設定処理の流れを示すフローチャートである。 タイヤを60分割したときのタイヤモデルを示し、(A)は接地面の面積、(B)はタイヤモデルの側面図である。 タイヤを120分割したときのタイヤモデルを示し、(A)は接地面の面積、(B)はタイヤモデルの側面図である。 タイヤを180分割したときのタイヤモデルを示し、(A)は接地面の面積、(B)はタイヤモデルの側面図である。 72分割したタイヤモデルの解析結果を示す特性図である。 120分割したタイヤモデルの解析結果を示す特性図である。 180分割したタイヤモデルの解析結果を示す特性図である。 360分割したタイヤモデルの解析結果を示す特性図である。 タイヤモデルの分割数と振動振幅との関係を示す特性図である。 タイヤモデルの分割数と計算時間との関係を示す特性図である。 第2実施の形態にかかり、スリップ角を変化させたときの横力の最大値の関係を示す特性図である。 第2実施の形態にかかり、タイヤモデルの分割数と横力の最大値との関係を示す特性図である。 第3実施の形態にかかり、タイヤモデルを60分割したときの接地面を示す線図である。 第3実施の形態にかかり、タイヤモデルを120分割したときの接地面を示す線図である。 第3実施の形態にかかり、タイヤモデルを180分割したときの接地面を示す線図である。
符号の説明
10 キーボード
12 コンピュータ本体
14 CRT
30 タイヤモデル
FD フレキシブルディスク(記録媒体)

Claims (7)

  1. 使用状態でタイヤの挙動を模擬的に解析するために、タイヤを数値計算モデルに対応させて計算するタイヤモデルであって、
    タイヤ周方向についてタイヤケースの1周を、120個以上でかつ360個以下の要素に分割したことを特徴とする
    タイヤモデル。
  2. 使用状態でタイヤの挙動を模擬的に解析するために、タイヤを数値計算モデルに対応させて計算するタイヤモデルであって、
    タイヤ接地面についてタイヤ周方向に10個以上でかつ30個以下の要素に分割したことを特徴とする
    タイヤモデル。
  3. 使用状態でタイヤの挙動を模擬的に解析するために、タイヤを数値計算モデルに対応させて計算するタイヤモデルであって、
    前記解析として振動解析をするために、タイヤ周方向に要素分割した要素で発生する振動周波数が、タイヤを組み付けるリムの共振周波数を除く振動周波数となるように、タイヤ周方向に要素分割数を設定したことを特徴とする
    タイヤモデル。
  4. 前記タイヤを組み付けるリムの共振周波数を除く振動周波数でタイヤ周方向に要素分割した要素で発生する振動周波数は、500Hz以上であることを特徴とする請求項3に記載のタイヤモデル。
  5. 次の各ステップを含むタイヤの挙動シミュレーション方法。
    (a)数値計算モデルとして接地及び転動により変形を与えることが可能なタイヤモデルとして、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のタイヤモデルを定めるステップ。
    (b)タイヤ性能を使用状態で解析するために、前記タイヤモデルに使用条件を付与するステップ。
    (c)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステップ。
    (d)前記ステップ(c)におけるタイヤモデルに生じる物理量を求めるステップ。
    (e)前記物理量によりタイヤの挙動を予測するステップ。
  6. コンピュータによってタイヤの挙動を解析するために、次の各ステップを含むことを特徴とするタイヤの挙動解析プログラム。
    (A)数値計算モデルとして接地及び転動により変形を与えることが可能なタイヤモデルとして、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のタイヤモデルを定めるステップ。
    (B)タイヤ性能を使用状態で解析するために、前記タイヤモデルに使用条件を付与するステップ。
    (C)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステップ。
    (D)前記ステップ(C)におけるタイヤモデルに生じる物理量を求めるステップ。
    (E)前記物理量によりタイヤの挙動を予測するステップ。
  7. コンピュータによってタイヤの挙動を解析するためのタイヤの挙動解析プログラムを記録した記録媒体であって、次の各ステップを含むことを特徴とするタイヤの挙動解析プログラムを記録した記録媒体。
    (1)数値計算モデルとして接地及び転動により変形を与えることが可能なタイヤモデルとして、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のタイヤモデルを定めるステップ。
    (2)タイヤ性能を使用状態で解析するために、前記タイヤモデルに使用条件を付与するステップ。
    (3)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステップ。
    (4)前記ステップ(3)におけるタイヤモデルに生じる物理量を求めるステップ。
    (5)前記物理量によりタイヤの挙動を予測するステップ。
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