JP2006007323A - ブラインドボルト設置工具 - Google Patents

Abstract

【課題】 幅広い範囲のマンドレル径に関連して使用できる引き込みヘッドを提供する。
【解決手段】 引き込みヘッド１００は、スリーブアダプタ１１２に螺合するスリーブ１０８を備える。コレット１２８は引っ張り棒アダプタ１３０に螺合する。コレット１２８と引っ張り棒アダプタ１３０は、スリーブ１０８内にスライド可能に配設されている。１組のジョー１３６はコレット１２８内に配設されている。ジョーフォロワー１６２はコレット１２８内に配設され、ジョー１３６と接触している。コレット１２８内にはスプリング保持部１７２が配設され、２つのスプリングと係合している。第１のスプリング１７４は第２のスプリング１７０よりも高い等級を有し、慣性負荷に適応して構成されている。これに対し、第２のスプリング１７０は、異なる直径のマンドレル１５２を挿入することによって比較的容易に克服されるように、ジョー１３６を閉じるものとして構成されている。
【選択図】図１１

Description

［関連出願（優先権主張）］
この出願は、２００４年６月２２日に出願された米国仮出願第６０／５８２，２１０号の利益を主張する。

この発明は、一般にブラインドボルト（盲ボルト、blind bolts）を設置するための工具に関し、特に以下で論じられるような従来技術の問題点を克服するために異なる等級のスプリングを有したブラインドボルト設置工具に関する。

図１〜１０は、図面に示されているようなブラインドボルトを設置するための２つの異なる引き込みヘッド１０ａ（図１〜５）および１０ｂ（図６〜１０）を示している（米国特許第４，４３２，６７９号および４，８４４，６７３号も参照されたい。それらの全体は、参照によりここに組み入れられる）。図示されているように、引き込みヘッド１０ａ，１０ｂは、ブラインドボルトと共動するように構成される。ブラインドボルトは、マンドレル２８ａ，２８ｂと、シフトワッシャ６２と、スリーブ６３とを有する。マンドレルは、ファスナー１２ａ，１２ｂを設置するために引き込まれ、マンドレル２８ａ，２８ｂは設置中に折れる。

一般に、ファスナーが挿入される前にジョーを配置することに関して、引き込みヘッドは、「オープン（常開型）ジョー」設計と「クローズド（常閉型）ジョー」設計の２つのカテゴリーに分類されうる。双方の設計において、１組のジョーがファスナーのマンドレルを把持する。常開型ジョー設計のジョーは、通常は開放されていて、マンドレル上で閉じられなければならない。これに対し、常閉型ジョー設計のジョーは、通常は互いに接近し過ぎていて、それらの間にマンドレルを挿入することが難しい。それ故、ジョーは、マンドレルを挿入するために、開放されなければならない。

図１は、常閉型ジョー設計の引き込みヘッド１０ａを示しているのに対し、図６は、常開型ジョー設計の引き込みヘッド１０ｂを示している。各引き込みヘッドは、設置工具と螺合されるように構成されている。この設置工具は、明瞭化のために図面から省略されている。設置工具が引き込みヘッド１０ａまたは１０ｂと螺合され、そして設置工具が作動されるときに、設置工具は引き込みヘッドを動作させて、ファスナーを設置する。

図１に示されるように、常閉型ジョー式の引き込みヘッド１０ａは、引き込みヘッドの長軸１６を中心として１組のジョー１４ａを備える（典型的な１組は２または３つのジョーを有する）。１組内の各ジョーは、傾斜または円錐形部分１８を外面２０上に、また鋸歯状部分２２を内面２４上に有する。鋸歯状部分２２は、ファスナーまたはブラインドボルト１２ａのマンドレル２８上に設けられた対応する鋸歯状部２６を把持するように係合する。

ジョー１４ａは、コレット３２ａ内に設けられたテーパ部３０内に配設されている。図１に示されているように、ジョー１４ａが最前方位置にあるときに、ジョー１４ａによって規定される内径３４は、ジョー１４ａ内に挿入されるファスナー１２ａのマンドレル２８の直径３６よりも概ね小さい。ファスナー１２ａは、前述した米国特許第４，４３２，６７９号および４，８４４，６７３号や多数の他の従来技術特許に概ね示されているように、通常のブラインドボルト設計である。従って、ジョー１４ａは、「常閉型」であると言われる。コレット３２ａ内には、設置工具のヘッドピストンとの係合用に、ネジ部３８が設けられている。コレット３２ａは概ね円筒形であって、主かる内孔４０を有する。ジョー１４ａとジョーフォロワー４２ａとフォロワースプリング４４ａが、コレット３２ａ内に配設されている。ジョーフォロワー４２ａは、ジョー１４ａを概ね定位置に保持する。ジョーフォロワー４２ａもまた概ね円筒形であって、長尺な透孔４６を有する。この透孔は、ブラインドボルトまたはファスナー１２ａの折れたステムまたはマンドレル２８ａを受け入れるように構成されている。

ジョーフォロワー４２ａは、フォロワースプリング４４ａによるスプリング負荷を受ける。フォロワースプリング４４ａの一端４８は、ジョーフォロワー４２ａの外面５２上の肩部５０に接触する。これに対し、設置工具が引き込みヘッド１０ａと係合されているときに、フォロワースプリング４４ａの他端５２は設置工具と接触する。フォロワースプリング４４ａは、ファスナー１２ａのマンドレル２８ａが設置中に折れたときに、ショックアブソーバー（緩衝器）として効果的に作用することで、ジョーフォロワー４２ａが急速に後向きに加速して他の部品に衝突することがないようにする。コレット３２ａは、スリーブ５４ａ内に移動可能に配設されている。ネジ付きの開口５６が、スリーブ５４ａの端部５８に設けられ、ノーズピース６０ａがネジ付きの開口５６内に螺合されている。

動作時に、図２に示されるように、ファスナー１２ａのマンドレル２８ａがノーズピース６０ａに挿入されると、マンドレル２８ａは、ジョー１４ａを（スプリング４４ａによって与えられる）スプリング負荷に抗して開く。マンドレル２８ａは、図３に示されるように、ファスナー１２ａのシフトワッシャー６２がノーズピース６０ａに底をつけるか接触するまで、ノーズピース６０ａ内に挿入される。ジョー１４ａはテーパ部３０内に座しているので、ジョー１４ａは、それらが拡張するときに、それらの鋸歯状部２２がマンドレル２８ａの鋸歯状部２６と整列するまで、後退する必要がある。ジョー１４ａが開くと、マンドレル２８ａの鋸歯状部２６は、ジョー１４ａの鋸歯状部２２を擦って摩耗させる。オペレータ効果と、スリーブ５４ａおよびマンドレル２８ａ間でのファスナー分解の可能性を最小化するために、フォロワースプリング４４ａは、比較的小さなスプリングレートを有するように構成されることが好ましい。

図４に示されるように、工具が作動されると（即ち、工具のトリガが押されると）、設置工具のヘッドピストンに螺着されているコレット３２ａは、負荷を受けて後退する。ヘッドピストン（図示せず）の移動は、工具の「ストローク」として知られており、この「ストローク」は、図４の矢印６２で識別されている。コレット３２ａのテーパ部３０は、工具の引き込み力をジョー１４ａに伝達して、マンドレル２８ａを把持させる。従来と同様に、そして前述した特許に述べられているように、マンドレル２８ａがファスナー１２ａのスリーブ６３に対して移動するときに、ファスナー１２ａはスリーブ６３を変形し、且つロック用カラーをセットする。マンドレル２８ａが破壊切り込み部で破砕または破壊するまで、引き込み力は継続して設置を完了する。フォロワースプリング４４ａはショックアブソーバーとして作用しなければならないので、ファスナーの破壊負荷は比較的小さなものでなければならない。このときスプリング４４ａは、永久「ひずみ」し過ぎることなしに、設置の運動エネルギを吸収できる。マンドレル２８ａが折れたときに、マンドレル２８ａは依然としてジョー１４ａによって保持されている。

設置工具のトリガが解放されたときに、ヘッドピストンとコレット３２ａは、図５に示されるように、それらのホームポジションに戻る。図示のように、折れたマンドレル２８ａは、スプリング負荷によって、依然としてジョー１４ａ内に保持されている。次のファスナーが挿入されるときに、そのマンドレルが、ジョー１４ａを通して前回設置されたファスナーの折れたマンドレルを押し、より多くの摩耗を生じさせる。

図６は、常開型ジョー式の引き込みヘッド１０ｂを示している。この設計は、常閉型ジョー式の引き込みヘッドと同様であって、スリーブ５４ｂと、コレット３２ｂと、ジョー１４ｂと、ジョーフォロワー４２ｂと、フォロワースプリング４４ｂと、ノーズピース６０ｂとを含んでいる。しかしながら、常開型ジョー設計のジョー１４ｂは、それらの最前方位置またはホームポジションで開かれる。このとき、ジョー１４ｂによって形成された内部形状は、挿入されるファスナーの直径よりも大きい。これは通常、ノーズピース６０ｂの後部突起６４によって達成される。この後部突起は、コレット３２ｂ内に突出して、引き込みヘッドがその「ホーム」ポジションにあるときにジョー１４ｂを開くように構成されている。それ故、ジョー１４ｂは、ファスナー１２ｂのマンドレルまたはステム２８ｂが挿入される前に開放され、マンドレル２８ｂが抵抗無く挿入されるようにし、また必要であれば、取り外されるようにする。

図７は、引き込みヘッド１０ｂ内に配置されたマンドレル２８ｂを示している。マンドレル２８ｂをこの位置に配置することに関与する抵抗はない。何故ならば、ジョー１４ｂの各々の直径７０は、マンドレル２８ｂの直径よりも大きいので、真空力によってファスナー１２ｂもまた挿入され、維持されるからである。この点において、ジョー１４ｂは、ノーズピース６０ｂの後部突出部６４によって開かれる。ジョー１４ｂは、後部突起６４によって後退させられ、それ故スプリング負荷によってコレット３２ｂのテーパ部７２に対し外向きに開かれる。この点において、ファスナー１２ｂは、引き込みヘッド１０ｂから取り外される。何故ならば、ジョー１４ｂはマンドレル２８ｂを把持していないからである。

リベット工具が作動されると、コレット３２ｂは、図８に示されるように、ノーズピース６０ｂから離れて後退し始める。コレット３２ｂ内へのノーズピース６０ｂの突起６４が減少するにつれて、ジョー１４はコレット３２ｂのテーパ部７２内で閉じ始める。コレット３２ｂがノーズピース６０ｂの後部突起６４から引き下がるにつれて、ジョーの組はスプリング負荷によって前方へ押されてステム２８ｂ上で閉じる。ステム２８ｂが細いほど、ストロークを大きくして、ジョー１４ｂを接触させる。その後、マンドレル２８ｂは、ファスナー１２ｂが設置されるまで引き込まれる。

図９に示されているように、工具がそのストロークを完了するときに、マンドレル２８ｂは破壊し、コレット３２ｂはその極限位置まで移動する。常開型ジョー式の引き込みヘッド設計を使用してファスナーを設置するには、常閉型ジョー設計によって必要とされるよりも多くのストロークが必要とされる。マンドレル２８ｂが破壊した後に、マンドレル２８ｂはジョー１４ｂによって依然として保持される。

図１０に示されているように、工具サイクルの終了時に、コレット３２ｂは、その「ホーム」ポジションに戻るので、ノーズピース６０ｂはジョー１４ｂに再度接触して、それを開き、マンドレル２８ｂが解放されるようにする。折れたステム２８ｂは、重力によって自由に移動するか、あるいは真空力によって引き抜かれる。いずれの場合にも、ジョー１４ｂは、その引き抜きに起因する摩耗、または次のファスナーの挿入による摩耗を経験することがない。

マンドレル２８ｂは、挿入時にジョー１４ｂを開く必要はないので（図７参照）、フォロワースプリング４４ｂは、常閉型ジョー設計におけるよりも強いものとなり得る。このスプリング４４ｂは、より多くの運動エネルギを吸収することができるので、使用されるファスナーの破壊負荷もまた、常閉型ジョー設計におけるよりも高くなる。しかしながら、常開型ジョー設計で使用されるファスナーのマンドレル２８ｂは、長いノーズピース６０ｂを超えて延びるように十分に長く、ジョー１４ｂがそれを把持できるように、はるかに長くなければならない。また、ジョー１４ｂがマンドレル２８ｂ上で閉じる間に使用される工具のストロークは無駄になる。

典型的に、図１〜５に示されているような常閉型ジョー設計は、低破壊負荷のファスナーの設置に使用される。常閉型ジョー設計は、比較的低いスプリングレートの内部スプリング（即ち、上記で論じ、且つ図１〜５内で識別されるような部品番号４４ａ）を典型的に使用する。この構成は、異なるサイズの直径で比較的短いステムのファスナーの設置を可能にする。これに対し、図６〜１０に示されているような常開型ジョー設計は、典型的に単一サイズの直径で高破壊負荷のファスナーの設置に使用される。常開型ジョー設計は、比較的高いスプリングレートの内部スプリング（即ち、上記で論じ、且つ図１〜５内で識別されるような部品番号４４ｂ）を典型的に使用する。この構成は、異なるサイズの直径の設置を非常に困難にすると共に、非常に短いステムのファスナーの設置を不可能にする。

［目的および要約］
本発明の一実施形態の目的は、幅広い範囲のマンドレル径に関連して使用できる引き込みヘッドを提供することである。

本発明の一実施形態のもう１つの目的は、特別に短いステムを有したファスナーに適応するだけでなく、高慣性負荷に適応する引き込みヘッドを提供することである。

簡単に、そして前述した目的の少なくとも１つに従って、本発明の一実施形態は、異なるスプリングレートの２つのスプリングを有した引き込みヘッドを提供する。第１の高いレートのスプリングは、引き込みヘッドが高慣性負荷に適応できるようにするものであり、第２の低いレートのスプリングは、引き込みヘッドが幅広い範囲のマンドレル径に関連して使用できるようにするものである。

本発明の具体的な実施形態は、設置工具との係合用に構成された引き込みヘッドを提供する。この引き込みヘッドは、設置工具に係合可能な外側本体を備える。この外側本体は、スリーブアダプタに螺合するスリーブと、このスリーブをスリーブアダプタに対して固定するジャムナットとを有する。コレットは、引っ張り棒アダプタに螺合する。コレットと引っ張り棒アダプタは、スリーブ内にスライド可能に配設されている。コレット内には、１組のジョーが、コレット内に設けられたテーパ部の付近に配設されている。コレット内にはまた、ジョーフォロワーが配設され、ジョーと接触可能に係合している。コレット内には、スプリング保持部が配設され、２つのスプリングと係合している。具体的には、第１のスプリングは、引っ張り棒アダプタとスプリング保持部との間に配設され、第２のスプリングは、スプリング保持部とジョーフォロワーとの間に配設されている。第１のスプリングは、第２のスプリングよりも高い等級を有する。第１のスプリングは、慣性負荷に適応して構成されている。これに対し、第２のスプリングは、スリーブの端部に設けられた開口部に異なる直径のマンドレルを挿入することによって比較的容易に克服されるように、ジョーを閉じるものとして構成されている。

発明の構造および動作の組織および手法は、その更なる目的および利点と共に、添付の図面に関連してなされる以下の説明を参照することによって、最も良く理解される。図面では、同様の参照符号は同様の要素を識別している。

［説明］
本発明は、異なる形の実施形態に受け入れ可能であるが、その実施形態が図面に示され、ここで詳細に説明される。但し、この説明は、発明の原理の例示と考えられるべきものであって、この発明を、ここに図示され説明されたものに限定することを意図したものではない、と理解されるべきである。

図１１は、本発明の一実施形態に係る引き込みヘッド１００を示している。この引き込みヘッド１００は、異なるスプリングレートの２つのスプリングを有している。第１の高いレートのスプリング１７４は、引き込みヘッド１００が高慣性負荷に適応できるようにするものであり、第２の低いレートのスプリング１７０は、引き込みヘッド１００が幅広い範囲のマンドレル径に関連して使用できるようにするものである。

引き込みヘッド１００は、設置工具との係合用に構成されている。具体的に、引き込みヘッド１００は、設置工具に係合可能な外側本体１０６を備える。この外側本体１０６は、外ネジ部１１０を有したスリーブ１０８と、対応する内ネジ部１１４を有したスリーブアダプタ１１２とからなる。スリーブ１０８のネジ部１１０は、スリーブアダプタ１１２のネジ部１１４と螺合する。ジャムナット１１６は、スリーブ１０８のネジ部１１０上に螺合可能であって、スリーブ１０８をスリーブアダプタ１１２に対して固定する。具体的には、組立中に、ジャムナット１１６はスリーブ１０８上に螺合し、スリーブ１０８はスリーブアダプタ１１２に螺入し、ジャムナット１１６はスリーブアダプタ１１２と接触しながら回転させられる。スリーブ１０８とスリーブアダプタ１１２とジャムナット１１６は、設置過程中は静止し続けるサブアセンブリを構成する。スリーブアダプタ１１２は、設置工具のヘッドシリンダに直接螺入するように構成された別の外ネジ部１１８を有する。引き込みヘッド１００は、ノーズピースを有せず、そしてスリーブ１０８の端部１２２に開口部１２０だけを有することが好ましい。スリーブ１０８は、２つの外径１２４および１２６を有し、小さい外径１２６は、制限された面積への最大可能アクセス用作業端部にあることが好ましい。

コレット１２８と引っ張り棒アダプタ１３０がスリーブ１０８内に配設されている。具体的には、コレット１２８は内ネジ部１３２を有する。この内ネジ部は、引っ張り棒アダプタ１３０上の対応する外ネジ部１３４と螺合する。コレット１２８と引っ張り棒アダプタ１３０は、以下で更に十分に説明されるように、スリーブ１０８に対して移動可能である。

コレット１２８内には、ジョー１３６の組（好ましくは、３つのジョーの組）が、引き込みヘッド１００の前端１２８の付近であって、しかもコレット１２８内に設けられた内側テーパ部１４０の付近に配設されている。１組内の各ジョー１３６は、傾斜または円錐形部分１４２を外面１４４上に、また鋸歯状部分１４６を内面１４８上に有する。鋸歯状部分１４６は、ファスナーまたはブラインドボルト１５４のマンドレル１５２上に設けられた対応する鋸歯状部１５０を把持しながら係合するように構成されている。３つのジョー１３６の各々が、図１７に示されるように「Ｖ」溝構成１５５を有して、ジョー１３６が異なる直径のファスナーマンドレルを把持できるようにすることが好ましい。ジョー１３６が、図１１に示されるように最前方位置にあるときに、ジョー１３６によって規定される内径１５６は、ジョー１３６に挿入されるファスナー１５４のマンドレル１５２の直径１５８よりも概ね小さい。この故に、ジョー１３６は「常閉型」と言われる。

コレット１２８内にはまた、ジョーフォロワー１６２が配設され、ジョー１３６と接触可能に係合して、ジョー１３６を定位置に効果的に保持している。ジョーフォロワー１６２の端部１６４は、引っ張り棒アダプタ１３０内に設けられた孔１６６中に延びている。ジョーフォロワー１６２は概ね円筒形であって、長尺な透孔１６８を有する。この透孔は、ブラインドボルトまたはファスナー１５４の折れたステムまたはマンドレル１５２を受け入れるように構成されている。ジョーフォロワー１６２は、スプリング１７０によるスプリング負荷を受ける。

コレット１２８内には、スプリング保持部１７２が配設され、スプリング１７０および１７４と係合している。具体的には、第１のスプリング１７４は、引っ張り棒アダプタ１３０とスプリング保持部１７２との間に配設され、第２のスプリング１７０は、スプリング保持部１７２とジョーフォロワー１６２上に設けられた肩部１７６との間に配設されている。第１のスプリング１７４は、第２のスプリング１７０よりも高い等級を有する。第１のスプリング１７４は、ファスナー設置中の慣性負荷に適応して構成されている。これに対し、第２のスプリング１７０は、引き込みヘッド１００の端部１２２に設けられた開口部１２０に異なる直径のマンドレルを挿入することによって比較的容易に克服されるように、ジョー１３６を閉じるものとして構成されている。

ジョーフォロワー１６２は、スプリング保持部１７２内に座するフォロワースプリング１７０によって、ジョー１３６の背面に接する負荷を与えられる。スプリング保持部１７２は、スプリング保持部１７２の背面１７９に作用する重スプリング１７４によって、コレット１２８内の肩部１７８に押しつけられる。重スプリング１７４の逆端部１８０は、引っ張り棒アダプタ１３０の前面１８２に接触する。両スプリング１７０および１７４は、引き込みヘッドの「ホーム」ポジションに圧縮されて、内部部品に前負荷を与える。これらの内部部品は、ファスナー設置サイクル中に設置ツールのヘッドピストンと共に移動するサブアセンブリを含む。

図１１に示されるような引き込みヘッドは、その「ホーム」ポジションに示されている。即ち、引き込みヘッドは、それが取り付けられる設置工具が作動される前に、位置決めされている。フォロワースプリング１７０は、ジョー１３６を位置決め状態に保つ前負荷をジョーフォロワー１６２上に維持する。重スプリング１７４は、前負荷をスプリング保持部１７２上に維持する。しかしながら、スプリング保持部１７２が肩部１７８に対して底をつけるので、重スプリング１７４からの負荷は、ジョーフォロワー１６２には伝達されない。この特徴は、２つのスプリングの機能の分離を可能とする。即ち、フォロワースプリング１７０は、比較的低いスプリングレートを有して、ジョー１３６を定位置に保持する。この場合、オペレータは、ファスナー１５４を引き込みヘッド１２０の端部１２２の開口部１２０内に挿入することに、過剰な力を働かせる必要がない。

ファスナー１５４は、ファスナー１５４のマンドレル１５２をスリーブ１０８の開口部１２０に挿入することによって、引き込みヘッド１００内に配置される。ジョー１３６は、スプリング負荷を受けてコレット１２８のテーパ部１４０内に座する。ジョー１３６によってこの位置に形成される内部形状は、マンドレル１５２が入ることを可能にするほど大きくはない。図１２は、マンドレル１５２を受け入れるにほぼ十分となるようにジョー１３６が開く点までジョー１３６を押し戻した後のマンドレル１５２を示している。

マンドレル１５２は、図１３に示されるように、ファスナー１５４のシフトワッシャ１８４がスリーブ１０８上に座するまでファスナー１５４が挿入されるときに、スプリング１７０によって与えられるスプリング負荷に抗してジョー１３６を開く。ジョー１３６は、それらが開くときに、スリーブ１０８内を後退し、それらの鋸歯状部１４６はマンドレル１５２の鋸歯状部１５０と整列する。フォロワースプリング１７０は縮み、そしてジョー１３６はジョーフォロワー１６２を押し戻すが、ジョーフォロワー１６２はスプリング保持部１７２とは接触しない。重スプリング１７４は、その前負荷を与えられた状態の長さから縮まない。

工具のトリガが押し込まれるときに、工具のヘッドピストンに取り付けられた内部サブアセンブリ（即ち、コレット１２８，引っ張り棒アダプタ１３０等）は、負荷を受けて後退する。図１４は、マンドレル１５２が折れる寸前の中間ストローク位置にある引き込みヘッド１００を示している。ヘッドピストンおよびコレット／引っ張り棒アダプタの移動は、工具のストロークとして知られており、例えば９／１６”である。マンドレル１５２が破壊切り込みで折れるときに、ファスナー１５４は設置される。マンドレル１５２の残部は、ジョー１３６によって保持されたままである。

マンドレル１５２が折れるときに、解放されたエネルギは、ジョー１３６とジョーフォロワー１６２を後退させ、スプリング保持部１７２に接触させる。スプリング保持部１７２のカップ形状故に、フォロワースプリング１７０は予め設定された安全な長さに圧縮されるだけであり、「あさり（ｓｅｔ）」や失敗を起こさない。図１５は、コレット１２８のテーパ部１４０との接触を断って、ジョーフォロワー１６２およびスプリング保持部１７２と共に１つのユニットとして移動するジョー１３６を示している。この移動は、ショックアブソーバーとして作用する重スプリング１７４による抵抗を受ける。

工具のトリガが解放されるときに、ヘッドピストンおよび内部サブアセンブリは、それらのホームポジションに戻る。折れたマンドレル１５２は、（スプリング１７０によって与えられる）スプリング負荷を受けて依然としてジョー１３６で保持されている。マンドレル１５２は、図１６に示されるように、しばしばスリーブ１０８から突出する。次のファスナーが挿入されるときに、そのマンドレルは、前のファスナーの折れたマンドレルを、ジョー１３６を通して押さなければならない。そのマンドレルは、ジョーフォロワー１６２のチューブ部分１８８に押し込まれて、ついにはヘッドピストンを通して設置工具の背面から押し出される。

図１８は、図１１〜１６に示された引き込みヘッドの分解斜視図である。引き込みヘッド１００が異なるスプリングレートの２つのスプリング１７０，１７４を有するという事実は、引き込みヘッド１００が幅広いマンドレル径に関連して使用され得るようにする共に、引き込みヘッド１００が高い慣性負荷を適応できるようにする。更には、引き込みヘッド１００は、ノーズピースを有しないことが好ましい。しかも、引き込みヘッドは、非常に短いステムのファスナーが引き込みヘッド１００を使用して設置され得るように、構成されることが好ましい。

本発明の実施形態が図示され説明されたが、開示の精神及び範囲を逸脱すること無しに、当業者が本発明の種々の変形例を工夫することは想像される。

常閉型ジョー設計の引き込みヘッドの断面図である。 常閉型ジョー設計の一連の動作を示す図１と同様な図である。 常開型ジョー設計の引き込みヘッドの断面図である。 常開型ジョー設計の一連の動作を示す図６と同様な図である。 本発明の一実施形態に係る引き込みヘッドの断面図である。 引き込みヘッドの一連の動作を示す図６と同様な図である。 マンドレルに接触しているジョーの１つを示す断面図である。 図１１〜１６に示された引き込みヘッドの分解斜視図である。

符号の説明

１００：引き込みヘッド
１０６：本体
１０８：スリーブ
１１２：スリーブアダプタ
１１６：ジャムナット
１２８：コレット
１３０：引っ張り棒アダプタ
１３６：ジョー
１５２：マンドレル
１５４：ファスナーまたはブラインドボルト
１６２：ジョーフォロワー
１７０：第２のスプリング（フォロワースプリング）
１７２：スプリング保持部
１７４：第１のスプリング
１７６：肩部

Claims (14)

1. 設置工具に係合可能であって、マンドレルを引っ張るように構成された引き込みヘッドにおいて、設置工具に係合可能な本体と、本体内に配置され、引き込みヘッドが慣性負荷に適応できるように構成された第１のスプリングと、本体内に配置され、引き込みヘッドがある範囲のマンドレル径に関連して使用され得るように構成された第２のスプリングとを備えることを特徴とする引き込みヘッド。
2. 第１のスプリングは、第２のスプリングよりも高いレートであることを特徴とする請求項１に記載の引き込みヘッド。
3. 前記第１のスプリングのスプリング力は、マンドレルを引き込みヘッド内に設置するために克服される必要がないことを特徴とする請求項２に記載の引き込みヘッド。
4. 本体は、設置工具に係合するように構成された第１の端部と、マンドレルを受け入れるための開口部を有した第２の逆端部とを備え、前記第２のスプリングは、前記第１のスプリングよりも前記の開口部に近く、また前記第１のスプリングは、前記第２のスプリングよりも前記本体の前記第１の端部に近いことを特徴とする請求項２に記載の引き込みヘッド。
5. 本体は、スリーブを備え、引き込みヘッドは、さらにスリーブアダプタと、ジャムナットとを備え、スリーブは、スリーブアダプタに螺合し、そしてジャムナットは、スリーブアダプタに対してスリーブを固定することを特徴とする請求項１に記載の引き込みヘッド。
6. 本体は、スリーブを備え、引き込みヘッドは、さらにコレットと、引っ張り棒アダプタとを備え、前記コレットは、引っ張り棒アダプタに螺合し、そしてコレットと引っ張り棒アダプタは、スリーブ内にスライド可能に配設されていることを特徴とする請求項１に記載の引き込みヘッド。
7. １組のジョーが、コレット内の、コレット内に設けられたテーパ部の近くに配設されていることを特徴とする請求項６に記載の引き込みヘッド。
8. 各々のジョーは、マンドレルに接触するためのＶ字型表面を有することを特徴とする請求項７に記載の引き込みヘッド。
9. 前記コレットは、内部テーパ部を有し、前記ジョーは、前記第２のスプリングによって、前記内部テーパ部に向かってスプリングバイアスされていることを特徴とする請求項７に記載の引き込みヘッド。
10. ジョーフォロワーがコレット内に配設され、ジョーと接触可能に係合することを特徴とする請求項７に記載の引き込みヘッド。
11. スプリング保持部がコレット内に配設され、第１のスプリングおよび第２のスプリングに係合することを特徴とする請求項６に記載の引き込みヘッド。
12. ジョーフォロワーがコレット内に配設され、ジョーと接触可能に係合し、第１のスプリングは、引っ張り棒アダプタとスプリング保持部との間に配設され、第２のスプリングは、スプリング保持部とジョーフォロワーとの間に配設されていることを特徴とする請求項１１に記載の引き込みヘッド。
13. 前記スプリング保持部は、第１のスプリングからの負荷がジョーフォロワーに伝達されないように、コレットの肩部に接して座し、前記第１のスプリングのスプリング力は、マンドレルを引き込みヘッド内に設置するために克服される必要がないことを特徴とする請求項１２に記載の引き込みヘッド。
14. 各々のジョーは、マンドレルに接触するためのＶ字型表面を有することを特徴とする請求項１３に記載の引き込みヘッド。

Images