JP2005534705A - 無水マレイン酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は少なくとも4個の炭素原子を含む炭化水素を、酸素を含むガスにより、揮発性リン化合物の存在下に、バナジウム、リンおよび酸素を含有する触媒のもと、熱伝達媒体により冷却される反応帯域を少なくとも一つ備える多管式流動反応器ユニット中で、350〜500℃の温度範囲で不均一系触媒により気相酸化することにより無水マレイン酸を製造する方法に関する。第一の反応帯域では、抽出物供給に関しては、供給温度および/または供給量は以下のように調製されている。TSB(1st zone)は、該温度は熱伝達媒体の供給温度と排出温度の平均値により生成されるものだが、明細書中に記載の式(I)および(II)を満たしている。

Description

本発明は、少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素を、350〜500℃の酸素含有ガスを用いて、揮発性リン化合物の存在下に、バナジウム、リンおよび酸素を含有する触媒を使用して、熱伝達媒体により冷却される反応帯域を少なくとも一つ有する管束反応器ユニット中で、不均一系触媒により気相酸化することにより無水マレイン酸を製造する方法に関するものである。
無水マレイン酸は、γ-ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、および1,4−ブタンジオールを合成する際の重要な中間生成物である。それらはそのまま溶媒として用いられたり、あるいは、たとえば、ポリテトラヒドロフランやポリビニルピロリドンなどの重合体へと更に加工される。
少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素を、酸素を用いて、バナジウム、リンおよび酸素を含有する触媒を使用して、不均一系触媒により気相酸化することにより無水マレイン酸を製造する方法は一般に公知であり、ウルマン工業化学百科事典(Ullmann‘s Encyclopedia of Industrial Chemistry) 、第6版、1999年電子出版、の“MALEIC AND FUMARIC ACID − Maleic Anhydride(マレイン酸およびフマル酸 − 無水マレイン酸)”の章などに記述されている。一般に、ベンゼン、あるいは、1,3−ブタジエン、n−ブテン、またはn−ブタン等のC-炭化水素が出発物質として用いられる。反応は著しく発熱性であり、反応熱を適切に取り除く必要がある。一般的には、この反応は循環式塩浴を備えた管束反応器において行われる。
炭化水素を不均一系触媒による気相酸化により無水マレイン酸にするにあたっての重要な課題は、無水マレイン酸の非常に高い空時収率を、触媒の全寿命にわたって実現することである。無水マレイン酸の高い空時収率の実現は様々な因子に依存する。たとえば、触媒のタイプ、触媒床内におけるその活性分布、供給混合物中へのリン化合物の添加、供給混合物の組成、触媒あたりの炭化水素の空間速度、また反応温度などである。
炭化水素の無水マレイン酸への反応は著しく発熱性で進行するため、数多くの、並行反応また後続反応が起こる可能性があり、その結果、目的生成物への選択性および収率が低下する高温領域(“ホットスポット”領域)が、通常、触媒床内に形成される。この作用に対抗するため、EP−A−0099431は構造化触媒床、つまり、活性に変化がある触媒床を用いることを提案している。触媒の活性が最も低いのは反応器の入口で、最も高いのは反応器の出口である。その間では活性は連続的もしくは段階的に変化している。触媒の活性について適切な調整を実現するために、該文献は、原則的に活性のある触媒粒子を不活性の物質により希釈すること、異なる活性の触媒を用いること、および、必要に応じてそれらを組み合わせることを教示している。
WO93/01155はn−ブタンから、バナジウム、リンおよび酸素を含有する触媒を使用して、揮発性リン化合物の存在下で無水マレイン酸を製造する方法を開示しており、この場合、触媒活性は温度とn−ブタンの濃度によってガスの流れの方向に以下のように変化する。反応速度は床中の低温でn−ブタンの濃度が低い領域における高い活性により促進され、温度とn−ブタンの濃度の組み合わせにより転化と反応温度の過剰な上昇につながりうる床中の危険域における低い活性によって抑えられる。
触媒床の上記構造化は、より均一化した温度分布、そして通常は無水マレイン酸の空時収率の上昇をもたらす。しかしながら、最大で何万もの反応管それぞれに充填する際に適切な構造を作り出さねばならないため、管束反応器の充填が複雑であることは不利な点である。
WellauerらによるChem. Eng. Sci. Vol. 41, No. 4 (1986)、765−772ページには、公知の触媒についての実験データに基づき、n−ブタンから無水マレイン酸への酸化についてのシミュレーション・モデルが記述されている。上述の触媒床の構造化はさておき、Wellauerらは、空時収率を上げるために管束反応器に二つの異なる塩浴温度を設定することを教示している。ここで、低い方の温度は、生成物が排出される終点にある第二反応帯域ではなく、供給点に最も近い第一反応帯域に設定される。
WO01/68626はn−ブタンから、バナジウム、リンおよび酸素を含有する触媒を使用して、もっとも熱い反応帯域ともっとも冷たい反応帯域の温度差が少なくとも2℃である複数の帯域を有する管束反応器を用いて、無水マレイン酸を製造する方法を教示している。
構造化された触媒床、あるいは複数の帯域を有する反応器を使用する可能性に関わらず、炭化水素の無水マレイン酸への酸化は通常、あらかじめ選択された圧力とあらかじめ選択されたガス組成のもと、無水マレイン酸の収率を最大にするために要する温度に設定された塩浴を用いて実施される。上記塩浴の温度は通常、連続的にもしくは段階的に、無水マレイン酸の収率が最大に至るまで上げられる。複数の帯域を有する反応器の運転にあたっては、通常、個々の反応帯域は供給点に最も近い端の第一の反応帯域から始めて順番に、塩浴の温度により無水マレイン酸の最大収率が得られるよう調整される。
本発明は、上述の、無水マレイン酸の最大収率を実現するための塩浴の温度調整が、安全性という観点から非常に重要であることを認識している。それは、その結果としての塩浴温度が、触媒床中に唐突で制御されていない温度ピークが発生する危険性が存在する範囲内である可能性があるためである。このような温度ピークは触媒への不可逆な損傷につながる可能性がある。よって、触媒活性のある触媒表面において、触媒の焼結や固化にまでいたる有害な変化がおこる危険性が存在する。このことは全体的な触媒の性能、特に触媒の活性、選択性および耐用寿命、に有害な影響をもたらす。したがって、たとえば、当初最大の無水マレイン酸収率を実現した塩浴温度が、上記の触媒への損傷をもたらす可能性の結果として、触媒の活性および選択性の比較的早い低下につながり、そうして触媒の非常に短い耐用寿命という結果を招く可能性がある。
さらに、本発明は触媒床中に唐突で制御不可能な温度ピークが発生する危険性があるため、上記温度ピーク領域では反応速度が急激に上がっており、かつその場所では、そうしてさらに多量の熱が発生しているので、極端な場合には、個々の反応管内で、もしくは数万の反応管を備え得る管束反応器全体にまでいたる複数の反応管内で、“暴走”反応が発生する可能性があることを認識している。管束反応器においては、この熱領域が冷却媒体(塩浴)を介して隣接する管、そしてさらには反応器横断面全体にまで拡大する可能性がある。この高温は、1000℃まで達し得るものであるが、最悪の場合、管束反応器全体を不可逆的に損傷することさえありうる。
本発明の課題は、酸素を用いた、少なくとも4個の炭素原子を含む炭化水素の不均一系触媒による気相酸化により無水マレイン酸を製造する方法を開発することであり、その方法は、暴走反応については安全性の点から見て問題がなく、また目的生成物についての高転化率、高選択性、高収率を可能にし、またその結果、数ヵ月から数年という長期間にわたって触媒あたりの炭化水素の空間速度が高くとも高い空時収率を可能にし、また触媒への早すぎる損傷を回避もしくは少なくとも大幅に減少させるものである。
我々は、少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素を、350〜500℃の酸素含有ガスを用いて、揮発性リン化合物の存在下に、バナジウム、リンおよび酸素を含有する触媒を使用して、熱伝達媒体により冷却される反応帯域を少なくとも一つ有する管束反応器ユニット中で、第一の(供給方向にしたがって)反応帯域に流入する熱伝達媒体の温度および/または量は、第一の反応帯域中の熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)が、それは流入温度と流出温度の平均値として計算されるものであるが、式(I)および(II)に従うように調整され、
SB(1st zone)≦T(1st zone)−TSafety(1st zone) (I)
SB, Ymax(1st zone)−T(1st zone)≦TSB(1st zone)≦
SB, Ymax(1st zone)+T(1st zone) (II)、
式中で
(1st zone)は第一の反応帯域の暴走温度であり、これは熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)がこれより1℃低い熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)−1℃から1℃上昇すると第一の反応帯域のホットスポットの温度THS(1st zone)が5℃上昇する温度に相当する;
Safety(1st zone)は第一の反応帯域の安全温度を示しており、その値は1℃である;
SB, Ymax(1st zone)は無水マレイン酸の最大収率がTSB(1st zone)≦T(1st zone)の範囲で実現する、第一の反応帯域中での熱伝達媒体の平均温度である;
(1st zone)は20℃;また
(1st zone)は10℃で、不均一系触媒により気相酸化することにより無水マレイン酸を製造する方法により本課題が実現されることを見いだした。
式(I)に従い、本方法はあらかじめ決定された暴走温度T(1st zone)より少なくとも安全温度TSafety(1st zone)の分低い熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)で運転させなくてはならない。
暴走温度T(1st zone)とは、これより1℃低い熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)−1℃からTSB(1st zone)に1℃上昇すると第一の反応帯域のホットスポットの温度THS(1st zone)が5℃上昇するという熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)である。本発明によれば、一つ以上の反応管で暴走反応が起こる危険性は第一の反応帯域のホットスポットの温度THS(1st zone)が5℃より大きく上昇する場合に大いに増加することが認識されている。
本発明においては、ホットスポットの温度とは化学反応の間に、対象反応帯域中に存在する触媒床で計測された温度の最大値と理解すべきである。
安全温度TSafety(1st zone)は、特に工業的な管束反応器ユニットに存在する不均一性を、とりわけ、触媒床の触媒と密度、個々の管の個別の処理量、熱伝達媒体を用いた個々の管での個別の熱除去について考慮している。本発明による方法においては、安全温度TSafety(1st zone)は1℃であり、望ましくは2℃、特に望ましくは3℃、そして更に望ましくは4℃である。
このように式(I)は、工業的な管束反応器ユニットにおいて上記の不均一性が存在する場合であっても、暴走温度T(1st zone)以上の危険性を有する可能性のある領域に達しないことを確実にしている。
安全な方法に加えて無水マレイン酸の高い収率を実現するため、本方法は式(II)にもまた従って、TSB, Ymax(1st zone)−T(1st zone)からTSB, Ymax(1st zone)+T(1st zone)の範囲内に熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)があるように、ここでTSB, Ymax(1st zone)には≦T(1st zone)の範囲で無水マレイン酸の最大収率が得られる温度が用いられて、運転されねばならない。TSB, Ymax(1st zone)は、TSB(1st zone)≦T(1st zone)の範囲内で無水マレイン酸の最大収率が実現される、第一の反応帯域の熱伝達媒体の平均温度に相当する。
本発明による方法において、パラメータT(1st zone)は20℃であり、望ましくは10℃、特に望ましくは5℃である。またパラメータT(1st zone)は10℃であり、望ましくは7℃、特に望ましくは5℃である。
このように式(II)は安全な方法に加えて無水マレイン酸の高い収率が実現されることを確実にしている。
本発明による方法において調整される熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)はこのように式(I)と式(II)の双方に従わなくてはならないが、これはTSB(1st zone)が調整されるべき交差領域を形成することに相当する。
SB, Ymax(1st zone)の定義、すなわち、無水マレイン酸の最大収率が実現される第一の反応帯域の熱伝達媒体の平均温度から分かるように、ここでは≦T(1st zone)の範囲だけが考慮される。もし、たとえば、≦T(1st zone)に該当する範囲で無水マレイン酸の収率が最大値を経ることなく単調増加する場合は、式(II)において暴走温度T(1st zone)がTSB, Ymax(1st zone)として用いられる。
もし、たとえば、≦T(1st zone)の範囲で無水マレイン酸の最大収率が得られる第一の反応帯域における熱伝達媒体の平均温度TSB, Ymax(1st zone)が決定されているが暴走温度T(1st zone)が決定されていない場合、後者はおそらくTSB, Ymax(1st zone)より著しく高い温度であると考えられるので、安全のために、式(I)では、入手可能なデータ中での温度の最高値TSB(1st zone)が暴走温度T(1st zone)として用いられるべきである。よって、これは確実に本当の暴走温度T(1st zone)より低い温度となる。
熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)は熱伝達媒体の流入温度と流出温度の平均値を求めることにより決定される。
本発明による方法においては、熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)の適切な調整は、流入する熱伝達媒体の温度および/または量を適切に調整することにより実現される。
暴走温度T(1st zone)およびTSB(1st zone)≦T(1st zone)の範囲内で無水マレイン酸の最大収率が実現される熱伝達媒体の平均温度TSB, Ymax(1st zone)の決定にあたっては、実施される方法に広く普及している条件が考慮されるべきである。一般的に、上記の決定は、実験設備で適切な触媒を用い、反応行動に関連するパラメータ、たとえば反応管(あるいは複数の反応管)の内径、圧力、炭化水素の濃度、GHSV、揮発性リン化合物の濃度、および蒸気等のさらなる添加物の濃度がすべて調整されている状態で、実験的に実施される。もし実験設備で用いられている反応管の寸法が、本格的な設備で用いられている反応管の寸法に近ければ、熱伝達媒体により包囲された反応管はT(1st zone)の決定におおむね非常に適切である。
(1st zone)およびTSB, Ymax(1st zone)の決定にあたっては、実験反応器は通常、後に使われる反応器の条件と類似した条件下で運転される。一般に、予想される暴走温度T(1st zone)よりは著しく低いが工業的に適切な範囲内で無水マレイン酸の収率Yをもたらす熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)が慣らし運転期間の最後に設定される。ホットスポットの温度THS(1st zone)が暴走温度T(1st zone)の決定における重要なパラメータであるので、安定した運転状態を実現することに特に注意を払うべきである。本発明による方法では、一定の反応条件下で、ホットスポットの温度THS(1st zone)の変動が24時間にわたって0.5℃以下である時に安定運転状態であるとみなされる。設定されたTSB(1st zone)におけるホットスポットの温度THS(1st zone)が確定し、無水マレイン酸の収率が決定した後、熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)は徐々に段階的に上げられ、その都度、安定運転状態が実現されてから、それぞれに対応するホットスポットの温度THS(1st zone)と無水マレイン酸の収率が決定される。熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)を1℃上げたことによりホットスポットの温度THS(1st zone)が5℃より大きく上昇した場合は、通常、試験は中止してよい。
本発明による方法において、無水マレイン酸への気相酸化は熱伝達媒体によって冷却される反応帯域を少なくとも一つ有する管束反応器ユニット内で実施される。本発明においては、管束反応器ユニットという用語は少なくとも一つの管束反応器を有するユニットと理解すべきである。また同様に、管束反応器は、加熱および/または冷却のために熱伝達媒体で包囲された反応管を少なくとも一つ含んでいるものである。一般的に、工業的に用いられる管束反応器は数百から数万の並行接続された反応管を備えている。もし個々の管束反応器(管束反応器装置という意味で)が複数並行接続されている場合は、これらはひとつの管束反応器と同等のものであると見なされ、以下は管束反応器ユニットという用語に含まれるものとする。
管束反応器ユニットは流入ガス混合物を加熱する一つもしくはそれ以上の予熱帯域を有していてもよい。予熱帯域が管束反応器に一体化されたものを実現することも、たとえば、不活性の物質で充填され、同様に熱伝達媒体で包囲された反応管を用いることにより可能である。不活性の物質としては、原則として、化学的に不活性である、つまり不均一系触媒の反応を誘導する、もしくは触媒することがなく、また、それぞれの認容可能な、装置特異的な最大値を下回る最大の圧力損失を有するすべての成形体を用いることが可能である。適切な不活性物質は、たとえば、酸化アルミニウム、炭化ケイ素のような酸化物物質、またはステンレス鋼のような金属物質である。適切な成形体の例としては球、小球、中空円筒体、リング、三葉形(trilobe)、三星形(tristar)、ホイール、押出成形体、不規則に破砕された成形体などが挙げられる。
もし管束反応器ユニットが複数の管束反応器、たとえばこのような反応器を2つ、3つ、4つあるいはそれ以上、を含んでいる場合、これらは、たとえば、並列に接続されても直列に接続されてもよい。管束反応器が直列に接続されている場合は、ひとつの管束反応器からの出口流は次の管束反応器の入口に直接搬送される。しかしながら、これら二つの管束反応器の間で、質量および/またはエネルギーを、除去するおよび/または導入することもまた可能である。したがって、たとえば、ガス流の一部あるいはその構成成分を取り除いたり、その他のガス流を送り込んだり、あるいは、既存のガス流を熱交換器に通過させることなどが可能である。
上記管束反応器において、反応管は普通フェライト鋼製であり、一般的に1〜3mmの肉厚を有する。その内径は通常20〜30mmである。管束反応器ひとつあたりの反応管の数は普通5000〜35000であるが、特に大きな設備では35000以上の反応管を有するものも存在しうる。反応管は標準的には反応器本体内部に均一に分布している。
反応帯域という用語は、管束反応器内部の領域で、触媒を含有し、かつ、それを包囲する熱伝達媒体により化学反応が起こっていないときには温度が一定の値に維持されている領域を示している。一般的に、反応帯域は熱伝達媒体循環流の場所の物理的寸法により描写される。したがって、たとえば、熱伝達媒体循環流を一つだけ有する管束反応器は反応帯域もまた一つだけ有する。この反応帯域は慣例により第一の反応帯域と呼ばれる。管束反応器ユニットが、たとえば、二つの分離し連続する熱伝達媒体循環流を有する管束反応器を含んでいる場合は、ガス流の方向に番号付けされる二つの反応帯域を有することになる。
熱伝達媒体としては特に流動体の熱伝達媒体が適切である。硝酸カリウム、亜硝酸カリウム、硝酸ナトリウムおよび/または亜硝酸ナトリウムなどの塩溶融液、もしくは、ナトリウムや種々の金属の合金などの低融点金属を用いることが特に有利である。
本発明による方法において、熱伝達媒体により冷却される反応帯域を少なくとも二つ有する管束反応器を用いるほうが望ましい。式(I)および(II)に従って、第一の反応帯域の熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)を適切に調整すれば、結果として、優勢である高濃度の炭化水素のために、安全性の観点から特に敏感な帯域において、安全な運転が可能となる。分離された反応帯域により、反応の経過に適合する反応条件を実現することが可能となっており、それにより、通常、無水マレイン酸の収率が高まるという結果が得られ、かつ、単一帯域の反応器を用いる場合よりも工程を柔軟に調節することが可能になっている。
本発明による方法において、熱伝達媒体を用いて冷却される反応帯域を少なくとも二つ有する管束反応器を用いる好ましい場合は、第二の(供給方向にしたがって)反応帯域に流入する熱伝達媒体の温度および/または量が、第二の反応帯域の熱伝達媒体の平均温度TSB(2nd zone)が、それは流入温度と流出温度の平均値として計算されるものであるが、式(III)および(IV)に従うように調整されることが特に望ましい、
SB(2nd zone)≦T(2nd zone)−TSafety(2nd zone) (III)
SB, Ymax(2nd zone)−T(2nd zone)≦TSB(2nd zone)≦
SB, Ymax(2nd zone)+T(2nd zone) (IV)
式中で
(2nd zone)は第二の反応帯域の暴走温度であり、これは熱伝達媒体の平均温度TSB(2nd zone)がこれより1℃低い熱伝達媒体の平均温度TSB(2nd zone)−1℃からTSB(2nd zone)に1℃上昇すると第二の反応帯域のホットスポットの温度THS(2nd zone)が5℃上昇する温度に相当する;
Safety(2nd zone)は第二の反応帯域の安全温度を示しており、その値は1℃である;
SB, Ymax(2nd zone)はTSB(2nd zone)≦T(2nd zone)の範囲内で無水マレイン酸の最大収率が実現する、第二の反応帯域中での熱伝達媒体の平均温度である;
(2nd zone)は10℃である;また
(2nd zone)は10℃である。
このように式(III)は、第二の反応帯域においてもまた、工業的な管束反応器ユニットにおいて不均一性が生じた場合であっても、暴走温度T(2nd zone)以上の危険性を有する可能性のある領域に達しないことを確実にしている。さらに、式(IV)は安全な運転に加えて無水マレイン酸の高収率が実現されることを確実にしている。
式(I)および(II)について上述された原則は第二の反応帯域についても適用される。したがって、たとえば、熱伝達媒体の平均温度TSB(2nd zone)は式(III)および式(IV)の双方に従うように調整されねばならない。
本発明による方法の特に好ましい実施態様では、安全温度TSafety(2nd zone)は1℃、望ましくは2℃、特に望ましくは3℃、そして更に望ましくは4℃である。パラメータT(2nd zone)は20℃であり、望ましくは10℃、特に望ましくは5℃である。またパラメータT(2nd zone)は10℃であり、望ましくは7℃、特に望ましくは5℃である。
暴走温度T(2nd zone)および、TSB(2nd zone)≦T(2nd zone)の範囲内で、無水マレイン酸の最大収率が実現される熱伝達媒体の平均温度TSB, Ymax(2nd zone)の決定にあたっては、第一の反応帯域における運転パラメータは、式(I)および(II)の条件に合うようにあらかじめ決定された値に、前もって調整されねばならない。T(2nd zone)およびTSB, Ymax(2nd zone)はそうして、通常は、上述されたT(1st zone)およびTSB, Ymax(1st zone)の決定と類似した方法で決定される。その方法はここで参照により開示に含まれる。
熱伝達媒体を用いて冷却される少なくとも二つの反応帯域を有する管束反応器が用いられる場合、第二の反応帯域のホットスポットの温度THS(2nd zone)が第一の反応帯域のホットスポットの温度THS(1st zone)より高くなるように、第二の反応帯域に流入する熱伝達媒体の温度および/または量を調整することが特に有利であることが分かっている。このような方法で、無水マレイン酸の特に高い収率が実現される。
第二の反応帯域のホットスポットの温度THS(2nd zone)は、望ましくは少なくとも1℃、特に望ましくは少なくとも2℃、更に望ましくは少なくとも4℃、更に言うなら少なくとも6℃、第一の反応帯域のホットスポットの温度THS(1st zone)より高いほうがよい。
さらに、本発明による方法において、少なくとも一つの反応帯域において、触媒活性に関して構造化されている触媒床を用いることが有利である。この構造化触媒床は、通常、低温かつ低炭化水素濃度の領域では高い活性を有し、温度と優勢な炭化水素濃度の組み合わせが反応速度と温度について過度の上昇を引き起こす領域では低い活性を有する。一般的に、ホットスポットの領域における活性は、触媒床の残りの部分に比べて低減されるべきである。
触媒床の構造化は種々の手段(組み合わせる場合もあるかもしれないが)により実現可能である。たとえば、触媒を不活性の物質、たとえばステアタイト、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、あるいはその他の不活性の物質でできている成形体、により希釈することにより可能である。また、異なる活性を持つ触媒を用いることにより、触媒床をその活性について構造化することも可能である。このことはまた、異なる成形を行うことおよび/または異なる活性の組成を用いることにより実現可能である。
本発明による方法において用いることができる、バナジウム、リンおよび酸素を含有する触媒は、触媒活性を持つ構成成分として酸素を含有するバナジウム−リン化合物あるいはそのような化合物の混合物を含む。活性を持つ構成成分として適切なものについては、たとえば、US5,275,996、US5,641,722、US5,137,860、US5,095,125、またはUS4,933,312などの特許に記述されている。
触媒はさらに助触媒を含有することも可能である。適切な助触媒は周期表の第1〜15族の元素およびそれらの化合物などである。助触媒として適切なものについては、たとえば、WO97/12674、WO95/26817、およびUS5,137,860、US5,296,436、US5,158,923およびUS4,795,818の特許などに記述されている。助触媒として望ましいものはコバルト、モリブデン、鉄、亜鉛、ハフニウム、ジルコニウム、リチウム、チタン、クロム、マンガン、ニッケル、銅、ホウ素、ケイ素、アンチモン、スズ、ニオブおよびビスマスという元素の化合物であり、特に望ましいものはモリブデン、鉄、亜鉛、アンチモン、ビスマス、リチウムという元素の化合物である。一つもしくはそれ以上の助触媒が助触媒に含まれていてもよい。完成した触媒における助触媒の含有量は、いずれも酸化物として計算されて、通常、5重量%程度を超えない。
触媒の製造にあたっては、タブレット化補助剤もしくは気孔形成剤などの助剤を用いることが可能である。
タブレット化補助剤は通常、本発明にしたがって用いられるところの触媒がタブレット化により成形される場合に添加される。タブレット化補助剤は通常、触媒不活性でありかつ、触媒の製造過程の中間生成物である前駆粉末のタブレット化特性を、たとえば滑剤としてはたらき粉体流動を促進することにより、向上させる。適切かつ望ましいタブレット化補助剤はグラファイトである。添加されたタブレット化補助剤は通常、活性触媒に残留している。完成した触媒におけるタブレット化補助剤の含有量は、概して2〜6重量%程度である。
気孔形成剤とは、マクロ孔の孔構造を適切に調整するために用いられる物質である。気孔形成剤は原則として成形工程とは無関係に用いることが可能である。気孔形成剤は通常、触媒の成形前に添加され、昇華、分解および/または気化による、その後の触媒の活性化の際に大部分が再び除去される、炭素、水素、酸素および/または窒素を含む化合物である。それでもなお、完成した触媒は気孔形成剤の残留物あるいは分解生成物を含有している。
本発明による方法に用いることが可能な触媒は、たとえば、“全活性触媒(all−active catalysts)”として、活性のある成分から、その物質だけで希釈されないかたちで、構成されていてもよいし、あるいは、“混合触媒(mixed catalysts)”として、望ましくは酸化物である補助材料により希釈されている、活性のある成分を含んでいてもよい。混合触媒に用いられる適切な補助材料としては、たとえば、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、アルミノ珪酸塩、二酸化ジルコニウム、二酸化チタンあるいはそれらの混合物などが挙げられる。全活性触媒と混合触媒のどちらも望ましいものだが、特に望ましいのは全活性触媒である。
本発明による方法において用いられる触媒は、望ましくは少なくとも平均径が2mm、より望ましくは少なくとも3mmの粒子を含む。ここで、粒子の平均径とは二つの平行な平面の間の最小寸法と最大寸法の平均値とする。
本発明においては、粒子とは不整形な粒子と、成形体と称される、幾何学的な形状を有する粒子の双方を含むと理解すべきである。本発明による方法において用いられるべき触媒前駆物質は成形体を含んでいることが望ましい。適切な成形体としては、たとえば、小球(pellet)、円筒体(cylinder)、中空円筒体(hollow cylinder)、球(sphere)、棒(rod)、ワゴンホイール(wagon wheel)、押出成形体(extrudate)などが挙げられる。特殊な形状、たとえば、三葉形(trilobe)、三星形(tristar)(EP−A−0593646を参照のこと)、または少なくとも1つの切り込みを外側に有する成形体(US5,168,090を参照のこと)もまた同様に使用可能である。
本発明による方法において用いられる触媒は、本質的に中空円筒体の構造を有する成形体を含んでいることが特に望ましい。本発明においては、本質的に中空円筒体の構造とは、本質的に二つの端面の間に貫通している孔を有する円筒体から構成される構造と理解すべきである。円筒体は二つの本質的に平行な端面および曲面により特徴づけられ、また円筒体の横断面、つまり、端面と平行な面は、本質的に円形である。貫通孔の横断面、つまり、円筒体の端面と平行な面も、同様に本質的に円形である。貫通孔は端面の中心部に位置していることが望ましいが、その他の幾何学的配置も除外されない。
ここで、“本質的に”という用語は、触媒前駆物質において、理想的な形状からの逸脱、たとえば、円形構造がわずかに変形していること、端面が平行でないこと、角や端が欠けていること、表面が粗いこと、あるいは、曲面、端面、孔の内面に切り込みが入っていることなど、の存在が許されるということを示している。タブレット化工程の精度の範囲内で、円形の端面、円形の孔の横断面、平行な端面、肉眼的に見てなめらかな表面を実現することが望ましい。
本質的に中空円筒体の構造は、外径(d)、二つの端面の距離としての高さ(h)、および内孔(貫通孔)の径(d)、により記述される。触媒前駆物質の外径(d)は望ましくは3〜10mm、特に望ましくは4〜8mm、更に望ましくは4.5〜6mmである。高さ(h)は望ましくは1〜10mm、特に望ましくは2〜6mm、更に望ましくは2〜4mmである。内孔の径(d)は望ましくは1〜8mm、特に望ましくは2〜6mm、更に望ましくは2〜3.5mmである。
触媒の製造は一般的に、まず触媒前駆物質が製造され、その後焼成により活性型に転化されるという多段階の工程である。本発明による方法において用いることが可能な触媒前駆物質は、たとえば、US5,275,996およびUS5,641,722の特許、もしくは公表された明細書WO97/12674に記述されているように製造することが可能である。触媒前駆物質の好ましい製造における重要な工程を以下に記述する。
(a)5価のバナジウム化合物(たとえば、五酸化バナジウムV)と、必要に応じて助触媒成分(たとえば、三酸化モリブデンMoO)と、還元性有機溶剤(たとえば、イソブタノールなどのアルコール)の、5価のリン化合物(たとえば、オルトリン酸および/またはピロリン酸、リン酸エステル)および/または3価のリン化合物(たとえば、亜リン酸)の存在下での、加熱しながらの反応。この工程は、必要に応じて、分散された、粉体の補助材料の存在下で実施することが可能である。補助材料の添加なしに反応を実施する方が望ましい。
(b)バナジウム、リン、酸素および、おそらく助触媒を含有する触媒前駆物質(“VPO触媒前駆物質”)を、たとえば、濾過または蒸発により単離。
(c)VPO触媒前駆物質の乾燥、および望ましくは250〜350℃で加熱することによる初期の予備活性化。その後、必要に応じて、粉体の補助材料および/または、ステアリン酸、セルロースあるいはパラフィンなどの気孔形成剤を、乾燥され望ましくは加熱処理されたVPO前駆物質粉末に混合することも可能である。補助材料の添加および気孔形成剤の添加を行わずに、以降の処理を行う方が望ましい。
(d)目標とする構造、望ましくは本質的に中空円筒体の構造、への転換を実現するための成形。成形はタブレット化により実施するのが望ましく、事前にグラファイトなどの滑剤を混入しておくと有利である。
タブレット化ほど好ましくはないが、それに代わる方法としては、たとえば、押し出し成形が挙げられる。この変法では、(b)で得られるVPO前駆物質は、たとえば、押し出し成形可能な塊にするために液体と混合される。それにより、目標とする構造を形成するために押し出し成形され、また、触媒前駆物質を得るために乾燥されることが可能となる。
触媒前駆物質の焼成は通常、酸素、酸化水素(水蒸気)および/または不活性ガスを含む雰囲気下に、250〜600℃の温度範囲内において実施される。適切な不活性ガスとは、たとえば、窒素、二酸化炭素および希ガスなどである。本発明による方法において用いられる触媒を製造するための焼成において、触媒前駆物質が少なくとも二つの焼成帯域、たとえば、それぞれが異なるガス雰囲気、かつ可能ならば異なる温度を有する2〜10の焼成帯域、を通過することが望ましい。それぞれの触媒系に適合した、温度、処理時間およびガス雰囲気の適切な組み合わせにより、触媒の機械的特性および触媒特性に影響を与えることが可能であり、よって適切に調整することが可能である。
触媒前駆物質が、
(a)少なくとも一つの焼成帯域において、酸素含有量が2〜21容量%である酸化雰囲気下で200〜350℃の温度に加熱され、バナジウムが目標の平均酸化状態に達するまで、この条件下においておく;そして
(b)少なくともさらに一つの焼成帯域において、酸素含有量が0.5容量%以下で酸化水素含有量が20〜75容量%である非酸化雰囲気下で300〜500℃の温度に加熱され、この条件下に0.5時間以上おいておく、
という焼成が望ましい。
工程(a)において、触媒前駆物質は、酸素分子含有量が通常2〜21容量%、望ましくは5〜21容量%である酸化雰囲気下に、200〜350℃、望ましくは250〜350℃の温度で、バナジウムが目標の平均酸化状態に至るまでの時間、おかれる。通常、酸素、不活性ガス(たとえば窒素あるいはアルゴン)、酸化水素(水蒸気)および/または空気の混合物、あるいは、空気そのものが工程(a)に用いられる。焼成工程(a)において、一つあるいは複数の焼成帯域を通過する触媒前駆物質により経験される温度は一定に保たれても、あるいは、平均して、上昇したり下降したりしてもよい。工程(a)には通常、加熱段階が先行するため、温度は一般的には最初上昇し、その後振れてから目標とする最終値に落ち着くだろう。したがって、工程(a)の焼成帯域には、通常、触媒前駆物質を温めるための、少なくとももう一つの焼成帯域が先行する。
工程(a)における加熱処理が維持される時間とは、本発明においては、バナジウムの平均酸化状態として+3.9〜+4.4、望ましくは+4.0〜+4.3の範囲が得られるように、なるべく選択されていると理解すべきである。バナジウムの平均酸化状態は、実施例に記述されている方法を用い、電位差滴定法により決定される。
焼成中のバナジウムの平均酸化状態の決定は、設備および時間の問題から極めて困難であるため、必要な時間を予備試験において実験的に決定するのが有利である。通常、予備試験は、触媒前駆物質の試料が、確定した条件下で加熱処理され、また該試料はそれぞれ異なる時間の後に系から除かれ、冷却されて、バナジウムの平均酸化状態を決定するために分析されるという、一連の測定により実施される。
工程(a)において必要な時間は、通常、触媒前駆物質の性質、設定された温度および選択されたガス雰囲気、特にその酸素含有量、に依存している。通常、工程(a)の時間は0.5時間より長くまで、望ましくは1時間より長くまでにわたる。通常、4時間まで、望ましくは2時間までの時間で、目標の平均酸化状態を実現するのに十分である。しかしながら、応分な条件下(たとえば、温度範囲の下端の部分および/または酸素分子の含有量が少ない)においては、6時間以上の時間も必要であるかもしれない。
工程(b)においては、得られた触媒の中間生成物は、酸素分子含有量が0.5容量%以下で酸化水素(水蒸気)含有量が20〜75容量%、望ましくは30〜60容量%である非酸化雰囲気下に、300〜500℃、望ましくは350〜450℃の温度で、0.5時間以上、望ましくは2〜10時間、特に望ましくは2〜4時間の時間おかれる。通常、非酸化雰囲気は、主に窒素および/またはアルゴンなどの希ガスとともに上記の酸化水素を含むが、これは制限を付与するものではない。たとえば、二酸化炭素を含むガスもまたおおむね適切である。上記非酸化雰囲気は40重量%以上の窒素を含有していることが望ましい。焼成工程(b)において、一つあるいは複数の焼成帯域を通過する触媒前駆物質により経験される温度は一定に保たれても、あるいは、平均して、上昇したり下降したりしてもよい。工程(b)が工程(a)より高いあるいは低い温度により実施される場合は、通常、加熱あるいは冷却の工程が工程(a)と(b)の間に存在する。この加熱あるいは冷却の工程は、さらに別の焼成帯域において実施される可能性がある。工程(a)の酸素含有雰囲気からの分離を改善するため、この(a)と(b)の間に存在する、この別の焼成帯域に、たとえば、窒素などの不活性ガスをどっと流してもよい。工程(b)は工程(a)より50〜150℃高い温度で実施されるのが望ましい。
該焼成は通常さらに、工程(b)の後に実施される工程(c)を含む。この工程(c)においては、焼成された触媒前駆物質が不活性ガス雰囲気下で、300℃以下、望ましくは200℃以下、特に望ましくは150℃以下に冷却される。
本発明において実施される焼成で、追加の工程を、工程(a)と(b)または工程(a)、(b)と(c)の前、間および/または後に入れることが可能である。制限を示唆するわけではないが、追加工程は、たとえば、温度の変化(加熱、冷却)、ガス雰囲気の変化(異なるガス雰囲気への変化)、追加の保持時間、別の装置への触媒中間生成物の移動、もしくは、全焼成処理の中断などでありうる。
触媒前駆物質は一般的に焼成開始前は100℃未満であるので、工程(a)の前に通常温度が上げられなくてはならない。種々のガス雰囲気を用いて温度上昇を実施することが可能である。温度上昇は工程(a)において定義された酸化雰囲気下、もしくは工程(c)において定義された不活性ガス雰囲気下において実施されることが望ましい。温度上昇段階の間にガス雰囲気を変えることも可能である。工程(a)において用いられるものと同じ酸化雰囲気下で触媒前駆物質の温度上昇を行うことが特に望ましい。
本発明による方法において用いられる触媒は、リン/バナジウムの原子比率が、望ましくは0.9〜1.5、特に望ましくは0.9〜1.2、さらに望ましくは1.0〜1.1であり、バナジウムの平均酸化状態が、望ましくは+3.9〜+4.4、特に望ましくは4.0〜4.3であり、BET表面積は、望ましくは10〜50m/g、特に望ましくは20〜40m/gであり、気孔体積は、望ましくは0.1〜0.5ml/g、特に望ましくは0.2〜0.4ml/gであり、また、かさ密度は、望ましくは0.5〜1.5kg/l、特に望ましくは0.5〜1.0kg/lである。
本発明による方法では、少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素として、少なくとも4個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族の、飽和および不飽和炭化水素、たとえば1,3−ブタジエン、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、n−ブタン、C−混合物、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1−ペンテン、シス−2−ペンテン、トランス−2−ペンテン、n−ペンタン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロペンタン、C−混合物、ヘキセン、ヘキサン、シクロヘキサンおよびベンゼンなどを用いることが可能である。1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、n−ブタン、ベンゼンまたはこれらの混合物を用いることが望ましい。n−ブタン、またはn−ブタン含有の気体および液体を用いることが特に望ましい。使用されるn−ブタンは、望ましくは天然ガス、水蒸気分解装置(スチームクラッカー)または流動接触分解装置(FCC装置)に由来するものである。
炭化水素の導入は通常、速度を制御しながら、つまり単位時間あたり規定された量を常に維持しながら行われる。炭化水素は、液状もしくは気体状で計量供給されることが可能である。炭化水素は、液状で計量供給され、その後、管束反応器ユニットへ導入される前に気化されるのが望ましい。
酸化剤としては、空気、合成空気、酸素富化ガス、あるいは“純粋な”酸素、つまり、たとえば、空気の分別により得られた酸素、などの酸素含有ガスが用いられる。この酸素含有ガスもまた速度を制御しながら導入される。
管束反応器を通過させられるガスは通常、0.5〜15容量%の炭化水素濃度と8〜25容量%の酸素濃度を有する。100容量%への残りの部分はその他のガス、たとえは窒素、希ガス、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、酸素化された炭化水素(たとえば、メタノール、ホルムアルデヒド、ギ酸、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸、プロパノール、プロピオンアルデヒド、プロピオン酸、アクロレイン、クロトンアルデヒドなど)、およびこれらの混合物からなる。n−ブタンの割合は、炭化水素の総量に対し、望ましくは90%以上、また特に望ましくは95%以上である。
触媒の耐用寿命を確実に長くし、転化率、選択性、収率、触媒あたりの空間速度および空時収率のさらなる向上を実現するため、本発明による方法においては、ガスに揮発性リン化合物を添加することが望ましい。その濃度は反応器の入口における供給原料で少なくとも0.2容量ppm、つまり反応器の入口でガスの総容量に対して揮発性リン化合物の容量は0.2×10−6である。望ましい含有量は0.2〜20容量ppmであり、特に望ましいのは0.5〜10容量ppmである。本発明においては、揮発性リン化合物とは、使用条件下において、望ましい濃度で気体として存在するすべてのリン含有化合物と理解すべきである。適切な揮発性リン化合物の例としては、ホスフィンおよびリン酸エステルが挙げられる。特に望ましいものはトリ−(C−C−アルキル)−ホスフェートであり、さらに望ましいのはトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートおよびトリプロピルホスフェート、殊にはトリエチルホスフェートである。
本発明による方法は350〜500℃で実施される。本発明においては、上記温度は熱伝達媒体の平均温度と理解すべきである。本発明による方法は、380〜460℃で実施されるのが望ましく、また380〜440℃で実施されるのが特に望ましい。
本発明による方法は大気圧より低い圧力(たとえば、0.05MPa(絶対圧)まで下げて)でも、大気圧より高い圧力(たとえば、10MPa(絶対圧)まで上げて)でも実施することが可能である。本発明においては、上記圧力は反応器出口における管束反応器ユニット中の圧力であると理解すべきである。0.075〜1MPa(絶対圧)の圧力が望ましく、0.075〜0.5MPa(絶対圧)の圧力が特に望ましい。
本発明による方法は2種類の異なる方法で、つまり「シングルパス」法および「再循環」をともなう方法で実施することが可能である。「シングルパス」法においては、無水マレイン酸および場合により酸素化された炭化水素の副生成物は反応器からの出口より分離され、残りのガス混合物は排出され、場合により熱的に利用される。「再循環」法においては、無水マレイン酸および場合により酸素化された炭化水素の副生成物は同様に反応器からの出口より分離されるが、残りのガス混合物は、未反応の炭化水素を含んでおり、その全部もしくは一部が反応器に再循環される。「再循環」法の別法では、未反応の炭化水素を分離し、それを反応器に再循環する手順を含む。
無水マレイン酸を製造するための方法の特に好ましい実施態様においては、n―ブタンが出発炭化水素として用いられ、不均一系触媒による気相酸化が、「シングルパス」により、酸素含有ガスとしての空気および揮発性リン化合物としてのトリエチルホスフェートの存在下に、塩溶融液の循環流によりそれぞれ冷却される二つの反応帯域を有する管束反応器中で実施される。第一の反応帯域は式(I)および(II)にしたがって決定された範囲内で運転され、第二の反応帯域は式(III)および(IV)にしたがって決定された条件下で運転される。T(1st zone),TSB, Ymax(1st zone),T(2nd zone)およびTSB, Ymax(2nd zone)の値は、適切な実験設備においてあらかじめ実施された試験において実験的に決定されている。
無水マレイン酸を製造するための本発明による方法により、暴走反応の発生する恐れがない安全な反応器の運転が可能となり、また、数ヵ月から数年という長期間にわたって、触媒あたりの炭化水素の空間速度が高くとも、目的生成物についての高転化率、高選択性、高収率がもたらされる。このような方法で、触媒への早すぎる損傷を回避もしくは少なくとも大幅に減少させ、高い空時収率が実現される。
定義
本文中で言及されているパラメータは、別に指示されていない限り、以下のように定義されている:
空時収率 = m無水マレイン酸/V触媒・t
炭化水素の空間速度 = V炭化水素/V触媒・t
GHSV(gas hourly space velocity:ガス毎時空間速度)= Vカ゛ス/V触媒・t
転化率C = nHC,反応器,イン−nHC,反応器,アウト/nHC,反応器,イン
選択性S = nMA,反応器,アウト/nHC,反応器,イン−nHC,反応器,アウト
収率Y = C・S
無水マレイン酸 製造された無水マレイン酸の質量[g]
触媒 触媒の体積、全ての反応帯域の合計[l]
t 時間[h]
炭化水素 反応器入口における、気相内の炭化水素の、0℃、0.1013MPaにおける体積[l(標準状態)]
(数学上のパラメータであり、これらの条件下で炭化水素が液体である場合は、理想的な気体法則を用いて仮定的ガス体積が計算される。)
カ゛ス 反応器入口における、ガスの総量の、0℃、0.1013MPaにおける体積[l(標準状態)]
C 反応器通過あたりの炭化水素の転化率
S 反応器通過あたりの無水マレイン酸への選択性
Y 反応器通過あたりの無水マレイン酸の収率
HC,反応器,イン 反応器入口における炭化水素のモル量流[mol/h]
HC,反応器,アウト 反応器流出口における炭化水素のモル量流[mol/h]
MA,反応器,アウト 反応器流出口における無水マレイン酸のモル量流[mol/h]
SB(1st zone):第一の反応帯域における塩浴の平均温度
HS(1st zone):第一の反応帯域におけるホットスポットの温度
SB(2nd zone):第二の反応帯域における塩浴の平均温度
HS(2nd zone):第二の反応帯域におけるホットスポットの温度
実施例
バナジウムの平均酸化状態の決定
バナジウムの平均酸化状態は電位差滴定法により決定される。
決定にあたっては、200〜300mgの試料を、その都度、アルゴン雰囲気下で15mlの50%濃度の硫酸と5mlの85%濃度のリン酸の混合物に加え、加熱して溶解する。続いて溶液は二つの白金電極を備えた滴定容器に移される。滴定はいずれの場合にも、80℃で実施される。溶液は最初、0.1モル濃度の過マンガン酸カリウム溶液により滴定される。電位差滴定曲線において、2つの段が得られる場合は、バナジウムが+3から+4未満の平均酸化状態で存在していたことになる。1つの段だけが得られる場合は、バナジウムが+4から+5未満の酸化状態で存在していたことになる。
第一の場合(2段/+3≦Vox<+4)、その溶液はV5+を含まない、つまりすべてのバナジウムが滴定法により測定されたことになる。V3+およびV4+の量は0.1モル濃度の過マンガン酸カリウム溶液の消費量および2つの段の位置から計算される。そして、その加重平均が平均酸化状態となる。
第二の場合(1段/+4≦Vox<+5)、V4+の量は0.1モル濃度の過マンガン酸カリウム溶液の消費量から計算可能である。続いて、その結果得られた溶液中の全てのV5+を0.1モル濃度の硫酸鉄(II)アンモニウムを用いて還元し、0.1モル濃度の過マンガン酸カリウム溶液を用いて再酸化することにより、バナジウムの総量が計算可能になる。バナジウムの総量とV4+の量の差がもとから存在していたV5+の量となる。そしてその加重平均が平均酸化状態となる。
中空円筒体の横圧縮強度の決定
横圧縮強度を決定するため、中空円筒体は、連続する測定において、いずれの場合も、その曲面を下にして、適当な測定装置の平らな金属製の底板上に置かれた。したがって、二つの平行な端面は垂直となっていた。それから、平らな金属製の上板が中空円筒体の上に、1.6mm/分の速度で下がっていき、破砕が発生するまでに中空円筒体にかかった力が、時間の割合として記録された。個々の中空円筒体の横圧縮強度は、かけられた最大の力に相当する。
横圧縮強度を決定するため、その都度30の別個の測定が実施され、平均値が計算された。
摩耗度の決定
摩耗度を決定するため、約50gの除塵された中空円筒体が、内径290mm、ドラム高40mmおよびプレキシグラス製のはめ込み(円形の湾曲(半径80mm)を有し、ドラム全体の高さ40mmに及び、回転軸と外壁の間に位置し、プレキシグラス製ドラムに固定されている)を有するプレキシグラス製ドラム中に入れられた。上記プレキシグラス製ドラムは、その回転軸は水平であるが、それから、1分あたり25回転で18分間にわたり回転させられた。その後、試料から摩耗された材料はふるい分けられ、残りの粒子は除塵されて再計量された。そして、摩耗値は失われた質量を元の質量で割ることで得られる。
実験設備
実験設備には供給ユニットおよび反応管が備え付けてあった。管束反応器を単一の反応管と取り替えることは実験あるいは試験的な設備規模では、その反応管の寸法が工業的な反応管の範囲内である限り容易に可能である。該設備は「シングルパス」で運転される。
炭化水素は液状で、速度を制御しながら、ポンプを用いて導入された。酸素含有ガスとして、空気が、速度を制御しながら添加された。トリエチルホスフェート(Triethyl phosphate: TEP)もまた同様に、液状で、水溶液として、速度を制御しながら添加された。
管束反応器ユニットは単一の反応管を有する管束反応器からなっていた。反応管の長さは6.5mまた内径は22.3mmであった。反応管の内部には、20の温度測定箇所を有し、外径6mmの保護管に位置する複電熱対が設置されていた。反応器の温度は、交互に位置し、それぞれ3.25mの長さを有し、別々に制御可能な二つの熱伝達媒体の循環流により管理された。用いられた熱伝達媒体は塩溶融液であった。
反応ガス混合物は反応管を上端から下向きに流れた。6.5mの長さの反応管の上方の0.2mは無充填のまま残された。それに続いて、不活性材料としてステアタイト成形体により充填された、0.3mの予熱帯域が存在した。予熱帯域に続いて、計2144mlの触媒を含む触媒床が存在した。
管束反応器ユニットのすぐ下流で、気体の生成物は取り出され、オンラインガスクロマトグラフに送られた。気体の反応器生成物の本流は設備から排出された。
触媒の製造
6.1mのイソブタノールが、バッフルを備え、有圧水により外部から加熱可能で、窒素により不活性化された8mのエナメル加工された鋼鉄のかくはん容器に入れられた。三段のかくはん羽根車(three−stage impeller stirrer)を起動した後、イソブタノールを還流させながら90℃まで温めた。この温度で、供給スクリューを通した736kgの五酸化バナジウムの添加が開始された。約20分後に目標量のおよそ2/3の五酸化バナジウムが添加された後、五酸化バナジウムの添加を継続しつつ、900kgの105%濃度のリン酸のポンプによる投入が開始された。ポンプを洗うために、さらに0.2mのイソブタノールが、その後、ポンプで投入された。反応混合物は続いて、還流させながらおよそ100〜108℃まで加熱され、この条件下に14時間置かれた。この熱い懸濁液は次に、事前に加熱されまた窒素により不活性化された加圧フィルターに注がれ、およそ100℃でフィルター上の圧力が0.35MPa(絶対圧)以下で濾過された。フィルターケーキは窒素が、100℃でおよそ1時間の間、高さが調節可能で中心に位置しているかくはん装置によりかくはんされながら、継続的にその中を通気されることにより、乾燥される。フィルターケーキは乾燥された後、約155℃に温められ、またフィルターは15kPa(絶対圧)(150mbar(絶対圧))の圧力にいたるまで排気された。乾燥された触媒前駆物質における残留イソブタノール含有量が2重量%未満になるまで乾燥された。
乾燥された粉末は続いて空気下で、長さ6.5m、内径0.9mまたらせん状の内部を備えた回転管内で2時間処理された。回転管の回転速度は0.4rpmであった。該粉末は回転管内に60kg/hの速度で供給された。空気は100m/hの速度で導入された。5つの同じ長さの加熱帯域で、回転管の外側で直接測定された温度は250℃、300℃、340℃、340℃また340℃であった。室温まで冷却した後、VPO前駆物質は1重量%のグラファイトとよく混ぜ合わされ、ローラーコンパ クタで圧縮された。圧縮された材料のうち400μm未満の粒径を有する細粒はふるい分けられ、圧縮工程に戻された。400μm以上の粒径を有する粗材料は、さらに2重量%のグラファイトと混合され、11Nの横圧縮強度を有する5×3×2.5mmの中空円筒体(外径×高さ×内部孔径)を形成するため、タブレット化機械でタブレット化した。必要量の触媒前駆物質を得るため、何回もこの処理が行われた。
得られた約2.7メートルトンの5×3×2.5mmの中空円筒体は、ガス透過性のコンベヤーベルト上に9〜10cmの床高で、直列につながれ、また計8つの焼成帯域を有する2つの同一のベルト焼成ユニットを含むベルト焼成装置に、連続的に導入された。最初の1.4メートルトンはベルト焼成装置の運転パラメータを調節するために用いられた。それらは均一の材料に相当するわけではないので以下では無視された。
ベルト焼成装置は大気圧で運転された。密閉された移行帯域は焼成帯域4と5の間に位置していた。8つの焼成帯域はそれぞれにガスの循環を生み出すための送風機が備えられていた。8つの焼成帯域それぞれには、必要な量の必要な新鮮ガスが供給された。望ましい大気圧を維持するため、適当量のガスが排出された。単位時間あたりで、それぞれの焼成帯域を循環するガス体積は、単位時間あたりで導入もしくは排出されたガス体積より多かった。触媒前駆物質の流れている領域において開放されている隔壁は、ガスの交換が少なくなるように、それぞれの連続する焼成帯域の間に位置していた。それぞれの焼成帯域の長さは1.45mであった。コンベヤーベルトの速度は、焼成帯域ごとに約2時間の望ましい滞留時間が与えられるように調節された。個々の帯域は表1に示されているように運転された:
表1:
Figure 2005534705
ベルト焼成装置の運転のためのパラメータ
このようにして、約1.3メートルトンの完成した触媒が連続的に製造された。この触媒の典型的な試料は以下の特性を有した:
*バナジウムの平均酸化状態(VOX):4.16
*横圧縮強度(LCS):10.1N
*摩耗度:0.7重量%
実施例1:単一帯域の反応器(2.0容量%のn−ブタン)
単一帯域の反応器の場合、熱伝達媒体の循環流は両方とも同一の塩浴温度下で運転される。反応条件は以下のように設定された:
設置された触媒の総量:2144ml
反応器入口におけるn−ブタンの濃度:2.0容量%
GHSV:2000l(標準状態)/l触媒・h
反応器入口におけるトリエチルホスフェート(TEP)の濃度:2容量ppm
反応器入口における水蒸気の濃度:3容量%
実施例1A:暴走温度T(1st zone)の決定
触媒は、平均塩浴温度TSBが360℃、反応器入口におけるn−ブタンの濃度が1.0容量%、GHSVが1700l(標準状態)/l触媒・h、また、反応器入口における水蒸気の濃度が3容量%で始動された。7日間の期間をかけて、反応器入口におけるn−ブタンの濃度は徐々に2.0容量%まで上げられ、GHSVは2000l(標準状態)/l触媒・hまで上げられ、平均塩浴温度TSBは393℃まで上げられた。そして、安定運転状態、つまり、これらの条件下でホットスポットの温度THS(1st zone)の変動が24時間にわたって0.5℃以下である状態、の確立が待たれた。それから、平均塩浴温度が段階的に、最初は2℃ずつ、その後401℃以上では、1℃ずつ上げられた。安定運転状態に達した後、ホットスポットの温度THS(1st zone)、転化率C、収率Yまた選択性Sが決定された。設定された塩浴温度下では、全てのホットスポットは上部の熱伝達媒体の循環流の領域にあった。
図1は平均塩浴温度の関数として転化率Cおよび収率Yを示している。平均塩浴温度が上昇するに従い、転化率Cは、検討された範囲内で連続的に上昇し、一方、無水マレイン酸の収率は、平均塩浴温度TSB, Ymax(1st zone)が404℃で最大値61.1%を示している。
図2は平均塩浴温度TSB(1st zone)の関数としてホットスポットの温度THS(1st zone)を示している。平均塩浴温度TSB(1st zone)が404℃から405℃に1℃上昇することにより、ホットスポットの温度THS(1st zone)は3.3℃上昇する。平均塩浴温度TSB(1st zone)がさらに1℃上昇して406℃になることにより、ホットスポットの温度THS(1st zone)は10.0℃上昇する。したがって、暴走温度T(1st zone)は405℃と406℃の間に存在する。測定値の間の線形補間に基づいた概算評価により、暴走温度T(1st zone)はおよそ405.3℃となる。
実施例1B:単一帯域の反応器の運転範囲の選定
実験的に決定された暴走温度T(1st zone)、405.3℃に基づいて、式(I)は平均塩浴温度TSB(1st zone)が設定される範囲を与える。
SB(1st zone)≦405.3℃−1℃
また、実験的に決定された、TSB(1st zone)≦405.3℃の範囲内で無水マレイン酸の最大収率が実現される平均塩浴温度TSB, Ymax(1st zone)が404℃であることに基づいて、式(II)は平均塩浴温度TSB(1st zone)が設定される範囲を与える。
404℃−20℃≦TSB(1st zone)≦404℃+10℃
したがって、選択された触媒を用いまた選択された運転条件下で、本発明にかかる単一帯域の反応器を運転するにあたっての平均塩浴温度TSB(1st zone)は384〜404.3℃の範囲内になる。しかしながら、無水マレイン酸の可能な限り最高の収率を得、非常に高いレベルの安全性を実現するためには、本方法を平均塩浴温度TSB(1st zone)が(404−5)℃〜(405.3−2)℃の範囲、つまり399〜403.3℃の範囲で、実施することが特に有利である。この温度範囲は、無水マレイン酸の収率ではおよそ56.9〜59.8%に相当する。とりわけ、特に高いレベルの安全性を実現するためには、本方法を平均塩浴温度TSB(1st zone)が(404−5)℃〜(405.3−4)℃の範囲、つまり399〜401.3℃の範囲で、実施することが極めて有利である。この温度範囲は、無水マレイン酸の収率ではおよそ56.9〜58.7%に相当する。
実験的に決定された無水マレイン酸の最大収率である61.1%が平均塩浴温度TSB(1st zone)が404℃の際に得られたということは強調されるべきである。ここでは、平均塩浴温度TSB(1st zone)が設定される範囲は、式(I)に従い、404.3℃以下に、望ましくは403.3℃以下に、また特に望ましくは401.3℃以下に制限され、それにより、管束反応器の触媒床中に唐突で制御されていない温度ピーク、それは触媒を不可逆に損傷する可能性があるものであるが、が発生する危険性が大幅に削減もしくは除外される。本発明により規定された方法はこのようにして、上記の危険性を有する領域を除外し、本方法の安全な運転を確実にし、触媒への早すぎる熱による損傷を回避する。
実施例2:二帯域の反応器(2.0容量%のn−ブタン)
反応条件は以下のように設定された:
設置された触媒の総量:2144ml
反応器入口におけるn−ブタンの濃度:2.0容量%
GHSV:2000l(標準状態)/l触媒・h
反応器入口におけるトリエチルホスフェート(TEP)の濃度:2容量ppm
反応器入口における水蒸気の濃度:3容量%
単一帯域の反応器の上部反応帯域と二帯域の反応器の第一の反応帯域の反応条件は同一であるので、単一帯域の反応器の暴走温度T(1st zone)もまた二帯域の反応器の第一の反応帯域の暴走温度T(1st zone)と同一である。二帯域の反応器の第一の反応帯域の暴走温度T(1st zone)の決定と適当な運転範囲の選択は実施例1と同様である。
したがって、二帯域の反応器の第一の反応帯域は、選択された触媒を用いまた選択された運転条件下においては、平均塩浴温度TSB(1st zone)は384〜404.3℃の範囲で、特に有利には399〜403.3℃の範囲で、さらに有利には399〜401.3℃の範囲で運転されるべきである。
実施例2A:暴走温度T(2nd zone)の決定
本実施例において、二帯域の反応器の第一の反応帯域は、平均塩浴温度TSB(1st zone)が400℃で運転された。
触媒は最初、安定運転状態が確立するまで、第一の反応帯域の平均塩浴温度TSB(1st zone)が400℃、第二の反応帯域の平均塩浴温度TSB(2nd zone)が402℃で運転された。第二の反応帯域の平均塩浴温度TSB(2nd zone)はその後、1℃ずつ上げられ、そのたびに、安定運転状態、つまりホットスポットの温度THS(2nd zone)の変動が24時間にわたって0.5℃以下である状態、の確立が待たれた。安定運転状態に到達した後、ホットスポットの温度THS(2nd zone)、転化率C、収率Yまた選択性Sが、その都度決定された。
図3は第二の反応帯域の平均塩浴温度TSB(2nd zone)の関数として転化率Cおよび収率Yを示している。第二の反応帯域の平均塩浴温度TSB(2nd zone)が上昇するに従い、転化率Cは、検討された範囲内で連続的に上昇し、一方、無水マレイン酸の収率は、平均塩浴温度TSB, Ymax(2nd zone)が406〜408℃で最大値59.6%を示している。
図4は第二の反応帯域の平均塩浴温度TSB(2nd zone)の関数としてホットスポットの温度THS(2nd zone)を示している。検討されたTSB(2nd zone)の温度範囲内で、平均塩浴温度TSB(2nd zone)が1℃上昇することにより、ホットスポットの温度THS(2nd zone)は1.1〜2.2℃の範囲で上昇する。したがって、第二の反応帯域の暴走温度T(2nd zone)は410℃以上である。
実施例2B:二帯域の反応器の運転範囲の選定
実施例2Aに記述されているように、二帯域の反応器の第一の反応帯域は、平均塩浴温度TSB(1st zone)が400℃で運転された。
第二の反応帯域の暴走温度T(2nd zone)が検討されたTSB(2nd zone)の温度範囲内で決定できなかったことから、実施例2Aより、該温度は410℃以上であると推測可能である。よって式(III)に従って、平均塩浴温度TSB(2nd zone)は、安全のために、
SB(2nd zone)≦410℃−1℃
である値に設定されねばならない。
実験的に決定された、無水マレイン酸の最大収率が実現された平均塩浴温度TSB, Ymax(2nd zone)が、TSB(2nd zone)≦410℃の範囲内において、406〜408℃(平均値:407℃)であることに基づき、式(IV)は平均塩浴温度TSB(2nd zone)が設定される範囲を与える。
407℃−10℃≦TSB(2nd zone)≦407℃+10℃
したがって、選択された触媒を用いまた選択された運転条件下で本発明にかかる二帯域の反応器を運転するにあたっての平均塩浴温度TSB(2nd zone)は397〜409℃の範囲内になる。しかしながら、無水マレイン酸の可能な限り最高の収率を得、非常に高いレベルの安全性を実現するためには、本方法を平均塩浴温度TSB(2nd zone)が(407−5)℃〜(410−2)℃の範囲、つまり402〜408℃の範囲で、実施することが特に有利である。この温度範囲は、無水マレイン酸の収率ではおよそ58.1〜59.6%に相当する。とりわけ、特に高いレベルの安全性を実現するためには、本方法を平均塩浴温度TSB(2nd zone)が(407−5)℃〜(410−4)℃の範囲、つまり402〜406℃の範囲で、実施することが極めて有利である。この温度範囲は、無水マレイン酸の収率ではおよそ58.1〜59.6%に相当する。
実施例1と2の比較により、複数の帯域を有する管束反応器、つまりこの場合は二帯域の反応器、が特に有利であることが示されている。単一帯域の反応器の場合、平均塩浴温度TSB(1st zone)が399〜401.3℃の範囲で、収率および安全性の観点から非常に有利な運転を実現すると、56.9〜58.7%の無水マレイン酸の収率が可能となるが、本条件下では、二帯域の反応器を平均塩浴温度TSB(1st zone)が400℃、また平均塩浴温度TSB(2nd zone)が402〜406℃の範囲で用いることで、同等の高い安全性を有したまま、およそ58.1〜59.6%の無水マレイン酸の収率を実現することが可能となる。したがって、二帯域の反応器を用いることで実現可能となる収率は、単一帯域の反応器を用いる場合に比べて、およそ2%高い。
実施例3:単一帯域の反応器(2.2容量%のn−ブタン)
単一帯域の反応器の場合、熱伝達媒体の循環流は両方とも同一の塩浴温度下で運転される。反応条件は以下のように設定された:
設置された触媒の総量:2144ml
反応器入口におけるn−ブタンの濃度:2.2容量%
GHSV:2000l(標準状態)/l触媒・h
反応器入口におけるトリエチルホスフェート(TEP)の濃度:2容量ppm
反応器入口における水蒸気の濃度:3容量%
実施例3は実施例2に引き続いて、そこで使用された触媒を用いて実施された。
実施例3A:暴走温度T(1st zone)の決定
上記の反応条件および平均塩浴温度TSBとして404℃が設定され、安定運転状態、つまり、ホットスポットの温度THS(1st zone)の変動が24時間にわたって0.5℃以下である状態、の確立が待たれた。それから平均塩浴温度は1℃ずつ上げられた。それぞれ安定運転状態に達した後、ホットスポットの温度THS(1st zone)、転化率C、収率Yまた選択性Sが、その都度決定された。設定された塩浴温度下では、全てのホットスポットは上部の熱伝達媒体の循環流の領域にあった。
図5は平均塩浴温度の関数として転化率Cおよび収率Yを示している。平均塩浴温度が上昇するに従い、転化率Cおよび無水マレイン酸の収率は両方ともに、検討された範囲内で連続的に上昇している。
図6は平均塩浴温度TSB(1st zone)の関数としてホットスポットの温度THS(1st zone)を示している。平均塩浴温度TSB(1st zone)が405℃から406℃に1℃上昇することにより、ホットスポットの温度THS(1st zone)は1.8℃上昇する。平均塩浴温度TSB(1st zone)がさらに1℃上昇して407℃になることにより、ホットスポットの温度THS(1st zone)は5.4℃上昇する。したがって、暴走温度T(1st zone)は406℃と407℃の間に存在する。測定値の間の線形補間に基づいた概算評価により、暴走温度T(1st zone)はおよそ406.9℃となる。
実施例3B:単一帯域の反応器の運転範囲の選定
実験的に決定された暴走温度T(1st zone)である406.9℃に基づいて、式(I)は平均塩浴温度TSB(1st zone)が設定される範囲を与える。
SB(1st zone)≦406.9℃−1℃
SB(1st zone)≦406.9℃の範囲内で無水マレイン酸の最大収率が実現されるのは406.9℃においてで、およそ57.8%である。その結果、式(II)は平均塩浴温度TSB(1st zone)が設定される範囲を与える。
406.9℃−20℃≦TSB(1st zone)≦406.9℃+10℃
したがって、選択された触媒を用いまた選択された運転条件下で、本発明にかかる単一帯域の反応器を運転するにあたっての平均塩浴温度TSB(1st zone)は386.9〜405.9℃の範囲内になる。しかしながら、無水マレイン酸の可能な限り最高の収率を得、非常に高いレベルの安全性を実現するためには、本方法を平均塩浴温度TSB(1st zone)が(406.9−5)℃〜(406.9−2)℃の範囲、つまり401.9〜404.9℃の範囲で、実施することが特に有利である。この温度範囲は、無水マレイン酸の収率では最高56.2%に相当する。
検討された全範囲内で実験的に決定された無水マレイン酸の最大収率である58.8%が、平均塩浴温度TSB(1st zone)が409℃の際に得られたということは強調されるべきである。したがって、この温度は暴走温度T(1st zone)よりかなり上である。もし、本発明の教示に反して、本方法がこの温度で運転される場合には、管束反応器の触媒床中の唐突で制御されていない温度ピーク(それは触媒を不可逆に損傷する可能性があるものであるが)が発生する危険性があると考えられる。さらに、個々の反応管から管束反応器全体までにわたる暴走反応が発生する危険性があると考えられる。
本発明により規定された方法は、上記の危険性を有する領域を除外し、本方法の安全な運転を確実にし、また触媒への早すぎる熱による損傷をも回避する。
実施例4:二帯域の反応器(2.2容量%のn−ブタン)
反応条件は以下のように設定された:
設置された触媒の総量:2144ml
反応器入口におけるn−ブタンの濃度:2.2容量%
GHSV:2000l(標準状態)/l触媒・h
反応器入口におけるトリエチルホスフェート(TEP)の濃度:2容量ppm
反応器入口における水蒸気の濃度:3容量%
単一帯域の反応器の上部反応帯域の反応条件と二帯域の反応器の第一の反応帯域の反応条件は同一であるので、単一帯域の反応器の暴走温度T(1st zone)もまた二帯域の反応器の第一の反応帯域の暴走温度T(1st zone)と同一である。二帯域の反応器の第一の反応帯域の暴走温度T(1st zone)の決定と適当な運転範囲の選択は実施例3と同様である。
したがって、二帯域の反応器の第一の反応帯域は、選択された触媒を用いまた選択された運転条件下においては、平均塩浴温度TSB(1st zone)は386.9〜405.9℃の範囲で、特に有利には401.9〜404.9℃の範囲で運転されるべきである。
実施例4A:暴走温度T(2nd zone)の決定
本実施例において、二帯域の反応器の第一の反応帯域は、平均塩浴温度TSB(1st zone)が404℃で運転された。
触媒は最初、安定運転状態が確立するまで、第一の反応帯域の平均塩浴温度TSB(1st zone)が404℃、第二の反応帯域の平均塩浴温度TSB(2nd zone)が411℃で運転された。第二の反応帯域の平均塩浴温度TSB(2nd zone)はその後、1℃ずつ上げられ、そのたびに、安定運転状態、つまりホットスポットの温度THS(2nd zone)の変動が24時間にわたって0.5℃以下である状態、の確立が待たれた。安定運転状態に到達した後、ホットスポットの温度THS(2nd zone)、転化率C、収率Yまた選択性Sが、その都度決定された。
図7は第二の反応帯域の平均塩浴温度TSB(2nd zone)の関数として転化率Cおよび収率Yを示している。第二の反応帯域の平均塩浴温度TSB(2nd zone)が上昇するに従い、転化率Cは、検討された範囲内で連続的に上昇し、一方、無水マレイン酸の収率は、平均塩浴温度TSB, Ymax(2nd zone)が414〜418℃で、横ばいの最大値、およそ58.2%を示している。
図8は第二の反応帯域の平均塩浴温度TSB(2nd zone)の関数としてホットスポットの温度THS(2nd zone)を示している。平均塩浴温度TSB(2nd zone)が417℃から418℃に1℃上昇することにより、ホットスポットの温度THS(2nd zone)は3.8℃上昇する。平均塩浴温度TSB(2nd zone)がさらに1℃上昇して419℃になることにより、ホットスポットの温度THS(2nd zone)は5.1℃上昇する。したがって、暴走温度T(2nd zone)は418℃と419℃の間に存在する。測定値の間の線形補間に基づいた概算評価により、暴走温度T(2nd zone)はおよそ418.8℃となる。
実施例4B:二帯域の反応器の運転範囲の選定
実施例4Aにおいて記述されているように、二帯域の反応器の第一の反応帯域は、平均塩浴温度TSB(1st zone)が404℃で運転された。
実験的に決定された暴走温度T(2nd zone)である418.8℃に基づいて、式(III)は平均塩浴温度TSB(2nd zone)が設定される範囲を与える。
SB(2nd zone)≦418.8℃−1℃
実験的に決定された、無水マレイン酸の最大収率が実現された平均塩浴温度TSB, Ymax(2nd zone)が、TSB(2nd zone)≦418.8℃の範囲内において、414〜418℃(平均値:416℃)であることに基づき、式(IV)は平均塩浴温度TSB(2nd zone)が設定される範囲を与える。
416℃−10℃≦TSB(2nd zone)≦416℃+10℃
したがって、選択された触媒を用いまた選択された運転条件下で、本発明にかかる二帯域の反応器を運転するにあたっての平均塩浴温度TSB(2nd zone)は、406〜417.8℃の範囲内になる。しかしながら、無水マレイン酸の可能な限り最高の収率を得、非常に高いレベルの安全性を実現するためには、本方法を平均塩浴温度TSB(2nd zone)が(416−5)℃〜(418.8−2)℃の範囲、つまり411〜416.8℃の範囲で、実施することが特に有利である。この温度範囲は、無水マレイン酸の収率ではおよそ57.7〜58.2%に相当する。
実施例3と4の比較もまた、複数の帯域を有する管束反応器、つまりこの場合は二帯域の反応器、が特に有利であることを示している。単一帯域の反応器の場合、平均塩浴温度TSB(1st zone)が401.9〜404.9℃の範囲で、収率および安全性の観点から非常に有利な運転を実現すると、最高56.2%の無水マレイン酸の収率が可能となるが、本条件下では、二帯域の反応器を平均塩浴温度TSB(1st zone)が404℃、また平均塩浴温度TSB(2nd zone)が411〜416.8℃の範囲で用いることで、同等の高い安全性を有したまま、およそ57.7〜58.2%の無水マレイン酸の収率を実現することが可能となる。
表2:
単一帯域の反応器として運転中の暴走温度T(1st zone)(実施例1)および二帯域の反応器として運転中の第一の反応帯域の暴走温度T(1st zone)(実施例2)を決定するための実験データ
Figure 2005534705
全試験中、以下のパラメータは一定に保たれた:
*反応器入口におけるn−ブタンの濃度 = 2.0容量%
*GHSV = 2000l(標準状態)/l触媒・h
*反応器出口における圧力 = 0.2MPa(絶対圧)
*トリエチルホスフェート(TEP)の濃度 = 2容量ppm
*水蒸気の濃度 = 3容量%
表3:
第一の帯域の平均塩浴温度TSB(1st zone)が400℃で二帯域の反応器として運転中の、第二の反応帯域の暴走温度T(2nd zone)を決定するための実験データ(実施例2)
Figure 2005534705
全試験中、以下のパラメータは一定に保たれた:
*反応器入口におけるn−ブタンの濃度 = 2.0容量%
*GHSV = 2000l(標準状態)/l触媒・h
*反応器出口における圧力 = 0.2MPa(絶対圧)
*トリエチルホスフェート(TEP)の濃度 = 2容量ppm
*水蒸気の濃度 = 3容量%
表4:
単一帯域の反応器として運転中の暴走温度T(2nd zone)(実施例3)および二帯域の反応器として運転中の第一の反応帯域の暴走温度T(1st zone)(実施例4)を決定するための実験データ
Figure 2005534705
全試験中、以下のパラメータは一定に保たれた:
*反応器入口におけるn−ブタンの濃度 = 2.2容量%
*GHSV = 2000l(標準状態)/l触媒・h
*反応器出口における圧力 = 0.2MPa(絶対圧)
*トリエチルホスフェート(TEP)の濃度 = 2容量ppm
*水蒸気の濃度 = 3容量%
表5:
第一の帯域の平均塩浴温度TSB(1st zone)が404℃で二帯域の反応器として運転中の、第二の反応帯域の暴走温度T(2nd zone)を決定するための実験データ(実施例4)
Figure 2005534705
全試験中、以下のパラメータは一定に保たれた:
*反応器入口におけるn−ブタンの濃度 = 2.2容量%
*GHSV = 2000l(標準状態)/l触媒・h
*反応器出口における圧力 = 0.2MPa(絶対圧)
*トリエチルホスフェート(TEP)の濃度 = 2容量ppm
*水蒸気の濃度 = 3容量%
図1は平均塩浴温度の関数として転化率Cおよび収率Yを示している 図2は平均塩浴温度TSB(1st zone)の関数としてホットスポットの温度THS(1st zone)を示している 図3は第二の反応帯域の平均塩浴温度TSB(2nd zone)の関数として転化率Cおよび収率Yを示している 図4は第二の反応帯域の平均塩浴温度TSB(2nd zone)の関数としてホットスポットの温度THS(2nd zone)を示している 図5は平均塩浴温度の関数として転化率Cおよび収率Yを示している 図6は平均塩浴温度TSB(1st zone)の関数としてホットスポットの温度THS(1st zone)を示している 図7は第二の反応帯域の平均塩浴温度TSB(2nd zone)の関数として転化率Cおよび収率Yを示している 図8は第二の反応帯域の平均塩浴温度TSB(2nd zone)の関数としてホットスポットの温度THS(2nd zone)を示している

Claims (10)

  1. 少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素を、酸素を含むガスにより、350〜500℃で、揮発性リン化合物の存在下に、バナジウム、リンおよび酸素を含有する触媒のもと、熱伝達媒体により冷却される反応帯域を少なくとも一つ有する管束反応器ユニット中で、不均一系触媒により気相酸化することにより無水マレイン酸を製造する方法であって、第一の(供給方向にしたがって)反応帯域に流入する熱伝達媒体の温度および/または量は、第一の反応帯域中の熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)が、それは熱伝達媒体の流入温度と流出温度の平均値として計算されるものであるが、式(I)および(II)に従うように調整され、
    SB(1st zone)≦T(1st zone)−TSafety(1st zone) (I)
    SB, Ymax(1st zone)−T(1st zone)≦TSB(1st zone)≦
    SB, Ymax(1st zone)+T(1st zone) (II)、
    式中で
    (1st zone)は第一の反応帯域の暴走温度であり、これは熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)がこれより1℃低い熱伝達媒体の平均温度TSB(1st zone)−1℃からTSB(1st zone)に1℃上昇すると、第一の反応帯域のホットスポットの温度THS(1st zone)が5℃上昇する温度に相当する;
    Safety(1st zone)は第一の反応帯域の安全温度を示しており、その値は1℃である;
    SB, Ymax(1st zone)は無水マレイン酸の最大収率が、TSB(1st zone)≦T(1st zone)の範囲で実現する、第一の反応帯域中での熱伝達媒体の平均温度である;
    (1st zone)は20℃;また
    (1st zone)は10℃であることを特徴とする方法。
  2. 式(II)のTSafety(1st zone)が2℃である請求項1記載の方法。
  3. 熱伝達媒体を用いて冷却される反応帯域を少なくとも二つ有する管束反応器ユニットを用いる請求項1又は2記載の方法。
  4. 第二の(供給方向にしたがって)反応帯域に流入する熱伝達媒体の温度および/または量が、第二の反応帯域の熱伝達媒体の平均温度TSB(2nd zone)が、それは熱伝達媒体の流入温度と流出温度の平均値として計算されるものであるが、式(III)および(IV)に従うように調整され、
    SB(2nd zone)≦T(2nd zone)−TSafety(2nd zone) (III)
    SB, Ymax(2nd zone)−T(2nd zone)≦TSB(2nd zone)≦
    SB, Ymax(2nd zone)+T(2nd zone) (IV)
    式中で
    (2nd zone)は第二の反応帯域の暴走温度であり、これは熱伝達媒体の平均温度TSB(2nd zone)がこれより1℃低い熱伝達媒体の平均温度TSB(2nd zone)−1℃からTSB(2nd zone)に1℃上昇すると、第二の反応帯域のホットスポットの温度THS(2nd zone)が5℃上昇する温度に相当する;
    Safety(2nd zone)は第二の反応帯域の安全温度を示しており、その値は1℃である;
    SB, Ymax(2nd zone)は、無水マレイン酸の最大収率が、TSB(2nd zone)≦T(2nd zone)の範囲で実現する、第二の反応帯域中での熱伝達媒体の平均温度である;
    (2nd zone)は10℃である;また
    (2nd zone)は10℃である請求項3記載の方法。
  5. 式(IV)のTSafety(2nd zone)が2℃である請求項4記載の方法。
  6. 第二の反応帯域に流入する熱伝達媒体の温度および/または量が、第二の反応帯域のホットスポットの温度THS(2nd zone)が第一の反応帯域のホットスポットの温度THS(1st zone)より高くなるように調整される、請求項3から5のいずれか1項記載の方法。
  7. 少なくとも一つの反応帯域で、触媒活性に関して構造化された触媒床を用いる、請求項1から6のいずれか1項記載の方法。
  8. 用いられる炭化水素がn−ブタンである、請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
  9. 用いられる揮発性リン化合物がトリ−(C1−C4−アルキル)−ホスフェートである、請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
  10. 不均一系触媒による気相酸化を0.1〜1MPa(絶対圧)で実施する、請求項1から9のいずれか1項記載の方法。
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