JP2005529625A - 結腸直腸腫瘍の診断のための方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、結腸直腸癌および前悪性病変の検出および診断のための客観的な方法を提供する。例えば、本明細書に開示する方法は、極めて早期の結腸直腸癌を確実に検出することができる。1つの態様において、本診断方法は、腺腫と癌とを識別する遺伝子発現プロフィールのスコアリングを含む。算出されたプロフィールスコアは、試料組織が非癌性、前癌性、または癌性のいずれであるかを客観的に示しうる診断指標としての役割を果たす。本発明はさらに、被験者における結腸直腸腫瘍の診断方法、結腸直腸腫瘍の治療に有用な治療薬剤に関してスクリーニングする方法、結腸直腸腫瘍の治療方法、および、被験者への結腸直腸腫瘍に対するワクチン接種の方法を提供する。
Description
技術分野
本発明は癌研究の分野に関する。より詳細には、本発明は、結腸直腸癌を検出するための方法、および結腸直腸腺腫と結腸直腸癌とを客観的に識別するための方法に関する。本発明はさらに、被験者における結腸直腸腫瘍の診断方法、結腸直腸腫瘍の治療に有用な治療薬剤に関してスクリーニングする方法、結腸直腸腫瘍の治療方法、および、被験者への結腸直腸腫瘍に対するワクチン接種法に関する。
本発明は癌研究の分野に関する。より詳細には、本発明は、結腸直腸癌を検出するための方法、および結腸直腸腺腫と結腸直腸癌とを客観的に識別するための方法に関する。本発明はさらに、被験者における結腸直腸腫瘍の診断方法、結腸直腸腫瘍の治療に有用な治療薬剤に関してスクリーニングする方法、結腸直腸腫瘍の治療方法、および、被験者への結腸直腸腫瘍に対するワクチン接種法に関する。
発明の背景
本発明は、腫瘍の、特に結腸直腸腫瘍の検出および診断に関する。
本発明は、腫瘍の、特に結腸直腸腫瘍の検出および診断に関する。
結腸直腸癌は先進国での癌による死亡の主な原因である。詳細には、米国では毎年130,000例を上回る新たな結腸直腸癌の症例が報告されている。結腸直腸癌は癌全体のうち約15%に相当する。これらのうち、約5%は先天的な遺伝的欠陥に直接関係する。多くの患者は、癌の発症前に前癌性の結腸ポリープまたは直腸ポリープと診断されている。小さな結腸直腸ポリープの多くは良性であるが、いくつかの種類は癌へと進行する可能性がある。
結腸直腸癌に対して最も広く用いられているスクリーニング検査は結腸鏡検査である。この方法は疑いのある増殖物を観察するため、および/または生検組織を採取するために用いられる。通常は、生検組織を組織学的に検査し、生検した細胞の微視的な外観に基づいて診断を下す。しかし、この方法には、得られるのが主観的な結果であって、前癌状態の極めて早期での発見に用いることはできないという限界がある。極めて早期の結腸直腸癌または前悪性病変を検出するための高感度で特異的かつ簡便な診断システムの開発は、この疾患を根本的に消失させうるという点で非常に望ましい。
本発明は、結腸癌の検出および診断の分野における顕著な進歩に相当する。本発明の以前には、結腸直腸腫瘍に関与する遺伝子に関する知見は断片的なものであった。本明細書に記載する情報は、遺伝子発現プロフィールが多段階発癌の過程でどのように変化するかに関して、ゲノム全域にわたる情報を提供する。詳細には、本発明は、本明細書において「マーカー遺伝子」と称する、結腸直腸腺腫と結腸直腸癌とを識別する遺伝子を記載する。臨床医が腺腫を癌から識別するのを補助しうる、選択された「マーカー」遺伝子の発現に基づくスコアリングシステムを開発した。本明細書に開示する情報は、結腸直腸腫瘍の発生、特に腺腫-癌進行に関してより深い理解を与えるだけでなく、結腸直腸癌の診断、治療、および最終的には予防のための新たな戦略を開発するための指標ももたらす。
発明の概要
したがって、本発明は、マーカー遺伝子の発現を結腸直腸癌の有無と関連づける診断方法を提供する。より詳細には、本発明は、被験者における悪性病変と前悪性病変とを識別するため、および結腸直腸癌の存在を診断するための、高感度で特異的かつ簡便な診断方法を提供する。例えば、本発明の診断方法は極めて早期の結腸直腸癌を確実に検出することができる。
したがって、本発明は、マーカー遺伝子の発現を結腸直腸癌の有無と関連づける診断方法を提供する。より詳細には、本発明は、被験者における悪性病変と前悪性病変とを識別するため、および結腸直腸癌の存在を診断するための、高感度で特異的かつ簡便な診断方法を提供する。例えば、本発明の診断方法は極めて早期の結腸直腸癌を確実に検出することができる。
本発明のマーカー遺伝子は、結腸直腸腫瘍において上方制御されるもの、または下方制御されるものとして特徴づけられる。上方制御されるマーカー遺伝子には、RNA/タンパク質プロセシング遺伝子、癌遺伝子(例えば、HMGIY、DEK、およびNPM1)、細胞接着/細胞骨格分子(例えば、TUBB、K-ALPHA、TGFBI、CDH3、およびPAP)、増殖制御分子(例えば、IMPDH2およびODC1)、シグナル伝達分子(例えば、BRF1、PLAB、LAP18、CD81、およびMACMARCKS)、細胞周期制御分子(例えば、RANおよびUBE2I)、転写因子(例えば、HMG1およびHMG2)のほか、PPP2R1B、LDHB、およびSLC29A1などの腫瘍関連分子が含まれる。結腸直腸腫瘍において共通して上方制御されるマーカー遺伝子は表1に示されている。表3に記載のマーカー遺伝子は正常組織と比較して結腸直腸腺腫において上方制御されており、癌組織と正常組織との間にはマーカー遺伝子の発現に関して有意差は認められなかった(表3)。表4に記載のマーカー遺伝子は正常組織と比較して結腸直腸癌で上方制御されており、腺腫組織と正常組織との間にはマーカー遺伝子の発現に関して有意差は認められなかった(表4)。
結腸直腸腫瘍と関連して下方制御されるマーカー遺伝子には、プログラム細胞死と関連のあるものが含まれる(例えば、CASP8、CASP9、CFLAR、DFFA、PAWR、TNF、TNFRSF10C、およびTNFRSF12)。そのほかの下方制御されるマーカー遺伝子には、免疫修飾物質(例えば、IL1RL2、IL17R、およびIL3RAなどのケモカイン受容体)、増殖抑制分子(例えば、サプレッシン(Suppressin)、DCN、MADH2、およびSST)、腫瘍抑制分子(例えば、TP53)、細胞接着/細胞骨格分子(例えば、ADAM8、AVIL、CDH17、CEACAM1、CTNNA2、ICAPA、KRT9、およびARHGAP5)、代謝性因子(例えば、BPHL、CA2、CA5A、HSD11B2、およびECHS1)、イオン輸送体(例えば、SLC15A2、SLC22A1、SLC4A3、およびSLC5A1)、天然の抗菌性分子(例えば、DEFA6)が含まれる。結腸直腸腫瘍において共通して下方制御されるマーカー遺伝子は表2に示されている。
本発明において、「結腸直腸腫瘍」という用語は、結腸直腸腺腫および結腸直腸癌の両方のことを指す。表3および表4に列挙されたマーカー遺伝子は、それぞれ結腸直腸腺腫および結腸直腸癌の病期特異的マーカーとして有用である。一方、表1および表2に列挙されたマーカー遺伝子は、結腸直腸腫瘍に関する一般的なマーカー遺伝子である。本明細書で用いる「一般的なマーカー」という用語は、そのマーカーの存在によって腺腫および癌を含む何らかの腫瘍の存在が証明されることを意味する。
本発明の診断方法においては、多数のマーカー遺伝子をその発現レベルの比較のために選択することが好ましい。比較のために選択するマーカー遺伝子が多いほど、診断の信頼性は高くなる。数多くの遺伝子の発現レベルは、発現プロフィールを用いることによって首尾良く比較が可能である。「発現プロフィール」という用語は、数多くの遺伝子の、好ましくは、結腸直腸腺腫と比較して結腸直腸癌において差異を伴って発現されるマーカー遺伝子の発現レベルの集成物のことを指す。
したがって、1つの態様において、本発明は、以下の段階を含む被験者における結腸直腸腫瘍の診断のための方法を提供する:
(a)診断すべき被験者から採取した標本における、1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを検出する段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子が、表1に列挙された遺伝子および表2に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;ならびに
(b)1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを対照の発現レベルと比較する段階であって、対照と比較して、表1からのマーカー遺伝子の発現レベルが高いこと、または表2からのマーカー遺伝子の発現レベルが低いことが結腸直腸癌を示す段階。
(a)診断すべき被験者から採取した標本における、1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを検出する段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子が、表1に列挙された遺伝子および表2に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;ならびに
(b)1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを対照の発現レベルと比較する段階であって、対照と比較して、表1からのマーカー遺伝子の発現レベルが高いこと、または表2からのマーカー遺伝子の発現レベルが低いことが結腸直腸癌を示す段階。
個々の標本におけるマーカー遺伝子の発現レベルは、マーカー遺伝子に対応するmRNA、またはその遺伝子によってコードされるタンパク質を定量することによって推定しうる。mRNAの定量方法は当業者に周知である。例えば、マーカー遺伝子に対応するmRNAのレベルはノーザンブロット法またはRT-PCRによって推定しうる。マーカー遺伝子のヌクレオチド配列はすべて判明しているため、当業者は皆、マーカー遺伝子を定量するためのプローブまたはプライマーのヌクレオチド配列を設計することができる。
また、マーカー遺伝子の発現レベルを、マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質の活性または量に基づいて分析することもできる。マーカータンパク質の量を決定するための方法は以下に示す。例えば、イムノアッセイは、生物材料中のタンパク質の検出/定量のために有用である。タンパク質またはその活性の検出/定量には任意の生物材料を用いることができる。例えば、血清マーカーによってコードされるタンパク質の決定のために血液試料を分析する。または、分析する各タンパク質の活性に応じて、マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質の活性の決定のために任意の適した方法を選択することもできる。
標本(被験試料)におけるマーカー遺伝子の発現レベルを推定し、正常試料におけるものと比較する。このような比較によって、表1に示されたマーカー遺伝子の発現レベルが正常試料におけるものよりも高いことが示される場合には、被験者は結腸直腸腫瘍に罹患していると判断される。正常個体および被験者からの標本におけるマーカー遺伝子の発現レベルは同時に決定してもよい。または、対照群から事前に採取した標本におけるマーカー遺伝子の発現レベルを分析することによって得た結果に基づく統計学的な方法により、発現レベルの正常範囲を決定することもできる。被験者の試料を検査することによって得られた結果をその正常範囲と比較し、結果が正常範囲内にない場合には、被験者は結腸直腸腫瘍に罹患していると判断される。同様に、結腸直腸腺腫および/または結腸直腸癌を、それぞれ表3または表4に示されたマーカー遺伝子を用いて診断することもできる。
本発明においては、結腸直腸腫瘍、結腸直腸腺腫、および/または結腸直腸癌を診断するための診断薬も提供される。本発明の診断薬は、マーカー遺伝子のDNAまたはタンパク質と結合する化合物を含む。マーカー遺伝子のポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、またはマーカー遺伝子によってコードされるタンパク質と特異的に結合する抗体を化合物として用いることが好ましい。
本発明はさらに、被験者における結腸直腸癌を診断するための方法であって、被験者から採取した試料標本のマーカー遺伝子発現プロフィールを対照(すなわち、癌でない)標本におけるマーカー遺伝子発現プロフィールと比較する段階を含む方法を提供する。発現プロファイリング分析によって発現プロフィールが結腸直腸癌の特徴を含むことが示されれば、その被験者は疾患に罹患していると判断される。詳細には、マーカー遺伝子のすべてではなくとも大部分が、遺伝子発現レベルの変化に関して結腸直腸癌と関連したパターンを示す場合には、そのようなマーカー遺伝子を含む発現プロフィールは結腸直腸癌の特徴を有するものとする。例えば、発現プロフィールを構成するマーカー遺伝子の50%またはそれ以上、好ましくは60%またはそれ以上、より好ましくは80%またはそれ以上、さらにより好ましくは90%またはそれ以上が、遺伝子発現レベルの変化に関して結腸直腸癌と関連したパターンを示す場合には、その発現プロフィールは結腸直腸癌の特徴を有すると確実に結論づけることができる。
1つの好ましい態様において、マーカー遺伝子には、表4に示されたもののような、結腸直腸腺腫と比較して結腸直腸癌において上方制御される遺伝子が含まれる。または、マーカー遺伝子には、表3に示されたもののような、結腸直腸癌と比較して結腸直腸腺腫において上方制御される遺伝子も含まれうる。種々のカテゴリーから複数のマーカー遺伝子を選択してもよい。詳細には、本発明は、以下の段階を含む腺腫の同定方法を提供する:
(a)診断すべき被験者から採取した標本における1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを検出する段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子は、表3に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;および
(b)1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを対照の発現レベルと比較する段階であって、表3からのマーカー遺伝子の発現レベルが対照と比較して高いことが腺腫を示す段階。
(a)診断すべき被験者から採取した標本における1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを検出する段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子は、表3に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;および
(b)1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを対照の発現レベルと比較する段階であって、表3からのマーカー遺伝子の発現レベルが対照と比較して高いことが腺腫を示す段階。
さらに、本発明は、癌の同定方法であって、
(a)診断すべき被験者から採取した標本における1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを検出する段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子は、表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;および
(b)1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを対照の発現レベルと比較する段階であって、表4からのマーカー遺伝子の発現レベルが対照と比較して高いことが癌を示す段階、
を含む方法も提供する。
(a)診断すべき被験者から採取した標本における1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを検出する段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子は、表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;および
(b)1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを対照の発現レベルと比較する段階であって、表4からのマーカー遺伝子の発現レベルが対照と比較して高いことが癌を示す段階、
を含む方法も提供する。
腺腫と癌とを識別することにより、臨床的に重要な情報を得ることができる。腺腫は前癌性腫瘍であり、一方、癌は治療を必要とする癌性腫瘍である。表3および4に列挙されたマーカー遺伝子の任意のものを、癌を同定するために本方法に用いる。または、表3から選択される1つまたは複数のマーカー遺伝子および表4から選択される1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを、本発明による癌の同定のために検出することもできる。表3または4のいずれか一方からの1つまたは複数のマーカー遺伝子を用いる同定に比べて、表3から選択される1つもしくは複数のマーカー遺伝子の発現が亢進し、かつ表4からの1つもしくは複数のマーカー遺伝子の発現に明らかな変化がないこと、または表4から選択される1つもしくは複数のマーカー遺伝子の発現が亢進し、かつ表3からの1つもしくは複数のマーカー遺伝子の発現に明らかな変化がないことを確認することによる方が、より正確な同定を行うことができる。
1つの代替的な態様において、本発明の診断方法は、腺腫と癌とを識別する遺伝子に関して発現プロフィールをスコアリングする段階を含む。本方法の段階は、腺腫と癌との間で差異を伴って発現されるものとして選択された遺伝子(すなわち「マーカー遺伝子」)に関する発現プロフィールを入手すること、および、選択した遺伝子全体にわたって発現プロフィールの対数比の関数を決定することを含む。「選択した遺伝子全体にわたって発現プロフィールの対数比の関数を決定する」段階は、選択した遺伝子全体にわたって発現プロフィールの加重対数比を合計することを含む。各遺伝子の加重には、平均対数比が腺腫よりも癌の方が高い場合には第1の値が割り当てられ、平均対数比が腺腫よりも癌の方が低い場合には第2の値が割り当てられる。第2の値は第1の値の実質的に反対の値であること、例えば第1の値が1であれば第2の値は-1であることが好ましい。
本発明の方法はさらに、組織試料の癌の状態に関する診断的判定を提供する。例えば、1つの態様において、本発明の診断方法は、被験試料、例えば腫瘍生検組織または正常生検組織における遺伝子の発現レベルを測定する段階、および差異を伴って発現される複数の指標(またはマーカー)遺伝子のそれぞれに関して遺伝子発現比の値を決定する段階を含むことが好ましい。遺伝子発現の比は、被験試料における発現量を正常組織における発現と比較したものに対応する。各々の値に対して、何らかの符号[例えば、プラス符号(+)またはマイナス符号(-)]を割り当てる。この符号は、ave癌がave腺腫よりも大きければ+1であり、ave癌がave腺腫よりも小さければ前記符号は-1である。各々の値を組み合わせて、組織が前癌性または癌性であるか否かを客観的に示す診断指標を決定する。例えば、この指標は腺腫と癌とを識別する。
もう1つの態様において、本方法は、選択した複数のマーカー遺伝子のそれぞれに関して組織中での発現の比を決定する段階、および比の表示を組み合わせて癌の値(cancer value)を決定する段階を含む。ある特定の遺伝子に関する特定の比の組み合わせは、その特定の遺伝子が癌と関連している(その指標である)(すなわち、癌マーカー遺伝子である)ならば癌の値に対して癌を示す方向に影響を及ぼし、その特定の遺伝子が腺腫および正常のうち少なくとも1つと関連している(その指標である)(すなわち、腺腫マーカー遺伝子である)ならば癌の値に対して腺腫を示す方向に影響を及ぼす。好ましくは、その数の多さは10遺伝子を上回り、より好ましくは25遺伝子を上回り、より好ましくは40遺伝子を上回り、最も好ましくは50遺伝子を上回る。
本発明の診断方法の顕著な利点の1つは、診断的判定が主観的ではなく客観的に行われることにある。従来の方法は、組織学的試料の主観的検討に依拠している点に限界があった。本発明の診断方法のもう1つの利点は感度である。本明細書に記載する方法は、正常組織、前癌組織、および癌性組織を発癌プロセスのごく早期に識別することができるが、主観的な組織学的検討を前癌状態のごく早期での発見に用いることはできない。
本発明はさらに、結腸直腸腺腫および結腸直腸癌などの結腸直腸腫瘍を治療するための方法を提供する。本発明は、ある種の識別用マーカー遺伝子の発現レベルが、正常上皮と比較して結腸直腸腫瘍で(表1および2に列挙した遺伝子を参照)、および/または結腸直腸腺腫と比較して結腸直腸癌で(表3および4に列挙した遺伝子を参照)、有意に上昇すること(すなわち、上方制御)または低下すること(すなわち、下方制御)を明らかにした。したがって、これらのマーカー遺伝子の任意のものを、結腸直腸腫瘍を治療する際に標的として用いることができる。詳細には、マーカー遺伝子の発現レベルが結腸直腸腫瘍で上昇している場合(上方制御;例えば、表1、3、および4の遺伝子)には、その状態は、発現レベルを低下させるまたはその活性を抑制することによって治療することができる。マーカー遺伝子の発現レベルを制御するための方法は当業者に周知である。例えば、マーカー遺伝子のヌクレオチド配列に対応するアンチセンス核酸またはRNAi(RNA干渉)を、マーカー遺伝子の発現レベルを低下させるために投与することができる。または、マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質に対する抗体を、タンパク質の生物学的活性を阻害するために投与することもできる。
その反対に、マーカー遺伝子の発現レベルが結腸直腸腫瘍で低下している場合(下方制御;例えば、表2の遺伝子)には、その状態は、発現レベルを上昇させるまたは活性を増強することによって治療することができる。例えば、下方制御されるマーカー遺伝子によってコードされるタンパク質を投与することにより、結腸直腸腫瘍を治療することができる。タンパク質は患者に直接投与してもよく、または、例えば下方制御される対象となるマーカー遺伝子を有する発現ベクターまたは宿主細胞を投与することにより、患者の体内に導入した後にインビボで発現させてもよい。対象となる遺伝子のインビボ発現のために適した機序は当技術分野で公知である。または、上方制御される対象となるマーカー遺伝子によってコードされるタンパク質と結合する抗体を投与することにより、結腸直腸腫瘍を治療することもできる。さらにもう1つの態様において、上方制御される対象となるマーカー遺伝子に対するアンチセンス核酸を投与することによって結腸直腸腫瘍を治療することもできる。
結腸直腸腫瘍の治療方法を提供することに加えて、本発明はまた、結腸直腸腫瘍を、より詳細には結腸直腸癌の発生および進行を予防する方法も提供する。詳細には、本発明は、被験者への結腸直腸腫瘍に対するワクチン接種のための方法であって、1つもしくは複数のマーカー遺伝子に対応するDNA、マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質、またはこのようなタンパク質の抗原性断片を投与する段階を含む方法であって、マーカー遺伝子が、表1、表3、および表4に列挙された遺伝子のような、結腸直腸腫瘍において上方制御される遺伝子を含む方法を提供する。ワクチンは、上方制御される多数のマーカー遺伝子に対応する多数のワクチン抗原を含みうる。
表3および4に列挙されたマーカー遺伝子は、それぞれ腺腫および癌に特異的なマーカー遺伝子である。しかし実際には、悪性腫瘍は腺腫から癌への進行によって形成される。このため、結腸直腸癌は腺腫の発生を予防することによって予防しうる。
さらにもう1つの態様において、本発明は、結腸直腸腫瘍の治療における標的の候補となる候補因子をスクリーニングするための方法を提供する。以上で詳細に考察したように、マーカー遺伝子の発現レベルまたは活性を制御することにより、結腸直腸癌の発生および進行を制御することができる。このため、結腸直腸腫瘍の治療における標的の候補となる候補因子は、マーカー遺伝子の発現レベルおよび活性を指標として用いるスクリーニングによって同定可能である。本発明の文脈において、このようなスクリーニングは、例えば以下の段階を含みうる:
(1)候補化合物を、1つまたは複数のマーカー遺伝子を発現する細胞と接触させる段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子が表1、表2、表3、および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;ならびに
(2)表1、表3、および表4から選択される1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを対照と比較して低下させる化合物、または表2から選択される1つもしくは複数のマーカー遺伝子の発現を対照と比較して増強する化合物を選択する段階。
(1)候補化合物を、1つまたは複数のマーカー遺伝子を発現する細胞と接触させる段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子が表1、表2、表3、および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;ならびに
(2)表1、表3、および表4から選択される1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを対照と比較して低下させる化合物、または表2から選択される1つもしくは複数のマーカー遺伝子の発現を対照と比較して増強する化合物を選択する段階。
マーカー遺伝子を発現する細胞には、例えば、結腸直腸癌病変から樹立された細胞系が含まれ;このような細胞を本発明の上記のスクリーニングに用いることができる。
または、本発明のスクリーニング方法は以下の段階を含みうる:
(1)候補化合物を、マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質と接触させる段階であって、マーカー遺伝子は表1、表2、表3、および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;
(2)前記タンパク質の活性を測定する段階;ならびに
(3)前記マーカー遺伝子が表1、表3、および表4から選択される場合には前記タンパク質の活性を低下させる化合物を、または、前記マーカー遺伝子が表2から選択される場合には前記タンパク質の活性を増強する化合物を選択する段階。
(1)候補化合物を、マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質と接触させる段階であって、マーカー遺伝子は表1、表2、表3、および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;
(2)前記タンパク質の活性を測定する段階;ならびに
(3)前記マーカー遺伝子が表1、表3、および表4から選択される場合には前記タンパク質の活性を低下させる化合物を、または、前記マーカー遺伝子が表2から選択される場合には前記タンパク質の活性を増強する化合物を選択する段階。
スクリーニングのために必要なタンパク質は、マーカー遺伝子のヌクレオチド配列を利用して組換えタンパク質として入手することができる。マーカー遺伝子の情報に基づいて、当業者はタンパク質の任意の生物学的活性をスクリーニング用の指標として選択することができ、選択した生物学的活性に基づいて測定方法を選択することができる。
または、本発明のスクリーニング方法は以下の段階を含みうる:
(1)候補化合物を、1つまたは複数のマーカー遺伝子の転写調節領域およびその転写調節領域の制御下で発現されるレポーター遺伝子を含むベクターが導入された細胞と接触させる段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子が表1、表2、表3、および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;
(2)前記レポーター遺伝子の活性を測定する段階;ならびに
(3)前記マーカー遺伝子が表1、表3、および表4から選択される場合、前記レポーター遺伝子の発現レベルを対照と比較して低下させる化合物を、または前記マーカー遺伝子が表2から選択される場合には前記レポーター遺伝子の発現レベルを対照と比較して上昇させる化合物を選択する段階。
(1)候補化合物を、1つまたは複数のマーカー遺伝子の転写調節領域およびその転写調節領域の制御下で発現されるレポーター遺伝子を含むベクターが導入された細胞と接触させる段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子が表1、表2、表3、および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;
(2)前記レポーター遺伝子の活性を測定する段階;ならびに
(3)前記マーカー遺伝子が表1、表3、および表4から選択される場合、前記レポーター遺伝子の発現レベルを対照と比較して低下させる化合物を、または前記マーカー遺伝子が表2から選択される場合には前記レポーター遺伝子の発現レベルを対照と比較して上昇させる化合物を選択する段階。
適したレポーター遺伝子および宿主細胞は当技術分野で周知である。スクリーニングのために必要なレポーター構築物は、マーカー遺伝子の転写調節領域を用いることによって調製することができる。マーカー遺伝子の転写調節領域が当業者に公知である場合には、既知の配列情報を利用することによってレポーター構築物を調製しうる。マーカー遺伝子の転写調節領域がまだ同定されていない場合には、転写調節領域を含むヌクレオチドセグメントを、マーカー遺伝子のヌクレオチド配列情報に基づいてゲノムライブラリーから単離することができる。
または、本発明のスクリーニング方法は以下の段階を含みうる:
(1)候補化合物を被験動物に投与する段階;
(2)被験動物からの生物試料における1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを測定する段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子が表1、表2、表3、および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;
(3)表1、表3、および表4から選択される1つもしくは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを対照と比較して低下させる化合物、または表2から選択される1つもしくは複数のマーカー遺伝子の発現を対照と比較して増強する化合物を選択する段階。
(1)候補化合物を被験動物に投与する段階;
(2)被験動物からの生物試料における1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを測定する段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子が表1、表2、表3、および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;
(3)表1、表3、および表4から選択される1つもしくは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを対照と比較して低下させる化合物、または表2から選択される1つもしくは複数のマーカー遺伝子の発現を対照と比較して増強する化合物を選択する段階。
選択したマーカー遺伝子の発現レベルが結腸直腸腫瘍で低下するような(すなわち、下方制御されるマーカー遺伝子)、本発明のスクリーニング方法では、遺伝子の発現レベルを対照と比較して上昇させる活性を有する化合物が候補薬剤として選択される必要がある。その反対に、発現レベルが結腸直腸腫瘍で上昇するマーカー遺伝子(すなわち、上方制御されるマーカー遺伝子)をスクリーニング方法に選択する場合には、対照と比較して発現レベルを低下させる活性を有する化合物を候補薬剤として選択する必要がある。
表3および4に列挙されたマーカー遺伝子はそれぞれ腺腫および癌に特異的なマーカー遺伝子である。しかし実際には、悪性腫瘍は腺腫から癌への進行によって形成される。このため、結腸直腸癌は腺腫の発生を予防することによって予防しうる。
本発明のスクリーニングに用いる候補化合物の種類には制限はない。本発明の候補化合物は、生物学的ライブラリー法;空間的アドレス指定が可能な並行した固相または液相ライブラリー法;デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物(one-bead one-compound)」ライブラリー法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー法を含む、当技術分野で公知のコンビナトリアルライブラリー法のさまざまなアプローチのうち任意のものを用いて入手することができる。生物学的ライブラリーによるアプローチはペプチドライブラリーに限定されるが、他の4種類のアプローチはペプチド、非ペプチドオリゴマー、または小分子化合物ライブラリーに適用しうる(Lam (1997) Anticancer Drug Des. 12: 145)。分子ライブラリーの合成のための方法の例は当技術分野で見いだすことができ、これには例えば、DeWittら(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6909;Erbら(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 11422;Zuckermannら(1994) J. Med. Chem. 37: 2678;Choら(1993) Science 261: 1303;Carrellら(1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2059;Carellら(1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2061;およびGallopら(1994) J. Med. Chem. 37: 1233がある。化合物のライブラリーは溶液中に提示してもよく(例えば、Houghten (1992) Bio Techniques 13: 412)、またはビーズ(Lam (1991) Nature 354: 82)、チップ(Fodor (1993) Nature 364: 555)、細菌(米国特許第5,223,409号)、胞子(米国特許第5,571,698号;第5,403,484号;および第5,223,409号)、プラスミド(Cullら(1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 1865)もしくはファージ(ScottおよびSmith (1990) Science 249: 386;Devlin (1990) Science 249: 404;Cwirlaら(1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 6378;およびFelici (1991) J. Mol. Biol. 222: 301)上に提示してもよい(米国公開特許出願第2002/0103360号)。
本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになると考えられる。
詳細な説明
本発明の文脈においては、以下の定義が適用される。
本発明の文脈においては、以下の定義が適用される。
結腸直腸上皮の腫瘍は良性、悪性、または前悪性に分類される。本発明の文脈において、「結腸直腸腫瘍」という用語は、結腸または直腸の上皮の良性腫瘍、悪性腫瘍、および前悪性腫瘍を含む。「結腸直腸癌」という用語は、細胞の無秩序な異常増殖を特徴とする悪性状態のことを指す。癌細胞は局所的に広がることもあり、または血流およびリンパ系を通って身体の他の部分に広がることもある。
「癌」とは、上皮から生じた細胞の悪性新生物のことである。癌は、隣接組織中に浸潤して遠隔臓器に転移する傾向のある癌性腫瘍である。腺癌は、結腸または直腸などの臓器の内壁層から生じる特定の種類の癌である。本明細書において「癌」および「腺癌」という用語は互換的に用いられる。当技術分野では、結腸直腸癌の、特に癌が他の臓器系に転移する前の早期での、診断、治療、および予防のための新たな方法には明らかな需要がある。
「腺腫」とは、認知可能な腺構造を細胞が形成する、または細胞が明らかに腺上皮から派生している良性上皮腫瘍のことである。多くの結腸癌が「腺種から癌への変化(adenoma-to-carcinoma sequence)」モデルを介して発生することが文献に示されている(Mutoら、(1975) Cancer, 36, 2251-2270)。このため、結腸直腸腫瘍では、腺腫は結腸直腸癌の前癌期に相当する。腺腫の早期発見および診断は癌の発生の予防に有用である。同様に、腺腫の治療および予防により、被験者における結腸直腸癌への進行を防止することができる。
本発明には結腸直腸腫瘍と正常上皮とを識別する遺伝子、ならびに腺腫と癌とを識別する遺伝子が記載される。このような遺伝子は、本明細書において「マーカー遺伝子」と総称される。本発明では、このようなマーカー遺伝子の発現を、腫瘍細胞を正常細胞から識別するため、より好ましくは腺腫(すなわち、良性腫瘍または前悪性腫瘍)と癌(すなわち、悪性腫瘍)とを識別するために分析されうることを示す。
本明細書で用いる「発現プロフィール」という用語は、数多くの遺伝子の発現レベルの集成物のことを指す。本発明の文脈において、発現プロフィールは腺腫と癌とを識別するマーカー遺伝子を含むことが好ましい。本発明は、試料が結腸直腸癌の特徴を示すか否かを判定するためにマーカー遺伝子の発現プロフィールを分析し、それにより結腸直腸癌を前悪性病変から識別し、被験者における結腸直腸癌の存在を診断する段階を含む。
「結腸直腸癌の特徴」という用語は、本明細書において、結腸直腸癌に特徴的な、マーカー遺伝子のセットの発現レベルの変化のパターンのことを指して用いられる。詳細には、マーカー遺伝子群が、本明細書において、結腸直腸癌において上方制御される、または下方制御されるものとして記載される。発現プロフィールに含まれる、1つまたは複数の上方制御されるマーカー遺伝子の発現レベルが、対照における発現レベルと比較して上昇している場合には、その発現プロフィールは結腸直腸癌の特徴を有するものとして評価することができる。同様に、発現プロフィールに含まれる、1つまたは複数の下方制御されるマーカー遺伝子の発現レベルが対照のものと比較して低下している場合にも、その発現プロフィールを結腸直腸癌の特徴を有するものとして評価しうる。発現プロフィールを構成する発現レベルの変化のパターンのすべてではないにしても大部分が結腸直腸癌に特徴的であれば、その発現プロフィールは結腸直腸癌の特徴を有すると評価される。
本発明の文脈において、発現プロフィールは「DNAアレイ」を用いることによって入手しうる。「DNAアレイ」は、数多くの遺伝子の発現レベルを同時に比較するのに便利な装置である。DNAアレイに基づく発現プロファイリングは、例えば、「Microarray Biochip Technology」(Mark Schena, Eaton Publishing, 2000)などに開示された方法によって実施しうる。
DNAアレイは、数多くの遺伝子を検出するための固定化された高密度プローブを含む。本発明には、任意の種類のポリヌクレオチドをDNAアレイ用のプローブとして用いることができる。好ましくは、cDNA、PCR産物、およびオリゴヌクレオチドがプローブとして有用である。このようにして、多くの遺伝子の発現レベルを1回の分析で同時に評価することができる。すなわち、標本の発現プロフィールをDNAアレイによって決定することができる。本発明のDNAアレイに基づく方法は以下の段階を含む:
(1)マーカー遺伝子のaRNAまたはcDNAを含む、aRNAまたはcDNAを合成する段階;
(2)aRNAまたはcDNAを、マーカー遺伝子に関するプローブとハイブリダイズさせる段階;および
(3)プローブとハイブリダイズしているaRNAまたはcDNAを検出し、そのmRNAの量を定量する段階。
(1)マーカー遺伝子のaRNAまたはcDNAを含む、aRNAまたはcDNAを合成する段階;
(2)aRNAまたはcDNAを、マーカー遺伝子に関するプローブとハイブリダイズさせる段階;および
(3)プローブとハイブリダイズしているaRNAまたはcDNAを検出し、そのmRNAの量を定量する段階。
「aRNA」という用語は、RNAポリメラーゼによってテンプレートcDNAから転写されたRNA(増幅されたRNA)のことを指す。DNAアレイに基づく発現プロファイリングのためのRNA転写キットは市販されている。このようなキットでは、T7プロモーターと結合したcDNAをテンプレートとして用いてT7 RNAポリメラーゼによってaRNAを合成することができる。または、ランダムプライマーを用いるPCRにより、cDNAを、mRNAから合成されたcDNAをテンプレートとして用いて増幅することもできる。
DNAアレイはさらに、その表面にスポット化された状態の、本発明のマーカー遺伝子を検出するためのプローブを含みうる。DNAアレイ上にスポット化するマーカー遺伝子の数には制限はない。例えば、本発明のマーカー遺伝子の5%またはそれ以上、好ましくは20%またはそれ以上、より好ましくは50%またはそれ以上、さらにより好ましくは70%またはそれ以上を選択してよい。マーカー遺伝子以外の遺伝子をDNAアレイ上にスポット化してもよい。例えば、発現レベルが大きくは変化しない遺伝子用のプローブをDNAアレイ上にスポット化してもよい。このような遺伝子は、複数のアレイのアッセイ結果または異なるアッセイを比較するためのアッセイ結果を標準化のために用いることができる。
「プローブ」は、選択された各マーカー遺伝子に対して設計され、DNAアレイ上にスポット化される。このような「プローブ」は、例えば、5〜50ヌクレオチド残基を含むオリゴヌクレオチドでありうる。このようなオリゴヌクレオチドをDNAアレイ上に合成するための方法は当業者に公知である。比較的長いDNAは、PCRにより、または化学的に合成しうる。PCRなどによって合成された長いDNAをスライドガラス上にスポット化するための方法も当業者に公知である。上記の方法によって入手したDNAアレイは、本発明による結腸直腸癌の診断のために用いることができる。
調製したDNAアレイをaRNAと接触させ、その後にプローブとaRNAとのハイブリダイゼーションを検出する。aRNAは前もって蛍光色素で標識することができる。Cy3(赤)およびCy5(緑)などの蛍光色素をaRNAの標識に用いることができる。被験者および対照からのaRNAをそれぞれ異なる蛍光色素で標識する。この2つの間の発現レベルの差は、シグナル強度の違いに基づいて推定しうる。DNAアレイ上の蛍光色素のシグナルはスキャナーによって検出し、専用プログラムを用いて分析することができる。例として、DNAアレイ分析用のソフトウエアパッケージであるAffymetrix社のSuiteがあげられる。
スクリーニングによって単離された化合物は、マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質の活性を阻害する薬剤の候補であり、結腸直腸腫瘍の治療または予防に応用することができる。
さらに、マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質の活性を阻害する化合物の構造の一部が付加、除去、および/または置換によって変換された化合物もまた、本発明のスクリーニング方法によって入手可能な化合物に含まれる。
本発明の方法によって単離された化合物を、ヒトおよび他の哺乳動物、例えばマウス、ラット、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ウシ、サル、ヒヒ、およびチンパンジーなどに対する薬剤として投与する場合には、単離された化合物を直接投与することもでき、または公知の薬剤調製法を用いて剤形として製剤化することもできる。例えば、必要に応じて、薬剤を糖衣錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、およびマイクロカプセルとして経口投与することもでき、または水もしくは他の任意の薬学的に許容される液体との滅菌溶液もしくは懸濁液である注射剤の形態として非経口的に投与することもできる。例えば、化合物を、一般的に認められる薬剤の実現のために必要な単位投薬式剤形として、薬理学的に許容される担体または媒体、具体的には滅菌水、生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、添加剤、賦形剤、保存料、結合剤などと混合することができる。これらの製剤における活性成分の量により、指定された範囲内にある適した投与量が得られる。
錠剤およびカプセル剤に混合しうる添加物の例には、ゼラチン、コーンスターチ、トラガカントゴム、およびアラビアゴムなどの結合剤;結晶セルロースなどの賦形剤;コーンスターチ、ゼラチン、およびアルギン酸などの膨潤剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;スクロース、ラクトース、またはサッカリンなどの甘味料;ならびにペパーミント、冬緑油、およびチェリーなどの香味剤がある。単位投薬式剤形がカプセル剤である場合には、油などの液体担体も上記の成分にさらに含めることができる。注射用の滅菌複合物は、通常の薬剤の実現に倣って、注射用の蒸留水などの媒体を用いて製剤化することができる。
生理食塩水、グルコース、ならびにD-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、および塩化ナトリウムなどの佐剤を含むその他の等張液を、注射用の水溶液として用いることができる。これらは適した可溶化剤、例えばアルコール、詳細にはエタノール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコールなどの多価アルコール、Polysorbate 80(TM)、およびHCO-50などの非イオン性界面活性剤などと組み合わせて用いることができる。
ゴマ油またはダイズ油は油脂性液体として用いることができ、これらを可溶化剤としての安息香酸ベンジルまたはベンジルアルコールと組み合わせて用いることもでき、さらにこれらをリン酸緩衝液および酢酸ナトリウム緩衝液などの緩衝液;塩酸プロカインなどの鎮痛薬;ベンジルアルコール、フェノールなどの安定剤;ならびに抗酸化剤とともに製剤化することもできる。調製された注射剤は適したアンプルに充填することができる。
本発明の医用組成物を、例えば動脈内注射、静脈内注射、皮下注射として、および同じく鼻腔内投与、経気管支投与、筋肉内投与、または経口投与として患者に対して投与するためには、当業者に周知の方法を用いることができる。投与量および投与方法は患者の体重および年齢ならびに投与方法に応じて異なる;しかし、当業者はルーチン的に適した投与法を選択しうる。前記化合物がDNAによってコード可能な場合には、DNAを遺伝子治療用のベクターに挿入し、治療を行うためにそのベクターを患者に投与することができる。投与量および投与方法は患者の体重、年齢、および症状に応じて異なるが、当業者はそれらを適切に選択しうる。
例えば、本発明のタンパク質と結合してその活性を調節する化合物の投与量は症状に依存するものの、投与量は、標準的な成人(体重60kg)に対して経口投与する場合、約0.1mg〜約100mg/日、好ましくは約1.0mg〜約50mg/日、より好ましくは約1.0mg〜約20mg/日である。
標準的な成人(体重60kg)に対して注射剤の形態として非経口的に投与する場合には、患者、標的臓器、症状、および投与方法に応じて若干の違いはあるものの、約0.01mg〜約30mg/日、好ましくは約0.1〜約20mg/日、およびより好ましくは約0.1〜約10mg/日の用量を静脈注射することが好都合である。同じく、他の動物の場合にも、体重60kgに換算した量を投与することが可能である。
上に述べた通り、マーカー遺伝子のヌクレオチド配列に対応するアンチセンス核酸は、マーカー遺伝子の発現レベルを低下させるために用いることができる。結腸直腸癌で上方制御されるマーカー遺伝子に対応するアンチセンス核酸は、結腸直腸癌の治療に有用である。詳細には、本発明のアンチセンス核酸は、マーカー遺伝子またはそれに対応するmRNAと結合し、それによりその遺伝子の転写または翻訳を阻害すること、mRNAの分解を促進すること、および/またはマーカー遺伝子によってコードされるタンパク質の発現を阻害し、最終的にはタンパク質の機能を阻害することにより作用しうる。本明細書で用いる「アンチセンス核酸」という用語には、標的配列に対して完全に相補的なヌクレオチド、およびアンチセンス核酸が標的配列と特異的にハイブリダイズしうるという条件付きで1つまたは複数のヌクレオチドにミスマッチがあるヌクレオチドの両方が含まれる。例えば、本発明のアンチセンス核酸には、少なくとも15個の連続したヌクレオチドの範囲にわたって少なくとも70%またはそれ以上、好ましくは80%またはそれ以上、より好ましくは90%またはそれ以上、さらにより好ましくは95%またはそれ以上の相同性を有するポリヌクレオチドが含まれる。相同性の決定には当技術分野で公知のアルゴリズムを用いうる。
本発明のアンチセンス核酸誘導体は、マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質を産生する細胞に対して、タンパク質をコードするDNAまたはmRNAと結合し、その転写または翻訳を阻害して、mRNAの分解を促進し、タンパク質の発現を阻害して、それによってタンパク質の機能を阻害することによって作用する。
本発明のアンチセンス核酸誘導体は、誘導体に対する活性のない適した基材と混合することにより、リニメント剤または湿布剤などの外用製剤の形にすることができる。
同じく、必要に応じて、誘導体を、添加剤、等張剤、溶解補助剤、安定剤、保存料、鎮痛薬などを添加することにより、錠剤、粉剤、顆粒剤、カプセル剤、リポソームカプセル剤、注射剤、液剤、点鼻薬、および凍結乾燥製剤として製剤化することもできる。これらは公知の方法に従って調製可能である。
アンチセンス核酸誘導体は、罹患部位に対して直接外用することにより、またはそれが罹患部位に到達するように血管内に注入することにより、患者に対して投与される。持続性および膜透過性を高めるためにアンチセンス用マウント培地を用いることもできる。その例には、リポソーム、ポリ-L-リジン、脂質、コレステロール、リポフェクチンまたはこれらの誘導体がある。
本発明のアンチセンス核酸誘導体の投与量は、患者の状態に従って適切に調整した上で、望ましい量を用いることができる。例えば、0.1〜100mg/kg、好ましくは0.1〜50mg/kgの範囲の用量を投与することができる。
本発明のアンチセンス核酸は本発明のタンパク質の発現を阻害するため、本発明のタンパク質の生物学的活性を抑制するために有用である。本発明のアンチセンス核酸を含む発現阻害物質も、本発明のタンパク質の生物学的活性を阻害しうるため、有用である。
本発明のアンチセンス核酸には、修飾されたオリゴヌクレオチドが含まれる。例えば、オリゴヌクレオチドにヌクレアーゼ抵抗性を付与するために、チオエート化ヌクレオチドを用いることもできる。
本発明は、抗体、特に上方制御されるマーカー遺伝子によってコードされるタンパク質に対する抗体または抗体の断片の使用に言及する。本明細書で用いる場合、「抗体」という用語は、抗体を合成するために用いた抗原(すなわち、上方制御されるマーカー遺伝子の産物)またはそれと非常に類似した抗原のみと相互作用する(すなわち結合する)、特異的な構造を有する免疫グロブリン分子のことを指す。さらに、抗体は、マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質の1つまたは複数と結合する限り、抗体の断片または修飾抗体であってもよい。例えば、抗体断片は、Fab、F(ab')2、Fv、またはH鎖、およびL鎖由来のFv断片を適切なリンカーによって連結した一本鎖Fv(scFv)であってよい(Huston J.S.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85: 5879-83 (1988))。より詳細には、酵素、パパインまたはペプシンなどの酵素で抗体を処理することによって抗体断片を作製することもできる。または、抗体断片をコードする遺伝子を構築して発現ベクターに挿入した上で、適切な宿主細胞において発現させてもよい(例えば、Co M. S.ら、J. Immunol. 152: 2968-2976(1994);Better M.およびHorwitz A. H. Methods Enzymol. 178: 476-496(1989);Pluckthun A.およびSkerra A. Methods Enzymol. 178: 497-515(1989);Lamoyi E. Methods Enzymol. 121: 652-663(1986);Rousseaux J.ら、Methods Enzymol. 121: 663-669(1986);Bird R. E.およびWalker B. W. Trends Biotechnol. 9: 132-137(1991)を参照)。
抗体を、ポリエチレングリコール(PEG)種々の分子との結合によって修飾することもできる。本発明は、このような修飾抗体を提供する。修飾抗体は抗体を化学的に修飾することによって入手しうる。これらの修飾方法は当技術分野で慣例的である。
または、抗体を、非ヒト抗体由来の可変領域とヒト抗体由来の定常領域とのキメラ抗体として、または、非ヒト抗体由来の相補性決定領域(CDR)、ヒト抗体由来のフレームワーク領域(FR)、および定常領域を含むヒト化抗体として入手することもできる。このような抗体は、公知の技術を用いて調製可能である。
本発明は予防ワクチンを提供する。本発明の文脈において、「ワクチン」という用語は、結腸直腸腫瘍に対する免疫を誘導する抗原製剤のことを指す。免疫は一過性でもよく、1つまたは複数の追加免疫投与が必要な場合もある。
ワクチン中の抗原には、表1に示されたもののような1つもしくは複数の上方制御されるマーカー遺伝子に対応するDNA、またはこのようなマーカー遺伝子によってコードされるタンパク質もしくはその抗原性断片が含まれうる。本発明の文脈において、「抗原断片」という用語は、体内に導入された場合に当該マーカー遺伝子に対して特異的な抗体の産生を促す、分子の一部分のことを指す。
実施例
本発明の以前には、結腸直腸腫瘍に関与する遺伝子に関する知見は断片的であった。本明細書では、腺腫から癌への進行に際して発現の変化を受ける遺伝子に関する情報を得るために、結腸前悪性病変および悪性病変の発現プロフィールを検討して比較した。本明細書に記載したデータは、多段階発癌の過程で発現プロフィールがどのように変化するかに関して、ゲノム全域にわたる情報を提供する。
本発明の以前には、結腸直腸腫瘍に関与する遺伝子に関する知見は断片的であった。本明細書では、腺腫から癌への進行に際して発現の変化を受ける遺伝子に関する情報を得るために、結腸前悪性病変および悪性病変の発現プロフィールを検討して比較した。本明細書に記載したデータは、多段階発癌の過程で発現プロフィールがどのように変化するかに関して、ゲノム全域にわたる情報を提供する。
腺腫から癌に至る経路の基礎をなす機序を解明するために、20例の結腸直腸腫瘍(腺腫9例および分化型腺癌11例)の遺伝子発現プロフィールを、レーザービームを用いた腫瘍組織に対する顕微鏡下微小切除技術と23,040種の遺伝子を提示したcDNAマイクロアレイを組み合わせて分析した。指標遺伝子(腺腫または正常組織と比較して癌における発現が異なる遺伝子)を同定した。詳細には、正常結腸上皮との比較でどちらの種類の腫瘍でも常に発現が上方制御されていた51種の遺伝子、および、常に下方制御されていた376種の遺伝子が同定された。腺腫と癌との間で発現レベルが有意に異なる50種の遺伝子も同定された。20例の腫瘍の発現プロフィールに対する二次元階層的クラスター分析により、癌の群は腺腫群から正しく区別された。識別性のあるこの50種の遺伝子の発現プロフィールに基づき、腺腫を癌から区別するためのスコアリングシステムを構築した。このスコアリングシステムを別の5例の結腸直腸腫瘍の評価に用いたところ、それらの癌の状態が正しく予想され、それは組織学的検査によって別個に判定したものと同じであった。
本発明のスコアリングシステムは、臨床医が結腸直腸腫瘍を診断し、腺腫を癌から識別するのを支援するための客観的な診断情報を提供する。本明細書に報告するデータは、結腸直腸癌の発生に関する理解を深めるため、新規な診断戦略の開発を促すため、ならびに治療薬剤および予防薬の分子標的を同定するために有意義な情報を提供する。
50種の遺伝子の発現プロフィールを用いた「分子診断スコア」(MDS)システムの結果から、結腸直腸腫瘍の組織学的特徴の予測へのその実施可能性が裏づけられた。良性病変と悪性病変とを識別するためのより厳密なカットオフ値を明確にするには、極めて早期の結腸癌の遺伝子発現プロフィールの分析が用いられる。しかし、腺腫および癌の組織学的診断は非常に難しい場合がある上に、病理学者によって差がある場合もあるため(Schlemperら、2000)、このMDSシステムは、ゲノム全域データベースに基づく各腫瘍の客観的な定量化を可能にする点から、究極的には良性腫瘍を悪性腫瘍から識別するために有用と思われる。
非癌組織、前癌組織、および癌性組織からの組織試料の入手および分析は以下の通りに行った。
組織試料およびレーザービームを用いた顕微鏡下微小切除(LCM)
結腸の11例の分化型腺癌、9例の腺腫、およびそれらに対応する正常粘膜を、結腸切除を受けた16例の患者から採取した。4症例については、腺腫および癌の両方が同じ患者に生じていた。対になった20例の試料のすべてをTissueTek OCT培地(Miles社)中に包埋し、-80℃にて凍結した。固定、染色、およびLCMの処置は、公知の方法、例えばKitaharaら、2001, Cancer Res., 61, 3544-3549の方法を用いて行った。約10,000個の細胞を、各組織試料からLCMによって選択的に回収した。
結腸の11例の分化型腺癌、9例の腺腫、およびそれらに対応する正常粘膜を、結腸切除を受けた16例の患者から採取した。4症例については、腺腫および癌の両方が同じ患者に生じていた。対になった20例の試料のすべてをTissueTek OCT培地(Miles社)中に包埋し、-80℃にて凍結した。固定、染色、およびLCMの処置は、公知の方法、例えばKitaharaら、2001, Cancer Res., 61, 3544-3549の方法を用いて行った。約10,000個の細胞を、各組織試料からLCMによって選択的に回収した。
RNA抽出、T7に基づくRNA増幅、およびcDNAマイクロアレイ
全RNAの抽出およびT7に基づいたRNA増幅は標準的な方法によって行った。2回の増幅によって各試料から15〜80μgの増幅RNA(aRNA)が得られた。各々の腫瘍および正常上皮からのaRNAの2.5μgのアリコートを、それぞれCy3-dCTPおよびCy5-dCTP(Amersham Pharmacia Biotech)で標識した。実験的な変動を少なくするために、それぞれの分析について、23,040種のcDNAを含むcDNAマイクロアレイスライドを2セット分用いた。cDNAマイクロアレイスライドの作製、ハイブリダイゼーション、洗浄、およびシグナル検出は、当技術分野で公知の方法を用いて行った。検討に用いた23,040種の遺伝子はUniGeneデータベース(米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information))から選択し、それぞれのcDNA断片を、各遺伝子に対する遺伝子特異的プライマーを用い、種々のヒトポリA RNA(Clontech)をテンプレートとして用いるRT-PCRによって増幅した。
全RNAの抽出およびT7に基づいたRNA増幅は標準的な方法によって行った。2回の増幅によって各試料から15〜80μgの増幅RNA(aRNA)が得られた。各々の腫瘍および正常上皮からのaRNAの2.5μgのアリコートを、それぞれCy3-dCTPおよびCy5-dCTP(Amersham Pharmacia Biotech)で標識した。実験的な変動を少なくするために、それぞれの分析について、23,040種のcDNAを含むcDNAマイクロアレイスライドを2セット分用いた。cDNAマイクロアレイスライドの作製、ハイブリダイゼーション、洗浄、およびシグナル検出は、当技術分野で公知の方法を用いて行った。検討に用いた23,040種の遺伝子はUniGeneデータベース(米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information))から選択し、それぞれのcDNA断片を、各遺伝子に対する遺伝子特異的プライマーを用い、種々のヒトポリA RNA(Clontech)をテンプレートとして用いるRT-PCRによって増幅した。
データ解析
Cy3およびCy5の各シグナル強度を、ArrayVisionソフトウエア(Imaging Research社, St. Catherines, Ont. Canada)を用いる光度測定によって評価し、Kitaharaら、2001, Cancer Res., 61, 3544-3549により記載された52種のハウスキーピング遺伝子の発現に従って標準化した。標準化の後に、各遺伝子をCy3/Cy5比の平均値(r)に基づいて以下の4つのカテゴリーのうちの1つに分類した:上方制御される(r>2)、下方制御される(r<0.5)、変化なし(0.5<r<2)、および低値(発現レベルが検出のカットオフレベル未満)。以後の分析にはExcel、Cluster、およびTreeViewソフトウエアパッケージを用いた。
Cy3およびCy5の各シグナル強度を、ArrayVisionソフトウエア(Imaging Research社, St. Catherines, Ont. Canada)を用いる光度測定によって評価し、Kitaharaら、2001, Cancer Res., 61, 3544-3549により記載された52種のハウスキーピング遺伝子の発現に従って標準化した。標準化の後に、各遺伝子をCy3/Cy5比の平均値(r)に基づいて以下の4つのカテゴリーのうちの1つに分類した:上方制御される(r>2)、下方制御される(r<0.5)、変化なし(0.5<r<2)、および低値(発現レベルが検出のカットオフレベル未満)。以後の分析にはExcel、Cluster、およびTreeViewソフトウエアパッケージを用いた。
データの検証
階層的クラスター化の再現性を評価するために、種々の遺伝子セットを用いることにより、クラスター化の結果を試料軸に沿って比較した。詳細には、23,040種の標的配列を5枚のスライド上にスポット化し、20例の試料に対するクラスター分析を5つのセットすべてについて行った。1例の試料が種々の遺伝子セットにおいて常に同じクラスターに分類される場合には、そのデータは再現性があると定義される。再現性はCy3またはCy5の蛍光単位が100,000を上回る場合には80%を上回った。各遺伝子の平均Cy3蛍光強度および平均Cy5蛍光強度を20例のすべてについて算出した。この両方の強度が1×105単位というカットオフ値を下回った場合は、その遺伝子を以降の分析から除外した。このようにして、合計2,425種の遺伝子を選択した。
階層的クラスター化の再現性を評価するために、種々の遺伝子セットを用いることにより、クラスター化の結果を試料軸に沿って比較した。詳細には、23,040種の標的配列を5枚のスライド上にスポット化し、20例の試料に対するクラスター分析を5つのセットすべてについて行った。1例の試料が種々の遺伝子セットにおいて常に同じクラスターに分類される場合には、そのデータは再現性があると定義される。再現性はCy3またはCy5の蛍光単位が100,000を上回る場合には80%を上回った。各遺伝子の平均Cy3蛍光強度および平均Cy5蛍光強度を20例のすべてについて算出した。この両方の強度が1×105単位というカットオフ値を下回った場合は、その遺伝子を以降の分析から除外した。このようにして、合計2,425種の遺伝子を選択した。
その結果、カットオフ値が16例(80%)を上回る例で得られ、かつ観測値の標準偏差が0.5を上回るという基準に基づいて、771種の遺伝子が選択された。
「分子診断スコア」(MDS)の算出
それぞれの腫瘍のMDSは、腺腫と癌との間で差異を伴って発現されるものとして選択された50種の遺伝子の発現プロフィールの加重対数比の合計:MDSi =ΣSk log2(rik)として定義し、ここでrikは患者iの遺伝子kの発現比(Cy3/Cy5)、Skは遺伝子kの符号であり、これは以下のようにして決定した。第1の計算では、11例の腺癌および9例の腺腫における遺伝子kに関する平均対数比log2(rik)を決定した(ave癌=Σlog2(rik)/n癌およびave腺腫=Σlog2(rik)/n腺腫)。続いて、符号(+/-)を各遺伝子に対して決定した:ave癌>ave腺腫であればSk=+1、ave癌<ave腺腫であればSk =-1(図4A)。
それぞれの腫瘍のMDSは、腺腫と癌との間で差異を伴って発現されるものとして選択された50種の遺伝子の発現プロフィールの加重対数比の合計:MDSi =ΣSk log2(rik)として定義し、ここでrikは患者iの遺伝子kの発現比(Cy3/Cy5)、Skは遺伝子kの符号であり、これは以下のようにして決定した。第1の計算では、11例の腺癌および9例の腺腫における遺伝子kに関する平均対数比log2(rik)を決定した(ave癌=Σlog2(rik)/n癌およびave腺腫=Σlog2(rik)/n腺腫)。続いて、符号(+/-)を各遺伝子に対して決定した:ave癌>ave腺腫であればSk=+1、ave癌<ave腺腫であればSk =-1(図4A)。
リアルタイム定量的RT-PCR
マイクロアレイのデータを検証するために6つの遺伝子を選択し、7700 Sequence Detector(Perkin-Elmer)を用いるリアルタイム定量的RT-PCR(TaqMan PCR、Perkin-Elmer)により、その発現レベルをさらに13例の試料(腺腫7例および癌6例)で検討した。増幅したRNAからそれぞれ一本鎖cDNAを逆転写し、後にPCR増幅を行うために希釈した。リンゴ酸デヒドロゲナーゼ1(MDH1)を相対的な定量化対照として用いたが、これは100回のハイブリダイゼーションでCy3/Cy5の変動が最も少なかったためである。それぞれのPCRは25μlの容量で行い、AmpliTaq Gold(商標)の活性化を95℃で10分間行った後に95℃ 15秒間および60℃ 1分間を40サイクル行うことによって増幅した。定量的RT-PCRのために用いた遺伝子ならびにプライマーおよびプローブの配列を以下の表Aに列挙した。
マイクロアレイのデータを検証するために6つの遺伝子を選択し、7700 Sequence Detector(Perkin-Elmer)を用いるリアルタイム定量的RT-PCR(TaqMan PCR、Perkin-Elmer)により、その発現レベルをさらに13例の試料(腺腫7例および癌6例)で検討した。増幅したRNAからそれぞれ一本鎖cDNAを逆転写し、後にPCR増幅を行うために希釈した。リンゴ酸デヒドロゲナーゼ1(MDH1)を相対的な定量化対照として用いたが、これは100回のハイブリダイゼーションでCy3/Cy5の変動が最も少なかったためである。それぞれのPCRは25μlの容量で行い、AmpliTaq Gold(商標)の活性化を95℃で10分間行った後に95℃ 15秒間および60℃ 1分間を40サイクル行うことによって増幅した。定量的RT-PCRのために用いた遺伝子ならびにプライマーおよびプローブの配列を以下の表Aに列挙した。
統計学的手法
癌と腺腫との間の遺伝子発現の統計学的差異の評価は、Mann-Whitney U検定によって行った。P値≦0.05を統計学的に有意とみなした。統計分析はStat View ソフトウエアを用いて行った。
癌と腺腫との間の遺伝子発現の統計学的差異の評価は、Mann-Whitney U検定によって行った。P値≦0.05を統計学的に有意とみなした。統計分析はStat View ソフトウエアを用いて行った。
二次元階層的クラスター化
試料と遺伝子との間の相関を分析するために、20例の腫瘍から入手した遺伝子発現データに対して、二次元階層的クラスター化アルゴリズム(http://www.microarrays.org/software)を適用した。平均Cy3蛍光強度および平均Cy5蛍光強度が1×105単位というカットオフ値を下回った場合は、その遺伝子を以降の分析から除外した。この結果、そのような値が16例(80%)を上回る例で得られた遺伝子セットが選択された。次に、観測値の標準偏差が0.5未満である遺伝子を除外した。合計771種の遺伝子が、以降のクラスター分析の対象としてこの選択基準を通過した。
試料と遺伝子との間の相関を分析するために、20例の腫瘍から入手した遺伝子発現データに対して、二次元階層的クラスター化アルゴリズム(http://www.microarrays.org/software)を適用した。平均Cy3蛍光強度および平均Cy5蛍光強度が1×105単位というカットオフ値を下回った場合は、その遺伝子を以降の分析から除外した。この結果、そのような値が16例(80%)を上回る例で得られた遺伝子セットが選択された。次に、観測値の標準偏差が0.5未満である遺伝子を除外した。合計771種の遺伝子が、以降のクラスター分析の対象としてこの選択基準を通過した。
試料軸において、20例の試料は発現プロフィールに基づいて2つの大きな群に分類された;その一方の群に属した9例の腫瘍はいずれも腺腫であり、もう一方の主な群は11例の癌からなった(図1AおよびB)。この結果は、オリゴヌクレオチドアレイを用いて4例の結腸腺腫を18例の腺癌から分類した最近の報告と一致する(Nottermanら、2001)。マイクロアレイで得られた発現プロフィールにより、腺腫および腺癌が特有の発現プロフィールを有することが明らかに示され、結腸腫瘍の分子的分類が実施可能であることが示された。
上方制御される遺伝子
多くの結腸癌は腺腫から生じるため、結腸直腸腫瘍形成の初期に関与する遺伝子はどちらの種類の腫瘍でも(正常組織と比較して)脱制御される。このような遺伝子を同定するために、2,425種の遺伝子のデータセットから、以下の基準に従って遺伝子を選択した:遺伝子のCy3/Cy5比が50%を上回る腫瘍において>2であればそれは常に上方制御される遺伝子と定義され、50%を上回る腫瘍において比が<0.5であればそれは常に下方制御されるものと定義された。
多くの結腸癌は腺腫から生じるため、結腸直腸腫瘍形成の初期に関与する遺伝子はどちらの種類の腫瘍でも(正常組織と比較して)脱制御される。このような遺伝子を同定するために、2,425種の遺伝子のデータセットから、以下の基準に従って遺伝子を選択した:遺伝子のCy3/Cy5比が50%を上回る腫瘍において>2であればそれは常に上方制御される遺伝子と定義され、50%を上回る腫瘍において比が<0.5であればそれは常に下方制御されるものと定義された。
これらの基準を用いたところ、51種の遺伝子が、どちらの腫瘍表現型においても、対応する正常上皮組織と比較して高頻度に共通して上方制御されるものとして同定された(図2)。共通して上方制御されるこれらの遺伝子を、以下の表1に示した。
この51種の遺伝子のうち、19種はRNA/タンパク質プロセシングにかかわっていた;例えばリボソーム、翻訳伸長/開始因子、およびシャペロニンであった。検出されたその他の上方制御される遺伝子には、癌遺伝子(HMGIY、DEK、およびNPM1)、細胞接着/細胞骨格分子をコードする遺伝子(TUBB、K-ALPHA、TGFBI、CDH3、およびPAP)、増殖制御(IMPDH2およびODC1)、シグナル伝達(BRF1、PLAB、LAP18、CD81、およびMACMARCKS)、および細胞周期制御(RANおよびUBE2I)にかかわる遺伝子;転写因子(HMG1およびHMG2)、腫瘍関連分子(PPP2R1B、LDHB、およびSLC29A1)などが含まれていた。
下方制御される遺伝子
次に、376種の遺伝子(127種の発現配列タグを含む)が、上記の基準に基づき、いずれの種類の腫瘍でも常に下方制御されるものとして同定された。この群には、プログラム細胞死(CASP8、CASP9、CFLAR、DFFA、PAWR、TNF、TNFRSF10C、およびTNFRSF12)、免疫(IL1RL2、IL17R、およびIL3RAなどのケモカイン受容体)、増殖抑制(サプレッシン、DCN、MADH2、およびSST)、および腫瘍抑制(TP53)に関係する遺伝子が含まれていた。その他の下方制御される遺伝子には、細胞接着/細胞骨格分子(例えば、ADAM8、AVIL、CDH17、CEACAM1、CTNNA2、ICAPA、KRT9、およびARHGAP5)、種々の代謝因子(例えば、BPHL、CA2、CA5A、HSD11B2、およびECHS1)、イオン輸送体(SLC15A2、SLC22A1、SLC4A3、およびSLC5A1)、天然抗菌分子(DEFA6)などをコードするものがあった。代謝酵素およびイオン輸送メディエーターは、解毒作用(CA2、CA5A、およびBPHL)、および酸塩基平衡といった非常に重要な細胞機能を維持する上で鍵になる因子である。これらの遺伝子の下方制御は、腫瘍では細胞ホメオスタシスが破壊されていることを意味する(Lawrenceら、2001)。
次に、376種の遺伝子(127種の発現配列タグを含む)が、上記の基準に基づき、いずれの種類の腫瘍でも常に下方制御されるものとして同定された。この群には、プログラム細胞死(CASP8、CASP9、CFLAR、DFFA、PAWR、TNF、TNFRSF10C、およびTNFRSF12)、免疫(IL1RL2、IL17R、およびIL3RAなどのケモカイン受容体)、増殖抑制(サプレッシン、DCN、MADH2、およびSST)、および腫瘍抑制(TP53)に関係する遺伝子が含まれていた。その他の下方制御される遺伝子には、細胞接着/細胞骨格分子(例えば、ADAM8、AVIL、CDH17、CEACAM1、CTNNA2、ICAPA、KRT9、およびARHGAP5)、種々の代謝因子(例えば、BPHL、CA2、CA5A、HSD11B2、およびECHS1)、イオン輸送体(SLC15A2、SLC22A1、SLC4A3、およびSLC5A1)、天然抗菌分子(DEFA6)などをコードするものがあった。代謝酵素およびイオン輸送メディエーターは、解毒作用(CA2、CA5A、およびBPHL)、および酸塩基平衡といった非常に重要な細胞機能を維持する上で鍵になる因子である。これらの遺伝子の下方制御は、腫瘍では細胞ホメオスタシスが破壊されていることを意味する(Lawrenceら、2001)。
結腸直腸腫瘍において共通して下方制御される遺伝子の一覧を以下の表2に示した。
本発明者らがクラスターAおよびBの遺伝子に対象を絞ったところ(図3)、生体エネルギー系を調節するものがいくつか同定された。クラスターAのうち、PGK1およびLDHAは低酸素によって誘導されうる(Semenzaら、1994)。プロテアソーム(PSMD7およびPSMB8)はグルコース枯渇および低酸素が原因となって癌細胞に蓄積することが報告されている(Ogisoら、1999)。VDAC3は電位依存性陰イオン選択的チャンネルタンパク質の一つであり、ミトコンドリアのホメオスタシス調節に重要な役割を果たす(Vander Heidenら、2000)。GSSは酸化ストレスの調節因子である(UhligおよびWendel、1992)。クラスターBの遺伝子のいくつかは、低酸素状態への適応(GPX2、PPIA、GAPD、ANXA2、ALDH1、およびADAR)(Chuら、1993;ZhongおよびSimous、1999;Hoerenら、1998;Denkoら、2000)、エネルギー消費(ATP6A1、ATP1B1、およびATP5A1)(Wodopiaら、2000)、または糖質代謝(GMDS)に作用することが報告されているタンパク質をコードする。
定量的RT-PCRによるマイクロアレイのデータの検証
マイクロアレイのデータの信頼性を検討する目的で、6つの遺伝子を検証のために選択した。TGFBIおよびLAP18は腺腫および癌の両方で上方制御されており、残りのもの(HECH、NME1、TCEA1、およびPSMA7)は腺腫と癌との間で発現に差があった。それらの発現を、定量的RT-PCR(QRT-PCR)により、対になった別の13例のaRNA試料(腺腫7例および癌6例)で検討した。その結果、マイクロアレイのデータが6つの遺伝子すべてで裏づけられた(図4AおよびB)。これらのデータにより、結腸直腸癌の発生および進行に際して共通して上方制御される、または差異を伴って発現される遺伝子を同定するための戦略の信頼性および根拠が立証された。
マイクロアレイのデータの信頼性を検討する目的で、6つの遺伝子を検証のために選択した。TGFBIおよびLAP18は腺腫および癌の両方で上方制御されており、残りのもの(HECH、NME1、TCEA1、およびPSMA7)は腺腫と癌との間で発現に差があった。それらの発現を、定量的RT-PCR(QRT-PCR)により、対になった別の13例のaRNA試料(腺腫7例および癌6例)で検討した。その結果、マイクロアレイのデータが6つの遺伝子すべてで裏づけられた(図4AおよびB)。これらのデータにより、結腸直腸癌の発生および進行に際して共通して上方制御される、または差異を伴って発現される遺伝子を同定するための戦略の信頼性および根拠が立証された。
結腸癌における発現解析データの比較
このデータを、以前に報告された2種類のデータセットと比較した。まず、2例の結腸癌組織および2例の非癌結腸粘膜における遺伝子発現プロフィールの情報を、米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SAGE/)により提供されている遺伝子発現連続解析法(Serial Analysis of Gene Expression)によって解析した。癌と非癌組織との間で最も差異を伴って発現された100種の遺伝子タグのうち、50種のタグはUniGeneデータベース中の関連性のない特定の遺伝子に対応した。これらの50種のタグに対応する50種の遺伝子のうち、癌において上方制御される遺伝子4種および下方制御される遺伝子24種をマイクロアレイに含めた。上方制御される4つの遺伝子の1つであるTGFBI(トランスフォーミング増殖因子、β誘導型、68kD)も発現の亢進を示した(図2)。下方制御される24種の遺伝子のうち18種はTSPAN-1(テトラスパン(tetraspan)1)、GPA33(糖タンパク質A33)、CA1(脱炭酸酵素1)、MT2A(メタロチオネイン2A)、CEACAM1(癌胎児性抗原関連細胞接着分子1)、YF13H12(甲状腺で発現されるタンパク質)、MUC13(ムチン13)、HLAB(主要組織適合性複合体クラス1B)、DUSP1(二重特異性ホスファターゼ1)、GSN(ゲルゾリン)、LGALS4(ガレクチン4)、CKB(クレアチニンキナーゼ、脳型)、KRT19(ケラチン19)、RNASE1(RNアーゼAファミリー1)、IFI27(インターフェロン、α-誘導性タンパク質27)、PP1201、EPS8R2(FLJ21935)、およびEST(Hs.107139)を含み、検討した例の半数以上で発現低下を示した。
このデータを、以前に報告された2種類のデータセットと比較した。まず、2例の結腸癌組織および2例の非癌結腸粘膜における遺伝子発現プロフィールの情報を、米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SAGE/)により提供されている遺伝子発現連続解析法(Serial Analysis of Gene Expression)によって解析した。癌と非癌組織との間で最も差異を伴って発現された100種の遺伝子タグのうち、50種のタグはUniGeneデータベース中の関連性のない特定の遺伝子に対応した。これらの50種のタグに対応する50種の遺伝子のうち、癌において上方制御される遺伝子4種および下方制御される遺伝子24種をマイクロアレイに含めた。上方制御される4つの遺伝子の1つであるTGFBI(トランスフォーミング増殖因子、β誘導型、68kD)も発現の亢進を示した(図2)。下方制御される24種の遺伝子のうち18種はTSPAN-1(テトラスパン(tetraspan)1)、GPA33(糖タンパク質A33)、CA1(脱炭酸酵素1)、MT2A(メタロチオネイン2A)、CEACAM1(癌胎児性抗原関連細胞接着分子1)、YF13H12(甲状腺で発現されるタンパク質)、MUC13(ムチン13)、HLAB(主要組織適合性複合体クラス1B)、DUSP1(二重特異性ホスファターゼ1)、GSN(ゲルゾリン)、LGALS4(ガレクチン4)、CKB(クレアチニンキナーゼ、脳型)、KRT19(ケラチン19)、RNASE1(RNアーゼAファミリー1)、IFI27(インターフェロン、α-誘導性タンパク質27)、PP1201、EPS8R2(FLJ21935)、およびEST(Hs.107139)を含み、検討した例の半数以上で発現低下を示した。
次に、対応づけられた非癌組織と比較して結腸癌組織で高度に発現される遺伝子(群)を、Nottermanらによって報告されているAffymetrix社製のHuman 6500 GeneChip Setを用いた結果と比較した。その結果、癌において高頻度に上方制御される遺伝子であったのは、2つの遺伝子、GTF3A(基本転写因子IIIA)およびAHCY(アデノシルホモシステインヒドロラーゼ)のみであった(図5A)。しかし、その癌組織で高度に発現され、アレイスライド上にスポット化された残りの10種の遺伝子のうち、8つの遺伝子、すなわちKIAA0101、PYCR1(ピロリン5-カルボン酸レダクターゼ)、HSPE1(熱ショック10kDタンパク質1)、CDC25B(細胞***周期25B)、CSE1L(染色体分離1様)、CKS2(CDC28プロテインキナーゼ2)、MMP1(メタロプロテイナーゼ1)、およびCLNS1A(塩素チャンネル、ヌクレオチド感受性、1A)も癌組織の半数以上で発現の増強を示した。
「分子診断スコア」(MDS)システムの開発
腺腫と癌との間で差異を伴って発現される遺伝子のうち、2種類の腫瘍の間で発現に統計学的な有意差が認められた50種の遺伝子を同定した(P≦0.01、Mann-Whitney U検定;図5A)。表3は、正常組織と比較して結腸直腸腺腫において上方制御される遺伝子の一覧を示しており、見てとれるように、癌と正常組織との間には有意差は認められなかった。表4は、正常組織と比較して結腸直腸癌において上方制御される遺伝子の一覧を示しており、見てとれるように、腺腫と正常組織との間には有意差は認められなかった。
腺腫と癌との間で差異を伴って発現される遺伝子のうち、2種類の腫瘍の間で発現に統計学的な有意差が認められた50種の遺伝子を同定した(P≦0.01、Mann-Whitney U検定;図5A)。表3は、正常組織と比較して結腸直腸腺腫において上方制御される遺伝子の一覧を示しており、見てとれるように、癌と正常組織との間には有意差は認められなかった。表4は、正常組織と比較して結腸直腸癌において上方制御される遺伝子の一覧を示しており、見てとれるように、腺腫と正常組織との間には有意差は認められなかった。
これらの50種の遺伝子の発現プロフィールに基づき、その情報を臨床診断に応用するための「分子診断スコア」(MDS)システムを開発した。11例の癌の平均スコアは77.4+/-11.6であり、一方、9例の腺腫については-5.9+/-14.4であった(平均±SD、P<0.0001、Mann-Whitney U検定;図5B)。腺癌を腺腫と識別するためのカットオフ値は、この2群の平均値の平均である35に定めた。
MDSシステムの信頼性を確かめるために別の5例の腫瘍を分析した。検討した5例の試料のうち、35を上回るスコアを示した3例(73.5、63.2、および64.6)はいずれも組織学的検査によって癌であることが判明した。スコアが35未満であった2例の試料(それぞれ10.3および-1.4)はどちらも腺腫であった(図5B)。14例の癌に関するMDSの分布は57.7〜94.1の範囲であり、-33.4〜16.7の範囲であった11例の腺腫に関する値とは完全に区別されたため、MDSシステムの感度および特異性はこのカットオフ値によれば100%であった。さらに、25例の試料すべての階層的クラスター分析で、選択した50種の遺伝子の発現プロフィールに基づき、腺腫は癌から正しく区別された(図5A)。
ゲノム全域にわたる発現プロファイリングによる結腸癌の特徴付け
患者由来の組織試料のゲノム全域にわたる発現プロフィールの分析により、結腸の腺腫および腺癌を規定する特徴を決定した。腺腫および癌の双方において共通して上方制御される51種の遺伝子には、RNA/タンパク質プロセシング;例えば、リボソーム、翻訳伸長/開始因子、およびシャペロニンに関与する19種が含まれていた。リボソームとは、タンパク質を、それをコードするmRNAの青写真に従って生成する分子機構である。リボソームとmRNA、tRNA、および多数の非リボソームタンパク質補助因子、例えば翻訳開始/伸長因子との相互作用により、ポリペプチド鎖の合成開始、伸長、および合成終了が確実に行われる。翻訳の後に、ポリペプチドはリボソームの外に出て小胞体の中に入り、場合によってはそこでシャペロニンがポリペプチドのリモデリングを行う。本データは、タンパク質合成の促進が腺腫および癌に共通する特徴と思われることを示しており、これはどちらの種類の腫瘍でも増殖が過度であることを反映している。さらに、本データは、癌遺伝子の活性化、異常なシグナル伝達、細胞周期の調節不全、増殖制御障害、および細胞骨格のリモデリングが腫瘍細胞の一般的な特徴である可能性も示唆している。これらの遺伝子(および/またはこの遺伝子によってコードされる分子)は、結腸直腸癌の予防、診断、および治療のための治療標的である。
患者由来の組織試料のゲノム全域にわたる発現プロフィールの分析により、結腸の腺腫および腺癌を規定する特徴を決定した。腺腫および癌の双方において共通して上方制御される51種の遺伝子には、RNA/タンパク質プロセシング;例えば、リボソーム、翻訳伸長/開始因子、およびシャペロニンに関与する19種が含まれていた。リボソームとは、タンパク質を、それをコードするmRNAの青写真に従って生成する分子機構である。リボソームとmRNA、tRNA、および多数の非リボソームタンパク質補助因子、例えば翻訳開始/伸長因子との相互作用により、ポリペプチド鎖の合成開始、伸長、および合成終了が確実に行われる。翻訳の後に、ポリペプチドはリボソームの外に出て小胞体の中に入り、場合によってはそこでシャペロニンがポリペプチドのリモデリングを行う。本データは、タンパク質合成の促進が腺腫および癌に共通する特徴と思われることを示しており、これはどちらの種類の腫瘍でも増殖が過度であることを反映している。さらに、本データは、癌遺伝子の活性化、異常なシグナル伝達、細胞周期の調節不全、増殖制御障害、および細胞骨格のリモデリングが腫瘍細胞の一般的な特徴である可能性も示唆している。これらの遺伝子(および/またはこの遺伝子によってコードされる分子)は、結腸直腸癌の予防、診断、および治療のための治療標的である。
本明細書で明確にされた下方制御される遺伝子には細胞死にかかわる遺伝子が数多く含まれており、このことはプログラム細胞死経路の広範囲にわたる抑制が結腸直腸腫瘍の形成のために極めて重要な段階であることを示す。さらに、共通して下方制御される遺伝子の一覧からは、増殖抑制シグナルおよび/または腫瘍抑制機能の低下によって腫瘍性細胞に連続的な増殖能がもたらされる可能性が示唆される。このクラスターに分類される遺伝子の発現を増強させること(例えば、内因性遺伝子の発現を促すこと、またはインビボもしくはエクスビボ遺伝子治療を用いて遺伝子のコピーを追加導入することにより)は、これらの癌を発症するリスクのある患者における癌の発生の予防、または癌に罹患した患者の治療のために用いてもよい。
癌を腺腫から識別する遺伝子が数多く同定され、それらは低酸素と関係することが明らかになった。癌細胞は腺腫細胞よりも、糖質/酸素ホメオスタシスが損なわれる栄養不足および低酸素の状態にさらされる可能性が高い。本データは、癌細胞が、低栄養状態および低酸素状態に反応してその発現プロフィールを変化させることを示している。低酸素状態はさまざまな腫瘍における予後評価指標であるため、このカテゴリーにある遺伝子のターゲティングにより、悪性転換時の微小環境変化を同定すること、および結腸癌の予後予測因子(predictor)を明確にすることが可能になる。
上記の諸遺伝子の性質を考察することにより、本発明者らは、癌遺伝子の活性化、増殖シグナルの増強、抗増殖シグナルの減衰、自己破壊機構の回避、細胞構造の変化、および微小環境変化への適応が、正常結腸粘膜細胞からの腺癌の発生および進行にとって非常に重要であるとの結論に至った。これらの6つの特徴からは、腺腫および癌細胞はいくつか共通の遺伝的特徴を有するもののそれぞれ特有の発現プロフィールを有すること、および本明細書に記載の方法を用いて同定された遺伝子は悪性転換を阻止するための標的となることが示唆される。
産業上の利用可能性
レーザービームを用いた顕微鏡下切除とゲノム全域にわたるcDNAマイクロアレイとの組み合わせによって得られた本明細書に記載した結腸直腸腺腫および結腸直腸癌の遺伝子発現解析により、癌の予防および治療の標的となる特定の遺伝子が同定された。差異を伴って発現されるこれらの遺伝子のサブセットの発現に基づき、本発明は、結腸直腸腫瘍を同定するための分子診断スコアリング(MDS)システムを提供する。本発明のMDSシステムは、この種の腫瘍の高感度で特異的かつ正確な診断を容易にする、高感度で信頼性がありかつ効果的なツールである。本システムは腺腫を癌から識別する際に特に用いることができる。
レーザービームを用いた顕微鏡下切除とゲノム全域にわたるcDNAマイクロアレイとの組み合わせによって得られた本明細書に記載した結腸直腸腺腫および結腸直腸癌の遺伝子発現解析により、癌の予防および治療の標的となる特定の遺伝子が同定された。差異を伴って発現されるこれらの遺伝子のサブセットの発現に基づき、本発明は、結腸直腸腫瘍を同定するための分子診断スコアリング(MDS)システムを提供する。本発明のMDSシステムは、この種の腫瘍の高感度で特異的かつ正確な診断を容易にする、高感度で信頼性がありかつ効果的なツールである。本システムは腺腫を癌から識別する際に特に用いることができる。
本明細書に記載した方法は、結腸直腸腫瘍の予防、診断、および治療のためのさらなる分子標的の同定にも有用である。本明細書で報告したデータは、結腸直腸癌発癌の包括的理解を深め、新たな診断戦略の開発を促すとともに、治療薬剤および予防薬の分子標的の同定のための手がかりを提供するものである。このような情報は、結腸直腸腫瘍の形成、特に腺腫-癌進行に関する理解をさらに深めるのに役立つとともに、結腸直腸癌の診断、治療、さらに最終的にはその予防のための新たな戦略を開発するための指標を提供する。
本明細書に引用したすべての特許、特許出願、および刊行物は、参照としてその全体が本明細書に組み入れられる。さらに、本発明を詳細にかつその特定の態様を参照しながら説明してきたが、発明の真の精神および範囲を逸脱することなく、さまざまな変更および改変を行いうることは当業者には明らかであると考えられる。
Claims (24)
- 以下の段階を含む、被験者における結腸直腸腫瘍の診断方法:
(a)診断すべき被験者から採取した標本における1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを検出する段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子が、表1に列挙された遺伝子および表2に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;ならびに
(b)1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを対照の発現レベルと比較する段階であって、対照と比較して、表1からのマーカー遺伝子の発現レベルが高いこと、または表2からのマーカー遺伝子の発現レベルが低いことが結腸直腸腫瘍を示す段階。 - 1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルが以下の段階によって決定される、請求項1記載の方法:
(i)標本からマーカー遺伝子のaRNAまたはcDNAを合成する段階;
(ii)aRNAまたはcDNAをマーカー遺伝子に対するプローブとハイブリダイズさせる段階;および
(iii)ハイブリダイズしたaRNAまたはcDNAをプローブを用いて検出し、そのmRNAの量を定量する段階。 - プローブがDNAアレイ上に固定されている、請求項2記載の方法。
- 以下の段階を含む、結腸直腸腫瘍の治療または予防において有用な治療薬剤に関してスクリーニングする方法:
(iv)候補化合物を、1つまたは複数のマーカー遺伝子を発現する細胞と接触させる段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子が表1、表2、表3、および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;ならびに
(v)表1、表3、および表4から選択される1つもしくは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを対照と比較して低下させる化合物、または表2から選択される1つもしくは複数のマーカー遺伝子の発現を対照と比較して増強する化合物を選択する段階。 - 以下の段階を含む、結腸直腸腫瘍の治療において有用な治療薬剤に関してスクリーニングする方法:
(vi)候補化合物を被験動物に投与する段階;
(vii)被験動物からの生物試料における1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを測定する段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子が表1、表2、表3、および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;
(viii)表1、表3、および表4から選択される1つもしくは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを対照と比較して低下させる化合物、または表2から選択される1つもしくは複数のマーカー遺伝子の発現を対照と比較して増強する化合物を選択する段階。 - 以下の段階を含む、結腸直腸腫瘍の治療において有用な治療薬剤に関してスクリーニングする方法:
(ix)候補化合物を、1つまたは複数のマーカー遺伝子の転写調節領域およびその転写調節領域の制御下で発現されるレポーター遺伝子を含むベクターが導入された細胞と接触させる段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子が表1、表2、表3、および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;
(x)該レポーター遺伝子の活性を測定する段階;ならびに
(xi)該マーカー遺伝子が表1、表3、および表4から選択される場合は該レポーター遺伝子の発現レベルを対照と比較して低下させる化合物を、または該レポーター遺伝子が表2から選択される場合には該レポーター遺伝子の発現レベルを対照と比較して上昇させる化合物を選択する段階。 - 以下の段階を含む、結腸直腸腫瘍の治療において有用な治療薬剤に関してスクリーニングする方法:
(xii)候補化合物を、マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質と接触させる段階であって、マーカー遺伝子が表1、表2、表3、および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;
(xiii)該タンパク質の活性を測定する段階;ならびに
(xiv)該マーカー遺伝子が表1、表3、および表4から選択される場合は該タンパク質の活性を低下させる化合物を、または該マーカー遺伝子が表2から選択される場合には該タンパク質の活性を増強する化合物を選択する段階。 - マーカー遺伝子が表3に列挙された遺伝子からなる群より選択され、結腸直腸腫瘍が結腸直腸腺腫である、請求項4、5、6、および7のいずれか一項記載の方法。
- マーカー遺伝子が表4に列挙された遺伝子からなる群より選択され、結腸直腸腫瘍が結腸直腸癌である、請求項4、5、6、および7のいずれか一項記載の方法。
- 結腸直腸腫瘍の治療または予防のための方法であって、請求項4、5、6、および7のいずれか一項記載の方法によって入手した化合物を投与する段階を含む方法。
- 被験者における結腸直腸腫瘍の治療または予防のための方法であって、マーカー遺伝子に対するアンチセンス核酸を被験者に投与する段階を含み、ここで該マーカー遺伝子が表1、表3、および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される方法。
- 被験者における結腸直腸腫瘍の治療または予防のための方法であって、マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質と結合する抗体またはその断片を被験者に投与する段階を含み、ここで該マーカー遺伝子が表1、表3、および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される方法。
- マーカー遺伝子が表3に列挙された遺伝子からなる群より選択され、結腸直腸腫瘍が結腸直腸腺腫である、請求項11または12記載の方法。
- マーカー遺伝子が表4に列挙された遺伝子からなる群より選択され、結腸直腸腫瘍が結腸直腸癌である、請求項11または12記載の方法。
- 被験者における結腸直腸腫瘍の治療方法であって、マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質を被験者に投与する段階を含み、ここで該マーカー遺伝子が表2に列挙された遺伝子からなる群より選択される方法。
- 被験者への結腸直腸腫瘍に対するワクチン接種のための方法であって、
(a)表1、表3、および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される1つもしくは複数のマーカー遺伝子に対応するDNA、
(b)マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質、または
(c)マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質の抗原断片、
を、単独でまたは併用して投与する段階を含む方法。 - マーカー遺伝子が表3に列挙された遺伝子からなる群より選択され、結腸直腸腫瘍が結腸直腸腺腫である、請求項16記載の方法。
- マーカー遺伝子が表4に列挙された遺伝子からなる群より選択され、結腸直腸腫瘍が結腸直腸癌である、請求項16記載の方法。
- 結腸直腸腫瘍の治療または予防のためのワクチン組成物であって、
(a)表1、表3、および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される1つまたは複数のマーカー遺伝子に対応するDNA;
(b)マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質;ならびに
(c)マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質の抗原断片
からなる群より選択される1つまたは複数の成分を含むワクチン組成物。 - 以下の段階を含む、腺腫の診断方法:
(a)診断すべき被験者から採取した標本における1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを検出する段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子が表3に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;および
(b)1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを対照の発現レベルと比較する段階であって、表3から選択されるマーカー遺伝子の発現レベルが対照と比較して高いことが腺腫を示す段階。 - 以下の段階を含む、癌の診断方法:
(a)診断すべき被験者から採取した標本における1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを検出する段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子が表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;および
(b)1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを対照の発現レベルと比較する段階であって、表4から選択されるマーカー遺伝子の発現レベルが対照と比較して高いことが癌を示す段階。 - 以下の段階を含む、腺腫および癌の診断方法:
(a)診断すべき被験者から採取した標本における1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを検出する段階であって、1つまたは複数のマーカー遺伝子が表3および表4に列挙された遺伝子からなる群より選択される段階;ならびに
(b)1つまたは複数のマーカー遺伝子の発現レベルを対照の発現レベルと比較する段階であって、表3から選択されるマーカー遺伝子の発現レベルが対照と比較して高いことが腺腫を示し、表4から選択されるマーカー遺伝子の発現レベルが対照と比較して高いことが癌を示す段階。 - マーカー遺伝子が表3および表4に示されたマーカー遺伝子のすべてを含む、請求項22記載の方法。
- 段階(b)がさらに選択した遺伝子全体にわたって発現プロフィールの対数比の関数を決定する段階を含み、この段階が選択した遺伝子全体にわたって発現プロフィールの加重対数比を合計する段階を含み、ここで各遺伝子の加重は、平均対数比が腺腫よりも癌の方が高い場合には第1の値であり、平均対数比が腺腫よりも癌の方が低い場合には第2の値である、請求項23記載の方法。
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