JP2005516613A - バチルス・クラウジにおける分泌、転写、及び胞子形成遺伝子 - Google Patents

バチルス・クラウジにおける分泌、転写、及び胞子形成遺伝子 Download PDF

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Abstract

本発明は、発現タンパク質を生産する能力が遺伝子操作によって改変された細胞に関する。特に、本発明は、外因性の核酸配列を導入されたグラム陽性微生物、及びそのような宿主細胞(例えば、バチルス属のもの)においてタンパク質を生産する方法に関する。より詳細には、本発明は、対象ポリペプチドの発現、生産、及び分泌に関し、及び、発現タンパク質を生産する能力が遺伝子操作によって改変された細胞に関する。特に、本発明は、微生物による所定のポリペプチドの発現の向上を提供する。

Description

本発明は、発現タンパク質を生産する能力が遺伝子操作によって改変された細胞に関する。特に、本発明は、外因性の核酸配列を導入されたグラム陽性微生物、及びそのような宿主細胞(例えば、バチルス属のもの)においてタンパク質を生産する方法に関する。より詳細には、本発明は、対象ポリペプチドの発現、生産、及び分泌に関し、及び、発現タンパク質を生産する能力が遺伝子操作によって改変された細胞に関する。特に、本発明は、微生物による所定のポリペプチドの発現の向上を提供する。
バチルス属などのグラム陽性微生物は、発酵生成物を培養液中に分泌する能力を有すること等の理由により、大規模の工業的発酵において用いられてきた。分泌されたタンパク質は、細胞膜及び細胞壁を横切って輸送され、最終的に、外部培養液に放出される。細胞周辺腔又は培養液へのポリペプチドの分泌は、工業的発酵において十分に考慮する必要がある種々の因子に影響される。
異種ポリペプチドの分泌は、工業分野において広く用いられている技術である。典型的には、目的の異種ポリペプチドをコード化する核酸を用いて細胞を形質転換し、それを発現させることにより、所望のポリペプチドが大量に生産される。当該技術を用いて、天然に生産される量よりも膨大な量のペプチドを生産することができる。これらの発現ポリペプチドは多くの工業的用途を有し、それらには、例えば、治療的及び農業的用途、さらに、食品、化粧品、洗浄用組成物、動物飼料などにおける用途が存在する。従って、ポリペプチドの発現を増大させることは、多くの分野において重要である。
本発明は、発現タンパク質を生産する能力が遺伝子操作によって改変された細胞に関する。特に、本発明は、外因性の核酸配列を導入されたグラム陽性微生物、及びそのような宿主細胞(例えば、バチルス属のもの)においてタンパク質を生産する方法に関する。より詳細には、本発明は、対象ポリペプチドの発現、生産、及び分泌に関し、及び、発現タンパク質を生産する能力が遺伝子操作によって改変された細胞に関する。特に、本発明は、微生物による所定のポリペプチドの発現の向上を提供する。
特定の実施態様では、本発明は、グラム陽性宿主細胞におけるペプチドの分泌に関与するタンパク質をコード化する核酸配列を提供し、さらには細胞によるタンパク質の分泌を増大させる方法を提供する。
特定の実施態様では、本発明は、ポリペプチドの生産及び/又は分泌を増大させる方法を提供する。好ましい実施態様では、当該方法において用いられる細胞は、B.クラウジ(B.clausii)に由来する少なくとも1の分泌関連タンパク質を発現する。特に好ましい方法では、当該細胞は、当該タンパク質を発現させるために形質転換される。1の実施態様では、当該方法は、所望ならば、細胞における少なくとも1の分泌関連タンパク質を不活性化する工程を含む。当該方法は、ポリペプチドの発現及び分泌のために適切な条件下において細胞を培養する工程を更に含む。
また、本発明は、分泌関連タンパク質をコード化する核酸配列を提供する。好ましい実施態様では、当該核酸配列は、バチルス・クラウジ(Bacillus clausii)に由来するものである。別の実施態様では、B.クラウジ分泌因子(secretion factor)の変異体が提供される。更なる実施態様では、当該核酸配列にコード化された分泌関連タンパク質のアミノ酸配列を推定するための、少なくとも部分的な配列情報が提供される。
また、本発明は、宿主細胞においてアルカリプロテアーゼを生産する方法を提供する。1の実施態様では、bc/2627の過剰発現(hyperexpression)を用いて、当該アルカリプロテアーゼの発現及び/又は分泌の増大が誘発される。
更なる実施態様では、本発明は、B.クラウジspoIIE及びdegU核酸配列を提供する。特定の実施態様では、これらの配列はインビボ変異誘発(mutagenesis)を受ける。更なる実施態様では、当該変異配列は、宿主細胞に再度導入される。1の実施態様では、当該宿主細胞はB.クラウジであり、別の実施態様では、枯草菌(B.subtilis)等のその他の生物体が宿主細胞として用いられる。
本発明は、バチルス・クラウジ分泌因子を含むヌクレオチド配列を提供するものであり、ここで、当該分泌因子は、SecA、SecD、SecE、SecF、SecG、SecY、Ffh、FtsY、SipS、SipT、SipV、及びSipWよりなる群から選択される。特定の実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号8、配列番号6、配列番号22、配列番号24、配列番号26、及び配列番号28よりなる群から選択される。別の実施態様では、ハイブリッド可能なヌクレオチド配列が、低ストリンジェンシー(low stringency)、中ストリンジェンシー、及び高ストリンジェンシーのストリンジェントな条件下で、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号8、配列番号6、配列番号22、配列番号24、配列番号26、及び配列番号28の前記ヌクレオチド配列とハイブリッド形成を維持する。更なる実施態様では、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号8、配列番号6、配列番号22、配列番号24、配列番号26、及び配列番号28で規定される少なくとも1のヌクレオチド配列のうちの少なくとも一部を含むベクターを提供する。特に好ましい実施態様では、当該ベクターは、更に、少なくとも1の対象ポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列を含む。更なる実施態様では、本発明は、当該ベクターを含む発現カセットを提供する。好ましい実施態様では、本発明は、当該発現カセットを含むバチルス属の宿主細胞を提供する。好ましい実施態様では、当該宿主細胞は、SecA、SecD、SecE、SecF、SecG、SecY、Ffh、FtsY、SipS、SipT、SipV、及びSipWよりなる群から選択される少なくとも1のB.クラウジ分泌因子を分泌する。別の実施態様では、分泌因子は、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号7、配列番号5、配列番号21、配列番号23、配列番号25、及び配列番号27よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。更なる実施態様では、当該アミノ酸は、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号7、配列番号5、配列番号21、配列番号23、配列番号25、及び配列番号27よりなる群から選択されるアミノ酸配列の断片を含む。更なる実施態様では、当該アミノ酸は、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号7、配列番号5、配列番号21、配列番号23、配列番号25、及び配列番号27よりなる群から選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。
本発明は、また、バチルス・クラウジ転写因子を含むヌクレオチド配列を提供するものであり、ここで、当該転写因子は、DegS、DegU、及びBcl2627よりなる群から選択される。好ましい実施態様では、当該ヌクレオチド配列は、配列番号4、配列番号30、及び配列番号32よりなる群から選択される。更なる実施態様では、本発明は、低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー、及び高ストリンジェンシーのストリンジェントな条件下で、請求項15のヌクレオチド配列とハイブリッド形成を維持するハイブリッド可能なヌクレオチド配列を提供する。更なる実施態様では、配列番号4、配列番号30、及び配列番号32よりなる群から選択されるヌクレオチド配列のうちの少なくとも一部を含むベクターを提供する。好ましい実施態様では、当該ベクターは、更に、少なくとも1の対象ポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列を含む。更なる実施態様では、本発明は、当該ベクターを含む発現カセットを提供する。別の実施態様では、本発明は、当該発現カセットを含むバチルス属の宿主細胞を提供する。更なる実施態様では、当該宿主細胞は、少なくとも1のB.クラウジ転写因子を分泌する。別の実施態様では、当該転写因子は、配列番号3、配列番号29、及び配列番号31よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施態様では、当該アミノ酸は、配列番号3、配列番号29、及び配列番号31よりなる群から選択されるアミノ酸配列の断片を含む。別の実施態様では、当該アミノ酸は、配列番号3、配列番号29、及び配列番号31よりなる群から選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。
本発明は、また、バチルス・クラウジ胞子形成因子(sporulation factor)SpoIIEタンパク質を含むヌクレオチド配列を提供する。特定の実施態様では、当該配列は、配列番号2を含む。更なる実施態様では、本発明は、低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー、及び高ストリンジェンシーのストリンジェントな条件下で、請求項28のヌクレオチド配列とハイブリッド形成を維持するハイブリッド可能なヌクレオチド配列を提供する。本発明は、また、配列番号2のヌクレオチド配列の少なくとも一部を含むベクターを提供する。好ましい実施態様では、当該ベクターは、更に、少なくとも1の対象ポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列を含む。更なる実施態様では、本発明は、当該ベクターを含む発現カセットを提供する。別の実施態様では、本発明は、当該発現カセットを含むバチルス属の宿主細胞を提供する。特に好ましい実施態様では、当該宿主細胞は、少なくとも1のB.クラウジ胞子形成因子を分泌する。更なる実施態様では、当該胞子形成因子は、配列番号1のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様では、当該アミノ酸は、配列番号1で規定されるアミノ酸配列の断片を含む。別の実施態様では、当該アミノ酸は、配列番号1で規定されるアミノ酸配列の変異体を含む。
さらに、本発明は、対象タンパク質を生産する方法であって、以下の工程:適切な条件下でバチルス宿主細胞を培養する工程であって、ここで、当該バチルス宿主細胞は、対象タンパク質をコード化するヌクレオチド配列を含み、及び、当該宿主細胞は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコード化するヌクレオチド配列によって形質転換されたものである、当該工程;及び、対象タンパク質を発現させる工程、を含む当該方法を提供する。特定の実施態様では、前記アミノ酸配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質の配列と少なくとも85%同一である。更なる実施態様では、前記アミノ酸配列には、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31よりなる群から選択されるアミノ酸配列の変異体であるアミノ酸配列が含まれる。別の実施態様では、前記アミノ酸配列には、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31よりなる群から選択されるアミノ酸配列の断片であるアミノ酸配列が含まれる。本発明は、また、ハイブリッドB.クラウジ配列を含むアミノ酸配列を提供する。
以下の定義及び実施例のみを参照して、本発明を詳細に説明する。本明細書において言及される全ての特許及び公報、それらの開示される全ての配列は、引用によって取り込まれる。
本発明は、発現タンパク質を生産する能力が遺伝子操作によって改変された細胞に関する。特に、本発明は、外因性の核酸配列を導入されたグラム陽性微生物、及びそのような宿主細胞(例えば、バチルス属のもの)においてタンパク質を生産する方法に関する。より詳細には、本発明は、対象ポリペプチドの発現、生産、及び分泌に関し、及び、発現タンパク質を生産する能力が遺伝子操作によって改変された細胞に関する。特に、本発明は、微生物による所定のポリペプチドの発現の向上を提供する。
定義
本明細書において言及される全ての特許及び公報、それらの開示される全ての配列は、引用によって取り込まれる。本明細書中で別に定義しない限り、本明細書において用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者に共通して理解されているのと同じ意味を有する。(例えば、Singletonら、DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY、第2版、John Wiley and Sons、ニューヨーク、1994年;及び、Hale及びMarham、THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY、Harper Perennial、ニューヨーク、1991年を参照。これらは、本明細書において用いられる用語の多くを収録する一般的な辞書である)。本明細書に説明されるものと同様の又は等価な任意の方法及び材料を、本発明の実施及び試験において用いることができるが、ここでは、好ましい方法及び材料について説明する。数値範囲には、当該範囲を定める数値が含まれる。特に指示のない限り、核酸は、左から右に、5’から3’の方向に記載される。アミノ酸配列は、左から右に、アミノからカルボキシの方向に記載される。本明細書における表題は、明細書全体を参照することによりなされる本発明の種々の側面又は実施態様を限定するものではない。従って、以下に定義される用語は、明細書全体を参照することによってより完全に定義される。
本明細書において、“宿主細胞”という語は、本発明の発現カセットに対する宿主及び発現手段として機能し得る細胞について用いられる。1の実施態様では、当該宿主細胞は、グラム陽性微生物である。好ましい実施態様では、当該用語は、バチルス属の細胞について用いられる。
本明細書において、“バチルス属”という語には、当該技術分野における当業者に公知の全ての種類が含まれ、例えば、枯草菌(B.subtilis)、B.リシェニホルミス(B.licheniformis)、B.レンタス(B.lentus)、B.ブレビス(B.brevis)、B.ステアロサーモフィラス(B.stearothermophilus)、B.アルカロフィラス(B.alkalophilus)、B.アミロリケフェシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.クラウジ(B.clausii)、B.ハロデュランス(B.halodurans)、B.メガテリウム(B.megaterium)、B.コアギュランス(B.coagulans)、B.サーキュランス(B.circulans)、B.ラウタス(B.lautus)、及びB.チューリンゲンシス(B.thuringiensis)が含まれる(ただし、これらに限定されるものではない)。バチルス属は、分類学的に再編成され続けている。従って、当該属には再分類された種も含まれ、例えば、現在は“ジェオバシラス・ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)”と命名されているB.ステアロサーモフィラス(B.stearothermophilus)等の微生物が含まれる(ただし、これに限定されるものではない)。耐性内生胞子(resistant endospore)の生産は、バチルス属の特性を定義する際に考慮されるが、当該特性は、また、近年命名された、アリシクロバチルス(Alicyclobacillus)、アンフィバチルス(Amphibacillus)、アニュリニバチルス(Aneurinibacillus)、アノキシバチルス(Anoxybacillus)、ブレビバチルス(Brevibacillus)、フィロバチルス(Filobacillus)、グラシリバチルス(Gracilibacillus)、ハロバチルス(Halobacillus)、パエニバチルス(Paenibacillus)、サリバチルス(Salibacillus)、サーモバチルス(Thermobacillus)、ウレイバチルス(Ureibacillus)、及びビルジバチルス(Virgibacillus)についても適用される。
本明細書において、“ポリペプチド”という語は、ペプチド結合で結合したアミノ酸残基により構成される化合物について用いられる。本明細書において、“タンパク質”という語は、“ポリペプチド”という語と同義語であることができ、又は、さらに、2以上のポリペプチドの複合物について用いることもできる。従って、“タンパク質”、“ペプチド”、及び“ポリペプチド”という語は、道義的に用いられる。
さらに、“対象タンパク質”又は“対象ポリペプチド”という語は、宿主細胞により発現又は分泌されるタンパク質又はポリペプチドについて用いられる。当該対象タンパク質は、現在まで原核生物及び/又は真核生物における発現で考慮されてきた任意のタンパク質であることができる。1の実施態様では、宿主細胞により利用される分泌関連タンパク質又は系によって転移される対象タンパク質には、シグナルペプチドを含むタンパク質が含まれる。当該対象タンパク質は、宿主に対して同種又は異種のいずれであってもよい。特定の実施態様では、当該対象タンパク質は、分泌タンパク質、特に、デンプン分解酵素、タンパク質分解酵素、細胞分解酵素(cellulytic enzyme)、酸化還元酵素、及び細胞壁分解酵素から選択される酵素である。更なる実施態様では、これらの酵素には、アミラーゼ、プロテアーゼ、キシラーゼ、リパーゼ、ラッカーゼ、フェノールオキシダーゼ、オキシダーゼ、クチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、ペルオキシダーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、フィターゼ、ペクチナーゼ、グルコシダーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、ガラクトシダーゼ、及びキチナーゼが含まれる。更なる実施態様では、発現ポリペプチドは、ホルモン、増殖因子、レセプター、ワクチン、抗体などである。本発明を特定のタンパク質/ポリペプチドに限定することを意図するものではないが、最も好ましい実施態様では、当該発現ポリペプチドはプロテアーゼである。
本明細書において、“キメラポリペプチド”及び“融合ポリペプチド”という語は、同一のタンパク質に由来する又は由来しなくてもよい少なくとも分離した別個の領域を含むタンパク質について同義的に用いられる。例えば、対象タンパク質と結合したシグナルペプチドであって、通常は対象タンパク質に関与しないシグナルペプチドは、キメラポリペプチド又はキメラタンパク質と呼ばれる。
本明細書において、“分泌関連タンパク質”という語は、宿主細胞からの対象タンパク質の分泌に関与するタンパク質について用いられる。当該分泌関連タンパク質は、初期(すなわち、合成の間の及び合成直後の)タンパク質が正しく折り畳まれるのを促進し、細胞内から細胞外環境へのタンパク質の動き(例えば、細胞質を経て細胞膜への動き、及び/又は、細胞膜/細胞壁を横切る細胞外環境への動き等)、及び適切な工程などを手助けする。細胞内で合成されてから細胞膜の外部表面に現われるまでの任意の段階のタンパク質の動きに関与するタンパク質は、分泌関連活性及び機能を有するものとみなされる。1の実施態様では、分泌関連タンパク質には、初期の対象タンパク質が正しい折り畳み立体配置となることを補助するタンパク質が含まれる。別の実施態様では、当該分泌関連タンパク質には、Sec経路からのタンパク質が含まれる。本明細書では、“分泌関連タンパク質”、“分泌関連因子”、及び“分泌因子”という語は、全て、同義的に用いられる。
本明細書において、“ハイブリッド”という語は、2以上のオーソログ(ortholog)に由来する配列を含む配列(例えば、分泌因子)について用いられる。従って、“ハイブリッド遺伝子”又は“ハイブリッドタンパク質”は、それぞれ、2以上の断片配列が2以上のバチルス菌株に由来する遺伝子又はタンパク質である。
1の実施態様では、当該オーソロガス配列は、単一のオーソログからの配列を含む。別の実施態様では、当該オーソロガス配列は、単一のオーソログからの5未満の配列を含む。更なる実施態様では、当該オーソロガス配列は、2つのオーソログからの配列を含む。1の実施態様では、当該オーソロガス配列は、単一のアミノ酸を含む。別の実施態様では、当該オーソロガス配列は、2つのアミノ酸乃至5、10、15、20のアミノ酸を含む。更なる実施態様では、当該オーソロガス配列は、全アミノ酸残基のうちの約2%乃至約50%の分泌因子配列を含む。
別の実施態様では、当該オーソロガス配列は、2つのアミノ酸より多く、5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50未満のアミノ酸を含む。更なる実施態様では、当該オーソロガス配列は、野生型B.クラウジ分泌因子と比較した場合に、全体で50%未満のハイブリッド分泌因子配列を含む。
本明細書において、“キメラポリペプチド”及び“融合ポリペプチド”という語は、同一のタンパク質に由来する又は由来しなくてもよい少なくとも分離した別個の領域を含むタンパク質について同義的に用いられる。例えば、対象タンパク質と結合したシグナルペプチドであって、通常は対象タンパク質に関与しないシグナルペプチドは、キメラポリペプチド又はキメラタンパク質と呼ばれる。
本明細書において、“キメラDNA構築物”及び“異種核酸構築物”という語は、別の遺伝子の部分(例えば、調節要素)を含む遺伝子(すなわち、宿主に導入された遺伝子)について用いられる。従って、特定の実施態様では、キメラ遺伝子は、非天然プロモータに作動可能に連結した(operably linked)内因性遺伝子である。宿主細胞の形質転換のためのキメラ遺伝子構築物は、典型的には、タンパク質コード配列に作動可能に連結し、又は、選択マーカーキメラ遺伝子において形質転換細胞に抗菌耐性を付与するタンパク質をコード化する選択マーカー遺伝子に作動可能に連結した転写調節領域(プロモーター)よりなる。1の実施態様では、宿主細胞への形質転換に有用な本発明の典型的なキメラ遺伝子構築物は、構成的又は誘導性の転写調節領域、シグナルペプチドコード配列、タンパク質コード配列、及び終結配列を含む。別の実施態様では、当該キメラ遺伝子には、phr遺伝子に作動可能に連結したプロモーターが含まれる。更なる実施態様では、当該キメラ遺伝子には、対象タンパク質をコード化する遺伝子に作動可能に連結したプロモーターが含まれる。更なる実施態様では、キメラ遺伝子構築物は、また、標的タンパク質の分泌が所望の場合には、シグナルペプチドをコード化する第2DNA配列を含む。
従って、“ハイブリッド”が、分泌因子及びそれをコード化するヌクレオチドを説明するために用いられるのに対して、“キメラ”は、調節要素を有するDNA構築物を説明するために用いられる。従って、キメラ遺伝子又はキメラDNA構築物は、ハイブリッド分泌因子をコード化することができる。
本明細書において、“変異体”という語は、C末端及びN末端のいずれか又は両方に1以上のアミノ酸を付加すること、アミノ酸配列の1又は複数の異なる部位を1以上のアミノ酸で置換すること、タンパク質のいずれか又は両方の末端において或いはアミノ酸配列の1以上の部位において1以上のアミノ酸を削除すること、及び/又は、アミノ酸配列の1以上の部位に1以上のアミノ酸を挿入することによって、前駆体タンパク質(例えば、B.クラウジ分泌因子)から生じるタンパク質について用いられる。“B.クラウジ分泌因子変異体”という語は、上述のように修飾されたB.クラウジ分泌因子について用いられる。B.クラウジ分泌因子変異体の調製は、好ましくは、天然タンパク質をコード化するDNA配列を修飾し、当該DNA配列を適切な宿主に形質転換し、及び、当該修飾DNA配列を発現させて、誘導体酵素を形成することによって行われる。本発明の変異体B.クラウジ分泌因子には、前駆体酵素のアミノ酸配列と比べて変化したアミノ酸配列を含むペプチドが含まれる。ここで、当該変異体B.クラウジ分泌因子は、先駆体B.クラウジ分泌因子の分泌因子特性を維持しつつ、特定の態様において異なる性質を有することもできる。例えば、特定の実施態様では、変異体B.クラウジ分泌因子は、分泌因子活性を維持しつつ、酸化条件下での安定性が増大する。しかしながら、当該変異体の活性は、前駆体分泌因子に対して減少しても又は増大してもよい。本発明の変異体は、B.クラウジ分泌因子変異体をコード化するDNA断片に由来することができ、ここで、発現したB.クラウジ分泌因子変異体の機能活性は保持される。例えば、特定の実施態様では、B.クラウジ分泌因子をコード化するDNA断片は、5’末端又は3’末端のいずれかにおいてB.クラウジ分泌因子DNA配列に接続したヒンジ又はリンカーをコード化するDNA配列又はそれらの一部をさらに含む。ここで、コード化されたB.クラウジ分泌因子ドメインの機能活性は保持される。
本明細書において、“シグナルペプチド”という語は、分泌されるタンパク質におけるアミノ末端拡張部分(extension)について用いられる。本明細書では、“シグナル配列”という語が同義的に用いられる。最も好ましい実施態様では、分泌タンパク質は、アミノ末端タンパク質拡張部分を用いる。これは、前駆体タンパク質を標的とし、又は膜を横切る前駆体タンパク質の転移において重要な役割を担うものであり、及び、膜輸送の間又はその直後においてシグナルペプチダーゼよってタンパク質分解的に除去される。好ましい実施態様では、当該シグナル配列は、バチルスに由来するsec依存性シグナルペプチドである。
本明細書において、“増大(enhanced)”という語は、対象タンパク質の生産の改善について用いられる。好ましい実施態様では、本発明は、対象タンパク質の生産及び分泌の増大(すなわち、改善)を提供する。当該実施態様では、生産の“増大”は、宿主(例えば、野生型細胞)による通常の生産と比較して改善されたものである。従って、異種タンパク質では、通常、細胞はタンパク質を生産しないので、基本的には、全ての発現が増大されることになる。
本明細書において、“単離された”及び“精製された”という語は、天然に由来する少なくとも1の成分から除去された核酸又はアミノ酸について用いられる。
本明細書において、“異種タンパク質”という語は、宿主細胞において天然に発生しない核酸又はポリペプチドについて用いられる。異種タンパク質の例には、例えば、加水分解酵素(例えば、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、その他のカルボヒドラーゼ、及びリパーゼ);イソメラーゼ(例えば、ラセマーゼ、エピメラーゼ、トートメラーゼ、又はムターゼ);トランスフェラーゼ、キナーゼ、及びホスファターゼ等の酵素、ホルモン、増殖因子、サイトカイン、抗体などが含まれる。従って、特定の実施態様では、異種タンパク質には、治療おいて重要なタンパク質又はペプチド(例えば、増殖因子、サイトカイン、リガンド、レセプター、及び阻害剤)、さらには、ワクチン及び抗体が含まれる。別の実施態様では、当該タンパク質は、商業的に重要な工業用タンパク質又はペプチドである。当該用語は、自然発生遺伝子、変異遺伝子、及び/又は合成遺伝子によってコード化されたタンパク質を包含するものである。
本明細書において、“異種核酸構築物”及び“異種核酸配列”という語は、発現する細胞に天然でない遺伝子配列の一部について用いられる。調節配列に関して、“異種”という語は、ここで制御されるのと同一の遺伝子の発現を制御する機能を天然には有していない調節配列(すなわち、プロモーター又はエンハンサー)について用いられる。一般に、異種核酸配列は、それらが存在する細胞又はゲノム部分にとって内因性のものではなく、感染、形質移入、マイクロインジェクション、又はエレクトロポレーション等によって細胞に付加されたものである。特定の実施態様では、“異種核酸構築物”は、天然の細胞において得られる調節配列/DNAコード配列の組み合わせと同一又は異なる調節配列/DNAコード配列の組み合わせを含有する。
本明細書において、“同種タンパク質”という語は、天然の又は宿主細胞において自然発生したタンパク質又はポリペプチドについて用いられる。本発明は、組換えDNA技術により同種タンパク質を産出する宿主細胞を包含する。さらに、本発明は、自然発生する同種タンパク質(例えば、プロテアーゼ)をコード化する核酸に1以上の欠失又は1以上の分断(interruption)を有する宿主細胞、及び、組換え体(すなわち、発現カセット)として再導入される同種タンパク質をコード化する核酸を有する宿主細胞を包含する。別の実施態様では、当該宿主細胞は、当該同種タンパク質を生産する。
本明細書において、“核酸分子”という語には、RNA、DNA、及びcDNA分子が含まれる。遺伝子コードの縮退の結果として、所定のタンパク質をコード化する多数のヌクレオチド配列が生産され得ることが理解できるであろう。
本明細書において、 “ベクター”という語は、異なる宿主間を移動するために設計された核酸構築物について用いられる。“発現ベクター”という語は、異種DNA断片を外来細胞中に組み込み、発現させ得るベクターについて用いられる。多くの原核及び真核生物の発現ベクターが市販されている。適当な発現ベクターを選択することは当業者の知識の範囲内である。
本明細書において、“発現カセット”及び“発現ベクター”という語は、標的細胞中において特定の核酸の転写を可能とする一連の特定核酸要素を用いて、組換え技術または合成により生成された核酸構築物について用いられる。当該組換え発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、色素体DNA、ウイルス、又は核酸断片の中に組み込むことができる。典型的には、発現ベクターの組換え発現カセット部分には、他の配列の中でも特に、転写される核酸配列及びプロモータが含まれる。
本明細書において、“プラスミド”という語は、クローニングベクターとして用いる環状二本鎖(ds)DNA構築物について用いられ、これは、種々の細菌及び真核生物内で染色体外自己複製遺伝子要素を形成する。
本明細書において、“選択マーカーコード化ヌクレオチド配列”という語は、細胞中で発現できるヌクレオチド配列について用いられ、当該選択マーカーの発現により、対応選択試薬の存在下又は必須栄養素の非存在下において当該発現遺伝子を含む細胞が成長することが可能となる。
本明細書において、“選択マーカー”という語は、宿主細胞において発現し、ベクターを含む宿主細胞の選択を容易にし得る遺伝子について用いられる。そのような選択マーカーの例には、抗菌剤(例えば、カナマイシン、エリスロマイシン、アクチノマイシン、クロラムフェニコール、及びテトラサイクリン)が含まれる(ただし、これらに限定されるものではない)。従って、“選択マーカー”という語は、宿主細胞が対象DNAを生産し始めたこと又はその他の反応が生じたことを示す表示を提供する遺伝子について用いられる。典型的には、選択マーカーは、宿主細胞に抗菌耐性又は代謝における利益を提供し、それにより、外因性DNAを含む細胞と、形質転換の間に外因性配列を全く摂り込まなかった細胞とを区別することを可能にする遺伝子である。“駐在(residing)選択マーカー”は、形質転換される微生物中の染色体に存在するものをいう。駐在選択マーカーは、形質転換DNA構築物における選択マーカーとは異なる遺伝子をコード化する。
本明細書において、“プロモーター”という語は、下流遺伝子を直接転写するように機能する核酸配列をいう。好ましい実施態様では、当該プロモーターは、標的遺伝子が発現する宿主細胞に適したものである。所定の遺伝子を発現するためには、その他の転写及び翻訳調節核酸配列(“調節配列”ともいう)と組み合わせたプロモーターが必要である。一般に、転写及び翻訳調節配列には、プロモータ配列、リボソーム結合部位、転写開始及び停止配列、翻訳開始及び停止配列、及びエンハンサーまたは活性化配列が含まれる(ただし、これらに限定されるものではない)。
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係で位置する場合に“作動可能に連結する”という。例えば、分泌リーダー(すなわち、シグナルペプチド)をコード化するDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現する場合に、当該ポリペプチドについてのDNAに作動可能に連結し;プロモータ又はエンハンサーは、配列の転写に影響を与える場合に、コード配列に作動可能に連結し;或いは、リボソーム結合部位は、翻訳を促進する位置に存在する場合に、コード配列に作動可能に連結するという。一般に、“作動可能に連結”とは、結合するDNA配列が隣接することを意味し、分泌リーダーの場合には、隣接しかつリーディング・フェイス(reading phase)中にあることを意味する。しかし、エンハンサーは隣接している必要はない。結合は、適宜の制限部位における連結反応(ligation)により達成される。そのような部位が存在しない場合には、従来法にしたがって合成オリゴヌクレオチド・アダプタ、又はリンカーを用いる。
本明細書において、“遺伝子”という語は、ポリペプチド鎖の生成に関与するDNA断片を意味し、そのコード領域の前及び後の領域(例えば、5’非翻訳配列(5’UTR)又は “リーダー”配列、及び3’UTR又は“トレーラー(trailer)”配列)、及び個々のコード部分(エキソン)間の介在配列(イントロン)を含んでも含まなくてもよい。
特定の実施態様では、遺伝子は、治療おいて重要なタンパク質又はペプチド(例えば、増殖因子、サイトカイン、リガンド、レセプター、及び阻害剤)、さらには、ワクチン及び抗体をコード化する。当該遺伝子は、商業的に重要な工業用タンパク質又はペプチド、例えば酵素(プロテアーゼ、アミラーゼ及びグルコアミラーゼなどのカルボヒドラーゼ、セルラーゼ、オキシダーゼ、及びリパーゼ)をコード化することができる。しかしながら、本発明を特定の酵素やタンパク質に限定する意図ではない。特定の実施態様では、当該遺伝子は、自然発生遺伝子、変異遺伝子、又は合成遺伝子である。
本明細書において、“欠失”という語は、ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列のいずれかにおいて、それぞれ1以上のヌクレオチド又はアミノ酸残基がなくなるような変化を意味する。
本明細書において、“挿入”又は“付加”という語は、ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列において、それぞれ1以上のヌクレオチド又はアミノ酸残基を追加することによってもたらされる、自然発生配列(例えば、B.クラウジ分泌因子)に対する変化である。
本明細書において、“置換”は、1以上のヌクレオチド又はアミノ酸をそれぞれ別のヌクレオチド又はアミノ酸によって置き換えることである。
本明細書において、“相同(同種)遺伝子”という語は、相違するが通常は近縁種であり、互いに対応し、及び互いに同一又は非常に酷似する一対の遺伝子について用いられる。当該用語は、種分化(すなわち、新種の開発)によって分離した遺伝子(例えば、オーソロガス遺伝子)、及び、遺伝子重複によって分離された遺伝子(例えば、パラロガス遺伝子)をも包含する。
本明細書において、“オーソログ”及び“オーソロガス遺伝子”という語は、種分化(speciation)によって共通の先祖遺伝子(すなわち、同種遺伝子)から進化した異なる種における遺伝子について用いられる。典型的には、オーソログは、進化の過程において同一の機能を維持する。オーソログを同定することは、新規な配列のゲノムにおける遺伝子機能についての信頼性の高い予測を行う際に有用である。
本明細書において、“パラログ”及び“パラロガス遺伝子”という語は、ゲノム中の重複によって関連する遺伝子について用いられる。オーソログが進化の過程において同一の機能を維持するのに対して、パラログは、新規の機能を発達させる。ただし、いくつかの機能は、元来の機能と関連する場合が多い。パラロガス遺伝子の例には、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、及びトロンビンをコード化する遺伝子が含まれ(ただし、これらに限定されるものではない)、これらは全て、セリンタンパク分解酵素であり同一種内で発生したものである。
本明細書において、“相同性”という語は、類似の又は同一の配列について用いられる(同一であることが好ましい)。当該相同性は、当該技術分野において公知の標準的な技術を用いて評価することができる(例えば、Smith及びWaterman、Adv.Appl.Math.、2巻、482頁、1981年;Needleman及びWunsch、J.Mol.Biol.、48巻、443頁、1970年;Pearson及びLipman、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85巻、2444頁、1988年;Wisconsin Genetics Software PackageにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA等のプログラム(Genetics Computer Group、マディソン、ウイスコンシン州);及び、Devereuxら、Nucl.Acid Res.、12巻、387−395頁、1984年、を参照)。
有用なアルゴリズムの1例は、PILEUPである。PILEUPは、進行性の対合アラインメントを用いて関連配列群から多重配列アラインメントをもたらす。当該アラインメントに用いられるクラスタリング関係を示す樹系図をプロットすることもできる。PILEUPは、Feng及びDoolittleの進行性アラインメント法を単純化したものである(Feng及びDoolittle、J.Mol.Evol.、35巻、351−360頁、1987年)。当該方法は、Higgins及びSharpによって説明されている方法に類似する(Higgins及びSharp、CABIOS、5巻、151−153頁、1989年)。有用なPILEUPパラメーターには、3.00の初期ギャップ重量、0.10の初期ギャップ長さ重量、及び荷重エンドギャップが含まれる。
有用なアルゴリズムの別の例は、Altschulらによって説明されているBLASTアルゴリズムである(Altschulら、J.Mol.Biol.、215巻、403−410頁、1990年;及び、Karlinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90巻、5873−5787、1993年)。特に有用なBLASTプログラムは、WU−BLAST−2プログラムである(Altschulら、Meth.Enzymol.、266巻、460−480頁、1996年、参照)。WU−BLAST−2は、いくつかの検索パラメーターを用いるが、ほとんどは、初期値に設定される。調整パラメーターは、以下の値に設定される:重なり範囲(span)=1.0、重なりフラクション=0.125、ワード基準点(word threshold)(T)=11。HSP S及びHSP S2のパラメーターは、動的値であり、対象配列が検索される特定配列の組成及び特定データベースの組成に応じて、プログラム自身によって設定される。しかしながら、当該値は、感度を増加させるために調節することができる。アミノ酸配列同一性(%)の値は、適合する同一残基の数を、整列領域(aligned region)における“長い”配列の残基の総数で割ることによって決定される。当該“長い”配列は、整列領域において最も実測的(actual)な残基を有するものである。アラインメントスコアを最大化するためにWU−BLAST−2によって導入されたギャップは考慮していない)。
“核酸配列同一性(%)”は、核酸の図に示した配列のヌクレオチド残基と同一な、候補配列におけるヌクレオチド残基のパーセンテージとして定義される。好ましい方法は、初期値に設定されたWU−BLAST−2のBLANSTNモジュール、及び、それぞれ1及び0.125に設定された重なり範囲及び重なりフラクションを用いるものである。
当該アラインメントには、整列される配列におけるギャップの導入が含まれ得る。さらに、核酸の図よりも多い又は少ないヌクレオシドを有する配列については、相同性のパーセンテージが、ヌクレオシド総数に対する相同ヌクレオシドの数によって決定される。従って、例えば、ここで同定される及び以下に述べる配列よりも短い配列の相同性は、当該短い配列におけるヌクレオシドの数を用いて決定され得る。
本明細書において、“ハイブリッド形成”という語は、当該技術分野において公知なように、核酸のストランドが塩基対形成によって相補的ストランドと結合する工程について用いられる。
本明細書において、“最大ストリンジェンシー”という語は、典型的には約Tm−5℃(プローブのTmより5℃低い)温度; “高ストリンジェンシー”はTmより約5乃至10℃低い温度;“中ストリンジェンシー”はプローブのTmより約10乃至20℃低い温度;及び、“低ストリンジェンシー”はTmより約20乃至25℃低い温度において起こるハイブリッド形成について用いられる。
当該技術分野における当業者に理解されるように、最大ストリンジェンシーにおけるハイブリッド形成は、同一のポリヌクレオチド配列を同定又は検出するために用いることができるが、一方、中及び低ストリンジェンシーにおけるハイブリッド形成は、ポリヌクレオチド相同体(ホモログ)の同定又は検出に用いることができる。
中から高ストリンジェンシー及び洗浄条件下において2つの配列が互いに特異的にハイブリッド形成する場合、核酸配列は、対照核酸配列に対して“選択的にハイブリダイズ可能”であると考えられる。ハイブリッド形成条件は、核酸結合錯体またはプローブの融点に基づく。例えば、“最大ストリンジェンシー”は通常約Tm−5℃であり(プローブのTmより5ど低い)、“高ストリンジェンシー”はTmより約5−10℃低く、“中ストリンジェンシー”はプローブのTmより約10−20℃低く、“低ストリンジェンシー”はTmより約20−25℃低い。機能上、ハイブリッド形成プローブと厳密に同一またはほぼ厳密に同一な配列を同定するために最大ストリンジェンシー条件を用いるが、一方、中及び低ストリンジェンシーにおけるハイブリッド形成は、ポリヌクレオチド相同体(ホモログ)の同定又は検出に用いることができる。
中から高ストリンジェンシーにおけるハイブリッド形成条件は、当該技術分野において公知である。高ストリンジェンシー条件の例には、50%ホルムアミド、5X SSC、5X Denhardt溶液、0.5%のSDS、及び100μg/ml変性キャリアDNA中で約42℃におけるハイブリッド形成、その後、室温で2X SSC及び0.5%のSDS中で2回洗浄し、及び42℃で0.1X SSC及び0.5%のSDS中でさらに2回洗浄することが含まれる。
本明細書において、“組換え体”という語には、異種核酸配列の導入により修飾された、又はそのように修飾された細胞由来の細胞である、細胞またはベクターについても用いられる。従って、例えば、組換え細胞は、天然(非組換え)型の細胞内に同一の形態では見られない遺伝子を発現し、或いは意図的な人間の介入の結果として発現しようがまたは全く発現されまいが、それがなければ異常発現する天然型遺伝子を発現する。
本明細書において、細胞に関する“形質転換”、“安定な形質転換”、又は“トランスジェニック”という語は、ゲノムに組み込まれた、又は複数世代を通して保存されるエピソームプラスミドとして非天然(異種)核酸配列を有する細胞を意味する。
本明細書において、“発現”という語は、ポリペプチドが遺伝子の核酸配列に基づいて生成される工程をいう。当該工程には、転写及び翻訳の両方が含まれる。
本明細書において、核酸配列を細胞に挿入することに関して用いられる“導入”という語は、“遺伝子導入”、 “形質転換”、又は“形質導入”を意味し、及び、核酸配列を真核または原核細胞に組み込むことを含み、ここで、当該核酸配列は、当該細胞のゲノム(例えば、染色体、プラスミド、色素体、又はミトコンドリアDNA)に組み込まれ、自律レプリコン(automous replicon)に変換され、又は一時的に発現される(例えば、トランスフェクトmRNA)。
本明細書において、“形質転換DNA”、“形質転換配列”、及び“DNA構築物”という語は、宿主細胞又は有機体中に配列を導入するために使用されるDNAについて用いられる。形質転換DNAは、宿主細胞又は有機体中に配列を導入するために使用されるDNAである。当該DNAは、PCR又は任意のその他の適切な技術によって生体外で産出することができる。好ましい実施態様では、当該形質転換DNAは、入力(incoming)配列を含み、別の実施態様では、ホモロジーボックス(homology box)に隣接する入力配列をさらに含む。更なる実施態様では、当該形質転換DNAは、末端に転化されるその他の非相同性配列(すなわち、スタッファー(stuffer)配列又は隣接物(flank))を含むことができる。当該末端は、形質転換DNAが閉環を形成するように閉じることができる(例えば、ベクターへの挿入)。
好ましい実施態様では、変異体DNA配列は、少なくとも1のコドンにおける部位特異的変異誘発(site saturation mutagenesis)により産出される。別の好ましい実施態様では、部位特異的変異誘発は、2以上のコドンについて実施される。更なる実施態様では、変異体DNA配列は、野生型配列に対して、40%より高い、45%より高い、50%より高い、55%より高い、60%より高い、65%より高い、70%より高い、75%より高い、80%より高い、85%より高い、90%より高い、95%より高い、又は98%より高い相同性を有する。別の実施態様では、変異体DNAは、任意の公知の変異誘発工程(例えば、放射線、ニトロソグアニジン等)を用いて生体内で産出される。
別の実施態様では、当該形質転換DNA配列には、入力配列が存在しないホモロジーボックスが含まれる。当該実施態様では、2つのホモロジーボックスにおける内因性DNA配列は削除されることが望ましい。さらに、特定の実施態様では、形質転換配列は野生型であり、一方、別の実施態様では、それらは変異体又は修飾配列である。さらに、特定の実施態様では、形質転換配列は同種であり、一方、別の実施態様では、それらは異種である。
本明細書において、“入力(incoming)配列”という語は、バチルス染色体又はゲノム中に導入されるDNA配列について用いられる。好ましい実施態様では、当該入力配列は、1以上の対象タンパク質をコード化する。特定の実施態様では、当該入力配列は、形質転換される細胞のゲノム中に既に存在する又は存在しない配列を含むことができる(すなわち、同種配列でも異種配列のいずれであっても良い)。特定の実施態様では、当該入力配列は、1以上の対象タンパク質、遺伝子、及び/又は、変異遺伝子又は修飾遺伝子をコード化する。特定の実施態様では、当該入力配列には、選択マーカー、例えば、抗菌剤に対する耐性を付与する遺伝子が含まれる。
1の実施態様では、当該入力配列は、例えば、ホルモン、酵素、及び増殖因子(ただし、これらに限定されない)等の少なくとも1の異種タンパク質をコード化する。別の実施態様では、当該酵素には、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、フェノールオキシダーゼ、パーミアーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、セルラーゼ、グルコースイソメラーゼ、ラッカーゼ、及びタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ等の加水分解酵素が含まれる(ただし、これらに限定されるものではない)。
別の実施態様では、当該入力配列は、機能性野生型遺伝子又はオペロン、機能性変異遺伝子又はオペロン、或いは非機能性遺伝子又はオペロンをコード化する。特定の実施態様では、当該非機能性配列は、遺伝子の機能を崩壊させるために当該遺伝子に挿入することができる。
本明細書において、“標的配列”という語は、宿主細胞のゲノムに入力配列を導入することが望ましい場合に、その配列をコード化する宿主細胞におけるDNA配列について用いられる。特定の実施態様では、当該標的配列は機能性変異遺伝子又はオペロンをコード化し、一方、別の実施態様では、当該標的配列は、機能性変異遺伝子又はオペロン、或いは非機能性遺伝子又はオペロンをコード化する。
本明細書において、“隣接配列(フランキング配列)”という語は、議論の対象となっている配列の上流又は下流のいずれかに存在する任意の配列について用いられる(例えば、遺伝子ABCにおいて、遺伝子Bは、A及びCの遺伝子配列に隣接している)。好ましい実施態様では、入力配列は、その両側がホモロジーボックスに隣接する。別の実施態様では、入力配列とホモロジーボックスは、両側がスタッファー配列に隣接するユニットを含む。特定の実施態様では、隣接配列は片側(3’又は5’)にのみ存在するが、好ましい実施態様では、隣接される配列の両側に存在する。各ホモロジーボックスの配列は、バチルス染色体の配列と相同である。これらの配列は、バチルス染色体における新規構築物はどこで合成されたか、及びバチルス染色体のどの部分が入力配列によって置き換えられるかを指示する。
本明細書において、“スタッファー(stuffer)配列”という語は、ホモロジーボックス(典型的には、ベクター配列)に隣接する任意の追加DNAについて用いられる。しかしながら、当該用語は、任意の非相同DNAも包含する。理論的に限定されるわけではないが、スタッファー配列は、DNA摂取を開始する細胞に明確な(noncritical)標的を提供する。
本明細書において、“染色体組込み(integration)”という語は、入力配列が宿主細胞(例えば、バチルス)の染色体に導入される工程について用いられる。形質転換DNAのホモロジーボックスは、染色体の相同領域と合致する。その後、ホモロジーボックスの配列は、二重交差(double crossover)において入力配列と置換される(すなわち、相同組換え)。
本明細書において、“相同組換え”という語は、同一のヌクレオチド配列の部位において、2つのDNA分子又は染色体対の間の(例えば、交差において)DNA断片を交換することについて用いられる。好ましい実施態様では、染色体組込みは、相同組換えによるものである。
本明細書において、“変異体ライブラリー”という語は、ゲノムのほとんどが同一であるが、1以上の遺伝子の異なる相同物を含む細胞の集団について用いられる。そのようなライブラリーは、例えば、形質を改善した遺伝子又はオペロンを同定する方法において有用である。
本明細書において、“過剰形質転換受容性(hypercompetent)”及び“超形質転換受容性(super competent)”という語は、細胞集団の1%より多くが染色体DNA(例えば、バチルスDNA)で形質転換可能であることを意味する。或いは、当該用語は、細胞集団の10%より多くが自己複製プラスミド(例えば、バチルスプラスミド)で形質転換可能であるような細胞集団について用いられる。好ましくは、超超形質転換受容性細胞は、野生型又は親細胞の集団で観測されるよりも高い割合で形質転換される。過剰形質転換受容性及び超形質転換受容性は、本明細書において同義的に用いられる。
本明細書において、“増幅”及び“遺伝子増幅”という語は、増幅された遺伝子が、当初にゲノム中に存在するよりも多いコピー数で存在することとなるように、特定のDNA配列を不均衡に複製する工程について用いられる。特定の実施態様では、薬物(阻害剤又は阻害性酵素)存在下での成長による細胞を選択することにより、薬物存在下での成長において必要とされる遺伝子産物をコード化する内因性遺伝子、又は当該遺伝子産物をコード化する外因性(すなわち、インプット)配列のいずれか又は両方を増幅することができる。
“増幅”は、鋳型特異性に関する核酸複製の特殊な例である。これは、非特異的鋳型複製(すなわち、鋳型依存性ではあるが、特定の鋳型には依存しない複製)と対比される。ここで、鋳型特異性は、忠実な複製(すなわち、固有のポリヌクレオチドの合成)、及びヌクレオチド(リボ−又はデオキシリボ−)特異性とは区別される。鋳型特異性は、“標的”特異性の観点で説明されることもある。標的配列は、他の核酸から選別されるという意味で“標的”である。増幅技術は、この選別を第一に考えて設計されている。
本明細書において、“同時増幅(co−amplification)”という語は、増幅マーカーと共にその他の遺伝子配列(すなわち、発現ベクターの含まれるような非選択遺伝子の1以上を含むもの)を単一の細胞に導入し、適切な選択圧で増幅させ、それにより、当該細胞が増幅マーカー及びその他の非選択的遺伝子配列を両方とも増幅させることについて用いられる。当該増幅マーカーは、その他の遺伝子配列と物理的に連結することができ、或いは、2つの別個のDNA(一方は増幅マーカーを含有し、他方は非選択的マーカーを含有する)が同一の細胞に導入されることもできる。
本明細書において、“増幅マーカー”、“増幅遺伝子”、及び“増幅ベクター”という語は、適切な成長条件化における遺伝子の増幅を可能にする遺伝子をコード化する遺伝子又はベクターについて用いられる。
“鋳型選択性”は、酵素の選択によってほとんどの増幅技術で得ることができる。増幅酵素は、用いられる条件下で、核酸の異種混合物における特定の核酸配列のみを処理するような酵素である。例えば、Qβレプリカーゼの場合には、MDV−1 RNAが当該レプリカーゼの特異的鋳型である(例えば、Kacianら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、69巻、3038頁、1972年、を参照)。同様に、T7 RNAポリメラーゼの場合には、当該増幅酵素は、自身のプロモーターに対して厳格な特異性を有する(Chamberlinら、Nature、228巻、227頁、1970年)。T4 DNAリガーゼの場合には、当該酵素は、2つのオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを連結させることはなく、連結接合部において、当該オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド基質と鋳型の間にはミスマッチが存在する(Wu及びWallace、Genomics、4巻、560頁、1989年)。さらに、Taq及びPfuポリメラーゼは、高温でも機能することができ、プライマーによって区分される配列に対して高い特異性を示す。高温では、プライマーと標的配列とのハイブリッド形成には好ましいが、非標的配列とのハイブリッドには好ましくない熱力学的条件がもたらされる。
本明細書において、“サンプル鋳型”という語は、標的(以下で定義する)の存在について分析されるサンプルに由来する核酸について用いられる。対照的に、“バックグラウンド鋳型”は、サンプル鋳型以外の核酸について用いられ、これはサンプル中に存在しても存在しなくてもよい。バックグラウンド鋳型は、ほとんどの場合偶発的なものである。繰り越し(carryover)の結果の場合もあるし、また、精製によりサンプルから除去される核酸不純物の存在に起因する場合もある。例えば、検出される以外の生物体からの核酸が、バックグラウンドとして試験サンプル中に存在する場合がある。
本明細書において、“プライマー”という語は、合成されたものか又は精製制限消化物におけるように自然発生したものかどうかに関わりなく、核酸ストランドと相補的なプライマー伸長生成物の合成が誘発されるような条件下において(すなわち、ヌクレオチド及び誘導剤(例えば、DNAポリメラーゼ)の存在下で、適切な温度及びpHにおいて)当該合成を開始させる働きをし得るオリゴヌクレオチドについて用いられる。当該プライマーは、最大限効率的な増幅のために1本鎖であることが好ましいが、2本鎖であることもできる。2本鎖の場合には、当該プライマーは、伸長生成物の生成に用いられる前に、まず、2本鎖を分離するために処理される。好ましくは、当該プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。誘導剤の存在下において伸長生成物の合成を開始するために十分な長さである必要がある。プライマーの的確な長さは、多くの因子、例えば、温度、プライマー源、及び用いる方法に依存する。
本明細書において、“プローブ”という語は、合成により、組換え技術により、又はPCR増幅により生成されたものか、或いは精製制限消化物におけるように自然発生したものかどうかに関わりなく、別の対象オリゴヌクレオチドとハイブリッド形成し得るオリゴヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチド配列)について用いられる。プローブは、1本鎖でも2本鎖でもよい。プローブは、特性の遺伝子配列の検出、同定、及び単離において有用である。本発明で用いられるプローブは、任意の“レポーター分子”で標識化することができ、それによって、例えば、酵素、蛍光、放射線、及びりん光等を用いる任意の検出システム(例えば、ELISA、及び酵素を用いる組織化学的アッセイ)において検出することができるようになる(ただし、これらに限定されるものではない)。
本明細書において、“標的”という語は、ポリメラーゼ連鎖反応に関して用いられる場合、ポリメラーゼ連鎖反応に用いられるプライマーによって境界される核酸領域を意味する。従って、“標的”は、他の核酸から選別される。“セグメント”は、標的配列中の核酸領域として定義される。
本明細書において、“ポリメラーゼ連鎖反応”(“PCR”)という語は、米国特許第4,683,195号、4,683,202号、及び4,965,188号における方法について用いられる(これらは引用により本明細書中に取り込まれる)。これには、クローニングや精製を行うことなしに、ゲノムDNA混合物における標的配列のセグメントの濃度を増大させる方法が含まれる。標的配列を増幅する当該方法は、所望の標的配列を含有するDNA混合物に大過剰の2種のオリゴヌクレオチドプライマーを導入する工程、その後、DNAポリメラーゼの存在下において正確な順序で熱サイクルを行う工程よりなる。当該2種のプライマーは、2本鎖標的配列のそれぞれのストランドと相補的である。効果的な増幅のために、混合物を変性させた後、標的分子内の相補的配列にプライマーをアニールする。アニーリングの後、新しい相補的ストランドのペアを産出するために、プライマーはポリメラーゼによって伸長される。当該変性、プライマーのアニーリング、及びポリメラーゼ伸長は、何回も繰り返される(すなわち、変性、アニーリング、及び伸長は、1つの“サイクル”を構成し、多数の“サイクル”が存在し得る)。これにより、所望の標的配列のセグメントが高濃度で増幅される。所望の標的配列の増幅されたセグメントの長さは、それぞれのプライマーの相対的な位置によって決定されるので、その長さは調節可能なパラメータである。当該方法は繰り返し実施されるので、“ポリメラーゼ連鎖反応”(以下、“PCR”)と呼ばれる。標的配列の所望の増幅セグメントは、混合物中における(濃度の点で)主要な配列になるので、それを“PCR増幅”と呼ばれる。
本明細書において、“増幅試薬”は、プライマー、核酸鋳型、及び増幅酵素以外の、増幅に必要な試薬(デオキシリボヌクレオチド三リン酸、バッファー等)について用いられる。典型的には、増幅試薬は、その他の反応成分と共に、反応容器中(試験管、マイクロウェル等)に存在する。
PCRを用いることにより、ゲノムDNAにおける特定の標的配列を、複数の異なる方法論で検出可能なレベルに増幅することが可能となる。当該方法論は、例えば、標識化プローブとのハイブリッド形成;ビオチン化プライマーを取り込んだ後のアビジン−酵素接合体の検出;増幅セグメントへの32P−標識化デオキシリボヌクレオチド三リン酸(例えば、dCTP又はdATP)の取り込みである。
ゲノムDNAに加えて、任意のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を適切なプライマー分子を用いることにより増幅させることができる。特に、PCR工程により産出された増幅セグメントは、それ自身が、その後のPCR増幅における効果的な鋳型となる。
本明細書において、“PCR生成物”、“PCR断片”、及び“増幅生成物”という語は、変性、アニーリング、及び伸長からなるPCR工程の2以上のサイクルが完了した後に得られる化合物の混合物について用いられる。これらの用語は、当該増幅が1以上の標的配列の1以上のセグメントについて行われた場合も包含する。
本明細書において、“RT−PCR”という語は、RNA配列の複製及び増幅について用いられる。この方法では、PCRに逆転写が結合され、ほとんどの場合、熱安定性ポリメラーゼを用いる1の酵素手順が用いられる。これは、米国特許第5,322,770号に説明されている(これは引用により本明細書中に取り込まれる)。RT−PCRでは、RNA鋳型は、ポリメラーゼの逆転写活性によってcDNAに転化され、その後、当該ポリメラーゼの重合活性を用いて(すなわち、その他のPCR法と同様に)増幅される。
本明細書において、“制限エンドヌクレアーゼ”及び“制限酵素”という語は、特定のヌクレオチド配列において又はその近くで2本鎖DNAを切断する細菌酵素について用いられる。
発明の詳細な説明
本発明は、発現タンパク質を生産する能力が遺伝子操作によって改変された細胞に関する。特に、本発明は、外因性の核酸配列を導入されたグラム陽性微生物、及びそのような宿主細胞(例えば、バチルス属のもの)においてタンパク質を生産する方法に関する。より詳細には、本発明は、対象ポリペプチドの発現、生産、及び分泌に関し、及び、発現タンパク質を生産する能力が遺伝子操作によって改変された細胞に関する。特に、本発明は、微生物による所定のポリペプチドの発現の向上を提供する。
多くの工業的に重要な製品(例えば、酵素、ホルモン、増殖因子、及びその他のタンパク質)が、大規模の発酵工程においてバチルス属から製造されている(例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、及びベータ−グルカナーゼ)。これらの生成物(すなわち、対象タンパク質)は、宿主に対して同種又は異種のいずれかである。同種タンパク質では、“過剰発現(overexpresson)”は、宿主細胞における通常のレベルを超えた発現について用いられる。異種タンパク質では、全ての発現が当然ながら“過剰発現”である。従って、胞子形成していないが対象遺伝子の発現を向上させる細胞は有益である。
当該技術分野における需要に対応するため、本発明は、1の実施態様において、グラム陽性宿主細胞からのタンパク質の分泌に関与する分泌因子をコード化する核酸配列を提供する。特定の実施態様において、これらの配列は、宿主バチルス種の遺伝子を本発明のB.クラウジ遺伝子と交換して、対象タンパク質の分泌特性を改変する場合に用いられる。これにより、形質転換宿主バチルス細胞のタンパク質産出レベルが増大する。1の好ましい実施態様では、当該宿主バチルス細胞は、枯草菌である。別の実施態様では、当該宿主細胞は、B.クラウジである。更なる実施態様では、本発明は、任意の対象タンパク質の分泌(すなわち、生産及び発現)を増大させる方法を提供する。
バチルスクラウジのヌクレオチド配列
本発明の開発の間、極限環境から多数の菌株を捕集した。16S RNA遺伝子配列に基づき、偏性好アルカリ性バチルスをバチルスクラウジと同定した。当該菌株は、指定番号“PB92”が与えられた。菌株PB92は、米国菌培養収集所のATCC31408として寄託され、デルフト工科大学の微生物学研究室にOP60として寄託され、日本国の工業技術院微生物工業技術研究所にFERM−P 3304として寄託された。
詳細は以下で述べるが、B.クラウジ(PB92)の配列を枯草菌及びB.ハロデュランスのゲノムと比較した。B.クラウジの配列は、バチルス属のその他の一員である両方の配列と非常に類似していたが、データによると、B.クラウジとB.ハロデュランスの関係は、B.クラウジと枯草菌との関係よりも近いことが示唆された。しかしながら、図21に示すように、B.ハロデュランスよりも枯草菌に類似するB.クラウジ遺伝子の明確な例も存在する。
配列決定
B.クラウジPB92のゲノムのショットガンライブラリーを、当該技術分野において公知の標準的な方法によって配列決定した。個々の配列の集合体により、4,345,345塩基対の全長を有する450の非重複コンティグが得られた。Orpheusソフトウェアを用いて、遺伝子予測を自動で行った(Frishmanら、Nuc.Acids.Res.、26巻、2941−7頁、1998年)。予測されたオープンリーディングフレーム(ORF)境界は、外因的証拠に基づいて手動で精密化した。ゲノムの遺伝子間領域、及び非重複タンパク質データではマッチが発見できなかったORFを、BLASTXを用いて再度評価した。更なる遺伝因子(tRNA、rRNA、scRNA、転移因子)も考慮した。公知の遺伝要素中にあり又はそれと重複するORFは、修正し又はデータから除去した。遺伝子産物の自動及び手動解釈のための所要な媒体は、Pedant−Pro(商標)配列分析パッケージソフト(Frishmanら、Bioinformatics、17巻、44−57頁、2001年)であった。抽出したタンパク質について、網羅的バイオインフォマティクス分析(例えば、類似性検索、タンパク質のモチーフ同定、及びタンパク質の二次構造)、及び特性予測(例えば、高感度構造認識(sensitive fold recognition))を行った。各ORFにおいて、MIPS Function Catalogue(Mewesら、Nature、387巻、7−65頁、1997年)に従って、機能カテゴリーを手動で決定した。
配列
種々の調節関連又は分泌関連タンパク質の配列を、図1乃至20及び25乃至32に示す。図1は、B.クラウジのSpoIIEについての推定アミノ酸配列(配列番号1)を示すものである。図2は、B.クラウジのSpoIIEについてのDNA配列(配列番号2)を示すものである。望ましい特性は、生産株の胞子形成が不足していることである。従って、本発明の開発の間に同定されたB.クラウジの胞子形成特性を評価するために実験を行った。
枯草菌は、ストレスの大きな環境(栄養分の極端な欠如)において胞子形成することができる。この決定が、非常に複雑でエネルギーを消費する胞子形成発達状態への転化の契機となる。胞子形成の発現のために必要とされる50を超える遺伝子は、8つの胞子形成制御遺伝子、すなわち、Spo0A、Spo0B、Spo0IE、Spo0F、Spo0H、Spo0J、Spo0K、及びSpo0Lの制御下にある。ここで、Spo0Aが最も重要な制御因子である。胞子形成制御因子における変異によって、細胞は、環境を無視して胞子形成をすることなく、異種及び/又は同種タンパク質を生産し続ける。本発明が特定の機構又は理論によって限定されることを意図するものではないが、B.クラウジのspoIIE遺伝子は、枯草菌の相同体と類似した態様で機能する。従って、B.クラウジにおけるspoIIE遺伝子を変異させることにより、有益な胞子形成欠乏菌株が得られると考えられる。
図3は、B.クラウジのDegS(配列番号29)及びDegU(配列番号3)についての推定アミノ酸配列を示すものである。一方、図4は、B.クラウジのdegS(配列番号30)及びdegU(配列番号4)についてのDNA配列を示すものである。枯草菌のdegS及びdegU遺伝子は、2成分調節系の系統群に属し、異なる細胞機能(例えば、分解酵素合成、DNA摂取能力、及び鞭毛の存在)の発現の制御に関連するタンパク質をコード化する。いずれの遺伝子においても、2種類の変異が特定されている。第1の変異(degU変異)では、調節性遺伝子(すなわち、degU系によって調節されている遺伝子)の発現が減少するが、一方、第2の変異(degU(Hy)変異)では増大する(Msadeckら、Bacillus subtilis and Other Gram−Positive Bacteria、Sonensheinら編集、American Society for Microbiology、ワシントンDC、729−745頁、1993年)。当該第2の変異は、枯草菌における、グルコース存在下での胞子形成能力、鞭毛の欠如、及び遺伝受容性の減少を含む多面的表現型と関連する。
バチルスの生産株のいくつかは、degS又はdegU遺伝子のいずれかに1以上の変異を保因しており、それにより、低いカトボライト抑制及び優れた酵素分泌などの特性が当該株に付与されることが公知である。従って、B.クラウジのdegS及び/又はdegUには同様の用途が存在する。それゆえ、以下のことが望ましいと考えられる。
(1)生体外においてdegS及び/又はdegUのランダム変異誘発を行い、野生型遺伝子のいずれか又は両方を当該突然変異群で置換し、及び上述の表現型を付与する変異体を選択すること、
(2)野生型DegU遺伝子の残基、例えば、H17X、T103X、E112X、V136X等に1以上の変異を導入すること(ここで、“X”は任意のアミノ酸を意味する)、及び/又は、
(3)野生型DegS遺伝子の残基、例えば、V238Xに1以上の変異を導入すること(ここで、“X”は任意のアミノ酸を意味する);これにより、B.クラウジの野生型遺伝子を置換するために用いられる1以上の当該変異を保因する変異遺伝子が得られる。さらに、本発明は、リン酸化反応を増大させる任意のdegS及び/又はdegU変異を包含する。及び、
(4)多コピープラスミドに保因され、又はより高い水準の遺伝子発現を得るための強力なプロモータによって転写された、自身のdegS及び/又はdegU遺伝子によってB.クラウジを形質転換すること;特定の実施態様では、当該遺伝子は野生型であり、別の実施態様では変異体である。
本発明は、更なる対象遺伝子を提供する。図33は、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)からの転写活性遺伝子nprAと相同であるbcl2627についての推定アミノ酸配列(配列番号31)を示すものであり、図34はそのDNA配列(配列番号32)を示すものである。バチルス・ステアロサーモフィラスにおいて、npr遺伝子は、中性プロテアーゼnprSをコードする遺伝子に隣接する。nprA遺伝子の過剰発現(例えば、多コピープラスミドにおけるクローニング)により、隣接する中性プロテアーゼの発現が増大することが観測されている(Nishiya及びImanaka、J.Bateriol.、172巻、4861−4869頁、1990年)。それゆえ、B.クラウジにおける遺伝子2627を過剰発現させ、多コピープラスミドに保因され又は強力なプロモータによる転写制御下で染色体に組込まれた遺伝子2627によってB.クラウジを形質転換し、より高い水準の遺伝子発現を得ることが望ましい。
Sec依存性タンパク質輸送経路が、アミノ末端シグナル配列を有するタンパク質の細胞膜を横切る転移に関与する。Sec機構は、細胞膜におけるタンパク質性チャンネル(枯草菌ではSecY、SecE、SecG、及びSecDFで構成され、又はB.ハロデュランスではSecD及びSecFで構成される)及び転移モーター(SecA)からなる。当該Sec機構は、膜を経て変性状態の基質を“通過(thread)”させることが知られている。その結果、当該機構は、本質的に、細胞質ゾルで折り畳まれたタンパク質を転移させることができない。B.クラウジからの当該輸送系における複数の成分を特定したほぼ全ての分泌タンパク質は、アミノ末端拡張部分(シグナルペプチドとして知られる)を用いる。これは、前駆体タンパク質を標的とし又は膜を横切る前駆体タンパク質の転移において重要な役割を担うものであり、及び、膜輸送の間又はその直後においてシグナルペプチダーゼよってタンパク質分解的に除去される。当該新規に合成された前駆体タンパク質は、細胞質における特定のタンパク質(正確には“シャペロン”と呼ばれる)によって認識される。当該シャペロンは、転移されるポリペプチドの早過ぎる凝集又は折り畳みを防止し、それによって、輸送不適合(export−incompatible)な立体構造が得られる。
輸送タンパク質(export protein)のほとんどは、一般的分泌(Sec)経路を経て変性立体構造で転移される。細胞質シャペロン、及び標的因子(哺乳類シグナル認識粒子(SRP)の54kDaサブユニットと相同なFfhタンパク質、及び哺乳類SRP受容体アルファ−サブユニットの相同体であるFtsYタンパク質など)によって、細胞膜におけるSec−トランスロカーゼに対するプレタンパク質の標的化が促進される。図5−20は、それぞれ、B.クラウジのFtsY、Ffh、SecA、SecD、SecE、SecF、SecG、及びSecYのアミノ酸配列及びDNA配列を示すものである。これらの図において、SecE、SecG、及びFfhは、部分配列として示されている。しかしながら、本発明は、これらの遺伝子及びポリペプチドの完全な配列も包含する。
細胞膜を横切る転移では、シグナルペプチドはシグナルペプチダーゼによって除去される。これは、膜からの転移タンパク質の放出、及び媒体中への分泌のための必要条件である。従って、特定の実施態様では、対象タンパク質は、除去されるシグナルペプチドを有する。本明細書で同定されるシグナルペプチダーゼは、SipS、SipT、SipV、SipWで示される(図25−32参照)。任意の上記タンパク質は、当該技術分野において公知のオーソログと同様に用いることができる。
ハイブリッド形成アナログ
本発明の1の実施態様では、タンパク質は、新生タンパク質が正しく折り畳まれ又は細胞内から細胞外環境への転移されるのを援助する場合には、“分泌関連タンパク質”である。本発明の1の実施態様では、当該分泌関連タンパク質は、野生型タンパク質の変異体であって、これは、図5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、又は27のいずれか1のアミノ酸配列に対して、全体として、約40%より高い、好ましくは約60%より高い、より好ましくは約75%より高い、より好ましくは約80%より高い、更に好ましくは約85%より高い、及び最も好ましくは約90%より高い相同性を有する。特定の実施態様では、相同性は、約93乃至95%であり、特に好ましい実施態様では98%である。
従って、本発明は、グラム陽性ポリヌクレオチド相同体を検出する方法であって、B.クラウジの調節関連及び/又は分泌関連タンパク質をコード化する核酸配列の一部又は全部と、ゲノム又はcDNA複製起点(origin)のグラム陽性微生物核酸とをハイブリッド形成させる工程を含む当該方法を提供する。
また、本発明の範囲には、中乃至最大ストリンジェンシー条件下で、B.クラウジの調節関連及び/又は分泌関連タンパク質をコード化するヌクレオチド配列とハイブリッド形成可能なグラム陽性微生物ポリヌクレオチド配列が含まれる。
また、本発明の範囲には、中乃至最大ストリンジェンシー条件下で、図1−20及び25−32に示されるB.クラウジの調節関連及び/又は分泌関連タンパク質をコード化するいずれか1のヌクレオチド配列の一部又は全部とハイブリッド形成可能である、調節関連及び/又は分泌関連タンパク質をコード化する新規なグラム陽性微生物ポリヌクレオチド配列が含まれる。
さらに、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの当該技術分野において公知の増幅方法が、B.クラウジ配列の増幅において用いられる。特定の実施態様では、図1−20及び25乃至32に示されるB.クラウジの調節関連及び/又は分泌関連タンパク質をコード化するいずれか1のヌクレオチド配列からの約10乃至約60ヌクレオチド、好ましくは約12乃至30ヌクレオチド、及びより好ましくは約20乃至25ヌクレオチドの核酸配列が、プローブ又はPCRプライマーとして用いられる。
更なる実施態様では、本発明は、調節関連及び/又は分泌関連タンパク質をコード化するDNA配列であって、野生型配列に対して、40%より高い、45%より高い、50%より高い、55%より高い、60%より高い、65%より高い、70%より高い、75%より高い、80%より高い、85%より高い、90%より高い、95%より高い、又は98%より高い相同性を有する当該DNA配列を提供する。
ハイブリッド
本発明は、また、ハイブリッド分泌因子をコード化する核酸、及び当該ハイブリッド分泌因子を含むアミノ酸を提供する。これらの実施態様では、当該ハイブリッド分泌関連因子は、B.クラウジの分泌関連因子に対応する機能を保持する。特定の実施態様では、本発明は、B.クラウジとその他の種類(例えば、枯草菌、ただしこれに限定されるものではない)とのハイブリッドを提供する。従って、特定の実施態様では、微生物は、B.クラウジの配列及びその他の生物(例えば、枯草菌)からの配列を含む。
1の実施態様では、オーソロガス配列には、単一のオーソログからの配列が含まれる。別の実施態様では、当該オーソロガス配列は、単一のオーソログからの5未満の配列を含む。更なる実施態様では、当該オーソロガス配列は、2つのオーソログからの配列を含む。更なる実施態様では、当該オーソロガス配列は、単一のアミノ酸を含む。別の実施態様では、当該オーソロガス配列は、2つのアミノ酸乃至5、10、15、20のアミノ酸を含む。更なる実施態様では、当該オーソロガス配列は、全体として約2%乃至約50%の分泌因子配列を含む。
別の実施態様では、当該オーソロガス配列は、2つのアミノ酸より多く、5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50未満のアミノ酸を含む。更なる実施態様では、当該オーソロガス配列は、野生型B.クラウジ分泌因子と比較した場合に、全体で50%未満のハイブリッド分泌因子配列を含む。
対象タンパク質
本発明は、細胞内及び/又は細胞外におけるタンパク質生産を増大させるために特に有用である。特定の実施態様では、当該タンパク質は同種であり、別の実施態様では異種である。本発明は、種々のタンパク質の生産、例えば、ホルモン、酵素、増殖因子、サイトカイン、抗体等の生産において有用である(ただし、これらに限定されるものではない)。本発明は、酵素の生産、例えば、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、フェノールオキシダーゼ、パーミアーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、セルラーゼ、グルコースイソメラーゼ、ラッカーゼ、及びタンパク質ジスルフィドイソメラーゼのような加水分解酵素等の生産において特に有用である(ただし、これらに限定されるものではない)。しかしながら、本発明は、また、ホルモンの生産、例えば、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出因子、ソマトスタチン、性腺刺激ホルモン、バソプレシン、オキシトシン、エリスロポエチン、インスリン等の生産においても有用である(ただし、これらに限定されるものではない)。
増殖因子は、細胞表面でレセプターと結合し、主な結果として、細胞の増殖及び/又は分化を活性化するタンパク質である。酵素やホルモンに加えて、本発明は、増殖因子の生産、例えば、血小板由来増殖因子、上皮細胞増殖因子、神経成長因子、線維芽細胞増殖因子、インスリン様増殖因子、形質転換成長因子等の生産において有用である(ただし、これらに限定されるものではない)。サイトカインは、独特な増殖因子である。サイトカインは、主に白血球から分泌され、体液性及び細胞性免疫反応の両方を刺激し、さらに食細胞を活性化する。サイトカインには、コロニー刺激因子、インターロイキン(例えば、IL−1(α及びβ)、IL−2乃至IL−13)、及びインターフェロン(α、β、及びγ)が含まれる(ただし、これらに限定されるものではない)。ヒトインターロイキン−3(IL3)は、133のアミノ酸残基を有する15kDaのタンパク質である。IL3は、骨髄培養系からの巨核球、好中球、及びマクロファージのコロニー形成を刺激する、種特異的コロニー刺激因子である。
上記のタンパク質に加えて、本発明は、抗体を含む実施態様において有用である。抗体には、大量に生産することが好ましい任意の種に由来する免疫グロブリンが含まれる(ただし、これらに限定されるものではない)。ヒト抗体が特に好ましい。免疫グロブリンは、任意のクラス(すなわち、IgG、IgA、IgM、IgE、又はIgD)であることができる。
本発明は、非極性の又はほぼ非極性のカルボキシ末端を有するタンパク質の生産及び分泌を増大させるために特に有用である。従って、シグナル配列及び非極性の又はほぼ非極性のカルボキシ末端を含むタンパク質が、本発明において特に有用である考えられる。当該タンパク質は、同種でも異種でもよい。
本発明の特定の実施態様において、対象タンパク質は、シグナルペプチドと融合される。2つの分泌経路からのシグナルペプチドが、本発明において特に考慮される。第1の経路は、sec依存性の経路である。当該経路は、十分に特徴付けられており、多くの推定シグナル配列が既に説明されている。全てのsec依存性シグナルペプチドが、本発明に包含される。具体例としては、AmyL及びAprE配列が挙げられる(ただし、これらに限定されるものではない)。当該AmyL配列は、α−アミラーゼにおけるシグナル配列について用いられ、AprEは、AprEシグナルペプチド配列について用いられる(AprEは、枯草菌のスブチリシンであり、これはアルカリプロテアーゼとも呼ばれる)。宿主細胞において機能する(すなわち、対象タンパク質を分泌経路に導く)限り、任意の源に由来する任意のシグナル配列を用いることができる。
宿主細胞
本発明は、グラム陽性微生物(例えば、バチルス属のもの)における所望のタンパク質の発現、生産、及び分泌のための宿主微生物及び発現手段を提供する。
通常の実施態様では、本発明の方法は、細胞内において生産され又はSec依存性分泌経路を経て分泌された任意の対象タンパク質の発現及び/又は分泌を増大させるために有用である。従って、組換えDNA技術によってSec依存性シグナルペプチドと融合され得る任意の対象タンパク質が、本発明において有用である。
当該宿主細胞は、本発明のB.クラウジ分泌因子の1以上をコード化するヌクレオチド配列で当該宿主細胞を形質転換することによって、対象タンパク質の分泌を増大させることができる。当該対象タンパク質は、特定の実施態様では内因性であり、一方、別の実施態様では異種である。特定の実施態様において、当該対象タンパク質は、そこで野生型の対象タンパク質がSec依存性シグナル配列と融合されるキメラタンパク質である。好ましい実施態様では、B.クラウジ分泌因子の遺伝子は、プロモーターに作動可能に連結している。当該プロモーターは、構成性(constitutive)でも誘導性(inducible)であってもよい。1の実施態様では、当該プロモーターは、枯草菌のaprEプロモーターである。しかしながら、好ましいプロモーターは、オーソログ遺伝子の転写に関与する宿主プロモーターである。例えば、枯草菌では、secAプロモーターが、B.クラウジsecA遺伝子の発現に用いられ、枯草菌のsecYプロモーターが、B.クラウジsecY遺伝子の発現に用いられる。
さらに、誘導性プロモーターの誘導レベルを変化させることによって、遺伝子産物の発現を調節し、それによって対象タンパク質の分泌を調節することが可能になると考えられる。
特定の実施態様では、宿主細胞はグラム陽性の細胞である。好ましい実施態様では、当該グラム陽性細胞は、バチルス属の一員である。本明細書において、当該バチルス属には、当該技術分野における当業者に公知の全ての種類が含まれ、例えば、枯草菌(B.subtilis)、B.リシェニホルミス(B.licheniformis)、B.レンタス(B.lentus)、B.ブレビス(B.brevis)、B.ステアロサーモフィラス(B.stearothermophilus)、B.アミロリケフェシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.ハロデュランス(B.halodurans)、B.クラウジ(B.clausii)、B.コアギュランス(B.coagulans)、B.サーキュランス(B.circulans)、B.メガテリウム(B.megaterium)、B.ラウタス(B.lautus)、及びB.チューリンゲンシス(B.thuringiensis)が含まれる(ただし、これらに限定されるものではない)。特に好ましい実施態様では、当該バチルス属の一員は、枯草菌、B.クラウジ、及びB.リシェニホルミスよりなる群から選択される。
DNA構築物
本発明は、宿主微生物における所望の同種又は異種タンパク質の生産及び分泌を増大させる発現系を提供する。DNA構築物における種々の構成要素は、任意の適切な方法(例えば、PCR及び/又はライゲーション)によって構築することができる。注目すべきは、当該DNA構築物が所望の最終構造を有する限り、任意の技術をもちいることができることである。好ましい実施態様では、当該DNA構築物は、組込み単一コピーベクター、組込み増幅ベクター、又は多コピーベクター等のベクター中に取り込まれる(ただし、これらに限定されるものではない)。
プロモーター
上述のように、プロモーターは、誘導性又は構成性のいずれかであることができる。本発明において好ましいプロモーターは、B.クラウジ分泌因子に対応する宿主細胞に由来するプロモーターである。或いは、通常は分泌因子に関連するB.クラウジのプロモーターを用いることができる。別の実施態様では、当該プロモーターは、宿主細胞において機能することができ、かつB.クラウジの分泌因子についての野生型プロモーターではない任意のプロモーターであることができる。
シグナル配列/対象タンパク質
本発明の好ましい実施態様では、ベクターは、グラム陽性微生物分泌因子をコード化する核酸の少なくとも1のコピーを含む(好ましくは、複数のコピーを含む)。当該ベクターは、宿主細胞ゲノム中に(好ましくは、単一コピーとして)組み込まれる配列(例えば、B.クラウジ配列)を含む。更なる実施態様では、宿主細胞は、両方の遺伝子(すなわち、野生型配列及び導入された配列)を保因する。更なる実施態様では、本発明は野生型の対象遺伝子を有するベクターを提供するが、別の実施態様では、当該ベクターはハイブリッド配列を有する。従って、本発明では、入力配列、ハイブリッド、及び野生型配列が任意の適切な組合せで存在する、複数の実施態様が提供される。
好ましい実施態様では、グラム陽性微生物はバチルスである。別の好ましい実施態様では、グラム陽性微生物は枯草菌である。好ましい実施態様では、B.クラウジの分泌関連因子又はそれらの断片をコード化するポリヌクレオチド、或いは前記分泌因子のアミノ酸変異体をコード化する融合タンパク質又はポリヌクレオチド相同体配列を用いて、グラム陽性宿主細胞において分泌関連タンパク質又はそれらのアミノ酸変異体の発現を導く組換えDNA分子が産出される。好ましい実施態様では、当該宿主細胞はバチルス属に属する。別の好ましい実施態様では、当該宿主細胞は枯草菌である。
当該技術分野における当業者に明らかなように、自然発生しないコドンを有するポリヌクレオチド配列を生産することは有益である。従って、特定の実施態様では、特定のグラム陽性宿主細胞に対して好ましいコドン(Murrayら、Nuc.Acids Res.、17巻、477−508頁、1989年)が選択され、それによって、例えば、発現率が増大し、又は、自然発生配列から得られる転写物と比べて望ましい性質(例えば、長い半減期)を有する組換えRNA転写物が生産される。
本発明において有用な改変B.クラウジ分泌因子ポリヌクレオチド配列には、同一の又は機能的に等価な分泌因子相同体をコード化するポリヌクレオチドをもたらす、別々のヌクレオチド残基の欠失体、挿入体、及び/又は置換体が含まれる。別の実施態様では、当該コード化タンパク質は、サイレント変化(silent change)を生産し及び機能的に等価なB.クラウジ分泌因子変異体をもたらすアミノ酸残基の欠失、挿入、及び/又は置換を有する。意図的なアミン酸の置換は、変異体が分泌を制御する能力を有する限りにおいて、アミノ酸残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及び/又は両親媒性における類似性に基づいて行うことができる。例えば、負電荷を有するアミノ酸には、アスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれ;正電荷を有するアミノ酸には、リジン及びアルギニンが含まれ;及び、類似の親水性である非荷電極性の先端官能基を有するアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、及びチロシンが含まれる。
特定の実施態様では、本発明のB.クラウジ分泌因子ポリヌクレオチドは、遺伝子産物のクローニング、プロセシング、及び/又は発現を修飾するために設計される(engineered)。例えば、当該技術分野において周知の技術(例えば、新規の制限部位を挿入し、グリコシル化パターンを改変し、及び/又はコドン選択(codon preference)を変化させるための部位特異的変異誘発)を用いて、変異が導入される。
バチルス宿主細胞の形質転換
特定の実施態様では、少なくとも1の対象ポリペプチドをコード化する核酸が、宿主細胞内で複製し得る発現ベクターを経て、宿主細胞に導入される。バチルスに対する複製及び組込みプラスミドは、当該技術分野において公知である(例えば、Harwood及びCutting編集、「Molecular Biological Methods for Bacillus」、John Wiley&Sons、1990年、特に第3章を参照されたい;枯草菌に対する適切な複製プラスミドが、92頁に記載されている)。技術的な障壁は存在するが、当該技術分野における当業者は、バチルスにおけるDNAの直接クローニングのためのいくつかの戦略が存在するという知識を得ているであろう。
バチルスを形質転換するための当該技術分野において公知の方法(例えば、プラスミド・マーカー・レスキュー形質転換のような方法)は、部分的に相同な常在性(resident)プラスミドを保因するコンピテント細胞によるドナープラスミドの摂取を必要とする(Contenteら、Plasmid、2巻、555−571頁、1979年;Haimaら、Mol.Gen.Genet.、223巻、185−191頁、1990年;及び、Weinrauchら、J.Bacteriol.、169巻、1205−1211頁、1987年)。当該方法では、入力ドナープラスミドが、染色体の形質転換を模倣する工程おいて、常在性“ヘルパー”プラスミドの相同領域を組換える。
プロトプラスト形質転換による形質転換を含む別の方法が、当該技術分野において公知である(枯草菌については、Chang及びCohen、Mol.Gen.Genet.、168巻、111−115頁、1979年;B.メガテリウムについては、Vorobjevaら、FEMS Microbiol.Lett.、7巻、261−263頁、1980年;B.アミロリケフェシエンスについては、Smithら、Appl.Env.Microbiol.、51巻、634頁、1986年;B.チューリンゲンシスについては、Fisherら、Arch.Microbiol.、139巻、213−217頁、1981年;B.スファエリカスについては、McDonald、J.Gen.Microbiol.、130巻、203頁、1984年;B.ラーベについては、Bakhietら、49巻、577頁、1985年、をそれぞれ参照されたい)。さらに、Mannらは、バチルスプロトプラストの形質転換について記載しており(Mannら、Curr.Microbiol.、13巻、131−135頁、1986年)、及び、Holuboraは、DNA含有リポソームを用いて、DNAをプロトプラストに導入する方法について記載している(Holubora、Microbiol.、30巻、97頁、1985年)。好ましい実施態様では、対象遺伝子が宿主細胞中に存在するかどうかを観測するためにマーカー遺伝子が用いられる。
これらの方法に加えて、別の実施態様では、宿主細胞は直接的に形質転換される。“直接形質転換”では、宿主(すなわち、バチルス)細胞中に導入される前のDNA構築物の増殖等を中間細胞を用いて行わない。宿主細胞へのDNA構築物の導入には、プラスミド又はベクターへの挿入を行うことなく宿主細胞をDNAに導入するための、当該技術分野において公知の物理的及び化学的方法が含まれる。そのような方法には、コンピテント細胞の使用、さらに、DNAを細胞に導入するための“人為的手段”(例えば、塩化カルシウム沈降操作、エレクトロポレーション等)の使用が含まれる(ただし、これらに限定されるものではない)。従って、本発明は、ネイキッドDNA、リポソーム等において有用である。更に別の実施態様では、DNA構築物は、プラスミドに挿入されることなく、プラスミドと一緒に形質転換される。
ベクター/プラスミド
細胞における対象タンパク質の発現、生産、及び/又は分泌では、異種及び/又は同種タンパク質をコード化する核酸の少なくとも1のコピーを含む(好ましくは、複数のコピーを含む)発現ベクターが、当該タンパク質の発現に適切な条件下で細胞に導入される。特に好ましい実施態様では、対象タンパク質をコード化する配列は、(ベクターに含まれるその他の配列と同様に)宿主細胞のゲノム中に組込まれる。一方、別の実施態様では、当該プラスミドは、自律性染色体外因子(autonomous extra−chromosomal element)として細胞内に残る。従って、本発明は、宿主細胞ゲノム中に組込まれた入力配列及び染色体外因子の両方を提供する。
本発明の特定の実施態様では、本発明の分泌因子の任意の1以上が、対象タンパク質と同じベクターにおいて宿主細胞に導入される。或いは、別の実施態様では、本発明の分泌因子の任意の1以上が、別個のベクターにおいて宿主細胞に導入される。分泌因子が別個のベクター上にある実施態様では、当該ベクターを用いて、宿主細胞が、対象タンパク質を有する当該ベクターと同時に形質転換される。別の実施態様では、宿主細胞は、連続的に(すなわち、1のベクターを用いた後に、第2のベクターを用いて)形質転換される。
好ましい実施態様では、グラム陽性微生物において本発明の分泌因子を発現するために用いられる発現ベクターは、グラム陽性分泌因子に関連し及び宿主細胞で機能する少なくとも1のプロモーターを含む。本発明の1の実施態様では、当該プロモーターは、選択された分泌因子についての野生型プロモーターである。本発明の別の実施態様では、当該プロモーターは、分泌因子に対して異種であるが、なおも宿主細胞において機能するものである。
組換えDNA法により導入された所望のタンパク質又はポリペプチドをコード化する異種核酸に関連する更なるプロモーターが、本発明において有用である。本発明の1の実施態様では、異種タンパク質又はポリペプチドを過剰発現させることができ、1以上の分泌因子をコード化する核酸は、組換え技術により導入される。本発明の好ましい実施態様では、B,クラウジの分泌関連タンパク質をコード化する核酸が、微生物ゲノム中に安定に組込まれる。別の実施態様では、当該宿主細胞は、本発明の分泌因子を過剰発現するために設計され、及び、組換えDNA技術によって異種タンパク質又はポリペプチドをコード化する核酸が導入される。本発明には、当該技術分野における当業者に公知のその他の分泌因子を過剰発現させ、及び/又は、当業者に公知の又は将来的に特定されるその他の分泌因子を過剰発現させることができるグラム陽性宿主細胞が包含される。
好ましい実施態様では、発現ベクターは、好ましくはベクターに特有の少なくとも1の制限エンドヌクレアーゼ部位を含む多重クローニング部位カセットを含む、それにより、核酸操作の容易性が向上する。好ましい実施態様では、当該ベクターは、また、1以上の選択マーカー(例えば、エリスロマイシン、アクチノマイシン、クロラムフェニコール、及びテトラサイクリン等の抗菌性マーカー)を含む。更なる別の実施態様では、当該技術分野において公知の方法を用いてプラスミドをバチルスのゲノムDNAに組込むために、多コピー複製プラスミドが用いられる。
形質転換体の発現及び同定における宿主細胞の培養
マーカー遺伝子の発現の有無によって対象遺伝子の存在も示唆されるのではあるが、その存在及び発現を確認すべきである。例えば、分泌関連タンパク質をコード化する核酸がマーカー遺伝子配列中に挿入される実施態様では、当該挿入物を含む組換え細胞は、マーカー遺伝子の機能の不存在によって同定される。或いは、マーカー遺伝子は、分泌因子をコード化する核酸と共に、単一のプロモーターの制御下に置かれる。導入又は分泌に応答したマーカー遺伝子の発現は、通常、分泌因子の発現をも示唆する。
或いは、分泌因子に対するコーディング配列を有し、及び/又は対象タンパク質を発現させる宿主細胞は、当該技術分野における当業者に公知の種々の手法によって同定することができる。これらの手法には、DNA−DNA又はDNA−RNAハイブリッド形成、及び、タンパク質バイオアッセイ又はイムノアッセイ技術(例えば、核酸又はタンパク質を検出及び/又は定量するための膜を用いる技術、溶液を用いる技術、又はチップを用いる技術)が含まれる(ただし、これらに限定されるものではない)。
分泌関連タンパク質のポリヌクレオチド配列は、分泌関連タンパク質のいずれか1をコード化するB.クラウジポリヌクレオチド由来のプローブ、タンパク質、又は断片を用いる増幅又はDNA−DNA又はDNA−RNAハイブリッド形成によって検出することができる。
遺伝子産物の測定
分泌されたポリペプチドの活性を検出し測定するための種々の方法が、当該技術分野において公知である。特に、プロテアーゼについて、カゼイン又はヘモグロビンからの酸に可溶性(acid−soluble)のペプチドの放出を、280nmにおける吸収として測定すること又はフォリン法で比色分析すること基づくアッセイが存在する(Bergmeyerら、「Methods of Enzymatic Analysis」、第5巻、“Peptidases,Proteinases,and their Inhibitors”、Verlag Chemie、Weinheim、1984年、を参照)。当該技術分野において公知のその他の方法には、発色基質の可溶化が含まれる(Ward、「Microbial Enzymes and Biotechnology(Fogarty編)」、251−317頁、Applied Science、ロンドン、1983年)。
宿主細胞における異種又は同種タンパク質の分泌レベルを評価し及び分泌タンパク質の検出のための手段には、当該タンパク質に特異的なポリクローナル又はモノクローナル抗体のいずれかを用いる方法が含まれる。それらの例には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射線免疫アッセイ(RIA)、蛍光免疫アッセイ(FIA)、及び蛍光活性化細胞分取法(FACS)が含まれる。これら及びその他のアッセイは、当該技術分野において周知である(例えば、Maddoxら、J.Exp.Med.、158巻、1211頁、1983年)。本発明における1の好ましい実施態様では、本発明の方法及び組成物を用いた場合の分泌は、同様の方法又は組成物を用いるが、ペプチド輸送タンパク質又はペプチド輸送オペロンの遺伝子産物が導入されていない場合に比べて増大する。
タンパク質の精製
好ましい実施態様では、異種又は同種タンパク質をコード化し又は内因的に当該タンパク質を有しているポリヌクレオチド配列で形質転換した細胞は、細胞培養液からのコード化タンパク質の発現及び回収に適切な条件化において培養される。別の実施態様では、その他の組換え構築物は、異種又は同種ポリヌクレオチド配列を、可溶性タンパク質の精製を促進するポリペプチドドメインをコード化するヌクレオチド配列(例えば、種々の標識)に連結する(Krollら、DNA Cell.Biol.、12巻、441−53頁、1993年)。
そのような精製促進ドメインには、固定化金属における精製を可能にするヒスチジン−トリプトファンモジュール等の金属キレートペプチド(Porath、Prot.Expr.Purif.、3巻、263−281頁、1992年)、固定化イムノグロブリンにおける精製を可能にするタンパク質Aドメイン、及びFLAGS伸長/アフィニティー精製システム(Immunex Corp、シアトル、ワシントン州)が含まれる(ただし、これらに限定されるものではない)。精製ドメインと異種タンパク質の間の切断可能リンカー配列、例えば、Factor XA又はエンテロキナーゼ(Invitrogen、サンディエゴ、カルフォルニア州)を用いて、精製を促進することができる。
これまでの記載から明らかなように、本発明は、分泌関連タンパク質をコード化する少なくとも1の遺伝子において、好ましくは復帰不可能(non−revertable)な変異(遺伝子置換を含む)を含む遺伝子組換えグラム陽性宿主微生物を提供する。特定の実施態様では、当該宿主微生物は、更なるプロテアーゼ欠失、例えば、成熟スブチリシンプロテアーゼ及び/又は成熟中性プロテアーゼの欠失を有する(例えば、米国特許第5,264,366号参照)。好ましい実施態様では、当該微生物は、また、所望のタンパク質又はポリヌクレオチドを得るために遺伝子組換えされる。好ましい実施態様では、当該グラム陽性微生物は、バチルス属の一員である。
ここに記載する全ての文献及び特許は、引用により本明細書中に取り込まれる。本発明の方法及びシステムにおける種々の修正及び変更は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本発明を好ましい実施態様について説明したきたが、本発明は特定に好ましい実施態様に過度に限定されるものではないことを理解すべきである。実際、本発明を実施するための形態における種々の変更は、当該技術分野及び/又は関連する技術分野における当業者には明らかであり、本発明の範囲に含まれるものである。
B.クラウジのSpoIIEについての推定アミノ酸配列(配列番号1)を示すものである。 B.クラウジのSpoIIEについてのDNA配列(配列番号2)を示すものである。 図3Aは、B.クラウジのDegUについての推定アミノ酸配列(配列番号3)を示すものである。 図3Bは、B.クラウジのDegSについての推定アミノ酸配列(配列番号29)を示すものである。 図4Aは、B.クラウジのDegUについてのDNA配列(配列番号4)を示すものである。 図4Bは、B.クラウジのDegSについてのDNA酸配列(配列番号30)を示すものである。 B.クラウジのFtsYについての推定アミノ酸配列(配列番号5)を示すものである。 B.クラウジのftsYについてのDNA配列(配列番号6)を示すものである。 B.クラウジのFfhについての推定アミノ酸配列(配列番号7)を示すものである。 B.クラウジのffhについてのDNA配列(配列番号8)を示すものである。 B.クラウジのSecAについての推定アミノ酸配列(配列番号9)を示すものである。 B.クラウジのsecAについてのDNA配列(配列番号10)を示すものである。 B.クラウジのSecDについての推定アミノ酸配列(配列番号11)を示すものである。 B.クラウジのsecDについてのDNA配列(配列番号12)を示すものである。 B.クラウジのSecEについての推定アミノ酸配列(配列番号13)を示すものである。 B.クラウジのsecEについてのDNA配列(配列番号14)を示すものである。 B.クラウジのSecFについての推定アミノ酸配列(配列番号15)を示すものである。 B.クラウジのsecFについてのDNA配列(配列番号16)を示すものである。“M”で表されているヌクレオチド残基は、C又はAであることができるヌクレオチドを意味する。 B.クラウジのSecGについての推定アミノ酸配列(配列番号17)を示すものである。 B.クラウジのsecGについてのDNA配列(配列番号18)を示すものである。 B.クラウジのSecYについての推定アミノ酸配列(配列番号19)を示すものである。 B.クラウジのsecYについてのDNA配列(配列番号20)を示すものである。 spo0B領域における3つの種の間のシンテニー(synteny)を示すものである。逆PCRで処理した染色体を用いて、B.クラウジのspo0B領域における2つのコンティグ(contig)を接続した。得られた閉鎖(closure)により、発生リン酸リレーシグナル伝達系の中心成分に対する遺伝子を含む領域における遺伝子組成の保存(又は欠如)を見ることができる。3つの染色体のyrxAからspo0B領域が保存されており、例えば、B.クラウジのnifSは、これまで接続されていない3つ目のコンティグ上に存在する。枯草菌(B.subtilis)のspo0B領域の上流領域における遺伝子アラインメントは、ここで比較される種類の中でも独自のものである。B.クラウジにおけるspo0B隣接(contiguous)hemEHY領域は、B.ハロデュランス(B.halodurans)におけるABC輸送オペロン及びトランスポザーゼ(transposase)遺伝子によって分離されている。この状況は、クラウジ/ハロデュランスの比較において良く見られるものであり、これらがいずれも100を超えるトランスポザーゼ遺伝子を有していることによるものである。 バチルスにおける胞子形成リン酸リレーを示すものである。この系は、細胞が胞子形成に参加するか否かを決定する主要なシグナルプロセシングシステムである。これは、シグナルセンシングヒスチジンキナーゼと応答制御因子よりなる精密な二成分系で構成される。さらに、種々のシグナルに対する当該システムの微調整は、特異的ホスファターゼ(Rapタンパク質)によって行われ、これは、Phrタンパク質のプロセス形(processed form)である同族体ホスファターゼ阻害ペプチドの機能によって制御される。細菌種における二成分系の大多数では、シグナルが相同系に誤って伝達されることがないように(いわゆる、クロストーク)、キナーゼ/応答制御タンパク質対における精緻な特異的分子認識が必要とされる。緑色は、転写活性及び機能活性を示す。赤線は、転写抑制又は機能不活性化を示す。 枯草菌(Bsu)、B.クラウジ、及びB.ハロデュランス(Bhalo)のリン酸リレー成分タンパク質であるSpo0F、Spo0B、及びSpo0Aの配列を示すものである。3つの種のいずれにも保存されている残基を星印で示す。枯草菌とクラウジに保存されている残基を赤で、クラウジとハロデュランスに保存されているものを青で、及び、枯草菌とハロデュランスに保存されているものを青で示す。当該タンパク質のモザイク性は、Spo0Bタンパク質の比較的低い相同性により裏付けられる。ここで、非保存位置では、B.クラウジ対枯草菌の間で及びB.クラウジとB.ハロデュランスの間で約10%の同一性が観測され、一方、枯草菌とB.ハロデュランスの間では約20%の同一性が観測された。活性部位であるD54(0F)、H30(0B)、及びD56(0A)残基をPiで示す。Spo0AのDNA結合ヘリックス−ターン−ヘリックス配列を、_H−T−H_で示す。応答制御因子間の特異的相互作用(Hoch及びVarughese、J.Bacteriol.、183巻、4941−4949頁、2001年)を提供する(すなわち、クロストークを回避する)残基を、Spo0Fへリックス1(!)、ループ4(#)、及びへリックス5($)について示す。Spo0Bと接触する残基を、Spo0Aの相同残基と同様の記号で示す。これらの特異的残基は、B.ハロデュランスSpo0Aにおける保存的E21D置換を除いて、Spo0F及びSpo0A中に完全に保存される。ただし、Spo0Bの接触残基11のうちの4つのみは、全体として保存され、追加的残基44、45、67、及び100は、同類置換される。これは、リン酸リレーシグナル伝達系におけるパートナーの分子認識における(当該反応は、確実に高い選択性でなければならないにもかかわらず)ある程度の柔軟性に反映され得る。 3つのバチルス種からの推定Rapタンパク質の多重配列アラインメントを示すものである。当該アラインメントは、ClastalWを用いて行った。当該樹系図は、Phylipソフトウェアパッケージを用いて構築した。距離マトリクスの演算処理のために、Dayhoff PAMマトリクスを用いた(ここで、“bh”はバチルス・ハロデュランスからの配列を示し、“bcl”はバチルス・クラウジからの配列を示し、“bs”は枯草菌からの配列を示している)。 本発明が任意の機構や理論によって限定されることを意図するものではないが、当該樹系図は、共通の先祖遺伝子をまず獲得した後に、3つのゲノムにおいて別々に複製されることを示唆している。B.ハロデュランスは、ゲノムにおいてコード化されるRapホスファターゼの数が、枯草菌やクラウジよりも少ないという点で特徴的である。枯草菌RapDは、主なB.クラウジ群に属しない一対のB.クラウジRapタンパク質に最も密接に関連する。Rapホスファターゼ及びその後の潜在的Phrコード化遺伝子(ただし、現段階では未知の機関として解される)と類似する、枯草菌中のYopKは、クラウジbcl80及びハロデュランスBH0061と相同である。B.クラウジbcl80は、YopKよりもはるかに短く、386アミノ酸を有するYopKのN−末端の160のアミノ酸とのみ相同である。BH0061は、4−ジホスホシチジル−2−C−メチル−D−エリスリトールキナーゼとして理解されており、YopKよりも100アミノ酸分短い。 B.クラウジのSipSについての推定アミノ酸配列(配列番号21)を示すものである。 B.クラウジのsipSについてのDNA配列(配列番号22)を示すものである。 B.クラウジのSipTについての推定アミノ酸配列(配列番号23)を示すものである。 B.クラウジのsipTについてのDNA配列(配列番号24)を示すものである。 B.クラウジのSipVについての推定アミノ酸配列(配列番号25)を示すものである。 B.クラウジのsipVについてのDNA配列(配列番号26)を示すものである。 B.クラウジのSipWについての推定アミノ酸配列(配列番号27)を示すものである。 B.クラウジのsipWについてのDNA配列(配列番号28)を示すものである。 バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)からの転写活性遺伝子nprAと相同であるbcl2627についての推定アミノ酸配列(配列番号31)を示すものである。 B.クラウジのbcl2627遺伝子についてのDNA配列(配列番号32)を示すものである。

Claims (44)

  1. バチルス・クラウジの分泌因子を含むヌクレオチド配列であって、当該分泌因子が、SecA、SEcD、SecE、SecF、SecG、SecY、Ffh、FtsY、SipS、SipT、SipV、及びSipWよりなる群から選択される、当該ヌクレオチド配列。
  2. 前記ヌクレオチド配列が、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号8、配列番号6、配列番号22、配列番号24、配列番号26、及び配列番号28よりなる群から選択される、請求項1に記載のヌクレオチド配列。
  3. 低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー、及び高ストリンジェンシーのストリンジェントな条件下で、請求項2に記載のヌクレオチド配列とハイブリッド形成を維持する、ハイブリッド可能なヌクレオチド配列。
  4. 請求項2に記載のヌクレオチドの少なくとも一部を含むベクター。
  5. 少なくとも1の対象ポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列を更に含む、請求項4に記載のベクター。
  6. 請求項4に記載のベクターを含む、発現カセット。
  7. 請求項5に記載のベクターを含む、発現カセット。
  8. 請求項6に記載の発現カセットを含むバチルス属の宿主細胞。
  9. 請求項7に記載の発現カセットを含むバチルス属の宿主細胞。
  10. 前記細胞が、SecA、SEcD、SecE、SecF、SecG、SecY、Ffh、FtsY、SipS、SipT、SipV、及びSipWよりなる群から選択される少なくとも1のB.クラウジ分泌因子を分泌する、請求項9に記載の宿主細胞。
  11. 前記分泌因子が、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号7、配列番号5、配列番号21、配列番号23、配列番号25、及び配列番号27よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の分泌因子。
  12. 前記アミノ酸が、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号7、配列番号5、配列番号21、配列番号23、配列番号25、及び配列番号27よりなる群から選択されるアミノ酸配列の断片を含む、請求項11に記載の分泌因子。
  13. 前記アミノ酸が、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号7、配列番号5、配列番号21、配列番号23、配列番号25、及び配列番号27よりなる群から選択されるアミノ酸配列の変異体を含む、請求項11に記載の分泌因子。
  14. バチルス・クラウジの転写因子を含むヌクレオチド配列であって、当該転写因子が、DegS、DegU、及びBcl2627よりなる群から選択される、当該ヌクレオチド配列。
  15. 前記ヌクレオチド配列が、配列番号4、配列番号30、及び配列番号32よりなる群から選択される、請求項14に記載のヌクレオチド配列。
  16. 低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー、及び高ストリンジェンシーのストリンジェントな条件下で、請求項15に記載のヌクレオチド配列とハイブリッド形成を維持する、ハイブリッド可能なヌクレオチド配列。
  17. 請求項15に記載のヌクレオチドの少なくとも一部を含むベクター。
  18. 少なくとも1の対象ポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列を更に含む、請求項17に記載のベクター。
  19. 請求項17に記載のベクターを含む、発現カセット。
  20. 請求項18に記載のベクターを含む、発現カセット。
  21. 請求項19に記載の発現カセットを含むバチルス属の宿主細胞。
  22. 請求項20に記載の発現カセットを含むバチルス属の宿主細胞。
  23. 前記細胞が少なくとも1のB.クラウジ転写因子を分泌する、請求項22に記載の宿主細胞。
  24. 前記転写因子が、配列番号3、配列番号29、及び配列番号31よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項23に記載の転写因子。
  25. 前記アミノ酸が、配列番号3、配列番号29、及び配列番号31よりなる群から選択されるアミノ酸配列の断片を含む、請求項24に記載の転写因子。
  26. 前記アミノ酸が、配列番号3、配列番号29、及び配列番号31よりなる群から選択されるアミノ酸配列の変異体を含む、請求項24に記載の転写因子。
  27. バチルス・クラウジの胞子形成因子SpoIIEタンパク質を含むヌクレオチド配列。
  28. 前記配列が配列番号2を含む、請求項27に記載のヌクレオチド配列。
  29. 低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー、及び高ストリンジェンシーのストリンジェントな条件下で、請求項28に記載のヌクレオチド配列とハイブリッド形成を維持する、ハイブリッド可能なヌクレオチド配列。
  30. 請求項28に記載のヌクレオチドの少なくとも一部を含むベクター。
  31. 少なくとも1の対象ポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列を更に含む、請求項30に記載のベクター。
  32. 請求項30に記載のベクターを含む、発現カセット。
  33. 請求項31に記載のベクターを含む、発現カセット。
  34. 請求項32に記載の発現カセットを含むバチルス属の宿主細胞。
  35. 請求項33に記載の発現カセットを含むバチルス属の宿主細胞。
  36. 前記細胞が少なくとも1のB.クラウジ胞子形成因子を分泌する、請求項35に記載の宿主細胞。
  37. 前記胞子形成因子が、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項36に記載の転写因子。
  38. 前記アミノ酸が、配列番号1のアミノ酸配列の断片を含む、請求項37に記載の転写因子。
  39. 前記アミノ酸が、配列番号1のアミノ酸配列の変異体を含む、請求項37に記載の転写因子。
  40. 対象タンパク質を生産する方法であって、
    (a)適切な条件下でバチルス宿主細胞を培養する工程であって、ここで、当該バチルス宿主細胞は、対象タンパク質をコード化するヌクレオチド配列を含み、及び、当該宿主細胞は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコード化するヌクレオチド配列によって形質転換されたものである、当該工程;及び、
    (b)対象タンパク質を発現させる工程、
    を含む当該方法。
  41. 前記アミノ酸配列が、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質の配列と少なくとも85%同一である、請求項40に記載の方法。
  42. 前記アミノ酸配列が、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31よりなる群から選択されるアミノ酸配列の変異体であるアミノ酸配列を含む、請求項41に記載の方法。
  43. 前記アミノ酸配列が、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31よりなる群から選択されるアミノ酸配列の断片であるアミノ酸配列を含む、請求項41に記載の方法。
  44. 前記アミノ酸配列がハイブリッドB.クラウジ配列を含む、請求項41に記載の方法。
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