JP2007532114A - バチルスにおけるpckA修飾および増強されたタンパク質発現 - Google Patents

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Abstract

本発明は、pckA遺伝子が修飾または欠失されている、発現タンパク質を生産する改変された能力を有するように遺伝的に操作された細胞を提供する。特に本発明は、1つ以上の染色体遺伝子が修飾または不活性化された(例えば、pckA)関心のあるタンパク質の増強された発現を示すバチルス種のようなグラム陽性細菌に関し、好ましくは1つ以上の染色体遺伝子(例えば、pckA)がバチルス染色体から修飾または欠失されている。更なるいくつかの態様において、対応する野生型バチルス宿主染色体から1つ以上の常在染色体領域が修飾および/または欠失される。
【選択図】図1

Description

本発明は、pckA遺伝子が修飾または除去された発現タンパク質を生産するために改変された能力を有するように遺伝子操作されている細胞を提供する。特に本発明は、1つ以上の染色体遺伝子が修飾および/または不活性化された(例えば、pckA)、および好ましくは1つ以上の染色体遺伝子(例えば、pckA)が修飾および/またはバチルス染色体から除去された関心のあるタンパク質の増強された発現を示すバチルス種のようなグラム陽性菌に関する。いくつかの更なる態様において、1つ以上の常在染色体領域は修飾および/または対応する野生型バチルス宿主染色体から除去されている。
遺伝子工学は、産業バイオリアクター、細胞工場として、および食品発酵において用いられる微生物の改良を可能にしてきた。特にバチルス種は多数の有用なタンパク質および代謝産物を生産および分泌する(ズコウスキー、「商業的価値を有する生産物の生産」、ドイおよびMcGlouglin編『バチルスの生物学−産業への応用』、バターワース・ハイネマン社刊、ストーンハム、マサチューセッツ州、311頁−337頁[1992年])。産業に用いられる最も一般的なバチルス種は、バチルス・リケニフォルミス(B.licheniformis)、バチルス・アミロリケファシエンス(amyloliquefaciens)およびバチルス・スブチルス(B.subtilis)である。それらのGRAS(一般的に認識された安全性)の地位のために、これらバチルス種の菌株は食品および製薬産業において用いられるタンパク質生産用の天然の候補者である。重要な生成酵素には、α−アミラーゼ、中性プロテアーゼ、およびアルカリ(またはセリン)プロテアーゼが含まれる。
しかしながら、バチルス宿主細胞におけるタンパク質生産の理解が進化したとはいえ、これらタンパク質の発現を増大するための方法の必要性が依然として残されている。
発明の要約
本発明はpckA遺伝子が修飾または除去された発現タンパク質を生産するため改変された能力を有するように遺伝子操作された細胞を提供する。特に本発明は、1つ以上の染色体遺伝子が修飾および/または不活性化された(例えば、pckA)、および好ましくは1つ以上の染色体遺伝子(例えば、pckA)が修飾および/またはバチルス染色体から除去された関心のあるタンパク質の増強された発現を示すバチルス種のようなグラム陽性菌に関する。いくつかの更なる態様において、1つ以上の常在染色体領域は修飾および/または対応する野生型バチルス宿主染色体から除去されている。いくつかの好ましい態様において本発明は、バチルスにおける少なくとも一つの関心のあるタンパク質の改善された発現および/または分泌のための方法および組成物を提供する。
特に好ましい態様において、本発明はバチルスにおける少なくとも1つの関心のあるタンパク質の改善された発現および/または分泌のための手段を提供する。これらの態様においてより特別に、本発明は、修飾および/または不活性化された遺伝子が菌株生存のために必要でないバチルス宿主株における1つ以上の染色体遺伝子の修飾および/または不活性化に関する。1つ以上の染色体遺伝子の修飾および/または不活性化の一つの結果は、対応する非改変バチルス宿主株よりも高レベルの関心のあるタンパク質を発現することが可能な改変バチルス株が生産されることである。
さらに別の態様において本発明は、欠失常在染色体領域が株菌生存のために必要でないバチルス宿主株における染色体DNAの広範な領域を除去するための手段を提供する。1つ以上の常在染色体領域の除去の一つの結果は、対応する非改変バチルス株よりも高レベルの関心のあるタンパク質を発現することが可能な改変バチルス菌株が生産されることである。いくつかの好ましい態様においてバチルス宿主株は、関心のあるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む組換え宿主株である。いくつかの特に好ましい態様において、改変バチルス菌株は、バチルス・スブチルス菌株である。以下に詳述するように、欠失常在染色体領域は、プロファージ領域、抗微生物(例えば、抗菌)領域、調節領域、多隣接単一遺伝子領域およびオペロン領域を含むが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、本発明はバチルス種細胞からの関心のあるタンパク質の発現を増強するための方法と組成物を提供する。いくつかの好ましい態様において、この方法は、改変バチルス菌株を生産するためにバチルス宿主株におけるpckA遺伝子を不活性化する工程、適切な培養条件の下で改変バチルス菌株を増殖する工程、および対応する非改変バチルス宿主株と比べてタンパク質の発現が増強される改変バチルスにおいて関心のあるタンパク質が発現可能な工程を含む。他の態様において、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB,phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocDからなる群から選択される1つ以上の追加的な染色体遺伝子は、改変バチルス菌株を産生するためにバチルス宿主株において不活性化され、適切な培養条件の下で改変バチルス菌株を増殖し、および対応する未改変バチルス宿主株に比べてタンパク質の発現が増強される改変バチルス菌において少なくとも一つの関心のあるタンパク質の発現を可能とする。いくつかの態様において、関心のあるタンパク質は相同(homologous)タンパクであり、一方で他の態様において関心のあるタンパク質は異種(hetelogous)タンパクである。いくつかの態様において、1つ以上の関心のあるタンパク質が生産される。いくつかの好ましい態様において、バチルス種はバチルス・スブチルス菌株である。また更なる態様において、染色体遺伝子の不活性化は、改変バチルス菌株を生産するための遺伝子の欠失を含む。追加的な態様において、染色体遺伝子の不活性化は挿入不活性化を含む。いくつかの好ましい態様において、関心のあるタンパク質は酵素である。いくつかの態様において、関心のあるタンパク質はプロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼおよびホスファターゼから選択され、一方で他の態様において、関心のあるタンパク質は抗体、ホルモンおよび成長因子からなる群から選択される。
更に追加的な態様において、本発明はpckA遺伝子の欠失を含む改変バチルス菌株を提供する。一方、他の態様において改変バチルス菌株は更に、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB,phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocDの群より選択された1つ以上の染色体遺伝子における欠失を含む。いくつかの態様において、改変菌株はプロテアーゼ生産バチルス菌株である。別の態様において、改変バチルス菌株はスブチリシン生産菌株である。更に他の態様において、改変バチルス菌株は、さらにdegU、degQ、degS、scoC4、spollE、およびoppAからなる群より選択された遺伝子における突然変異を含む。
更なる態様において、本発明は外来配列を含むDNA構築体を提供する。いくつかの態様において外来配列には、選択マーカーおよびpckA遺伝子を含む遺伝子および/または遺伝子断片が含まれる。更なる態様において、外来配列はさらにsbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB、phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocDからなる群から選択される遺伝子および/遺伝子断片を含む。別の態様において、選択マーカーは二つの遺伝子断片の間に位置している。他の態様において、外来配列は選択マーカーおよび該マーカーの5’および/または3’末端に隣接するホモロジーボックスを含む。追加的な態様において、宿主細胞はDNA構築体を用いて形質転換される。更なる態様において、宿主細胞は大腸菌(大腸菌)またはバチルス細胞である。いくつかの好ましい態様において、DNA構築体は宿主細胞の染色体に組み込まれる。
また本発明は、本発明のDNA構築体を用いて、バチルス宿主細胞を形質転換することを含む関心のあるタンパク質を発現する改変バチルス菌株を得るための方法を提供する。ここでDNA構築体はバチルス宿主細胞の染色体に組み込まれており、1つ以上の染色体遺伝子が不活性化されている改変バチルス菌株を産生し、および少なくとも一つの関心のあるタンパク質の発現のために、適切な培養条件下で改変バチルス菌株を増殖する。いくつかの態様において、関心のあるタンパク質は、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼおよびホスファターゼから選択され、一方で他の態様において関心のあるタンパク質は、抗体、ホルモンおよび成長因子からなる群より選択される。更に追加的な態様において、バチルス宿主菌株は、バチルス・リケニフォルミス(B.licheniformis)、バチルス・レントゥス(B.lentus)、バチルス・スブチルス(B.subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(B.brevis)、バチルス・ステアロテルモフィルス(B.stearothermophilus)、バチルス・アルカロフィルス(B.alkalophilus)、バチルス・コアグランス(B.coagulans)、バチルス・サーキュランス(B.circulans)、バチルス・プミルス(B.pumilus)、バチルス・チューリンギエンシス(B.thuringiensis)、バチルス・クラウシ(B.clausii)、バチルス・メガテリウム(B.megaterium)からなる群より選択され、好ましくはバチルス・スブチルスである。いくつかの態様において、バチルス宿主菌株は組み換え宿主である。更に追加的な態様において、関心のあるタンパク質は回収される。更なる態様において、選択マーカーは改変バチルスから切り出される。
更に本発明は、関心のあるタンパク質を発現する改変バチルス菌株を得る方法を提供する。いくつかの態様において前記方法は、選択マーカーおよびpckAを含む外来配列を含むDNA構築体を用いてバチルス宿主を形質転換する工程を含む。更なる態様において外来配列はさらに、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB,phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocDからなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子を含む。ここでDNA構築体は、バチルス宿主細胞の染色体へ組み込まれ、1つ以上の遺伝子の欠失をもたらし、改変バチルス菌株を獲得し、および関心のあるタンパク質の発現のために適切な培養条件下で改変バチルス菌株を増殖する。
いくつかの代替的な態様において、本発明は外来配列を含むDNA構築物を提供する。ここで外来配列には、選択マーカーおよびcssS遺伝子、cssS遺伝子断片またはそれらと相同配列が含まれる。いくつかの態様において、選択マーカーは、遺伝子の二つの断片の間に位置する。他の態様において、外来配列は選択マーカーおよび該マーカーの5’および/または3’末端に隣接するホモロジーボックスを含む。更に他の態様において、宿主細胞はDNA構築体を用いて形質転換される。追加的な態様において、宿主細胞は大腸菌またはバチルス細胞である。また、更なる態様において、DNA構築体は宿主細胞の染色体に組み込まれる。
また本発明は、増強されたプロテアーゼ生産を示すバチルス・スブチルス菌株を得るための方法を提供する。いくつかの態様において、前記方法は以下の工程を含んでいる。すなわち、本発明に従ってDNA構築体を用いてバチルス・スブチルス宿主細胞を形質転換する工程、DNA構築体とpckAが除去されているバチルス染色体の相同領域との相同組換を可能とする工程、改変バチルス・スブチルス菌株を得る工程、およびプロテアーゼの発現のための適切な条件下で改変バチルス菌株を増殖する工程である。更なる態様において、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB,phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocFおよびrocDの遺伝子の少なくとも一つが、バチルス染色体から欠失され、改変バチルス・スブチルス菌株を獲得し、プロテアーゼの発現のための適切な条件下で改変バチルス菌株を増殖する。いくつかの態様において、プロテアーゼ生産バチルスは、スブチリシン生産菌株である。他の態様において、プロテアーゼは異種プロテアーゼである。更なる態様において、前記プロテアーゼ生産株にはさらに、degU、degQ、degS、scoC4、spollE、およびoppAからなる群より選択される遺伝子における突然変異が含まれる。いくつかの態様において、不活性化は遺伝子の挿入不活性化を含む。
更に本発明は、一つのpckAの欠失を含む改変バチルス・スブチルス菌株を提供する。ここで、前記改変バチルス・スブチルス菌株は、少なくとも一つの関心のあるタンパク質の発現が可能である。更なる態様において、少なくとも一つの関心のあるタンパク質の発現が可能である改変バチルス・スブチルス菌株は、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB,phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocFおよびrocDからなる群より選択される一つ以上の染色体遺伝子の欠失を含む。いくつかの態様において、関心のあるタンパク質は酵素である。いくつかの更なる態様において、関心のあるタンパク質は異種タンパクである。
いくつかの態様において本発明は、1つ以上の常在染色体領域またはその断片の欠失を含む改変バチルス菌株を提供する。ここで、前記常在染色体領域は約0.5から500キロベース(kb)を含み、および改変バチルス菌株は、基本的に同一の培養条件下で増殖する場合、対応する未改変バチルス菌株に比べて関心のあるタンパク質の増強された発現レベルを有する。いくつかの好ましい態様において、これらの改変バチルス菌株はpckA遺伝子の欠失を含む。
さらに追加的な態様において本発明は、PBSX領域、皮膚(skin)領域、プロファージ7領域、SPβ領域、プロファージ1領域、プロファージ2領域、プロファージ3領域、プロファージ4領域、プロファージ5領域、プロファージ6領域、PPS領域、PKS領域、yvfF−yveK領域、DHB領域およびそれらの断片からなる群より選択される常在染色体領域の少なくとも一つの欠失を含むプロテアーゼ生産バチルス菌株を提供する。
更なる態様において、本発明はバチルスにおける少なくとも一つの関心のあるタンパク質の発現を増強するための以下の工程を含む方法を提供する。すなわち、選択マーカーおよび不活性化染色体断片を含むDNA構築体をバチルス宿主菌株に導入することによって生産された改変バチルスを得、ここでDNA構築物はバチルス染色体へ組み込まれる工程、バチルス宿主細胞からの常在染色体領域またはそれらの断片の欠失をもたらす工程、および、適切な培養条件下で改変バチルス菌株を増殖し、ここで関心のあるタンパク質の発現が未改変バチルス宿主細胞に対応している場合と比べて、関心のあるタンパク質の発現が、改変バチルス菌株においてより大きい工程を含む方法である。
また本発明は、バチルス菌株から少なくとも一つの関心のあるタンパク質を得るための以下の工程を含む方法を提供する。すなわち、選択マーカーおよび不活性化染色体部分を含むDNA構築体を用いてバチルス宿主細胞を形質転換し、ここでDNA構築体はバチルス菌株の染色体に組み込まれ、改変バチルス菌株を形成するために常在染色体領域またはそれらの断片の欠失をもたらす工程、関心のあるタンパク質の発現を可能とする適切な培養条件下で改変バチルス菌株を増殖する工程、および関心のあるタンパク質を回収する工程を含む方法である。
また本発明は、有益な突然変異をスクリーニングおよび/または同定するためのDNAマイクロアレイデータの利用手段を提供する。いくつかの特に好ましい態様において、これらの突然変異はpckA遺伝子を含む。更なる態様において、突然変異はtrpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、rocA、ycgN、ycgM、rocFおよびrocDからなる群より選択される遺伝子を含む。いくつかの好ましい態様において、これらの有益な突然変異は、所定のアミノ酸生合成経路および生分解経路の同時発現に関するトランスクリプトームの証拠、および/または分解経路がより高い実績の菌株をもたらすという証拠、および/または生合成経路の過剰発現がより高い実績の菌株をもたらすという証拠に基づく。追加的な様態において、本発明は、有益な突然変異を提供するためのDNAマイクロアレイデータの利用手段を提供する。いくつかの好ましい態様において、これらの突然変異はpckA遺伝子を含む、他方更なる態様において、アミノ酸生合成経路が非均衡で、全経路の過剰発現が親(すなわち、野生型および/または出発)菌株よりも高い実績を提供する場合、これらの突然変異はtrpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、rocA、ycgN、ycgM、rocFおよびrocDからなる群より選択される遺伝子を含む。更に本発明は、糖新生遺伝子の不活性化を通じて菌株生産を改善するための手段を提供する。これらの好ましいいくつかの態様において、不活性化された糖新生遺伝子は、pckA、gapB、およびfbp〜なる群より選択される。
本発明は、少なくとも一つのバチルス由来の関心のあるタンパク質の発現を増強するための以下の工程を含む方法を提供する。すなわち、関心のあるタンパク質を生産することが可能な改変バチルス菌株を得、ここで改変バチルス菌株は不活性化されたpckA染色体遺伝子を有し、および発現が未改変バチルス宿主菌株における関心のあるタンパク質の発現と比べて増強されている関心のあるタンパク質が改変バチルス菌株により発現されるような条件下で改変バチルス菌株を増殖する工程を含む方法である。更なる態様において改変バチルス菌株は更に、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB,phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocFおよびrocDからなる群より選択される少なくとも一つの不活性化された染色体遺伝子を含み、発現が未改変バチルス宿主菌株における関心のあるタンパク質の発現と比べて増強される。関心のあるタンパク質が改変バチルス菌株によって発現されるような条件下で改変バチルス菌株を増殖する。いくつかの態様において、関心のあるタンパク質は相同タンパクおよび異種タンパクからなる群より選択される。いくつかの態様において、関心あるタンパクは、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼおよびホスファターゼから選択され、一方で他の態様において関心のあるタンパク質は抗体、ホルモンおよび成長因子からなる群より選択される。いくつかの特に好ましい態様において、関心のあるタンパク質はプロテアーゼである。いくつかの追加的な態様において、改変バチルス菌株はpckAの欠失によって得られ、一方で他の態様において、改変バチルス菌株は更に、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB、phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocDからなる群より選択される1つ以上の染色体遺伝子の欠失によって得られる。
また本発明は、本発明に記述された方法を用いて得られる改変バチルス菌株を提供する。いくつかの好ましい態様において、改変バチルス菌株はpckA遺伝子の染色体欠失を含み、一方、他の態様において改変バチルス菌株は更にsbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB、phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocDからなる群より選択される1つ以上の染色体遺伝子の欠失を含む。いくつかの態様において、1つより多くのこれらの染色体遺伝子が除去されている。いくつかの特に好ましい態様において、改変菌株はバチルス・スブチルス菌株である。追加的な好ましい態様において、改変バチルス菌株は、プロテアーゼ生産菌株である。いくつかの特に好ましい態様において、プロテアーゼはスブチリシンである。更に追加的な態様において、スブチリシンはスブチリシン168、スブチリシンBPN’、スブチリシン・カールスバーグ、スブチリシンDY、スブチリシン147、スブチリシン309、およびそれらの変異体からなる群より選択される。また更なる態様において、改変バチルス菌株は更に、degU、degQ、degS、scoC4、spollE、およびoppAからなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子、または複数の突然変異を含む。いくつかの特に好ましい態様において、改変バチルス菌株は更に関心のある異種タンパクを含む。
また本発明は、pckA遺伝子を含むDNA構築体を提供する。追加的な態様において、本発明は、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB、phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocD、それらの遺伝子断片、およびそれらとの相同配列からなる群から選択される少なくとも一つの遺伝子を更に含むDNA構築体を提供する。いくつかの好ましい態様において前記DNA構築体は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号39、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号37、配列番号25、配列番号21、配列番号50、配列番号29、配列番号23、配列番号27、配列番号19、配列番号31、配列番号48、配列番号46、配列番号35、および配列番号33からなる群より選択される少なくとも一つの核酸を含む。いくつかの態様において前記DNA構築体は、更に少なくとも一つの関心のあるタンパク質をコードする少なくとも一つのポリヌクレオチド配列を含む。
また本発明は、DNA構築体を含むプラスミドを提供する。更なる態様において、本発明はDNA構築体を含むプラスミドを含む宿主細胞を提供する。いくつかの態様において、前記宿主細胞は、バチルス細胞および大腸菌細胞からなる群より選択される。いくつかの好ましい態様において、前記宿主細胞はバチルス・スブチルスである。いくつかの特に好ましい態様において、DNA構築体は宿主細胞の染色体に組み込まれている。他の態様において、DNA構築体は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号38、配列番号26、配列番号22、配列番号57、配列番号30、配列番号24、配列番号28、配列番号20、配列番号32、配列番号55、配列番号53、配列番号36、および配列番号34からなる群より選択される少なくとも一つのアミノ酸配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む。追加的な態様において、DNA構築体はさらに少なくとも一つの選択的マーカーを含む。ここで前記選択的マーカーは、遺伝子断片またはそれらと相同な遺伝子配列によってそれぞれの横に位置する。
また本発明は、関心のあるタンパク質をコードする核酸を含む外来配列を含んだDNA構築体、およびpckA遺伝子のコーディング領域に直接隣接する配列と80〜100%の配列同一性を有する核酸配列を含むホモロジーボックスを用いてそれぞれに隣接した選択マーカーを提供する。追加的な態様において、外来配列は更に、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB,phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocDからなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子を含む。いくつかの態様において、前記DNA構築体はさらに、遺伝子のコード配列に隣接する少なくとも一つの核酸を含む。また本発明は、DNA構築体を含むプラスミドを提供する。更なる態様において、本発明は、DNA構築体を含むプラスミドを含む宿主細胞を提供する。いくつかの態様において、前記宿主細胞は、バチルス細胞および大腸菌細胞からなる群より選択される。いくつかの好ましい態様において、宿主細胞はバチルス・スブチルスである。いくつかの特に好ましい態様において、前記DNA構築体は宿主細胞の染色体に組み込まれる。更に好ましい態様において、前記選択マーカーは宿主細胞染色体から切り出されている。
本発明は更に、強化されたプロテアーゼ生産を有する改変バチルス菌株を得るための以下の工程を含む方法を提供する。すなわち、本発明の少なくとも一つのDNA構築体を用いたバチルス宿主細胞を形質転換し、ここでDNA構築体における関心のあるタンパク質はプロテアーゼであり、およびDNA構築体は、少なくとも一つの遺伝子が改変バチルス菌株を生産するために不活性化されるような条件下でバチルス宿主細胞の染色体に組み込まれる工程、および強化されたプロテアーゼ生産が得られるような条件下で改変バチルス菌株を増殖する工程を含む方法である。いくつかの特に好ましい態様において、前記方法は更にプロテアーゼを回収する工程を含む。他の好ましい態様において、少なくとも一つの不活性化遺伝子は改変バチルス菌株の染色体から欠失される。本発明はまた、本発明に記述した方法を用いて生産される改変バチルス菌株を提供する。いくつかの態様において、バチルス宿主菌株は、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・レントゥス、バチルス・スブチルス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステアロテルモフィルス、バチルス・アルカロフィルス、バチルス・コアグランス、バチルス・サーキュランス、バチルス・プミルス、バチルス・ラトゥス、バチルス・クラウシ、バチルス・メガテリウム、およびバチルス・チューリンギエンシスからなる群より選択される。いくつかの好ましい態様において、前記バチルス宿主細胞はバチルス・スブチルスである。
本発明はまた、改変バチルスにおける増強されたプロテアーゼの発現のための以下の工程を含む方法を提供する。すなわち、本発明のDNA構築体を用いてバチルス宿主細胞を形質転換する工程、DNA構築体およびバチルス宿主細胞の染色体領域の相同組換えを可能とし、ここで改変バチルス菌株を生産するために少なくとも一つのバチルス宿主細胞の染色体遺伝子が不活性化される工程、およびプロテアーゼの発現のために好適な条件下で改変バチルス菌株を増殖し、ここでプロテアーゼの生産が形質転換に先立つバチルス・スブチルス宿主とくらべて改変バチルス・スブチルス宿主においてより大きい工程を含む方法である。いくつかの好ましい態様において、前記プロテアーゼはスブチリシンである。追加的な態様において、前記プロテアーゼは組み換えプロテアーゼである。さらに更なる態様において、不活性化は、少なくとも一つの遺伝子の欠失により達成される。また更なる態様において、不活性化は少なくとも一つの遺伝子の挿入不活性化により達成される。本発明はまた、本発明に記述される方法を用いて得られた改変バチルス菌株を提供する。いくつかの態様において、改変バチルス菌株は不活性化されたpckA遺伝子を含む。追加的な態様において、改変バチルス菌株はさらに、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB、phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocDからなる群より選択された少なくとも一つの不活性化される遺伝子を含む。いくつかの好ましい態様において、不活性化された遺伝子は欠失により不活性化されている。追加的な態様において、改変バチルス菌株は更に、degU、degS、degQ、scoC4、spollE、およびoppAからなる群より選択される遺伝子における少なくとも一つの突然変異を含む。いくつかの好ましい態様において、前記突然変異はdegU(Hy)32である。また更なる態様において、前記菌株は組み換えプロテアーゼ生産菌株である。いくつかの好ましい態様において、前記改変バチルス菌株は、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・レントゥス、バチルス・スブチルス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステアロテルモフィルス、バチルス・アルカロフィルス、バチルス・コアグランス、バチルス・サーキュランス、バチルス・プミルス、バチルス・ラトゥス、バチルス・クラウシ、バチルス・メガテリウム、およびバチルス・チューリンギエンシスからなる群より選択される。
本発明はまた、1つ以上の常在染色体領域またはそれらの断片の欠失を含む改変バチルス菌株を提供する。ここで常在染色体領域は、約0.5k〜500kbを含み、および改変および未改変バチルス菌株が基本的に同じ培養条件下で増殖する場合、改変バチルス菌株は対応する未改変バチルス菌株と比べて強化された関心のあるタンパク質の発現レベルを有する。好ましい態様において、前記改変バチルス菌株はバチルス・リケニフォルミス、バチルス・レントゥス、バチルス・スブチルス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステアロテルモフィルス、バチルス・アルカロフィルス、バチルス・コアグランス、バチルス・サーキュランス、バチルス・プミルス、バチルス・ラトゥス、バチルス・クラウシ、バチルス・メガテリウム、およびバチルス・チューリンギエンシスからなる群より選択される。いくつかの好ましい態様において、前記改変バチルス菌株は、バチルス・スブチルス、バチルス・リケニフォルミス、およびバチルス・アミロリケファシエンスからなる群より選択される。いくつかの特に好ましい態様において、改変バチルス菌株はバチルス・スブチルス菌株である。また更なる態様において、前記常在染色体領域はPBSX領域、皮膚領域、プロファージ7領域、SPβ領域、プロファージ1領域、プロファージ2領域、プロファージ3領域、プロファージ4領域、プロファージ5領域、プロファージ6領域、PPS領域、PKS領域、yvfF−yveK領域、DHB領域、およびそれらの断片からなる群より選択される。いくつかの好ましい態様において、二つの常在染色体領域またはそれらの断片は欠失されている。いくつかの態様において、少なくとも一つの関心のあるタンパク質は、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼおよびホスファターゼから選択され、一方、他の態様において関心のあるタンパク質は、抗体、ホルモンおよび成長因子からなる群から選択される。また、追加的な態様において、関心のあるタンパク質はプロテアーゼである。いくつかの好ましい態様において、プロテアーゼはスブチリシンである。いくつかの特に好ましい態様において、スブチリシンはスブチリシン168、スブチリシンBPN’、スブチリシン・カールスバーグ、スブチリシンDY、スブチリシン147、スブチリシン309、およびそれらの変異体からなる群より選択される。更に好ましい態様において、前記バチルス宿主細胞は組み換え菌株である。いくつかの特に好ましい態様において、前記改変バチルス菌株は、degU、degQ、degS、scoC4、spollE、およびoppAからなる群より選択される遺伝子における少なくとも一つ突然変異を含む。いくつかの好ましい態様において、前記突然変異はdegU(Hy)32である。
本発明は更に、PBSX領域、皮膚領域、プロファージ7領域、SPβ領域、プロファージ1領域、プロファージ2領域、プロファージ3領域、プロファージ4領域、プロファージ5領域、プロファージ6領域、PPS領域、PKS領域、yvfF−yveK領域、DHB領域、およびそれらの断片からなる群より選択される常在染色体領域の欠失を含むプロテアーゼ生産バチルス菌株を提供する。いくつかの好ましい態様において、前記プロテアーゼはスブチリシンである。いくつかの態様において、前記プロテアーゼは異種プロテアーゼである。いくつかの特に好ましい態様において、前記改変バチルス菌株は、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・レントゥス、バチルス・スブチルス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステアロテルモフィルス、バチルス・アルカロフィルス、バチルス・コアグランス、バチルス・サーキュランス、バチルス・プミルス、バチルス・ラトゥス、バチルス・クラウシ、バチルス・メガテリウム、およびバチルス・チューリンギエンシスからなる群より選択される。追加的な態様において、バチルス菌株はバチルス・スブチルス菌株である。
また本発明は、バチルスにおける関心のあるタンパク質の発現を強化する、以下の工程を含む方法を提供する。すなわち、選択マーカーおよび不活性化された染色体部分を含んだDNA構築体をバチルス宿主菌株へ導入し、ここでDNA構築体はバチルス宿主菌株の染色体に組み込まれ、改変バチルス菌株を生産するためにバチルス宿主細胞からの常在染色体領域またはその断片の欠失をもたらす工程、および好適な条件下で改変バチルス菌株を増殖し、ここで関心のあるタンパク質の発現が、改変されてないバチルス宿主細胞における関心のあるタンパク質の発現に比べて改変バチルス菌株においてより大きい工程を含む方法である。いくつかの好ましい態様において、前記方法は更に関心のあるタンパク質を回収する工程を含む。いくつかの態様において、前記方法は更に改変バチルス菌株から選択マーカーを切り出す工程を含む。追加的な態様において、前記常在染色体領域はPBSX、皮膚、プロファージ7、SPβ、プロファージ1、プロファージ2、プロファージ3、プロファージ4、プロファージ5、プロファージ6、PPS、PKS、yvfF−yveK、DHB、およびそれらの断片からなる群より選択される。更なる態様において、前記改変バチルス菌株は少なくとも二つの常在染色体領域の欠失を含む。いくつかの好ましい態様において、関心のあるタンパク質は酵素である。いくつかの態様において、関心のあるタンパク質はプロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼおよびホスファターゼから選択され、一方、他の態様において関心のあるタンパク質は、抗体、ホルモンおよび成長因子からなる群から選択される。いくつかの態様において、前記バチルス宿主菌株はバチルス・リケニフォルミス、バチルス・レントゥス、バチルス・スブチルス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステアロテルモフィルス、バチルス・クラウシ、バチルス・アルカロフィルス、バチルス・コアグランス、バチルス・サーキュランス、バチルス・プミルス、およびバチルス・チューリンギエンシスからなる群より選択される。本発明はまた、本発明に記述した方法を用いて生産された改変バチルス菌株を提供する。
また本発明は、バチルス菌株から関心のあるタンパク質を得るための、以下の工程を含む方法を提供する。すなわち、選択マーカーおよび不活性化された染色体部分を含むDNA構築体を用いてバチルス宿主細胞を形質転換し、ここで前記DNA構築体はバチルス菌株の染色体に組み込まれ、改変バチルス菌株を生産するために常在染色体領域またはその断片の欠失を生じる工程、関心のあるタンパク質の発現を可能とする好適な培養条件下で改変バチルス菌株を増殖する工程、および関心のあるタンパク質を回収する工程を含む方法である。いくつかの好ましい態様において、関心のあるタンパク質は酵素である。いくつかの特に好ましい態様において、バチルス宿主は関心のあるタンパク質をコードする異種遺伝子を含む。追加的な態様において、バチルス宿主細胞はバチルス・リケニフォルミス、バチルス・レントゥス、バチルス・スブチルス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステアロテルモフィルス、バチルス・クラウシ、バチルス・アルカロフィルス、バチルス・コアグランス、バチルス・サーキュランス、バチルス・プミルス、およびバチルス・チューリンギエンシスからなる群より選択される。いくつかの好ましい態様において、前記常在染色体領域はPBSX、皮膚、プロファージ7、SPβ、プロファージ1、プロファージ2、プロファージ3、プロファージ4、プロファージ5、プロファージ6、PPS、PKS、yvfF−yveK、DHB、およびそれらの断片からなる群より選択される。いくつかの特に好ましい領域において、前記改変バチルス菌株はさらに、degU、degQ、degS、scoC4、spollE、およびoppAからなる群より選択される遺伝子における少なくとも一つの突然変異を含む。いくつかの態様において、関心のあるタンパク質はプロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼおよびホスファターゼからなる群から選択される酵素である。いくつかの特に好ましい態様において、酵素はプロテアーゼである。いくつかの好ましい態様において、関心のあるタンパク質は酵素である。他の態様において、関心のあるタンパク質は、抗体、ホルモンおよび成長因子からなる群から選択される。
更に本発明はバチルスにおける関心のあるタンパク質の発現を強化するための以下の工程を含む方法を提供する。すなわち、少なくとも一つのバチルス細胞から核酸を得る工程、少なくとも一つの関心ある遺伝子を同定するために、前記バチルス細胞由来の核酸についてトランスクリプトームDNAアレイ分析を行う工程、DNA構築体を生産するために少なくとも一つの関心のある遺伝子を修飾する工程、および改変バチルス菌株を生産するためにDNA構築体をバチルス宿主細胞に組み込む工程を含む方法である。ここで前記改変バチルス菌株は、改変されてないバチルスにおける関心のあるタンパク質の発現に比べて、関心のあるタンパク質の発現が強化されるような条件下で関心のあるタンパク質を生産することが可能である。いくつかの態様において、関心のあるタンパク質は、アミノ酸生合成経路および生分解経路を含む群より選択される少なくとも一つの生化学的経路と関連する。いくつかの態様において、前記方法は少なくとも一つの生分解経路の無効化することを含む。いくつかの態様において、生分解経路は、関心ある遺伝子の転写のために無効になる。しかしながら、このことにより、前記方法が関心のあるタンパク質の強化された発現が引起こす細胞内部における他の生化学的経路の修飾に利用されると考えられるように、本発明がこれらの経路に制限されることを意味しない。いくつかの特に好ましい態様において、前記バチルス宿主は関心のあるタンパク質をコードする異種遺伝子を含む。追加的な態様において、前記バチルス宿主細胞はバチルス・リケニフォルミス、バチルス・レントゥス、バチルス・スブチルス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステアロテルモフィルス、バチルス・クラウシ、バチルス・アルカロフィルス、バチルス・コアグランス、バチルス・サーキュランス、バチルス・プミルス、およびバチルス・チューリンギエンシスからなる群より選択される。いくつかの態様において、前記関心のあるタンパク質は酵素である。いくつかの好ましい態様において、前記関心のあるタンパク質はプロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼおよびホスファターゼから選択され、一方、他の態様において関心のあるタンパク質は、抗体、ホルモンおよび成長因子からなる群から選択される。
更に本発明は、バチルスにおける関心のあるタンパク質の発現を強化するための以下の工程を含む方法を提供する。すなわち、少なくとも一つのバチルス細胞から少なくとも一つの関心のある遺伝子を含む核酸を得る工程、前記核酸を断片化する工程、前記少なくとも一つの関心のある遺伝子を含む増幅された断片のプールを生産するために前記断片を増幅する工程、DNA構築体を生産するために前記増幅した断片を結合する工程、改変バチルス菌株を生産するために前記DNA構築体をバチルス宿主細胞へ直接的に形質転換する工程、および改変されていないバチルスにおける前記関心のあるタンパク質の発現と比べて、前記関心のあるタンパク質の発現が強化されるような条件下で前記改変バチルス菌株を増殖する工程を含む方法である。いくつかの好ましい態様において、前記増幅はポリメラーゼ連鎖反応の利用を含む。いくつかの態様において、改変バチルス菌株は、prpC、sigD、およびtdh/kblからなる群より選択される修飾遺伝子を含む。いくつかの特に好ましい態様において、前記バチルス宿主は関心あるタンパク質をコードする異種遺伝子を含む。追加的な態様において、前記バチルス宿主細胞は、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・レントゥス、バチルス・スブチルス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステアロテルモフィルス、バチルス・クラウシ、バチルス・アルカロフィルス、バチルス・コアグランス、バチルス・サーキュランス、バチルス・プミルス、およびバチルス・チューリンギエンシスからなる群より選択される。いくつかの態様において、前記関心のあるタンパク質は酵素である。いくつかの好ましい態様において、前記関心のあるタンパク質はプロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼおよびホスファターゼから選択され、一方、他の態様において関心のあるタンパク質は、抗体、ホルモンおよび成長因子からなる群より選択される。
更に本発明は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号39、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号37、配列番号25、配列番号21、配列番号50、配列番号23、配列番号27、配列番号19、配列番号31、配列番号48、配列番号46、配列番号35、および配列番号33からなる群より選択される核酸配列に示された配列を含む単離核酸を提供する。
また本発明は、アミノ酸をコードする単離核酸配列を提供する。ここで前記アミノ酸は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号38、配列番号26、配列番号22、配列番号57、配列番号24、配列番号28、配列番号20、配列番号32、配列番号55、配列番号53、配列番号36、および配列番号34からなる群より選択される。
更に本発明は単離アミノ酸配列を提供する。ここで前記アミノ酸配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号38、配列番号26、配列番号22、配列番号57、配列番号24、配列番号28、配列番号20、配列番号32、配列番号55、配列番号53、配列番号36、および配列番号34からなる群より選択される。
図面の簡単な説明
図1.パネルAおよびBは、本発明によって提供される1つの方法(「方法1」実施例1を参照されたい)の一般的な概念図を示す。この方法において、遺伝子に隣接する領域および/または常在染色体領域は野生型バチルス染色体外で増幅され、制限酵素(少なくともBamHIを含む)を用いて切断され、およびpJM102へ結合される。前記構築体は大腸菌によりクローン化され、そのプラスミドは単離され、BamHIを用いて線状化され、相補末端を用いて抗菌マーカーに結合される。大腸菌における再度のクローンニングの後、液体カルチャーが培養され、バチルス宿主菌株(好ましくはコンピテントなバチルス宿主菌株)の形質転換プラスミドDNAを単離するために使用される。
図2は、本発明のいくつかの態様に従ったDNAカセットの構築において使用されるプライマーの位置を示す。この図は本発明で使用したプライマー表記システムの説明を提供する。プライマー1および4は、欠失の存在を点検するために使用される。これらのプライマーは、「DeletionX−UF−chk」および「DeletionX−UR−chk−del」と呼ばれる。DeletionX−UF−chkはまた、染色体におけるカセットの存在の陽性チェック用の、抗菌マーカー(プライマー11:例えば、PBSX−UR−chk−Delと呼ばれる)内のリバースプライマーを用いたPCR反応において使用される。プライマー2および6は、前記上流隣接領域を増幅するために使用される。これらのプライマーは「DeletionX−UF」および「DeletionX−UR」と呼ばれ、ブラック・バーティカル・バー(black vertical bar)における組換え制限部位を含む。プライマー5および8は下流隣接領域の増幅に使用される。これらのプライマーは「DeletionX−DF」および「DeletionX−DR」と呼ばれる。これらのプライマーは、連結およびクローニング用の操作されたBamHI部位、あるいはPCR融合用のバチルス・スブチルス染色体の適切な部分と相同である25塩基対テイルのいずれかを含むことが可能である。いくつかの態様において、プライマー3および7はPCR溶解によって作製されたカセットの場合と同様、カセットを融合するために使用されるが、一方、他の態様において挿入の存在を点検するために使用される。これらのプライマーは「DeletionX−UF−nested」および「DeletionX−DR−nested」と呼ばれる。いくつかの態様において、「抗菌マーカー」に対応する配列は、Spc耐性マーカーであり、除去される領域はcssS遺伝子である。
図3は、本発明の一つの方法(「方法2」、実施例2を参照されたい)の一般的な概念図である。隣接領域は、選択マーカー配列に相補的な配列の25bpを含むように操作される。前記選択マーカー配列はまた、1つの隣接領域のDNAに相補的な25bp末端を含む。隣接領域の末端付近のプライマーは、単一の反応管において、全3つのテンプレートを増幅するために使用され、それによって融合断片が作られる。この融合断片またはDNA構築体は、コンピテントなバチルス宿主菌株に直接形質転換される。
図4は、バチルスDHB欠失クローンの電気泳動ゲルを示す。レーン1および2は、プライマー1および11を用いて増幅されたDHB欠失を保有する二つの菌株、および不活性化された染色体部分の上流からフレオマイシンマーカーへ増幅された1.2kbバンドを示す。レーン3はこの反応についての野生型コントロールを示す。非特異的な増幅のみが観察される。レーン4および5は、プライマー9および12を用いて増幅されるDHB欠失菌株を示す。この2kbバンドは、不活性化された染色体部分の抗菌領域を通じて下流部分以下まで増幅する。レーン6はこの反応のための負のコントロールであり、バンドは示されてない。レーン7および8は、プライマー1および4を用いて増幅される欠失菌株を示し、図によりDHB領域が欠落していることが確認できる。レーン9は野生型コントロールである。
図5は、slrがslr遺伝子の欠失をもたらすフレオマイシン(phleo)マーカーによって置換されるバチルス・スブチルス(野生型)の生産菌株の二つのクローンのゲル電気泳動を示す。レーン1および2は、位置1および11におけるプライマーを用いて増幅されたクローンを示す。レーン3は、同一のプライマーを用いて増幅された野生型染色体DNAである。1.2kbバンドは、挿入について観察される。レーン4および5は、位置9および12におけるプライマーを用いて増幅されたクローンを示す。レーン6は、同一のプライマーを用いて増幅された野生型染色体DNAである。正しい形質転換体は2kbバンドを含む。レーン7および8は、位置2および4におけるプライマーを用いて増幅されたクローンを示す。レーン9は、同一のプライマーを用いて増幅された野生型染色体DNAである。欠失菌株についてバンドは観察されないが、約1kbのバンドが野生型において観察される。参照は、プライマー位置の説明のために図2でなされる。
図6は、cssSがスペクチノマイシンマーカーを染色体へ組み込むことにより不活性化されるバチルス・スブチルス(野生型)の生産菌株のクローンの電気泳動ゲルを示す。レーン1は組込みのないコントロールであり、約1.5kb小さい。
図7は、バチルス・スブチルス野生型菌株(未改変)および対応する種々の欠失を有する改変バチルス・スブチルス菌株を含む振動フラスコの培養液から測定された、改善されたスブチリシン分泌を示す棒グラフを示す。プロテアーゼ活性(g/L)は、17、24、および40時間後に測定、または24時間および40時間で測定された。
図8は、バチルス・スブチルス野生型菌株(未改変)および対応する改変欠失菌株(−sbo)および(−slr)における振動フラスコの培養液から測定された、改善されたプロテアーゼ分泌を示す棒グラフを示す。プロテアーゼ活性(g/L)は、17、24、および40時間後に測定された。
図9は、コントロール菌株およびpckA欠失菌株によって作られた円光の写真を示す。
図10.パネルAは、時間ごとの(「EFT」は発酵経過時間のことを言う)最小培地で培養された親菌株およびpckA菌株の光学密度のグラフを示す。このグラフが示すように、pckA欠失菌株は親菌株よりも短い期間でより多くの増殖を生じた。図10.パネルBは、時間ごとのグラム/リッターで表示された栄養培地で培養された親菌株およびpckA欠失菌株の力価のグラフを示す。図10.パネルCは、栄養培地で培養された親菌株およびpckA欠失菌株の炭素生産のグラフを示す。このパネルに示されるように、pckA欠失菌株は炭素利用においてより効率的であった。
発明の説明
本発明は、発現タンパクを生産するために改変された能力を有するように遺伝子操作されている細胞を提供する。特に本発明は、1つ以上の染色体遺伝子が不活性化あるいは修飾された、少なくとも一つの関心のあるタンパク質の強化された発現を示すバチルス種のようなグラム陽性菌に関する。特に好ましい態様において、pckA遺伝子は不活性化あるいは修飾される。いくつかの好ましい態様において、1つ以上の染色体遺伝子は修飾および/またはバチルス染色体から欠失されている。いくつかの更なる態様において、1つ以上の常在染色体領域は、対応する野生型バチルス宿主染色体から欠失されている。好ましい態様において、少なくともpckA遺伝子を含む領域は、バチルス染色体から欠失される。
定義
本発明で言及される全ての特許および出版物は、それらの特許および出版物において開示された全ての配列を含めて、参照により明示的に本発明に組み込まれる。特記のない限り、本発明で使用される全ての専門および科学用語は、本発明が属する当該技術分野における当業者によって一般に理解されている意味と同一の意味を有する(例えば、シングレトン(Singleton)他、「微生物学および分子生物学辞典」第2版、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社、ニューヨーク[1994年]、およびヘイおよびマーハム(Hale and Marham)「ハーパーコリンズ生物学辞典」ハーパーペレニアル社、ニューヨーク[1991年]を参照。どちらも当業者に本発明で使用される多くの用語の一般的辞書を提供する)。本発明において記述されたものと類似または同等の方法および材料が、本発明の実施または試験に用いることが可能であったとしても、その好ましい方法および材料が記述されている。数値域は、範囲を定義した数値を含む。本発明および添付のクレームにおいて使用されるように、単数形には、文中に他に明確な指定がない限り、複数の意味が含まれる。従って、例えば、「宿主細胞」にはそのような宿主細胞の複数個が含まれる。
特記のない限り、核酸は5’から3’方向に左から右に、アミノ酸配列はアミノからカルボキシ方向に左から右へ、それぞれ記述される。本発明で提供される見出しは、全体として本明細書の参照により含まれ得る本発明の種々の様相または態様に限定されない。次に定義する用語は全体として明細書の参照によってより充分に定義される。
本発明で使用される「宿主細胞」は、新たに導入されるDNA配列のための宿主または発現媒体として働く能力を有する細胞のことを言う。本発明の好ましい態様において、宿主細胞はバチルス種または大腸菌細胞である。
本発明で使用される「バチルス属」には、バチルス・スブチルス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・レントゥス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステアロテルモフィルス、バチルス・アルカロフィルス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・クラウシ、バチルス・ハロデュランス、バチルス・メガテリウム、バチルス・コアグランス、バチルス・サーキュランス、バチルス・ラウトゥス、およびバチルス・チューリンギエンシスが含まれるがこれらに限定されない、当業者に知られて「バチルス」属内の全ての種が含まれる。バチルス属は、分類上の再編成が進行中であることが知られている。従って、この属には、現在「ゲオバチルス・ステアロテルモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)と命名されているバチルス・ステアロテルモフィルスのような生物体が含まれるが、これに限定されない再編成されている種が含まれることを意図している。酸素の存在下における耐性内生胞子の生産は、バチルス族の重要な特徴であると考えられる。もっとも、この特徴はまた近年命名されたアリサイクロバチルス(Alicyclobacillus)、アムフィバチルス(Amphibacillus)、アネウリニバチルス(Aneurinibacillus)、アノキシバチルス(Anoxybacillus)、ブレビバチルス(Brevibacillus)、フィロバチルス(Filobacillus)、グラシリバチルス(Gracilibacillus)、ハロバチルス(Halobacillus)、パエニバチルス(Paenibacillus)、サリバチルス(Salibacillus)、テルモバチルス(Thermobacillus)、ウレイバチルス(Ureibacillus)およびヴィルギバチルス(Virgibacillus)にも当てはまる。
本発明で使用される「核酸」は、センスまたはアンチセンス鎖を示すか否かにかかわらず、二本鎖または単鎖であり得るゲノム起源または合成起源のDNA、cDNA、およびRNAと同様に、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列、およびそれらの断片または部分のことを言う。遺伝子コードの縮重の結果として、多数のヌクレオチド配列は所定のタンパク質をコードすることができると理解される。
本発明で使用される「遺伝子」という用語は、コード化領域(例えば、個々のコード化部分(exons)間の介在配列(introns)同様、5’非翻訳(5’UTR)またはリーダー配列および3’非翻訳(3’UTR)またはトレーラー(trailer)配列)に先立つおよび続く領域を含み、または含み得ないポリペプチド鎖を生産することに関与するDNAの染色体部分を意味する。
いくつかの態様において前記遺伝子は、ワクチンおよび抗体と同様に、成長因子、サイトカイン、リガンド、レセプターおよび阻害剤のような、治療上重要なタンパク質またはペプチドをコードする。前記遺伝子は、酵素(例えば、プロテアーゼ、アミラーゼおよびグルコアミラーゼのようなカルボハイドラーゼ、セルラーゼ、オキシダーゼおよびリパーゼ)のような商業的に重要な工業上のタンパク質またはペプチドをコードすることができる。しかしながら、このことにより本発明がいかなる特定の酵素またはタンパク質に制限されることを意味しない。いくつかの態様において関心のある遺伝子は自然発生遺伝子であり、一方、他の態様においてそれは突然変異遺伝子または合成遺伝子である。
本発明で使用される「ベクター」という用語は、細胞において複製でき、および新しい遺伝子またはDNA部分を細胞に運ぶことができる任意の核酸のことを言う。従って、この用語は、異なる宿主細胞間へ移送するように作られた核酸構築体のことを言う。「発現ベクター」は、異質細胞における異種DNA断片を組込み、および発現する能力を有するベクターのことを言う。多くの原核生物および真核生物の発現ベクターは商業的に入手できる。適切な発現ベクターの選択は当業者の有する知識の範囲内である。
本発明で使用される「DNA構築体」、「発現カセット」および「発現ベクター」という用語は、標的細胞(すなわち、上記のように、ベクター、ベクター要素が存在する)における特定の核酸の転写を可能にする一連の特別な核酸要素を用いた、組換え的にまたは合成的に生成された核酸構築体のことを言う。組換え発現カセットはプラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、色素体DNA、ウイルス、または核酸断片に組み込むことが可能である。典型的には、発現ベクターの組換え発現カセット部分には、他の配列の中でも転写される核酸配列およびプロモーターが含まれる。いくつかの態様において、DNA構築体にはまた、標的細胞の特定の核酸の転写を可能とする一連の特別な核酸要素が含まれる。ある態様において、本発明のDNA構築体は本発明で定義された選択マーカーおよび不活性化された染色体を含む。
本発明で使用される「形質転換DNA」、「形質転換配列」および「DNA構築体」は、配列を宿主細胞または生物体へ導入するために使用されるDNAのことを言う。形質転換DNAは、配列を宿主細胞または生物体へ導入するために使用されるDNAである。このDNAはPCRまたは任意のその他の適切な技術によってin vitroで生産することができる。いくつかの好ましい態様において、前記形質転換DNAは外来配列を含み、一方、他の好ましい態様において更にホモロジーボックスに隣接した外来配列を含む。また更なる態様において、前記形質転換DNAは末端(すなわち、スタッファー(stuffer)配列またはフランクス(flanks))に追加される他の非相同配列を含む。この末端は、例えばベクターへの挿入のように、形質転換DNAが閉じた環を形成するように閉環できる。
本発明で使用される「プラスミド」という用語は、クローニング・ベクターとして使用される環状二本鎖(ds)DNAのことを言い、それは多くの細菌およびいくつかの真核生物において染色体外自己複製遺伝因子を形成する。いくつかの態様において、プラスミドは宿主細胞のゲノムに組み込まれるようになる。
本発明で使用される「単離された」および「精製された」と言う用語は、自然に関連する少なくとも一つの成分から除去された核酸またはアミノ酸(または他の成分)のことを言う。
本発明で使用される「増強された発現」は、関心のあるタンパク質の増強された生産を含むように広く解釈される。増強された発現は、本発明の教示に従って改変されてない、しかし基本的に同一の培養条件下で増殖された対応する宿主菌株における通常の発現レベルを上回る発現である。
いくつかの好ましい態様において、「増強」は所望の特性の増大をもたらす任意の修飾によって達成される。例えば、いくつかの特に好ましい態様において、本発明は親菌株(例えば、野生型および/または出発菌株)よりも大量のおよび/または高品質の関心あるタンパク質を生産する増強された菌株のような、タンパク質生産を増強するための手段を提供する。
本発明で使用される「発現」という用語は、ポリペプチドが遺伝子の核酸配列に基づいて生産される工程のことを言う。前記工程には、転写および翻訳の両方が含まれる。
核酸配列の細胞への導入についての文脈において本発明で使用される「導入された」という用語は、核酸配列を細胞へ移入するために適切な任意の方法のことを言う。そのような導入方法には、プロトプラスト融合、形質移入、形質転換、接合、および形質導入が含まれるが、これらに限定されるわけではない(例えば、フェラーリ(Ferrari)他、「遺伝学」、ハードウッド(Hardwood)他編『バチルス』、プレナム出版社、[1989年]57−72頁を参照されたい)。
本発明で使用される「形質転換された」および「安定的に形質転換された」という用語は、そのゲノムに組み込まれた非天然型(異種の)ポリヌクレオチド配列を有する、または少なくとも二世代にわたり維持されるエピソームプラスミドとして有する細胞のことを言う。
本発明で使用される「外来配列」は、バチルス染色体に導入されるDNA配列のことを言う。いくつかの好ましい態様において、外来配列はDNA構築体の部分である。好ましい態様において、外来配列は1つ以上の関心のあるタンパク質をコードする。いくつかの態様において、外来配列は形質転換される細胞のゲノムにすでに存在するか否かの配列を含む(すなわち、それは相同的または異種的な配列となり得る)。いくつかの態様において、外来配列は関心のある1つ以上のタンパク質、遺伝子、および/または突然変異または修飾された遺伝子をコードする。他の態様において、外来配列は、野生型の機能遺伝子またはオペロン、突然変異した機能遺伝子またはオペロン、または非機能的遺伝子またはオペロンをコードする。いくつかの態様において、非機能的配列は遺伝子機能の混乱のために遺伝子に組込まれることが可能である。いくつかの態様において外来配列は1つ以上の機能的な野生型遺伝子をコードし、一方、他の態様において外来配列は1つ以上の機能的な突然変異遺伝子をコードし、および更に追加的な態様において外来配列は1つ以上の非機能的な遺伝子をコードする。他の態様において、外来配列は形質転換される宿主細胞の染色体にすでに存在する配列をコードする。好ましい態様において、外来配列にはpckA遺伝子が含まれる、一方、他の好ましい態様において、外来配列には更に、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、phrC、sigB、rapA、CssS trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocD、およびそれらの断片からなる群より選択された少なくとも一つの遺伝子が含まれる。更なる態様において、外来配列は選択マーカーを含む。更なる態様において、外来配列は二つのホモロジーボックスを含む。
いくつかの態様において、前記外来配列にはホルモン、酵素および成長因子が含まれるがこれに限定されない少なくとも1つの異種タンパクをコードする。他の態様において、前記酵素にはプロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、フェノールオキシダーゼ、パーミアーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、セルラーゼ、グルコース、イソメラーゼ、ラッカーゼ、およびタンパク質ジスルフィドイソメラーゼのようなヒドロラーゼが含まれるが、これに限定されない。
本発明で使用される「ホモロジーボックス」は、バチルス染色体における配列と相同である核酸配列のことを言う。より具体的には、ホモロジーボックスは、本発明に従って不活性化される遺伝子または遺伝子の部分に直接隣接するコード領域と、約80から100%の間の配列同一性、約90から100%の間の配列同一性、または約95から100%の間の配列同一性を有する上流または下流領域である。これらの配列は、バチルス染色体においてDNA構築体が組み込まれる場所を指示し、およびバチルス染色体のどの部分が外来配列によって置き換えられるかを指示する。他方、本発明を限定するものではないが、ホモロジーボックスは約1塩基対(bp)から200キロ塩基(kb)を含むことができる。好ましくはホモロジーボックスには、約1bp〜10kb、1bp〜5.0kb、1bp〜2.5kb、1bp〜1.0kb、および0.25kbから2.5kbが含まれる。またホモロジーボックスには、約10kb、5.0kb、2.5kb、2.0kb、1.5kb、1.0kb、0.5kb、0.25kb、および0.1kbが含まれ得る。いくつかの態様において、選択マーカーの5’および/または3’末端はホモロジーボックスに隣接し、ここでホモロジーボックスは遺伝子のコード領域に直接隣接する核酸配列を含む。
本発明で使用される「選択可能マーカーをコードするヌクレオチド配列」という用語は、宿主細胞において発現が可能なヌクレオチド配列のことを言い、そこで選択可能マーカーの発現は、対応する選択的試薬の存在または必須栄養素の欠如下において成長する能力を発現遺伝子を含む細胞に与える。
本発明で使用される「選択可能マーカー」および「選択マーカー」という用語は、ベクターを含むそれらの宿主の選択を容易にする宿主細胞における発現を可能とする核酸(例えば、遺伝子)のことを言う。そのような選択可能マーカーの事例には、抗菌剤が含まれるがこれに限定されない。従って、「選択可能マーカー」という用語は、宿主細胞が関心のある外来DNAを取り込み、または他のいくつかの反応が生じたことを示す遺伝子のことを言う。典型的には、選択可能マーカーは、形質転換の間どんな外因性の配列も受け取らなかった細胞から外因性DNAを含む細胞を区別することを可能とするために、抗菌薬耐性または代謝優位性を宿主細胞に与える遺伝子である。「常在選択可能マーカー」は形質転換される微生物の染色体に位置している。常在選択可能マーカーは、形質転換DNA構築体における選択可能マーカーと異なる遺伝子をコードする。選択マーカーは当業者に周知である。上記に示したように、好ましくは前記マーカーは抗菌薬耐性マーカーである(例えば、amp、phlo、spec、kan、ery、tet、cmp、およびneoである。例えば、Guerot−Fleury「遺伝子」167巻、335−337頁[1995年]、パルメロス(Palmeros)他、「遺伝子」247巻、255−264頁[2000年]、およびTrieu−Cuot他、「遺伝子」24巻、331−341頁[1983年]を参照されたい)。いくつかの特に好ましい態様において、本発明はクロラムフェニコール耐性遺伝子(例えば、バチルス・リケニフォルミスゲノムに存在する耐性遺伝子だけでなく、pC194に存在する遺伝子)を提供する。この耐性遺伝子は、染色体的に組み込まれたカセットおよび組み込みプラスミドの染色体増幅を含む態様においてだけでなく、本発明において特に有用である(例えば、AlbertiniおよびGalizzi、「バクテリオロジー」162巻、1203−1211頁[1985年]およびスタールおよびフェラーリ(Stahl and Ferrari)「ジャーナル.オブ・バクテリオロジー」158巻、411−418頁[1984年]を参照されたい)。この自然発生のクロラムフェニコール耐性遺伝子のDNA配列を以下に示す。
Figure 2007532114
このクロラムフェニコール耐性タンパクの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
本発明に従ったその他の有用なマーカーには、トリプトファンのような栄養要求性マーカーおよびβ−ガラクトシダーゼのような検出マーカーが含まれるが、これに限定されない。
本発明で使用される「プロモーター」は、下流遺伝子の転写を指示するために機能する核酸配列のことを言う。好ましい態様において前記プロモーターは、そこにおいて標的遺伝子が発現される宿主細胞に好適である。前記プロモーターは、他の転写および翻訳調節核酸配列(「コントロール配列」とも称される)と共に、所定の遺伝子を発現するために必要である。一般に、前記転写および翻訳調節配列には、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始および停止配列、翻訳開始および停止配列、およびエンハンサーまたはアクチベーター配列が含まれるがこれに限定されない。
核酸は、他の核酸配列と機能的関係に置かれるとき、「操作可能に結合」される。例えば、分泌リーダー(すなわちシグナルペプチド)をコードするDNAは、それがポリペプチドの分泌物に関与するプレタンパク質として発現されるとき、ポリペプチド用のDNAと操作可能に結合される。プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすとき、コード配列に操作可能に結合される。または、リボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するために位置するとき、コード配列に操作可能に結合される。一般に、「操作可能に結合される」というのは、結合されたDNA配列が近接しており、および分泌リーダーの場合、近接しており、リーディング相にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは近接している必要はない。結合は、都合のよい制限酵素認識部位での連結によって達成される。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーは従来の実施に従って用いられる。
「不活性化」の用語には、pckA遺伝子単独の、またはsbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB、phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocD染色体遺伝子の1つ以上と組合わせた機能的発現を防ぐ任意の方法が含まれ、ここで前記遺伝子または遺伝子産物はその既知の機能を発揮することができない。不活性化または増強は、核酸遺伝子配列における欠失、置換(例えば、突然変異)、中断、および/または挿入を含む任意の適切な手段を経由して生じる。ある態様において、不活性化された遺伝子の発現産物は、タンパク質の生物活性において対応する変化を有する切断されたタンパク質である。いくつかの態様において、生物活性における変化は活性の増大であり、一方、好ましい態様において前記変化は生物活性の喪失をもたらす。いくつかの態様において、改変バチルス菌株は、好ましくは安定で非可逆性の不活性化をもたらす1つ以上の遺伝子の不活性化を含む。
いくつかの好ましい態様において不活性化は欠失によって達成される。いくつかの好ましい態様において、前記遺伝子は相同組換えによって欠失される。例えば、いくつかの態様において、sobが欠失されるべき遺伝子であるとき、ホモロジーボックスの両横に隣接する選択マーカーを有する外来配列を含むDNA構築体が用いられる。ホモロジーボックスは染色体のsbo遺伝子領域に隣接する核酸と相同であるヌクレオチド配列を含む。DNA構築体は、バチルス宿主染色体の相同配列に整列し、ダブルクロスオーバ現象においてsbo遺伝子は宿主染色体から切り出される。
本発明で使用される遺伝子の「欠失」は、コード配列全体の欠失、コード配列の一部の欠失、または隣接領域を含むコード配列の欠失のことを言う。染色体に残った配列が遺伝子の所望の生物活性を提供するならば、欠失は部分的であり得る。コード配列の隣接領域には、5’および3’末端において1bp〜約500bpを含むことが可能である。隣接領域は500bpよりも大きくなり得るが、好ましくは本発明に従って不活性化、または欠失される領域における他の遺伝子を含まないことになる。結局、欠失された遺伝子は実効的に非機能的である。簡単に言えば、「欠失」は、1つ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸残基がそれぞれ除去されている(すなわち、非存在である)ヌクレオチドまたはアミノ酸配列における変化と定義される。従って、「欠失突然変異体」はそれぞれの野生型生物よりも少ないヌクレオチドまたはアミノ酸を有する。
本発明の更に他の態様において、DNAアレイ分析(例えば、本発明に記述されるようなトランスクリプトーム分析)によって決定される不適切な時における遺伝子活性の欠失は生成タンパクの増強された発現を示す。いくつかの好ましい態様において本発明はpckA遺伝子の欠失を提供し、一方、代替的な好ましい態様においてgapB、fbp、および/またはalsDを含む群より選択される一つ以上の遺伝子の欠失は原料利用の効率改善のために改良された菌株を提供する。本発明で使用される「トランスクリプトーム分析」は、遺伝子転写の分析のことを言う。
本発明の他の態様において、遺伝子は、この欠失が所望の生産物の増大した発現をもたらす制限された配列の欠失によって「最適化される」と考えられる。本発明のいくつかの好ましい態様において、トリプトファンオペロン(すなわち、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpFの遺伝子を含む)は、TRAP結合RNA配列をコードするDNA配列の欠失によって最適化される(ヤングその他、ジャーナル・オブ・モル・バイオロジー(J Mol.Biol)270巻、696−710頁[1997年]を参照されたい)。この欠失は宿主菌株からの所望の生成物の発現を増加させるために考慮される。
他の好ましい態様において、不活性化は挿入によるものである。例えば、いくつかの態様において、pckAが不活性化される遺伝子である時、DNA構築体は選択マーカーによって中断されたpckA遺伝子を有する外来配列を含む。前記選択マーカーは、pckAをコードする配列の部分の両横に位置することとなる。前記DNA構築体は、宿主染色体におけるpckA遺伝子と基本的に同一の配列と一致し、ダブル・クロスオーバー現象においてpckA遺伝子は選択マーカーの挿入によって不活性化される。簡単に言えば「挿入」または「追加」は、天然由来の配列と比してそれぞれ1つ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の追加をもたらす、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列における変化である。
他の態様において、活性化はベクターとしてプラスミドを用いたシングルクロスオーバー現象における挿入によるものである。例えば、pckA染色体遺伝子は、遺伝子または遺伝子コード配列の一部および選択マーカーを含むプラスミドと共に整列される。いくつかの態様において、選択マーカーは遺伝子コード配列内部または遺伝子から分離したプラスミドの一部に位置する。前記ベクターはバチルス染色体に組み込まれ、前記遺伝子はコード配列におけるベクターの挿入によって不活性化される。
代替的な態様において、不活性化は遺伝子の突然変異のために生じる。突然変異遺伝子の方法は当業者に周知であり、部位特異的突然変異、ランダム突然変異の生成、およびギャップド−デュプレックス(gapped−duplex)法を含むが、これに限定されない(例えば、米国特許US4,760,025号、モリング(Moring)他、バイオテクノロジー(Biotech).2巻:646頁[1984年]、およびクレイマー(Kramer)その他、核酸研究(Nucleic Acid Res.)、12巻:9441頁[1984年]を参照されたい)。
本発明で使用される「置換」は異なるヌクレオチドまたはアミノ酸による1つ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸それぞれの置換の結果として生じる。
本発明で使用される「相同遺伝子」は、相互に対応し、相互に同一または非常に類似するが通常関連種からの遺伝子のペアのことを言う。この用語には、遺伝子の複製によって分離された遺伝子(例えば、パラロガス遺伝子)だけでなく、種分化によって分離される遺伝子(すなわち新種の発展)(例えば、オーソログ遺伝子)が含まれる。
本発明で使用される「オーソログ」および「オーソログ遺伝子」は、種分化による共通の先祖遺伝子(すなわち、相同遺伝子)から進化した異なる種における遺伝子のことを言う。典型的には、オーソログは進化の過程において同一の機能を保つ。オーソログの同定は、新たに配列決定されたゲノムにおける遺伝子機能の信頼できる予測へ利用される。
本発明で使用される「パラログ」および「パラログ遺伝子」は、ゲノム内での複製に関係する遺伝子のことを言う。オーソログが進化の過程を通じて同一の機能を保持するのに対して、いくつかの機能がしばしば起源の機能に関連しているとは言え、パラログは新機能を進化させている。パラログ遺伝子の具体例には、全てのセリンプロテイナーゼであり、同一種内で同時に発生するトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、およびトロンビンをコード化する遺伝子が、含まれるがこれに限定されない。
本発明で使用される「ホモローグ」は、好ましい同一性を有する配列の類似性または同一性のことを言う。このホモローグは、当該技術分野で既知の標準的技術を用いて決定される(例えば、スミスおよびウォーターマン、Adv.Appl.Math.、2巻:482頁[1981年]、ニードルマンおよびWunsch、J.Mol.Biol.、48巻:443頁[1970年]、ピアソン(Pearson)およびリップマン、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85巻:2444頁[1988年]、ウィスコンシン・ジェネティクス・ソフトウエア・パッケージ(ジェネティクス・コンピューターグループ、マジソン、ウイスコンシン州)におけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTAのようなプログラム、およびデブロー(Devereux)他、Nucl.Acid Res.、12巻:387−395頁[1984年]を参照されたい)。
本発明で使用される「類似配列」は、遺伝子の機能がバチルス・スブチルス菌株168から命名された遺伝子と実質的に同一である。更に類似遺伝子は、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%のバチルス・スブチルス菌株168遺伝子の配列との配列同一性を含む。代替的に、類似配列はバチルス・スブチルス168領域において見出される遺伝子の70〜100%と一致し、および/またはバチルス・スブチルス168染色体における遺伝子と一致する領域において見出された少なくとも5〜10の遺伝子を有する。追加的な態様において、1つ以上の上記の特性はその配列に当てはまる。類似配列は、配列アラインメントの既知の方法によって決定される。一般的に使用されるアラインメント法は、前述および以下の通りBLASTであるが、配列をアラインすることに利用できる他の方法もまた存在する。
有用なアルゴリズムの一例は、PILEUPである。PILEUPは、進歩的ペアワイズ・アラインメントを用いて関連する配列グループから多数の配列アラインメントを生成する。それはまたアラインメントを作るために用いられるクラスター関係を示す系統図をプロットすることが可能である。PILEUPは、フェングおよびドゥートル(Feng and Doolittle)、J.Mol.Evol.、35巻:351−360頁、[1987年])の進歩的アラインメント法の簡易化された方法を用いる。この方法は、ヒギンスおよびシャープ(Higgins and Sharp、CABIOS、5巻:151−153頁[1989年]によって記述された方法と類似である。3.00のデフォルト・ギャップ・ウェイト、0.10のデフォルト・ギャップ・レングス・ウエイトを含む有益なPILEUPパラメータには、末端ギャップが荷重されている。
他の有用なアルゴリズムの例はBLASTアルゴリズムであり、アルツシュル他(Altschul)他、J.Mol.Biol.、215巻:403−410頁、[1990年]、およびカーリン他.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90巻:5873−5787頁[1993年])によって記述されている。特に有用なBLASTプログラムは、WU−BLAST−2プログラムである(アルツシュル他、Meth.Enzymol.、266巻:460−480頁[1996年])。WU−BLAST−2は、いくつかのサーチ・パラメータを用いるが、それらのほとんどはデフォルト値に設定される。調整パラメータは次の値を用いて設定される:すなわち、重複スパン=1、重複フラクション=0.125、ワード閾値(T)=11である。HSP SおよびHSP S2パラメータはダイナミック値であり、特定の配列の組成および関心ある配列が検索される特定のデータベースの組成に応じてプログラム自体によって設定される。しかしながら、前記値は感度を増大するように調整することができる。A%のアミノ酸配列同一性値は、アラインされた領域における「より長い」配列の残基の総数で除した同一残基に符合する数によって決定される。「より長い」配列は、アラインされた領域における最も実際の残基を有する配列である(アラインメントスコアを最大化するためにWU−BLAST−2によって導入されたギャップは無視される)。
従って「パーセント(%)核酸配列同一性」は、核酸数値に示される配列のヌクレオチド残基と同一の候補配列におけるヌクレオチド残基のパーセンテージと定義される。好ましい方法は、重複スパンおよび重複フラクショそれぞれ1および0.125で、デフォルト・パラメータに設定したWU−BLAST−2のBLASTNモジュールを使用する。
前記アラインメントはアラインされる配列におけるギャップの導入を含むことができる。更に、核酸数値のそれよりも多いかまたは少ないヌクレオシドを含む配列については、ホモローグのパーセンテージはヌクレオシド総数に対するホモローグヌクレオシド数に基づいて決定されることになる。従って、例えば、配列のホモローグは本発明で同定された配列のものよりも短く、以下に議論するように、より短い配列におけるヌクレオシドの数を用いて決定されることになる。
本発明で使用される「ハイブリダイゼーション」と言う用語は、当該技術分野に既知である塩基対形成を通じて核酸鎖が相補鎖に結合する過程のことを言う。
中程度から高程度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーションおよび洗浄条件のもとで、二つの配列が特異的に相互にハイブリダイズするなら、核酸配列は参照核酸配列に「選択的にハイブリダイズする」と見なされる。ハイブリダイゼーションの条件は、核酸結合複合体またはプローブの融解温度(Tm)に基づく。例えば、「最大ストリンジェンシー」は、典型的にはTm−約5℃(プローブのTmより5℃下回る)で生じる。「高度ストリンジェンシー」とは、Tmより約5℃から10℃下回るところでの、「中度ストリンジェンシー」とは、プローブのTmより約10℃から20℃下回るところでの、および「低度ストリンジェンシー」とはTmより約20℃から25℃下回るところで生じる。機能的には、最大ストリンジェンシー条件は、ハイブリダイゼーション・プローブとの、厳密なまたはほぼ厳密な同一性を有する配列を同定するために使用することができ、他方、中度または低度ストリンジェンシー・ハイブリダイゼーションは、ポリヌクレオチド配列ホモローグを同定または検出するために使用することができる。
中度および高度ストリンジェンシー・ハイブリダイゼーションの条件は、当該技術分野で周知である。高度ストリンジェンシー条件の具体例には、42℃での50%のホルムアミド、5×SSC、5×デンハート溶液、0.5%のSDSおよび100μg/mlの変性担体DNAでのハイブリダイゼーション、それに続く室温、2×SSCおよび0.5%のSDSによる2回の洗浄、および42℃、0.1×SSCおよび0.5%SDSにおける二回の追加の洗浄が含まれる。中度ストリンジェンシー条件の具体例には、37℃、20%のホルムアミド含有溶液中、5×SSC(150mMのNaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート溶液、10%のデキストラン硫酸塩および20mg/mlの変成、せん断されたサケ***DNAにおける一晩のインキュベーション、それに続く約37−50℃での1×SSCにおけるフィルターの洗浄が含まれる。プローブの長さなどの調整要素に必要である温度、イオン強度等の調整方法は当業者に既知である。
本発明で使用される「組み換え(recombinant)」には、異種核酸配列の導入によって修飾された、または修飾された細胞から生成した細胞またはそのベクターへの言及が含まれる。従って、例えば組み換え細胞は、細胞の未処理(非組み換え型)内において同一型が認められない遺伝子を発現し、または計画的な人間の介入の結果として発現し、または全く発現しない条件下で、そうでなければ異常に発現される未処理遺伝子を発現する。「組み換え」、「再結合」および「組換えられた」核酸の生成は、一般的にキメラ遺伝子を生じる二つ以上の核酸断片の集合である。
好ましい態様において、変異DNA配列は少なくとも一つのコドンにおいて、部位飽和突然変異を用いて生成される。更なる態様において、変異DNA配列は野生型配列と、40%より高い、45%より高い、50%より高い、55%より高い、60%より高い、65%より高い、70%より高い、75%より高い、80%より高い、85%より高い、90%より高い、95%より高い、または98%より高い相同性を有する。代替的な態様において、変異DNAは、例えば照射、ニトロソグアニジンなどの任意の既知の変異原性操作を用いて、in vivoで生成される。次に、所望のDNA配列は単離され、本発明の操作された方法に用いられる。
代替的な態様において、前記形質転換DNA配列には外来配列が存在しないホモロジーボックスが含まれる。この態様において、二つのホモロジーボックス間の内因性DNA配列を欠失することが望ましい。更に、いくつかの態様において、形質転換配列は野生型であり、一方、他の態様においてそれらは変異または修飾配列である。更に、いくつかの態様において、前記形質転換配列は相同であり、一方他の態様においてそれらは異種性である。
本発明で使用される「標的配列」と言う用語は、外来配列が宿主細胞ゲノムに挿入されることが望ましい配列をコードする宿主細胞におけるDNA配列のことを言う。いくつかの態様において、標的配列は機能的な野生型遺伝子またはオペロンをコードし、一方、他の態様において標的配列は機能的な変異遺伝子またはオペロン、または非機能的な遺伝子またはオペロンをコードする。
本発明で使用される「フランキング配列」は、議論されている配列(例えば、遺伝子A−B−Cについては、遺伝子BにAおよびC遺伝子配列が隣接している)の上流または下流にある任意の配列のことを言う。好ましい態様において、前記外来配列はその両横にホモロジーボックスが隣接する。他の態様において、前記外来配列およびホモロジーボックスは、その両横にスタッファー配列が隣接するユニットを含む。いくつかの好ましい態様において、フランキング配列は一方の横(3’または5’)にのみ存在するが、好ましい形態においてそれは両横に位置する配列が隣接する。各ホモロジーボックスの配列はバチルス染色体における配列に相同である。これらの配列は、バチルス染色体のどこで新しい構築体が組み込まれ、およびバチルス染色体のどの部分が外来配列によって置換されることになるかを指示する。好ましい態様において、選択マーカーの5’および3’末端は、不活性化染色体部分の切片を含むポリヌクレオチド配列に隣接する。いくつかの態様においてフランキング配列は単一側(3’または5’)にのみ存在し、一方、好ましい態様においてそれは隣接する配列の両側に存在する。
本発明で使用される「スタッファー配列」という用語は、ホモロジーボックス(典型的には、ベクター配列)の横に位置する任意の特別なDNAのことを言う。しかしながら、前記用語は任意の非相同DNA配列を含む。任意の理論によって限定されないことを前提として、スタッファー配列はDNA取り込みを開始する細胞に重要でない標的を提供する。
本発明で使用される「突然変異体ライブラリ」という用語は、それらのゲノムのほとんどが同一でありながら、1つ以上の遺伝子の異なった相同体を含む細胞の母集団のことを言う。そのようなライブラリは例えば、改変された形質を有する遺伝子またはオペロンを同定するための方法へ利用される。
本発明で使用される「ハイパー・コンピテント」および「スーパー・コンピテント」という用語は、細胞母集団の1%以上が染色体DNA(例えば、バチルスDNA)を用いて形質転換できることを意味する。代替的に前記用語は、細胞母集団の10%より多くが自己複製プラスミド(例えば、バチルス・プラスミド)を用いて形質転換できる細胞母集団の言及に用いられる。好ましくは、スーパー・コンピテント細胞は、野生型または親細胞母集団について観察されるよりも大きな比率で形質転換される。スーパー・コンピテントおよびハイパー・コンピテントは、本発明において互換的に使用される。
本発明で使用される「増幅」および「遺伝子増幅」という用語は、増幅された遺伝子が当初ゲノムにおいて存在した遺伝子より高いコピー数で存在するようになるように、特定のDNA配列が不均一に複製される工程のことを言う。いくつかの態様において、薬剤(例えば、阻止可能酵素の阻害剤)の存在下で増殖による細胞の選択は、薬剤の存在の下で増殖のために必要とされる遺伝子産物をコードする内因性遺伝子の増幅、またはこの遺伝子産物をコードする外因性(すなわち、取り込み)配列の増幅によって必要とされる遺伝子産物をコードする内因性遺伝子の増幅、または両方の増幅をもたらす。
「増幅」は、鋳型特異性を伴う核酸複製の特別な場合である。それは非特異的鋳型複製(すなわち、鋳型に依拠するが特異的鋳型に依拠しない複製)と対比される。鋳型特異性は、本発明では複製の忠実度(すなわち、適切なヌクレオチド配列の合成)およびヌクレオチド(リボ−またはデオキシリボ−)特異性と区別される。鋳型特異性は、しばしば「標的」特異性として記述される。標的配列は、それらが他の核酸から送別されることを追及するという意味で「標的」である。増幅技術は、当初この選別のために設計された。
本発明で使用される「共増幅」は、他の遺伝子配列(すなわち、発現ベクター内に含まれるような1つ以上の非選択的遺伝子含む遺伝子配列)とつなぎ合わせた増幅可能マーカーの単一細胞への導入、および細胞が増幅可能マーカーおよびその他の非選択可能遺伝子配列の両方を増幅するために適切な選択圧力の適用のことを言う。増幅可能マーカーは他の遺伝子配列と物理的に連結し、または代替的に、一方は増幅可能マーカーを含み、他方は非選択可能マーカーを含む二つの分離したDNA断片を同一の細胞に導入することができる。
本発明で使用される「増幅可能マーカー」、「増幅可能遺伝子」および「増幅ベクター」という用語は、適切な培養条件下で遺伝子の増幅を可能とする遺伝子をコードする遺伝子、またはベクターのことを言う。
「鋳型特異性」は酵素の選択によりほとんどの増幅技術において達成される。増幅酵素は、それらが利用される条件下で、核酸の異種混合において核酸の特異的配列のみを加工することになる酵素である。例えば、Qβレプリカーゼの場合、MDV−1RNAはレプリカーゼにとって特異的鋳型である(例えば、カシャン(Kacian)他、Proc.Natl。Acad.Sci.USA、69巻:3038頁[1972年]を参照されたい)。その他の核酸はこの増幅酵素によって複製されない。同様にT7RNAポリメラーゼの場合、この増幅酵素は自らのプロモーターに対して厳密な特異性を有する(チャンバーリン(Chamberlin)他、Nature228巻:227頁[1970年]を参照されたい)。T4DNAリガーゼの場合、連結接合部にオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド基質および鋳型の間のミスマッチがあると、前記酵素は二つのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを連合しない。(ウーおよびワルラス(Wu and Wallace)、ゲノミクス、4巻:560頁[1989年]を参照されたい)。最後に、TaqおよびPfuポリメラーゼは、高温で機能するそれらの能力によって、プライマーにより結合され、またそれゆえ定義された配列に関して高い特異性を示すことが知られる。前記高温は、非標的配列を用いたハイブリダイゼーションではなく、標的配列を用いたプライマーハイブリダイゼーションに向いた熱力学的条件をもたらす。
本発明で使用される「増幅可能な核酸」の用語は、任意の増幅法によって増幅することが可能な核酸のことを言う。「増幅可能な核酸」は通常「サンプル鋳型」を含むと考えられる。
本発明で使用される「サンプル鋳型」と言う用語は、「標的」(以下に定義される)の存在について分析されるサンプル由来の核酸のことを言う。対照的に「バックグラウンド背景鋳型」は、サンプルに存在可能または不可能なサンプル鋳型以外の核酸に関して用いられる。背景鋳型は、最も頻繁に偶発的である。それはキャリーオーバーの結果、またはサンプルから精製排除されることが追求される核酸不純物の存在に依っている。例えば、検出されるべき生物体以外の生物体からの核酸は、試験サンプルにおけるバックグラウンドとして存在することができる。
本発明における「プライマー」と言う用語は、精製された制限消化物における場合のように自然発生であるか、合成的生産かに拘わらず、核酸鎖と相補的であるプライマー伸長生産物の合成が誘発される条件下に置かれる場合(すなわち、ヌクレオチドおよびDNAポリメターゼのような誘発剤の存在下、および適切な温度およびpHで)、合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドのことを言う。前記プライマーは増幅において最大限の効率を得るために好ましくは単鎖であるが、代替的に二重鎖でもよい。二重鎖の場合、前記プライマーは、伸張生産物の調製に用いられる以前に、最初にその鎖を分離するために処理される。好ましくは、前記プライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。前記プライマーは、誘発剤の存在下で拡張生産物の合成を準備するために充分に長くなくてはならい。前記プライマーの正確な長さは、温度、プライマー源、および手法の用途を含む多数の要素に依存する。
本発明で使用される「プローブ」と言う用語は、精製された制限消化物におけるように自然発生であるか、または組換え的にまたはPCR増幅によって合成的に生産されたかに拘わらず、関心ある他のオリゴヌクレオチドをハイブリダイズすることのできるオリゴヌクレオチド(すなわち一つのヌクレオチド配列)のことを言う。一つのプローブは、単鎖または二重鎖であることが可能である。プローブは、特定の遺伝子配列の検出、同定、および単離に有用である。本発明に用いられる任意のプローブは、酵素(例えば、酵素組織化学アッセイと同様にELISA)、蛍光、放射、および発光システムを含むがそれに限定されない任意の検出システムにおいて検出可能であるために、任意の「レポーター分子」で標識化されることが考慮されている。本発明は、任意の特定の検出システムまたは標識に限定されることを意図しない。
本発明で使用される「標的」と言う用語は、ポリメラーゼ連鎖反応に言及して用いられる場合、ポリメラーゼ連鎖反応のために用いられるプライマーによって結合される核酸の領域のことを言う。従って、「標的」は他の核酸配列から選別されることが追求される。「断片」は、標的配列内における核酸の領域として定義される。
本発明で使用される「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)と言う用語は、米国特許US.4,683,195号、4,683,202号および4,965,188号の方法のことを言い、これらは参照により本発明に組み込まれる。この方法には、クローニングまたは精製をしないゲノムDNAの混合における標的配列部分の濃度を高めるための方法が含まれる。標的配列を増幅するためのこの工程は、望ましい標的配列を含むDNA混合物に対し大過剰な2つのオリゴヌクレオチドプライマーを導入すること、その後にDNAポリメラーゼの存在下で温度サイクリングの正確な繰り返しを行うことからなる。2つのプライマーは、二重鎖標的配列の各鎖に対して相補的である。効果的な増殖のために、前記混合物は変性され、次に前記プライマーは標的分子内の相補配列にアニール(anneal)される。アニーリング(annealing)に続いて、前記プライマーは新しい一対の相補鎖を形成するように、ポリメラーゼを用いて延長される。変性、プライマーアニーリング、およびポリメラーゼ延長の工程は、望ましい標的配列の増幅された切片の高い濃度を得るために、幾度も繰り返すことができる(すなわち、変性、アニーリング、および延長は、1つの「サイクル」を構成し、多数の「サイクル」が存在し得る)。増幅された望ましい標的配列の切片の長さは相互のプライマーの相対的位置によって決定され、従ってこの長さはコントロール可能なパラメータである。この工程を繰り返すため、この方法は「ポリメラーゼ連鎖反応」(以下「PCR」)と言われる。望ましい増幅された標的配列の切片は、混合物において主要な配列(濃度の点で)となり、それらは「PCR増幅された」と称される。
本発明で使用される「増幅試薬」は、プライマー、核酸鋳型および増幅酵素を除いた増幅に必要とされる試薬(デオキシリボヌクレオチド三リン酸、バッファー等)のことを言う。典型的には、他の反応成分と共に増幅試薬は、反応槽(試験管、マイクロウエル等)に置かれ、含まれる。
PCRを用いて、ゲノムDNAの特定の標的配列の単一コピーを、いくつかの異なった方法(例えば、標識プローブを用いたハイブリダイゼーション、ビオチン化プライマーの取り込みとそれに続くアビジン酵素結合体検出、dCTPまたはdATPのような32P標識デオキシヌクレオチド三リン酸の増幅切片への組み込み)によって検出できる水準まで増幅することが可能である。ゲノムDNAに加えて、任意のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列は、プライマー分子の適切なセットを用いて増幅することが可能である。特に、PCR工程によって生成された増幅部分は、それ自体が続くPCR増幅にとっての効率的な鋳型である。
本発明で使用される「PCR生産物」、「PCR断片」および「増幅生産物」という用語は、変性、アニーリングおよび延長のPCR工程を2回以上完了後に得られた化合物の混合物のことを言う。これらの用語は1つ以上の標的配列の1つ以上の部分の増幅がある場合を含む。
本発明で使用される「RT−PCR」と言う用語は、RNA配列の複製および増幅のことを言う。この方法において逆転写は、熱安定性ポリメラーゼが採用される一つの酵素操作を最も頻繁に用いるPCRと結合し、これは米国特許US5,322,770号に記述され、参照により本発明に取り込まれる。RT−PCRにおいて、RNA鋳型はポリメラーゼの逆転写活性によりcDNAに変換され、次にポリメラーゼの重合活性を用いて増幅される(すなわち、他のPCR方法におけるように)。
本発明で使用される「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」という用語は、特定のヌクレオチド配列上に、またはそれに近接して、それぞれが二重鎖DNAを切断する細菌酵素のことを言う。
「制限部位」は、所与の制限エンドヌクレアーゼによって認識および切断されたヌクレオチド配列のことを言い、それはしばしばDNA断片の挿入の部位である。本発明の一定の態様において、制限部位は選択マーカーおよびDNA構築体の5’および3’末端的に操作される。
本発明で使用される「不活性染色体切片(inactivated chromosomal segment)」には、二つの部分が含まれる。各部分には、本発明で定義されるように常在染色体領域に直接に隣接する上流または下流ゲノム染色体DNAと相同であるポリヌクレオチドが含まれる。「直接に隣接する」とは、不活性染色体切片を含むヌクレオチドに常在染色体領域を特徴付けるヌクレオチドが含まれないことを意味する。前記不活性染色体切片は、バチルス染色体のどこでDNA構築体が組み込まれ、およびバチルス染色体のどの部分が置換されることになるかを指示する。
本発明で使用される「常在染色体領域(indigenouschromosomalregion)」および「常在染色体領域の断片」は、本発明のいくつかの態様において、バチルス宿主細胞から欠失されたバチルス染色体の切片のことを言う。一般に、「切片(segment)」「領域(region)」「部分(section)」および「要素(element)」は、本発明において殆ど同義に使用される。いくつかの態様において欠失された切片には既知の機能を有する1つ以上の遺伝子が含まれる、一方、他の態様において欠失された切片には未知の機能を有する1つ以上の遺伝子が含まれ、およびその他の態様において欠失された切片には既知および未知の機能を有する遺伝子の組合せが含まれる。いくつかの態様において、常在染色体領域またはそれらの断片には、200またはそれ以上もの遺伝子が含まれる。
いくつかの態様において、常在染色体領域またはそれらの断片は一定の条件下で必要な機能を有するが、しかしその領域は実験室条件下のバチルス菌株の生存にとって必要ではない。好ましい実験室条件には、発酵槽、プレート培地上のシェイクフラスコ等における、標準温度および雰囲気条件(例えば、好気性の)での増殖などの条件が含まれるが、これに限定されない。
常在染色体領域またはそれらの断片には、約0.5kb〜500kb、約1.0kb〜500kb、約5kb〜500kb、約10kb〜500kb、約10kb〜200kb、約10kb〜100kb、約10kb〜50kb、約100kb〜500kb、約200kb〜500kbのバチルス染色体の範囲を含むことができる。他の側面において、常在染色体領域またはその断片が欠失されているとき、改変バチルス菌株の染色体は、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%、75%、または70%の対応する未改変バチルス宿主染色体を含むことができる。好ましくは、本発明に従って改変バチルス菌株の染色体には、約99〜90%、99〜92%、および98〜94%の対応する未改変バチルス宿主菌株染色体ゲノムが含まれることになる。
本発明で使用される「菌株生存度」は、生殖生存度のことを言う。常在染色体領域またはその断片の欠失は、実験室条件下で改変バチルス菌株の***および生存に有害に影響しない。
本発明で使用される「改変バチルス菌株」は、遺伝的に操作されたバチルス種のことを言う。ここで実質的に同一の培養条件下で増殖された対応する未改変バチルス宿主菌株における同一の関心あるタンパク質の発現および/または生産と比べて、関心あるタンパク質は増強された発現および/または生産レベルを有する。いくつかの態様において、増強された発現レベルは1つ以上の染色体遺伝子の不活性化からもたらされる。ある態様において、増強された発現レベルは、1つ以上の染色体遺伝子の欠失からもたらされる。いくつかの態様において、改変バチルス菌株は、1つ以上の欠失された常在染色領域またはその断片を有する遺伝的に操作されたバチルス種である。ここで実質的に同一の培養条件下で増殖された対応する未改変バチルス宿主菌株と比べて、関心あるタンパク質は増強された発現または生産レベルを有する。代替的な態様において、増強された発現レベルは、1つ以上の染色体の挿入不活性化によってもたらされる。いくつかの代替的な態様において、増強された発現レベルは、活性増加または他の最適化された遺伝子によってもたらされる。いくつかの好ましい態様において、不活性遺伝子はpckA遺伝子であり、一方、代替的な好ましい態様において前記不活性遺伝子は更に、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、phrC、sigB、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocDからなる群から選択される。
一定の態様において前記改変バチルス菌株は二つの不活性遺伝子を含み、一方、他の態様において三つの不活性遺伝子、四つの不活性遺伝子、五つの不活性遺伝子、六つの不活性遺伝子またはそれ以上が存在する。従って不活性遺伝子の数は、特定の遺伝子数に限定されることを意図しない。いくつかの態様において、前記不活性遺伝子は相互に隣接しており、一方、他の態様においてそれらはバチルス染色体の別々の領域に位置する。いくつかの態様において、不活性染色体遺伝子は一定の条件下で必要な機能を有するが、しかし実験室条件で前記遺伝子はバチルス菌株生存度にとって必要ではない。好ましい実験室条件には、微生物の増殖に適切な、発酵槽、シェイクフラスコ、プレート培地等での培養などの条件が含まれるが、これに限定されない。
本発明で使用される「対応する未改変バチルス菌株」は、常在染色体領域またはその断片が欠失または修飾され、改変菌株が由来する宿主菌株である(例えば、出発菌株および/または野生型菌株)。
本発明で使用される「染色体組込み」と言う用語は、それによって外来配列が宿主細胞(例えば、バチルス)の染色体に導入される工程のことを言う。形質転換DNAの相同領域は、染色体の相同領域をアラインする。続いて、ホモロジーボックス間の配列は、二重クロスオーバー(すなわち相同組換え)において外来配列によって置換される。本発明のいくつかの態様において、DNA構築体の不活性染色体切片の相同部分は、バチルス染色体の常在染色体領域の隣接相同領域をアラインする。続いて、常在染色体領域は二重クロスオーバ(すなわち相同組換え)において、DNA構築体によって欠失される。
「相同組換え」は、同一の、またはほぼ同一のヌクレオチド配列部位において、二つのDNA分子または対の染色体間のDNA断片の交換を意味する。好ましい態様において、染色体組込みは相同組換えである。
本発明で使用される「相同配列」は、比較のために最適にアラインしたとき、他の核酸またはポリペプチド配列と100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、88%、85%、80%、75%、または70%の配列同一性を有する核酸またはポリペプチドを意味する。いくつかの態様において相同配列は85%および100%の間の配列同一性を有し、一方、他の態様において90%および100%の間の配列同一性があり、より好ましい態様において95%および100%の配列同一性がある。
本発明で使用される「アミノ酸」は、ペプチドまたはタンパク質配列またはそれらの部分のことを言う。「タンパク質」「ペプチド」および「ポリペプチド」の用語は、互換的に使用される。
本発明で使用される「関心あるタンパク質」および「関心あるポリペプチド」は、所望の、および/または評価されているタンパク質/ポリペプチドのことを言う。いくつかの態様において関心あるタンパク質は細胞内に発現し、一方、他の態様においてそれは分泌性ポリペプチドである。特に好ましいポリペプチドには、デンプン分解酵素、タンパク質分解酵素、セルロース分解(cellulytic)酵素、酸化還元酵素、および植物細胞壁分解酵素から選択される酵素が含まれるが、これに限定されない。より好ましくは、これらの酵素には、アミラーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ラッカーゼ、フェノールオキシダーゼ、オキシダーゼ、クチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、ぺルオキシダーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、フィターゼ、ペクチナーゼ、グルコシダーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、ガラクトシダーゼ、およびキチナーゼが含まれるが、これに限定されない。本発明のいくつかの特に好ましい態様において、関心あるポリペプチドはプロテアーゼである。いくつかの態様において、関心あるタンパク質は、シグナルペプチド(すなわち、分泌タンパク質上のアミノ末端基延長)に融合する分泌性ポリペプチドである。殆ど全ての分泌性タンパクは、細胞膜を越えた前駆タンパクへのターゲティングおよび転位において重要な役割を演じるアミノ末端基タンパク延長を用いる。この延長は、細胞膜移動の間、または細胞膜移動直後に続いて、シグナルペプチダーゼによってタンパク質分解により除去される。
本発明のいくつかの態様において、関心あるポリペプチドは、ホルモン、抗体、成長因子、受容体等から選択される。本発明に含まれるホルモンは、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出因子、ソマトスタチン、性腺刺激ホルモン、バソプレッシン、オキシトシン、エリスロポエチン、インスリンなどであるが、これらに限定されない。成長因子には、血小板由来成長因子、インスリン様成長因子、表皮成長因子、神経成長因子、繊維芽細胞成長因子、形質転換成長因子、インターロイキン(例えば、IL−1からIL−13まで)、インターフェロン、コロニー刺激因子等のサイトカインが含まれるが、これらに限定されない。抗体には、抗体を生産するために望ましい任意の種から直接に得られた免疫グロブリンが含まれるが、これに限定されない。更に、本発明は修飾された抗体を含む。ポリクローナルおよびモノクローナル抗体もまた本発明に含まれる。特に好ましい態様において、前記抗体はヒト抗体である。
本発明で使用される「異種(heterologous)タンパク」と言う用語は、宿主細胞において自然由来でないタンパク質およびポリペプチドのことを言う。異種タンパクの例には、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼおよびリパーゼを含むヒドロラーゼ、ラセマーゼ、エピメラーゼ、トウトメラーゼまたはムターゼのようなイソメラーゼ、トランスファラーゼ、キナーゼ、およびフォファターゼのような酵素が含まれる。いくつかの態様において、前記タンパク質は、ワクチンおよび抗体と共に、成長因子、サイトカイン、リガンド、受容体および阻止剤を含むが、これらに限定されない治療上重要なタンパク質またはペプチドである。更なる態様において、前記タンパク質は商業的に重要な工業的タンパク質/ペプチドである(例えば、プロテアーゼ、アミラーゼおよびグルコアミラーゼのようなカルボヒドラーゼ、セルラーゼ、オキシダーゼ、およびリパーゼ)。いくつかの態様において、前記タンパク質をコードする遺伝子は自然由来の遺伝子であり、一方、他の態様において突然変異および/または合成遺伝子が用いられる。
本発明で使用される「相同(homologous)タンパク」は、細胞における未処理または自然発生のタンパク質およびポリペプチドのことを言う。好ましい態様において、前記細胞はグラム陽性細胞であり、一方、特に好ましい態様において前記細胞はバチルス宿主細胞である。代替的な態様において、相同タンパクは大腸菌を含むがこれに限定されない他の生物体によって産生された天然タンパクである。本発明は、組換えDNA技術を経由して相同タンパクを生産する宿主細胞を含む。
本発明で使用される「オペロン領域」には、通常のプロモーターから単一転写単位として転写され、共制御(co−regulation)におかれる隣接遺伝子の一群が含まれる。いくつかの態様において、前記オペロンには調節遺伝子が含まれる。最も好ましい態様において、RNAレベルで高度に発現するが、しかし未知のまたは不要な機能を有するオペロンが使用される。
本発明で使用される「多数隣接単一遺伝子領域」は、少なくとも二つの遺伝子のコード領域が直列に生じ、およびいくつかの態様において、コード領域に先行および続く介在配列を含む。いくつかの態様において抗菌領域を含む。
本発明で使用される「抗菌領域」は、抗菌タンパクをコードする少なくとも一つの遺伝子を含む領域である。
発明の詳細な説明
本発明は、pckA遺伝子が修飾または欠失された発現タンパク質を生産するために改変された能力を有するように遺伝子操作されている細胞を提供する。特に本発明は、1つ以上の染色体遺伝子が修飾および/または不活性化された(例えば、pckA)、および好ましくは1つ以上の染色体遺伝子(例えば、pckA)が、修飾および/またはバチルス染色体から欠失された関心のあるタンパク質の増強された発現を有するバチルス種のようなグラム陽性菌に関する。いくつかの更なる態様において、1つ以上の常在染色体領域は修飾および/または対応する野生型バチルス宿主染色体から欠失されている。好ましい態様において、そのような欠失は関心あるタンパク質の改善された生産のような利点を提供する。
A.遺伝子欠失
上述したように、本発明には大きな染色体欠失と同様に、単一または多数の遺伝子欠失および/または突然変異を含む態様が含まれる。
いくつかの好ましい態様において、本発明は外来配列からなるDNA構築体を含む。DNA構築体は、in vitroで構築され、DNA構築体がバチルス染色体に組み込まれるようになるためにコンピテント・バチルス宿主へ構築体が直接クローニングされる。例えば、PCR融合および/または連結は、in vitroでDNA構築体を組み立てるために採用することが可能である。いくつかの態様においてDNA構築体は非プラスミド構築体であり、一方、他の態様においてそれはベクター(例えば、プラスミド)に組み込まれる。いくつかの態様において、環状プラスミドが用いられる。好ましい態様において、環状プラスミドは適切な制限酵素(すなわち、DNA構築体を***させない酵素)を用いるために設計される。しかし、直鎖状プラスミドもまた本発明において使用される(図1を参照されたい)。しかし、当該技術分野に既知の他の方法が本発明における使用に適切である(例えば、ペレゴ(Perego)「バチルス・スブチルスにおける遺伝子操作のための組込みベクター」、ソネンシェイン(Sonenshein他編、『バチルス・スブチルスおよびその他グラム陽性菌』、アメリカン・ソサエティー・フォー・ミクロバイオジー、ワシントンDC、[1993年]を参照されたい)。
いくつかの態様において、外来配列は選択マーカーを含む。いくつかの好ましい態様において、外来配列には染色体pckA遺伝子が含まれ、他方他の好ましい態様において外来配列には更に、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、phrC、sigB,rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocD、またはこれらの任意の遺伝子の断片(単独または組合わせた)からなる群から選択された染色体遺伝子が含まれる。追加的な態様において外来配列には相同pckA遺伝子配列が含まれ、一方、他の態様において外来配列には更に、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、phrC、sigB、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、および/またはrocD遺伝子配列からなる群から選択される少なくとも一つの追加的な相同配列が含まれる。相同配列は、外来配列に含まれることが可能なsbo、slr、ybcO、csn、spollSA、phrC、sigB,rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、pckA、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocD遺伝子またはそれらの遺伝子断片と、少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、88%、85%、または80%の配列同一性を有する核酸配列である。好ましい態様において、相同配列を含む外来配列は、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、phrC、sigB,rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、pckA、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、またはrocD遺伝子またはこれら遺伝子の任意の遺伝子断片と少なくとも95%の配列同一性を含む。更に他の態様において、前記外来配列は遺伝子配列の断片を有する5’および3’末端に隣接する選択マーカーを含む。いくつかの態様において、選択マーカーおよび遺伝子、遺伝子断片またはそれとの相同配列を含むDNA構築体が宿主細胞に形質転換される場合、選択マーカーの位置が遺伝子をその意図された目的に対して機能しないようにする。いくつかの態様において、前記外来配列は遺伝子のプロモーター領域に位置する選択マーカーを含む。他の態様において、前記外来配列は遺伝子のプロモーター領域の後ろに位置する選択マーカーを含む。更に他の態様において、前記外来配列は遺伝子のコード領域に位置する選択マーカーを含む。更なる態様において、前記外来配列は両末端におけるホモロジーボックスが隣接する選択マーカーを含む。また更なる態様において、前記外来配列はコード配列の転写および/または翻訳を妨げる配列を含む。更に追加的な態様において、前記DNA構築体は、構築体の上流および末端で組換えられた制限部位を含む。
前記DNA構築体はベクターに組み込まれても、またはプラスミドDNAの存在なしに用いられても、微生物の形質転換に用いられる。任意の形質転換に適切な方法は本発明に用いられると考えられる。好ましい態様において、前記DNA構築体の少なくとも一つのコピーが宿主バチルス染色体に組み込まれる。いくつかの態様において、本発明の1つ以上のDNA構築体が宿主細胞の形質転換に用いられる。例えば、1つのDNA構築体はslr遺伝子の不活性化に用いることができ、もう一つの構築体はphrC遺伝子の不活性化に用いることができる。勿論、更なる組合わせが本発明によって考慮および提供される。
いくつかの好ましい態様において、前記DNA構築体はまた、関心あるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。これらの好ましい態様のいくつかにおいて、前記DNA構築体にはまた、関心あるタンパク質をコードする配列と操作可能に結合する構成的または誘発的プロモーターが含まれる。関心あるタンパク質がプロテアーゼであるいくつかの好ましい態様において、前記プロモーターは、tacプロモーター、aβ−ラクタマーゼ・プロモーター、またはaprEプロモーターからなる群より選択される(デボア(DeBoer)他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80巻:21−25頁[1983年])。しかし、このことは、当業者に既知の任意の適切なプロモーターが本発明での使用されるとき、本発明が任意の特定のプロモーターに限定されることを意図していない。それにも拘わらず、特定の好ましい態様において、前記プロモーターはB.スブチルスaprEプロモーターである。
バチルス種の形質転換に関して多くの方法が知られる。実際にプラスミド構築体およびプラスミドの大腸菌への形質転換を含むバチルスの染色体を改変する方法は、よく知られている。殆どの方法において、プラスミドは引き続き大腸菌から単離され、バチルスに形質転換される。しかし、大腸菌のような介在微生物を用いることは重要ではなく、いくつかの好ましい態様において、前記DNA構築体はコンピテント・バチルス宿主へ直接に形質転換される。
いくつかの態様において、周知のバチルス・スブチルス菌株168は本発明において使用される。実際、この菌株のゲノムは充分に特徴付けられてきた(クンスト(Kunst)他、ネイチャー、390巻:249−256頁[1997年]、ヘンナー(Henner)他、Microbiol.Rev.、44巻、57−82頁[1980年]を参照のされたい)。前記ゲノムは、一つの4215kb染色体からなる。他方、本発明で用いられる配位は168菌株のことを言い、本発明にはバチルス菌株との類似配列が含まれる。
いくつかの態様において、前記外来染色体配列はpckA遺伝子を含み、一方、代替的な態様において外来染色体配列には更に、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB,phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocD遺伝子の断片およびそれらとの相同配列からなる群から選択される一つ以上の遺伝子が含まれる。B.スブチルス168由来のこれらの遺伝子のDNAコード配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号39、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号37、配列番号25、配列番号21、配列番号50、配列番号29、配列番号23、配列番号27、配列番号19、配列番号31、配列番号48、配列番号46、配列番号35、配列番号33において提供される。
上述のように、いくつかの態様において、pckAを単独でまたはsbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB,phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh、kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocD遺伝子、それらの遺伝子断片、またはそれらとの相同配列とpckAの組合わせを含む外来配列にはコード領域が含まれ、またさらに染色体コード領域に直に隣接する配列を含む。いくつかの態様において、コード領域に隣接する配列には、約1bp〜2500kb、1bp〜1500bp、約1bp〜1000bp、約1bp〜500bp、および1bp〜250bpの範囲が含まれる。コード領域に隣接する配列を含む核酸配列の数は、遺伝子コード配列の各末端において異なってもよい。例えば、いくつかの態様において、コード配列の5’末端は25bp未満を含み、コード配列の3’末端は100bpより多く含む。これらの遺伝子および遺伝子産物は以下に示される。本発明で使用される番号付けは、スブチリスト(subtilist)において用いられているものである(モッツァー(Moszer)他、Microbiol、141巻、261−268頁[1995年]を参照されたい)。
B.スブチルスのsboコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
Sboの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
ある態様において、B.スブチルス168染色体の約3834868〜3835219bpにおいて見出された遺伝子領域は、本発明を用いて欠失された。約3835081〜3835209において見出されるsboコード領域は、スブチリシンA、いくつかのグラム陽性菌に対して活性を有する抗菌剤を生産する(チェング(Zheng)他、J.Bacteriol.、181巻:7346−7355頁[1994年]を参照されたい)。
B.スブチルス168のslrコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
Slrの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
ある態様において、B.スブチルス168染色体の約3529014〜3529603bpにおいて見出された配列は、本発明を用いて欠失された。slrコード配列は染色体の約3529131〜3529586において見出される。
B.スブチルス168のphcCコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
PhrCの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、B.スブチルス168染色体の約429531〜429650bpにおいて見出されるコード領域は、コード配列の429591における選択マーカーの挿入によって不活性化された。
B.スブチルス168のsigBコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
SigBの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード配列はB.スブチルス168染色体の約522417〜5232085bpにおいて見出される。
B.スブチルス168のspollSAコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
spollSAの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約1347587〜1348714bpにおいて見出される。
B.スブチルス168のcsnコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
Csnの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約2747213〜2748043bpにおいて見出される。
B.スブチルス168のybcOコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
YbcOの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約213926〜214090bpにおいて見出される。
B.スブチルス168のrapAコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
RapAの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約1315179〜1316312bpにおいて見出される。
B.スブチルス168のCssコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
Cssの推定アミノ酸配列(ジェンバンク(GenBank)アクセス番号032193)は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約3384612〜3386774bpにおいて見出される。
B.スブチルス168のFbpタンパク(フルクトース−1,6−バイオフォスファターゼ)のfbpコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
Fbpタンパクの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約4127053〜4129065bpにおいて見出される。
B.スブチルス168のalsDタンパク(アルファ−アセト乳酸デカルボキシラーゼ)のalsDコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
AlsDタンパクの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約3707829〜3708593bpにおいて見出される。
B.スブチルス168のgapBタンパク(グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)のgapBコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
GapBタンパクの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約2966075〜2967094bpにおいて見出される。
Kblタンパク(2−アミノ−3−ケトブツレートCoAリガーゼ)のKblコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
Kblタンパクの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約1770787〜1771962bpにおいて見出される。
B.スブチルス168のpckAタンパク(フォスフォエノルピルベート カルボキシキナーゼ)のpckAコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
pckAタンパクの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約3128579〜3130159bpにおいて見出される。
B.スブチルス168のprpCタンパク(プロテイン フォスファターゼ)のprpCコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
prpCタンパクの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約1649684〜1650445bpにおいて見出される。
B.スブチルス168のrocAタンパク(プロリン−5 カルボキレート デハイドロゲナーゼ)のrocAコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
RocAタンパクの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約3877991〜3879535bpにおいて見出される。
B.スブチルス168のrocDタンパク(オルニチン アミノトランスフェラーゼ)のrocDコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
RocDタンパクの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約443328〜4144530bpにおいて見出される。
B.スブチルス168のrocFタンパク(アルギナーゼ)のrocDコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
RocFタンパクの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約4140738〜4141625bpにおいて見出される。
B.スブチルス168のTdhタンパク(スレオニン 3−デハイドロゲナーゼ)のTdhコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
Tdhタンパクの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約1769731〜1770771bpにおいて見出される。
トリプトファンオペロン制御領域および遺伝子trpE(配列番号48)、trpD(配列番号46)、trpC(配列番号44)、trpF(配列番号50)、trpB(配列番号42)、およびtrpA(配列番号40)のコード配列を以下に示す。オペロン制御領域に下線を引いた。trpE発端(ATG)は、trpD、trpC、trpF、trpB、およびtrpA発端(これらもまた、表示順に太字で示す)と同様に太字で示す。
Figure 2007532114
Figure 2007532114
TrpAタンパク(トリプトファン合成酵素(アルファサブユニット))の推定配列は、
Figure 2007532114
TrpBタンパク(トリプトファン合成酵素(ベータサブユニット))の推定配列は、
Figure 2007532114
TrpCタンパク(インドール−3−グルセロールリン酸シンターゼ)の推定配列は、
Figure 2007532114
TrpDタンパク(アントラニル酸フォスフォリボスルトランスフェラーゼ)の推定配列は、
Figure 2007532114
TrpEタンパク(アントラニル酸シンターゼ)の配列は、
Figure 2007532114
TrpFタンパク(ホスホリボシル・アトラニル酸イソメラーゼ)の推定配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約2370707〜2376834bp(第一bp=2376834、最終bp=2370707)において見出される。
B.スブチルス168のycgMタンパク(プロリン酸化酵素に類似)のycdMコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
YcdMタンパクの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約344111〜345019bpにおいて見出される。
B.スブチルス168のycgNタンパク(1−ピロリン−5−カルボン酸デハイドロゲナーゼ)のycgNコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
YcgNタンパクの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約345039〜346583bpにおいて見出される。
B.スブチルス168のsigDタンパク(RNAポリメラーゼ鞭毛、運動性、走化性および自己分解シグマ因子)のsigDコード配列を以下に示す。
Figure 2007532114
SigDの推定アミノ酸配列は、
Figure 2007532114
更に、コード領域はB.スブチルス168染色体の約1715786〜1716547bpにおいて見出される。
上記のように、他のバチルス宿主に見い出される不活性化された類似遺伝子は、本発明で使用されると考えられる。
いくつかの好ましい態様において宿主細胞はバチルス属の一員であり、一方、いくつかの態様において関心あるバチルス菌株は好アルカリ性である。多数の好アルカリ性バチルス菌株が知られている(米国特許US5,217,878号、およびアウンストラップ他、ProcIV IFS:Ferment.Technol.Today、299−305頁[1972年])。いくつかの好ましい態様において、関心あるバチルス菌株は工業用バチルス菌株である。工業用バチルス菌株の例には、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・レントゥス、バチルス・スブチルス、およびバチルス・アミロリケファシエンスが含まれるが、これに限定されない。更なる態様において、バチルス宿主菌株は、上述のバチルス属内の他の生物体と同様、バチルス・レントゥス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステアロテルモフィルス、バチルス・アルカロフィルス、バチルス・コアグランス、バチルス・サーキュランス、バチルス・プミルス、バチルス・チューリンギエンシス、バチルス・クラウシ、およびバチルス・メガテリウムからなる群から選択される。いくつかの特に好ましい態様において、バチルス・スブチルスが用いられる。他の適切な菌株が本発明における使用に考慮されるが、例えば、米国特許US5,264,366号および4,760,025号(RE34,606)は、本発明で使用される多種のバチルス宿主菌株を記述している。
工業用菌株には、バチルス種の非組換え菌株、自然由来の菌株の突然変異、または組換え菌株が可能である。好ましくは、前記宿主菌株は、関心あるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが宿主に導入されている組換え宿主菌株である。更に好ましい宿主菌株は、バチルス・スブチルス宿主菌株、およびとりわけ組換えバチルス・スブチルス宿主菌株である。1A6(ATCC39085)、168(1A01)、SB19、W23、Ts85、B637、PB1753からPB1758まで、PB3360、JH642、1A243(ATCC39,087)、ATCC21332、ATCC6051、MI113、DE100(ATCC39,094)、GX4931、PBT110、およびPEP211菌株(例えば、ホック(Hoch)他、遺伝学、73巻、215−228頁[1973年]、米国特許US4,450,235号、US4,302,544号、および欧州特許EP0134048号を参照されたい)を含むがこれに限定されない多数のバチルス・スブチルス菌株が知られている。発現宿主としてのバチルス・スブチルスの使用は、パルバ他およびその他(Palva他、遺伝子、19巻、81−87頁[1982年]、またファーネストックおよびフィッシャー(Fahnestock and Fischer)、J.Bacteriol.、165巻:796−804頁[1986年]、およびワン(Wang)他、遺伝子、69巻、39−47頁[1988年]も参照されたい)により更に記述されている。
バチルス菌株を生産する工業用プロテアーゼは特に好ましい発現宿主を提供する。いくつかの好ましい態様において、本発明におけるこれら菌株の使用は、更なる効率およびプロテアーゼ生産の強化を提供する。プロテアーゼの二つの遺伝子タイプは、典型的にはバチルス種、すなわち、中性(または「メタロプロテアーゼ」)およびアルカリ(または「セリン」)プロテアーゼによって分泌される。セリンプロテアーゼは、活性部位に本質的なセリン残基があるペプチド結合の加水分解を触媒する酵素である。セリンプロテアーゼは、25,000〜30,000の幅の分子量を有する(プリースト、Bacteriol.Rev.、41巻、711−753頁[1977年])。スブチリシンは、本発明における使用にとって好ましいセリンプロテアーゼである。バチルス・スブチリシンの広範な種類は、例えば、スブチリシン168、スブチリシンBPN’、スブチリシン・カールスバーグ、スブチリシンDY、スブチリシン147、およびスブチリシン309が、同定され、および配列決定されている(例えば、EP414279B号、WO89/06279号、およびスタール(Stahl)他、J.Bacteriol.Rev.、159巻、811−818頁[1984年]を参照されたい)。本発明のいくつかの態様において、バチルス宿主菌株は、突然変異(例えば、変異体)プロテアーゼを生産する。多数の引用文献が変異プロテアーゼの事例と参照を提供する(例えば、WO99/20770号、WO99/20726号、WO99/20769号、WO89/06279号、RE34,606号、米国特許US4,914,031号、米国特許US4,980,288号、米国特許US5,208,158号、米国特許US5,310,675号、米国特許US5,336,611号、米国特許US5,399,283号、米国特許US5,441,882号、米国特許US5,482,849号、米国特許US5,631,217号、米国特許US5,665,587号、米国特許US5,700,676号、米国特許US5,741,694号、米国特許US5,858,757号、米国特許US5,880,080号、米国特許US6,197,567号、および米国特許US6,218,165号を参照されたい)。
更に他の態様において、好ましいバチルス宿主は、degU、degS、degR、およびdegQの遺伝子の少なくとも1つにおける突然変異または欠失を含むバチルス種である。好ましくは、前記突然変異はdegU遺伝子においてであり、より好ましくは突然変異はdegU(Hy)32である(ムサデク(Msadek)他、J.Bacteriol.、172巻、824−834頁[1990年]、およびオルモス(Olmas)他、Mol.Gen.Genet.、253巻、562−567[1997年]を参照されたい)。最も好ましい宿主菌株は、degU32(Hy)突然変異を有するバチルス・スブチルスである。更なる態様において、前記バチルス宿主は、scoC4(コールドウェル(Coldwell)他、J.Bacteriol.、183巻、7329−7340頁[2001年]を参照されたい)、spollE(アリゴーニ(Arigoni)他、Mol.Microbiol.、31巻、1407−1415頁[1999年]を参照されたい)、oppAまたはoppオペロンの他の遺伝子(ペレーゴ(Perego)他、Mol.Microbiol.、5巻、173−185頁[1991年]を参照されたい)における突然変異または欠失を含む。実際、oppAにおける突然変異として同一の表現型を生じさせるoppオペロンにおける任意の突然変異は、本発明の改変バチルス菌株のいくつかの態様において利用されることになると考えられる。いくつかの態様においてこれらの突然変異は単独で生じ、一方、他の態様において突然変異の組合せが存在する。いくつかの態様において、本発明の改変バチルスは、上記の遺伝子の1つ以上の突然変異を既に含むバチルス宿主菌株から得られる。代替的な態様において、本発明の改変バチルスは、上記の遺伝子の1つ以上の突然変異を含むように更に組み替えられる。
更に他の態様において、外来配列は二つのloxP部位(クーンおよびトレス(Kuhn and Torres、Meth.Mol.Biol.、180巻、175−204頁[2002年]を参照されたい)の間に位置する選択マーカーを含み、次に抗菌剤がCreタンパクの活動によって欠失される。いくつかの態様において、これは、相同隣接DNAおよび抗菌を含む外来DNAを構築するために用いられるプライマーにより決定される天然DNAの欠失と同様、単一のloxPの挿入をもたらす。
当該業者は、バチルス細胞へのポリヌクレオチド配列の導入に関する適切な方法を十分知っている(例えば、フェラーリ(Ferrari)他、「遺伝子学」ハーウッド(Harwood)他編『バチルス』所収、プレナム出版社[1989年]57−72頁を参照されたい。また、ソーンダース(Saunders)他、J.Bacteriol.、157巻、718−726頁[1984年]、ホック(Hoch)他、J.Bacteriol.、93巻、1925−1937頁[1967年]、マン(Mann)他、Current Microbiol.、13巻、131−135頁[1986年]、およびホルボヴァ(Holubova)、Folia Microbiol.、30巻、97頁[1985年]、バチルス・スブチルスに関しては、チャン(Chang)他、Mol.Gen.Genet.、168巻、11−115頁[1979年]、バチルス・メガテリウムに関しては、ヴォロビエヴァ(Vorobieva)他、FEMS Microbiol.Lett.、7巻、261−263頁[1980年]、バチルス・アミロリケファシエンスに関しては、スミス他、Appl.Env.Microbiol.、51巻、634頁[1986年]、バチルス・チューリンギエンシスに関しては、フィッシャー他、Arch.Microbiol.、139巻、213−217頁[1981年]およびバチルス・スファエリクス(sphaericus)に関しては、マクドナルド、J.Gen.Microbiol.、130巻、203頁[1984年]を参照されたい)。実際、プロトプラスト形質転換および会合、形質移入、およびプロトプラスト融合を含む形質転換の方法は既知であり、本発明における使用に好適である。形質転換の方法は、本発明によって提供されるDNAを宿主細胞に導入するために特に好ましい。
一般的に使用される方法に加えて、いくつかの態様において宿主細胞は直接形質転換される(すなわち、中間細胞は、宿主細胞への導入に先立ってDNA構築体を増幅するために、または別の工程で、用いられない)。DNA構築体の宿主細胞への導入には、プラスミドまたはベクターへの挿入をしないで宿主細胞へDNAを導入するための、当該技術分野に既知の物理的、化学的方法が含まれる。そのような方法には、塩化カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、裸のDNA、リポソームなどが含まれるが、それに限定されない。追加的な態様において、DNA構築体は、プラスミドへ挿入されないで、プラスミドと一緒に共形質転換(co−transformed)される。更なる態様において、選択マーカーは当該技術分野で知られる方法により改変バチルス菌株から欠失される(スタール(Stahl)他、J.Bacteriol.、158巻、411−418頁[1984年]、およびパルメロス(Palmeros)他、遺伝子、247巻、255−264頁[2000年]を参照されたい)。
いくつかの態様において宿主細胞は、二つ以上の遺伝子が宿主細胞で不活性化されている改変バチルス菌株を生産するために、本発明に従って1つ以上のDNA構築体を用いて形質転換される。いくつかの態様において、二つ以上の遺伝子が宿主細胞染色体から欠失される。代替的な態様において、二つ以上の遺伝子はDNA構築体の挿入によって不活性化される。いくつかの態様において不活性化された遺伝子は隣接しており(不活性化が欠失に依るものか、および/または挿入に依るものかに拘わらず)、一方、他の態様においてそれらは隣接遺伝子ではない。
欠失、および細胞内および細胞外発現ポリペプチドの活性の測定については、当業者に既知の多数のアッセイがある。特にプロテアーゼについては、280nmにおける吸光度で、またはフォリン法を用いた比色分析で測定されるカゼインまたはヘモグロビン由来の酸可溶性ペプチドの放出に基づくアッセイがある(例えば、バーグメイヤー(Bergmeyer)他、「酵素分析の方法」5巻、『ペプチダーゼ、プロテイナーゼおよびそれらの阻害剤』、Verlag Chemie社、ワインハイム[1984年]を参照されたい)。他のアッセイは、発色基質の可溶化を含む(例えば、ワード(Ward)「プロテイナーゼ」、Fogarty編『微生物酵素およびバイオテクノロジー』所収、アプライド・サイエンス社、ロンドン[1983年]、251−317頁を参照されたい)。他のアッセイ例には、スクシニル−Ala−Ala−Pro−Phe−パラニトロアリニド・アッセイ(SAAPFpNA)および2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸・ナトリウム塩アッセイ(TNBSアッセイ)が含まれる。当業者に既知の多数の追加的な参考文献が、適切な方法を提供している(例えば、ウエルス(Wells)他、Nucleic Acids Res.、11巻、7911−7925頁[1983年]、クリスチャンソン(Christianson)他、Anal.Biochem.、223巻、119−129頁[1994年]、およびシャ(Hsia)他、Anal.Biochem.、242巻、221−227頁[1999年]を参照されたい)。
宿主細胞における関心あるタンパク質の分泌レベルの決定および発現タンパクの検出の手段には、タンパク質に対して特異的なポリクローナルまたはモノクローナル抗体を用いた免疫アッセイの使用が含まれる。具体例には、酵素免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、および蛍光活性化セルソーティング(FACS)が含まれる。しかし、他の方法が当業者に既知であり、関心あるタンパクの評価において使用される(例えば、ハンプトン(Hampton)他、『血清学的方法−実験室マニュアル』、APS出版社、セントポール、ミネソタ州[1990年]、およびマドックス(Maddox)他、J.Exp.Med.、158巻、1211頁[1983年]を参照されたい)。いくつかの好ましい態様において、関心あるタンパク質の分泌は、対応する未改変の宿主におけるよりも本発明を用いて得られた改変菌株においてより高い。当該技術分野に既知であるように、本発明を用いて生産された改変バチルス細胞は、細胞カルチャー由来の関心あるポリペプチドプチドの発現および回収に好適な条件下で維持され、培養される(例えば、ハードウッドおよびカッティング(Hardwood and Cutting)編集、『バチルスの分子生物学的方法』、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社[1990年]を参照されたい)。
B.大きな染色体欠失
上述のように、単一および多遺伝子欠失に加えて、本発明は大きな染色体欠失を提供する。本発明のいくつかの好ましい態様において、常在染色体領域またはそれらの断片は、改変バチルス菌株を生産するためにバチルス宿主細胞から欠失される。いくつかの態様において、前記常在染色体領域には、プロファージ領域、抗菌領域(例えば、抗生剤領域)、制御領域、多隣接単一遺伝子領域および/またはオペロン領域が含まれる。本発明で言及される常在染色体領域を示す座標は、バチルス・スブチルス菌株168染色体マップに従って特定される。数は通常、それが存在するならば、リボソーム結合部位の発端と、またはコード領域の末端と関連しており、通常は存在可能なターミネータを含まない。菌株168のバチルス・スブチルスのゲノムは周知であり(クンスト(Kunst)他、ネイチャー、390巻、249−256頁[1997年]、ヘンナー(Henner)他、Microbiol.Rev.、44巻、57−82頁[1980年]を参照のされたい)、一つの4215kb染色体からなる。しかし、本発明もまた、任意のバチルス菌株由来の類似配列を含む。特に好ましくは、他のB.スブチルス菌株、B.リケニフォルミス菌株、およびB.アミロリケファシエンス菌株である。
いくつかの態様において、前記常在染色体領域にはプロファージ切片およびそれらの断片が含まれる。「プロファージ切片」は、ウイルスのDNAが正常細菌遺伝子から効果的に区別できない細菌染色体へ挿入されているウイルスのDNAである。前記B.スブチルスのゲノムは、多数のプロファージ切片からなり、これらの切片は感染性ではない(シーマン(Seaman)他、Biochem.、3巻、607−613頁[1964年]、およびスティクラー(Stickler)他、Virol.、26巻、142−145頁[1965年])。バチルス・スブチルスのプロファージ領域の任意の1つが欠失されることが可能であっても、参照は、以下の限定されない実施例のためになされる。
本発明のいくつかの態様において欠失される一つのプロファージ領域は、「皮膚」要素の間に入るシグマKである。この領域は、B.スブチルス168染色体の約2652600bp(spolVCA)から2700579bp(yqaB)において見出される。本発明を用いて、染色体の2653562bp〜2699604bpに対応する約46kbの切片が欠失された。この要素は、spolVCBおよびspoIIIC遺伝子の間のSIGK ORF内に位置する祖先テンペレートファージの残留物と考えられている。しかし、本発明が、欠失領域に関与する任意の特定の機構または作用様式に限定されることを意味しない。前記要素は、推定リボソーム結合部位を有する57の読み取り枠を包含することが証明されている(タケマル他、Microbial.、141巻、323−327頁[1995年]を参照されたい)。母細胞における胞子形成の間、前記皮膚要素は切り出され、sigK遺伝子の再構築を導く。
欠失に適切なもう一つの領域は、プロファージ7領域である。この領域は、B.スブチルス168染色体の約2701208bp(yrkS)〜2749572bp(yraK)において見出される。本発明を用いて、染色体の2701087bp〜2749642bpに対応する約48.5kbの切片が欠失された。
更なる領域は、皮膚+プロファージ7領域である。この領域は、B.スブチルス168染色体の約2652151bp〜2749642bpにおいて見出される。本発明を用いて、約97.5kb切片が欠失された。この領域はまた介在spoIIC遺伝子を含む。皮膚/プロファージ7領域には、以下の遺伝子が含まれるが、これに限定されない。すなわち、spoIVCA―DNA組換え体、blt(多剤耐性)、cypA(シトクロムP450様酵素)、czcD(陽イオン排出系膜タンパク)、およびrapE(応答調節因子アスパラギン酸ホスファターゼ)である。
更に他の領域はPBSX領域である。この領域は、B.スブチルス168染色体の約1319884bp(xkdA)〜1347491bp(xlyA)において見出される。本発明を用いて、染色体の1319663bp〜1348691bpに対応する約29kbの切片が欠失された。正常の非誘発条件下で、このプロファージ要素は感染性ではなく、および殺菌性でない(W23およびS31のような、少数の感受性株を除いて)。それはマイトマイシンCにより誘導性であり、SOS反応により活性化され、ファージ様粒子の放出によって細胞融解をもたらす。このファージ粒子は細菌染色体DNAを含み、DNAを注入することなく感受性細菌を殺す(Canosi他、J.Gen.Virol.、39巻:81−90頁[1978年])。この領域には以下の遺伝子の限定されないリストが含まれる。すなわち、xtmA−B、xkdA−KおよびM−X、xre、xtrA、xpf、xep、xhlA―BおよびxlyAである。
更なる領域は、SPβ領域である。この領域は、B.スブチルス168染色体の約2150824bp(yodU)〜2286246bp(ypqP)において見出される。本発明を用いて、染色体の2151827bp〜2285246bpに対応する約133.5kbの切片が欠失された。この要素は、その機能が依然として特徴付けられていないテンペレート・プロファージである。しかしながら、この領域における遺伝子には、推定胞子外皮タンパク(yodU、sspC、yokH)、推定ストレス反応タンパク(yorD、yppQ、ypnP)、およびyomオペロンの一員のような胞子外皮タンパクにおける遺伝子およびストレス反応遺伝子とのホモローグを有する他の遺伝子が含まれる。他の遺伝は、yot、yos、yoq、yop、yon、yom、yoz、yol、yok、ypo、およびypmを含むこの領域である。
追加的な領域は、プロファージ1領域である。この領域は、B.スブチルス168染色体の約202098bp(ybbU)〜220015bp(ybdE)において見出される。本発明を用いて、染色体の202112bp〜220141bpに対応する約18.0kbの切片が欠失された。この領域における遺伝子は、DNAアルキル化およびNADHデヒドロゲナーゼ、サブユニット5をコードするndhFに対する順応的反応を示すAdaA/Bオペロンを含む。
更なる領域は、プロファージ2領域である。この領域は、B.スブチルス168染色体の約529069bp(ydcL)〜569493bp(ydeJ)において見出される。本発明を用いて、染色体の529067bp〜569578bpに対応する約40.5kbの切片が欠失された。この領域における遺伝子には、rapI/phrI(応答調節因子アスパラギン酸ホスファターゼ)、sacV(納豆菌の転写調節因子)、およびcspCが含まれる。
他の領域は、プロファージ3領域である。本発明を用いて、B.スブチルス168染色体の約652000bp〜664300pに対応する約50.7kbの切片が欠失された。
更に他の領域は、プロファージ4領域である。この領域は、B.スブチルス168染色体の約1263017bp(yjcM)〜1313627bp(yjoA)において見出される。本発明を用いて、染色体の1262987bp〜1313692bpに対応する約2.3kbの切片が欠失された。
追加的な領域は、プロファージ5領域である。本発明を用いて、B.スブチルス168染色体の約1879200bp〜1900000bpに対応する約20.8kbの切片が欠失された。
他の領域は、プロファージ6領域である。本発明を用いて、B.スブチルス168染色体の約2046050bp〜2078000bpに対応する約31.9kbの切片が欠失された。
更なる態様において、前記常在染色体領域には、1つ以上のオペロン領域、多隣接単一遺伝子領域、および/または抗菌性領域が含まれる。いくつかの態様において、これらの領域には以下が含まれる。
PPSオペロン領域
この領域は、B.スブチルス168染色体の約1959410bp(ppsE)〜1997178bp(ppsA)において見出される。本発明を用いて、染色体の約1960409〜1998026bpに対応する約38.6kbの切片が欠失された。このオペロン領域は、抗菌性合成に関与し、プリパスタチン合成酵素をコードする。
PKSオペロン領域
この領域は、B.スブチルス168染色体の約1781110bp(pksA)〜1857712bp(pksR)において見出される。本発明を用いて、染色体の約1781795〜1857985bpに対応する約76.2kbの切片が欠失された。この領域は、ポリケチドシンターゼをコードし、抗菌性合成に関与する(スコッチ(Scotti)他、遺伝子、130巻、65−71頁[1993年])。
yvfF−yveKオペロン領域
この領域は、B.スブチルス168染色体の約3513149bp(yvfF)〜3528184bp(yveK)において見出される。本発明を用いて、染色体の約3513137〜3528896bpに対応する約15.8kbの切片が欠失された。この領域は、推定多糖類をコードする(ダルトワ(Dartois)他、バチルスに関する第7回国際会議(1993年)、パスツール研究所[1993年]、56頁を参照されたい)。この領域には以下の遺伝子が含まれる。すなわち、yvfA−F、yveK−T、およびslrである。B.スブチルス168染色体の約3529014〜3529603bpにおいて見出されるslr遺伝子領域は、約589bp切片を含む。この領域はyvfF−yveKオペロンの制御領域である。
DHBオペロン領域
この領域は、B.スブチルス168染色体の約3279750bp(yukL)〜3293206bp(yuiH)において見出される。本発明を用いて、染色体の3279418〜3292920bpに対応する約13.0kbの切片が欠失された。この領域は、カテコール性シデロフォン2,3−ジヒドロキ安息香酸−グリシン−スレオニン三量体エステルバシリバクチンをコード化する(メイ(May)他、J.Biol.Chem.、276巻、7209−7217頁[2001年]を参照されたい)。この領域には以下の遺伝子が含まれる。すなわち、yukL、yukM、dhbA−C,EおよびF、およびyuiI−Hである。
上述のように、前記領域は欠失されるべき好ましい常在染色体領域の具体例であり、一方、本発明のいくつかの態様において、前記領域の断片もまた欠失される。いくつかの態様において、そのような断片は常在染色体領域の約1%〜99%の範囲を含む。他の態様において、断片は常在染色体領域の約5%〜95%の範囲を含む。さらに追加的な態様において、断片は常在染色体領域の少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、90%、88%、85%、80%、75%、70%、65%、50%、40%、30%、25%、20%、および10%を含む。
B.スブチルス168染色体における染色***置を参照して削除されるべき常在染色体領域の断片の更なる非制限的な具体例は、以下を含む。すなわち、
a)皮膚領域について
i)yqcCからyqaMを含む、約2666663から2693807の座標位置、および、
ii)rapEからphrEを含む、約2658440〜2659688の座標位置、
b)PBSXプロファージ領域について
i)xkdAからxkdXを含む、約1320043〜1345263の座標位置、および、
ii)xkdEからxkdWを含む、約1326662〜1345102の座標位置、
c)SPβ領域について
i)yodVからyonAを含む、約2149354〜2237029の座標位置、
d)DHB領域について
i)dhbFからdhbAを含む、約3282879〜3291353の座標位置、
e)yvfFからyveK領域について
i)yvfBからyveQを含む、約3516549〜3522333の座標位置、
ii)yvfFからyveKを含む、約3513181〜3528915の座標位置、および、
iii)yveQからyveLを含む、約3521233〜3528205の座標位置、
f)プロファージ1領域について
i)ybcOからybdEを含む、約213926〜220015の座標位置、および、
ii)ybcPからybdEを含む、約214146〜220015の座標位置、
g)プロファージ2領域について
i)rapIからcspCを含む、約546867〜559005の座標位置、および
h)プロファージ4領域について
i)yjcMからydjJを含む、約1263017〜675421の座標位置、である。
欠失に適切な常在染色体領域の断片の数は、断片が同定された常在染色体領域よりも少ないbpsからのみなることが可能であるために、多数である。更に、多くの同定された常在染色体領域は多数の遺伝子を含む。当業者は、どの常在染色体領域の断片が、特定の応用での使用に対する欠失に適切であるかを容易に決定することができる。
常在染色体領域の定義は、定義された切片に多くの隣接ヌクレオチドを除外するほど厳格ではない。例えば、SPβ領域は本発明においてB.スブチルス168染色体の座標の約2150824〜2286246に位置すると定義され、一方、常在染色体領域は領域の両側に、更に10〜5000bp、更に100〜4000bp、または更に100〜1000bpを含むことが可能である。領域の両側の多数のbpは、欠失の標的とされる常在染色体領域に含まれないもう一つの遺伝子の存在によって制限される。
上述のように、本発明で開示された特定の領域の位置は、B.スブチルス168染色体で参照される。バチルス菌株由来の他の類似領域は、常在染色体領域の定義に含まれる。類似領域が任意のバチルス菌株において見出すことが可能であるのに対し、特に好ましい類似領域はバチルス・スブチルス菌株、バチルス・リケニフォルミス菌株およびバチルス・アミロリケファシエンス菌株に見出される。
一定の態様において、1つ以上の常在染色体領域またはそれらの断片は、バチルス菌株から欠失される。しかしながら、1つ以上の常在染色体領域またはそれらの断片の欠失は、欠失を含む菌株の生殖依存度に有害に影響しない。いくつかの態様において、二つの常在染色体領域またはそれらの断片が欠失される。追加的な態様において、三つの常在染色体領域またはそれらの断片が欠失される。更に他の態様において、四つの常在染色体領域またはそれらの断片が欠失される。更なる態様において、五つの常在染色体領域またはそれらの断片が欠失される。他の態様において、14もの常在染色体領域またはそれらの断片が欠失される。いくつかの態様において前記常在染色体領域またはそれらの断片は隣接し、他方、他の態様においてそれらはバチルス染色体の別個の領域に位置する。
欠失された常在染色体領域またはそれらの断片を含むバチルス属の任意の一員の菌株が、本発明において利用される。いくつかの好ましい態様において、前記バチルス菌株は、B.スブチルス菌株、B.アミロリケファシエンス菌株、B.レントゥス菌株、およびB.リケニフォルミス菌株からなる群より選択される。いくつかの好ましい態様において、前記菌株は工業用バチルス菌株、最も好ましくは工業用B.スブチルス菌株である。更に好ましい態様において、前記改変バチルス菌株はプロテアーゼ生産菌株である。いくつかの特に好ましい態様において、それはプロテアーゼ酵素をコード化するポリヌクレオチドを含むようにあらかじめ組み換えられているB.スブチルス菌株である。
上述のように、常在染色体領域またはそれらの断片が欠失されているバチルス菌株は、本発明において「改変バチルス菌株」と呼ばれる。本発明の好ましい態様において、前記改変バチルス菌株は、関心あるタンパク質の増強された発現レベルを示す(すなわち、関心あるタンパク質の発現が、同一の培養条件下で培養された対応する未改変バチルス菌株と比較して、増強される)。
増強の一つの測定法は関心あるタンパク質の分泌である。いくつかの態様において、関心あるタンパク質の生産は対応する未改変バチルス菌株と比べて、少なくとも0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、4.0%、5.0%、8.0%、10%、15%、20%、および25%またはそれ以上増強される。他の態様において、1リットル当たりに生産されたタンパク質をグラム単位で測定した場合、関心あるタンパク質の生産は、対応する未改変バチルス菌株と比べて、約0.25%〜20%、約0.5%〜15%、および約1.0%〜10%の間で増強される。
常在染色体領域またはその断片の欠失を含む本発明により提供される改変バチルス菌株は、以下の手段を含むがこれに限定されない任意の適切な方法を用いて生産される。ある一般的な態様において、DNA構築体はバチルス宿主に導入される。DNA構築体は、不活性化染色体切片を含み、いくつかの態様において更に選択マーカーを含む。好ましくは、選択マーカーは不活性化染色体切片のある部分に、5’および3’末端の双方で隣接する。
いくつかの態様において、不活性化染色体切片は好ましくは欠失されるべき常在染色体領域(または前記領域の断片)の直ぐ上流および下流に隣接したヌクレオチドと100%の配列同一性を有し、常在染色体領域の上流および下流ヌクレオチドと約70%〜100%、約80%〜100%、および約95%〜100%の間の配列同一性を有する。不活性化染色体切片の各部分は、未改変宿主における常在染色体領域を用いた相同組換えを提供するために、常在染色体領域の十分な5’および3’隣接配列を含まなければならない。
いくつかの態様において、前記不活性化染色体切片の各部分は、約50〜10,000塩基対(bp)を含む。しかし、より低いまたはより高いbp部分は、本発明において使用される。好ましくは、各部分は、約50〜5000bp、約100〜5000bp、約100bp〜3000bp、100bp〜2000bp、約100〜1000bp、約200〜4000bp、約400〜3000bp、約500〜2000bp、および、また約800〜1500bpである。
いくつかの態様において、選択マーカーおよび不活性常在染色体切片を含むDNA構築体は、in vitroで組み合わせられ、つぎにDNA構築体がバチルス染色体へ組み込まれるようになるために、前記構築体のコンピテント・バチルス宿主へ直接クローニングされる。例えば、PCR融合および/または連結は、in vitroでDNA構築体の組立てに適切である。いくつかの態様において、前記DNA構築体は非プラスミド構築体であり、一方、他の態様においてそれはベクターに組み込まれる(すなわち、プラスミド)。いくつかの態様において環状プラスミドが使用され、およびこの環状プラスミドは適当な制限酵素(すなわち、DNA構築体を***させない酵素)を用いて切断される。従って、線状プラスミドは、発明において使用される(例えば、図1、およびペレーゴ(Perego)『バチルス・スブチルスにおける遺伝子操作に関する組込ベクター』、ソネンシャイン(Sonenshein)他編、Am.Soc.Microbiol.、ワシントンDC、[1993年]を参照されたい)。
いくつかの態様において、DNA構築体またはベクター、好ましくは不活性化染色体切片を含むプラスミドは、未改変宿主における常在染色体領域またはその断片を用いた相同組換えを提供するために、常在染色体切片またはそれらの断片の5’および3’隣接配列(seq)の十分な量を含む。他の態様において、DNA構築体は構築体の上流および下流末端において操作された制限部位を含む。本発明に従って有用で、座標位置に従って同定されたDNA構築体の非制限的な例には、以下が含まれる。すなわち、
1.PBSX領域の欠失のためのDNA構築体:[yjqB末端およびリボソーム結合部位(RBS)を含んでいる完全yjpCを含む5’隣接配列1318874〜1319860bp]−マーカー遺伝子−[ターミネータおよびpitの上流部分を含む3’隣接配列1348691〜1349656bp]。
2.プロファージ1領域の欠失のためのDNA構築体:[RBSおよびターミネータを含む完全glmSおよびybbURBSを含む5’隣接配列201248〜202112bp]−マーカー遺伝子−[RBSを含む完全ybgdを含む3’隣接配列220141〜221195bp]。
3、プロファージ2領域の欠失のためのDNA構築体:[ydcK末端、trnS−Asn、trnS−Ser、trnS−Glu、trnS−Gln、trnS−Lys、trnS−Leu1およびtrnS−leu2である完全tRNAsを含む5’隣接配列527925〜529067bp]−マーカー遺伝子−[完全ydeKおよびydeLの上流部分を含む3’隣接配列569578〜571062bp]。
4、プロファージ4領域の欠失のためのDNA構築体:[yjcMの部分を含む5’隣接配列1263127〜1264270bp]−マーカー遺伝子−[RBSを含むyjoBの部分を含む3’隣接配列1313660〜1314583bp]。
5、yvfF−yveK領域の欠失のためのDNA構築体:[sigLの部分、完全yvfGおよびyvfFの発端を含む5’隣接配列3512061〜3513161bp]−マーカー遺伝子−[完全slrおよびpnbAの発端を含む3’隣接配列3528896〜3529810bp]。
6、DHBオペロン領域の欠失のためのDNA構築体:[ターミネータを含むaldの末端、RBSを含む完全yuxI、RBSおよびターミネータを含む完全yukJ、およびyukLの末端を含む5’隣接配列3278457〜3280255bp]−マーカー遺伝子−[RBSを含むyuiHの末端、RBSおよびターミネータを含む完全yuiG、およびターミネータを含むyuiFの上流末端を含む3’隣接配列3292919〜3294076bp]。
DNA構築体がベクターに組み込まれるか、またはプラスミドDNAの存在なしに使用されるかに拘わらず、それは微生物、好ましくは大腸菌細胞またはコンピテント・バチルス細胞に導入される。
プラスミド構築体およびプラスミドの大腸菌への形質転換に関与するバチルス細胞へのDNAの導入の方法はよく知られている。前記プラスミドは続いて大腸菌から単離され、バチルスへ形質転換される。しかし、大腸菌のような介在微生物を用いることは重要ではなく、いくつかの態様においてDNA構築体またはベクターが直接バチルス宿主へ導入される。
好ましい態様において、前記宿主細胞はバチルス種である(例えば、米国特許US5,264,366号、米国特許US4,760,025号、およびRE34,6060を参照されたい)。いくつかの態様において、関心あるバチルス菌株は好アルカリ性バチルスである。多数の好アルカリ性バチルス菌株が知られる(例えば、米国特許US5,217,878号、およびアウンストラップ(Aunstrup)他、ProcIV IFS:Ferment.Technol.Today、299−305頁[1972年])。特に関心あるバチルス菌株の他のタイプは、工業用バチルス菌株の細胞である。工業用バチルス菌株の例には、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・レントゥス、バチルス・スブチルス、およびバチルス・アミロリケファシエンスが含まれるが、これに限定されない。更なる態様において、バチルス宿主菌株は、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・スブチルス、バチルス・レントゥス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステアロテルモフィルス、バチルス・アルカロフィルス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・コアグランス、バチルス・サーキュランス、バチルス・プミルス、バチルス・チューリンギエンシス、バチルス・クラウシ、およびバチルス・メガテリウムからなる群より選択される。特に好ましい態様において、バチルス・スブチルス細胞が用いられる。
いくつかの態様において、工業用宿主菌株は、バチルス種の非組換え菌株、自然発生のバチルス菌株の突然変異体、および組換えバチルス宿主菌株からなる群より選択される。好ましくは、宿主菌株は、関心あるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが宿主にあらかじめ導入される場合、組換え宿主菌株である。更に好ましい宿主菌株は、バチルス・スブチルス宿主菌株、およびとりわけ組換えバチルス・スブチルス宿主菌株である。多数のバチルス・スブチルス菌株が知られており、本発明の使用に好適である(例えば、1A6(ATCC39085)、168(1A01)、SB19、W23、Ts85、B637、PB1753からPB1758まで、PB3360、JH642、1A243(ATCC39,087)、ATCC21332、ATCC6051、MI113、DE100(ATCC39,094)、GX4931、PBT110、およびPEP211菌株;ホック(Hoch)他、遺伝学、73巻、215−228頁[1973年]、米国特許US4,450,235号、米国特許US4,302,544号、および欧州特許EP0134048号;パルバ(Palva)他、遺伝子、19巻、81−87頁[1982年]、ファーネストックおよびフィッシャー(Fahnestock and Fischer)、J.Bacteriol.、165巻、796−804頁[1986年]、およびワン(Wang)他、遺伝子、69巻、39−47頁[1988年]を参照されたい)。発現宿主として特に関心あるのは、工業用プロテアーゼ生産バチルス菌株である。これらの菌株を用いることによってプロテアーゼ生産に見られる高い効率は、本発明の改変バチルス菌株によって更に増強される。
バチルス菌株を生産する工業用プロテアーゼは、特に好ましい発現宿主を提供する。いくつかの態様において、本発明におけるこれら菌株の使用は、効率およびプロテアーゼ生産における更なる増強を提供する。上記のように、プロテアーゼの二つの一般的タイプがあり、それらは典型的にバチルス種、すなわち中性(または「メタロプロテアーゼ」)およびアルカリ(または「セリン」)プロテアーゼによって分泌される。また、上記のように、スブチリシンは、本発明における使用にとって好ましいセリンプロテアーゼである。広範なバチルス・スブチリシンは、例えば、スブチリシン168、スブチリシンBPN’、スブチリシン・カールスバーグ、スブチリシンDY、スブチリシン147、およびスブチリシン309が、同定され、および配列決定されている(例えば、EP414279B号、WO89/06279号、およびスタール(Stahl)他、J.Bacteriol.、159巻、811−818頁[1984年]を参照されたい)。本発明のいくつかの態様において、バチルス宿主菌株は、突然変異(例えば、変異体)プロテアーゼを生産する。多数の引用文献が変異プロテアーゼの例および参照を提供する(例えば、WO99/20770号、WO99/20726号、WO99/20769号、WO89/06279号、RE34,606号、米国特許US4,914,031号、米国特許US4,980,288号、米国特許US5,208,158号、米国特許US5,310,675号、米国特許US5,336,611号、米国特許US5,399,283号、米国特許US5,441,882号、米国特許US5,482,849号、米国特許US5,631,217号、米国特許US5,665,587号、米国特許US5,700,676号、米国特許US5,741,694号、米国特許US5,858,757号、米国特許US5,880,080号、米国特許US6,197,567号、および米国特許US6,218,165号を参照されたい)。
更に他の態様において、好ましいバチルス宿主は、degU、degS、degR、およびdegQの遺伝子の少なくとも1つにおける、突然変異または欠失を含むバチルス種である。好ましくは、前記突然変異はdegU遺伝子におけるものであり、より好ましくは前記突然変異はdegU(Hy)32である(ムサデク(Msadek)他、J.Bacteriol.、172巻、824−834頁[1990年]、およびオルモス(Olmas)他、Mol.Gen.Genet.、253巻、562−567頁[1997年]を参照されたい)。最も好ましい宿主菌株は、degU32(Hy)突然変異を有するバチルス・スブチルスである。更なる態様において、前記バチルス宿主は、scoC4(コールドウェル(Coldwell)他、J.Bacteriol.、183巻、7329−7340頁[2001年]を参照されたい)、spollE(アリゴーニ(Arigoni)他、Mol.Microbiol.、31巻、1407−1415頁[1999年]を参照されたい)、oppAまたはoppオペロンの他の遺伝子(ペレーゴ(Perego)他、Mol.Microbiol.、5巻、173−185頁[1991年]を参照されたい)における突然変異または欠失を含む。実際、oppA遺伝子における突然変異として同一の表現型を生じさせるoppオペロンにおける任意の突然変異は、本発明の改変バチルス菌株のいくつかの態様において利用されることになると考えられる。いくつかの態様において、これらの突然変異は単独で生じ、一方、他の態様において突然変異の組合せが存在する。いくつかの態様において、本発明の改変バチルスは、上記の遺伝子の1つ以上における突然変異を既に含むバチルス宿主菌株から得られる。代替的な態様において、本発明の改変バチルスは、上記の遺伝子の1つ以上の突然変異を含むように更に操作されている。
いくつかの態様において、二つ以上のDNA構築体がバチルス宿主細胞に導入され、改変バチルスにおける二つ以上の常在染色体領域の欠失をもたらす。いくつかの態様において、これらの領域は隣接している(例えば、皮膚とプロファージ7領域)が、他方、他の態様において前記領域は離れている(例えば、PBSX領域およびPKS領域、皮膚領域およびDHB領域、またはPKS領域、SPβ領域およびyvfF−yveK領域)。
当業者は、ポリヌクレオチド配列を細菌(例えば、大腸菌およびバチルス)細胞に導入する適切な方法について十分知っている(例えば、フェラーリ(Ferrari)他、「遺伝学」、ハードウッド(Hardwood)他編『バチルス』、プレナム出版社、[1989年]57−72頁を参照されたい。更に、ソーンダース(Saunders)他、J.Bacteriol.、157巻、718−726頁[1984年]、ホック(Hoch)他、J.Bacteriol.、93巻、1925−1937頁[1967年]、マン(Mann)他、Current Microbiol.、13巻、131−135頁[1986年]、およびホルボヴァ(Holubova)、Folia Microbiol.、30巻、97頁[1985年]、バチルス・スブチルスに関しては、チャン(Chang)他、Mol.Gen.Genet.、168巻、11−115頁[1979年]、バチルス・メガテリウムに関しては、ヴォロビエヴァ(Vorobieva)他、FEMS Microbiol.Lett.、7巻、261−263頁[1980年]、バチルス・アミロリケファシエンスに関しては、スミス他、Appl.Env.Microbiol.、51巻、634頁[1986年]、バチルス・チューリンギエンシスに関しては、フィッシャー他、Arch.Microbiol.、139巻、213−217頁[1981年]、およびバチルス・スファエリクスに関しては、マクドナルド、J.Gen.Microbiol.、130巻、203頁[1984年]を参照されたい)。実際、プロトプラスト形質転換および会合、形質移入、およびプロトプラスト融合を含む形質転換の方法は既知であり、本発明における使用に好適である。形質転換の方法は、本発明によって提供されるDNA構築体を宿主細胞に導入するために特に好ましい。
共通に使用される方法に加えて、いくつかの態様において宿主細胞は直接形質転換される(すなわち、中間細胞は、宿主細胞への導入に先立ってDNA構築体を増幅するために、または別の工程で、用いられない)。DNA構築体の宿主細胞への導入には、プラスミドまたはベクターへの挿入をしないで宿主細胞へDNAを導入するための、当該技術分野に既知の物理的、化学的方法が含まれる。そのような方法には、塩化カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、裸のDNA、リポソームなどが含まれるが、それらに限定されない。追加的な態様において、DNA構築体は、プラスミドへ挿入されないで、プラスミドと一緒に形質転換される。更なる態様において、選択マーカーは、当該技術分野で知られる方法により改変バチルス菌株から欠失、または実質的に切り出される(スタール(Stahl)他、J.Bacteriol.、158巻、411−418頁[1984年]、およびパルメロス(Palmeros)他、遺伝子、247巻、255−264頁[2000年]に記述されている、パルメロス他の保存的部位特異的組換え(CSSR)法を参照されたい)。いくつかの好ましい態様において、宿主染色体からのベクターの分離は、染色体における隣接領域を放置し、一方、常在染色体領域を除去する。
いくつかの態様において宿主細胞は、二つ以上の遺伝子が宿主細胞で不活性化されている改変バチルス菌株を生産するために、本発明に従って1つ以上のDNA構築体を用いて形質転換される。いくつかの態様において、二つ以上の遺伝子が宿主細胞染色体から欠失される。代替的な態様において、二つ以上の遺伝子はDNA構築体の挿入によって不活性化される。いくつかの態様において不活性化された遺伝子は隣接し、(不活性化が欠失に依るものか、および/または挿入に依るものかに拘わらず)一方、他の態様においてそれらは隣接遺伝子ではない。
上記のように、細胞内および細胞外発現ポリペプチドの活性検出および測定については、当業者に既知の多数のアッセイがある。特にプロテアーゼについては、280nmにおける吸光度またはフォリン法を用いた比色分析で測定されたカゼインまたはヘモグロビン由来の酸可溶性のペプチドの放出に基づくアッセイがある(例えば、バーグメイヤー(Bergmeyer)他、「酵素分析の方法」、5巻、『ペプチダーゼ、プロテイナーゼおよびそれらの阻害剤』、Verlag Chemie社、ワインハイム[1984年]を参照されたい)。他のアッセイは、発色基質の可溶化を含む(例えば、ワード(Ward)「プロテイナーゼ」、Fogarty編『微生物酵素およびバイオテクノロジー』所収、アプライド・サイエンス社、ロンドン[1983年]251−317頁を参照されたい)。他のアッセイの具体例には、スクシニル−Ala−Ala−Pro−Phe−パラニトロアリニド・アッセイ(SAAPFpNA)および2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩アッセイ(TNBSアッセイ)が含まれる。当業者に既知の多数の追加的な引用文献が適切な方法を提供している(例えば、ウエルス(Wells)他、Nucleic Acids Res.、11巻、7911−7925頁[1983年]、クリスチャンソン(Christianson)他、Anal.Biochem.、223巻、119−129頁[1994年]、およびシャ(Hsia)他、Anal.Biochem.、242巻、221−227頁[1994年]を参照されたい)。
更に上記のように、宿主細胞における関心あるタンパク質の分泌レベルの決定および発現タンパクの検出の手段には、タンパク質に対して特異的なポリクローナルまたはモノクローナル抗体を用いた免疫アッセイの使用が含まれる。具体例には、酵素免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、および蛍光活性化セルソーティング(FACS)が含まれる。しかし、他の方法は当業者に既知であり、関心あるタンパクの評価において使用される(例えば、ハンプトン(Hampton)他、『血清学的方法−実験室マニュアル』、APS出版社、セントポール、ミネソタ州[1990年]、およびマドックス(Maddox)他、J.Exp.Med.、158巻、1211頁[1983年]を参照されたい)。いくつかの好ましい態様において、関心あるタンパク質の分泌は、対応する未改変の宿主におけるよりも本発明を用いて得られた改変菌株においてより高い。当該技術分野に既知であるように、本発明を用いて生産された改変バチルス細胞は、細胞カルチャーからの関心あるポリペプチドプチドの発現および回収に適切な条件下で維持され、培養される(例えば、ハードウッドおよびカッティング(Hardwood and Cutting)編集、『バチルスの分子生物学的方法』、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社[1990年]を参照されたい)。
当該技術分野で既知であるように、細菌はインキュベーションの間の増殖および多種のタンパク質の合成のために、一定の炭素源を利用する。多くの場合、炭素源のコストが重要な要素になり、細胞によるその使用の最適化が菌株改良の共通の目標であるために、経済的側面が関係する。本発明で記述したように転写アレイを、関心あるプロテアーゼを生産するバチルス・スブチルス菌株の発酵の分析のために用いた。これらの実験の間、いくつかの代謝反応を同定し(例えば、pckA)、それらの修飾はがグリコースおよびその他の炭素源を利用するためにバチルス・スブチルスの効率を改善することが認められた。特に関心あるのは、オキサロ酢酸をホスホエノールピルビン酸塩に転換する補充反応であり、それはホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(pckA)酵素(EC4.1.1.49)によって触媒される。これは、一定の培養条件下で無益回路であり得ると考えられている。pckAの役割をより完全に分析するために、pckA領域における欠失を含むバチルス・スブチルス構築体を、本発明で記述されたPCR融合方法を用いて調製した。細胞増殖、炭素収率、およびプロテアーゼ生産に対するこれらの欠失の効果を分析した。pckA欠失突然変異体菌株は、複合培地に存在する炭素の利用において(バイオマスになる少なくとも10%炭素の増大で示されるように)より効率的であり、プロテアーゼ生産はこの培地において(細胞あたりで)影響されなかった。しかし、最小培地において、突然変異pckA菌株は、コントロール菌株と比べてプロテアーゼおよび細胞をより多く生産することができることがわかった。実施例6により詳述するように、pckA欠失菌株、KHB5は、LA1.6%スキムミルクプレート上で、コントロール親菌株、FNAハイパー1よりも大きなハロを作ることができた(すなわち、親菌より多くのプロテアーゼが突然変異によって生産された)。更に、前記pckA欠失菌株、KHB5は最小培地で、コントロール親菌株、FNAハイパー1よりも高い光学密度に達することが出来た(すなわち、唯一の炭素源としてのグルコースを用いて)。これらの結果は、突然変異菌株が同量の炭素から親菌株よりも多くの細胞を生産したことを示している。
本発明を実施する様式や方法は、以下の実施例の参照により当業者により充分に認識される。前記実施例は、本発明またはそこで示されたクレームの範囲を制限する任意の方法を意味するものではない。
実験
以下の実施例は、本発明のある好ましい態様および側面を明示およびさらに説明するために提供されるものであり、その範囲を限定するものとして解釈されない。
以下の実験開示において、以下の略語を適用する。すなわち、℃(摂氏温度)、rpm(分当たりの回転数)、HO(水)、dHO(脱イオン水)、HCl(塩酸)、aa(アミノ酸)、bp(塩基対)、kb(キロ塩基対)、kD(キロダルトン)、gm(グラム)、μg(マイクログラム)、mg(ミリグラム)、ng(ナノグラム)、μl(マイクロリットル)、ml(ミリリットル)、mm(ミリメートル)、nm(ナノメートル)、μm(マイクロメートル)、M(モル)、mM(ミリモル)、μM(マイクロモル)、U(ユニット)、V(ボルト)、MW(分子量)、sec(秒)、min(s)(分)、hr(s)(時間)、MgCl(塩化マグネシウム)、NaCl(塩化ナトリウム)、OD280(280nmにおける光学密度)、OD600(600nmにおける光学密度)、PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動法)、PBS(リン酸緩衝生理食塩水[150mM塩化ナトリウム、10mMリン酸ナトリウムバッファ、pH7.2])、PEG(ポリエチレン・グリコール)、ETF(経過発酵時間)、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、RT−PCR(逆転写PCR)、SDS(ドデシル塩酸ナトリウム)、Tris(トリス〔ヒドロキシメチル〕アミノメタン)、w/v(容積に対する重量)、v/v(容積/容積)、LA培地(リットル当たりのディフコ社製トリプトンペプトン20g、ディフコ社製イースト抽出物10g、EMサイエンス社製塩化ナトリウム1g、EMサイエンス社製寒天17.5g、1リットルについてdH20)、LA1.6%スキムミルクプレートは以下の化合物を含む:ディフコ社製トリプトン10gm、ディフコ社製イースト抽出物5gm、塩化ナトリウム0.5gm、17.5gmの寒天、および最終容積1リットルの蒸留水)。ATCC(アメリカンタイプカルチャーコレクション、ロックビル、メリーランド州)、Clontech(クロンテック・ラボラトリー社、パロアルト、カリフォルニア州)、Difco(ディフコ・ラボラトリー社、デトロイト、ミシガン州)、GIBCO BRLまたはGibcoBRL(ライフテクノロジー社、ゲーサーズバーグ、メリーランド州)、Invitrogen(インヴィトロジェン社、サンディエゴ、カリフォルニア州)、NEB(ニューイングランドバイオラボ、ビバリー、マサチューセッツ州)、Sigma(シグマケミカル社、セントルイス、ミズーリ州)、Takara(タカラバイオ社、大津、日本)、Roche Diagnostics and Roshe(ロシュ・ダイアグノスティックス社、ホフマン・ラ・ロシュ社の事業部、バーゼル、スイス)、EM Science(EMサイエンス社、ギブスタウン、ニュージャージー州)、Qiagen(キアゲン社、バレンシア、カリフォルニア州)、Stratagene(ストラタジーン・クローニング・システムズ社、ラヨラ、カルフォルニア州)、Affymetrix(アフィメトリクス社、サンタクララ、カリフォルニア州)である。
実施例 1
欠失菌株の作成
この実施例は、図1にも示されている「方法1」を記述する。この方法において、バチルス菌株に形質転換されることになるDNA構築体を保有するpJM102プラスミドベクターを生産するために、大腸菌を使用した。(上記ペレーゴ(Perego)を参照されたい)。欠失部位の5’および3’末端に直接隣接する領域を、PCR増幅した。バチルス・スブチルス染色体と相同である31塩基対、およびプライマーの5’末端由来の6塩基対に位置する6塩基対制限酵素部位を含む長さ約37塩基対になるように、PCRプライマーを設計した。構築体の上流および下流末端の特異な制限部位、およびクローニングに用いるための二つの断片間のBamHl部位を操作するために、プライマーを設計した。抗菌マーカー用のプライマーは、断片の両末端にBamHl部位を有した。可能であれば、欠失した常在染色体領域のプロモーターを除去するように、しかし、直ぐ隣接区域に全てのターミネータを残すように、PCRプライマーを設計した。染色体配列、遺伝子位置決め、およびプロモータおよびターミネータ情報の一次資料は、クンスト他(997年、上記参照)から、また当業者に既知のSubtiListワールドワイドウエブサーバーからも得た(例えば、モッツァー他、上記参照)。多数の欠失を、本発明を用いて作成した。この方法により作られた欠失からのプライマー配列のリストを、表1に示す。プライマー表記システムの説明のために図2にも参照を作成した。
Figure 2007532114
Figure 2007532114
この方法において、84μLの水、10μLのPCRバッファ、1μLの各プライマー(すなわち、PKS−UFおよびPKS−UR)、2μLのdNTPs、1μLの野生型バチルス染色体DNA鋳型、および1μLのポリメラーゼを含む150mLエッペンドルフ管において100μLのPCR反応を行なった。使用したポリメラーゼには、Taqプラス精密ポリメラーゼおよびHERCULASE(登録商標)ポリメラーゼ(ストラタジーン社製)が含まれた。反応は以下のプログラムを用いて、Hybaid PCRエクスプレスサーモサイクラーにおいて行なった。サンプルを、最初に94℃で5分間加熱し、次に50℃を維持するまで冷却した。ポリメラーゼをこの時点で添加した。25サイクルの増幅は、95℃で1分、50℃で1分、および72℃で1分からなった。最後の72℃で10分は完全な伸長を確実なものとした。サンプルは分析のために4℃を保持した。
PCRの完了後、正しい大きさでバンドが存在するかを点検するために、10μLの各反応物をインビトロゲン社製1.2%アガロースEゲルにおいて、60ボルトで30分間操作した。本発明で記述される全てのゲル電気泳動の方法にはこの条件を用いた。バンドが存在した場合、反応管の残部は製造会社の取扱説明書に従ってキアゲン社製キアクイック(登録商標)PCR精製キットを用いて精製し、次に適当な制限酵素ペアを用いて切断した。消化は、9μLの水、2μLの10×BSA、2μLの適当なNEB制限バッファ(2000−01NEBカタログおよび技術参照に従って)、5μLの鋳型、および1μLの核制限酵素からなる20μLの反応として、37℃で1時間行なった。例えば、PBSX上流断片およびCssS上流断片を、NEB(ニューイングランドビオラボズ社製)制限バッファBにおいて、XbaIおよびBamHIを用いて切断した。消化された断片を、ゲル電気泳動および製造業者の取扱説明書に従ってキアゲン社製キアクイック(登録商標)ゲル抽出キットを用いた抽出により精製した。図5および6は、種々の欠失の結果を表すゲルを示す。
断片のプラスミド・ベクターへの連結は、製造業者の取扱説明書に従ってタカラ連結キット、またはT4DNAリガーゼ(反応内容物:5μLの各挿入断片、1μLの切断pJM102プラスミド、3μLのT4DNAリガーゼバッファおよび1μLのT4DNAリガーゼ)のいずれかを使用して二段階で行なった。最初に、切断上流および下流断片を、一晩15℃でpJM102プラスミドポリリンカーにおいて、特異制限部位へ連結し、環状プラスミドを再形成するために共通のBamHI部位で結合した。前記pJM102プラスミドを各欠失に適当な特異制限部位を用いて切断し(表2を参照されたい。cssS、Xbal、およびSaclについて用いた)、および上記のように連結に先立って精製した。再環化プラスミドを、製造会社のワン・ショット形質転換プロトコルを用いて、インビトロゲンの「トップ・テン」大腸菌細胞に形質転換した。
形質転換体を、1.5%の寒天(LA)プラス青/白スクリーニング用のX−galを含む50ppmのカルバニシリンを用いて凝固したルリア・バータニ培地において選択した。クローンを選択し、一晩37℃で、5mLのルリア・バータニ培地(LB)プラス50ppmのカルバニシリンにおいて増殖させ、プラスミドをキアゲン社製のキアクイック(登録商標)ミニプレプキットを用いて単離した。制限分析は、プラスミドから約2kbバンドを取除くために、挿入部の各末端において制限部位を用いて切断することにより挿入部の存在を確認した。挿入部を有する確認済みのプラスミドを、上記のように消化反応において線状化するためにBamHIを用いて切断し(第二制限酵素の代わりに追加的に1μLの水を用いて)、再環化を防ぐために1時間37℃で1μLの牛腸およびエビのホスファターゼを用いて処理し、表2に記載のように、抗菌耐性マーカーに結合した。抗菌マーカーをBamHIを用いて切断し、結合に先立って製造業者の取扱説明書に従い、キアゲン・ゲル抽出キットを用いて洗浄した。このプラスミドを、選択に適当なように5ppmのフレオマイシン(phl)または100ppmのスペクチノマイシン(spc)を用いて、前のように大腸菌にクローンした。単離されたプラスミドにおけるマーカーの挿入の確認を上記のようにBamHIを用いた制限分析によって行なった。バチルス・スブチルスへの形質転換に先立って、前記プラスミドを二重のクロスオーバー現象を確実にするためにScalを用いて線状化した。
Figure 2007532114
実施例 2A
大腸菌をバイパスするためのPCR融合を用いたDNA構築体の作成
この実施例は、図3にも示されている「方法2」を記述する。プライマーを抗菌マーカーのプライマー配列と相補的である25bp「テイル」を用いて設計したことを除いて、方法1と同様に上流および下流の断片を増幅した。「テイル」は、本発明において直接増幅される配列と相同ではないが、もう一つのDNA配列と相補的なプライマーの5’末端の塩基対と定義される。同様に、抗菌剤を増幅するプライマーは、前記断片のプライマーと相補的である「テイル」を含む。任意の所与の欠失について、前期欠失X−UFfusおよび欠失X−URfusは相互に相補体である。これはまた、DF−fusおよびDF−fusプライマーセットについても当てはまる。更に、いくつかの態様において、これらのプライマーはプラスミド・ベクター作成用の方法1において用いられるものと類似する制限酵素部位を有する(表3および米国特許US5,023,171を参照されたい)。表3はPCR融合による欠失構築体の作成に有用なプライマーのリストを提供する。表4はPCR融合による欠失構築体の作成に有用なプライマーの追加リストを提供する。しかし、この表において、全ての欠失構築体phleoマーカーを含むことになる。
Figure 2007532114
Figure 2007532114
Figure 2007532114
表3および4に収載した断片を、上記のようにゲル電気泳動法によりサイズ確認した。正しい場合、各1μLの上流、下流、および抗菌耐性マーカー断片を、前記欠失X−UFおよび欠失X−DRプライマーまたは収載されたネステッド(nested)プライマーを用いて単一の反応管に入れた。ネステッドプライマーは、上流または下流断片の内部部分と相同であるDNAの25塩基ペアであり、通常断片の外側末端から約100塩基ペアである(図2を参照されたい)。ネステッドプライマーの利用は、しばしば融合の成功を増す。PCR反応成分は、82μLの水が追加の鋳型容器を補うために用いられることを除き、上記のものと同様であった。前記PCR反応条件は、72℃の伸長が3分まで延長されることを除いては、上記のものと同じであった。伸長の間、抗菌耐性遺伝子を、上流および下流の断片の間で融合した。この融合断片は、任意の精製工程なしに、または製造業者の取扱説明書に従って行なわれる単一のキアゲン・キアクイック(登録商標)PCR精製を用いて、直接バチルスに形質転換することができる。
実施例 2B
大腸菌をバイパスするためにPCR融合を用いたpckA欠失構築体の作成
上記欠失に加えて、pckAもまた修飾される。前記PCRプライマーpckAUF、pckA−2Urfus、spcffus、spcrfus、pckA DffusおよびpckA DRを、鋳型としてB.スブチルス168誘導体の染色体DNAおよびpDG1726(Guerout−Fleury他、遺伝子、167巻(1−2)、335−336頁[1995年]を参照されたい)を使用したPCRおよびPCR融合反応に用いた。前記プライマーを表5に示す。これらの欠失変異体の構築に用いる方法は、上述の方法1と同じであった。
Figure 2007532114
実施例 3
大腸菌クローニング段階をバイパスするためのPCR断片の連結を用いたDNA構築体の作成およびバチルス・スブチルスの直接形質転換
この実施例において、PCR断片の連結を用いたDNA構築体を作成およびバチルスの直接形質転換の方法(「方法3」)を記述する。具体例によって、連結方法を示すためにprpC、sigD、およびtdh/kblの修飾を示す。実際にsigD、およびtdh/kblを1つの方法により、およびprpCを代わりの方法で構築した。
A.Tdh/KblおよびSigD
B.スブチルス染色体のtdh/kbl領域に隣接する上流および下流断片を、隣接DNAの内側プライマーをタイプIIの制限部位を含むように設計したこと以外は方法1の記述と同様のPCRにより増幅した。loxP−スペクチノマイシン−loxPカセットのプライマーを、隣接し相補的に突出した同じタイプII制限部位を用いて設計した。左側面および右側面について特異な突出は、DNAに隣接する上流および下流の間の抗菌カセットの直接的な連結を可能とした。全てのDNA断片を適当な制限酵素を用いて消化し、前記断片を製造業者の取扱説明書を使用してキアゲン社製キアクイック(登録商標)PCR精製キットを用いて精製した。この精製に続いて、BioRad P−6ゲルを含む1mLのスピンカラムで脱塩し、2mMのTris−HCl、pH7.5で平衡化した。断片を、サバント・スピード・バックSC110システムを用いて124〜250ng/μLまで濃縮した。各断片0.8〜1μgの3つの小片の連結を、14〜16℃で16時間、15〜25μLの反応容積で、12U T4リガーゼ(ロシュ社製)を用いて行なった。所望の連結生産物の総収量は、アガロースゲル上における標準DNAラダーとの比較計算で、反応当たり100ngより大であった。この連結混合物を形質転換反応のために精製をしないで使用した。この構築体用のプライマーを以下の表6に示す。
Figure 2007532114
sigD欠失用の構築体が、tdh/kblの構築体に近接して続いた。sigD用の構築体に用いられるプライマーを表7に示す。
Figure 2007532114
B.PrpC
PCRの連結によるDNA分子を作成する追加的な実施例により、遺伝子prpCの部分的インフレーム欠失を含むバチルスの直接形質転換用のDNA断片を増幅した。prpC遺伝子を含むB.スブチルス染色体DNAのA3953bp断片を、プライマーp95およびp96を用いるPCRで増幅した。前記断片を特異制限部位PflMIおよびBstXIにおいて開裂した。これにより、三つの断片、上流、下流、および中央の断片が生成した。後者は欠失された断片であり、prpC遺伝子の内部に位置する170bp〜なる。前記消化混合物を、キアゲン社製キアクイック(登録商標)PCR精製キットを用いて精製し、続いてBioRad社製P−6ゲルを含む1mLのスピンカラムにおいて脱塩し、2mM Tris−HCl、pH7.5で平衡化した。第二PCR反応において、ゲノムDNA断片における部位と相補的な開裂部位をともに有する、BstXI部位を含むプライマーおよびPfIMIを含む下流プライマーを用いて、抗菌カセット、loxP−スペクチノマイシン−loxPを増幅した。前記断片をPfIMIおよびBstXIを用いて消化し、上記染色体断片について記述したように精製した。上流、抗菌カセット、および下流断片の三つの小片の連結を、上記tdh/kblのように行なった。所望の連結生産物の収量は同様であり、連結生産物を下記に詳述するように、xylRcomKコンピテント・バチルス・スブチルスの形質転換のための更なる処理をしないで用いた。
Figure 2007532114
C.キシロース誘導コンピテント宿主細胞の連携したDNAを用いる形質転換
部分的遺伝子型xylRcomKを有する宿主株バチルス・スブチルスの細胞を、1%のキシロースを含むルリア・バータニ培地における2時間の培養によって形質転換受容性(competent)にした。これは、米国特許出願番号09/927,161号、(出願日2001年8月10日)に記述されており、1のOD550まで参照により本発明に組み込まれる。この培養物は6時間培養から播種した。全培養物は300rpmで振とうしながら37℃で培養した。0.3mLの分量を、丸底型2mL管において培養液および30%グリセロールの1:1混合物として凍結し、将来使えるように液体窒素において保存した。
形質転換のために、凍結したコンピテント細胞を37℃で解凍し、解凍完了後直ちに連結反応混合物からのDNAを管当たり5〜15μLのレベルで添加した。次に管を37℃で60分間1400rpm(テクマル社製(Tekmar)VXR S−10)で振とうした。形質転換混合物を100ppmのスペクチノマイシンを含む8cmのLAプレート上に希釈しないで100uLの分割量でとった。一晩の培養の後、形質転換体をルリア・バータニ培地(100ppmスペクチノマイシン)に移し、当該技術分野で知られているように実施されるゲノムDNA分離のために37℃で増殖した(例えば、ハードウッドおよびカッティング、『バチルスの分子生物学的方法』、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社、ニューヨーク、ニューヨーク州、[1990年]23頁を参照されたい)。典型的には、5uLの連結反応混合物を形質転換体に用いる場合、100uLの形質転換混合物から400〜1400の形質転換体を得た。
抗菌マーカーを外来配列における二つのloxP部位の間に位置させた時、Creタンパク発現できるcre遺伝子を含むプラスミドを用いる菌株の形質転換によって前記マーカーを除去することができた。細胞を37℃〜40度で培養したpCRM−TS−pleo(以下を参照されたい)を用いて形質転換し、LA上にとり、コロニーが形成した後に100ppmスペクチノマイシンを含むLA上にパッチ(patch)した。マーカーの喪失を、所定の遺伝子に適するプライマーを用いたPCRアッセイによって確認した。
Figure 2007532114
Figure 2007532114
Figure 2007532114
D.トランスクリプトームDNAアレイ法
上述の方法に加えて、トランスクリプトームDNAアレイ法を本発明の突然変異体の発生において用いた。最初に標的RNAを、当該技術分野に既知であるグアニジン酸フェノール抽出によりバチルス菌株より回収し(例えば、ファレル(Farrell)、『RNA方法論』(第2編)、アカデミック・プレス社、サンディエゴ、81頁を参照されたい)、deSaizieu他(deSaizieu他、J.Bacteriol.、182巻、4696−4703頁[2000年])から採用された方法および本発明で記述された方法により時間ポイントをビオチン標識cDNAに逆転写した。総RNA(25mg)を100mLの反応において、一晩37℃で培養した。反応は、1×ギブコ社製ファーストストランド・バッファ(50mM Tris−HCl、pH8.3、75mM KCl、3mM MgCl)、10mM DTT、40mMランダム六量体、各0.3mMのdCTP、dGTPおよびdTTP、0.12mMのdATP、0.3mMのビオチン−dATP(NEN0、2500ユニットスーパースクリプトII逆転写(ロシュ社製)。RNAを除去するために、前記反応を0.25M NaOH溶液とし、65℃で30分間培養した。前記反応をHClを用いて中和し、核酸を2.5M酢酸アンモニウムを含むエタノールにおいて−20℃で沈殿させた。ペレットを洗浄し、空気乾燥し、水中に再懸濁し、UV分光法により定量化した。反応収量は、約20〜25mgビオチン標識cDNAであった。
cDNAの12mgを、37℃で10分間、3、75ミリユニットのDNaseIIを含む33mL1×One−Phor−Allバッファ(アマーシャム−ファルマシア社製♯27−0901−02)において断片化した。DNaseを熱不活性化後に、3%アガロースゲル上で2mgの断片化cDNAを泳動することにより断片化を評価した。ビオチン含有cDNAは、常に25〜125ヌクレオチドの大きさに分布した。残りの10mgのcDNAをアフィメトリクス社製バチルス・ジーン・チップ・アレイへハイブリダイズした。
ハイブリダイゼーションを、示唆された試薬供給装置を用いてアフィメトリクス・エクスプレッション・アナリシス・テクニカル・マニュアル(アフィメトリクス社製)に記述の通り行なった。短時間に、10mgの断片化ビオチン標識cDNAを220mLのハイブリダイゼーション反応混液に添加した。ハイブリダイゼーション反応混液は、100mMのMES(N−モルフォリンエサンネスフォン酸)、1MのNa、20mMのEDTA、0.01%のTween20、5mg/mLの総イーストRNA、0.5mg/mLのBSA、0.1mg/mLのにしん***DNA、50pMのコントロールのオリゴヌクレオチド(AFFX−B1)である。反応混液を95℃で5分間加熱し、5分間で40℃で冷却し、微粒子を除去するために短時間遠心分離し、200mLをそれぞれ予め暖め洗浄した(1×MESバッファ+5mg/mlイーストRNA)ジーンチップカートリッジに注入した。アレイを40℃で一晩回転した。
サンプルを除去し、アレイに非ストリンジェントな洗浄バッファ(6×SSPE、0.01%TWEEN(登録商標)−20)を充填し、非ストリンジェントおよびストリンジェントな(0.1MのMES、0.1M[Na]、0.01%Tween20)洗浄バッファを用いて、プロトコルEuk−GE−WS2によりアフィメトリクス・フルイディクス・ステーション上で洗浄した。アレイを3段階で染色した。すなわち(1)ストレプトアビジン、(2)ビオチンで標識された抗ストレプトアビジン抗体、(3)ストレプトアビジン−フィコエリトリン複合体、である。
アレイにおけるシグナルを、3−mmピクセル分解能を有する570nmレーザー光線を用いてヒューレット・パッカード遺伝子アレイ・スキャナーで検出した。4351ORFプローブ・セットのシグナル強度を計り、時間経過実験を含む全時間ポイントにわたって規格化した。次に、これらのシグナルを、試験中の遺伝子の相対的発現レベルを推定するために比較した。スレオニン生合成遺伝子および分解性遺伝子を同時に転写し、非効率なスレオニン利用を示した。分解性スレオニン経路の欠失は、所望の生産物の発現を改善した(表7を参照されたい)。本発明は、スレオニンの生合成および分解性プロフィールと類似している転写プロフィールを用いて経路を修飾するための手段を提供する。従って、本発明はまた、バチルス菌株を最適化するためにスレオニンと類似する転写プロフィールを用いた経路の修飾を利用する。いくつかの好ましい態様において、rocA、ycgN、ycgM、rocFおよびrocDからなる群より選択される一つ以上の遺伝子は欠失または修飾される。本発明において記述されるように本発明の利用は、sigDレギュロンが転写されるという驚くべき発見をもたらした。この遺伝子の欠失は、所望の生産物のよりよい発現をもたらす(表7を参照されたい)。
これらの予備的な実験、ヒスチジン要求性宿主株におけるpckAの欠失、「KH5」は、振とうフラスコ中の最小培地で増殖する菌株における改良または害悪をもたらさなかった。しかし、本発明はpckA欠失の利用または修飾、および/またはgapBおよび/またはfbpの欠失または修飾との組み合わせを通じて菌株タンパク生産を改良する手段を提供する。更に、本発明の開発中に、トリプトファン生合成経路遺伝子が不均衡な転写を示すことが観察された。従って、本発明は、親(すなわち野生型および/または出発菌株)と比べて、改良された菌株が所望の生産物の改良された発現を提供するために、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、および/またはtrpFからなる群から選択されるもののように、遺伝子の増大した転写を示す菌株を生産することに利用されると考えられる。実際、任意の組合せにおけるこれらの遺伝子の修飾は、所望の生産物の改良された発現を導くと考えられる。更に、追加的な実験(以下の実施例6に記述される)は、pckA遺伝子の不活性化は、欠失菌株において発達した、改良された炭素利用効率により増大したタンパク質発現を導くことを示した。
E.発酵
上述の構築体を用いて生産された菌株の分析により、以下の発酵が導かれた。14L規模の培養をBIOLAFITTE(登録商標)発酵槽において行なった。7リットル当たりの培地の構成成分を表9に掲載する。
Figure 2007532114
前記槽を750rpmで攪拌し、気流を分当たり11リットルに調節し、温度は37℃、およびpHはNHOHを用いて6.8に維持した。60%グルコース溶液を、発酵の最後まで分当たり0.5〜2.1グラムの線状ランプで約14時間から供給開始した。発生気体(off−gasses)を質量分析法によりモニターした。炭素収支および効率を、供給グルコース、タンパク質生産物の収量、細胞質量収量、ブロスにおける他の炭素、および発生COより計算した。突然変異菌株を、改善を判断するために親菌株と比較した。実際、以下の実施例6に記述するように、いくつかの菌株におけるpckAの修飾は、関心あるタンパク質の増大した生産を導いた。いくつかの好ましい態様において、追加的な遺伝子を、gapB、alsD、および/またはfbp〜なる群より選択する。
実施例4
改変バチルス菌株を得るための宿主細胞の形質転換
一旦DNA構築体を、上述の方法1または2により作成し、それを適切なバチルス・スブチルス実験室菌株に形質転換した(例えば、BG2036またはBG2097、任意のコンピテントバチルス即時型宿主細胞を、本発明の方法において使用することが可能である)。細胞を適当に0.5ppmフレオマイシンまたは100ppmスペクチノマイシンの選択培地においてプレートした(フェラーリおよびミラー、「バチルスの発現:グラム陽性モデル」、『遺伝子発現システム:発現技術に関する自然の利用』所収、65−94頁[1999年])。実験室菌株を、バチルス・スブチルス生産宿主菌株2回またはBG3594および次にMDT98−113、1回に形質転換する欠失を有する染色体DNA源として使用した。単一コロニーを単離するために形質転換体をストリーク(streak)し、採取および5mLのLBプラス適当な抗菌剤において一晩増殖させた。染色体DNAを、当該技術分野に知られているように単離を行なった(たとえばハードウッド他、上記を参照されたい)。
組込みDNA構築体の存在を、上述の成分および条件を用いた3つのPCR反応により確認した。例えば、二つの反応は、あるケースにおいては、欠失カセットの外部から抗菌遺伝子に(プライマー1および11)および他の場合には、挿入全体を通じて(プライマー1および12)領域の増幅を設計した。第3の点検は欠失カセットの外部から欠失領域に(プライマー1および4)領域を増幅した。図4は最初の二つの場合であり第3ではないバンドを示す適正クローンを示す。野生型バチルス・スブチルス染色体DNAを、全ての反応における負のコントロールとして用い、第3のプライマーセットを用いたバンドのみ増幅した。
実施例5
振とうフラスコ・アッセイ−プロテアーゼ活性の測定
一旦DNA構築体をコンピテント・バチルス・スブチルス菌株に安定的に組み込むと、スブチリシン活性を振とうフラスコ・アッセイにより測定し、活性を野生型レベルと比較した。アッセイは、当該技術分野に既知のスブチリシン生産に好適な50mLの増殖培地を含む250mlのバッフル・フラスコにおいて行なった(クリスチャンソン(Christianson)他、Anal.Biochem.、223巻、119−129頁[1994年]、およびシャ(Hsia)他、Anal.Biochem.、242巻、221−227頁[1996年]を参照されたい)。培地に50μLの8時間8mLの培養物を播種し、37℃で40時間、250rpmで振とうして増殖させた。次に、プロテアーゼ活性アッセイのために1mLのサンプルを17、24および40時間目で採取した。プロテアーゼ活性を、モナーク・オートマチック・アナライザーを用いて405nMで測定した。サンプルを2回バッファーにおいて、1:11(3.131g/L)に希釈した。正しい機械のキャリブレーションを保障するコントロールとして、一つのサンプルを1:6(5.585g/L)、1:12(2.793g/L)および1:18(1.862g/L)に希釈した。図7は、種々の改変バチルス・スブチルスクローンに於けるプロテアーゼ活性を示す。図8は、バチルス・スブチルス野生型菌株(未改変)および対応する改変欠失菌株(−sbo)および(−slr)における振とうフラスコの培養液から測定した改善したプロテアーゼ分泌を表すグラフを示す。プロテアーゼ活性(g/L)を17、24および40時間後に測定した。
また、細胞密度を600のODで分光光度測定を用いて測定した。計測時間において、サンプルに関して有意差は観察されなかった(データは示してない)。
実施例6
pckA欠失構築体
この実施例において、本発明のpckA欠失突然変異体が追加的に記述される。実施例2Bに示したように、pckA欠失構築体を、大腸菌使用の要件を回避するためにPCR融合法を用いた実施例2Bにおける記述のように生産をした。この実施例において、実施例に従って生産した欠失突然変異体を修飾した。前記PCRプライマーであるpckA−1、pckA−2、pckA−3、pckA−4、pckA−5、およびpckA−6(表5を参照されたい)を、鋳型としてバチルス・スブチルスBG2816および168pDG1726(Guerout−Fleury他、遺伝子、167巻、(1−2)335−336頁[1995年]を参照されたい)の染色体DNAを用いたPCRおよびPCR融合反応に使用した。これらの欠失突然変異体の構築において使用した方法は、上述の方法1と同じである。
PCR融合を、pckA上流−spec−pckA下流のDNAカセットを生成した3つの異なったDNA上で、上述のように行なった(1.998kb)。PCR融合のストラテジーは、以下の通りである。
式1
Figure 2007532114
結果によると、1.988kbPCRを融合断片を示す予期された単一断片が、正確に組立てられた。このカセットは、次に、「pKH5」(4.9kb)を生成するために、PCR−scriptSK+にサブクローニングした。pKH5の構築をPCRおよびHindIII制限消化パターン結果により確認した。次にpKH5を、Scalにより消化し、KH5およびKHB5を構築するために、BG2816(ΔnprE、ΔaprE、his)およびプロテアーゼ生産B・スブチルス菌株(「FNAハイパー1」:ΔaprE::スブチリシン−Cm、ΔnprE、degUHy32、oppA、ΔspollE350と命名されたコントロール菌株)の形質転換に用いた。形質転換された細胞を、100ug/mlスペクチノマイシンを含むLAプレート上に置き、37℃で一晩培養した。形質転換体を抗生物質抵抗により組込むために選択し、更にPCRにより分析した。分析されたKH5の全形質転換体をダブル・クロスオーバー組込みとして同定した。KH5の染色体DNAを単離し、KHB5を構築するためにFNAハイパー1を形質転換するために用いた。
KH5の遺伝子型は、BG2816、ΔpckA::specであり、KHB5の遺伝子型はFNAハイパー1、ΔpckA::specであった。pckA欠失菌株およびコントロールpckA野生型菌株を比較するために、いくつかの実験をpckA欠失菌株の特徴づけのために行なった。図9は、LA+1.6%スキムミルク培地上のpckA欠失菌株およびコントロール菌株により生成されたすき通った「ハロ」を示す写真を示す。この図に示されるように、前記pckA欠失菌株(KHB5)は、コントロール菌株(FNAハイパー1)よりもわずかに大きなハロを生成した。
図10のパネルAは、親菌株(FNAハイパー1)および実施例3のEに記述したような最小培地において増殖したpckA欠失菌株の光学密度を示すグラフを示す。このグラフによって示されるように、pckA欠失菌株は、親菌株よりも短い期間でより多く増殖した。図10のパネルBは、親菌株および時間を通じてg/リットルで表された複合培地に基づくソイミール−グルコースにおいて増殖したpckA欠失菌株の力値を示すグラフを示す。図10のパネルCは、親菌株および複合培地に基づくソイミール−グルコースにおいて増殖したpckA欠失菌株の炭素収量を示すグラフを示す。このパネルに示されるように、前記pckA欠失菌株は、炭素のグラムベースで生産されたプロテアーゼ量に基づく炭素利用においてより効率的であった。
この炭素収量を以下の数式に基づいて計算した。
Figure 2007532114
pckA欠失突然変異菌株は、複合培地に存在する炭素を利用することでより効率的であった(バイオマスになる炭素において少なくとも10%の増大を示すことによって示唆されているように)にも拘わらず、プロテアーゼ生産はこの培地において影響されなかった(細胞当たりベースにおいて)。しかし、最小培地において、突然変異pckA欠失菌株は、コントロール菌株と比較してより多くのプロテアーゼおよび細胞を生産することが可能であることが分かった。本発明においてより詳細に議論されたように、LA+1.6%スキムミルクプレート上で、pckA欠失菌株であるKHB5はコントロール親菌株(FNAハイパー1)よりも大きいハロを形成することができた(すなわち、親よりも突然変異によってより多くのプロテアーゼが生産された)。更に、pckA欠失菌株であるKHB5は、最小培地(すなわち、唯一の炭素源としてグルコースを用いて)において、コントロール親菌株(FNAハイパー1)よりも高い光学密度に達する事ができた。これらの結果は、同じ炭素量から、pckA突然変異菌株が親菌株よりも多くの細胞を生産することを示す。
上記明細書において言及した全ての出版物および特許は、参照により本発明に組み込まれる。発明の前記の方法およびシステムの種々の修飾が、本発明の範囲と精神から逸脱しないことは、当業者にとって明らかである。本発明が特定の好ましい態様に関連して記述さたにもかかわらず、本発明はそのような特定の態様に過度に限定するべきでないことを理解すべきである。実際に、発明を実施するための前記の様式の種々の修飾は、本発明の範囲において目的とされる技術および/または関連した分野の当業者にとって明白である。
本発明によって提供される1つの方法(実施例1)の一般的な概念図を示す図である。 本発明によって提供される1つの方法(実施例1)の一般的な概念図を示す図である。 本発明のいくつかの態様に従ったDNAカセットの作成において使用されるプライマーの位置を示す図である。 本発明の一つの方法(実施例2)の一般的な概念図を示す図である。 バチルスDHB欠失クローンの電気泳動ゲルを示す図である。 バチルス・スブチルス(野生型)の生産菌株の二つのクローンのゲル電気泳動を示す図である。 バチルス・スブチルス(野生型)の生産菌株のクローンの電気泳動ゲルを示す図である。 バチルス・スブチルス野生型菌株(未改変)および対応する種々の欠失を有する改変バチルス・スブチルス菌株を用いた振動フラスコの培養液から測定された、改善されたスブチリシン分泌を示す棒グラフを示す図である。 バチルス・スブチルス野生型菌株(未改変)および対応する改変欠失菌株(−sbo)および(−slr)の振動フラスコの培養液から測定された、改善されたプロテアーゼ分泌を示す棒グラフを示す図である。 制御菌株およびpckA欠失菌株によって作られた円光写真を示す図である。 時間を通じて(「EFT」は発酵経過時間のことを言う)最小培地で培養された親菌株およびpckA菌株の光学濃度を示すグラフを示す図である。 時間を通じてグラム/リッターで表示された富栄養培地で培養された親菌株およびpckA欠失菌株の力価を示すグラフを示す図である。 富栄養培地で培養された親菌株およびpckA欠失菌株の炭素生産を示すグラフを示す図である。

Claims (84)

  1. 修飾pckA遺伝子を含む微生物。
  2. 前記pckA遺伝子が欠失していることを特徴とする請求項1に記載の微生物。
  3. 前記pckA遺伝子が不活性化されていることを特徴とする請求項1に記載の微生物。
  4. グラム陽性細菌である請求項1に記載の微生物。
  5. 前記グラム陽性細菌がバチルス(Bacillus)種であることを特徴とする請求項4に記載の微生物。
  6. 非修飾pckA遺伝子を有する微生物と比較して、少なくとも1つの関心のあるタンパク質の改善された発現を示すことを特徴とする請求項5に記載の微生物。
  7. 前記バチルス種内の少なくとも1つの常在染色体領域が変異バチルス株を生産するために修飾されており、ここで前記変異バチルス株が前記バチルス種と比較して前記関心のあるタンパク質をより高レベルで発現することを特徴とする請求項6に記載の微生物。
  8. 前記変異バチルス株が前記関心のあるタンパク質をコードするヘテローグなポリヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項7に記載の微生物。
  9. 変異バチルス株がバチルス・スブチリス(B. subtilis)であることを特徴とする請求項7に記載の微生物。
  10. 前記少なくとも1つの修飾された常在染色体領域が、ブロファージ領域、抗菌領域、制御領域、多隣接単一遺伝子領域、およびオペロン領域からなる群より選択されることを特徴とする請求項7に記載の微生物。
  11. 前記少なくとも1つの修飾された常在染色体領域が、PBSX領域、皮膚領域、ブロファージ7領域、SPβ領域、プロファージ1領域、プロファージ2領域、プロファージ3領域、プロファージ4領域、プロファージ5領域、プロファージ6領域、PPS領域、PKS領域、yvfF−yveK領域、DHB領域およびそれらの断片からなる群より選択されることを特徴とする請求項10に記載の微生物。
  12. 前記少なくとも1つの修飾された常在染色体領域が欠失により修飾されていることを特徴とする請求項10に記載の微生物。
  13. 前記欠失が1つ以上の常在染色体領域またはそれらの断片を含み、ここで前記常在染色体領域が約0.5〜500キロ塩基を含むことを特徴とする請求項12に記載の微生物。
  14. 前記pckA遺伝子の欠失を含む改変バチルス株。
  15. 少なくとも1つのプロテアーゼを生産することを特徴とする請求項14に記載の改変バチルス株。
  16. 前記プロテアーゼがスブチリシン(subtilisin)であることを特徴とする請求項14に記載の改変バチルス株。
  17. 前記スブチリシンが、スブチリシン168、スブチリシンBPN’、スブチリシン・カールスバーグ、スブチリシンDY、スブチリシン147、スブチリシン309、およびそれらの変異体からなる群より選択されることを特徴とする請求項16に記載の改変バチルス株。
  18. sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB,phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocDからなる群より選択された少なくとも1つの染色体遺伝子における少なくとも1つの欠失を更に含むことを特徴とする請求項14に記載の改変バチルス株。
  19. degU、degQ、degS、scoC4、spollE、およびoppAからなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子における少なくとも一つの突然変異を含むことを特徴とする請求項18に記載の改変バチルス株。
  20. 前記突然変異がdegU(Hy)32を含むことを特徴とする請求項20に記載の改変バチルス株。
  21. 外来配列を含む少なくとも1つのDNA構築体を更に含むことを特徴とする請求項14に記載の改変バチルス株。
  22. 前記外来配列が少なくとも1つの選択マーカーおよび前記pckA遺伝子を含むことを特徴とする請求項21に記載の改変バチルス株。
  23. 前記外来配列が、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB,phrC、rapA、CssS trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocDからなる群より選択された少なくとも一つの遺伝子を更に含むことを特徴とする請求項22に記載の改変バチルス株。
  24. 前記少なくとも1つの選択マーカーが前記遺伝子の2つの断片間に位置していることを特徴とする請求項23に記載の改変バチルス株。
  25. 前記外来配列が選択マーカーおよび少なくとも1つのホモローグ・ボックスを含み、ここで該ホモロジー・ボックスが前記選択マーカーの5’および/または3’末端に隣接することを特徴とする請求項21に記載の改変バチルス株。
  26. 前記外来配列が前記改変バチルス株のゲノムに組み込まれていることを特徴とする請求項21に記載の改変バチルス株。
  27. 配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号39、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号37、配列番号25、配列番号21、配列番号50、配列番号23、配列番号27、配列番号19、配列番号31、配列番号48、配列番号46、配列番号35、および配列番号33からなる群より選択される核酸配列に示される少なくとも1つの配列を含む単離核酸。
  28. 配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号38、配列番号26、配列番号22、配列番号57、配列番号24、配列番号28、配列番号20、配列番号32、配列番号55、配列番号53、配列番号36、および配列番号34からなる群より選択されるアミノ酸をコードする単離核酸配列。
  29. 選択マーカー、およびcssS遺伝子、cssS遺伝子断片またはこれらのホモローグ配列のいずれかを含む外来配列を含む精製されたDNA構築体。
  30. 前記選択マーカーが前記cssS遺伝子の2つの断片間に位置していることを特徴とする請求項29に記載のDNA構築体。
  31. 前記外来配列が、前記選択マーカーの5’および/または3’末端に隣接する、少なくとも1つのホモロジー・ボックスを更に含むことを特徴とする請求項29に記載のDNA構築体。
  32. 前記DNA配列が、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号39、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号37、配列番号25、配列番号21、配列番号50、配列番号29、配列番号23、配列番号27、配列番号19、配列番号31、配列番号48、配列番号46、配列番号35、および配列番号33からなる群より選択される少なくとも一つの核酸配列を含むことを特徴とする請求項29に記載のDNA構築体。
  33. 配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号38、配列番号26、配列番号22、配列番号57、配列番号30、配列番号24、配列番号28、配列番号20、配列番号32、配列番号55、配列番号53、配列番号36、および配列番号34からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を含むことを特徴とする請求項29に記載のDNA構築体。
  34. 請求項29に記載のDNA構築体で形質転換された宿主細胞。
  35. 大腸菌およびバチルス細胞からなる群より選択されることを特徴とする請求項34に記載の宿主細胞。
  36. 前記外来配列が前記宿主細胞における染色体に組み込まれていることを特徴とする請求項34に記載の宿主細胞。
  37. 微生物により少なくとも1つのタンパク質の生産を増強する方法であって、
    a)微生物宿主細胞を提供する工程、
    b)改変株を生産するために前記宿主細胞におけるpckA遺伝子を不活性化する工程、および
    c)前記タンパク質の発現に適した条件下で前記改変株を成長させる工程
    を含む方法。
  38. 前記改変株により発現された前記タンパク質を回収する工程を更に含むことを特徴とする請求項37に記載の方法。
  39. 前記宿主細胞が大腸菌およびバチルス細胞からなる群より選択されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
  40. sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB,phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocDからなる群より選択される少なくとも一つの染色体遺伝子を不活性化する工程を更に含むことを特徴とする請求項37に記載の方法。
  41. 前記タンパク質がホモローグタンパク質およびヘテローグタンパク質からなる群より選択されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
  42. 前記少なくとも1つの染色体遺伝子が挿入不活性化により不活性化されていることを特徴とする請求項37に記載の方法。
  43. 前記少なくとも1つのタンパク質が、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、抗体、ホルモン、および成長因子からなる群より選択されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
  44. 関心のあるタンパク質を発現する改変バチルス株を得るための方法であって、pckA遺伝子を含む外来遺伝子を含むDNA構築体でバチルス宿主細胞を形質転換する工程含み、ここで前記外来配列が改変バチルス株を生産するために前記バチルス宿主細胞の染色体に組み込まれ、更に1つ以上の染色体遺伝子が不活性化されており、および少なくとも1つの関心のあるタンパク質の発現に好適な成長条件下で前記改変バチルス株を成長させる工程を含むことを特徴とする方法。
  45. 前記少なくとも1つの関心のあるタンパク質が、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、抗体、ホルモン、および成長因子からなる群より選択されることを特徴とする請求項44に記載の方法。
  46. 前記バチルス宿主細胞が、バチルス・リケニフォルミス(B.licheniformis)、バチルス・レントゥス(B.lentus)、バチルス・スブチルス(B.subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(B.brevis)、バチルス・ステアロテルモフィルス(B.stearothermophilus)、バチルス・アルカロフィルス(B.alkalophilus)、バチルス・コアグランス(B.coagulans)、バチルス・サーキュランス(B.circulans)、バチルス・プミルス(B.pumilus)、バチルス・チューリンギエンシス(B.thuringiensis)、バチルス・クラウシ(B.clausii)、バチルス・メガテリウム(B.megaterium)およびバチルス・スブチリスからなる群より選択されることを特徴とする請求項44に記載の方法。
  47. 前記バチルス宿主細胞が組換え宿主細胞であることを特徴とする請求項44に記載の方法。
  48. 前記改変バチルス株により生産される前記関心のあるタンパク質が回収されることを特徴とする請求項44に記載の方法。
  49. 前記DNA構築体が更に選択マーカーを含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
  50. 前記選択マーカーが、前記バチルス宿主細胞の前記染色体へ前記外来配列を組み込んだ上で前記外来配列から切り出されることを特徴とする請求項49に記載の方法。
  51. 前記外来配列が、sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB,phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocDからなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子を更に含み、ここで前記DNA構築体がバチルス宿主細胞の染色体に組み込まれ、前記バチルス宿主細胞の前記染色体上に存在する1つ以上の遺伝子の欠失をもたらすことを特徴とする請求項44に記載の方法。
  52. 前記DNA構築体が、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号39、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号37、配列番号25、配列番号21、配列番号50、配列番号29、配列番号23、配列番号27、配列番号19、配列番号31、配列番号48、配列番号46、配列番号35、および配列番号33からなる群より選択される少なくとも一つの核酸配列を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
  53. 前記DNA構築体が、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号38、配列番号26、配列番号22、配列番号57、配列番号30、配列番号24、配列番号28、配列番号20、配列番号32、配列番号55、配列番号53、配列番号36、および配列番号34からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
  54. 増強されたプロテアーゼ生産を有するバチルス・スブチリス株を得るための方法であって、DNA構築体によりバチルス・スブチリス宿主細胞を形質転換する工程、改変バチルス・スブチリス株を生産するために、DNA構築体と、バチルス・スブチリス染色体からpckAが欠失したバチルス・スブチリス染色体の相同領域との相同組換えを可能にする工程、および前記プロテアーゼの発現に好適な条件下で改変バチルス・スブチリス株を成長させる工程を含むことを特徴とする方法。
  55. sbo、slr、ybcO、csn、spollSA、sigB,phrC、rapA、CssS、trpA、trpB、trpC、trpD、trpE、trpF、tdh/kbl、alsD、sigD、prpC、gapB、fbp、rocA、ycgN、ycgM、rocF、およびrocDからなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子が前記バチルス・スブチリスの染色体から欠失していることを特徴とする請求項54に記載の方法。
  56. 前記プロテアーゼが、ホモローグプロテアーゼおよびヘテローグプロテアーゼからなる群より選択されることを特徴とする請求項54に記載の方法。
  57. 前記プロテアーゼがスブチリシンであることを特徴とする請求項56に記載の方法。
  58. 前記スブチリシンが、スブチリシン168、スブチリシンBPN’、スブチリシン・カールスバーグ、スブチリシンDY、スブチリシン147、スブチリシン309、およびそれらの変異体からなる群より選択されることを特徴とする請求項57に記載の方法。
  59. 前記改変バチルス・スブチリス株が、degU、degQ、degS、scoC4、spollE、およびoppAからなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子における一つの突然変異を更に含むことを特徴とする請求項54に記載の方法。
  60. 前記突然変異がdegU(Hy)32を含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
  61. 前記改変バチルス・スブチリス株が、1つ以上の常在染色体領域またはそれらの断片の欠失を含み、ここで前記常在染色体領域が約0.5〜500キロ塩基を含むことを特徴とする請求項54に記載の方法。
  62. 前記DNA構築体が、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号39、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号37、配列番号25、配列番号21、配列番号50、配列番号29、配列番号23、配列番号27、配列番号19、配列番号31、配列番号48、配列番号46、配列番号35、および配列番号33からなる群より選択される少なくとも一つの核酸配列を含むことを特徴とする請求項54に記載の方法。
  63. 前記DNA構築体が、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号38、配列番号26、配列番号22、配列番号57、配列番号30、配列番号24、配列番号28、配列番号20、配列番号32、配列番号55、配列番号53、配列番号36、および配列番号34からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を含むことを特徴とする請求項54に記載の方法。
  64. バチルスにおける関心のあるタンパク質の発現を増強するための方法であって、選択マーカーを含むDNA構築体および不活性化する染色体セグメントをバチルス宿主細胞に導入する工程、ここで改変バチルス株を生産するために、前記DNA構築体はバチルス宿主株の染色体に組み込まれ、前記バチルス宿主株からの常在染色体領域またはその断片の欠失を生じ、および前記バチルス宿主株における関心のあるタンパク質の発現に比較して前記改変バチルス株における関心のあるタンパク質の発現が大きくなるのに好適な条件下で前記改変バチルス株を成長させる工程を含む方法。
  65. 前記関心のあるタンパク質を回収する工程を更に含むことを特徴とする請求項64に記載の方法。
  66. 前記改変バチルス株から前記選択マーカーを切り出す工程を更に含むことを特徴とする請求項64に記載の方法。
  67. 前記常在染色体領域が、PBSX、皮膚、ブロファージ7、SPβ、プロファージ1、プロファージ2、プロファージ3、プロファージ4、プロファージ5、プロファージ6、PPS、PKS、yvfF−yveK、DHBおよびそれらの断片からなる群より選択されることを特徴とする請求項64に記載の方法。
  68. 前記改変バチルス株が少なくとも2つの常在染色体領域の欠失を含むことを特徴とする請求項64に記載の方法。
  69. 前記関心のあるタンパク質がホモローグタンパク質およびヘテローグタンパク質からなる群より選択されることを特徴とする請求項64に記載の方法。
  70. 前記関心のあるタンパク質が、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、抗体、ホルモン、および成長因子からなる群より選択されることを特徴とする請求項69に記載の方法。
  71. 前記バチルス宿主株が、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・レントゥス、バチルス・スブチルス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステアロテルモフィルス、バチルス・クラウシ、バチルス・アルカロフィルス、バチルス・コアグランス、バチルス・サーキュランス、バチルス・プミルス、およびバチルス・チューリンギエンシスからなる群より選択されることを特徴とする請求項64に記載の方法。
  72. 前記改変バチルス・スブチリス株が、degU、degQ、degS、scoC4、spollE、およびoppAからなる群より選択される1つの遺伝子における少なくとも一つの突然変異を更に含むことを特徴とする請求項64に記載の方法。
  73. 前記突然変異がdegU(Hy)32を含むことを特徴とする請求項72に記載の方法。
  74. バチルスにおける関心のあるタンパク質の発現を増強するための方法であって、少なくとも1つのバチルス細胞から核酸を得る工程、少なくとも1つの関心のある遺伝子を同定するために前記バチルス細胞からの核酸についてトランスクリプトームDNAアレイ分析を行う工程、DNA構築体を生産するために前記少なくとも1つの関心のある遺伝子を修飾する工程、および改変バチルス株を生産するためにバチルス宿主細胞に前記DNA構築体を導入し、ここで改変されていないバチルスにおける関心のあるタンパク質の発現に比較して前記関心のあるタンパク質の発現が増強されるような条件下で、前記改変バチルス株が関心のあるタンパク質を生産することができることを特徴とする工程を含む方法。
  75. 前記関心のあるタンパク質が、アミノ酸生合成経路および生分解経路からなる群より選択される少なくとも1つの生化学経路に関係していることを特徴とする請求項74に記載の方法。
  76. 少なくとも1つの生分解経路が働かない(disable)ことを特徴とする請求項75に記載の方法。
  77. 前記生分解経路が関心のある遺伝子の転写のために働かないことを特徴とする請求項76に記載の方法。
  78. 前記バチルス宿主細胞が、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・レントゥス、バチルス・スブチルス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステアロテルモフィルス、バチルス・クラウシ、バチルス・アルカロフィルス、バチルス・コアグランス、バチルス・サーキュランス、バチルス・プミルス、およびバチルス・チューリンギエンシスからなる群より選択されることを特徴とする請求項74に記載の方法。
  79. 前記関心のあるタンパク質がホモローグタンパク質およびヘテローグタンパク質からなる群より選択されることを特徴とする請求項74に記載の方法。
  80. 前記関心のあるタンパク質が、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、抗体、ホルモン、および成長因子からなる群より選択されることを特徴とする請求項79に記載の方法。
  81. バチルスにおける関心のあるタンパク質の発現を増強するための方法であって、少なくとも1つのバチルス細胞から少なくとも1つの関心のある遺伝子を含む核酸を得る工程、前記関心のある遺伝子を含む増幅断片プールを生産するために前記断片を増幅する工程、DNA構築体を生産するために前記増幅断片を結合する工程、改変バチルス株を生産するためにバチルス宿主細胞に前記DNA構築体を直接的に形質移入し、ここで前記改変バチルス株がprpC、sigD、およびtdh/kblからなる群より選択される修飾遺伝子を含むことを特徴とする工程、改変されていないバチルスにおける前記関心のあるタンパク質の発現に比較して前記関心のあるタンパク質の発現が増強されるような条件下で、前記改変バチルス株を培養する工程を含む方法。
  82. 前記バチルス宿主細胞が、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・レントゥス、バチルス・スブチルス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステアロテルモフィルス、バチルス・クラウシ、バチルス・アルカロフィルス、バチルス・コアグランス、バチルス・サーキュランス、バチルス・プミルス、およびバチルス・チューリンギエンシスからなる群より選択されることを特徴とする請求項81に記載の方法。
  83. 前記関心のあるタンパク質がホモローグタンパク質およびヘテローグタンパク質からなる群より選択されることを特徴とする請求項81に記載の方法。
  84. 前記関心のあるタンパク質が、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、抗体、ホルモン、および成長因子からなる群より選択されることを特徴とする請求項83に記載の方法。
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