JP2005500836A - 組換え宿主細胞における機能性ヒト嗅覚器環状ヌクレオチドゲート(cng)チャンネルの発現及び嗅覚調節物質を特定するための細胞を用いるアッセイにおけるその使用 - Google Patents

組換え宿主細胞における機能性ヒト嗅覚器環状ヌクレオチドゲート(cng)チャンネルの発現及び嗅覚調節物質を特定するための細胞を用いるアッセイにおけるその使用 Download PDF

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    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants

Abstract

本発明は、ヒト嗅覚環状ヌクレオチドゲート(CNG)チャンネルサブユニットをコードする単離核酸配列及び対応するポリペプチドに関する。本発明はさらに、ヒト嗅覚器CNGチャンネルを調節する化合物をプロファイルし、スクリーニングし、特定するためのヒトCNGチャンネルの使用に関する。より具体的には、本発明は、細胞、好ましくは哺乳類細胞におけるヒト嗅覚器CNGチャンネルの発現及びヒト嗅覚CNG機能を増強又は阻害する化合物を特定するための細胞を用いる高処理能力のアッセイにおけるこれらの細胞の使用に関する。嗅覚器CNGチャンネルを活性化する化合物は、嗅覚を増強するので、嗅覚機能が低下した個人にとって食物をより味の良いものとすることができる。逆に、嗅覚器CNGチャンネルを阻害する化合物は嗅覚を阻害するので、悪臭を阻害するのに用いることができる。さらに、本発明は、Gタンパク質結合受容体(GPCR)及び環状ヌクレオチド濃度を制御する他のタンパク質を同定するための細胞を用いる嗅覚器CNGチャンネルアッセイの使用に関する。

Description

【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2001年7月6日に出願の米国仮特許出願第60/303,140号及び2001年12月10日に出願の米国仮特許出願第60/337,154号に対する優先権の利益を主張するものであり、両出願とも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(本発明の技術分野)
本発明は、ヒト嗅覚器環状ヌクレオチドゲート(CNG)チャンネルサブユニットをコードする分離された核酸配列及びそれに対応するポリペプチドに関する。本発明はさらに、ヒト嗅覚器CNGチャンネルを調節する化合物をプロファイルし、スクリーニングし、特定するためのヒトCNGチャンネルの使用に関する。より具体的には、本発明は、細胞、好ましくは哺乳類又は昆虫の細胞におけるヒト嗅覚器CNGチャンネルの発現及びヒト嗅覚器CNG機能を増強又は阻害する化合物を特定するための細胞を用いる高処理能力のアッセイにおけるこれらの細胞の使用に関する。嗅覚器CNGチャンネルを活性化する化合物は、嗅覚を増強するので、嗅覚機能が低下した個人にとって食物をより味の良いものとするのに用いることができる。逆に、嗅覚器CNGチャンネルを阻害する化合物は、嗅覚を阻害するので、悪臭を抑えるのに用いることができる。さらに、本発明は、Gタンパク質結合受容体(GPCR)及び環状ヌクレオチド濃度を制御する他のタンパク質の調節物質を同定するための、細胞を用いる嗅覚器CNGチャンネルアッセイの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(本発明の背景技術)
臭気物質と嗅覚ニューロンの先端の繊毛にある嗅覚受容体との相互作用は、においの知覚の最初の段階である。嗅覚受容体として機能するオプシン様GPCRの数の多さ(たとえば、ヒトにおいて約400)並びに構造的な多様性は、多種の揮発性化合物を検出し、識別する我々の能力を明示する(Buck and Axel、1991年、Fuchs et al.、2001年)。ヒトにおいて数百種もの嗅覚ニューロン細胞種(それぞれが異なる嗅覚受容体遺伝子を発現する(Chess et al.、1994年、Malnic et al、1999年、Touhara et al.、1999年)が存在すると思われるが、いくつかの系列の証拠の中には、嗅覚ニューロンにおけるシグナル変換が、2次メッセンジャーcAMPを含む共通の下流シグナリング経路を必要とすると主張するものがある。多くの臭気物質が、嗅覚ニューロンにおけるcAMPの増加を誘発することが示されている(Breer、1993年)。さらに、G様Gタンパク質Golf(Jones and Reed、1989年、Belluscio et al.、1998年)、III型アデニル酸シクラーゼ(Bakalyar and Reed、1990年、Wong et al.、2000年)及び嗅覚器CNGチャンネルサブユニット(Dhallan et al.、1990年、Brunet et al.、1996年)に関するマウスノックアウト試験で、これらのシグナリング分子が、嗅覚シグナル変換に必須の役割を果たしていることが実証された。要約すると、嗅覚シグナル変換は、次の段階を含むと考えられる。即ち、(1)嗅覚刺激物質が嗅覚受容体を活性化し、(2)活性化された嗅覚受容体がGolfを活性化し、(3)III型アデニル酸シクラーゼがGolfにより活性化されて、cAMP合成を触媒し、(4)嗅覚器CNGチャンネルがcAMPにより活性化され、(4)活性化された嗅覚器CNGチャンネルを通してのイオン流出が嗅覚ニューロンを脱分極させ、活動電位の発生を開始させる(Gold、1999年)段階である。
【0004】
CNGチャンネルは、6種の膜貫通セグメント及びC末端ヌクレオチド結合ドメインを持つ構造的に関連するサブユニットで構成されている(Zagotta and Siegelbaum、1996年)。同定すべき嗅覚ニューロン特異的CNGチャンネルにおける第1のサブユニット、OCNC1は、その網膜CNGチャンネルサブユニットとの相同性に基づいて、ラット嗅覚器のcDNAからクローン化された(Dhallan et al.、1990年)。天然嗅覚器CNGチャンネルの伝達性並びにcAMP及びcGMPに対する感受性とそれに対応せずに発現するOCNC1チャンネルの特性との矛盾が、更なるCNGチャンネルサブユニットを探索する契機となった。2つの別のサブユニットOCNC2及びβ1b(桿状光受容体CNGチャンネルサブユニットのスプライス変異体)が、その後、げっ歯類の嗅覚器cDNAから、相同性に基づくクローニングにより同定された(Liman and Buck、1994年、Bradley et al.、1994年、Sautter et al.、1998年、Bonigk et al.、1999年)。組織化学的実験で、これらの分子が、嗅覚ニューロンの先端にある繊毛において選択的に発現することが示された。そして、嗅覚CNGサブユニットの非対応性同時発現により、天然のチャンネルに類似した特性を有するチャンネルが得られた(Sautter et al.、1998年、Bonigk et al.、1999年)。したがって、嗅覚器CNGチャンネルは、3種のサブユニットから構成されていると思われる。(OCNC1は、CNG2、CNGC4、CNCα3及び嗅覚器CNGチャンネルαとも呼ばれており、OCNC2は、CNG5、CNCα4及び嗅覚器CNGチャンネルβとも呼ばれており、β1bは、CNCβ1b及びCNG4.3とも呼ばれている。)
【0005】
嗅覚器CNGチャンネルは、嗅覚調節物質にとって競合的な標的である。第1に、これらのチャンネルは、嗅覚ニューロンの先端にある繊毛に局在化しており、嗅上皮の外面に露出している。したがって、チャンネル活性化物質は細胞膜を通過する必要がない。第2に、嗅覚器CNGチャンネルは、異種細胞において機能的に発現することができる(Sautter et al.、1998年、Bonigk et al.、1999年、Qu et al.、2000年)。第3に、自動蛍光定量機器を用いる高処理能力スクリーニングに対応可能な、カルシウム画像化によるアッセイを、CNGチャンネル活性を測定するために用いることができる。その理由は、これらのチャンネルがCa2+に対して透過性があるためである。実際、カルシウム画像化は、初代培養における嗅覚ニューロンの臭気物質依存性の活性化を記録するために用いられており(Hirono et al.、1992年、Ma and Shepherd、2000年)、最近では、カルシウム色素によるアッセイが、異種細胞において発現させるラットOCNC1に対して開発された(Rich et al.、2001年)。第4に、これらのチャンネルは、環状ヌクレオチドにより制御される。すなわち、これらのチャンネルは、小分子によりアロステリック的に活性化される。最後に、CNGチャンネル活性を直接阻害することにより嗅覚を調節するいくつかの小分子が同定されている(Kurahashi et al.、1994年)。そして、L型Ca2+チャンネルのジヒドロピリジンアゴニストなど、非イオンチャンネル型受容体のイオンチャンネルを活性化する小分子については十分な先例が存在する(Hockerman et al.、1997年)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
げっ歯類嗅覚器CNGチャンネルを、アフリカツメガエル卵母細胞及びHEK−293細胞において発現させ、それらについて、CNGチャンネルを含む膜の電気的特性を直接測定することにより、機能的な特性が検討された(Sautter et al.、1998年、Bonigk et al.、1999年、Qu et al.、2000年)。しかし、電気生理学的アッセイは、高処理能力スクリーニングに対応することができない。このような限界を克服するために、本発明は、嗅覚器CNGチャンネル調節物質の自動高処理能力スクリーニングに対応可能な、細胞による蛍光定量アッセイを述べるものである。このアッセイは、アデニル酸シクラーゼ活性化物質フォルスコリンによって引き起こされたcAMP濃度の上昇に随伴する、HEK−293細胞において発現した嗅覚器CNGチャンネルを通るイオン流を定量するために、蛍光カルシウム色素又は膜電位色素を用いる。さらに、本発明は、本発明の前には同定されていなかったヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをコードする核酸配列を同定する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(本発明の概要)
本発明は、ヒト嗅覚器CNGチャンネルの単離されたOCNC1、OCNC2及びβ1bサブユニットのポリペプチド並びにそれらをコードする核酸配列を包含する。本発明はまた、そのような核酸配列を含有するベクター及びそのようなベクターを含有する宿主細胞を含む、そのような核酸配列を発現させる手段を包含する。本発明はさらに、そのような核酸、ベクター及び宿主細胞を使用して、嗅覚器CNGチャンネル活性を調節することにより嗅覚を調節する化合物を特定する方法を包含する。また、本発明において述べるアッセイは、GPCR及び環状ヌクレオチド濃度を制御する他のタンパク質の活性を定量するために適用することができる。
【0008】
好ましい実施形態においては、まず、ヒト嗅覚器CNGチャンネルを発現する宿主細胞を、アデニル酸シクラーゼ活性化物質フォルスコリンのようなcAMPを増加させる物質、ホスホジエステラーゼ阻害物質IBMX、又は膜透過性環状ヌクレオチド類似体で刺激する。次いで、fura−2のような蛍光カルシウムキレート化剤(Abe et al.、1992年)、ナトリウムグリーンテトラ酢酸(Molecular Probes)やNa感受性色素キット(Molecular Devices)のような蛍光ナトリウムキレート化剤、または膜電位色素キット(Molecular Devices)やオキサノール−クマリンキット(Aurora Biosciences)のような膜電位色素を用いて、処理細胞へのイオン流をモニターすることにより、嗅覚器CNGチャンネル活性化を定量する。次いで、嗅覚増強性嗅覚器CNGチャンネル活性化物質は、cAMPの増加に対して蛍光応答を増強する能力により同定することができ、嗅覚阻害性のチャンネルアンタゴニストは、蛍光応答を減弱させる能力により同定することができる。そのようなアッセイは、蛍光定量画像化プレートリーダー(Fluorometric Imaging Plate Reader)(FLIPR、Molecular Devices)及び電圧イオンプローブリーダー(Voltage Ion Probe Reader)(VIPR、Aurora Biosciences)のような自動蛍光定量機器を用いる化合物ライブラリーの高処理スクリーニングに適用できる。
【0009】
(本発明の目的及び好ましい実施の形態)
本発明の目的は、ヒト嗅覚器CNGチャンネルのOCNC1、OCNC2及びβ1bサブユニットをコードする単離された核酸配列、組換え又は化学的手段により調製される、スプライス変異体、対立遺伝子変異体、単一ヌクレオチド多形(SNPS)及び突然変異性変異体等を含む、その変異体及び機能的フラグメント、突然変異体、並びにキメラを提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、ヒト嗅覚器CNGチャンネルの単離されたOCNC1、OCNC2及びβ1bサブユニットポリペプチド、並びに化学的方法又は組換え法により調製される、スプライス変異体、対立遺伝子変異体、SNPS突然変異体を含む、その機能的フラグメント、キメラ及び変異体、並びにヒト以外の霊長類におけるそのオーソログを提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、機能的ヒトCNGチャンネルポリペプチドサブユニット又はサブユニットの組合せを発現する細胞系を生産することである。
【0012】
本発明の好ましい目的は、ヒトOCNC1、OCNC2及びβ1bサブユニットポリペプチド(好ましくは、それぞれ配列番号1、2及び3に含まれるアミノ酸配列を有する)のそれぞれ、または、当該各サブユニットポリペプチドのDNA配列又はフラグメントによりコードされる機能的キメラ又は突然変異体を機能的に発現する細胞系を生産することである。
【0013】
本発明のより好ましい目的は、機能的なヒト嗅覚器CNGチャンネルを発現する、ヒト胚腎臓細胞(HEK293細胞)、COS細胞、マウスL細胞、キメラハムスター、卵巣細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞、LtK細胞及びBHK細胞等の哺乳類細胞系を提供することである。
【0014】
本発明の他の好ましい目的は、嗅覚器CNGチャンネル活性を調節することにより嗅覚を調節する化合物を特定するために、そのような細胞系を使用することである。
【0015】
本発明の目的はまた、GPCR及び環状ヌクレオチド濃度を制御する他のタンパク質の活性を定量するために、そのような細胞系を使用することである。
【0016】
本発明のより具体的な目的は、最初に、アデニル酸シクラーゼ活性化物質(たとえば、フォルスコリン)、又はホスホジエステラーゼ阻害物質(たとえば、IBMX)、又は膜透過性環状ヌクレオチド類似体、といったcAMPを増加させる物質でCNGチャンネルを刺激し、次いで、たとえば、蛍光カルシウムキレート化剤又は蛍光ナトリウムキレート化剤を用いて細胞へのイオンの流入を測定することによりCNGチャンネル活性化を定量する、アッセイにおいて、機能的ヒトCNGチャンネルを安定的又は一時的に発現する細胞系を使用することである。
【0017】
本発明の他の具体的な目的は、蛍光定量画像化プレートリーダー(Fluorometric Imaging Plate Reader)(FLIPR、Molecular Devices)及び電圧イオンプローブリーダー(Voltage Ion Probe Reader)(VIPR、Aurora Biosciences)のような自動蛍光定量機器を用いた化合物ライブラリーの高処理スクリーニングのために、機能的ヒトCNGチャンネルを安定的又は一時的に発現する細胞系を使用することである。
【0018】
特に、本発明の目的は、カルシウム画像化アッセイを用いて、機能的ヒト嗅覚器CNGチャンネルを発現するHEK−293細胞系に対する化合物の影響を測定することにより、嗅覚を調節する化合物を特定することである。
【0019】
本発明の他の具体的な目的は、ヒトCNGチャンネルを細胞透過性cAMP又はcGMP(フラッシュ光分解により放出)を用いて活性化し、活性化されたCNGチャンネルを用いて嗅覚を調節する化合物を特定する、CNGプレートによるハイスループットアッセイを提供することである。
【0020】
本発明のさらに具体的な目的は、機能的なヒト嗅覚器CNGチャンネルを発現する、HEK−293、昆虫細胞又はアフリカツメガエル卵母細胞を生産することである。
【0021】
本発明の他の具体的な目的は、ラットOCNC1、ラットOCNC2及びラットβ1b遺伝子の少なくとも1つ、及び好ましくは3つすべてのヒトオーソログを発現するHEK−293又は昆虫細胞又はアフリカツメガエル卵母細胞を生産することである。
【0022】
本発明の他の具体的な目的は、cAMP及びcGMPに対する高い感受性を有するβ1bタンパク質の変異体を発現するHEK−293又は昆虫細胞又はアフリカツメガエル卵母細胞を生産することである。
【0023】
本発明の他の具体的な目的は、
(i)機能的なヒトCNGチャンネルを発現する哺乳類又は昆虫の細胞を得、
(ii)当該細胞を刺激して、細胞内cAMP/cGMP濃度を増加させることにより、CNGチャンネルを活性化し、
(iii)化合物の存在下又は非存在下で、そのCNG活性に対する調節効果を調べるために、陽イオンの流入を比較し、
(iv)嗅覚に対する調節化合物の効果を試験することを含む、
嗅覚を調節する化合物を選択するためのプレートを用いるアッセイを提供することである。
【0024】
(本発明の詳細な説明)
本発明をさらに詳細に論じる前に、以下に定義を記載する。他の場合において、語及び句は、当業者により解釈される通常の意味に一致するものとする。
【0025】
(定義)
「機能的ヒト嗅覚器CNGチャンネル」とは、少なくとも1種のヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニット、その変異体又はフラグメントから構成される嗅覚ニューロン特異的CNGユニットを指す。そのようなCNGサブユニットとしては、OCNC1、OCNC2及びβ1bなどがある。機能的チャンネルは、細胞外陽イオンに対して十分透過性であり、膜電位感受性蛍光色素又はカルシウム感受性蛍光色素の何れかを用いて、細胞内陽イオンの検出可能な変化を生じる。
【0026】
「ヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニット」とは、ラットOCNC1、ラットOCNC2及びラットβ1bから選択されるラット嗅覚ポリペプチドのヒトオーソログ、あるいは、野生型ヒトOCNC1、ヒトOCNC2及びヒトβ1bと少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80〜90%、さらにより好ましくは少なくとも90〜99%の配列相同性を示すDNAを指す。好ましい実施形態において、ヒトオーソログは、図1に示す配列、もしくは、それと少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95〜99%の相同性を示す、そのフラグメント又は変異体を含む。さらに、変異体又はフラグメントを、単独又は他のCNGサブユニットと組合せたときのそれらの発現能に基づいて選択して、機能的嗅覚(カルシウム透過性)CNGサブユニットを産生することができる。
【0027】
本明細書で用いる「精製された」、「実質的に精製された」及び「単離された」という用語は、本発明の化合物が通常その自然の状態では会合している他の異なる化合物が含まれない状態を指し、そのため、「精製された」、「実質的に精製された」及び「単離された」対象は、所与のサンプルの全体に対して、少なくとも0.5重量%、1重量%、5重量%、10重量%又は20重量%、最も好ましくは、少なくとも50重量%又は75重量%を含む。好ましい一実施形態において、これらの用語は、所与のサンプルの全体に対して、少なくとも95重量%を含む本発明の化合物を指す。本明細書で用いているように、「精製された」、「実質的に精製された」及び「単離された」という用語は、核酸又はタンパク質について言うとき、哺乳類、特にヒトの体内に自然に存在する場合と異なった精製又は濃度の状態も指す。(1)他の会合した構造又は化合物からの精製、または(2)通常、哺乳類、特にヒトの体内で会合しない構造又は化合物との会合を含む、哺乳類、特にヒトの体内に自然に存在するよりも大きい精製又は濃度の程度は、「単離された」の意味の範囲内にある。本明細書に記載の核酸又はタンパク質あるいは核酸又はタンパク質のクラスは、当業者に知られているさまざまな方法又は工程により、単離することができ、さもなくば、それらが通常自然では会合しない構造又は化合物と結合させることができる。
【0028】
「増幅する」及び「増幅」という用語は、以下に詳細に述べるように、組換え体又は自然に発現される核酸を産生又は検出するための適切な増幅法の使用を指す。たとえば、本発明は、本発明の自然に発現する(たとえば、ゲノム又はmRNA)又は組換え(たとえば、cDNA)核酸(たとえば、本発明の感覚刺激物質結合配列)をin vivo又はin vitroで増幅する(たとえば、ポリメラーゼ連鎖反応、PCRにより)ための方法及び試薬(たとえば、縮重オリゴヌクレオチドプライマー対)を提供する。
【0029】
「発現ベクター」という用語は、原核、酵母、真菌、植物、昆虫又は哺乳類細胞を含む任意の細胞中で、本発明の核酸配列をin vitro又はin vivoで構成的に又は誘導的に発現させる目的で、組換え発現系において用いられる伝達体を指す。この用語は、線状又は環状の発現系を含む。この用語は、エピソームのままの又は宿主細胞ゲノムに組み込まれる発現システムを含む。発現システムは、自己複製する能力を持つものでも、持たないものでもよい。すなわち、細胞中で一時的発現のみを誘導するものでもよい。この用語は、組換え核酸の転写に必要な最小限の要素のみを含む組換え発現カセットを含む。
【0030】
「ライブラリー」という用語は、組換えにより発生させた感覚、特に、嗅覚又は味覚の、縮重プライマー対を用いた核酸の増幅により発生させた受容体リガンド結合ドメインのライブラリーのような異なる核酸又はポリペプチド分子の混合物、あるいは、増幅された感覚刺激物質結合ドメインを組み込んでいるベクターの単離された集合、あるいは、感覚受容体をコードする少なくとも1つのベクターをそれぞれランダムにトランスフェクトした細胞の混合物、である調製物を意味する。
【0031】
「核酸」又は「核酸配列」という用語は、1本又は2本鎖の形態のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド、オリゴヌクレオチドを指す。この用語は、核酸、すなわち、天然ヌクレオチドの既知の類似体を含むオリゴヌクレオチドを包含する。この用語はまた、合成骨格を有する核酸様構造を含む。たとえば、Oligonucleotides and Analogues、a Practical Approach、F.Eckstein編、Oxfod Univ.Press(1991年)、Antisense Strategies、Annals of the N.Y.Academy of Sciences、第600巻、Baserga et al.編(NYAS1992年)、Milligan、J.Med.Chem.第36巻、1923〜1937頁(1993年)、Antisense Research and Applications(1993年、CRC Press)、国際公開第97/03211号、国際公開第96/39154号、Mata、Toxicol.Appl.Pharmacol.第144巻、189〜197頁(1997年)、Strauss−Soukup、Biochemistry、第36巻、8692〜8698頁(1997年)、Samstag、Antisense Nucleic Acid Drug Dev、第6巻、153〜156頁(1996年)を参照のこと。
【0032】
「保守的変異体」又は「類似体」又は「擬似体」という用語は、本明細書で定義したように、その変化が、実質的にポリペプチドの(保守的変異体の)構造及び/又は活性を変化させないような修飾アミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。これらは、アミノ酸配列の保守的に修飾された変異体、すなわち、タンパク質活性にとって重要でない残基のアミノ酸置換、付加又は欠失、あるいは、重要なアミノ酸の置換であっても、構造及び/又は活性を実質的に変化させないような類似の特性(たとえば、酸性、塩基性、正又は負に荷電、極性又は非極性等)を有する残基によるアミノ酸の置換を含む。機能的に類似のアミノ酸を記載した同類置換表は、当技術分野においてよく知られている。
【0033】
たとえば、保守的置換を選択するための一具体例としてのガイドラインは、以下の通りである(オリジナル残基に続いて置換例を示す):
Ala/Gly又はSer;Arg/Lys;Asn/Gln又はHis;Asp/Glu;Cys/Ser;Gln/Asn;Gly/Asp;Gly/Ala又はPro;His/Asn又はGln;Ile/Leu又はVal;Leu/Ile又はval;Lys/Arg又はGln又はGlu;Met/Leu又はTyr又はIle;Phe/Met又はLeu又はTyr;Ser/Thr;Thr/Ser;Trp/Tyr;Tyr/Trp又はPhe;Val/Ile又はLeu。
別の具体例としてのガイドラインは、それぞれが互いに保守的置換であるアミノ酸を含む次の6群を用いる:
1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、
4)アルギニン(R)、リシン(I)、
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)及び
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)
(たとえば、Creighton、Proteins、W.H.Freeman(1984年)、Schultz and Schimer、Principles of Protein Structure、Springer−Verlag(1979年)も参照のこと)。
当業者は、上記の置換が唯一の可能な保守的置換ではないことを理解するであろう。たとえば、いくつかの目的では、すべての荷電アミノ酸を、正であるか負であるかにかかわりなく、互いに保守的置換とみなすことができる。さらに、コードされた配列において単一アミノ酸又はわずかな割合のアミノ酸を変化させ、加え、又は欠失させる個々の置換、欠失又は付加も「保守的に修飾された変異体」とみなすことができる。
【0034】
「擬似体」及び「ペプチド擬似体」という用語は、ポリペプチド、たとえば、本発明の転移ドメイン、感覚刺激物質結合ドメイン又はキメラ受容体、の実質的に同じ構造的及び/又は機能的な特性を有する合成化合物を指す。擬似体は、アミノ酸の合成による非天然類似体から完全に構成されるか、あるいは、部分的に天然ペプチドアミノ酸及び部分的にアミノ酸の非天然類似体からなるキメラ分子とすることができる。擬似体はまた、置換が擬似体の構造及び/又は活性をも実質的に変化させない限り、任意の量の天然アミノ酸同類置換を組み込むことができる。保守的変異体である本発明のポリペプチドの場合と同様に、通常の実験により、擬似体が本発明の範囲内にあるかどうか、すなわち、その構造及び/又は機能が実質的に変化していないかどうかを判定できるであろう。ポリペプチド擬似組成物は、一般的に次の3構造群に属する天然に存在しない構造成分の任意の組合せを含むことができる。すなわち、a)天然アミド結合(「ペプチド結合」)連結以外の残基連結群、b)天然に存在するアミノ酸残基の代わりの非天然残基、又はc)2次構造擬似体を誘導、すなわち2次構造、たとえば、βターン、γターン、βシート、αらせんコンフォーメーション等を誘導又は安定化する残基である。
ポリペプチドは、その残基のすべて又は一部が天然ペプチド結合以外の化学的手段により連結されているとき、擬似体と特徴付けることができる。個々のペプチド疑似体残基は、ペプチド結合、他の化学結合又はカップリング手段、たとえば、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、2官能性マレイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)又はN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)により連結させることができる。伝統的アミド結合(「ペプチド結合」)連結の代わりとなり得る結合基は、たとえば、ケトメチレン(たとえば、−C(=O)−NH−の代わりの−C(=O)−CH−)、アミノメチレン(CH−NH)、エチレン、オレフィン(CH=CH)、エーテル(CH−O)、チオエーテル(CH−S)、テトラゾール(CN)、チアゾール、レトロアミド、チオアミド又はエステルなどである(たとえば、Spatola、Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides and Proteins、第7巻、267〜357頁、「Peptide Backbone Modifications」、Marcell Dekker、NY(1983年)を参照)。ポリペプチドは、天然に存在するアミノ酸残基の代わりにすべて又は一部の非天然残基を含むことによっても、擬似体と特徴付けることができる。非天然残基については、科学及び特許文献に十分に記載されている。
【0035】
本明細書で用いているように、「組換え」とは、in vitroで合成又は他の方法で操作されたポリヌクレオチド(たとえば、「組換えポリヌクレオチド」)、細胞又は他の生物学的系において遺伝子産物を生産するために組換えポリヌクレオチドを用いる方法、あるいは、組換えポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド(「組換えタンパク質」)を指す。「組換え手段」とは、異なる起源のさまざまなコード領域もしくはドメイン又はプロモーター配列を有する核酸を、発現、例えば、本発明の転移ドメイン及び本発明のプライマーを用いて増幅される核酸配列を含む融合タンパク質の誘導性又は構成性の発現のために、発現カセット又はベクターへ結合させることを包含する。
【0036】
「膜貫通ドメイン」という用語は、原形質膜に完全にまたがることができるポリペプチドドメインを意味する。膜貫通ドメイン、特に、嗅覚受容体のような7膜貫通受容体の7種の膜貫通ドメインの一般的な2次及び3次構造は、当技術分野でよく知られている。したがって、以下で詳細に記載するように、1次構造配列は、既知の膜貫通ドメイン配列に基づいて設計又は予測することができる。
【0037】
「CNGチャンネル」サブユニットタンパク質又はそのフラグメント、あるいは、「CNGチャンネル」タンパク質又はそのフラグメントの3種のサブユニットの1つをコードする核酸は、(1)配列番号1、2又は3に含まれているcDNAによりコードされるアミノ酸配列と、少なくとも約25、50、100、200又は500又はそれ以上のアミノ酸の領域にわたり約80%より大きいアミノ酸配列相同性、85%、90%、好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のアミノ酸配列相同性を有するアミノ酸配列を有するか、あるいは(2)配列番号1、2又は3によりコードされるアミノ酸配列又はその免疫原性フラグメント、及びそれらの保守的に修飾された変異体を含む免疫原に対して産生させた抗体、たとえば、ポリクローナル抗体に特異的に結合するか、あるいは(3)ヒトCNGタンパク質をコードする核酸配列、たとえば、配列番号1、2、3又はそれらの相補体、及びそれらの保守的に修飾された変異体に対応するアンチセンス鎖と、緊縮ハイブリッド条件下で特異的にハイブリッド形成するか、あるいは(4)配列番号1、2若しくは3又はそれらの相補体と、好ましくは少なくとも約25、50、100、200、500、1000又はそれ以上のヌクレオチドの領域にわたり約80%より大きい配列相同性、85%、90%、好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれより高いヌクレオチド配列相同性を有する核酸配列を有するか、あるいは(5)たとえば、陽イオンに応答する膜電位色素の測定可能な蛍光により決定される、本明細書に記載のヒトCNGと機能的に同等である、核酸及びポリペプチド、多形性変異体、対立遺伝子並びに種間同族体を指す。
【0038】
機能的に同等のCNGチャンネルタンパク質は、下記で同定されたものと異なる1次配列を有するサブユニット含むが、機能アッセイにより測定した際に同等の機能を有する。「機能的効果を測定すること」は、CNGチャンネルポリペプチドの間接的又は直接的な影響下にあるパラメーターを増加又は減少させる化合物の効果、たとえば、機能的、物理的及び化学的な効果を測定することを指す。そのような機能的効果としては、イオン流入、膜電位、電流振幅及び電圧ゲートの変化、並びにマーカー遺伝子の遺伝子発現の変化といった他の生物学的効果などがあるが、これらに限定されるものではない。イオン流入は、たとえば、ナトリウム又はリチウム、及び放射性同位元素のようなそれらの類似体などのチャンネルを通過するイオンを含む。そのような機能的効果は、当業者に知られているいずれかの手段、たとえば、2電極電気生理学又は電圧感受性色素を用いて、あるいは、分光学的特徴(たとえば、蛍光、吸光度、屈折率)、流体力学的特性(たとえば、形状)、クロマトグラフィック特性又は溶解性特性のようなパラメーターの変化を測定することにより、測定することができる。
【0039】
CNGチャンネルポリヌクレオチド及びポリペプチド配列の「阻害物質」、「活性化物質」及び「調節物質」は、CNGチャンネルポリヌクレオチド及びポリペプチド配列の細胞によるアッセイを用いて同定される、活性化分子、阻害分子又は調節分子を指すのに用いられる。阻害物質は、たとえば、結合し、活性を部分的又は完全に阻害し、CNGチャンネルタンパク質の活性又は発現を、減少、妨害、遅延、不活性化、脱感作化、又は下方制御する化合物、たとえば、拮抗物質である。「活性化物質」は、CNGチャンネルタンパク質活性を、増加させ、開放し、活性化し、促進し、活性化を増強し、増感し、作動させ、又は上方制御する化合物である。阻害物質、活性化物質又は調節物質は、CNGチャンネルタンパク質の遺伝的に修飾された変異型、たとえば、活性の変化を有する変異型、並びに、天然及び合成リガンド、拮抗物質、作動物質、ペプチド、環状ペプチド、核酸、抗体、アンチセンス分子、リボザイム、小有機分子等も含む。阻害物質及び活性化物質についてのそのようなアッセイは、たとえば、細胞、細胞抽出物又は細胞膜においてCNGチャンネルタンパク質を発現させ、推定される調節化合物を適用し、次いで、上記のようにして、活性に対する機能的効果を測定することを含む。
【0040】
潜在的な活性化物質、阻害物質又は調節物質で処理されているCNGチャンネルタンパク質を含むサンプル又はアッセイを、阻害物質、活性化物質又は調節物質を含まない対照サンプルと比較して、活性化、阻害又は調節の程度を検討する。
【0041】
本明細書で用いているように、「試験化合物」又は「試験候補物」又は「調節物質」という用語あるいはその文法的に同等な用語は、例えば、CNGチャンネル活性を調節する能力について試験する、天然に存在又は合成による分子、たとえば、タンパク質、オリゴペプチド(たとえば、長さが約5〜約25アミノ酸、好ましくは長さが約10〜20又は12〜18アミノ酸、好ましくは長さが12、15又は18アミノ酸である)、小有機分子、多糖、脂質(たとえば、スフィンゴ脂質)、脂肪酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド等を述べる。試験化合物は、十分な範囲の多様性を提供するコンビナトリアル又はランダムなライブラリーといった試験化合物のライブラリーの形態とすることができる。試験化合物は、任意に、融合パートナー、たとえば、ターゲッティング化合物、レスキュー化合物、2量体化化合物、安定化化合物、アドレス可能な化合物及び他の機能部分と結合することができる。通常、有用な特性を有する新規化学物質は、たとえば、活性を増強させ、リード化合物の変異体を作製し、それらの変異体化合物の特性及び活性を評価して、望ましい特性又は活性を有する試験化合物(「リード化合物」と呼ばれる)を同定することにより産生する。そのような分析のためには、高処理能力のスクリーニング(HTS)法を用いることが好ましい。
【0042】
「小有機分子」は、約50ダルトン以上で、約2500ダルトン未満、好ましくは約2000ダルトン未満、好ましくは約100〜約100ダルトン、より好ましくは約200〜約500ダルトンの分子量を有する天然に存在する又は合成による有機分子を指す。
【0043】
「生物学的サンプル」は、生検及び剖検サンプルのような組織の切片並びに組織学的目的のために採取された凍結切片を含む。そのようなサンプルとしては、血液、痰、組織、培養細胞(たとえば、初代培養、体外移植細胞及び形質転換細胞)、便、尿等がある。生物学的サンプルは、一般的に真核生物、最も好ましくは、霊長類(たとえば、チンパンジー又はヒト)、ウシ、イヌ、ネコ、げっ歯類(たとえば、モルモット、ラット、マウス、ウサギ)のような哺乳類、鳥、爬虫類、魚等から得られる。
【0044】
2つ以上の核酸又はポリペプチド配列に関する「相同」又は「相同性」の割合という語は、下記のデフォルトパラメーターを有するBLASTもしくはBLAST 2.0配列比較アルゴリズムを用いて、又はマニュアル照合及び目視検査(たとえば、NCBIウェブサイト等を参照のこと)により測定した際、同じ2つ以上の配列又はサブ配列であるか、同じアミノ酸残基又はヌクレオチドを特定の割合で有する(比較ウインドウ又は指定の領域にわたって比較し、最大の対応を得るようにアライメントしたとき、明記されている領域(たとえば、ヌクレオチド配列番号1、2又は3のヌクレオチド配列)にわたって同じであるかあるいは明記されている割合の相同性(約80%の相同性、好ましくは、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の相同性)ことを指す。そのような配列は、「実質的に同じ」であると言われる。この定義は、試験配列の相補体を指すこともあり、又はこれに適用できる。この定義には、欠失及び/又は付加を有する配列並びに置換を有する配列も含まれる。下記のように、好ましいアルゴリズムは、ギャップ等を説明することができる。長さが少なくとも約25アミノ酸又はヌクレオチドである領域にわたり、あるいは、より好ましくは長さが50〜100アミノ酸又はヌクレオチドである領域にわたり相同性が存在することが好ましい。
【0045】
配列の比較のために、一般的に1つの配列が、試験配列を比較する対照標準配列としての役割を果たす。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験及び対照標準配列をコンピュータに入力し、必要な場合、サブ配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。デフォルトプログラムパラメーターを用いることができるか、又は代替パラメーターを指定することが好ましい。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメーターに基づいて、対照標準配列に対する試験配列の配列相同性の割合を計算する。
【0046】
「比較ウインドウ」は、本明細書において用いているように、2つの配列を任意に整列させた後に、配列を連続位置の同じ数の対照標準配列と比較することができる、20〜600、通常、約50〜約200、より通常、約100〜約150からなる群から選択される連続位置の数のいずれか1つのセグメントの対照標準を含む。比較のための配列のアライメントの方法は、当技術分野でよく知られている。比較のための配列の最適なアライメントは、たとえば、Smith & Waterman、Adv.Appl.Math.第2巻、482頁(1981年)の局所相同アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch、J.Mol.Biol.第48巻、443頁(1970年)の相同アライメントアルゴリズムにより、Pearson & Lipman、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA、第85巻、2444頁(1988年)の類似性の検索方法により、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package(Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WI)におけるGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)のコンピュータによる実行により、あるいは、マニュアルアライメント及び目視検査(たとえば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.編、1995年増刊)を参照)により行うことができる。
【0047】
配列相同性の割合及び配列類似性の決定に適したアルゴリズムの好ましい例は、それぞれAltschul et al.、Nuc.Acids Res.第25巻、3389〜3402頁(1977年)及びAltschul et al.、J.Mol.Biol.第215巻、403〜410頁(1990年)に記載されているBLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムである。BLAST及びBLAST 2.0は、本発明の核酸及びタンパク質における配列相同性の割合を決定するために、本明細書に記載するパラメーターとともに用いられる。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを通して公的に入手可能である。このアルゴリズムは、最初に、データベース配列における同じ長さの語とアライメントしたとき、いくつかの陽性値の閾スコアTと合致又は満たす目的の配列において、長さWの短い語を特定することにより、高スコアリング配列対(HSPs)を同定することを含む。Tは、近傍語スコア閾と称されている(Altschul et al.、前出)。これらの最初の近傍語hitsは、それらを含むより長いHSPsを発見するための検索を開始するためのシードとして働く。語hitsは、累積アライメントスコアを増加させることができる限り、各配列に沿って両方向に延長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列については、パラメーターM(合致残基の対に対する報酬スコア、常に>0)及びN(ミスマッチ残基に対する罰スコア、常に<0)を用いて計算する。アミノ酸配列については、スコアリングマトリックスを用いて累積スコアを計算する。語hitsの各方向への延長は、累積アライメントスコアがその最大達成値からX減少した場合、1つ又は複数の負のスコアの残基アライメントの累積のため、累積スコアが0以下になる場合、あるいは、いずれかの配列の終結に達した場合に停止したBLASTアルゴリズムパラメーターW、T及びXは、アライメントの感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、語長(W)として11、期待値(E)として10、M=5、N=−4及び両鎖の比較をデフォルトとして用いている。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムは、語長として3、期待値(E)として10及びBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff & Henikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第89巻、10915頁(1989年)を参照)、アライメント(B)として50、M=5、N=−4及び両鎖の比較をデフォルトとして用いている。
【0048】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書では互換可能に用い、アミノ酸残基のポリマーを指す。これらの用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマー及び天然に存在しないアミノ酸ポリマーのみならず、1つ又は複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的化学的擬似体であるアミノ酸ポリマーに適用される。
【0049】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在する又は合成のアミノ酸並びに天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸疑似体を指す。天然に存在するアミノ酸には、遺伝コードによりコードされるものであり、また、後に修飾されたもの、たとえば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸塩及びO−ホスホセリンなどがある。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素に結合しているα−炭素、カルボキシル基、アミノ基及びR基、たとえば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを有する化合物を指す。そのような類似体は、修飾R基(たとえば、ノルロイシン)又は修飾ペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持している。アミノ酸疑似体は、アミノ酸の一般的化学構造と異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する化合物を指す。
【0050】
アミノ酸は、一般的に知られている3文字記号又はIUPAC−IUB 生化学命名法委員会(Biochemical Nomenclature Commission)により推奨されている1文字記号により本明細書において表す。ヌクレオチドも同様に一般的に受け入れられている1文字コードにより表すことができる。
【0051】
「保守的に修飾された変異体」は、アミノ酸及び核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関しては、保守的に修飾された変異体は、同じ又は本質的に同じアミノ酸配列をコードする核酸を指し、あるいは、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同じ配列を指す。遺伝コードの縮重のゆえに、多数の機能的に同じ核酸が所与のタンパク質をコードする。たとえば、コドンGCA、GCC、GCG及びGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンにより指定されるすべての位置において、コドンは、コードされるポリペプチドを変化させることなく記述される対応するコドンのいずれかに変化し得る。そのような核酸変異体は、保守的に修飾された変異体の1つの種である「サイレント変異体」である。ポリペプチドをコードする本明細書におけるすべての核酸配列は、核酸のすべての可能なサイレント変異体も記述する。当業者は、核酸中の各コドン(通常メチオニンの唯一のコドンであるAUG及び通常トリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)が修飾されて、機能的に同じ分子が生じることがあり得ることを理解するであろう。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異体は、発現産物に関しては、記述された各配列に内在するが、実際のプローブ配列に関しては、そうでない。
【0052】
アミノ酸配列に関しては、当業者なら、核酸、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質配列に対する個々の置換、欠失又は付加が、コードされる配列における単一アミノ酸又はわずかな割合のアミノ酸を変化させ、付加し、欠失させたものは、その変化が、あるアミノ酸の化学的に類似したアミノ酸への置換をもたらす「保守的に修飾された変異体」であることを理解するであろう。機能的に類似のアミノ酸を記載した同類置換表は、当技術分野においてよく知られている。そのような保守的に修飾された変異体は、本発明の多形性変異体、種間同族体及び対立遺伝子に加えられるものであり、それらを除外するものではない。
【0053】
以下の8群は、それぞれが互いに同類置換であるアミノ酸を含む。
1)アラニン(A)、グリシン(G)、
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、
4)アルギニン(R)、リシン(K)、
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、
7)セリン(S)、トレオニン(T)及び
8)システイン(C)、メチオニン(M)
(たとえば、Creighton、Proteins(1984年)を参照のこと)。
前記のように、本発明は、適切なアッセイ、たとえば、以下で詳細に記載する全細胞ナトリウムコンダクタンスアッセイを用いた場合、機能的に同等な、本願に開示されているものと異なる1次配列を有するENaCサブユニットポリペプチドを発現する細胞を含む。
【0054】
ポリペプチド構造のような巨大分子構造は、種々のレベルの構成の点から記述することができる。この構成の議論については、たとえば、Alberts et al.、Molecular Biology of the Cell(第3版、1994年)及びCantor and Schimmel、Biophysical Chemistry Part I:The Conformation of Biological Macromolecules(1980年)を参照のこと。「1次構造」は、特定のペプチドのアミノ酸配列を指す。「2次構造」は、ポリペプチド内の局所的に配列した3次元構造を指す。これらの構造は、一般的にドメイン、たとえば、膜貫通ドメイン、細孔ドメイン及び細胞質テイルドメインとして知られている。ドメインは、ポリペプチドのコンパクトユニットを形成するポリペプチドの部分であり、長さが一般的に15〜350アミノ酸である。具体例としてのドメインとしては、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインなどがある。一般的なドメインは、β−シートやα−らせんといった区切り等の小さな構成区画からなっている。「3次構造」は、ポリペプチド単量体の3次元構造を指す。「4次構造」は、独立した3次構造の非共有結合により形成されている3次元構造を指す。異方性項は、エネルギー項としても知られている。
【0055】
特定の核酸配列は、潜在的に「スプライス変異体」も包含する。同様に、核酸によりコードされる特定のタンパク質は、潜在的に当核酸のスプライス変異体によりコードされるすべてのタンパク質を包含する。「スプライス変異体」は、その名称が示唆するように、遺伝子の選択的なスプライシングの産物である。転写後、異なる(選択的な)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするように、最初の核酸転写物がスプライスされる。スプライス変異体の生成のメカニズムは、多様であるが、エキソンの選択的スプライシングを含む。読み過し転写により同じ核酸から得られる代替ポリペプチドもこの定義により含まれる。スプライス産物の組換え形を含むスプライシング反応のあらゆる産物は、この定義に含まれる。
【0056】
CNGチャンネル核酸配列も、適切なアッセイ、たとえば、本明細書に記載する蛍光アッセイを用いて定量したとき、本明細書に開示するヒトCNGチャンネルポリペプチドと機能的に同等であるCNGチャンネルサブユニットをコードする単一ヌクレオチド多形を含む。
【0057】
膜電位色素又は電圧感受性色素は、膜脱分極時に蛍光特性を変化させる分子又は分子の組合せを指す。
【0058】
「標識」又は「検出可能部分」は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的又は他の物理的手段により検出可能な組成物である。たとえば、有用な標識としては、32P、蛍光色素、電子密度が高い試薬、酵素(たとえば、ELISAに一般的に使用されるような)、ビオチン、ジゴキシゲニン、あるいは、たとえば放射性標識をペプチドに組み込むことにより検出可能にすることができる又はペプチドと特異的に反応する抗体を検出するために用いられる、ハプテン又はタンパク質などがある。
【0059】
たとえば、細胞、あるいは核酸、タンパク質又はベクターに関して用いる場合、「組換え」という用語は、細胞、核酸、タンパク質又はベクターが、異種の核酸またはタンパク質の導入により、または本来の核酸またはタンパク質の変化により修飾されたこと、あるいは、細胞がそのように修飾された細胞から得られることを示している。したがって、たとえば、組換え細胞は、発現する又は全く発現しない状態で、天然(非組換え)型の細胞で認められない遺伝子を発現するか、さもなくば、異常な発現を示す天然遺伝子を発現する。本発明では、これは一般的に、1つ又は複数のヒトCNGチャンネルサブユニットをコードする核酸配列をトランスフェクトした細胞を指す。
【0060】
核酸の部分に関して用いる場合、「異種」という用語は、核酸が自然では互いに同じ関係で認められない2つ以上のサブ配列を含むことを示している。たとえば、核酸は、新規の機能の核酸を作るために配列させた無関係の遺伝子からの2つ以上の配列、たとえば、1つの源からのプロモーターと他の源からのコード領域を有する核酸を一般的に組換えにより生成させる。同様に、異種タンパク質は、自然では互いに同じ関係で認められない2つ以上のサブ配列を含むタンパク質(たとえば、融合タンパク質)を示す。遺伝子、cDNA、mRNA又はタンパク質の細胞発現に関して用いる場合、「異種」という用語は、遺伝子、cDNA、mRNA又はタンパク質が通常では細胞内で発現しないこと、あるいは、細胞の元の起源以外の他の種由来のものであることを示す。
【0061】
「緊縮ハイブリッド形成条件」という句は、プローブが、一般的には核酸の複数の混合物中でその標的サブ配列とハイブリッド形成するが、他の配列とはハイブリッド形成しない条件を指す。緊縮条件は、配列依存性であり、異なる環境中では異なる。配列が長いほど、高温度で特異的にハイブリッド形成する。核酸のハイブリッド形成に関する広範な指針は、Tijssen、Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Probes、「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays」(1993年)に見出される。一般的に、緊縮条件は、規定のイオン強度pHにおける特定の配列の融点(T)より約5〜10℃低い温度とすることを選択する。Tは、標的に対して相補的なプローブの50%が平衡において標的配列とハイブリッド形成する温度(規定のイオン強度、pH及び核酸濃度下)である(標的配列が過剰に存在するとき、Tでは平衡においてプローブの50%が占有される)。緊縮条件は、ホルムアミドのような不安定化剤の添加によっても達成できる。選択的又は特異的なハイブリッド形成の場合、陽性シグナルはバックグラウンドの少なくとも2倍であり、好ましくはバックグラウンドハイブリッド形成の10倍である。具体例としての緊縮ハイブリッド形成条件は次の通りである。
50%ホルムアミド、5×SSC及び1%SDS中42℃でインキュベート、又は、5×SSC、1%SDS中65℃でインキュベート、0.2×SSC、0.1%SDSで65℃で洗浄。
【0062】
緊縮条件下で互いにハイブリッド形成しない核酸であっても、それらがコードするポリペプチドが実質的に同じである場合、依然として実質的に同じである。これは、たとえば、核酸のコピーが遺伝コードにより許容される最大コドン縮重を用いて造られるときに起こる。そのような場合、核酸は一般的に中程度に緊縮なハイブリッド形成条件下でハイブリッド形成する。具体例としての「中程度に緊縮なハイブリッド形成条件」としては、40%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDSの緩衝液中37℃でのハイブリッド形成及び1×SSCで45℃で洗浄などである。陽性ハイブリッド形成は、バックグラウンドの少なくとも2倍である。当業者なら、別のハイブリッド形成及び洗浄条件を用いて同様の緊縮性の条件を得ることができることを容易に理解するであろう。ハイブリッド形成パラメーターを決定する追加の指針は、多くの参考文献、たとえば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubel et al.編に記載されている。
【0063】
PCRについては、アニール温度はプライマーの長さによって約32℃〜48℃の範囲内で異なることがあるが、低い緊縮性の増幅には約36℃の温度が一般的である。高い緊縮性のPCR増幅のためには、高い緊縮性のアニール温度はプライマーの長さ及び特異性によって約50℃〜約65℃の範囲内で異なり得るが、約62℃の温度が一般的である。高及び低緊縮性増幅の一般的なサイクル条件は、90℃〜95℃で30秒間〜2分間の変性相、30秒間〜2分間のアニール相及び約72℃で1〜2分間の延長相などである。低及び高緊縮性増幅反応のプロトコル及びガイドラインは、Innis et al.(1990年)、PCR Protocols、A Guide to Methods and Applications(Academic Press,Inc.N.Y.)に記載されている。
【0064】
「抗体」は、免疫グロブリン遺伝子又はそのフラグメントから得られ、抗原に特異的に結合しそれを認識する、フレームワーク領域を含むポリペプチドを指す。認識される免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、ε及びμ定常部遺伝子並びにミリアド免疫グロブリン可変部遺伝子を含む。軽鎖は、κ又はλと分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ又はεと分類され、それらはさらにそれぞれ、免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEを定義する。一般的に、抗体の抗原結合領域が結合の特異性及び親和性に最も重要である。
【0065】
特に、そのような抗体は、本明細書に開示するヒトCNGチャンネルサブユニットポリペプチドに特異的に結合する抗体、又は、そのようなCNGチャンネルサブユニットポリペプチドに特異的に結合する抗体の混合物などを含む。
【0066】
タンパク質又はペプチドについて言及する場合、抗体に「特異的に(又は選択的に)結合する」、または「と特異的に(又は選択的に)免疫反応性な」という句は、しばしば、異種の群におけるタンパク質又は他の生物学的物質において、タンパク質の存在を決定する結合反応を指す。したがって、指定されたイムノアッセイ条件下では、指定の抗体は、特定のタンパク質にバックグラウンドの少なくとも2倍、また、より一般的にバックグラウンドの10〜100倍以上結合する。そのような条件下での抗体への特異的結合は、特定のタンパク質に対するその特異性について選択される抗体を必要とする。たとえば、CNGチャンネルサブユニットタンパク質、あるいはその多形性変異体、対立遺伝子、オーソログ及び保守的に修飾された変異体又はスプライス変異体又はその一部、に対して産生させたポリクローナル抗体は、CNGチャンネルサブユニットタンパク質、すなわち、配列番号1、2及び3に含まれるcDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するOCNC1、OCNC2及びβ1bと、特異的に免疫反応性であり、他のタンパク質とはそうでない、ポリクローナル抗体のみを得るために選択することができる。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を除外することにより達成することができる。さまざまなイムノアッセイ方式を用いて、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択することができる。たとえば、固相ELISAイムノアッセイを常法により用いてタンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選択する(特異的免疫反応性を検討するために用いることができるイムノアッセイの種類と条件の記述については、たとえば、Harlow & Lane、Antibodies、A Laboratory Manual(1988年)を参照のこと)。
【0067】
したがって、本発明は、配列番号1と少なくとも約95%の相同性を有し、ヒトOCNC1嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをコードする単離ヌクレオチド配列、配列番号2と少なくとも約95%の相同性を有し、ヒトOCNC2嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをコードする単離ヌクレオチド配列、及び配列番号3と少なくとも約95%の相同性を有し、ヒトβ1b嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをコードする単離ヌクレオチド配列を含む。
【0068】
より好ましくは、本発明は、高緊縮性条件下で配列番号1〜3とハイブリッド形成する単離ヌクレオチド配列を含む。「ヌクレオチド配列」という用語は、あらゆる本数の鎖、たとえば、1本鎖及び2本鎖を有するRNA及びDNAを含むことを意図するものである。DNA、RNA、ポリペプチド又はタンパク質の修飾句としての「単離された」又は「精製された」という用語の本明細書及び特許請求の範囲における使用は、そのように指定されたDNA、RNA、ポリペプチド又はタンパク質がそれらの天然細胞環境から単離され、人工的に、すなわち組換えにより随意にそのような形態で生成させることができることを意味する。高緊縮性条件は、6×SSC、5×デンハート溶液、0.5%SDS、2mM EDTA及び1mMピロリン酸ナトリウム中65℃でのハイブリッド形成の後に0.1×SSC及び0.1%SDSで65℃で洗浄する。
【0069】
(ポリペプチド)
本発明はまた、個別に、並びに相互及び他のタンパク質と組合せて、嗅覚器CNGチャンネルサブユニットポリペプチドを含む、本発明のヌクレチド配列によりコードされる単離されたポリペプチドを含む。3文字暗号スキームの縮重のため、同じポリペプチドが異なるヌクレオチド配列によりコードされる可能性があることは、当業者にとって明白である。したがって、本明細書に開示する同じタンパク質をコードする縮重核酸も本発明の範囲に含まれる。
【0070】
(ポリヌクレオチド及びタンパク質の変異体)
本発明はまた、本明細書に開示するヌクレオチド及びタンパク質サブユニット配列の変異体及び突然変異体、特に、そのようなサブユニットから形成されているCNGチャンネルの活性を変化させる突然変異体を含む配列を包含する。OCNC1の特に好ましい突然変異体は、突然変異体C458W及びE581Mを含むので配列番号1と異なる配列番号4により表される。
【0071】
(発現配列)
本発明はまた、本明細書に開示するヌクレオチド配列を含む単離された発現配列であって、CNGチャンネルサブユニットのコード配列が、転写及び翻訳調節配列に作動可能に連結された配列を含む。そのような発現配列は、天然プロモーター領域とともに天然コード配列を含むことができるであろう。あるいは、発現構成体は、たとえば、特定の宿主細胞中での発現のために、コード配列を、異種プロモーター領域に作動可能に連結するように構成することができるであろう。また、コード配列が選択可能又はスクリーニング可能なマーカーをコードするリポーター配列に部分的又は完全に融合した組換えリポーター構成体も想定される。「発現配列」又は構成体は、ベクターの非存在下で宿主細胞にトランスフェクトし、宿主細胞の染色体に組み込むことができるであろう。
【0072】
(発現ベクター)
本発明はまた、本明細書に開示する配列を含む発現ベクター及びそのようなベクターを含む宿主細胞を含む。「発現ベクター」は、ベクターが、それが含む遺伝子の配列を発現することを意味する。しかし、本明細書に開示するヌクレオチド配列であれば、必ずしも「発現」ベクターではなく、コード配列を含むものの、たとえば、ベクターを増殖させ、又は遺伝子の配列決定する手段として、ポリペプチドを発現しないような他のベクター(及び宿主細胞)も本発明に含まれる。
【0073】
(宿主細胞)
本発明はまた、他のCNGチャンネルサブユニットを発現する発現構成体又はベクターに加え、本発明の少なくとも1つの発現構成体又はベクターを含む宿主細胞であって、発現ポリペプチドが、当該細胞の表面にある機能的CNGチャンネルの一部もしくは全体を、会合させ、形成する宿主細胞も包含する。本発明に使用するのに適した宿主細胞としては、ヒト胚腎臓細胞(好ましくはHEK−293)、COS細胞、マウスL細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞、Ltk細胞及びBHK細胞などがある。個々の宿主細胞における発現のために必要な配列、すなわち、プロモーター、上流非翻訳領域、転写終結配列、ベクター増殖配列等は、用いる宿主細胞によって異なるが、当技術分野で既知の利用可能な分子ツールから容易に選択できることは、当業者に明らかである。
【0074】
(嗅覚器CNGチャンネルアッセイ)
本発明はまた、本明細書に開示する核酸、タンパク質、ベクター及び宿主細胞を用いるアッセイを包含する。そのようなアッセイは、CNGチャンネル活性、又はCNGチャンネル活性に関連するタンパク質若しくは2次メッセンジャーの活性の変化を測定するために、換言すれば、嗅覚シグナリングを阻害又は増強する際に用いられる、リガンドを特定し、又は小分子をスクリーニングする目的で設計されたアッセイを含む。たとえば、本発明は、(1)機能的CNGチャンネルを形成している、少なくとも1つのヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをコードし発現する1つ又は複数の核酸を宿主細胞に導入し、(2)種々の刺激物質の存在下及び非存在下で、前記CNGチャンネルの活性化の量の変化を、1つ又は複数の細胞内陽イオンの濃度の変化を介して測定することを含むCNGチャンネルの活性化の変化をモニターする、陽イオンに基づくアッセイを含む。本明細書に記載するように、機能的CNGチャンネルは、3種のサブユニットすべての発現により、又はONCN1及びONCN2の発現により、又はONCN1単独の発現により形成することができる。この意味において、「機能的」とは、細胞外陽イオンが通過することができ、CNG刺激又は阻害に起因する細胞内陽イオンの濃度の変化を測定し、定量できるチャンネルを形成することを意味する。
【0075】
そのようなアッセイにおいて、少なくとも1つの機能的ヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットは、高緊縮性条件下で配列番号1とハイブリッドを形成する配列からなる群から選択される配列によりコードされるものが好ましい。このサブユニットは、単独又は他の嗅覚器CNGチャンネルサブユニットと共に発現して、機能的CNGチャンネル、すなわち、環状ヌクレオチドにより制御される陽イオンチャンネルを形成することができる。たとえば、OCNC1サブユニットを、高緊縮性条件下で配列番号2及び3とそれぞれハイブリッド形成する本発明の核酸により特にコードされるOCNC2及び/又はβ1bサブユニットと共に発現させることができる。CNGチャンネルサブユニットのオーソログ、すなわち、他の動物種のOCNC2及び/又はβ1bサブユニットも本発明のアッセイにおいてヒトCNGチャンネルサブユニット、たとえば、ヒトOCNC1サブユニットと共に発現させることができ、そのようなサブユニットの同時発現により、機能的キメラCNGチャンネルが形成される。
【0076】
本発明のそのようなアッセイは、嗅覚を調節する嗅覚器CNGチャンネルの調節物質を特定するのに用いることができる。そのようなアッセイにおいては、まず、宿主細胞を、フォルスコリン(又はアデニル酸シクラーゼの他の活性化物質)、IBMX(又はcAMPホスホジエステラーゼの他の阻害物質)、cAMP又はcGMPの膜透過性類似体のような基礎レベルのCNG活性化を誘導する物質で刺激する。S−ニトロシル化によりチャンネルを活性化する酸化窒素を発生する化合物のような、嗅覚器CNGチャンネルを直接活性化する試薬(Broillet、2000年)も用いることができる。次いで、fura−2のような蛍光カルシウムキレート化剤(Abe et al.、1992年)、ナトリウムグリーンテトラ酢酸のような蛍光ナトリウムキレート化剤(Molecular Probes)及びNa感受性色素キット(Molecular Devices)あるいは膜電位色素キット(Molecular Devices)やオキサノール−クマリンキット(Aurora Biosciences)のような膜電位色素を用いて処理細胞へのイオンの流入をモニターすることにより、嗅覚器CNGチャンネル活性化を定量する。嗅覚増強性嗅覚器CNGチャンネル活性化物質は、cAMPの増加に対する蛍光応答を増強するそれらの能力により同定することができ、嗅覚阻害性のチャンネルアンタゴニストは、蛍光応答を減弱させるそれらの能力により同定することができる。嗅覚器CNGチャンネルは、他のCNGチャンネルの調節物質の特定のための代用としても用いることができると思われる。
【0077】
(GPCR及びcAMP濃度を制御する他のタンパク質のアッセイ)
本発明はまた、環状ヌクレオチド濃度を制御するタンパク質のアッセイを包含する。そのようなアッセイとしては、環状ヌクレオチド濃度の変化で生じるCNGチャンネル活性の変化を測定するように設計されたアッセイが挙げられる。好ましくは、OCNC1[C458W/E581M](配列番号4)のようなサブユニット変異体を利用する増感嗅覚器CNGチャンネルを用いて、これらのアッセイの感度を増加させることができる。このようなアッセイを用いて、アデニル酸シクラーゼ又はホスホジエステラーゼを制御するGタンパク質に結合するGPCRの活性を定量し、高処理能力スクリーニングによりGPCR調節物質を特定することができる。
【0078】
たとえば、Gタンパク質結合受容体をコードする核酸も、必要に応じ、1つ又は複数のCNGチャンネルサブユニットをコードする核酸及びGタンパク質をコードする核酸に加え、本発明のアッセイに用いる宿主細胞に導入することができる。適切なGタンパク質結合受容体としては、少し例を挙げると、臭気受容体、味覚受容体、鋤鼻器(VNO)受容体、ミューオピエート受容体、ムスカリン様アセチルコリン受容体、アドレナリン受容体、セロトニン受容体、ドーパミン受容体、アンギオテンシン受容体、アデノシン受容体、ブラジキニン受容体、メタボトロピック興奮性アミノ酸受容体等がある。このようなアッセイにおいて、刺激物質を、CNGチャンネル活性に対する2次的な環状ヌクレオチド濃度の影響によって、Gタンパク質結合受容体活性の調節物質かどうかについてスクリーニングできる。
【0079】
本発明のアッセイの細胞においてGタンパク質結合受容体も発現させる場合、Gタンパク質結合受容体が嗅覚受容体であることが好ましい。そのような細胞は、Gタンパク質受容体の活性化をもたらす刺激物質、すなわち、臭気物質受容体と相互作用し、それによりCNGの活性化を引き起こす臭気リガンドについて、スクリーニングすることができる。また、最初にGタンパク質結合受容体をリガンドに曝露させて活性化して、当該受容体の活性化を増大することにより、CNGの活性化の増大をもたらす刺激物質(すなわち臭気増強物質)について前記細胞をスクリーニングするアッセイを企図する。そのような増強物質は、受容体又はCNGチャンネルのレベルで作用して、CNGチャンネルの活性化を増大させることができる。そのような増強物質はまた、アデニル酸あるいはグアニル酸シクラーゼ、ホスホジエステラーゼ又は環状ヌクレオチド濃度を制御する他のタンパク質に対して作用することができると思われる。
また、そのような細胞は、受容体の活性化、又は受容体を介するCNGチャンネル活性の活性化を減少させることにより、CNGの活性化の減少をもたらす刺激物質(すなわち、臭気阻害物質)についてスクリーニングすることができる。
【0080】
本発明はまた、対照細胞の使用をさらに含む本明細書に記載するアッセイの変形形態を含む。たとえば、所望のGタンパク質結合受容体の発現を含むアッセイは、さらに(a)機能的CNGチャンネルを形成するが、前記Gタンパク質結合受容体を発現しないように前記の少なくとも1つのCNGチャンネルサブユニットを発現する第2の宿主細胞を供給する段階と、(b)異なる刺激物質の存在下及び非存在下で前記第2宿主細胞におけるCNGチャンネルの活性化の量の変化を測定する段階と、(c)前記第2宿主における前記CNGチャンネルの活性化の量の前記変化を、前記Gタンパク質結合受容体を発現する前記細胞における前記CNGチャンネルの活性化の量と比較する段階とを含むことができる。
【0081】
(感覚シグナリングに関与するタンパク質をコードする核酸を特定するためのアッセイ)
以下により詳細に述べるように、本発明は、感覚応答に関与するタンパク質、特に、CNGチャンネルと共に作用するタンパク質を特定する方法も含む。たとえば、(1)少なくとも1つのヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをコードし発現する1つ又は複数の核酸を宿主細胞に導入して、当該少なくとも1つのヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットに機能的CNGチャンネルを形成させ、(2)対象の感覚細胞から単離したcDNAs又はRNAsのライブラリーを前記哺乳類又はアフリカツメガエル宿主細胞に導入し、(3)トランスフェクトされた宿主細胞を既知感覚リガンドに曝露させて、リガンドに結合するGタンパク質結合受容体を発現するトランスフェクトされた宿主細胞を特定することにより、特定の感覚シグナルに応答する細胞のGタンパク質結合受容体をコードする核酸を同定することができる。
【0082】
(ハイスループットアッセイ)
本発明のアッセイは、特にハイスループットスクリーニングアッセイを含む。多数のサンプルの測定を同時に行う装置は、当技術分野で知られている。たとえば、蛍光画像化プレートリーダー(Fluorometric Imaging Plate Reader)(FLIPR)は、Molecular Devicesから入手可能であり、細胞内カルシウム若しくはナトリウム、膜電位及びpHの変化の単一波長検出に用いることができる。装置及びリーダーは、マイクロプレートの96ウェルに化合物を同時に噴出して、1秒以内にすべてのウェルについて画像化することができるため、高処理方式に対応することができる。アルゴンレーザーは、特異的変化を測定するのに適する蛍光指示色素を励起し、放射された光を、関連光学系を用いて検出する。カメラシステムがプレート全体の画像を造り、ユーザにより指定された時間間隔でデータを取り込む。
【0083】
また、Aurora Biosciencesの電圧イオンプローブリーダー(VIPR)のような装置を、2蛍光分子間の蛍光共鳴エネルギー伝達(fluorescence resonance energy transfer)(FRET)の2波長検出に用いることができる。FRETは、2つの色素分子の電子の励起状態の間の距離依存性相互作用であり、Na、K、Cl、Ca2+及びリガンドゲートイオンチャンネルの活性を含む、分子の近接の変化をもたらすさまざまな生物学的活性を調べるのに用いることができる。Aurora Biosciences社の電圧センサープローブ技術は、膜結合ドナー分子と可動の電圧感受性アクセプター分子との間のFRETを用いて、膜電位を検出する。VIPRリーダーは、96及び384ウェル方式に適用できる。
【0084】
本発明のハイスループットアッセイには、さまざまな方式がある。たとえば、少なくとも2つ以上の個々の区画中にある少なくとも2つ以上の試験化合物に応答するCNGチャンネルの活性を同時に検出又は測定するためのハイスループットアッセイの一の態様は、(1)少なくとも1つの嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをコードし発現する1つ又は複数の核酸を適切な宿主細胞に導入して、当該少なくとも1つのCNGチャンネルサブユニットに、直接又は間接的に活性化されたときに、予め測定された細胞内イオン濃度に変化をもたらすように、機能的CNGチャンネルを形成させ、(2)前記宿主細胞を整列された個々の区画を有する分割培養容器に移し(トランスフェクションの前又は後に)、(3)前記宿主細胞に予め測定したイオンの濃度の変化を検出するのに十分なイオン感受性蛍光指示薬を負荷し、(4)前記の少なくとも2つ以上の個々の区画に、前記CNGチャンネルを直接又は間接的に活性化する能力を有する1つ又は複数の種類の試験化合物を加え、(5)少なくとも2つの前記区画におけるイオン感受性指示薬により放射される蛍光を検出又は測定して、前記CNGチャンネルの活性化に応答する予め測定したイオンの濃度の変化を検出することを含む。上記のように、アッセイは、少なくとも2つのサンプルを同時に測定するために用いることができるが、好ましい高処理能力方式は、少なくとも5、より好ましくは10、より好ましくは50、より好ましくは100、できれば数百又は数千のサンプルを同時にスクリーニングすることが可能であることが好ましい。1回の処理でスクリーニングされるサンプルの数は、用いる個々のプレートにおける個々の区画の数、すなわち、24、96、384等に依存する。
【0085】
本発明のハイスループットアッセイの変形形態において、前記の少なくとも2つの区画を前記試験化合物に曝露させるのと同時に、アレイにおける少なくとも1つの個々の区画を、CNGチャンネルの既知の活性化物質に曝露させることができる。そのような付加的な区画は、CNGチャンネル活性の検出のための陽性対照とすることができよう。適切な陰性対照を含む区画も含めることができよう。陽性対照に用いることができるCNGチャンネルの既知の活性化物質としては、フォルスコリン、IBMX、cAMP及びcGMPの透過性類似体並びに酸化窒素(NO)発生化合物(S−ニトロソシステイン−SNCなど)がある。
【0086】
高処理能力方式に適用できる細胞は、本発明のアッセイで用いることができる。単層で成長する細胞は、蛍光プレートリーダーにおいて用いるときに、より一貫した結果が得られるので、特に好ましい。好適な細胞としては、ヒト胚腎臓細胞(HEK293細胞)、COS細胞、マウスL細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞、Ltk細胞及びBHK細胞などがある。
【0087】
(CNGチャンネルサブユニットの単離及び発現)
本発明の嗅覚器CNGチャンネルサブユニットまたはそのフラグメント若しくは変異体の単離及び発現は、下記のように実施することができる。
PCRプライマーを、図1に含まれる配列に基づいて嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをコードする核酸を増幅するために用いることができ、これにより、これらの核酸のライブラリーを、作製することができ。次いで、発現ベクターのライブラリーを用いて、これらライブラリーの機能的発現のための宿主細胞に感染又は移入させることができる。これらの遺伝子及びベクターは、in vitro又はin vivoで調製し、発現させることができる。当業者は、核酸の発現を変化させ、制御するための所望の表現型が、本発明のベクター内の遺伝子及び核酸(たとえば、プロモーター、エンハンサー等)の発現又は活性を調節することにより得られることを理解するであろう。発現又は活性を増加又は減少させることを記載する、既知の方法を用いることができる。本発明は、科学及び特許文献に十分に記載されている、当技術分野で知られている方法又はプロトコルを考慮して実施することができる。
【0088】
本発明の核酸配列及び本発明を実施するために用いる他の核酸は、RNA、cDNA、ゲノムDNA、ベクター、ウイルス又はその雑種であるかを問わず、遺伝子工学的に処理し、増幅し、かつ/又は組換えにより発現させたさまざまな起源から単離することができる。哺乳類細胞に加えて、たとえば、細菌、酵母、昆虫又は植物系などの組換え発現系を用いることができる。
【0089】
また、これらの核酸は、たとえば以下に記載されているように、よく知られている化学合成法によりin vitroで合成することができる。Carruthers、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.第47巻、411〜418頁(1982年)、Adams、Am.Chem.Soc.第105巻、661頁(1983年)、 Belousov、Nucleic Acids Res.第25巻、3440〜3444頁(1997年)、Frenkel、Free Radic.Biol.Med.第19巻、373〜380頁(1995年)、Blommers、Biochemistry、第33巻、7886〜7896頁(1994年)、Narang、Meth.Enzymol.第68巻、90頁(1979年)、Brown、Meth.Enzymol.第68巻、109頁(1979年)、Beaucage、Tetra.Lett.第22巻、1859頁(1981年)、米国特許第4,458,066号。2本鎖DNAフラグメントは、相補鎖を合成し、適切な条件下で鎖を一緒にアニーリングして、あるいは、適切なプライマー配列を有するDNAポリメラーゼを用いて相補鎖を付加することにより得ることができる。
【0090】
たとえば、配列中の突然変異体を得るためのサブクローニング、標識プローブ、配列決定、ハイブリッド形成等の核酸の操作のための技術は、科学及び特許文献に十分に記載されている。たとえば、Sambrook、編、 Molecular Cloning:a Laboratory manual(第2版)、第1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory(1989年)、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubel、編、John Wiley & Sons,Inc.、New York(1997年)、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology:Hybridization With Nucleic Acid Probes、Part I、Theory and Nucleic Acid Preparation、Tijssen、編、Elsevier、N.Y.(1993年)を参照のこと。
【0091】
核酸、ベクター、キャプシド、ポリペプチド等は、当業者によく知られているいくつかの一般的手段のいずれかにより分析し、定量することができる。これらは、たとえば、NMR、分光光度法、ラジオグラフィ、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、超拡散クロマトグラフィなどの分析生化学的方法、さまざまな免疫学的方法、たとえば、液体若しくはゲル沈降素反応、免疫拡散、免疫電気泳動、ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相酵素免疫アッセイ(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、サザン分析、ノーザン分析、ドットブロット分析、ゲル電気泳動(たとえば、SDS−PAGE)、RT−PCR、定量的PCR、他の核酸若しくは標的若しくはシグナル増幅法、放射性標識法、シンチレーション計数法及びアフィニティクロマトグラフィなどである。
【0092】
オリゴヌクレオチドプライマーは、嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをコードする核酸を増幅するために用いられる。本明細書に記載する核酸はまた、増幅技術を用いてクローン化又は定量的に測定することができる。また、典型的な縮重プライマー対配列を用いることにより、当業者は適切なオリゴヌクレオチド増幅プライマーを選択し、設計することができる。増幅法も当技術分野でよく知られており、たとえば、ポリメラーゼ連鎖反応、PCR(PCR Protocols、a Guide to Methods and Applications、Innis編、Academic Press、N.Y.(1990年)、PCR Strategies、Innis編、Academic Press、N.Y.(1995年))、リガーゼ連鎖反応(LCR)(たとえば、Wu、Genomics、第4巻、560頁(1989年)、Landegren、Science、第241巻、1077頁、(1988年)、Barringer、Gene、第89巻、117頁(1990年)を参照)、転写増幅(たとえば、Kwoh、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第86巻、1173頁(1989年)を参照)、自己持続配列複製(たとえば、Guatelli、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第87巻、1874頁(1990年)を参照)、Qベータレプリカーゼ増幅(たとえば、Smith、J.Clin.Microbiol.第35巻、1477頁(1997年)を参照)、自動Q−ベータレプリカーゼ増幅アッセイ(たとえば、Burg、Mol.Cell.Probes、第10巻、257頁(1996年)を参照)及び他のRNAポリメラーゼを用いる手法(たとえば、NASBA、Cangene、Mississauga、Ontario)などがある。また、Berger、Methods Enzymol.第152巻、307頁(1987年)、Sambrook、Ausubel、米国特許第4,683,195号及び第4,683,202号、Sooknanan、Biotechnology、第13巻、563頁(1995年)も参照。
【0093】
一旦増幅されたならば、核酸は、個別に、又はライブラリーとして、当技術分野で知られている方法に従って、所望ならば、通常の分子生物学的方法を用いてさまざまなベクターにクローン化することができる。増幅核酸をin vitroでクローンする方法は、たとえば、米国特許第5,426,039号に記載されている。増幅配列のクローニングを促進するために、制限酵素部位をPCRプライマー対に「組み込む」ことができる。
【0094】
縮重プライマー対の設計のパラダイムは、当技術分野においてよく知られている。たとえば、共通縮重ハイブリッドオリゴヌクレオチドプライマー(COnsensus−DEgenerate Hybrid Oligonucleotide Primer)(CODEHOP)戦略コンピュータプログラムは、http://blocks.fhcrc.org/codehop.htmlでアクセスでき、一連の関連タンパク質配列から始まるハイブリッドプライマー予測のために、BlockMaker多重配列アライメントサイトから直接連結されている(たとえば、Rose、Nucl.Acids Res.第26巻、1628頁(1998年)、Singh、Biotechniques、第24巻、318頁(1998年)を参照)。
【0095】
オリゴヌクレオチドプライマー対を合成する手段は、当技術分野でよく知られている。「天然」塩基対又は合成塩基対を用いることができる。たとえば、人工核酸塩基の使用は、プライマー配列を操作する汎用性のあるアプローチを提供し、増幅産物のより複雑な混合物を産生する。人工核酸塩基の種々のファミリーは、内部結合回転による多重水素結合配向を推定して、縮重分子を認識する手段を提供することができる。これら類似体のPCRプライマーの単一位置への組込みにより、増幅産物の複雑なライブラリーを得ることができる。たとえば、Hoops、Nucleic Acids Res.第25巻、4866頁(1997年)を参照のこと。非極性分子も天然DNA塩基の形状を模擬するために用いることができる。アデニンの非水素結合形状模擬は、チミンの非極性形状模擬に反して効率的かつ選択的に再現することができる(たとえば、Morales、Nat.Struct.Biol.第5巻、950頁(1998年)を参照)。たとえば、2つの縮重塩基は、ピリミジン塩基6H、8H−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−c][1,2]オキサジン−7−オン又はプリン塩基N6−メトキシ−2,6−ジアミノプリンとすることができる(たとえば、Hill、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第95巻、4258頁(1998年)を参照)。本発明の典型的縮重プライマーは、ヌクレオチド類似体5’−ジメトキシトリチル−N−ベンゾイル−2’−デオキシ−シチジン,3’−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホルアミダイトを組み込んでいる(配列中の「P」については、上記を参照)。このピリミジン類似体水素は、A及びG残基を含むプリンと結合する。
【0096】
嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをコードする核酸は、縮重プライマー対を用いる適切な核酸配列の増幅(たとえば、PCR)により得られる。増幅核酸は、細胞又は組織からのゲノムDNA、あるいは嗅覚受容体発現細胞、たとえば、嗅覚ニューロン又は嗅上皮由来のmRNA又はcDNAとすることができる。
【0097】
嗅覚細胞からのDNAの単離は、上記のように当技術分野でよく知られている。(対象ヒト嗅覚器CNGチャンネルを構成的又は誘導的に発現する細胞を用いて嗅覚受容体を阻害又は調節する化合物をスクリーニングすることができる。)たとえば、細胞を、成熟嗅覚ニューロンにおいてほぼ専ら発現する豊富な細胞質タンパク質である嗅覚マーカータンパク質(OMP)により同定することができる(たとえば、Buiakova、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第93巻、9858頁(1996年)を参照)。Shirley、Eur.J.Biochem.第32巻、485頁(1983年)は、嗅覚メカニズムに関するin vitro生化学的試験に適したラット嗅覚製剤を記載している。成体ラット嗅覚受容体ニューロンの培養がVargas、Chem.Senses、第24巻、211頁(1999年)に記載されている。また、米国特許第5,869,266号は、神経毒性試験及びスクリーニング用のヒト嗅覚ニューロンの培養を記載している。Murrell、J.Neurosci.第19巻、8260頁(1999年)は、カルシウムの流入により測定される臭気物質に応答する培養中分化嗅覚受容体発現細胞を記載している。
【0098】
対象ヒトCNGチャンネルサブユニットを含むハイブリッドタンパク質コード配列も転移配列に融合させることができる。また、これらの核酸配列は、転写又は翻訳制御要素、たとえば、転写又は翻訳開始配列、プロモーター及びエンハンサー、転写又は翻訳終止配列、ポリアデニル化配列並びにDNAのRNAへの転写に有用な他の配列に、作動可能に連結させることができる。組換え発現カセットの構成体において、ベクター、形質転換体及びプロモーターフラグメントを用いて、すべての組織における所望の核酸の発現を誘導することができる。嗅覚細胞特異的転写要素も、たとえば、M4嗅覚受容体コード領域の上流6.7kb領域を含む融合ポリペプチド受容体を発現させるために用いることができる。この領域は、野生型ゾーン制限及び内因性嗅覚受容体の分散ニューロン発現を伴う嗅上皮における発現を行わせるために十分なものである(Qasba、J.Neurosci.第18巻、227頁、1998年)。受容体遺伝子は、通常、感覚上皮のゾーン制限領域の至る所にあるニューロンの小サブセットにおいて発現する。転写又は翻訳制御要素は、ATCC又はGenBankライブラリーのような起源から得られる天然起源から単離することができ、あるいは、合成又は組換え法により調製することができる。
【0099】
C末端、又はより好ましくは、N末端移動(translocation)配列を有する融合タンパク質は、本明細書に記載する移動モチーフを含むこともできる。但し、これらの融合タンパク質は、たとえば、タンパク質の検出、精製又は他の適用例のための追加の要素を含むことができる。検出及び精製促進ドメインは、たとえば、固定化金属の精製を可能にするポリヒスチジン系又はヒスチジン−トリプトファンモジュール又は他のドメインのような金属キレート化ペプチド;マルトース結合タンパク質;固定化免疫グロブリンの精製を可能にするタンパク質Aドメイン;またはFLAGS延長/アフィニティ精製システム(Immunex Corp.、ワシントン州シアトル)に用いられるドメインなどである。
【0100】
ファクターXa(たとえば、Ottavi、Biochimie、第80巻、289頁(1998年)を参照)、ズブチリシンプロテアーゼ認識モチーフ(たとえば、Polyak、Protein Eng.第10巻、615頁(1997年)を参照)等の切断可能なリンカー配列;及びエンテロキナーゼ(Invitrogen、カリフォルニア州サンディエゴ)等を、転移ドメイン(効率のよい形質膜発現のため)と残りの新たに翻訳されたポリペプチドとの間に含めることは、精製の促進に有用である。たとえば、一の構築体において、チオレドキシンの前の6ヒスチジン残基に結合するポリペプチドをコードする核酸配列と、エンテロキナーゼ切断部位(たとえば、Williams、Biochemitry第34巻、1787頁(1995年)を参照)と、アミノ末端移動ドメインとを含むことができる。ヒスチジン残基は、検出と精製を促進し、一方、エンテロキナーゼ切断部位は融合タンパク質の残りの部分の所望のタンパク質の精製の手段を提供する。融合タンパク質をコードするベクターに関する技術及び融合タンパク質の適用例は、科学及び特許文献に十分に記載されている。たとえば、Kroll、DNA Cell Biol.第12巻、441頁(1993年)を参照のこと。
【0101】
個々の発現ベクター又は発現ベクターのライブラリーとしての発現ベクターは、嗅覚結合ドメインをコードする配列を含むが、当該発現ベクターは、科学及び特許文献に十分に記載されているさまざまな従来の技術により、ゲノムまたは細胞質若しくは細胞核に導入し、発現させることができる。たとえば、Roberts、Nature、第328巻、731頁(1987年)、Berger、前出、Schneider、Protein Expr.Purif.第6435巻、10頁(1995年)、Sambrook、Tijssen、Ausubelを参照のこと。生物学的試薬及び実験装置の製造業者からの製品情報も既知の生物学的方法に関する情報を提供する。ベクターは、天然源から単離することができ、ATCC又はGenBankライブラリーといった起源から得られ、合成又は組換え法により調製することができる。
【0102】
核酸は、細胞中で安定に又は一時的に発現させた発現カセット、ベクター又はウイルスを用いて発現させることができる(たとえば、エピソーム発現システム)。形質転換細胞及び配列に選択可能な表現型を付与するために、選択マーカーを発現カセット及びベクターに組み込むことができる。たとえば、選択マーカーは、宿主ゲノムへの組み込みが必要ないように、エピソームの維持及び複製のためにコードすることができる。たとえば、所望のDNA配列で形質転換した細胞の選択を可能にするために、マーカーは抗生物質耐性(たとえば、クロラムフェニコール、カナマイシン、G418、ブレオマイシン、ハイグロマイシン)又は除草剤耐性(たとえば、クロロスルフロン又はBasta)をコードすることができる(たとえば、Blondelet−Rouault、Gene、第190巻、315頁(1997年)、Aubrecht、J.Pharmacol.Exp.Ther.第281巻、992頁(1997年)を参照)。ネオマイシン又はハイグロマシシン様基質に耐性を付与する選択マーカー遺伝子は、組織培養中でのみ使用することができるので、化学耐性遺伝子もまた、in vitro及びin vivoで選択マーカーとして用いられる。
【0103】
本発明はまた、特定の核酸及びアミノ酸配列を有するDNA及びタンパク質だけでなく、DNAフラグメント、特に、たとえば、40、60、80、100、150、200又は250ヌクレオチドもしくはそれ以上のフラグメント並びにたとえば、10、20、30、50、70、100又は150アミノ酸もしくはそれ以上のタンパク質フラグメントも含む。
【0104】
少なくとも10、20、30、50、70、100又は150以上のアミノ酸からなる、少なくとも1つの本明細書に記載する感覚受容体ヒトCNGチャンネルサブユニットと、任意に他のペプチド、たとえば、他の受容体サブユニット又は受容体ポリペプチドとを含む、キメラタンパク質も企図する。キメラ受容体は当技術分野でよく知られており、それらを造る技術並びに異なる受容体のドメイン又はフラグメントの選択及び境界もよく知られている。したがって、当業者のこの知識を用いてそのようなキメラ受容体を容易に造ることができる。そのようなキメラ受容体を用いることにより、たとえば、本明細書に具体的に開示する受容体の1つの嗅覚選択特性と、従来技術のアッセイ系で用いられるよく知られている受容体のような他の受容体のシグナル変換特性とを結合させることができる。
【0105】
本明細書に開示するヒト嗅覚CNGサブユニットと実質的に同じである多形性変異体、対立遺伝子、種間同族体は、図1に含まれる配列に基づいて構成された核酸プローブを用いて単離することができる。または、感覚受容体同族体も認識し選択的に結合する感覚受容体由来のポリペプチドに対して産生させた抗血清又は精製抗体を用いて、発現同族体を免疫学的に検出することにより、発現ライブラリーを用いて、感覚受容体並びにその多形性変異体、対立遺伝子及びその種間同族体を単離することができる。
【0106】
本発明のヒトCNGチャンネルサブユニットフラグメント又は変異体を発現させるための宿主細胞も本発明の範囲内である。CNGサブユニットフラグメント又はその変異体をコードするcDNAのようなクローン遺伝子又は核酸の高レベルの発現を得るためには、目的の核酸配列を、転写を誘導するための強いプロモーター、転写/翻訳終結区、及び(核酸がタンパク質をコードする場合には、)翻訳開始のためのリボソーム結合部位、を含む発現ベクターにサブクローンする。適切な原核及び真核発現システムは、当技術分野でよく知られており、たとえば、Sambrook et al.に記載されている。
【0107】
異種ヌクレオド配列を、宿主細胞に導入するためのよく知られている方法を用いることができる。これらは、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム、マイクロインジェクション、プラスミドベクター、ウイルスベクター、並びに宿主細胞にクローンゲノムDNA、cDNA、合成DNA又は他の異種遺伝物質を導入するための他のよく知られている方法(たとえば、Sambrook et al.を参照)などである。用いる特定の遺伝子工学的方法は、目的の嗅覚受容体、フラグメント又は変異体を発現させることができる宿主細胞へ、少なくとも1つの遺伝子を有効に導入することができることのみが必要とされる。
【0108】
発現ベクターを細胞に導入した後、トランスフェクトされた細胞を目的の受容体、フラグンメント又は変異体の発現に有利な条件下で培養し、次いで、標準的技法を用いて培養から回収する。そのような技法の例は当技術分野でよく知られている。この開示と一致した方法で参照により本明細書に組み込まれる、たとえば、国際公開第00/06593号を参照のこと。
【0109】
(感覚受容体ポリペプチドの免疫学的検出)
核酸ハイブリッド形成法を用いるヒト嗅覚CNGサブユニット遺伝子及び遺伝子発現の検出に加えて、感覚受容体を検出するために、たとえば、嗅覚受容体細胞並びに感覚受容体ファミリーメンバーの変異体を同定するためにイムノアッセイも用いることができる。イムノアッセイを用いて、感覚受容体を定性的又は定量的に分析することができる。適用可能な技術の一般的な概要は、Harlow & Lane、Antibodies:A Laboratory Manual(1988年)に見いだすことができる。
【0110】
(ヒト嗅覚CNGサブユニットに対する抗体)
ヒト嗅覚CNGサブユニットファミリーメンバーと特異的に反応するポリクローナル及びモノクローナル抗体を生産する方法は、当業者に知られている(たとえば、Coligan、Current Protocols in Immunology(1991年)、Harlow & Lane、前出、Goding、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(第2版、1986年)及びKohler & Milstein、Nature、第256巻、495頁(1975年)を参照)。そのような技術は、ファージ又は類似のベクターにおいて組換え抗体のライブラリーから抗体を選択することによる抗体の調製、並びにウサギ又はマウスを免疫することによるポリクローナル及びモノクローナル抗体の調製などがある(たとえば、Huse et al.、Science、第246巻、1275頁(1989年)、Ward et al.、Nature、第341巻、544頁(1989年)を参照)。
【0111】
特定の嗅覚CNGサブユニットファミリーメンバーと特異的に反応する抗体を生産するために、多くの免疫原を用いることができる。たとえば、組換えCNGチャンネルサブユニットタンパク質又はその抗原性フラグメントを本明細書に記載のように単離することができる。組換えタンパク質は、上記のように真核又は原核細胞中で発現させることができ、一般的に上記のように精製することができる。組換えタンパク質は、モノクローナル又はポリクローナル抗体の生産のための好ましい免疫原である。または、本明細書に開示した配列から得られ、担体タンパク質に結合させた合成ペプチドを免疫原として用いることができる。天然に存在するタンパク質も純粋又は不純な形態で使用することができる。次に、生産物を、抗体を産生することができる動物に注射する。産生したモノクローナル又はポリクローナル抗体は、後でタンパク質を測定するためのイムノアッセイにおいて使用することができる。
【0112】
ポリクローナル抗体を生産する方法は、当業者に知られている。マウス、ハムスター、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ又はニワトリをアジュバント(たとえば、フロイントのアジュバント)及び定期的ブーストを伴う標準免疫化プロトコルを用いてタンパク質で免疫化することができる。免疫原調製物に対する動物の免疫応答を、検査用採血を行って、感覚受容体に対する反応性の力価を測定することによりモニターする。免疫原に対して適切に高い力価の抗体が得られた時に、動物から血液を採集して抗血清を調製する。必要に応じて、タンパク質に対して反応性の抗体が豊富な抗血清の分画を更に行うことができる(Harlow & Lane、前出を参照)。
【0113】
モノクローナル抗体は、当業者に知られているさまざまな手法により得ることができる。簡単に述べると、所望の抗原で免疫化した動物の脾臓細胞を一般的に骨髄腫細胞との融合により固定化することができる(Kohler & Milstein、Eur.J.Immunol.第6巻、511頁(1976年)を参照)。固定化の別の方法は、エプスタインバールウイルス、腫瘍遺伝子又はレトロウイルスによる形質転換もしくは当技術分野でよく知られている他の方法である。固定化細胞の単一クローンから生じたコロニーを、抗原に対する所望の特異性及び親和性の抗体の生産についてスクリーニングし、そのような細胞により産生されるモノクローナル抗体の収量を、脊椎動物宿主の腹腔への注射を含むさまざまな手法により増加させることができる。または、Huse et al.、Science、第246巻、1275頁(1989年)により略述された一般的プロトコルに従って、ヒトB細胞のDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、モノクローナル抗体又はその結合フラグメントをコードするDNA配列を単離することができる。
【0114】
モノクローナル抗体及びポリクローナル血清を収集し、イムノアッセイ、たとえば、固形担体に固定化した免疫原を用いる固相イムノアッセイにおいて抗原に対して力価測定する。一般的に、10以上の力価を有するポリクローナル抗血清を選択し、非感覚受容体タンパク質、又は他の感覚受容体ファミリーメンバー若しくは他の生物の他の関連タンパク質に対するそれらの交差反応性について、競合的結合イムノアッセイを用いて試験する。特異的ポリクローナル抗血清及びモノクローナル抗体は、通常、少なくとも約0.1mM、より通常には少なくとも約1pM、任意に少なくとも約0.1pM又はより良好な値、また任意に0.01pM又はより良好な値のKdで結合する。一旦ヒトCNGサブユニット特異抗体が得られれば、個々の嗅覚器CNGチャンネルサブユニットタンパク質をさまざまなイムノアッセイ方法により検出することができる。免疫学的及びイムノアッセイ方法のレビューについては、Basic and Clinical Immunology(Stites & Terr編、第7版、1991年)を参照のこと。さらに、本発明のイムノアッセイは、Enzyme Immunoassay(Maggio編、1980年)及びHarlow & Lane、前出、において広範にレビューされている、いくつかの構成で実施することができる。
【0115】
(免疫学的結合アッセイ)
CNGサブユニットタンパク質は、多くのよく認識されている免疫学的結合アッセイのいずれかを用いて検出し、かつ/又は定量することができる(たとえば、米国特許第4,366,241号、第4,376,110号、第4,517,288号及び第4,837,168号を参照)。一般的イムノアッセイのレビューについては、Methods in Cell Biology:Antibodies in Cell Biology、第37巻(Asai編、1993年)、Basic and Clinical Immunology(Stites & Terr編、第7版、1991年)も参照のこと。免疫学的結合アッセイ(又はイムノアッセイ)では、一般的に最適のタンパク質又は抗原(この場合、感覚受容体ファミリーメンバー又はその抗原性サブ配列)に対して特異的に結合する抗体を用いる。抗体(たとえば、抗感覚受容体)は、当業者によく知られている多くの手段のいずれかにより、及び上記のようにして生産することができる。
【0116】
イムノアッセイはまた、抗体と抗原により形成される複合体に特異的に結合し、標識するための標識物質をしばしば用いる。標識物質は、それ自体を、抗体/抗原複合体の一部としてもよい。したがって、標識物質は、標識感覚受容体ポリペプチド又は標識抗感覚受容体抗体とすることができる。または、標識物質は、抗体/感覚受容体複合体に特異的に結合する第2抗体のような第3の部分とすることができる(第2抗体は、第1抗体が得られる動物種の抗体に対して一般的に特異的である)。プロテインA又はプロテインGのような免疫グロブリン定常部に特異的に結合することができる他のタンパク質も標識物質として用いることができる。これらのタンパク質は、さまざまな動物種の免疫グロブリン定常部と強い非免疫原性反応を示す(たとえば、Kronal et al.、J.Immunol.第111巻、1401頁(1973年)、Akerstrom et al.、J.Immunol.第135巻、2589頁(1985年)を参照)。標識物質は、ストレプトアビジンのような他の分子が特異的に結合することができるビオチンのような検出可能な部分で修飾することができる。さまざまな検出可能な部分は、当業者によく知られている。
【0117】
アッセイを通じて、インキュベーション及び/又は洗浄段階が、それぞれの試薬混合後に必要である。インキュベーション段階は、約5秒から数時間まで、任意に約5分から約24時間まで変えることができる。もっとも、インキュベーション時間は、アッセイ方式、抗原、溶液の量、濃度等に依存する。アッセイは、10℃〜40℃のような温度範囲で行うことができるが、通常、周囲温度で実施される。
【0118】
(非競合的アッセイ方式)
サンプル中のタンパク質を検出するためのイムノアッセイは、競合的なものでも非競合的なものでもよい。非競合的イムノアッセイは、抗原の量を直接測定するアッセイである。一の好ましい「サンドイッチ」アッセイにおいて、たとえば、抗感覚受容体抗体を、それらが固定化される固形基体に直接結合させる。次いでこれらの固定化抗体が試験サンプル中に存在するCNGチャンネルサブユニットタンパク質を捕捉する。次いで、そのようにして固定化された嗅覚チャンネルサブユニットタンパク質は、標識を有する第2抗嗅覚チャンネルサブユニット抗体のような標識物質により結合される。または、第2抗体は、標識を欠いてもよいが、次に、第2抗体が得られる動物種の抗体に対して特異的な標識第3抗体により結合される。第2又は第3抗体は一般的に、検出可能な部分を得るために、たとえば、ストレプトアビジンのような他の分子が特異的に結合することができるビオチンのような検出可能な部分で修飾されている。
【0119】
(競合的アッセイ方式)
競合的アッセイでは、サンプル中に存在するCNGチャンネルサブユニットタンパク質の量を、サンプル中に存在する未知の嗅覚器CNGチャンネルサブユニットタンパク質により抗CNGチャンネルサブユニット抗体からはずれた(競合脱離した)既知の添加(外因性)感覚受容体タンパク質の量を測定することにより間接的に測定する。一の競合的アッセイにおいて、既知量のCNGチャンネルサブユニットタンパク質をサンプルに加え、次いで、サンプルをそのタンパク質サブユニットに特異的に結合する抗体と接触させる。抗体に結合する外因性チャンネルサブユニットタンパク質の量は、サンプル中に存在するチャンネルサブユニットタンパク質の濃度に逆比例する。特に好ましい実施形態においては、抗体が固形基体に固定化されている。抗体に結合したタンパク質の量は、サブユニット/抗体複合体に存在するタンパク質の量を測定するか、あるいは、残りの複合体化していないタンパク質の量を測定して決定する。タンパク質の量は、標識された感覚受容体分子を供給することによって検出することができる。
【0120】
他の好ましい競合的アッセイとしては、ハプテン阻害アッセイがある。このアッセイでは、既知のチャンネルサブユニットタンパク質を固形基体に固定化する。既知量の抗感覚受容体抗体をサンプルに加え、次いで、サンプルを固定化された感覚受容体と接触させる。既知の固定化CNGサブユニットタンパク質に結合した抗CNGチャンネルサブユニット抗体の量は、サンプル中に存在するCNGチャンネルサブユニットタンパク質の量に逆比例する。繰り返しになるが、固定化された抗体の量は、抗体の固定化された画分又は溶液中に残っている抗体の画分を検出することにより検出することができる。検出は、抗体が標識されている場合には直接に行うことができ、又は上記のように抗体に特異的に結合する標識部分の後の添加により間接的に行うことができる。
【0121】
(交差反応性の測定)
競合的結合方式のイムノアッセイは、交差反応性の測定にも用いることができる。たとえば、本明細書に開示する核酸配列により少なくとも部分的にコードされたタンパク質を固形担体に固定化することができる。固定化抗原への抗血清の結合に対して競合するタンパク質(たとえば、CNGサブユニットタンパク質及び同族体)をアッセイに加える。固定化タンパク質への抗血清の結合に対して競合する添加タンパク質の能力を、それ自体と競合する本明細書に開示する核酸配列によりコードされたCNGチャンネルサブユニットポリペプチドの能力と比較する。上記のタンパク質の交差反応性の割合を標準計算法により計算する。上記の添加タンパク質のそれぞれと10%未満の交差反応性を示す抗血清を選択し、プールする。交差反応性抗体は、任意に、考慮した添加タンパク質、たとえば、関連性が小さい同族体を用いる免疫吸収により、プールした抗血清から除去する。さらに、感覚受容体ファミリーのメンバーを同定するのに用いられる保存モチーフを表すアミノ酸配列を含むペプチドは、交差反応性の判定に用いることができる。
【0122】
次いで、免疫吸収してプールした抗血清を、上記の競合的結合免疫アッセイに用いて、嗅覚器CNGチャンネルサブユニットファミリーメンバーのおそらく対立遺伝子又は多形性変異体と考えられる第2のタンパク質を、免疫原性タンパク質(すなわち、本明細書に開示する核酸配列によりコードされたCNGチャンネルサブユニットタンパク質)と比較する。この比較を行うために、2つのタンパク質をそれぞれ広範囲の濃度で分析し、固定化されたタンパク質への抗血清の結合の50%を阻害するのに必要な各タンパク質の量を測定する。結合の50%を阻害するのに必要な第2のタンパク質の量が、結合の50%を阻害するのに必要な本明細書に開示する核酸配列によりコードされたタンパク質の量の10倍未満の場合、第2のタンパク質は、感覚受容体免疫原に対して発生したポリクローナル抗体に特異的に結合するとされる。
【0123】
(他のアッセイ方式)
ウエスタンブロット(イムノブロット)分析を用いて、サンプル中の嗅覚器CNGチャンネルサブユニットタンパク質の存在を検出し、定量する。この手法は一般的に、分子量に基づきゲル電気泳動によりサンプルタンパク質を分離し、分離したタンパク質を適切な固形担体(ニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター又は誘導体化ナイロンフィルター)に移し、サンプルを感覚受容体タンパク質に特異的に結合する抗体とともにインキュベートすることを含む。抗CGNチャンネルサブユニットポリペプチド抗体は、固形担体上のCNGチャンネルサブユニットポリペプチドに特異的に結合する。これらの抗体は、抗CNGチャンネルサブユニット抗体に特異的に結合する標識抗体(たとえば、標識ヒツジ抗マウス抗体)を用いて直接標識することができるか、あるいは後に検出することができる。
【0124】
他のアッセイ方式としては、特定の分子(たとえば、抗体)に結合するように設計されたリポソーム及びカプセル封入された試薬若しくはマーカーを放出するように設計されたリポソームを用いるリポソームイムノアッセイ(LIA)が挙げられる。放出された化学物質を標準的手法により検出する(Monroe et al.、Amer.Clin.Prod.Rev.第5巻、34頁(1986年)を参照)。
【0125】
(非特異的結合の低減)
当業者は、イムノアッセイにおける非特異的結合を最小限にすることがしばしば望ましいことを認識している。特に、アッセイが固形基体に固定化されている抗原又は抗体を用いるものである場合、基体への非特異的結合の量を最小限にすることが望ましい。そのような非特異的結合を低減する手段は、当業者によく知られている。一般的に、この手法は、タンパク質性組成物で基体をコーティングすることを含む。特に、ウシ血清アルブミン(BSA)、脱脂粉乳及びゼラチンのようなタンパク質組成物が広く使用されており、粉乳が最も好ましい。
【0126】
(標識)
アッセイに用いられる特定の標識又は検出可能な基は、アッセイに用いる抗体の特異的結合を有意に妨げない限り、本発明の重要な点ではない。検出可能な基は、検出可能な物理的又は化学的特性を有する物質とすることができる。そのような検出可能な標識は、イムノアッセイの分野において十分に発達しており、一般的に、そのような方法において有用なほとんどの標識は、本発明に適用することができる。したがって、標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的又は化学的手段により検出可能なあらゆる組成物である。本発明における有用な標識としては、磁気ビーズ(たとえば、DYNABEADS(商標))、蛍光色素(たとえば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン等)、放射性標識(たとえば、H、125I、35S、14C、33P又は32P)、酵素(たとえば、西洋ワサビ、リン酸アルカリ及びELISAに一般的に用いられている他のもの)、コロイド金又は着色ガラス又はプラスチックビーズ(たとえば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス等)のような測色標識などがある。
【0127】
標識は、当技術分野で知られている方法によりアッセイの所望の成分に直接又は間接的に結合させることができる。上記のように、広範囲の標識を用いることができるが、必要とする感度、化合物との複合の容易さ、安定性要件、利用可能な機器及び廃棄規定に応じて標識を選択する。
【0128】
非放射性標識は、間接的な手段により結合させることが多い。一般的に、リガンド分子(たとえば、ビオチン)をその分子に共有結合させる。次いで、リガンドは、検出可能な酵素、蛍光化合物又は化学発光化合物のような本質的に検出可能又はシグナルシステムに共有結合する他の分子(たとえば、ストレプトアビジン)に結合する。リガンド及びそれらの標識は、感覚受容体タンパク質を認識する抗体又は抗感覚受容体を認識する第2抗体と適切に組み合わせて用いることができる。
【0129】
分子は、たとえば、酵素又は蛍光団との複合など、シグナル発生化合物に直接的に結合させることもできる。標識としての対象酵素は、主としてヒドロラーゼ、特に、ホスファターゼ、エステラーゼ及びグリコシダーゼ又はオキシドターゼ、特に、ペルオキシダーゼである。蛍光化合物としては、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン等がある。化学発光化合物としては、ルシフェリン及び2,3−ジヒドロフタラジンジオン、たとえば、ルミノールなどがある。用いることができる種々の標識又はシグナル発生システムに関するレビューについては、米国特許第4,391,904号を参照のこと。標識を検出する手段は、よく知られている。したがって、たとえば、標識が放射性標識である場合、検出手段は、シンチレーションカウンター又はオートラジオグラフィにおけるような写真フィルムなどである。標識が蛍光標識である場合、標識は適切な波長の光で蛍光色素を励起し、発生した蛍光を検出することにより検出することができる。蛍光は、写真フィルムにより、あるいは電荷結合素子(CCD)又は光電子倍増管等の電子的検出器の使用により、視覚的に検出することができる。同様に、酵素標識は、酵素の適切な基質を用い、得られた反応生成物を検出することにより検出することができる。最後に、単純な測色標識は、標識に付随する色を単に観察して検出することができる。したがって、さまざまなディップステックアッセイにおいては、結合した金が、しばしばピンク色を示し、さまざまな複合ビーズが、そのビーズの色を示す。
【0130】
一部のアッセイ方式は、標識化合物の使用を必要としない。たとえば、凝集アッセイを用いて、標的抗体の存在を検出することができる。この場合、抗原被覆粒子を標的抗体を含むサンプルにより凝集させる。この方式では、いずれの化合物も標識する必要がなく、標的抗体の存在は簡単な目視検査により検出される。
【0131】
(蛍光偏光アッセイ)
他の実施形態において、蛍光偏光(「FP」)に基づくアッセイを用いて結合を検出し、モニターすることができる。蛍光偏光は、平衡結合、核酸ハイブリッド形成及び酵素活性を測定するための汎用性のある実験室技術である。蛍光偏光アッセイは、遠心分離、ろ過、クロマトグラフィ、沈殿又は電気泳動のような分離段階を必要としない点で同質である。これらのアッセイは、リアルタイムで、溶液中で直接的に行われ、固定化相を必要としない。偏光の測定は迅速で、サンプルを破壊しないので、偏光値を、繰り返し且つ試薬の添加後に測定することができる。一般的に、この手法を用いて、低いピコモルからマイクロモルまでの蛍光団の偏光値を測定することができる。この項では、受容体への臭気物質の結合を単純かつ定量的方法で測定するのに、どのようにして蛍光偏光を用いることができるかを述べる。
【0132】
蛍光標識分子を平面偏光により励起させたとき、その分子は、その分子旋光度に逆比例する偏光の程度を有する光を放射する。大きい蛍光標識分子は、励起状態の間(フルオレセインの場合、4ナノ秒)、相対的に静止した状態を保持し、光の偏光は、励起と放射との間で、相対的に一定の状態を保持する。小さい蛍光標識分子は、励起状態時に速やかに回転し、偏光は励起と放射との間で有意に変化する。したがって、小分子は低い偏光値を有し、大分子は高い偏光値を有する。たとえば、1本鎖フルオレセイン標識オリゴヌクレオチドは、比較的低い偏光値を有するが、相補鎖とハイブリド形成したとき、より高い偏光値を有する。本発明の感覚受容体を活性化又は阻害する臭気物質結合を検出し、モニターするためにFPを用いる場合、蛍光標識知覚刺激物質又は自己蛍光知覚刺激物質を用いることができる。
1.蛍光偏光(P)は次のように定義される。
【0133】
【数1】
Figure 2005500836
【0134】
ここで、IntΠは励起光面に平行な放射光の強度であり、Int⊥は励起光面に垂直な放射光の強度であり、Pは光の強度の比で、無次元数である。たとえば、Beacon(商標登録)及びBeacon 2000(商標)システムをこれらのアッセイに関連して用いることができる。そのようなシステムは、一般的に偏光をミリ偏光単位(1偏光単位=1000mP単位)で表す。
【0135】
分子旋光度とサイズとの関係は、Perrin式により記述される。読者は、この式の十分な説明が記載されている、Jolley、J.Anal.Toxicol.第5巻、236頁、1981年を参照のこと。要約すると、Perrin式は、偏光が、分子が約68.5゜の角度を回転するのに必要な時間である回転緩和時間に比例することを記述している。回転緩和時間は、粘度(η)、絶対温度(T)、分子容(V)及び気体定数(R)に次の式により関連づけられる。
【0136】
【数2】
Figure 2005500836
【0137】
回転緩和時間は、小分子(たとえば、フルオレセイン)では小さく(約1ナノ秒)、大分子(たとえば、免疫グロブリン)では大きい(約100ナノ秒)。粘度及び温度を一定に保持するならば、回転緩和時間、したがって、偏光は、分子容に直接関係づけられる。分子容の変化は、蛍光標識分子の他の分子との相互作用、解離、重合、分解、ハイブリッド形成又はコンフォーメーションの変化に起因する可能性がある。たとえば、蛍光偏光は、プロテアーゼ、DNアーゼ及びRNアーゼによる大きい蛍光標識ポリマーの酵素切断を測定するために用いられている。蛍光偏光はまた、タンパク質/タンパク質相互作用、抗体/抗原結合及びタンパク質/DNA結合における平衡結合を測定するために用いられている。
【0138】
(可溶及び固相状態ハイスループットアッセイ)
ハイスループットアッセイでは、1日に最大数千種の調節物質又はリガンドをスクリーニングすることが可能である。特に、マイクロタイタープレートの各ウェルを用いて、選択された潜在的調節物質に対して独立したアッセイを行うことができ、もし濃度又はインキュベーション時間による影響を観察する場合には、5〜10ウェルを用いて1つの調節物質を試験することができる。したがって、1枚の標準マイクロタイタープレートで約100種(たとえば、96種)の調節物質についてアッセイを行うことができる。1536ウェルプレートを用いる場合、1枚のプレートで約1000種から約1500種の化合物についてアッセイを容易に行うことができる。1日当たり数枚の異なるプレートを用いてアッセイを行うことが可能であり、本発明の統合システムを用いて、最大約6,000〜20,000種の化合物のアッセイによるスクリーニングが可能である。最近では、試薬操作に対するマイクロ流体アプローチが開発されている。
【0139】
目的の分子は、固体状態構成要素に直接又は間接的に、たとえばタグを介して共有結合又は非共有結合により結合させることができる。タグはさまざまな構成要素とすることができる。一般的に、タグに結合する分子(タグバインダー)を固形担体に結合させ、タグをつけた目的の分子(たとえば、目的の味覚変換分子)を、タグとタグバインダーとの相互作用により固形担体に結合させる。
【0140】
文献に十分に記載されている既知の分子相互作用に基づいて、多数のタグ及びタグバインダーを用いることができる。たとえば、タグが、たとえば、ビオチン、プロテインA又はプロテインGのような天然バインダーを備えている場合、適切なタグバインダー(アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、免疫グロブリンのFc部等)とともに用いることができる。ビオチンのような天然バインダーを有する分子に対する抗体も広く利用可能であり、適切なタグバインダーである(SIGMA Immunochemicals、1998年カタログ、SIGMA(ミズーリ州セントルイス)を参照)。
【0141】
同様に、ハプテン性又は抗原性化合物を適切な抗体と組み合わせて、タグ/タグバインダー対を形成させることができる。何千もの特異抗体が市販されており、他の多くの抗体が文献に記載されている。たとえば、1つの一般的な形態において、タグは第1抗体であり、タグバインダーは第1抗体を認識する第2抗体である。抗体−抗原相互作用に加えて、受容体−リガンド相互作用もタグ及びタグバインダー対として適切である。たとえば、細胞膜受容体のアゴニスト及びアンタゴニスト(たとえば、トランスフェリン、c−キット、ウイルス受容体リガンド、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、インターロイキン受容体、免疫グロブリン受容体及び抗体のような細胞受容体−リガンド相互作用、並びにカドヘリンファミリー、インテグリンファミリー、セレクチンファミリー等、たとえば、Pigott & Power、The Adhesion Molecile Facts Book I(1993年)を参照)である。
同様に、トキシン及び毒液、ウイルスエピトープ、ホルモン(たとえば、オピエート、ステロイド等)、細胞内受容体(たとえば、ステロイド、甲状腺ホルモン、レチノイド及びビタミンDを含むさまざまな小リガンドの作用を媒介する;ペプチド)、薬物、レクチン、糖、核酸(線状及び環状ポリマーの形態)、オリゴ糖、タンパク質、リン脂質及び抗体はすべて種々の細胞受容体と相互作用することができる。
【0142】
ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリーレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド及びポリアセテートのような合成ポリマーも適切なタグ又はタグバインダーを形成し得る。この開示の検討に際して明らかなように、他の多くのタグ/タグバインダー対も本明細書に記載のアッセイシステムに有用である。
【0143】
ペプチド、ポリエーテル等の一般的なリンカーも、タグとなり得るものであり、約5〜200アミノ酸のポリgly配列のようなポリペプチド配列などが挙げられる。そのようなフレキシブルなリンカーは、当業者に知られている。たとえば、ポリ(エチレングリコール)リンカーは、Shearwater Polymers(アラバマ州ハンツビル(Huntsville))から入手可能である。これらのリンカーは、任意に、アミド結合、スルフヒドリル結合又は異種官能基結合を有することができる。
【0144】
タグバインダーを、現在利用可能な種々の方法を用いて固形基体に固定する。固形基体は一般的に、タグバインダーの一部との反応性を有する化学基を表面に固定する化学試薬に基体の全部又は一部を曝露することにより、誘導体化又は官能基化する。たとえば、より長い鎖部分への結合に適した基は、アミン、ヒドロキシル、チオール及びカルボキシル基などである。アミノアルキルシラン及びヒドロキシアルキルシランを用いて、ガラス表面のようなさまざまな表面を官能基化することができる。そのような固相生体高分子アレイの構成は、文献に十分に記載されている。たとえば、Merrifield、J.Am.Chem.Soc.第85巻、2149頁(1963年)(たとえば、ペプチドの固相合成を記載)、Geysen et al.、J.Immun.Meth.第102巻、259頁(1987年)(ピン上の固相成分の合成を記載)、Frank & Doring、Tetrahedron、第44巻、6031頁(1988年)(セルロースディスク上の種々のペプチド配列の合成を記載)、Fodor et al.、Science、第251巻、767頁(1991年)、Sheldon et al.、Clinical Chemistry、第39巻、718頁(1993年)及びKozal et al.、Nature Medicine、第2巻、753頁(1996年)(すべて、固形基体に固定された生体高分子のアレイを記載)を参照のこと。基体にタグバインダーを固定する非化学的アプローチとしては、熱、UV光による架橋等の他の一般的な方法がある。
【0145】
上記のようにして、cAMPまたはcAMPもしくはcGMPの類似体の増加による臭気物質刺激に追随して活性化される、本発明による機能的CNGチャンネルを発現する細胞系を、構成する。たとえば、一の実施形態において、高処理能力のCNGプレートを用いるアッセイが構築され、ウェルへの刺激物質の添加により活性化される。その例としては、フォルスコリンのようなアデニル酸シクラーゼを刺激する化合物、IMBXのようなホスホジエステラーゼを阻害する化合物、cAMP及びcGMPの膜透過性類似体の使用などがある。
【0146】
他の高処理能力スクリーニングプロトコルにおいて、細胞透過性cAMP又はcGMPを、内部VV照射によるフラッシュ光分解により供給して変化を起こさせる。
【0147】
(細胞による機能アッセイ)
好ましい実施形態において、少なくとも1つのCNGチャンネルサブユニットポリペプチドを真核細胞中で発現させる。そのようなCNGチャンネルは、HEK−293細胞のようなあらゆる真核細胞中で発現させることができる。そのような細胞中のそのようなチャンネルの活性化は、たとえば、細胞内Ca2+の変化に基づいて検出することができる。
【0148】
潜在的な阻害物質又は活性化物質で処理するサンプル又はアッセイを、試験化合物を含まない対照サンプルと比較して、調節の程度を検討する。そのようなアッセイは、細胞内cAMP又はcGMP濃度を増加させることによりCNGチャンネルを活性化することが知られている臭気物質の存在下で行い、臭気物質依存性活性化の調節をモニターすることができる。対照サンプル(活性化物質又は阻害物質で処理していない)には、100の相対的な感覚受容体活性値が割り当てられる。対照に対して感覚受容体活性値が相対的に約90%、任意に50%、任意に25〜0%であるとき、阻害が達成されている。対照に対してチャンネル活性値が、相対的に110%、任意に150%、200〜500%又は1000〜2000%であるとき、活性化が達成されている。
【0149】
イオンの流入の変化は、感覚受容体タンパク質を発現する細胞又は膜の分極(すなわち、電位)の変化を測定することにより評価することができる。細胞分極の変化を測定する1つの手段は、電圧固定法及びパッチ固定法により電流の変化を測定することにより、たとえば、「細胞接着」モード、「内外反転」モード及び「全細胞」モードで分極の変化を測定することである(たとえば、Ackerman et al.、New Engl.J Med.第336巻、1575頁(1997年)を参照)。全細胞電流は、通常、標準的方法を用いて測定される。他の既知のアッセイとしては、電圧感受性色素(たとえば、Vestergarrd−Bogind et al.、J.Membrane Biol.第88巻、67頁(1988年)、Gonzales & Tsien、Chem.Biol.第4巻、269頁(1997年)、Daniel et al.、J.Pharmacol.Meth.第25巻、185頁(1991年)、Holevinsky et al.、J.Membrane Biology、第137巻、59頁(1994年)を参照)またはfluo−3、fluo−4若しくはfura−2などのカルシウム感受性色素のような、放射性プローブ又は蛍光性プローブを用いるイオンの流入を測定するためのアッセイなどがある。一般的に、試験化合物は、1pM〜100mMの範囲で存在する。
【0150】
他の実施形態において、転写レベルを測定して、シグナル変換に対する試験化合物の影響を評価することができる。目的のCNGチャンネルサブユニットタンパク質を含む宿主細胞を、相互作用をもたらすのに十分な時間試験化合物と接触させ、次いで遺伝子発現のレベルを測定する。そのような相互作用をもたらす時間の長さは、時間を経過させて、転写のレベルを時間の関数として測定するなどにより、実験的に決定することができる。転写の量は、当業者に適切であることが知られている方法を用いて測定することができる。たとえば、目的のチャンネルサブユニットタンパク質のmRNA発現を、ノーザンブロットを用いて検出してもよく、あるいは、それらのポリペプチド産物をイムノアッセイを用いて同定してもよい。あるいは、リポーター遺伝子を用いる転写に基づくアッセイを、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,436,128号に記載のように用いることができる。リポーター遺伝子は、たとえば、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ、’3−ガラクトシダーゼ及びアルカリホスファターゼのものとすることができる。さらに、目的のチャンネルサブユニットタンパク質を、緑色蛍光タンパク質のような第2のリポーターへの付着により、間接的リポーターとして用いることができる。(たとえば、Mistili & Spector、Nature Biotech.第15巻、961頁(1997年)を参照)。
【0151】
次いで、転写の量を、試験化合物の非存在下における同じ細胞中の転写の量と比較するか、目的のチャンネルサブユニットタンパク質を含まない実質的に同じ細胞中の転写の量と比較する。実質的に同じ細胞は、組換え細胞を調製したものの、異種DNAの導入により修飾されなかった同じ細胞から得ることができる。転写の量の差は、試験化合物がCNGチャンネルの活性をなんらかの方法で変化させたことを示している。
【0152】
(ヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットを発現する非ヒトトランスジェニック動物)
本発明の1つ又は複数のCNGチャンネルサブユニット配列、特に、ヒト嗅覚器CNGチャンネル配列を発現する非ヒト動物も、アッセイに用いることができる。そのような発現は、嗅覚器CNGチャンネルをコードする核酸を安定的又は一時的にトランスフェクトした非ヒト動物を試験化合物と接触させ、その動物がCNGチャンネルの阻害又は活性化で試験化合物に対して反応するかどうかを測定することにより、試験化合物が哺乳類嗅覚器CNGチャンネルをin vivoで特異的に活性化するかどうかを測定するために用いることができる。
【0153】
個別に又はライブラリーとして核酸及びベクターを感染/発現させる手段は、当技術分野でよく知られている。さまざまな個別の細胞、器官又は動物全体のパラメーターをさまざまな手段により測定することができる。たとえば、主嗅球又は副嗅球からの刺激誘発波(延髄反応)の記録は、定量的安定嗅覚応答を測定する有用なツールである。電極を嗅球表面に設置すると、数日間にわたる安定な応答を記録することが可能である(たとえば、Kashiwayanagi、Brain Res.Protoc.第1巻、287頁(1997年)を参照)。この研究では、鼻中隔に面する内鼻甲介骨の上にある嗅上皮から4電極アセンブリを用いて嗅電図記録を行った。4電極は、1つの鼻甲介骨の背−腹軸に沿って固定するか、又は4つの鼻甲介骨上の対応する位置に置き、骨の上部に向けて共に移動させた。Scott、J.Neurophysiol.第77巻、1950頁(1997年)、Scott、J.Neuro−physiol.第75巻、2036頁(1996年)、Ezeh、J.Neurophysiol.第73巻、2207頁(1995年)も参照のこと。他のシステムでは、ラットの鼻中隔及び鼻甲介の内側表面に適用した色素ジ−4−ANEPPSを用いて鼻上皮における蛍光の変化を測定することができる(たとえば、Youngentob、J.Neuro−physiol.第73巻、387頁(1995年)を参照)。細胞外カリウム活性(aK)測定もin vivoで行うことができる。鼻上皮の粘膜及び近位部におけるaKの増加を測定することができる(たとえば、Khayari、Brain Res.第539巻、1頁(1991年)を参照)。
【0154】
本発明の嗅覚器CNGチャンネル配列は、たとえば、感染因子、たとえばアデノウイルス発現ベクターを用いて送達することにより動物鼻上皮において発現させることができる。緑色蛍光タンパク質をマーカーとして用いた嗅上皮における組換え遺伝子の組換えアデノウイルス媒介発現が、たとえば、Touhara、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第96巻、4040頁(1999年)に記載されている。内因性CNGチャンネルは、依然として機能を果たすことができ、野生型(天然)の活性が依然として存在することができる。他の状況において、すべての内因性CNGチャンネル活性が、導入された外因性ハイブリッド受容体によるものであることが望ましい場合、ノックアウト系の使用が好ましい。非ヒトトランスジェニック動物、特に、トランスジェニックマウスを構築する方法、並びに形質転換細胞を産生するための組換え構成体を選択、調製する方法は、当技術分野においてよく知られている。
【0155】
「ノックアウト」細胞及び動物の構築は、抑制する遺伝子のDNA配列のある部分を遮断する役割を果たす新しいDNA配列をゲノムに導入することにより、哺乳類細胞中の特定の遺伝子の発現のレベルを、減少又は完全になくすことができるという前提に基づいている。また、「遺伝子トラップ挿入」を用いて宿主遺伝子を中断させることができ、マウス胚幹細胞(ES)を用いてノックアウトトランスジェニック動物を生産することができる(たとえば、Holzschu、Transgenic Res、第6巻、97頁(1997年)を参照)。外因性配列の挿入は、一般的に相補的核酸配列間の相同的組換えによる。外因性配列は、エキソン、イントロン又は転写調節配列のような修飾されるべき標的遺伝子のある部分、または標的遺伝子の発現のレベルに影響を及ぼすことができるゲノム配列、あるいはそれらの組合せである。多能性胚幹細胞(ES)における相同的組換えによる遺伝子ターゲッティングにより、目的のゲノム配列を精密に修飾することが可能となる。あらゆる手法を用いて、ノックアウト動物を造り、スクリーニングし、増殖させることができる。たとえば、Bijvoet、Hum.Mol.Genet.第7巻、53頁(1998年)、Moreadith、J.Mol.Med.第75巻、208頁(1997年)、Tojo、Cytotechnology、第19巻、161頁(1995年)、Mudgett、Methods Mol.Biol.第48巻、167頁(1995年)、Longo、Transgenic Res.第6巻、321頁(1997年)、米国特許第5,616,491号、第5,464,764号、5,631,153号、第5,487,992号、第5,627,059号、第5,272,071号、国際公開第91/09955号、国際公開第93/09222号、国際公開第96/29411号、国際公開第95/31560号、国際公開第91/12650号を参照のこと。
【0156】
核酸ライブラリーは、「ノックアウト」ヒト細胞及びそれらの子孫を生産するための試薬としても用いることができる。
【0157】
(調節物質)
嗅覚器CNGチャンネルの調節物質として試験される化合物は、小化合物またはタンパク質、糖、核酸又は脂質のような生物学的物質とすることができる。一般的に、試験化合物は小化学分子又はペプチドであろう。水溶液又は有機(特に、DMSOを主剤とする)溶液に溶解させることができる化合物を用いることが多いが、本質的にあらゆる化合物を本発明のアッセイにおいて可能性のある調節物質又はリガンドとして用いることができる。アッセイ段階を自動化し、適当な起源から(たとえば、ロボットアッセイにおけるマイクロタイタープレート上のマイクロタイターフォーマットで)通常並行して実施されるアッセイに化合物を供給することにより、大きい化学ライブラリーをスクリーニングするためのアッセイを設計することができる。Sigma(ミズーリ州セントルイス)、Aldrich(ミズーリ州セントルイス)、Sigma−Aldrich(ミズーリ州セントルイス)、Fluka Chemika−Biochemica Analytika(スイス、ブックス)等の化合物の多くの供給業者が存在することが認識されよう。
【0158】
一の好ましい実施形態において、高処理能力スクリーニング法は、多数の可能な治療用化合物(可能な調節物質又はリガンド化合物)を含むコンビナトリアル化学又はペプチドライブラリーを提供することを含む。次いで、そのような「コンビナトリアル化学ライブラリー」又は「リガンドライブラリー」を本明細書に記載するように1つ又は複数のアッセイにおいてスクリーニングして、所望の特有の活性を示すライブラリーメンバー(特定の化学種又はサブクラス)を特定する。そのようにして特定された化合物は、通常の「リード化合物」とすることができ、あるいは、それら自体、潜在的な又は実際の治療用物質として用いることができる。
【0159】
コンビナトリアル化学ライブラリーは、試薬のような多数の化学的「構築ブロック」を組み合わせることにより、化学合成又は生物学的合成により産生された種々の化合物の集合である。たとえば、ポリペプチドライブラリーのような線状コンビナトリアル化学ライブラリーは、所定の化合物の長さ(すなわち、ポリペプチド化合物中のアミノ酸の数)について、あらゆる可能な方法で一連の化学的構築ブロック(アミノ酸)を組み合わせることにより形成される。化学的構築ブロックのそのようなコンビナトリアルミキシングにより、数百万の化合物を合成することができる。
【0160】
コンビナトリアル化学ライブラリーの調製及びスクリーニングは、当業者に知られている。そのようなコンビナトリアル化学ライブラリーは、ペプチドライブラリーを含むが、これらに限定されない(たとえば、米国特許第5,010,175号、Furka、Int.J.Pept.Prot.Res.第37巻、487頁(1991年)及びHoughton et al.、Nature、第354巻、84頁(1991年)を参照)。化学的に多様なライブラリーを作製するための他の化学も用いることができる。そのような化学は、非限定的に、ペプトイド(たとえば、国際公開第91/19735号)、コードされたペプチド(たとえば、国際公開第93/20242号)、ランダム生体オリゴマー(たとえば、国際公開第92/00091号)、ベンゾジアゼピン(たとえば、米国特許第5,288,514号)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピン及びジペプチドのようなダイバーソマー(Hobbs et al.、Proc.Nat.Acad.Sci.第90巻、6909頁(1993年))、ビニローグポリペプチド(Hagihara et al.、J.Amer.Chem.Soc.第114巻、6568頁(1992年))、グルコースの足場を有する非ペプチド擬似体(Hirschmann et al.、J.Amer.Chem.Soc.第114巻、9217頁(1992年))、小化合物ライブラリーの類似有機合成(Chen et al.、J.Amer.Chem.Soc.第116巻、2661頁(1994年))、オリゴカルバメート(Cho et al.、Science、第261巻、1303頁(1993年))、ペプチジルホスホネート(Campbell et al.、J.Org.Chem.第59巻、658頁(1994年))、核酸ライブラリー(Ausubel、Berger and Sambrook、すべて前出)、ペプチド核酸ライブラリー(米国特許第5,539,083号)、抗体ライブラリー(Vaughn et al.、Nature Biotechnology、第14巻、309頁(1996年)及び国際公開第97/00271号)、炭水化物ライブラリー(Liang et al.、Science、第274巻、1520頁(1996年)及び米国特許第5,593,853号)、小有機分子ライブラリー(ベンゾジアゼピン、Baum、C&EN、33頁、1月18日(1993年);チアゾリジノン及びメタチアザノン、米国特許第5,549,974号;ピンロリジン、米国特許第5,525,735号及び第5,519,134号;モルホリノ化合物、米国特許第5,506,337号;ベンゾジアゼピン、米国特許第5,288,514号等)を含む。
【0161】
コンビナトリアルライブラリーの調製用装置は、市販されている(たとえば、357MPS、390MPS(Advanced Chem Tech、ケンタッキー州ルイスビル)、Symphony(Rainin、マサチューセッツ州ウォーバーン)、433A(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティー)、9050Plus(Millipore、マサチューセッツ州ベッドフォード)。さらに、多くのコンビナトリアルライブラリー自体が市販されている(たとえば、ComGenex、ニュージャージー州プリンストン;Tripos,Inc.、ミズーリ州セントルイス;3D Pharmaceuticals、ペンシルバニア州エックストン;Martek Biosciences、メリーランド州コロンビア等)。
【0162】
(新規の嗅覚調節物質(増強物質又は阻害物質)組成物の投与)
感覚調節物質は、in vivoでの感覚の調節のために哺乳類(たとえば、ヒト)に直接投与することができる。投与は、調節化合物を治療する組織(たとえば、鼻又は舌)との最終的接触に導くために通常用いられる経路のいずれかによる。嗅覚調節物質をいずれかの適切な方法で、任意に許容できる担体とともに投与する。そのような調節物質を投与する適切な方法は、利用可能であり、当業者によく知られており、特定の化合物を投与するために複数の経路を用いることができるが、特定の経路がしばしば他の経路よりも即時的かつ効率のよい反応をもたらすことがある。許容できる担体は、少なくとも一部は投与する組成物の特定の成分(たとえば、感覚刺激物質を安定化させる)並びに組成物を投与するために用いられる特定の方法により決定される。したがって、本発明の医薬組成物にとって適当な処方は、非常に多様な処方が存在する(たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版(1985年)を参照)。
【0163】
感覚調節物質は、単独又は他の適切な成分と組み合わせてエアゾール製剤(すなわち、それらは「噴霧」することができる)として、吸入により投与することができる。エアゾール製剤は、感覚に寄与する、又は寄与しないジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等の許容できる加圧噴射剤に入れることができる。他の可能な製剤としては、乾燥製剤又は液剤、散剤又は錠剤、極性(たとえば、水)又は非極性(たとえば、アルコール)溶媒の溶液、乳剤又は懸濁剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤及びシロップ剤などがある。
【0164】
投与に適した製剤としては、水性又は非水性溶液、酸化防止剤を含めることができる等張性滅菌溶液、製剤を等張性にする緩衝剤、静菌薬及び溶質、並びに懸濁化剤、可溶化剤、粘稠化剤、安定剤及び保存料を含めることができる水性又は非水性滅菌懸濁剤などがある。本発明の実施に際して、組成物は、たとえば、経口、局所、静脈内、腹腔内、嚢内又は髄腔内投与することができる。任意選択で、組成物を経口又は経鼻投与する。組成物の製剤は、アンプル又はバイアルのような1回用量分又は複数回の用量分を入れた密封容器入りで提供することができる。溶液及び懸濁剤は、前述の種類の無菌の散剤、顆粒剤及び錠剤から調製することができる。調節物質は、調製済み薬剤、食物又は化粧品の一部として投与することができる。特に、不快なにおい又は味(たとえば、それぞれ硫黄様又は苦味)は、同族リガンドと受容体との結合を阻害する競合リガンドを加えて感覚刺激物リガンドと感覚受容体との結合を阻害するか、あるいは、シグナル変換を阻害又は減少させることにより、それ自体知覚されないように、かつ/又はその効果を減少させることができる。これに反して、快いにおい又は味は、模擬又は増強させることができる。活性化細胞のサブセットは小さく保たれ、その効果は脳の特定の領域への放射に限定されているため、一次感覚刺激物が好ましい。しかし、少数の嗅覚受容体のみ(たとえば、5種より少ないリガンド結合ドメインを有する)に結合する新規の嗅覚物質(olfactants)又はその組合せも有用であろう。
【0165】
哺乳類(たとえば、ヒト)に投与する量は、対象における有用な応答をある時間にわたってもたらすのに十分なものでなければならない。用量は、用いる個々の感覚調節物質の有効性及び対象の状態並びに体重又は治療する部位の表面積によって決定する。用量はまた、特定の対象における化合物又はベクターの投与に伴う有害な副作用の存在、性質及び程度によっても決定される。医師が投与する調節物質の有効な量を決定する際、感覚調節物質の循環血漿中濃度、調節物質の毒性及び抗調節物質抗体の産生を評価するとよい。一般的に、調節物質の投与当量は、一般的哺乳類について約1ng/kg〜10mg/kgである。投与において、感覚調節物質は、該調節物質のED50、並びにほ乳類の集団及び全般的健康のために適用される種々の濃度での阻害物質の副作用によって決定される割合で投与することができる。投与は、1回又は分割投与により行うことができる。
【0166】
(キット)
ヒト嗅覚CNG遺伝子あるいはそのフラグメント又は変異体は、法医学的決定及び父性決定のためのチャンネルを発現する細胞を特定する有用なツールであり、単離された細胞におけるシグナル変換を試験する有用なツールである。oCNGチャンネル核酸と特異的にハイブリッド形成する嗅覚器CNGチャンネルファミリーメンバー特異試薬、並びにCNGチャンネルサブユニットタンパク質に特異的に結合する特異試薬、たとえば、抗CNGチャンネルサブユニット抗体は、細胞における発現及びシグナル変換の制御を検討するために用いられる。たとえば、1つ又は複数のファミリーメンバー特異的試薬は、遺伝的無嗅覚に関連する多形性の検出又は対立遺伝子排除の検出に用いることができる。
【0167】
サンプル中のoCNGチャンネルファミリーメンバーのDNA及びRNAの存在の有無についての核酸アッセイとしては、サザン分析、ノーザン分析、ドットブロット、RNアーゼ保護、S1分析、PCRのような増幅法及びin situハイブリッド形成のような当業者に知られている多くの技術がある。in situハイブリッド形成において、たとえば、標的核酸は、後の解釈と分析のために細胞形態を保存ししつ、細胞内でのハイブリッド形成に利用可能なようにその細胞環境から放出させる。以下の論文にin situハイブリッド形成の技術の概要が記載されている。Singer et al.、Biotechniques、第4巻、230〜250頁(1986年)、Haase et al.、Methods in Virology、VII巻、189〜226頁(1984年)及びNucleic Acid Hybridization:A Practical Approach(Names et al.編、1987年)。さらに、チャンネルサブユニットタンパク質は、上記のさまざまなイムノアッセイ技術により検出することができる。試験サンプルは、一般的に陽性対照(たとえば、組換え感覚受容体タンパク質を発現するサンプル)及び陰性対照と比較する。
【0168】
本発明はまた、嗅覚器CNGチャンネルの新規の調節物質をスクリーニングするためのキットを提供する。そのようなキットは、容易に入手可能な材料及び試薬並びに前記の生成物から調製することができる。たとえば、そのようなキットは、CNGチャンネルをコードする核酸又はタンパク質、反応管及びCNGチャンネル活性試験の指示書のいずれか1つ又は複数を含めることができる。キットの所期のユーザ及びユーザの特定のニーズに応じて、本発明によりさまざまなキット及び構成要素を調製することができる。
【0169】
以下の実施例は、本発明を例示するものであって、どんな意味でも本発明の適用可能範囲を限定すると解釈すべきではない。
(実施例)
【実施例1】
【0170】
ヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットのクローニング
【0171】
本発明の前には、ヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットの配列は知られていなかった。しかし、ヒト嗅覚ニューロンの電気生理学的分析から、ラットチャンネルとの機能の類似性が示唆され(Thurauf et al.、1996年)、我々は、ヒトDNAデータバンクにおける3つのラットサブユニットのオーソログを同定した(図1〜4)。我々は、RT−PCRによりヒト嗅上皮mRNAにおけるOCNC1及びOCNC2の存在を立証し、これらの2つのサブユニットの完全鎖cDNAを、市販のcDNAのPCRとゲノムDNAからの5’コーディングエキソンのPCRとの併用によりクローン化した。ヒトOCNC1コード配列の両端に隣接させて、末端5’Ascl及び3’Notl部位を付加し、OCNC1 Ascl−Notlフラグメントを、pEAK10発現ベクター(Edge Biosystems)にクローンし、プラスミドSAV1931を生成させた。5’Ascl部位は、最適化翻訳開始部位:GGCGCGCCgccATG(配列番号8)を導入するために3ヌクレオチドリンカー配列を組み込んでおり、このAscl部位及び開始ATGはUPPERCASEに存在し、3ヌクレオチドリンカーはlowercaseに存在する。
【0172】
3’Notl部位は、停止コドンの後に直接付加した。ヒトOCNC2を同様にクローンして、プラスミドSAV1976を生成させた。ヒトβ1bを同様にクローンして、プラスミドSAV2498を生成させた。しかし、5’Ascl部位と開始ATGとを隔てている3ヌクレオチドリンカーは省略した。
【実施例2】
【0173】
ヒト嗅覚器CNGチャンネル用のハイスループットアッセイの開発
【0174】
HEK−293T細胞にクローンヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットを、脂質ベースプロトコルを用いて一時的にトランスフェクトした。RFP発現ベクターのコトランスフェクションによりモニターしたトランスフェクション効率は、一般的に70%より大きかった。24時間後に、細胞を収集し、96ウェルプレートに移した。さらに24時間後に、細胞に蛍光カルシウム又は膜電位色素を1時間負荷し、洗浄し、オンボードフルイディックス(fluidics)を備えたFLIPR自動蛍光定量プレートリーダーに移した。
【0175】
mockトランスフェクト細胞と対照的に、嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをトランスフェクトした細胞は、フォルスコリン刺激後の蛍光の増加を示した。さらに、フォルスコリン応答の大きさは、サブユニットに依存し、OCNC1単独で活性なCNGチャンネルを生じ、OCNC2(程度がより小さい)及びβ1b(程度がより大きい)は、OCNC1活性を増強した(図5)。膜電位色素はカルシウム色素よりも良好なシグナル/ノイズ比をもたらしたが、いずれかの色素を用いたアッセイは、高処理能力スクーニング用として十分に頑強である(図6及び7)。
【実施例3】
【0176】
GPCR用のCNGチャンネルを用いる蛍光アッセイの開発
【0177】
Richら(2001年)は、高いcAMP感受性を有するラットOCNC1 CNGチャンネルの突然変異体を構築し、特徴付けを行った。我々は、対応するhOCNC1[C460W/E583M]突然変異体(配列番号4)を産生させ、プラスミドSAV2480に移入したところ、それがβ1bと共に高いcAMP感受性と頑強な活性を有することが認められた(図8)。この高い感受性は、このヒト嗅覚器CNGチャンネル変異体がcAMPバイオセンサーとして機能することと、GPCR及びcAMP濃度を制御する他のタンパク質用の全細胞を用いる蛍光アッセイの開発を可能にするものであることを示唆している。
【0178】
HEK−293細胞に、OCNC1[C458W/E581FM]、OCNC2及びβ1b、並びにオイゲノールにより活性化される(Kajiya et al.2001年)マウス嗅覚受容体mOREGをトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞をマルチウェルプレートで培養した。48時間後に、細胞にカルシウム色素を1時間負荷し、次いで、洗浄し、オイゲノール刺激に対するそれらの応答を蛍光顕微鏡によりモニターした。オイゲノールはトランスフェクトした細胞中の蛍光の増加を誘発した。この応答は、mOREGによる内因性G及びアデニル酸シクラーゼのオイゲノール依存性活性化を反映しているようであった。その理由は、CNGチャンネル単独又はmOREG単独をトランスフェクトした細胞との比較により、これらの応答はCNGチャンネル依存性及びmOREG依存性であることが確証されたからである(図9)。
【実施例4】
【0179】
ヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットOCNC1、OCNC2及びβ1bを安定に発現する細胞系の開発
【0180】
HEK−293細胞に3種のヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットを脂質ベースプロトコルを用いてトランスフェクトした。トランスフェクションの72時間後に適切な選択抗体を加え、選択処置の後の3〜5週間の期間中に単一コロニーを回収した。mOREG遺伝子を一時的にトランスフェクトし、mOREGリガンドオイゲノールで刺激した後、カルシウムの流入をモニターして、コロニーの活性をスクリーニングした。
【0181】
カルシウム画像化アッセイにより、オイゲノールに対して応答性であった、ヒトCNGチャンネルサブユニットをトランスフェクトした細胞のいくつかのクローンが存在することが明らかになった。これに対して、mockをトランスフェクトした細胞は検出可能なオイゲノール応答を有さなかった。20継代以上後にも、発現及び活性は安定のままであった。さらに、ヒト嗅覚CNGサブユニットを安定に発現している細胞は、オイゲノール刺激に対して感受性がより高い(図10)。したがって、開発した細胞系は、CNG媒介性カルシウム輸送の細胞を用いるアッセイに適している。
【実施例5】
【0182】
ヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットOCNC1[C458W/E581M]及びβ1bを安定に発現する細胞系の開発
【0183】
HEK−293細胞に、2種のヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットOCNG1及びβ1bを、脂質ベースプロトコルを用いてトランスフェクトした。トランスフェクションの72時間後に適切な選択抗体を加え、選択処置の後の3〜5週間の期間中に単一コロニーを回収した。mOREG遺伝子を細胞に一時的にトランスフェクトし、mOREGリガンドオイゲノールで細胞を刺激したときのカルシウムの流入をモニターして、コロニーの活性をスクリーニングした。
【0184】
カルシウム画像化アッセイにより、オイゲノールに対して応答性である、ヒトCNGチャンネルサブユニットをトランスフェクトした細胞のいくつかのクローンが明示された。これに対して、mockをトランスフェクトした細胞では、検出可能なオイゲノール応答を有さなかった。20継代以上後にも、発現及び活性は安定したままであった。野生型CNGサブユニットをトランスフェクトした細胞と対照的に、OCNC1[C458W/E581M]をトランスフェクトした細胞は、オイゲノールに対して有意に高い応答を示した。したがって、開発した細胞系は、CNG媒介性カルシウム輸送の細胞を用いるアッセイに適している。さらに、この細胞系は、感受性が高いため、親和性が低いアゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニングに対して適用可能である。
【実施例6】
【0185】
安定的に発現したヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニット用のハイスループットアッセイプラットフォームの開発
【0186】
ヒト嗅覚器CNGチャンネルを安定的に発現しているHEK−293細胞を実験の24時間前に、matrigelであらかじめ被覆したプレート上のFLIPR画像化プレート上に播種した。細胞に蛍光カルシウム色素を1時間負荷し、洗浄し、オンボードフルイディックス(fluidics)を備えたFLIPR自動蛍光定量プレートリーダーに移した。親細胞と異なり、ヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットを安定的に発現している細胞は、イソペテラノールを用いたβ2受容体の刺激後に蛍光の増加を示した(図11a)。さらに、これらの細胞は、アデニル酸シクラーゼ活性化物質フォルスコリンで刺激した後にも蛍光の増加を示した(図11b)。したがって、この細胞を用いるアッセイは、ハイスループットアッセイに適用可能である。
【実施例7】
【0187】
安定的に発現した活性増強ヒト嗅覚器CNGチャンネル用のハイスループットアッセイプラットフォームの開発
【0188】
活性増強ヒト嗅覚器CNGチャンネルを安定的に発現しているHEK−293細胞を実験の24時間前に、matrigelであらかじめ被覆したプレート上のFLIPR画像化プレート上に播種した。細胞に蛍光カルシウム色素を1時間負荷し、洗浄し、オンボードフルイディックス(fluidics)を備えたFLIPR自動蛍光定量プレートリーダーに移した。親細胞及び野生型CHGサブユニットをトランスフェクトした細胞と異なり、活性増強ヒト嗅覚器CNGチャンネルを安定的に発現している細胞は、アデニル酸シクラーゼ活性化物質フォルスコリンで刺激した後に蛍光の増加を示した(図11b)。さらに、これらの細胞は、イソペテラノールを用いたβ2受容体の刺激後に、野生型CNGサブユニットで認められたのと同様な蛍光を示した(図11a)。したがって、この細胞を用いるアッセイは、特に、親和性が低い作動物質又は拮抗物質に関するハイスループットアッセイに適用可能である。
【0189】
本発明を例としての実施形態により記述したが、本明細書で用いた文言は、制限の文言ではなく、説明の文言であることが了解される。より広い態様における本発明の範囲及び精神から逸脱せずに、添付した特許請求の範囲内の変更を行うことはできる。本明細書においては本発明を特定の手段、材料及び実施形態に関して説明したが、本発明は開示した特定の事項に限定されるものでないことが了解される。本発明は、添付した特許請求の範囲内にあるすべての同等の構造、手段及び使用に及ぶ。
【0190】
(参考文献)
Figure 2005500836
Figure 2005500836
Figure 2005500836
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【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】ヒトゲノムは3種のラット嗅覚器CNGチャンネルサブユニットのオーソログを含む。対配列の相同性は、パラログで30〜50%、オーソログで84〜90%である。ラット及びヒトCNGチャンネルサブユニットのC末端環状ヌクレオチド結合ドメインに対応する配列を示す。本発明のヒトOCNC1、OCNC2及びβ1b嗅覚器CNGチャンネルサブユニットは、それぞれ配列番号1〜3であり、ラットCNGチャンネルサブユニットOCNC1、OCNC2及びβ1bのデータベース配列は、それぞれ受入番号NM_012928、NM_053496及びAJ000515(それぞれ配列番号5〜7)である。
【図2】hOCNC1の配列(配列番号1)。このcDNA配列は、クローンゲノム区分HSAF002992に含まれているhOCNC1対立遺伝子に対応する。
【図3】hOCNC2の配列(配列番号2)。このcDNA配列は、クローンゲノム区分AC022762に含まれているhOCNC2対立遺伝子に対応する。
【図4】hβ1bの配列(配列番号3)。このcDNA配列は、新規の対立遺伝子に相当する。
【図5】嗅覚器CNGチャンネル活性はサブユニット構成に依存する。種々の組合せのヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをトランスフェクトし、カルシウム色素を負荷した細胞について、50μMフォルスコリン添加の6分後の蛍光の増加を測定した。活性は、8つの独立した応答の平均値±s.e.を表し、カルシウムイオノフォアであるイオノマイシンの添加の6分後の蛍光増加に対して標準化した。OCNC1を「1」、OCNC2を「2」、β1bを「B」と略記する。
【図6】嗅覚器CNGチャンネル活性の膜電位に基づく蛍光アッセイは、頑強である。種々の組合せのヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをトランスフェクトし、膜電位色素を負荷した細胞について、フォルスコリン添加の6分後の蛍光の増加を測定した。活性は、8つの独立した応答の平均値±s.e.を表し、KClの添加の6分後の蛍光増加に対して標準化した。EC50及びZ因子値を2つの用量反応曲線について示す。OCNC1を「1」、OCNC2を「2」、β1bを「B」と略記する。
【図7】嗅覚器CNGチャンネル活性のカルシウムに基づく蛍光アッセイは、頑強である。種々の組合せのヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをトランスフェクトし、膜電位色素(黒色)又はカルシウム色素(灰色)を負荷した細胞について、フォルスコリン添加の6分後の蛍光の増加を測定した。活性は、8つの独立した応答の平均値±s.e.を表し、KCl又はイオノマイシンの添加の6分後の蛍光増加に対して標準化した。EC50値を4つの用量反応曲線について示す。OCNC1を「1」、OCNC2を「2」、β1bを「B」と略記する。
【図8】ヒトOCNC1[C458W/E581M]及びβ1bは、増感CNGチャンネルを形成する。種々の組合せのヒト嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをトランスフェクトし、膜電位色素を負荷した細胞について、フォルスコリン添加の6分後の蛍光の増加を測定した。活性は、8つの独立した応答の平均値±s.e.を表し、KClの添加の6分後の蛍光増加に対して標準化した。EC50及びZ因子値を2つの用量反応曲線について示す。OCNC1を「1」、OCNC1[C458W/E581M]を「1」、OCNC2を「2」、β1bを「B」と略記する。
【図9】嗅覚受容体活性は、異種細胞におけるヒト嗅覚器CNGチャンネルに連結させることができる。HEK−293細胞にマウス嗅覚受容体mOREG、OCNC1[C458W/E581M]、OCNC2及びβ1bをトランスフェクトし、カルシウム色素を負荷し、嗅覚刺激物質オイゲノールで刺激した。応答細胞の数を蛍光顕微鏡法により測定し、Gα15及びmOREGをトランスフェクトした応答HEK−293細胞、mOREGをトランスフェクトした応答HEK−293細胞、OCNC1[C458W/E581M]、OCNC2及びβ1bをトランスフェクトした応答HEK−293細胞の数と比較した。
【図10】安定に発現しているヒトCNGチャンネルサブユニットは、一時的にトランスフェクトされたサブユニットよりもオイゲノールに対して感受性が高い。HEK−293細胞がヒトCNGサブユニットhOCNC1、hOCNC2及びhβ1bを安定的又は一時的に発現しており、mOREGを一時的にトランスフェクトした。細胞を種々の濃度のオイゲノールで刺激し、Fluo−4を用いた蛍光顕微鏡法を用いてカルシウム流入を測定した。hOCNC1[C458W/E581M]及びβ1bサブユニットについて同様な結果が得られた(データは示さず)。
【図11】安定に発現している野生型又は増強ヒトCNGチャンネルサブユニットは、受容体媒介性活性化及びアデニル酸シクラーゼ活性化化合物に対して応答する。(図11a)hOCNC1、hOCNC2及びhβ1bもしくはhOCNC1[C458W/E581M]及びβ1bを安定に発現しているHEK−293細胞を種々の濃度のβ2受容体リガンドイソプロテラノールで刺激し、カルシウムの流入をFluo−4を用いてFLIPR−1で測定した。(図11b)hOCNC1、hOCNC2及びhβ1bもしくはhOCNC1[C458W/E581M]及びβ1bを安定に発現しているHEK−293細胞を種々の濃度アデニル酸シクラーゼ活性化物質フォルスコリンで刺激し、カルシウムの流入をFluo−4を用いてFLIPR−1で測定した。

Claims (84)

  1. 配列番号1と少なくとも約95%の相同性を有する、又は、配列番号1によりコードされるポリペプチドと少なくとも約90%の相同性を有するポリペプチドをコードする、ヒトOCNC1嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをコードする単離されたヌクレオチド配列。
  2. システインのトリプトファンへの変化をもたらす位置1374における突然変異及び/又はグルタミン酸のメチオニンへの変化をもたらす1741及び1742における突然変異を含む請求項1に記載のヌクレオチド配列。
  3. 前記置換突然変異をいずれも含む請求項2に記載のヌクレオチド配列。
  4. 配列番号4に含まれている、又は、配列番号4によりコードされる同じアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする請求項3に記載のヌクレオチド配列。
  5. 請求項1、2、3又は4に記載のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド。
  6. 転写及び翻訳調節配列に作動可能に連結されている請求項1、2、3又は4に記載のヌクレオチド配列を含む単離された発現配列。
  7. 請求項1、2、3又は4に記載の少なくとも1つの配列を含む発現ベクター。
  8. 請求項7に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  9. 配列番号2と少なくとも約95%の相同性を有する、又は、配列番号2によりコードされるポリペプチドと少なくとも約90%の相同性を有するポリペプチドをコードする、ヒトOCNC2嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをコードする単離されたヌクレオチド配列。
  10. 請求項9に記載のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド。
  11. 転写及び翻訳調節配列に作動可能に連結されている請求項9に記載のヌクレオチド配列を含む単離された発現配列。
  12. 請求項9又は11に記載の配列を含む発現ベクター。
  13. 請求項12に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  14. 配列番号3と少なくとも約95%の相同性を有する、又は、配列番号3によりコードされるポリペプチドと少なくとも約90%の相同性を有するポリペプチドをコードする、ヒトβ1b嗅覚CNC2チャンネルサブユニットをコードする単離されたヌクレオチド配列。
  15. 請求項14に記載のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド。
  16. 転写及び翻訳調節配列に作動可能に連結されている請求項14に記載のヌクレオチド配列を含む単離された発現配列。
  17. 請求項14又は16に記載の配列を含む発現ベクター。
  18. 請求項17に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  19. 請求項7に記載の発現ベクター(OCNC1)及び請求項12に記載の発現ベクター(OCNC2)を含む宿主細胞。
  20. 請求項7に記載の発現ベクター(OCNC1)及び請求項17に記載の発現ベクター(β1b)を含む宿主細胞。
  21. 請求項12に記載の発現ベクター(OCNC2)及び請求項17に記載の発現ベクター(β1b)を含む宿主細胞。
  22. 請求項7、12及び17に記載の発現ベクター(OCNC1、OCNC2及びβ1b)を含む宿主細胞。
  23. MDCK、HEK、HEK293、HEK293T、BHK、COS、NIH3T3、SWISS3T3及びCHOからなる群から選択される請求項8、13、18、19、21又は22に記載の宿主細胞。
  24. HEK293又はHEK293T細胞である請求項23に記載の宿主細胞。
  25. 少なくとも1つのヒト嗅覚CNGサブユニットを安定的又は一時的に発現する請求項8、13、18、19、21又は22に記載の宿主細胞。
  26. ヒトOCNC1、OCNC2及びβ1bを安定的又は一時的に発現する請求項25に記載の宿主細胞。
  27. ヒト嗅覚環状ヌクレオチドゲート(CNG)チャンネルの推定上の調節物質のプロファイリング及びスクリーニングを行なうための哺乳類細胞によるハイスループットアッセイであって、
    ヒトOCNC1、OCNC及び/又はβ1b、あるいはこれら3種のサブユニットのそれぞれの変異体、フラグメント又は機能的同等物を発現し、膜電位蛍光色素をあらかじめ負荷した試験細胞を、少なくとも1種の推定上の調節化合物と接触させ、
    該調節物質の非存在下での変化との比較により、該推定上の調節化合物の存在下での試験細胞の蛍光の変化をモニターして、ヒト嗅覚器CNGチャンネルの調節の程度を決定することを含む、ハイスループットアッセイ。
  28. 前記試験細胞が、MDCK、HEK、HEK293、HEK293T、BHK、COS、NIH3T3、SWISS3T3及びCHOからなる群から選択される請求項27に記載のアッセイ方法。
  29. 前記細胞が、HEK293細胞である請求項27に記載のアッセイ。
  30. 前記HEK293細胞が、HEK293T細胞である請求項29に記載のアッセイ方法。
  31. 前記方法を、蛍光の検出可能な変化に基づき、CNG活性を特に調節する化合物であることを同定するために用いる請求項27に記載のアッセイ方法。
  32. 前記試験細胞を、マルチウェル試験プレートのウェルに播種する請求項30に記載のアッセイ方法。
  33. 前記推定上の調節物質を、前記マルチウェル試験プレートのウェルに加えることにより、前記試験細胞を前記推定上の調節物質と接触させる請求項32に記載のアッセイ方法。
  34. 前記試験細胞に、検出される蛍光の変化を可能にする膜電位色素を負荷する請求項33に記載のアッセイ方法。
  35. 前記試験細胞が、ヒトOCNC1、ヒトOCNC2及びヒトβ1bサブユニットのそれぞれを発現する請求項34に記載のアッセイ方法。
  36. 前記サブユニットが、配列番号1若しくは4、2及び3、又はそれらのフラグメント、あるいはそれらとハイブリッドを形成し機能的CNGサブユニットをコードするDNA、によりそれぞれコードされる請求項32に記載のアッセイ方法。
  37. 前記サブユニットが、配列番号1又は4よりコードされる請求項36に記載のアッセイ。
  38. 蛍光プレートリーダーを用いて蛍光の変化をモニターする請求項31に記載のアッセイ。
  39. 電圧画像化プレートリーダーを用いて蛍光の変化をモニターする請求項31に記載のアッセイ。
  40. 前記膜電位色素が、Molecular Devices Membrane Potentialキット(カタログ番号8034)、Di−4−ANEPPS(ピリジニウム、4−(2−(6−(ジブチルアミノ)−2−ナフタレニル)エテニル)−1−(3−スルホプロピル))−、ヒドロキシド、分子内塩)、DiSBACC4(2)(ビス−(1,2−ジバルビツール酸)トリメチンオキサノール)、DiSBAC4(3)(ビス−(1,3−(1,2−ジバルビツール酸)−トリメチンオキサノール)、CC−2−DMPE(Pacific Blue(商標)、1,2−ジエトラデカノイル−sn−グリセロール−3−ホスホエタノールアミントリエチルアンモニウム塩)及びSBFI−AM(1,3−ベンゼンジカルボン酸、4,4’−[1,4,10−トリオキサ−7,13−ジアザシクロペンタデカン−7,13−ジイルビス(5−メトキシ−6,12−ベンゾフランジイル)]ビス−、テトラキス[(アセチルオキシ)メチル]エステル);(Molecular Probes)からなる群から選択される請求項31に記載のアッセイ。
  41. 前記蛍光色素が、カルシウム感受性蛍光色素である請求項34に記載のアッセイ。
  42. 前記アッセイが、自動画像化機器を用いて行われる請求項41に記載のアッセイ。
  43. 前記機器が、蛍光プレートリーダー(FLIPR)である請求項42に記載のアッセイ。
  44. 前記機器が、電圧画像化プレートリーダー(VIPR)である請求項42に記載のアッセイ。
  45. 前記色素が、fluo−3(Molecular Probes)又は「mix and read」(Molecular Devices)である請求項42に記載のアッセイ。
  46. 前記膜電位蛍光色素が、蛍光ナトリウム色素である請求項34に記載のアッセイ。
  47. 請求項8、13、18又は22のいずれか一項に記載の試験細胞を、CNGチャンネル活性の推定上の調節物質と接触させ、
    全細胞又は細胞膜の電気生理学的測定値の検出可能な変化に基づいて調節物質を同定することを含む、嗅覚器CNGチャンネル活性を調節する化合物を同定するアッセイ。
  48. 前記細胞が、真核細胞である請求項47に記載のアッセイ。
  49. 単離された試験細胞膜を用いる請求項47に記載のアッセイ。
  50. アデニル酸シクラーゼ活性化物質を用いて、細胞内cAMPを上昇させる請求項47に記載のアッセイ。
  51. グアニル酸シクラーゼ活性化物質を用いて、細胞内cGMPを上昇させる請求項47に記載のアッセイ。
  52. ホスホジエステラーゼ阻害物質を用いて、細胞内cAMP又はcGMPを上昇させる請求項47に記載のアッセイ。
  53. 膜透過性環状ヌクレオチド類似体を用いて、嗅覚器CNGチャンネルを活性化する請求項47に記載のアッセイ。
  54. Gタンパク質結合受容体、アデニル酸もしくはグアニル酸シクラーゼ、ホスホジエステラーゼ又は環状ヌクレオチド濃度を制御する他のタンパク質を用いて、細胞内cAMP又はcGMPを上昇又は減少させる請求項47に記載のアッセイ。
  55. ヒト嗅覚器CNGチャンネルを活性化する分子を同定するために用いられる請求項47に記載のアッセイ。
  56. Gタンパク質結合受容体、アデニル酸もしくはグアニル酸シクラーゼ、ホスホジエステラーゼ又は環状ヌクレオチド濃度を制御する他のタンパク質を同定するために用いられる請求項47に記載のアッセイ。
  57. 前記ヒト嗅覚器CNGチャンネル調節物質を用いて、ヒト及び他の哺乳類における嗅覚を調節する請求項47に記載のアッセイ。
  58. 前記化合物を用いて、ヒト及び他の哺乳類における他のCNGチャンネルを調節する請求項47に記載のアッセイ。
  59. 配列番号1又は配列番号4と少なくとも95%の配列相同性を有するヒトOCNG1嗅覚器CNGチャンネルサブユニット、配列番号2と少なくとも95%の配列相同性を有するヒトOCNG2嗅覚器CNGチャンネルサブユニット、及び配列番号3と少なくとも95%の配列相同性を有するヒトβ1b嗅覚器CNGチャンネルサブユニットをコードするヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドをコードする1つ又は複数の発現ベクターを含む、宿主細胞。
  60. 前記発現が、安定的である請求項59に記載の宿主細胞。
  61. 前記OCNC1配列が、配列番号4に含まれている請求項59に記載の宿主細胞。
  62. 前記発現が、安定的である請求項61に記載の宿主細胞。
  63. 前記細胞が、真核細胞である請求項61又は62に記載の宿主細胞。
  64. 前記細胞が、哺乳類細胞である請求項63に記載の宿主細胞。
  65. 前記細胞が、ヒト細胞である請求項64に記載の宿主細胞。
  66. 前記細胞が、HEK293細胞である請求項65に記載の宿主細胞。
  67. a)請求項59又は61に記載の細胞を、細胞内環状ヌクレオチドを上昇させる化合物と接触させ、
    b)細胞内イオン濃度の変化をモニタリングする
    こととを含む、環状ヌクレオチド活性化イオン輸送をモニタリングする方法。
  68. 前記環状ヌクレオチドが、cAMP又はcGMPからなる群から選択される請求項67に記載の方法。
  69. 前記化合物が、アデニル酸シクラーゼの活性化物質である請求項67に記載の方法。
  70. 前記化合物が、フォルスコリンである請求項69に記載の方法。
  71. 前記化合物が、Gタンパク質の活性化物質である請求項67に記載の方法。
  72. 前記化合物が、イソプロテレノールである請求項71に記載の方法。
  73. 前記モニタリングが、カチオン濃度のモニタリングである請求項67に記載の方法。
  74. 前記イオンが、カルシウム又はナトリウムからなる群から選択される請求項73に記載の方法。
  75. a)請求項59又は61に記載の細胞を、受容体に結合してGタンパク質を活性化する化合物と接触させ、
    b)細胞内イオン濃度の変化をモニタリングする
    ことを含む、受容体媒介性環状ヌクレオチド活性化イオン輸送をモニタリングする方法。
  76. 前記受容体を、内因的に発現させる請求項75に記載の方法。
  77. 前記受容体が、β2アドレナリン受容体である請求項76に記載の方法。
  78. 前記受容体を、一時的トランスフェクションにより前記細胞に導入する請求項75に記載の方法。
  79. 前記受容体を、安定的に発現させる請求項78に記載の方法。
  80. 前記受容体が、嗅覚受容体である請求項78に記載の方法。
  81. 前記受容体が、嗅覚受容体である請求項79に記載の方法。
  82. 前記受容体が、mOREGである請求項80に記載の方法。
  83. 前記受容体が、mOREGである請求項81に記載の方法。
  84. 前記ヒト嗅覚器CNGチャンネル調節物質を、細胞中のCNGチャンネルの量及び組成物を特徴付けるための「薬理学的プローブ」として用いる請求項47に記載の方法。
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