JP2005350780A - 織物用複合糸及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 織物のバンド状斑やスジ状欠点を発生することなく、優れた品位とソフトな風合い及びストレッチ特性を発現するポリトリメチレンテレフタレート系複合糸を提供する。
【解決手段】下記(1)〜(6)の要件を満足することを特徴とする少なくとも一方の成分がポリトリメチレンテレフタレートである複合繊維。(1)単糸の断面形状が、扁平度1.2未満。(2)8.9×10-3cN/dtex負荷荷重の下に90℃で乾熱処理した後の伸縮伸長率(DCE10)が10%以上。(3)顕在捲縮率が15%以上。(4)構成する単糸の最大と最小の断面積比が2.0以下。(5)ノーマル法で測定される繊度変動値U%が1.2以下。(6)イナート法で測定される繊度変動値U%チャートにおいて、糸長方向に連続した波形の山と谷の差が平均デシテックスに対して8%以下。(但し、繊度変動値U%の測定は、糸長2000mにわたり測定する)
【選択図】 なし
【解決手段】下記(1)〜(6)の要件を満足することを特徴とする少なくとも一方の成分がポリトリメチレンテレフタレートである複合繊維。(1)単糸の断面形状が、扁平度1.2未満。(2)8.9×10-3cN/dtex負荷荷重の下に90℃で乾熱処理した後の伸縮伸長率(DCE10)が10%以上。(3)顕在捲縮率が15%以上。(4)構成する単糸の最大と最小の断面積比が2.0以下。(5)ノーマル法で測定される繊度変動値U%が1.2以下。(6)イナート法で測定される繊度変動値U%チャートにおいて、糸長方向に連続した波形の山と谷の差が平均デシテックスに対して8%以下。(但し、繊度変動値U%の測定は、糸長2000mにわたり測定する)
【選択図】 なし
Description
本発明は、織物用途に適したポリトリメチレンテレフタレート系複合糸及びその製造法に関する。更に詳しくは、経糸に使用した際に、スジ状欠点を発生することなく、優れた品位とソフトな風合い及び良好なストレッチ特性を発現するポリトリメチレンテレフタレート系複合糸及びそれを工業的に安定に製造するための製造方法に関する。
近年、編織物、なかでもストレッチ性能を付与したストレッチ編織物が、その着用感から強く要望されている。
かかる要望を満足するために、例えば、ポリウレタン系の繊維を混繊することにより、ストレッチ性を付与した編織物が多数用いられている。
しかし、ポリウレタン系繊維は、ポリエステル系染料に染まり難いため染色工程が煩雑になることや、長期間の使用により脆化し、性能が低下するなどの問題がある。
こうした欠点を回避する目的で、ポリウレタン系繊維の代わりに、ポリエステル系繊維の捲縮糸の応用が検討されている。
近年、ポリトリメチレンテレフタレート(以下、「PTT」と称す)の伸長回復性に着目して、PTT系捲縮糸が提案されている。
特に、2種類のポリマーをサイド−バイ−サイド型または、偏心的に貼合わせて、熱処理後に捲縮を発現させる潜在捲縮繊維が多数提案されている。
かかる要望を満足するために、例えば、ポリウレタン系の繊維を混繊することにより、ストレッチ性を付与した編織物が多数用いられている。
しかし、ポリウレタン系繊維は、ポリエステル系染料に染まり難いため染色工程が煩雑になることや、長期間の使用により脆化し、性能が低下するなどの問題がある。
こうした欠点を回避する目的で、ポリウレタン系繊維の代わりに、ポリエステル系繊維の捲縮糸の応用が検討されている。
近年、ポリトリメチレンテレフタレート(以下、「PTT」と称す)の伸長回復性に着目して、PTT系捲縮糸が提案されている。
特に、2種類のポリマーをサイド−バイ−サイド型または、偏心的に貼合わせて、熱処理後に捲縮を発現させる潜在捲縮繊維が多数提案されている。
特許文献1、2には、少なくとも一方の成分にPTTを用いるか、両方の成分に固有粘度の異なるPTTを用いたサイド−バイ−サイド型2成分系複合糸、および偏心鞘芯型複合糸(以下、両者を含めて、PTT系複合糸と呼称する)が開示されている。このPTT系複合糸はソフトな風合いと、良好な捲縮発現特性を有することが特徴である。これらの先行技術には、伸縮性と伸長回復性を有し、この特性を活かして種々のストレッチ編織物、或いは嵩高性編織物への応用が可能であることが記載されている。
特に特許文献2には、沸水処理以前にも高い捲縮を有し、嵩高性に優れるPTT系複合糸が開示されているが、しかし、該公報に開示される複合糸は、タフタなど織物に使用すると嵩高性が過度であるために織物が地厚感を呈し、カバーファクターが約2000以下の婦人服裏地など、平坦性や軽量性が要求される分野への展開が制約される問題があった。
特に特許文献2には、沸水処理以前にも高い捲縮を有し、嵩高性に優れるPTT系複合糸が開示されているが、しかし、該公報に開示される複合糸は、タフタなど織物に使用すると嵩高性が過度であるために織物が地厚感を呈し、カバーファクターが約2000以下の婦人服裏地など、平坦性や軽量性が要求される分野への展開が制約される問題があった。
一方、特許文献3には、PTT系複合糸のウースター斑を2.0%以下とすることにより、美しい布帛表面を得ることが開示されている。しかし、単にウースター斑が2.0%以下であっても、織物にバンド状の染め斑が発生する場合がある。ウースター斑の測定において、該特許文献3に開示されるようなノーマルモードで糸長50〜100mについての斑を測定するだけでは、織物の染め品位と一致しないことが本発明者らの研究で明らかになった。即ち、PTT系複合糸は、溶融粘性が異なる2つの成分を接合させるために、糸長方向で不規則な繊度変動が生じる場合があり、これらのさらなる改良が求められていた。
こうした糸長方向の不規則な繊度変動は、少なくとも糸長約2000mにわたってイナートモードでウースター斑を測定しなければ判明しないことが明らかになった。
こうした糸長方向の不規則な繊度変動は、少なくとも糸長約2000mにわたってイナートモードでウースター斑を測定しなければ判明しないことが明らかになった。
更に、特許文献4には、雪だるま型や楕円型などの扁平断面を有するPTT系複合糸が開示されている。しかし、該特許文献に開示されるような雪だるま型や楕円型の断面は、接合面が糸長方向に不均一となり易く、その結果、複合糸を構成する単糸の断面積が不揃いになる。このような不均一性のために、繊度変動値U%が1.2%を越えたり、糸長方向に繊度が変動し、バンド状の欠点が生じることが明らかになった。
従って、織物に使用してバンド状斑や、スジ状欠点の発生がなく、良好な表面平坦性と表面品位を有し、しかも適度な経ストレッチ性を呈することができるPTT系複合糸の出現が強く求められていた。
従って、織物に使用してバンド状斑や、スジ状欠点の発生がなく、良好な表面平坦性と表面品位を有し、しかも適度な経ストレッチ性を呈することができるPTT系複合糸の出現が強く求められていた。
本発明の課題は、織物において、バンド状斑やスジ状欠点の発生による表面品位欠点を解消することである。
本発明の目的は、織物で良好な表面品位を有し、しかも適度なストレッチ性を呈することができる、PTT系複合糸及びその製造方法を提供することにある。
本発明の目的は、織物で良好な表面品位を有し、しかも適度なストレッチ性を呈することができる、PTT系複合糸及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、PTT系複合糸の製造において、ポリマー吐出条件と冷却条件の特定により、前記繊度変動値U%が飛躍的に改良されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の第1の発明は、2つのポリエステル成分がサイド−バイ−サイド型、または偏心鞘芯型に貼り合わされた単糸群からなり、単糸を構成する少なくとも一方の成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、下記(1)〜(6)の要件を満足することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート系複合糸である。
(1)単糸の断面形状が、扁平度1.2未満
(2)8.9×10-3cN/dtex負荷荷重の下に90℃で乾熱処理した後の伸縮伸長率(DCE10)が13%以上
(3)顕在捲縮率が15%以上
(4)構成する単糸の最大と最小の断面積比が2.0以下
(5)ノーマル法で測定される繊度変動値U%が1.2以下
(6)イナート法で測定される繊度変動値U%チャートにおいて、糸長方向に連続した波形の山と谷の差が平均デシテックスに対して8%以下
(但し、繊度変動値U%の測定は、糸長2000mにわたり測定する)
即ち本発明の第1の発明は、2つのポリエステル成分がサイド−バイ−サイド型、または偏心鞘芯型に貼り合わされた単糸群からなり、単糸を構成する少なくとも一方の成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、下記(1)〜(6)の要件を満足することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート系複合糸である。
(1)単糸の断面形状が、扁平度1.2未満
(2)8.9×10-3cN/dtex負荷荷重の下に90℃で乾熱処理した後の伸縮伸長率(DCE10)が13%以上
(3)顕在捲縮率が15%以上
(4)構成する単糸の最大と最小の断面積比が2.0以下
(5)ノーマル法で測定される繊度変動値U%が1.2以下
(6)イナート法で測定される繊度変動値U%チャートにおいて、糸長方向に連続した波形の山と谷の差が平均デシテックスに対して8%以下
(但し、繊度変動値U%の測定は、糸長2000mにわたり測定する)
本発明の第2の発明は、2つのポリエステル成分がサイド−バイ−サイド型、または偏心鞘芯型に貼り合わされた単糸群からなり、単糸を構成する少なくとも一方の成分がポリトリメチレンテレフタレートである複合糸を製造するに際し、以下の(A)〜(G)の要件を満足することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート系複合糸の製造方法である。
(A)2つのポリエステル成分の固有粘度差が、0.2〜0.9で溶融する。
(B)吐出孔あたりのポリマー吐出線速度を、4〜9m/分で吐出する。
(C)紡口面から冷却開始までの保温領域を50〜150mmとする。
(D)冷却風の時間変化を0.05m/秒以内とする。
(E)冷却風吹き出し面の上下、左右方向でのばらつきを0.05m/秒以内とする。
(F)冷却風吹き出し面から繊維までの距離を1〜60mmとする。
(G)紡口から集束位置までの距離を50〜200cmとする。
(A)2つのポリエステル成分の固有粘度差が、0.2〜0.9で溶融する。
(B)吐出孔あたりのポリマー吐出線速度を、4〜9m/分で吐出する。
(C)紡口面から冷却開始までの保温領域を50〜150mmとする。
(D)冷却風の時間変化を0.05m/秒以内とする。
(E)冷却風吹き出し面の上下、左右方向でのばらつきを0.05m/秒以内とする。
(F)冷却風吹き出し面から繊維までの距離を1〜60mmとする。
(G)紡口から集束位置までの距離を50〜200cmとする。
本発明によれば、良好な表面品位と適度なストレッチ性を有する経緯ストレッチ織物に最適なPTT系複合糸、およびそれを製造する製造法を提供することができた。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、2つのポリエステル成分がサイド−バイ−サイド型、または偏心鞘芯型に貼り合された単糸群からなる複合糸で、単糸を構成する少なくとも一方の成分がPTTであり、他方の成分が他のポリエステルからなるPTT系複合糸を対象とする。
即ち、PTTと他のポリエステルの組み合わせや、PTT同士の組み合わせを対象とする。
本発明におけるPTT系複合糸を構成する単糸の、少なくとも一方はPTTホモポリマーまたは、10モル%以下のその他のエステル繰り返し単位を含む共重合ポリトリメチレンテレフタレートである。
本発明は、2つのポリエステル成分がサイド−バイ−サイド型、または偏心鞘芯型に貼り合された単糸群からなる複合糸で、単糸を構成する少なくとも一方の成分がPTTであり、他方の成分が他のポリエステルからなるPTT系複合糸を対象とする。
即ち、PTTと他のポリエステルの組み合わせや、PTT同士の組み合わせを対象とする。
本発明におけるPTT系複合糸を構成する単糸の、少なくとも一方はPTTホモポリマーまたは、10モル%以下のその他のエステル繰り返し単位を含む共重合ポリトリメチレンテレフタレートである。
共重合成分の代表例は、以下のようなものが挙げられる。
酸性分としては、イソフタール酸や5−ナトリウムスルホイソフタル酸に代表される芳香族ジカルボン酸、アジピン酸やイタコン酸に代表される脂肪族ジカルボン酸等々である。グリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等々である。また、ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸もその例である。これらの複数が共重合されていても良い。
PTT系複合糸を構成する単糸の他のポリエステル成分としては、PTTの他、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と称す)、ポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」と称す)、またはこれらに第3成分を共重合させたものを用いられる。
共重合成分の代表例は、以下の如きものが挙げられる。
第3成分としては、酸性分としてイソフタール酸や5−ナトリウムスルホイソフタル酸に代表される芳香族ジカルボン酸、アジピン酸やイタコン酸に代表される脂肪族ジカルボン酸等々である。グリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等々である。また、ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸もその例である。これらの複数が共重合されていても良い。
酸性分としては、イソフタール酸や5−ナトリウムスルホイソフタル酸に代表される芳香族ジカルボン酸、アジピン酸やイタコン酸に代表される脂肪族ジカルボン酸等々である。グリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等々である。また、ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸もその例である。これらの複数が共重合されていても良い。
PTT系複合糸を構成する単糸の他のポリエステル成分としては、PTTの他、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と称す)、ポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」と称す)、またはこれらに第3成分を共重合させたものを用いられる。
共重合成分の代表例は、以下の如きものが挙げられる。
第3成分としては、酸性分としてイソフタール酸や5−ナトリウムスルホイソフタル酸に代表される芳香族ジカルボン酸、アジピン酸やイタコン酸に代表される脂肪族ジカルボン酸等々である。グリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等々である。また、ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸もその例である。これらの複数が共重合されていても良い。
本発明に使用するPTTポリマーの製造方法は、公知のもので良い。溶融重合のみで所定の固有粘度に相当する重合度とする1段階法や、一定の固有粘度までは溶融重合で重合度を上げ、続いて固相重合で所定の固有粘度に相当する重合度まで上げる2段階法である。
後者の固相重合を組み合わせる2段階法であることが、環状ダイマーの含有率を減少させる目的から、好ましい。
1段階法で重合度を所定の固有粘度とする場合には、紡糸に供給する以前に抽出処理などにより環状ダイマーを減少させておくことが望ましい。
本発明に使用するPTTポリマーは、トリメチレンテレフタレート環状ダイマーの含有率が2.5重量%以下であることが好ましい。トリメチレンテレフタレート環状ダイマーの含有率は、1.1重量%より少ないことが更に好ましい。更に好ましいトリメチレンテレフタレート環状ダイマー含有率は、1.0重量%以下である。
後者の固相重合を組み合わせる2段階法であることが、環状ダイマーの含有率を減少させる目的から、好ましい。
1段階法で重合度を所定の固有粘度とする場合には、紡糸に供給する以前に抽出処理などにより環状ダイマーを減少させておくことが望ましい。
本発明に使用するPTTポリマーは、トリメチレンテレフタレート環状ダイマーの含有率が2.5重量%以下であることが好ましい。トリメチレンテレフタレート環状ダイマーの含有率は、1.1重量%より少ないことが更に好ましい。更に好ましいトリメチレンテレフタレート環状ダイマー含有率は、1.0重量%以下である。
本発明においては、単糸を構成する成分が2成分ともにPTTであることが好ましい。成分の両方がPTTであると、優れたストレッチバック性が発現できる。
両方の成分がPTTである場合には、トリメチレンテレフタレート環状ダイマーの含有率が、いずれも1.1重量%以下のものを使用することが、複合糸中の環状ダイマー含有率を低減させる目的から望ましい。
本発明におけるPTT系複合糸の平均固有粘度は、0.6〜1.2dl/gの範囲であることが好ましい。
平均固有粘度が0.6dl/g未満では、得られる複合糸の強度が低く、布帛の機械的強度が低下し強度を要求されるスポーツ用途などへの使用が制約される。平均固有粘度が1.2dl/gを越えると、複合糸の製造段階で糸切れが生じ、安定した製造が困難となる。好ましい平均固有粘度は、0.7〜1.2dl/gである。また、そのときの両成分の固有粘度差が0.2〜0.9dl/gであることが更に好ましい。
両方の成分がPTTである場合には、トリメチレンテレフタレート環状ダイマーの含有率が、いずれも1.1重量%以下のものを使用することが、複合糸中の環状ダイマー含有率を低減させる目的から望ましい。
本発明におけるPTT系複合糸の平均固有粘度は、0.6〜1.2dl/gの範囲であることが好ましい。
平均固有粘度が0.6dl/g未満では、得られる複合糸の強度が低く、布帛の機械的強度が低下し強度を要求されるスポーツ用途などへの使用が制約される。平均固有粘度が1.2dl/gを越えると、複合糸の製造段階で糸切れが生じ、安定した製造が困難となる。好ましい平均固有粘度は、0.7〜1.2dl/gである。また、そのときの両成分の固有粘度差が0.2〜0.9dl/gであることが更に好ましい。
本発明において、2つのポリエステル成分の単糸断面における配合比率は、高粘度成分と低粘度成分の比率が40/60〜70/30であることが好ましい。高粘度成分の比率が40%未満になると、糸の強度が2cN/dtex未満となり、布帛の引き裂き強度が不十分となる。また、高粘度成分の比率が70%より大きいと捲縮性能が低下する。更に好ましい配合比率は、45/55〜65/35である。
本発明において、単糸の断面形状は、偏平度1.2未満であることが必要である。単糸の断面形状が偏平度1.2以上であると織物にした際、表面の滑らかさ、光沢等の品位が低下する。
本発明において、単糸の断面形状は、偏平度1.2未満であることが必要である。単糸の断面形状が偏平度1.2以上であると織物にした際、表面の滑らかさ、光沢等の品位が低下する。
本発明において、乾熱90℃伸縮伸長率が10%以上であることが必要である。乾熱90℃伸縮伸長率が10%未満では、経糸に使用した際、十分な経ストレッチが発現しない。好ましい乾熱90℃伸縮伸長率は13%以上である。
本発明において、顕在捲縮率が15%以上であることが必要である。顕在捲縮率が15%未満では、経糸に使用した際、経筋が顕著となり、品位欠点となる。好ましい顕在捲縮率は20%以上である。
本発明において、複合糸を構成する単糸の断面積比が、最大最小で2.0以下であることが必要である。断面積比が2.0より大きいと糸長方向の捲縮ばらつきが大きくなり、布帛の表面品位が低下する。好ましい断面積比は1.5以下である。
本発明において、ノーマル法で測定される繊度変動値U%が1.2%以下であることが必要である。繊度変動値U%が1.2%を超えると織物にした際、表面の斑が目立ち品位欠点となる。
本発明において、顕在捲縮率が15%以上であることが必要である。顕在捲縮率が15%未満では、経糸に使用した際、経筋が顕著となり、品位欠点となる。好ましい顕在捲縮率は20%以上である。
本発明において、複合糸を構成する単糸の断面積比が、最大最小で2.0以下であることが必要である。断面積比が2.0より大きいと糸長方向の捲縮ばらつきが大きくなり、布帛の表面品位が低下する。好ましい断面積比は1.5以下である。
本発明において、ノーマル法で測定される繊度変動値U%が1.2%以下であることが必要である。繊度変動値U%が1.2%を超えると織物にした際、表面の斑が目立ち品位欠点となる。
本発明において、イナート法で測定される繊度変動値U%チャートにおいて、糸長方向に連続した波形の山と谷のデシテックスの差が8%以下であることが必要である。糸長方向に連続した山と谷のデシテックスの差が8%より大きいと織物にした際、その部分がバンド状の斑となり、品位欠点となる。
また、繊度変動周波数解析による30〜80mの周期におけるCV値が0.5以下であることが好ましい。CV値が0.5より大きいと織物にした際バンド状の斑になることがある。
図1に、イナートモードで測定した糸長方向に繊度変動が発生した従来技術による複合糸のチャートを示す。図2には、同様の測定で繊度変動が解消された本発明の複合糸のチャートを示す。図2に示すような、長い糸長にわたってイナートモードで測定された繊度変動が解消されたPTT系複合糸とすることにより初めて、織物にバンド状の染め斑やスジ状欠点が発生することがなく、織物品位が良好とすることが出来る。
また、繊度変動周波数解析による30〜80mの周期におけるCV値が0.5以下であることが好ましい。CV値が0.5より大きいと織物にした際バンド状の斑になることがある。
図1に、イナートモードで測定した糸長方向に繊度変動が発生した従来技術による複合糸のチャートを示す。図2には、同様の測定で繊度変動が解消された本発明の複合糸のチャートを示す。図2に示すような、長い糸長にわたってイナートモードで測定された繊度変動が解消されたPTT系複合糸とすることにより初めて、織物にバンド状の染め斑やスジ状欠点が発生することがなく、織物品位が良好とすることが出来る。
本発明において、沸水処理前の複合糸が螺旋捲縮を有することが好ましい。沸水処理前の複合糸が螺旋捲縮を有せずランダムな捲縮であると、織物にした際、表面の滑らかさが低下すると共に厚み感のあるものになってしまい、品位の劣るものになりやすい。
本発明のPTT系複合糸は、乾熱収縮応力値が、0.15〜0.35cN/dtexであることが好ましい。乾熱収縮応力値が0.15cN/dtex未満では織物としたとき十分なストレッチが発現しにくい。また、0.35cN/dtexより大きいと織物の表面品位がざらつくことがある。更に好ましくは0.25〜0.33cN/dtexである。
本発明のPTT系複合糸は、乾熱収縮応力値が最大を示す温度が、160〜210℃であることが好ましい。乾熱収縮応力値が最大を示す温度が160℃未満では織物としたとき、生機を保管中に捲縮による収縮が起こり品位が悪くなることがある。また、210℃より大きいものは製造が困難である。更に好ましくは160〜190℃である。
本発明のPTT系複合糸は、乾熱収縮応力値が、0.15〜0.35cN/dtexであることが好ましい。乾熱収縮応力値が0.15cN/dtex未満では織物としたとき十分なストレッチが発現しにくい。また、0.35cN/dtexより大きいと織物の表面品位がざらつくことがある。更に好ましくは0.25〜0.33cN/dtexである。
本発明のPTT系複合糸は、乾熱収縮応力値が最大を示す温度が、160〜210℃であることが好ましい。乾熱収縮応力値が最大を示す温度が160℃未満では織物としたとき、生機を保管中に捲縮による収縮が起こり品位が悪くなることがある。また、210℃より大きいものは製造が困難である。更に好ましくは160〜190℃である。
本発明のPTT系複合糸は、破断伸度が25〜40%であることが好ましい。破断伸度が25%未満では、延伸切れが発生し工業的に安定した製造が困難となる。また、破断伸度が40%を越えると、破断強度が約2cN/dtex以下となり、織物の引き裂き強度が低下する。更に好ましい破断伸度は、25〜35%である。
本発明のPTT系複合糸の繊度や単糸繊度は、特に限定されないが、繊度は20〜300dtex、単糸繊度は0.5〜20dtexが使用される。
また、単糸断面形状は特に限定されるものではなく、丸、Y、W字状の異型断面や、中空断面形状などであってもよい。
本発明のPTT系複合糸には、本発明の効果を妨げない範囲で酸化チタン等のつや消し剤や、熱安定剤、酸化防止剤、制電剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、種々の顔料等の添加剤を含有または共重合として含んでいても良い。
本発明のPTT系複合糸の繊度や単糸繊度は、特に限定されないが、繊度は20〜300dtex、単糸繊度は0.5〜20dtexが使用される。
また、単糸断面形状は特に限定されるものではなく、丸、Y、W字状の異型断面や、中空断面形状などであってもよい。
本発明のPTT系複合糸には、本発明の効果を妨げない範囲で酸化チタン等のつや消し剤や、熱安定剤、酸化防止剤、制電剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、種々の顔料等の添加剤を含有または共重合として含んでいても良い。
以下、本発明の第2の発明である製造方法について説明する。
本発明の製造方法においては、2つのポリエステル成分の固有粘度差が、0.2〜0.9dl/gで溶融紡糸することが必要である。
固有粘度差が0.2未満だと、織物とした場合に、十分なストレッチ性や回復性が得られない。また、固有粘度差が0.9dl/gを越えると、紡口設計や吐出条件を変更しても、吐出時の糸曲がりや孔汚染が十分に解消されず、PTT系複合糸の繊度変動が大きくなり好ましくない。好ましい固有粘度差は、0.2〜0.8dl/gである。両方の成分がPTTである場合には、固有粘度差は0.2〜0.4dl/gであることが好ましい。
本発明の製造方法においては、紡口面から冷却開始までの保温領域を50〜150mmとすることが必要である。保温領域が50mmより短いとU%が1.2より大きくなると共に、破断強度が低下する。保温領域が150mmより長いとU%波形の高低差が8%より大きくなる。保温領域の好ましい長さは70〜130mmである。
本発明の製造方法においては、2つのポリエステル成分の固有粘度差が、0.2〜0.9dl/gで溶融紡糸することが必要である。
固有粘度差が0.2未満だと、織物とした場合に、十分なストレッチ性や回復性が得られない。また、固有粘度差が0.9dl/gを越えると、紡口設計や吐出条件を変更しても、吐出時の糸曲がりや孔汚染が十分に解消されず、PTT系複合糸の繊度変動が大きくなり好ましくない。好ましい固有粘度差は、0.2〜0.8dl/gである。両方の成分がPTTである場合には、固有粘度差は0.2〜0.4dl/gであることが好ましい。
本発明の製造方法においては、紡口面から冷却開始までの保温領域を50〜150mmとすることが必要である。保温領域が50mmより短いとU%が1.2より大きくなると共に、破断強度が低下する。保温領域が150mmより長いとU%波形の高低差が8%より大きくなる。保温領域の好ましい長さは70〜130mmである。
本発明の製造方法では、紡口吐出線速度が4〜9m/分であることが必要である。線速度が4m/分以下となるとU%の波形が大きくなり、連続した波形の山と谷の差が8%を超える。また、線速度が9m/分より大きくなると糸曲がりが大きくなると共に紡口孔周辺が汚れるため、安定した紡糸ができなくなる。好ましい吐出線速度範囲は、4〜8m/分である。
本発明の製造方法においては、冷却風の風速時間変化が0.05m/秒以下であることが必要である。風速時間変化が0.05m/秒より大きいとU%が悪化し、U%が1.2%より大きくなるかまたは連続した波形の山と谷の差が8%より大きくなる。
本発明の製造方法においては、冷却風吹き出し板の上下左右方向の冷却風ばらつきが、0.05m/秒以下であることが必要である。冷却風速ばらつきが0.05m/秒より大きいとU%が悪化し、U%が1.2%より大きくなるかまたは連続した波形の山と谷の差が8%より大きくなる。
冷却風の時間変化、吹き出し面のばらつきを小さくする方法として、冷却風吹き出し板の圧損を高くする、冷却風吹き出し板の面積を小さくする、冷却風の送り圧を一定にする等がある。
本発明の製造方法においては、冷却風吹き出し面から繊維までの距離を1〜60mmとすることが必要である。冷却風吹き出し面から繊維までの距離が1mm未満だと糸が吹き出し面に当り、糸切れする。また、吹き出し面から60mmより大きいと冷却が不均一となり、U%が悪化する。好ましい冷却風吹き出し面から繊維までの距離は1〜50mmである。冷却風吹き出し面から繊維までの距離を調整する方法として、何層かのスリットを有し、冷却風整流効果がある整流箱を冷却風吹き出し板の前に設置することができる。
本発明の製造方法においては、冷却風の風速時間変化が0.05m/秒以下であることが必要である。風速時間変化が0.05m/秒より大きいとU%が悪化し、U%が1.2%より大きくなるかまたは連続した波形の山と谷の差が8%より大きくなる。
本発明の製造方法においては、冷却風吹き出し板の上下左右方向の冷却風ばらつきが、0.05m/秒以下であることが必要である。冷却風速ばらつきが0.05m/秒より大きいとU%が悪化し、U%が1.2%より大きくなるかまたは連続した波形の山と谷の差が8%より大きくなる。
冷却風の時間変化、吹き出し面のばらつきを小さくする方法として、冷却風吹き出し板の圧損を高くする、冷却風吹き出し板の面積を小さくする、冷却風の送り圧を一定にする等がある。
本発明の製造方法においては、冷却風吹き出し面から繊維までの距離を1〜60mmとすることが必要である。冷却風吹き出し面から繊維までの距離が1mm未満だと糸が吹き出し面に当り、糸切れする。また、吹き出し面から60mmより大きいと冷却が不均一となり、U%が悪化する。好ましい冷却風吹き出し面から繊維までの距離は1〜50mmである。冷却風吹き出し面から繊維までの距離を調整する方法として、何層かのスリットを有し、冷却風整流効果がある整流箱を冷却風吹き出し板の前に設置することができる。
本発明の製造方法においては、紡口から吐出した糸条の集束位置を紡口面より50〜200cmにすることが必要である。集束位置が50cm未満だと糸条の固化が不十分であるため、融着や糸切れが生じる。また、200cmより大きいと糸揺れが激しくなり、U%不良、糸切れが生じる。好ましい集束位置は紡口面より80〜160cmである。
本発明の製造に用いる紡糸口金の吐出孔は、鉛直方向に対し20〜60度の傾斜を有していることが好ましい。吐出孔の鉛直方向に対する傾斜角とは、図4中でθ(度)を指す。
鉛直方向に対して孔が傾斜していることは、組成または固有粘度の異なる2種のポリエステルを吐出する際に、溶融粘性差に起因する糸曲りを解消する重要な要件である。
吐出孔が傾斜を有していない場合には、例えばPTT同士の組み合わせで固有粘度差が拡大する程、吐出直後のフィラメントが固有粘度の高い方向へ曲がる、いわゆるベンディング現象が発生し、安定した紡糸が困難となる。
本発明の製造に用いる紡糸口金の吐出孔は、鉛直方向に対し20〜60度の傾斜を有していることが好ましい。吐出孔の鉛直方向に対する傾斜角とは、図4中でθ(度)を指す。
鉛直方向に対して孔が傾斜していることは、組成または固有粘度の異なる2種のポリエステルを吐出する際に、溶融粘性差に起因する糸曲りを解消する重要な要件である。
吐出孔が傾斜を有していない場合には、例えばPTT同士の組み合わせで固有粘度差が拡大する程、吐出直後のフィラメントが固有粘度の高い方向へ曲がる、いわゆるベンディング現象が発生し、安定した紡糸が困難となる。
図4においては、固有粘度の高いPTTポリマーをA側に、固有粘度の低い他のポリエステルまたはPTTポリマーをB側に供給して吐出することが好ましい。例えば、PTTポリマー同士で、固有粘度差が約0.2以上においては、ベンディングを解消し安定した紡糸を実現するには、吐出孔が鉛直方向に対して20度以上傾斜していることが好ましい。極限粘度差を拡大する場合には、傾斜角度は更に大きくすることが好ましい。しかし、傾斜角度が60度を越えると、吐出部が楕円形となり安定した紡糸が困難となる。また、孔の製作そのものにも困難を伴う。
更に好ましい傾斜角度は30〜50度である。
更に好ましい傾斜角度は30〜50度である。
本発明の製造方法においては、紡糸、冷却した後、未延伸糸を一旦巻き取り、別工程で延伸する2段階紡糸法でも紡糸、延伸を連続しておこなう連続紡糸延伸法のどちらでも良い。
本発明の製造方法において、連続紡糸延伸法を用いる場合、巻取速度を4000m/分以下で巻取ることが好ましい。
巻取速度が4000m/分を越えると、巻取後のパッケージが経時的に収縮し、パッケージの端部に起因する周期的斑が発生し、織物の品位が低下することがある。更に好ましい巻取速度は、2500〜3800m/分である。
本発明の製造方法においては、紡糸速度を1000〜3000m/分で紡糸し、延伸後、熱処理することが好ましい。紡糸速度が1000m/分未満では、織物の染め品位が低下することがある。紡糸速度が3000m/分を越えると、延伸後のPTT系複合糸の破断強度が約2cN/dtex以下となり、強度を要求される分野への展開が制約されることがあると共に糸切れが増加する。更に好ましい紡糸速度は、1000〜2600m/分である。
本発明の製造方法において、連続紡糸延伸法を用いる場合、巻取速度を4000m/分以下で巻取ることが好ましい。
巻取速度が4000m/分を越えると、巻取後のパッケージが経時的に収縮し、パッケージの端部に起因する周期的斑が発生し、織物の品位が低下することがある。更に好ましい巻取速度は、2500〜3800m/分である。
本発明の製造方法においては、紡糸速度を1000〜3000m/分で紡糸し、延伸後、熱処理することが好ましい。紡糸速度が1000m/分未満では、織物の染め品位が低下することがある。紡糸速度が3000m/分を越えると、延伸後のPTT系複合糸の破断強度が約2cN/dtex以下となり、強度を要求される分野への展開が制約されることがあると共に糸切れが増加する。更に好ましい紡糸速度は、1000〜2600m/分である。
本発明の製造方法には、以下に述べる紡糸口金および延伸条件以外は公知の2軸押出機を有する複合紡糸用設備を用いて製造することができる。
図5及び図6に、本発明の製造方法に用いる複合紡糸設備の模式図を示す。
まず、一方の成分を乾燥機1で20ppm以下の水分率までに乾燥されたPTTペレットを250〜260℃の温度に設定された押出機2に供給し溶融する。他方の成分を同様にして、乾燥機3および押出機4により溶融する。
溶融PTTは、その後ベンド5及び6を経て250〜275℃に設定されたスピンヘッド7に送液され、ギヤポンプで別々に計量される。その後、スピンパック8に装着された複数の孔を有する紡糸口金9で2種の成分が合流し、サイド−バイ−サイド貼り合わせた後、糸10として紡糸チャンバー内に押し出される。
図5及び図6に、本発明の製造方法に用いる複合紡糸設備の模式図を示す。
まず、一方の成分を乾燥機1で20ppm以下の水分率までに乾燥されたPTTペレットを250〜260℃の温度に設定された押出機2に供給し溶融する。他方の成分を同様にして、乾燥機3および押出機4により溶融する。
溶融PTTは、その後ベンド5及び6を経て250〜275℃に設定されたスピンヘッド7に送液され、ギヤポンプで別々に計量される。その後、スピンパック8に装着された複数の孔を有する紡糸口金9で2種の成分が合流し、サイド−バイ−サイド貼り合わせた後、糸10として紡糸チャンバー内に押し出される。
紡口直下に設けた非送風領域11を通過した後、紡糸チャンバー内に押し出されたPTT糸10は、冷却風12によって室温まで冷却され固化し、所定の速度で回転する引取ゴデットロール13、14によって所定の繊度の未延伸糸パッケージ15として巻き取られる。
未延伸糸15は、引取ゴデットロール13に接する前に、仕上げ剤付与装置16によって仕上げ剤が付与される。
本発明の製造法において、未延伸繊維に付与する仕上げ剤は、水系エマルジョンタイプが使用される。
仕上げ剤の水系エマルジョンの濃度は、15重量%以上好ましくは20〜35重量%が採用される。
未延伸糸15は、引取ゴデットロール13に接する前に、仕上げ剤付与装置16によって仕上げ剤が付与される。
本発明の製造法において、未延伸繊維に付与する仕上げ剤は、水系エマルジョンタイプが使用される。
仕上げ剤の水系エマルジョンの濃度は、15重量%以上好ましくは20〜35重量%が採用される。
未延伸糸の製造においては、巻取速度を3000m/分以下で巻き取ることが好ましい。より好ましい巻取速度は、1000〜2000m/分であり、更に好ましくは1200〜1800m/分である。
未延伸糸は、次に延伸工程に供給され、図6に示すような延伸機で延伸される。延伸工程に供給するまでに、未延伸糸の保存環境は、雰囲気温度を10〜25℃、相対湿度75〜100%に保っておくことが好ましい。
また、延伸機上の未延伸繊維は延伸中を通してこの温度、湿度に保持することが好ましい。
未延伸糸は、次に延伸工程に供給され、図6に示すような延伸機で延伸される。延伸工程に供給するまでに、未延伸糸の保存環境は、雰囲気温度を10〜25℃、相対湿度75〜100%に保っておくことが好ましい。
また、延伸機上の未延伸繊維は延伸中を通してこの温度、湿度に保持することが好ましい。
延伸機上では、まず未延伸糸パッケージ15は45〜65℃に設定された供給ロール17上で加熱され、供給ロール17と延伸ロール20との周速度比を利用して所定の繊度まで延伸される。繊維は延伸後あるいは延伸中に、100〜180℃に設定されたホットプレート19に接触しながら走行し、緊張熱処理を受ける。延伸ロールを出た繊維はスピンドルによって撚りをかけられながら、延伸糸パーン22として巻取る。
より好ましくは、供給ロール温度は50〜60℃、更に好ましくは52〜58℃である。
本発明では、必要に応じて、延伸ロール17とホットプレート19の間に延伸ピン18を設け、延伸を行っても良い。
延伸ロール19を出た延伸糸は、トラベラーガイド21によりバルーンを形成しつつ延伸糸パーン22に巻き取られる。
より好ましくは、供給ロール温度は50〜60℃、更に好ましくは52〜58℃である。
本発明では、必要に応じて、延伸ロール17とホットプレート19の間に延伸ピン18を設け、延伸を行っても良い。
延伸ロール19を出た延伸糸は、トラベラーガイド21によりバルーンを形成しつつ延伸糸パーン22に巻き取られる。
本発明に製造方法に用いる紡糸口金の模式図を図4に示す。
図4において、(イ)は分配板で、(ロ)は紡糸口金である固有粘度の異なるA、Bのポリトリメチレンテレフタレートは、分配板(イ)から紡口(ロ)に供給される。紡口より吐出した糸は、100〜250mmの非送風領域を通過した後、冷却風により室温まで固化して一旦未延伸糸として巻取ることが好ましい。この非送風領域を設けることにより、高固有粘度成分の前配向が抑制され高い強度を得ることができる。
本発明において、複合糸の延伸応力を0.10〜0.25cN/dtexにすることが好ましい。延伸応力が0.15cN/dtex未満だと供給・延伸ロール間の糸走が不安定になり、U%の値が本発明の範囲に入らないことがある。また、0.25cN/dtexより大きいと、延伸での糸切れが発生しやすくなる。更に好ましい範囲は0.15〜0.25cN/dtexである。
図4において、(イ)は分配板で、(ロ)は紡糸口金である固有粘度の異なるA、Bのポリトリメチレンテレフタレートは、分配板(イ)から紡口(ロ)に供給される。紡口より吐出した糸は、100〜250mmの非送風領域を通過した後、冷却風により室温まで固化して一旦未延伸糸として巻取ることが好ましい。この非送風領域を設けることにより、高固有粘度成分の前配向が抑制され高い強度を得ることができる。
本発明において、複合糸の延伸応力を0.10〜0.25cN/dtexにすることが好ましい。延伸応力が0.15cN/dtex未満だと供給・延伸ロール間の糸走が不安定になり、U%の値が本発明の範囲に入らないことがある。また、0.25cN/dtexより大きいと、延伸での糸切れが発生しやすくなる。更に好ましい範囲は0.15〜0.25cN/dtexである。
本発明において、複合糸に撚り及び/又は交絡を付与するには、例えば、図6に例示する方式の延伸機を採用する場合には、延伸ロール19の速度と、延伸パーン22の回転数の比によって設定することができる。また、延伸ロール19の下部に公知の交絡付与設備を設置して、交絡を付与することができる。
延伸後の複合糸は、パーン形状に巻取るにあたり、バルーンニング張力を0.03〜0.15cN/dtexとすることが好ましい。バルーニング張力は、顕在捲縮複合糸の捲縮特性を長期間の保管に亘っても安定に維持するのに好ましい要件である。バルーニング張力が0.15cN/dtexを越えると、パーン硬度が90を越え、長期間の保管によって顕在捲縮性が低下することがある。バルーニング張力が0.03cN/dtex未満では、パーン硬度が80未満となり、輸送時にパーン形状が荷崩れするなどの障害が生じることがある。好ましいバルーニング張力は、0.05〜0.10cN/dtexである。
延伸後の複合糸は、パーン形状に巻取るにあたり、バルーンニング張力を0.03〜0.15cN/dtexとすることが好ましい。バルーニング張力は、顕在捲縮複合糸の捲縮特性を長期間の保管に亘っても安定に維持するのに好ましい要件である。バルーニング張力が0.15cN/dtexを越えると、パーン硬度が90を越え、長期間の保管によって顕在捲縮性が低下することがある。バルーニング張力が0.03cN/dtex未満では、パーン硬度が80未満となり、輸送時にパーン形状が荷崩れするなどの障害が生じることがある。好ましいバルーニング張力は、0.05〜0.10cN/dtexである。
本発明において、紡糸口金から吐出し一旦冷却固化して未延伸として巻取り、その後延伸するいわゆる紡糸―延伸を2段階で行うことが好ましい。この未延伸糸の保管においては、未延伸糸の水分含有率や保管温度を留意することがこのましい。未延伸糸の水分含有率が高い場合や、保管温度が高いと未延伸糸パッケージの端面に起因する繊度の周期的変動が生じ、繊度変動値U%が1.2%を越える恐れがある。未延伸の水分含有率は2重量%以下、好ましくは1重量%以下とすることが好ましい。保管温度は、25℃以下好ましくは22℃以下とすることが好ましい。
本発明の製造方法においては、発明の目的を損なわない範囲であれば、紡糸−延伸を連続して行う直接紡糸延伸法を採用しても良い。また、チーズ状パッケージに巻取るに際しては、巻取張力を0.03〜0.15cN/dtexとすることが好ましい。
本発明のPTT系複合糸を織物に用いる際は、無撚のままでもよく、または収束性を高める目的で、交絡もしくは撚りを付与しても良い。撚りを付与する場合には、撚係数を5000以下にすることが好ましい。
撚係数は次式で表される。
撚数T(回/m)=撚係数k/(仮撚加工糸の繊度;dtex)1/2
本発明のPTT系複合糸を織物に用いる際は、無撚のままでもよく、または収束性を高める目的で、交絡もしくは撚りを付与しても良い。撚りを付与する場合には、撚係数を5000以下にすることが好ましい。
撚係数は次式で表される。
撚数T(回/m)=撚係数k/(仮撚加工糸の繊度;dtex)1/2
本発明のPTT系複合糸は、単独で使用しても良く、または、他の繊維と複合して使用しても本発明の効果を発揮できる。複合は、長繊維のままでも、あるいは短繊維として使用してもよい。
複合する他の繊維としては、例えば他のポリエステル繊維やナイロン、アクリル、キュプラ、レーヨン、アセテート、ポリウレタン弾性繊維などの化合繊や、綿、麻、絹、ウールなどの天然繊維が選ばれるが、これらに限られるものではない。また、複合は長繊維でも短繊維であっても良い。
または複合糸と他の繊維とを混繊複合した織物とするには、混繊複合糸は、他の繊維をインターレース混繊、インターレース混繊後延伸仮撚、どちらか一方のみ仮撚しその後インターレース混繊、両方別々に仮撚後インターレース混繊、どちらか一方をタスラン加工後インターレース混繊、インターレース混繊後タスラン加工、タスラン混繊、等の種々の混繊方法によって製造することができる。かかる方法によって得た混繊複合糸には、交絡度が10個/m以上、好ましくは15〜50個/m付与することが好ましい。
複合する他の繊維としては、例えば他のポリエステル繊維やナイロン、アクリル、キュプラ、レーヨン、アセテート、ポリウレタン弾性繊維などの化合繊や、綿、麻、絹、ウールなどの天然繊維が選ばれるが、これらに限られるものではない。また、複合は長繊維でも短繊維であっても良い。
または複合糸と他の繊維とを混繊複合した織物とするには、混繊複合糸は、他の繊維をインターレース混繊、インターレース混繊後延伸仮撚、どちらか一方のみ仮撚しその後インターレース混繊、両方別々に仮撚後インターレース混繊、どちらか一方をタスラン加工後インターレース混繊、インターレース混繊後タスラン加工、タスラン混繊、等の種々の混繊方法によって製造することができる。かかる方法によって得た混繊複合糸には、交絡度が10個/m以上、好ましくは15〜50個/m付与することが好ましい。
以下に実施例をもって本発明を更に詳細に説明するが、言うまでもなく本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
なお、実施例において行った物性の測定方法及び測定条件を説明する。
(1)固有粘度
固有粘度[η]は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
定義式中のηrは純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したPTTポリマーの稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで現されるポリマー濃度である。
なお、実施例において行った物性の測定方法及び測定条件を説明する。
(1)固有粘度
固有粘度[η]は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
定義式中のηrは純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したPTTポリマーの稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで現されるポリマー濃度である。
(2)繊度変動値U%・U%波形高低差・繊度変動周波数解析
以下の方法で繊度変動値チャート(グラフ;Diagram Mass)を求めると同時にU%を測定する。
測定器 イブネステスター(ツェルベガーウースター社製;ウースターテスター:UT−4)
測定条件
測定法 ノーマル
糸速度 100m/分
テンション設定(Tension) AUTO
撚り(Twist) S10000rpm
測定糸長 2000m
スケール ±10.0%
・繊度変動値U%
変動チャート及び表示される変動値を直読した。
・U%波形高低差
測定法をイナートにし、糸長2000mとする以外は上記と同じ条件で測定し、チャートを取る。その後、糸長方向に連続した山と谷の高低差で最大のものを読み取る。
・繊度変動周波数解析
イヴネステスターに付属の繊度変動周波数解析ソフトを用い上記条件で2000m測定し、周期とCV値を読む。
以下の方法で繊度変動値チャート(グラフ;Diagram Mass)を求めると同時にU%を測定する。
測定器 イブネステスター(ツェルベガーウースター社製;ウースターテスター:UT−4)
測定条件
測定法 ノーマル
糸速度 100m/分
テンション設定(Tension) AUTO
撚り(Twist) S10000rpm
測定糸長 2000m
スケール ±10.0%
・繊度変動値U%
変動チャート及び表示される変動値を直読した。
・U%波形高低差
測定法をイナートにし、糸長2000mとする以外は上記と同じ条件で測定し、チャートを取る。その後、糸長方向に連続した山と谷の高低差で最大のものを読み取る。
・繊度変動周波数解析
イヴネステスターに付属の繊度変動周波数解析ソフトを用い上記条件で2000m測定し、周期とCV値を読む。
(3)冷却風速度時間変動
冷却風吹き出し板の中央部を風速計クリモマスター6543(日本カノマックス製)で5分間測定し、チャートを書かせる。この間の風速最大値と最小値を読み、その差を冷却風速度時間変動とする。
(4)冷却風吹き出し面の上下左右方向ばらつき
冷却風吹き出し板の上から50cmの間、左右方向は紡糸口金の幅プラス左右5cmの冷却風速を2cmきざみで風速計クリモマスター6543(日本カノマックス製)で測定し、最大、最小冷却風速の差をばらつきとする。
(5)冷却風吹き出し面から繊維までの距離
紡口面下200mmにおける冷却風吹き出し面から繊維までの距離で吹き出し板より最も遠いマルチフィラメント中の単糸について測定する。
冷却風吹き出し板の中央部を風速計クリモマスター6543(日本カノマックス製)で5分間測定し、チャートを書かせる。この間の風速最大値と最小値を読み、その差を冷却風速度時間変動とする。
(4)冷却風吹き出し面の上下左右方向ばらつき
冷却風吹き出し板の上から50cmの間、左右方向は紡糸口金の幅プラス左右5cmの冷却風速を2cmきざみで風速計クリモマスター6543(日本カノマックス製)で測定し、最大、最小冷却風速の差をばらつきとする。
(5)冷却風吹き出し面から繊維までの距離
紡口面下200mmにおける冷却風吹き出し面から繊維までの距離で吹き出し板より最も遠いマルチフィラメント中の単糸について測定する。
(6)乾熱収縮応力値
熱応力測定装置(カネボウエンジニアリング社製、商品名KE−2)を用いて測定した。
繊維を約20cm長の長さに切り取り、これの両端を結んで輪をつくり測定器に装填する。初荷重0.05cN/dtex、昇温速度100℃/分の条件で測定し、熱応力の温度変化をチャートに書かせる。熱収縮応力は、高温域で山型の曲線を描く。このピーク値の読み取り値(cN)から、下記式で求められる値を乾熱収縮応力値とした。
乾熱収縮応力値(cN/dtex)=
(ピーク値の読み取り値 cN)/(dtex×2)−初荷重(cN/dtex)
熱応力測定装置(カネボウエンジニアリング社製、商品名KE−2)を用いて測定した。
繊維を約20cm長の長さに切り取り、これの両端を結んで輪をつくり測定器に装填する。初荷重0.05cN/dtex、昇温速度100℃/分の条件で測定し、熱応力の温度変化をチャートに書かせる。熱収縮応力は、高温域で山型の曲線を描く。このピーク値の読み取り値(cN)から、下記式で求められる値を乾熱収縮応力値とした。
乾熱収縮応力値(cN/dtex)=
(ピーク値の読み取り値 cN)/(dtex×2)−初荷重(cN/dtex)
(7)乾熱90℃伸縮伸長率
糸を周長1.125mの検尺機で10回かせ取りし、8.8×10-3cN/dtexの荷重を掛けた状態で、90℃設定のオーブン中に15分間熱処理する。処理後、JIS−L−1013に定められた恒温恒湿室に一昼夜静置した。次いで、かせに以下に示す荷重を掛けてかせ長を測定し、以下の式から伸縮伸長率を測定する。
乾熱90℃伸縮伸長率%(DCE10)=〔(L2−L1)/L1〕×100
但し、 L1=2×10-3cN/dtex荷重付加時のかせ長
L2=0.09cN/dtex荷重付加時のかせ長
糸を周長1.125mの検尺機で10回かせ取りし、8.8×10-3cN/dtexの荷重を掛けた状態で、90℃設定のオーブン中に15分間熱処理する。処理後、JIS−L−1013に定められた恒温恒湿室に一昼夜静置した。次いで、かせに以下に示す荷重を掛けてかせ長を測定し、以下の式から伸縮伸長率を測定する。
乾熱90℃伸縮伸長率%(DCE10)=〔(L2−L1)/L1〕×100
但し、 L1=2×10-3cN/dtex荷重付加時のかせ長
L2=0.09cN/dtex荷重付加時のかせ長
(8)顕在捲縮率
糸を周長1.125mの検尺機で10回かせ取りし、フリーの状態でJIS−L−1013に定められた恒温恒湿室に一昼夜静置した。次いで、かせに以下に示す荷重を掛けてかせ長を測定し、以下の式から顕在捲縮率を測定する。
顕在捲縮率 =〔(L2−L1)/L2〕×100
但し、 L1=2×10-3cN/dtex荷重付加時のかせ長
L2=0.18cN/dtex荷重付加時のかせ長
(9)捲縮の形態
糸を周長1.125mの検尺機で10回かせ取りし、無荷重で沸騰水中で30分間熱処理する。ついで風乾した後、マイクロスコープを用い倍率150倍で捲縮の形態を観察する。
糸を周長1.125mの検尺機で10回かせ取りし、フリーの状態でJIS−L−1013に定められた恒温恒湿室に一昼夜静置した。次いで、かせに以下に示す荷重を掛けてかせ長を測定し、以下の式から顕在捲縮率を測定する。
顕在捲縮率 =〔(L2−L1)/L2〕×100
但し、 L1=2×10-3cN/dtex荷重付加時のかせ長
L2=0.18cN/dtex荷重付加時のかせ長
(9)捲縮の形態
糸を周長1.125mの検尺機で10回かせ取りし、無荷重で沸騰水中で30分間熱処理する。ついで風乾した後、マイクロスコープを用い倍率150倍で捲縮の形態を観察する。
(10)紡糸安定性
1錘当たり8エンドの紡口を装着した溶融紡糸装置で2日間未延伸糸を紡糸し、その後、延撚機を用いて延伸し、各実施例ごとに糸切れを確認した。
この期間中の糸切れの発生回数と、得られた複合糸パーンに存在する毛羽の発生頻度(毛羽発生パーンの数の比率)から、以下のように判定した。
◎ ; 糸切れ0回、毛羽発生パーン比率 5%以下
○ ; 糸切れ2回以内、毛羽発生パーン比率 10%未満
× ; 糸切れ3回以上、毛羽発生パーン比率 10%以上
1錘当たり8エンドの紡口を装着した溶融紡糸装置で2日間未延伸糸を紡糸し、その後、延撚機を用いて延伸し、各実施例ごとに糸切れを確認した。
この期間中の糸切れの発生回数と、得られた複合糸パーンに存在する毛羽の発生頻度(毛羽発生パーンの数の比率)から、以下のように判定した。
◎ ; 糸切れ0回、毛羽発生パーン比率 5%以下
○ ; 糸切れ2回以内、毛羽発生パーン比率 10%未満
× ; 糸切れ3回以上、毛羽発生パーン比率 10%以上
(11)織物の品位評価
織物の作成は以下のように行った。
経糸に本発明の各実施例および比較例の56dtex/24f複合糸、緯糸にソロテックス(株)の84dtex/36fPTT単成分糸を用いて平織物を作成した。
経密度 110本/2.54cm
緯密度 98本/2.54cm
織機 津田駒工業社製 ウォータージェットルームZW−303
製織速度 450回転/分
得られた生機を、オープンソーパーにて95℃で連続精練後、120℃でシリンダー乾燥した後、液流染色機にて120℃で染色を行った。次いで、175℃で仕上、幅だし熱セットの一連の処理を行った。
得られた織物を、熟練した検査技術者が検査し、染め品位を以下のように判定した。
◎ ;経スジ、斑などの欠点なく、極めて良好
○ ;経スジ、斑などの欠点なく、良好
× ;経スジ、斑のいずれかの欠点があり、不良
織物の作成は以下のように行った。
経糸に本発明の各実施例および比較例の56dtex/24f複合糸、緯糸にソロテックス(株)の84dtex/36fPTT単成分糸を用いて平織物を作成した。
経密度 110本/2.54cm
緯密度 98本/2.54cm
織機 津田駒工業社製 ウォータージェットルームZW−303
製織速度 450回転/分
得られた生機を、オープンソーパーにて95℃で連続精練後、120℃でシリンダー乾燥した後、液流染色機にて120℃で染色を行った。次いで、175℃で仕上、幅だし熱セットの一連の処理を行った。
得られた織物を、熟練した検査技術者が検査し、染め品位を以下のように判定した。
◎ ;経スジ、斑などの欠点なく、極めて良好
○ ;経スジ、斑などの欠点なく、良好
× ;経スジ、斑のいずれかの欠点があり、不良
〔実施例1〜4、比較例1〜6〕
本実施例では、紡口面から冷却開始までの保温領域の長さ及び冷却風速度の時間変動、冷却風吹き出し板の冷却風速度ばらつきの効果について説明する。
一方の成分として、表1に示すように酸化チタンを0.4重量%含む極限粘度1.3のPTTと、他方の成分として酸化チタンを0.4重量%含む極限粘度0.9のPTTペレットを図5、6のような紡糸機及び延撚機を用いて、56dtex/24フィラメントPTT複合糸パーンを製造した。
本実施例における紡糸条件は、以下の通りである。
(紡糸条件)
ペレット乾燥温度及び到達水分率 120℃、15ppm
押出機温度 A軸250℃
B軸250℃(PTT)
290℃(PET)
スピンヘッド温度 265℃(PTT/PTT複合)
275℃(PTT/PET複合)
ポリマー吐出量 延伸糸の繊度が56デシテックスとなるように各条件ごとに設定
非送風領域 125mm
冷却風条件 温度 22℃、相対湿度 90%
速度 0.4m/sec
仕上げ剤 ポリエーテルエステルを主成分とする水系エマルジョン:濃度20重量%
引取速度 1500m/分
本実施例では、紡口面から冷却開始までの保温領域の長さ及び冷却風速度の時間変動、冷却風吹き出し板の冷却風速度ばらつきの効果について説明する。
一方の成分として、表1に示すように酸化チタンを0.4重量%含む極限粘度1.3のPTTと、他方の成分として酸化チタンを0.4重量%含む極限粘度0.9のPTTペレットを図5、6のような紡糸機及び延撚機を用いて、56dtex/24フィラメントPTT複合糸パーンを製造した。
本実施例における紡糸条件は、以下の通りである。
(紡糸条件)
ペレット乾燥温度及び到達水分率 120℃、15ppm
押出機温度 A軸250℃
B軸250℃(PTT)
290℃(PET)
スピンヘッド温度 265℃(PTT/PTT複合)
275℃(PTT/PET複合)
ポリマー吐出量 延伸糸の繊度が56デシテックスとなるように各条件ごとに設定
非送風領域 125mm
冷却風条件 温度 22℃、相対湿度 90%
速度 0.4m/sec
仕上げ剤 ポリエーテルエステルを主成分とする水系エマルジョン:濃度20重量%
引取速度 1500m/分
(未延伸糸)
繊度 延伸後の繊度が56デシテックスとなるように設定
水分含有率 0.5重量%
保管温度 22℃
(延伸条件)
延伸速度 800m/分
スピンドル回転数 8000回/分
延伸ロール温度 58℃
ホットプレート温度 140℃
インターレース圧力 交絡度に応じた圧力を設定
バルーニング張力 0.07cN/dtex
(延伸糸パーン)
繊度/フィラメント 56dtex/24f
巻量 2.5kg
撚数 20回/m
パーン硬度 84
繊度 延伸後の繊度が56デシテックスとなるように設定
水分含有率 0.5重量%
保管温度 22℃
(延伸条件)
延伸速度 800m/分
スピンドル回転数 8000回/分
延伸ロール温度 58℃
ホットプレート温度 140℃
インターレース圧力 交絡度に応じた圧力を設定
バルーニング張力 0.07cN/dtex
(延伸糸パーン)
繊度/フィラメント 56dtex/24f
巻量 2.5kg
撚数 20回/m
パーン硬度 84
表1から明らかなように、保温領域の長さ、冷却風速の時間変動、冷却風吹き出し板の冷却風ばらつき、冷却風吹き出し面から繊維までの距離が本発明の範囲であれば、得られる繊維は本願の要件を満たし、それを経糸に用いた織物は良好な品位を有す。
〔実施例5〜6、比較例7〜8〕
本実施例では、PTT系複合糸の吐出線速度と繊維のU%の効果について説明する。
実施例1の条件で紡口孔径を変え複合糸を巻取った。得られた複合糸及び織物の物性を、表2に示す。表2から明らかなように、吐出線速度が本発明の範囲であれば、良好なU%及び織物品位を示す。
本実施例では、PTT系複合糸の吐出線速度と繊維のU%の効果について説明する。
実施例1の条件で紡口孔径を変え複合糸を巻取った。得られた複合糸及び織物の物性を、表2に示す。表2から明らかなように、吐出線速度が本発明の範囲であれば、良好なU%及び織物品位を示す。
〔実施例7〜9、比較例9〜10〕
本実施例においては、ポリマー固有粘度差の効果について説明する。
実施例1の条件でポリマー及び極限粘度を変更し複合糸を巻き取った。得られた複合糸及び織物の物性を、表3に示す。表3から明らかなように、ポリマー固有粘度差が本発明の範囲で物性が本発明の範囲であれば、良好な紡糸性と織物ストレッチ性能を有する。
本実施例においては、ポリマー固有粘度差の効果について説明する。
実施例1の条件でポリマー及び極限粘度を変更し複合糸を巻き取った。得られた複合糸及び織物の物性を、表3に示す。表3から明らかなように、ポリマー固有粘度差が本発明の範囲で物性が本発明の範囲であれば、良好な紡糸性と織物ストレッチ性能を有する。
〔実施例10〜11、比較例11〜12〕
本実施例においては、単糸断面形状の効果について説明する。
実施例1の条件で、紡口形状を変更し、複合糸を巻き取った。得られた複合糸及び織物の物性を、表4に示す。表4から明らかなように、単糸断面形状が本発明の範囲である実施例10〜11は良好な織物品位を示すが、2種の孔径を混在させた紡口で紡糸した断面積比が2より大きい比較例11と2つの円を接合した紡口孔形状で紡糸した偏平度が1.2より大きい比較例12は織物品位が悪いものとなった。
本実施例においては、単糸断面形状の効果について説明する。
実施例1の条件で、紡口形状を変更し、複合糸を巻き取った。得られた複合糸及び織物の物性を、表4に示す。表4から明らかなように、単糸断面形状が本発明の範囲である実施例10〜11は良好な織物品位を示すが、2種の孔径を混在させた紡口で紡糸した断面積比が2より大きい比較例11と2つの円を接合した紡口孔形状で紡糸した偏平度が1.2より大きい比較例12は織物品位が悪いものとなった。
編織物、なかでもストレッチ性能を付与したストレッチ編織物用の糸として好ましくは用いられる。
1:ポリマーチップ乾燥機
2:押出機
3:ポリマーチップ乾燥機
4:押出機
5:ベンド
6:ベンド
7:スピンヘッド
8:スピンパック
9:紡糸口金
10:マルチフィラメント
11:保温領域
12:冷却風
13:仕上げ剤付与装置
14:第1ゴデットロール
15:未延伸パッケージ
16:仕上げ剤付与装置
17:供給ロール
18:延伸ピン
19:ホットプレート
20:延伸ロール
21:トラベラーガイド
22:延伸パーン
2:押出機
3:ポリマーチップ乾燥機
4:押出機
5:ベンド
6:ベンド
7:スピンヘッド
8:スピンパック
9:紡糸口金
10:マルチフィラメント
11:保温領域
12:冷却風
13:仕上げ剤付与装置
14:第1ゴデットロール
15:未延伸パッケージ
16:仕上げ剤付与装置
17:供給ロール
18:延伸ピン
19:ホットプレート
20:延伸ロール
21:トラベラーガイド
22:延伸パーン
Claims (7)
- 2つのポリエステル成分がサイド−バイ−サイド型、または偏心鞘芯型に貼り合わされた単糸群からなり、単糸を構成する少なくとも一方の成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、下記(1)〜(6)の要件を満足することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート系複合糸。
(1)単糸の断面形状が、扁平度1.2未満
(2)8.9×10-3cN/dtex負荷荷重の下に90℃で乾熱処理した後の伸縮伸長率(DCE10)が10%以上
(3)顕在捲縮率が15%以上
(4)構成する単糸の最大と最小の断面積比が2.0以下
(5)ノーマル法で測定される繊度変動値U%が1.2以下
(6)イナート法で測定される繊度変動値U%チャートにおいて、糸長方向に連続した波形の山と谷の差が平均デシテックスに対して8%以下
(但し、繊度変動値U%の測定は、糸長2000mにわたり測定する) - 繊度変動周波数解析による30〜80mの周期におけるCV値が0.5%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリトリメチレンテレフタレート系複合糸。
(但し、繊度変動値U%の測定は、糸長2000mにわたり測定する) - 乾熱収縮応力値が0.15〜0.35cN/dtex、乾熱収縮応力が最大を示す温度が160℃〜200℃であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリトリメチレンテレフタレート系複合糸。
- 沸水処理前の複合糸が螺旋捲縮を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリトリメチレンテレフタレート系複合糸。
- 単糸を構成する両方の成分が、ポリトリメチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリトリメチレンテレフタレート系複合糸。
- 2つのポリエステル成分がサイド−バイ−サイド型、または偏心鞘芯型に貼り合わされた単糸群からなり、単糸を構成する少なくとも一方の成分がポリトリメチレンテレフタレートである複合糸を製造するに際し、以下の(A)〜(G)の要件を満足することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート系複合糸の製造方法。
(A)2つのポリエステル成分の固有粘度差が0.2〜0.9で溶融する。
(B)吐出孔あたりのポリマー吐出線速度を4〜9m/分で吐出する。
(C)紡口面から冷却開始までの保温領域を50〜150mmとする。
(D)冷却風の時間変化を0.05m/秒以内とする。
(E)冷却風吹き出し面の上下、左右方向でのばらつきを0.05m/秒以内とする。
(F)冷却風吹き出し面から繊維までの距離を1〜60mmとする。
(G)紡口から集束位置までの距離を50〜200cmとする。 - 延伸応力が0.1〜0.25cN/dtexとなるように延伸することを特徴とする請求項6に記載のポリトリメチレンテレフタレート系複合糸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004169500A JP2005350780A (ja) | 2004-06-08 | 2004-06-08 | 織物用複合糸及びその製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005350780A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007262610A (ja) * | 2006-03-28 | 2007-10-11 | Teijin Fibers Ltd | 混繊糸 |
-
2004
- 2004-06-08 JP JP2004169500A patent/JP2005350780A/ja active Pending
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JP2007262610A (ja) * | 2006-03-28 | 2007-10-11 | Teijin Fibers Ltd | 混繊糸 |
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