JP2005347512A - 磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気抵抗効果素子を構成する各層の面に対して垂直な方向に電流を流したときに大きな磁気抵抗変化を得ることができるようにする。
【解決手段】MR素子5は、非磁性導電層24と、非磁性導電層24における一方の面に隣接するように配置され、外部磁界に応じて磁化の方向が変化するフリー層25と、非磁性導電層24の他方の面に隣接するように配置され、磁化の方向が固定されたピンド層23とを備えている。フリー層25は、第1の磁性層F1および第2の磁性層F2と、これら2つの磁性層F1,F2の間に配置された結合層40とを有している。第2の磁性層F2は、第1の磁性層F1よりもピンド層23に近い位置に配置され、2つの磁性層F1,F2は、結合層40を介して反強磁性的に結合している。第1の磁性層F1のバルク散乱係数βは負の値であり、第2の磁性層F2のバルク散乱係数βは正の値である。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子、ならびに、この磁気抵抗効果素子を有する薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置に関する。
近年、磁気ディスク装置の面記録密度の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。薄膜磁気ヘッドとしては、基板に対して、読み出し用の磁気抵抗効果素子(以下、MR(Magnetoresistive)素子とも記す。)を有する再生ヘッドと書き込み用の誘導型電磁変換素子を有する記録ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。
MR素子としては、異方性磁気抵抗(Anisotropic Magnetoresistive)効果を用いたAMR素子や、巨大磁気抵抗(Giant Magnetoresistive)効果を用いたGMR素子や、トンネル磁気抵抗(Tunnel-type Magnetoresistive)効果を用いたTMR素子等がある。
再生ヘッドの特性としては、高感度および高出力であることが要求される。この要求を満たす再生ヘッドとして、既に、スピンバルブ型GMR素子を用いたGMRヘッドが量産されている。最近では、面記録密度の更なる向上に対応するために、TMR素子を用いた再生ヘッドの開発が進められている。
スピンバルブ型GMR素子は、一般的には、互いに反対側を向く2つの面を有する非磁性導電層と、この非磁性導電層の一方の面に隣接するように配置されたフリー層と、非磁性導電層の他方の面に隣接するように配置されたピンド層と、このピンド層における非磁性導電層とは反対側の面に隣接するように配置された反強磁性層とを有している。フリー層は信号磁界に応じて磁化の方向が変化する層である。ピンド層は、磁化の方向が固定された強磁性層である。反強磁性層は、ピンド層との交換結合により、ピンド層における磁化の方向を固定する層である。
ところで、従来のGMRヘッドでは、磁気的信号検出用の電流(以下、センス電流という。)を、GMR素子を構成する各層の面に対して平行な方向に流す構造になっていた。このような構造は、CIP(Current In Plane)構造と呼ばれる。これに対し、センス電流を、GMR素子を構成する各層の面に対して垂直な方向に流す構造のGMRヘッドの開発も進められている。このような構造は、CPP(Current Perpendicular to Plane)構造と呼ばれる。以下、CPP構造の再生ヘッドに用いられるGMR素子をCPP−GMR素子と呼び、CIP構造の再生ヘッドに用いられるGMR素子をCIP−GMR素子と呼ぶ。なお、前述のTMR素子を用いた再生ヘッドもCPP構造となる。
CPP−GMR素子は、TMR素子に比べて抵抗が小さいことや、トラック幅が小さくなったときにCIP−GMR素子に比べて大きな出力が得られること等の利点があることから、高い将来性を持つものとして期待されている。
ところで、CPP−GMR素子における磁気抵抗変化は、磁性層内におけるスピンに依存した電子の散乱(以下、バルク散乱と言う。)と、隣接する2つの層の界面におけるスピンに依存した電子の散乱(以下、界面散乱と言う。)とに起因する。バルク散乱による磁気抵抗変化は、磁性層内における上向きスピンの電気伝導率と下向きスピンの電気伝導率との非対称性によって生じる。同様に、界面散乱による磁気抵抗変化は、界面における上向きスピンの電気伝導率と下向きスピンの電気伝導率との非対称性によって生じる。
磁性層内における上向きスピンの電気伝導率と下向きスピンの電気伝導率との非対称性は、バルク散乱係数βで表される。具体的には、磁性層内における上向きスピンの電気伝導率をσb↑、磁性層内における下向きスピンの電気伝導率をσb↓とすると、バルク散乱係数βは、以下の式で表される。
β=(σb↑−σb↓)/(σb↑+σb↓)
同様に、界面における上向きスピンの電気伝導率と下向きスピンの電気伝導率との非対称性は、界面散乱係数γで表される。具体的には、界面における上向きスピンの電気伝導率をσi↑、界面における下向きスピンの電気伝導率をσi↓とすると、界面散乱係数γは、以下の式で表される。
γ=(σi↑−σi↓)/(σi↑+σi↓)
バルク散乱係数βの絶対値が大きいほど磁気抵抗変化は大きくなる。同様に、界面散乱係数γの絶対値が大きいほど磁気抵抗変化は大きくなる。
バルク散乱係数βは、磁性層を構成する材料に依存し、界面散乱係数γは、隣接する2つの層を構成する材料の組み合わせに依存する。非特許文献1には、各種の材料についてバルク散乱係数βおよび界面散乱係数γを求めた結果が示されている。
ところで、CPP−GMR素子では、CIP−GMR素子とは異なり、磁気抵抗変化に対して、界面散乱の寄与のみならず、磁性体中を電子が伝導することによるバルク(体積)散乱の寄与も無視できない効果を持つ。そのため、CPP−GMR素子において大きな磁気抵抗効果を得るためには、磁性層であるフリー層の厚さを大きくし、バルク散乱を利用することが効果的である。しかしながら、フリー層の厚さを大きくすると、フリー層の磁化が大きくなる。その結果、フリー層の磁化の方向を、ハードバイアス磁界によってピンド層の磁化の方向に直交する方向に向けることが難しくなる。そのため、フリー層の厚さを大きくした場合には、磁性層の厚さの増加によるGMR素子の出力電圧の増加は期待できるが、GMR素子の出力波形は著しく劣化するという問題が生じる。
そこで、例えば特許文献1に示されるように、フリー層をシンセティック構造とすることも提案されている。このシンセティック構造のフリー層は、2つの磁性層が非磁性結合層を介してRKKY相互作用によって反強磁性的に結合した構造になっている。このシンセティック構造のフリー層では、シンセティック構造ではない通常のフリー層に比べて、実効的な磁化を小さくすることができる。以下、シンセティック構造のフリー層における2つの磁性層のうち、ピンド層から遠い方の磁性層を第1磁性層と呼び、ピンド層に近い方の磁性層を第2磁性層と呼ぶ。
特許文献1には、シンセティック構造のフリー層の第1磁性層に2つの領域を設ける技術が記載されている。2つの領域のうち、非磁性結合層から遠い方の領域はCr等、比抵抗を上げる元素を含有し、非磁性結合層に近い方の領域は、そのような元素を含有していない。特許文献1に記載された技術によれば、CIP−GMR素子において、センス電流が第1磁性層に分流することによる抵抗変化率の低下を防止できると共にフリー層における2つの磁性層のRKKY相互作用による結合磁界を大きくすることができる。
特開2003−188440号公報 フィジカル・レビュー・ビー(Physical Review B),米国,アメリカン・フィジカル・ソサイアティ(The American Physical Society),1999年9月1日,第60巻,第9号,p.6710−6722
シンセティック構造のフリー層を有するCPP−GMR素子では、以下のような固有の問題点がある。すなわち、このCPP−GMR素子では、第1磁性層の磁化と第2磁性層の磁化は互いに逆方向を向いている。このCPP−GMR素子における磁気抵抗変化は、主に第2磁性層の磁化の方向の変化に伴う磁気抵抗変化である。しかし、CPP−GMR素子では、GMR素子を構成する各層の面に対して垂直な方向に電流が流れる。そのため、CPP−GMR素子の出力電圧は、第2磁性層の磁気抵抗と、これに直列に接続される第1磁性層の磁気抵抗との合成抵抗に依存する。ここで、第2磁性層の磁化の方向がピンド層の磁化の方向に対して反平行であるときに、第1磁性層の磁化の方向はピンド層の磁化の方向に対して平行になる。また、一般的に、第1磁性層と第2磁性層のバルク散乱係数βは、いずれも正の値である。これらのことから、第1磁性層は、CPP−GMR素子の磁気抵抗変化を減少させる働きを持ってしまう。そのため、従来は、シンセティック構造のフリー層を有するCPP−GMR素子の磁気抵抗変化を大きくすることが難しかった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、磁気抵抗効果素子を構成する各層の面に対して垂直な方向に電流を流したときに大きな磁気抵抗変化を得ることができるようにした磁気抵抗効果素子、ならびに、この磁気抵抗効果素子を有する薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置を提供することにある。
本発明の磁気抵抗効果素子は、互いに反対側を向く2つの面を有する非磁性導電層と、非磁性導電層における一方の面に隣接するように配置され、外部磁界に応じて磁化の方向が変化するフリー層と、非磁性導電層の他方の面に隣接するように配置され、磁化の方向が固定されたピンド層とを備えている。本発明において、フリー層は、それぞれ磁性材料よりなる層を含む第1および第2の磁性層と、第1および第2の磁性層の間に配置された非磁性材料よりなる結合層とを有し、第2の磁性層は、第1の磁性層よりもピンド層に近い位置に配置され、第1および第2の磁性層は、結合層を介して反強磁性的に結合している。また、第1の磁性層のバルク散乱係数は負の値であり、第2の磁性層のバルク散乱係数は正の値である。
本発明の磁気抵抗効果素子では、フリー層における第1の磁性層のバルク散乱係数が負の値であり、フリー層における第2の磁性層のバルク散乱係数が正の値であることから、第1の磁性層の磁化の方向の変化は、磁気抵抗効果素子の磁気抵抗変化を増加させるように働く。
本発明の磁気抵抗効果素子において、第1の磁性層のバルク散乱係数の絶対値は、0.1以上であってもよい。
また、本発明の磁気抵抗効果素子において、第1の磁性層は、コバルト、鉄、ニッケルのいずれかを含むがクロム、バナジウム、マンガンのいずれをも含まない磁性合金よりなる第1の磁性合金層と、コバルト、鉄、ニッケルのいずれかおよびクロム、バナジウム、マンガンのいずれかを含む磁性合金よりなる第2の磁性合金層とを、それぞれ1層以上有する積層体からなるものであってもよい。
第2の磁性合金層は、鉄をa原子%、クロムを(100−a)原子%含み、aが50以上、80以下である磁性合金よりなるものであってもよい。
また、第2の磁性合金層は、鉄をa原子%、バナジウムを(100−a)原子%含み、aが60以上、80以下である磁性合金よりなるものであってもよい。
また、第2の磁性合金層は、ニッケルをa原子%、クロムを(100−a)原子%含み、aが50以上、70以下である磁性合金よりなるものであってもよい。
また、本発明の磁気抵抗効果素子において、第1の磁性層は、コバルトを0.9×a原子%、鉄を0.1×a原子%、クロムを(100−a)原子%含み、aが60以上、80以下である磁性合金よりなる層を有していてもよい。
また、本発明の磁気抵抗効果素子において、第1の磁性層は、コバルトを0.9×a原子%、鉄を0.1×a原子%、バナジウムを(100−a)原子%含み、aが60以上、80以下である磁性合金よりなる層を有していてもよい。
本発明の薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面と、記録媒体からの信号磁界を検出するために媒体対向面の近傍に配置された本発明の磁気抵抗効果素子と、磁気的信号検出用の電流を、磁気抵抗効果素子に対して、磁気抵抗効果素子を構成する各層の面に対して垂直な方向に流すための一対の電極とを備えたものである。
本発明のヘッドジンバルアセンブリは、本発明の薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、スライダを弾性的に支持するサスペンションとを備えたものである。また、本発明のヘッドアームアセンブリは、本発明の薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、スライダを弾性的に支持するサスペンションと、スライダを記録媒体のトラック横断方向に移動させるためのアームとを備え、サスペンションがアームに取り付けられているものである。
本発明の磁気ディスク装置は、本発明の薄膜磁気ヘッドを含み、回転駆動される円盤状の記録媒体に対向するように配置されるスライダと、スライダを支持すると共に記録媒体に対して位置決めする位置決め装置とを備えたものである。
本発明の磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリまたは磁気ディスク装置では、フリー層における第1の磁性層のバルク散乱係数が負の値であり、フリー層における第2の磁性層のバルク散乱係数が正の値であることから、第1の磁性層の磁化の方向の変化は、磁気抵抗効果素子の磁気抵抗変化を増加させるように働く。これにより、本発明によれば、磁気抵抗効果素子を構成する各層の面に対して垂直な方向に電流を流したときに大きな磁気抵抗変化を得ることが可能になるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図2および図3を参照して、本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成および製造方法の概略について説明する。図2は薄膜磁気ヘッドのエアベアリング面および基板に垂直な断面を示す断面図、図3は薄膜磁気ヘッドの磁極部分のエアベアリング面に平行な断面を示す断面図である。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、まず、アルティック(Al23・TiC)等のセラミック材料よりなる基板1の上に、スパッタリング法等によって、アルミナ(Al23)等の絶縁材料よりなる絶縁層2を、例えば1〜5μmの厚さに形成する。次に、絶縁層2の上に、めっき法等によって、NiFe、FeAlSi等の磁性材料よりなる再生ヘッド用の第1のシールド層3を、所定のパターンに形成する。次に、図示しないが、全体に、例えばアルミナよりなる絶縁層を形成する。次に、例えば化学機械研磨(以下、CMPという。)によって、第1のシールド層3が露出するまで絶縁層を研磨して、第1のシールド層3および絶縁層の上面を平坦化する。
次に、第1のシールド層3の上に、再生用のMR素子5を形成する。次に、図示しないが、MR素子5の2つの側部および第1のシールド層3の上面を覆うように絶縁膜を形成する。絶縁膜は、アルミナ等の絶縁材料によって形成される。次に、絶縁膜を介してMR素子5の2つの側部に隣接するように2つのバイアス磁界印加層18を形成する。次に、MR素子5およびバイアス磁界印加層18の周囲に配置されるように絶縁層7を形成する。絶縁層7は、アルミナ等の絶縁材料によって形成される。
次に、MR素子5、バイアス磁界印加層18および絶縁層7の上に、磁性材料からなり、記録ヘッドの下部磁極層を兼ねた再生ヘッドの第2のシールド層8を形成する。なお、第2のシールド層8に用いる磁性材料は、NiFe、CoFe、CoFeNi、FeN等の軟磁性材料である。第2のシールド層8は、例えばめっき法またはスパッタリング法によって形成される。なお、第2のシールド層8の代わりに、第2のシールド層と、この第2のシールド層の上にスパッタリング法等によって形成されたアルミナ等の非磁性材料よりなる分離層と、この分離層の上に形成された下部磁極層とを設けてもよい。
次に、第2のシールド層8の上に、スパッタリング法等によって、アルミナ等の非磁性材料よりなる記録ギャップ層9を、例えば50〜300nmの厚さに形成する。次に、磁路形成のために、後述する薄膜コイルの中心部分において、記録ギャップ層9を部分的にエッチングしてコンタクトホール9aを形成する。
次に、記録ギャップ層9の上に、例えば銅(Cu)よりなる薄膜コイルの第1層部分10を、例えば2〜3μmの厚さに形成する。なお、図2において、符号10aは、第1層部分10のうち、後述する薄膜コイルの第2層部分15に接続される接続部を表している。第1層部分10は、コンタクトホール9aの周囲に巻回される。
次に、薄膜コイルの第1層部分10およびその周辺の記録ギャップ層9を覆うように、フォトレジスト等の、加熱時に流動性を有する有機絶縁材料よりなる絶縁層11を所定のパターンに形成する。次に、絶縁層11の表面を平坦にするために所定の温度で熱処理する。この熱処理により、絶縁層11の外周および内周の各端縁部分は、丸みを帯びた斜面形状となる。
次に、絶縁層11のうちの後述するエアベアリング面20側の斜面部分からエアベアリング面20側にかけての領域において、記録ギャップ層9および絶縁層11の上に、記録ヘッド用の磁性材料によって、上部磁極層12のトラック幅規定層12aを形成する。上部磁極層12は、このトラック幅規定層12aと、後述する連結部分層12bおよびヨーク部分層12cとで構成される。
トラック幅規定層12aは、記録ギャップ層9の上に形成され、上部磁極層12の磁極部分となる先端部と、絶縁層11のエアベアリング面20側の斜面部分の上に形成され、ヨーク部分層12cに接続される接続部とを有している。先端部の幅は記録トラック幅と等しくなっている。接続部の幅は、先端部の幅よりも大きくなっている。
トラック幅規定層12aを形成する際には、同時に、コンタクトホール9aの上に磁性材料よりなる連結部分層12bを形成すると共に、接続部10aの上に磁性材料よりなる接続層13を形成する。連結部分層12bは、上部磁極層12のうち、第2のシールド層8に磁気的に連結される部分を構成する。
次に、磁極トリミングを行う。すなわち、トラック幅規定層12aの周辺領域において、トラック幅規定層12aをマスクとして、記録ギャップ層9および第2のシールド層8の磁極部分における記録ギャップ層9側の少なくとも一部をエッチングする。これにより、図3に示したように、上部磁極層12の磁極部分、記録ギャップ層9および第2のシールド層8の磁極部分の少なくとも一部の各幅が揃えられたトリム(Trim)構造が形成される。このトリム構造によれば、記録ギャップ層9の近傍における磁束の広がりによる実効的なトラック幅の増加を防止することができる。
次に、全体に、アルミナ等の無機絶縁材料よりなる絶縁層14を、例えば3〜4μmの厚さに形成する。次に、この絶縁層14を、例えばCMPによって、トラック幅規定層12a、連結部分層12bおよび接続層13の表面に至るまで研磨して平坦化する。
次に、平坦化された絶縁層14の上に、例えば銅(Cu)よりなる薄膜コイルの第2層部分15を、例えば2〜3μmの厚さに形成する。なお、図2において、符号15aは、第2層部分15のうち、接続層13を介して薄膜コイルの第1層部分10の接続部10aに接続される接続部を表している。第2層部分15は、連結部分層12bの周囲に巻回される。
次に、薄膜コイルの第2層部分15およびその周辺の絶縁層14を覆うように、フォトレジスト等の、加熱時に流動性を有する有機絶縁材料よりなる絶縁層16を所定のパターンに形成する。次に、絶縁層16の表面を平坦にするために所定の温度で熱処理する。この熱処理により、絶縁層16の外周および内周の各端縁部分は、丸みを帯びた斜面形状となる。
次に、トラック幅規定層12a、絶縁層14,16および連結部分層12bの上に、パーマロイ等の記録ヘッド用の磁性材料によって、上部磁極層12のヨーク部分を構成するヨーク部分層12cを形成する。ヨーク部分層12cのエアベアリング面20側の端部は、エアベアリング面20から離れた位置に配置されている。また、ヨーク部分層12cは、連結部分層12bを介して第2のシールド層8に接続されている。
次に、全体を覆うように、例えばアルミナよりなるオーバーコート層17を形成する。最後に、上記各層を含むスライダの機械加工を行って、記録ヘッドおよび再生ヘッドを含む薄膜磁気ヘッドのエアベアリング面20を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
このようにして製造される薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面としてのエアベアリング面20と再生ヘッドと記録ヘッドとを備えている。再生ヘッドの構成については、後で詳しく説明する。
記録ヘッドは、エアベアリング面20側において互いに対向する磁極部分を含むと共に、互いに磁気的に連結された下部磁極層(第2のシールド層8)および上部磁極層12と、この下部磁極層の磁極部分と上部磁極層12の磁極部分との間に設けられた記録ギャップ層9と、少なくとも一部が下部磁極層および上部磁極層12の間に、これらに対して絶縁された状態で配設された薄膜コイル10,15とを有している。この薄膜磁気ヘッドでは、図2に示したように、エアベアリング面20から、絶縁層11のエアベアリング面20側の端部までの長さが、スロートハイトTHとなる。なお、スロートハイトとは、エアベアリング面20から、2つの磁極層の間隔が開き始める位置までの長さ(高さ)をいう。
次に、図1を参照して、再生ヘッドの構成について詳しく説明する。図1は再生ヘッドのエアベアリング面に平行な断面を示す断面図である。
本実施の形態における再生ヘッドは、所定の間隔を開けて配置された第1のシールド層3および第2のシールド層8と、第1のシールド層3と第2のシールド層8との間に配置されたMR素子5と、MR素子5の2つの側部および第1のシールド層3の上面を覆う絶縁膜6と、絶縁膜6を介してMR素子5の2つの側部に隣接する2つのバイアス磁界印加層18とを備えている。絶縁膜6は、例えばアルミナによって形成される。バイアス磁界印加層18は、硬磁性層(ハードマグネット)や、強磁性層と反強磁性層との積層体等を用いて構成される。具体的には、バイアス磁界印加層18は、例えばCoPtやCoCrPtによって形成される。
本実施の形態における再生ヘッドは、CPP構造の再生ヘッドである。第1のシールド層3と第2のシールド層8は、センス電流を、MR素子5に対して、MR素子5を構成する各層の面に対して垂直な方向に流すための一対の電極を兼ねている。なお、第1のシールド層3および第2のシールド層8とは別に、MR素子5の上下に一対の電極を設けてもよい。MR素子5は、スピンバルブ型GMR素子である。MR素子5は、外部磁界、すなわち記録媒体からの信号磁界に応じて抵抗値が変化する。センス電流は、MR素子5を構成する各層の面に対して垂直な方向に流れる。MR素子5の抵抗値はセンス電流より求めることができる。このようにして、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生することができる。
MR素子5は、第1のシールド層3の上に順に積層された下地層21、反強磁性層22、ピンド層23、非磁性導電層24、フリー層25および保護層26を備えている。ピンド層23は磁化の方向が固定された層であり、反強磁性層22は、ピンド層23との交換結合により、ピンド層23における磁化の方向を固定する層である。下地層21は、その上に形成される各層の結晶性や配向性を向上させ、特に、反強磁性層22とピンド層23との交換結合を良好にするために設けられる。フリー層25は、外部磁界、すなわち記録媒体からの信号磁界に応じて磁化の方向が変化する層である。保護層26は、その下の各層を保護するための層である。
下地層21の厚さは、例えば2〜6nmである。下地層21としては、例えばTa層とNiFeCr層との積層体が用いられる。
反強磁性層22の厚さは、例えば5〜30nmである。反強磁性層22は、例えば、Pt、Ru、Rh、Pd、Ni、Cu、Ir、CrおよびFeからなる群のうちの少なくとも1種MIIと、Mnとを含む反強磁性材料により構成されている。このうちMnの含有量は35原子%以上95原子%以下、その他の元素MIIの含有量は5原子%以上65原子%以下であることが好ましい。この反強磁性材料には、熱処理しなくても反強磁性を示し、強磁性材料との間に交換結合磁界を誘起する非熱処理系反強磁性材料と、熱処理により反強磁性を示すようになる熱処理系反強磁性材料とがある。この反強磁性層22は、そのどちらにより構成されていてもよい。
なお、非熱処理系反強磁性材料にはγ相を有するMn合金等があり、具体的には、RuRhMn、FeMnあるいはIrMn等がある。熱処理系反強磁性材料には規則結晶構造を有するMn合金等があり、具体的には、PtMn、NiMnおよびPtRhMn等がある。
ピンド層23では、反強磁性層22との界面における交換結合により、磁化の向きが固定されている。本実施の形態におけるピンド層23は、反強磁性層22の上に順に積層された第2ピンド層AP2、結合層30および第1ピンド層AP1を有し、いわゆるシンセティックピンド層になっている。第1ピンド層AP1と第2ピンド層AP2は、例えば、CoおよびFeからなる群のうちの少なくともCoを含む強磁性材料により構成された磁性層を含んでいる。特に、この強磁性材料の(111)面は積層方向に配向していることが好ましい。第1ピンド層AP1および第2ピンド層AP2を構成する材料には、B等の添加物が加えられていてもよい。第1ピンド層AP1と第2ピンド層AP2は、反強磁性的に結合し、磁化の方向が互いに逆方向に固定されている。第1ピンド層AP1の厚さは、例えば3〜7nmである。第2ピンド層AP2の厚さは、例えば3〜7nmである。
また、第1ピンド層AP1は、1つの磁性層によって構成されていてもよいし、磁性層の他にCu層等の非磁性層を含む複数の層によって構成されていてもよい。例えば、第1ピンド層AP1は、CoFe層とCu層を交互に2〜5回繰り返し積層した上にCoFe層を積層した構造であってもよい。この例において、CoFe層を構成するCoFeの組成は、例えば、Co:90原子%、Fe:10原子%や、Co:50原子%、Fe:50原子%である。このように、第1ピンド層AP1を、磁性層の他にCu層等の非磁性層を含む複数の層によって構成することにより、第1ピンド層AP1の中に、界面散乱係数γが比較的大きな界面を多く形成でき、その結果、MR素子5の磁気抵抗変化を大きくすることが可能になる。
ピンド層23における結合層30の厚さは、例えば0.2〜1.2nmである。結合層30は、例えば、Ru、Rh、Ir、Re、Cr、ZrおよびCuからなる群のうち少なくとも1種を含む非磁性材料により構成されている。この結合層30は、第1ピンド層AP1と第2ピンド層AP2の間に反強磁***換結合を生じさせ、第1ピンド層AP1の磁化と第2ピンド層AP2の磁化とを互いに逆方向に固定するためのものである。なお、第1ピンド層AP1の磁化と第2ピンド層AP2の磁化が互いに逆方向というのは、これら2つの磁化の方向が互いに180°異なる場合のみならず、2つの磁化の方向が180°±20°異なる場合を含む。
非磁性導電層24の厚さは、例えば1.0〜4.0nmである。非磁性導電層24は、例えば、Cu、AuおよびAgからなる群のうち少なくとも1種を80重量%以上含む非磁性の導電性材料により構成されている。
本実施の形態におけるフリー層25は、非磁性導電層24の上に順に積層された第2の磁性層F2、結合層40および第1の磁性層F1を有している。磁性層F1,F2は、それぞれ磁性材料よりなる層を含んでいる。結合層40の厚さは、例えば0.2〜1.2nmである。結合層40は、例えば、Ru、Rh、Ir、Re、Cr、ZrおよびCuからなる群のうち少なくとも1種を含む非磁性材料により構成されている。結合層40の具体例としては、0.4〜0.8nmのRu層や、0.6〜0.8nmのRh層が挙げられる。第2の磁性層F2は、第1の磁性層F1よりもピンド層23に近い位置に配置されている。第1および第2の磁性層F1,F2は、結合層40を介してRKKY相互作用によって反強磁性的に結合している。すなわち、第1の磁性層F1の磁化の方向と第2の磁性層F2の磁化の方向は、互いに逆方向になっている。ただし、第2の磁性層F2の磁化の大きさは、第1の磁性層F1の磁化の大きさよりも大きい。そのため、信号磁界がない状態では、第2の磁性層F2の磁化の方向がバイアス磁界の方向に揃えられている。
第1の磁性層F1の厚さは、例えば1.0〜4.0nmである。第1の磁性層F1の特徴については、後で詳しく説明する。第2の磁性層F2の厚さは、例えば2.0〜6.0nmである。第2の磁性層F2は、例えば、Ni、CoおよびFeからなる群のうちの少なくともCoを含む磁性材料により構成されている。具体的には、第2の磁性層F2は、(111)面が積層方向に配向しているCoxFeyNi100-(x+y)により構成されることが好ましい。式中、x,yはそれぞれ原子%で70≦x≦100、0≦y≦25の範囲内である。
保護層26の厚さは、例えば0.5〜10nmである。保護層26としては、例えば、厚さ5.0nmのCu層と厚さ5.0nmのRu層との積層体が用いられる。
MR素子5を構成する各層は、例えばスパッタリング法によって形成される。また、MR素子5の形成工程では、MR素子5を構成する各層を形成した後、ピンド層23における磁化方向を固定するために、磁界中で、例えば270℃、4時間のアニール(熱処理)を行なう。MR素子5の上面の形状は、例えば、縦0.1μm、横0.1μmの正方形である。なお、MR素子5の層の構成は、図1に示した構成と上下が逆の構成であってもよい。
次に、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの作用について説明する。薄膜磁気ヘッドは、記録ヘッドによって記録媒体に情報を記録し、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生する。
再生ヘッドにおいて、バイアス磁界印加層18によるバイアス磁界の方向は、エアベアリング面20に垂直な方向と直交している。MR素子5において、信号磁界がない状態では、フリー層25における第2の磁性層F2の磁化の方向は、バイアス磁界の方向に揃えられている。フリー層25における第1の磁性層F1の磁化の方向は、第2の磁性層F2の磁化の方向に対して逆方向になっている。ピンド層23の磁化の方向は、エアベアリング面20に垂直な方向に固定されている。
MR素子5では、記録媒体からの信号磁界に応じてフリー層25における磁性層F1,F2の磁化の方向が変化し、これにより、磁性層F1,F2の磁化の方向とピンド層23の磁化の方向との間の相対角度が変化し、その結果、MR素子5の抵抗値が変化する。MR素子5の抵抗値は、第1および第2のシールド層3,8によってMR素子5にセンス電流を流したときのシールド層3,8間の電位差より求めることができる。このようにして、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生することができる。
次に、本実施の形態に係るMR素子5の特徴について説明する。本実施の形態に係るMR素子5は、互いに反対側を向く2つの面を有する非磁性導電層24と、非磁性導電層24における一方の面に隣接するように配置され、外部磁界に応じて磁化の方向が変化するフリー層25と、非磁性導電層24の他方の面に隣接するように配置され、磁化の方向が固定されたピンド層23とを備えている。
本実施の形態におけるフリー層25は、それぞれ磁性材料よりなる層を含む第1の磁性層F1および第2の磁性層F2と、第1および第2の磁性層F1,F2の間に配置された非磁性材料よりなる結合層40とを有している。第2の磁性層F2は、第1の磁性層F1よりもピンド層23に近い位置に配置されている。第1および第2の磁性層F1,F2は、結合層40を介してRKKY相互作用によって反強磁性的に結合している。第1の磁性層F1のバルク散乱係数βは負の値であり、第2の磁性層F2のバルク散乱係数βは正の値である。第1の磁性層F1のバルク散乱係数βの絶対値は、0.1以上であることが好ましい。
第1の磁性層F1は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)のいずれかを含むがクロム(Cr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)のいずれをも含まない磁性合金よりなる第1の磁性合金層と、コバルト、鉄、ニッケルのいずれかおよびクロム、バナジウム、マンガンのいずれかを含む磁性合金よりなる第2の磁性合金層とを、それぞれ1層以上有する積層体からなるものであってもよい。なお、第1の磁性層F1を、第1の磁性合金層と第2の磁性合金層とをそれぞれ1層以上有する積層体によって構成する場合には、第1の磁性層F1と第2の磁性層F2とが結合層40を介して良好に反強磁性的に結合するように、第1の磁性合金層が結合層40に接することが好ましい。
第2の磁性合金層は、鉄をa原子%、クロムを(100−a)原子%含み、aが50以上、80以下である磁性合金よりなるものであってもよい。また、第2の磁性合金層は、鉄をa原子%、バナジウムを(100−a)原子%含み、aが60以上、80以下である磁性合金よりなるものであってもよい。また、第2の磁性合金層は、ニッケルをa原子%、クロムを(100−a)原子%含み、aが50以上、70以下である磁性合金よりなるものであってもよい。これらの第2の磁性合金層の組成は、後で示す実施例から導かれたものである。
また、第1の磁性層F1は、コバルトを0.9×a原子%、鉄を0.1×a原子%、クロムを(100−a)原子%含み、aが60以上、80以下である磁性合金よりなる層を有していてもよい。また、第1の磁性層F1は、コバルトを0.9×a原子%、鉄を0.1×a原子%、バナジウムを(100−a)原子%含み、aが60以上、80以下である磁性合金よりなる層を有していてもよい。上記の各磁性合金の組成も、後で示す実施例の結果から導かれたものである。
また、第2の磁性層F2は、磁性合金層の他にCu層等の非磁性層を含んでいてもよい。例えば、第2の磁性層F2は、厚さ1.0nmのCoFe層と厚さ0.2nmのCu層を交互に4回繰り返し積層した構造で、全体の厚さが4.8nmの層としてもよい。このように、第2の磁性層F2中に非磁性層を挿入することにより、第2の磁性層F2中に、界面散乱係数γが比較的大きな界面を多く形成でき、その結果、MR素子5の磁気抵抗変化を大きくすることが可能になる。
本実施の形態では、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βが負の値であり、第2の磁性層F2のバルク散乱係数βが正の値であることから、第1の磁性層F1の磁化の方向の変化は、MR素子5の磁気抵抗変化を増加させるように働く。これにより、本実施の形態によれば、MR素子5を構成する各層の面に対して垂直な方向に電流を流したときに大きな磁気抵抗変化を得ることができる。
以下、本実施の形態によってMR素子5の磁気抵抗変化が大きくなる原理について詳しく説明する。
まず、図8および図9を参照して、バルク散乱による磁気抵抗変化について説明する。ここでは、図8および図9に示したように、磁性層51,52と、この磁性層51,52の間に配置された非磁性導電層53からなる積層体50を、上向きスピンと下向きスピンが、各層51〜53の面に垂直な方向に通過する場合について考える。磁性層51,52は、MR素子5におけるピンド層23とフリー層25に対応する。図8は、磁性層51,52の磁化がいずれも上向きとなる平行状態を表している。図9は、磁性層51の磁化が上向き、磁性層52の磁化が下向きとなる反平行状態を表している。なお、ここでは、説明を簡単にするために、非磁性導電層53の電気抵抗を無視する。図8および図9では、上向きスピンを記号e↑で表し、下向きスピンをe↓で表している。また、図8および図9において、上向きスピンと下向きスピンの電気伝導率の大きさを、幅を有する矢印の幅によって模式的に表している。
まず、磁化が上向きの磁性層を、上向きスピンと下向きスピンが通過する場合について考える。磁性層内における上向きスピンの電気伝導率σb↑と下向きスピンの電気伝導率σb↓は、バルク散乱係数βを用いて、以下の式で表される。なお、ρは、磁性層の比抵抗である。
σb↑=(1/2ρ)+xβ
σb↓=(1/2ρ)−yβ
完全に分極している場合(β=1)を考えると、σb↓=0となるため、y=1/2ρとなる。更に、σb↑+σb↓=1/ρであるから、x=1/2ρとなる。よって、各スピンのσb↑、σb↓は、以下の式で表される。
σb↑=(1+β)/2ρ
σb↓=(1−β)/2ρ
ここで、上向きスピンに対する磁性層の比抵抗をρ↑とし、下向きスピンに対する磁性層の比抵抗をρ↓とする。ρ↑=1/σb↑、ρ↓=1/σb↓であるから、上式を変形して、以下の式が得られる。
ρ↑=2ρ/(1+β) …(1)
ρ↓=2ρ/(1−β) …(2)
ここで、説明を簡単にするために、磁性層51,52が同じ物質によって構成されていると仮定する。この場合には、磁性層51,52の比抵抗ρは等しく、磁性層51,52のバルク散乱係数βも等しい。
図8に示した平行状態のときの上向きスピンに対する積層体50の比抵抗をρ↑(平行)とすると、これは、以下の式で表される。
ρ↑(平行)=2ρ/(1+β)+2ρ/(1+β)=4ρ/(1+β)
同様に、平行状態のときの下向きスピンに対する積層体50の比抵抗をρ↓(平行)とすると、これは、以下の式で表される。
ρ↓(平行)=2ρ/(1−β)+2ρ/(1−β)=4ρ/(1−β)
ここで、平行状態のときの積層体50の比抵抗をρ(平行)とする。積層体50中の電流路は、上向きスピンの電流路と下向きスピンの電流路の並列回路だと考えることができる。従って、ρ(平行)は、以下の式で表される。
ρ(平行)=(ρ↑(平行)×ρ↓(平行))/(ρ↑(平行)+ρ↓(平行))
=2ρ
次に、図9に示した反平行状態について考える。この反平行状態のときの上向きスピンに対する積層体50の比抵抗をρ↑(反平行)とすると、これは、以下の式で表される。
ρ↑(反平行)=2ρ/(1+β)+2ρ/(1−β)
同様に、反平行状態のときの下向きスピンに対する積層体50の比抵抗をρ↓(反平行)とすると、これは、以下の式で表される。
ρ↓(反平行)=2ρ/(1−β)+2ρ/(1+β)
よって、反平行状態のときの積層体50の比抵抗をρ(反平行)とすると、これは、以下の式で表される。
ρ(反平行)=(ρ↑(反平行)×ρ↓(反平行))/(ρ↑(反平行)+ρ↓(反平行))=2ρ/(1−β
ここで、Δρ=ρ(反平行)−ρ(平行)と定義すると、Δρは以下の式で表される。
Δρ=2ρ/(1−β)−2ρ=2ρβ/(1−β
上式から、バルク散乱係数βが大きいほど、Δρが大きくなり、その結果、磁気抵抗変化が大きくなることが分かる。
次に、図10および図11を参照して、界面散乱による磁気抵抗変化について説明する。ここでは、図10および図11に示したように、磁性層61,62が接してできる界面63を、上向きスピンと下向きスピンが界面63に対して垂直な方向に通過する場合について考える。図10は、磁性層61,62の磁化がいずれも上向きとなる平行状態を表している。図11は、磁性層61の磁化が上向き、磁性層62の磁化が下向きとなる反平行状態を表している。また、ここでは、界面63における電子の散乱に起因した抵抗が生じる磁性層61,62中の領域を界面領域64とする。また、この界面領域64の界面63に垂直な方向の長さを界面長さLとする。図10および図11では、上向きスピンを記号e↑で表し、下向きスピンをe↓で表している。また、図10および図11において、上向きスピンと下向きスピンの電気伝導率の大きさを、幅を有する矢印の幅によって模式的に表している。
まず、図10に示した平行状態について考える。界面における上向きスピンの電気伝導率σi↑と下向きスピンの電気伝導率σi↓は、界面散乱係数γを用いて、以下の式で表される。なお、ρiは、界面における比抵抗である。
σi↑=(1/2ρi)+xγ
σi↓=(1/2ρi)−yγ
完全に分極している場合(γ=1)を考えると、σi↓=0となるため、y=1/2ρiとなる。更に、σi↑+σi↓=1/ρiであるから、x=1/2ρiとなる。よって、各スピンのσi↑、σi↓は、以下の式で表される。
σi↑=(1+γ)/2ρi
σi↓=(1−γ)/2ρi
ここで、上向きスピンに対する界面の抵抗をR↑、上向きスピンに対する界面の比抵抗をρi↑、下向きスピンに対する界面の抵抗をR↓、下向きスピンに対する界面の比抵抗をρi↓とする。オーム則より、抵抗R↑、R↓は以下の式で表される。なお、Aは、界面の面積(界面領域の断面積)である。
R↑=ρi↑・L/A
R↓=ρi↓・L/A
上式を変形すると、以下の式が得られる。R↑Aは、上向きスピンに対する単位面積当たりの界面の抵抗であり、R↓Aは、下向きスピンに対する単位面積当たりの界面の抵抗である。
R↑A=ρi↑・L
R↓A=ρi↓・L
ここで、ρi↑=1/σi↑=2ρi/(1+γ)、ρi↓=1/σi↓=2ρi/(1−γ)であるから、上式を変形して、以下の式が得られる。
R↑A=2ρiL/(1+γ)
R↓A=2ρiL/(1−γ)
更に、界面の全抵抗Rとすると、ρiL=RAであるから、上式を変形して、以下の式が得られる。
R↑A=2RA/(1+γ)
R↓A=2RA/(1−γ)
ここで、R=R/(1−γ2)と定義する。すると、上式を変形して、以下の式が得られる。
R↑A=2RA(1−γ) …(3)
R↓A=2RA(1+γ) …(4)
次に、磁性層61の界面抵抗をR1、磁性層62の界面抵抗をR2とする。また、R1 =R1/(1−γ)、R2 =R2/(1−γ)と定義する。
平行状態のときの上向きスピンに対する単位面積当たりの界面の抵抗をR↑A(平行)とすると、これは、以下の式で表される。
R↑A(平行)=2R1 A(1−γ)+2R2 A(1−γ)
同様に、平行状態のときの下向きスピンに対する単位面積当たりの界面の抵抗をR↓A(平行)とすると、これは、以下の式で表される。
R↓A(平行)=2R1 A(1+γ)+2R2 A(1+γ)
よって、平行状態のときの単位面積当たりの界面の全抵抗をRA(平行)とすると、これは、以下の式で表される。
RA(平行)
=(R↑A(平行)×R↓A(平行))/(R↑A(平行)+R↓A(平行))
={1/2(2R1 A+2R2 A)}・4A(1−γ)(R1 +R2
次に、図11に示した反平行状態について考える。この反平行状態のときの上向きスピンに対する単位面積当たりの界面の抵抗をR↑A(反平行)とすると、これは、以下の式で表される。
R↑A(反平行)=2R1 A(1−γ)+2R2 A(1+γ)
同様に、反平行状態のときの下向きスピンに対する単位面積当たりの界面の抵抗をR↓A(反平行)とすると、これは、以下の式で表される。
R↓A(反平行)=2R1 A(1+γ)+2R2 A(1−γ)
よって、反平行状態のときの単位面積当たりの界面の全抵抗をRA(反平行)とすると、これは、以下の式で表される。
RA(反平行)
=(R↑A(反平行)×R↓A(反平行))/(R↑A(反平行)+R↓A(反平行))
={1/2(2R1 A+2R2 A)}・{4(R1 A)(1−γ)+4R1 2 (1+γ)+4R1 2 (1−γ)+4(R2 A)(1−γ)}
以上のことから、単位面積当たりの磁気抵抗変化AΔRは、以下の式で表される。
AΔR=RA(反平行)−RA(平行)
=4・4γ1 2 /2(2R1 A+2R2 A)
=4γ1 2 A/(R1 +R2
ここで、説明を簡単にするために、磁性層61,62が同じ物質によって構成されていると仮定すると、R1=R2となる。上式に、R1 =R1/(1−γ)、R2 =R2/(1−γ)を代入し、更に、R1=R2を用いると、AΔRは、以下の式で表される。
AΔR=4γ1 2 A/(R1 +R2 )=2γAR/(1−γ
上式から、界面散乱係数γが大きいほど、単位面積当たりの磁気抵抗変化AΔRが大きくなることが分かる。
次に、図12および図13を参照して、本実施の形態に係るMR素子5における磁気抵抗変化について考察する。図12および図13は、MR素子5を構成する各層を表している。層中の矢印は磁化の方向を表している。また、符号70で示す矢印は、センス電流を模式的に表している。図12は、第1ピンド層AP1の磁化と第2の磁性層F2の磁化が同じ方向に向いた平行状態を表している。図13は、第1ピンド層AP1の磁化と第2の磁性層F2の磁化が互いに逆方向に向いた反平行状態を表している。
ここでは、説明を簡単にするために、第1の磁性層F1のうちの結合層40と接する部分、第2の磁性層F2、第1ピンド層AP1および第2ピンド層AP2が、いずれもCoFeによって構成されているものとする。また、非磁性導電層24はCuによって構成され、結合層30,40はRuによって構成されているものとする。また、下地層21と反強磁性層22とを合わせてバッファ層と称する。
また、以下の説明では、第2ピンド層AP2の比抵抗をρCF(AP2)、第1ピンド層AP1の比抵抗をρCF(AP1)、第2の磁性層F2の比抵抗をρCF(F2)、第1の磁性層F1の比抵抗をρCF、結合層30,40の比抵抗をρRu、非磁性導電層24の比抵抗をρCuと表す。なお、バッファ層と保護層26の抵抗は無視する。
また、第2ピンド層AP2の厚さをtCF(AP2)、第1ピンド層AP1の厚さをtCF(AP1)、第2の磁性層F2の厚さをtCF(F2)、第1の磁性層F1の厚さをtF1、結合層30,40の厚さをtRu、非磁性導電層24の厚さをtCuと表す。
また、第2ピンド層AP2のバルク散乱係数をβCF(AP2)、第1ピンド層AP1のバルク散乱係数をβCF(AP1)、第2の磁性層F2のバルク散乱係数をβCF(F2)、第1の磁性層F1のバルク散乱係数をβF1と表す。
また、バッファ層と第2ピンド層AP2の界面の抵抗をRBuf/CF(AP2)、第2ピンド層AP2と結合層30の界面の抵抗をRCF(AP2)/Ru、結合層30と第1ピンド層APの界面の抵抗をRRu/CF(AP1)、第1ピンド層APと非磁性導電層24の界面の抵抗をRCF(AP1)/Cu、非磁性導電層24と第2の磁性層F2の界面の抵抗をRCu/CF(F2)、第2の磁性層F2と結合層40の界面の抵抗をRCF(F2)/Ru、結合層40と第1の磁性層F1の界面の抵抗をRRu/F1、第1の磁性層F1と保護層26の界面の抵抗をRF1/CAPと表す。
また、第2ピンド層AP2と結合層30の界面の界面散乱係数をγCF(AP2)/Ru、結合層30と第1ピンド層APの界面の界面散乱係数をγRu/CF(AP1)、第1ピンド層APと非磁性導電層24の界面の界面散乱係数をγCF(AP1)/Cu、非磁性導電層24と第2の磁性層F2の界面の界面散乱係数をγCu/CF(F2)、第2の磁性層F2と結合層40の界面の界面散乱係数をγCF(F2)/Ru、結合層40と第1の磁性層F1の界面の界面散乱係数をγRu/F1と表す。また、MR素子5の各層の面に平行なMR素子5の断面の断面積をAとする。
前述のように、上向きスピンに対する磁性層の比抵抗ρ↑と、下向きスピンに対する磁性層の比抵抗ρ↓は、前出の式(1),(2)で表される。ここで、ρ=ρ/(1−β)と定義すると、式(1),(2)を変形して、以下の式が得られる。
ρ↑=2ρ(1−β)
ρ↓=2ρ(1+β)
磁性層の厚さをtとすると、上向きスピンに対する磁性層の単位面積当たりの抵抗ρ↑tと、下向きスピンに対する磁性層の単位面積当たりの抵抗ρ↓tは、それぞれ、以下の式で表される。
ρ↑t=2ρt(1−β) …(5)
ρ↓t=2ρt(1+β) …(6)
一方、R=R/(1−γ2)と定義すると、上向きスピンに対する界面の単位面積当たりの抵抗AR↑と、下向きスピンに対する界面の単位面積当たりの抵抗AR↓は、それぞれ、以下の式で表される。なお、以下の式は、前出の式(3),(4)と実質的に同じである。
AR↑=2AR(1−γ) …(7)
AR↓=2AR(1+γ) …(8)
なお、式(5)〜(8)は、ρ、ρ、t、β、R、R、γに添字が付いた場合にも成り立つ。
次に、MR素子5における磁気抵抗変化を求める。CPP−GMR素子であるMR素子5では、センス電流の電流密度が一定の場合、出力電圧は、反平行状態のときのMR素子5の比抵抗と平行状態のときのMR素子5の比抵抗の差ΔρMRとMR素子5の厚さtMRの積ΔρMRMRに比例する。反平行状態のときのMR素子5の抵抗と平行状態のときのMR素子5の抵抗の差をΔRMRとすると、オーム則から、ΔρMRMRは、AΔRMRに等しい。
ところで、磁性体中では、上向きスピンと下向きスピンが交じり合わずに並列に流れていると考えることができる。従って、磁性体中の電流路は、上向きスピンの電流路と下向きスピンの電流路の並列回路だと考えることができる。従って、AΔRMRは、平行状態のときの上向きスピンに対するMR素子5の単位面積当たりの抵抗AR↑(平行)と、平行状態のときの下向きスピンに対するMR素子5の単位面積当たりの抵抗AR↓(平行)と、反平行状態のときの上向きスピンに対するMR素子5の単位面積当たりの抵抗AR↑(反平行)と、反平行状態のときの下向きスピンに対するMR素子5の単位面積当たりの抵抗AR↓(反平行)とを用いて求めることができる。
AR↑(平行)、AR↓(平行)、AR↑(反平行)、AR↓(反平行)は、以下の式(9)〜(12)で表される。
AR↑(平行)=2{AR Buf/CF(AP2)
+ρ CF(AP2)CF(AP2)(1+βCF(AP2)
+AR CF(AP2)/Ru(1+γCF(AP2)/Ru)+ρRuRu
+AR Ru/CF(AP1)(1−γRu/CF(AP1)
+ρ CF(AP1)CF(AP1)(1−βCF(AP1)
+AR CF(AP1)/Cu(1−γCF(AP1)/Cu)+ρCuCu
+AR Cu/CF(F2)(1−γCu/CF(F2)
+ρ CF(F2)CF(F2)(1−βCF(F2)
+AR CF(F2)/Ru(1−γCF(F2)/Ru)+ρRuRu
+AR Ru/F1(1+γRu/F1
+ρ F1F1(1+βF1)+AR F1/CAP} …(9)
AR↓(平行)=2{AR Buf/CF(AP2)
+ρ CF(AP2)CF(AP2)(1−βCF(AP2)
+AR CF(AP2)/Ru(1−γCF(AP2)/Ru)+ρRuRu
+AR Ru/CF(AP1)(1+γRu/CF(AP1)
+ρ CF(AP1)CF(AP1)(1+βCF(AP1)
+AR CF(AP1)/Cu(1+γCF(AP1)/Cu)+ρCuCu
+AR Cu/CF(F2)(1+γCu/CF(F2)
+ρ CF(F2)CF(F2)(1+βCF(F2)
+AR CF(F2)/Ru(1+γCF(F2)/Ru)+ρRuRu
+AR Ru/F1(1−γRu/F1
+ρ F1F1(1−βF1)+AR F1/CAP} …(10)
AR↑(反平行)=2{AR Buf/CF(AP2)
+ρ CF(AP2)CF(AP2)(1+βCF(AP2)
+AR CF(AP2)/Ru(1+γCF(AP2)/Ru)+ρRuRu
+AR Ru/CF(AP1)(1−γRu/CF(AP1)
+ρ CF(AP1)CF(AP1)(1−βCF(AP1)
+AR CF(AP1)/Cu(1−γCF(AP1)/Cu)+ρCuCu
+AR Cu/CF(F2)(1+γCu/CF(F2)
+ρ CF(F2)CF(F2)(1+βCF(F2)
+AR CF(F2)/Ru(1+γCF(F2)/Ru)+ρRuRu
+AR Ru/F1(1−γRu/F1
+ρ F1F1(1−βF1)+AR F1/CAP} …(11)
AR↓(反平行)=2{AR Buf/CF(AP2)
+ρ CF(AP2)CF(AP2)(1−βCF(AP2)
+AR CF(AP2)/Ru(1−γCF(AP2)/Ru)+ρRuRu
+AR Ru/CF(AP1)(1+γRu/CF(AP1)
+ρ CF(AP1)CF(AP1)(1+βCF(AP1)
+AR CF(AP1)/Cu(1+γCF(AP1)/Cu)+ρCuCu
+AR Cu/CF(F2)(1−γCu/CF(F2)
+ρ CF(F2)CF(F2)(1−βCF(F2)
+AR CF(F2)/Ru(1−γCF(F2)/Ru)+ρRuRu
+AR Ru/F1(1+γRu/F1
+ρ F1F1(1+βF1)+AR F1/CAP} …(12)
平行状態のときのMR素子5の単位面積当たりの抵抗AR(平行)は、並列の抵抗AR↑(平行)、AR↓(平行)の合成抵抗であるから、以下の式で表される。
AR(平行)=(AR↑(平行)・AR↓(平行))/(AR↑(平行)+AR↓(平行))
同様に、反平行状態のときのMR素子5の単位面積当たりの抵抗AR(反平行)は、並列の抵抗AR↑(反平行)、AR↓(反平行)の合成抵抗であるから、以下の式で表される。
AR(反平行)=(AR↑(反平行)・AR↓(反平行))/(AR↑(反平行)+AR↓(反平行))
MR素子5の磁気抵抗変化AΔRMRは、以下の式で求められる。
AΔRMR=AR(反平行)−AR(平行)
=(AR↑(反平行)・AR↓(反平行)−AR↑(平行)・AR↓(平行))/(AR↑(平行)+AR↓(平行))
ここで、AR CF(AP2)/Ru=AR Ru/CF(AP1)=AR CF(F2)/Ru=AR Ru/F1=AR CF/Ruとする。また、AR CF(AP1)/Cu=AR Cu/CF(F2)=AR CF/Cuとする。また、γCF(AP2)/Ru=γRu/CF(AP1)=γCF(F2)/Ru=γRu/F1とする。また、γCF(AP1)/Cu=γCu/CF(F2)=γCF/Cuとする。これらを用いると、式(9)〜(12)より、以下の式(13),(14)が導かれる。
AR↑(平行)+AR↓(平行)=AR↑(反平行)+AR↓(反平行)
=4{AR Buf/CF(AP2)+ρ CF(AP2)CF(AP2)+4AR CF/Ru
+2ρRuRu+ρ CF(AP1)CF(AP1)+2AR CF/Cu+ρCuCu
+ρ CF(F2)CF(F2)+ρ F1F1+AR F1/CAP} …(13)
(AR↑(反平行)・AR↓(反平行)−AR↑(平行)・AR↓(平行))
=16(βCF(AP1)ρ CF(AP1)CF(AP1)+γCF/CuAR CF/Cu
−βCF(AP2)ρ CF(AP2)CF(AP2))×(βCF(F2)ρ CF(F2)CF(F2)
+γCF/CuAR CF/Cu−βF1ρ CF1F1) …(14)
ここで、以下のように、式(13)の右辺の1/4をE2とする。
E2=AR Buf/CF(AP2)+ρ CF(AP2)CF(AP2)+4AR CF/Ru
+2ρRuRu+ρ CF(AP1)CF(AP1)+2AR CF/Cu+ρCuCu
+ρ CF(F2)CF(F2)+ρ F1F1+AR F1/CAP …(15)
また、以下のように、式(14)の右辺の1/4をE1とする。
E1=4(βCF(AP1)ρ CF(AP1)CF(AP1)+γCF/CuAR CF/Cu
−βCF(AP2)ρ CF(AP2)CF(AP2))×(βCF(F2)ρ CF(F2)CF(F2)
+γCF/CuAR CF/Cu−βF1ρ CF1F1) …(16)
MR素子5の磁気抵抗変化AΔRMRは、以下の式で求められる。
AΔRMR=E1/E2 …(17)
式(17)の右辺の分子E1(式(16))において、最初の括弧内には、外部磁界の変化に対して磁化の方向が変化しない部分(第2ピンド層AP2および第1ピンド層AP1)に関わる項が現れる。分子E1(式(16))において、後の括弧内には、外部磁界の変化に対して磁化の方向が変化する部分(第2の磁性層F2および第1の磁性層F1)に関わる項が現れる。後の括弧内の第2の磁性層F2のバルク散乱係数βCF(F2)は正の値である。ここで、後の括弧内の第1の磁性層F1のバルク散乱係数βF1も正の値であると、後の括弧内の[−βF1ρ CF1F1]の項は、負の値となって、磁気抵抗変化AΔRMRを減少させるように働く。しかし、本実施の形態では、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βF1が負の値であるので、[−βF1ρ CF1F1]の項は、正の値となり、磁気抵抗変化AΔRMRを増加させるように働く。従って、本実施の形態に係るMR素子5によれば、MR素子5を構成する各層の面に対して垂直な方向に電流を流したときに大きな磁気抵抗変化を得ることができる。
以下、本実施の形態に係るMR素子5の実施例と、この実施例と比較するための比較例とについて、特性を比較した結果について説明する。MR素子5の磁気抵抗は、第1のシールド層3に一方の電流供給用端子と一方の電圧検出用端子とを接続し、第2のシールド層8に他方の電流供給用端子と他方の電圧検出用端子とを接続して、四端子法によって測定した。
まず、下記の表に、比較例と実施例1〜5のMR素子の基本構成を示す。なお、下記の表において、第1列および第2列はMR素子の各層を示し、第3列は各層の具体的な構成を示し、第4列は第3列に記載された各層の厚さ(nm)を示している。第2列において、例えば“Ru”はRu層を表している。また、第3列における各層の上下関係は、MR素子における各層の上下関係と一致している。フリー層25の第1の磁性層F1の構成は、比較例および実施例1〜5毎に異なるため、別の表に示す。
Figure 2005347512
次に、下記の表に、比較例および実施例1〜5における第1の磁性層F1の構成を示す。下記の表において、第1列、第3列、第5列、第7列、第9列、第11列は第1の磁性層F1の構成を示し、第2列、第4列、第6列、第8列、第10列、第12列は、それぞれ、それらの左側の列に記載された層の厚さ(nm)を示している。
Figure 2005347512
比較例における第1の磁性層F1は、CoFe層のみによって構成されている。このCoFe層を構成するCoFeの組成は、Co:90原子%、Fe:10原子%である。下記の表に、比較例における単位面積当たりの抵抗RA(Ωμm2)、磁気抵抗変化AΔR(mΩμm2)、抵抗変化率(%)および第1の磁性層F1のバルク散乱係数βを示す。
Figure 2005347512
実施例1における第1の磁性層F1は、厚さ0.5nmのCoFe層、厚さXnmのFeCr層および厚さ0.5nmのCoFe層を積層した構成としている。2つのCoFe層は第1の磁性合金層に対応し、FeCr層は第2の磁性合金層に対応する。CoFe層を構成するCoFeの組成は、Co:90原子%、Fe:10原子%である。ここで、FeCr層を構成するFeCrの組成を、Fe:a原子%、Cr:(100−a)原子%とする。下記の表に、aおよびXの値の組み合わせが異なる4つの例について、RA(Ωμm2)、磁気抵抗変化AΔR(mΩμm2)、抵抗変化率(%)、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βおよびFeCr層の磁化(emu/cc)を示す。4つの例のいずれにおいても、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βは負の値になっている。FeCrにおけるFeの割合aが小さくなるほどFeCr層の磁化が小さくなるので、下記の例では、aが小さくなるほどFeCr層の厚さXを大きくしている。下記の表から、実施例1のMR素子5では、少なくともaが50以上、80以下の範囲において、比較例のMR素子に比べて、磁気抵抗変化AΔRおよび抵抗変化率を大きくすることができると考えられる。このことから、第2の磁性合金層が、Fe:a原子%、Cr:(100−a)原子%の組成のFeCrよりなる場合には、aが50以上、80以下であることが好ましい。また、下記の表から、実施例1において、aが50以上、80以下の範囲では、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βの絶対値は0.1以上であると考えられる。このことから、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βの絶対値は0.1以上であることが好ましい。
Figure 2005347512
実施例2における第1の磁性層F1は、厚さ0.5nmのCoFe層、厚さXnmのFeV層および厚さ0.5nmのCoFe層を積層した構成としている。2つのCoFe層は第1の磁性合金層に対応し、FeV層は第2の磁性合金層に対応する。CoFe層を構成するCoFeの組成は、Co:90原子%、Fe:10原子%である。ここで、FeV層を構成するFeVの組成を、Fe:a原子%、V:(100−a)原子%とする。下記の表に、aおよびXの値の組み合わせが異なる4つの例について、RA(Ωμm2)、磁気抵抗変化AΔR(mΩμm2)、抵抗変化率(%)、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βおよびFeV層の磁化(emu/cc)を示す。4つの例のいずれにおいても、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βは負の値になっている。FeVにおけるFeの割合aが小さくなるほどFeV層の磁化が小さくなるので、下記の例では、aが小さくなるほどFeV層の厚さXを大きくしている。下記の表から、実施例2のMR素子5では、少なくともaが60以上、80以下の範囲において、比較例のMR素子に比べて、磁気抵抗変化AΔRおよび抵抗変化率を大きくすることができると考えられる。このことから、第2の磁性合金層が、Fe:a原子%、V:(100−a)原子%の組成のFeVよりなる場合には、aが60以上、80以下であることが好ましい。また、下記の表から、実施例2において、aが60以上、80以下の範囲では、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βの絶対値は0.1以上であると考えられる。このことから、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βの絶対値は0.1以上であることが好ましい。
Figure 2005347512
実施例3における第1の磁性層F1は、厚さXnmのCoFe層、厚さ0.5nmのNiCr層および厚さXnmのCoFe層を積層した構成としている。2つのCoFe層は第1の磁性合金層に対応し、NiCr層は第2の磁性合金層に対応する。CoFe層を構成するCoFeの組成は、Co:90原子%、Fe:10原子%である。ここで、NiCr層を構成するNiCrの組成を、Ni:a原子%、Cr:(100−a)原子%とする。下記の表に、aおよびXの値の組み合わせが異なる4つの例について、RA(Ωμm2)、磁気抵抗変化AΔR(mΩμm2)、抵抗変化率(%)、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βおよび第1の磁性層F1の磁化(emu/cc)を示す。4つの例のいずれにおいても、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βは負の値になっている。NiCrにおけるNiの割合aが小さくなるほど第1の磁性層F1の磁化が小さくなるので、下記の例では、aが小さくなるほどCoFe層の厚さXを大きくしている。下記の表から、実施例3のMR素子5では、少なくともaが50以上、70以下の範囲において、比較例のMR素子に比べて、磁気抵抗変化AΔRおよび抵抗変化率を大きくすることができると考えられる。このことから、第2の磁性合金層が、Ni:a原子%、Cr:(100−a)原子%の組成のNiCrよりなる場合には、aが50以上、70以下であることが好ましい。また、下記の表から、実施例3において、aが50以上、70以下の範囲では、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βの絶対値は0.1以上であると考えられる。このことから、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βの絶対値は0.1以上であることが好ましい。
Figure 2005347512
実施例4における第1の磁性層F1は、厚さXnmのCoFeCr層によって構成されている。ここで、CoFeCr層を構成するCoFeCrの組成を、Co:0.9×a原子%、Fe:0.1×a原子%、Cr:(100−a)原子%とする。下記の表に、aおよびXの値の組み合わせが異なる4つの例について、RA(Ωμm2)、磁気抵抗変化AΔR(mΩμm2)、抵抗変化率(%)、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βおよび第1の磁性層F1の磁化(emu/cc)を示す。CoFeCrにおけるCoFeの割合aが小さくなるほどCoFeCr層の磁化が小さくなるので、下記の例では、aが小さくなるほどCoFeCr層の厚さXを大きくしている。下記の表から、実施例4のMR素子5では、少なくともaが40以上、80以下の範囲において、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βが負の値になると考えられる。また、下記の表から、実施例4のMR素子5では、少なくともaが60以上、80以下の範囲において、比較例のMR素子に比べて、磁気抵抗変化AΔRおよび抵抗変化率を大きくすることができると考えられる。なお、実施例4において、aが60以上、80以下の範囲では、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βの絶対値は0.1以上であると考えられる。
Figure 2005347512
実施例5における第1の磁性層F1は、厚さXnmのCoFeV層によって構成されている。ここで、CoFeV層を構成するCoFeVの組成を、Co:0.9×a原子%、Fe:0.1×a原子%、V:(100−a)原子%とする。下記の表に、aおよびXの値の組み合わせが異なる4つの例について、RA(Ωμm2)、磁気抵抗変化AΔR(mΩμm2)、抵抗変化率(%)、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βおよび第1の磁性層F1の磁化(emu/cc)を示す。CoFeVにおけるCoFeの割合aが小さくなるほどCoFeV層の磁化が小さくなるので、下記の例では、aが小さくなるほどCoFeV層の厚さXを大きくしている。下記の表から、実施例5のMR素子5では、少なくともaが40以上、80以下の範囲において、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βが負の値になると考えられる。また、下記の表から、実施例5のMR素子5では、少なくともaが60以上、80以下の範囲において、比較例のMR素子に比べて、磁気抵抗変化AΔRおよび抵抗変化率を大きくすることができると考えられる。なお、実施例5において、aが60以上、80以下の範囲では、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βの絶対値は0.1以上であると考えられる。
Figure 2005347512
ここで、実施例1〜3のように、第1の磁性層F1を、第1の磁性合金層と第2の磁性合金層とを有する積層体によって構成する場合における第2の磁性合金層の厚さについて考察する。シンセティック構造のフリー層25では、第1の磁性層F1と第2の磁性層F2とを結合層40を介して良好に反強磁性的に結合させる必要がある。第1の磁性層F1と第2の磁性層F2の結合の大きさは、第1の磁性層F1と結合層40との界面の状態および第2の磁性層F2と結合層40との界面の状態に依存する。ここで、第1の磁性層F1における第2の磁性合金層の厚さが大きくなるほど、第1の磁性層F1における結合層40側の面の粗さが増加する。そのため、第2の磁性合金層の厚さを大きくすることには限界がある。第2の磁性合金層の厚さの上限は、結合層40に接する第1の磁性合金層の厚さの2倍程度となる。実施例1,2を例に取ると、第2の磁性合金層であるFeCr層やFeV層の厚さの上限は、第1の磁性合金層であるCoFe層の厚さ0.5nmの2倍程度、すなわち1.0nm程度となる。また、この場合、FeCr層やFeV層の磁化の下限は、700(emu/cc)程度となる。
次に、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βの絶対値について考察する。実施例1〜3から、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βの絶対値は0.1以上であることが好ましいことが分かる。しかし、実施例4,5においてaが40の場合のように、第1の磁性層F1のバルク散乱係数βの絶対値が0.1以上であっても、比較例に比べて、磁気抵抗変化AΔRおよび抵抗変化率が小さくなる場合もある。これは、第1の磁性層F1の磁化が小さすぎて、シンセティック構造のフリー層25としての機能が十分に発揮されないためであると考えられる。このことから、実施例4,5のように、第1の磁性層F1がCoFeCr層やCoFeV層によって構成される場合には、CoFeCrやCoFeVの組成には、好ましい範囲がある。
以下、本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリおよび磁気ディスク装置について説明する。まず、図4を参照して、ヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダ210について説明する。磁気ディスク装置において、スライダ210は、回転駆動される円盤状の記録媒体である磁気ディスクに対向するように配置される。このスライダ210は、主に図2における基板1およびオーバーコート層17からなる基体211を備えている。基体211は、ほぼ六面体形状をなしている。基体211の六面のうちの一面は、磁気ディスクに対向するようになっている。この一面には、エアベアリング面20が形成されている。磁気ディスクが図4におけるz方向に回転すると、磁気ディスクとスライダ210との間を通過する空気流によって、スライダ210に、図4におけるy方向の下方に揚力が生じる。スライダ210は、この揚力によって磁気ディスクの表面から浮上するようになっている。なお、図4におけるx方向は、磁気ディスクのトラック横断方向である。スライダ210の空気流出側の端部(図4における左下の端部)の近傍には、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド100が形成されている。
次に、図5を参照して、本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリ220について説明する。ヘッドジンバルアセンブリ220は、スライダ210と、このスライダ210を弾性的に支持するサスペンション221とを備えている。サスペンション221は、例えばステンレス鋼によって形成された板ばね状のロードビーム222、このロードビーム222の一端部に設けられると共にスライダ210が接合され、スライダ210に適度な自由度を与えるフレクシャ223と、ロードビーム222の他端部に設けられたベースプレート224とを有している。ベースプレート224は、スライダ210を磁気ディスク262のトラック横断方向xに移動させるためのアクチュエータのアーム230に取り付けられるようになっている。アクチュエータは、アーム230と、このアーム230を駆動するボイスコイルモータとを有している。フレクシャ223において、スライダ210が取り付けられる部分には、スライダ210の姿勢を一定に保つためのジンバル部が設けられている。
ヘッドジンバルアセンブリ220は、アクチュエータのアーム230に取り付けられる。1つのアーム230にヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドアームアセンブリと呼ばれる。また、複数のアームを有するキャリッジの各アームにヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドスタックアセンブリと呼ばれる。
図5は、本実施の形態に係るヘッドアームアセンブリを示している。このヘッドアームアセンブリでは、アーム230の一端部にヘッドジンバルアセンブリ220が取り付けられている。アーム230の他端部には、ボイスコイルモータの一部となるコイル231が取り付けられている。アーム230の中間部には、アーム230を回動自在に支持するための軸234に取り付けられる軸受け部233が設けられている。
次に、図6および図7を参照して、ヘッドスタックアセンブリの一例と本実施の形態に係る磁気ディスク装置について説明する。図6は磁気ディスク装置の要部を示す説明図、図7は磁気ディスク装置の平面図である。ヘッドスタックアセンブリ250は、複数のアーム252を有するキャリッジ251を有している。複数のアーム252には、複数のヘッドジンバルアセンブリ220が、互いに間隔を開けて垂直方向に並ぶように取り付けられている。キャリッジ251においてアーム252とは反対側には、ボイスコイルモータの一部となるコイル253が取り付けられている。ヘッドスタックアセンブリ250は、磁気ディスク装置に組み込まれる。磁気ディスク装置は、スピンドルモータ261に取り付けられた複数枚の磁気ディスク262を有している。各磁気ディスク262毎に、磁気ディスク262を挟んで対向するように2つのスライダ210が配置される。また、ボイスコイルモータは、ヘッドスタックアセンブリ250のコイル253を挟んで対向する位置に配置された永久磁石263を有している。
スライダ210を除くヘッドスタックアセンブリ250およびアクチュエータは、本発明における位置決め装置に対応し、スライダ210を支持すると共に磁気ディスク262に対して位置決めする。
本実施の形態に係る磁気ディスク装置では、アクチュエータによって、スライダ210を磁気ディスク262のトラック横断方向に移動させて、スライダ210を磁気ディスク262に対して位置決めする。スライダ210に含まれる薄膜磁気ヘッドは、記録ヘッドによって、磁気ディスク262に情報を記録し、再生ヘッドによって、磁気ディスク262に記録されている情報を再生する。
本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置は、前述の本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドと同様の効果を奏する。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明において、ピンド層23はシンセティックピンド層に限らない。
また、各実施の形態では、基体側に再生ヘッドを形成し、その上に、記録ヘッドを積層した構造の薄膜磁気ヘッドについて説明したが、この積層順序を逆にしてもよい。
また、読み取り専用として用いる場合には、薄膜磁気ヘッドを、再生ヘッドだけを備えた構成としてもよい。
本発明の一実施の形態における再生ヘッドのエアベアリング面に平行な断面を示す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドのエアベアリング面および基板に垂直な断面を示す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの磁極部分のエアベアリング面に平行な断面を示す断面図である。 本発明の一実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダを示す斜視図である。 本発明の一実施の形態に係るヘッドアームアセンブリを示す斜視図である。 本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置の要部を説明するための説明図である。 本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置の平面図である。 バルク散乱による磁気抵抗変化について説明するための説明図である。 バルク散乱による磁気抵抗変化について説明するための説明図である。 界面散乱による磁気抵抗変化について説明するための説明図である。 界面散乱による磁気抵抗変化について説明するための説明図である。 本発明の一実施の形態に係るMR素子における磁気抵抗変化について説明するための説明図である。 本発明の一実施の形態に係るMR素子における磁気抵抗変化について説明するための説明図である。
符号の説明
1…基板、2…絶縁層、3…第1のシールド層、5…MR素子、7…絶縁層、8…第2のシールド層、9…記録ギャップ層、10…薄膜コイルの第1層部分、12…上部磁極層、15…薄膜コイルの第2層部分、17…オーバーコート層、18…バイアス磁界印加層、20…エアベアリング面、21…下地層、22…反強磁性層、23…ピンド層、24…非磁性導電層、25…フリー層、40…結合層、F1…第1の磁性層、F2…第2の磁性層。

Claims (12)

  1. 互いに反対側を向く2つの面を有する非磁性導電層と、
    前記非磁性導電層における一方の面に隣接するように配置され、外部磁界に応じて磁化の方向が変化するフリー層と、
    前記非磁性導電層の他方の面に隣接するように配置され、磁化の方向が固定されたピンド層とを備え、
    前記フリー層は、それぞれ磁性材料よりなる層を含む第1および第2の磁性層と、前記第1および第2の磁性層の間に配置された非磁性材料よりなる結合層とを有し、
    前記第2の磁性層は、前記第1の磁性層よりも前記ピンド層に近い位置に配置され、
    前記第1および第2の磁性層は、前記結合層を介して反強磁性的に結合し、
    前記第1の磁性層のバルク散乱係数は負の値であり、
    前記第2の磁性層のバルク散乱係数は正の値であることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 前記第1の磁性層のバルク散乱係数の絶対値は、0.1以上であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記第1の磁性層は、コバルト、鉄、ニッケルのいずれかを含むがクロム、バナジウム、マンガンのいずれをも含まない磁性合金よりなる第1の磁性合金層と、コバルト、鉄、ニッケルのいずれかおよびクロム、バナジウム、マンガンのいずれかを含む磁性合金よりなる第2の磁性合金層とを、それぞれ1層以上有する積層体からなることを特徴とする請求項1または2記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記第2の磁性合金層は、鉄をa原子%、クロムを(100−a)原子%含み、aが50以上、80以下である磁性合金よりなることを特徴とする請求項3記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記第2の磁性合金層は、鉄をa原子%、バナジウムを(100−a)原子%含み、aが60以上、80以下である磁性合金よりなることを特徴とする請求項3記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記第2の磁性合金層は、ニッケルをa原子%、クロムを(100−a)原子%含み、aが50以上、70以下である磁性合金よりなることを特徴とする請求項3記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記第1の磁性層は、コバルトを0.9×a原子%、鉄を0.1×a原子%、クロムを(100−a)原子%含み、aが60以上、80以下である磁性合金よりなる層を有することを特徴とする請求項1または2記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 前記第1の磁性層は、コバルトを0.9×a原子%、鉄を0.1×a原子%、バナジウムを(100−a)原子%含み、aが60以上、80以下である磁性合金よりなる層を有することを特徴とする請求項1または2記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 記録媒体に対向する媒体対向面と、
    前記記録媒体からの信号磁界を検出するために前記媒体対向面の近傍に配置された請求項1ないし8のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子と、
    磁気的信号検出用の電流を、前記磁気抵抗効果素子に対して、磁気抵抗効果素子を構成する各層の面に対して垂直な方向に流すための一対の電極と
    を備えたことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  10. 請求項9記載の薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
    前記スライダを弾性的に支持するサスペンションと
    を備えたことを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
  11. 請求項9記載の薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
    前記スライダを弾性的に支持するサスペンションと、
    前記スライダを記録媒体のトラック横断方向に移動させるためのアームと
    を備え、前記サスペンションが前記アームに取り付けられていることを特徴とするヘッドアームアセンブリ。
  12. 請求項9記載の薄膜磁気ヘッドを含み、回転駆動される円盤状の記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
    前記スライダを支持すると共に前記記録媒体に対して位置決めする位置決め装置と
    を備えたことを特徴とする磁気ディスク装置。
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