JP2005336433A - ゴム変性共重合樹脂組成物および製造方法 - Google Patents

ゴム変性共重合樹脂組成物および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】成形性と色相が良好で、かつ透明性と衝撃強度のバランスに優れるゴム変性共重合樹脂組成物を提供。
【解決手段】ゴム状重合体の存在下スチレン系単量体およびメタクリル酸エステル系単量体を共重合して得られるゴム変性共重合樹脂とガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーからなり、JIS K7206に基づき測定されたビカット軟化温度(VST)が80℃以上、n−ヘキサン抽出分が10質量%以下であることを特徴とするゴム変性共重合樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、生産効率に優れ、成形性と色相が良好で、かつ透明性と衝撃強度のバランスに優れたゴム変性共重合樹脂組成物および製造方法およびその成形体に関する。
ゴム状重合体の存在下スチレン系単量体とメチルメタクリレートを主体とした(メタ)アクリル酸エステル系単量体を共重合して得られるゴム変性共重合樹脂は、透明性と耐衝撃性のバランスに比較的優れることから、家電製品、雑貨、包装材料、光学用途を始め様々な用途に用いられている(例えば、特許文献1参照)。近年ではさらに成形性を向上させるため、スチレン系単量体と2種の(メタ)アクリル酸エステル系単量体を共重合する技術(例えば、特許文献2参照。)、さらにはテルペン系水素添加樹脂等の加工性改良剤を添加する技術(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。
特公昭44−19547号公報(第1−10頁) 特開昭4−277549号公報(第1−14頁) 特開平5−171001号公報(第2−11頁)
しかし、ゴム状重合体の存在下スチレン系単量体と2種の(メタ)アクリル酸エステル系単量体を共重合する場合、成形性は向上するが、成形性の異なるゴム変性共重合樹脂を得る場合には単量体の組成を変えて共重合をする必要があるため生産性が効率的でなく、また、溶液重合における回収溶剤の精製に多額のコストがかかり、経済性に劣る等の課題があった。
また、テルペン系水素添加樹脂等の加工性改良剤を添加する技術は、成形性の改良効果が十分でなく、色相が低下したり、透明性と耐衝撃性のバランスが十分でない等の課題があった。
本発明は、2種の(メタ)アクリル酸エステル系単量体を共重合する必要がなく生産効率に優れ、また成形性と色相が良好で、かつ透明性と衝撃強度のバランスに優れたゴム変性共重合樹脂組成物および製造方法に関する。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ゴム状重合体の存在下スチレン系単量体およびメタクリル酸エステル系単量体を共重合して得られるゴム変性共重合樹脂とガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーからなり、JIS K7206に基づき測定されたビカット軟化温度(VST)が80℃以上、n−ヘキサン抽出分が10質量%以下であることを特徴とするゴム変性共重合樹脂組成物が、成形性と色相が良好で、かつ透明性と衝撃強度のバランスに優れることを見出し、本発明に至った。
また、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを共重合時添加することを特徴とするゴム変性共重合樹脂組成物の製造方法が、生産効率に優れ、成形性と色相が良好で、かつ透明性と衝撃強度のバランスに優れることを見出し、本発明に至った。
さらに、共重合が溶液重合であることを特徴とするゴム変性共重合樹脂組成物の製造方法が、生産効率に優れ、成形性と色相が良好で、かつ透明性と衝撃強度のバランスに優れることを見出し、本発明に至った。
即ち本発明は、ゴム状重合体の存在下スチレン系単量体およびメタクリル酸エステル系単量体を共重合して得られるゴム変性共重合樹脂とガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーからなり、JIS K7206に基づき測定されたビカット軟化温度(VST)が80℃以上、n−ヘキサン抽出分が10質量%以下であることを特徴とするゴム変性共重合樹脂組成物である。
また、(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーの重量平均分子量が200〜8000であることを特徴とする上記のゴム変性共重合樹脂組成物であり、ゴム変性共重合樹脂と(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーの割合が90〜99.5質量部:10〜0.5質量部であることを特徴とする上記のゴム変性共重合樹脂組成物であり、さらにメルトマスフローレイトが2g/10分以上であることを特徴とする上記のゴム変性共重合樹脂組成物である。そして、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを共重合時添加することを特徴とする上記のゴム変性共重合樹脂組成物の製造方法、共重合が溶液重合であることを特徴とする上記のゴム変性共重合樹脂組成物の製造方法でもあり、それらの製造方法で得られたゴム変性共重合樹脂組成物を成形して成る成形体に関する。
ゴム変性共重合樹脂組成物および製造方法は、生産効率に優れ、成形性と色相が良好で、かつ透明性と衝撃強度のバランスに優れるため、家電製品、包装材料、光学用途を始め様々な用途に広く用いることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
スチレン系単量体は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等をあげることができるが、好ましくはスチレンをスチレン系単量体100質量%に対し、90質量%以上使用する。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート等があげることができるが、好ましくはメチルメタクリレートを(メタ)アクリル酸エステル系単量体100質量%に対し、90質量%以上使用する。
スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の割合は、好ましくはスチレン系単量体:(メタ)アクリル酸エステル系単量体=5〜95質量部:95〜5質量部、さらに好ましくはスチレン系単量体:(メタ)アクリル酸エステル系単量体=10〜90質量部:90〜10質量部である。但しスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計を100質量部とする。
スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体以外の共重合可能な単量体、例えばアクリロニトリル、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド等もスチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、50質量部未満であれば含有させることができる。
ゴム状重合体は、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンブロックゴム、部分水添ポリブタジエン、部分水添スチレン−ブタジエンゴム、部分水添スチレン−ブタジエンブロックゴム等があげられるが、好ましくはスチレン含量が10〜50質量%、さらに好ましくはスチレン含量が15〜45質量%のスチレン−ブタジエンブロックゴムである。また、温度25℃における5質量%スチレン溶液粘度が、好ましくは15〜200mPa・s、さらに好ましくは20〜60mPa・sである。ブタジエンに基づく不飽和結合のうちの1,2−ビニル結合の割合は、好ましくは8〜25モル%、さらに好ましくは10〜16モル%である。
ゴム状重合体以外の重合体もゴム状重合体100質量部に対し、50質量部未満であれば含有させることができる。
ゴム状重合体の割合は、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは3〜15質量部である。
ゴム変性共重合樹脂は、ゴム状重合体の存在下スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を共重合して得られる。ゴム状重合体は、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体に溶解した後共重合に供する。
共重合は公知の手法が採用できるが、エチルベンゼン、トルエン等の公知の溶剤を添加した溶液重合であることが好ましい。溶剤はスチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対して好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは2〜20質量部使用する。溶剤の使用により共重合時の粘度が下がり、重合制御性が向上する場合がある。さらに、溶液重合において本発明の製造方法は、回収溶剤の精製コストを下げることができ、経済性が良好である。
共重合の様式は、連続重合様式が好ましい。反応装置としては特に制限はないが、完全混合型反応器、塔式プラグフロー型反応器、脱揮槽等を組み合わせて用いることが好ましい。
共重合温度は、好ましくは80〜170℃、さらに好ましくは100〜160℃である。
共重合時、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレート等の公知の重合開始剤や、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン−1、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等の公知の分子量調整剤を添加することが好ましい。
重合開始剤、分子量調整剤の添加量は、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、好ましくは0.005〜5質量部、さらに好ましくは0.01〜1質量部である。
また共重合時、ジビニルベンゼン等の公知の架橋剤、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等の公知の酸化防止剤等を添加しても差し支えない。
ゴム変性共重合樹脂中にはゴム粒子が分散してなる。ゴム粒子はゴム状重合体の存在下スチレン系単量体およびメタクリル酸エステル系単量体を共重合する際、重合の進行に伴い形成する。
ゴム粒子の体積平均粒子径(dv)は特に制限はないが、好ましくは0.4〜1.6μm、さらに好ましくは0.5〜1.2μmである。本発明の体積平均粒子径(dv)とは、樹脂の超薄切片法透過型電子顕微鏡写真より、写真中のゴム粒子約3000個の粒子径Di(円相当径)を測定し、次式[数1]により得られる平均粒子径とする。
Figure 2005336433
なお、体積平均粒子径(dv)の制御は重合時の撹拌数、重合開始剤や分子量調整剤の添加量、異なる粒子径を有するゴム変性共重合樹脂の混合等で実施できる。
ゴム変性共重合樹脂組成物は、ゴム変性共重合樹脂とガラス転移温度(Tg)が0℃以下、好ましくは−10℃以下、さらに好ましくは−20℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーからなる。
ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーは、単量体単位として、エチルアクリレート(ホモポリマーのTg=−24℃)、n−ブチルアクリレート(ホモポリマーのTg=−54℃)、ヘキシルアクリレート(ホモポリマーのTg=−57℃)、オクチルアクリレート(ホモポリマーのTg=−65℃)、ヘキシルメタクリレート(ホモポリマーのTg=−5℃)等を主体としたオリゴマーをあげることができる。また、単量体単位として、スチレンやアクリロニトリル、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド等が含まれたオリゴマーであっても差し支えないが、好ましくはn−ブチルアクリレートのオリゴマーである。ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを用いない場合は、成形性や透明性と衝撃強度のバランスが悪いものとなる。(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーは公知の手法で得たものであっても、市場で入手し得るもの(例えば東亜合成社製ARUFON)でも差し支えない。また、(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーのガラス転移温度(Tg)は組成や分子量にて調整することができる。
ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーの重量平均分子量は好ましくは200〜8000、さらに好ましくは300〜2000である。重量平均分子量(Mw)が該範囲外の場合は成形性や透明性と衝撃強度のバランスが悪いものとなる場合がある。重量平均分子量(Mw)は(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマー重合時に使用する開始剤や連鎖移動剤、重合温度条件等で調整することができる。
なお、本発明の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマー重量平均分子量(Mw)はGPCにて測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)であり、下記記載の測定条件で測定した。
装置名:GPC−8020(東ソー社製)
カラム:KF404−HQ(Shodex社製) 4本
温度:40℃
検出:示差屈折率
溶媒:テトラハイドロフラン
濃度:0.3質量%
検量線:標準ポリスチレン(PS)(PL社製)を用いて作製し、重量平均分子量はPS換算値で表した。
ゴム変性共重合樹脂とガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーの割合は、好ましくは、ゴム変性共重合樹脂:ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマー=90〜99.5質量部:10〜0.5質量部、さらに好ましくはゴム変性共重合樹脂:ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマー=95〜99質量部:5〜1質量部である。但し、ゴム変性共重合樹脂とガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーの合計を100質量部とする。該範囲外の場合は、成形性や透明性と衝撃強度のバランス、さらには色相が悪いものとなる場合がある。
ゴム変性共重合樹脂とガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを混合する際、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを共重合時添加することが好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを共重合時、ゴム粒子を形成した後に添加することがさらに好ましい。共重合時添加することにより、成形性や透明性と衝撃強度のバランスがさらに良好なものとなる場合がある。
ゴム変性共重合樹脂組成物は、JIS K7206に基づき測定されたビカット軟化温度(VST)は80℃以上、好ましくは81℃以上、さらに好ましくは82〜98℃である。ビカット軟化温度(VST)が低い場合は色相が低下したり、透明性と耐衝撃性のバランスが低下したり、耐熱性が低いため使用に制限が発生する。ビカット軟化温度(VST)の調整は(メタ)アクリル酸エステル(C)の種類や量、(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーの種類や添加量、重合時に使用する開始剤量等で調整することができる。なお、ビカット軟化温度(VST)は50法(荷重50N、昇温速度50℃/時間)で試験片は10mm×10mm、厚さ4mmのものを用いて測定するものとする。
ゴム変性共重合樹脂組成物は、n−ヘキサン抽出分が10質量%以下、好ましくは1〜8質量%以下、さらに好ましくは2〜6質量%である。n−ヘキサン抽出分が10質量%を越える場合は耐熱性と透明性、色相が低下する。n−ヘキサン抽出分の調整は(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーの添加量等で調整することができる。
なお、本発明のn−ヘキサン抽出分は、凍結粉砕したサンプル(Agとする)を、ソックスレー等の抽出器を用いてn−ヘキサンを6時間以上還流させるることにより得た抽出液を、蒸発乾固させることにより抽出物(Bgとする)を得、次式[数2]により算出する。
Figure 2005336433
ゴム変性共重合樹脂組成物は、JIS K7210に基づき測定されたメルトマスフローレイト(MFR)が好ましくは、2g/10分以上、さらに好ましくは3〜10g/10分である。メルトマスフローレイト(MFR)が該範囲外の場合は、射出成形において複雑形状の成形品が得られなかったり、透明性と耐衝撃性のバランスが悪い場合がある。メルトマスフローレイト(MFR)の調整は(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーの種類や量、重合時に使用する開始剤や連鎖移動剤等で調整することができる。なお、メルトマスフローレイト(MFR)は温度200℃、荷重49Nで樹脂ペレットを用いて測定するものとする。
ゴム変性共重合樹脂組成物のゲル分は特に制限はないが、好ましくは10〜30質量%、さらに好ましくは12〜25質量%である。ゲル分が該範囲外の場合は透明性と耐衝撃性のバランスが悪い場合がある。ゲル分の調整は、ゴム状重合体(A)の添加量や、重合時の撹拌条件、重合開始剤や分子量調整剤の種類や添加量等で調整できる。
なお、本発明におけるゲル分は以下の様に測定する。
試料0.35gを精秤(a)しメチルエチルケトン(MEK)35mlに温度25℃で24時間かけて溶解させた後、溶解液を事前に質量(b)を測定した容量50mlの遠心管に移し、最大遠心半径10.7cmのローターを用いて、温度10℃以下、24000rpmで40分間遠心分離し、非沈殿分をデカンテーションにより取り除き、温度70℃の真空乾燥器で24時間乾燥させ、乾燥後の遠心管の質量(c)を測定し、下式[数3]によりゲル分を算出する。
Figure 2005336433
ゴム変性共重合樹脂組成物の膨潤指数は特に制限はないが、好ましくは7〜17、さらに好ましくは9〜14である。膨潤指数が該範囲外の場合は透明性と耐衝撃性のバランスが悪い場合がある。ゴム変性共重合樹脂の膨潤指数は、酸化防止剤の添加や、脱揮槽内の加熱条件等で調整できる。
なお、膨潤指数は以下の様に測定する。試料約0.35gをトルエン35mlに温度25℃で24時間かけて溶解させた後、溶解液を事前に質量(d)を測定した50mlの遠心管に移し、最大遠心半径10.7cmのローターを用いて、温度10℃以下、15000rpmで60分間遠心分離し、非沈殿物をデカンテーションにより取り除いた後、乾燥前の遠心管の質量(e)を測定する。温度70℃の真空乾燥器で24時間乾燥させ、乾燥後の遠心管の質量(f)を測定し、下式[数4]により膨潤指数を算出する。
Figure 2005336433
ゴム変性共重合樹脂組成物は、必要に応じて酸化防止剤、耐候剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油、難燃剤等の添加剤や、MS樹脂、乳化グラフト共重合体等を添加することができ、製造時任意の段階で添加することができる。添加する方法については特に規定はないが、たとえば、重合時添加する方法や押出機にて溶融混練する方法等があげられる。
ゴム変性共重合樹脂組成物は、射出成形、押出成形、圧縮成形、真空成形等の公知の方法により各種成形体に加工され実用に供される。
次に実施例をもって本発明をさら説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
参考例1
ホットオイルによる加熱装置を備えた容量500mlの加圧式撹拌槽型反応器を、3−エトキシプロピオン酸エチルで満たした。反応器内温度は250℃に設定した。反応器圧力は圧力調節器を使用して予想される蒸気圧以上に設定した。次いで反応器の圧力を一定に保ちながら、n−ブチルアクリレート100質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.1質量部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン10質量部を秤量して原料液を調整し、それを原料タンクに貯蔵した。反応器内の圧力を一定に保ちながら、原料液を原料タンクから反応器に連続的に供給した。このとき、原料液の反応器内での平均滞留時間が12分になるように供給速度を設定した。原料液の供給量に相当する反応液を反応器の出口から連続的に抜き出した。原料液の連続供給中、反応器内温度を250℃に維持した。得られた反応液は薄膜蒸発器に導入して、235℃、40kPaの減圧下、未反応単量体を除去し、(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを得た。得られた(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーのガラス転移温度(Tg)は−71℃、重量平均分子量(Mw)は2400であった。
参考例2
反応器内温度を270℃に設定した以外は参考例1と同様に行った。得られた(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーのガラス転移温度(Tg)は−78℃、重量平均分子量(Mw)は1500であった。
参考例3
反応器内温度を270℃に設定した以外は参考例1と同様に行った。得られた(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーのガラス転移温度(Tg)は−58℃、重量平均分子量(Mw)は10000であった。
参考例4
n−ブチルアクリレート10質量部、スチレン90質量部とした以外は参考例1と同様に行った。得られた(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーのガラス転移温度(Tg)は40℃、重量平均分子量(Mw)は3500であった。
参考例5
n−ブチルアクリレート55質量部、スチレン45質量部とした以外は参考例1と同様に行った。得られた(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーのガラス転移温度(Tg)は−15℃、重量平均分子量(Mw)は2900であった。
実施例1
撹拌機を付した容積約5Lの第1完全混合型反応器、撹拌機を付した容積約15Lの第2完全混合型反応器、容積約40Lの塔式プラグフロー型反応器、予熱器を付した脱揮槽を直列に接続して構成した。ゴム状重合体として旭化成社製アサプレン670A(スチレン−ブタジエンゴム、スチレン含量が40質量%、温度25℃における5質量%スチレン溶液粘度33mPa・s、1,2−ビニル結合の割合13.9モル%)9.3質量部を、スチレン52質量部、メチルメタクリレート(以下MMA)48質量部、エチルベンゼン15質量部で構成される混合溶液に溶解し、さらに1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン0.03質量部、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.05質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時7kgで温度115℃に制御した第1完全混合型反応器に導入した。第1完全混合型反応器より反応液を連続的に抜き出し、この反応液にn−ドデシルメルカプタンを毎時3.0g加えた後、温度130℃に制御した第2完全混合型反応器に導入した。なお、第2完全混合型反応器の撹拌数は150rpmで実施しゴム粒子を形成させた。次いで第2完全混合型反応器より反応液を連続的に抜き出し、この反応液にn−ドデシルメルカプタンを毎時4.0gと参考例1で得た(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを毎時160g加えた後、流れの方向に向かって温度130℃から150℃の勾配がつくように調整した塔式プラグフロー型反応器に導入した。塔式プラグフロー型反応器より抜き出した反応液を予熱器で加温しながら、温度230℃で圧力1.3kPaに制御した脱揮槽に導入し、エチルベンゼンや単量体等の揮発分を除去した。この樹脂液をギアポンプで抜き出し、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の樹脂を得た。表1に物性評価結果を示した。
実施例2
参考例1で得た(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを毎時320gとした以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
実施例3
参考例2で得た(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを使用した以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
比較例1
(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを添加しなかった以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
比較例2
参考例1で得た(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを毎時1600gとした以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
比較例3
参考例4で得た(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを使用した以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
実施例4
比較例1で得た樹脂100質量部と参考例1で得た(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを3質量部を、2軸押出機を用い230℃にて押出しを実施した。表1に物性評価結果を示した。
実施例5
参考例5で得た(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを使用した以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
実施例6
参考例3で得た(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを使用した以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
比較例4
スチレン52質量部、MMA38質量部、n−ブチルアクリレート10質量部、エチルベンゼン15質量部で構成される混合溶液とした以外は実施例1と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
比較例5
参考例4で得た(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを使用した以外は比較例2と同様に行った。表1に物性評価結果を示した。
Figure 2005336433
本発明のゴム変性共重合樹脂組成物に係わる実施例は、何れも、成形性と色相が良好で、透明性と耐衝撃性のバランスに優れ、本発明の条件に合わない比較例では、成形性と色相が良好で、透明性と耐衝撃性のバランスのうちいずれかの物性において劣るものであった。
なお、評価は下記の方法によった。
(1)ビカット軟化温度(VST)
ビカット軟化温度(VST)はJIS K7206に基づき、50法(荷重50N、昇温速度50℃/時間)で試験片は10mm×10mm、厚さ4mmのものを用いて測定する。なお、測定機は東洋精機製作所社製HDT&VSPT試験装置を使用した。
(2)n−ヘキサン抽出分
n−ヘキサン抽出分は前掲した方法で測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
EXSTAR6000 DSC(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(4)重量平均分子量(Mw)
(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は前掲した方法で測定した。
(5)メルトマスフローレイト(MFR)
メルトマスフローレイト(MFR)はJIS K7210に基づき、温度200℃、荷重49Nで樹脂ペレットを用いて測定した。なお、測定機は東洋精機製作所社製メルトインデックサ(F−F01)を使用した。
(6)透明性
東芝機械(株)社製射出成形機(IS−50EPN)を用いて、金型温度40℃、シリンダー温度230℃で厚さ2mmのプレートを成形した。この成形品を用い、透明性の尺度としてJIS K7105に準拠し、日本電色工業社製HAZEメーター(NDH−1001DP型)を用いて曇価を測定した(単位:%)。なお、曇価が3%以下を合格とした。
(7)シャルピー衝撃強度
耐衝撃性の尺度として、JIS K7111に基づき、ノッチタイプAを有するタイプ1試験片を用い、打撃方向はエッジワイズを採用してシャルピー衝撃強さを測定した(単位:kJ/m2)。なお、測定機は東洋精機製作所社製デジタル衝撃試験機を使用した。シャルピー衝撃強さ7kJ/m2以上を合格とした。
(8)色相
東芝機械(株)社製射出成形機(IS−50EPN)を用いて、金型温度40℃、シリンダー温度230℃で厚さ2mmのプレートを成形した。この成形品を用い、色差の尺度としてJIS K7105に準拠して、日本電色工業社製色差計(Σ80)を用いてb値を測定した(単位:−)。b値が3以下を合格とした。

Claims (7)

  1. ゴム状重合体の存在下スチレン系単量体およびメタクリル酸エステル系単量体を共重合して得られるゴム変性共重合樹脂とガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーからなり、JIS K7206に基づき測定されたビカット軟化温度(VST)が80℃以上、n−ヘキサン抽出分が10質量%以下であることを特徴とするゴム変性共重合樹脂組成物。
  2. (メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーの重量平均分子量が200〜8000であることを特徴とする請求項1記載のゴム変性共重合樹脂組成物。
  3. ゴム変性共重合樹脂と(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーの割合が90〜99.5質量部:10〜0.5質量部であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のゴム変性共重合樹脂組成物。
  4. メルトマスフローレイトが2g/10分以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3記載のいずれか一項記載のゴム変性共重合樹脂組成物。
  5. ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを共重合時添加することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項記載の記載のゴム変性共重合樹脂組成物の製造方法。
  6. 共重合が溶液重合であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項記載のゴム変性共重合樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項5または請求項6の製造方法で得られたゴム変性共重合樹脂組成物を成形して成る成形体。
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