JP2005336367A - 多孔質膜を形成するためのドープ及びこのドープを用いた多孔質膜の製法 - Google Patents

多孔質膜を形成するためのドープ及びこのドープを用いた多孔質膜の製法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリアリレート系樹脂で構成された多孔質膜を簡便に製造できる方法を提供する。
【解決手段】 ポリアリレート系樹脂(A)、このポリアリレート系樹脂(A)の良溶媒(B)、及びこの良溶媒(B)よりも高い沸点を有する前記ポリアリレート系樹脂(A)の貧溶媒(C)を含むドープを調製する。前記良溶媒(B)と貧溶媒(C)とは、環状エーテル、ハロゲン化脂肪族炭化水素などの良溶媒と、脂肪族カルボン酸エステル、オキシ脂肪族カルボン酸エステルなどの貧溶媒との組み合わせであってもよい。前記良溶媒(B)と貧溶媒(C)との割合は、例えば、良溶媒(B)/貧溶媒(C)=99/1〜20/80程度であってもよい。本発明には、前記ドープで塗膜を形成して、良溶媒(B)の沸点よりも高く、貧溶媒(C)の沸点よりも低い温度で乾燥することにより、開口率の高い多孔質膜が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱性や耐薬品性に優れるポリアリレート系樹脂で形成された多孔質膜を形成するためのドープ、このドープを用いた多孔質膜の製造方法及びこのドープで形成された多孔質膜に関する。
樹脂多孔質膜は、1960年に酢酸セルロース膜が作製されて以来、急速に発展し、例えば、超純水、飲料水、工業用水などの水の精製などに幅広く使用されている。このような樹脂多孔質膜の製造方法としては、熱可塑性樹脂を有機溶媒(良溶媒)に溶解したドープを水などの凝固液(貧溶媒)に通過させることにより、ドープを凝固させて膜を形成する方法(湿式相分離法)が多用されている。このような湿式相分離法を用いて、酢酸セルロースやポリサルホン系樹脂で構成された多孔質膜が製造されているが、酢酸セルロース膜は高温で使用すると、酢酸が遊離して金属を腐食させ易く、一方、ポリサルホン系樹脂膜は耐候性が低い。
これらの欠点を補う樹脂としては、耐熱性及び耐候性が高いポリアリレート系樹脂が挙げられ、多孔質化が検討されている。例えば、特許第2505496号公報(特許文献1)には、ポリアリレート樹脂とポリスルホン樹脂とを特定の割合で含み、膜の厚み方向に連続した貫通孔を有する網目状組織構造を有する半透膜が開示されている。この文献では、ポリアリレート樹脂を含む半透膜は湿式相分離法によって製造されている。しかし、この文献に記載された方法は溶融紡糸方法であって、中空糸などの半透膜を製造するのに適した方法である。すなわち、湿式相分離法を用いた方法では、糸状、幅の狭いフィルム状膜などの形状を有する多孔質膜は容易に製造できるものの、平膜状で幅の広い多孔質膜の生産性は低い。
また、特許第2738003号公報(特許文献2)及び特許第2780327号公報(特許文献3)には、二価フェノールと芳香族ジカルボン酸又はその誘導体とから得られた芳香族ポリエステルからなる多孔性分離膜において、前記膜を貫通する直孔型の穿孔を有し、孔径が20μm以下である多孔性ポリエステル分離膜及びその製造方法が開示されている。しかし、これらの方法では、高エネルギーイオンを照射して高分子膜に照射損傷領域を形成した後、その損傷領域を化学的にエッチング処理することにより、直孔型の穿孔を形成しているため、高い空孔率が得られず、空孔率を上昇させるためには、多量のエネルギーが必要となり、生産性が低い。
一方、多孔質膜の乾式相分離法として、特開平11−71476号公報(特許文献4)には、セルロース誘導体、ビニル系重合体、ポリスルホン系重合体などの樹脂について、良溶媒と貧溶媒を用いて、溶媒を蒸発させることによりミクロ相分離させて多孔質膜を製造する方法が開示されている。しかし、ポリアリレート系樹脂などの非親水で剛性の高い樹脂を乾式相分離法によって製造する方法については知られていない。
特許第2505496号公報(請求項1、3及び4) 特許第2738003号公報(請求項1、第2頁左欄25〜33行) 特許第2780327号公報(請求項1) 特開平11−71476号公報(請求項12〜18)
従って、本発明の目的は、ポリアリレート系樹脂で構成された多孔質膜を簡便に製造できる方法、その方法に用いるドープ、及びその方法によって得られた多孔質膜を提供することにある。
本発明の他の目的は、シート又はフィルム状であり、かつポリアリレート系樹脂で構成された多孔質膜を簡便に製造できる方法、その方法に用いるドープ、及びその方法によって得られた多孔質膜を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、開口率が高く、かつポリアリレート系樹脂で構成された多孔質膜を簡便に製造できる方法、その方法に用いるドープ、及びその方法によって得られた多孔質膜を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリアリレート系樹脂と、その良溶媒及び貧溶媒とを組み合わせたドープを調製し、このドープを用いて乾式相分離法により製造すると、簡便な方法でポリアリレート系樹脂で構成された多孔質膜を製造できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明のドープは、ポリアリレート系樹脂(A)、このポリアリレート系樹脂(A)の良溶媒(B)、及びこの良溶媒(B)よりも高い沸点を有する前記ポリアリレート系樹脂(A)の貧溶媒(C)を含む。前記良溶媒(B)は、例えば、エーテル類、ハロゲン含有炭化水素類(特に、環状エーテル、ハロゲン化脂肪族炭化水素)などであり、かつ前記貧溶媒(C)は、エステル類、ケトン類(特に、脂肪族カルボン酸エステル、オキシ脂肪族カルボン酸エステル)などであるとともに、前記良溶媒(B)の沸点(TB)と、前記貧溶媒(C)の沸点(TC)との差(TC−TB)は、10℃≦TC−TB≦200℃(特に、30℃≦TC−TB≦180℃)の関係にあってもよい。前記ポリアリレート系樹脂(A)と、前記良溶媒(B)との割合(重量比)は、ポリアリレート系樹脂(A)/良溶媒(B)=1/99〜30/70程度であってもよい。前記貧溶媒(C)の割合は、ポリアリレート系樹脂(A)及び良溶媒(B)の合計100重量部に対して、5〜150重量部程度であってもよい。良溶媒(B)と貧溶媒(C)との割合は、例えば、良溶媒(B)/貧溶媒(C)=99/1〜20/80(特に、95/5〜30/70)程度であってもよい。
本発明には、前記ドープで塗膜を形成して乾燥する多孔質膜の製造方法も含まれる。この製造方法においては、良溶媒(B)の沸点よりも高く、かつ貧溶媒(C)の沸点よりも低い温度で乾燥してもよい。
また、本発明には、前記製造方法によって得られた多孔質膜も含まれる。この多孔質膜は、表面の開口率が10〜70%程度であり、表面の平均孔径が0.01〜20μm程度であってもよい。
本発明では、ポリアリレート系樹脂で構成された多孔質膜を簡便に製造できる。また、シート又はフィルム状であり、かつポリアリレート系樹脂で構成された多孔質膜を簡便に製造できる。さらに、開口率が高く、かつポリアリレート系樹脂で構成された多孔質膜を簡便に製造できる。さらに、方法、その方法に用いるドープ、及びその方法によって得られた多孔質膜を提供することにある。
[ドープ]
本発明では、ポリアリレート系樹脂(A)、このポリアリレート系樹脂(A)の良溶媒(B)、及びこの良溶媒(B)よりも高い沸点を有する前記ポリアリレート系樹脂(A)の貧溶媒(C)を含むドープを用いて、ポリアリレート系樹脂で構成された多孔質膜が製造できる。
(A)ポリアリレート系樹脂
本発明におけるポリアリレート系樹脂(A)は、芳香族ジオール成分と芳香族ジカルボン酸成分とから得られる全芳香族ポリエステル系樹脂である。なお、ジオール成分の一部として、脂肪族ジオール及び/又は脂環族ジオールが含まれていてもよく、ジカルボン酸の一部としても、脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸が含まれていてもよい。
芳香族ジオール成分としては、例えば、ベンゼンジオール(レゾルシノール、ハイドロキノン、キシリレングリコールなど)やナフタレンジオールなどの単環式芳香族ジオール成分であってもよいが、通常、下記式(1)で表されるビスフェノール化合物が使用される。
Figure 2005336367
(式中、Xは、直接結合、−O−、−CO−、−SO2−、ハロゲン原子を有していてもよい二価の炭化水素基を示し、R1及びR2は、同一又は異なって、炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示し、n及びmは0又は1〜4の整数を示す)
前記式(1)中のXにおいて、ハロゲン原子を有していてもよい二価の炭化水素基には、ハロゲン原子を有していてもよい二価の脂肪族C1-10炭化水素基、ハロゲン原子を有していてもよい二価のC6-10脂環族炭化水素基などが含まれる。これらの二価の炭化水素基は、通常、メチレン、エチレン、エチリデン、プロパン−2,2−ジイル、プロピレン、プロパン−1,3−ジイル、ブチレン、ブチリデンなどのC1-4脂肪族炭化水素基、シクロヘキシレンなどのC6-10脂環族炭化水素基などである。Xとしては、−SO2−、二価のC1-4脂肪族炭化水素基(メチレン、プロパン−2,2−ジイルなど)などが好ましい。
1及びR2において、炭化水素基には、脂肪族炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのC1-6アルキル基など)、脂環族炭化水素基(例えば、シクロヘキシル、デカリルなどのC6-10シクロアルキル基など)が含まれる。これらの炭化水素基のうち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどのC1-4アルキル基(特に、メチル基などのC1-3アルキル基)が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシなどのC1-4アルコキシ基などが好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素などが好ましい。
これらの置換基R1及びR2の数n、mは、0又は1〜4の整数から選択できるが、通常、0又は1〜3の整数であり、好ましくは0又は1〜2の整数、さらに好ましくは0又は1である。
ビスフェノール化合物の具体例としては、例えば、ビフェノール類(4,4′−ジヒドロキシビフェニル、2,2′−ジヒドロキシビフェニルなど)、ジヒドロキシジアリールアルカン類[ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシ−フェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールAD)、1,1−ビス(2−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカンなど]、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)C6-10シクロアルカンなど]、ジ(ヒドロキシフェニル)エーテル類[4,4′−ジ(ヒドロキシフェニル)エーテルなど]、ジ(ヒドロキシフェニル)ケトン類[4,4′−ジ(ヒドロキシフェニル)ケトンなど]、ジ(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類[4,4′−ジ(ヒドロキシフェニル)スルホキシド(ビスフェノールS)など]などが挙げられる。これらのうち、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールADなどのビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカン、ビスフェノールSなどのジ(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、特にビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカンが好ましい。
これらの芳香族ジオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
脂肪族ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC1-10脂肪族ジオールなどが挙げられる。脂環族ジオール成分としては、例えば、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのC3-10脂環族ジオールなどが挙げられる。これらのジカルボン酸も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの非芳香族ジオールの割合は、全ジオール成分中、例えば、50モル%以下(0〜50モル%)、好ましくは30モル%以下(0〜30モル%)、さらに好ましくは10モル%以下(0〜10モル%)程度である。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4−メチルイソフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸などのC8-20アレーンジカルボン酸などが挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの芳香族ジカルボン酸のうち、テレフタル酸やイソフタル酸などのベンゼンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、特に、テレフタル酸やイソフタル酸などのベンゼンジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのC4-10脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、例えば、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの非芳香族ジカルボン酸の割合は、ジカルボン酸成分中、例えば、50モル%以下(0〜50モル%)、好ましくは30モル%以下(0〜30モル%)、さらに好ましくは10モル%以下(0〜10モル%)程度である。さらに、必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸などを併用してもよい。
なお、これらのジカルボン酸成分は、反応性誘導体(例えば、低級アルキルエステル、アリールエステル、ハライド、酸無水物などのエステル形成可能な誘導体)であってもよい。
これらのポリアリレート系樹脂(A)は、慣用の製造方法、例えば、エステル交換法、酸クロリド法、直接法などの製造方法によって製造できる。
ポリアリレート系樹脂の数平均分子量は、例えば、500〜500,000、好ましくは1000〜300,000、さらに好ましくは2000〜100,000程度である。
(B)良溶媒
ポリアリレート系樹脂(A)の良溶媒とは、ポリアリレート系樹脂に対する溶解性が高い溶媒を意味し、ポリアリレート系樹脂の種類に応じて選択できる。
良溶媒(B)としては、例えば、エーテル類(ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、フラン、ジオキサン、テトラヒドロピラン、2,3−ジヒドロピラン、テトラヒドロフルフリルアルコール、シクロヘキセンオキサイドなどのC3-10環状エーテルなど)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化C1-6脂肪族炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素など)などが挙げられる。これらの良溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの良溶媒のうち、環状エーテル(例えば、テトラヒドロフランやジオキサンなどのC3-6環状エーテルなど)、ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、塩化メチレンやクロロホルムなどの塩素化C1-4脂肪族炭化水素など)が好ましい。
良溶媒(B)の沸点(TB)は、例えば、35〜160℃、好ましくは40〜130℃、さらに好ましくは40〜100℃程度である。
(C)貧溶媒
ポリアリレート系樹脂(A)の貧溶媒とは、ポリアリレート系樹脂に対する溶解性がないか、又は溶解性の低い溶媒を意味し、前記良溶媒(B)よりも沸点が高ければ特に限定されない。
貧溶媒(C)としては、例えば、ケトン類[アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソペンチルケトンなどのC3-10ジアルキルケトン、アノン(シクロヘキサノン)などのC5-10シクロアルキルケトンなど]、脂肪族カルボン酸エステル類[ギ酸エステル(ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、ギ酸イソペンチルなどのギ酸C3-8 アルキルエステルなど)、酢酸エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸s−ヘキシル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシルなどの酢酸C1-10アルキルエステル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸3−エトキシブチルなどの酢酸C1-4アルコキシC1-10アルキルエステル、酢酸シクロヘキシルなどの酢酸C5-10シクロアルキルエステル、酢酸ベンジルなどの酢酸C6-12アリールC1-4アルキルエステルなど)、プロピオン酸エステル(プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチルなどのプロピオン酸C1-10アルキルエステルなど)、酪酸エステル(酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸イソペンチルなどの酪酸C1-10アルキルエステルなど)、イソ酪酸エステル(イソ酪酸イソブチルなどのイソ酪酸C1-10アルキルエステルや、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチルなどのヒドロキシイソ酪酸C1-10アルキルエステルなど)、イソ吉草酸エステル(イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸イソペンチルなどのイソ吉草酸C1-10アルキルエステルなど)など]、オキシ脂肪族カルボン酸エステル[グリコール酸エステル(グリコール酸エチル、グリコール酸ブチルなどのグリコール酸C1-10アルキルエステルなど)、乳酸エステル(乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸ペンチルなどの乳酸C1-10アルキルエステルなど)、オキシ酪酸エステル(オキシ酪酸メチル、オキシ酪酸エチル、オキシ酪酸プロピル、オキシ酪酸ブチルなどのオキシ酪酸C1-10アルキルエステルなど)、リンゴ酸エステル(リンゴ酸ジエチルなど)など]、芳香族カルボン酸エステル(安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソペンチルなどの安息香酸1-10アルキルエステルなど)、ラクトン類(β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、σ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどのC3-10ラクトンなど)などが挙げられる。これらの貧溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの貧溶媒のうち、脂肪族カルボン酸エステル類、オキシ脂肪族カルボン酸エステル(特に、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどの乳酸C1-6アルキルエステル)が好ましい。
本発明のドープにおいて、良溶媒(B)と貧溶媒(C)との組み合わせは、ポリアリレート系樹脂(A)を含むドープが均一な溶液を形成できるように、相溶性の高い組みあわせを選択するのが好ましい。相溶性が低いと、ドープが相分離を起こし、膜の多孔化が困難となるからである。例えば、環状エーテルなどの良溶媒(B)と、オキシ脂肪族カルボン酸エステルなどの貧溶媒(C)とを組み合わせると、均一なドープが調製され易い。
良溶媒(B)の沸点(TB)は、例えば、100〜300℃、好ましくは120〜250℃、さらに好ましくは130〜200℃(特に150〜200℃)程度である。
本発明のドープは、良溶媒(B)と貧溶媒(C)との沸点の差を利用して、多孔質膜を製造するため、良溶媒(B)の沸点(TB)と、貧溶媒(C)の沸点(TC)との差(TC−TB)は、例えば、10℃≦TC−TB≦200℃、好ましくは30℃≦TC−TB≦1800℃、50℃≦TC−TB≦150℃(特に50℃≦TC−TB≦120℃)の関係にあってもよい。なお、良溶媒(B)及び/又は貧溶媒(C)が複数種ある場合には、全ての組み合わせについて、このような関係にあることが好ましい。
ポリアリレート系樹脂(A)と、良溶媒(B)との割合(重量比)は、ポリアリレート系樹脂(A)/良溶媒(B)=1/99〜30/70、好ましくは2/98〜25/75、さらに好ましくは3/97〜20/80程度である。
貧溶媒(C)の割合は、ポリアリレート系樹脂(A)及び良溶媒(B)の合計100重量部に対して、例えば、5〜150重量部、好ましくは10〜130重量部、さらに好ましくは10〜120重量部(特に15〜100重量部)程度である。
良溶媒(B)と貧溶媒(C)との割合は、ポリアリレート系樹脂(A)を含むドープが均一な溶液が調製できれば、特に限定されず、目的とする多孔質膜の開口率などに応じて適宜選択できる。両者の割合(重量比)としては、例えば、良溶媒(B)/貧溶媒(C)=99/1〜20/80、好ましくは95/5〜30/70、さらに好ましくは90/10〜50/50(特に90/10〜60/40)程度である。
ポリアリレート系樹脂(A)の割合は、ポリアリレート系樹脂(A)の重合度などに応じて適宜選択でき、例えば、ドープ全体に対して1〜30重量%、好ましくは2〜25重量%、さらに好ましくは3〜10重量%程度である。
(他の添加剤)
本発明のドープは、ポリアリレート系樹脂(A)に架橋性を付与し、耐溶性剤を向上させるために、さらに架橋剤(又は硬化剤)を含んでいてもよい。
架橋剤(又は硬化剤)には、有機系架橋剤、無機系架橋剤が含まれる。有機系架橋剤としては、例えば、複数のアルデヒド基を有する化合物(グリオキザール、マロンジアルデヒド、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、ジアルデヒドデンプン、アクロレイン共重合アクリル系樹脂など)、複数のエポキシ基を有する化合物(エチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどのC2-6アルキレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどのポリオキシC2-4アルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、1,2,3,4−ジエポキシブタンなど)、複数のアミノ基を有する化合物[アミノ樹脂(尿素樹脂、グアナミン樹脂、メラミン樹脂など)、脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)、ポリオキシアルキレン型ジアミン又はポリアミン(すなわちポリエーテル型ジアミン又はポリアミン)、脂環族ジアミン(水添キシリレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミンなど)、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミンなど)など]、複数のメチロール基又はアルコキシメチル基を有する化合物(例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド単位又は基を有する重合体など)、複数のイソシアネート基を有する化合物(ポリイソシアネート、ブロック型ポリイソシアネートなど)、複数のカルボキシル基又は酸無水物基を有する化合物(マロン酸、コハク酸、アジピン酸などの多価カルボン酸、無水マレイン酸などの酸無水物など)、複数のヒドロキシル基を有する化合物(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール成分など)などが挙げられる。無機系架橋剤としては、例えば、ホウ酸又はホウ酸塩(硼砂など)、ジルコニウム化合物(ハロゲン化物、硫酸などの無機酸や酢酸などの有機酸との塩など)、チタニウム化合物(例えば、テトラエトキシチタネートなどのアルコキシドなど)、アルミニウム化合物(例えば、トリメトキシアルミネートなどのアルコキシドなど)、リン化合物(例えば、亜リン酸エステル、ビスフェノールA変性ポリリン酸など)、シランカップリング剤(アルコキシ基、グリシジル基などの反応性官能基を有するケイ素含有化合物)など挙げられる。これらの架橋剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの架橋剤のうち、ヒドロキシル基及びカルボキシル基との反応性が高い点から、ポリイソシアネートが好ましい。
架橋剤の割合は、固形分換算で、ポリアリレート系樹脂(A)100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜15重量部(特に1〜10重量部)程度である。
ポリアリレート系樹脂(A)の硬化又は架橋反応を促進するために、硬化触媒又は硬化促進剤を添加してもよい。硬化触媒又は硬化促進剤としては、例えば、ポリアリレート系樹脂の種類に応じて選択でき、例えば、酸、アルカリ、有機スズ化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルとアミンとの混合物又は反応物などが挙げられる。これらの硬化触媒又は硬化促進剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明のドープは、さらに慣用の添加剤、例えば、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、耐光安定剤など)、染料、顔料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、充填剤、ゲル化剤などを含んでいてもよい。
[多孔質膜の製造方法]
本発明の多孔質膜は、前記ドープで塗膜を形成して乾燥して製造できる。具体的には、本発明の多孔質膜は、前記ドープを基材に流延又は塗布し、溶媒を蒸発させてミクロ相分離を生じさせることにより製造できる。
ドープは、慣用の流延又は塗布方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター、コンマコーター、グラビアコーター、シルクスクリーンコーター法などにより、基材のうち少なくとも一方の面に流延又は塗布される。
前記基材としては、紙、塗工紙、不織布、プラスチックフィルム、ガラス、セラミックス、金属などが挙げられる。好ましい基材は、離型紙、少なくともプラスチックフィルムで構成された単層又は複合フィルムである。
塗布されたドープを乾燥する乾燥工程では、良溶媒(B)の沸点よりも高い温度、特に、良溶媒(B)の沸点よりも高く、貧溶媒(C)の沸点よりも低い温度で乾燥するのが好ましい。乾燥温度は、溶媒の種類に応じて選択でき、乾燥時間は、例えば、2秒〜30分、好ましくは10秒〜20分、さらに好ましくは30秒〜10分程度である。このような温度で乾燥することにより、沸点の低い良溶媒(B)が優先的に蒸発する。この良溶媒の蒸発の進行に伴い、ドープ中のポリアリレート系樹脂(A)の溶解性が低下し、ポリアリレート系樹脂はミセル(ゲル相)を形成して貧溶媒相と相分離する。さらに乾燥が進むと、ミセルが接触し網目構造が形成され、貧溶媒の蒸発の完了により、多孔質膜が形成される。なお、乾燥工程は、一段で乾燥する方法に限らず、先ず低温で乾燥して、良溶媒(B)を蒸発させ(例えば、実質的に沸点の低い良溶媒の蒸発を完了させ)、次いで高温での乾燥により残存する貧溶媒(C)の蒸発を行う二段階乾燥であってもよい。このようにして、乾燥後、固化したドープを基材から剥離することにより、透明性の高い多孔質膜が得られる。
[多孔質膜]
本発明の多孔質膜は、前述のような乾式ミクロ相分離法によって製造されるため、開口率の高い多孔質膜が得られる。多孔質膜の開口率は、その表面において、例えば、5〜80%、好ましくは10〜70%、さらに好ましくは15〜60%(特に20〜50%)程度である。さらに、多孔質膜の平均孔径は、用途に応じて適宜調整でき、膜の表層において、例えば、0.01〜20μm、好ましくは0.05〜15μm、さらに好ましくは0.05〜10μm(特に0.1〜5μm)程度である。多孔質膜の表層において、平均孔径と開口率とがこのような範囲にあると、多孔質膜として機能が充分であり、かつ膜の強度も高くなる。多孔質膜の厚みは、用途に応じて選択でき、特に限定されないが、例えば、0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜30μm(特に3〜20μm)程度である。膜の厚みがこの範囲にあると、強度や耐久性とともに、多孔質膜の機能も優れる。
なお、本発明の多孔質膜は、積層体として利用することもできる。例えば、前記の製造方法において、基材から多孔質膜を剥離することなく、基材との積層体としてもよい。このような積層体は、例えば、本発明の多孔質膜を、インク受容層とする記録用シートとして適している。記録用シートの基材としては、例えば、紙類の他、プラスチックフィルムであってもよい。プラスチックフィルムを構成するポリマーとしては、例えば、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリアルキレンナフタレートなど)、ポリアミド(ポリアミド6、ポリアミド6/6、ポリアミド6/10、ポリアミド6/12など)、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエステル、これらの共重合体、ブレンド物、架橋物などが挙げられる。
本発明では、耐熱性や耐薬品性などが高いポリアリレート系樹脂で、開口率の高い多孔質膜が得られるため、多孔質構造が必要とされる広範な用途に利用できる。例えば、液体などの流体を処理するための各種フィルターとし使用可能である。また、その多孔質構造にインクを吸収可能であるため、印刷用途、例えば、オフセット印刷、フレキソ印刷などの印刷用シートとしても有用である。特に、その多孔質構造にインクを吸収可能な点から、インクの小滴を飛翔させて記録するインクジェット記録方式に用いる記録用シートに適している。
さらに、本発明の多孔質膜は、高い耐熱性を有するとともに、その膜の内部に空隙を有しているため、誘電率などの高周波特性にも優れる。従って、フレキシブルプリント基板などの電子回路基板やTAB(テープ・オートメーティッド・ボンディング)テープなどにも有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。また、実施例で得られた多孔質膜の平均孔径及び開口率は、下記の方法で測定した。
[平均孔径及び開口率の測定方法]
多孔質膜の表面を電子顕微鏡で撮影した写真(倍率:5000倍)において、3箇所の所定面積(2×2cm)を画像処理装置で処理し、電子顕微鏡表面写真の各孔を真円として孔径を測定し、平均することにより膜表面の平均孔径を求めた。さらに、下記の式に基づいて、開口率を算出した。
開口率(%)=(孔の全面積/測定した膜表面の面積)×100
実施例1
ポリアリレート(ユニチカ(株)製、U−100、ビスフェノールAとテレフタル酸及びイソフタル酸との共重合体)7重量部をテトラヒドロフラン(THF)(沸点66℃)70重量部中に攪拌しながら混合して溶解した後、乳酸メチル(沸点145℃)30重量部を添加して、攪拌しながら混合し、ドープを調製した。ドープの状態は均一であった。このドープを所定の厚みになるように、メイヤーバーでガラス板の表面に塗布し、100℃のオーブン中で5分間乾燥した後、ガラス表面から固化した塗膜を剥離し、多孔質膜を得た。得られた多孔質膜について、厚み、平均孔径、開口率を測定した結果を表1に示す。
実施例2
ポリアリレート(ユニチカ(株)製、U−100)3重量部をテトラヒドロフラン(THF)85重量部中に攪拌しながら混合して溶解した後、乳酸メチル15重量部を添加して、攪拌しながら混合し、ドープを調製した。ドープの状態は均一であった。このドープを所定の厚みになるように、メイヤーバーでガラス板の表面に塗布し、100℃のオーブン中で5分間乾燥した後、ガラス表面から固化した塗膜を剥離し、多孔質膜を得た。得られた多孔質膜について、厚み、平均孔径、開口率を測定した結果を表1に示す。
実施例3
ポリアリレート(ユニチカ(株)製、U−100)3重量部をジオキサン(沸点101℃)85重量部中に攪拌しながら混合して溶解した後、乳酸エチル(沸点155℃)15重量部を添加して、攪拌しながら混合し、ドープを調製した。ドープの状態は均一であった。このドープを所定の厚みになるように、メイヤーバーでガラス板の表面に塗布し、120℃のオーブン中で5分間乾燥した後、ガラス表面から固化した塗膜を剥離し、多孔質膜を得た。得られた多孔質膜について、厚み、平均孔径、開口率を測定した結果を表1に示す。
比較例1
ポリアリレート(ユニチカ(株)製、U−100)5重量部をテトラヒドロフラン(THF)30重量部中に攪拌しながら混合して溶解した後、ジオキサン70重量部を添加して、攪拌しながら混合し、ドープを調製した。ドープの状態は均一であった。このドープを所定の厚みになるように、メイヤーバーでガラス板の表面に塗布し、120℃のオーブン中で5分間乾燥した後、ガラス表面から固化した塗膜を剥離し、孔のない透明な膜を得た。得られた透明膜の評価結果を表1に示す。
比較例2
ポリアリレート(ユニチカ(株)製、U−100)5重量部をトリオキサン(沸点115℃)85重量部中に攪拌しながら混合して溶解した後、酢酸エチル(沸点77℃)15重量部を添加して、攪拌しながら混合し、ドープを調製した。ドープの状態は均一であった。このドープを所定の厚みになるように、メイヤーバーでガラス板の表面に塗布し、100℃のオーブン中で5分間乾燥した後、ガラス表面から固化した塗膜を剥離し、孔のない透明な膜を得た。得られた透明膜の評価結果を表1に示す。
Figure 2005336367

Claims (10)

  1. ポリアリレート系樹脂(A)、このポリアリレート系樹脂(A)の良溶媒(B)、及びこの良溶媒(B)よりも高い沸点を有する前記ポリアリレート系樹脂(A)の貧溶媒(C)を含むドープ。
  2. 良溶媒(B)が、エーテル類及びハロゲン含有炭化水素類から選択された少なくとも一種であり、かつ貧溶媒(C)が、エステル類及びケトン類から選択された少なくとも一種であるとともに、良溶媒(B)の沸点(TB)と、貧溶媒(C)の沸点(TC)との差(TC−TB)が、10℃≦TC−TB≦200℃の関係にある請求項1記載のドープ。
  3. ポリアリレート系樹脂(A)と、良溶媒(B)との割合(重量比)が、ポリアリレート系樹脂(A)/良溶媒(B)=1/99〜30/70である請求項1記載のドープ。
  4. 貧溶媒(C)の割合が、ポリアリレート系樹脂(A)及び良溶媒(B)の合計100重量部に対して、5〜150重量部である請求項1記載のドープ。
  5. 良溶媒(B)と貧溶媒(C)との割合が、良溶媒(B)/貧溶媒(C)=99/1〜20/80である請求項1記載のドープ。
  6. ポリアリレート系樹脂(A)、環状エーテル及びハロゲン化脂肪族炭化水素から選択された少なくとも一種の良溶媒(B)、並びに脂肪族カルボン酸エステル及びオキシ脂肪族カルボン酸エステルから選択された少なくとも一種の貧溶媒(C)を含むドープであって、前記良溶媒(B)の沸点(TB)と、前記貧溶媒(C)の沸点(TC)との差(TC−TB)が、30℃≦TC−TB≦180℃の関係にあり、かつ良溶媒(B)と貧溶媒(C)との割合が、良溶媒(B)/貧溶媒(C)=95/5〜30/70であるドープ。
  7. 請求項1記載のドープで塗膜を形成して乾燥する多孔質膜の製造方法。
  8. 良溶媒(B)の沸点よりも高く、かつ貧溶媒(C)の沸点よりも低い温度で乾燥する請求項7記載の製造方法。
  9. 請求項7記載の製造方法によって得られた多孔質膜。
  10. 表面の開口率が10〜70%であり、表面の平均孔径が0.01〜20μmである請求項9記載の多孔質膜。
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