JP2005326575A - 偏光回転素子、偏光変換素子、照明装置及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の偏光回転素子は、互いに直交する2つの反射面1a,1bでなる屋根型反射面対(例えば屋根型ミラーまたはプリズム)1で構成され、該2つの反射面1a,1bの交線(稜線)を、入射光の偏光方向に対して所定の角度θ傾けた配置とした。これにより、波長板を利用することなく、2つの反射面1a,1bで構成した単純な屋根型反射面対1を傾けた単純な構成で偏光を回転できる。また、傾けた角度θの調整で、非常に効率のよい偏光の回転が行える。さらには、反射を用いて偏光方向を回転させるので、波長によるリターデション差がなくなる。
【選択図】図1
Description
このような構成の偏光変換器(偏光変換素子)では、入射光を効率よく偏光分離膜(PBS)に入射させるために、入射側の偏光分離膜(PBS)のピッチに対応して集光素子アレイを用いることが多い。なお、図示した従来例は1周期であるが、通常は複数のアレイで利用される。
図19に示す構成では、回転楕円面鏡の第1焦点に光源を置き、第2焦点上にワイヤグリッド(以下WGと記載)偏光子を置いて一方の偏光光を透過させ、他方の偏光を反射させて楕円面鏡のランプ付近を通過させて再び第2焦点に戻し、途中にあるλ/4板を往復2回通す間で偏光を変えることにより、そのままワイヤグリッド偏光子を透過させてランダムな偏光光を全て利用するようにしている。
偏光変換機能としては、偏光分離素子によって分離された一方を他方の偏光方向に揃える機能が必要であり、従来例としてはλ/2板あるいはλ/4板を2回通過させることによって実現している。
また、波長板を用いているため、波長による特性の違いがあり、偏光変換の効率には限界があった。
この従来例によると、反射法線方向が直交するように配置した2枚の反射ミラーにより偏光を変換している。PBSにより分離された一方を少なくとも2枚以上のミラーにより変換した光束をPBSに干渉しないようになっている。この点で、反射面位置関係が非常に精度が必要となる。また、反射面の順番が必要となってくる。このため、或る程度広がった光束に利用する際には途中で光束がけられたりして、光の利用効率が低下するという課題がある。
また、本発明は、波長板を使うことなく偏光方向を任意に変換でき、高効率で低コストな偏光変換素子を提供することを目的とする。
さらに本発明は、上記の偏光変換素子を用いて偏光変換効率を高くし、照明光の均一化が可能な照明装置を提供することを目的とする。
さらにまた本発明は、上記の偏光変換素子を用いて偏光変換効率を高くし、照明光の均一化が可能で光利用効率の高い、明るい画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の手段は、偏光回転素子であり、互いに直交する2つの反射面でなる屋根型反射面対で構成され、該2つの反射面の交線(以下、稜線と言う)を、入射光の偏光方向に対して傾けた配置としたことを特徴とする(請求項1)。
第2の手段は、第1の手段の偏光回転素子において、前記屋根型反射面対を、複数配列したことを特徴とする(請求項2)。
第3の手段は、第1または第2の手段の偏光回転素子において、前記屋根型反射面対の反射面を直角プリズムの2面で構成したことを特徴とする(請求項3)。
第4の手段は、第2または第3の手段の偏光回転素子において、前記屋根型反射面対の配列ピッチを一定とし、同一平面上に稜線を含むように配列したことを特徴とする(請求項4)。
第6の手段は、第5の手段の偏光変換素子において、前記偏光回転素子と出射光の間に、少なくとも一度は内部で反射させる導光体または導光路を配置したことを特徴とする(請求項6)。
第7の手段は、第6の手段の偏光変換素子において、前記偏光回転素子に光の透過領域を設けたことを特徴とする(請求項7)。
第9の手段は、第8の手段の偏光変換素子において、前記偏光分離素子で分離された反射光あるいは透過光を反射部材で反射させ、該反射光を、再び前記偏光分離素子へと導き、さらに該偏光分離素子で透過あるいは反射させて、互いに直交する2面の反射面でなす屋根型ミラーへ導くことによって偏光変換を行うことを特徴とする(請求項9)。
第10の手段は、第8または第9の手段の偏光変換素子において、前記屋根型ミラーは直角プリズム状とし、内部全反射を利用することを特徴とする(請求項10)。
第12の手段は、第8〜第10のいずれか一つの手段の偏光変換素子において、前記偏光分離素子は、互いに90度の角度に配置した階段状の分離膜を形成した偏光分離素子アレイとしたことを特徴とする(請求項12)。
第13の手段は、第8〜第10のいずれか一つの手段の偏光変換素子において、前記屋根型ミラーあるいは前記直角プリズムは、複数配列して形成したことを特徴とする(請求項13)。
第15の手段は、第8〜第14のいずれか一つの手段の偏光変換素子において、無偏光あるいはランダムな偏光を持った光束を入射させる開口部分を、前記屋根型ミラーあるいは前記直角プリズムの背面に設けたことを特徴とする(請求項15)。
第16の手段は、第8〜第14のいずれか一つの手段の偏光変換素子において、無偏光あるいはランダムな偏光を持った光束を入射させる開口部分を、前記偏光分離素子と前記屋根型ミラーあるいは前記直角プリズムの間に配置した導光路に設けたことを特徴とする(請求項16)。
第18の手段は、照明装置とライトバルブとで構成された画像表示装置において、前記照明装置として、請求項17記載の照明装置を用いたことを特徴とする(請求項18)。
第2の手段の偏光回転素子では、第1の手段の構成及び効果に加え、前記屋根型反射面対を複数配列することにより、素子の奥行き(厚み)が小さくなる。従って入射光の分布形状を大きく崩さずに偏光方向を変換できる。
第3の手段の偏光回転素子では、第1または第2の手段の構成及び効果に加え、前記屋根型反射面対の反射面を直角プリズムの2面で構成したことにより、プリズムの全反射を利用でき、ミラーよりも光利用効率を向上させることができる。
第4の手段の偏光回転素子では、第2または第3の手段の構成及び効果に加え、前記屋根型反射面対の配列ピッチを一定とし、同一平面上に稜線を含むように配列したことにより、反射位置のシフト量を実質無視できる。また、多くの光学素子のように、貼り合わせたりする事が可能となる。作成方法としても、微細凹凸の形成によく用いられている2P法や、金型転写方法など、量産性に向いた製法が採用できる。
第6の手段の偏光変換素子では、第5の手段の構成及び効果に加え、前記偏光回転素子と出射光の間に、少なくとも一度は内部で反射させる導光体または導光路を配置したことにより、導光体または導光路による光の閉じこめ効果により、効率の高い偏光変換素子が実現する。また、重畳効果により、均一性の高い照明光を得ることが可能となる。
第7の手段の偏光変換素子では、第6の手段の構成及び効果に加え、前記偏光回転素子に光の透過領域を設けたことにより、光源の光軸、集光レンズ、偏光変換素子の光軸を揃えることができ、機器の設計レイアウトが容易になる。
第9の手段の偏光変換素子では、第8の手段の構成及び効果に加えて、前記偏光分離素子で分離された反射光あるいは透過光を反射部材で反射させ、該反射光を、再び前記偏光分離素子へと導き、さらに該偏光分離素子で透過あるいは反射させて、互いに直交する2面の反射面でなす屋根型ミラーへ導くことによって偏光変換を行うことにより、効率よく偏光変換を行うことができる。
第10の手段の偏光変換素子では、第8または第9の手段の構成及び効果に加え、前記屋根型ミラーは直角プリズム状とし、内部全反射を利用することにより、プリズムの全反射を利用でき、ミラーよりも光利用効率を向上させることができる。
第12の手段の偏光変換素子では、第8〜第10のいずれか一つの構成及び効果に加え、前記偏光分離素子は、互いに90度の角度に配置した階段状の分離膜を形成した偏光分離素子アレイとしたことにより、偏光分離素子単一構成より、アレイの数が増えるほど、素子のサイズが小さくなる。
第13の手段の偏光変換素子では、第8〜第10のいずれか一つの手段の構成及び効果に加え、前記屋根型ミラーあるいは前記直角プリズムは、複数配列して形成したことにより、配列数を増やすことによって、プリズム両端部分で光の洩れ光をより少なくすることが可能となり、光利利用効率がさらに高まる。
第15の手段の偏光変換素子では、第8〜第14のいずれか一つの手段の構成及び効果に加え、無偏光あるいはランダムな偏光を持った光束を入射させる開口部分を、前記屋根型ミラーあるいは前記直角プリズムの背面に設けたことにより、光源の光軸、集光レンズ、本発明の偏光変換素子の光軸を揃えることができ、機器の設計レイアウトが容易になる。
第16の手段の偏光変換素子では、第8〜第14のいずれか一つの手段の構成及び効果に加え、無偏光あるいはランダムな偏光を持った光束を入射させる開口部分を、前記偏光分離素子と前記屋根型ミラーあるいは前記直角プリズムの間に配置した導光路に設けたことにより、稜線が45度傾いた偏光変換素子の変換有効領域を最大限に利用できる。
第18の手段の画像表示装置では、照明装置として、請求項17記載の照明装置を用いたことにより、非常に偏光変換効率が高く、光利用効率の点で高い照明が実現できるので、明るい画像表示装置を実現することができる。
まず、屋根型反射面対による偏光方向回転の原理を示す。屋根型反射面対としては、互いに直交する反射ミラー対(屋根型ミラー)で説明する。
図1(a)は紙面に垂直な方向の直線偏光を、紙面に平行な方向に互いにθをなす角度で配置された平面反射ミラー対(屋根型ミラー)1に入射した様子を示す図である(図1(a)ではθがほぼ0である)。入射光は最初の反射面(ミラー)1aによって紙面に平行に横方向に反射され、もう一方の反射面(ミラー)1bにより入射方向に対して180度の方向に折り曲げられる。このとき、偏光の方向に垂直な方向に2回反射しているので、偏光方向は変化しない。しかし、屋根型ミラー1の稜線を入射光線の進行方向に垂直な面で回転していくと、その回転角の2倍だけ回転し、入射側に戻ってくる。ちょうどθ=45度だけ稜線を回転すると、図1(b)に示すように、第一の反射面(ミラー)1aによりθ(=45度)傾いた方向に折り返され、さらに、第二の反射面(ミラー)1bでさらにθ(=45度)回転して、合計2θ(=90度)回転して再帰反射により入射光側に戻ってくる。本発明の偏光回転素子は、以上の原理を利用して偏光方向を回転する素子である。
本実施例の偏光回転素子は、図1(b)に示すように、屋根型反射面対(例えば、屋根型ミラー)1の稜線を偏光方向に対してθ傾けることにより、入射する光の偏光方向を2θ回転できる機能を利用した素子である。
具体的な動作、作用としては、例えば、偏光方向に対して稜線方向をθ=45度傾けて、入射光を第一の反射面(ミラー)1aに入射させる。入射した光線は本素子の第一の反射面(ミラー)1a、第二の反射面(ミラー)1bで反射され(屋根型ミラー1で2回反射し)偏光方向が90度回転する。出射光は折り返されて入射方向と反対方向に出射される。また、屋根型ミラー1の反射する順番はどちら側からでも全く効果は変わらない。その点で、コンパクトな構成が可能となる。
また、上記の例では、2θ=90度の実施例を示したが、角度θを調整することにより、任意の偏光の回転を得ることができる。
図2は本発明の一実施例を示す偏光回転素子の構成説明図であり、偏光回転素子2の入射側から見た平面図、その正面図、側面図を合わせて示している。この偏光回転素子2は、屋根型反射面対2bの稜線を偏光方向に対してθ傾けて複数配列した反射領域2aを有しており、入射光の偏光方向は紙面に垂直あるいは水平方向であり、その直線偏光を90度回転させて反射する。図3は入射光の偏光方向に対して反射光の偏光方向が90度回転した光線の例を示している。
例えば、断面が矩形の分布で単一の反射面対では、素子への入射光の分布も回転し、分布の形状が変わってしまうが、反射面対を複数配列することにより反射光を分離でき、入射光に対する反射光の分布の変化を小さくできる。また、配列数を増やせば増やすほどその効果が大きい。
光学機器の構成によっては、入射側と出射側の開口により、分布が変わってしまうと光のけられが生じて効率を落としてしまうが、このような機器に適用した場合、開口効率を落とさない素子を実現できる。
以上の原理は、屋根型反射面対2bが屋根型ミラーの場合に限ったことではない。ミラーを2面使ってそれぞれの2面が交差する稜線が45度傾いた条件のときに再帰光の偏光方向が90度回転する。従って、反射面対はミラーで構成してもよいし、内部反射を利用したプリズムで構成しても同様の機能を有する。ミラーの優位点は、臨界角以上の反射が得られる点である。また、プリズムの利点は、内部反射を利用できるために、より高効率な反射となり、光のロスが低減できる。なお、図3は屋根型反射面対2bを屋根型プリズムとしたときの例である。
図4は本発明の別の実施例を示す偏光回転素子の構成説明図であり、偏光回転素子3の入射側から見た図、その正面図、側面図を合わせて示している。本実施例では、偏光回転素子3の反射領域3aの対角寸法に対して、屋根型反射面対(屋根型ミラーまたは屋根型プリズム)3bの配列ピッチを一定とし、同一平面上に稜線を含むような構成とした。各稜線は同一平面上にあるため、配列ピッチが細かくなると、見た目にはシート状となる。
このような構成にすることにより、反射面対で2回反射させることにより原理的に反射位置のシフトが生じるが、このシフト量を配列ピッチの細かさに応じて小さくできる。また、多くの光学素子のように、貼り合わせたりすることが可能となる。
先の図1(b)に示す偏光回転素子(屋根型ミラー)では、θ=45度として稜線を回転すると、図1(b)に示すように、第一の反射面1aにより45度方向に折り返され、さらに第二の反射面1bで45度回転して、合計90度回転して再帰反射により入射光側に戻ってくる。従って、この偏光回転素子(屋根型ミラー)1の稜線を45度傾けることにより偏光方向を90度回転できる機能が得られ、さらに偏光分離素子と組み合わせることにより偏光変換素子を構成することができる。
従来では偏光変換素子に波長板を用いていたが、本実施例では非常に簡単な機構により偏光変換を行える特徴を持つ。また、2回反射により偏光を回転させているので波長板で問題となっている波長によるリターデションの差がない。
図5は本発明の具体的な実施例を示す偏光変換素子の概略構成図である。この偏光変換素子4は、図1(b)に示す偏光回転素子(屋根型ミラー)1と、2つの直角プリズムの間に偏光分離膜12aを挟んだ構成の偏光分離素子(PBS)12と、反射部材(ミラー)13で構成されている。偏光回転素子11は、出射光の偏光方向に対して稜線を45度傾けて配置されている(紙面の垂直方向に45度倒れている)。
入射光としては、ランダム偏光、直線偏光、円偏光等、様々な方向の光束があるが、ここでは、屋根型ミラー1の上方から、無偏光状態の光束を入射させる。図には代表して互いに直交する直線偏光(P偏光、S偏光)の2種類を記載した。
図6は本発明の別の実施例を示す偏光変換素子の概略構成図である。この偏光変換素子5は、図1(b)に示す偏光回転素子(屋根型ミラー)1と、平板状(または平面型)の偏光分離素子15を対峙させて配置したものである。この平板状(または平面型)の偏光分離素子15は、波長以下のピッチで金属格子を基板上に形成したいわゆる金線格子(wire―grid偏光子)などで構成したものである。
前述の実施例6(図5)の偏光変換素子では、偏光分離素子にプリズムを貼り合わせた構成のPBS12を用いているので、偏光分離膜で偏光分離された反射光を折り返す反射部材13が必要であったが、本実施例では、偏光分離された反射光を直接屋根型ミラーに導くことができるので、効率面で高いという利点がある。また、偏光分離素子を低コスト作成することができる。
無偏光状態で屋根型ミラー1を通過した光は、平板状の偏光分離素子15で例えばP偏光のみを通過し、S偏光は反射される。反射されたS偏光は屋根型ミラー1に戻される。そして、屋根型ミラー1で2回反射することによって90度偏光方向が変わりP偏光となり、偏光分離素子15では透過光となって出射する。このようにして、偏光変換素子5からの出射光はP偏光に変換され、効率よく偏光変換がなされる。
次に図7は本発明の別の実施例を示す偏光変換素子の概略断面図である。この偏光変換素子10は、少なくとも、実施例2〜4のいずれかの偏光回転素子11と、2つの直角プリズムの間に偏光分離膜12aを挟んだ構成の偏光分離素子(PBS)12と、反射部材(ミラー)13で構成されている。偏光回転素子11は、出射光の偏光方向に対して稜線を45度傾けて配置されている。
入射光としては、ランダム偏光、直線偏光、円偏光等、様々な方向の光束があるが、ここでは、紙面の垂直方向に稜線が45度倒れている偏光回転素子11の後方から、無偏光状態の光束を入射させる。図には代表して互いに直交する直線偏光(P偏光、S偏光)の2種類を記載した。
図8は本発明のさらに別の実施例を示す偏光変換素子の概略断面図である。この偏光変換素子14は、実施例2〜4のいずれかの偏光回転素子11と、平板状(または平面型)の偏光分離素子15を対峙させて配置したものである。この平板状(または平面型)の偏光分離素子15としては、微細な格子パターンを形成したいわゆる金線格子(wire―grid偏光子)などが用いられる。
入射光としては、ランダム偏光、直線偏光、円偏光等、様々な方向の光束があるが、ここでは、紙面の垂直方向に稜線が45度倒れている偏光回転素子11の後方から、無偏光状態の光束を入射させる。図には代表して互いに直交する直線偏光(P偏光、S偏光)の2種類を記載した。
図9は本発明のさらに別の実施例を示す偏光変換素子の概略断面図である。この偏光変換素子16は、偏光分離膜18aより入射側の構成は図7の偏光変換素子と同様であり、直角プリズム18の直交する2面に偏光回転素子11と反射部材(ミラー)13を配置し、直角プリズム18の傾斜面に偏光分離膜18aを設けた構成であるが、偏光分離膜18aより出射側に、光束を少なくとも一度は内部で反射させる導光体(または導光路)17を配置したものである。
このような構成によると、偏光分離膜18aを通過した光束(例えばP偏光)は、導光体17内で反射して出射光となる。この構成では、導光体17の形状、特に長さや出射開口形状を適正に設定することによって、光の重畳効果により均一な照明を得るための手段としても利用できる。
図10は本発明のさらに別の実施例を示す偏光変換素子の概略断面図である。この偏光変換素子19は、導光体(または導光路)17を偏光分離膜18aと偏光回転素子11の間に配置したものであり、偏光回転素子11を通過した入射光は導光体17内で反射して偏光分離膜18aに導かれ、偏光分離膜18aで例えばP偏光のみが通過し、S偏光は反射される。反射されたS偏光は、導光体17の下面部に設けた反射部材13で反射され、再び、偏光分離膜18aで反射されて導光体17内を通り偏光回転素子11に戻される。そして、この偏光回転素子11を構成する屋根型反射面対(例えば図4に示すような複数配列されたプリズム)により2回反射することによって90度偏光方向が変わりP偏光となり、再び導光体17内で反射して偏光分離膜18aに導かれ、偏光分離膜18aを透過して出射する。このようにして、偏光変換素子19からの出射光は、光の重畳効果により均一なP偏光の光束に変換されて出射される。
図11は本発明のさらに別の実施例を示す偏光変換素子の構成説明図であり、中央の図は偏光変換素子の概略断面を示し、左側の図はA方向から見た入射面、右側の図はB方向から見た出射面を示している。
この偏光変換素子20は、2つの内部反射面21a,21bを有する屋根型プリズムからなる偏光回転素子21と、導光体(または導光路)17と、平板状(または平面型)の偏光分離素子15で構成されている。
入射開口部21cはプリズム側にあり、図示の例では屋根型プリズム21の上面に入射開口部21cが設けられて、プリズムの上面から導光体(または導光路)17に入射する構成とした。プリズム21の上面から効率よく入射させるために、入射角度と界面の法線のなす角度(入射角)をなるべく浅い角度になるように設定する。例えば、図示したような傾斜をつけることによって実現できる。この形状はいかなる形状でも、偏光分離素子15で反射して戻ってきた光束が臨界角を越えず、入射光側に抜け出ないような角度となるように設定すればよい。
なお、平板状(または平面型)の偏光分離素子15としては、金線格子(wire―grid偏光子)などが利用できる。
図12は本発明のさらに別の実施例を示す偏光変換素子の構成説明図であり、中央の図は偏光変換素子の概略断面を示し、左側の図はA方向から見た入射面、右側の図はB方向から見た出射面を示している。
この偏光変換素子22は、図11と略同様の構成であるが、偏光回転素子23の偏光変換部をアレイ状にした実施例であり、屋根型プリズム23−1,23−2を複数(図示の例では2つ)配列し、折り返し光の効率を向上させた構成である。また、プリズムの配列数を増やすことによって、プリズム両端部分で光の洩れ光をより少なくすることが可能となり、光利利用効率のよい偏光変換素子が実現できる。
この開口の大きさは偏光変換素子22の有効反射領域よりも小さく設定する。入射開口部23−3には効率よく光を導くために、図示しないが、光源からの光束を効率よく集光させた焦点にこの開口部を合わせるとよい。
また、この開口部23−3では、入射光の入射角度がなるべく垂直入射に近い値になることが望ましいので、この部分のみ平坦な形状としてもよい。
このように偏光変換部の開口を制限することによって、偏光分離素子15等から戻ってきた光束の洩れ光をなるべく少なくして、偏光変換させることができる。
図13は本発明のさらに別の実施例を示す偏光変換素子の構成説明図であり、中央の図は偏光変換素子の概略断面を示し、左側の図はA方向から見た入射面を示している。
この偏光変換素子24の入射側の構成は図12と同様であるが、導光体(または導光路)17の右側に、2つの直角プリズムの間に偏光分離膜12aを挟んだ構成の偏光分離素子(PBS)12と反射部材(ミラー)13を配置したものである。
このように偏光分離素子12をプリズムを用いたPBSとし、反射部材13と併せて反射光を効率よく偏光変換機能の偏光回転素子(プリズムアレイ)23へと導くことにより、効率良く偏光変換を行なうことができる。
図14は本発明のさらに別の実施例を示す偏光回転素子の構成説明図であり、偏光回転素子の入射側から見た図、その正面図、側面図を合わせて示している。本実施例では、図4と同様の構成の偏光回転素子3の反射面対領域3aの中央部に、入射光の透過領域となる開口部3cを設けた構成としたものである。この開口部3cは、複数配列された屋根型反射面対(屋根型ミラーまたはプリズム)3bが実質無い部分を設けるものであり、その形状は入射光束に合わせて円形にした。また、開口部3cの形状は、必要に応じて楕円であったり、矩形にすればよい。
このような構成の偏光回転素子を偏光変換素子に採用することで、入射光を効率よく偏光回転素子11の背面から素子内に入射させることができる。
この偏光変換素子25は、図14に示す屋根型プリズムアレイからなる偏光回転素子3と、導光体(または導光路)17と、平板状(または平面型)の偏光分離素子15で構成されている。図14に示したように、偏光回転素子3の入射側中央部には入射開口部3cが設けられている。
また、この構成では、偏光回転素子3と偏光分離素子15の間に導光体(または導光路)17を設けている。このような構成により、偏光回転素子3の開口部3cから入射した光束は、導光体17内で反射して偏光分離素子15に到達する。そして、この偏光分離素子15で例えばP偏光のみを通過し、S偏光は反射される。反射されたS偏光の光束は、再び、導光体17内で反射し、偏光回転素子11に導かれる。そして、偏光回転素子11で反射すると、90度偏光回転してP偏光となり、このP偏光の光束は再び導光体17内を伝搬し、偏光分離素子15を通過する。
この構成では、導光体(または導光路)17の形状、特に長さや出射開口形状を適正に設定することによって、光の重畳効果により均一な照明を得るための手段としても利用できる。また、平板状(または平面型)の偏光分離素子15としては、金線格子(wire―grid偏光子)などが利用できる。
図16は本発明のさらに別の実施例を示す偏光変換素子の概略断面図である。この偏光変換素子26は、図13と同様な2つの屋根型プリズムからなる偏光回転素子23と、導光体(または導光路)17と、偏光分離素子アレイ(PBSアレイ)27で構成されており、図13の偏光分離素子の部分を、複数の偏光分離膜27a〜27dを配列したPBSアレイ27に換えたものである。この構成では、反射光が隣接する偏光分離膜で反射して偏光変換機能の偏光回転素子23へ反射する。なお、偏光回転素子の構成は、図14のようにプリズムや屋根型ミラーを多数配列した構成でもよい。
このPBSアレイ27の機能は、片側の偏光分離膜で例えばP偏光を透過し、S偏光が反射し、隣接する互いに90度の角度の面に形成された偏光分離膜で再度反射されて再帰光となるようになっており、この再帰光は導光体(または導光路)17内を通過して、偏光変換機能を有する偏光回転素子23で反射され、90度偏光が回転する。そして、再び導光体(または導光路)17内を通過して、今度はP偏光となっているので、PBSアレイ27を通過して出射光となる。
次に本発明の偏光変換素子をライトバルブの照明装置として適用した実施例を示す。図17は偏光変換素子を用いた照明装置を備えた画像表示装置の概略構成図である。
図17において、照明装置30の光源31aとしては、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプなどが用いられる。また、発光ダイオード(LED)ランプなどの単色光も適用可能である。高輝度な白色LEDなども照明光源として適用してもよい。照明光学系の具体例としては、超高圧水銀ランプなどでよく利用されているが、光源31aの近傍に配置されたリフレクター31b(光源と一体となっている)により反射されて指向性を持たせた光束を集光レンズ32により集光し、波長フィルター33等を介して偏光変換素子34に入射させている。偏光変換素子34としては、実施例5〜16のいずれかの構成の偏光変換素子を用いることができるが、特に導光体(または導光路)17を有する偏光変換素子を使うと、インテグレータ光学系、いわれる照度均一化手段を構成できる。
偏光変換素子34で偏光変換され、偏光方向を揃えられた光束は、ライトバルブ37のパネル面上に照明されるが、この際、パネル照明用集光レンズ35などにより、パネル面上にて均一に照明分布を得られるようにしてもよい。
このように、本実施例では非常に単純な構成で偏光変換を行い、また、同時に、導光路の形状、構成によっては、いわゆるロッドインテグレータ光学系との融合性が高くなり、効率のよい照明装置30が実現する。
次に本発明の画像表示装置の実施例について説明する。画像表示素子であるライトバルブとしては、透過型液晶パネルや、反射型液晶パネル等が用いられるが、図17の実施例では、ライトバルブ37に反射型液晶パネルを用いた例を示している。
本実施例では、図17に示すように、本発明の偏光変換素子34及びそれを用いた照明装置30と、反射型液晶パネル37と、偏光分離素子(偏光ビームスプリッタ(PBS))などの照明光路と投射結像光路を分離する光路分離手段36とを用いる構成としているので、より効率の高い照明が求められる場合に大変有効である。
この波長フィルター33は、偏光変換素子34の後に配置されていてもかまわない。例えば、偏光変換素子34の後に、ストライプ状の反射型カラーフィルターを設けてもよい。また、図17の実施例では、光源31aから発した光束をリフレクター31bと集光レンズ32で集光させているが、回転楕円鏡などで一気に集光させてもよい。
また、光路分離手段36の後に投射レンズ38を設け、表示拡大画像を得るなどして、画像投射装置を実現することができる。
1a,1b:反射面
2:屋根型反射面対を複数配列した偏光回転素子
3:屋根型反射面対の配列ピッチを一定とした偏光回転素子
4,5,10,14,16,19,20,22,24,25,26,34:偏光変換素子
11:偏光回転素子
12:プリズム状の偏光分離素子(PBS)
12a,18a,27a,27b,27c,27d:偏光分離膜
13:反射部材(ミラー)
15:平板状の偏光分離素子
17:導光体(または導光路)
21:屋根型プリズムからなる偏光回転素子
23:複数の屋根型プリズムからなる偏光回転素子
27:偏光分離素子アレイ
30:照明装置
31a:光源
31b:リフレクター
32:集光レンズ
33:波長フィルター
35:パネル照明用集光レンズ
36:光路分離手段
37:反射型液晶パネル(ライトバルブ)
38:投射レンズ
Claims (18)
- 互いに直交する2つの反射面でなる屋根型反射面対で構成され、該2つの反射面の交線(以下、稜線と言う)を、入射光の偏光方向に対して傾けた配置としたことを特徴とする偏光回転素子。
- 請求項1記載の偏光回転素子において、
前記屋根型反射面対を、複数配列したことを特徴とする偏光回転素子。 - 請求項1または2記載の偏光回転素子において、
前記屋根型反射面対の反射面を直角プリズムの2面で構成したことを特徴とする偏光回転素子。 - 請求項2または3記載の偏光回転素子において、
前記屋根型反射面対の配列ピッチを一定とし、同一平面上に稜線を含むように配列したことを特徴とする偏光回転素子。 - 偏光分離素子と、該偏光分離素子により分離された2つの互いに直交する直線偏光の透過光、反射光のいずれか一方を出射光とし、もう一方を、その偏光方向を90度回転させて出射光として利用する偏光変換素子において、
前記偏光方向を90度回転させる手段として、請求項1〜4のいずれか一つに記載の偏光回転素子を用いたことを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項5記載の偏光変換素子において、
前記偏光回転素子と出射光の間に、少なくとも一度は内部で反射させる導光体または導光路を配置したことを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項6記載の偏光変換素子において、
前記偏光回転素子に光の透過領域を設けたことを特徴とする偏光変換素子。 - 偏光分離素子と、該偏光分離素子により分離された2つの互いに直交する直線偏光の透過光、反射光のいずれか一方を出射光とし、もう一方を、その偏光方向を90度回転させて出射光として利用する偏光変換素子において、
前記偏光方向を90度回転させる手段として、請求項1記載の偏光回転素子を用い、該偏光回転素子の屋根型反射面対を屋根型ミラーで構成し、該屋根型ミラーの稜線を出射光の偏光の方向に対して45度傾けて配置することによって、偏光の方向を90度回転させて偏光変換することを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項8記載の偏光変換素子において、
前記偏光分離素子で分離された反射光あるいは透過光を反射部材で反射させ、該反射光を、再び前記偏光分離素子へと導き、さらに該偏光分離素子で透過あるいは反射させて、互いに直交する2面の反射面でなす屋根型ミラーへ導くことによって偏光変換を行うことを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項8または9記載の偏光変換素子において、
前記屋根型ミラーは直角プリズム状とし、内部全反射を利用することを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項8〜10のいずれか一つに記載の偏光変換素子において、
前記偏光分離素子は、平板状の偏光分離素子であることを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項8〜10のいずれか一つに記載の偏光変換素子において、
前記偏光分離素子は、互いに90度の角度に配置した階段状の分離膜を形成した偏光分離素子アレイとしたことを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項8〜10のいずれか一つに記載の偏光変換素子において、
前記屋根型ミラーあるいは前記直角プリズムは、複数配列して形成したことを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項8〜13のいずれか一つに記載の偏光変換素子において、
前記屋根型ミラーあるいは前記直角プリズムと、前記偏光分離素子の間に、直方体の導光路を配置し、該導光路の内部で多重反射させることによって照明光の重畳を行うことを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項8〜14のいずれか一つに記載の偏光変換素子において、
無偏光あるいはランダムな偏光を持った光束を入射させる開口部分を、前記屋根型ミラーあるいは前記直角プリズムの背面に設けたことを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項8〜14のいずれか一つに記載の偏光変換素子において、
無偏光あるいはランダムな偏光を持った光束を入射させる開口部分を、前記偏光分離素子と前記屋根型ミラーあるいは前記直角プリズムの間に配置した導光路に設けたことを特徴とする偏光変換素子。 - 光源と、該光源の光を効率よく照明するための集光素子と、偏光変換素子とで構成された照明装置において、
前記偏光変換素子として、請求項5〜16のいずれか一つに記載の偏光変換素子を用いたことを特徴とする照明装置。 - 照明装置とライトバルブとで構成された画像表示装置において、
前記照明装置として、請求項17記載の照明装置を用いたことを特徴とする画像表示装置。
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