JP2005300661A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 定着装置におけるエンドレスベルトの摺動性の安定を図る。
【解決手段】 回動可能な定着ロール61と、定着ロール61に接触しながら移動可能なエンドレスベルト62と、エンドレスベルト62の内側に配置され、定着ロール61とエンドレスベルト62との間に用紙Pが通過するニップ部Nを形成する圧力パッド64と、多孔質材料で形成され、エンドレスベルト62の内周面に当接してエンドレスベルト62に潤滑剤を塗布する潤滑剤供給部材および圧力印加部材としての剥離ニップ部材64bとを備えている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、定着装置等に関し、より詳しくは例えば電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる定着装置等に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、例えばドラム状に形成された感光体(感光体ドラム)を一様に帯電し、この感光体ドラムを画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体ドラム上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像をトナーによって可視像(トナー像)とし、このトナー像を感光体ドラム上から記録紙に転写した後、定着装置によってこのトナー像を記録紙に定着している。
かかる画像形成装置に用いられる定着装置は、図7に示したように、円筒状の芯金111の内部に加熱源114を備え、その芯金111に耐熱性弾性体層112と、その外周面に離型層113とが積層して形成された定着ロール110と、この定着ロール110に対して圧接配置され、芯金121に耐熱性弾性体層122と、その外周面に耐熱性樹脂被膜あるいは耐熱性ゴム被膜による離型層123とが積層して形成された加圧ロール120とで構成されている。そして、定着ロール110と加圧ロール120との間に、未定着トナー像を担持した記録紙を通過させて、未定着トナー像に対して加熱と加圧とを行うことによって、記録紙にトナー像を定着している。このような定着装置は、ロールニップ方式と呼ばれて、一般に広く利用されている。
ところで、ロールニップ方式の定着装置において高速化を図ろうとする場合には、トナーと記録紙に充分な熱量が供給できるように、ニップ幅を定着速度に比例して広くすることが必要となる。ニップ幅を広くする方法として、定着ロールと加圧ロールとの間の荷重を大きくする方法や、弾性体層の厚さを厚くする方法、さらにはロール径を大きくする方法がある。
しかし、荷重を大きくする方法や、弾性体層の厚さを厚くする方法では、ロールの撓みに起因するニップ幅の形状がロール軸に沿って不均一になることから、定着むらや紙しわが生じる等といった画像品質上の問題が発生する。また、ロール径を大きくする方法では、装置の大型化を招くとともに、ロールを室温から定着可能温度に上昇させるまでの時間(ウォームアップタイム)が長くなるという問題がある。
そこで、これらの問題を解消して、画像形成装置の高速化に対応した定着装置を実現するべく、本出願人は、表面が弾性変形する回転可能な定着ロールと、この定着ロールに接触したまま走行可能なエンドレスベルトと、このエンドレスベルトの内側に非回転状態で配置された圧力パッドとを具備し、圧力パッドによって、定着ロールとの接触面が形成されるようにエンドレスベルトを定着ロールに圧接させ、エンドレスベルトと定着ロールとの間にシートを通過させることができるようにベルトニップを設けるとともに、定着ロールの表面のうち、シートの出口側を局部的に弾性変形させるように構成した定着装置に関する技術を提案している(例えば、特許文献1参照)。
かかる特許文献1に記載した定着装置(「ベルトニップ方式」という。)では、従来のロールニップ方式の定着装置における加圧ロールに代え、圧力パッドを用いてエンドレスベルトを定着ロールに圧接させている。このような構成を採用することにより、定着ロールとエンドレスベルトとによって形成されるベルトニップの幅が従来の定着ロールと加圧ロールとのロールニップの幅よりも容易に大きくすることができるとともに、ニップ部において均一で高いニップ圧を付与することができるので、高速化への対応が可能となり、しかも装置の小型化を図ることも容易である。
さらには、定着ロールに圧接させるエンドレスベルトの熱容量は小さく、加えて圧力パッドが非回転状態で配置されていることから、定着ロールから伝わる熱が外部に発散され難い構成を実現している。そのため、定着ロールの回転が開始されても、定着ロールからエンドレスベルト側に奪われる熱量は少なく、トナーの溶融に際しての熱効率を高めることができるとともに、ベルトニップでの温度低下量も小さいことから、トナーの定着性の向上を図ることができるという利点も有している。
特許第3298354号公報(第4-7頁)
ところで、上記した特許文献1に記載したようなベルトニップ方式の定着装置では、ニップ部においてワイドニップを形成するとともに、均一で高いニップ圧を付与することができるが、圧力付与部材(圧力パッド)によりエンドレスベルトを定着ロールに圧接させる構成を採用していることから、圧力付与部材とエンドレスベルトとの間には摺動摩擦が発生する。そのため、圧力付与部材とエンドレスベルトとの摺擦面に直接潤滑剤を塗布するか、または圧力付与部材上に低摩擦部材を配置しておき、この低摩擦部材とエンドレスベルトとの摺擦面に潤滑剤を塗布することで、圧力付与部材とエンドレスベルトとの摺動性(滑り性)の向上を図っている。
そして、この圧力付与部材とエンドレスベルトとの摺擦面に潤滑剤を供給するに際しては、エンドレスベルトの内周面に接触するように潤滑剤供給部材を配置して、潤滑剤供給部材からエンドレスベルトの内周面に潤滑剤を塗布し、エンドレスベルトの回動に伴って摺動部まで潤滑剤を搬送する方法が一般的に採用されている。
しかしながら、ベルトニップ方式の定着装置では、ニップ部の下流部において定着ロールの表面を局部的に加圧することで、トナー像表面を平滑にしてカラー画像等に良好な画像光沢を付与するとともに、定着ロールの表面を局部的に弾性変形させて記録紙にダウンカールを形成し、記録紙の剥離が容易に行えるように構成している。このようにニップ部に局所的な高圧部を形成した構成では、その高圧部の摺擦面に対して潤滑剤を供給することが難しくなることから、圧力付与部材とエンドレスベルトとの摺動部の摺擦抵抗を低減することに一定の限界が生じる。そのため、長期の使用に際してエンドレスベルトの円滑な回動に支障が生じる可能性があり、その際には紙しわや画像ずれ等の画像不良を生じさせる場合があった。
また、潤滑剤供給部材としては、加工性に優れ、安価に製造でき、しかも比較的多量の潤滑剤を含浸できるという利点を有するフェルト(不織布)を用いることが多いが、その場合には、フェルト表面から繊維が抜け落ち、これがエンドレスベルトの回動によって圧力付与部材とエンドレスベルトとの摺動部(ニップ部)まで運ばれ、そこで堆積して、両者の摺動性を悪化させる場合がある。この点に関しても、エンドレスベルトの円滑な回動を阻害する要因となっていた。
そこで本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、定着装置におけるエンドレスベルトの摺動性の安定を図ることにある。
かかる目的のもと、本発明の定着装置は、記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、回動可能な回動部材と、回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、ベルト部材の内側に配置され、ベルト部材を回動部材に圧接させて回動部材とベルト部材との間に記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材と、多孔質材料で形成され、ベルト部材の内周面に当接してベルト部材に潤滑剤を塗布する潤滑剤供給部材とを備えたことを特徴としている。
ここで、潤滑剤供給部材は、セラミックまたはフェノール樹脂で形成されたことを特徴とすることもできる。また、潤滑剤供給部材は、孔径が10μm以下の細孔を有することを特徴とすることもできる。さらに、潤滑剤供給部材は、ベルト部材との当接部を除いた表面にシール膜が被覆された構成とすることもできる。
また、潤滑剤供給部材は、ニップ部の下流部においてベルト部材を介して回動部材を局所的に押圧することを特徴とすることができる。
さらに、回動部材を加熱する加熱部材、またはベルト部材を加熱する加熱部材をさらに備えた構成とすることもできる。
また、本発明の定着装置は、回転可能な定着ロールと、定着ロールに接触しながら移動可能なエンドレスベルトと、エンドレスベルトの内側に配置され、エンドレスベルトを介して定着ロールを局所的に押圧する圧力印加部材とを備え、圧力印加部材は、多孔質かつ硬質の材料で形成され、内部に潤滑剤が含浸されたことを特徴としている。
ここで、圧力印加部材は、定着ロールとエンドレスベルトとの当接領域内の下流部に配置されたことを特徴とすることができる。また、圧力印加部材は、エンドレスベルトを介して定着ロールを押圧する押圧面が滑らかな凸状曲面で形成された構成とすることもできる。
さらに、本発明を画像形成装置として捉え、本発明の画像形成装置は、トナー像を形成するトナー像形成手段と、トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、記録材上に転写されたトナー像を記録材に定着する定着手段とを含み、定着手段は、回動可能な回動部材と、回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、ベルト部材の内側に配置され、ベルト部材を回動部材に圧接させて回動部材とベルト部材との間に記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材と、多孔質材料で形成され、ベルト部材の内周面に当接してベルト部材に潤滑剤を塗布する潤滑剤供給部材とを備えたことを特徴としている。
本発明の効果として、定着装置におけるエンドレスベルトの摺動性の安定を図ることにより、長期に亘り紙しわや画像ずれ等の発生を抑えて高品質な画像を形成することが可能となった。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1K、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
本実施の形態において、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周囲に、これらの感光体ドラム11を帯電する帯電器12、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17、などの電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は106〜1014Ωcmとなるように形成されており、その厚みは例えば0.1mm程度に構成されている。中間転写ベルト15は、各種ロールによって図1に示すB方向に所定の速度で循環駆動(回動)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回動させる駆動ロール31、各感光体ドラム11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能するテンションロール33、二次転写部20に設けられるバックアップロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニングバックアップロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が10〜10Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接配置され、さらに一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール22と、バックアップロール25とによって構成される。バックアップロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRとのブレンドゴムのチューブ、内部がEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10〜1010Ω/□となるように形成され、硬度は例えば70°(アスカーC)に設定されている。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極をなし、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が当接配置されている。
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が10〜10Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
さらに、本実施の形態の画像形成装置では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ50、この用紙トレイ50に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール51、ピックアップロール51により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Pを二次転写部20へと送り込む搬送シュート53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Pを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Pを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。図1に示すような画像形成装置では、図示しない画像読取装置(IIT)や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置(IPS)により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。IPSでは、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体ドラム11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが当接する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、用紙搬送系では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール51が回転し、用紙トレイ50から所定サイズの用紙Pが供給される。ピックアップロール51により供給された用紙Pは、搬送ロール52により搬送され、搬送シュート53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Pは一旦停止され、トナー像が担持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Pの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22がバックアップロール25に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Pは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に担持された未定着トナー像は、二次転写ロール22とバックアップロール25とによって押圧される二次転写部20において、用紙P上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Pは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Pを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱および圧力で定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部に搬送される。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
次に、本実施の形態の画像形成装置に用いられる定着装置60について説明する。図2は本実施の形態の定着装置60の構成を示す側断面図である。定着装置60は、回動部材の一例としての定着ロール61、ベルト部材の一例としてのエンドレスベルト62、およびエンドレスベルト62を介して定着ロール61から押圧される圧力部材の一例としての圧力パッド64により主要部が構成されている。
定着ロール61は、金属製のコア(円筒状芯金)611の周囲に耐熱性弾性体層612、および離型層613を積層して構成された円筒状ロールであり、回転自在に支持されている。
定着ロール61の内部には、発熱源としてのハロゲンヒータ66が配設されている。一方、定着ロール61の表面には温度センサ69が接触して配置されている。画像形成装置の制御部40は、この温度センサ69による温度計測値に基づいてハロゲンヒータ66の点灯を制御し、定着ロール61の表面温度が所定の設定温度(例えば、150℃)を維持するように調整している。
エンドレスベルト62は、継ぎ目がない無端状のベルトであり、エンドレスベルト62の内部に配置された圧力パッド64とベルトガイド部材63、さらにはエンドレスベルト62の両端部に配置されたエッジガイド80(後段の図3参照)によって回動自在に支持されている。そして、ニップ部Nにおいて定着ロール61に対して圧接されるように配置されている。
ここで、図3はエンドレスベルト62が支持される構成を説明する断面構成図であり、用紙Pの搬送方向上流側から見た定着装置60の一方の端部領域を示している。
図3に示すように、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65の両端部にエッジガイド80が固設されている。エッジガイド80は、ニップ部Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト走行ガイド部801、このベルト走行ガイド部801の外側に設けられ、エンドレスベルト62の内径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802、さらにフランジ部802の外側に設けられ、エッジガイド80を定着装置60本体に位置決めして固定するための保持部803で構成されている。
そして、エンドレスベルト62の両端部では、ニップ部Nとその近傍を除いて、両端部の内周面がベルト走行ガイド部801の外周面に支持され、エンドレスベルト62はベルト走行ガイド部801の外周面に沿って回動する。したがって、ベルト走行ガイド部801は、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように摩擦係数の小さな材質で形成され、さらには、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成されている。
また、フランジ部802は、ホルダ65の両端部において対向するように配置された両フランジ部802の内側面が、エンドレスベルト62の幅と略一致する間隔を持つように配置されている。そして、エンドレスベルト62が回動する際には、エンドレスベルト62の端部がフランジ部802の内側面に当接することによって、エンドレスベルト62の幅方向への移動(ベルトウォーク)が制限されている。このように、エンドレスベルト62は、エッジガイド80によって片寄りが規制されるように支持されている。
また、エンドレスベルト62の両端部を除く長手方向の領域では、エンドレスベルト62は圧力パッド64とベルトガイド部材63とに支持されている(図2も参照)。そして、エンドレスベルト62の両端部を除く領域では、エンドレスベルト62の内周面が圧力パッド64とベルトガイド部材63とに摺擦しながら回動する。
ベルトガイド部材63は、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65に取り付けられ、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように、摩擦係数の小さな材質で形成されている。また、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成するのが好ましい。
次に、圧力パッド64は、エンドレスベルト62の内側において、エンドレスベルト62を介して定着ロール61に押圧される状態で配置され、定着ロール61との間でニップ部Nを形成している。圧力パッド64は、幅の広いニップ部Nを確保するためのプレニップ部材64aをニップ部Nの入口側(上流側)に配置している。また、定着ロール61表面を局所的に押圧することで、トナー像表面を平滑化して画像光沢を付与するとともに、定着ロール61表面に歪み(凹み)を与えて用紙Pにダウンカールを形成するための圧力印加部材の一例としての剥離ニップ部材64bをニップ部Nの出口側(下流側)に配置している。さらに、プレニップ部材64aには、エンドレスベルト62の内周面とプレニップ部材64aとの摺動抵抗を小さくするために、エンドレスベルト62と接する面に低摩擦シート68が設けられている。一方、剥離ニップ部材64bには低摩擦シート68は配設されず、剥離ニップ部材64bとエンドレスベルト62の内周面とは、直接接触するように構成されている。
なお、かかる圧力パッド64(プレニップ部材64aおよび剥離ニップ部材64b)と低摩擦シート68とは、金属製のホルダ65に支持されている。
そして定着ロール61は、図示しない駆動モータに連結されて矢印C方向に回転し、この回転に従動してエンドレスベルト62も定着ロール61と同じ方向に回動する。図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって導かれて、ニップ部Nに搬送される。そして、用紙Pがニップ部Nを通過する際に、用紙P上のトナー像はニップ部Nに作用する圧力と、定着ロール61から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置60では、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹形状のプレニップ部材64aによりニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
なお、ニップ部Nの下流側近傍には、剥離ニップ部材64bによって定着ロール61から剥離された用紙Pを完全に定着ロール61から分離し、画像形成装置の排出部へ向かう排紙通路に誘導するための剥離補助部材70が配設されている。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ロール61と近接する状態でバッフルホルダ72によって保持されている。
次に、定着装置60を構成する各部材について詳細に述べる。まず定着ロール61では、コア(基材)611は、鉄、アルミニウム、SUS等の熱伝導率の高い金属で形成された外径25mm、長さ350mmの円筒体で構成されている。
耐熱性弾性体層612は、耐熱性の高い弾性体で構成され、特に、硬度が15〜45°(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いるのが好ましい。具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。
離型層613には、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂が用いられるが、トナーに対する離型性や耐摩耗性の観点から、フッ素樹脂が適している。フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等が使用できる。離型層613の厚みは、好ましくは5〜30μm、より好ましくは10〜20μmに構成している。
エンドレスベルト62は、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じないように、原形が直径30mmの円筒形状に形成された継ぎ目がない無端ベルトであり、ベース層と、このベース層の定着ロール61側の面または両面に被覆された離型層とから構成されている。ベース層は、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のポリマーにより形成され、その厚みは、30〜200μm、好ましくは50〜125μm、より好ましくは75〜100μm程度である。ベース層の表面に被覆される離型層としては、フッ素樹脂、例えばPFA、PTFE、FEPで形成され、その厚みは5〜100μm、好ましくは10〜30μm程度である。
エンドレスベルト62の内部に配置された圧力パッド64は、上述したように、プレニップ部材64a、剥離ニップ部材64bで構成され、バネや弾性体によって定着ロール61を付勢するようにホルダ65に支持されている。プレニップ部材64aには、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性体や板バネ等を用いることができ、定着ロール61側の面は、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹曲面状で形成されている。
剥離ニップ部材64bは、セラミック、フェノール樹脂等の多孔質であって、硬質の材料で形成されている。そして、剥離ニップ部材64bの内部には、潤滑剤が含浸されている。また、剥離ニップ部材64bの形状としては、ニップ部Nにおけるエンドレスベルト62側の外面形状が一定の曲率半径を有する凸曲面状に形成され、その表面は滑らかに形成されている。
低摩擦シート68は、エンドレスベルト62内周面と圧力パッド64のプレニップ部材64aとの摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減するためにプレニップ部材64aのエンドレスベルト62内周面側に設けられ、摩擦係数が小さく、耐摩耗性・耐熱性に優れた材質が適している。具体的には、シンタード成型したPTFE樹脂シート、テフロン(登録商標)を含浸させたガラス繊維シート、またガラス繊維にフッ素樹脂からなるスカイブフィルムシートを加熱融着サンドした積層シート、FEPフィルム、ポリイミドフィルム等を用いることができる。
なお、低摩擦シート68は、表面の凹凸の有無に関わらず、浸潤性、透過性のない材質で形成されることが望ましい。低摩擦シート68を表面の凹凸の有無に関わらず、浸潤性、透過性のない材質で形成することで、潤滑剤が低摩擦シート68に滲み込むことを抑制できるので、摺動部において潤滑剤が失われず、潤滑剤の安定的な維持を可能とする。また、潤滑剤がプレニップ部材64aに滲み込んで膨潤し、ニップ圧が低下することを防ぐこともできる。
ここで、低摩擦シート68は、プレニップ部材64aのエンドレスベルト62内周面側に配置される構成であれば、低摩擦シート68をプレニップ部材64aと別体に構成しても、プレニップ部材64aと一体的に構成しても、いずれでもよい。
また、ホルダ65に配設されたベルトガイド部材63は、上述したように、エンドレスベルト62の内周面と摺擦するため、摩擦係数が低く、かつ、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率が低い材質が適しており、PFAやPPS等の耐熱性樹脂が用いられる。
続いて、本実施の形態の定着装置60における、圧力パッド64に配設された剥離ニップ部材64bについて説明する。
上述したように、圧力パッド64のニップ部N出口側を構成する剥離ニップ部材64bは、セラミック、フェノール樹脂等といった、多孔質であって硬質の材料で形成されている。そして、剥離ニップ部材64bの内部には、潤滑剤が含浸されている。すなわち、剥離ニップ部材64bは多孔質の材料で形成され、相互に連通した細孔が全体に形成されているので、その細孔に潤滑剤を保持させることができる。
また、図4は剥離ニップ部材64bの構成を説明する図であるが、図4に示したように、剥離ニップ部材64bのエンドレスベルト62側の表面(摺擦面)を除く外表面は、テフロン(登録商標)やPFA等のフッ素樹脂により被膜されて、シール膜が形成されている。そのため、摺擦面を除く外表面の細孔は封止されて、剥離ニップ部材64bの内部に保持された潤滑剤は、摺擦面を除く外表面からは外部に漏れ出ることがないように構成されている。
さらに、剥離ニップ部材64bは、エンドレスベルト62側の摺擦面の形状が一定の曲率半径を有する凸状曲面に形成されるとともに、エンドレスベルト62側の摺擦面の表面は滑らかに形成されている。そして、エンドレスベルト62内周面に接触しながら定着ロール61表面を押圧し、局所的な高圧部を形成している。
このような局所的な高圧部を形成することにより、ニップ部Nの入口側に配置されたプレニップ部材64aにおいて加熱・加圧されて定着されたトナー像に対して、再度高圧を印加することで、トナー像表面の平滑化が行なわれ、特にカラー画像に良好な画像光沢を付与することができる。その際、剥離ニップ部材64bは、硬質のセラミック、フェノール樹脂等で形成されているため、定着ロール61表面を押圧しても、剥離ニップ部材64bに変形が生じることなく、効率的に局所的な高圧部を形成することができる。
加えて、定着ロール61の外周面に対し突出させて剥離ニップ部材64bを配置することにより、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において、定着ロール61表面に配置された耐熱性弾性体層612および離型層613に局所的に大きな歪み(凹み)が形成される。そのため、定着後の用紙Pには、剥離ニップ部を通過する際に、この凹みによってダウンカールが形成され、定着ロール61に巻き付くことのない用紙Pの剥離を効果的に行うことができる。
その際、定着ロール61の凹みを局所的に大きく形成することで、小さい凹み量で高い剥離性能を得ることが可能となる。そのため、定着ロール61の離型層613として、薄膜の耐熱性樹脂を用いた場合においても、用紙Pにおける紙しわの発生を抑制することができる。また、耐熱性弾性体層612と離型層613との間の剥がれ等も発生し難く、剥離性能の維持と併せて長期に亘る部品性能の信頼性を向上させることができる。
さらには、定着ロール61の凹みを局所的に大きくすることによって定着ロール61の凹み量を小さく形成できるので、定着ロール61の耐熱性弾性体層612を薄肉化することができる。そのため、定着ロール61の熱容量を小さく構成できるので、ウォームアップタイムを短くするとともに、消費電力の低減を図ることもできる。また、熱伝導率の低い耐熱性弾性体層612を薄肉化できるため、定着ロール61の内面と外面との間の熱抵抗が小さくなって熱応答性の向上を図れるため、画像形成装置の高速化にも適している。
このような構成により、トナー像表面の平滑化によるカラー画像に良好な画像光沢を付与することができるとともに、用紙Pにはダウンカールが形成され、定着ロール61に巻き付くことのない用紙Pの剥離を効果的に行うことが可能となる。ところが、エンドレスベルト62においては、剥離ニップ部材64bから高圧で押圧されるために、エンドレスベルト62と剥離ニップ部材64bとの摺擦面に対して潤滑剤を供給することが難しくなることから、摺擦抵抗は高くなる傾向にある。
これに対し、本実施の形態の定着装置60では、剥離ニップ部材64bは多孔質の材料で形成され、内部に潤滑剤が含浸されている。それによって、剥離ニップ部材64bのエンドレスベルト62側の表面(摺擦面)においては、剥離ニップ部材64bの細孔を通って内部から、主として毛細管現象による潤滑剤の滲み出し、さらには剥離ニップ部材64b上をエンドレスベルト62が移動することにより発生する、潤滑剤の流れが潤滑剤の滲み出しを助けることで、エンドレスベルト62と剥離ニップ部材64bとの摺擦面に潤滑剤を供給することが可能となる。加えて、エンドレスベルト62側の摺擦面の表面は滑らかに形成されている。そのため、エンドレスベルト62と剥離ニップ部材64bとの摩擦係数を極めて小さくすることができ、摺擦抵抗を低いレベルに維持してエンドレスベルト62を円滑に回動させることが容易となる。
このように、エンドレスベルト62と剥離ニップ部材64bとの摺擦面には、局所的に高い圧力が印加されているので、その高圧部の摺擦面に外部から潤滑剤を注入することは困難を伴うが、剥離ニップ部材64bの内部から潤滑剤が滲み出すように構成することで、高い圧力が印加されているエンドレスベルト62と剥離ニップ部材64bとの摺擦面にも、潤滑剤を供給することが可能となる。
また、剥離ニップ部材64bの内部からエンドレスベルト62と剥離ニップ部材64bとの摺擦面に供給された潤滑剤は、エンドレスベルト62の回動によりプレニップ部材64aが配置されたニップ部Nの入口側にも搬送され、プレニップ部材64aのエンドレスベルト62側表面に設けられた低摩擦シートとエンドレスベルト62内周面との間にも供給される。そのため、プレニップ部材64aとエンドレスベルト62との摺擦抵抗も低いレベルに維持することが可能となる。この点で、剥離ニップ部材64bは、潤滑剤供給部材としての機能をも併有している。
ここで、ニップ部Nにおける潤滑剤の作用について述べる。
上述したように、トナー像が静電転写された用紙Pが定着装置60のニップ部Nを通過することにより、トナー像が用紙Pに定着されるが、用紙Pがニップ部Nを通過する際の搬送力は、駆動側の定着ロール61から受けている。すなわち、用紙Pは、定着ロール61の回転に伴い、定着ロール61から摩擦力を受けることによって搬送されている。
一方、ニップ部Nに用紙Pが搬送されていない状態では、従動側のエンドレスベルト62も定着ロール61の回転に伴って定着ロール61から摩擦力を受けることによって回動している。しかし、ニップ部Nに用紙Pが搬送され、用紙Pがニップ部Nに挟持されている状態では、エンドレスベルト62は用紙Pを介して定着ロール61から搬送力を受けている。したがって、用紙P側から捉えると、用紙Pがニップ部Nを通過する際には、用紙Pには、定着ロール61からの搬送力が働くと同時に、エンドレスベルト62側から搬送方向とは逆方向の力(逆搬送力)が作用することとなる。
したがって、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗が増加すると、用紙Pがニップ部Nを搬送される際に、用紙Pがエンドレスベルト62から受ける逆搬送力が大きくなり、用紙Pの搬送が定着ロール61の回動に追随できなくなって、用紙Pと定着ロール61との間でスリップが発生する。
特に、ニップ部Nにおいては、定着ロール61の外径を中央部から両端部にかけて大きく形成した、所謂フレア形状に構成したり、剥離ニップ部材64bと定着ロール61との間の押圧力が中央部から両端部にかけて大きくなるように設定することによって、常に用紙Pには中央部から両端部に向かって幅方向に力が作用するようにして、用紙Pに紙しわが生じるのを抑制している。ところが、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗が増加して、用紙Pが定着ロール61の搬送に追随できなくなってスリップが生じると、このような用紙Pの幅方向に作用する力のバランスが崩れることとなり、用紙Pに紙しわや画像ずれを生じさせる結果を招いてしまう。
これに対し、本実施の形態の定着装置60では、エンドレスベルト62と剥離ニップ部材64bとの摺擦面には、剥離ニップ部材64bの内部から潤滑剤が滲み出るようにして、潤滑剤を供給することができるように構成している。加えて、剥離ニップ部材64bのエンドレスベルト62側の摺擦面は滑らかに形成している。そのため、局所的に高い圧力が生じているエンドレスベルト62と剥離ニップ部材64bとの摩擦係数を極めて小さく設定することが可能となる。
また、エンドレスベルト62と剥離ニップ部材64bとの摺擦面に供給された潤滑剤は、エンドレスベルト62の回動によって、プレニップ部材64aのエンドレスベルト62側表面に設けられた低摩擦シート68とエンドレスベルト62内周面との間にも供給される。そのため、エンドレスベルト62とプレニップ部材64aとの摺動部に対して、潤滑剤が常時供給される状態を実現することができるので、エンドレスベルト62とプレニップ部材64aとの摩擦係数も極めて小さく設定することが可能となる。
このようにして、エンドレスベルト62と圧力パッド64(プレニップ部材64aおよび剥離ニップ部材64b)との間の摩擦係数は極めて小さく設定することができるので、両者の間の摺動抵抗を低いレベルに維持することができる。その結果、エンドレスベルト62の円滑な回動が可能となり、用紙Pを定着ロール61と等速に安定して搬送することができ、画像ずれや紙しわの発生を抑えられることが可能となる。
その際、潤滑剤の供給源は、剥離ニップ部材64bであり、セラミック、フェノール樹脂等によって構成され、フェルトのように繊維質を含まないので、エンドレスベルト62と圧力パッド64との摺動部(ニップ部N)には、抜け落ちた繊維が堆積することもない。そのため、ニップ部Nに繊維が堆積することにより、両者の摺動性が悪化することも抑制することができる。
また、剥離ニップ部材64bを構成するセラミック、フェノール樹脂等は、硬質であるため、定着ロール61表面を押圧する際にも、剥離ニップ部材64bに変形が生じることなく、効率的に局所的な高圧部を形成することが可能である。
なお、本実施の形態の構成に加えて、エンドレスベルト62の内周面に微細な凹凸を形成すれば、エンドレスベルト62の内周面における潤滑剤の保持能力を向上させるとともに、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との接触面積を小さくすることができる。エンドレスベルト62の内周面における潤滑剤の保持能力を高くすることによって、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動部において、適量の潤滑剤量をさらに安定して維持することが可能となる。加えて、エンドレスベルト62と低摩擦シート68、さらにはエンドレスベルト62と剥離ニップ部材64bとの接触面積を小さくすることで、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摩擦係数をさらに小さくすることができる。そのため、エンドレスベルト62と圧力パッド64との摺動抵抗を低減する効果がさらに得られ、画像ずれや紙しわの発生を一層抑制することができる。
次に、剥離ニップ部材64bの製造方法について説明する。
まず、剥離ニップ部材64bをセラミックによって形成する場合を述べる。多孔質セラミックとしては、耐摩耗性および耐チッピング性(硬度および靱性)に優れた材料として、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、コージライト等を主成分とするセラミックが好適である。そして、これらのセラミック原料に対し、例えば、アルミナを用いる場合にはSiO2やMgO等、窒化珪素を用いる場合には周期律表2a、3a族元素の酸化物や窒化物、ジルコニアを用いる場合にはY2 3 、CaO、MgO、CeO2 等の助剤を添加して、所望の形状に成形する。そして、それを焼成すれば、実質的に3%以上の収縮を伴いつつ、強固で靱性および耐摩耗性に優れた多孔質セラミックで形成された剥離ニップ部材64bを得ることができる。
その際、セラミック原料に樹脂や発泡剤を添加混合すれば、添加した樹脂や発泡剤が焼成中に焼失して細孔を有する多孔質セラミックを容易に得ることができる。さらには、これらの樹脂や発泡剤の添加量、粒子径などを調整することで、細孔の開孔率や孔径を自由に設定することができる。また、通常のセラミック原料を用いて、焼成条件を調整して、完全に焼結しない状態とすることにより、樹脂や発泡剤を混入させることなく、細孔を形成することもできる。
本実施の形態の剥離ニップ部材64bにおいては、潤滑剤を多く含浸させるために、多孔質セラミックの細孔は互いに連通していることが好ましい。また、多孔質セラミックは、全体として開孔率が3〜50%であることが好ましい。その理由は、開孔率が3%より小さい場合には、充填する潤滑剤量が少なくなり、エンドレスベルト62と剥離ニップ部材64bとの摺擦面に潤滑剤を充分に供給することが困難となるためであり、50%より大きい場合には、剥離ニップ部材64b自体の耐摩耗性が低下するからである。
また、多孔質セラミックの細孔については、平均孔径が10μm以下であることが好ましい。平均孔径が10μm以下であれば、潤滑に適した潤滑剤の滲み出し量を長期間に亘って確保することが可能となるからである。
さらに、剥離ニップ部材64bにおけるエンドレスベルト62側の表面は、細孔を除く部分の表面粗さ値Ra(算術平均粗さ)が3μm以下、好ましくは1μm以下の極めて平滑な面とすることが好ましい。これは、剥離ニップ部材64bとエンドレスベルト62との摺動性をさらに向上させるためである。平滑な面を形成するには、焼結後に研磨すればよい。
一方、剥離ニップ部材64bをフェノール樹脂によって形成する場合には、フェノール樹脂発泡体を所定の形状に成型して得ることができる。その場合には、強度を確保するため、ガラス繊維を充填することもできる。
ここで、剥離ニップ部材64bに潤滑剤を含浸させる方法としては、加熱により低粘度化した潤滑剤中に剥離ニップ部材64bを浸漬したのち、真空または加圧下で含浸する等の含浸法を用いることができる。
また、潤滑剤としては、定着温度環境下での長期使用に対する耐久性を有し、かつ、エンドレスベルト62内周面との濡れ性を維持できるものが適している。例えば、シリコーンオイルやフッ素オイル等を用いることができる。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、シラノール変性シリコーンオイル、スルホン酸変性シリコーンオイル等が挙げられるが、摺動抵抗を低減させる効果や取り扱い性の観点から、アミノ変性シリコーンオイルが好適である。
ところで、本実施の形態の定着装置60では、低摩擦シート68は、圧力パッド64の入口側に配置したプレニップ部材64aにのみ設けた構成としたが、図5に示したように、低摩擦シート68が剥離ニップ部材64bを除くエンドレスベルト62の内部に配置された部材を長手方向の略全領域に亘って覆うように、低摩擦シート68を配設することもできる。このように低摩擦シート68を配設することによって、エンドレスベルト62の回動に際してエンドレスベルト62の内周面がその内部に配置された部材と非接触となる構成を実現でき、エンドレスベルト62の内周面に塗布された潤滑剤がこれらの部材に漏洩することを抑制することができる。
さらに、剥離ニップ部材64bが配置された部分を除いて、エンドレスベルト62の内周面は、低摩擦シート68に支持されながら回動するので、剥離ニップ部材64bによってエンドレスベルト62の内周面に塗布された潤滑剤は、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との間の接触面に担持されることで、エンドレスベルト62の内周面と低摩擦シート68の表面との双方に保持されることとなる。そのため、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との接触面において高い潤滑剤保持能力を実現できるので、エンドレスベルト62の両端部からの潤滑剤の漏洩も殆ど生じることもない。
このような構成により、エンドレスベルト62の内周面における潤滑剤の保持能力をさらに向上させることができる。
以上説明したように、本実施の形態の定着装置60では、剥離ニップ部材64bは多孔質であるとともに硬質の材料で形成され、内部に潤滑剤が含浸されて構成されている。このような構成によって、エンドレスベルト62と剥離ニップ部材64bとの摺擦面には、剥離ニップ部材64bの内部から潤滑剤が滲み出ることによって、潤滑剤を供給することができる。また、エンドレスベルト62と剥離ニップ部材64bとの摺擦面に供給された潤滑剤は、エンドレスベルト62の回動によって、プレニップ部材64aのエンドレスベルト62側表面に設けられた低摩擦シート68とエンドレスベルト62内周面との間にも供給される。
そのため、局所的に高い圧力が生じているエンドレスベルト62と剥離ニップ部材64bとの摺擦面を含め、エンドレスベルト62と圧力パッド64との摺動部全体に対して、潤滑剤が常時供給される状態を実現することができるので、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摩擦係数を極めて小さくして、摺動抵抗を低いレベルに維持することができる。その結果、エンドレスベルト62の円滑な回動が可能となり、用紙Pを定着ロール61と等速に安定して搬送する状態を維持でき、画像ずれや用紙Pへの紙しわの発生を抑制することが可能となる。
なお、本実施の形態の定着装置60では、圧力部材である圧力パッド64の一部を構成し、定着ロール61表面を押圧して局所的な高圧部を形成する剥離ニップ部材64bを配設した構成について説明したが、本発明は、剥離ニップ部材64bを配設しない構成においても適用することができる。その場合には、定着装置60の長手方向に亘って潤滑剤供給部材を配設し、潤滑剤供給部材を本実施の形態の剥離ニップ部材64bと同様に構成すればよい。
[実施の形態2]
実施の形態1では、加熱手段として発熱源を有する定着ロール61を用い、加圧手段として圧力パッド64が押圧されたエンドレスベルト62を用いた定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態2では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として発熱源が押圧された定着ベルトを用い、加圧手段として加圧ロールを用いた定着装置について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図6は、本実施の形態における定着装置90の構成を示す側断面図である。図6に示すように、本実施の形態の定着装置90では、定着ベルト92が用紙Pのトナー像担持面側に配置されている。定着ベルト92の内側には、発熱源としての抵抗発熱体であるセラミックヒータ82がホルダ65に配設され、セラミックヒータ82からニップ部Nに熱を供給するように構成している。
セラミックヒータ82は、加圧ロール91側の面がほぼフラットに形成されている。そして、定着ベルト92を介して加圧ロール91に押圧される状態で配置され、ニップ部Nを形成している。したがって、セラミックヒータ82は圧力部材としても機能している。ただし、実施の形態1の定着装置60のような剥離ニップ部材64bは配設していない。すなわち、本実施の形態の構成では、ニップ部Nを通過した用紙Pは、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において定着ベルト92の曲率の変化によって定着ベルト92から剥離される。
さらに、定着ベルト92内周面とセラミックヒータ82との間には、定着ベルト92の内周面とセラミックヒータ82との摺動抵抗を小さくするため、低摩擦シート68が配設されている。この低摩擦シート68は、セラミックヒータ82と別体に構成しても、セラミックヒータ82と一体的に構成しても、いずれでもよい。
一方、回動部材の一例としての加圧ロール91は定着ベルト92に対向するように配置され、図示しない駆動モータにより矢印D方向に回転し、この回転により定着ベルト92が従動回転するように構成されている。加圧ロール91は、コア (円柱状芯金)911と、コア911の外周面に被覆した耐熱性弾性体層912と、さらに耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による離型層913とが積層されて構成されている。
また、定着ベルト92は、原形が円筒形状に形成された無端ベルトであり、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性樹脂やSUS、ニッケル等の金属で形成されたベース層921と、このベース層921の加圧ロール91側の面または両面に被覆されたフッ素樹脂等からなる離型層922とから構成されている。
さらに、ニップ部Nの下流側近傍には、定着ベルト92から剥離された用紙Pを完全に定着ベルト92から分離し、画像形成装置の排出部へ向かう排紙通路に誘導するための剥離補助部材70が配設されている。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト92の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ベルト92と近接する状態でバッフルホルダ72によって保持されている。
そして、図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって定着装置90のニップ部Nに導かれる。用紙Pがニップ部Nを通過する際には、用紙P上のトナー像は、ニップ部Nに作用する圧力と、定着ベルト92側のセラミックヒータ82から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置90でも、加圧ロール91とセラミックヒータ82との間でニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
ここで、本実施の形態の定着装置90においては、ホルダ65には、定着装置90の長手方向に亘って潤滑剤供給部材67が配設されている。潤滑剤供給部材67は、セラミック、フェノール樹脂等の多孔質の材料で形成され、内部に潤滑剤が含浸されている。そして、潤滑剤供給部材67は、エンドレスベルト62内周面に対して接触するように配置されている。それによって、潤滑剤供給部材67の定着ベルト92側の表面においては、潤滑剤供給部材67の細孔を通って内部から、毛細管現象による潤滑剤の滲み出し、さらには潤滑剤供給部材67上を定着ベルト92が移動することにより発生する、潤滑剤の流れが潤滑剤の滲み出しを助けることで、定着ベルト92の内周面に潤滑剤を供給している。これによって、定着ベルト92と低摩擦シート68との摺動部に潤滑剤を供給し、低摩擦シート68を介した定着ベルト92とセラミックヒータ82との摺動抵抗をさらに低減して、定着ベルト92の円滑な回動を図っている。また、定着ベルト92の内周面や低摩擦シート68表面の摩耗を防止する効果も有している。
また、潤滑剤供給部材67は、セラミックやフェノール樹脂等によって構成され、繊維質を含まないので、定着ベルト92とセラミックヒータ82との摺動部には繊維が堆積することがない。すなわち、フェルトを用いた場合には、フェルト表面から繊維の抜け落ちが生じ、これが定着ベルト92の回動によってセラミックヒータ82と定着ベルト92との摺動部(ニップ部N)まで運ばれ、そこで堆積して、両者の摺動性を悪化させる場合がある。
これに対し、本実施の形態の潤滑剤供給部材67では、繊維質を含まないので抜け落ちた繊維がニップ部Nで堆積することがない。そのため、定着ベルト92とセラミックヒータ82との間の摺動抵抗の変動を長期に亘り抑えることが可能となり、摺動抵抗を低いレベルに保つことができるので、定着ベルト92は円滑に回動でき、定着ベルト92と用紙Pとは長期に亘って等速で回動することが可能となる。その結果、用紙Pは加圧ロール91と等速に安定して搬送することができ、紙しわの発生や画像ずれを抑制することができる。
なお、潤滑剤供給部材67の定着ベルト92側の摺擦面の表面は滑らかに形成されているため、定着ベルト92と潤滑剤供給部材67との摩擦係数を極めて小さくすることができ、定着ベルト92の回動に対して、潤滑剤供給部材67が摺動抵抗を増加させることを抑制している。
さらに、潤滑剤供給部材67は、潤滑剤供給部材67の定着ベルト92と接触する側の表面(摺擦面)においては、細孔を露出しておくとともに、それ以外の外表面は、テフロン(登録商標)やPFA等のフッ素樹脂により被膜されて、シール膜が形成されている。そのため、摺擦面を除く外表面の細孔は封止されて、潤滑剤供給部材67の内部に保持された潤滑剤は、摺擦面を除く外表面からは外部に漏れ出ることがないので、所望の部分からだけ潤滑剤が供給されるように構成されている。
このような構成では、潤滑剤供給部材67の内部においては、潤滑剤を細孔によって保持しているので、潤滑剤供給部材67の内部の潤滑剤の移動度は、フェルト等に比較して極めて小さい。そのため、潤滑剤の滲み出し量は、主として毛細管現象による潤滑剤の滲み出しと、潤滑剤供給部材67上を定着ベルト92が移動することにより発生する、潤滑剤の流れが潤滑剤の滲み出しを助けることによって制御されるので、細孔の露出面がどの方向であっても、重力方向の影響を極力受けずに、潤滑剤の滲み出し量を略均一に設定することが容易である。しかも、細孔の露出面以外はシール膜が形成されているので、所望の部分以外からの潤滑剤の漏洩は生じない。したがって、潤滑剤供給部材67の配置位置・方向は自由に選択でき、設計のフレキシビリティを増大させることも可能となる。
本実施の形態の定着装置90のように、局所的な高圧部を形成する剥離ニップ部材64bを配置しない構成においても、潤滑剤供給部材67をセラミック、フェノール樹脂等の多孔質の材料で形成し、内部に潤滑剤が含浸された構成とすることで、潤滑剤供給部材67の配置位置・方向に拘わらず、定着ベルト92と低摩擦シート68との摺動部に潤滑剤を供給し、低摩擦シート68を介した定着ベルト92とセラミックヒータ82との摺動抵抗を低減して、定着ベルト92の円滑な回動を図ることができる。
また、フェルトを用いた場合のように、フェルト表面から繊維が抜け落ち、これが定着ベルト92の回動によってセラミックヒータ82と定着ベルト92との摺動部(ニップ部N)まで運ばれ、そこで堆積して、両者の摺動性を悪化させることを抑制できるので、定着ベルト92とセラミックヒータ82との摺動抵抗を安定的に低減することが可能となる。
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未定着トナー像を定着する定着装置への適用がある。また、インクジェット方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未乾燥インク像を乾燥する定着装置への適用がある。
本発明の画像形成装置を示した概略構成図である。 実施の形態1に係る定着装置の構成を示す側断面図である。 エンドレスベルトが支持された状態を説明する定着装置の端部の断面図である。 剥離ニップ部材の構成を説明する図である。 低摩擦シートが剥離ニップ部材を除くエンドレスベルトの内部に配置された部材を覆うように配置された定着装置の構成を示す側断面図である。 実施の形態2に係る定着装置の構成を示す側断面図である。 従来の定着装置の構成を示す側断面図である。
符号の説明
1Y,1M,1C,1K…画像形成ユニット、11…感光体ドラム、12…帯電器、13…レーザ露光器、14…現像器、15…中間転写ベルト、16…一次転写ロール、17…ドラムクリーナ、20…二次転写部、60,90…定着装置、61…定着ロール、62…エンドレスベルト、63…ベルトガイド部材、64…圧力パッド、64a…プレニップ部材、64b…剥離ニップ部材、65…ホルダ、66…ハロゲンヒータ、67…潤滑剤供給部材、68…低摩擦シート、69…温度センサ、70…剥離補助部材、82…セラミックヒータ、91…加圧ロール、92…定着ベルト

Claims (10)

  1. 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
    回動可能な回動部材と、
    前記回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、
    前記ベルト部材の内側に配置され、当該ベルト部材を前記回動部材に圧接させて当該回動部材と当該ベルト部材との間に記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材と、
    多孔質材料で形成され、前記ベルト部材の内周面に当接して当該ベルト部材に潤滑剤を塗布する潤滑剤供給部材と
    を備えたことを特徴とする定着装置。
  2. 前記潤滑剤供給部材は、セラミックまたはフェノール樹脂で形成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  3. 前記潤滑剤供給部材は、孔径が10μm以下の細孔を有することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  4. 前記潤滑剤供給部材は、前記ベルト部材との当接部を除いた表面にシール膜が被覆されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  5. 前記潤滑剤供給部材は、前記ニップ部の下流部において前記ベルト部材を介して前記回動部材を局所的に押圧することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  6. 前記回動部材を加熱する加熱部材、または前記ベルト部材を加熱する加熱部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  7. 回転可能な定着ロールと、
    前記定着ロールに接触しながら移動可能なエンドレスベルトと、
    前記エンドレスベルトの内側に配置され、当該エンドレスベルトを介して前記定着ロールを局所的に押圧する圧力印加部材とを備え、
    前記圧力印加部材は、多孔質かつ硬質の材料で形成され、内部に潤滑剤が含浸されたことを特徴とする定着装置。
  8. 前記圧力印加部材は、前記定着ロールと前記エンドレスベルトとの当接領域内の下流部に配置されたことを特徴とする請求項7記載の定着装置。
  9. 前記圧力印加部材は、前記エンドレスベルトを介して前記定着ロールを押圧する押圧面が滑らかな凸状曲面で形成されたことを特徴とする請求項7記載の定着装置。
  10. トナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
    前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを含み、
    前記定着手段は、
    回動可能な回動部材と、
    前記回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、
    前記ベルト部材の内側に配置され、当該ベルト部材を前記回動部材に圧接させて当該回動部材と当該ベルト部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材と、
    多孔質材料で形成され、前記ベルト部材の内周面に当接して当該ベルト部材に潤滑剤を塗布する潤滑剤供給部材と
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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