以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明が適用される画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示した画像形成装置は用紙搬送装置を有するものである。この用紙搬送装置は画像形成装置の装置本体1の内部に組み込まれている。すなわち、キャスター付きの装置本体1の内部には、多段構造をなす複数(図例では4つ)の用紙収容カセット2,…が組み込まれている。各々の用紙収容カセット2,…は、画像形成の対象となる用紙3を積層状態で収容するもので、それぞれ装置本体1に対して着脱可能に組み込まれている。これらの用紙収容カセット2,…は、収容される用紙3のサイズや種類によってカセット全体のサイズや形状が異なるものの、基本的には同様の構成となっている。
各々の用紙収容カセット2の内部には用紙積載板(トレイ)4が設けられている。用紙積載板4は、図示しない昇降機構によって上下動可能に支持されている。この用紙積載板4を備える用紙収容カセット2には複数枚(多数枚)の用紙3を積載状態に収容可能となっている。また、用紙収容カセット2を装置本体1内に装着した際には、用紙積載板4に積載された用紙3のうち、最上位の用紙3の高さが予め設定された所定(一定)の高さとなるように、用紙積載板4が水平状態を維持したまま昇降機構の駆動により上昇する構成となっている。
また、最上段の用紙収容カセット2には、複数枚のタブ紙を積載状態で収容可能となっており、それ以外の用紙収容カセット2には、それぞれサイズの異なる普通紙を積層状態で収容可能となっている。ここで記述する「タブ紙」とは全体に矩形をなす用紙の一辺部に凸形状のタブが設けられた用紙(タブ付きの用紙)をいい、「普通紙」とはタブが設けられていない通常の矩形の用紙をいう。最上段の用紙収容カセット2においては、用紙の一辺から突出するタブの部分(凸形状部)をピックアップローラ5による用紙の送り出し方向と反対側(図1の右側)に向けた状態でタブ紙が収容されるようになっている。
ピックアップローラ5及び捌きローラ6は、用紙収容カセット2に収容された用紙3を搬送路に向けて給紙するものである。このうち、ピックアップローラ5は、上記所定の高さに配置された最上位の用紙3に対して接離可能に設けられている。ピックアップローラ5を接離動作させるための駆動源にはソレノイドを用いることができる。ピックアップローラ5は、用紙収容カセット2に収容された用紙3を第1搬送路R1に向けて送り出すものである。用紙の送り出しに際しては、用紙積載板4に積載された最上位の用紙3にピックアップローラ5が所定の圧力で押し付けられ、この状態でピックアップローラ5が図の時計回り方向に回転することにより、最上位の用紙3から順に矢印方向に送り出されるようになっている。
捌きローラ6は、ピックアップローラ5による用紙の送り出し方向に配置されている。この捌きローラ6は、用紙収容カセット2に収容された用紙3が複数枚重なって搬送(重送)されることを防止するために、ピックアップローラ5によって送り出された用紙3を1枚ずつ捌いて(分離して)送り出すものである。この捌きローラ6により、各々の用紙収容カセット2からは1枚ずつ分離した形で用紙3が順に送り出される。また、こうして送り出された用紙3は、装置本体1の内部で用紙の搬送路R1〜R6上に適宜配置された各々のローラ(後述)によって搬送される。因みに、ピックアップローラ5と捌きローラ6は、各々の用紙収容カセット2,…と1:1の対応関係で設けられている。
捌きローラ6による用紙の送り出し方向には搬送ローラ7が配置されている。搬送ローラ7は、ほぼ垂直に形成された第1搬送路R1上に所定の間隔で複数設けられている。これら複数の搬送ローラ7は、各々の用紙収容カセット2に対応する捌きローラ6によって送り出された用紙3を第1搬送路R1に沿って上方に搬送するものである。
搬送ローラ7による用紙の搬送方向には、搬送ローラ8とレジストローラ9とが順に配置されている。搬送ローラ8とレジストローラ9は、第1搬送路R1から連続して形成された第2搬送路R2上に、用紙の搬送方向で隣り合う位置関係に設けられている。搬送ローラ8は、各々の搬送ローラ7によって搬送された用紙3をレジストローラ9に向けて搬送するものである。レジストローラ9は、その上流側から搬送ローラ8によって搬送された用紙3を画像転写部10に向けて搬送するものである。
搬送ローラ8とレジストローラ9との間の第2搬送路R2上には、図2に示すように、用紙の搬送方向に位置をずらしてセンサ31,32が配置されている。センサ31は、搬送ローラ8の下流側で当該搬送ローラ8の近傍に配置され、センサ32は、レジストローラ9の上流側で当該レジストローラ9の近傍に配置されている。各々のセンサ31,32は、例えば反射型のフォトセンサからなるもので、搬送ローラ8からレジストローラ9に至る第2搬送路R2上でそれぞれ用紙の通過(先端通過、後端通過)を検知する。
各々のセンサ31,32の出力信号(検知信号)は、例えば、当該センサ31,32の検知位置に用紙が存在するときはオン状態となり、用紙が存在しないときはオフ状態となる。したがって、各々のセンサ31,32の検知位置を用紙が通過する際には、用紙の先端がセンサ検知位置を通過したタイミングでセンサ出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わり、その後、用紙の後端がセンサ検知位置を通過したタイミングでセンサ出力信号がオン状態からオフ状態に切り替わる。これらのセンサ31,32の出力信号は、搬送途中での用紙詰まり(ジャム)の検知などの他に、搬送ローラ8やレジストローラ9の回転動作を制御するときに利用される。
また、上記センサ31,32のうち、いずれか一方のセンサ、好ましくはレジストローラ9の近傍のセンサ32は、図3に示すように、2つのセンサ32A,32Bによって構成されている。これら2つのセンサ32A,32Bは、用紙の搬送方向と直交する同一直線上に所定の間隔を隔てて配置されている。また、各々のセンサ32A,32Bは、用紙の搬送方向と直交する方向において、タブ紙の中央部に設定されたタブ位置を跨ぐ状態に配置されている。また、センサ32A,32Bの間隔は、図例のようにタブ位置が異なる複数枚(3枚以上)のタブ紙を積層したときに、タブ3Aの数が3つ存在するタイプのタブ紙の中央部に設定されたタブ位置を跨ぐ状態となるように、搬送方向と直交する方向でのタブ長さよりも長く、かつ同方向での最小用紙幅よりも短い寸法に設定されている。このような位置関係でセンサ32A,32Bを配置することにより、タブ紙のタブ数が2つ又は4つ以上のタブ紙を取り扱う場合でも、少なくとも1つのセンサ32A又は32Bがタブ以外の部分を被検知部として用紙の先端通過を検知し得るものとなる。被検知部とは、センサの検知位置を用紙が通過するときに、実際にセンサによって検知される用紙の端部をいう。
画像転写部10は、レジストローラ9によって搬送された用紙3に画像を転写する部分であり、この画像転写部10に用紙3を送り込むことで当該用紙3に画像が転写されるようになっている。画像転写部10では、像担持体となる中間転写ベルト11が支持ローラ12によって支持されるとともに、支持ローラ12のベルト巻き付け部に転写用の加圧ローラ13が圧接した状態に保持されている。また、画像転写部10においては、中間転写ベルト11を挟む支持ローラ12と加圧ローラ13の圧接部分を通過するときに、中間転写ベルト11から用紙3に画像が転写されるようになっている。
中間転写ベルト11は、可視化されたトナー画像を担持しつつ、このトナー画像をベルトの回転によって画像転写部10へと移送するものである。具体例として、中間転写ベルト11には図2に示すようにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色成分に対応する複数の感光体ドラム101,102,103,104の表面に形成されたトナー画像が一次転写され、この一次転写されたトナー画像が中間転写ベルト11の回転によって画像転写部10へと送られて用紙に二次転写(一括転写)される。
中間転写ベルト11は、無端状のベルト部材であって、複数の支持ローラを用いて張設されている。また、各々の感光体ドラム101,102,103,104の周囲には、帯電器、レーザー書き込み装置、現像器、転写ローラ、クリーナー、除電器などが配設されている。各々の感光体ドラム101,102,103,104へのトナー画像の形成は、画像形成装置が複写機であれば図示しない画像読み取り装置によって読み取られた画像信号に基づいて行われ、ファクシミリ装置やプリンタ装置であれば図示しない通信手段やネットワーク手段等を介して受信した画像信号に基づいて行われる。
画像転写部10の下流側には、バキューム搬送部14、画像定着部15、搬送ローラ16及び排出ローラ17が順に配置されている。先述した第2搬送路R2は、搬送ローラ8から画像転写部10を経由して排出ローラ17へと至る搬送路をいう。第2搬送路R2上において、バキューム搬送部14は画像転写部10で画像(トナー画像)が転写された用紙3の裏面(画像が転写された面と反対側の面)をバキューム式で吸着しつつ、当該用紙3を画像定着部15へと搬送するものである。画像定着部15は、用紙3に転写された画像を加圧、加熱作用によって定着させるものである。搬送ローラ16は、画像定着部15で画像の定着が行われた用紙3を搬送するもので、排出ローラ17は、搬送ローラ16によって搬送された用紙3を排出トレイ18へと排出するものである。
搬送ローラ16の下流側では第2搬送路R2から斜め下方に第3搬送路R3が分岐している。第3搬送路R上には搬送ローラ19が配設されている。搬送ローラ19は搬送ローラ16によって第3搬送路R3へと送り出された用紙3を用紙反転部20へと搬送するものである。
用紙反転部20は、画像転写部10に用紙3を再搬送したり、排出トレイ18に用紙3を排出したりするにあたって、当該用紙3を表裏反転させるための部分である。この用紙反転部20は、装置本体1内に複数の用紙収容カセット2,…を装着するために確保されたカセット収納空間に対し、このカセット収納空間に隣接する装置本体1内の片側に形成されている。用紙反転部20にはほぼ垂直に第4搬送路R4が形成されている。また、第4搬送路R4上には搬送方向(垂直方向)に所定の間隔を隔てて第1反転ローラ21と第2反転ローラ22が配設されている。第1反転ローラ21は、用紙反転部20への用紙の取り込み位置となる第4搬送路4の入口近傍(用紙反転部20の上端部)に配置されている。第2反転ローラ22は、垂直方向に沿う第4搬送路R4の略中間部に配置されている。
また、用紙反転部20においては、第1反転ローラ21と第2反転ローラ22との間で第4搬送路R4から斜め上方に第5搬送路R5が分岐している。第5搬送路R5上には所定の間隔で複数(図例では6つ)の搬送ローラ25,…が配設され、これら複数の搬送ローラ25,…を用いて再搬送部26が形成されている。
再搬送部26は、画像転写部10で片面(第一面)に画像が転写された用紙3を両面印刷のために再び画像転写部10に送り込むべく、第2搬送路R2上の搬送ローラ8及びレジストローラ9に向けて用紙3を搬送するものである。第5搬送路R5は、用紙反転部20と搬送ローラ8との間で、第4搬送路R4と第2搬送路R2を繋ぐ状態に形成されている。
一方、用紙反転部20の第1反転ローラ21からは、排出ローラ17に向かって第6搬送路R6が分岐して形成されている。第6搬送路R6は、第3搬送路R3を経て用紙反転部20に取り込んだ用紙3を表裏反転させて排出トレイ18に排出するための搬送路である。因みに、上述した搬送路R1〜R6の分岐部分ではそれぞれ図示しないゲート部材によって用紙の進行方向が適宜切り換えられる構成となっている。
図4は本発明の実施形態に係る画像形成装置の用紙搬送制御系の構成として、特に、搬送ローラ8とレジストローラ9の回転動作を制御する制御系の構成を示すブロック図である。図において、制御部27は、上述した各センサ31,32(32A,32B)の出力信号に基づいて搬送モータ28,29の駆動を制御するものである。搬送モータ28は搬送ローラ8を回転させるための駆動源となるもので、搬送モータ29はレジストローラ9を回転させるための駆動源となるものである。各々の搬送モータ28,29は、例えばパルスモータを用いて構成されるものである。このパルスモータを用いることにより、制御部27から搬送モータ28,29に個別に駆動信号(パルス信号)を供給する場合に、各々のローラ8,9の回転や停止、さらには回転方向と回転量の制御を容易に行うことが可能となる。
続いて、本発明の実施形態に係る画像形成装置の動作について説明する。まず、ユーザは、画像形成装置の操作パネル(不図示)を使って所望の画像形成条件(例えば、画像形成の濃度や部数、両面印刷の指定など)を入力した後、操作パネル内のスタートボタンを押す。このとき、操作パネルを用いたユーザの入力操作により、最上段の用紙収容カセット2が選択されたものとすると、この最上段の用紙収容カセット2に対応するピックアップローラ5と捌きローラ6の回転により、最上位の用紙3が図中矢印方向に送り出される。この場合、最上段の用紙収容カセット2にはタブ紙が収容されているため、この用紙収容カセット2から送り出される用紙3はタブ紙となる。そうした場合、画像形成装置における用紙3の搬送動作は、図示しない搬送制御部によって次のように制御される。
まず、用紙収容カセット2から送り出された用紙3は、搬送ローラ7の回転により第1搬送路R1に沿って上方に搬送され、搬送ローラ8へと受け渡される。さらに用紙3は、搬送方向上流側にタブを向けた状態で搬送ローラ8の回転により第2搬送路R2に沿ってレジストローラ9側に搬送される。このとき、センサ31,32の検知位置を用紙3の先端及び後端が通過したタイミングで、各々のセンサ31,32の出力信号(オン,オフ状態)が切り替わる。そこで、制御部27においては、各々のセンサ31,32から得られる検知信号に基づいて、第2搬送路R2上での用紙の位置を把握する。また、制御部27では、第1搬送路R1から第2搬送路R2へと送り込まれた用紙3がレジストローラ9に到達する前に、レジストローラ9で用紙を画像転写部10に送り込むときの搬送制御条件を図5の処理フローにしたがって設定する。
まず、画像形成の対象となる用紙3がタブ紙であるか否かを判別する(ステップS1)。画像形成の対象となる用紙3がタブ紙であるか否かは、ユーザの入力操作によって用紙収容カセット2が選択された時点で判別可能となる。すなわち、前述のように操作パネルを用いたユーザの入力操作によって最上段の用紙収容カセット3が選択され、その旨が操作パネルから制御部27へと通知されたた場合は、画像形成の対象となる用紙3がタブ紙であると判定し、それ以外の用紙収容カセット3が選択された場合は、画像形成の対象となる用紙3が普通紙であると判定する。なお、ここではユーザによるカセット選択情報にしたがって用紙の種別(タブ紙、普通紙)を判別するものとしたが、これ以外にも、センサを用いて用紙の種別を判別させることも可能である。
次に、画像形成モードが両面モードに設定されているか否かを判別する(ステップS2)。両面モードとは、用紙の両面に画像を形成するモードである。この場合、ユーザの入力操作によって両面印刷が指定されていれば、両面モードに設定されていると判別し、両面印刷が指定されていなければ、両面モードに設定されていないと判別する。
次いで、用紙の第二面を印刷対象としているか否かを判別する(ステップS3)。両面モード(両面印刷)を実行する場合は、画像転写部10で用紙の第一面に画像を形成してから、用紙を表裏反転して再び画像転写部10に送り込むことにより、用紙の第二面に画像を形成する。そのため、最初に画像転写部10に用紙を送り込むときは、用紙の第一面を印刷対象としていると判別し、その後再び画像転写部10に用紙を送り込むときは、用紙の第二面を印刷対象としていると判別する。
以上の3つの判別処理において、画像形成の対象となる用紙3がタブ紙であって、画像形成モードが両面モードに設定され、かつ用紙の第二面を印刷対象にしていると判別した場合は、タブ有りに適合した搬送制御条件に設定し(ステップS4)、それ以外はいずれもタブ無しに適合した搬送制御条件に設定する(ステップS5)。タブ有りに適合した搬送制御条件とは、タブ付きの用紙がタブの部分を搬送方向下流側に向けてレジストローラ9へと搬送された場合に適合するように設定された搬送制御条件である。また、タブ無しに適合した搬送制御条件とは、普通紙がレジストローラ9へと搬送された場合や、タブ付きの用紙がタブの部分を搬送方向上流側に向けてレジストローラ9へと搬送された場合に適合するように設定された搬送制御条件である。
以上の処理フローにおいて、第1搬送路R1から第2搬送路R2へと送り込まれた用紙3がタブ紙であって、両面モードに設定されている場合は、ステップS1,S2でいずれも「Yes」と判定されるものの、この用紙は第一面を印刷対象としていることからステップS3で「No」と判定される。また、画像形成の対象となる用紙が普通紙である場合はステップS1で「No」と判定され、画像形成の対象となる用紙がタブ紙であっても両面モードに設定されていない場合はステップS2で「No」と判定される。そのため、いずれの場合もタブ無しに適合した搬送制御条件に設定され、当該搬送制御条件に基づいて用紙の搬送が制御される。
タブ無しに適合した搬送制御条件に基づく用紙の搬送制御は制御部27によって次のように行われる。まず、制御部27は、搬送モータ29の駆動停止によりレジストローラ9の回転を停止させた状態で、搬送モータ28の駆動により搬送ローラ8を回転させることにより、搬送ローラ8の回転にしたがって用紙3をレジストローラ9へと送り込む。そして、用紙3の先端(タブと反対側の用紙3の辺部)を回転停止状態のレジストローラ9の圧接部分(用紙をニップする部分)に突き当ててループ状に撓ませることにより、用紙の斜行を補正する。その際、用紙3のループは、レジストローラ9の手前(上流側)で第2搬送路R2に設けられた膨らみ部(不図示)に形成される。
次いで、制御部27は、搬送モータ28の駆動を停止して搬送ローラ8の回転を一旦停止させた後、画像転写部10での画像の到達タイミングに合わせて、搬送ローラ28,19を同時に駆動することにより、搬送ローラ8とレジストローラ9を回転させる。これにより、用紙3は、搬送ローラ8とレジストローラ9の回転にしたがって画像転写部10に送り込まれる。画像転写部10では、中間転写ベルト11に担持されたトナー画像が、ベルト支持ローラ12と加圧ローラ13との圧接部分で、中間転写ベルト11の表面から用紙3の第一面(タブの部分)に転写される。
図6はタブ無しに適合する搬送制御条件にしたがって制御部27が用紙の搬送を制御した場合の搬送方式を示すもので、図中縦軸は搬送方向の位置、横軸は時間を示している。図において、用紙3の先端がセンサ位置(本例ではセンサ32の位置)を通過するときは用紙の搬送速度が第1の搬送速度V1に設定されている。そして、用紙3の先端がレジストローラ9に突き当たると、そこで用紙3が一旦停止し、その後、用紙の搬送速度を上記第1の搬送速度V1よりも低速の第2の搬送速度V2に設定して、レジストローラ9による用紙の搬送を開始することにより、画像転写部10への画像の到達タイミングに合わせて用紙3の先端が画像転写部10に送り込まれる。
こうして第一面に画像が形成された用紙3は、バキューム搬送部14によって画像定着部15に送られる。画像定着部15では、一対のローラ間に用紙3をニップしつつ、当該一対のローラ間に加えられる加圧作用と加熱作用によって用紙3の表面に画像が定着される。画像定着部15から送り出された用紙3は、当該用紙3が片面印刷用であれば、搬送ローラ16の回転により排出ローラ17へと受け渡され、さらに排出ローラ17の回転により排出トレイ18へと排出される。
また、画像定着部15から送り出された用紙3が両面印刷を指定されたものであれば、搬送ローラ16の回転と図示しないゲート部材の切り換え動作により、用紙3が第2搬送路2から第3搬送路R3へと導かれる。第3搬送路R3に導かれた用紙3は搬送ローラ19の回転により用紙反転部20へと送り込まれる。
用紙反転部20では、搬送ローラ19によって送られた用紙3が第1反転ローラ21と第2反転ローラ22で順にニップされるとともに、これら第1反転ローラ21と第2反転ローラ22の回転により、第4搬送路R4に沿って用紙3が下方に搬送される。そして、用紙3の後端が第4搬送路R4と第5搬送路R5の分岐部を通過すると、第2反転ローラ22の回転方向が反転する。これにより、用紙3は第2反転ローラ22の回転(逆回転)にしたがって上方に搬送されるとともに、図示しないゲート部材に案内されて第4搬送路R4から第5搬送路R5へと送り込まれる。
第5搬送路R5では、再搬送部26を形成する各々の搬送ローラ25に順に用紙3が受け渡されるとともに、最終段の搬送ローラ25によって第2搬送路R2上の搬送ローラ8へと用紙3が受け渡される。次いで、用紙3は、画像が形成されていない第二面を上向きにした状態(搬送方向下流側にタブを向けた状態)で、搬送ローラ8の回転により第2搬送路R2に沿ってレジストローラ9へと送り込まれる。その際、制御部27では、第5搬送路R5から第2搬送路R2へと送り込まれた用紙3がレジストローラ9に到達する前に、レジストローラ9で用紙を画像転写部10に送り込むときの搬送制御条件を上記図5の処理フローにしたがって設定する。これにより、第5搬送路R5から第2搬送路R2へと送り込まれた用紙3がタブ紙であって、両面モードに設定されている場合は、ステップS1,S2,S3でいずれも「Yes」と判定されるため、この用紙3をレジストローラ9で画像転写部10に送り込む場合は、タブ有りに適合した搬送制御条件に基づいて用紙の搬送が制御部27によって次のように制御される。
まず、制御部27は、搬送モータ28,29を駆動して搬送ローラ8とレジストローラ9を共に回転させることにより、第2搬送路R2に沿って用紙3を搬送する。この搬送中に用紙3の先端が各々のセンサ31,32の検知位置を通過すると、それに伴って各々のセンサ31,32の出力信号(オン,オフ状態)が切り替わる。そこで、制御部27においては、各々のセンサ31,32から得られる検知信号に基づいて、第2搬送路R2上での用紙の位置を把握する。また、制御部27では、センサ32A,32Bが用紙の先端通過を検知したタイミングのずれ量(時間差)を求め、このずれ量と予め設定された所定量とを比較することにより、各々のセンサ32A,32Bで先端通過を検知した用紙の被検知部がタブの部分であるか否かを認識する。その場合、上記図3に示すように、用紙の搬送方向と直交する方向で、タブ付きの用紙の中央部に設定されたタブ位置を跨ぐ状態にセンサ32A,32Bを配置することにより、必要最少数となる2つのセンサを利用して被検知部の認識を行うことが可能となる。
さらに詳述すると、用紙3のタブ3Aの部分と各センサ32A,32Bの位置関係が図7のようになっている場合は、タブ3Aの移動経路上に存在するセンサ32Aが用紙3の先端通過を検知して当該センサ出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わってから、センサ32Bが用紙3の先端通過を検知して当該センサ出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わる。そうすると、制御部27では、各々のセンサ32A,32Bの出力信号がオン状態に切り替わったタイミングT1,T2のずれ量ΔTを求める。この場合は、各々のセンサ32A,32B間の検知タイミングT1,T2のずれ量ΔTが上記所定量よりも大きくなる。したがって、その場合は制御部27において、用紙3の先端通過を検知したタイミングが早い方のセンサ32Aはタブ3Aの部分を被検知部として用紙3の先端通過を検知したものと認識し、用紙3の先端通過を検知したタイミングが遅い方のセンサ32Bはタブ以外の部分を被検知部として用紙3の先端通過を検知したものと認識する。
また、図示はしないが、タブ3Aの移動経路上にセンサ32Bが存在する場合も、各々のセンサ32A,32B間の検知タイミングT1,T2のずれ量ΔTが上記所定量よりも大きくなる。そのため、制御部27においては、用紙3の先端通過を検知したタイミングが早い方のセンサ32Bはタブ3Aの部分を被検知部として用紙3の先端通過を検知したものと認識し、用紙3の先端通過を検知したタイミングが遅い方のセンサ32Aはタブ以外の部分を被検知部として用紙3の先端通過を検知したものと認識する。
一方、用紙3のタブ3Aの部分と各センサ32A,32Bの位置関係が図8のようになっている場合は、いずれのセンサ32A,32Bもタブ3Aの移動経路上に存在しないことから、各々のセンサ32A,32Bの出力信号がほぼ同時にオフ状態からオン状態に切り替わる(厳密には用紙の斜行分の時間差が生じるため、その分の時間差を考慮して上記所定量を設定してある)。そうすると、制御部27では、上記同様に各々のセンサ32A,32Bの出力信号がオン状態に切り替わったタイミングT1,T2のずれ量ΔTを求める。この場合は、各々のセンサ32A,32B間の検知タイミングT1,T2のずれ量ΔTが上記所定量以下となる。したがって、その場合は制御部27において、いずれのセンサ32A,32Bもタブ以外の部分を被検知部として用紙3の先端通過を検知したものと認識する。
次いで、制御部27は、タブ以外の部分を被検知部として用紙3の先端通過を検知したセンサの検知タイミングを基準にして用紙の先端通過検知タイミングを確定する。例えば、上記図7のケースでは、センサ32Bが用紙3の先端通過を検知したタイミングT2を基準にして、この検知タイミングT2を用紙の先端通過検知タイミングとして確定する。また、上記図8のケースでは、センサ32A又は32Bが用紙3の先端通過を検知したタイミングT1又はT2を基準にして、このタイミングT1又はT2を用紙の先端通過検知タイミングとして確定する。これにより、第2搬送路R2に沿って搬送される用紙3の搬送方向においては、図7及び図8のどちらのケースでも、上述のように確定した用紙の先端通過検知タイミングで、走行中の用紙の位置が同じ位置になる。
そこで、制御部27においては、上述のように確定した用紙の先端通過検知タイミングを基点に、タイマーによる時間の計測を開始する。そして、タイマーの計測値が、タブ有りに適合する搬送制御条件に対応して予め設定されたタイマー基準値に達すると、その時点で搬送モータ29の回転速度を低下させ、これによってレジストローラ9による用紙3の搬送速度(画像転写部10に対する用紙3の送り込み速度)を、予め設定された所定の搬送速度に合わせる。上記タイマー基準値は、レジストローラ9による用紙3の搬送速度を、第1の搬送速度から当該第1の搬送速度よりも低速の第2の搬送速度(所定の搬送速度)に変更するタイミングを規定するものである。このタイマー基準値は、レジストローラ9への突き当てによって用紙3を一旦停止させなくても、タブ無しに適合する搬送制御条件で制御した場合と同じタイミングで、用紙3の先端(タブの部分)が画像転写部10に送り込まれるように、タブ3Aの突出寸法分の用紙3の進み具合も考慮して設定されるものである。また、上記所定の搬送速度は、中間転写ベルト11による画像(トナー画像)の移送速度に合わせて、その移送速度とほぼ等しい速度に設定されるものである。
図9はタブ有りに適合する搬送制御条件にしたがって制御部27が用紙の搬送を制御した場合の搬送方式を示すもので、図中縦軸は搬送方向の位置、横軸は時間を示している。図において、用紙3の先端がセンサ位置(本例ではセンサ32の位置)を通過するときは用紙の搬送速度が第1の搬送速度V1に設定されている。また、用紙3の先端がセンサ位置を通過してから所定の時間が経過すると(タイマー計測値がタイマー基準値に達すると)、その時点で用紙の搬送速度が第1の搬送速度V1から第2の搬送速度V2に変更され、この第2の搬送速度V2にしたがってレジストローラ9で用紙を搬送することにより、画像転写部10への画像の到達タイミングに合わせて用紙3の先端(タブの先端)が画像転写部10に送り込まれる。
このように制御部27で用紙の搬送を制御しつつ、レジストローラ9により画像転写部10に用紙3を送り込むことにより、用紙3の第二面(タブの部分)に画像(トナー画像)が転写される。こうして第二面に画像が形成された用紙3は、バキューム搬送部14から画像定着部15を経由して搬送ローラ16へと受け渡される。そして、搬送ローラ16の回転と図示しないゲート部材の切り換え動作により、用紙3は再び第3搬送路3へと導かれる。
その後、用紙3は搬送ローラ19の回転によって用紙反転部20へと送り込まれる。次いで、用紙3の後端が第3搬送路R3を経由して第6搬送路R6との分岐部を抜けると、第1反転ローラ21と第2反転ローラ22の回転方向が反転する。これにより、用紙3は用紙反転部20でスイッチバックする形で第4搬送路R4を上方に向かって移動するとともに、図示しないゲート部材に案内されて第4搬送路R4から第6搬送路R6へと導かれ、そのまま排出ローラ17を経由して排出トレイ18へと排出される。
因みに、上記の動作説明では、両面(第一面と第二面)に画像が形成された用紙3を表裏反転して排出トレイ18に排出するものとしたが、これ以外にも、片面(第一面)に画像が形成された用紙3を用紙反転部20でのスイッチバックにより表裏反転して排出トレイ18に排出する場合もある。また、用紙3の第二面に画像を形成するにあたって、画像形成の対象となる用紙3がタブ紙ではなく普通紙である場合は、用紙3の第一面に画像を形成する場合と同様に、タブ無しに適合する搬送制御条件にしたがって制御部27が用紙の搬送を制御することにより、用紙3がレジストローラ9への突き当てによって斜行補正された後、当該レジストローラ9の回転にしたがって画像転写部10へと送り込まれる。
また、上記実施形態においては、タブ無しに適合する搬送制御条件にしたがって用紙の搬送を制御部27で制御する合に、レジストローラ9への突き当てによって用紙3を一時停止させるものとしたが、これ以外にも、例えば図10に示すように用紙を一時停止させない搬送方式を採用することも可能である。図10においては、用紙3の先端がセンサ位置(本例ではセンサ32の位置)を通過するときは用紙の搬送速度が第1の搬送速度V1に設定され、用紙3の先端がセンサ位置を通過してから所定の時間が経過すると、その時点で用紙の搬送速度が第1の搬送速度V1から第2の搬送速度V2に変更される。この場合、用紙3の先端がセンサ位置を通過してから用紙の搬送速度が第1の搬送速度V1から第2の搬送速度V2に変更されるまでの時間は、上記タブ有りに適合する搬送制御条件にしたがって用紙の搬送を制御する場合よりも長くなる。
また、上記実施形態においては、用紙の搬送方向と直交する同一直線上に2つのセンサ32A,32Bを配置するものとしたが、これ以外にも、例えば図11(A),(B)に示すように、用紙の搬送方向に位置をずらして配置された2つのセンサ31,32を用いて、それぞれ用紙の先端通過を検知する構成としてもよい。この場合、用紙の搬送方向と直交する方向でのセンサ31,32の位置関係は、上記センサ32A,32Bの位置関係と同様の条件で設定され、これによって少なくとも1つのセンサ31又は32がタブ以外の部分を被検知部として用紙の先端通過を検知し得るものとなっている。
ここで、図11(A)に示すように、タブ3Aの移動経路上にセンサ31が存在する場合は、上流側のセンサ31が用紙3の先端通過(タブ部分の先端通過)を検知して当該センサ出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わってからΔTa時間が経過した後に、下流側のセンサ32が用紙3の先端通過を検知して当該センサ出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わる。また、図11(B)のように、タブ3Aの移動経路上にセンサ31,32が存在しない場合は、上流側のセンサ31が用紙3の先端通過を検知して当該センサ出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わってからΔTb時間が経過した後に、下流側のセンサ32が用紙3の先端通過を検知して当該センサ出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わる。また、図示はしないが、タブ3Aの移動経路上にセンサ32が存在する場合は、上流側のセンサ31が用紙3の先端通過を検知して当該センサ出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わってから所定時間ΔTcが経過した後に、下流側のセンサ32が用紙3の先端通過(タブ部分の先端通過)を検知して当該センサ出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わる。この場合、搬送ローラ8で搬送される用紙3の搬送速度が一定とすると、各々のセンサ31,32で用紙3の先端通過を検知したタイミングのずれ量(時間差)ΔTa、ΔTb、ΔTcの間には、ΔTa>ΔTb>ΔTcの関係が成り立つ。
そこで、制御部27においては、用紙の搬送方向におけるセンサ31,32間の距離と、搬送ローラ8による用紙の搬送速度とに基づいて、センサ間距離分を用紙搬送するのに要する搬送時間を、基準タイミングずれ量ΔTrとして予め設定しておく。そして、実際に各々のセンサ31,32で用紙3の先端通過を検知したときのタイミングのずれ量ΔTsを求めるとともに、このずれ量ΔTsと上記基準タイミングずれ量ΔTrとの比較する。この比較結果において、ΔTsとΔTrの差分が予め設定された所定値よりも小さい場合(換言すると、ΔTs≒ΔTrの場合)は各々のセンサ31,32がいずれもタブ以外の部分を被検知部として用紙の先端通過を検知したものと認識する。また、ΔTsとΔTrの差分が上記所定値以上である場合は、それらの大小関係に応じて、各々のセンサ31,32が先端通過を検知した被検知部がタブの部分であるか否かを認識する。具体的には、ΔTsとΔTrの大小関係がΔTs>ΔTrであれば、上流側のセンサ31がタブ部分を被検知部として用紙の先端通過を検知し、下流側のセンサ32がタブ以外の部分を被検知部として用紙の先端通過を検知したものと認識する。また、ΔTsとΔTrの大小関係がΔTs<ΔTrであれば、上流側のセンサ31がタブ以外の部分を被検知部として用紙の先端通過を検知し、下流側のセンサ32がタブ部分を被検知部として用紙の先端通過を検知したものと認識する。これにより、同一直線上に複数のセンサを配置しなくても、各々のセンサで先端通過を検知した用紙の被検知部がタブの部分であるか否かを制御部27で認識することが可能となる。