JP2005319558A - 刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミル - Google Patents
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Abstract
【課題】倣い加工時において、被削材の面粗さを改善する刃先交換式の仕上げ用ラジアスエンドミルを提供する。
【解決手段】刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミル1において、該インサート3の切刃の形状は、外周側の該円弧状切刃の半径をr1とし、工具直径をDとした時、0.31D≦r1≦0.45D、D≧8mmで形成され、該円弧状切刃の最下点において同一接線を有し、回転軸中心に向かう内周刃の半径がr2を有する他の円弧状切刃が形成され、r1>r2の関係を有して形成されている刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミルである。
【選択図】図1
【解決手段】刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミル1において、該インサート3の切刃の形状は、外周側の該円弧状切刃の半径をr1とし、工具直径をDとした時、0.31D≦r1≦0.45D、D≧8mmで形成され、該円弧状切刃の最下点において同一接線を有し、回転軸中心に向かう内周刃の半径がr2を有する他の円弧状切刃が形成され、r1>r2の関係を有して形成されている刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミルである。
【選択図】図1
Description
本発明は、刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミルにおける切屑形成の形態と排出改善に関するものであり、特に工具ホルダーの剛性を維持したまま、切削加工における切屑の工具及び被削材への溶着を防止する切屑収納溝を備えるとともに、切屑排出に適した一定形状の切屑を形成するのに適した切刃を備えた刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミルに関するものである。
プレス型やプラ型等の金型仕上げ加工では、ボールエンドミル等の切削工具を用いて倣い加工を行う。この倣い加工の時は、被削材の表面は平坦な領域と凹凸を有する領域とが共存している。最終的な仕上げ面粗さの狙い値が5μm程度になるように加工条件を設定するが、実際の加工後はこの狙い値とは異なり、約20〜30μm前後の面粗さを示すため、金型の品質としての面粗さを満足することが出来ず、後工程で手作業による磨き加工が行われる。これは、工具形状及びピックフィードにより定義される面粗さの理論値が、工具形状及び加工条件より算出されるものであることから、この理論値と測定値とに大きな差が生じるためである。この面粗さの差が生じる原因は、切削工具と被削材との間において擦れや溶着などが発生し、被削材面粗さに悪影響を与え、時には切削工具の切刃部に生じるチッピングや欠損が原因となる場合もある。そこで、特許文献1、2に切刃部の形状に工夫を加え、被削材面粗さの改善又は切刃部のチッピングや欠損を回避するための技術が開示されている。
特許文献1は、仕上げ加工用に用いるスローアウエイ式エンドミルにおいて、切刃部の形状が、外周刃と略垂直に位置する底刃と、底刃コーナーに外周刃と底刃に接する略1/4円弧からなるコーナーアール刃とを備えた切刃チップを記載している。更に、底刃は僅かな中低勾配をもつことが開示されている。しかし、底刃は僅かな中低勾配しか持たないため、被削材と工具間では切屑の噛み込みや、擦れや溶着が発生し、平面加工における仕上げ加工では一般的なボールエンドミルと同等程度の表面粗さとなってしまう。
特許文献2は、ラジアスエンドミルの回転軸中心近傍に中低勾配を有する内周刃を設けた技術が開示されている。この技術により、工具先端に周速が零となる点を作らないことから耐欠損性を向上させ、工具の長寿命化を提案している。しかしながら、上記形状では、工具の最下点、即ち周速が零ではないが非常に遅い速度で被削材と工具が接触する点があり、擦れや溶着を完全には抑制することが出来ずい。特許文献2には、被削材の面粗さの改善案については何ら考察がなされていない。
特許文献3、4には、インサートの固定方法に関する技術が開示されている。特許文献3は、インサートを工具本体に強固に固定する技術がボールエンドミル、ラジアスエンドミルなどについて開示されている。特許文献4でも、インサートの取り付け精度向上に関する技術が開示されている。
特許文献1は、仕上げ加工用に用いるスローアウエイ式エンドミルにおいて、切刃部の形状が、外周刃と略垂直に位置する底刃と、底刃コーナーに外周刃と底刃に接する略1/4円弧からなるコーナーアール刃とを備えた切刃チップを記載している。更に、底刃は僅かな中低勾配をもつことが開示されている。しかし、底刃は僅かな中低勾配しか持たないため、被削材と工具間では切屑の噛み込みや、擦れや溶着が発生し、平面加工における仕上げ加工では一般的なボールエンドミルと同等程度の表面粗さとなってしまう。
特許文献2は、ラジアスエンドミルの回転軸中心近傍に中低勾配を有する内周刃を設けた技術が開示されている。この技術により、工具先端に周速が零となる点を作らないことから耐欠損性を向上させ、工具の長寿命化を提案している。しかしながら、上記形状では、工具の最下点、即ち周速が零ではないが非常に遅い速度で被削材と工具が接触する点があり、擦れや溶着を完全には抑制することが出来ずい。特許文献2には、被削材の面粗さの改善案については何ら考察がなされていない。
特許文献3、4には、インサートの固定方法に関する技術が開示されている。特許文献3は、インサートを工具本体に強固に固定する技術がボールエンドミル、ラジアスエンドミルなどについて開示されている。特許文献4でも、インサートの取り付け精度向上に関する技術が開示されている。
本発明は、刃先交換式の仕上げ用ラジアスエンドミルにおいて、被削材の表面が平坦な領域や凹凸を有する領域などが共存している倣い加工時においても、被削材の面粗さを改善することである。このため。切削工具と被削材との間において生じる擦れや溶着などの発生を防止し、切削工具の切刃部の強度を改善して耐チッピングや耐欠損を改善した刃先交換式の仕上げ用ラジアスエンドミルを提供することにある。
本発明のラジアスエンドミルは、軸線回りに回転される工具本体の先端部に、該軸線を含む平面方向に延びるスリット状のインサート取付座が形成され、このインサート取付座に、外周側に略円弧状に延びる切刃を備えたインサートが、該切刃を工具先端側に突出させて着脱可能に取り付けられてなる刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミルにおいて、該インサートの切刃の形状は、外周側の該円弧状切刃の半径をr1とし、工具直径をDとした時、0.31D≦r1≦0.45D、D≧8mmで形成され、該円弧状切刃の最下点において同一接線を有し、回転軸中心に向かう内周刃の半径がr2を有する他の円弧状切刃が形成され、r1>r2の関係を有して形成されていることを特徴とする刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミルである。本構成を採用することによって、被削材の表面が平坦な領域や凹凸を有する領域などが共存している倣い加工時においても、被削材の面粗さを改善することができる。更に切削工具と被削材との間において生じる擦れや溶着などの発生を防止し、切削工具の切刃部の強度を改善して耐チッピングや耐欠損を改善し、被削材面粗さを改善することができる。
本発明の刃先交換式の仕上げ用ラジアスエンドミルは、インサートの他の円弧状切刃の半径r2が、0.1≦r2≦5(mm)の関係を有して形成されていることが好ましい。
本発明は、被削材の表面が平坦な領域や凹凸を有する領域などが共存している倣い加工時においても、被削材の面粗さを改善する。切削工具と被削材との間において生じる擦れや溶着などの発生を防止し、切削工具の切刃部の強度を改善して耐チッピングや耐欠損を改善した刃先交換式の仕上げ用ラジアスエンドミルを提供することができる。本発明の適用によって被削材面粗さを改善することができる。
図1から図4に本発明の刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミルの実施例を図示する。図1は刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミルの正面図であり、図2は本発明の刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミルのインサートの正面図、図3はインサートの側面図である。図4に示す様に、本発明の刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミルに装着するインサートの切刃の形状は、外周側の該円弧状切刃の半径をr1、円弧中心をfとし、工具直径をDとした時、0.31D≦r1≦0.45Dで形成されている。これは、r1が0.31D未満の場合はr1が小さすぎて、傾斜面の加工において良好な面粗さが得られないためである。またr1が0.45Dを超えて大きい場合は半径が大きすぎて、円弧状切刃の最下点において十分な周速度を得られないため、被削材表面の面粗さが悪化するためである。好ましくはr1は0.33D程度に設定すると良好な被削材表面の面粗さが得られる。ここで、本発明の工具直径Dはφ8mm以上を対象とする。また、該円弧状切刃の最下点において同一接線を有し、回転軸中心に向かう内周刃の半径がr2、円弧中心をgとする他の円弧状切刃が形成され、r1>r2の関係を有して形成されることが必要である。工具回転軸中心の形状が中低部を有する形状となることで、工具最下点の周速が0となる点を排除し、r1とr2とを規定して、更にr1>r2の関係を有する切刃を形成することにより、高品質な被削材の表面粗さを得ることが可能である。特に、r2を有する内周刃を備えている事は、被削材の表面に凹凸を有する倣い加工時において、被削材の面粗さを改善することに有効である。これは、工具最下点における切刃のすかし形状が、被削材の表面粗さに悪影響を及ぼさない程度に形成でき、切刃の耐チッピングや耐欠損性に好適に作用するからである。ここで、円弧中心fとgは、工具最下点cの接線に垂直な直線上にある。
図3に示す様に、本発明の仕上げ用ラジアスエンドミルの切刃形状は直刃形状とし、すくい面を平らな面とすることが好ましい。この理由は、仕上げ用工具においては、刃先強化を行うよりも切れ味を向上させ、切削抵抗を低減させる必要性があることによる。また、すくい角を0度とすることが好ましい。これによって、切削抵抗を更に低減させることができる。
図3に示す様に、本発明の仕上げ用ラジアスエンドミルの切刃形状は直刃形状とし、すくい面を平らな面とすることが好ましい。この理由は、仕上げ用工具においては、刃先強化を行うよりも切れ味を向上させ、切削抵抗を低減させる必要性があることによる。また、すくい角を0度とすることが好ましい。これによって、切削抵抗を更に低減させることができる。
図4、5に示す様に、工具内周刃のr2は、0.1≦r2≦5(mm)の関係を有して形成されていることが好ましい。上記の範囲内に規定することで、被削材の仕上面の品質を向上させることが可能である。これは、内周刃を上記の範囲内に規定することで、切刃と被削材との接触長さを低減させ、ビビリ振動やチッピングの発生を抑制するとともに、切屑の噛み込みによるキズの発生を低減する効果がある。より好ましくは2≦r2≦3(mm)に設定すると良い。切刃の最下点から回転軸中心に向かって内周側に向かう円弧状の内周刃の1部が直線状をなし、該直線が円弧状内周刃における点dの接線となっている場合、該直線が切刃の最下点における接線となす角度をθ1(以下、スカシ角度と称する。)。ここで、θ1は、5≦θ1≦30度に設定することが好ましい。これによって、被削材の表面が凹凸を有する倣い加工時の傾斜切込みにも適切に対応することが可能となる。θ1を5度未満にすると、内周刃と被削材表面との距離が接近し、内周刃の切屑噛み込みにより、被削材表面にキズが発生する不都合が生じるためである。また、θ1が30度を超えて大きい場合には、内周刃が工具軸方向に伸び、工具の作成が困難になる。また、傾斜切込みにおいて内周刃と被削材との距離が広くなり、ビビリ振動やチッピングの発生する不都合が生じるためである。より好ましくは8≦θ1≦15度に設定することが好ましい。また、θ1は幾何学的に、半径がr2を有する円弧中心gに形成される中心角と同値である。
図6、7に示す様に、本発明の刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミルに装着するインサートの切刃の形状は、外周刃である該円弧状切刃から工具最下点cを通って内周刃である該他の円弧状切刃に向かうに従って、法線方向の逃げ角が大きくなることが好ましい。これは、工具外周刃から最下点cを通って内周刃に至る各点において、工具回転数が一定の場合、切削速度が異なるためである。切削速度が異なる場合、逃げ角が一定だと工具の摩耗量が切刃各点において異なる。一方で、工具寿命は摩耗量が最も大きくなる時点で判定されるため、夫々切削速度が異なる点において適切な法線方向の逃げ角を設定することで、工具寿命の長寿命化及び高品質な面粗さを得ることが出来る。ここで言う法線方向の逃げ角とは、例えば図6におけるB−B断面を示した図7の様に、切刃の法線と切刃とのなす角度θ3によって示される。θ3は、外周刃である該円弧状切刃から最下点cを通って内周刃である該他の円弧状切刃に向かうに従って大きくなることが好ましいが、更にθ3は夫々の切刃領域毎に好適な値を有することが好ましい。そこで図6で示される切刃を5つの領域に分割した。第1の直線L1の領域は、切刃の最外周点aからバックテーパ角度βを有して回転軸方向に延びる外周刃領域を示し、この領域のθ3をL1(θ3)で表す。同じく第2の曲線R1aの領域は、切刃の最外周点aから最下点cに向かう円弧部領域を示し、この領域のθ3をR1a(θ3)で表す。第3の曲線R1b領域は、最下点cから最外周点aに向かう円弧部領域を示し、この領域のθ3をR1b(θ3)で表す。第4の曲線R2領域は、切刃の最下点cから円弧中心gに形成される中心角θ1で形成される円弧部領域を示し、この領域のθ3をR2(θ3)で表す。第5の直線L2領域は、直線状をなす内周刃領域を示し、この領域のθ3をL2(θ3)で表す。この時、L1(θ3)≦R1a(θ3)<R1b(θ3)≦R2(θ3)≦L2(θ3)の関係を有して形成されていると良い。好ましくは、L1(θ3)が、3≦L1(θ3)≦13度、R1a(θ3)が、3≦R1a(θ3)≦13度、R1b(θ3)が、5≦R1b(θ3)≦15度、R2(θ3)が、5≦R2(θ3)≦15度、L2(θ3)が、7≦L2(θ3)≦17度である。更に、より好ましくは、L1(θ3)が、5≦L1(θ3)≦9度、R1a(θ3)が、5≦R1a(θ3)≦9度、R1b(θ3)が、7≦R1b(θ3)≦11度、R2(θ3)が、7≦R2(θ3)≦11度、L2(θ3)が、9≦L2(θ3)≦13度にすると良い。
上記の様に数値規定を行う理由は、以下の通りである。即ち、L1領域やR1a領域のθ3は切削速度が高いため、θ3が小さいと摩耗進行が早く進み、逆にθ3が大きすぎるとチッピング等が発生するためである。また、R1b領域やR2領域においては切削速度が低いため、逃げ角を小さくすることで工具と被削材の接触面を減少させ、切削抵抗を低下させることが出来る。この領域では外周刃領域よりも小さなθ3を有することが望ましい。また、切屑の噛み込み防止のため、直線L2領域のθ3は、R1b領域やR2領域のθ3よりも小さなθ3を有することが望ましい。上記の場合において、曲線R1aと曲線R1bの円弧長さの和は、点fを中心とした半径r1の円周の1/4に相当し、曲線R1a領域から曲線R1b領域に移行する途中には、点aから点cへ向かう間に位置する境界点bによって両者が区別される。また、曲線R1bの円弧を形成する中心角をθ2とすると、曲線R1aの円弧を形成する中心角は、90−θ2で表される。更にθ2の角度範囲は、10≦θ2≦45度に規定することが好ましい。θ2を上記の範囲に規定する理由は、θ2が10度未満の場合には、境界点bでの周速が遅いため、好適なθ3を得ることが出来ない。また、θ2が45度を超えて大きい場合には、点bにおける切刃の周速が速くなり、ここでも好適なθ3を得ることが出来ないためである。
上記の様に数値規定を行う理由は、以下の通りである。即ち、L1領域やR1a領域のθ3は切削速度が高いため、θ3が小さいと摩耗進行が早く進み、逆にθ3が大きすぎるとチッピング等が発生するためである。また、R1b領域やR2領域においては切削速度が低いため、逃げ角を小さくすることで工具と被削材の接触面を減少させ、切削抵抗を低下させることが出来る。この領域では外周刃領域よりも小さなθ3を有することが望ましい。また、切屑の噛み込み防止のため、直線L2領域のθ3は、R1b領域やR2領域のθ3よりも小さなθ3を有することが望ましい。上記の場合において、曲線R1aと曲線R1bの円弧長さの和は、点fを中心とした半径r1の円周の1/4に相当し、曲線R1a領域から曲線R1b領域に移行する途中には、点aから点cへ向かう間に位置する境界点bによって両者が区別される。また、曲線R1bの円弧を形成する中心角をθ2とすると、曲線R1aの円弧を形成する中心角は、90−θ2で表される。更にθ2の角度範囲は、10≦θ2≦45度に規定することが好ましい。θ2を上記の範囲に規定する理由は、θ2が10度未満の場合には、境界点bでの周速が遅いため、好適なθ3を得ることが出来ない。また、θ2が45度を超えて大きい場合には、点bにおける切刃の周速が速くなり、ここでも好適なθ3を得ることが出来ないためである。
本発明のラジアスエンドミルは、2番逃げの角度を有することも可能である。図7に示す様に、2番逃げの角度をθ4とすると、θ4は15≦θ4≦30度の範囲にすることが好ましい。この理由は、工具ヒール部と被削材とが接触する可能性を回避するためである。切刃稜線部から2番逃げの開始点までの距離Hは、工具直径に依存して変化させる必要がある。H値、1/100D≦H≦1/10Dの範囲とすると良い。
本発明例1から12の仕上げ用ラジアスエンドミルのインサートを超硬合金にて作製し、金型加工を想定し、被削材表面に傾斜部と平坦部とを併せ持つ倣い加工における切削試験を行った。また、比較例14、15のインサートも作製した。夫々の切刃形状の仕様を表1に示した。また、従来例16のラジアスエンドミルは、工具径がφ30mm、コーナーR切刃の円弧半径が3mmのものを使用し、従来例17のボールエンドミルは、工具径がφ30mm、切刃の円弧半径が15mmのものを使用した。評価対象は、被削材の平坦加工部及び傾斜角5度の加工面部とし、各工具での仕上面の最大表面粗さRmax値を評価した。表1に各工具での最大表面粗さも併記した。なお、切削条件の半径方向切込み量は、試験対象とする工具の直径に対して適切な値を規定し、試験を行った。
(切削条件)
加工方法:倣い加工による仕上げ加工
被削材 :S50C、硬さはHB220
軸方向切込み量:0.3mm
半径方向切込み量:工具直径Dが30mmの時、0.8mm
工具直径Dが20mmの時、0.6mm
工具直径Dが10mmの時、0.4mm
工具直径Dが8mmの時、0.3mm
切削速度:200m/min
1刃当りの送り量:0.375mm/刃
切削油:無し、乾式切削
表1より、本発明例1から4は工具直径をφ30、φ20、φ10、φ8と変化させ、それに伴ってr1値を設定し、その他の工具形状パラメータは同一の値とした工具を製作した。切削試験結果より、本発明が規定したパラメータの範囲内において、工具直径を変化させた場合でも、仕上面最大粗さが10μm以下を示し、良好な被削材の表面状態を得られた。この被削材表面の状態は平坦部、傾斜部共に良好な面粗さであった。これに対して、比較例14及び15は、本発明例1のr1値以外の工具形状パラメータは同一の値とした工具である。表1の結果より、比較例14及び15は、内周刃を備えることによって5度傾斜部の加工に対応はできたものの、比較例14のr1が8.5mmの設定と小さすぎるため、傾斜部において十分なRmaxを得ることが出来なかった。また、比較例14はr1が14mmの設定と大きすぎたため、工具最下点において周速を十分に得ることが出来ず、被削材の表面にキズが発生し、Rmaxが悪化した。
本発明例13は、r1を13.5mmに設定したことにより、被削材表面の面粗さの劣化を満足できるレベルに抑えることができた。また、従来例16では、傾斜部において満足の行く面粗さを得られなかった。これは、工具最下点から回転軸中心に向かう内周刃において、面粗さの改善に対する配慮がなされていないためであると考えられる。従来例17でも、平坦部、傾斜部共に満足の行く面粗さを得られなかった。本発明例5、6は、本発明例1に対してθ1を変えた工具である。本発明例5ではθ1が5度、本発明例6ではθ1が30度として工具の製作を行った。表1より、本発明例5、6は本発明例1よりも若干大きなRmaxを示したが、十分な被削材表面粗さを得ることが出来た。但し、θ1をより大きな値に設定した場合には、より大きなRmaxを示すことが予想される。これは、θ1が30度を超えて大きい場合では、びびり振動やチッピングが発生するためである。一方、θ1が5度未満の場合では、工具の内周切刃と被削材表面との間隔が狭くなり、切屑の噛み込みが発生する不都合が考えられる。
本発明例7はθ2を10度、本発明例8はθ2を45度として工具の製作を行い、本発明例1に対してθ2のみを変化させた。表1の試験結果より、θ2が10≦θ2≦45度の範囲内であれば、良好な仕上面粗さが得られることを確認した。本発明例9から12は、本発明例1のr2値以外の工具形状パラメータは同一の値とした工具である。本発明例9はr2を0.02mm、本発明例10はr2を0.2mm、本発明例11はr2を4mm、本発明例12はr2を6mmとした。表1より、本発明例9では、工具最下点の工具切刃稜線がr1からr2に変化する点において、r2が小さすぎるために平坦部の加工において被削材表面にキズが発生した。また、本発明例10では、本発明例9のr2よりも大きな値であったため、被削材表面にキズは発生せず、良好な面粗さを示した。本発明例11では、本発明例10と同様に、良好な被削材面粗さを示したが、本発明例12では、切屑の噛み込みによるキズが発生し、被削材の面粗さに悪影響を与えた。
加工方法:倣い加工による仕上げ加工
被削材 :S50C、硬さはHB220
軸方向切込み量:0.3mm
半径方向切込み量:工具直径Dが30mmの時、0.8mm
工具直径Dが20mmの時、0.6mm
工具直径Dが10mmの時、0.4mm
工具直径Dが8mmの時、0.3mm
切削速度:200m/min
1刃当りの送り量:0.375mm/刃
切削油:無し、乾式切削
表1より、本発明例1から4は工具直径をφ30、φ20、φ10、φ8と変化させ、それに伴ってr1値を設定し、その他の工具形状パラメータは同一の値とした工具を製作した。切削試験結果より、本発明が規定したパラメータの範囲内において、工具直径を変化させた場合でも、仕上面最大粗さが10μm以下を示し、良好な被削材の表面状態を得られた。この被削材表面の状態は平坦部、傾斜部共に良好な面粗さであった。これに対して、比較例14及び15は、本発明例1のr1値以外の工具形状パラメータは同一の値とした工具である。表1の結果より、比較例14及び15は、内周刃を備えることによって5度傾斜部の加工に対応はできたものの、比較例14のr1が8.5mmの設定と小さすぎるため、傾斜部において十分なRmaxを得ることが出来なかった。また、比較例14はr1が14mmの設定と大きすぎたため、工具最下点において周速を十分に得ることが出来ず、被削材の表面にキズが発生し、Rmaxが悪化した。
本発明例13は、r1を13.5mmに設定したことにより、被削材表面の面粗さの劣化を満足できるレベルに抑えることができた。また、従来例16では、傾斜部において満足の行く面粗さを得られなかった。これは、工具最下点から回転軸中心に向かう内周刃において、面粗さの改善に対する配慮がなされていないためであると考えられる。従来例17でも、平坦部、傾斜部共に満足の行く面粗さを得られなかった。本発明例5、6は、本発明例1に対してθ1を変えた工具である。本発明例5ではθ1が5度、本発明例6ではθ1が30度として工具の製作を行った。表1より、本発明例5、6は本発明例1よりも若干大きなRmaxを示したが、十分な被削材表面粗さを得ることが出来た。但し、θ1をより大きな値に設定した場合には、より大きなRmaxを示すことが予想される。これは、θ1が30度を超えて大きい場合では、びびり振動やチッピングが発生するためである。一方、θ1が5度未満の場合では、工具の内周切刃と被削材表面との間隔が狭くなり、切屑の噛み込みが発生する不都合が考えられる。
本発明例7はθ2を10度、本発明例8はθ2を45度として工具の製作を行い、本発明例1に対してθ2のみを変化させた。表1の試験結果より、θ2が10≦θ2≦45度の範囲内であれば、良好な仕上面粗さが得られることを確認した。本発明例9から12は、本発明例1のr2値以外の工具形状パラメータは同一の値とした工具である。本発明例9はr2を0.02mm、本発明例10はr2を0.2mm、本発明例11はr2を4mm、本発明例12はr2を6mmとした。表1より、本発明例9では、工具最下点の工具切刃稜線がr1からr2に変化する点において、r2が小さすぎるために平坦部の加工において被削材表面にキズが発生した。また、本発明例10では、本発明例9のr2よりも大きな値であったため、被削材表面にキズは発生せず、良好な面粗さを示した。本発明例11では、本発明例10と同様に、良好な被削材面粗さを示したが、本発明例12では、切屑の噛み込みによるキズが発生し、被削材の面粗さに悪影響を与えた。
1:刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミル
2:ホルダー部
3:インサート
4:止めネジ
5:ネジ穴
6:直刃形状切刃
D:工具直径
H:切刃稜線部から2番逃げの開始点までの距離
L1:直線状外周刃
L2:直線状内周刃
R1a:円弧状外周刃
R1b:円弧状外周刃
R2:円弧状内周刃
a:最外周点
b:R1a領域とR1b領域との境界点
c:最下点
d:内周刃上の点
e:工具回転軸と内周刃との交点
f:円弧状外周刃の円弧中心点
g:円弧状内周刃の円弧中心点
r1:円弧状外周刃の円弧半径
r2:円弧状内周刃の円弧半径
β:バックテーパ角
θ1:最下点cの接線と点dの接線とのなす角度
θ2:R1bの中心角
θ3:逃げ角
θ4:2番逃げ角
2:ホルダー部
3:インサート
4:止めネジ
5:ネジ穴
6:直刃形状切刃
D:工具直径
H:切刃稜線部から2番逃げの開始点までの距離
L1:直線状外周刃
L2:直線状内周刃
R1a:円弧状外周刃
R1b:円弧状外周刃
R2:円弧状内周刃
a:最外周点
b:R1a領域とR1b領域との境界点
c:最下点
d:内周刃上の点
e:工具回転軸と内周刃との交点
f:円弧状外周刃の円弧中心点
g:円弧状内周刃の円弧中心点
r1:円弧状外周刃の円弧半径
r2:円弧状内周刃の円弧半径
β:バックテーパ角
θ1:最下点cの接線と点dの接線とのなす角度
θ2:R1bの中心角
θ3:逃げ角
θ4:2番逃げ角
Claims (2)
- 軸線回りに回転される工具本体の先端部に、該軸線を含む平面方向に延びるスリット状のインサート取付座が形成され、このインサート取付座に、外周側に略円弧状に延びる切刃を備えたインサートが、該切刃を工具先端側に突出させて着脱可能に取り付けられてなる刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミルにおいて、該インサートの切刃の形状は、外周側の該円弧状切刃の半径をr1とし、工具直径をDとした時、0.31D≦r1≦0.45D、D≧8mmで形成され、該円弧状切刃の最下点において同一接線を有し、回転軸中心に向かう内周刃の半径がr2を有する他の円弧状切刃が形成され、r1>r2の関係を有して形成されていることを特徴とする刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミル。
- 請求項1記載の刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミルにおいて、該インサートの該他の円弧状切刃の半径r2が、0.1≦r2≦5(mm)の関係を有して形成されていることを特徴とする刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミル。
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- 2004-05-11 JP JP2004141227A patent/JP2005319558A/ja active Pending
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