JP2005305545A - 接合用部材およびそれを用いた器物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 拡散接合性に優れる、チタン層を含む接合用部材を提供する。
【解決手段】 接合用部材は、チタン層10と、チタン層10の一方の表面上に形成された接合層としての銅層8とを備える。銅層8に含まれる銅の平均結晶粒径が0.5μm以下である。チタン層10の他方の表面には、チタンの不導体膜が形成されてもよい。またこの他方の表面に発色アルマイト層が形成されてもよい。また、この他方の表面にフッ素樹脂層が形成されてもよい。
【選択図】 図1

Description

この発明は、接合用部材および器物に関し、特に、チタン層を有する基材を用いた接合用部材およびそれを用いた器物に関するものである。
従来、接合用部材は、たとえば特開平9−206962号公報に開示されている。
特開平9−206962号公報
チタンは、鉄系材料と同程度の高強度を有する。また、低比重であるため、アルミニウムやマグネシウムのように軽く、耐食性に関してもステンレスを上回る耐食性を有する。「軽い」、「強い」、「錆びない」などの優れた特性から、航空宇宙、化学、電力等の分野での利用から始まり、最近では、建築、土木、医療、民生品(メガネ枠から鍋まで)に急速に需要の分野を広げつつある。しかしながら、熱伝導性のみがステンレスと同程度であり、熱伝導性はアルミニウムの1/10、鉄の1/4と低い。逆に、この特性により、保温性に優れるという特徴も有する。熱伝導性を補うためには、アルミニウムなどとクラディングして複合材とすることが考えられるが、融点差が大きく、かつチタンの表面に強固な不働態皮膜が形成されるため、板材への複合化は困難である。よって、ワイヤやパイプなどの複合材が得られているのみである。
そこで、この発明は上述のような問題点を解決するためになされたものであり、チタン層を有する接合用部材を提供することを目的とするものである。
我々は、チタン層を有する接合用部材を得る手法として、拡散接合性に優れる銅鍍金を接合層とする技術を開発した。チタン層表面をEDTAなどの有機酸とフッ化アンモニウムなどのフッ化物塩の混合水溶液で処理することでチタンの不働態皮膜を除去する。その後電気ニッケル鍍金を介して結晶粒径を0.5μm以下に制御した電気銅鍍金を密着性よく形成する。たとえば、アルミニウム板とチタン板との複合材を得る場合には、チタン/電気ニッケル鍍金/電気銅鍍金と、アルミニウム/ジンケート処理皮膜/ニッケル(銅鍍金浴がピロリン酸銅浴もしくはシアン化銅浴の場合は不要)/電気銅鍍金の皮膜構成とし、銅鍍金同士が対向した状態で、温度150℃以上の温度でホットプレスにより接合して複合材が得られる。
以上のような知見に基づきなされた、この発明に従った接合用部材は、金属最外層にチタン層を有する基材と、基材の一方の表面上にニッケル層を介して形成された銅の接合層とを備え、接合層に含まれる銅の平均結晶粒径が0.5μm以下である、接合用部材である。本発明の他の形態としては、チタン層とニッケル層の間にステンレス層を有する。
接合層は電気鍍金により形成され、該電気鍍金の際に電解浴にメルカプトプロパンスルホン酸、ポリオールおよび染料の少なくとも一種を添加することで接合層中の銅の粒径が制御されているのが好ましい。より好ましくは、接合層に含まれる銅の平均結晶粒径が0.2μm以下である。
基材において、接合層と反対側の表面にチタンの不働態膜、発色アルマイト層、炭化フッ素から選択される少なくとも1つの層がさらに形成されていると、より耐久性、外観等が良く、好ましい形態となる。
ニッケル層は、チタン層またはステンレス層の表面を有機酸で処理した後に、その表面に形成されるのが好ましい。
ステンレス層は、チタン層に直接接触する磁性ステンレス層とするのが好ましい。
銅の接合層に含まれる硫黄の濃度が質量比で100ppm以下であり、表面の硬度が400Hv以下であると、接合がしやすくなり、好ましい。
この発明に従った器物の態様は、上述のいずれかの接合用部材と、接合層に接合する相手材とを、銅層を向かい合わせにして接合し、加工により所定の空間を取囲む。
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態において、同一または相当する部分については同一の参照符号を付し、その説明については繰返さない。
まず、この発明の基材を構成するチタンの物性を以下に説明する。
チタンの比重は4.51以上で、鉄およびステンレスの比重の約半分であり、アルミニウムの比重の約1.5倍である。
機械的強度は、純チタンで500N/mm2である。合金チタンでは、800N/mm2程度である。
溶融点は、1668℃である。なお、鉄の溶融点は1535℃、アルミニウムの溶融点は660℃である。
チタンの伝熱性は、ステンレスと同程度である。これはアルミニウムの1/10、鉄の1/4に相当する。
熱膨張率は、ステンレスの1/2程度である。
チタンは弾力性がある。具体的には、チタンのヤング率は鉄の倍であり、銅のヤング率とほぼ等しい。チタンは、耐食性、耐候性ともステンレスより優れている。大気中および海水中では腐食されない。
(調理用器物としての長所)
図1は、サンプル1から8の器物の構成を示す表である。図1では、調理用器物の例を示す。図1中のサンプル1から8について以下に説明する。なお、図1中の各組成下に示す数字は、各層の厚みを示す。例えば、サンプル1において、「Ti2mm」とは、厚みが2mmのTi層が形成されていることを示す。
サンプル1
サンプル1は、本発明になる接合用部材の1例と、別の接合用部材を組み合わせてなる複合材を用いた器物の例である。この器物は、主として、チタン層/アルミニウム層/フッ素樹脂層(PTFE)により構成される。なお、接合用皮膜構成は省略している。サンプル1のように構成することで、フライパン、鍋や釜として使用した場合には、熱伝導性に優れ、軽く、高強度であり、傷がつきにくく、直火加熱などの高温にも耐え、腐食することがない。内面には、フッ素樹脂(PTFE)がコーティングされており、調理物がこびり付くことはない。しかし、フッ素樹脂は柔らかいため金属製束子などを使用することはできない。
図2は、本発明の接合用部材の例(図2b)と別の接合用部材(図2a)を模式的に示す断面図である。図3は、本発明の複合材(サンプル1)を模式的に示す断面図である。図4は、本発明の器物(サンプル1)を模式的に示す断面図である。
図2の例では、チタン層10により構成される基材の上に中間層としてのニッケル層9が形成されている。ニッケル層9上には、銅を含む接合層としての銅層8が形成されている。基材としてのチタン層10、ニッケル層9および銅層8が接合用部材7を構成する。銅層8に含まれる銅の平均結晶粒径が0.5μm以下である。別の接合用部材1(相手材)は、下から順に接合層としての銅層6、ニッケル層5、亜鉛層4、アルミニウム層3およびフッ素樹脂層2が積層されている。
図2の部材を図3のように、2つの銅層6および8を接触させ、固相拡散させる。これにより複合材100を形成する。このとき、拡散接合された後の銅の平均結晶粒径は大きくなるため、0.5μm以下になるとは限らない。
図3で作製された複合材100を加工して、図4のように、深絞り加工を施すことにより、器物200を形成する。器物200は外表面200aおよび内表面200bを有し、所定の空間101を取囲む筐体形状である。なお、器物200は、円柱形状または角柱形状などの形状であってもよく、側面が傾斜した、いわゆる錐体であってもよい。器物200を形成する場合には、ダイスを用いて深絞り加工を行なうが、そのダイスには液体、固体または混合体潤滑剤を用いることが好ましい。潤滑剤として、硫黄系油性潤滑剤、硫化油脂と炭酸カルシウム微粉末の混合物、炭酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、レジコート(アクゾノーベル社商標)、ステアリン酸カルシウムと炭酸カルシウムの混合物などさまざまなものを用いることができる。
サンプル1では、器物の外側からチタン層、ニッケル層、銅層、銅層、ニッケル層、亜鉛層、アルミニウム層、フッ素樹脂層が配置される。
サンプル2
サンプル2は、本発明になる接合用部材の2つの例を用い、間に両面接合部材を用いた複合材として器物を作製している。この器物は、主としてチタン層/アルミニウム層/チタン層により構成される。より詳細には、器物の外側から内側へ向かってチタン層、ニッケル層、銅層、銅層、ニッケル層、亜鉛層、アルミニウム層、亜鉛層、ニッケル層、銅層、銅層、ニッケル層、チタン層の順に配置される。サンプル2で示される器物を鍋や釜として使用した場合には、熱伝導性に優れ、軽く、高強度であり、傷がつきにくく、直火加熱などの高温にも耐え、腐食することがない。フッ素樹脂ほどの非粘着性はないが、表面が硬質であり、傷が付きにくいことから、調理物の付着は少なく、さらに金属束子などで調理物を残存なく除去することが可能である。
サンプル3
サンプル3は、本発明になる接合用部材の2種類の形態を両側に用い、間に両面接合部材を配した複合材を器物にした例である。この器物は、主としてチタン層/アルミニウム層/酸化処理したチタン層により構成される。具体的には、器物の外側から内側へ向かって、チタン層、ニッケル層、銅層、銅層、ニッケル層、亜鉛層、アルミニウム層、亜鉛層、ニッケル層、銅層、銅層、ニッケル層、チタン層および酸化チタン層が配置される。サンプル3では、非粘着性は有さないが、酸化チタンが超親水性を示し、酸化チタン表面に水が浸透しやすいため汚れが落ちやすい。また、炊飯釜として使用した場合は、釜内面全面により沸騰が起こり、細かな対流が発生するためにおいしいご飯が炊飯できる。
サンプル4
サンプル4は、本発明になる接合用部材の2種類の形態を両側に用い、間に両面接合部材を配した複合材を器物にした例である。この器物は、主としてチタン層/アルミニウム層/酸化処理したチタン層/フッ化黒鉛層(CF)により構成される。具体的には、器物の外側から内側に向かって、チタン層、ニッケル層、銅層、銅層、ニッケル層、亜鉛層、アルミニウム層、亜鉛層、ニッケル層、銅層、銅層、ニッケル層、チタン層、酸化チタン層、フッ化黒鉛層が配置される。酸化チタンはフッ化黒鉛などのセラミックスと大きな密着性を持ち、従来の非粘着性表面として使用されてきたフッ素樹脂と異なり、フッ化黒鉛は高強度であるため、金属製の箆や束子を使用することが可能である。
サンプル5
サンプル5は、本発明になる接合用部材を片側に用い、間に両面接合部材を配し、器物内側には別の接合用部材を用いて作製された器物の例である。この器物の例は、主として、チタン層/ステンレス層(SUS430)/アルミニウム層/フッ素樹脂層(PTFE)により構成される。具体的には、器物の外側から内側に向かって、チタン層、ニッケル層、銅層、銅層、ニッケル層、ステンレス層、ニッケル層、銅層、銅層、ニッケル層、亜鉛層、アルミニウム層およびフッ素樹脂層が配置される。IH加熱用のステンレスの外面にチタンを被覆しても、非磁性であるため磁力線が通過し、問題なくステンレス層で発熱する。なお、チタンは非常に薄いため磁気遮蔽として機能しない。外面は保温性のよいチタンであるため、外部への熱の逃げが少なく、熱伝導のよい内面アルミニウム層へ熱が効率よく伝わり、省エネルギ効果も大きい。また、チタンが最表面にあることで、大きな耐食性を有することと、チタンカラーと称される独特な色調で差別化も期待できる。また、着色アルマイト処理を施せば、耐候性に優れる7色の着色が可能となる。すなわち、この実施の形態では、チタン層表面に着色アルマイト処理を施すことが可能である。
サンプル6
サンプル6は、本発明になる接合用部材の一例を2枚用い、両方の銅を向かい合わせに接合してなる複合材を用いた器物である。この器物は、主としてチタン層/銅層/チタン層により構成される。具体的には、器物の外側から内側に向かって、チタン層、ニッケル層、銅層、銅層、ニッケル層およびチタン層が配置される。接合用銅鍍金を厚膜化してもよく、また銅箔を用いて銅層を構成してもよい。機能的には、サンプル6はサンプル2と同等であるが、アルミニウムより熱伝導性に優れる銅を薄い中間層として使用することで全体的な軽量化を図ることができる。
サンプル7
サンプル7は、本発明の接合用部材の一例を片側に用い、別の接合用部材と複合化してなる器物の例である。この器物は、主としてチタン層/銅層/ステンレス層(SUS430)により構成される。接合用の銅鍍金(銅層)を厚膜化してもよく、銅箔と接合してもよい。基本性能はサンプル6と同等であるが、ステンレス層を構成するSUS430はIH用であり、IH調理器への適用が可能である。熱伝導性の大きな銅を中間層とすることで調理むらを生じない。
サンプル8
サンプル8は、本発明の接合用部材に用いる基材として、チタンの圧延クラッド鋼板(SUS430)を用いた例である。すなわち、チタン層とステンレス層とが直接圧延により接合された基材を用いる。チタンと鋼板の圧延クラッドは、双方とも高融点であり容易に得ることができる。このクラッド板を基材とした接合用部材とアルミ二ウムを基材とした接合用部材を用いた複合材とすることで、接合用銅鍍金を減らしたものでもサンプル5と同等の性能が望める器物を得ることができる。
(拡散接合性に優れる銅層)
本明細書でいう拡散接合とは、固相拡散接合と呼ばれるもので、母材を溶融させずに固相状態のまま接合する手法を指す。固相状態で接合を行なうには、接合界面近傍で塑性変形もしくはクリープ変形を起こして両面を密着させ、拡散による原子の移動を利用する。変形と拡散は母材の強度や拡散係数などに依存し、温度や加圧によって大きく変化する。加熱して金属は軟化し、変形しやすくなると同時に原子拡散も活発になる。すなわち、拡散接合を支配する因子は、拡散速度であり、相互拡散速度の大きい界面を有する金属層を形成する技術である。一般的には、拡散速度は温度が支配的因子となり、銅同士の拡散接合では、温度800℃程度の温度が使用される。銅中への銅の拡散速度を図5で示す。
本願では、フッ素樹脂およびアルミニウムを使用するため、上述のようなアルミニウムの融点(660℃)やフッ素樹脂の分解温度(340℃)を越える温度領域では、拡散接合を適用することは困難である。
拡散現象は、さらに詳細には、(1)母材結晶粒内を拡散する体拡散、(2)結晶粒と結晶粒の間に介在する粒界を移動する粒界拡散、(3)接合界面の母材表面を移動する表面拡散の3種があり、(1)に比べ(2)の粒界拡散では拡散係数が1万倍から10万倍も大きくなることが知られている。一般に、金属材料では粒界が占める面積はほんの僅かであるが、そこを経由する物質移動量が非常に大きい。そこで、本願では、拡散接合母材として水溶液中から電析反応で得た微細結晶銅を利用することで、拡散接合がフッ素樹脂の分解温度以下でも起こり得ることを見出した。具体的には、銅鍍金の電流密度と光沢剤(ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、メルカプトプロパンスルホン酸、または染料)を制御することで、銅の電析結晶粒を200nm以下に電析することで、温度300℃×100kg/cm2×30分の条件でもほぼ完全に一体になることが判明した。なお、光沢剤の組合せとして、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびメルカプトプロパンスルホン酸の混合物、または、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよび染料の混合物を用いてもよい。
図6は金属結晶粒径と接合強度との関係を示すグラフである。図6から明らかなように、金属結晶粒径を小さくすれば、接合強度が上昇することがわかる。この現象は、結晶粒径を小さくすることで、拡散速度が速い結晶粒界が界面に多数存在するようになり、拡散速度を大幅に向上できることを狙った結果である。また、電析物の特徴として、軽元素が共析することにより硬度が大きくなる傾向があるが、硬度が大きくなり過ぎると、接合界面近傍で塑性変形もしくはクリープ変形を起こし難くなり両面が密着することが困難になる。そのため、銅中に光沢剤から共析する硫黄の量は100ppm以下であることが好ましく、銅の硬度としては400Hv以下とするのが好ましい。
(拡散接合性に優れる銅の被覆方法)
ニッケル層の外表面には、銅が被覆される。
本発明になる接合用部材に用いる銅被覆は、金属基材であるチタン層もしくはステンレス層に施されるが、基材直接ではなく、ニッケル層を介して被覆する。
(1) ステンレス(SUS430)上への被覆(Tiクラッド鋼板の処理)
SUS430基材[材質:Fe−18%Cr、厚み:0.5mm]をNaOH水溶液中で陽極電解脱脂を施し、表面に存在する有機不純物と不働態クロム酸化層を溶解した。その後、塩酸で洗浄し、水洗を経て、ニッケルストライク鍍金浴(第2の鍍金液)で厚みが0.2μmのニッケル鍍金膜(ニッケル層)を形成した。
水洗および希塩酸での洗浄の後、第1の鍍金液で銅鍍金を8μm施した。銅鍍金の結晶粒径制御は、以下のようにした。
銅鍍金の結晶粒径は光沢剤の添加量と密接な関係を持っており、光沢剤を所定量、すなわち光沢剤中のポリオール成分を10〜20cm3/dm3および硫黄含有成分をポリオールの10分の1添加した状態で、電流密度を調整し、断面観察により100nm付近の結晶粒径となるよう調整した。我々の調査では、結晶粒径が200nm〜10nm程度であれば、300℃以下の温度で拡散接合が可能であり、好ましくは、粒径は100nm±50nm程度であった。なお、結晶粒径が大き過ぎると、拡散速度が大きい結晶粒界が欠乏するため拡散接合性が悪い。また、結晶粒径が小さい場合には、粒界が不純物を包み込むサイトとして機能するため、硬く脆い銅層となり、この場合も拡散接合性が悪い。後処理として、銅表面は酸化しやすいため酸化防止処理としてベンゾトリアゾールを主成分とする水溶液を塗布もしくは浸漬し、温風にて乾燥する。
Figure 2005305545
(2) チタン層上への被覆
チタン層[材質:純度99.9%Ti、厚み:0.05mm]をNaOH水溶液中で陽極電解脱脂を施し、表面に存在する有機不純物を溶解した。その後、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)70g/dm3と過酸化水素水(35%)を60cm3/dm3の溶液中に室温で含浸処理を施し表面の不働態皮膜を除去した。さらに、塩酸で洗浄し、水洗を経て、ニッケルストライク鍍金浴(第2の鍍金液)で厚みが0.2μmのニッケル鍍金を施した。水洗、希塩酸での洗浄の後、第1の鍍金液で銅鍍金を8μm施した。銅鍍金の結晶粒径制御は、ステンレス層への銅鍍金と同様である。後処理として、銅表面は酸化しやすいため酸化防止処理として、ベンゾトリアゾールを主成分とする水溶液を塗布もしくは含浸し、温風にて乾かした。図7は、ニッケル層形成の前処理工程を示す図である。図7を参照して、前処理として基材に有機酸処理を施した後に、ニッケルめっきによりニッケル層を形成する。
別途、アルミニウム、ステンレスを基材とする接合用部材および両面接合用部材を用意した。
(拡散接合性)
拡散接合すべき、基材の銅層同士を対向させ、真空チャンバ中に配置し大気を排気する。真空状態のまま、9.8×102N/cm2程度の圧力を加え、温度280℃まで昇温し拡散接合を実施する。この状態を30分間保持した後、室温まで冷却し大気圧に戻す。なお、この際、高温での保持時間にも関係するが、温度300℃で20分間の保持では特に問題はないが、同温度で30分保持すれば異種金属の拡散速度差に起因するカーケンダルボイドが銅鍍金下地の界面で発生し、複合材の接合力が大きく低下する。望ましい拡散接合条件は温度280℃で30分であるが、温度300℃を超えると好ましくなく、さらに時間が30分を超えることも好ましくない。
(チタンの表面処理)
(1) 超親水化処理:本処理は高温を伴うため、拡散接合する前の基材単体で実施する。チタン板もしくはチタンクラッド鋼板を10-7mmHg(1.3×10-5Pa)の高真空中でアルゴンイオン衝突法により表面をクリーニングする。その後、分圧が1×10-4mmHg(1.3×10-2Pa)程度となるように酸素ガスを制御して導入する。基材を加温することで成長速度は幾分増加する。この処理により、チタン表面には、酸化チタンよりなる、水との接触角がゼロ度に近い超親水膜が得られる。酸化チタン自身でも十分な耐久性は存在するが、さらに高強度化し耐久性を強化するためには、真空処理時に塩化ケイ素もしくは、メチルオルトシリケートにより発生したシリコン蒸気を導入し、酸化チタン+酸化ケイ素複合膜とすることも可能である。
(2) 着色陽極酸化処理:燐酸もしくは蓚酸アンモニウム水溶液を温度15℃以下に保ち、2枚のチタン板を浸漬する。2枚のチタン板間に交流電圧を加え、表面に陽極酸化層を形成する。陽極酸化電圧は100Vを超えると、陽極酸化膜の絶縁破壊により非常に粗い灰褐色の皮膜が生成する。20V程度の交流電圧の印加では薄く緻密な酸化皮膜が形成され、膜厚に応じた光の干渉効果のために7色に発色する。
(3) フッ化黒鉛コート:プラズマCVD(化学気相成長法)装置によりチタン表面に中間層としてSiCを約0.1μm成膜する。その後、CFガスを導入し、フッ化黒鉛皮膜を形成する。
以上、この発明の実施の形態について説明したが、ここで示した実施の形態はさまざまに変形することが可能である。まず、本発明の接合用部材を用いた器物について説明したが、器物に限定されるものではなく、一般的な構造材として本発明を適用することも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
サンプル1から8の器物の構成を示す表である。 本発明の接合用部材の例(図2b)と別の接合用部材(図2a)を模式的に示す断面図である。 本発明の複合材(サンプル1)を模式的に示す断面図である。 本発明の器物(サンプル1)を模式的に示す断面図である。 温度と拡散距離の関係を示すグラフである。 金属結晶粒径と接合強度との関係を示すグラフである。 ニッケル層形成の前処理工程を示す図である。
符号の説明
1 接合用部材、2 フッ素樹脂層、3 アルミニウム層、4 亜鉛層、5 ニッケル層、6 銅層、7 接合用部材、8 銅層、9 ニッケル層、10 チタン層、100 複合材、101 空間、200 器物。

Claims (15)

  1. 金属最外層にチタン層を有する基材と、前記基材の一方の表面上にニッケル層を介して形成された銅の接合層とを備え、前記接合層に含まれる銅の平均結晶粒径が0.5μm以下である、接合用部材。
  2. 前記チタン層とニッケル層の間にステンレス層を有する、請求項1に記載の接合用部材。
  3. 前記接合層は電気鍍金により形成され、該電気鍍金の際に電解浴にメルカプトプロパンスルホン酸、ポリオールおよび染料の少なくとも一種を添加することで前記接合層中の銅の粒径が制御されている請求項1または2に記載の接合用部材。
  4. 前記基材において、接合層と反対側の表面にチタンの不働態膜、発色アルマイト層、炭化フッ素から選択される少なくとも1つの層がさらに形成されている、請求項1または2に記載の接合用部材。
  5. 前記ニッケル層は、前記チタン層またはステンレス層の表面を有機酸で処理した後に、その表面に形成される、請求項1または2に記載の接合用部材。
  6. 前記ステンレス層は、前記チタン層に直接接触する磁性ステンレス層である、請求項2に記載の接合用部材。
  7. 前記銅の接合層に含まれる硫黄の濃度が質量比で100ppm以下であり、表面の硬度が400Hv以下である、請求項1または2に記載の接合用部材。
  8. 最外層より、チタン層、ニッケル層、銅層で形成されてなる接合用部材と、銅層、ニッケル層、亜鉛層、アルミニウム層、フッ素樹脂層の順に積層されてなる接合用部材とを、銅層を向かい合わせに接合することにより形成されてなる複合材を加工してなる器物。
  9. 最外層より、チタン層、ニッケル層、銅層で形成されてなる接合用部材2個と、銅層、ニッケル層、亜鉛層、アルミニウム層、亜鉛層、ニッケル層、銅層の順に積層されてなる両面接合用部材とを、銅層を向かい合わせにして接合することにより形成されてなる複合材を加工してなる器物。
  10. 最外層より、チタン層、ニッケル層、銅層で形成されてなる接合用部材と、銅層、ニッケル層、亜鉛層、アルミニウム層、亜鉛層、ニッケル層、銅層の順に積層されてなる両面接合用部材と、銅層、ニッケル層、チタン層、チタン不働態層の順に積層されている接合用部材とを、銅層を向かい合わせにして接合することにより形成されてなる複合材を加工してなる器物。
  11. 最外層より、チタン層、ニッケル層、銅層で形成されてなる接合用部材と、銅層、ニッケル層、亜鉛層、アルミニウム層、亜鉛層、ニッケル層、銅層の順に積層されてなる両面接合用部材と、銅層、ニッケル層、チタン層、チタン不働態層、炭化フッ素層の順に積層されている接合用部材とを、銅層を向かい合わせにして接合することにより形成されてなる複合材を加工してなる器物。
  12. 最外層より、チタン層、ニッケル層、銅層で形成されてなる接合用部材と、銅層、ニッケル層、ステンレス層、ニッケル層、銅層の順に積層されてなる両面接合用部材と、銅層、ニッケル層、亜鉛層、アルミニウム層、フッ素樹脂層の順に積層されている接合用部材とを、銅層を向かい合わせにして接合することにより形成されてなる複合材を加工してなる器物。
  13. 最外層より、チタン層、ニッケル層、銅層で形成されてなる接合用部材2個を、銅層を向かい合わせにして接合することにより形成されてなる複合材を加工してなる器物。
  14. 最外層より、チタン層、ニッケル層、銅層で形成されてなる接合用部材と、銅層、ニッケル層、ステンレス層の順に積層されている接合用部材とを、銅層を向かい合わせにして接合することにより形成されてなる複合材を加工してなる器物。
  15. 最外層より、チタン層、ステンレス層、ニッケル層、銅層で形成されてなる接合用部材と、銅層、ニッケル層、亜鉛層、アルミニウム層、フッ素樹脂層の順に積層されてなる接合用部材とを、銅層を向かい合わせに接合することにより形成されてなる複合材を加工してなる器物。
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