JP2005298674A - 粘着シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 表面基材2および該表面基材2の一方の面側に積層された粘着剤層3を備える粘着シート本体を有する粘着シートであって、前記粘着剤層3が、複数の凹部4と、該凹部4の外縁の少なくとも一部に隣接する外縁凸部5とを有することを特徴とする粘着シート。
【選択図】 図2
Description
粘着シートは一般的に、シート状の表面基材と、該表面基材上に積層された粘着剤層と、該粘着剤層上に積層された剥離シートから構成されており、被着体に対して一旦粘着させた後に剥がして貼り直しできる再剥離性粘着シートのような弱粘着タイプのものから、強粘着タイプのものまで、粘着力のレベルの異なる種々の粘着シートが開発されている。
その「膨れ」の生じる原因の1つとして、粘着剤層表面が通常、平坦であることが考えられている。そのため、この「膨れ」を改善するために、粘着剤層表面に多数の凸部を設けることが提案されている(例えば特許文献1,2参照)。これは、粘着剤層表面に多数の凸部を設けることにより、該粘着シートを被着体に貼付した際、粘着シートと被着体との間に、外部に通じる連通隙間が形成されるようにしてエアー抜き性を付与したもので、該連通隙間を通って、巻き込まれたエアーが外部に抜けるようになっている。
また、このような粘着シートは、被着体に対する粘着力が弱く、貼付後に剥がして張り直すことができる再剥離性粘着シートである。これは、被着体に貼着した後も上記連通隙間が残っているため、被着体との接触面積が小さくなるためである。
剥がれの問題については、粘着力の強い粘着剤を用いることが考えられるが、粘着剤の粘着力が強くなると、エアー抜き性が低下して、「膨れ」の問題が生じやすくなる。また、再剥離性も低下するため、例えば間違った位置に貼り付けてしまうなどした場合に張り直しができない等の問題も生じる。
したがって、本発明の目的は、優れたエアー抜き性および密着性を兼ね備えた粘着シートおよびその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は下記粘着シートおよびその製造方法に関する。
(1)表面基材および該表面基材の一方の面側に積層された粘着剤層を備える粘着シート本体を有する粘着シートであって、
前記粘着剤層が、複数の凹部と、該凹部の外縁の少なくとも一部に隣接する外縁凸部とを有することを特徴とする粘着シート。
(2)前記凹部が環状である(1)記載の粘着シート。
(3)前記凹部の内側に、前記外縁凸部よりも高さが低い微小凸部を有する(2)記載の粘着シート。
(4)前記外縁凸部が環状または三日月状である(1)〜(3)のいずれか一項に記載の粘着シート。
(5)前記粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率が102〜107Paの範囲内である(1)〜(4)のいずれか一項に記載の粘着シート。
(6)前記粘着シート本体の粘着剤層側表面に剥離シートが積層されており、該剥離シートが、前記粘着シート本体側表面に、前記凹部に対応する複数の凸部を有する(1)〜(5)のいずれか一項に記載の粘着シート。
(7)前記剥離シートの前記凸部が環状であり、その内側に貫通孔が設けられている(6)記載の粘着シート。
(8)前記表面基材が、少なくとも一部に空隙部を有するものである(1)〜(7)のいずれか一項に記載の粘着シート。
(9)再剥離性粘着シートである(1)〜(8)のいずれか一項に記載の粘着シート。
(10)表面基材の一方の面側に粘着剤層を形成して粘着シート本体を得る工程と、該粘着シート本体の粘着剤層側の面と剥離シートとを貼り合わせる工程とを有する粘着シートの製造方法であって、
前記剥離シートとして、前記粘着シート本体側の表面に複数の凸部を有する剥離シートを用い、前記粘着剤層に、複数の凹部と、該凹部の外縁の少なくとも一部に隣接する外縁凸部とを形成することを特徴とする(1)〜(9)のいずれか一項に記載の粘着シートの製造方法。
≪粘着シート≫
本発明の粘着シートは、表面基材および該表面基材の一方の面側に積層された粘着剤層を備える粘着シート本体を有するものであり、該粘着剤層が、複数の凹部と、該凹部の外縁の少なくとも一部に隣接する外縁凸部とを有するという特定の表面構造を有することを特徴とするものである。
本発明の粘着シートは、このような表面構造を有することにより、優れたエアー抜き性および密着性を兼ね備えている。すなわち、本発明の粘着シートの粘着剤層表面は、基本的に、複数の凹部と、該凹部の外縁の少なくとも一部に隣接する外縁凸部と、それ以外の平坦な部分(平坦部)とから構成されている。そのため、被着体に対し、例えば位置決め等のために軽く貼り付けた仮貼着状態では、外縁凸部により、外部に通じる連通隙間が形成されているため、エアー抜き性に優れており、「膨れ」が生じにくい。また、この状態では被着体に対する密着性も低いため、粘着シートと被着体とを容易に再剥離することができる。一方、ローラー等を用いた圧着等により完全に貼着させる最終的な貼着処理を行った状態(完全貼着状態)では、外縁凸部が押し潰されて隣接する凹部内へと移行し、外部へ通じる連通隙間がほぼなくなり、粘着剤層表面の平滑性が向上する。その結果、被着体との接触面積が増大(密着性が向上)し、被着体から貼がれにくくなる。
以下、本発明における粘着剤層の表面構造の実施形態の一例を、図面を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1,2は、本発明の粘着シートの第1実施形態である。図1(a)は平面図であり、図1(b)は、(a)に示す位置A−A’における断面図である。また、図2は、図1(b)の部分拡大図である。
本実施形態の粘着シートは、表面基材2と、該表面基材2の一方の面側に積層された粘着剤層3とからなる粘着シート本体1を有する。
粘着剤層3は、複数の円環状の凹部4と、該凹部4の外縁に隣接する円環状の外縁凸部5とを有している。また、凹部4の内側に、凹部4の底部4aよりも高さが高く、外縁凸部5の頂部5aよりも高さが低い微小凸部6を有している。
すなわち、本実施態様において、粘着剤層3の、表面基材2と反対側の表面は、凹部4と外縁凸部5と微小凸部6とからなる複数の円形部と、それ以外の平坦な部分(平坦部7)とから構成されている。
ここで、「円形部の大きさ」とは、外縁が外縁凸部5によって、または外縁凸部および凹部4によって形成される円形部の最大径を意味し、例えば本実施形態のように外縁凸部5が凹部4の外縁の全体にわたって形成されている場合には、該外縁凸部5の外縁と平坦部7との交点によって形成される環8の最大径である。また、後述する第2実施形態のように外縁凸部5が凹部の外縁の一部に形成されている場合には、外縁凸部5の外縁と、外縁凸部5が形成されていない部分の凹部4の外縁とによって形成される環の最大径である。
また、粘着剤層3における各円形部の間隔、すなわち各円形部の外縁間の最小距離は、本発明の効果のためには、200〜600μmが好ましく、300〜500μmがより好ましい。
また、粘着剤層3における各円形部の個数は、5個/cm2以上が好ましく、5〜10000個/cm2がより好ましい。
ここで、「外縁凸部5の高さ」とは、外縁凸部5の頂部5aから、平坦部7により構成される平面に下ろした垂線の長さ、すなわち図2におけるy−z間の長さを意味する。
なお、本実施形態においては、外縁凸部5として、全体の高さが均一な円環状のものを示しているが、本発明はこれに限定されず、例えば外縁凸部5の頂部5aの高さが部分的に異なっていてもよく、また、後述する第2の実施形態のように、環状でなくてもよい。その場合、「外縁凸部5の高さ」は、外縁凸部5の最大の高さを意味する。
本実施形態は、外縁凸部15が、環状の凹部4の外縁の一部に隣接した三日月状の形状である点で上記第1実施形態と異なっている。
また、上記2つの実施形態において、凹部4として環状のものを示したが、本発明において、凹部の形状はこれに限定されず、例えば、円筒形、すり鉢形、方形、ひし形等の形状であってもよい。
上述のような表面構造を有する粘着剤層は、粘着剤およびその他の任意成分によって構成される。
[粘着剤]
本発明において、粘着剤層を構成する粘着剤としては、所望の粘着力及び貯蔵弾性率を得ることのできるものであれば、特に限定するものではなく、ゴム系、アクリル系、ビニルエーテル系等の任意の粘着剤が使用できる。これらの中でも、耐候性、透明性等に優れ、広範な用途に使用できることから、アクリル系粘着剤が好ましい。
アクリル系粘着剤としては、エマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型等があり、本発明においては、いずれの型のものも使用できる。
これらの中で、エマルジョン型アクリル系粘着剤は、安全面、品質面、コスト面から好ましく使用される。
エマルジョン型アクリル系粘着剤としては、例えば、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルの群から選択されたエステル基含有モノマーを主成分とし、これに、該エステル基含有モノマーと共重合可能な少なくとも1種のモノマーとを、乳化重合等により共重合させたコポリマーのエマルジョンが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アルキル基の炭素数が1〜12のモノアルキルマレート、ヒドロキシエチル(プロピル)モノマレート、フタル酸、イタコン酸のモノアルキルエステル等が挙げられる。
また、架橋性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシエチル、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレートのようなエポキシ基含有モノマー、ジビニルベンゼン、ジビニルシラン、ジアリルフタレート、シクロペンタジエン、メチレンビスアクリルアミド、ジアリルマレート、テトラアリルオキシエタン等の不飽和結合を2個以上有するモノマーを挙げることができる。
乳化重合において使用される乳化剤としては、例えば、オレイン酸カリウム、ラウリル酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンジアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸塩等のアニオン系界面活性剤;更にポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ブロックポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤等を例示できる。
また、乳化重合においては、重合度調整剤として、例えば、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプト酢酸などのメルカプタン類を使用しても良い。
更に、乳化分散能力を有する比較的低分子量の高分子化合物、例えば、ポリビニルアルコール、及びその変生物、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール誘導体、ポリカルボン酸共重合体の中和物、カゼイン等を単独あるいは上記の乳化剤と併用して使用できる。
その他、必要に応じて増粘剤、濡れ剤、レベリング剤、消泡剤等適宜添加してもよい。
また、溶剤型アクリル系粘着剤は、モノマー組成や適合方法で多様な性能を発現し易いという面から好ましく使用される。
溶剤型アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸共重合体およびその他の任意の成分を酢酸エチル、トルエン等の溶媒に溶解させたアクリル系粘着剤組成物である。
アクリル系粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸共重合体を主成分とするものである。
(メタ)アクリル酸共重合体としては、例えば、下記モノマー(a)を60〜99質量%を含み、更に下記モノマー(b)を0.1〜10質量%、および、下記モノマー(c)を0〜39.9質量%を有するものが挙げられる。
モノマー(a):(メタ)アクリル酸の炭素数4〜18のアルキルエステルモノマー
モノマー(b):エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマー
モノマー(c):上記(a)、(b)と共重合可能なその他のモノマー
モノマー(a)は、(メタ)アクリル酸共重合体中に60〜99質量%、好ましくは70〜98質量%含まれるとよい。因みに、60質量%に満たないと初期の接着力が低下してしまい、また99質量%を越える過剰な配合は、ラベルを貼り付けた際に、粘着剤がはみ出したり、凝集破壊の原因となる。
モノマー(b)は、(メタ)アクリル酸共重合体に0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%含まれるとよい。因みに、0.1質量%に満たない場合には、被着体への糊残りが生じ易く、また10質量%を越える過剰な配合は、経時的に剥離力が重くなるなどの問題がある。この成分は、粘着剤の付着力を付与し、官能基部分が架橋した場合には凝集力が向上する。
モノマー(c)は、使用しなくてもよいが、添加する場合は共重合体中に39.9質量%程度までの範囲で、適宜配合することができる。この成分は、粘着剤の凝集力向上に効果がある。
なお、重合時のモノマー濃度は、通常30〜70質量%、好ましくは40〜60質量%程度が適当である。
また、重合の際に使用される重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビスブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4’−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等の過酸化物、過硫酸アンモニウムと亜硫酸ソーダ、酸性亜硫酸ソーダ等との組み合せからなる、所謂レドックス系の重合開始剤等が挙げられる。上記重合開始剤の使用量は、通常重合に供するモノマー全量に対して、0.2〜2質量%、より好ましくは、0.3〜1質量%の範囲で調節される。
さらに、共重合に際して添加する連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸ノニル、チオグリコール酸−2−エチルヘキシル、β−メルカプトプロピオン酸−2−エチルヘキシル等のチオグリコール酸エステル類、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセン等を挙げることができる。特に、チオグリコール酸エステル類、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセンを使用した場合には、得られる共重合体が低臭気となり好ましい。なお、連鎖移動剤の使用量は、重合させる全モノマーの0.001〜3質量%程度の範囲で調節される。なお、重合反応は、通常40〜100℃の温度条件下、2〜8時間かけて行われる。
また、重合の際に、架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、イソシアネート系、エポキシ系、及びアルミキレート系等が挙げられるが、本発明では、表面基材と粘着剤の密着性が良好なイソシアネート系架橋剤を使用することが好ましい。表面基材と粘着剤の密着性が劣ると、糊のはみ出しによる印刷トラブルなどの問題を引き起こす。(メタ)アクリル酸共重合体とイソシアネート系架橋剤の割合は、(メタ)アクリル酸共重合体、架橋剤の種類によって異なり、一概にはいえないが、例えば(メタ)アクリル酸共重合体100質量部に対し、架橋剤0.01〜10質量部程度である。過少の場合は、粘着剤層が柔らかくなり、凸部の形成や糊のはみ出しが問題となる。また、過剰の添加は、各種被着体に対する接着力や密着性が劣るおそれがある。
本発明の粘着シートを再剥離性粘着シートとする場合、粘着剤として、再剥離性粘着剤を用いることが好ましい。
再剥離性粘着剤としては、ベース粘着剤であるアクリル酸エステル系共重合体の架橋剤として、内部架橋を有しかつ反応性の官能基を有するミクロゲルやカルボジイミド等を含有するものが、表面基材との密着性や再剥離性の点で好ましい。
ベース粘着剤としては、反応性の官能基を有するアクリル酸エステル系共重合体のエマルジョンが用いられ、反応性の官能基としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシメチル基、メチロール基およびエポキシ基等が挙げられる。即ちアクリル酸エステル系共重合体のエマルジョンとしては、(メタ)アクリル酸エステル単量体と、α,β−不飽和カルボン酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシ(メタ)アクリル アミド、メチロール(メタ)アクリル アミドまたはグリシジル(メタ)アクリレート等の単量体との共重合体エマルジョンが例示される。
ミクロゲルは、前記アクリル酸エステル系共重合体と反応可能な官能基を有し、例えば、エポキシ基、水酸基、又はカルボキシル基等を有するものが好ましい。中でもエポキシ基を有するミクロゲルが好ましい。これにより、相対するベース粘着剤には一般にカルボキシル基やヒドロキシル基などの官能基が導入されており、これらのベース粘着剤と良好な架橋反応性を示す。
また、ミクロゲルの樹脂組成については、特に限定されることはなく、例えば、アクリル系、スチレン系、アクリル−スチレン系、エチレン−酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニル−アクリル系、スチレン−ブタジエン(SBR)系等の熱可塑性樹脂が挙げられ、中でもアクリル系樹脂からなるミクロゲルは、ベース粘着剤との相溶性も良好で、好ましく用いられる。
ミクロゲルの平均粒子径は、好ましくは30〜150nmの範囲であり、このようなミクロゲルとしては、例えば、荒川化学工業(株)社製のアラカワミクロゲル「ミストパール」が挙げられる。
本発明において、ミクロゲルの固形分使用量は、ベース粘着剤のアクリル酸エステル系共重合体の固形分100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。因みに1質量部未満では架橋密度が不足して、再剥離性に乏しく、また耐可塑剤性も不十分となる場合がある。一方30質量部を越えると架橋密度が高くなり過ぎ、接着性が不十分となる場合がある。
このようなカルボジイミド基を有する架橋剤の具体例としては、ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、ウレア変性カルボジイミド等を挙げることができる。
粘着剤層は、必要に応じて他の任意成分を含有してもよい。他の任意成分としては、粘着性微球体、増粘剤、pH調整剤、消泡剤、防腐防黴剤、顔料、無機充填剤、安定剤、濡れ剤、湿潤剤等を挙げることができる。
さらに、粘着剤層には、粘着力の引張り速度依存性を変えたり、オレフィン系樹脂に対する接着性を向上させるために、タッキファイヤーを含有させることもできる。タッキファイヤーとしては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、水添石油樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂等が挙げられるが、ポリオレフィンに対する接着性が良好なため、ロジン系樹脂が好ましい。ロジン系樹脂としては、ロジン、重合ロジン、水添ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル等が挙げられる。
さらに、本発明の目的を阻害しない範囲で、洗浄水に対する濡れ(なじみ)を向上させるために、界面活性剤を添加してもよい。
上述したように、本発明においては、粘着剤層が上記表面構造を有することにより、仮貼着状態では、粘着シートと被着体とを容易に再剥離することができ、一方、ローラー等を用いた圧着等により完全に貼着させる最終的な貼着処理を行った完全貼着状態では被着体から貼がれにくくなる密着性を有する。これは、仮貼着状態では被着体との接触面積が小さく、完全貼着状態では接触面積が増大するためである。
粘着シートの密着性は、貼着処理前後の被着体との接触面積、すなわち仮貼着状態および完全貼着状態における接触面積を測定することにより評価することができる。
本発明において、粘着剤層は、仮貼着状態での接触面積が、1〜65%であることが好ましく、8〜30%であることがより好ましい。
また、完全貼着状態での接触面積が65〜100%であることが好ましく、90〜100%であることがより好ましい。
上記接触面積は、光学式接触面積測定装置((株)溝尻工学工業所製マイクロポトグラフ)を用いて測定することができる。
本発明において、粘着剤層には、粘着性、粘着剤のはみ出しがない、温度および経時変化による品質変化がない、仮貼着状態での凹部および外縁凸部の形状の安定性、完全貼着状態での被着体との密着性(気泡の混入がない)等の品質が要求される。これらのうち、粘着シートの温度による品質変化、完全貼着状態での被着体との密着性、および仮貼着状態での凹部および外縁凸部の形状の安定性は、上述したような表面構造の他に、粘着剤層の貯蔵弾性率G’、すなわち硬さを調節することによっても向上させることができる。
そのため、本発明において、粘着剤層は、25℃における貯蔵弾性率G’が102〜107Paの範囲内であることが好ましい。107Paを越えると、粘着剤層が硬くなり、上述のような表面構造が形成できないおそれがある。また、粘性が乏しくなり、被着体に貼付した際に塑性変形せず、完全貼着完了後もエアーの連通隙間が残る可能性がある。一方、102Pa未満であると、粘着剤層が柔らかくなり、上記表面構造の形状安定性が悪くなってその形状が維持できなくなり、例えば仮貼着ができないおそれがある。また、流動性が高くなり、粘着剤のはみ出し等の問題が発生する可能性もある。
貯蔵弾性率G’は、より好ましくは102〜106Paの範囲である。さらに、密着性の点で、102〜105Paがより好ましい。
表面基材は、特に限定されず、例えば紙類、フィルム類等の、粘着シート分野で公知の支持体が使用できる。例えば、紙類の支持体としては、キャストコート紙、アート紙、コート紙、上質紙等が挙げられる。また、フィルム類の支持体としては、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル等の各種高分子フィルムが使用可能であり、更には蒸着紙、合成紙、布、不織布、金属ホイル等が目的や用途に応じて適宜選択される。この中でも、耐熱性の点で、ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレンが好ましい。
また、これらの支持体の片面または両面に少なくとも一層の塗工層が設けられた積層体も表面基材として使用できる。
ここで、「少なくとも一部に空隙部を有する表面基材」とは、支持体の全体または一部(例えば内部)、もしくは上記のような積層体の支持体および/または塗工層のうちの少なくとも1層が、発泡部、多孔質部等の空隙部を有するものである。このような空隙部を有する支持体としては、例えば合成紙、発泡PET、発泡PP等が挙げられる。
本発明の粘着シートは、前記粘着シート本体の粘着剤層側表面に剥離シートが積層されていてもよい。
剥離シートとしては、一般的に用いられている剥離シート、例えば剥離シート基材、あるいは剥離シート基材上に剥離剤層を設けたもの等を用いることができるが、本発明においては、前記粘着シート本体側表面に、前記凹部に対応する複数の凸部を有する剥離シートを用いることが好ましい。これは、粘着剤層の表面に上述のような表面構造を設けるためには、後述する本発明の製造方法において、このような剥離シートを用いる必要があるためである。
すなわち、凸部の大きさとしては、最大径が5〜2000μmであることが好ましく、10〜1500μmであることがより好ましい。
また、凸部の個数としては、5個/cm2以上が好ましく、5〜10000ケ/cm2がより好ましい。
また、凸部の高さとしては、粘着剤層の外縁凸部の高さ以上であればよく、例えば外縁凸部の高さ+0〜50μmの範囲内であることが好ましい。
この剥離シート11は、一方の面11a側に、複数の環状の凸部12を有しており、該凸部の内側は、該剥離シートを貫通する貫通孔が設けられている。
剥離剤としては、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、ポリエステル樹脂等があり、エマルジョンや溶剤型または無溶剤型として使用されるが、好ましくはシリコン樹脂である。
また、剥離シート上に剥離剤を塗布する前に、剥離シート表面にコロナ放電、フレーム処理、オゾン処理等の表面処理を行なってもよい。
本発明の粘着シートは、再剥離性粘着シートとして好適なものである。すなわち、再剥離性粘着シートは、貼付してからある期間の後に被着体から容易に剥がすことができる機能を有する粘着シートである。再剥離性粘着シートは、例えば、製品を製造する工程間の管理ラベルや、商品の流通過程での物流管理ラベルとして、必要な情報を印刷し、情報伝達の目的が不要となった時点でラベルを剥がす用途などに使われている。これら再剥離性粘着シートに対する要求品質は、被着体である物品への良好な接着性と、剥がすときには糊残りや基材が破断することなく容易にかつ綺麗に剥がせることの2点であるが、本発明の粘着シートは、上述したような完全貼着状態での密着性を有しながら、再剥離性をも併せ持つので、好適に用いられる。
本発明の粘着シートの製造方法は、表面基材の一方の面側に粘着剤層を形成して粘着シート本体を得る工程(以下、工程(A)ということがある)を有する方法、すなわち、表面基材上に粘着剤層を直接形成する直接塗工法を用いる製造方法である。
本発明の粘着シートの製造方法は、さらに、工程(A)で得られる粘着シート本体の粘着剤層側の面と剥離シートとを貼り合わせる工程(以下、工程(B)ということがある)を有しており、この工程において、剥離シートとして、粘着シート本体側の表面に複数の凸部を有する剥離シートを用い、前記粘着剤層に、複数の凹部と、該凹部の外縁の少なくとも一部に隣接する外縁凸部とを形成することを特徴とする。
図5は、本発明の粘着シートの製造方法の一例を示す流れ図である。
[工程(A)]
工程(A)では、表面基材2の一方の面2a上に、上述したような粘着剤およびその他の任意成分と、水等の溶媒とを含有する塗工液を塗工、乾燥して、表面がほぼ平滑な粘着剤層3’を設ける(図5(a))。
塗工液の塗工量は、乾燥質量で10〜50g/m2程度である。塗布量が10g/m2未満では、得られる粘着シートの接着性能が不十分となるおそれがあり、一方、50g/m2を超えると粘着剤のはみ出しが発生したり、コストが高くなり好ましくない。
塗工液の塗工装置としては、特に限定されず、リバースロールコーター、ナイフコーター、バーコーター、スロットダイコーター、エアーナイフコーター、リバースグラビアコーター、バリオグラビアコーター、カーテンコーター等公知の塗工機が使用できる。
工程(B)では、工程(A)で得られた粘着剤層3’と、上述したような、表面に複数の環状の凸部12を有する剥離シート11とを貼り合わせる(図5(b))。
これにより、粘着剤層3’の一部が凸部12により押しのけられ、複数の環状の凹部4が形成されると同時に、押しのけられた粘着剤層3’の一部が盛り上がり、外縁凸部5を形成する。これにより、複数の凹部4と、該凹部4の外縁の少なくとも一部に隣接する外縁凸部5とを有する粘着剤層3が形成される(図5(c))。
このとき、剥離シート11の凸部12が、内側に貫通孔が形成された環状であるため、凹部4は環状となり、その内側には微小凸部6が形成される。
このようにして、表面基材2と粘着剤層3とからなる粘着シート本体1に剥離シート11が積層された粘着シートが得られる。
NIP方式を用いる場合は、ゴムロールとしては耐熱性のあるものが良く、NIP圧としては5〜50N/cm程度が望ましい。
一方、シートの片側から圧力をかけていくと、凹部の外縁の一部(進行方向に対して後方)に外縁凸部を形成でき、例えば第2実施形態に示した三日月状の外縁凸部が形成できる。
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(王子製紙(株)製、商品名:PY―102#60厚さ60μm)を熱針穿孔処理し、その片面にシリコーン処理を施し剥離シートとした。この時、孔径は400μm、孔数は180ヶ/cm2であった。
次に、表面基材として厚さ60μmの合成紙((株)ユポ・コーポレーション製、商品名:ユポSGS60)に、表1に示すアクリルモノマー比(モル比)を有するアクリル酸エステル系の粘着剤を用い、該表面基材上に、乾燥後の塗工量が30g/m2となるようにコンマコーターで直接法により塗工・乾燥して、表1に示す貯蔵弾性率の粘着剤層を形成した。この粘着剤層に、剥離シートを、ニップ方式で、約20N/cmで貼合せて粘着シートを得た。
実施例1〜5で得られた粘着シートの粘着剤層の表面には、環状の凹部と、該凹部の外縁の一部に隣接する三日月状の外縁凸部が形成されていた。
表面基材として厚さ110μmの合成紙((株)ユポ・コーポレーション製、商品名:ユポSGS110)を使用した以外は実施例1〜5と同様にして粘着シートを得た。
実施例6〜10で得られた粘着シートの粘着剤層の表面には、環状の凹部と、該凹部の外縁の一部に隣接する三日月状の外縁凸部が形成されていた。
表面基材として肉厚50μmのPETフィルム(三菱化学ポリエステル(株)製、商品名:ダイヤホイルS100−50)を使用した以外は実施例1〜5と同様にして粘着シートを得た。
実施例11〜15で得られた粘着シートの粘着剤層の表面には、環状の凹部と、該凹部の外縁の一部に隣接する三日月状の外縁凸部が形成されていた。
粘着剤層に、剥離シートを、ニップ方式で、約40N/cmで貼り合わせて粘着シートを得た以外は実施例1〜5と同様にして粘着シートを得た。
得られた粘着シートの粘着剤層の表面には、環状の凹部と、該凹部の外縁に隣接する環状の外縁凸部が形成されていた。
粘着剤(東洋インキ製、商品名:BPS−3841)を用いた以外は実施例1〜5と同様にして粘着シートを得た。
得られた粘着シートの粘着剤層の表面には、環状の凹部と、該凹部の外縁の一部に隣接する三日月状の外縁凸部が形成されていた。
実施例17で得られた粘着シートは、後述する[被着体接触面積]の評価において、圧着前の接触面積が10%、圧着後の接触面積が94%であり、また、エアー抜き性、外観等にも優れていた。さらに、再剥離性粘着シートとしても好適であった。
まず、坪量110g/m2の上質紙にポリエチレンを30μm厚さにラミネートし、さらに平面視正方形状の小凹部をエンボスロールにより形成して剥離紙を作製した。小凹部は、縦横に1mm間隔毎に配設し、開口部内径を0.3mmとし、かつ、深さを20μmに設定した。
上記剥離紙のラミネート面(剥離処理面)にシリコーン樹脂を塗布し、この面に粘着剤(東洋インキ製、商品名:BPS−5160)を30g/m2塗布・乾燥して粘着剤層を形成した。
次いで、この粘着剤層に厚さ50μmのPETフィルムからなる表面基材を転写法により貼り合わせて、粘着シートを作製した。
なお、表1〜3中、BA:AA:MAは、アクリル酸ブチル:アクリル酸:アクリル酸メチルを表す。
[エアー抜け性]
高平滑なガラス板に、10cm×10cm角の粘着シートの剥離シートを剥がし、粘着シート本体を、該粘着シート本体の中央部にエアーが残るように軽く貼り付けた後、このエアーを押し出すように手で圧着した際のエアー抜けの状態を目視で以下のように評価した。
○:エアーが残っていなかった。
△:エアーがわずかに残っていたがフクレは見られなかった。
×:エアーが残ってフクレになった。
[被着体接触面積]
被着体(硬質ガラス)への加圧前後の接触面積は、光学式接触面積測定装置((株)溝尻工学工業所製 、商品名:マイクロポトグラフ)を用いて、粘着剤層と被着体との接触面積を以下の条件にて測定することにより、仮貼着状態および完全貼着状態における密着性を評価した。
サンプル寸法:3cm×3cm
仮貼着状態での接触面積:錘にて50gの荷重を30分かけて圧着した時の接触面積率
完全貼着状態での接触面積:錘にて2kgの荷重を1時間かけて圧着した時の接触面積率
[外観]
恩田製作所製シール印刷機OPM−W150−3Sを用い、使用インクとしてT&K TOKA製BESTCURE UV161墨を使用して印刷を行い、目視にて、粘着シート表面の平滑性(外観)を、以下のように評価した。
◎:印刷部に、剥離シートの凸部に由来する凹凸が全く見えない。
○:印刷部に、剥離シートの凸部に由来する凹凸がほとんど見えない。
△:印刷部に、剥離シートの凸部に由来する凹凸がわずかに見える。
×:印刷部に、剥離シートの凸部に由来する凹凸が見える。
Claims (10)
- 表面基材および該表面基材の一方の面側に積層された粘着剤層を備える粘着シート本体を有する粘着シートであって、
前記粘着剤層が、複数の凹部と、該凹部の外縁の少なくとも一部に隣接する外縁凸部とを有することを特徴とする粘着シート。 - 前記凹部が環状である請求項1記載の粘着シート。
- 前記凹部の内側に、前記外縁凸部よりも高さが低い微小凸部を有する請求項2記載の粘着シート。
- 前記外縁凸部が環状または三日月状である請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率が102〜107Paの範囲内である請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記粘着シート本体の粘着剤層側表面に剥離シートが積層されており、該剥離シートが、前記粘着シート本体側表面に、前記凹部に対応する複数の凸部を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記剥離シートの前記凸部が環状であり、その内側に貫通孔が設けられている請求項6記載の粘着シート。
- 前記表面基材が、少なくとも一部に空隙部を有するものである請求項1〜7のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 再剥離性粘着シートである請求項1〜8のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 表面基材の一方の面側に粘着剤層を形成して粘着シート本体を得る工程と、該粘着シート本体の粘着剤層側の面と剥離シートとを貼り合わせる工程とを有する粘着シートの製造方法であって、
前記剥離シートとして、前記粘着シート本体側の表面に複数の凸部を有する剥離シートを用い、前記粘着剤層に、複数の凹部と、該凹部の外縁の少なくとも一部に隣接する外縁凸部とを形成することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の粘着シートの製造方法。
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