JP2005288571A - 加工工具及び加工方法 - Google Patents

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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Abstract

【課題】 高硬度の被加工物に接触し摩擦させて該被加工物を加工する加工工具であって、該被加工物に欠陥や熱的変質層を形成しない、加工の条件管理が容易である、加工能率も高い等の優れた特徴を有する加工を可能とする加工工具及び加工方法を提供する。
【解決手段】 被加工物に接触し摩擦させて該被加工物を加工する加工工具であって、該被加工物との接触部が、活性酸素種を内包する12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)結晶からなることを特徴とする加工工具、及び該加工工具を用い、接触、摩擦時に、該接触部より発生する活性酸素種と被加工物を構成する原子又は分子を反応させ、該反応の生成物を除去することを特徴とする加工方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ダイヤモンドや他の高硬度材等からなる被加工物を、除去加工するために用いられる加工工具、及び該加工工具を使用する加工方法に関する。より具体的には、活性酸素種を内包する材質を使用し、該活性酸素種と被加工物を構成する原子又は分子との酸化反応を利用して、該被加工物に研削、切削、研磨等の加工を施すための加工工具、及び該加工工具を使用する加工方法に関するものである。
切削や研削等の機械加工に用いられる加工工具には、一般に、被加工物をより高い硬度が求められる。例えば、切削工具は、被加工物に対してビッカース硬度が3倍必要とされており、又研削加工においても、モース硬度が被加工物に対して高いことが必要とされている。
しかし、このような高硬度材料からなる加工工具を使用した場合、被加工物との硬度差により加工損傷が発生し、被加工物内部にクラック等の欠陥や熱的変質層が形成される。その結果、加工された表面に脆性破壊が生じて信頼性が低下する等、この加工損傷により被加工材料の特性が減退する。又被加工物が硬度差の異なる複数の材料からなる場合は、柔らかい構成材料に対してより多くのダメージを与えることになり、被加工材の品位が低下する。
そこで、加工後さらにラッピング処理を施して前記欠陥や熱的変質層を除去する必要があるが、このラッピング処理によっても欠陥や熱的変質層を形成されるという問題もあった。
このような問題を解決し、欠陥や熱的変質層を形成しない加工方法として、各種の無歪精密加工方法が提案されている。このような方法として、例えば、軟質砥粒を用いたメカノケミカル(CMP)加工及びEEM加工(弾性放散加工)が挙げられる。メカノケミカル(CMP)加工は、被加工物を軟質砥粒(コロイダルシリカ)と化学反応させて加工液で除去しようとするもので、シリコン酸化絶縁膜(SiO)の加工の場合、加工液としてはアルカリ性加工液(KOH)が使用される。
EEM加工は、被加工物との相互作用により化学結合する性質を持つ粉末粒子(例えばSiO微粒子)を水流によって被加工物の表面に輸送して、上記粉末粒子と被加工物の表面原子とを化学結合させるとともに、被加工物の表面原子とその下側の原子との結合力を減少させて、被加工物の表面原子を取り除くことにより、被加工物の表面を原子オーダで加工する手法である。
しかし、このメカノケミカル加工及びEEM加工では、液体状の加工液を必要とし、加工液の水素イオン濃度等の管理が必要であり、又EEM加工では、加工工具と被加工材料との間を一定間隔の非接触状態に常に位置制御する必要がある等、適用条件が限られ、実用的な加工は困難であった。
化学的エッチング効果を期待できる工具もしくは化学薬品により、被加工物を加工する方法も挙げられる。この方法は、半導体シリコン基板の研磨方法としてのコロイダルシリカ法として知られている。しかしこの加工方法も、加工能率が低く廃液処理の問題がある。
又、典型的な難加工材料であるダイヤモンドを加工する方法として、ダイヤモンド表面に、水素や酸素等を供給し該気体分子との反応を利用して加工する方法、あるいは高温金属との接触によって起こる固体拡散を加工原理とする方法等が知られている。例えば、特開昭62−41800号公報には、ダイヤモンドを研磨する方法として、ダイヤモンド膜の表面を非酸化性雰囲気下で加熱して黒鉛化し、その黒鉛を鋳鉄製ラップ板で除去する方法が開示されており、又ダイヤモンド面と金属体とを非酸化雰囲気中で加熱して摺動させる際に、摺動面に水素を供給して、炭素をメタン化して除去する方法等も提案されている(特開昭63−144940号公報、特開平3−40993号公報)。
しかし、これらの加工方法では、気相または固相である加工工具、材料と被加工物であるダイヤモンドとが、加工面のみならず全被加工材料全体にわたって加熱されるため、ダイヤモンドが燃焼を起こす600℃以上になることがある。この結果加工を期待する範囲、体積以上にダイヤモンドの構造が破壊されてしまう欠点があった。又不活性雰囲気での加工では、加工装置部品が1000℃以上の高温にさらされて、現実的動作を困難としていた。又、被加工ダイヤモンド全面に渡って希望する加工精度に均一に仕上げることは困難であった。
さらに他の無歪精密加工方法として、ラジカル反応を用いた加工方法が提案されている(特開平1−125829号公報、特開平6−216079号公報)。この加工方法は、被加工物を、反応ガスを含む気体雰囲気中に配置し、この被加工物の加工面近傍で前記反応ガス分子を励起させてラジカルを発生させ、このラジカルと被加工物の構成原子又は分子とをラジカル反応させて、低温で気化しうる化合物を被加工物表面上に生成し、この化合物を気化させて前記加工面上から除去することでこの面上に原子または分子レベルの空所を順次形成して最終的に被加工物に対し切断、穿孔、切削、研磨等の加工を行うものである。
このようなラジカル反応を用いた加工法は、前記欠陥や熱的変質層を形成させないため、ラッピング処理が不要となる。また、原子又は分子レベルで加工が進行するので加工面の粗さを小さくできる。この加工法は、シリコン単結晶等の半導体もしくは導体又はガラスやセラミックス等の絶縁体に対して適用されている。しかし、この加工法では、原子又は分子レベルで工具と加工面を位置制御して加工面の全面を複数回走査する必要があり、能率が低く、又加工装置が高価である、平面加工以外に適用できない等の問題もあった。
このように、従来の無歪精密加工方法には、適用条件が限られその条件管理が難しい、加工能率が低く実用的でない等の問題があり、このような問題を生じない無歪精密加工方法の開発が望まれていた。
特開昭62−41800号公報 特開昭63−144940号公報 特開平3−40993号公報 特開平1−125829号公報 特開平6−216079号公報
本発明は、被加工物に接触し摩擦させて該被加工物を加工する加工工具であって、該被加工物に欠陥や熱的変質層を形成しない、加工の条件管理が容易である、加工能率も高い等の優れた特徴を有する加工を可能とする加工工具を提供することをその課題とする。又、本発明の課題は、欠陥や熱的変質層を形成せずラッピング処理等の後処理を必要としない無歪精密加工方法であって、条件管理が容易で、加工部以外への損傷もなく、かつ加工能率が高い加工方法を提供することにもある。
本発明者は、検討の結果、該被加工物との接触部が、活性酸素種を内包する12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)結晶からなる加工工具を用いることにより、前記の課題が達成できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、請求項1として、被加工物に接触し摩擦させて該被加工物を加工する加工工具であって、該被加工物との接触部が、活性酸素種を内包する12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)結晶からなることを特徴とする加工工具を提供する。
本発明の加工工具は、加工の際に、被加工物に接触し摩擦されるが、直接接触され、摩擦されることにより、活性酸素種を内包する12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)結晶から、反応性が高い活性酸素種が順次連続的に取り出され、被加工物との接触部に、活性酸素種の雰囲気が作られ、酸化反応を起こす環境が作られる。その結果、被加工物を構成する材料と活性酸素種との酸化反応が確実、有効に引起こされ、この酸化反応の結果、被加工物の表面の原子間又は分子間の結合力が低下する。結合力が低下した結果、被加工物の表面の原子又は分子は、加工工具の摺動による被加工物との摩擦(相対運動)等によって容易に除去することができる。
又被加工物がダイヤモンドのような炭素材料からなる場合、酸化物は気体となるため、被加工材の酸化物が気化蒸散して、前記加工面上から除去される。このようにして加工面上に原子または分子レベルの空所を順次形成して最終的に被加工物に対し切断、穿孔、切削、研磨等の加工が行われる。
すなわち、本発明の加工工具は、活性酸素種を発生し、該活性酸素種と被加工物を構成する材料との反応により、被加工物の表面の原子間又は分子間の結合力を低下させて、除去加工の能率を向上させることができるものである。そして反応生成物の気化蒸散により、又は被加工物と工具との摺動摩擦等の機械的除去加工により、被加工物の表面は均質、鏡面、高精度に加工される。
活性酸素種とは、酸素の分子やイオンであって高い反応性を有するものであるが、この活性酸素種としては、O、O 、O 及びO 2−よりなる群から選ばれるイオンを主成分とするものが、ダイヤモンド等の高硬度材料と高い反応性を有し好ましい。請求項2は、この好ましい態様に該当し、前記の加工工具であって、活性酸素種が、O、O 、O 及びO 2−よりなる群から選ばれるイオンを主成分とすることを特徴とする加工工具を提供するものである。
特に、Oが高い反応性を有し好ましい。請求項3は、この特に好ましい態様に該当し、前記の加工工具であって、活性酸素種がOを主成分とすることを特徴とする加工工具を提供するものである。
などは、活性度の高い化学種として知られており、メタンのメタノール化や殺菌、脱臭など多くの工学的応用がされている。しかしこの酸素陰イオンを多量に蓄積し、イオンの状態での取り出し、必要とする反応が完了するまでイオンの寿命を保つことは、従来は困難と考えられていた。本発明者は、検討の結果、この酸素陰イオンを多量に蓄積し、イオンの状態で容易に取り出すことができ、必要とする反応が完了するまで該イオンの寿命を保つことができる材質を見出し、本発明に至ったものである。
12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)結晶は、2分子を含む単位胞にある66個の酸素のうち2個を、結晶中に存在するケージ内の空間にフリー酸素として包接している。乾燥酸素雰囲気中でアニールすると、このフリー酸素は、活性酸素種として知られているマイナス1価の酸素(O)とマイナス1価の酸素分子(O )に変換され、その結果、多量の活性酸素種、特にOとO イオン等を安定的に内包できる。OとOはさらに反応して、O およびO となるために、直径数Åのケージ構造を有する結晶内において、ケージ内部にO 、O 、O 2−、O等のアニオンが内包されていることが測定されている。そして、この活性酸素種を被加工材料と機械的に接触、衝突させて結晶構造を破壊させた時、又は加熱した時に、この活性酸素種を大気中に取り出すことが出来る。
活性酸素種を内包する12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)結晶としては、好ましくは、活性酸素種を1019/cmを越える量内包するものが用いられる。請求項4は、この好ましい態様に該当し、前記の加工工具であって、活性酸素種を内包する12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)結晶が、活性酸素種を1019/cmを越える量内包することを特徴とする加工工具を提供するものである。
活性酸素種を内包する12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)結晶には、12CaO・7Al結晶、12SrO・7Al結晶およびそれらの混晶が含まれる。これらの結晶は、カルシウムを含有する原料とアルミニウム又はストロンチウムを含有する原料とを、カルシウムとアルミニウム又はストロンチウムの原子当量比が概略12:14となるように混合し、下記のように、雰囲気と温度を制御した条件下で固相反応することにより得られる。カルシウムを含有する原料としては、炭酸カルシウム等が挙げられる。アルミニウムを含有する原料としては、アルミナ、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
特に、活性酸素種が1019/cmを越える量内包する12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)結晶は、カルシウムとアルミニウム又はストロンチウムの原子当量比が概略12:14となるように混合した原料を空気中などで焼成して得られた12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)を、乾燥酸素雰囲気中で、1000℃を越え1415℃未満の温度域で焼成し、該雰囲気中で室温まで徐冷する方法により、製造することができる。請求項5は、請求項4の加工工具であって、活性酸素種を1019/cmを越える量内包する12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)結晶が、この製法により製造されることを特徴とする加工工具を提供するものである。
本発明の加工工具は、研削用工具、切削用工具、超音波加工用工具、電解加工用工具、粉体噴射用工具、研磨用粉末、研磨用液状混合体(加工用セラミックスの粉体をマイクロカプセルの中に閉じこめたもの)、総型工具(被加工物の加工仕上がり形状に予め成形した工具)等として用いられる。すなわち、本発明の加工工具には、粉末状、液状のものも含まれる。研削用工具、切削用工具等は、例えば、前記の活性酸素種を発生する材料を刃先形状に加工し、工具先端に設置することにより得ることができる。粉末状の工具としては、例えば、活性酸素種を発生する材料の微粉末をそのまま用いることができる。液状の工具としては、例えば、活性酸素種を発生する材料の微粉末を、マイクロカプセルの中に閉じこめ、該マイクロカプセルを分散媒中に分散させたものや、活性酸素種を発生する材料をコートした粉末を分散媒中に分散させたもの等が挙げられる。本発明の加工工具は、難加工材料であるダイヤモンドの加工の他、高硬度であるcBNを含む複合材料、高融点のタングステン、高硬度の炭化タングステン、硬化させた炭化鉄等の加工に適用される。その他の、酸化させる事が可能である高硬度な窒化物、炭化物、硼化物、硫化物、塩化物の加工にも適用でき、さらに、白金や金等の難酸化金属を酸化させ、脆化させて除去加工する方法への適用も考えられる。
本発明は、さらに請求項6として、加工工具を、被加工物に接触し摩擦させて該被加工物を加工する加工方法であって、該加工工具の被加工物に接触する部分が、活性酸素種を内包する12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)結晶からなり、接触、摩擦時に、該接触部より発生する活性酸素種と、被加工物を構成する原子又は分子を反応させ、該反応物を除去することを特徴とする加工方法を提供する。
すなわち、前記の本発明の加工工具を被加工物に接触し摩擦させることを特徴とする加工方法である。この加工方法に用いられる活性酸素種については、前記の加工工具についての説明と同じである。
この加工方法においては、加工工具から発生する活性酸素種と、被加工物を構成する材料との酸化反応により、被加工物の表面の原子間又は分子間の結合力を低下させて除去加工の能率が向上されるが、特に被加工物がダイヤモンドのような炭素材料からなる場合は、被加工材の酸化物が気化蒸散して、前記加工面上から容易に除去される。
請求項7は、この態様に該当し、前記の加工方法であって、酸化反応物が気化されて除去されることを特徴とする加工方法を提供するものである。気化されて除去される被加工物として、具体的には、ダイヤモンド、ダイヤモンド焼結体、ダイヤモンド混合体を含む類似の材料、又はグラファイトを含む材料等が挙げられる。他に窒化物、炭化物、硫化物などが含まれている場合も、酸化物が気化され除去されることで、これらも容易に除去される。
被加工物と加工工具の接触、摩擦時においては、接触部及びその周囲を、加熱や発熱等により昇温すると、工具からの活性酸素種の放出が促進され、酸化反応が促進されるので好ましい。請求項8は、この態様に該当し、前記の加工方法であって、被加工物と加工工具の接触、摩擦時に、接触部及びその周囲を昇温することを特徴とする加工方法を提供するものである。
除去加工の促進のためには、昇温後の温度は高い方が好ましいが、一方、接触部及びその周囲の温度が高すぎると、被加工物の材料表面に、その表面に留まらない酸化物の厚い層が生成することがある。一般に酸化物は、窒化物、炭化物、硼化物や純金属より柔らかく結合力が弱いことが多いので、このような酸化物の生成は、被加工物の特性を低下させることが多い。そこで、昇温後の温度は1350℃以下であり、好ましくは、600℃以下の範囲である。
本発明の加工方法において、加工工具と被加工物を摩擦する速度(相対速度)は、通常20m/分以上が採用され、100〜500m/分の範囲が好ましい。20m/分未満の場合は、摩擦力や発熱が小さすぎて、活性酸素種を内包する材質からの活性酸素種の発生が困難になる。なお、500m/分を越えると、加工工具の材質を破壊する場合がある。ただし、噴射型工具の場合での相対速度に関しては、粉体の噴射速度が500m/分を超えて8000m/分まで良好に適用できる。この範囲では、微粉末が被加工材料に衝突して結晶構造が破壊されるので、噴射型工具の場合については、好ましい。
又、被加工物の切り込みは、通常5μm以下が採用され、0.01〜1.0μmの範囲が好ましい。5μmを越えると、被加工物の粒界破壊が増大するとともに、活性酸素種を内包する材質の工具からの脱落が起こりやすくなる。
加工工具の送りは、通常5μm/rev以下であり、0.01〜1.0μm/revの範囲が好ましい。5μm/revを越えると、工具と被加工物の接触が断続的になりやすく、安定的な接触ができない。
加工工具を被加工物に接触するときの圧力は、通常5GPa以下であり、0〜1.0GPaの範囲が好ましい。5GPaを越えると、加工工具の材質の破壊が起こりやすくなる。
本発明の加工方法においては、目的とする酸化反応を阻害する化学反応を引き起こす雰囲気ガスや微粒子を排除するため、被加工物と加工工具の接触、摩擦時に、接触部及びその周囲の水分及びOHイオンを除去すること又は接触部及びその周囲に、乾燥酸素ガス、乾燥炭酸ガス若しくは乾燥不活性ガスを供給すること、が好ましい。請求項9及び請求項10は、それぞれこの好ましい態様に該当する。
すなわち、請求項9は、前記の加工方法であって、被加工物と加工工具の接触、摩擦時に、接触部及びその周囲の水分及びOHイオンを除去することを特徴とする加工方法を提供するものであり、又請求項10は、前記の加工方法であって、被加工物と加工工具の接触、摩擦時に、接触部及びその周囲に、乾燥酸素ガス、乾燥炭酸ガス又は乾燥不活性ガスを供給することを特徴とする加工方法を提供するものである。従って、本発明の加工方法を実施する装置としては、乾燥酸素ガス、乾燥炭酸ガス又は乾燥不活性ガスの供給装置や水分及びOHイオンを除去する除湿装置を有することが好ましい。なお、不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素が例示される。
本発明の加工工具を用いることにより、又本発明の加工方法により、被加工物に欠陥や熱的変質層を形成せず、容易に、高い加工能率で被加工物の加工を行うことができる。特に、ダイヤモンドや他の高硬度材料の加工に好ましく適用される。本発明によれば、欠陥や熱的変質層の形成がないのでラッピング処理等の後処理を必要としない。
本発明のより具体的な効果としては、次の効果が例示される。
1)ダイヤモンド(111)面を容易に加工できる。
従来、ダイヤモンドは共摺り加工による加工方法のため、もっとも硬い結晶面は加工困難であった。このダイヤモンド(111)面の加工を結晶方位依存性がない本発明の加工工具、加工方法で容易に加工することができる。
2)硬度の異なる複合材料の加工に適する。
硬度差の大きい複数の材料が複合して構成された焼結材料、例えばcBN焼結体、銅タングステン材料、超硬、高速度鋼などは、硬度差による被加工量の違いから生じる凹凸を発生させること無く加工できる。
3)自動加工が可能である。
本発明は活性酸素種による酸化反応を利用するので、被加工物の硬度差や結晶方位による研磨能率の異方性が無い。そのため、硬度の異なる複数の材料が複合して構成された被加工物を加工する場合や結晶方位により硬度差が著しく異なる場合でも、加工を自動化することが容易である。例えば、被加工物の加工前の形状と目的とする形状のそれぞれを座標データで表し、このデータから求まる座標差に応じて加工時間を制御して自動制御する方法を容易に実施することができる。又環境に依存することなく除去加工が安定して進行するため、長時間の複雑形状の加工が自動化でき、修正加工も容易である。しかも、被加工物に対する形状誤差が0.001μm程度とすることが可能である。
4)排出される被加工物等の除去が容易である。
排出される被加工物と工具材料は乾式粉末であり、有害な廃棄物やアルカリ性廃液を含まないため、廃棄物処理が容易である。
5)エッチング等には、反応性のある有毒なガスが用いられるが、本発明では、このような有毒で反応性のある特殊反応ガスを含む雰囲気気体を使わない。
次に、本発明を実施するための最良の形態を、実施例により説明する。先ず、12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)結晶の1種である12CaO・7Al結晶の製造例を示す。
製造例1
炭酸カルシウムとγ−アルミナを12:7の当量混合した原料粉末を、水蒸気分圧10Pa未満、酸素分圧10Pa(1気圧)の雰囲気で、1300℃で、2時間焼成し、同じ雰囲気内で、600℃/時間の速度で室温まで徐冷した。得られた粉末は、12CaO・7AlであることをX線回折により確認した。また、得られた粉末の室温および77Kにおける電子共鳴吸収スペクトルおよび室温でのラマン散乱スペクトルを測定した。これらのスペクトルから、該粉末中には、5×1019/cmのO イオンと4×1019/cmのOが含まれていると定量された。
比較製造例1
炭酸カルシウムとγ−アルミナを12:7の当量混合した原料粉末を、水蒸気分圧10Paを含む大気中(酸素分圧2×10Pa)雰囲気で、1300℃で、2時間焼成し、同じ雰囲気内で、600℃/時間の速度で室温まで徐冷した。得られた粉末は、12CaO・7AlであることをX線回折により確認した。また、得られた粉末の室温および77Kにおける電子共鳴吸収スペクトルおよび室温でのラマン散乱スペクトルを測定した。これらのスペクトルから、該粉末中には、1×1019/cmのO イオンが含まれていると定量されたが、Oは、検出されなかった。
製造例2
炭酸カルシウムとγ−アルミナを12:7の当量混合した原料粉末を、水蒸気分圧10Pa未満、酸素分圧10Pa(1気圧)の雰囲気で、1300℃で、2時間焼成し、同じ雰囲気内で、600℃/時間の速度で室温まで徐冷した。得られた粉末は、12CaO・7AlであることをX線回折により確認した。さらに、得られた粉末を、アルミナを粉砕媒体として乾式でボールミルにより粉砕することで、比表面積2.6m/gの粉末を得た。また、前記粉末の室温および77Kにおける電子共鳴吸収スペクトルおよび室温でのラマン散乱スペクトルを測定した。これらのスペクトルから、該粉末中には、4×1019/cmのO イオンと3×1019/cmのOが含まれていると定量された。
比較製造例2
炭酸カルシウムとγ−アルミナを12:7の当量混合した原料粉末を、水蒸気分圧10Paを含む大気中(酸素分圧2×10Pa)雰囲気で、1300℃で、2時間焼成し、同じ雰囲気内で、600℃/時間の速度で室温まで徐冷した。得られた粉末は、12CaO・7AlであることをX線回折により確認した。さらに、得られた粉末を、アルミナを粉砕媒体として湿式でボールミルにより粉砕することで、比表面積2.6m/gの粉末を得た。また、前記粉末の室温および77Kにおける電子共鳴吸収スペクトルおよび室温でのラマン散乱スペクトルを測定した。これらのスペクトルから、該粉末中には、活性酸素種が含まれていないことがわかった。さらに、赤外光吸収スペクトルの測定から、1021/cmのOHイオンが含まれていることが定量された。すなわち、湿式粉砕の際に、活性酸素種と水が反応して、OHが生成されたことがわかった。
製造例3
製造例2で得られた粉末を成形圧力5MPaで金型成形し、相対密度55%の成形体とし、これを水蒸気分圧10Pa未満、酸素分圧10Pa(1気圧)の雰囲気で、1300℃で、2時間焼成し、同じ雰囲気内で、600℃/時間の速度で室温まで徐冷し、大きさ30mm×30mm×5mmの焼成材を得た。前記焼成材の相対密度は97%であり、気体通過性を有していなかった。焼成材を乾燥酸素雰囲気で、再び粉砕して、室温および77Kにおける電子共鳴吸収スペクトルおよび室温でのラマン散乱スペクトルを測定した。これらのスペクトルから、該粉末中には、4×1019/cmのO イオンと3×1019/cmのOが含まれていると定量された。すなわち、焼成成型過程では、活性酸素含有量は減少していないことがわかった。
製造例4
製造例2で得られた粉末を成形圧力5MPaで、外径15mmの円筒型に金型成形し、相対密度55%の成形体とし、これを水蒸気分圧10Pa未満、酸素分圧10Pa(1気圧)の雰囲気で、1300℃で、2時間焼成し、同じ雰囲気内で、600℃/時間の速度で室温まで徐冷し、外形11mmの円筒焼成材を得た。前記焼成材の相対密度は97%であり、気体通過性を有していなかった。
比較製造例3
比較製造例2で得られた粉末を成形圧力5MPaで、外径15mmの円筒型に金型成形し、相対密度55%の成形体とし、これを水蒸気分圧10Paを含む大気中(酸素分圧2×10Pa)雰囲気で、1300℃で、2時間焼成し、同じ雰囲気内で、600℃/時間の速度で室温まで徐冷し、外径11mmの円筒焼成材を得た。前記焼成材の相対密度は97%であり、気体通過性を有していなかった。
製造例5
製造例2で得られた粉末を成形圧力5MPaで、20mm×20mm×2mmの直方体に金型成形し、相対密度55%の成形体とし、これを水蒸気分圧10Pa未満、酸素分圧10Pa(1気圧)の雰囲気で、1300℃で、2時間焼成し、同じ雰囲気内で、600℃/時間の速度で室温まで徐冷し、10mm×10mm×1.2mmの直方体材を得た。前記焼成材の相対密度は97%であり、気体通過性を有していなかった。
比較製造例4
比較製造例2で得られた粉末を成形圧力5MPaで、20mm×20mm×2mmの直方体に金型成形し、相対密度55%の成形体とし、これを水蒸気分圧10Paを含む大気中(酸素分圧2×10Pa)雰囲気で、1300℃で、2時間焼成し、同じ雰囲気内で、600℃/時間の速度で室温まで徐冷し、10mm×10mm×1.2mmの直方体材を得た。前記焼成材の相対密度は97%であり、気体通過性を有していなかった。
(1)加工工具(研削砥石)の製造
製造例4で得られた焼成材を、研削砥石として、外形10mmの円筒形外研砥石に整形して工具研削盤に取り付けた。工具研削盤は、回転軸をエアスピンドルとして砥石の外径回転偏芯量を0.1μm以下とした。
(2)平面研削の実施
被削材として合成ダイヤモンド単結晶(4mm×4mm、厚さ0.6mm)を使い、このダイヤモンドの表面を1軸方向で走査して平面研削した。砥石外径の回転数は4000rpmで、研削速度は、125m/分に相当する、被削材である合成ダイヤモンド板は、送り速度2.5mm/分で一方向に送った、切り込みは0.7ミクロン/1ストロークとして135回、合計95ミクロンを切り込んだ、このとき合成単結晶ダイヤモンドには2.4ミクロンの深さで、均一で平坦な鏡面の溝を加工することが出来た。この結果により、本発明により、ダイヤモンドを使用しないでダイヤモンドの鏡面加工が容易に行えることが確認された。
比較例1
比較検討のために、実施例1と同じ加工条件で、比較製造例3で得られた焼成材を砥石材料として加工を行ったとき、合成ダイヤモンド単結晶は全く加工できなかった。
製造例4で得られた焼成材を、切断工具としてソーブレードに整形して使用し、合成単結晶ダイヤモンドを切断加工した。直径3mmの合成ダイヤモンド原石をダイヤモンド切断機に固定して、通常のダイヤモンド切断機では研磨切断が全く進まない(111)方向面を切断方向とした。製造例4の結晶を使用したソーブレードは、刃幅1mmで直径10mmである。回転数は9600rpmとした、このときの砥石外径の速度は301m/分で、りん青銅盤を使ったダイヤモンド切断機の標準条件である。りん青銅盤を使ったダイヤモンド切断機の場合は、ソーブレードを、支点を介してバランスを取り殆ど荷重をかけないようにするが、本実施例においても同様にした。この切断条件で、55分で切断を完了した。酸素陰イオンを含有する製造例4の結晶による切断は、被削材の硬度差に依存しない加工方法であることが示されている。
比較例2
比較のため標準条件のダイヤモンド切断用ソーブレード(りん青銅製)を用い同じ条件で切断テストをしたが、研磨方向を(111)面としたため、全く切断できなかった。通常の切断方法である(110)方向で合成ダイヤモンド原石を切断した場合は平均で18時間かかる。
製造例5で得られた焼成材を切削工具として、ダイヤモンド単結晶の、最も加工が困難とされる(110)面結晶の<110>結晶方位を、鏡面切削した結果を、表面状態の粗さが測定できるレーザー干渉顕微鏡で測定した例で示す。この切削では、ダイヤモンド単結晶をフライカット回転切削精密旋盤のインデックステーブルに取り付けて切削加工した。インデックステーブルは、被加工材料の切削方向を決めた後回転させず、固定状態で使用した。ダイヤモンド板は、2.5×2.5×0.5mmの(110)結晶面を表面にして<110>方向から切削するように固定した。このダイヤモンド板は、アルミニウム製の円筒シャンクに熱硬化エポキシ樹脂で接着固定した。フライカットバイト工具取り付け位置には、製造例5で示した10mm×10mm×1.2mmの焼成材を、バイトホルダーにセットしてフライカット切削に適用した。刃物工具台の微小送り、微小切り込みでフライカットして鏡面加工をした。ダイヤモンド単結晶のコーナーエッジが断続切削状態になり、エッジに衝撃荷重が断続して付加されるが、この加工方法でダイヤモンドのコーナーに欠けは発生しなかった。合計加工時間は4時間で150パスの加工をした。切り込みは0.5μm、切削速度は500m/分であった。この切削加工の結果、通常のダイヤモンド研磨によっては研磨が極めて困難であったダイヤモンド単結晶(110)面の<110>方向が良好に切削された。切削されたダイヤモンドの表面をレーザー干渉顕微鏡で測定した結果、He−Ne光源で1/10λ以下に仕上がっていることを確認した。
比較例3
比較製造例4で得られた焼成材を、製造例5で得られた焼成材の代りに用いた以外は、実施例3と同条件で切削を行ったが、切削後のダイヤモンドのコーナーが欠けて荒れており、切削はされなかった。
直径75mmで厚さ1mmのシリコン基板の上に、フィラメント法CVD(気相合成)ダイヤモンド合成方法で、200ミクロンの厚さに多結晶ダイヤモンドを成長させた円盤を研磨加工した。使用した研磨盤は、製造例2で合成した焼成材を用い製造例4と同様の製造方法で製作した。製作した円盤状の研磨材は、外径400mmで、セラミックス部分の幅は100mmの同心円状である。この円盤状の研磨材を、アルミニウム製の研磨ベースホイールに、合成ゴム接着剤で接着して研磨ホイールとした。製作した研磨ホイールは平坦度を調整する為に、研磨装置に取り付けて、アルミナ単結晶の400メッシュの粗い粒子を使ったカップ砥石で、ドライでドレッシング、ツルーイングをした。ドレッシングされた研磨材は吸引して除去した。平坦度を調整した研磨ホイールを200rpmで回転して研磨に使用した。CVDダイヤは、研磨定盤にゴム板を介して接着して上記研磨盤の上に乗せて、100rpmで強制回転した。この研磨で、ほぼ3インチ全面が鏡面に研磨できた。研磨によって除去された厚さは、22ミクロンである。この研磨方法で製作されたCVDダイヤの表面粗さはRzで0.1ミクロン以下であった。
表面にCVDダイヤモンドをコーティングした切削工具チップ(超硬TAチップ)のダイヤモンド膜を研磨した実施例である。
通常の工具研削盤に、ダイヤモンド砥石に変えて本発明の研磨盤を使用して実施した。CVDダイヤモンド膜は、K05グレード超硬を基材とする刃先交換型切削工具に、マイクロ波CVDダイヤモンド合成方法で50ミクロン厚さにコーティングした。このダイヤモンドをコーティングした工具のすくい面と逃げ面には、CVDダイヤモンド特有の結晶面を示す自形を現す構造が明瞭に出ていて、粗さはRzで5ミクロンであった。このダイヤモンドコーティングした超硬チップのすくい面と逃げ面を、工具加工専用の研削盤で形状加工した。取り付けた研磨砥石は、実施例4と同じ製造方法で金型成型して外径180mm、研磨材の幅10mm、研磨材の厚さは10mmの同心円状に焼結したものを使用した。この研磨材を、アルミニウム製カップ砥石ベースに紫外線硬化型アクリル接着剤で固定した。カップ砥石のツルーイングは、240メッシュのアルミナ砥石で行った。研削盤は、砥石回転数2400rpmで加工した。加工完了したTAチップのすくい面の粗さはRzで0.1ミクロンであった。
超硬材料の平面研削を、NC横軸角テ−ブル型高精度平面研削盤を用いて行った。研削砥石は、製造例4と同様の条件で得られたものを、直径180mm厚さ8mmの円筒状に成型して使用した。工作物には超硬合金(JIS B4053P20 相当)を用いた。研削液は使用せずドライとした。
砥石周速度120m/分、砥石切込み0.5μmで、工作物送り速度は、砥石周速度にあわせて32mm/分とした。研削方向に直角方向の送り量は10μmとした。研削の結果、超硬の全面を平滑な鏡面にすることが出来た。仕上げ面をWYKOの白色干渉顕微鏡で観察した結果、測定範囲は256×256μmとして、2次元粗さ測定結果から、研削方向に平行な仕上面粗さは、Rz値で約25nm、Ra値では約2.1nmであった。また,研削方向に直角な仕上面粗さは、Rz値で約27nm、Ra値では3.4nmとなっている。ラッピング面粗さに匹敵する平滑面に近い表面が得られることがわかる。
マイクロV溝研削に必要な、ダイヤモンドブレード(研削砥石)の90度刃先のツルーイングをした実施した実施例である。
45°の傾斜台を作成し,その台上に製造例4と同じ製造条件でカップツルアを製作し設置した。ダイヤモンドブレードの片面ずつツルーイングを行うことにより、90度V形ツルーイングを行った。使用したダイヤモンドブレードは、ブレード厚さ150μm、ダイヤモンドの平均粒径3μmで、レジンボンドおよび電鋳である。ツルーイング条件は、製作したツルアの回転数500rpm、ダイヤモンドブレードの回転数1000rpm、アンバランス0.01μm以下、テーブル揺動ストローク20mm、主軸送り速度0.0032mm/分、総切込み量200μm、切込み量0.1μm/passである。
ツルーイングをした結果、レジンボンド砥石及び電鋳砥石ともに、本発明のツルアを用いて製作したブレードの切り刃先の形状は、曲率Rが0.5ミクロン以下であった。ダイヤモンドの砥石粒径よりも小さい切り刃先先端曲率が得られた。成型した切刃先端部の角度は、両ブレードとも89.6度であった。ツルーイングが完了したダイヤモンドブレードの刃先曲率が、ダイヤモンド砥粒の個々の粒子径より小さいことから、ダイヤモンドとボンド材の両方が研磨されて成型されていることが確認できた。ツルーイングしたダイヤモンドブレードで、シリコンブランクに、マイクロV溝を連続して100本研削出来た。研削条件は、砥石周速1800m/分、アンバランス0.003μm、ストローク50mm主軸切込み速度0.05mm/分、切込み量0.5μm/pass、加工能率3.5mm/分であった。この切削条件のときの、シリコンブランクの研削の結果は、溝先端R1.0ミクロン以下で良好であった。
製造例4と同じ条件で、直径150mmのカップ型砥石形状に製作した研削ホイールを、NC研削盤に取り付けた。工作物にはシリコンウエハを使用し、研削加工を行った。研削液は使用しないドライ雰囲気とした。主軸回転数2000rpm、送り速度7.0μm/分、総送り量100μm、テーブル回転数20rpm、加工前のシリコンウエハのRzは1.5μmであり、20分の加工後のRzは0.17μmになった。この加工実験より、製作した砥石には研削能力があり、シリコンウエハの仕上げ面粗さを向上させることが確認できた。
製造例5と同じ製作条件でドリル工具形状を作り、窒化珪素セラミックに直径1mm、深さ3.4mmの貫通穴をあける加工を実施した。ドリルの製作は先ず、直径約0.85mmのアルミナセラミックスの円柱軸を用意して、このアルミナ焼結体の表面に、先端から5mmまでの位置に、製造例5と同じ条件で焼結後の工具直径が約1.0mmになるように型押し成型し、1350℃、乾燥酸素雰囲気で酸素置換焼結した。ドリル先端形状を角柱形状にして、切りくずの排出性をよくするために、幅約436μmの平面を、それぞれ4箇所設けた。軸に平面部を設けた工具形状で、フルート(ねじれ縦溝)加工はしていない。実験に用いた工作機械は、高周波スピンドルを装備したグラインディングセンターで、ワークは窒化珪素焼結体(2500HV)で、長さ×幅×厚さはそれぞれ14.4×6.0×3.4mmである.これをジグに取付けた。穴あけ時のスラスト力は30Nであった。
被削材である窒化珪素セラミックの構成材料の一部である窒素が、酸化して気化蒸散する為、切りくずの体積が減少して、フルートが少なくても小さい切削動力で穴あけを継続できる。又酸化された切り屑は排出性が良く、粉体として除去される。
主軸回転数は32000rpm、加工速度140m/分で穴あけして穴の直径に変化がなかった。32000rpmで穴あけを行った後の工具は、磨耗が進行しているが、加工した穴の直径は初期寸法を保っており、継続穴あけ加工が可能である。
ガラス研削に使用した装置は、切込み速度制御方式の横軸型鏡面研削盤である。研削砥石は、直径12.5mm厚さ5mmのペレット状に、製造例4と同じ条件で製作したものを、33個同心円状に整列して貼付けた外径158mmの研削ホイールを適用した。砥石ペレットは、ポリイミドワニス(焼成温度:450℃)樹脂で、ホイールに固定し外径50mmの石英ガラスを研削した。研削ホイール回転数は3470rpm、φ50mmの石英ガラスの回転数は500rpm、送り速度は0.2μm/sec(0.04μm/rev)であった。この研削条件でRa=20nmになった。
フィルム基材研磨シートを製作してステンレスを研磨した。製作した研磨シートは、製造例2と同じ条件で製作した微粉末を難結晶化ポリエステルフィルムに貼り付けて製作した。難結晶化ポリエステルフィルムは、ポリマーを共重合化させることによって、成形にともなうポリマーの結晶化を抑制する機能を持たせたPETフィルムである。ローラによる型押しで研磨材微粉末を結合材無しで塗布、固定することができた。
研磨は、この研磨シートで、ステンレス板15×15×1.5mmに対して、研磨圧力0.15MPa、研磨時間30秒で実施した。研磨シートはプラテン上に固定し、それを回転させながら揺動させることでステンレスに所定の押付圧力を付加して研磨する。この研磨で、表面粗さRa8nmを達成した。ドライ研磨シートによる良好な研磨を確かめた。
ベルト式シート研磨機(フリーベルトラップ機)を使った研磨実施例を示す。偏平に成型した断面形状のポリエステル繊維(幅約125μm)を縦、横とも約250μm間隔で編み込んだシート基材を、網目状の研磨シートのベースとして、この研磨シートベースに製造例2と同じ条件で製造した超微粉末砥粒をポリエステル樹脂接着剤で両面に塗布接着してベルト状研磨シートを製作し、研磨を実施した。出来上がった研磨シートは、約100から125μmの正方形の隙間を等間隔に有する網目構造からなり、目詰まりが無く、高能率で寿命が長い研磨シート構造とした。
ワークは黄銅(C3602)で外径50mm、長さ60mmとした。フリーベルト方式の円筒研磨機の使用条件はV=26m/分で実施した。工作物の回転周期と、工具の揺動周期の関係で研磨性能が変化するが、研磨シート送り速度10mm/分、横揺動周期5.83Hz、研磨圧力50Nの条件で、Rzが0.02μmに仕上げることが出来た。
研磨ワークとしては、3.5インチの無電解ニッケルリンめっきしたアルミニウム磁気ディスク用基板を用いた。ポリシャは、矩形断面形状の難結晶化ポリエステル繊維(幅約125μm)を縦、横とも約250μm間隔で編み込んだ布基材で、網目状のベースフィルムをウレタンフォームポリッシャーに貼り付けて使用した。この研磨シートベースに、製造例2と同じ条件で製作した超微粉末をドライで連続噴霧して乾式研磨をした。粒子径は0.1μmの超微粉末。研磨圧力は3.7kPa、研磨速度は9.0m/秒、研磨時間は870分で、仕上がりの研磨面の仕上がり粗さは、Ra=0.5nm以下であった。
サブμm以下の砥粒を高速噴射させてnmオーダーの極微小加工を行う、ナノアブレ−ジョン加工に適用した実施例である。ナノアブレージョン加工は、アブレーシブウォータジェット加工や液体ホーニングと同様で、砥粒をノズルから高速でワーク表面へ噴射し、ワークに対して加工を行う方法である。本加工法では、乾式で、乾燥炭酸ガスを使用した。1μm以下の砥粒を使用することで、ワークへの衝突エネルギーが小さく、nmオーダーの表面仕上げ加工を行うことが出来る。被加工材料としてシリコン単結晶レンズ用ブランクを使用した。加工範囲は15×15mmとした。乾燥炭酸ガスを使用した噴射圧力が4MPa、噴射速度が4550m/分の条件でナノアブレージョン加工を行なった。噴射圧力を変化させることで、加工量の制御が可能である。加工前平面度の測定結果はRzで150nmであり、加工後の平面度測定結果はRzで1/5以下の30nmにまで改善できた。

Claims (10)

  1. 被加工物に接触し摩擦させて該被加工物を加工する加工工具であって、該被加工物との接触部が、活性酸素種を内包する12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)結晶からなることを特徴とする加工工具。
  2. 活性酸素種が、O、O 、O 及びO 2−よりなる群から選ばれるイオンを主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の加工工具。
  3. 活性酸素種が、Oを主成分とすることを特徴とする請求項2に記載の加工工具。
  4. 活性酸素種を内包する12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)結晶が、活性酸素種を1019/cmを越える量内包することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の加工工具。
  5. 活性酸素種が1019/cmを越える量内包する12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)結晶は、12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)を、乾燥酸素雰囲気中で、1000℃を越え1415℃未満の温度域で焼成し、該雰囲気中で室温まで徐冷することにより製造されることを特徴とする請求項4に記載の加工工具。
  6. 加工工具を、被加工物に接触し摩擦させて該被加工物を加工する加工方法であって、該加工工具の被加工物に接触する部分が、活性酸素種を内包する12Ca(1−x)SrO・7Al(式中xは0以上1以下を表す。)結晶からなり、接触、摩擦時に、該接触部より発生する活性酸素種と、被加工物を構成する原子又は分子を反応させ、該反応物を除去することを特徴とする加工方法。
  7. 該反応物が気化されて除去されることを特徴とする請求項6に記載の加工方法。
  8. 被加工物と加工工具の接触、摩擦時に、接触部及びその周囲を昇温することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の加工方法。
  9. 被加工物と加工工具の接触、摩擦時に、接触部及びその周囲の水分及びOHイオンを除去することを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の加工方法。
  10. 被加工物と加工工具の接触、摩擦時に、接触部及びその周囲に、乾燥酸素ガス、乾燥炭酸ガス又は乾燥不活性ガスを供給することを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれかに記載の加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021100705A1 (ja) * 2019-11-20 2021-05-27 有限会社アリューズ 加工装置および加工方法

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