JP2005281146A - リポソームからなる遺伝子導入用キャリア - Google Patents

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Abstract

【課題】遺伝子を効率的に導入する。
【解決手段】マンノシルエリスリトールリピッド及びリン脂質を含み、粒径が100nm以下であるリポソーム。
【選択図】図1

Description

本発明は、リポソームからなる核酸分子送達用担体に関し、更に詳細には、高い遺伝子発現率を示す遺伝子導入ないし治療用キャリア及びその研究用試薬として有用なリポソームによる遺伝子導入技術に関する。
最近、遺伝子とリポソームとの複合体を調製し患者に投与することにより細胞内に遺伝子を導入し、生物活性物質をその場で生産させる遺伝子治療が盛んに研究されている。この際、遺伝子を導入する方法としてウイルスを用いるウイルスベクター法と、リポソームのような非ウイルス性ベクターを用いる方法がある。前者では、導入効率は高いものの、ウイルス(アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア、レトロウイルスなどのRNAウイルス)による発ガン性の危険が指摘されており問題となっている。さらに、ウイルスベクターは大量生産が困難で、また抗原性、宿主に対する毒性等が問題となっており、実用化が遅れている原因の一つとなっている。一方、後者の方法では、ウイルス感染という危険性はないものの、細胞内への遺伝子の導入効率が非常に低いという問題点がある。そこで、リポソームからなる非ウイルス性ベクターにおいては、遺伝子の細胞への導入率の向上を目指し、リポソームの構成成分の検討が行われており、主成分である中性のリン脂質以外に、正電荷を持つ脂質化合物、例えばコレステロール誘導体などを少量添加する試みも行われている(非特許文献1)。特に正電荷を有するリポソームは、遺伝子との複合体を形成する上で必要であるが、カチオン性のリポソームベクターは一般に細胞毒性が高く、また血漿タンパクとの相互作用が高いので、動物の血中での安定性も低く、さらには、血清存在下では遺伝子導入率が低くなるため、血清非存在下で処置する必要がある等、未だ満足する効果は得られていない。すなわち、ベクターとしてカチオン性リポソームを用いる遺伝子治療が知られているが(特許文献1)、リポソームとDNAの複合体の精製には、密度勾配遠心による精製が必要であり、標的化も達成されていない。そこで、インビボ(in vivo)においても高い遺伝子発現効率を示すリポソームからなる遺伝子導入用の遺伝子ベクター及びその簡便かつ迅速な調製方法の開発が望まれている。
リポソームは、リン脂質二重層の微小ベシクルで脂質二重層の数によって分類すると、複数の脂質二重層からなる多重膜リポソーム(MLV)と単一の脂質二重層からなる一枚膜リポソームに分けられる。後者は、さらに小さな一枚膜リポソーム(SUV)、大きな一枚膜リポソーム(LUV、REV)および巨大リポソーム(GUV)に分類される。一般に、それらの大きさはSUVは、直径が数100nm以下、LUV(REV)は100〜1000nm、GUVは1000nm以上である。MLVのサイズは不均一で、その直径は数百〜数千nmである。このように種々のリポソームが知られており、水溶性物質はその内側に、疎水性物質は脂質層に取り組むことができる。さらに、カチオン性脂質を含んだリポソームは遺伝子を吸着することができる。
先に、本発明者らの一人は、マンノシルエリスリトールリピッド(以下、「MEL」という)を含有したリポソーム(以下、「MELリポソーム」という)が細胞に対して高い遺伝子導入作用を有していることを見出している(特許文献2、非特許文献2)。このとき用いたリポソームは、バンガム法で調製しておりDNAとリポソーム複合体の粒子径が大きくなり、動物に注射することが困難であった。また、エタノール注入法で調製したステロールグルコシドを有するリポソームがin vivo投与で有効なことを見出している(特許文献3)。
一方、ウイルスは宿主細胞の膜表面に結合し、細胞膜と融合することによりヌクレオカプシドを細胞質内に送り込む。一般に、リポソームの場合は細胞との融合は起こりにくく、エンドサイトーシスにより取り込まれ、ライソゾームによる分解を免れた遺伝子の一部が核に取り込まれ発現すると言われている。膜融合の場合はリソゾームによる分解を受けることなく細胞内に送達される。従って、ウイルスのように膜融合能が高いリポソームが高い発現効率を示すことが期待される。MELリポソームは膜融合性を持っていることが知られており、従って高い発現効率を示しているものと思われる(非特許文献3)。
リポソームの体内動態を支配している最も大きな要因は、肝臓や脾臓に存在している貪食細胞(細網内皮系RES)による捕捉と血中でのリポソームの崩壊である。サイズの小さいリポソームほどRESに捕捉されにくく、また硬いリポソームほど血中においてHDLやアポリポ蛋白による不安定化を受けにくいため血中においても安定に存在することができる。
カチオン性リポソームは、非ウイルス性の遺伝子導入ベクターとして用いられているが、血液中で凝集するためin vivoでの使用が問題となっている。Mannosylerythritol lipid A (MEL)は酵母が作る天然系の界面活性剤で、vitroにおいて極めて高い導入効率を見出している(非特許文献4)。そこで、本研究では、これらの点を改善するためにMELを添加したリポソームの調製方法を検討し、市販品のリポソームベクターと遺伝子導入効率を比較した。
特表平10−512882 特開2003−40767 特開2002−241313 中西ら、蛋白質・核酸・酵素、44 (11), 1590-1596 (1999) 北本大、フレグランスジャーナル、5, 29-38 (2002) Y. Inohら、 バイオケミカルアンドバイオフィジカルレサーチコミュニケーション., 289, 57-61 (2001) Y. Inohら、 ジャーナルオブコントロールドリリース、94,423-431 (2004)
本発明は、リポソームからなる、in vitroおよびin vivoでの遺伝子発現効率に優れた生体高分子、特に核酸分子送達用担体とその製造方法、該担体を用いた遺伝子導入剤、遺伝子治療剤、遺伝子導入用キット等を提供することを主な目的とする。
マンノシッドリピド系糖脂質化合物であるマンノシルエリスリトールリピッド(MEL)を含有するMELリポソームが、高い遺伝子導入効果があることは公知である(特許文献2)。
このMELリポソームをエタノール注入法により調製することにより、より小さい粒径のリポソームが得られ、次いで遺伝子とインキュベーションし、遺伝子とリポソームとの複合体を調製することで、遺伝子の導入・発現効率をさらに向上できることを見出した。そして、該リポソームにカチオン性コレステロール、特にコレステリル−3β−カルボキサミドエチレン−N−ヒドロキシエチルアミン(HO−Chol)である場合には、遺伝子導入効率がさらに向上できることを見出した。
本発明は、以下の遺伝子導入剤等に関する。
1. マンノシルエリスリトールリピッドおよびリン脂質をエタノールに溶解し、エタノールを減圧除去することを特徴とするマンノシルエリスリトールリピッドを含有するリポソームの調製方法。
2. マンノシルエリスリトールリピッド、リン脂質及びカチオン性コレステロールをエタノールに溶解し、エタノールを減圧除去することを特徴とする項1に記載の方法。
3. リポソームの粒径が100nm以下である項1または2に記載の方法。
4. マンノシルエリスリトールリピッド及びリン脂質を含み、粒径が100nm以下であるリポソーム。
5. カチオン性脂質をさらに含む、項4に記載のリポソーム。
6. カチオン性脂質がコレステリル−3β−カルボキサミドエチレン−N−ヒドロキシエチルアミン(HO−Chol)である項5に記載のリポソーム。
7. 項4〜6のいずれかに記載のリポソームを含む遺伝子導入用キット。
8. 項4〜6のいずれかに記載のリポソーム及び遺伝子を含む遺伝子導入剤。
9. 項4〜6のいずれかに記載のリポソーム及び遺伝子を含む遺伝子治療剤。

以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明のリポソームにより細胞内に導入される生体高分子としては、タンパク質、ペプチドなどでもよいが、好ましくはDNAあるいはRNAあるいはその他の核酸分子であり、特に遺伝子が挙げられる。DNAあるいはRNAは、一本鎖もしくは二本鎖であってよく、また線状、環状等であってもよく、さらに1種類または2種類以上のDNAあるいはRNAを同時に用いることもできる。
本発明によって得られたMELリポソームベクターは、そのまま懸濁させるか、又は凍結乾燥若しくはスプレードライによって粉末化したものを水、生理食塩液等で再懸濁させて静脈内投与することができる。また、本発明のMELリポソームベクターは、培養細胞及び動物を用いる遺伝子導入、遺伝子発現等の研究用試薬としても使用することができる。
本発明のリポソームは、リン脂質とMELを含むが、好ましくはカチオン性脂質、特にカチオン性コレステロールをさらに含む。
MELとしては、MEL−A、MEL−B、MEL−Cの3種類が知られているが、特に好ましいものは、MEL−Aであり、化1に対応させれば、マンノースの2位、3位のR3,R4は炭素数1〜16の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖炭化水素基であり、R1、R2がアセチル基である化合物である。
Figure 2005281146
MEL−A;R1=R2=アセチル
MEL−B;R1=アセチル、R2=H
MEL−C;R1=H,R2=アセチル
(MEL−A、MEL−B及びMEL−Cに関し、R3,R4は炭素数7〜11の直鎖アルキル基である)
リン脂質としては、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)の他、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチン、リゾレシチン等の天然リン脂質、或いはこれらを定法により水素添加したもの(例えば水素添加大豆レシチン等)等が挙げられる。これらのリン脂質は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。好ましいリン脂質は、DOPEである。
カチオン性脂質としては、例えば3β[N−(N7,N’−ジメチルアミノ−エタン)−カ
ルバモイル]コレステロール(以下「DC−コレステロール」と記す。)、コレステリル−3β−カルボキサミドエチレン−N−ヒドロキシエチルアミン(HO−Chol)等のカチオン性コレステロール、ステアリルアミン、N−(α−トリメチルアンモニオアセチル)ドデシル−D−グルタメートクロリド、N−[1−(2,3−オレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、2,3−ジオレオイルオキシ−N−[2−(スペルミンカルボキシアミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアンモニウムトリフルオロアセテート等が挙げられる。中でも、DC−コレステロールとHO−Cholが好ましく、特にHO−Cholが好ましい。カチオン性脂質は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
本発明のリポソームは、リン脂質とMEL、任意成分としてカチオン性脂質(例えばカチオン性コレステロール)をエタノール中に溶解し、エタノールを蒸発させることにより調製することができる。
本発明のリポソームの粒径は、100nm以下、好ましくは20〜70nm、より好ましくは30〜60nmである。粒径が100nmを超えると、細胞への取り込み、並びに取り込み後の発現効率が低下する。
リン脂質と任意成分としてのコレステロール誘導体を用いる場合、本発明のMELリポソームの調製は、好ましくは中性脂質(DOPEなど)、カチオン性脂質(DC−コレステロールなど)及びMELを用いて調製することができる。リン脂質とカチオン性脂質のモル比は、通常モル比で10:1〜10:20、好ましくは、5:1〜1:1である。MELはリン脂質とカチオン性脂質の総量に対し、通常モル比で(リン脂質+カチオン性脂質):MEL=1000:1〜0.1:1であり、好ましくは、50:1〜1:1、さらに好ましくは5:1の混合物とするのがよい。DC−Cholは、相対的に毒性が低いカチオン性脂質である3−β−N−(N′,N′−ジメチルアミノエタン)−カルバモイルコレステロールである。
本発明の遺伝子導入剤であるリポソームは、所定量の遺伝子と混合することで、遺伝子を表面に吸着することができる。特に、本発明のリポソームがカチオン性脂質、特にDC−コレステロール或いはHO−Cholなどのコレステロール誘導体を含む場合には、効率的に遺伝子を導入することができる。
本発明のリポソームベクターを含む遺伝子導入キットは、リポソームベクター、懸濁用媒体、及び容器を含む。該キットにはさらに導入用遺伝子を含むこともできる。好ましくは、リポソームベクターは、リポソーム懸濁液又は粉末、懸濁用媒体は、水又はバッファー溶液を用いることができる。
本発明によれば、リポソームの導入効率がウイルスベクターに匹敵する程度に高く、しかも細胞毒性が少ないため、特に遺伝子の導入に有効である。
クロロホルムを用いた従来法(バンガム法)で作成したMELリポソームは粒径が200〜300nmであり、本発明のエタノール注入法で得られたリポソームはこれよりも十分小さく、全身への分布がより容易であり、in vivoでの遺伝子導入剤として特に有用である。
また、本発明のリポソームは血清存在下でDNAとの複合体を調製しても遺伝子発現効率が低下せず、血清成分の存在下で培養された細胞への遺伝子導入に好適に使用できる。
以下の実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらに何ら限定されるものではない。
MELリポソームの調製
MELリポソームはエタノール注入法により調製した。すなわち、3β[N-(N',N'-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール (DC-Chol) (シグマ社):L- ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン (DOPE) (アバンチボーラーリピッド社):マンノシルエリスッリトールリピッド(MEL)= 3/ 2/ 2 (モル比) = 10.0/ 9.2/ 8.4(mg) で各種成分を量りとり、エタノール適当量に溶解し、70℃前後の水浴中、エタノールが約2mLとなるまでロータリーエバポレーター(N-1000S. S-W型、東京理化機器株式会社)で留去した。そこへ、あらかじめ70℃前後に温めておいた水4mLを加え、軽く振り混ぜた後、残存しているエタノールをロータリーエバポレーターで留去した。これを水浴型超音波装置(W-220R、本多電子株式会社)を用い約5分間ソニケーションした後、滅菌水で4mlにメスアップし、0.1μmのフィルターを通した。得られたリポソームの粒径は約50nmであった。Modified ethanol injection法により調製したMELリポソームの平均粒子径は43.4±2.8nmであった。コントロールリポソーム(MEL未添加)の平均粒子径は156.4±2.4nmであった(表1)。リポソームの粒径の測定は、電気泳動光散乱光度計ELS−800(大塚電子)により行った。
Figure 2005281146
1,1'-ジオクタデシル-3,3,3',3'-テトラメチルインドカルボシアニンパークロレート(DiI) (LAMBDA社)標識リポソームは、DiIが総脂質量に対し0.04mol%となるように、各種脂質成分をエタノールに溶解するときに加え、上記と同様の方法でリポソームを調製した。コントロールリポソームとして、上記処方からMELのみを除いたものを用いた。
MELリポソームと遺伝子との複合体(リポプレックス)の調製
リポプレックスの作製は電荷比DC-Chol (+) / DNA (-) =3/1で行った。まず、滅菌水に溶解したルシフェラーゼ遺伝子pCMV-luc (pGL3 enhanced Plasmid) (Promega社) 1μgに対し、1.9μLのMELリポソームを十分に混合し、室温で15分間インキュべートすることにより、複合体を調製した。
血清非存在下でのin vitro遺伝子導入方法
実施例2で調製した複合体を無血清培地をDNA 2μg/無血清細胞培地mLとなるように加え混合し、培地を除去したヒト子宮頸癌由来HeLa細胞 (富山医科薬科大学医学部ウイルス学教室から供与)あるいはヒト肝癌由来Hep-G2細胞 (理化学研究所細胞開発銀行)の培養細胞に加え、1時間放置した。その後、同量の血清含有培地を加えた。HeLa細胞はMEM培地(FBS 5%)(GIBCO)、Hep-G2細胞はRPMI培地(FBS10%)(GIBCO)を用いた。
血清存在下でのin vitro遺伝子導入方法
実施例2で作成した複合体をpCMV-luc 2μg/細胞培地mLとなるように加えた血清含有培地に混合し、培地を除去した培養細胞に加え4時間放置した。その後、新しい血清含有培地に交換した。
共焦点レーザー顕微鏡によるFITC−ODNのHeLa細胞への取込観察
MELリポソームとFITC標識オリゴDNA (FITC-ODN) (30mer, ランダマイズシークエンス) (シグマ ジェノシス ジャパン)とのリポプレックス(+/- =3/1)を用いて、そのHeLa細胞内への取り込みを、共焦点レーザー顕微鏡により観察した(図2)。なお、比較対照として市販品Tfx20を用いた。FITC-ODNと各リポソームのリポプレックスを血清非存在下で添加し(DNA 2μg/mL)24時間放置した。また、その後、細胞培地を取り除き、細胞PBSで2回洗浄した後、10%ホルマリン溶液で細胞を固定した。さらに、核染色のためにpropidium iodide(PI)(VECTASHIELD) を用いて核染色を行った。これを共焦点レーザー顕微鏡(Radiance 2100, Bio Rad, CA, USA)を用いて観察した。また、DiI標識したMELリポソームも調製し、MELリポソームのHeLa細胞への取り込みも同様の方法で確認した。
図2において、緑色の蛍光がFITC-ODN、赤の蛍光がpropidium iodide (PI)を示している。図2より細胞内に、FITCの蛍光が見られるが、MELリポソーム(図2.A)の方が市販品リポソームTfx20 (図2.B)と比べ細胞全体が強く染色されていることから、MELリポソームにおいては遺伝子がHeLa細胞内へ多く取り込まれていることが確認された。
共焦点レーザー顕微鏡によるDiI標識MELリポソームのHeLa細胞内取り込み観察は、以下のように行った。
即ち、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、MELリポソームの血清非存在下24時間放置後のHeLa細胞内取り込みを観察した。図1の写真より、HeLa細胞において赤色蛍光が細胞膜内に観察されたことから、DiI標識MELリポソームが細胞膜内に融合し取り込まれていることを確認した(図1)。一方、DiI標識したコントロールリポソームにおいては膜融合は観察されなかった。
FACSによるDiI標識MELリポソームの取込測定
MELリポソームのHeLa細胞への取り込み率をFACS(FACS Calibur flow cytometer, Becton Dickinson, USA)を用いて確認した。まず、DiI標識MELリポソームを用いてFITC-ODNとのリポプレックスを調製し、血清存在下HeLa細胞に添加した。24時間放置後、トリプシン-EDTAを用いて細胞を剥離し、PBSで洗浄し、0.1%BSA, 1mM EDTAを含むPBS溶液に懸濁させた。また、コントロールはリポプレックスの添加を行っていないものをサンプルとして用いた。
DiI標識MELポソームのHeLa細胞内取り込み率を血清存在下24時間放置後測定した。図3に示すように、MELリポソームの細胞内取り込み率は92.14%と高い値を示した。
FACSによるFITC-ODNの取込測定
FITC-ODN細胞内取り込みの経時的測定においては、各リポプレックスを添加後0.5, 1, 2, 3, 4時間放置した。その後、実施例6に記したようにサンプルを調製した。また、コントロールはリポプレックスの添加を行っていないものを用いた。
FITC-ODN細胞内の経時的取り込みの結果を図4に示す。FITC-ODNの細胞内取り込み率の経時的変化はTfxが時間とともに増加したが、MELリポソームは30分後から90%以上のFITC-ODNの細胞内取り込み率を示した。
FACSによるGFP発現率の測定
MELリポソームを用いた導入遺伝子の発現率の測定においては、グリーンプロテイン遺伝子:pEGFP-C1 (Clontech社)とMELリポソームを用いてリポプレックスを調製し、血清存在下にて添加した。24時間後 GFPの発現率をFACSにより測定した。
ルシフェラーゼ活性の測定
MELリポソームを用いた導入遺伝子の活性を評価するためピッカジーン(東洋インキ株式会社)を用いて ルシフェラーゼ活性を測定した。また、対照としてコントロールリポソームとTfx20を用いた。
MELリポソームとpCMV-lucとのリポプレックス(+/- =3/1)を血清存在下でHeLa細胞へ添加し、(DNA 2μg/mL)24時間放置後に細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性をケモルミノメーター(Wallac ARVO SX 1420, Perkin Elmer Life Science, Japan)を用いて測定した。なお、細胞溶解液をタンパク定量(BCA試薬、Pierce, Rockford, IL, USA)で得た結果をもとに、ルシフェラーゼ活性をcps/mgに補正した。
HeLa細胞における血清存在下24時間後のルシフェラーゼ活性を図5に示す。
通常、リポソームベクターは血清存在下で不安定となり、遺伝子導入率が低くなるが、MELリポソームを用いた遺伝子導入においては、インビトロで10%血清存在下においても、血清不在の場合に比べてほぼ同様の遺伝子発現が認められた。すなわち、MELリポソームによるHeLa細胞における血清存在下での遺伝子発現作用において、MELリポソームはコントロールリポソームやTfx20を有意に上回るルシフェラーゼの発現量を示した(図5)。
プラスミドDNA (pDNA)の体内動態
MELリポプレックスの体内動態を調べるため、ルシフェラーゼ遺伝子:pAAV CMV-luc (横浜市立大学病院から供与)とMELリポソームとのリポプレックスをBalb/c系雌マウス 8週齢に尾静脈内投与し、24時間後の各臓器のルシフェラーゼ活性を比較した。すなわち、MELリポソームまたはコントロールリポソームとpAAV CMV-luc (50μg)とのリポプレックスを作製した。また、プラスミドDNA(pDNA)単独投与においては、pDNA 50μgをPBSで溶解しリポプレックス溶液と同量にして用いた。リポプレックスあるいはプラスミドのみ (いずれも150μL)を尾静注し、24時間後、頚椎脱臼し、肝臓、脾臓、腎臓、心臓、肺を摘出した。これら5臓器に溶解バッファー(Luciferase Cell Culture Lysis 1× Reagent, Promega)を加えホモジナイズし、遠心分離後、この上清を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。
投与24時間後の各リポプレックスによるプラスミドDNAの体内分布の測定結果を図6に示す。
マウスへの静脈内注射後の各臓器における遺伝子発現性を評価した結果、各臓器に遺伝子発現が認められた。すなわち、タンパク質(mg)(図6(a))と組織あたり(図6(b))のルシフェラーゼ活性は、腎を除くすべての臓器において、MELリポソームはコントロールリポソーム、プラスミドDNAのみよりも高い値を示した。
共焦点レーザー顕微鏡によるDiI標識MELリポソームのHeLa細胞内取り込み観察 共焦点レーザー顕微鏡によるFITC-ODNの非血清存在下24時間放置後のHeLa細胞内への取り込みの観察 FACSを用いたときのDiI標識MELポソームの血清存在下24時間放置後でのHeLa細胞内取り込み率の測定。 FITC-ODN細胞内の経時的取り込み HeLa細胞における血清存在下24時間後のルシフェラーゼ活性。 投与24時間後の各リポプレックスによるプラスミドDNAの体内分布

Claims (9)

  1. マンノシルエリスリトールリピッドおよびリン脂質をエタノールに溶解し、エタノールを減圧除去することを特徴とするマンノシルエリスリトールリピッドを含有するリポソームの調製方法。
  2. マンノシルエリスリトールリピッド、リン脂質及びカチオン性コレステロールをエタノールに溶解し、エタノールを減圧除去することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. リポソームの粒径が100nm以下である請求項1または2に記載の方法。
  4. マンノシルエリスリトールリピッド及びリン脂質を含み、粒径が100nm以下であるリポソーム。
  5. カチオン性脂質をさらに含む、請求項4に記載のリポソーム。
  6. カチオン性脂質がコレステリル−3β−カルボキサミドエチレン−N−ヒドロキシエチルアミン(HO−Chol)である請求項5に記載のリポソーム。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載のリポソームを含む遺伝子導入用キット。
  8. 請求項4〜6のいずれかに記載のリポソーム及び遺伝子を含む遺伝子導入剤。
  9. 請求項4〜6のいずれかに記載のリポソーム及び遺伝子を含む遺伝子治療剤。

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008079600A (ja) * 2006-08-29 2008-04-10 National Institute Of Advanced Industrial & Technology マンノシルエリスリトールリピッドの製造方法
JP2009154121A (ja) * 2007-12-27 2009-07-16 Toyobo Co Ltd マンノシルエリスリトールリピッドを用いたベシクル、乳化組成物及びその利用
JP2018024639A (ja) * 2016-07-27 2018-02-15 日本精化株式会社 マンノシルエリスリトールリピッドを含有する化粧料用組成物

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