JP2005256136A - 鉄系焼結合金およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】摺動特性および耐摩耗性に優れ、かつ被削性も良好な鉄系焼結合金と、その製造方法を提供することである。
【解決手段】鉄系焼結合金の遊離黒鉛量を0.3%以上として、良好な摺動特性を確保するとともに、セメンタイトの析出形態を被削性への影響が少ない島状とし、セメンタイト析出量を組織の断面積比で7〜14%とすることにより、耐摩耗性と被削性を向上させたのである。この鉄系焼結合金を製造する際には、体積比で20〜60%が浸炭性ガスで残部が不活性ガスの雰囲気ガスを使用するとともに、焼結温度を1000〜1100℃とすることにより、上記のセメンタイトの析出形態および析出量を確実に得ることができる。
【選択図】図1

Description

この発明は、摺動特性に優れた鉄系焼結合金およびその製造方法に関する。
一般に、内燃機関のバルブガイド部材等、摺動条件が厳しく、潤滑油を使用しにくい用途の摺動部品は、自己潤滑性を有する材料で製作されている。自己潤滑性を有し、多くの摺動部品の素材として使用されている材料の一つに、固体潤滑作用のある遊離黒鉛を基地中に分散させることにより摺動特性を向上させた鉄系焼結合金がある(例えば、特許文献1、2参照。)。
上記の鉄系焼結合金は、通常、摺動特性とともに耐摩耗性を向上させるために、焼結雰囲気としてブタン変成ガスや天然ガス等の浸炭性ガスを用いて、1000〜1150℃程度の温度で焼結することにより、雰囲気ガスの反応を介して浸炭を行い、硬質のセメンタイトやFe−C−P系化合物を析出させている。
しかしながら、セメンタイトの析出量が多くなると、耐摩耗性は向上するが、焼結合金全体の被削性が低下する。これは、図5および図6に示すように、セメンタイトが細長く延びて互いにつながった形態で析出するからであり、析出するセメンタイトが多くなってネットワーク状になると、被削性の低下の度合いが大きくなり、研削加工の手間やコストが大幅に増えてしまう。このため、実際には、セメンタイトの析出量は被削性を大きく低下させないレベル(組織の断面積比で4〜5%程度)に抑えられていることが多く、用途によっては耐摩耗性が必ずしも十分と言えない場合もある。
特公昭55−34858号公報 特開平6−158216号公報
この発明の課題は、摺動特性および耐摩耗性に優れ、かつ被削性も良好な鉄系焼結合金と、その製造方法を提供することである。
上記の課題を解決するため、この発明の鉄系焼結合金は、炭素を含有し、残部が鉄または鉄基合金から成る鉄系焼結合金において、基地中に重量比で0.3%以上の遊離黒鉛を分散させるとともに、組織の断面積比で7〜14%のセメンタイトを島状に析出させたのである(請求項1)。
すなわち、0.3%以上の遊離黒鉛を分散させることにより、良好な摺動特性を確保するとともに、図3および図4に示すように、セメンタイトの析出形態を被削性への影響が少ない島状とし、セメンタイト析出量を従来レベルよりも増やすことにより、耐摩耗性と被削性を向上させたのである。
ここで、セメンタイトの析出量を上記範囲としたのは、析出量を組織の断面積比で7%以上とすることで耐摩耗性が十分に得られ、14%以下とすることで、耐摩耗性を向上させるとともに被削性を悪化させない。また、遊離黒鉛量が少なくなって摺動特性が低下することを抑えられる。
上記の構成においては、重量比で、Cuを1.5〜6%、Snを0.15〜1%、Pを0.1〜0.5%それぞれ添加することにより、引張強度の向上を図ることができる(請求項2)。
ここで、各元素の添加量を上記の範囲とした理由は、次の通りである。まず、Cuは、鉄に固溶して強度を向上させるが、1.5%以上とすることで強度向上の効果が得られ、6%以下とすることで強度向上の効果が得られるとともにコストアップを抑えられる。
Snは、焼結時の昇温過程において、800〜1000℃の範囲でCuと反応して液相を発生させ、焼結を促進して強度を向上させる効果がある。Snの添加量が0.15%以上で強度向上効果が得られ、1%以下として材質が脆くなるのを抑える。
Pは、鉄に固溶して強度を向上させる効果があるが、0.1%以上で十分な効果が得られ、0.5%以下として脆くなるのを抑える。
また、請求項2の構成において、重量比で0.3〜1%のCaF2 を添加すれば、摺動特性および被削性の向上を図ることができる(請求項3)。このとき、CaF2 の添加量が0.3%以上で効果が得られ、1%以下として強度低下を抑えることができる。
一方、この発明の鉄系焼結合金の製造方法は、請求項1乃至3のいずれかに記載の鉄系焼結合金を製造する方法において、重量比でCを1.3〜3%含み、主成分がFeの粉末を混合して原料粉末を準備する工程、または重量比でCを1.3〜3%、Cuを1.5〜6%、Snを0.15〜1%、Pを0.1〜0.5%含み、主成分がFeの粉末を混合して原料粉末を準備する工程、または重量比でCを1.3〜3%、Cuを1.5〜6%、Snを0.15〜1%、Pを0.1〜0.5%、CaF2 を0.3〜1%含み、主成分がFeの粉末を混合して原料粉末を準備する工程のいずれかの原料粉末を準備する工程と、前記原料粉末を、体積比で20〜60%が浸炭性ガスで残部が不活性ガスの雰囲気ガス中で、1000〜1100℃の焼結温度で焼結する工程を有することを特徴とする(請求項4)。
すなわち、浸炭性ガスと不活性ガスとを混合した焼結雰囲気ガスを使用し、浸炭性ガスの割合を体積比で20〜60%とすることにより、セメンタイト析出量を7〜14%にコントロールしやすくするとともに、焼結温度を1000〜1100℃とすることにより、パーライトとフェライトが混在する基地にセメンタイトが島状に析出するようにしたのである。焼結温度を1000℃以上とすることで、基地がフェライト主体の組織とならず強度および耐摩耗性の低下を抑制できる。1100℃以下とすることで、セメンタイトがネットワーク状に析出して被削性が大きく低下することを抑制できる。
この発明の鉄系焼結合金は、上述したように、遊離黒鉛量を適正な範囲に設定して良好な摺動特性を確保するとともに、セメンタイトの析出形態を被削性への影響が少ない島状とし、従来よりも多量のセメンタイトを析出させることにより、耐摩耗性と被削性を向上させたものであるから、高い耐摩耗性を必要とするバルブガイド部材等の摺動部品の素材として有効に使用することができる。また、重量比で0.3〜1%のCaF2 を添加すれば、摺動特性および被削性をさらに向上させることができる。
また、この発明の鉄系焼結合金の製造方法によれば、従来よりも耐摩耗性および被削性に優れた上記の焼結合金を確実に製造することができる。
以下、この発明の実施形態について説明する。この実施形態の鉄系焼結合金(実施例1〜8)、および本発明の範囲から外れる鉄系焼結合金(比較例1〜6)でガソリンエンジン用のバルブガイドの試験材を作製し、各試験材について遊離黒鉛量およびセメンタイト量(組織の断面積比)を測定した。また、各試験材をエンジンのヘッドに組み込んで耐久試験を行い、摩耗量の測定を行った。これらの測定結果を、各実施例および比較例の組成、焼結条件と併せて表1および図1に示す。
各試験材の作製手順は、まず、通常の焼結合金部品の製造方法により原料粉末の混合および成形を行った。原料粉末としては、純鉄粉、Cu−Sn合金粉(青銅粉)、Fe−P合金粉、黒鉛粉およびCaF2 粉を使用した。これらの原料粉末に0.8wt%の潤滑剤を加えて表1に示す組成となるように混合した後、外径11.5mm×内径5mm×長さ45mmのバルブガイド素材形状の圧粉体に成形した。成形圧は、圧粉体の密度が6.4〜7.1g/cm3 の範囲に入るように調整した。圧粉体密度が6.4g/cm3 未満では強度が低くなり、7.1g/cm3 を越えると成形圧が高くなって効率的でないし、焼結時の反応が遅くなるからである。
そして、各圧粉体を、表1に示す焼結条件(雰囲気および温度)で焼結した。ここで、焼結雰囲気としては、浸炭性ガスとしてのブタン変成ガスと不活性ガスとしての窒素ガスを表1の割合で混合した雰囲気ガスを使用した。なお、浸炭性ガスには天然ガス等を、不活性ガスにはArガス等を用いてもよい。各実施例では、いずれも焼結温度を1000〜1100℃としたことにより、パーライトとフェライトが混在する基地にセメンタイトが島状に析出した組織が得られ、被削性が従来よりも良好であることが確認された。
なお、セメンタイト析出量の測定では、図2に示すように、断面組織写真上に格子状の線を描いて、格子線に重なったセメンタイト相の長さを積算し、この積算値を全格子線の長さで除することにより、簡易的に組織の断面積比を求めた。
こうして作製した試験材をバルブガイドの完成寸法まで研削加工してガソリンエンジンのヘッドに組み込み、カムシャフトをモータで100時間駆動するモータリング耐久試験を行って試験後の摩耗量を測定した。なお、相手部材であるバルブの材質は、SUH35である。
表1に示した測定結果から、各実施例の焼結合金は、いずれも遊離黒鉛量が0.3%以上で良好な摺動特性が確保されていることがわかる。また、図1にも示したように、セメンタイト析出量が組織の断面積比で7〜14%の範囲にあり、従来レベルのセメンタイトが析出している比較例1に比べて、摩耗量が1/3程度以下となっており、きわめて優れた耐摩耗性が得られている。
これに対して、各比較例では、実施例に比べて、遊離黒鉛量が少なくて摺動特性に劣るか、あるいはセメンタイト析出量が少なくて耐摩耗性に劣ることが確認された。なお、比較例4および6は、セメンタイト析出量が多くなる条件であるが、セメンタイトがネットワーク状に析出して被削性に劣ることが明らかなため、セメンタイト析出量および摩耗量の測定は実施しなかった。
セメンタイト析出量と摩耗量の関係を示すグラフ セメンタイト析出量の測定方法の説明図 本発明の焼結合金の一例の断面組織写真 図3のセメンタイト析出状態の模式図 従来の焼結合金の一例の断面組織写真 図5のセメンタイト析出状態の模式図

Claims (4)

  1. 炭素を含有し、残部が鉄または鉄基合金から成る鉄系焼結合金において、基地中に重量比で0.3%以上の遊離黒鉛を分散させるとともに、組織の断面積比で7〜14%のセメンタイトを島状に析出させたことを特徴とする鉄系焼結合金。
  2. 重量比で、Cuを1.5〜6%、Snを0.15〜1%、Pを0.1〜0.5%それぞれ添加したことを特徴とする請求項1に記載の鉄系焼結合金。
  3. 重量比で0.3〜1%のCaF2 を添加したことを特徴とする請求項2に記載の鉄系焼結合金。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の鉄系焼結合金を製造する方法において、重量比でCを1.3〜3%含み、主成分がFeの粉末を混合して原料粉末を準備する工程、または重量比でCを1.3〜3%、Cuを1.5〜6%、Snを0.15〜1%、Pを0.1〜0.5%含み、主成分がFeの粉末を混合して原料粉末を準備する工程、または重量比でCを1.3〜3%、Cuを1.5〜6%、Snを0.15〜1%、Pを0.1〜0.5%、CaF2 を0.3〜1%含み、主成分がFeの粉末を混合して原料粉末を準備する工程のいずれかの原料粉末を準備する工程と、前記原料粉末を、体積比で20〜60%が浸炭性ガスで残部が不活性ガスの雰囲気ガス中で、1000〜1100℃の焼結温度で焼結する工程を有することを特徴とする鉄系焼結合金の製造方法。
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