JP3331963B2 - 焼結バルブシートおよびその製造方法 - Google Patents
焼結バルブシートおよびその製造方法Info
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かつ相手攻撃性の少ない焼結バルブシートおよびその製
造方法に関するものである。
からなる各種機械部品を精度良く大量に生産できるよう
になり、バルブシートも焼結により製造するようになっ
てきた。焼結バルブシートの一例として、Cr:1〜3
重量%、Mo:0.5〜3重量%、Ni:0.5〜3重
量%、Co:2〜8重量%、C:0.6〜1.5重量
%、Nb:0.2〜1重量%を含有し、残りがFeおよ
び不可避不純物からなる組成並びにパーライト相および
ベーナイト相を主体とした組織からなる鉄基合金素地中
に、Cr:25〜45重量%、W:20〜30重量%、
Co:20〜30重量%、C:1〜3重量%、Si:
0.2〜2重量%、Nb:0.2〜2重量%を含有し、
残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する硬
質粒子と、Co:55〜85重量%、Cr:25〜32
重量%、Mo:7〜10重量%、Si:1.5〜3.5
重量%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からな
る組成の硬質粒子が合計で10〜25重量%が均一に分
散した組織を有する鉄基焼結合金で構成された焼結バル
ブシートが知られてい(特開平3−158445号公報
参照)。
シートは、素地中に硬質粒子を均一分散させているため
に優れた耐摩耗性を示すものの、近年、高性能化、高燃
費化、軽量化を追求して開発され実用化されている燃料
を燃焼室内に直接噴射する直噴射エンジンや空燃比を高
め希薄燃焼させるリーンバーンエンジンなどでは燃焼室
内が従来のエンジンよりも高温になり、かかる高温下で
は従来のバルブシートでは十分な耐摩耗性が得られず、
さらに相手材であるバルブを激しく摩耗させるという欠
点があった。
上述のような観点から、高温下で従来よりも耐摩耗性に
優れかつ相手材であるバルブに対する相手攻撃性の少な
い焼結バルブシートを得るべく研究を行っていたとこ
ろ、 (a)Fe粉末、C粉末およびCu−Ni合金粉末を混
合し、成形し、焼結することにより得られたCu:2
0.3〜40重量%、Ni:0.6〜14重量%、C:
1.0〜3.0重量%を含有し、残りがFeおよび不可
避不純物からなる組成、並びにFeを主成分とするFe
基合金相をCuを主成分とするCu基合金相で接合して
なる素地中に平均粒径:10μm以下の微細な遊離黒鉛
相が析出分散している組織を有する鉄基焼結合金で構成
された焼結バルブシートは、従来の焼結バルブシートよ
りも強度および耐摩耗性が優れ、かつ相手攻撃性が少な
い、 (b)この鉄基焼結合金の素地を構成する前記Feを主
成分とするFe基合金相はNi、CuおよびCを含みか
つFeを50重量%以上含むFe合金相であり、前記C
uを主成分とするCu基合金相はNi、FeおよびCを
含みかつCuを50重量%以上含むCu合金相であり、
前記Fe基合金相に含まれるNiおよびCの濃度は、前
記Cu基合金相に含まれるNiおよびCの濃度よりも大
きい、 (c)前記鉄基焼結合金の密度は、7.3〜7.9g/
ccの範囲内にあることが好ましい、などの知見を得た
のである。
れたものであって、 (1)Cu:20.3〜40重量%、Ni:0.6〜1
4重量%、C:1.0〜3.0重量%を含有し、残りが
Feおよび不可避不純物からなる組成を有し、かつFe
を主成分とするFe基合金相をCuを主成分とするCu
基合金相で結合してなる素地中に平均粒径:10μm以
下の微細な遊離黒鉛相が析出分散している組織を有する
鉄基焼結合金で構成された焼結バルブシートであって、
前記焼結バルブシートの素地を構成するFeを主成分と
するFe基合金相はNi、CuおよびCを含みFeを5
0重量%以上含むFe合金相であり、Cuを主成分とす
るCu基合金相はNi、FeおよびCを含みCuを50
重量%以上含むCu合金相であり、かつFe基合金相に
含まれるNiおよびCの濃度は、Cu基合金相に含まれ
るNiおよびCの濃度よりも大きい焼結バルブシート、 (2)前記焼結バルブシートは、密度:7.3〜7.9
g/ccを有する前記(1)記載の焼結バルブシート、
に特徴を有するものである。
末、C粉末およびCu−Ni合金粉末を混合し、成形
し、焼結することにより作られる。したがって、この発
明は、 (3)原料として、Fe粉末、C粉末およびCu−Ni
合金粉末を混合し、成形し、焼結する前記(1)または
(2)記載の焼結バルブシートの製造方法、に特徴を有
するものである。
一層具体的に述べると、原料粉末として、Fe粉末、黒
鉛粉末およびCu−Ni合金粉末を用意し、これら原料
粉末を金型成形時の潤滑剤であるステアリン酸亜鉛粉末
またはエチレンビスステアラミドとともにダブルコーン
ミキサーで混合し、プレス成形して圧粉体を作製し、圧
粉体を水素を含む窒素雰囲気中、温度:1100〜13
00℃で焼結する。焼結温度は1100〜1200℃が
一層好ましい。
のメカニズムは、下記のごとくであると考えられる。す
なわち、原料として添加した黒鉛粉末は焼結により一旦
素地中に固溶し、焼結後の冷却中に極めて微細な遊離黒
鉛となって旧気孔中に析出分散する。一方、焼結初期段
階においてCu−Ni合金の固溶共存域に昇温し焼結体
にたわみ、歪みなどの変形が生じないように少量の液相
を出現させると、Cu−Ni合金粉末のNiはFe粉末
中へ拡散してFe粉末同士の接合強度を向上させる。焼
結後期段階においてはNiがFe粉末中へ拡散するとこ
ろからCu−Ni合金粉末のNi含有量が下がって融点
が下がり、一気にCu−Ni合金粉末は融解し、ダイナ
ミックな液相焼結が進行して緻密化する。さらに焼結中
にCuはFe粉末へ拡散する。この発明の焼結バルブシ
ートを焼結は前述のようなメカニズムによるものと考え
られるから、この発明の焼結バルブシートを製造する際
に使用する原料粉末として、特にCu−Ni合金(N
i:2〜50重量%を含有し、残部がCuおよび不可避
不純物からなる母合金)粉末を使用することが重要な構
成の1つである。
成する鉄基焼結合金の成分組成を上記のごとく限定した
理由について説明する。 (a)Cu Cuは、密度、強度および耐摩耗性を向上させる効果が
あるが、その含有量が20.3重量%未満では液相の発
生量が十分でなく、したがって密度、強度および耐摩耗
性の効果が十分でなく、一方、40重量%を越えると液
相が過大となり、焼結中に変形が生じて寸法のバラツキ
が大きくなるので好ましくない。したがって、Cuの含
有量は20.3〜40重量%に定めた。Cuの含有量の
一層好ましい範囲は25〜35重量%である。
させ、液相焼結をコントロールし、またFe合金相の強
度および靭性を向上させる作用があるが、その含有量が
0.6重量%未満ではその効果が十分でなく、一方、1
4重量%を越えて含有してもそれ以上の効果が少ない。
したがって、Niの含有量は0.6〜14重量%に定め
た。Niの含有量の一層好ましい範囲は2〜6重量%で
ある。
含有量が1.0重量%未満では効果が十分でなく、一
方、3.0重量%を越えて含有する靭性を低下させるの
で好ましくない。したがって、Cの含有量は1.0〜
3.0重量%に定めた。Cの含有量の一層好ましい範囲
は1.1〜1.6重量%である。
に示される平均粒径および成分組成を有するCu−Ni
合金粉末A〜E、並びに平均粒径:18μmの黒鉛粉末
を用意した。
合組成となるように配合し、さらに金型成形時の潤滑剤
であるステアリン酸亜鉛粉末を外掛けで0.8重量%に
当たる量だけ添加してダブルコーンミキサーで混合し、
プレス成形して外径:34mm、内径:27mm、厚
さ:7mmの寸法を有するバルブシート形状圧粉体を作
製した。この圧粉体をN2 −5%H2 の混合雰囲気中、
温度:1150℃、20分保持の条件で焼結し、表2〜
表3に示される成分組成を有する本発明焼結バルブシー
ト1〜13および比較焼結バルブシート1〜6を作製し
た。
%、Ni:1.5重量%、Co:5重量%、C:1.0
重量%、Nb:0.6重量%を含有し、残りがFeおよ
び不可避不純物からなる組成並びにパーライト相および
ベーナイト相を主体とした組織からなる鉄基合金素地中
に、Cr:35重量%、W:25重量%、Co:25重
量%、C:2重量%、Si:1.1重量%、Nb:1.
1重量%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物から
なる組成を有する硬質粒子と、Co:70重量%、C
r:28重量%、Mo:8重量%、Si:2.5重量%
を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成
の硬質粒子が合計で17重量%が均一に分散した組織を
有する鉄基焼結合金で構成された従来焼結バルブシート
を用意した。
するために、本発明焼結バルブシート1〜13の内で本
発明焼結バルブシート3を選んでこれを切断し、研磨
し、金属顕微鏡による組織写真を取り、その組織写真を
図1に示した。図2は本発明焼結バルブシート3の金属
組織の写生図である。図2において1はFe基合金相、
2はCu基合金相、3は遊離黒鉛相である。図1の組織
写真および図2金属組織の写生図から明らかなように、
本発明焼結バルブシート3はFe基合金相をCu基合金
相からなる結合相で結合してなる素地を有し、その素地
中に平均粒径:10μm以下の微細な遊離黒鉛相が析出
分散していることが分かる。
組織のFe基合金相およびCu基合金相の成分含有量を
EPMAにより測定した結果、前記Fe基合金相はN
i、CuおよびCを含みかつFeを50重量%以上含
み、前記Cu基合金相はNi、FeおよびCを含みかつ
Cuを50重量%以上含み、さらにFe基合金相に含ま
れるNiおよびCの濃度は、Cu基合金相に含まれるN
iおよびCの濃度よりも大であることを確認した。
0mmの傘部分を有するバルブを用意した。このバルブ
の傘部分を温度:900℃に保持し、さらに本発明焼結
バルブシート1〜13、比較焼結バルブシート1〜6お
よび従来焼結バルブシートをそれぞれ内部が水冷されて
いる治具に圧入し、ガソリン燃焼雰囲気中で着座荷重:
30kg、バルブ着座回数:3000回/分の条件で1
00時間試験し、バルブシートおよびバルブの最大摩耗
量を測定し、その結果を表4に示した。
結バルブシート1〜13と従来焼結バルブシートを比較
すると、本発明焼結バルブシート1〜13は従来焼結バ
ルブシートと比べて、バルブシート自体の最大摩耗量お
よび相手材であるバルブの最大摩耗量が少ないことが分
かる。しかし、この発明の範囲から外れている成分組成
を有する比較焼結バルブシート1〜6は、バルブシート
の最大摩耗量および相手材であるバルブの最大摩耗量の
うちの少なくともいずれかが好ましくない値を示すこと
が分かる。
ートは、摩耗量が少なく、さらに相手材であるバルブに
対する相手攻撃性が少ないところから、エンジンなどの
自動車産業の発展に大いに貢献し得るものである。
る組織写真である。
ある。
Claims (3)
- 【請求項1】 Cu:20.3〜40重量%、Ni:
0.6〜14重量%、C:1.0〜3.0重量%を含有
し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有
し、かつFeを主成分とするFe基合金相をCuを主成
分とするCu基合金相で結合してなる素地中に平均粒
径:10μm以下の微細な遊離黒鉛相が析出分散してい
る組織を有する鉄基焼結合金で構成されている焼結バル
ブシートであって、 前記鉄基焼結合金の素地を構成するFeを主成分とする
Fe基合金相はNi、CuおよびCを含みFeを50重
量%以上含むFe合金相であり、Cuを主成分とするC
u基合金相はNi、FeおよびCを含みCuを50重量
%以上含むCu合金相であり、かつFe基合金相に含ま
れるNiおよびCの濃度は、Cu基合金相に含まれるN
iおよびCの濃度よりも大であることを特徴とする焼結
バルブシート。 - 【請求項2】 密度:7.3〜7.9g/ccを有する
鉄基焼結合金で構成されていることを特徴とする請求項
1記載の焼結バルブシート。 - 【請求項3】 Fe粉末、C粉末およびCu−Ni合金
粉末を混合し、成形し、焼結することを特徴とする請求
項1または2記載の焼結バルブシートの製造方法。
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---|---|---|---|
JP12529498A JP3331963B2 (ja) | 1998-04-20 | 1998-04-20 | 焼結バルブシートおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP12529498A JP3331963B2 (ja) | 1998-04-20 | 1998-04-20 | 焼結バルブシートおよびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11302805A JPH11302805A (ja) | 1999-11-02 |
JP3331963B2 true JP3331963B2 (ja) | 2002-10-07 |
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---|---|---|---|---|
DE102012013226A1 (de) | 2012-07-04 | 2014-01-09 | Bleistahl-Produktions Gmbh & Co Kg | Hochwärmeleitender Ventilsitzring |
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1998
- 1998-04-20 JP JP12529498A patent/JP3331963B2/ja not_active Expired - Fee Related
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