JP2005254765A - 感熱記録型磁気記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気特性及び感熱特性が良好な優れた表面平滑性を持ち、且つ、折り曲げた際の外力に対する耐久性があって磁気記録層に割れの生じることのない優れた感熱記録型磁気記録材料を提供する。
【解決手段】原紙の片面に強磁性体粉末と水性結着剤を主成分とする磁気記録層、他面に電子供与性の無色ないし淡色の染料前駆体及び、加熱時反応して該染料前駆体を発色させる電子受容性化合物とを含有する感熱記録層を設けてなる感熱記録型磁気記録材料において、該原紙にパルプ粘度が18.0mPa・s以上であり、比引裂強さが10.0mN・m2/g以上であり、且つ、裂断長が8.0km以下であるパルプを全パルプ組成中に対して20質量%〜75質量%の割合で含有する原紙を使用し、且つ、該原紙の地合指数が25以上であることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】原紙の片面に強磁性体粉末と水性結着剤を主成分とする磁気記録層、他面に電子供与性の無色ないし淡色の染料前駆体及び、加熱時反応して該染料前駆体を発色させる電子受容性化合物とを含有する感熱記録層を設けてなる感熱記録型磁気記録材料において、該原紙にパルプ粘度が18.0mPa・s以上であり、比引裂強さが10.0mN・m2/g以上であり、且つ、裂断長が8.0km以下であるパルプを全パルプ組成中に対して20質量%〜75質量%の割合で含有する原紙を使用し、且つ、該原紙の地合指数が25以上であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、感熱記録型磁気記録材料に関するものである。更に詳しくは、磁気特性及び感熱特性が良好な優れた表面平滑性を持ち、且つ、折り曲げた際の外力に対する耐久性があって磁気記録層に割れの生じることのない優れた感熱記録型磁気記録材料に関するものである。
磁性粉末を塗布した磁気記録材料は、基本的には紙などの支持体に磁性微粉末と結着剤を主成分として、この他に分散剤、滑剤、帯電防止剤、保水剤を含む磁気記録層塗液を塗布し、配向、乾燥して磁気記録層を設けるものであり、近年、銀行、電話等で使用されるキャッシュレスカード、交通機関の切符、回数券、定期券、高速道路通行券等に多く使用されており、その用途は益々拡大してきている。このことは磁気記録層の情報記憶容量の大きさ、書き込み情報の読み取りの簡便さ、正確さ等により自動販売機で処理することができ、省力化を可能にしたと共に情報の偽造防止性の高さからであろう。
このような磁気記録材料については、通常、支持体の磁気記録層を設ける側の裏面に文字、図形、符号等の可視情報を記録する方式が一般的であり、電子写真方式、静電記録方式、ジアゾ複写方式、キレート方式などによる記録方式が使用されてきた。しかし、これらの方式では装置が大型で複雑になり、コストも高くなるため、最近では、染料前駆体と酸性物質を使用する感熱記録方式が主として用いられるようになっている。
このような磁気記録材料については、通常、支持体の磁気記録層を設ける側の裏面に文字、図形、符号等の可視情報を記録する方式が一般的であり、電子写真方式、静電記録方式、ジアゾ複写方式、キレート方式などによる記録方式が使用されてきた。しかし、これらの方式では装置が大型で複雑になり、コストも高くなるため、最近では、染料前駆体と酸性物質を使用する感熱記録方式が主として用いられるようになっている。
このような感熱記録型磁気記録材料(以下、記録材料と略する場合も感熱記録型磁気記録材料を意味する)における特性としては、まず大量の情報記録に対応させる様、磁気記録を高密度化する必要があるために高い表面平滑性が必要である。また一方では乗車券、回数券、定期券などで使用される場合に、自動発券機、改札機等の装置内の搬送時あるいは定期入れや財布などへの出し入れ時に、加えられる外力による変形に対応できるような耐久性が要求される。この耐久性については、特に感熱記録型磁気記録材料を折り曲げた際に、磁気記録層に割れが生じて記録情報が欠損することが無いようにするという意味合いから記録材料及びその支持体の耐折強度が重要となる。
こうした要求から、従来、感熱記録型磁気記録材料としては、プラスチックシートあるいは原紙を支持体とするものが使用されているが、プラスチックシートを用いる場合には、磁気記録層の支持体に対する接着力、磁気記録層の耐久性などの向上を図るために、強磁性体粉及び結着剤を主成分とする有機溶剤系の組成液を支持体上に塗布し乾燥し磁気記録層を形成する方法が一般的であり、この場合には、製造時に有機溶剤を用いるため安全上や衛生上の問題が起こりやすく、コストも高くなるという問題がある。
一方、パルプを主成分とする原紙を支持体とした感熱記録型磁気記録材料の場合は、上記のような問題は発生しないものの、パルプ繊維の集合体であるために十分な表面平滑性が得にくく、また材料の耐久性は単繊維強度及び繊維間結合強度に因るために高い耐久性を得ることも困難であった。
こうした要求から、従来、感熱記録型磁気記録材料としては、プラスチックシートあるいは原紙を支持体とするものが使用されているが、プラスチックシートを用いる場合には、磁気記録層の支持体に対する接着力、磁気記録層の耐久性などの向上を図るために、強磁性体粉及び結着剤を主成分とする有機溶剤系の組成液を支持体上に塗布し乾燥し磁気記録層を形成する方法が一般的であり、この場合には、製造時に有機溶剤を用いるため安全上や衛生上の問題が起こりやすく、コストも高くなるという問題がある。
一方、パルプを主成分とする原紙を支持体とした感熱記録型磁気記録材料の場合は、上記のような問題は発生しないものの、パルプ繊維の集合体であるために十分な表面平滑性が得にくく、また材料の耐久性は単繊維強度及び繊維間結合強度に因るために高い耐久性を得ることも困難であった。
原紙を感熱記録型磁気記録材料の支持体とする場合に、十分な表面平滑性を得るための方法としては、一般的には、例えば感熱記録層と磁気記録層を塗工した後の材料に高圧あるいは高温条件でカレンダー処理を施すことで表面平滑性を高める方法がある。しかし、この方法では感熱記録層が黒ずむ、いわゆる地肌カブリが発生しやすい。また例えば、感熱記録層を塗工する前の状態で高圧あるいは高温条件でカレンダー処理を施した後に、感熱記録層を塗工し、更にその塗工後に高圧あるいは高温条件でのカレンダー処理によって高い平滑性を得るという方法もある(例えば、特許文献1)。しかし、この方法でも、感熱記録層を塗工した際に感熱記録塗液中の水分が原紙中に浸透するため、パルプ繊維の膨潤作用による表面平滑性の低下が生じ、結果その後のカレンダー処理によっても十分な効果があるとは言えない。
また、例えば原紙と磁気記録層の間に下塗層を設けて表面平滑性を高める方法がある(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。しかし、この方法は、乾燥時の蒸気透過性が低下し、いわゆるブリスターが発生しやすいという問題がある。
一方、感熱記録型磁気記録材料の耐久性を向上させる方法としては、例えば磁気記録層の結着剤のガラス転移点と結着剤の比率を規定する方法(例えば、特許文献4参照)がある。しかし、ガラス転移点の低い結着剤を使用することで折り曲げ時の磁気記録層の割れを抑える方法では、感熱記録型磁気記録材料を重ねるか、あるいはロール状に巻き取ったときに磁気記録層と感熱記録層あるいは磁気記録層と感熱記録層の保護層とが接した際に、いわゆるブロッキングが発生し易くなるという欠点があり、十分な効果があるとは言えない。
また、原紙側で感熱記録型磁気記録材料の耐久性を向上させる方法としては、一般的には針葉樹パルプ(NBKP)を高配合して原紙の耐折強度を向上させる方法がある。しかし、NBKPを高配合した場合、パルプ繊維が長いために繊維同士が絡まり易く、地合ムラが生じるために、高密度の磁気記録に必要な高い表面平滑性を得ることができない。
以上の通り、従来の技術においては、十分な強度と高い平滑性の両者を満足しながら、且つ、地肌カブリ、ブリスター、ブロッキング等の問題を発生することなく感熱型磁気記録材料を製造することは困難であった。
特開昭54−115255号公報
特開平4−169276号公報
特開2000−123350号公報
特開平9−118845号公報
従って、本発明の目的は、磁気特性及び感熱特性が良好な優れた表面平滑性を持ち、且つ、折り曲げた際の外力に対する耐久性があって磁気記録層に割れの生じることのない優れた感熱記録型磁気記録材料を提供することにある。
本発明者は、上記の問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、感熱記録型磁気記録材料の支持体となる原紙に使用するパルプの粘度、比引裂き強さ、裂断長、原紙中の含有量及び原紙の地合指数の範囲を制御して原紙を製造することによって、記録材料に十分な耐折強度と高い平滑性が得られ、且つ、かかる主題を塗層側で解決する際に随伴して問題となっている地肌カブリ、ブリスター、ブロッキング等の問題も発生しない本発明の感熱記録型磁気記録材料を完成するに至った。
本発明によれば、原紙の片面に強磁性体粉末と水性結着剤を主成分とする磁気記録層、他面に電子供与性の無色ないし淡色の染料前駆体及び、加熱時反応して該染料前駆体を発色させる電子受容性化合物とを含有する感熱記録層を設けてなる感熱記録型磁気記録材料において、該原紙にパルプ粘度が18.0mPa・s以上であり、比引裂強さが10.0mN・m2/g以上であり、且つ、裂断長が8.0km以下であるパルプを全パルプ組成中に対して20質量%〜75質量%の割合で含有する原紙を使用し、且つ、該原紙の地合指数が25以上であることを特徴とする感熱記録型磁気記録材料が提供される。
本発明の感熱記録型磁気記録材料は、支持体となる原紙に使用するパルプの粘度、比引裂き強さ、裂断長、原紙中の含有量及び原紙の地合指数の範囲を規定することによって提供されるもので、磁気特性及び感熱特性が良好な優れた表面平滑性を持ち、且つ、折り曲げた際の外力に対する耐久性があって磁気記録層に割れの生じることのない優れた感熱記録型磁気記録材料である。
以下、本発明の感熱記録型磁気記録材料について詳細に説明する。
本発明の感熱記録型磁気記録材料は、パルプ粘度が18.0mPa・s以上であり、比引裂強さが10.0mN・m2/g以上であり、且つ、裂断長が8.0km以下であるパルプを全パルプ組成中に対して20質量%〜75質量%の割合で含有する原紙を使用する。パルプ粘度についてはTAPPI T230 om−82に従い測定した値である。また比引裂強さと裂断長については、CSF濾水度が220±20mlになるよう叩解したパルプを使用し、JIS P 8209に従い、坪量が60g/m2の手抄き紙を作製し、この手抄き紙から裁断した試料を用いて測定した。比引裂強さについては、JIS P 8116に、また裂断長については、JIS P 8113にそれぞれ従い測定した値である。
本発明の感熱記録型磁気記録材料は、パルプ粘度が18.0mPa・s以上であり、比引裂強さが10.0mN・m2/g以上であり、且つ、裂断長が8.0km以下であるパルプを全パルプ組成中に対して20質量%〜75質量%の割合で含有する原紙を使用する。パルプ粘度についてはTAPPI T230 om−82に従い測定した値である。また比引裂強さと裂断長については、CSF濾水度が220±20mlになるよう叩解したパルプを使用し、JIS P 8209に従い、坪量が60g/m2の手抄き紙を作製し、この手抄き紙から裁断した試料を用いて測定した。比引裂強さについては、JIS P 8116に、また裂断長については、JIS P 8113にそれぞれ従い測定した値である。
パルプ粘度が18.0mPa・s以上であり、比引裂強さが10.0mN・m2/g以上であり、且つ、裂断長が8.0km以下であるパルプを使用した原紙は、十分な機械的強度を持ちながら、尚且つ、高配合した場合の原紙の地合も良好である。すなわち、この原紙を使用した感熱記録型磁気記録材料は、磁気特性及び感熱特性が良好な優れた表面平滑性を持ち、且つ、折り曲げた際の外力に対する耐久性のあるものとなる。上記のパルプの粘度、比引裂き強さ、裂断長については、樹種や漂白工程等の製造方法を適宜選択することで調整することが可能であるが、本発明に使用するパルプとしては、特にユーカリ系の樹種を用いたLBKPパルプが好ましい。
また本発明における上記条件のパルプの配合率は全パルプ組成中に対して20質量%〜75質量%である。ここで、全パルプ組成とは、2種類以上のパルプを混合して使用する場合の混合後のパルプを100質量%とするものであり、添加薬品や填料などの質量は全パルプ組成には含まれない。20質量%に満たない配合率の場合は、原紙の強度向上効果が小さく、記録材料の耐久性に寄与することが出来ない。また75質量%よりも高い配合率の場合は、原紙の地合指数を低下させてしまうため、記録材料に十分な表面平滑性を持たせることが出来ない。
また本発明における上記条件のパルプの配合率は全パルプ組成中に対して20質量%〜75質量%である。ここで、全パルプ組成とは、2種類以上のパルプを混合して使用する場合の混合後のパルプを100質量%とするものであり、添加薬品や填料などの質量は全パルプ組成には含まれない。20質量%に満たない配合率の場合は、原紙の強度向上効果が小さく、記録材料の耐久性に寄与することが出来ない。また75質量%よりも高い配合率の場合は、原紙の地合指数を低下させてしまうため、記録材料に十分な表面平滑性を持たせることが出来ない。
更に、本発明の感熱記録型磁気記録材料は、原紙の地合指数が25以上である。地合指数は原紙の透過光量の変動に対する指標であり、地合指数が高くなる程、原紙の質量分布幅が狭くなり、より繊維の分散が均一な紙になることを意味する。この地合指数は例えば、M/Ksystem社製の「3−D SHEET ANALYZER」を使用して測定することができる。
原紙の地合指数が25よりも小さい場合は、原紙中の質量分布幅が広く地合ムラがあるため、この原紙を使用した感熱記録型磁気記録材料は、良好な磁気特性及び感熱特性を得いるために必要なレベルの表面平滑性を持つことが出来ない。
本発明で規定する原紙の地合指数を調整する方法としては、長網抄紙機の場合には、例えば抄紙機のワイヤーを適当な振幅、振動数で幅方向に振動させることで、繊維の配向性及び分散性を制御する方法がある。また別の方法としては、ヘッドボックスのスライスからの抄紙スラリーの流出速度とワイヤーの走行速度との比、所謂、ジェットワイヤー比(以下、J/W比と記載)を適度に調整し、繊維の配向性及び分散性を制御する方法がある。また、例えば、ワイヤーパートの後半にワイヤー上のパルプスラリーの表層と接するようにダンディーロールを配置してダンディーロールの周速とワイヤーの走行速度の比率を調整して繊維の配向性及び分散性をコントロールする方法、あるいは、ワイヤーの種類、ワイヤーパート初期脱水部の設計、ディッケルによるパルプスラリーの流れコントロール、原料の叩解度(濾水度)、繊維長、スラリー濃度等を適宜変更する方法があり、これらを単独あるいは組み合わせて調整することができる。
好ましい調整方法としては、具体的にはワイヤーの振幅を10〜20mm、ワイヤーの振幅を200〜280回/分、J/W比を0.85〜1.08、パルプのCSF濾水度を200〜400ml、平均繊維長を0.45〜0.90の間で組み合わせて、原紙の地合指数を25以上となるよう調整する。
好ましい調整方法としては、具体的にはワイヤーの振幅を10〜20mm、ワイヤーの振幅を200〜280回/分、J/W比を0.85〜1.08、パルプのCSF濾水度を200〜400ml、平均繊維長を0.45〜0.90の間で組み合わせて、原紙の地合指数を25以上となるよう調整する。
本発明の原紙の平滑性については、良好な磁気特性及び感熱特性を得るために感熱記録層を塗布する側及び磁気記録層を塗布する側の何れの原紙面においても、ベック平滑度で150秒以上の平滑性を持つことが好ましい。記録材料に用いられる原紙の平滑性は、前述の通り、耐久性と両立させる必要があるため、先ずは本発明に規定する様に、パルプの粘度、比引裂き強さ、裂断長、原紙中の含有量及び原紙の地合指数の範囲を制御して原紙を製造することが必須となるが、更に磁気記録層及び感熱記録層の塗工時において、塗液中の水分が原紙中に浸透する際のパルプ繊維の膨潤作用による表面平滑性の低下の影響を軽減させるためにはプレスロール、カレンダーロール等でのニップ処理を適切に行う必要がある。
塗工時の表面平滑性の低下を軽減させるためには、より水分の高い段階でニップ処理することによって、繊維間結合を高める手法が有効であると考えられ、従って、同じ原紙平滑性を出す場合でもカレンダー処理よりもプレス処理において、高いニップ圧をかけることが有効である。しかしながら、紙中水分が高いプレス段階では、高いニップ圧をかける場合にニップ幅が狭いと、高いピーク圧によって紙の砕けが生じ、良好な平滑性と強度を得ることが困難である。この点から、本発明の原紙を製造するためのプレス処理は、ニップ幅が広くとれ、ピーク圧を低く抑えることが可能なシュープレス装置によって施されることが好ましいと考えられる。
好ましい調整方法としては、具体的にはプレス処理が少なくとも2基のクローズ型シュープレス装置からなる多段シュープレスによってトータルニップ圧が100〜600kN/mの範囲となるよう調整する。
塗工時の表面平滑性の低下を軽減させるためには、より水分の高い段階でニップ処理することによって、繊維間結合を高める手法が有効であると考えられ、従って、同じ原紙平滑性を出す場合でもカレンダー処理よりもプレス処理において、高いニップ圧をかけることが有効である。しかしながら、紙中水分が高いプレス段階では、高いニップ圧をかける場合にニップ幅が狭いと、高いピーク圧によって紙の砕けが生じ、良好な平滑性と強度を得ることが困難である。この点から、本発明の原紙を製造するためのプレス処理は、ニップ幅が広くとれ、ピーク圧を低く抑えることが可能なシュープレス装置によって施されることが好ましいと考えられる。
好ましい調整方法としては、具体的にはプレス処理が少なくとも2基のクローズ型シュープレス装置からなる多段シュープレスによってトータルニップ圧が100〜600kN/mの範囲となるよう調整する。
本発明で使用するパルプを叩解する叩解機としては、通常パルプの叩解に使用する叩解機、例えばビーター、コニカルリファイナー、デイスクリファイナーなどを使用することができる。
本発明で用いられる原紙中には、紙料スラリー調製時にサイズ剤として、脂肪酸金属塩又はジアルキルケテンダイマーまたはジアルキルケトン、アルケニルまたはアルキルコハク酸無水物、ロジン誘導体、特開昭54−147211号公報に記載のエポキシ化高級脂肪酸アミド、特開昭56−109343号公報に記載の有機フルオロ化合物等を必要に応じて含有せしめることができる。本発明の目的を効果的に達成するために、有利に用いられるサイズ剤としては、磁気記録層及び感熱記録層の塗工時に塗液中の水分が過剰に原紙中に浸透して繊維の膨潤による表面平滑性の悪化を防止する観点から、特開昭63−163358号公報に記載のアルキルケテンダイマー(以下AKDと称する)をが挙げることができる。AKDの原紙中の含有率は、上記観点からパルプに対して0.1〜2.0質量%が好ましい。
本発明で用いられる原紙中には、乾燥紙力増強剤として、アニオン性、カチオン性あるいは両性のポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カチオン化澱粉、植物性ガラクトマンナンなど、湿潤紙力増強剤として、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂などの紙力増強剤を必要に応じて含有せしめることができる。また、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、合成パルプ、合成繊維などの繊維状物質、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、焼成カオリン、二酸化チタン、シリカなどの無機填料やプラスチックピグメントなどの有機填料、また一般的に使用されている各種の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、染料、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤などの抄紙用内添助剤を添加することができる。さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
本発明で用いられる原紙の坪量に関しては、コスト、耐久性などの制約から、通常70g/m2〜250g/m2で抄造されるが、感熱記録型磁気記録材料の支持体として十分な性能であればよく特に制限はない。
また本発明で用いられる原紙には、原紙表面の平滑性を向上させることを目的として、原紙上に下塗層を設けた後、磁気記録層あるいは感熱記録層を設けることも可能である。このような下塗層には、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、天然シリカ、合成シリカ、水酸化アルミニウム、尿素−ホルマリン樹脂粒子、セルロース繊維などの顔料;デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体/アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性接着剤;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの合成樹脂エマルジョン;メラミン/ホルマリン樹脂、エチレン/尿素樹脂、ポリアミド/ポリ尿素樹脂などの架橋剤;無水マレイン酸系、スチレン/アクリル系などのサイズ剤;ポリエチレングリコールやポリオキシエチレンポリグリセリルエーテルなどの湿潤剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩やアルキルコハク酸塩などの界面活性剤などを適宜組み合わせて使用できる。
下塗層は、サイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ロッドコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーターなどの塗工方式により、原紙に塗布される。
本発明において、磁気記録層に用いられる強磁性体粉末としては、γ−フェライト、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライトなどが挙げられる。磁気記録情報が通常の磁石で消去されないためには、保磁力が1500〜5000エルステッドのバリウムフェライト、ストロンチウムフェライトなどが好ましい。
磁気記録層に用いられる結着剤としては、ポリウレタン系、塩ビ系、酢ビ系、アクリル系、スチレン/ブタジエン系などの合成樹脂エマルジョン、澱粉、ポリビニルアルコールなどの水溶性接着剤などが挙げられる。
また、磁気記録層には必要に応じてポリアクリル酸塩などの磁性体分散剤;パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、高級脂肪酸及びそのエステル、金属塩、アミドなどのワックス;ポリエチレングリコールなどの界面活性剤を添加することができる。
磁気記録層は、エアーナイフコーター、ロッドコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ロールコーター、リップコーター及びブレードコーターなどにより塗布される。
本発明において感熱記録層に用いられる感熱記録材料としては、熱によって2種類以上の成分が接触し、発色反応を起こすような反応体および共反応体の組み合わせであれば良く、例えば電子供与性無色染料前駆体と電子受容性化合物との組み合わせを挙げることができる。
電子供与性無色染料前駆体の具体的な例を挙げれば、(1)トリアリールメタン系化合物3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等。
(2)ジフェニルメタン系化合物4,4’−ビス−ジメチルアミノフェニルベンズヒドリルベンジルエーテル、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等。
(3)キサンテン系化合物ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等。
(4)チアジン系化合物ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等。
(5)スピロ系化合物3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3’−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等を挙げることができ、これらは単独もしくは2種以上混合して使うことができる。
電子受容性化合物としては、特にフェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体あるいはその金属化合物、N,N’−ジアリールチオ尿素誘導体等が使用される。この中で特に好ましいものはフェノール誘導体であり、具体的には、p−フェニルフェノール、p−ヒドロキシアセトフェノン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−ベンゼンスルホニルオキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ジ〔2−(p−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,3−ジ〔2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,4−ジ〔2−(p−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、ビス(3−アリル−4ーヒドロキシフェニル)スルフォン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシジフェニルスルフォン、3,4−ジヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルフォン、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸クロロベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、没食子酸ベンジル、没食子酸ステアリル、サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド等が挙げられる。
また、感熱記録材料として、イミノ化合物と芳香族イソシアナート化合物との組み合わせ及びステアリン酸第二鉄等の高級脂肪酸金属塩と没食子酸のようなフェノール類との組み合わせからなる発色系を使用することができる。さらに、ジアゾニウム化合物、カプラーおよび塩基性物質を組み合わせた発色系等、感熱記録材料として用いられているものであれば特に制限されず、いずれも使用することができる。
感熱記録層に用いられる結着剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン誘導体、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体等の水溶性接着剤;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂エマルジョンが挙げられる。また、これら接着剤に加えて耐水性を付与する目的で架橋剤やゲル化剤を添加することもできる。
感熱記録層には顔料として、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、天然シリカ、合成シリカ、水酸化アルミニウム、尿素−ホルマリンフィラー、セルロースフィラー等を使用することができる。
また、感熱記録層の熱応答性をさらに向上させるために、熱可融性物質を添加することができる。このような熱可融性物質としては60℃〜180℃の融点を有するものが好ましく、特に80℃〜140℃の融点を有するものが好ましい。例えば、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどのワックス類;2ーベンジルオキシナフタレン等のナフトール誘導体;p−ベンジルビフェニル、4ーアリルオキシビフェニル等のビフェニル誘導体;1,2ービス(3ーメチルフェノキシ)エタン、2,2’ービス(4ーメトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、ビス(4ーメトキシフェニル)エーテル等のポリエーテル化合物;炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロルベンジル)エステル等の炭酸またはシュウ酸ジエステル誘導体等を単独あるいは混合して使用することができる。
そして、感熱記録層にはヘッド摩耗防止、スティッキング防止などの目的で、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス等のワックス類を、また、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の分散剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、界面活性剤、蛍光染料などを添加することができる。
感熱記録層は、エアーナイフコーター、ロッドコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ロールコーター、リップコーター及びブレードコーターなどにより塗布される。
さらに、印字画像保存性向上のために、感熱記録層の上に保護層を設けることも可能である。このような保護層には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの水溶性樹脂や、スチレン/ブタジエン系、アクリル系、酢ビ系などの合成樹脂エマルジョンなどを用いることができる。
保護層は、エアーナイフコーター、ロッドコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ロールコーター、リップコーター及びブレードコーターなどにより塗布される。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。尚、以下の%及び部は全て質量換算である。
下記の特性を持つパルプ(A)、パルプ(B)を、パルプ(A)のCSF濾水度が320ml、パルプ(B)のCSF濾水度が350mlとなるようにダブルディスクリファイナーを使用して叩解し、これらをパルプ(B)の割合が全パルプ組成に対して50質量%となるように混合してパルプスラリーを得た。
パルプ(A):パルプ粘度が10.3mPa・s、比引裂強さが8.0mN・m2/g、裂断長が7.5kmである広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)
パルプ(B):パルプ粘度が19.8mPa・s、比引裂強さが11.2mN・m2/g、裂断長が7.4kmであるLBKP
このパルプスラリーに、カチオン化澱粉2.0質量%、アルキルケテンダイマー0.2質量%、高級脂肪酸アミド0.2質量%、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂0.2質量%、グアーガム0.6質量%を加え、長網式抄紙機で160g/m2の原紙を抄造した。このときの抄紙速度は300m/分、J/W比は0.90、抄紙ワイヤーの振動条件は振動数が250回/分、振幅が15mm、プレスにはシュープレスを使用してトータル線圧500kN/mでプレス処理を行った。
パルプ(A):パルプ粘度が10.3mPa・s、比引裂強さが8.0mN・m2/g、裂断長が7.5kmである広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)
パルプ(B):パルプ粘度が19.8mPa・s、比引裂強さが11.2mN・m2/g、裂断長が7.4kmであるLBKP
このパルプスラリーに、カチオン化澱粉2.0質量%、アルキルケテンダイマー0.2質量%、高級脂肪酸アミド0.2質量%、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂0.2質量%、グアーガム0.6質量%を加え、長網式抄紙機で160g/m2の原紙を抄造した。このときの抄紙速度は300m/分、J/W比は0.90、抄紙ワイヤーの振動条件は振動数が250回/分、振幅が15mm、プレスにはシュープレスを使用してトータル線圧500kN/mでプレス処理を行った。
このようにして得られた原紙の地合指数を以下の方法に従い測定した。地合指数の測定には、M/Ksystem社製の「3−D SHEET ANALYZER」を使用した。測定条件としては、絞りの直径として1mmの絞りを使用し、原紙5枚について地合指数測定を行い、その平均値を報告した。
続いて、下記配合の塗液をボールミルで一昼夜分散し、磁気記録層塗液を調製した。バリウムフェライト(保磁力2700エルステッド) 100部、ウレタン−アクリル系樹脂 30部、ポリエチレンオキサイド(質量平均分子量20万) 5部、パラフィンワックス 5部、水 200部。
続いて、下記の(A)液と(B)液を別々にサンドグラインダーにて平均粒子径が約2μmとなるように分散した。
(A)液:3−ジブチルアミノ−6−メチル−アニリノフルオラン 12部、10%ポリビニルアルコール水溶液 18部、水 30部
(B)液:4,4'−イソプロピリデンジフェノール 40部、p−ベンジルビフェニル 40部、ステアリン酸亜鉛 20部、10%ポリビニルアルコール水溶液 50部、水 100部
そして、(A)液と(B)液を下記配合で混合し、感熱記録層塗液を調製した。
炭酸カルシウム 8部、(B)液 30部、10%ポリビニルアルコール水溶液 40部、(A)液 12部、水 100部
(A)液:3−ジブチルアミノ−6−メチル−アニリノフルオラン 12部、10%ポリビニルアルコール水溶液 18部、水 30部
(B)液:4,4'−イソプロピリデンジフェノール 40部、p−ベンジルビフェニル 40部、ステアリン酸亜鉛 20部、10%ポリビニルアルコール水溶液 50部、水 100部
そして、(A)液と(B)液を下記配合で混合し、感熱記録層塗液を調製した。
炭酸カルシウム 8部、(B)液 30部、10%ポリビニルアルコール水溶液 40部、(A)液 12部、水 100部
上記の紙の片面に、上記の磁気記録層塗液を乾燥塗工量が30g/m2になるようにエアーナイフコーターで塗布後、磁場配向させて乾燥した。つぎに、他方の面に上記の感熱記録層塗液を乾燥塗工量が6g/m2になるようにエアーナイフコーターで塗布、乾燥し、感熱記録型磁気記録材料を得た。
実施例1のパルプ(B)を、パルプ粘度が22.0mPa・s、比引裂強さが10.1mN・m2/g、裂断長が6.5kmであるLBKPに変更する以外は実施例1と同様にして、実施例2の感熱記録型磁気記録材料を得た。
実施例1のパルプ(B)を、パルプ粘度が20.2mPa・s、比引裂強さが12.0mN・m2/g、裂断長が6.8kmであるLBKPに変更し、パルプ(B)の割合を全パルプ組成に対して20質量%とする以外は実施例1と同様にして、実施例3の感熱記録型磁気記録材料を得た。
実施例3のパルプ(B)の割合を全パルプ組成に対して30質量%とする以外は実施例3と同様にして、実施例4の感熱記録型磁気記録材料を得た。
実施例3のパルプ(B)の割合を全パルプ組成に対して40質量%とする以外は実施例3と同様にして、実施例5の感熱記録型磁気記録材料を得た。
実施例3のパルプ(B)の割合を全パルプ組成に対して50質量%とする以外は実施例3と同様にして、実施例6の感熱記録型磁気記録材料を得た。
実施例3のパルプ(B)の割合を全パルプ組成に対して60質量%とする以外は実施例3と同様にして、実施例7の感熱記録型磁気記録材料を得た。
実施例3のパルプ(B)の割合を全パルプ組成に対して70質量%とする以外は実施例3と同様にして、実施例8の感熱記録型磁気記録材料を得た。
実施例3のパルプ(B)の割合を全パルプ組成に対して75質量%とする以外は実施例3と同様にして、実施例9の感熱記録型磁気記録材料を得た。
(比較例1)
実施例1のパルプ(B)を、パルプ粘度が29.7mPa・s、比引裂強さが10.1mN・m2/g、裂断長が11.6kmである針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)に変更する以外は実施例1と同様にして、比較例1の感熱記録型磁気記録材料を得た。
実施例1のパルプ(B)を、パルプ粘度が29.7mPa・s、比引裂強さが10.1mN・m2/g、裂断長が11.6kmである針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)に変更する以外は実施例1と同様にして、比較例1の感熱記録型磁気記録材料を得た。
(比較例2)
実施例1のパルプ(B)を、パルプ粘度が5.5mPa・s、比引裂強さが9.8mN・m2/g、裂断長が6.6kmであるLBKPに変更する以外は実施例1と同様にして、比較例2の感熱記録型磁気記録材料を得た。
実施例1のパルプ(B)を、パルプ粘度が5.5mPa・s、比引裂強さが9.8mN・m2/g、裂断長が6.6kmであるLBKPに変更する以外は実施例1と同様にして、比較例2の感熱記録型磁気記録材料を得た。
(比較例3)
実施例3のパルプ(B)の割合を全パルプ組成に対して15質量%とする以外は実施例3と同様にして、比較例3の感熱記録型磁気記録材料を得た。
実施例3のパルプ(B)の割合を全パルプ組成に対して15質量%とする以外は実施例3と同様にして、比較例3の感熱記録型磁気記録材料を得た。
(比較例4)
実施例3のパルプ(B)の割合を全パルプ組成に対して80質量%とする以外は実施例3と同様にして、比較例4の感熱記録型磁気記録材料を得た。
実施例3のパルプ(B)の割合を全パルプ組成に対して80質量%とする以外は実施例3と同様にして、比較例4の感熱記録型磁気記録材料を得た。
(比較例5)
実施例3の抄紙ワイヤーの振動数を200回/分、振幅を5mmにそれぞれ変更する以外は実施例3と同様にして、比較例5の感熱記録型磁気記録材料を得た。
実施例3の抄紙ワイヤーの振動数を200回/分、振幅を5mmにそれぞれ変更する以外は実施例3と同様にして、比較例5の感熱記録型磁気記録材料を得た。
これらの各感熱記録型磁気記録材料の耐久性、磁気特性、感熱特性の評価結果を表1に示す。評価方法は下記の通りに行った。
[耐久性]
感熱記録型磁気記録材料を折り曲げた際の外力に対する耐久性については、縦方向、横方向の耐折強さを判断の基準とし、JIS P 8115に従い、MIT試験機法による荷重9.8NでのISO耐折回数で評価した。ISO耐折回数としては、30回以上であれば効果があるレベルである。
感熱記録型磁気記録材料を折り曲げた際の外力に対する耐久性については、縦方向、横方向の耐折強さを判断の基準とし、JIS P 8115に従い、MIT試験機法による荷重9.8NでのISO耐折回数で評価した。ISO耐折回数としては、30回以上であれば効果があるレベルである。
[磁気特性]
感熱記録型磁気記録材料の磁気特性については、磁気記録層に一定の書き込み電流で記録し、次に再生した際の出力電圧の変動(磁気出力変動)を基準とし、プリペイドカード用磁気特性分析機(210BPI書き込みFM方式)により、出力変動を測定し、変動率を%で示して評価した。出力変動としては、11%以下であれば効果があるレベルである。
感熱記録型磁気記録材料の磁気特性については、磁気記録層に一定の書き込み電流で記録し、次に再生した際の出力電圧の変動(磁気出力変動)を基準とし、プリペイドカード用磁気特性分析機(210BPI書き込みFM方式)により、出力変動を測定し、変動率を%で示して評価した。出力変動としては、11%以下であれば効果があるレベルである。
[感熱特性]
感熱記録型磁気記録材料の感熱特性については、感熱記録層の発色感度を基準とし、感熱ファクシミリ動的印字試験機を用いて印加パルス0.6msec、印加電圧22.0Vの条件で印字し、得られた発色濃度をマクベス濃度計で測定して評価した。発色濃度としては1.15以上であれば効果があるレベルである。
感熱記録型磁気記録材料の感熱特性については、感熱記録層の発色感度を基準とし、感熱ファクシミリ動的印字試験機を用いて印加パルス0.6msec、印加電圧22.0Vの条件で印字し、得られた発色濃度をマクベス濃度計で測定して評価した。発色濃度としては1.15以上であれば効果があるレベルである。
<結果評価>
表1に示す通り、実施例1〜9の感熱記録型磁気記録材料は、パルプ粘度が18.0mPa・s以上であり、比引裂強さが10.0mN・m2/g以上であり、且つ、裂断長が8.0km以下であるパルプを全パルプ組成中に対して20質量%〜75質量%の割合で含有する原紙を使用し、且つ、該原紙の地合指数が25以上であるために、耐久性、磁気特性、感熱特性のいずれについても効果があり問題のないものであることがわかる。
比較例1の感熱記録型磁気記録材料の場合は、裂断長が本発明の範囲よりも高いパルプで原紙を抄造したため、繊維の分散性が悪く、原紙の地合指数は25未満となり、その結果、得られた記録材料の表面平滑性が低下したために、磁気特性及び感熱特性が悪化してしまうことがわかる。
比較例2の感熱記録型磁気記録材料の場合は、パルプの粘度と比引裂強さが本発明の範囲よりも低いパルプで原紙を抄造したため、強度が低下し、その結果、得られた感熱記録型磁気記録材料の耐久性が悪化してしまうことがわかる。
以上の通り感熱記録型磁気記録材料の磁気特性、感熱特性及び耐久性については、パルプの粘度、比引裂強さ、裂断長を選択することにより制御できることがわかる。
また、比較例3の感熱記録型磁気記録材料の場合は、使用するパルプの粘度、比引裂強さ、裂断長は適当な範囲であるものの、該パルプの原紙への配合率が15%と低いために、感熱記録型磁気材料に実用上十分な耐久性を持たせることができないことがわかる。また、比較例4の感熱記録型磁気記録材料の場合は、逆に該パルプの原紙へ配合率が80%と高いために地合が悪化した結果、十分な磁気特性、感熱特性が得られないことがわかる。
以上の通り感熱記録型磁気記録材料の磁気特性、感熱特性及び耐久性については、支持体に用いる原紙について、パルプの粘度、比引裂強さ、裂断長を適当な範囲に選択し、且つ、該パルプの配合量を調整することにより制御できることがわかる。
また、比較例5の感熱記録型磁気記録材料の場合は、使用するパルプの特性及び配合率は適当な範囲にあるものの、抄造時のワイヤーの振動数及び振幅が小さかったために、十分な地合指数が得られず、磁気特性、感熱特性が悪化していることがわかる。
以上の通り、本発明で規定している地合指数は、使用するパルプの特性、配合率、抄造時のワイヤーの振動数及び振幅を初めとする種々の操業条件の組み合わせ結果として発現する物性であることがわかる。
表1に示す通り、実施例1〜9の感熱記録型磁気記録材料は、パルプ粘度が18.0mPa・s以上であり、比引裂強さが10.0mN・m2/g以上であり、且つ、裂断長が8.0km以下であるパルプを全パルプ組成中に対して20質量%〜75質量%の割合で含有する原紙を使用し、且つ、該原紙の地合指数が25以上であるために、耐久性、磁気特性、感熱特性のいずれについても効果があり問題のないものであることがわかる。
比較例1の感熱記録型磁気記録材料の場合は、裂断長が本発明の範囲よりも高いパルプで原紙を抄造したため、繊維の分散性が悪く、原紙の地合指数は25未満となり、その結果、得られた記録材料の表面平滑性が低下したために、磁気特性及び感熱特性が悪化してしまうことがわかる。
比較例2の感熱記録型磁気記録材料の場合は、パルプの粘度と比引裂強さが本発明の範囲よりも低いパルプで原紙を抄造したため、強度が低下し、その結果、得られた感熱記録型磁気記録材料の耐久性が悪化してしまうことがわかる。
以上の通り感熱記録型磁気記録材料の磁気特性、感熱特性及び耐久性については、パルプの粘度、比引裂強さ、裂断長を選択することにより制御できることがわかる。
また、比較例3の感熱記録型磁気記録材料の場合は、使用するパルプの粘度、比引裂強さ、裂断長は適当な範囲であるものの、該パルプの原紙への配合率が15%と低いために、感熱記録型磁気材料に実用上十分な耐久性を持たせることができないことがわかる。また、比較例4の感熱記録型磁気記録材料の場合は、逆に該パルプの原紙へ配合率が80%と高いために地合が悪化した結果、十分な磁気特性、感熱特性が得られないことがわかる。
以上の通り感熱記録型磁気記録材料の磁気特性、感熱特性及び耐久性については、支持体に用いる原紙について、パルプの粘度、比引裂強さ、裂断長を適当な範囲に選択し、且つ、該パルプの配合量を調整することにより制御できることがわかる。
また、比較例5の感熱記録型磁気記録材料の場合は、使用するパルプの特性及び配合率は適当な範囲にあるものの、抄造時のワイヤーの振動数及び振幅が小さかったために、十分な地合指数が得られず、磁気特性、感熱特性が悪化していることがわかる。
以上の通り、本発明で規定している地合指数は、使用するパルプの特性、配合率、抄造時のワイヤーの振動数及び振幅を初めとする種々の操業条件の組み合わせ結果として発現する物性であることがわかる。
本発明の感熱記録型磁気記録材料は、磁気特性及び感熱特性が良好な優れた表面平滑性を持ち、且つ、折り曲げた際の外力に対する耐久性があって磁気記録層に割れの生じることのない優れた感熱記録型磁気記録材料として、特に書き込み及び読み取りの精度が求められ、且つ、多様な外力のかかる乗車券、定期券、回数券などの用途に利用できる。
Claims (1)
- 原紙の片面に強磁性体粉末と水性結着剤を主成分とする磁気記録層、他面に電子供与性の無色ないし淡色の染料前駆体及び、加熱時反応して該染料前駆体を発色させる電子受容性化合物とを含有する感熱記録層を設けてなる感熱記録型磁気記録材料において、該原紙にパルプ粘度が18.0mPa・s以上であり、比引裂強さが10.0mN・m2/g以上であり、且つ、裂断長が8.0km以下であるパルプを全パルプ組成中に対して20質量%〜75質量%の割合で含有する原紙を使用し、且つ、該原紙の地合指数が25以上であることを特徴とする感熱記録型磁気記録材料。
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JP2004073294A JP2005254765A (ja) | 2004-03-15 | 2004-03-15 | 感熱記録型磁気記録材料 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007080444A (ja) * | 2005-09-16 | 2007-03-29 | Ricoh Co Ltd | 磁気記録材料 |
CN100417528C (zh) * | 2006-05-10 | 2008-09-10 | 中国乐凯胶片集团公司 | 一种热敏磁记录纸 |
CN105463937A (zh) * | 2015-11-18 | 2016-04-06 | 山东凯丽特种纸股份有限公司 | 一种磁性信息纸的生产方法 |
-
2004
- 2004-03-15 JP JP2004073294A patent/JP2005254765A/ja active Pending
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