JP2005248045A - 炭素材料の製造方法 - Google Patents
炭素材料の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005248045A JP2005248045A JP2004061626A JP2004061626A JP2005248045A JP 2005248045 A JP2005248045 A JP 2005248045A JP 2004061626 A JP2004061626 A JP 2004061626A JP 2004061626 A JP2004061626 A JP 2004061626A JP 2005248045 A JP2005248045 A JP 2005248045A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carbon material
- producing
- aggregate
- reaction
- material according
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
【課題】ナノオーダーサイズの炭素材料を安価で大量に生産することができる新規な炭素材料の製造方法を提供する。
【解決手段】多環芳香族化合物を主成分とする複合芳香族化合物と溶剤を配合した溶液中で複合芳香族化合物を会合させてナノオーダーの分子会合体を生成し(分子会合体生成工程)、分子会合体内において重合反応もしくは縮合反応させて、またはキレート化反応させて結合会合体を生成し(結合会合体生成工程)、結合会合体を溶剤から分離し(結合会合体取得工程)、結合会合体を熱処理して炭素材料を得る(熱処理工程)。
【選択図】なし
【解決手段】多環芳香族化合物を主成分とする複合芳香族化合物と溶剤を配合した溶液中で複合芳香族化合物を会合させてナノオーダーの分子会合体を生成し(分子会合体生成工程)、分子会合体内において重合反応もしくは縮合反応させて、またはキレート化反応させて結合会合体を生成し(結合会合体生成工程)、結合会合体を溶剤から分離し(結合会合体取得工程)、結合会合体を熱処理して炭素材料を得る(熱処理工程)。
【選択図】なし
Description
本発明は、ナノオーダーサイズの炭素材料の製造方法に関する。
ナノオーダーサイズの炭素材料(以下、これをナノ炭素材料という。)は、リチウムイオン二次電池の負極材、燃料電池用の触媒または担体、キャパシタ材料あるいは表示装置の電子放出源等の電気化学的な用途をはじめ、さらに水素吸蔵剤や吸着剤の用途等多方面での工業的な用途が見込まれている。
ここで、ナノ炭素材料とは、寸法がナノオーダーであるために、大きな粒子等においては得られない、いわゆる量子サイズ効果を発現することによって、高機能、高密度化等の性能が得られるものをいう。ナノオーダーとは、一般に1〜100nm程度の寸法をいうが、上記のナノ炭素材料としての性能を発揮する観点からは、例えば数μmまでの寸法のものを含めることができる。
ここで、ナノ炭素材料とは、寸法がナノオーダーであるために、大きな粒子等においては得られない、いわゆる量子サイズ効果を発現することによって、高機能、高密度化等の性能が得られるものをいう。ナノオーダーとは、一般に1〜100nm程度の寸法をいうが、上記のナノ炭素材料としての性能を発揮する観点からは、例えば数μmまでの寸法のものを含めることができる。
ナノ炭素材料としては、フラーレン、カーボンナノチューブおよびカーボンナノチューブの一種であるカーボンナノホーン等が周知である。上記したそれぞれの利用分野においていわゆる量子サイズ効果を適正に発現するためには、これらのナノ炭素材料の形状が重要であるとされている。すなわち、望ましくはナノオーダーの粒子等が寸法ばらつきの少ない状態で得られることが求められている。
ナノ炭素材料の製造方法として、アーク放電、CVD法あるいはレーザアブレーション法等の気相反応法が周知である。
しかしながら、これらの気相反応法では、ナノ炭素材料の形状を最初の原料の段階から制御することは困難である。
すなわち、上記の気相反応では、一般に、熱縮合によるミクロな炭素骨格の成長とマクロな全体構造の形成とが同時進行的に行われるため、製造の際のナノ炭素材料の形状の制御可能範囲は極めて狭いということができる。
このため、反応生成物から目的にあった形状を有するナノ炭素材料を分離、精製するには複雑な方法を用いることが必要となる。
したがって、ナノ炭素材料を分離、精製するために多大なコストを要するとともに、ナノ炭素材料を大量に生産することは困難である。
すなわち、上記の気相反応では、一般に、熱縮合によるミクロな炭素骨格の成長とマクロな全体構造の形成とが同時進行的に行われるため、製造の際のナノ炭素材料の形状の制御可能範囲は極めて狭いということができる。
このため、反応生成物から目的にあった形状を有するナノ炭素材料を分離、精製するには複雑な方法を用いることが必要となる。
したがって、ナノ炭素材料を分離、精製するために多大なコストを要するとともに、ナノ炭素材料を大量に生産することは困難である。
例えば、カーボンブラック等を製造する方法は、気相反応を用いるプロセスにおける唯一の量産可能な製造方法として周知である。
揮発性有機物を原料に、非接触熱分解の場合にはカーボンブラックが、接触熱分解では熱分解炭素が、それぞれ得られる。
揮発性有機物を原料に、非接触熱分解の場合にはカーボンブラックが、接触熱分解では熱分解炭素が、それぞれ得られる。
このとき、カーボンブラック等を生成する発生炉内の温度分布、ガス撹乱度合いあるいは炉内滞留時間などの条件を選ぶことで得られる反応生成物の粒径を制御することが可能である。しかしながら、このときの反応は燃焼反応に類似した気相での高温、高速反応であることから、反応生成物の構造を規制する要因の解析は容易ではなく、装置因子などを含め経験に基づいて製造している部分が大きい。したがって、目的とする形状のナノ炭素材料を得るために原料段階から好適に制御することは容易ではない
また、例えばカーボンブラックの場合、十数nm〜数百nmの粒径分布を有するナノ炭素と同程度の大きさを持つ粒子が融着・凝集して構造体(アグリゲート)を形成した炭素材料として得られ、ナノ粒子のナノ炭素材料を直接に得ることは難しい。
また、例えばカーボンブラックの場合、十数nm〜数百nmの粒径分布を有するナノ炭素と同程度の大きさを持つ粒子が融着・凝集して構造体(アグリゲート)を形成した炭素材料として得られ、ナノ粒子のナノ炭素材料を直接に得ることは難しい。
ところで、一般に、炭素材の製造方法は、上記の気相からの炭化法のほかに、液相(メソフェーズ)や固相からの炭化法がある。
液相法は、芳香族化合物の重縮合、架橋化あるいはメゾフェーズに代表される液晶プロセスから前駆体を形成し、炭化過程を経て炭素材料とするものである。炭素質メソフェーズを経由する方法では、粒子状の構造をもつ材料の制御を行うことは比較的容易であるが、その大きさは数μmから数百μmである。このため、ナノ炭素材料を直接かつ簡易に得る製造方法としては適当ではない。
一方、固相法は、原料段階の形状を維持したままで炭化が可能である。しかしながら、数nmの寸法のナノ炭素材料を得るためには原料の段階で対応する前駆体を調製することが必要であり、このための有効な調整法は知られていない。
上記のように、ナノ炭素材料の持つ形状を容易に制御し、また、ナノ炭素材料を安価に大量に生産することは従来の技術では困難である。
また、カーボンブラックの製造方法に代表されるように、従来の製造方法では経験から得られるパラメータを用いた製造技術によらざるを得ず、粒子等の寸法に代表される炭素材料の品質や特性は、製造装置やその運用方法に大きく依存するものである。
また、カーボンブラックの製造方法に代表されるように、従来の製造方法では経験から得られるパラメータを用いた製造技術によらざるを得ず、粒子等の寸法に代表される炭素材料の品質や特性は、製造装置やその運用方法に大きく依存するものである。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、新規なナノ炭素材料の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、ナノ炭素材料を安価で大量に生産することができる炭素材料の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、ナノ炭素材料を安価で大量に生産することができる炭素材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、所望の大きさと目的にあった形態をもったナノ炭素材料を容易に得るために、液相での自己組織化を可能にする分子集合体制御技術を用い、原料段階から形状を制御することを主要な特徴とする。
すなわち、本発明に係る炭素材料の製造方法は、多環芳香族化合物を主成分とする複合芳香族化合物と溶剤を配合した溶液中で該複合芳香族化合物を会合させてナノオーダーの分子会合体を生成する分子会合体生成工程と、
該分子会合体内において重合反応もしくは縮合反応させてまたはキレート化反応させて結合会合体を生成する結合会合体生成工程と、
該結合会合体を該溶剤から分離して取得する結合会合体取得工程と、
を有することを特徴とする。
該分子会合体内において重合反応もしくは縮合反応させてまたはキレート化反応させて結合会合体を生成する結合会合体生成工程と、
該結合会合体を該溶剤から分離して取得する結合会合体取得工程と、
を有することを特徴とする。
また、本発明に係る炭素材料の製造方法は、前記結合会合体を熱処理する熱処理工程をさらに有することを特徴とする。
また、本発明に係る炭素材料の製造方法は、前記分子会合体生成工程において、前記複合芳香族化合物として、石油系ピッチ、石炭系ピッチおよび石炭系タールのうちから選ばれる1つもしくは2以上の配合物、またはこれらの化学修飾体のうちのいずれかを用いることを特徴とする。
また、本発明に係る炭素材料の製造方法は、前記分子会合体生成工程において、前記溶剤として有機溶剤を用い、該有機溶剤の極性および芳香族性のいずれかひとつまたは双方を調整することを特徴とする。
また、本発明に係る炭素材料の製造方法は、前記分子会合体生成工程において、前記溶剤中の前記複合芳香族化合物の濃度を限界ミセル濃度以上にすることを特徴とする。
また、本発明に係る炭素材料の製造方法は、前記分子会合体生成工程において、前記溶液に超音波を照射することを特徴とする。
また、本発明に係る炭素材料の製造方法は、前記結合会合体生成工程において、光化学反応、重縮合反応、ラジカル重合反応または電磁波照射による熱反応により反応させることを特徴とする。
また、本発明に係る炭素材料の製造方法は、前記電磁波照射を行うときの電磁波がマイクロ波であることを特徴とする。
また、本発明に係る炭素材料の製造方法は、前記結合会合体生成工程において、塩素化合物または臭素化合物をさらに配合することを特徴とする。
また、本発明に係る炭素材料の製造方法は、前記結合会合体生成工程において、金属塩または金属錯体を配合して反応させることを特徴とする。
本発明に係る炭素材料の製造方法は、多環芳香族化合物を主成分とする複合芳香族化合物と溶剤を配合した溶液中で複合芳香族化合物を会合させてナノオーダーの分子会合体を生成し、分子会合体内において重合反応もしくは縮合反応させて、またはキレート化反応させて結合会合体を生成し、結合会合体を溶剤から分離して取得するため、いいかえれば、液相において原料段階で生成物の形状制御を行うため、望ましい形状のナノ炭素材料を得ることができる新規な炭素材料の製造方法が実現される。
また、本発明に係る炭素材料の製造方法によれば、ナノ炭素材料を容易に、また安価で大量に生産することができる。
また、本発明に係る炭素材料の製造方法によれば、ナノ炭素材料を容易に、また安価で大量に生産することができる。
本発明の実施の形態について、以下に説明する。
本発明に係る炭素材料の製造方法は、分子会合体生成工程と、結合会合体生成工程と、結合会合体取得工程とを有する。各工程は、基本的には順次進行するが、具体的な製造方法あるいは製造条件によっては、例えば分子会合体生成工程および結合会合体生成工程のように、明瞭に区別されることなく連続的に進行し、あるいは同一の領域、具体的には液相内で並列的に進行するものであってもよい。
これにより、ナノオーダーの寸法を有する炭素材料を得ることができる。この炭素材料は、未炭化の状態のものかあるいは炭化初期の状態のものであり、そのまま例えば吸着剤等の適宜の用途に用いることができる。
また、上記の炭素材料、すなわち、結合会合体を熱処理する熱処理工程をさらに設けて、炭化した炭素材料あるいは黒鉛化した炭素材料を得ることができる。これらの炭素材料は、例えば背景技術の項で触れた電気化学的な用途等に用いることができる。
これにより、ナノオーダーの寸法を有する炭素材料を得ることができる。この炭素材料は、未炭化の状態のものかあるいは炭化初期の状態のものであり、そのまま例えば吸着剤等の適宜の用途に用いることができる。
また、上記の炭素材料、すなわち、結合会合体を熱処理する熱処理工程をさらに設けて、炭化した炭素材料あるいは黒鉛化した炭素材料を得ることができる。これらの炭素材料は、例えば背景技術の項で触れた電気化学的な用途等に用いることができる。
上記のように、本発明に係る炭素材料の製造方法は、液相での自己組織化を可能にする分子集合体制御技術を用い、いわば液相炭化法により原料段階から形状を制御して炭素材料を得るものである。
そして、さらに、固相炭化法により、上記の制御された形状を保持しつつ炭化あるいは黒鉛化された炭素材料を得るものである。
以下、各工程について詳細に説明する。
そして、さらに、固相炭化法により、上記の制御された形状を保持しつつ炭化あるいは黒鉛化された炭素材料を得るものである。
以下、各工程について詳細に説明する。
分子会合体生成工程では、多環芳香族化合物を主成分とする複合芳香族化合物と溶剤を配合した溶液中で複合芳香族化合物を会合させてナノオーダーの分子会合体を生成する。
ここで、複合芳香族化合物とは、多環芳香族化合物を主成分とし、さらに脂肪族化合物、脂環式化合物、含窒素炭化水素化合物、含酸素炭化水素化合物あるいは含硫黄炭化水素化合物等を含む複合化合物を本明細書において定義したものである。
このような複合芳香族化合物として、石油系ピッチ、石炭系ピッチおよび石炭系タールを挙げることができる。本発明では、複合芳香族化合物として、これら石油系ピッチ等を単独で用いてもよく、あるいは複数を配合して用いてもよい。
このような複合芳香族化合物として、石油系ピッチ、石炭系ピッチおよび石炭系タールを挙げることができる。本発明では、複合芳香族化合物として、これら石油系ピッチ等を単独で用いてもよく、あるいは複数を配合して用いてもよい。
また、複合芳香族化合物として、上記石油系ピッチ等の化学修飾体あるいは上記石油系ピッチ等の配合物の化学修飾体を用いてもよい。
これらの化学修飾体は、石油系ピッチ等にアルキル化反応もしくは脱アルキル化反応、アシル化反応、水素添加反応またはヒドロキシル化反応等を施すことで得ることができる。
これらの化学修飾体は、石油系ピッチ等にアルキル化反応もしくは脱アルキル化反応、アシル化反応、水素添加反応またはヒドロキシル化反応等を施すことで得ることができる。
溶剤は、好ましくは、有機溶剤を用いる。
本発明の分子会合体を生成する第一の方法は、溶剤として有機溶剤を用い、有機溶剤の極性または芳香族性のいずれか、あるいは両方を調整して、言い換えれば、極性−非極性、芳香族性−脂肪族性のバランスを調整して、複合芳香族化合物の会合体の形成およびその寸法を制御するものである。
有機溶剤は、極性溶媒または非極性溶媒を適宜選択して用いることができる。さらに、極性溶媒または非極性溶媒のなかで脂肪族溶媒または芳香族溶媒を適宜選択して用いることができる。
極性溶媒のうち脂肪族溶媒としては、例えば脂肪族アルコール、脂肪族アミン、クロロホルム、塩化メチレン等を挙げることができる。
極性溶媒のうち芳香族溶媒としては、例えばピリジン、(α,β,γ)ピコリン、ニトロベンゼン、アニリン、フェノール等を挙げることができる。
非極性溶媒のうち脂肪族溶媒としては、例えばヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等を挙げることができる。
非極性溶媒のうち芳香族溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、ナフタレン、メチルナフタレン等を挙げることができる。
極性溶媒のうち脂肪族溶媒としては、例えば脂肪族アルコール、脂肪族アミン、クロロホルム、塩化メチレン等を挙げることができる。
極性溶媒のうち芳香族溶媒としては、例えばピリジン、(α,β,γ)ピコリン、ニトロベンゼン、アニリン、フェノール等を挙げることができる。
非極性溶媒のうち脂肪族溶媒としては、例えばヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等を挙げることができる。
非極性溶媒のうち芳香族溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、ナフタレン、メチルナフタレン等を挙げることができる。
つぎに、本発明の分子会合体を生成する第二の方法は、溶剤中の複合芳香族化合物の濃度を限界ミセル濃度以上にして、複合芳香族化合物の会合体の形成およびその寸法を制御するものである。
例えば、石油系ピッチを有機溶剤に徐々に添加し、粘度を連続的に測定して、粘度が非連続に大きく変化するときの石油系ピッチの濃度を把握する。このときの濃度、言うなれば臨界会合濃度を境にして溶液の性状は顕著に変化し、低濃度側および高濃度側の双方で分子会合体を得ることができる。
つぎに、本発明の分子会合体を生成する第三の方法は、複合芳香族化合物を溶剤に溶解した溶液に超音波を照射して複合芳香族化合物の会合体の形成およびその寸法を制御するものである。
このような作用は、水溶液系界面活性剤の挙動として周知のものである。
このような作用は、水溶液系界面活性剤の挙動として周知のものである。
以上説明した第一ないし第三のいずれかの方法により、ナノオーダーの寸法の複合芳香族化合物からなる分子会合体を得ることができる。
また、これら第一ないし第三の方法とは別に、液相の温度や圧力を制御することによっても好適に分子会合体を得ることができる。このとき、第一ないし第三の方法と溶液の温度や圧力を制御する方法を組み合わせて用いてもよい。
また、これら第一ないし第三の方法とは別に、液相の温度や圧力を制御することによっても好適に分子会合体を得ることができる。このとき、第一ないし第三の方法と溶液の温度や圧力を制御する方法を組み合わせて用いてもよい。
つぎに、結合会合体生成工程では、分子会合体内で重合反応もしくは縮合反応させて、またはキレート化反応させて結合会合体を生成する。
結合会合体は、分子会合内の多環芳香族化合物間で反応することで、分子会合体が固定化され、分子会合体の形態が安定して保持される。
結合会合体は、分子会合内の多環芳香族化合物間で反応することで、分子会合体が固定化され、分子会合体の形態が安定して保持される。
まず、分子会合体内で重合反応もしくは縮合反応させて結合会合体を得る方法について説明する。この場合、分子会合内の分子が共有結合を生成する。
例えば、放射線の使用を含め、多環芳香族化合物がイオン化しやすい性質を利用して分子会合体内の多環芳香族化合物の分子を酸化還元反応させる、あるいはラジカル反応させる光化学反応を用いることができる。
また、多環芳香族化合物にエポキシ基を導入したものに開始剤となる超強酸、ルイース酸あるいは適当なアミン化合物を添加して重縮合させてもよい。
また、多環芳香族化合物にビニル基を導入したものに過酸化物を添加してラジカル重合反応させてもよい。
また、多環芳香族化合物にエポキシ基を導入したものに開始剤となる超強酸、ルイース酸あるいは適当なアミン化合物を添加して重縮合させてもよい。
また、多環芳香族化合物にビニル基を導入したものに過酸化物を添加してラジカル重合反応させてもよい。
また、分子会合体が分散する溶液にマイクロ波を照射することにより、極小空間で分子会合体のみを急速に加熱して熱反応させ、分子会合体内の多環芳香族化合物を環化、縮合化させ、あるいは多環芳香族化合物の芳香族環を成長させて、結合会合体を得ることができる。このとき、条件によっては、さらに分子会合体の形態がそのまま保持された状態で炭化まで進んだ生成物を得ることができる。
なお、マイクロ波に代えて、放射線、電子線、紫外光あるいは可視光等の電磁波を用いてもよい。
なお、マイクロ波に代えて、放射線、電子線、紫外光あるいは可視光等の電磁波を用いてもよい。
また、以上説明した結合会合体生成工程の各方法において、塩素化合物または臭素化合物をさらに配合すると、分子会合体の内部での多環芳香族化反応を促進することができて、好適である。
また、結合会合体生成工程において、分子会合体内でキレート化反応させて、分子会合内の多環芳香族化合物間で配位結合を生成して結合会合体を得てもよい。
すなわち、分子会合体内の多環芳香族化合物の有する水酸基、チオール基あるいはアミノ基と配位する金属塩または金属錯体を選択して配合して、多環芳香族化合物をキレート化反応させて結合会合体を生成することができる。
すなわち、分子会合体内の多環芳香族化合物の有する水酸基、チオール基あるいはアミノ基と配位する金属塩または金属錯体を選択して配合して、多環芳香族化合物をキレート化反応させて結合会合体を生成することができる。
また、分子会合体生成工程あるいは結合会合体生成工程の適宜の工程において、金属イオンや金属錯体を用いるときに、それらの濃度を調整して、金属原子/炭素原子比を例えば10−6〜10−3程度にすることで、金属を担持した炭素材料を最終生成物として得ることができる。
以上説明した各工程を経て得られる分子会合体は、先に説明したように、未炭化状態のあるいは炭化初期状態の炭素材料である、
上記の分子会合体をさらに結合会合体取得工程において結合会合体を溶剤から分離して結合会合体を取得し、ついで炭素材料生成工程において結合会合体を熱処理することで、炭素化しさらには黒鉛化した炭素材料を得ることができる。
ここで、結合会合体を溶剤から分離する方法は、例えばろ過や遠心分離等の固体分離法や、ゲルろ過や膜分離等の分子ふるい的な分離法等の適宜の方法を用いることができる。
また、結合会合体を含む溶液に貧溶媒を加えて結合会合体の沈殿を回収し、または蒸留により溶液中の溶剤を留去して結合会合体を得る方法を用いてもよい。このとき、さらに、良溶媒で結合会合体を洗浄し、または良溶媒および貧溶媒を用いて結合会合体を再沈させて未反応多環芳香族化合物を除去する。
得られる結合会合体は、さらに乾燥処理される。
また、結合会合体を含む溶液に貧溶媒を加えて結合会合体の沈殿を回収し、または蒸留により溶液中の溶剤を留去して結合会合体を得る方法を用いてもよい。このとき、さらに、良溶媒で結合会合体を洗浄し、または良溶媒および貧溶媒を用いて結合会合体を再沈させて未反応多環芳香族化合物を除去する。
得られる結合会合体は、さらに乾燥処理される。
結合会合体を熱処理して炭素材料を生成する方法は、例えば200〜3000℃の温度で加熱処理して結合会合体を炭化しあるいは黒鉛化する周知の方法を用いることができる。
なお、このとき、金属を担持した炭素材料を得るには、目的生成物に応じた適当な雰囲気下で、例えば500〜3000℃の温度で熱処理を行う。これにより、金属、金属酸化物あるいは金属窒化物を含む炭素材料を得ることができる。
なお、このとき、金属を担持した炭素材料を得るには、目的生成物に応じた適当な雰囲気下で、例えば500〜3000℃の温度で熱処理を行う。これにより、金属、金属酸化物あるいは金属窒化物を含む炭素材料を得ることができる。
本発明の製造法により得られる炭素材料は、会合条件あるいは熱処理条件に応じて、粒子状、ロッド状、繊維状、ディスク状の構造、ネットワーク構造あるいはシート構造の適宜の形態をとりえる。
ここで、本発明の炭素材料の製造方法の一例について、より詳細に説明する。
原油を500℃で減圧蒸留した残油をトルエンに溶解し、ろ過により不溶部を除去したろ液から溶媒を除いて濃縮し、n−ヘプタンを加えて放置して得られる沈殿をろ過により回収する。
沈殿を乾燥した後、これをデカリン、1−メチルナフタレン、キノリンあるいはこれらの混合溶液1gに0.1mg〜100mg溶解し、各濃度での溶液の相対粘度を測定して、相対粘度が非連続的に大きく変化する濃度を求め臨界会合濃度を得る。複数の臨界会合濃度の上下の濃度領域で、それぞれ数nmから数μmのサイズを持つ結合会合体が存在する。
このとき、疎水性対イオンを有する金属イオン、もしくはポルフィリン化合物、あるいはフタロシアニン化合物、あるいはメタロセン化合物などの疎水性金属錯体を金属原子/炭素原子比10−6から10−3程度になるように添加することで、金属を担持した結合会合体であるナノ炭素材料の原料を調整することができる。
このとき、疎水性対イオンを有する金属イオン、もしくはポルフィリン化合物、あるいはフタロシアニン化合物、あるいはメタロセン化合物などの疎水性金属錯体を金属原子/炭素原子比10−6から10−3程度になるように添加することで、金属を担持した結合会合体であるナノ炭素材料の原料を調整することができる。
臨界会合濃度以上の濃度になっている溶液をシール可能で耐圧製のガラス容器に移し、化学反応用のマイクロ波照射装置内に設置し、マイクロ波を照射する。そして、溶液を一部サンプリングして、ゲルクロマトグラフにより分子量が10,000以上のものの比率が変化しなくなることを確認したところで、マイクロ波の照射を終了する。照射時間は、照射エネルギー、溶液量、照射装置のキャビティによって変動するが、概ね数分から十数分である。
溶液を室温まで十分冷却した後、容器に中に沈殿を生じもしくは溶液が懸濁した場合にはこれらをろ過により除去し、溶液から溶媒を留去して残留物を得る。これにクロロホルムを加え70℃に加温しながら攪拌して、固体を分散洗浄し、保温しながらろ過することにより未反応複合芳香族化合物を除去して、結合会合体を得る。
固体を乾燥した後、炭化もしくは黒鉛化に必要な温度である200℃〜3000℃で加熱して、目的である数nm〜数μmの径を有する炭素材料を得る。また、金属イオンを添加した系では還元雰囲気化で200℃〜3000℃で加熱することにより、金属を担持したナノ炭素材料を得る。
本発明の炭素材料の製造方法は、溶液中での多環芳香族化合物の分子会合体を固定化しナノ炭素材料もしくはその前駆体を調整することで、従来法に比べより形状の制御が容易になる。また、溶液法であるため、製造装置やプロセスが簡略化され量産が容易である。
このため、リチウム二次電池負極材、燃料電池触媒もしくは燃料電池用担体、キャパシタ、水素吸蔵材あるいは高性能吸着剤などに利用可能な高機能性ナノ炭素材料を安価にかつ大量に供給することができる。
このため、リチウム二次電池負極材、燃料電池触媒もしくは燃料電池用担体、キャパシタ、水素吸蔵材あるいは高性能吸着剤などに利用可能な高機能性ナノ炭素材料を安価にかつ大量に供給することができる。
Claims (10)
- 多環芳香族化合物を主成分とする複合芳香族化合物と溶剤を配合した溶液中で該複合芳香族化合物を会合させてナノオーダーの分子会合体を生成する分子会合体生成工程と、
該分子会合体内において重合反応もしくは縮合反応させてまたはキレート化反応させて結合会合体を生成する結合会合体生成工程と、
該結合会合体を該溶剤から分離して取得する結合会合体取得工程と、
を有することを特徴とする炭素材料の製造方法。 - 前記結合会合体を熱処理する熱処理工程をさらに有することを特徴とする請求項1記載の炭素材料の製造方法。
- 前記分子会合体生成工程において、前記複合芳香族化合物として、石油系ピッチ、石炭系ピッチおよび石炭系タールのうちから選ばれる1つもしくは2以上の配合物、またはこれらの化学修飾体のうちのいずれかを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の炭素材料の製造方法。
- 前記分子会合体生成工程において、前記溶剤として有機溶剤を用い、該有機溶剤の極性および芳香族性のいずれかひとつまたは双方を調整することを特徴とする請求項1または2に記載の炭素材料の製造方法。
- 前記分子会合体生成工程において、前記溶剤中の前記複合芳香族化合物の濃度を限界ミセル濃度以上にすることを特徴とする請求項1または2に記載の炭素材料の製造方法。
- 前記分子会合体生成工程において、前記溶液に超音波を照射することを特徴とする請求項1または2に記載の炭素材料の製造方法。
- 前記結合会合体生成工程において、光化学反応、重縮合反応、ラジカル重合反応または電磁波照射による熱反応により反応させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の炭素材料の製造方法。
- 前記電磁波照射を行うときの電磁波がマイクロ波であることを特徴とする請求項7記載の炭素材料の製造方法。
- 前記結合会合体生成工程において、塩素化合物または臭素化合物をさらに配合することを特徴とする請求項7または8に記載の炭素材料の製造方法。
- 前記結合会合体生成工程において、金属塩または金属錯体を配合して反応させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の炭素材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004061626A JP2005248045A (ja) | 2004-03-05 | 2004-03-05 | 炭素材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004061626A JP2005248045A (ja) | 2004-03-05 | 2004-03-05 | 炭素材料の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005248045A true JP2005248045A (ja) | 2005-09-15 |
Family
ID=35028834
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004061626A Pending JP2005248045A (ja) | 2004-03-05 | 2004-03-05 | 炭素材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005248045A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104531193A (zh) * | 2014-12-19 | 2015-04-22 | 重庆鹏方交通科技股份有限公司 | 一种从沥青混合料中回收沥青的方法 |
CN113292071A (zh) * | 2021-05-16 | 2021-08-24 | 江苏筑原生物科技研究院有限公司 | 一种焦油碳的制备及其在氮气还原中的应用 |
-
2004
- 2004-03-05 JP JP2004061626A patent/JP2005248045A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104531193A (zh) * | 2014-12-19 | 2015-04-22 | 重庆鹏方交通科技股份有限公司 | 一种从沥青混合料中回收沥青的方法 |
CN113292071A (zh) * | 2021-05-16 | 2021-08-24 | 江苏筑原生物科技研究院有限公司 | 一种焦油碳的制备及其在氮气还原中的应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Xia et al. | Evolution and synthesis of carbon dots: from carbon dots to carbonized polymer dots | |
CN110248731B (zh) | 用于氧还原反应的源自废生物质的无金属催化剂 | |
Pol | Upcycling: converting waste plastics into paramagnetic, conducting, solid, pure carbon microspheres | |
Yuan et al. | Preparation of pitch-based carbon microbeads by a simultaneous spheroidization and stabilization process for lithium-ion batteries | |
Yao et al. | Polymerization from the surface of single-walled carbon nanotubes− preparation and characterization of nanocomposites | |
Singh et al. | Organic functionalisation and characterisation of single-walled carbon nanotubes | |
US8920680B2 (en) | Methods of preparing carbonaceous material | |
Bao et al. | Biochar derived from pyrolysis of oily sludge waste: Structural characteristics and electrochemical properties | |
WO2006109497A1 (ja) | メソカーボンマイクロビーズの製造方法 | |
WO2015050352A1 (ko) | 탄소나노튜브 그래핀 복합체 제조방법 및 이에 의해 제조된 탄소나노튜브 그래핀 복합체 | |
MX2007013303A (es) | Metodo para procesamiento adicional de residuo obtenido durante la produccion de fulereno y nanoestructuras de carbono. | |
Yu et al. | Double functions of chlorinated carbon nanotubes in its combination with Ni2O3 for reducing flammability of polypropylene | |
CN107720721A (zh) | 中间相炭微球及其制备方法 | |
Cheng et al. | Carbonization behavior and mesophase conversion kinetics of coal tar pitch using a low temperature molten salt method | |
Xue et al. | Sustainable and recyclable synthesis of porous carbon sheets from rice husks for energy storage: A strategy of comprehensive utilization | |
Luo et al. | Preparation of monodispersed hollow carbon spheres by direct pyrolysis of coal-tar pitch in the presence of aluminum isopropoxide | |
Qin et al. | Functional carbon dots from a mild oxidation of coal liquefaction residue | |
Saha et al. | Sustainable production of graphene from petroleum coke using electrochemical exfoliation | |
Jia et al. | Upcycling Waste Polyethylene into Carbon Nanomaterial via a Carbon‐Grown‐on‐Carbon Strategy | |
Kamali et al. | Molten salt-assisted valorization of waste PET plastics into nanostructured SnO2@ terephthalic acid with excellent Li-ion storage performance | |
Lin et al. | A microwave-assisted, solvent-free approach for the versatile functionalization of carbon nanotubes | |
Mwenya et al. | The detailed evolution of carbon spheres by hydrothermal method | |
Akbar et al. | Synthesis of polyethylene‐grafted multiwalled carbon nanotubes via a peroxide‐initiating radical coupling reaction and by using well‐defined TEMPO and thiol end‐functionalized polyethylenes | |
US20240026225A1 (en) | Using stimulus to convert coal to mesophase pitch and carbon fibers | |
CN108682835A (zh) | 一种Si/C纳米复合阳极材料及其制备方法和应用 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070115 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20091130 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100310 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100628 |