JP2005247697A - アミノアリルアミノベンザゾールの製造方法およびその誘導体 - Google Patents

アミノアリルアミノベンザゾールの製造方法およびその誘導体 Download PDF

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Abstract

【課題】廃液の問題や重合したポリマー中の残存イオンによる問題を解決できるアミノアリルアミノベンザゾールの製造方法の提供。
【解決手段】特定のニトロ芳香族カルボン酸と特定のニトロ芳香族アミン誘導体を反応させ、特定のアミド化合物を形成する工程と、上記特定のアミド化合物を加熱して閉環させることにより特定のニトロアリルニトロベンザゾール化合物を形成する工程と、上記特定のニトロアリルニトロベンザゾール化合物を還元する工程からなる化学式1で表されるアミノアリルアミノベンザゾールの製造方法。
Figure 2005247697

(XはNH、S、Oのいずれかを示す。)
【選択図】なし

Description

本発明はアミノアリルアミノベンザゾール化合物の製造方法に関する。また、本発明の方法により得られたアミノアリルアミノベンザゾール化合物を用いて製造されるポリマーに関する。
アミノアリルアミノベンザゾールの合成法は、J.Het.Chem.,Vol.79,p.119(1969)で開示されている他、米国特許第5,567,843号、米国特許第5,739,344号に開示されている。この中で、米国特許第5,739,344号の方法は、2−アミノ−4−ニトロフェノールとp−ニトロベンゾイルクロライドを用いる方法であるが、反応のステップが少なく、収率もよい方法である。
米国特許第5,567,843号 米国特許第5,739,344号 J.Het.Chem.,Vol.79,p.119(1969)
しかし、この方法では、酸クロライドとアミンの反応によって塩酸が発生するため、装置を耐食材で構成する必要がある。また、塩酸を中和するためにピリジンやトリエチルアミンなどの塩基を加えた場合には、除去するための工程が必要になる。加えて閉環反応にポリリン酸のようなリン酸化合物を使用しているが、この反応においても装置の耐食化が必要になる上に、リン酸の使用は廃液処理にも問題が出てくる。米国特許第5,567,843号においてもオキシムを合成する工程で塩酸が発生するので同様の問題を抱えている。また、J.Het.Chem.,Vol.79,p.119(1969)では溶媒にポリリン酸を使うために大量にリン酸廃液が出る問題がある。
さらに、アミノアリルアミノベンザゾールを用いて合成されたポリマーに残留するイオンも用途によっては問題がある。電子材料用途では、ポリマーに残留するハロゲンイオンやリン酸イオンは様々な問題を引き起こすことが予想され、可能な限り低減することが必要になっている。よって、合成段階で廃酸がでなく、得られるポリマー中の残存イオンも少ない製造方法の開発が望まれていた。
本発明は、ポリリン酸の廃液の問題が無く、得られるポリマー中の残存イオンも少ないアミノアリルアミノベンザゾールの製造方法を提供することを目的とする。特に電子材料用途に好適なポリイミドの原料に使用できるアミノアリルアミノベンザゾールの製造方法を提供することを目的とする。
そこで本発明者らは、上記課題に対して検討を行い本発明を完成した。すなわち、本発明は、下記(1)から(3)の工程からなる、化学式1で表されるアミノアリルアミノベンザゾールの製造方法である。
(1)化学式2で表されるニトロ芳香族カルボン酸およびそのベンゾトリアゾールエステルと化学式3で表される芳香族化合物を反応させ、化学式4で表されるアミド化合物を形成する工程、
(2)化学式4で表されるアミド化合物を加熱して閉環させることにより化学式5で表されるニトロアリルニトロベンザゾール化合物を形成する工程、
(3)化学式5で表されるニトロアリルニトロベンザゾール化合物を還元して化学式1で表されるアミノアリルアミノベンザゾールを形成する工程。
Figure 2005247697
Figure 2005247697
Figure 2005247697
Figure 2005247697
Figure 2005247697
化学式1〜5において、Ar1、Ar2はベンゼン、ナフタレン、ビスフェニルを示し、互いに同じでも異なっていても良い。XはNH、S、Oのいずれかを示す。XHとNH2は互いにオルト位に結合している。
本発明の方法により得られたアミノアリルアミノベンザゾールは、製造工程でポリリン酸の廃液の問題が無いというメリットの他に、塩素イオンや、リン酸イオンのような残留イオンが少なく、電子材料用途に適したポリマーを製造することが出来る。
本発明の製造方法によれば、製造工程でのポリリン酸の廃液の問題が無く、重合して得られるポリマー中の残存イオンも少ないので、特に電子材料用途を中心にポリイミドなどの原料モノマーとして好適に使用できる。
本発明の第一工程(1)では、化学式2で表されるニトロ芳香族カルボン酸およびそのベンゾトリアゾールエステルと化学式3で表される芳香族化合物を反応させる。ニトロ芳香族カルボン酸化合物の具体例としては3−ニトロ安息香酸、4−ニトロ安息香酸、3−メチル−4−ニトロ安息香酸、2−ニトロナフタレン−6−カルボン酸などが挙げられるが、特に3−ニトロ安息香酸、4−ニトロ安息香酸は入手しやすく、反応溶媒への溶解度も良好で好適である。
化学式3で表される芳香族化合物の具体例としては、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、1,2−ジアミノ−4−ニトロフェノール、1,2−ジアミノ−5−ニトロフェノール、2−アミノ−4−ニトロベンゼンチオール、2−アミノ−5−ニトロベンゼンチオール、2−アミノ−5−ニトロナフトール、2−アミノ−6−ニトロナフトール、4−ニトロビフェニルカルボン酸等が挙げられるが、特に、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノールが、ポリイミドベンゾオキサゾールポリマーにした時の機械的特性が良くなるので好適である。
第一工程(1)で使用される溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾロン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、m−ジクロロベンゼンなどが挙げられる。
反応圧力は、特に限定されず、一般に大気圧で反応させる場合が多いが、反応促進のために加圧下で行っても良い。
反応温度は、反応が進行しうる温度であれば特に限定されないが、50℃以上であることが普通である。反応温度を上げれば、反応時間を短縮することが出来るので有利であるが、温度を上げ過ぎると、原料の分解など望ましくない副反応が増えるために上限は300℃程度である。好ましくは100〜250℃である。
このアミド化の反応は無触媒でも可能であるが、触媒を使用すれば、反応温度を下げることが出来、より高品質な化合物を得ることが出来る。触媒としては請求項4に記載のごとく酸化合物の使用が好ましい。酸化合物としては、p−トルエンスルホン酸やホウ酸のようなプロトン酸であっても良いし、トリス−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボロキシンなどのようなルイス酸であっても良い。また、両者を併用しても良い。特にトリス−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボロキシンは使用量が少なく、比較的低温で反応が進行するので好ましい。
アミド化反応の際に発生する水は、精留法で精留し除去してもよいし、反応系内にモレキュラーシーブ等の溶媒に溶解しない脱水剤を加えても良い。また、水と共沸する溶媒を併用し共沸により除去しアミド化反応を促進しても良い。
本発明の第二工程(2)では、化学式4で表されるアミド化合物を加熱して閉環させることにより化学式5で表されるニトロアリルニトロベンザゾール化合物を形成させる。反応溶媒は第一工程(1)と同じものが使用出来、第一工程(1)に引き続いて連続的に行うことができるが、一旦アミド化合物を単離して分けても良い。
第一工程(1)と引き続いて行う場合、アミド化の触媒は閉環反応の触媒としても作用するので除去する必要はない。加熱する温度は、150℃以上が好ましく、さらにアミド化の温度よりも30℃以上高いことが好ましい。
反応溶液からニトロアリルニトロベンザゾール化合物を取り出すには、水のような貧溶媒を反応溶液に加えて、ニトロアリルニトロベンザゾール化合物を析出させても良いし、溶媒を溜去して、ニトロアリルニトロベンザゾール化合物を乾固しても良い。
得られたニトロアリルニトロベンザゾール化合物は、精製せずに次の第三工程(3)に用いても良いが、必要により精製を行ってもよい。精製は、従来公知の再結晶やカラムクロマトグラフィー、昇華などの方法によって行うことが出来る。
本発明の第三工程(3)では、ニトロアリルニトロベンザゾール化合物を還元してアミノアリルアミノベンザゾールを形成させる。鉄粉還元、塩化第一スズによる還元も可能であるが、パラジウム担持炭素、白金担持炭素を触媒として用いた水添反応が、金属コンタミの残留が少なく好ましい。
溶媒は、反応を阻害せず、アミノアリルアミノベンザゾールを溶解する溶媒であれば特に限定されないが、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が好ましい。
還元反応により生成したアミノアリルアミノベンザゾールは、必要により再結晶やカラムクロマトグラフィーにより精製しても良い。
本発明における第2の発明は、請求項5に記載のごとく、前記した2−アミノアリルアミノベンゾオキサゾールとピロメリット酸無水物またはビスフェニルテトラカルボン酸無水物等のテトラカルボン酸無水物を反応させて得たポリイミドベンゾオキサゾールポリマーである。該ポリイミドベンゾオキサゾールポリマーの製造法は限定なく任意である。例えば、2−アミノアリルアミノベンゾオキサゾールとピロメリット酸無水物またはビスフェニルテトラカルボン酸無水物等のテトラカルボン酸無水物を反応させて得たポリアミド酸溶液を、支持体に塗布・乾燥してグリーンフィルムと成し、さらに支持体上で、あるいは支持体から剥がした状態でグリーンフィルムを高温熱処理することにより脱水閉環反応を行うことによって得られる物である。
本発明において用いられるテトラカルボン酸無水物は芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2005247697
ピロメリット酸無水物
Figure 2005247697
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物
Figure 2005247697
4,4’−オキシジフタル酸無水物
Figure 2005247697
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物
Figure 2005247697
3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物
Figure 2005247697
2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸無水物
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%以下であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上を併用しても構わない。用いられるテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6ラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等である。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独でも二種以上を用いることも可能である。
また、本発明の線状ポリイミドまたは線状ポリアミド酸の分子末端を炭素−炭素二重結合を有する末端基で封止するために無水マレイン酸等を用いることが出来る。無水マレイン酸の使用量は、芳香族ジアミン成分1モル当たり0.001〜1.0モル比である。
本発明で使用する極性有機溶剤としては、原料モノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、例えば,N−メチル−2−ピロリドン,N−アセチル−2−ピロリドン,N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジエチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,ジメチルスルホキシド,ヘキサメチルホスホリックアミド,エチルセロソルブアセテート,ジエチレングリコールジメチルエーテル,スルホラン,ハロゲン化フェノール類等があげられ,これらの溶媒は,単独あるいは混合して使用することができる。極性有機溶媒の使用量は,仕込みモノマーを溶解するのに十分な量であればよく,通常は5〜50重量%であり,好ましくは10〜20重量%の固形分を含むものであればよい。
本発明で用いるポリアミド酸の有機溶媒溶液は、固形分を好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%を含有するものであって、またその粘度はブルックフィールド粘度計による測定で10〜2000Pa・s、好ましくは100〜1000Pa・sのものが、安定した送液が可能であることから好ましい。重合反応は、有機溶媒中で撹拌および/または混合しながら、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して進められるが、必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両反応体の添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効な方法である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封鎖剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。
本発明で使用される閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミンおよびイソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどの複素環式第3級アミンなどが挙げられるが、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンを使用するのが好ましい。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効な方法である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封鎖剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。
本発明では閉環触媒を用いても良い。本発明で使用される閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミンおよびイソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどの複素環式第3級アミンなどが挙げられるが、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンを使用することが好ましい。
本発明で使用される脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などの脂肪族カルボン酸無水物、および無水安息香酸などの芳香族カルボン酸無水物などが挙げられるが、無水酢酸および/または無水安息香酸が好ましい。ポリアミド酸に対する閉環触媒の含有量は、閉環触媒の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が0.5〜8となる範囲が好ましい。また、ポリアミド酸に対する脱水剤の含有量は、脱水剤の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が0.1〜4となる範囲が好ましい。尚、この場合には、アセチルアセトンなどのゲル化遅延剤を併用してもよい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、実施例中で示される特性は、以下の方法で測定・評価したものである。
(1)塩素原子含有量
酸素フラスコ燃焼法で燃焼させた残渣をイオンクロマト法で展開し定量した。
(2)リン原子含有量
酸化分解法で分解し、モリブテンブルー比色法で定量した。
(3)引張強さ、引張弾性率および伸度
JIS K−7327に準拠して、フィルムを長さ100mm、幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、引張試験機(島津製作所製、オートグラフ機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmで引張試験をおこない、引張強さ、引張弾性率、伸度を測定した。
(4)熱分解開始温度(Td)
パーキン・エルマー社製TGAを用いて,窒素気流下,20℃/分で昇温し,熱分解開始温度を測定することにより耐熱性を評価した。
(5)融点
試料を下記条件でDSC測定し、融点(融解ピーク温度Tpm)をJIS K 7121に準拠して求めた。
(DSC測定条件)
装置名 ; MacScience社製DSC3100
パン ; アルミパン(非気密型)
試料重量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min.
雰囲気 ; アルゴン
(6)比誘電率
JIS−C2151−1990「電気用プラスチックフィルム試験方法」に準拠して測定した。
<2−(4−アミノフェニル)−5アミノベンズオキサゾールの製造>
(実施例1)
ディーンスタークと攪拌翼、窒素の吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、4−ニトロ安息香酸50gと2−アミノ−4−ニトロフェノール46g、ジクロロベンゼン1200mlを加え、さらに触媒として、トリス−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボロキシンを500mg加えた。80℃で4時間攪拌した後、温度を上げて、リフラックスさせた。溜出した水を徐々に抜きながら反応を進め、水の発生が無くなるまで反応を続け、その後室温まで冷却した。析出した結晶をろ過により捕集した。融点は、255℃でこの化合物は1H−NMR分析およびIR分析より2−(4−ニトロフェニル)−5−ベンゾオキサゾールと同定された。
この2−(4−ニトロフェニル)−5−ベンゾオキサゾール30g、5%パラジウムカーボン400mg、ジオキサン300mlを加圧可能な反応装置に入れ、窒素で十分に置換した後、水素で10kgf/cm2に加圧し、攪拌しながら、60℃で18時間反応させた。抜圧、放冷後、ろ過により触媒を除去し、溶媒を溜去した。得られた固形物をメタノールで再結晶して、2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンズオキサゾールを得た。融点は230℃であった。本方法で得られた2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンズオキサゾールの塩素およびリン原子の含有量はそれぞれ5ppm以下であった。
(比較例1)
リービッヒ冷却管、攪拌装置を備えた3つ口フラスコに、2−アミノ−4−ニトロフェノー46.2g、ジエチレングリコールジメチルエーテル1250mlを加えて溶解した。そこへ4−ニトロベンゾイルクロライド57gをジエチレングリコールジメチルエーテル250mlに溶解して加えた。120℃に加熱して1時間攪拌した後、90gのポリリン酸を加えた。150℃に加熱して、さらに1時間加熱攪拌した。110℃に温度を下げ、500mlの水をゆっくりと滴下した後、室温まで冷却し、析出した沈殿物をろ過により捕集した。500mlの水、ついで300mlのメタノールで洗浄し風乾した。この化合物の融点は254℃であった。
このようにして得た2−(4−ニトロフェニル)−5−ベンゾオキサゾール30gと10%パラジウム炭素300mg、エトキシエタノール300mlをオートクレーブに投入し、十分に窒素置換した後、水素で3.5kgf/cm2に加圧した。70℃で12時間加熱した後、10kgf/cm2に水素で加圧し、90℃で12時間反応させた。水素を排気した後、窒素気流下でろ過により触媒を除去した。溶媒を100ml溜去した後、100mlの水を加え室温まで冷却し、析出した結晶をろ過により捕集した。結晶を水で洗った後、50mlのメタノールで洗浄し、乾燥した。この化合物は1H−NMR分析およびIR分析より2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンズオキサゾールと同定され、融点は228℃であった。実施例1で得られた製品ほぼ同等の特性のものが得られたが、本方法で得られた2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンズオキサゾールには、塩素およびリン原子がそれぞれ1500および2000ppm含まれており、この点で劣っていた。また、本方法はオキサゾール環形成の脱水反応時にポリリン酸を使用しており、この反応装置の耐食化が必要になる上に、リン酸の使用は廃液処理にも問題が出てくる点においても劣っていた。
<ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの製造>
(実施例2)
実施例1で製造した2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンズオキサゾール22.52gとピロメリット酸無水物21.82g、およびN−メチル−2−ピロリドン300gを窒素導入管,温度計、攪拌装置を備えた1リットル3つ口フラスコに装入し、氷冷下で攪拌しながら10時間反応させ、さらに室温で30時間反応させた。得られたポリイミドベンゾオキサゾール前駆体ポリマーの還元粘度ηsp/CはN−メチル−2−ピロリドン中25℃で測定すると、4.8dl/gであり、高重合度であった。
この前駆体ポリマーをガラス板上にフィルムアプリケーターを用いてキャストし,80℃で1時間乾燥した後、ガラス板より剥離し、固定枠に挟んで窒素雰囲気下、300℃で2時間加熱することにより褐色のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを得た。
得られたフィルムにつき,性能を測定したところ、引張強さ、引張弾性率、伸度はそれぞれ0.29GPa、7.7GPa、20%、熱分解開始温度は570℃であった。比誘電率はε’=2.9と低く、電子材料用として有用であることが示された。
(比較例2)
比較例1で製造した2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンズオキサゾールを用いて実施例2と同様にしてポリイミドベンゾオキサゾール前駆体ポリマーとポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを得た。
得られたポリイミドベンゾオキサゾール前駆体ポリマーの還元粘度ηsp/Cは4.9dl/gでであった。また、得られたフィルムにつき,性能を測定したところ、引張強さ、引張弾性率、伸度はそれぞれ0.31GPa、7.9GPa、19%、熱分解開始温度は570℃であった。比誘電率はε’=2.9と低く、実施例2で得られたポリイミドベンゾオキサゾールフィルムほぼ同等のものが得られたが、原料に用いた2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンズオキサゾール中の塩素およびリン原子の含有量が多く、該混在する塩素およびリン原子がそのままポリイミドベンゾオキサゾールフィルムに残存することになり該不純物イオンの混入が問題となる、例えば電子材料用途において品質要求が満たされない。
本発明の製造方法によれば、ポリリン酸の廃液の問題が無く、得られるポリイミドベンザゾールなどのポリマー中の残存イオンも少ないので、特に電子材料用途のポリイミドの原料として好適に使用できる。

Claims (5)

  1. 下記(1)から(3)の工程からなる、化学式1で表されるアミノアリルアミノベンザゾールの製造方法。
    (1)化学式2で表されるニトロ芳香族カルボン酸と化学式3で表されるニトロ芳香族アミン誘導体を反応させ、化学式4で表されるアミド化合物を形成する工程、
    (2)化学式4で表されるアミド化合物を加熱して閉環させることにより化学式5で表されるニトロアリルニトロベンザゾール化合物を形成する工程、
    (3)化学式5で表されるニトロアリルニトロベンザゾール化合物を還元して化学式1で表されるアミノアリルアミノベンザゾールを形成する工程。
    Figure 2005247697
    Figure 2005247697
    Figure 2005247697
    Figure 2005247697
    Figure 2005247697
    化学式1〜5において、Ar1、Ar2はベンゼン、ナフタレン、ビスフェニルを示し、互いに同じでも異なっていても良い。XはNH、S、Oのいずれかを示す。XHとNH2は互いにオルト位に結合している。
  2. ニトロ芳香族カルボン酸がp−ニトロ安息香酸である請求項1記載のアミノアリルアミノベンザゾールの製造方法。
  3. ニトロ芳香族アミン誘導体が2−アミノ−4−ニトロフェノール、又は、2−アミノ−5−ニトロフェノールである請求項1または2のいずれかに記載のアミノアリルアミノベンザゾールの製造方法。
  4. アミド化合物を形成する工程およびニトロアリルニトロベンザゾール化合物を形成する工程において、酸化合物を触媒として反応系に添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアミノアリルアミノベンザゾールの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法で得られた2−アミノアリルアミノベンゾオキサゾールとテトラカルボン酸無水物を反応させて得られることを特徴とするポリイミドベンゾオキサゾールポリマー。
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