以下、本発明の実施形態について、図1〜6を用いて説明する。撮像装置1はデジタルカメラであるとして説明する。なお、方向を説明するために、撮像装置1において光軸LXと直交する水平方向を第1方向x、光軸LXと直交する鉛直方向を第2方向y、光軸LXと平行な水平方向を第3方向zとして説明する。なお、図5は、図4のA−A線の断面における構成図を、図6は、図4のB−B線の断面における構成図を示す。
撮像装置1の撮像に関する部分は、主電源のオンオフ切り替えを行うPonボタン11、レリーズボタン13、LCDモニタ17、CPU21、撮像ブロック22、AE部23、AF部24、像ブレ補正装置30の撮像部39a、及び撮影レンズ67から構成される。Ponボタン11の押下に対応してPonスイッチ11aのオンオフ状態が切り替えられ、これにより撮像装置1の電源のオンオフ状態が切り替えられる。被写体像は、撮像部39aを駆動する撮像ブロック22によって撮影レンズ67を介した光学像として撮像され、LCDモニタ17によって撮像された画像が表示される。また被写体像は光学ファインダ(不図示)によって光学的に観察することも可能である。
レリーズボタン13は、半押しすることにより測光スイッチ12aがオン状態にされ測光や測距及び合焦動作が行われ、全押しすることによりレリーズスイッチ13aがオン状態にされ撮像が行われ、撮影像がメモリされる。
撮像ブロック22は、撮像部39aを駆動する。AE部23は、被写体の測光動作を実行して露光値を演算し、この露光値に基づき撮影に必要となる絞り値及び露光時間を演算する。AF部24は、測距を行い、この測距結果に基づき撮影レンズ67を光軸方向に変位させ焦点調節を行う。
撮像装置1の像ブレ補正に関する部分は、像ブレ補正ボタン14、CPU21、角速度検出部25、ドライバ回路29、像ブレ補正装置30、ホール素子信号処理回路45、及び撮影レンズ67から構成される。
像ブレ補正ボタン14は、押下することにより像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされ、測光など他の動作と独立して、一定時間ごとに、角速度検出部25、及び像ブレ補正装置30が駆動されて像ブレ補正が行われる。像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされた補正モードの場合にパラメータIS=1、像ブレ補正スイッチ14aがオフ状態にされた補正モードでない場合にパラメータIS=0と設定する。本実施形態ではこの一定時間を1msであるとして説明する。
これらのスイッチの入力信号に対応する各種の出力はCPU21によって制御される。測光スイッチ12a、レリーズスイッチ13a、像ブレ補正スイッチ14aのオン/オフ情報は、それぞれ1ビットのデジタル信号としてCPU21のポートP12、P13、P14に入力される。撮像ブロック22、AE部23、及びAF部24は、それぞれポートP3、P4、P5で信号の入出力が行われる。
次に、角速度検出部25、ドライバ回路29、像ブレ補正装置30、ホール素子信号処理回路45についての詳細、及びCPU21との入出力関係について説明する。
角速度検出部25は、第1、第2角速度センサ26、27とアンプ・ハイパスフィルタ回路28とを有する。第1、第2角速度センサ26、27は、撮像装置1の一定時間(1ms)ごとの第1方向x及び第2方向yの角速度を検出する。第1角速度センサ26は、第1方向xの角速度を、第2角速度センサ27は第2方向yの角速度を検出する。アンプ・ハイパスフィルタ回路28は、角速度に関する信号を増幅した後、第1、第2角速度センサ26、27のヌル電圧やパンニングをカットし、第1、第2角速度vx、vyとしてアナログ信号をCPU21のA/D0、A/D1に入力する。
CPU21は、A/D0、A/D1に入力された第1、第2角速度vx、vyをA/D変換した後、焦点距離などを考慮した変換係数によって一定時間(1ms)に生じた像ブレ量を演算する。従って、角速度検出部25とCPU21は、像ブレ量演算機能を有する。
CPU21は、演算により求められた像ブレ量に応じた撮像部39aの移動すべき位置Sを第1方向x、第2方向yごとに演算する。位置Sの第1方向x成分をsx、第2方向y成分をsyとする。撮像部39aを含む可動部30aの移動は、後述する電磁力によって行われる。可動部30aをこの位置Sまで移動させるためにドライバ回路29を駆動する駆動力Dの第1方向x成分を第1PWMデューティdx、第2方向y成分を第2PWMデューティdyとする。
像ブレ補正装置30は、CPU21が演算した移動すべき位置Sに撮像部39aを移動させることによって、ブレによって生じた被写体像の結像面における光軸LXのずれを無くし、被写体像と結像面位置を一定に保ち、像ブレを補正する装置であり、撮像部39aを含み移動可能領域をもつ可動部30aと、固定部30bとを有する。また、像ブレ補正装置30は、コイルに流れる電流の方向と磁石の磁界の向きにより生じた電磁力により可動部30aを移動させる駆動用部分と、可動部30aの位置を検出する位置検出部分とに分けて考えることもできる。
像ブレ補正装置30の可動部30aの駆動は、CPU21のPWM0から第1PWMデューティdx、PWM1から第2PWMデューティdyの出力を受けたドライバ回路29により行われる。ドライバ回路29の駆動により移動した可動部30aの移動前または移動後の位置Pはホール素子部44b、ホール素子信号処理回路45によって検出される。検出された位置Pの情報は、第1検出位置信号pxが第1方向x成分として、第2検出位置信号pyが第2方向yとしてCPU21のA/D2、A/D3に入力される。第1、第2検出位置信号px、pyはA/D2、A/D3を介してA/D変換される。第1、第2検出位置信号px、pyに対してA/D変換後の位置Pの第1方向x成分、第2方向y成分をそれぞれpdx、pdyとする。検出された位置P(pdx、pdy)のデータと移動すべき位置S(sx、sy)のデータによりPID制御が行われる。
可動部30aは、第1、第2駆動用コイル31a、32a、撮像部39a、位置検出用永久磁石41a、可動基板49a、移動用シャフト50a、第1〜第3水平移動用軸受け部51a〜53a、プレート64aとを有する。
可動部30aにあって電気配線が必要な部材は、フレキシブル基板などで固定部30bや他の部からの電力供給を受ける必要があるが、本実施形態では可動部30aにおける位置検出部分は電力を必要としない位置検出用永久磁石41aなどで構成される。従って、可動部30aに位置検出部分への電気配線を必要としない分、従来技術に比べて配線の簡素化ひいては可動部30aへの外力の低減が実現する。
固定部30bは、第1、第2駆動用永久磁石33b、34b、第1、第2駆動用ヨーク35b、36b、位置検出用ヨーク43b、ホール素子部44b、第1〜第4鉛直移動用軸受け部54b〜57b、ベース板65bとを有する。
可動部30aの第3方向zから見てコの字型をした移動用シャフト50aは、固定部30bのベース板65bに取り付けられた第1〜第4鉛直移動用軸受け部54b〜57bと鉛直方向(第2方向y)に移動自在に支持される。第1、第2鉛直移動用軸受け部54b、55bは、第1方向xからみて第2方向yに延びる長穴形状を有している。これにより、可動部30aは、固定部30bに対して鉛直方向に移動が可能になる。
また移動用シャフト50aは、可動部30aの第1〜第3水平移動用軸受け部51a〜53aと水平方向(第1方向x)に移動自在に支持される。これにより、移動用シャフト50aを除く可動部30aは、移動用シャフト50a及び固定部30bに対して水平方向に移動が可能になる。
撮像素子39a1の撮像範囲を最大限活用するために、撮像素子39a1の中心近傍が撮影レンズ67の光軸LXを通る位置関係にある時に、第1方向x、第2方向yともに可動部30aが移動範囲の中心に位置する(移動中心位置にある)ように可動部30aと固定部30bの位置関係を設定する。撮像素子39a1の中心とは、撮像素子39a1の撮像面を形成する矩形が有する2つの対角線の交点をいう。
可動部30aは、撮影レンズ67の方向からみて光軸方向に撮像部39a、プレート64a、可動基板49aが取り付けられる。撮像部39aは、撮像素子39a1、ステージ39a2、押さえ部39a3、光学ローパスフィルタ39a4とを有し、ステージ39a2とプレート64aとで撮像素子39a1、押さえ部39a3、光学ローパスフィルタ39a4を挟み付勢する。第1〜第3水平移動用軸受け部51a〜53aは、ステージ39a2に取り付けられる。プレート64aは金属でできており、撮像素子39a1と接触することにより撮像素子39a1の放熱や、位置決めを行う。
可動基板49aは、シート状でかつ渦巻き状のコイルパターンが形成された第1、第2駆動用コイル31a、32a、及び位置検出用永久磁石41aとが取り付けられている。第1駆動用コイル31aは、第1駆動用コイル31aの電流の方向と第1駆動用永久磁石33bの磁界の向きから生じる電磁力により第1駆動用コイル31aを含む可動部30aを第1方向xに移動させるべく、第1方向x、第2方向yのいずれか一方と平行な線で形成されるコイルパターンを有する。第2駆動用コイル32aは、第2駆動用コイル32aの電流の方向と第2駆動用永久磁石34bの磁界の向きから生じる電磁力により第2駆動用コイル32aを含む可動部30aを第2方向yに移動させるべく、第1方向x、第2方向yのいずれか一方と平行な線で形成されるコイルパターンを有する。
本実施形態では、第3方向zで且つ撮影レンズ67と逆方向から見て、第1駆動用コイル31aは可動基板49aの右端部(第1方向xの一方の端部)に、第2駆動用コイル32aは可動基板49aの上端部(第2方向yの一方の端部)に、位置検出用永久磁石41aは可動基板49aの左端部(第1方向xの他方の端部)に取り付けられる。撮像素子39a1は、可動基板49a上の第1駆動用コイル31aと位置検出用永久磁石41aとの間に取り付けられる。第1、第2駆動用コイル31a、32a、撮像素子39a1、及び位置検出用永久磁石41aは、可動基板49aの同じ側に取り付けられる。
第1、第2駆動用コイル31a、32aは、フレキシブル基板(不図示)を介してこれらを駆動するドライバ回路29と接続される。ドライバ回路29は、CPU21のPWM0、PWM1から第1、第2PWMデューティdx、dyのそれぞれが入力される。ドライバ回路29は、入力された第1、第2PWMデューティdx、dyの値に応じて第1、第2駆動用コイル31a、32aに電力を供給し、可動部30aを駆動する。
位置検出用永久磁石41aは、第3方向zにN極とS極が並べて取り付けられる。また位置検出用永久磁石41aの固定部30bと対向する面は、第1方向x、第2方向yのいずれか一方に平行な線で形成される正方形である。位置検出用永久磁石41aの固定部30bと対向する面の形状を正方形にしたことにより、可動部30aを第2方向yに移動させた時、第1方向xの位置検出に影響が及ばず、第1方向xに移動させた時、第2方向yの位置検出に影響が及ばない。
これにより一つの永久磁石で、第1、第2水平方向ホール素子hh1、hh2を使った第1方向xの位置検出、及び第1、第2鉛直方向ホール素子hv1、hv2を使った第2方向yの位置検出を行うことが可能になる。従って、可動部側に位置し、駆動用の永久磁石と共用して使用されていた従来技術よりも小さい永久磁石を駆動用、位置検出用いずれにも使用することが可能になる。同様に駆動用、位置検出用のヨークも小型化を図ることができる。そのため、駆動用のコイル、及び位置検出用の永久磁石は、可動部の空きスペースに、駆動用の永久磁石、及び位置検出用のホール素子は、固定部の空きスペースに配置することが可能になり、像ブレ補正装置全体の小型化も図ることができる。
第1、第2駆動用永久磁石33b、34bは、それぞれ第1、第2駆動用コイル31a、32aと対向するように固定部30bの可動部30a側に取り付けられる。ホール素子部44bは、位置検出用永久磁石41aと対向するように固定部30bの可動部30a側に取り付けられる。位置検出用ヨーク43bは固定部30bのホール素子部44bがある面と反対側、すなわち位置検出用永久磁石41aと対向するホール素子部44bの背面側に取り付けられる。位置検出用ヨーク43bは、磁性体材料で構成され、位置検出用永久磁石41aとホール素子部44bの間の磁束密度を高める役目を果たす。
第1駆動用永久磁石33bは、第3方向zにおいて固定部30bのベース板65b上で且つ可動部30a側に取り付けられた第1駆動用ヨーク35bの上であって、第1方向xにN極とS極が並べて取り付けられる。第1駆動用永久磁石33bの第2方向yの長さは、可動部30aが第2方向yに移動した際に第1駆動用コイル31aに及ぼす磁界が変化しない程度に第1駆動用コイル31aの第2方向yの第1有効長L1に比べて長めに設定される。
第2駆動用永久磁石34bは、第3方向zにおいて固定部30bのベース板65b上で且つ可動部30a側に取り付けられた第2駆動用ヨーク36bの上であって、第2方向yにN極とS極が並べて取り付けられる。第2駆動用永久磁石34bの第1方向xの長さは、可動部30aが第1方向xに移動した際に第2駆動用コイル32aに及ぼす磁界が変化しない程度に第2駆動用コイル32aの第1方向xの第2有効長L2に比べて長めに設定される。
第1駆動用ヨーク35bは、第2方向yから見てコの字型形状を有する多角柱の軟磁性体材料で構成され、第1駆動用永久磁石33bと第1駆動用コイル31aを第3方向zで挟む形で、固定部30bのベース板65b上に取り付けられる。第1駆動用ヨーク35bにおける第1駆動用永久磁石33bと接する側の部分は、第1駆動用永久磁石33bの磁界が周囲に漏れないようにする役目を果たす。第1駆動用ヨーク35bにおける第1駆動用永久磁石33b、第1駆動用コイル31a、及び可動基板49aと対向する側の部分は、第1駆動用永久磁石33bと第1駆動用コイル31aの間の磁束密度を高める役目を果たす。
第2駆動用ヨーク36bは、第1方向xから見てコの字型形状を有する多角柱の軟磁性体材料で構成され、第2駆動用永久磁石34bと第2駆動用コイル32aを第3方向zで挟む形で、固定部30bのベース板65b上に取り付けられる。第2駆動用ヨーク36bにおける第2駆動用永久磁石34bと接する側の部分は、第2駆動用永久磁石34bの磁界が周囲に漏れないようにする役目を果たす。第2駆動用ヨーク36bにおける第2駆動用永久磁石34b、第2駆動用コイル32a、及び可動基板49aと対向する側の部分は、第2駆動用永久磁石34bと第2駆動用コイル32aの間の磁束密度を高める役目を果たす。
ホール素子部44bは、ホール効果を利用した磁電変換素子(磁界変化検出素子)であるホール素子を4つ配置する2軸ホール素子であり、可動部30aの第1方向x、第2方向yの現在位置Pを特定するための第1検出位置信号px、第2検出位置信号pyを検出する。4つのホール素子のうち第1方向xの位置検出用のホール素子を第1、第2水平方向ホール素子hh1、hh2、第2方向yの位置検出用のホール素子を第1、第2鉛直方向ホール素子hv1、hv2とする。
第1、第2水平方向ホール素子hh1、hh2は、可動部30aの第1方向xの位置を検出するため、それぞれの入力端子(不図示)は直列に配線される。第1、第2水平方向ホール素子hh1、hh2は、第3方向zから見て固定部30bのベース板65b上であって、可動部30aの位置検出用永久磁石41aと対向する位置に取り付けられる。
位置検出用永久磁石41aの正方形の大きさを最大限活用して位置検出を行うことを可能にするため、第1、第2水平方向ホール素子hh1、hh2の第2方向yの位置は、撮像素子39a1の中心近傍が光軸LXを通る位置関係にある時に、いずれも位置検出用永久磁石41aのホール素子部44bと対向する面の正方形の第2方向yの中間近傍に対向する場所にあるのが望ましい。第1、第2水平方向ホール素子hh1、hh2の第1方向xの位置は、撮像素子39a1の中心近傍が光軸LXを通る位置関係にある時に、それぞれ位置検出用永久磁石41aのホール素子部44bと対向する面の正方形の第1方向xの両端部近傍に対向する場所にあるのが望ましい(図10参照)。
第1、第2鉛直方向ホール素子hv1、hv2は、可動部30aの第2方向yの変位を検出するため、それぞれの入力端子(不図示)は直列に配線される。第1、第2鉛直方向ホール素子hv1、hv2は、第3方向zから見て固定部30bのベース板65b上であって、可動部30aの位置検出用永久磁石41aと対向する位置に取り付けられる。
位置検出用永久磁石41aの正方形の大きさを最大限活用して位置検出を行うことを可能にするため、第1、第2鉛直方向ホール素子hv1、hv2の第1方向xの位置は、撮像素子39a1の中心近傍が光軸LXを通る位置関係にある時に、いずれも位置検出用永久磁石41aのホール素子部44bと対向する面の正方形の第1方向xの中間近傍に対向する場所にあるのが望ましい。第1、第2鉛直方向ホール素子hv1、hv2の第2方向yの位置は、撮像素子39a1の中心近傍が光軸LXを通る位置関係にある時に、それぞれ位置検出用永久磁石41aのホール素子部44bと対向する面の正方形の第2方向yの両端部近傍に対向する場所にあるのが望ましい。
ベース板65bは、固定部30bにおいてホール素子部44bなどを取り付けるベースとなる板状部材で、撮像素子39a1の撮像面と平行に配置される。本実施形態では、ベース板65bは、第3方向zにおいて、可動基板49aよりも撮影レンズ67に近い側にあるが、可動基板49aの方が撮影レンズ67に近い側にあるような位置関係であってもよい。この場合、第1、第2駆動用コイル31a、32a、及び位置検出用永久磁石41aは可動基板49aの撮影レンズ67がある側と逆側に、第1、第2駆動用永久磁石33b、34b、及びホール素子部44bはベース板65bの撮影レンズ67がある側に、位置検出用ヨーク43bは、ベース板65bの撮影レンズ67がある側と逆側に配置される。
ホール素子信号処理回路45は、第1、第2水平方向ホール素子hh1、hh2の出力信号から第1、第2水平方向ホール素子hh1、hh2それぞれにおける出力端子間の第1、第2水平方向電位差x1、x2を検出し、これらから第1方向xの位置を特定する第1検出位置信号pxをCPU21のA/D2に出力する。また、ホール素子信号処理回路45は、第1、第2鉛直方向ホール素子hv1、hv2の出力信号から第1、第2鉛直方向ホール素子hv1、hv2それぞれにおける出力端子間の第1、第2鉛直方向電位差y1、y2を検出し、これらから第2方向yの位置を特定する第2検出位置信号pyをCPU21のA/D3に出力する。
ホール素子信号処理回路45における第1、第2水平方向ホール素子hh1、hh2の入出力信号に関する回路構成は図7で説明する。ホール素子信号処理回路45における第1、第2鉛直方向ホール素子hv1、hv2の入出力信号に関する回路構成は図8で説明する。説明の簡略化のため、図7では、第1、第2鉛直方向ホール素子hv1、hv2に関する回路構成を省略し、図8では、第1、第2水平方向ホール素子hh1、hh2に関する回路構成を省略している。
ホール素子信号処理回路45における第1、第2水平方向ホール素子hh1、hh2の出力部は第1〜第5回路451〜455を有し、入力部は第6回路456を有する。ホール素子信号処理回路45における第1、第2鉛直方向ホール素子hv1、hv2の出力部は第11〜第15回路461〜465を有し、入力部は第16回路466を有する。
第1水平方向ホール素子hh1の出力端子のそれぞれは、第1回路451と接続され、第1回路451は、第3回路453と接続される。第2水平方向ホール素子hh2の出力端子のそれぞれは、第2回路452と接続され、第2回路452は、第4回路454と接続される。第3、第4回路453、454は、第5回路455と接続される。第1、第2回路451、452は、それぞれ第1、第2水平方向ホール素子hh1、hh2の出力端子間における信号差を増幅する差動増幅回路である。第3回路453は増幅した信号差と基準電圧Vrefとの差異から第1水平方向ホール素子hh1における出力端子間の第1水平方向電位差x1を求める減算回路である。第4回路454は増幅した信号差と基準電圧Vrefとの差異から第2水平方向ホール素子hh2における出力端子間の第2水平方向電位差x2を求める減算回路である。第5回路455は第1、第2水平方向電位差x1、x2の差異に一定の増幅率を乗算して第1検出位置信号pxを求める減算増幅回路である。
第1回路451は、第1〜第3抵抗R1〜R3、第1、第2オペアンプA1、A2とを有する。第1水平方向ホール素子hh1の出力端子の一方は、第1オペアンプA1の非反転入力端子と接続され、もう一方の端子は、第2オペアンプA2の非反転入力端子と接続される。第1オペアンプA1の反転入力端子は第1、第2抵抗R1、R2と接続され、第2オペアンプA2の反転入力端子は第1、第3抵抗R1、R3と接続される。第1オペアンプA1の出力端子は第2抵抗R2及び第3回路453の第7抵抗R7と接続される。第2オペアンプA2の出力端子は第3抵抗R3及び第3回路453の第9抵抗R9と接続される。
第2回路452は、第4〜第6抵抗R4〜R6、第3、第4オペアンプA3、A4とを有する。第2水平方向ホール素子hh2の出力端子の一方は、第3オペアンプA3の非反転入力端子と接続され、もう一方の端子は、第4オペアンプA4の非反転入力端子と接続される。第3オペアンプA3の反転入力端子は第4、第5抵抗R4、R5と接続され、第4オペアンプA4の反転入力端子は第4、第6抵抗R4、R6と接続される。第3オペアンプA3の出力端子は第5抵抗R5及び第4回路454の第11抵抗R11と接続される。第4オペアンプA4の出力端子は第6抵抗R6及び第4回路454の第13抵抗R13と接続される。
第3回路453は、第7〜第10抵抗R7〜R10、第5オペアンプA5とを有する。第5オペアンプA5の反転入力端子は第7抵抗R7及び第8抵抗R8と接続され、非反転入力端子は第9抵抗R9及び第10抵抗R10と接続され、出力端子は第8抵抗R8及び第5回路455の第15抵抗R15と接続され、第1水平方向電位差x1が出力される。第10抵抗R10の一方の端子は基準電圧Vrefの電源に接続される。
第4回路454は、第11〜第14抵抗R11〜R14、第6オペアンプA6とを有する。第6オペアンプA6の反転入力端子は第11抵抗R11及び第12抵抗R12と接続され、非反転入力端子は第13抵抗R13及び第14抵抗R14と接続され、出力端子は第12抵抗R12及び第5回路455の第17抵抗R17と接続され、第2水平方向電位差x2が出力される。第14抵抗R14の一方の端子は基準電圧Vrefの電源に接続される。
第5回路455は、第15〜第18抵抗R15〜R18、第7オペアンプA7とを有する。第7オペアンプA7の反転入力端子は第15抵抗R15及び第16抵抗R16と接続され、非反転入力端子は第17抵抗R17及び第18抵抗R18と接続され、出力端子は第16抵抗R16と接続され、第1、第2水平方向電位差x1、x2の差異に第1増幅率が乗算された第1検出位置信号pxが出力される。第18抵抗R18の一方の端子は基準電圧Vrefの電源に接続される。
第1、第4抵抗R1、R4は同じ抵抗値、第2、第3、第5、第6抵抗R2、R3、R5、R6は同じ抵抗値、第7〜14抵抗R7〜R14は同じ抵抗値、第15、第17抵抗R15、R17は同じ抵抗値、第16、第18抵抗R16、R18は同じ抵抗値に設定される。第1〜第4オペアンプA1〜A4は同じオペアンプ、第5、第6オペアンプA5、A6は同じオペアンプが設定される。
第6回路456は、第19抵抗R19、第8オペアンプA8とを有する。第8オペアンプA8の反転入力端子は第19抵抗R19及び第2水平方向ホール素子hh2の入力端子の一方と接続される。第8オペアンプA8の非反転入力端子の電位は第1、第2水平方向ホール素子hh1、hh2における定電流値に対応した定電圧Vfxに設定される。第8オペアンプA8の出力端子は第1水平方向ホール素子hh1の入力端子の一方と接続される。第19抵抗R19の一方の端子は接地される。
第1鉛直方向ホール素子hv1の出力端子のそれぞれは、第11回路461と接続され、第11回路461は、第13回路463と接続される。第2鉛直方向ホール素子hv2の出力端子のそれぞれは、第12回路462と接続され、第12回路462は、第14回路464と接続される。第13、第14回路463、464は、第15回路465と接続される。第11、第12回路461、462は、それぞれ第1、第2鉛直方向ホール素子hv1、hv2の出力端子間における信号差を増幅する差動増幅回路である。第13回路463は増幅した信号差と基準電圧Vrefとの差異から第1鉛直方向ホール素子hv1における出力端子間の第1鉛直方向電位差y1を求める減算回路である。第14回路464は増幅した信号差と基準電圧Vrefとの差異から第2鉛直方向ホール素子hv2における出力端子間の第2鉛直方向電位差y2を求める減算回路である。第15回路465は第1、第2鉛直方向電位差y1、y2の差異に一定の増幅率を乗算して第2検出位置信号pyを求める減算増幅回路である。
第11回路461は、第21〜第23抵抗R21〜R23、第21、第22オペアンプA21、A22とを有する。第1鉛直方向ホール素子hv1の出力端子の一方は、第21オペアンプA21の非反転入力端子と接続され、もう一方の端子は、第22オペアンプA22の非反転入力端子と接続される。第21オペアンプA21の反転入力端子は第21、第22抵抗R21、R22と接続され、第22オペアンプA22の反転入力端子は第21、第23抵抗R21、R23と接続される。第21オペアンプA21の出力端子は第22抵抗R22及び第13回路463の第27抵抗R27と接続される。第22オペアンプA22の出力端子は第23抵抗R23及び第13回路463の第29抵抗R29と接続される。
第12回路462は、第24〜第26抵抗R24〜R26、第23、第24オペアンプA23、A24とを有する。第2鉛直方向ホール素子hv2の出力端子の一方は、第23オペアンプA23の非反転入力端子と接続され、もう一方の端子は、第24オペアンプA24の非反転入力端子と接続される。第23オペアンプA23の反転入力端子は第24、第25抵抗R24、R25と接続され、第24オペアンプA24の反転入力端子は第24、第26抵抗R24、R26と接続される。第23オペアンプA23の出力端子は第25抵抗R25及び第14回路464の第31抵抗R31と接続される。第24オペアンプA24の出力端子は第26抵抗R26及び第14回路464の第33抵抗R33と接続される。
第13回路463は、第27〜第30抵抗R27〜R30、第25オペアンプA25とを有する。第25オペアンプA25の反転入力端子は第27抵抗R27及び第28抵抗R28と接続され、非反転入力端子は第29抵抗R29及び第30抵抗R30と接続され、出力端子は第28抵抗R28及び第15回路465の第35抵抗R35と接続され、第1鉛直方向電位差y1が出力される。第30抵抗R30の一方の端子は基準電圧Vrefの電源に接続される。
第14回路464は、第31〜第34抵抗R31〜R34、第26オペアンプA26とを有する。第26オペアンプA26の反転入力端子は第31抵抗R31及び第32抵抗R32と接続され、非反転入力端子は第33抵抗R33及び第34抵抗R34と接続され、出力端子は第32抵抗R32及び第15回路465の第37抵抗R37と接続され、第2鉛直方向電位差y2が出力される。第34抵抗R34の一方の端子は基準電圧Vrefの電源に接続される。
第15回路465は、第35〜第38抵抗R35〜R38、第27オペアンプA27とを有する。第27オペアンプA27の反転入力端子は第35抵抗R35及び第36抵抗R36と接続され、非反転入力端子は第37抵抗R37及び第38抵抗R38と接続され、出力端子は第36抵抗R36と接続され、第1、第2鉛直方向電位差y1、y2の差異に第2増幅率が乗算された第2検出位置信号pyが出力される。第38抵抗R38の一方の端子は基準電圧Vrefの電源に接続される。
第21、第24抵抗R21、R24は同じ抵抗値、第22、第23、第25、第26抵抗R22、R23、R25、R26は同じ抵抗値、第27〜34抵抗R27〜R34は同じ抵抗値、第35、第37抵抗R35、R37は同じ抵抗値、第36、第38抵抗R36、R38は同じ抵抗値に設定される。第21〜第24オペアンプA21〜A24は同じオペアンプ、第25、第26オペアンプA25、A26は同じオペアンプが設定される。
第16回路466は、第39抵抗R39、第28オペアンプA28とを有する。第28オペアンプA28の反転入力端子は第39抵抗R39及び第2鉛直方向ホール素子hv2の入力端子の一方と接続される。第28オペアンプA28の非反転入力端子の電位は第1、第2鉛直方向ホール素子hv1、hv2における定電流値に対応した定電圧Vfyに設定される。第28オペアンプA28の出力端子は第1鉛直方向ホール素子hv1の入力端子の一方と接続される。第39抵抗R39の一方の端子は接地される。
次に、一定時間(1ms)ごとに割り込み処理として他の動作と独立して行われる像ブレ補正処理について手順を図9のフローチャートで説明する。
ステップS11で、像ブレ補正処理の割り込み動作が始まると、ステップS12で、角速度検出部25から出力された第1、第2角速度vx、vyが、CPU21のA/D0、A/D1を介しA/D変換され入力される。ステップS13で、ホール素子部44bで位置検出され、ホール素子信号処理回路45で演算された、可動部30aの第1、第2検出位置信号px、pyがCPU21のA/D2、A/D3を介し、A/D変換され入力される。これによって、現在位置P(pdx、pdy)が求められる。
ステップS14で、IS=0か否かを判断する。IS=0すなわち補正モードでない場合は、ステップS15で、可動部30aの移動すべき位置S(sx、xy)を可動部30aの移動中心位置と同じにする。IS=1すなわち補正モードの場合は、ステップS16で、ステップS12で求めた第1、第2角速度vx、vyから可動部30aの移動すべき位置S(sx、sy)を演算する。
ステップS17で、ステップS15またはステップS16で決定した位置S(sx、sy)と現在位置P(pdx、pdy)より可動部30aの移動に必要な駆動力Dすなわち第1、第2駆動用コイル31a、32aを駆動するのに必要な第1、第2PWMデューティdx、dyを演算する。ステップS18で、第1、第2PWMデューティdx、dyによりドライバ回路29を介し第1、第2駆動用コイル31a、32aが駆動され可動部30aが移動せしめられる。ステップS17〜S18の動作は、一般的な比例、積分、微分演算を行うPID自動制御で用いられる自動制御演算である。
なお、本実施形態ではホール素子を第1方向x、第2方向yに2つずつの計4つ使用する2軸ホール素子による位置検出を説明したが、ホール素子を第1方向x、第2方向yに1つずつ計2つ使用する1軸ホール素子による位置検出でもよい。2軸ホール素子の場合と同様に、可動部における位置検出用の電気配線をなくすこと、及び像ブレ補正装置全体の小型化の効果は得られる。ただし、2つのホール素子におけるそれぞれの出力端子間の電位差の差異を求めて位置検出を行う2軸ホール素子の場合と異なり、1軸ホール素子の場合は、1つのホール素子における出力端子間の電位差から位置検出を行うので、ホール素子と永久磁石の距離に応じた電位差の変化量が直線的でない。そのため、2軸ホール素子を使う場合に比べて精度が落ちることを考慮する必要がある。
たとえば、位置検出用永久磁石について、本実施形態のように1つの永久磁石と第3方向zにN極とS極が並べられて可動部30aに取り付けられる形態に代えて、水平方向ホール素子と対向し第1方向xにN極とS極が並べられて可動部30aに取り付けられる水平方向位置検出用永久磁石と、鉛直方向ホール素子と対向し第2方向にN極とS極が並べられて可動部30aに取り付けられる鉛直方向位置検出用永久磁石とを有する形態とする。これにより、永久磁石の移動距離に制限はあるが一定範囲内でそれぞれの位置検出における電位差の変化量をほぼ直線的に検出することが可能になり位置検出精度を高めることが可能になる。
また、撮像素子39a1を含む撮像部39aが可動部30aに配置されて移動する形態を説明したが、撮像部39aは固定で、像ブレ補正レンズを可動部30aに配置して移動させる形態でも同様の効果が得られる。
また、磁界変化検出素子として、ホール素子を利用した位置検出を説明したが、磁界変化検出素子として別の検出素子を利用してもよい。具体的には、磁界の変化を検出することにより、可動部の位置検出情報を求めることが可能なMIセンサ(高周波キャリア型磁界センサ)、磁気共鳴型磁界検出素子、MR素子(磁気抵抗効果素子)が挙げられる。これらは、ホール素子を利用した本実施形態と同様の効果が得られる。