JP2005239887A - 重合硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 退色速度が速いという優れたフォトクロミック特性を示し、しかも硬度や耐熱性、耐吸水性は実用的レベルであり、更に低屈折率のリムレス眼鏡に使用できる十分な耐穿孔加工強度をも兼ね備えたフォトクロミック性プラスチックレンズを与える重合硬化性組成物を提供する。
【解決手段】 2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパンのような2つのフェニレン基が特定の基を介して結合した構造を有する特定の2官能モノマー、トリプロピレングリコールジメタクリレートのような重合性プロピレングリコールモノマー、トリメチロールプロパントリメタクリレートのような多官能モノマー及び必要に応じてこれら以外のモノマーを特定の割合で含む重合性単量体成分に特定量のフォトクロミック化合物を配合する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れたフォトクロミック特性と優れた強度特性、さらに、優れた耐吸水性を兼ね備えた新規なフォトクロミック硬化体を与える重合硬化性組成物に関する。
フォトクロミック眼鏡とは、太陽光のような紫外線を含む光が照射される屋外ではレンズが速やかに着色してサングラスとして機能し、そのような光の照射がない屋内においては退色して透明な通常の眼鏡として機能する眼鏡であり、特にプラスチック製のものは近年その需要が増大している。
フォトクロミック性を有するプラスチック眼鏡レンズ(プラスチック性フォトクロミック眼鏡レンズ)の製造方法の一つとして、モノマーにフォトクロミック化合物を溶解させそれを重合させることにより直接フォトクロミックレンズを得る方法(以下、練り込み法という)が知られている。該方法は、フォトクロミック性の付与をレンズ成形と同時に行なうものであり、一旦レンズを成形してから後でフォトクロミック性を付与するための処理を行なう方法と比べて一段階でフォトクロミック性プラスチックレンズが得られるという利点を有している。
フォトクロミック性はフォトクロミック化合物が光エネルギーを吸収して可逆的な構造変化を起すことにより発現するのであるが、練り込み法で得られるフォトクロミック性プラスチックレンズにおいては、フォトクロミック化合物が硬化体マトリックス中に分散しているため、発色濃度や退色速度といったフォトクロミック特性に関してフォトクロミック化合物が本来有する特性を十分に発揮できないことが多い。これは、溶液中に比べてこのようなマトリックス中では自由空間が圧倒的に小さいため、このような構造変化が制約を受け易いという理由によるもので、特に硬度及び耐熱性の高い硬化体マトリックスに高分子量のフォトクロミック化合物を分散させた場合にその傾向は顕著である。たとえば、プラスチックレンズ基材として汎用されている硬化体組成物に分子量300以上のフォトクロミック化合物を分散させた場合には、フォトクロミック化合物の退色半減期は大幅に長くなり(退色速度が大幅に遅くなり)、硬化体マトリックス中の退色半減期は溶液中の退色半減期の50倍以上になってしまうことがある。
このような問題のない、即ち優れたフォトクロミック特性を有し硬度及び耐熱性が高いフォトクロミック性硬化体を与える硬化体組成物としては、(A)単独重合したときに得られる重合体のLスケールロックウエル硬度が40以下である重合性単量体、(B)単独重合したときに得られる重合体のLスケールロックウエル硬度が60以上である3官能以上の重合性単量体、(C)単独重合したときに得られる重合体のLスケールロックウエル硬度が60以上である2官能の重合性単量体及び(D)フォトクロミック化合物を含んでなる重合硬化性組成物(以下、従来組成物ともいう)が知られている(特許文献1参照)。
国際公開第01/05854号パンフレット
上記組成物は練り込み法でフォトクロミック性プラスチックレンズを製造する際の原料組成物として極めて有用なものであるが、該組成物を硬化させて得られた硬化体を最近流行しているリムレス眼鏡(使用時にレンズを掛止させるためのアーム部材と螺子孔を有するレンズとが、該レンズに螺子止めされた蝶番を介して連結された縁のない眼鏡)に用いようとする場合には、ドリルを用いて穿孔加工する際に亀裂が入ったり、或いは穿孔加工時に特に問題がない場合でも固定されたアーム部材に負荷をかけると固定部のレンズが破損したりするという問題が発生することが明らかとなった。
そこで、このような穿孔加工時或いは加工後の強度(以下、耐穿孔加工強度ともいう)が低下する原因を探るべく、上記従来組成物の組成比を検討した結果、特に、前述の単独重合したときに得られる重合体のLスケールロックウエル硬度が60以上である3官能以上の重合性単量体(以下、多官能モノマーともいう。)の添加量が多い場合には硬化体の耐穿孔加工強度が著しく低下することが判明した。このことから耐穿孔加工強度向上のためには多官能モノマー量を減らせば良いと考えられるが、多官能モノマーの添加量を少なくしすぎると、優れたフォトクロミック特性を得ることが難しくなるといったトレードオフの関係が存在することが明らかとなった。そして、該知見に基づき更に検討を行なったところ、重合硬化性組成物中に含まれる前記多官能モノマーの配合割合を特定の範囲とし、更に2官能重合性単量体として2つのフェニレン基が特定の基を介して結合した構造を有する特定の重合性単量体を特定量含むものを使用したフォトクロミック性硬化性組成物(以下、改良組成物ともいう)は、上記の特性を満たすことができることを見出すに至った(特願2003−208784)。
一方、プラスチックレンズにおいてはその耐擦傷性を高めるためにハードコートを施して使用されることが多いが、ハードコート施用前のレンズの吸水率が高い場合には、ハードコート液を塗布し、熱硬化させたときにレンズの端にひび割れ(クラック)が生じることがある。
さらにまた、プラスチック眼鏡レンズにおいては、レンズの屈折率の幅が大きいことが特徴の一つとなっており、近視等の重篤度やレンズの軽量性或いは強度等を勘案して各需要者の要求に応じた屈折率のものが適宜選択されている。例えば、近視の重篤度が低い場合には適度な厚さを有し実用上十分な強度的の眼鏡レンズを得ようとする場合には、屈折率が1.500〜1.530の範囲にある所謂低屈折レンズが使用されることが多い(高屈折レンズは耐衝撃性が低いものも多く、またレンズ価格も低屈折レンズに比べかなり高くなることから、近視の重篤度が高い場合にのみ使用されることが多い)。したがって、前記改良組成物においても品揃えの一つとして低屈折レンズを与えるものが望まれるが、モノマー組成を調整して屈折率を低くしようとした場合には、フォトクロミック特性、耐穿孔加工強度、吸水率のいずれかの物性が低下してしまい物性バランスの良好なレンズが得られないという問題があった。
そこで、本発明は、前記耐穿孔加工強度低下の問題を解決すると共に、吸水性の低い低屈折率のフォトクロミック性プラスチック眼鏡レンズを提供することを目的とする。
本発明者はこの問題に関して、鋭意検討を行った。その結果、前記改良組成物に特定の重合性プロピレングリコールモノマーを配合し、その組成を更に最適化することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(I): (I-1)下式(1)で表される2官能重合性単量体からなる成分7〜20質量%、(I-2)下式(2)で表される2官能重合性単量体からなる成分10〜60質量%、(I-3)下記式(3)で表される多官能重合性単量体からなる成分1〜15質量%及び(I-4)前記(I-1)乃至(I-3)の何れにも該当しない重合性単量体からなる成分5〜82質量%からなる重合性単量体組成物100質量部並びに
(II): フォトクロミック化合物0.001〜5質量部
を含有してなることを特徴とする重合硬化性組成物である。
Figure 2005239887
{式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基であり、基−X−は−O−、−S−、−S(=O)−、−C(=O)−O−、−CH−、−CH=CH−又は−C(CH−で表される基であり、m及びnはm+nが2〜30となる整数である。}
Figure 2005239887
{式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、pは1〜4の整数である。}
Figure 2005239887
{式中、Rは水素原子又はメチル基であり、基−R−は−CHCHO−、−CHCH(CH)O−又は−C(=O)CHCHCHCHCHO−で表される基であり、Rは3〜6価の有機残基であり、aは0〜3の整数であり、bは3〜6の整数である。}
本発明の重合硬化性組成物は、退色速度が速いという優れたフォトクロミック特性を示し、しかも硬度や耐熱性、耐吸水性は実用的レベルであり、更にリムレス眼鏡に使用できる十分な耐穿孔加工強度をも兼ね備え、更に屈折率が低い硬化体を与えるという特徴を有する。このため本発明の重合硬化性組成物を硬化させて得られる本発明の眼鏡レンズは、重篤度の低い近視患者の視力矯正用眼鏡レンズとして使用したときに、適度な厚さ及び機械的強度を有することになる。即ち、本発明の眼鏡レンズは、重篤度の低い近視患者の視力矯正用のフォトクロミック眼鏡レンズとして特に優れたものである。
本発明の重合硬化性組成物は特定の重合性単量体組成物(I)及びフォトクロミック化合物(II)を含有してなる。重合性単量体成分として上記特定の重合性単量体組成物(I)を用いることにより、硬化体は耐穿孔加工強度が高く吸水性が低く更にフォトクロミック特性が良好なものとなる。以下、先ず上記重合性単量体組成物(I)について説明する。
本発明で使用する重合性単量体組成物(I)は、下記成分(I-1)、(I-2)、(I-3)及び(I-4)からなる(これら成分の合計が100質量%となる)。
(I-1) 前記式(1)で表される2官能重合性単量体からなる成分7〜20質量%、
(I-2) 前記式(2)で表される2官能重合性単量体からなる成分10〜60質量%、
(I-3) 前記式(3)で表される多官能重合性単量体からなる成分1〜15質量%及び
(I-4) 下記(I-1)乃至(I-3)の何れにも該当しない重合性単量体からなる成分5〜82質量%。
なお、前記式(1)乃至(3)において、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を意味し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(即ち、メチル基又はエチル基)を意味する。また、基−X−は、−O−、−S−、−S(=O)−、−C(=O)−O−、−CH−、−CH=CH−又は−C(CH−で表される基を意味し、基−R−は−CHCHO−、−CHCH(CH)O−又は−C(=O)CHCHCHCHCHO−で表される基を意味する。また、Rは3〜6価の有機残基を意味する。当該3〜6価の有機残基としては、下記に示すものが挙げられる。
Figure 2005239887
さらに、m及びnはm+nが2〜30となる整数を意味し、pは1〜4の整数を意味し、a及びbは夫々0〜3の整数及び3〜6の整数を意味する。
成分(I-1)を構成する前記式(1)で示される2官能重合性単量体は、m+nが8未満の場合には、前記特許文献1に開示されている従来組成物における(C)成分、すなわち、単独重合したときに得られる重合体のLスケールロックウエル硬度が60以上である2官能重合性単量体に含まれる重合性単量体(モノマー)であり、またm+nが8以上の場合には従来組成物における(A)成分、すなわち、単独重合したときに得られる重合体のLスケールロックウエル硬度が40以下である重合性単量体に含まれる重合性単量体(モノマー)である。なお、ここでいうLスケールロックウエル硬度とは、JIS K7202に基づき決定される値であって、具体的には、硬化体試験片の表面に径6.350mmの剛球からなる圧子を用いて、基準荷重である10Kgfを加え、次に試験荷重である60Kgfを加え、再び基準荷重に戻したとき、前後2回の基準荷重における圧子の浸入深さの差h(単位mm)から、130−500hという計算式により求めた値である。
(I-1)成分の2官能モノマーのうち、入手の容易さを考慮し、好適に使用できるものを具体的に例示すれば、2,2−ビス[4−(メタクリロイロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(m+nの平均値が2のもの)、同(m+nの平均値が2.6のもの)、同(m+nの平均値が4のもの)、同(m+nの平均値が10のもの)、同(m+nの平均値が30のもの)、2,2−ビス[4−(アクリロイロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(m+nの平均値が4のもの)、2,2−ビス[4−(メタクリロイロキシポリプロポキシ)フェニル]プロパン(m+nの平均値が4のもの)、同(m+nの平均値が10のもの)、ビス[4−(メタクリロイロキシポリエトキシ)フェニル]メタン(m+nの平均値が4のもの)、ビス[4−(メタクリロイロキシポリエトキシ)フェニル]スルホン(m+nの平均値が4のもの)等が挙げられる。これらは、単独のものを使用してもよいし、2種類以上のものを混合して使用してもよい。
重合性組成物(I)中における成分(I-1)の含有量は、該組成物(I)中に含まれる全モノマー成分の総質量を基準として7〜20質量%の範囲である必要がある。該成分の含有量が7質量%未満の場合には、リムレス眼鏡に必要とされる強度(靭性)が得られず、一方20質量%を超える場合には、硬化体の屈折率を1.530以下に調整するのが困難となる。これらの理由から成分(I-1)の含有量は、上記基準で10〜18質量%であるのが好適である。
前記式(2)で示される2官能モノマーからなる成分(I-2)は、硬化体の屈折率を1.530以下、好ましくは1.528以下に調整する働きをすると共に硬化体の吸水率を低減させる働きをする。該2官能モノマーは従来組成物の(C)成分に該当する。前記式(2)で示されるモノマーのうち、入手の容易さを考慮し、好適に使用できるものを具体的に例示すれば、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート等を挙げることができる。これらは、単独のものを使用してもよいし、2種類以上のものを混合して使用してもよい。
重合性組成物(I)中における成分(I-2)の含有量は、該組成物(I)中に含まれる全モノマー成分の総質量を基準として10〜60質量%の範囲である必要がある。成分(B)の含有量が10質量%未満の場合には、硬化体の屈折率を1.530以下、好ましくは1.528以下に調整するのが困難となるばかりでなく十分な低吸水性が得られない。一方60質量%を超える場合には、リムレス眼鏡に必要とされる強度(靭性)が得られない。成分(I-2)の含有量は、上記基準で20〜55質量%であるのが好適である。
前記式(3)で示される多官能モノマーからなる成分(I-3)は、前記特許文献1に開示されている従来組成物における(B)成分、すなわち、単独重合したときに得られる重合体のLスケールロックウエル硬度が60以上である3官能以上の重合性単量体に相当する。該重合性単量体(モノマー)を使用することにより、特に退色半減期に代表されるフォトクロミック特性に優れた硬化体を得ることができる。前記特定多官能モノマーのうち、入手の容易さを考慮し、好適に使用できるものを具体的に例示すれば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、カプロラクタン変性ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、カプロラクタン変性ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、カプロラクタン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を挙げることができる。これらは、単独のものを使用してもよいし、2種類以上のものを混合して使用してもよい。
本発明の組成物における成分(I-3)の多官能モノマーの含有量は、組成物(I)中に含まれる全モノマー成分の総重量を基準として1〜15質量%、好ましくは5〜10質量%の範囲である必要がある。成分(I-3)の含有量が1質量%未満の場合には、十分なフォトクロミック特性が得られず、一方15質量%を超える場合には、リムレス眼鏡に必要とされる強度(靭性)が得られない。
前記重合単量体組成物(I)は、更に成分(I-4)として前記(I-1)乃至(I-3)の何れにも該当しない重合性単量体(以下、他のモノマーともいう)を5〜82質量%、好適には17〜65質量%含有する。当該他のモノマーとしては、例えば前記特許文献1(国際公開第01/05854号パンフレット)に開示されている硬化性組成物(従来組成物)で使用されている(A)成分および(C)成分として例示されているモノマーの中で前記(I-1)〜(I-3)に該当しないものが好適に使用できるが、効果の観点から、当該(I-4)成分は、使用する(I-1)成分の種類に応じて、重合性単量体組成物(I)中に従来組成物の(A)、(B)及び(C)の全ての成分が含まれるように選択されるのが好適である。
(I-4)成分として好適なモノマーを具体的に例示すれば、(A)成分に該当するものとして平均分子量526のポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量360のポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量475のメチルエーテルポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量1000のメチルエーテルポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量375のポリプロピレングリコールメタクリレート、平均分子量430のポリプロピレングリコールメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、エチレングリコールグリシジルエーテル、プロピレングリコールグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジアクリレート、ノナエチレングリコールジアクリレート等が使用できる。
また、(C)成分に該当するものとしては、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ノナエチレングリコールジメタクリレート、ノナプロピレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,9−ノニレングリコールジメタクリレート、ネオペンチレングリコールジメタクリレート等が使用できる。
更にその他モノマーとしては、(A)成分および(C)成分以外に該当する重合性モノマーとして、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、酒石酸ジアリル等の多価アリル化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル化合物及びメタクリル酸エステル化合物;スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレンダイマー、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン等のビニル化合物等も使用できる。
本発明の重合硬化性組成物は、成分(II)としてフォトクロミック化合物を含有する。フォトクロミック化合物としては、クロメン化合物、フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物等の公知のフォトクロミック化合物が特に限定されず使用できるが、分子量が200以上、特に500以上の高分子量フォトクロミック化合物を用いたときに本発明の効果(特に硬化体としたときに良好なフォトクロミック特性を示すという効果)が顕著であることからこのようなフォトクロミック化合物を使用するのが好適である。これらフォトクロミック化合物の中でも、クロメン化合物は、フォトクロミック特性が他の系列の化合物よりも高く、又発色濃度、退色速度等も優れているため、特に好適に使用することができる。本発明で好適に使用できるフォトクロミック化合物を具体的に例示すれば、次のようなものを挙げることができる。なお、これら化合物は単独で使用することもできるが、通常は発色時の色調を調整するため1種若しくは2種以上の他のフォトクロミック化合物(下記化合物およびそれ以外のフォトクロミック化合物を含む)と併用することが多い。
Figure 2005239887
分子量376
Figure 2005239887
分子量515
Figure 2005239887
分子量522
Figure 2005239887
分子量547
Figure 2005239887
分子量561
Figure 2005239887
分子量568
Figure 2005239887
分子量673
Figure 2005239887
分子量681
本発明の硬化性組成物中におけるフォトクロミック化合物の量は、前記(I)の重合性単量体組成物100質量部に対して0.001〜5質量部である必要がある。フォトクロミック化合物の含有量が上記基準で0・001質量部未満のときは十分な発色濃度が得られず、5質量部を超える場合には均一分散させるのが困難となる。発色濃度及び均一分散性の観点から、フォトクロミック化合物の含有量は上記基準で0.01〜2質量部であるのが好適である。
なお、上記硬化性組成物においては、本発明の効果を阻害しない範囲内で、フォトクロミック化合物の耐久性の向上、発色速度の向上、退色速度の向上や成形性の向上のために、添加剤を更に添加することもできる。好適に使用できる添加剤としては、界面活性剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料等を挙げることができる。
界面活性剤の添加量は、全重合性単量体100質量部に対して0〜20質量部であるのが好適であり、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料および香料等の添加量は、夫々全重合性単量体100質量部に対して0〜2質量部であるのが好適である。
上記硬化性組成物を硬化させて硬化体を製造する方法は特に限定されず、所定量の各成分を量り取り適宜混合して本発明の重合硬化性組成物を調整した後、熱重合及び/又は光重合により硬化させればよい。このとき、必要に応じて重合開始剤を使用することもできる。
熱による硬化に用いられる重合開始剤については特に制限されないが、具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等のパーオキシエステル;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルオキシカーボネート等のパーカーボネート類;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)等のアゾ化合物等を挙げることができる。
また、光による硬化に用いられる重合開始剤についても特に制限されないが、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾフェノール、アセトフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチオキサントン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。
該重合開始剤の量は特に限定されないが、重合を十分に進行させ、かつ過剰な重合開始剤を硬化体中に残さないとの観点から、全重合性単量体100質量部に対して0.001〜10質量部、特に0.01〜3質量部であるのが好適である。
本発明の重合硬化性組成物を硬化させることにより得られる硬化体はフォトクロミック特性、硬度および強度(靭性)が高いと優れた特徴を有する。該硬化体は、このような優れた特徴を有するため、光学物品、特にリムレス眼鏡用のフォトクロミック性プラスチックレンズ基材として特に好適に使用できる。本発明の硬化体をこのような用途に使用する場合には、適当な形状に成型、加工されたレンズ基材をそのままレンズとして使用することもできるが、必要に応じて表面加工を施してレンズとすることもできる。即ち、シランカップリング剤やケイ素、ジルコニウム、アンチモン、アルミニウム、スズ、タングステン等のゾル成分を主成分とするハードコート剤による処理、SiO、TiO、ZrO等の金属酸化物の薄膜の蒸着や有機高分子の薄膜の塗布による反射防止処理等を施し、レンズとすることができる。
本発明の重合硬化性組成物の硬化体からなるフォトクロミックプラスチックレンズは、高分子マトリックス中にフォトクロミック化合物が分散した成型体からなる眼鏡レンズであるが、該眼鏡レンズは次のような優れた特徴を有する。即ち、該眼鏡レンズに紫外線を照射してフォトクロミック化合物を発色状態にした後に紫外線照射を止めたときの退色半減期が4分以下、好ましくは2分以下であり、吸水率が3%以下、好ましくは2.5%以下であり、屈折率が1.518〜1.530、好ましくは1.520〜1.528であり、且つ以下に定義される引張り強度が15Kgf以上であるという特徴を有する。
ここで、「退色半減期」とは、「眼鏡レンズに紫外線を照射してフォトクロミック化合物を発色状態にした後に紫外線照射を止めたときに、発色時の最大波長における吸光度が発色時の1/2まで低下するのに要する時間」を意味し、フォトクロミック特性のうち最も重要な特性のひとつである退色速度の指標となる値である。本発明の眼鏡レンズにおいてはフォトクロミック化合物の退色半減期が、溶液中の該フォトクロミック化合物の退色半減期の10倍以内、好ましくは7倍以内、特に好ましくは5倍以内となり、レンズにおける退色半減期が4分以内、好適には2.5分以内となる。なお、上記フォトクロミック化合物溶液の溶媒は特に限定されないが、基準となる溶媒としてエチレングリコールジメチルエーテルを挙げることができる。
また「引張り強度」とは、耐穿孔加工強度の指標となるものであり、「眼鏡レンズの重心又はその近傍を通り且つ該レンズ基材を横断する任意の直線とレンズ基材周縁との2つの交点からそれぞれ4mm内側の当該直線上の2点をそれぞれ中心として、該レンズに直径2mmφの2つの穴をドリル加工により穿孔し、次いで得られた2つの穿孔に夫々直径1.6mmφのステンレス製の棒を貫通せしめた後にこれら2本の棒を夫々引張り試験機の上下のチャックに固定し、5mm/分の速度で引張り試験を行なったときの引張り強度」を意味する。眼鏡レンズは、通常厚さが1〜5mmの湾曲していてもよい、主表面の表面積が10〜40cmの盤上体であるので、該引張り強度は、このような試験片を作製し、その試験片についてその重心又はその近傍を通り且つ試験片を横断する任意の直線と基板周縁との2つの交点からそれぞれ4mm内側の当該直線上の2点をそれぞれ中心として、試験片に直径2mmφの2つの穴をドリル加工により穿孔し、次いで得られた2つの穿孔に夫々直径1.6mmφのステンレス製の棒を貫通せしめた後にこれら2本の棒を夫々引張り試験機の上下のチャックに固定し、5mm/分の速度で引張り試験を行なったときの引張り強度であるとも言える。このような引張り強度試験においては、試験片の破壊は通常ドリル穿孔された孔の近傍で起こり、通常眼鏡レンズとして使用されるものに関しては、引張り強度は基材の形状には殆ど影響を受けない。但し、上記引張り強度を実際の眼鏡レンズの耐穿孔加工強度の指標とする場合には、実際に使用する形状に加工した眼鏡レンズについてリムレスフレーム(即ち、蝶番と連結したアーム部材)を取り付けるときと同じかほぼ同じ位置となるように2つの孔の内の1つを穿孔し、引張り試験を行なうのが好適である。
リムレス眼鏡に使用し得る引張り強度は、15Kgf以上、好ましくは20Kgf以上であり、引張り強度が15Kgf以上であることは、リムレス眼鏡のモニター使用において良好な結果を示すこと及び基材の任意の位置にドリル加工により直径2mmφの穴を2100rpmの回転数で激しく(目安として、1穴/1秒以内の速度で)穿孔した時に、大きなクラックが入らない(クラックの長さが0.4mm以内に収まる)ことに対応している。
また、吸水率とは、物質の水分の吸収率を表す指標であり、次のようにして測定されるものである。即ち、湿潤状態の試料の表面水を完全に拭い去って表面乾燥飽水状態としそのときの質量(A)を測定し、次いで試料を100〜110℃の温度で定質量となるまで乾燥しその状態(絶対乾燥状態)の質量(B)を測定し、次式に従って求められるものである。
吸水率={(B−A)/A}×100(%)
なお、湿潤状態とは試料の表面の全面に水分が付着している状態を言い、湿潤状態の表面水を完全に拭い去った状態を表面乾燥飽水状態。また、絶対乾燥状態とは、表面乾燥飽水状態の試料を 100〜110℃の温度で定質量となるまで乾燥させた状態を言う。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下に実施例で使用した化合物の略号と名称を示す。
(I-1)成分の2官能モノマー
BPE100:2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン(m+nの平均値は2.6)
BPE200:2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン(m+nの平均値は4)
BPE500:2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン(m+nの平均値は10)。
(I-2)成分の2官能モノマー
3PGX:トリプロピレングリコールジメタクリレート
4PGX:テトラプロピレングリコールジメタクリレート。
(I-3)成分の多官能モノマー
TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート
TMPT3EO:エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート。
(I-4)成分のモノマー
(A)成分に該当するもの
A200:テトラエチレングリコールジアクリレート
A400:ノナエチレングリコールジアクリレート
(C)成分に該当するもの
KT−04:テトラエチレングリコールジメタクリレート
(A)成分、(C)成分以外のモノマーに該当するもの
M90G:平均分子量475のメチルエーテルポリエチレングリコールメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
αMS:αメチルスチレン
MSD:αメチルスチレンダイマー。
(II)フォトクロミック化合物
クロメン1:下記構造の化合物(該化合物のエチレングリコールジメチルエーテル(EGDME)溶液における退色半減期は0.4分である。)
Figure 2005239887
クロメン2:下記構造の化合物(該化合物のエチレングリコールジメチルエーテル(EGDME)溶液における退色半減期は0.3分である。)
Figure 2005239887
(III)添加剤
Tween20:ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート。
(IV)熱重合開始剤
パーブチルND:t−ブチルパーオキシネオデカノエート。
パーオクタO:1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
パーブチルO:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート。
以下に、得られた硬化体のフォトクロミック特性及び強度特性、及び吸水性の評価方法を示す。
(1)強度特性
得られた硬化体を用いて厚さ2mm、直径5cmφの円盤状の試験片を成形した後に該円盤状試験片の直径となる線上に周縁からそれぞれ4mmの点を中心とした直径2mmφの2つの穴をドリル加工により穿孔し、得られた2つの穿孔に夫々直径1.6mmφのステンレス製の棒を貫通せしめ、試験片を貫通した状態でこれら2本の棒を夫々引張り試験機の上下のチャックに固定し、5mm/分の速度で引張り試験を行なったときの引張り強度を測定した。
(2)吸水性
得られた硬化体を蒸留水の入った容器に投入し、空気循環式オーブンで該容器を70℃に加熱し、適宜硬化体を取り出し質量を測定し、質量が一定になったところで加熱を止め、硬化体の質量を測定し、容器投入前の乾固した状態の硬化体質量から、吸水率を求めた。
(3)屈折率
アタゴ(株)製アッベ屈折計を用いて、20℃における屈折率を測定した。接触液にはブロモナフタレンを使用した。
(4)フォトクロミック特性
得られた硬化体(厚み2mm、直径5cmの円盤状)に、浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100をエアロマスフィルター(コーニング社製)を介して20℃±1℃、重合体表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm,245nm=24μW/cmで120秒間照射して発色させ、前記試料のフォトクロミック特性を測定した。各フォトクロミック特性は次の方法で評価した。
(i) 最大吸収波長(λmax): (株)大塚電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディテクターMCPD1000)により求めた発色後の最大吸収波長である。該最大吸収波長は、発色時の色調に関係する。
(ii) 発色濃度{ε(120)−ε(0)}: 前記最大吸収波長における、120秒間光照射した後の吸光度{ε(120)}と上記ε(0)との差。この値が高いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
(iii) 退色半減期〔t1/2(min.)〕: 120秒間光照射後、光の照射を止めたときに、試料の前記最大波長における吸光度が{ε(120)−ε(0)}の1/2まで低下するのに要する時間。この時間が短いほど退色速度が速くフォトクロミック性が優れているといえる。
実施例1
BPE100:17質量部、3PGX:55質量部、TMPT:5質量部、A200:5質量部、GMA:10質量部、αMS:7質量部、MSD:1質量部を十分混合した。これにクロメン1を0.03質量部、熱重合開始剤としてパーブチルNDを1質量部、ならびにパーオクタOを0.1質量部添加し十分に混合した。この混合液をガラスモールドとエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるガスケットで構成された鋳型の中に注入した。90℃で2時間熱重合させた後、硬化体を鋳型のガラス型から取り外した。次いで得られた硬化体のフォトクロミック特性及び強度特性、さらに吸水性の評価を行なった。その結果を表1に示した。なお、表1におけるEGDME溶液の退色半減期は、同一濃度のEGDMEを調製し別途測定したものである。
Figure 2005239887
実施例2
BPE100:17質量部、3PGX:50質量部、TMPT:5質量部、M90G:5質量部、A200:5質量部、GMA:10質量部、αMS:7質量部、MSD:1質量部を十分混合した。これにクロメン1を0.03質量部、熱重合開始剤としてパーブチルNDを1質量部、ならびにパーオクタOを0.1質量部添加し十分に混合した。この混合液をガラスモールドとエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるガスケットで構成された鋳型の中に注入した。90℃で5時間熱重合させた後、硬化体を鋳型のガラス型から取り外した。次いで、得られた硬化体のフォトクロミック特性及び強度特性の評価を行なった。結果を表1に併せて示した。
実施例3〜10
実施例1と同様に、表1記載の重合硬化性組成物を重合し硬化体を得、得られた硬化体のフォトクロミック特性及び強度特性の評価を行なった。その結果を表1に示した。
比較例1
BPE100:50質量部、TMPT:5質量部、KT−04:22質量部、A200:5質量部、GMA:10質量部、αMS:7質量部、MSD:1質量部を十分混合した。これにクロメン1を0.03質量部、熱重合開始剤としてパーブチルNDを1質量部、ならびにパーオクタOを0.1質量部添加し十分に混合した。この混合液をガラスモールドとエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるガスケットで構成された鋳型の中に注入した。95℃で5時間熱重合させた後、硬化体を鋳型のガラス型から取り外した。得られた硬化体のフォトクロミック特性及び強度特性の評価結果を行い、その結果を表1に示した。
比較例2〜6
比較例1と同様に、表1記載の重合硬化性組成物を重合し硬化体を得た。得られた硬化体のフォトクロミック特性及び強度特性の評価結果を表1に示した。
表1から、本発明の重合硬化性組成物から得られる硬化体は、優れたフォトクロミック特性や耐吸水性を有し、且つリムレス眼鏡に使用し得る強度を有し、低屈折率が1.500〜1.530に調整されている。一方、(I-1)成分の2官能モノマー及び(I-2)成分のモノマー、(I-3)の多官能モノマーの配合割合が本発明で規定する範囲から外れる場合には、屈折率が1.530を超えるか、十分なフォトクロミック特性が得られないか、もしくは吸水性が高いか、もしくは強度の低下がみられ、結果として良好な物性バランスが得られていない。

Claims (5)

  1. (I): (I-1)下式(1)で表される2官能重合性単量体からなる成分7〜20質量%、(I-2)下式(2)で表される2官能重合性単量体からなる成分10〜60質量%、(I-3)下記式(3)で表される多官能重合性単量体からなる成分1〜15質量%及び(I-3)前記(I-1)乃至(I-3)の何れにも該当しない重合性単量体からなる成分5〜82質量%からなる重合性単量体組成物100質量部並びに
    (II): フォトクロミック化合物0.001〜5質量部
    を含有してなることを特徴とする重合硬化性組成物。
    Figure 2005239887
    {式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基であり、基−X−は−O−、−S−、−S(=O)−、−C(=O)−O−、−CH−、−CH=CH−又は−C(CH−で表される基であり、m及びnはm+nが2〜30となる整数である。}
    Figure 2005239887
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、pは1〜4の整数である。}
    Figure 2005239887
    {式中、Rは水素原子又はメチル基であり、基−R−は−CHCHO−、−CHCH(CH)O−又は−C(=O)CHCHCHCHCHO−で表される基であり、Rは3〜6価の有機残基であり、aは0〜3の整数であり、bは3〜6の整数である。}
  2. 請求項1に記載の重合硬化性組成物を重合して得られる硬化体。
  3. 高分子マトリックス中にフォトクロミック化合物が分散した成型体からなる眼鏡レンズおいて、以下に定義される退色半減期が4分以下であり、吸水率が3%以下であり、屈折率が1.518〜1.530であり、且つ以下に定義される引張り強度が15Kgf以上であることを特徴とする前記眼鏡レンズ。
    退色半減期: 眼鏡レンズに紫外線を照射してフォトクロミック化合物を発色状態にした後に紫外線照射を止めたときに、発色時の最大波長における吸光度が発色時の1/2まで低下するのに要する時間
    引張り強度: 眼鏡レンズの重心又はその近傍を通り且つ該レンズ基材を横断する任意の直線とレンズ基材周縁との2つの交点からそれぞれ4mm内側の当該直線上の2点をそれぞれ中心として、該レンズに直径2mmφの2つの穴をドリル加工により穿孔し、次いで得られた2つの穿孔に夫々直径1.6mmφのステンレス製の棒を貫通せしめた後にこれら2本の棒を夫々引張り試験機の上下のチャックに固定し、5mm/分の速度で引張り試験を行なったときの引張り強度
  4. 請求項3に記載の眼鏡レンズ又は該眼鏡レンズに表面処理を施した表面処理眼鏡レンズからなる眼鏡レンズと、該眼鏡レンズを使用時に掛止させるためのアーム部材とを具備することを特徴とする眼鏡。
  5. 眼鏡レンズが螺子孔を有し、当該眼鏡レンズと前記アーム部材とが該レンズに螺子止めされた蝶番を介して連結している請求項4に記載の眼鏡。
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