JP2005239767A - 樹脂組成物並びにそれを用いたプリプレグおよび積層板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 誘電特性に優れるというPPE樹脂組成物本来の特性のみならず、樹脂と無機充填剤との密着性に優れ、更に高い耐吸湿性や耐電食性を享有する樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグと積層板を提供する。
【解決手段】 本発明の樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤および無機充填剤を含む樹脂組成物であって、当該無機充填剤が、側鎖中の置換基としてアンモニウム塩を有するシランカップリング剤で表面処理されたものである。

Description

本発明は、電子機器に用いられる多層プリント基板の材料である積層板、この積層板の製造に使用するプリプレグ、およびこのプリプレグの製造に使用する樹脂組成物に関するものである。
ポリフェニレンエーテル樹脂(以下、ポリフェニレンエーテルを「PPE」という場合がある)、エポキシ樹脂および硬化剤を含む樹脂組成物をガラスクロスに含浸させてプリプレグを作製し、これを用いて積層板を得ることは、従来より行なわれている。斯かる積層板は、優れた高周波特性、特に、広い温度範囲や湿度範囲において一定の誘電率と誘電正接を示し、且つ誘電正接が小さいという特性を備えている点で、衛星通信波領域で使用されるXバンド(10GHz)領域に好適である。
上記樹脂組成物においては、PPE樹脂として、高分子量のPPEとフェノール化合物とをラジカル開始剤の存在下で再分配反応させることによって、低分子量化したPPEとフェノール化合物が縮合した変性フェノール化合物を用い、積層板を製造する技術がある。この積層板では、変性フェノール化合物の末端に存在するフェノール性水酸基とエポキシ樹脂中のエポキシ基が反応し、架橋構造が形成されることにより耐溶剤性が向上すると考えられている。
また、多層プリント基板材料である積層板の製造に用いられる樹脂組成物には、様々な特性を付与するために、無機充填剤が添加される。例えばPPE樹脂には、他の高分子材料に比べて熱膨張率が高く積層板の寸法安定性を損なうという欠点があることから、熱膨張係数を低下させることができるシリカが添加される。或いは、加圧硬化時の樹脂流れを抑制するために、タルクが添加されることもある。
ところが、有機高分子であるPPE樹脂やエポキシ樹脂は無機充填剤との親和性が低いために、積層板中で密着状態を保てないという問題があった。そこで、斯かる問題を解決すべく、無機充填剤を表面処理することが行なわれている。
例えば特許文献1には、熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂と無機充填剤であるシリカを含有する組成物であって、シリカの表面が、末端にメタクリロキシ基、グリシドキシ基またはビニル基を有する特定のシランカップリング剤により処理されているものが開示されている。そして、この組成物により製造される樹脂付金属箔やフィルムは、熱膨張係数が低く平滑性に優れる旨が記載されている。
また、特許文献2には、エポキシ樹脂と変性フェノール化合物(高分子量PPEとフェノール化合物をラジカル開始剤存在下で反応させたもの)と硬化剤を含み、更にγ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で表面処理されたタルクを含む組成物が開示されている。
しかしながら、PPE樹脂、エポキシ樹脂および硬化剤を含む樹脂組成物は無機充填剤との密着性が弱く、これを用いて積層板を製造すると、樹脂が無機充填剤と解離する場合があるという問題があった。また、当該樹脂の耐吸湿性や耐電食性は満足できるものではなく、これら特性の更なる向上が望まれていた。
特開2001−81305号公報(請求項1) 特開2000−212256号公報(請求項1)
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、PPE樹脂、エポキシ樹脂および硬化剤に加え無機充填剤を含む樹脂組成物であって、樹脂と無機充填剤との密着性が高く、且つ優れた耐吸湿性や耐電食性をも享有するものを提供することにある。また、本発明では、当該樹脂組成物を用いたプリプレグと積層板を提供することも目的としている。これらプリプレグと積層板は、樹脂と無機充填剤との密着性など樹脂組成物が享有する特性をそのまま有するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、樹脂と無機充填剤との密着性、即ち親和性を向上すべく、無機充填剤の表面処理剤につき鋭意研究を進めた。その結果、意外にも側鎖にアンモニウム塩基が置換しているシランカップリング剤で無機充填剤を表面処理すれば、両者の密着性を高められることを見出して、本発明を完成した。
即ち、本発明の樹脂組成物は、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)硬化剤、および(D)無機充填剤を含む樹脂組成物であって、当該無機充填剤が、側鎖中の置換基としてアンモニウム塩を有するシランカップリング剤で表面処理されたものであることを特徴とする。
上記樹脂組成物としては、上記ポリフェニレンエーテル樹脂が、高分子量ポリフェニレンエーテルとフェノール化合物とをラジカル開始剤の存在下で再分配反応させた変性フェノール化合物であるものが好ましい。この変性フェノール化合物は上記エポキシ樹脂との反応能を有するため、その構造中のポリフェニレンエーテル構造が樹脂間の架橋に関与することから、積層板の接着強度を高くすることができるからである。
上記シランカップリング剤としては、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-[2-(4-ビニルベンジルアミノ)エチル]アンモニウムクロライド(N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩)が好適である。フリーの状態にあるアミノ基を置換基として側鎖に有するカップリング剤に比べて積層板の接着強度を高めることができるからであり、また、この効果は後述する実施例により実証されているからである。
上記無機充填剤としては、上記表面処理前の無機充填剤100質量部に対して、0.5〜2質量部の上記シランカップリング剤により表面処理されたものが好ましい。シランカップリング剤の量が斯かる範囲にあれば、耐熱性の劣化や樹脂−無機充填剤の密着性の低下を確実に抑制できるからである。
本発明のプリプレグは、上記樹脂組成物を基材に含浸して半硬化させたものであることを特徴とし、本発明の積層板は、当該プリプレグと銅箔とを加熱加圧成形することにより積層してなることを特徴とする。
本発明の樹脂組成物は、誘電特性に優れるというPPE樹脂組成物本来の特性のみならず、樹脂と無機充填剤との密着性に優れ、更に高い耐吸湿性や耐電食性を享有する。従って、本発明に係る樹脂組成物とこれを含浸させたプリプレグは、積層板の製造材料として有用である。そしてこの積層板は、本発明の樹脂組成物の特性をそのまま享有するものであり、特に高周波領域で用いられるものとして産業上極めて有用である。
以下に、本発明の実施形態とその効果について説明する。
(A) ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂)
本発明で使用できるPPE樹脂は、いわゆるポリフェニレンエーテルを主骨格とするものであれば、フェノール誘導体の単独重合体や共重合体、またフェノール誘導体と他の単量体との共重合体であって、電子機器部品材料として用いられるものを特に制限なく使用することができる。この様なPPE樹脂としては、例えばポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)を挙げることができる。
また、本発明においては、高分子量PPEとフェノール化合物とをラジカル開始剤の存在下で再分配反応させた変性フェノール化合物を用いるのも好適な態様である。斯かる変性フェノール化合物は、高分子量PPEが適度に切断されて低分子量化されたものの一端がフェノール化合物で置換された構造を有する。
この変性フェノール化合物としては、数平均分子量が1000〜3000のものを用いることが好ましい。数平均分子量が1000未満では積層板の耐熱性が低下する場合があるからであり、一方3000を超えると、基材に含浸した樹脂をBステージまで半硬化させた場合における樹脂の溶融粘度が増大する結果、積層板の金属箔の引き剥がし強度、半田耐熱性、メッキ染み込み性の性能が阻害される場合があるからである。
変性フェノール化合物の製造に用いられる「高分子量PPE樹脂」としては、数平均分子量が10000〜30000のものを好適に使用する。その代表的な一例としては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキサイド)を挙げることができる。このような高分子量PPE樹脂は、例えばUSP4,059,568号の明細書に開示された合成法により製造することができる。
この高分子量PPEの再分配反応に用いられるフェノール化合物としては、ポリフェノールであるビスフェノールA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等、フェノール性水酸基を分子内に2個以上有する多官能のフェノール類が好ましい。ラジカル開始剤としては、過酸化ベンゾイルの他に、例えばジクミルパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン、α,α'-ビス(tert-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼンなどの過酸化物が挙げられる。また、開始剤として、過酸化物ではないが市販の開始剤である日本油脂(株)製の商品名「ビスクミル」(1分半減温度:330℃)を使用することもできる。
変性フェノール化合物の合成反応は、溶媒中或いは無溶媒で高分子量PPEとフェノール化合物とラジカル開始剤とを混合して、加熱することにより行なう。触媒として、ナフテン酸コバルト等を加えてもよい。ここで使用する溶媒としては、これら化合物を適度に溶解でき且つ反応を阻害しないものであれば特に制限されないが、例えばベンゼンやトルエン等の芳香族炭化水素溶媒を使用することができる。反応温度と反応時間は、目的とするPPEの数平均分子量等によるが、例えば60〜100℃で30分〜6時間反応させる。これら反応条件は、予備実験により決定すればよい。反応終了後は、溶媒を減圧留去するのみでそのまま用いてもよいが、PPEに対する溶解性が低いメタノールなどの溶媒を反応系に加え、目的物を沈殿させることにより粗精製してもよい。
(B) エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、一般に公知のものを使用することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂等を挙げることができる。本発明では、これらエポキシ樹脂を単独で用いたり2種類以上を併用したりすることができる。更に、これら樹脂を臭素化した難燃化エポキシ樹脂も使用できる。
(C) 硬化剤
硬化剤としては、従来から一般的に用いられているものを使用することができ、上記エポキシ樹脂の硬化剤として使用可能なものであれば特に制限はないが、例えば、第1アミンや第2アミンなどのアミン系硬化剤、ビスフェノールAやビスフェノールFなどのフェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤などを挙げることができる。本発明では、これら硬化剤を単独で用いたり2種類以上を併用したりすることができる。
(D) 無機充填剤
本発明の樹脂組成物に添加する無機充填剤の種類は、樹脂組成物に付与したい性質に応じて選択すればよいが、シランカップリング剤で表面処理する必要があることから、少なくとも表面に水酸基を有するものである必要がある。この様な無機充填剤としては、例えばシリカ、タルク、カオリン、クレー(ケイ酸アルミニウム)を挙げることができる。
無機充填剤の形状は特に制限されず、例えばシリカであれば、球状であっても破砕状であってもよい。その配合量は、樹脂成分(PPE樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤、その他無機充填剤を除く添加物の合計)100質量部に対して60〜150質量部添加するのが良い。無機充填材の配合量が上記よりも少ない場合は、高剛性材として積層板を形成するのに必要な十分な剛性が得られない場合があり、一方、上記よりも多い場合は、積層板の成形時にカスレやボイドが発生したり、耐熱性が低下するおそれがある。
本発明では、側鎖中の置換基としてアンモニウム塩を有するシランカップリング剤を用いて、無機充填剤を表面処理する。ここで、「側鎖中の置換基としてアンモニウム塩を有する」とは、シランカップリング剤の側鎖にアミノ基(1〜3級アミノ基)が存在し、このアミノ基が酸などによりカチオン(-NH など)となり、カウンターアニオンと共に塩を形成している状態をいう。斯かるカウンターアニオンとしては、塩化物イオンや臭化物イオン等のハロゲンイオンの他に、硝酸イオンや硫酸イオン等を挙げることができる。
シランカップリング剤により無機充填剤を表面処理する際には、無機充填剤表面の少なくとも一部において、下記の様な反応が起こる。
Figure 2005239767
即ち、シランカップリング剤の構造は、ケイ素原子に少なくとも2つのアルコキシ基と少なくとも1のアルキル誘導体基が置換しており、シランカップリング剤を水に添加するとアルコキシ基が加水分解を起こしてシラノール基が生成し、更に自己縮合してオリゴマーとなる。このオリゴマーのシラノール基と無機充填剤の表面に存在する水酸基との間で脱水が起こり、無機充填剤表面の少なくとも一部がシラン化合物により被覆されることになる。従って、本発明における置換基としてのアンモニウム塩は、シランカップリング剤のアルコキシ基上に存在しているのではなく、アルキル誘導体基上に存在している必要がある。アルコキシ基上に存在するとすれば、加水分解によりアンモニウム塩とカップリング剤が分離することとなり、アンモニウム塩による効果が発揮されないからである。また、表面処理に使用される溶媒は主にメタノールや水等の中性プロトン性溶媒のみであるので、シランカップリング剤の構造中に存在するアンモニウム塩は、無機充填剤表面に結合するカップリング剤の構造中にそのまま存在することになる。
本発明で使用する「側鎖中の置換基としてアンモニウム塩を有するシランカップリング剤」としては、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-[2-(4-ビニルベンジルアミノ)エチル]アンモニウムクロライド(N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩)、N-(2-ベンジルアミノエチル)-N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-(4-ビニルベンジル)アンモニウムクロライド(N-β-(N-ベンジルアミノエチル)-N-ビニルベンジル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩)、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-(4-ビニルベンジル)-N-[2-(4-ビニルベンジルアミノ)エチル]アンモニウムクロライド(N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-N-ビニルベンジル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、N-(2-ベンズヒドリルアミノエチル)-N-(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド(N-β-(N-ベンズヒドリルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩)、オクタデシルジメチル(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アンモニウムクロライド等を挙げることができる。
表面処理の際には、表面処理前の無機充填剤100質量部に対して、0.5〜2質量部の上記シランカップリング剤を添加することが好ましい。シランカップリング剤の配合量が上記よりも少ない場合は、積層板の成形時に樹脂と無機充填剤との充分な密着性を得ることができないことがあり、一方、上記よりも多い場合は成形後の積層板の耐熱性が低下するおそれがある。
無機充填剤の表面処理方法は特に問わないが、表面を均一に処理する必要から、湿式法によることが好ましい。具体的には、シランカップリング剤の溶液に無機充填剤を加えてスラリー化したり或いは浸漬した後に、加熱乾燥する。
(E) その他の添加剤
本発明の樹脂組成物には、樹脂の特性を向上させるためにその他の添加剤を添加してもよい。例えば、エポキシ樹脂の硬化反応のために、必要に応じてイミダゾール系の硬化促進剤等を添加してもよい。
本発明に用いる樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤およびその他の添加剤に上記表面処理を施した無機充填剤を加え、必要に応じてその他の成分を配合した上で、ディスパー、ミル等で均一に混合することにより調製することができる。
そして、本発明のプリプレグは、ガラスクロスに上記樹脂組成物を含浸させ、この後、加熱により乾燥し次いでガラスクロス中の樹脂組成物をBステージ状態にまで半硬化させることによって製造することができる。乾燥および半硬化する際の加熱条件は樹脂組成物の組成等によって適宜設定することができるが、例えば、150〜170℃で4〜7分間とすることができる。
樹脂組成物をガラスクロスに含浸させるにあたっては、公知の方法を採用することができる。例えば、有機溶媒に上記の樹脂組成物を溶解させて樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスをガラスクロスに含浸させればよい。ここで使用される有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素;ケトン類;アルコール類を挙げることができる。これらの有機溶媒は単独で用いたり2種類以上を併用したりすることができる。また、本発明のプリプレグの樹脂含有率は、ガラスクロスの厚さとその使用目的に応じて適宜設定すればよいが、例えば、45〜65%にすることができる
本発明の電気用の積層板(基板材料)は、上記のプリプレグと銅箔等の金属箔を用いて形成したものである。プリプレグは一枚あるいは複数枚重ねて使用することができ、このプリプレグの片方あるいは両方の外側に金属箔を重ねた後、加熱加圧成形してプリプレグの樹脂組成物を硬化させて絶縁層を形成すると共に、この樹脂組成物の硬化により金属箔と絶縁層を一体化することによって、片面あるいは両面金属箔張り積層板を形成することができる。
上記の積層成形の際における加熱加圧条件は、製造する積層板の厚みやプリプレグの樹脂組成物の種類等により適宜設定することができるが、例えば、温度190〜210℃、圧力3.5〜4.0Pa、時間120〜150分間にすることができる。こうして得られた積層板は、樹脂と無機充填剤との密着性に優れ、更に高い耐吸湿性や耐電食性を享有するものであって、高周波領域であっても好適に使用され得るものである。
以下に、実施例を示すことによって本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
実施例1 樹脂組成物、プリプレグおよび積層板の製造
表1に示す配合で樹脂組成物を調製した。先ず、30質量部(以下、部と記す)の高分子量ポリフェニレンエーテル(数平均分子量:約15000、日本GEプラスチック製)と1.2部のビスフェノールAとを加熱溶融して混合した後、1.5部の過酸化ベンゾイル(日本油脂製のラジカル開始剤)を配合することによって、数平均分子量:約2000の変性フェノール化合物を調製した。
また、別途、アンモニウム塩基が置換している側鎖を有するシランカップリング剤であるN-(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-[2-(4-ビニルベンジルアミノ)エチル]アンモニウムクロライド(N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩)(信越シリコーン製、表1中「シランカップリング剤A」)をメタノールに溶解して固形分1質量%の処理液を調製し、この処理液にシリカ(粒径形状:ほぼ球形、平均粒径:0.5μm、アドマテックス製)を1時間浸漬・攪拌した後、120℃で1時間乾燥することによって、表面処理を施したシリカを得た。
上記変性フェノール化合物(ポリフェニレンエーテル系樹脂)と表面処理シリカ(無機充填剤)に加え、エポキシ樹脂として48部の臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日本化薬製の「EPPN501H」)と、18部のフェノールノボラック型エポキシ樹脂(旭チバ製の「EPN1182」)、硬化剤として1部のジアミノジフェニルメタン(油化シェル製の「エタキュア」)、硬化促進剤として0.3部の2-エチル-4-メチル-イミダゾール(四国化成製)を用いて樹脂組成物とした。
この樹脂組成物 100部をトルエン 90部に溶解させて樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスをガラスクロスに含浸した。このガラスクロスを加熱し、乾燥すると共に樹脂組成物を半硬化させることによって、樹脂含有量が50%のプリプレグを形成した。
次に、上記のプリプレグを8枚重ね合わせると共に、これらのプリプレグの両外側に厚み18μmの銅箔を重ね、これを温度200℃、圧力3.5MPa、時間120分間の条件で加熱加圧成形することによって、厚み0.8mmの両面銅張り積層板を製造した。
実施例2〜9
無機充填材として、原料となるシリカの量および/またはシランカップリング剤Aの量を表1の通り変更して表面処理したものを用いた以外は、上記実施例1と同様にしてプリプレグと両面銅張り積層板を製造した。
比較例1
無機充填材として、表面処理を施さないシリカを100部用いた以外は実施例1と同様にして、プリプレグと両面銅張り積層板を製造した。
比較例2
側鎖にアンモニウム塩基が置換していないシランカップリング剤であるN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(表1中、「シランカップリング剤B」)を1部用いて上記実施例1と同様の表面処理を施したシリカを30部用いた以外は実施例1と同様にして、プリプレグと両面銅張り積層板を製造した。
試験例
上記実施例1〜9および比較例1と2で製造した両面銅張り積層板について、吸湿性、樹脂−無機充填剤密着性(SEM断面観察による)、HAST試験、成形性、曲げ弾性率および耐熱性の評価を行なった。
吸湿性は、得られた両面銅張り積層板の表面の銅箔をエッチングにて除去し、5cm角に切り取り、温度121℃、湿度100%の釜に300時間入れる前後の重量増加値を測定することにより求め、この値が0.8%以下のものを○、0.8〜1.0%のものを△、1%以上のものを×と評価した。
樹脂−無機充填剤密着性は、得られた両面銅張り積層板の表面の銅箔をエッチングにて除去し、温度121℃、湿度100%の釜で24時間処理したものと処理していないものの破断面を走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)で観察し、処理の有無にかかわらず無機充填剤の抜け落ちが見られないものを○、処理無しでは無機充填剤が樹脂で覆われており無機重点剤の抜け落ちが見られないが、処理有りでは無機充填剤が樹脂で覆われておらず樹脂からの抜け落ちが見られるものを△、処理の有無にかかわらず無機充填剤が樹脂で覆われておらず樹脂からの抜け落ちが見られるものを×と評価した。
HAST試験は、得られた両面銅張り積層板に穴径0.3m、穴間隔0.25mmのスルーホールを開け、このスルーホール間に温度130℃、湿度85%の雰囲気下で3.5Vの電圧をかけ、1μA以下の値のまま200時間もつものを○、100〜200時間もつものを△、100時間以下の耐久性しかないものを×と評価した。
成形性は、得られた両面銅張り積層板の表面の銅箔をエッチングにて除去し、積層板の表面のカスレや積層板断面のボイドの有無を観察し、カスレやボイドが無いものを○、カスレやボイドが有るものを×と評価した。
曲げ弾性率の評価はJIS K6911に準拠して行ない、300℃での値が300kgf/mm以上のものを○、300kgf/mm以下のものを×と評価した。
耐熱性は、得られた両面銅張り積層板を5cm角に切り取り、265℃のオーブンに1時間入れた後、銅箔と内層のフクレの有無を観察し、フクレの無いものを○、フクレの有るものを×と評価した。以上の結果を表1に示す。
Figure 2005239767
上記結果によれば、無機充填剤を表面処理しないで製造した積層板(比較例1)と、側鎖にアンモニウム塩ではなくフリーのアミノ基を置換基として有するシランカップリング剤により表面処理した無機充填剤を用いて製造した積層板(比較例2)では、無機充填剤と樹脂との密着性が劣り、且つ耐吸湿性や耐電食性が十分でなかった。
一方、無機充填剤として、側鎖中の置換基としてアンモニウム塩を有するシランカップリング剤で表面処理したものを用いて製造した本発明の積層板(実施例1〜9)は、走査電子顕微鏡で観察しても無機充填剤と樹脂とが十分に密着しており、耐吸湿性や耐電食性にも優れるものであることが実証された。従って、本発明の積層板は、特に高周波領域における実用に十分耐え得るものであることが明らかとなった。

Claims (6)

  1. (A)ポリフェニレンエーテル樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)硬化剤、および(D)無機充填剤を含む樹脂組成物であって、当該無機充填剤が、側鎖中の置換基としてアンモニウム塩を有するシランカップリング剤で表面処理されたものであることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 上記ポリフェニレンエーテル樹脂が、高分子量ポリフェニレンエーテルとフェノール化合物とをラジカル開始剤の存在下で再分配反応させた変性フェノール化合物である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 上記シランカップリング剤として、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-[2-(4-ビニルベンジルアミノ)エチル]アンモニウムクロライドを使用する請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 上記無機充填剤が、上記表面処理前の無機充填剤100質量部に対して、0.5〜2質量部の上記シランカップリング剤により表面処理されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物を基材に含浸して半硬化させたものであることを特徴とするプリプレグ。
  6. 請求項5に記載のプリプレグと銅箔とを加熱加圧成形することにより積層してなることを特徴とする積層板。
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