JP2005239522A - 光ファイバの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 窒素ガスが送り込まれた線引き炉11内に光ファイバ母材14を投入し、その先端部近傍をヒータ13による加熱溶融位置に配置させる。コントローラ33によって流量調整器23、24を制御し、窒素ガスが充満していた線引き炉11内にヘリウムガスを送り込み、窒素ガスに代わってヘリウムガスを充満させる。窒素ガスに代わって充填された熱伝導率に優れたヘリウムガス雰囲気中にて、光ファイバ母材14の先端部を加熱溶融させ、下方に引き延ばして細径化し、ガラスファイバ14aとし、高品質な光ファイバを製造する。
【選択図】 図1
Description
図3は、光ファイバを製造する製造装置である。図に示すように、この製造装置は、ヒータ1を備えた円筒状の線引き炉2を有しており、この線引き炉2内には、その上部から、光ファイバ母材3が投入される。
線引き炉2内に投入される光ファイバ母材3は、その先端側がヒータ1によって加熱溶融され、下方に引き延ばされて細径化され、ガラスファイバ3aとされる。
線引き炉2の下方には、ガラスファイバ3aの外周に紫外線硬化型樹脂を被覆する樹脂塗布用ダイス4と、塗布した紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射して硬化させる紫外線照射装置5とが設置されている。そして、ガラスファイバ3aは、樹脂塗布用ダイス4によって外周に樹脂が塗布されて紫外線照射装置5によって樹脂が硬化されることにより、樹脂が被覆された光ファイバ3bとされる。
その後、光ファイバ3bは、ガイドローラ6を介して図示しないキャプスタンによって引き込まれ、ボビンに巻き取られる。
この不活性ガスとしてよく使われるものは、窒素、ヘリウムなどであるが、特に、廉価な窒素は、光ファイバの製造コストを下げるために多く用いられている。
しかしながら、窒素は、ヘリウムと比較して熱伝導率が小さく、このため、特に、外径の大きな光ファイバ母材から光ファイバを製造する場合、外径変動が大きくなってしまう。
このため、このような大径の光ファイバ母材から光ファイバを製造する場合には、高価なヘリウムを使わざるを得ず、製造コストが高い。
さらに、前記線引き炉内へ供給する不活性ガスを、前記光ファイバ母材の投入時に、ヘリウムガス以外のガスからヘリウムガスに切り替えることが望ましい。
また、前記線引き炉内へ供給する不活性ガスを、前記光ファイバ母材から線引きしたガラスファイバの外径が、設定外径値より5%大きな値となる以前に、ヘリウムガス以外のガスからヘリウムガスに切り替えることが好ましい。
また、ガスの切り替え時に、切り替え前のガスを2SLM以下の変化量で減少させつつ切り替え後のガスを2SLM以下の変化量で増加させることが好ましい。
図1は本発明の光ファイバの製造方法を実施するために好適な製造装置を示す概略構成図、図2はガスの切り替えタイミングを説明する製造装置の概略構成図である。
図に示すように、線引き炉11は、カーボンからなる円筒状の炉心管12を有しており、この炉心管12の外周側に、環状のヒータ13を備えている。炉心管12の上下には上部収容部16、下部収容部17がそれぞれ連結されている。
そして、この線引き炉11には、その上方側から、光ファイバ母材14が投入される。この光ファイバ母材14は、その上端がガラス棒15に連結され、このガラス棒15によって線引き炉11内に吊り下げられる。そして、この光ファイバ母材14は、その先端部近傍が、ヒータ13によって加熱溶融され、下方に引き延ばされて細径化され、ガラスファイバ14aとされる。ガラス棒15は、図示しない母材送り装置に支持されており、光ファイバ母材14の線引き状態に応じて、鉛直下方へ移動され、光ファイバ母材14の先端位置が常にヒータ13により加熱溶融される位置に配置される。
線引き炉11は、その下端部にシャッタ31を備えており、このシャッタ31によって線引き炉11の下端の開口部における開口度が調節可能とされている。
また、この線引き炉11は、コントローラ33を有しており、このコントローラ33には、流量調整器23、24、シャッタ31及び外径測定器32がそれぞれ接続されている。そして、このコントローラ33には、外径測定器32からの検出信号が入力される。また、コントローラ33は、流量調整器23、24及びシャッタ31へ制御信号を出力し、これら流量調整器23、24及びシャッタ31を制御する。
その後、光ファイバは、ガイドローラを介してキャプスタンによって引き込まれ、ボビンに巻き取られる。
光ファイバの線引き工程は、線掛け工程、線速上昇工程、定常線速工程、線速下降工程、残母材回収工程にさらに細かく分けることができる。
線掛け工程は、光ファイバ母材を線引き炉にいれて、前記光ファイバ母材の下端部を加熱して細くして引き出して線引き炉の下流に配置された冷却装置、樹脂塗布装置、樹脂硬化装置などを通してガイドローラや引き取り装置などにかけて巻き取り装置のボビンまで導いてパスラインを形成する工程である。
定常線速工程は、定常線速で光ファイバを線引きする工程である。
線速下降工程は、定常線速から数十m/分程度まで線速を徐々に下降させる工程である。光ファイバ母材の残りが少なくなり、良品の光ファイバとなる部分がなくなると、線速を下降させ始める。
良品となる光ファイバは定常線速工程で線引きされた光ファイバである。線速上昇工程および線速下降工程で線引きされた光ファイバは廃棄される。
本発明では、少なくとも定常線引き工程では線引き炉にヘリウムガスを流す。
まず、コントローラ33によって流量調整器23、24が制御され、窒素ガス貯留タンク26から分岐管22及びガス供給管21を介して線引き炉11内に窒素ガスが送り込まれる。
これにより、線引き炉11内は、ガス供給管21から送り込まれる窒素ガス雰囲気とされる。
この状態にて、図2に示すように、線引き炉11の上方から光ファイバ母材14を投入する。そして、その先端部近傍をヒータ13により加熱溶融される位置に配置させる。
これにより、光ファイバ母材14は、熱伝導率に優れたヘリウムガス雰囲気中にて、その先端部が加熱溶融され、下方に引き延ばされて細径化され、ガラスファイバ14aとされ、高品質な光ファイバが製造される。
これにより、ヘリウムガス雰囲気であった線引き炉11内に窒素ガスが次第に送り込まれ、高価なヘリウムガスに代わって安価な窒素ガス雰囲気となる。
ここで、窒素ガスからヘリウムガスへの切り替えのタイミングの他の例を説明する。
コントローラ33は、ガラスファイバ14aの外径を測定する外径測定器32からの検出信号に基づいて、シャッタ31に制御信号を出力する。そして、この制御信号によってシャッタ31が作動し、線引き炉11の下端の開口部がせばめられ、所定の開口面積とされ外気の流入が極力抑えられる。
そして、このようにシャッタ31が所定の開口面積となると、その後しばらくして(約10分程度して)線引きされるガラスファイバ14aの線速、張力が安定して曲がりのない安定した設定外径になり良品となる。
この切り替えでは、例えば、母材送り装置あるいはシャッタ31の作動時からタイマーを作動させて所定時間経過時にガスの切り替えを行う。ここで、この所定時間としては、線引きするガラスファイバ14aが安定した設定外径の良品となるまでの時間であり、この時間を予め求めておく。
そして、このように所定時間経過時にて、ガスを切り替えることにより、ヘリウムガスを必要最小限に抑えることができ、ヘリウムガスの使用をさらに節約することができる。
この所定外径時における切り替えでは、コントローラ33が、外径測定器32からの検出信号に基づいて、光ファイバ母材14から引き延ばされるガラスファイバ14aの外径が、線引き開始時から徐々に減少して設定の外径より5%大きな値となったと判断した時点にて、流量調整器23、24に制御信号を出力し、窒素ガスが充満していた線引き炉11内にヘリウムガスを次第に送り込み、窒素ガスに代わってヘリウムガスを充満させる。これよりガス切り替えの時期を遅らせると、ガス切り替え後の光ファイバの線径変動を抑えるための操作が必要となる。あるいは、線径を安定させるまでの時間が余分に必要になり、その間に線引きされる光ファイバが無駄になる。
この所定線速時における切り替えでは、ガラスファイバ14aの線速が線引き開始時から徐々に上昇して例えば設定値の80%となった時点にて、コントローラ33が、流量調整器23、24に制御信号を出力し、窒素ガス雰囲気であった線引き炉11内にヘリウムガスを次第に送り込み、窒素ガスに代わってヘリウムガス雰囲気とする。
つまり、この所定線速時における切り替えでは、ガラスファイバ14aの線速が例えば設定値の80%となり、ガラスファイバ14aがほぼ良品となる時点にてガスの切り替えを行うことができる。
作業者が、ガラスファイバ14aの線速や外径値から判断してガスを切り替えることも可能である。
13 ヒータ
14 光ファイバ母材
31 シャッタ
Claims (7)
- 不活性ガスを供給した線引き炉内に光ファイバ母材を送り込みながら該光ファイバ母材を前記線引き炉のヒータによって加熱溶融させて線引きする光ファイバの製造方法であって、
前記線引き炉内へ供給する不活性ガスをヘリウムガスとヘリウムガス以外のガスのいずれかに切り替えることを特徴とする光ファイバの製造方法。 - 前記線引き炉内へ供給する不活性ガスを、前記光ファイバ母材からの線引きの開始時に、ヘリウムガス以外のガスからヘリウムガスに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記線引き炉内へ供給する不活性ガスを、前記光ファイバ母材の投入時に、ヘリウムガス以外のガスからヘリウムガスに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記線引き炉内へ供給する不活性ガスを、前記線引き炉の下端の開口部をシャッタによって閉鎖した時点にて、ヘリウムガス以外のガスからヘリウムガスに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記線引き炉内へ供給する不活性ガスを、前記光ファイバ母材から線引きしたガラスファイバの外径が、設定外径値より5%大きな値となる以前に、ヘリウムガス以外のガスからヘリウムガスに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記線引き炉内へ供給する不活性ガスを、前記光ファイバ母材からの線引き終了時に、ヘリウムガスからヘリウムガス以外のガスに切り替えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光ファイバの製造方法。
- ガスの切り替え時に、切り替え前のガスを2SLM以下の変化量で減少させつつ切り替え後のガスを2SLM以下の変化量で増加させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の光ファイバの製造方法。
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