JP2005231223A - 装飾体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 異なる模様を1回の転写で形成して製造作業の繁雑化を招くことなく簡単に装飾体の意匠性を向上させる。
【解決手段】 装飾用基体3のアンダーコート層9に第2模様形成用被膜を形成してから、第1模様21をアンダーコート層9に水圧転写により形成する。水Wを装飾用基体3の第1模様21に吹き付けてその吹付け圧で第2模様形成用被膜を覆う箇所の第1模様21を除去して第2模様形成用被膜を溶解させることにより、第1模様21の一部にアンダーコート層9を露出させて露出部分で第2模様27を形成する。
【選択図】 図7
【解決手段】 装飾用基体3のアンダーコート層9に第2模様形成用被膜を形成してから、第1模様21をアンダーコート層9に水圧転写により形成する。水Wを装飾用基体3の第1模様21に吹き付けてその吹付け圧で第2模様形成用被膜を覆う箇所の第1模様21を除去して第2模様形成用被膜を溶解させることにより、第1模様21の一部にアンダーコート層9を露出させて露出部分で第2模様27を形成する。
【選択図】 図7
Description
この発明は、液圧転写により形成された模様を有する装飾体の製造方法に関するものである。
従来より、装飾用基体の加飾面に模様を液圧転写により形成して装飾体を得ることが行われている。この液圧転写の要領は、例えば、特許文献1に開示されているように、液体に溶解するフィルム基体に模様が印刷された転写フィルムを液面に浮かべて上記フィルム基体を液体に溶解させ、液面に浮かんでいる模様に装飾用基体の加飾面を押し当ててこれら模様及び加飾面を液中に没入させることにより、この没入させたときの液体から受ける圧力で装飾用基体の加飾面に模様を転写形成して装飾体を得るようにしている。
特開2002−172894公報(第3頁、図2〜4)
ところで、装飾用基体の加飾面に異なる模様を形成して装飾体の意匠性を向上させる場合、異なる模様を液圧転写により別々に形成することが考えられる。しかし、液圧転写には転写工程以外に転写フィルム形成工程も必要であるため、液圧転写の回数が増えると装飾体の製造作業が煩雑になる。
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、異なる模様を1回の転写で形成して製造作業の繁雑化を招くことなく簡単に装飾体の意匠性を向上させることである。
上記の目的を達成するため、この発明は、第1模様の一部に形成される第2模様用の被膜を溶解させて装飾用基体の加飾面の露出部分で第2模様を形成することを特徴とする。
具体的には、この発明は、装飾用基体の加飾面に第1模様が形成されるとともに、この第1模様の一部に第2模様が形成された装飾体の製造方法を対象とし、次のような解決手段を講じた。
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記装飾用基体の加飾面の第2模様形成部位に液体に溶解する第2模様形成用被膜を形成し、次いで、液体に溶解するフィルム基体に上記第1模様が印刷された転写フィルムを液面に浮かべて上記フィルム基体を液体に溶解させ、液面に浮かんでいる第1模様に上記装飾用基体の加飾面を押し当ててこれら第1模様及び加飾面を液中に没入させることにより、上記第2模様形成用被膜を第1模様で覆うとともに加飾面に第1模様を転写形成し、その後、液体の流動圧を上記装飾用基体の第1模様に作用させてその流動圧で上記第2模様形成用被膜を覆う箇所の第1模様を除去して第2模様形成用被膜を溶解させることにより、上記第1模様の一部に加飾面を露出させて露出部分で第2模様を形成することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、第2模様形成時、装飾用基体の第1模様に流動圧を作用させる液体により、第1模様の転写形成で第1模様に付着して残ったフィルム基体の溶融樹脂を洗い流すことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、装飾用基体の加飾面は、装飾用基体表面又は装飾用基体表面に形成されたアンダーコート層表面であることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、装飾用基体の加飾面に第2模様形成用被膜を形成してから、第1模様を加飾面に液圧転写により形成し、その後、液体の流動圧を装飾用基体の第1模様に作用させてその流動圧で第2模様形成用被膜を覆う箇所の第1模様を除去して第2模様形成用被膜を溶解させて第1模様の一部に加飾面を露出させることにより第2模様を形成するので、液圧転写を第1模様を形成するために1回行うだけで、装飾用基体の加飾面に第1模様及び第2模様を形成することができる。したがって、装飾体の製造作業が煩雑化せず、装飾体の意匠性向上を簡単に実現することができる。
請求項2に係る発明によれば、第2模様形成用被膜の溶解と同時に、第1模様に付着して残ったフィルム基体の溶融樹脂をも洗い流すので、別途洗浄工程が不要でその分だけ装飾体の製造作業を簡素化することができる。
請求項3の発明によれば、装飾用基体の加飾面が装飾用基体表面である場合には、装飾用基体表面の色が第2模様の色となるので、装飾用基体表面にアンダーコート層を形成する場合に比べて製造工程が簡素化でき装飾体を安価に得ることができる。また、装飾用基体表面にアンダーコート層が形成されてこの表面が加飾面とされる場合には、当該加飾面が第1模様の一部に露出して第2模様が形成されるので、アンダーコート層の色を装飾用基体の材料の色と異ならせることにより、装飾用基体の材料の色に関わらず第2模様の色を設定することができて装飾体の意匠性を一層高めることができる。
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1〜7はこの発明の実施の形態に係る装飾体の製造方法を示す。ここでは、装飾体が車両のドアトリムに取り付けられる樹脂製スイッチパネルである場合を例示し、この装飾体は、図1に示すように、パワーウインドの昇降スイッチ配設用の矩形開口部1がほぼ中央に形成されたパネル材からなる装飾用基体3を備えている。
そして、装飾体を製造する要領は、まず、図2に示すように、スプレー装置5で上記装飾用基体3表面の全体に装飾用基体3を構成する樹脂材の色と異なる例えばメタリック色等の塗料7を吹き付けてアンダーコート層9を形成し、このアンダーコート層9表面を加飾面とする。
次いで、上記アンダーコート層9が乾燥した後、図3に示すように、A字形状の刳り抜き模様11aを有するマスクシート11を装飾用基体3のアンダーコート層9表面の第2模様形成部位に重ね、スプレーガン13で上記装飾用基体3のアンダーコート層9表面に水性塗料15を吹き付け、図4に示すように、水に溶解する第2模様形成用被膜17を形成する。この第2模様形成用被膜17は水性マーカーペン等で描いてもよく、あるいは水溶性のフィルム状物を貼ってもよい。要は水に溶解して消失する性質であればよい。
その後、図5(a)に示すように、水Wに溶解する材料からなるフィルム基体19に木目模様(図6及び図7に現れる)からなる第1模様21が非水溶性のインクで印刷された転写フィルム23を水Wの水面w1に浮かべる。その際、第1模様21を上に向ける。この状態で上記装飾用基体3のアンダーコート層9表面全体に図示しないスプレー装置を用いて接着剤を吹き付ける。
暫くすると、図5(b)に示すように、フィルム基体19が水Wに完全に溶解して第1模様21のみが残って水面w1に浮かんでいる状態となる。このタイミングを見計らって上記装飾用基体3をアンダーコート層9表面が下に向いた状態で上記第1模様21の上方に配置して矢印Aのように下方へゆっくりと移動させる。そして、水面w1に浮かんでいる第1模様21に装飾用基体3のアンダーコート層9表面を押し当てて、図5(c)に示すように、装飾用基体3をさらに下方へ移動させ、これら第1模様21及びアンダーコート層9表面を水Wの中に没入させることにより、この没入させたときの水Wから受ける圧力でアンダーコート層9表面全体に第1模様21を転写形成し、その後、第1模様21が形成された装飾用基体3を水Wの中から引き上げる。この状態で、図5(c)及び図6に示すように、第2模様形成用被膜17は第1模様21で覆われている。
しかる後、図7に示すように、スプレー装置25を用いて水Wを上記装飾用基体3の第1模様21全体に吹き付けてその吹付け圧で上記第2模様形成用被膜17を覆う箇所の第1模様21を除去する。これにより、第2模様形成用被膜17が水Wに晒されてて溶解し、上記第1模様21の一部にアンダーコート層9表面が露出して露出部分でA字形状の第2模様27が形成され、装飾用基体3のアンダーコート層9表面に第1模様21が形成されるとともに、この第1模様21の一部に第2模様27が形成された装飾体29となる。また、この第2模様27形成時、装飾用基体3の第1模様21に吹き付けられる水Wにより、第1模様21の転写形成で第1模様21に付着して残ったフィルム基体19の溶融樹脂が洗い流される。その後、上記装飾体29は乾燥されてクリヤ塗装が施される。
このように、この実施の形態に係る製造方法では、装飾用基体3表面にアンダーコート層9を形成し、このアンダーコート層9表面に第2模様形成用被膜17を形成してから、第1模様21を上記アンダーコート層9に水圧転写により形成し、その後、水Wを上記第1模様21に吹き付けてその吹付け圧で第2模様形成用被膜17を覆う箇所の第1模様21を除去して第2模様形成用被膜17を溶解させ、第1模様21の一部にアンダーコート層9を露出させることにより第2模様27を形成するので、水圧転写を1回行うだけで装飾体29に第1模様21及び第2模様27を形成することができる。したがって、装飾体29の製造作業を煩雑にすることなく、装飾体29の意匠性を簡単に向上されることができる。さらに、第2模様形成用被膜17の溶解と同時に、第1模様21の転写形成で第1模様21に付着して残ったフィルム基体19の溶融樹脂をも洗い流すので、洗浄工程を別途設ける必要をなくしてその分だけ装飾体29の製造作業を簡素化することができる。
また、装飾用基体3表面に装飾用基体3の樹脂材の色とは異なる色のアンダーコート層9を形成するので、装飾用基体3の樹脂材の色に関わらず第2模様27の色を設定することができて意匠性を一層高めることができる。
なお、この実施の形態では、スプレー装置25を用いて水Wを装飾用基体3の第1模様21全体に吹き付けてその吹付け圧で第2模様形成用被膜17を覆う箇所の第1模様21を除去するようにしたが、装飾用基体3の第1模様21全体に流水を当てたり、あるいは水Wの中に装飾用基体3を入れてかき回す等してもよく、要は水Wの流動圧を装飾用基体3の第1模様21に作用させてその流動圧で第2模様形成用被膜17を覆う箇所の第1模様21を除去できればよい。
さらに、この実施の形態では、第1模様21を水圧転写により形成したが、水W以外の液体を用いて液圧転写により形成してもよい。この場合には、用いる液体に溶解する材料でフィルム基体19を構成するとともに、その液体に溶解しないインクにより第1模様21をフィルム基体19表面に印刷すればよい。
また、この実施の形態では、装飾用基体3表面にアンダーコート層9を形成したが、このアンダーコート層9は必ずしも必要ではなく、アンダーコート層9を形成しない場合には、装飾用基体3の加飾面は装飾用基体3そのものの表面となり、第2模様27の色は装飾用基体3を構成する樹脂材の色で構成されるので、装飾用基体3表面にアンダーコート層9を形成する場合に比べて製造工程が簡素になって装飾体29を安価に製造することができる。
さらに、この実施の形態では、第1模様21が木目模様である場合を例示したが、これ以外の模様であってもよい。また、第2模様27は2個以上のA字形状からなるものとしてもよく、さらには、A字形状以外のロゴタイプや各種マーク、絵柄等であってもよく、また、これらを複数組み合わせるようにしてもよい。
さらにまた、この実施の形態では、装飾体29をスイッチパネルに適用した場合について説明したが、例えば自動車のインストルメントパネルに設けられるセンタパネルやリッド部材、また、自動車部品以外にも模様を液圧転写するようにした装飾体に適用することができる。
この発明は、装飾用基体に異なる模様を形成する場合に有用である。
3 装飾用基体
9 アンダーコート層
17 第2模様形成用被膜
19 フィルム基体
21 第1模様
23 転写フィルム
27 第2模様
29 装飾体
W 水(液体)
w1 水面(液面)
9 アンダーコート層
17 第2模様形成用被膜
19 フィルム基体
21 第1模様
23 転写フィルム
27 第2模様
29 装飾体
W 水(液体)
w1 水面(液面)
Claims (3)
- 装飾用基体の加飾面に第1模様が形成されるとともに、この第1模様の一部に第2模様が形成された装飾体の製造方法であって、
上記装飾用基体の加飾面の第2模様形成部位に液体に溶解する第2模様形成用被膜を形成し、
次いで、液体に溶解するフィルム基体に上記第1模様が印刷された転写フィルムを液面に浮かべて上記フィルム基体を液体に溶解させ、液面に浮かんでいる第1模様に上記装飾用基体の加飾面を押し当ててこれら第1模様及び加飾面を液中に没入させることにより、上記第2模様形成用被膜を第1模様で覆うとともに加飾面に第1模様を転写形成し、
その後、液体の流動圧を上記装飾用基体の第1模様に作用させてその流動圧で上記第2模様形成用被膜を覆う箇所の第1模様を除去して第2模様形成用被膜を溶解させることにより、上記第1模様の一部に加飾面を露出させて露出部分で第2模様を形成することを特徴とする装飾体の製造方法。 - 請求項1に記載の装飾体の製造方法において、
第2模様形成時、装飾用基体の第1模様に流動圧を作用させる液体により、第1模様の転写形成で第1模様に付着して残ったフィルム基体の溶融樹脂を洗い流すことを特徴とする装飾体の製造方法。 - 請求項1に記載の装飾体の製造方法において、
装飾用基体の加飾面は、装飾用基体表面又は装飾用基体表面に形成されたアンダーコート層表面であることを特徴とする装飾体の製造方法。
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JP2004044110A JP2005231223A (ja) | 2004-02-20 | 2004-02-20 | 装飾体の製造方法 |
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JP (1) | JP2005231223A (ja) |
Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
JP2020049912A (ja) * | 2018-09-28 | 2020-04-02 | 大日本印刷株式会社 | 水圧転写フィルム、加飾成形品の製造方法及び加飾成形品 |
-
2004
- 2004-02-20 JP JP2004044110A patent/JP2005231223A/ja active Pending
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