JP2005218349A - 新規r体特異的アルコール脱水素酵素をコードする遺伝子、及び、これを利用した光学活性アルコールの製造方法 - Google Patents

新規r体特異的アルコール脱水素酵素をコードする遺伝子、及び、これを利用した光学活性アルコールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ピキア・オフナエンシス由来のR体特異的アルコール脱水素酵素をコードする遺伝子を提供し、該酵素を生産することが可能な形質転換体を取得すること、さらに、該酵素を発現する形質転換体を用いて各種光学活性アルコールの製造方法を提供すること。
【解決手段】 該ポリヌクレオチドは、R体特異的アルコール脱水素酵素をコードするポリヌクレオチドまたはそのホモログである。(1)作用:β−NADHを補酵素として、ケトンを還元し、光学活性アルコールを生成する。β−NADを補酵素としてアルコールを酸化し、対応するケトンもしくはアルデヒドを生成する。(2)基質特異性:(i)還元反応の補酵素としてβ−NADHを、酸化反応の補酵素とβ−NADを利用する。(ii)(R)−1,3−ブタンジオールを酸化して4−ヒドロキシ−2−ブタノンを生成する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、NADと略す)依存性のR体特異的アルコール脱水素酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含む形質転換体、形質転換体を用いた光学活性アルコールの製造方法に関する。光学活性アルコール、例えば、(R)−1,3−ブタンジオール、(S)−1,3−ブタンジオール、(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル、(R)−2−ペンタノール、(S)−2−ペンタノールなどは各種医薬品原料、香料などとして有用な化合物である。
本発明者らは、メタノール資化性酵母であるピキア・オフナエンシス(Pichia ofunaensis、旧名ハンゼヌラ・オフナエンシス Hansenula ofunaensis)におけるグリセロール代謝に関する研究の中で、本菌にはメタノールで誘導される複数のジヒドロキシアセトン還元活性を有する酵素(I-1, I-2, II)が存在することを報告してきた。(非特許文献1)
更に、これらの酵素のうち、type I−2のジヒドロキシアセトン還元酵素を精製し、その諸性質を報告している。(非特許文献2)
精製酵素を用いた基質特異性に関する検討の結果、本酵素はジヒドロキシアセトンに対する還元活性だけではなく、各種ケトン、β−ケトエステルなどに対して幅広い還元活性を有し、同時に、各種のアルコール、β−ヒドロキシエステルに対して高い活性と立体選択性を有することを見いだし、本酵素がジヒドロキシアセトン還元酵素というよりも、R体特異的なアルコール脱水素酵素であることを見いだした。
Agri. Biol. Chem., 52, 1951-1956 (1988) J. Biosci. Bioeng., 88, 148-152 (1999)
しかしながら、ピキア・オフナエンシスには各種のケトンを様々な立体選択性で還元する酵素が多数存在しており、この菌を用いて光学純度の高い光学活性アルコールを合成することはこれまで困難であった。また、本菌における本発明で用いる酵素の生産能は低く、本酵素を産業的に利用するためには、本酵素を効率よく多量生産する方法の開発が必要であった。
即ち本発明は、ピキア・オフナエンシス由来のR体特異的アルコール脱水素酵素をコードする遺伝子を取得し、該酵素を効率よく生産することが可能な形質転換体を取得すること、さらに、該酵素を発現する形質転換体を用いて高い光学純度で各種光学活性アルコールを効率良く与えることができる製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、効率的にR体特異的アルコール脱水素酵素を生産し、光学活性アルコールの製造に利用するため、該酵素をコードする遺伝子のクローニングを行った。
まず、ピキア・オフナエンシスをメタノールをC源として含有する適当な培地で培養し、集菌して菌体を得た。菌体を破砕し、得られた無細胞抽出液からジヒドロキシアセトンを還元する酵素を電気泳動的に単一なバンドになるまで精製した。得られた精製酵素を用いて、N末端アミノ酸配列及びV8プロテアーゼによる部分消化後、内部配列の一部を解析した。
得られたアミノ酸配列を用いて、PCR用のプライマーを合成し、ピキア・オフナエンシス由来の染色体DNAを鋳型としたPCRにより、コア領域の増幅を行い、その塩基配列を解析しコア配列を得た。
コア配列の5’−及び3’−周辺領域の塩基配列は、染色体DNAを制限酵素により消化し、LA PCR in vitro Cloning Kit (タカラバイオ製) を用いて解析した。得られた配列をコア領域の配列とアッセンブルし、R体特異的アルコール脱水素酵素の全塩基配列を決定した。得られた配列を元に、本酵素のオープンリーディングフレーム(ORF)のみを特異的に増幅可能なプライマーを合成し、大腸菌における発現ベクターpSE420D (特開2000-189170号公報)に挿入することにより、本酵素遺伝子の発現プラスミドpSE-HOD1を構築した。本単独発現プラスミドを含む大腸菌を適当な培地で培養し、イソプロピルチオガラクトピラノシド(IPTG)やラクトースなどにより誘導発現することにより、本酵素を効率的に発現できた。
更に、本酵素遺伝子を、還元反応における補酵素NADHを再生するための酵素をコードする遺伝子、例えば、ギ酸脱水素酵素遺伝子を含むpSE-MF26 (特開 2003-199595号公報) やグルコース脱水素酵素遺伝子を含むpSE-BSG1 (WO 01/061014)に導入し、これらの酵素と共発現可能なプラスミドpSF-POD1及びpSG-HOD1を構築した。得られた共発現プラスミドを大腸菌に導入し、適当な培地でイソプロピルチオガラクトピラノシド(IPTG)やラクトースなどにより誘導発現させることにより、本酵素とNADHを再生するための酵素を同時に発現することができた。得られた形質転換株を用いて、ケトン体と反応させることにより光学活性アルコールを合成することができた。
すなわち、本発明は、以下のR体特異的アルコール脱水素酵素をコードするポリヌクレオチド、R体特異的アルコール脱水素酵素の製造方法、これを利用した光学活性アルコールの製造方法に関する。
〔1〕 下記(1)から(3)に記載のR体特異的アルコール脱水素酵素をコードする、下記(a)から(e)のいずれかに記載のポリヌクレオチド;
(1)作用
還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを補酵素として、ケトンを還元し、光学活性アルコールを生成する。酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを補酵素としてアルコールを酸化し、対応するケトンもしくはアルデヒドを生成する。
(2)基質特異性
(i)還元反応の補酵素として還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを、酸化反応の補酵素と酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを利用する。
(ii)(R)−1,3−ブタンジオールを酸化して4−ヒドロキシ−2−ブタノンを生成する。
(iii)(R)−1,3−ブタンジオールに対する活性が、(S)−1,3−ブタンジオールに対する活性よりも20倍以上高い。
(3)分子量
ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量が約38,000。
(a)配列番号:1に記載された塩基配列を含むポリヌクレオチド、
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(d)配列番号:1に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、
(e)配列番号:2に記載のアミノ酸配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
〔2〕 〔1〕に記載のポリヌクレオチドが挿入された組換えベクターを発現可能に保持した形質転換体。
〔3〕 〔2〕に記載の形質転換体を培養し、発現産物を回収する工程を含む、下記(1)から(3)に記載のR体特異的アルコール脱水素酵素の製造方法。
(1)作用
還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを補酵素として、ケトンを還元し、光学活性アルコールを生成する。酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを補酵素としてアルコールを酸化し、対応するケトンもしくはアルデヒドを生成する。
(2)基質特異性
(i)還元反応の補酵素として還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを、酸化反応の補酵素と酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを利用する。
(ii)(R)−1,3−ブタンジオールを酸化して4−ヒドロキシ−2−ブタノンを生成する。
(iii)(R)−1,3−ブタンジオールに対する活性が、(S)−1,3−ブタンジオールに対する活性よりも20倍以上高い。
(3)分子量
ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量が約38,000。
〔4〕 〔2〕に記載の形質転換体もしくはその処理物をケトンに作用させ、光学活性アルコールを製造する方法。
〔5〕 〔4〕に記載のケトンが4−ヒドロキシ−2−ブタノンであり、生成する光学活性アルコールが(R)−1,3−ブタンジオールであることを特徴とする、〔4〕に記載の光学活性アルコールの製造方法。
〔6〕 〔4〕に記載のケトンが4−クロロアセト酢酸エチルエステルであり、生成する光学活性アルコールが(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルであることを特徴とする、〔4〕に記載の光学活性アルコールの製造方法。
〔7〕 〔2〕に記載の形質転換体もしくはその処理物をラセミ体アルコールに作用させ、光学活性アルコールを製造する方法。
〔8〕 〔7〕に記載のラセミ体アルコールが(RS)−1,3−ブタンジオールであり、生成する光学活性アルコールが(S)−1,3−ブタンジオールであることを特徴とする、〔7〕に記載の光学活性アルコールの製造方法。
<R体特異的アルコール脱水素酵素>
本発明に利用するR体特異的アルコール脱水素酵素は、下記の(1)−(3)の性質により特徴づけられる。
(1)作用
還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを補酵素として、ケトンを還元し、光学活性アルコールを生成する。酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを補酵素としてアルコールを酸化し、対応するケトンもしくはアルデヒドを生成する。
(2)基質特異性
(i)還元反応の補酵素として還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを、酸化反応の補酵素と酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを利用する。
(ii)(R)−1,3−ブタンジオールを酸化して4−ヒドロキシ−2−ブタノンを生成する。
(iii)(R)−1,3−ブタンジオールに対する活性が、(S)−1,3−ブタンジオールに対する活性よりも20倍以上高い。
(3)分子量
ドデシル硫酸ナトリウム −ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量が約38,000である。
本発明において、R体特異的アルコール脱水素酵素の活性は、例えば、次のようにして確認することができる。
ジヒドロキシアセトンに対する還元活性測定法(活性測定方法−1):
167mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)、0.2mM NADH、100mM ジヒドロキシアセトンおよび酵素を含む反応液中25℃で反応させ、NADHの減少にともなう340 nmの吸光度の減少を測定する。1Uは、1分間に1μmolのNADHの減少を触媒する酵素量とした。
ジヒドロキシアセトンに対する還元活性測定法(活性測定方法−2):
100mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)、0.2mM NADH、100mM ジヒドロキシアセトンおよび酵素を含む反応液中30℃で反応させ、NADHの減少にともなう340 nmの吸光度の減少を測定する。1Uは、1分間に1μmolのNADHの減少を触媒する酵素量とした。
(R)−1,3−ブタンジオールに対する脱水素活性測定法(活性測定方法−3):
100mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)、50mM (R)−1,3−ブタンジオール、2.5mM 酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、NAD+と略す)および酵素を含む反応液中30℃で反応させ、NADHの増加にともなう340 nmの吸光度の減少を測定する。1Uは、1分間に1μmolのNADHの生成を触媒する酵素量とした。活性測定方法−3を用いて測定した活性値は、活性測定方法−2で測定した数値の約4.2倍になる。
また、本発明の酵素の分子量は、通常のSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)で測定できる。測定値は泳動条件等により若干変化し得るが、34,000〜42,000の範囲で確認することができる。
上記のR体特異的アルコール脱水素酵素として、ピキア・オフナエンシス、特に、ピキア・オフナエンシスIFO 10709などに由来する酵素が挙げられる。本菌株は、元々メタノール資化性酵母として単離され、新種の菌としてハンゼヌラ・オフナエンシスと命名された菌株が再分類され、現在の名称に変更された。
上記微生物は、YM培地(グルコース10g/L、ペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、麦芽エキス3g/L、pH6.0)等の酵母の培養に用いられる一般的な培地で培養される。本発明の酵素の生産は炭素源としてメタノールを利用することにより誘導される。例えば、基本培地A(塩化アンモニウム5g/L、リン酸2水素1カリウム1g/L、リン酸1水素2カリウム1g/L、硫酸マグネシウム・7水和物0.5g/L、塩化鉄(III)・6水和物30mg/L、塩化カルシウム・2水和物10mg/L、硫酸マンガン(II)・5水和物10mg/L、硫酸亜鉛・7水和物10mg/L、チアミン塩酸塩2mg/L及びビオチン20μg/L)に1%グルコースを添加した培地で前培養を行い、基本培地に1%メタノールを含む誘導培地で本培養を行うことにより本酵素生産量を増やすことができる。
十分に増殖させた後に菌体を回収し、2−メルカプトエタノールやフェニルメタンフルホニルフルオリド等の還元剤やプロテアーゼ阻害剤を加えた緩衝液中で破砕して無細胞抽出液とする。
無細胞抽出液から、タンパク質の溶解度による分画(有機溶媒による沈澱や硫安などによる塩析など)や、陽イオン交換、陰イオン交換、ゲルろ過、疎水性クロマトグラフィーや、キレート、色素、抗体などを用いたアフィニティークロマトグラフィーなどを適宜組み合わせることにより精製することができる。例えば、無細胞抽出液を、DEAE−セルロース陰イオン交換クロマトグラフィー、50%硫安分画、ブチル−トヨパール疎水クロマトグラフィー、スーパーデックスG200ゲル濾過クロマトグラフィー等を経て電気泳動的に単一バンドにまで精製することができる。
このようなピキア・オフナエンシスに由来する本発明で用いるR体特異的アルコール脱水素酵素は、前記理化学的性状(1)−(3)を備えたタンパク質である。
<ポリヌクレオチド>
本発明は、R体特異的アルコール脱水素酵素をコードするポリヌクレオチドおよびそのホモログに関する。
本発明においてポリヌクレオチドは、DNAやRNA等の天然のポリヌクレオチドに加え、人工的なヌクレオチド誘導体を含む人工的な分子であることもできる。また本発明のポリヌクレオチドは、DNA−RNAのキメラ分子であることもできる。本発明のR体特異的アルコール脱水素酵素をコードするポリヌクレオチドは、例えば配列番号:1に示す塩基配列を含む。配列番号:1に示す塩基配列は、配列番号:2に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードしており、このアミノ酸配列を含むタンパク質は、本発明によるR体特異的アルコール脱水素酵素の好ましい態様を構成する。
本発明のR体特異的アルコール脱水素酵素をコードするポリヌクレオチドのホモログとは、配列番号:2に記載のアミノ酸配列に1もしくは複数(好ましくは数個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、前記理化学的性状(1)−(3)を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。当業者であれば、配列番号:1記載のポリヌクレオチドに部位特異的変異導入法(Nucleic Acid Res., 10,pp.6487 (1982) , Methods in Enzymol.,100,pp.448 (1983), Molecular Cloning 2nd Edt., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989) , PCR A Practical Approach, IRL Press pp.200 (1991) )などを用いて、適宜置換、欠失、挿入、および/または付加変異を導入することによりポリヌクレオチドのホモログを得ることが可能である。
また、本発明におけるポリヌクレオチドのホモログは、配列番号:1に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズできるポリヌクレオチドであって、かつ、前記理化学的性状(1)−(3)を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドも含む。
ストリンジェントな条件でハイブリダイズできるポリヌクレオチドとは、配列番号:1に記載中の任意の少なくとも20個、好ましくは少なくとも30個、例えば40、60または100個の連続した配列を一つまたは複数選択したDNAをプローブDNAとし、例えばECL direct nucleic acid labeling and detection system (Amersham Biosciences社製)を用いて、マニュアルに記載の条件(例えば、wash:42℃、0.5x SSCを含むprimary wash buffer)において、ハイブリダイズするポリヌクレオチドを指す。
より具体的な「ストリンジェントな条件」とは、例えば、通常、42℃、2×SSC、0.1% SDSの条件であり、好ましくは50℃、2×SSC 、0.1% SDSの条件であり、さらに好ましくは、65℃、0.1×SSCおよび0.1% SDSの条件であるが、これらの条件に特に制限されない。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度や塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで最適なストリンジェンシーを実現することが可能である。
さらに、本発明におけるポリヌクレオチドのホモログは、配列番号:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは90%以上のホモロジーを有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドであって、かつ、前記理化学的性状(1)−(3)を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。タンパク質のホモロジー検索は、例えばSWISS-PROT, PIR, DADなどのタンパク質のアミノ酸配列に関するデータベースや DDBJ、EMBL、あるいはGene-BankなどのDNA配列に関するデータベース、DNA配列を元にした予想アミノ酸配列に関するデータベースなどを対象に、BLAST, FASTAなどのプログラムを利用して、例えば、インターネットを通じて行うことができる。
配列番号:2に記載のアミノ酸配列を用いてDADを対象にBLASTプログラムを用いてホモロジー検索を行った結果、高いホモロジーを示したのは、ストレプトコッカス・パイロゲネス(Streptococcus pyogenes) MGAS8232株、SSI-1株、MGAS315株、M1 GAS株のゲノム配列由来の予想ORF、亜鉛含有アルコール脱水素酵素(それぞれProtein ID=AAL97696.1、BAC64067.1、AAM79379.1、AAK33988.1)の52%であり、50%を越える蛋白質で機能的に解析されたものは見られなかった。機能的に解析された蛋白質で最も高いホモロジーを有したのは、ゴルドニア・エスピー TY-5株由来のプロパン代謝に関与するアルコールデヒドロゲナーゼ(J. Bacteriol., 185, 7120-7128 (2003))の49%であった。本発明の70%以上のホモロジーとは、例えば、BLASTプログラム(J. Mol. Biol., 215, 403-410.(1990))を用いて計算した値を表す。
本発明のR体特異的アルコール脱水素酵素をコードするポリヌクレオチドは、例えば、以下のような方法によって単離することができる。
配列番号:1に記載の塩基配列を元にPCR用のプライマーを設計し、酵素生産株の染色体DNAもしくは、cDNAライブラリーを鋳型としてPCRを行うことにより本発明のDNAを得ることができる。
さらに、得られたDNA断片をプローブとして、酵素生産株の染色体DNAの制限酵素消化物をファージ、プラスミドなどに導入し、大腸菌を形質転換して得られたライブラリーやcDNAライブラリーを利用して、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーションなどにより、本発明のポリヌクレオチドを得ることができる。
また、PCRにより得られたDNA断片の塩基配列を解析し、得られた配列から、既知のDNAの外側に伸長させるためのPCRプライマーを設計し、酵素生産株の染色体DNAを適当な制限酵素で消化後、自己環化反応によりDNAを鋳型として逆PCRを行うことにより(Genetics, 120, 621-623 (1988))、また、RACE法(Rapid Amplification of cDNA End、「PCR実験マニュアル」p25-33, HBJ出版局)、TAKARA LA PCR in vitro Cloning Kit (タカラバイオ製)を利用すること、などにより本発明のポリヌクレオチドを得ることも可能である。
なお本発明のポリヌクレオチドには、以上のような方法によってクローニングされたゲノムDNA、あるいはcDNAの他、合成によって得られたDNAが含まれる。
<形質転換体>
このようにして単離された、本発明によるR体特異的アルコール脱水素酵素をコードするポリヌクレオチドを公知の発現ベクターに挿入することにより、R体特異的アルコール脱水素酵素発現ベクターが提供される。
また、この発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養することにより、本発明のR体特異的アルコール脱水素酵素を組換え体から得ることができる。
本発明においてR体特異的アルコール脱水素酵素を発現させるために、形質転換の対象となる微生物は、R体特異的アルコール脱水素酵素を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクターにより形質転換され、R体特異的アルコール脱水素酵素活性を発現することができる生物であれば特に制限はない。利用可能な微生物としては、例えば以下のような微生物を示すことができる。
・エシェリヒア(Escherichia)属
・バチルス(Bacillus)属
・シュードモナス(Pseudomonas)属
・セラチア(Serratia)属
・ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属
・コリネバクテリイウム(Corynebacterium)属
・ストレプトコッカス(Streptococcus)属
・ラクトバチルス(Lactobacillus)属など宿主ベクター系の開発されている細菌
・ロドコッカス(Rhodococcus)属
・ストレプトマイセス(Streptomyces)属など宿主ベクター系の開発されている放線菌
・サッカロマイセス(Saccharomyces)属
・クライベロマイセス(Kluyveromyces)属
・シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属
・チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属
・ヤロウイア(Yarrowia)属
・トリコスポロン(Trichosporon)属
・ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属
・ピキア(Pichia)属
・キャンディダ(Candida)属などの宿主ベクター系の開発されている酵母
・ノイロスポラ(Neurospora)属
・アスペルギルス(Aspergillus)属
・セファロスポリウム(Cephalosporium)属
・トリコデルマ(Trichoderma)属などの宿主ベクター系の開発されているカビ
形質転換体の作製のための手順および宿主に適合した組換えベクターの構築は、分子生物学、生物工学、遺伝子工学の分野において慣用されている技術に準じて行うことができる(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning、Cold Spring Harbor Laboratories)。微生物中などにおいて、本発明のNADHを電子供与体とするR体特異的アルコール脱水素酵素遺伝子を発現させるためには、まず微生物中において安定に存在するプラスミドベクターやファージベクター中にこのDNAを導入し、その遺伝情報を転写・翻訳させる必要がある。
そのためには、転写・翻訳を制御するユニットにあたるプロモーターを本発明のDNA鎖の5'-側上流に、より好ましくはターミネーターを3'-側下流に、それぞれ組み込めばよい。このプロモーター、ターミネーターとしては、宿主として利用する微生物中において機能することが知られているプロモーター、ターミネーターを用いる必要がある。これら各種微生物において利用可能なベクター、プロモーター、ターミネータ−などに関して「微生物学基礎講座8遺伝子工学・共立出版」、特に酵母に関しては、Adv. Biochem. Eng., 43, 75-102 (1990)、Yeast, 8, 423-488 (1992)、などに詳細に記述されている。
例えばエシェリヒア属、特に大腸菌エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)においては、プラスミドベクターとして、pBR、pUC系プラスミドを利用でき、lac(β−ガラクトシダーゼ)、trp(トリプトファンオペロン)、tac、trc (lac、trpの融合)、λファージ PL、PRなどに由来するプロモーターなどが利用できる。また、ターミネーターとしては、trpA由来、ファージ由来、rrnBリボソーマルRNA由来のターミネーターなどを用いることができる。これらの中で、市販のpSE420(Invitrogen製)のマルチクローニングサイトを一部改変した共発現用ベクターpSE420D(特開2000-189170に記載)が好適に利用できる。
バチルス属においては、ベクターとしてpUB110系プラスミド、pC194系プラスミドなどが利用可能であり、染色体にインテグレートすることもできる。また、プロモーター、ターミネーターとしてapr(アルカリプロテアーゼ)、npr(中性プロテアーゼ)、amy(α−アミラーゼ)などが利用できる。
シュードモナス属においては、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia、現在名 Burkholderia cepacia)などで宿主ベクター系が開発されている。トルエン化合物の分解に関与するプラスミドTOLプラスミドを基本にした広宿主域ベクター(RSF1010などに由来する自律的複製に必要な遺伝子を含む)pKT240などが利用可能であり、プロモーター、ターミネーターとして、リパーゼ(特開平5-284973)遺伝子などが利用できる。
ブレビバクテリウム属特に、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)においては、pAJ43(Gene, 39, 281 (1985))などのプラスミドベクターが利用可能である。プロモーター、ターミネーターとしては、大腸菌で使用されているプロモーター、ターミネーターがそのまま利用可能である。
コリネバクテリウム属、特にコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)においては、pCS11(特開昭57-183799)、pCB101(Mol. Gen. Genet., 196, 175 (1984)などのプラスミドベクターが利用可能である。
ストレプトコッカス(Streptococcus)属においては、pHV1301(FEMS Microbiol. Lett., 26, 239 (1985)、pGK1(Appl. Environ. Microbiol., 50, 94 (1985))などがプラスミドベクターとして利用可能である。
ラクトバチルス(Lactobacillus)属においては、ストレプトコッカス属用に開発されたpAMβ1(J. Bacteriol., 137, 614 (1979))などが利用可能であり、プロモーターとして大腸菌で利用されているものが利用可能である。
ロドコッカス(Rhodococcus)属においては、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)から単離されたプラスミドベクターが使用可能である (J. Gen. Microbiol., 138,1003 (1992) )。
ストレプトマイセス(Streptomyces)属においては、HopwoodらのGenetic Manipulation of Streptomyces: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratories (1985)に記載の方法に従って、プラスミドを構築することができる。特に、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)においては、pIJ486 (Mol. Gen. Genet., 203, 468-478, 1986)、pKC1064(Gene, 103,97-99 (1991) )、pUWL-KS (Gene, 165,149-150 (1995) )が使用できる。また、ストレプトマイセス・バージニア(Streptomyces virginiae)においても、同様のプラスミドを使用することができる(Actinomycetol. 11, 46-53 (1997) )。
サッカロマイセス(Saccharomyces)属、特にサッカロマイセス・セレビジアエ(Saccharomyces cerevisiae)においては、YRp系、YEp系、YCp系、YIp系プラスミドが利用可能であり、染色体内に多コピー存在するリボソームDNAとの相同組み換えを利用したインテグレーションベクター(EP 537456など)は、多コピーで遺伝子を導入でき、かつ安定に遺伝子を保持できるため極めて有用である。また、ADH(アルコール脱水素酵素)、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素)、PHO(酸性フォスファターゼ)、GAL(β−ガラクトシダーゼ)、PGK(ホスホグリセレートキナーゼ)、ENO(エノラーゼ)などのプロモーター、ターミネーターが利用可能である。
クライベロマイセス属、特にクライベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)においては、サッカロマイセス・セレビジアエ由来2μm系プラスミド、pKD1系プラスミド(J. Bacteriol., 145, 382-390 (1981))、キラー活性に関与するpGKl1由来プラスミド、クライベロマイセス属における自律増殖遺伝子KARS系プラスミド、リボソームDNAなどとの相同組み換えにより染色体中にインテグレート可能なベクタープラスミド(EP 537456など)などが利用可能である。また、ADH、PGKなどに由来するプロモーター、ターミネーターが利用可能である。
シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属においては、シゾサッカロマイセス・ポンベ由来のARS (自律複製に関与する遺伝子)およびサッカロマイセス・セレビジアエ由来の栄養要求性を相補する選択マーカーを含むプラスミドベクターが利用可能である(Mol. Cell. Biol., 6, 80 (1986))。また、シゾサッカロマイセス・ポンベ由来のADHプロモーターなどが利用できる(EMBO J., 6, 729 (1987))。特に、pAUR224は、宝酒造から市販されており容易に利用できる。
チゴサッカロマイセス属(Zygosaccharomyces)においては、チゴサッカロマイセス・ロウキシ(Zygosaccharomyces rouxii)由来のpSB3(Nucleic Acids Res., 13, 4267 (1985))などに由来するプラスミドベクターが利用可能であり、サッカロマイセス・セレビジアエ由来 PHO5 プロモーターや、チゴサッカロマイセス・ロウキシ由来 GAP-Zr(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素)のプロモーター(Agri. Biol. Chem., 54, 2521 (1990))などが利用可能である。
ピキア(Pichia)属においては、ピキア・アンガスタ(旧名:ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha))において宿主ベクター系が開発されている。ベクターとしては、ピキア・アンガスタ由来自律複製に関与する遺伝子(HARS1、HARS2)も利用可能であるが、比較的不安定であるため、染色体への多コピーインテグレーションが有効である(Yeast, 7, 431-443 (1991))。また、メタノールなどで誘導されるAOX(アルコールオキシダーゼ)、FDH(ギ酸脱水素酵素)のプロモーターなどが利用可能である。また、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)などにピキア由来自律複製に関与する遺伝子 (PARS1、 PARS2)などを利用した宿主ベクター系が開発されており(Mol. Cell. Biol., 5, 3376 (1985))、高濃度培養とメタノールで誘導可能なAOXなど強いプロモーターが利用できる(Nucleic Acids Res,. 15, 3859 (1987))。
キャンディダ(Candida)属においては、キャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)、キャンディダ・アルビカンス(Candida albicans)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・ウチルス(Candida utilis)などにおいて宿主ベクター系が開発されている。キャンディダ・マルトーサにおいてはキャンディダ・マルトーサ由来ARSがクローニングされ(Agri. Biol. Chem., 51, 1587 (1987))、これを利用したベクターが開発されている。また、キャンディダ・ウチルスにおいては、染色体インテグレートタイプのベクターは強力なプロモーターが開発されている(特開平 08-173170)。
アスペルギルス(Aspergillus)属においては、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリジー (Aspergillus oryzae) などがカビの中で最もよく研究されており、プラスミドや染色体へのインテグレーションが利用可能であり、菌体外プロテアーゼやアミラーゼ由来のプロモーターが利用可能である(Trends in Biotechnology, 7, 283-287 (1989))。
トリコデルマ(Trichoderma)属においては、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)を利用したホストベクター系が開発され、菌体外セルラーゼ遺伝子由来プロモーターなどが利用できる(Biotechnology, 7, 596-603 (1989))。
また、微生物以外でも、植物、動物において様々な宿主・ベクター系が開発されており、特に蚕を用いた昆虫(Nature 315, 592-594 (1985))や菜種、トウモロコシ、ジャガイモなどの植物中に大量に異種タンパク質を発現させる系が開発されており、好適に利用できる。
<光学活性アルコールとその製造方法>
本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む組換えベクターにより形質転換された形質転換体を培養する工程、発現産物を回収する工程を含む本発明のR体特異的アルコール脱水素活性を有するタンパク質の製造方法に関する。
また本発明は、前記R体特異的アルコール脱水素酵素を利用したケトンの還元による光学活性なアルコールの製造方法であり、たとえば好ましくは光学活性ジオール、光学活性β−ヒドロキシエステルなどの製造方法、さらに好ましくは(R)−1,3−ブタンジオール、(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルの製造方法に関する。
該酵素を機能的に発現する微生物等の形質転換体を反応溶液と接触させることにより、目的とする酵素反応を行わせることによって、光学活性なアルコールの製造を行うことができる。
本発明の方法により得られる光学活性なアルコールの光学純度は、好ましくは80%ee以上、さらに好ましくは90%ee以上、特に好ましくは98%ee以上である。光学純度は、下記の方法により求めた数値である。
光学純度=(R−S/R+S)または(S−R/R+S)×100(%)
(R、Sはそれぞれ試料中にしめる右形および左形鏡像体の割合を示す。)
なお、酵素と反応溶液の接触形態はこれらの具体例に限定されるものではない。また、上記方法に使用される微生物としては、配列番号:2に記載のタンパク質を機能的に発現する異種の形質転換体、例えば、pSE-HOD4で形質転換された大腸菌、補酵素NADHを再生する酵素、例えばグルコース脱水素酵素もしくはギ酸脱水素酵素を共発現するpSG-HOD1もしくはpSF-HOD1などを挙げることができる。
本発明におけるR体特異的アルコール脱水素酵素を含む形質転換体の処理物には、具体的には界面活性剤やトルエンなどの有機溶媒処理によって細胞膜の透過性を変化させた微生物、凍結乾燥やスプレードライなどにより調製した乾燥菌体、あるいはガラスビーズや酵素処理によって菌体を破砕した無細胞抽出液やそれを部分精製したもの、精製酵素、形質転換体や酵素を固定化した固定化酵素、固定化微生物などが含まれる。
本発明によるケトン体の不斉還元反応による光学活性なアルコールの製造方法におけるケトン体とは、低級アルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、アルコキシ基で置換されても良い低級アルキルケトン、β−ケトエステル、ケトールなどが挙げられ、それぞれの基質に対応した光学活性低級アルキルアルコール、光学活性β−ヒドロキシエステル、光学活性ジオールなどが生成する。例えば、アセトール、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、1−ヒドロキシ−2−ブタノン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、アセト酢酸メチルエステル、4−クロロアセト酢酸エチルエステルなどを挙げることができ、対応する(R)−1,2−プロパンジオール、(R)−2−ブタノール、(R)−2−ペンタノール、(R)−3−メチル−2−ブタノール、(R)−1,2−ブタンジオール、(2R)−2,3−ブタンジオール、(R)−1,3−ブタンジオール、(R)−3−ヒドロキシ酪酸メチルエステル、(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルエステルを合成できる。
上記還元反応に付随してNADHから生成するNAD+の、NADHへの再生は、微生物の持つNAD+還元能(解糖系、メチロトローフのC1化合物資化経路など)を用いて行うことができる。これらNAD+還元能は、反応系にグルコースやエタノール、などを添加することにより増強することが可能である。また、NAD+からNADHを生成する能力を有する微生物やその処理物、酵素を反応系に添加することによっても行うことができる。例えば、グルコース脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、アミノ酸脱水素酵素、有機酸脱水素酵素(リンゴ酸脱水素酵素など)などを含む微生物、その処理物、ならびに部分精製もしくは精製酵素を用いてNADHの再生を行うことができる。これらのNADH再生に必要な反応を構成する成分は、本発明による光学活性アルコールの製造のための反応系に添加する、固定化したものを添加する、あるいはNADHの交換が可能な膜を介して接触させることができる。
本方法において、本発明のポリヌクレオチドを含む組換えベクターで形質転換した微生物の生菌体を、前記光学活性アルコールの製造方法に利用する場合には、NADH再生のための付加的な反応系を不要とできる場合がある。すなわち、NADH再生活性の高い微生物を宿主として用いることにより、形質転換体を用いた還元反応において、NADH再生用の酵素を添加することなく効率的な反応が行える。
さらに、NADH再生に利用可能なグルコース脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、アミノ酸脱水素酵素、有機酸脱水素酵素(リンゴ酸脱水素酵素など)などの遺伝子を、本発明のNAD依存性R体特異的アルコール脱水素酵素をコードするDNAと同時に宿主に導入することによって、より効率的なNADH再生酵素とNAD依存性R体特異的アルコール脱水素酵素の発現、還元反応を行うことも可能である。これらの2つもしくはそれ以上の遺伝子の宿主への導入には、不和合性を避けるために複製起源のことなる複数のベクターに別々に遺伝子を導入した組換えベクターにより宿主を形質転換する方法や、単一のベクターに両遺伝子を導入する方法、両方、もしくは、片方の遺伝子を染色体中に導入する方法などを利用することができる。
単一のベクター中に複数の遺伝子を導入する場合には、プロモーター、ターミネーターなど発現制御に関わる領域をそれぞれの遺伝子に連結する方法やラクトースオペロンのような複数のシストロンを含むオペロンとして発現させることも可能である。
例えば、NADH再生用酵素として、バシラス(Bacillus)属、シュードモナス (Pseudomonas)属、サーモプラズマ(Thermoplasma)属などに由来するグルコース脱水素酵素が利用可能であり、具体的には、R体特異的アルコール脱水素酵素とバシラス・サブチリス由来のグルコース脱水素酵素の遺伝子を導入した組換えベクターであるpSG-HOD1などが好適に利用される。また、NADH再生用酵素としてマイコバクテリウム属に由来するギ酸脱水素酵素を利用可能であり、具体的には、R体特異的アルコール脱水素酵素とマイコバクテリウム・バッカエ由来のギ酸脱水素酵素の遺伝子を導入した組換えベクターであるpSF-HOD1などが好適に利用される。
また、本発明のR体特異的アルコール脱水素酵素は2−プロパノールやエタノールなどの低分子アルコールに対する高い酸化活性を併せ持つため、ケトンの還元による光学活性アルコールを生成する反応液にこれらの低分子アルコールを共存させることにより単一の酵素で不斉還元反応とNADH再生反応を行うことも可能である。
また本発明は、前記R体特異的アルコール脱水素酵素を利用したラセミ体アルコールの立体選択的酸化反応による光学活性なアルコール、特に(S)−1,3−ブタンジオール、(S)−3−ヒドロキシ酪酸メチルの製造方法に関する。
ラセミ体アルコールとしては、低級アルキルアルコール、ジオール、β−ヒドロキシエステルなどを挙げることができる。例えば、ラセミ体2−ブタノールを原料として(R)−2−ブタノール酸化により(S)−2−ブタノールを生産することができる。同様に、ラセミ体β−ヒドロキシ酪酸メチルエステルよりを原料として(S)−3−ヒドロキシ酪酸メチルを、ラセミ体1,3−ブタンジオールを原料として(S)−1,3−ブタンジオール、ラセミ体1,2−プロパンジオールを原料として(S)−1,2−プロパンジオール、ラセミ体2−ペンタノールを原料として(S)−2−ペンタノールを生産できる。
ラセミ体アルコールの酸化反応においては、本発明で用いるR体特異的脱水素酵素が、S体と比較してR体のアルコールに対して特異的に脱水素反応によりアルコールを酸化するため、結果としてS体のアルコールを選択的に製造することができる。
このような酸化反応により補酵素NAD+は還元され、NADHを生成する。生成したNADHは、微生物の含有するNADHからNAD+ を再生する能力によりNAD+ を再生することができる。また、グルタミン酸脱水素酵素、グルコース脱水素酵素、NADH脱水素酵素、NADHオキシダーゼなどのNADHをNAD+に酸化する活性を有する酵素もしくは、これら酵素を含有する微生物、もしくは、その処理物を反応系に添加することにより、NAD+を再生することもできる。また、これらのNADHからNAD+を生成する酵素を本発明のR体特異的アルコール脱水素酵素と同時に発現する形質転換体を調製することにより、効率的にNAD+再生反応と立体選択的な酸化反応を行うこともできる。また、本発明の酵素の基質特異性を利用して、反応系にアセトン、2−ブタノンなどの安価な本酵素の還元反応の基質を共存させることにより、1種類の酵素でNAD+の再生も同時に行うことができる。
本発明の酵素を用いた酸化還元反応は、水中もしくは水に溶解しにくい有機溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、クロロホルム、n−ヘキサン、メチルイソブチルケトン、メチルターシャリーブチルエステルなどの有機溶媒中、もしくは、水性媒体との2相系、もしくは水に溶解する有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシドなどとの混合系により行うことができる。本発明の反応は、固定化酵素、膜リアクターなどを利用して行うことも可能である。
本発明の反応は、反応温度4−60℃、好ましくは15−37℃、pH3−11、好ましくはpH5−9、基質濃度0.01−50%、好ましくは0.1−20%、さらに好ましくは0.1−10%で行うことができる。反応系には必要に応じて補酵素NAD+もしくはNADHが0.001−100mM、好ましくは、0.01−10mM添加できる。また、基質は反応開始時に一括して添加することも可能であるが、反応液中の基質濃度が高くなりすぎないように連続的、もしくは非連続的に添加することが望ましい。
NADHの再生のために、例えば、グルコース脱水素酵素を利用する場合のグルコース、アルコール脱水素酵素を利用する場合のエタノールもしくはイソプロパノールなどが反応系に添加される。これらの化合物は、基質ケトンに対してモル比で0.1−20、好ましくは1−5倍過剰に添加することができる。一方、グルコース脱水素酵素、アルコール脱水素酵素などの、NADH再生用の酵素は、本発明のNAD依存性R体特異的アルコール脱水素酵素に比較して酵素活性で0.1−100倍、好ましくは0.5−20倍程度添加することができる。
本発明のケトンの還元もしくはラセミ体アルコールの立体選択的酸化反応により生成する光学活性アルコールの精製は、菌体、タンパク質の遠心分離、膜処理などによる分離、溶媒抽出、蒸留、晶析などを適当に組み合わせることにより行うことができる。
例えば、(R)−1,3−ブタンジオールでは、形質転換体を含む反応液を遠心分離し、微生物菌体を除いた後、限外濾過膜により菌体残渣、蛋白質を除去し、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ヘキサン、ベンゼン、メチルイソブチルケトン、メチルターシャリーブチルエーテル、ブタノール、などで抽出し、これを減圧濃縮することにより、もしくは、直接蒸留することにより、光学活性アルコールとして、採取することができる。さらに反応生成物の純度を上げるには、精密蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどを行うことにより、さらに高度に精製することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1] ピキア・オフナエンシスの培養
ピキア・オフナエンシスIFO 10709 を1%グルコースを含む基本培地A−5mLに植菌し、30℃で対数中期まで培養した。得られた菌を1%メタノールを含む基本培地A−5Lに植菌し、30℃で対数後期まで培養した。培養液を遠心分離し、酵素精製用菌体として利用した。
[実施例2] R体特異的アルコール脱水素酵素の精製
実施例1により調製した菌体を緩衝液A(10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)及び1mMジチオスレイトール(以下、DTTと略す))に懸濁し、Bead-Beater(Biospec社製)により破砕した。菌体破砕液を遠心分離し、その上清として無細胞抽出液を得た。
無細胞抽出液を予め緩衝液Aで平衡化したDEAE−セルロース(4.0x3.0cm、和光純薬製)に吸着させ、緩衝液A:緩衝液B(100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)及び1mM DTT)=7:3の液、3:7の液、最後に緩衝液Bのみで溶出した。本酵素は緩衝液A:Bが3:7の時に溶出した。得られた活性画分を回収し、緩衝液Aに対して透析した。ピキア・オフナエンシスには、ジヒドロキシアセトン還元活性を有するタンパク質が少なくとも3種類存在するが、本発明の酵素とは異なる2種類の酵素はそれぞれ、緩衝液A:Bが7:3の液、緩衝液Bに更に0.2M塩化カリウムを加えた溶液で溶出し、本発明の酵素とは分離された。
透析した酵素液に硫安を50%飽和になるまで添加し、生成した沈殿を遠心分離により除去した。更に、遠心分離の上清を25%硫安飽和の緩衝液Aに透析し、同緩衝液で平衡化したブチル−トヨパール650S(1.0x10cm、東ソー製)に吸着させた。カラムを同緩衝液で洗浄した後、25−0%硫安飽和の勾配溶出を行った。得られた活性画分を回収し、濃縮後、0.1M塩化ナトリウムを含む緩衝液Aに透析した。
予め同緩衝液で平衡化したスーパーデックス200(1.6x60cm、アマシャム・バイオサイエンス製)にアプライし、同緩衝液で溶出させた。
得られた精製酵素は12.5% ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)においてほぼ単一バンドを示した。
精製酵素の比活性は30.0U/mg(活性測定方法−1)であった。精製の要約を表1に示した。
Figure 2005218349
R体特異的アルコール脱水素酵素の分子量測定
実施例1で得られた酵素のサブユニットの分子量をSDS-PAGEにより求めた結果、約38,000であった。
[実施例3] R体特異的アルコール脱水素酵素の部分アミノ酸配列
実施例1で得られた酵素を用いて、プロテインシーケンサー(476型プロテインシーケンサー、アプライド・バイオシステムズ社製)によりN末端アミノ酸配列を解析した結果、配列番号:3に記載のアミノ酸配列が得られた。尚、後記したDNA配列から予想されるアミノ酸配列では、配列番号:3の6位LysはCysであった。
MMKALKYLG(配列番号:3)
更に、実施例1で得られた酵素をSDS-PAGEを行い、スタッキングゲル中で1/20量のV8プロテアーゼにより室温で1時間部分消化した。電気泳動により部分消化産物を分離後、PVDF(ポリビニリデンジフルオリド)膜にブロッティングし、アミノ酸配列の解析を行った結果、配列番号:4及び5の配列が得られた。尚、配列番号:5に記載のアミノ酸配列において、5位Leu、10位Gly、12位Lys、16位Lysは、後記するようにDNA配列を解析した結果それぞれSer、Lys、Asp、Ileであった。
IPYADQSLYKAPENV(配列番号:4)
VGVVLGNVKGGKTVAKVGL(配列番号:5)
[実施例4] ピキア・オフナエンシスからの染色体DNAの精製
ピキア・オフナエンシスIFO 10709を1%メタノールを含む基本培地Aで培養した。染色体DNAの精製は、Meth. Cell Biol,. 29, 39-44 (1975) に記載の方法により行った。
[実施例5] R体特異的アルコール脱水素酵素をコードする遺伝子のコア領域のクローニング
実施例3で得られたアミノ酸配列を元に、プライマー1(配列番号:6)及びプライマー2(配列番号:7)を合成した。
プライマー1(配列番号:6)
ATHCCCCNTAYGCNGAYCA
プライマー2(配列番号:7)
TCNCCYTTYTTNACRTT
これらのプライマーを用い、実施例4で得られた染色体DNAを鋳型として以下の条件でPCRを行った。染色体DNA50ng、各プライマー25pmol、dNTP各20nmol、ExTaq(タカラバイオ製)1.25U、ExTaq用緩衝液を含む50μLの反応液を用い、94℃10分の熱処理後、94℃1分、56℃1分、72℃1分を30サイクル行い、最後に72℃10分保持した。
PCR産物をアガロース電気泳動により分離精製後、pCR2.1-TOPO (Invitrogen製)に挿入し、挿入DNA断片の塩基配列を解析した。得られたコア領域は129bpからなり、DNA配列を配列番号:8に示した。
コア領域の塩基配列(配列番号:8)
ATCCCGTATGCCGACCAGTCTTTGTATAAAGCACCTGAAAATGTTCCGATCGAGTCATTGTTGATGCTTAGCGACATTCTTCCAACGGCCTACGAGGTCGGAGTGGTTTCCGGTAACGTCAAGAAGGGT
[実施例6] R体特異的アルコール脱水素酵素をコードする遺伝子コア領域の5’−隣接領域のクローニング
実施例5で得られたR体特異的アルコール脱水素酵素をコードする遺伝子コア領域の5'-隣接領域のクローニングをTAKARA LA PCR in vitro Cloning Kit (タカラバイオ製)を用いて行った。
まず、染色体DNAを制限酵素EcoRIで消化し、キット添付のEcoRIカセットとライゲーションした。得られたDNAを鋳型としてキット添付のカセットプライマーC1とプライマーS1(配列番号:9)を用いて以下の条件でPCRを行った。ライゲーションされたDNA0.5μg、各プライマー25pmol、dNTP各20nmol、LA Taq(タカラバイオ製)5U、LA Taq用緩衝液を含む50μLの反応液を用い、94℃30秒、55℃30秒、72℃4分を30サイクル行った。
プライマーS1(配列番号:9)
GCGGAGACAAGACCTGTTGAAATAG
増幅された約2000 bpのDNA断片を鋳型にしてNested PCRを行った。PCRプライマーは、キット添付のカセットプライマーC2とプライマーS2(配列番号:10)を用い、PCR条件はLA Taqの上記条件で行った。
プライマーS2(配列番号:10)
CGACCTCGTAGGCCGTTGGAA
約1700 bp のDNA断片が増幅され、挿入DNAの塩基配列を解析した。
[実施例7] R体特異的アルコール脱水素酵素をコードする遺伝子コア領域の3’−隣接領域のクローニング
実施例5で得られたR体特異的アルコール脱水素酵素をコードする遺伝子コア領域の3'-隣接領域のクローニングを5’−隣接領域と同様に、TAKARA LA PCR in vitro Cloning Kit (タカラバイオ製)を用いて行った。
まず、染色体DNAを制限酵素XbaIで消化し、キット添付のXbaIカセットとライゲーションした。得られたDNAを鋳型としてキット添付のカセットプライマーC1とプライマーS3(配列番号:11)を用いて以下の条件でPCRを行った。ライゲーションされたDNA0.5μg、各プライマー25pmol、dNTP各20nmol、LA Taq(タカラバイオ製)5U、LA Taq用緩衝液を含む50μLの反応液を用い、94℃30秒、55℃30秒、72℃4分を30サイクル行った。
プライマーS3(配列番号:11)
GCACCTGAAAATGTTCCGATCGAGTCATTG
増幅された約2000 bpのDNA断片を鋳型にしてNested PCRを行った。PCRプライマーは、キット添付のカセットプライマーC2とプライマーS2(配列番号:12)を用い、PCR条件はLA Taqの上記条件で行った。
プライマーS4(配列番号:12)
ATTCTTCCAACGGCCTACGAGGTCGG
約1900 bp のDNA断片が増幅され、挿入DNAの塩基配列を解析した。
実施例6及び7で得られた塩基配列と実施例5で得られたコア領域の塩基配列をアッセンブルした結果、R体特異的アルコール脱水素酵素の全オープンリーディングフレーム(ORF)が明らかになった。
得られたORFの塩基配列を配列番号:1に示す。ORFは1092bpからなり、364アミノ酸からなる39006Daの蛋白質をコードしていた。
得られた塩基配列から予想されるアミノ酸配列を配列番号:2に示す。
[実施例8] R体特異的アルコール脱水素酵素遺伝子の発現プラスミドの構築
R体特異的アルコール脱水素酵素遺伝子の大腸菌における発現プラスミドpSE-HOD4の構築を行った。
PCRプライマーとして、HOD-ATGATG1(配列番号:13)及びHOD-TAA1(配列番号:14)を合成し、以下の条件でPCRを行った。染色体DNA50ng、各プライマー50pmol、dNTP各10nmol、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene製)2U、Pfu用緩衝液を含む50μLの反応液を用い、95℃30秒、50℃1分、75℃5分を30サイクル行った。得られた増幅DNA断片を制限酵素BspHI及びXbaIで二重消化し、制限酵素NcoI及びXbaIで二重消化したpSE420DとライゲーションしてpSE-HOD4を構築した。プラスミド構築の過程を図1に示した。
プライマー HOD-ATGATG1(配列番号:13)
TGCTCATGATGAAGGCCTTGTGCTACCT
プライマー HOD-TAA1(配列番号:14)
CAGTCTAGATCATTCGTCACAGGTGATCA
[実施例9] R体特異的アルコール脱水素酵素とグルコース脱水素酵素を共発現するプラスミドの構築
R体特異的アルコール脱水素酵素遺伝子とバチルス・サブチリス由来のグルコース脱水素酵素遺伝子を共発現するプラスミドpSG-HOD1の構築を行った。
実施例8で得られた増幅DNA断片をバチルス・サブチリス由来のグルコース脱水素酵素遺伝子を含むpSE-BSG1(特願2000-374593)のNcoI-XbaI間に挿入して、pSG-HOD1を構築した。プラスミド構築の過程を図2に示した。
[実施例10] R体特異的アルコール脱水素酵素遺伝子とギ酸脱水素酵素遺伝子を共発現するプラスミドの構築
R体特異的アルコール脱水素酵素遺伝子をマイコバクテリウム・バッカエ由来のギ酸脱水素酵素遺伝子を共発現する共発現プラスミドpSF-HOD1の構築を行った。
PCRプライマーとして、HOD-ATG2(配列番号:15)とHOD-XhoR(配列番号:16)の組み合わせ、HOD-XhoF(配列番号:17)とHOD-TAA2(配列番号:18)の組み合わせで、以下の条件でPCRを行った。プラスミドpSG-HOD1 100ng、各プライマー15pmol、dNTP各10nmol、KOD plus DNAポリメラーゼ(東洋紡製)2U、KOD plus DNAポリメラーゼ用緩衝液を含む50μLの反応液を用い、94℃15秒、68℃1分を30サイクル行った。
得られたそれぞれのPCR増幅産物を一端pUC118のHincIIサイトに挿入して塩基配列の確認を行った後、プライマーHOD-ATG2及びHOD-XhoRから得られたDNAを制限酵素EcoRI及びXhoIで二重消化し、プライマーHOD-XhoF及びHOD-TAA2から得られたDNAを制限酵素XhoI及びHindIIIで二重消化し、pSE-MF26 (特開 2003-199595)のEcoRI, HindIII消化物とライゲーションしてpSF-HOD1を構築した。プラスミド構築の過程を図3に示した。
プライマー HOD-ATG2(配列番号:15)
GTCGAATTCTATCATGATGAAAGCATTATGTTACCTCGGATC
プライマー HOD-XhoR(配列番号:16)
GACCTCGAGACGAGAATCG
プライマー HOD-XhoF(配列番号:17)
CGTCTCGAGGTAGCACGTCGTCTCGGTGCGCACGAAACC
プライマー HOD-TAA2(配列番号:18)
CTGAAGCTTCTAGATTATTCATCACAAGTGATCACCATC
[実施例11] 形質転換体によるR体特異的アルコール脱水素酵素の活性確認
pSE-HOD4, pSG-HOD1及びpSF-HOD1をそれぞれ含有する大腸菌HB101株をアンピシリンを含むLB培地で培養し、0.1 mM IPTGにより誘導を4時間行い、遠心分離により集菌菌体を得た。
それぞれの菌体を菌体破砕液(50mM リン酸カリウム緩衝液(pH8.0)、0.02%2−メルカプトエタノール)に懸濁し、超音波により菌体を破砕後、遠心分離により得られた上清を無細胞抽出液とした。
pSG-HOD1を含む大腸菌由来の無細胞抽出液を用いてジヒドロキシアセトン還元活性(活性測定方法−2)を測定した結果、0.570 U/mg であり、(R)−1,3−ブタンジオール酸化活性は2.38 U/mg であった。同様に、pSE-HOD4 及び pSF-HOD1 を含む大腸菌由来の無細胞抽出液の(R)−1,3−ブタンジオール酸化活性はそれぞれ 1.41 U/mg, 1.06 U/mgであった。尚、宿主のみでは、(R)−1,3−ブタンジオール酸化活性は検出できなかった。
更に、pSG-HOD1を含む大腸菌HB101株のグルコース脱水素酵素活性を測定した結果、2.07 U/mg であった。
尚、グルコース脱水素酵素活性は以下の方法により測定した。
100mM D−グルコース、2.5mM NAD+、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)及び酵素を含む反応液中で30℃で反応を行い、NADHの生成に伴う340nmの吸光度の上昇を測定した。1Uは、1分間に1μモルのNADHの生成を触媒する酵素量とした。
また、pSF-HOD1を含む大腸菌HB101株のギ酸脱水素酵素活性を測定した結果、0.192 U/mg であった。
尚、ギ酸脱水素酵素活性は以下の方法により測定した。
100mM ギ酸ナトリウム、2.5mM NAD+、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)及び酵素を含む反応液中で30℃で反応を行い、NADHの生成に伴う340nmの吸光度の上昇を測定した。1Uは、1分間に1μモルのNADHの生成を触媒する酵素量とした。
[実施例12] R体特異的アルコール脱水素酵素の酸化反応の基質特異性及び立体選択性
実施例11で得られたpSG-HOD1を含む大腸菌HB101株より調製した無細胞抽出液を用いて、酸化反応の基質特異性を調べた。
活性測定は、活性測定方法−3の条件で基質を替えて行った。
Figure 2005218349
[実施例13] R体特異的アルコール脱水素酵素の還元反応の基質特異性
実施例11で得られたpSG-HOD1を含む大腸菌HB101株より調製した無細胞抽出液を用いて、還元酸化反応の基質特異性を調べた。
活性測定は、活性測定方法−2の条件で基質を替えて行った。
Figure 2005218349
[実施例14] 形質転換体による(R)−2−ペンタノールの製造
pSE-HOD1を含む大腸菌HB101株を2xYT培地で培養し、遠心分離により菌体を集菌し、凍結乾燥により乾燥菌体を調製した。100mM 2−ペンタノン、200mMグルコース、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)及び凍結乾燥菌体300mgを含む反応液20mLを500mLのフラスコ中、30℃で反応させた。反応2時間後に収率88%で>99%eeの(R)−2−ペンタノールが生成した。
2−ペンタノン、(R)−2−ペンタノール、(S)−2−ペンタノールの定量は以下のガスクロによる方法により行った。
カラム:Chirasil-DEX CB (Chrompack, Middelburg, Netherlands)
キャリアーガス:He
インジェクション温度:250℃
検出温度:275℃
カラム温度:イニシャル60℃を3min、その後、1℃/minで80℃まで昇温。
これらの条件下、2−ペンタノン、(R)−2−ペンタノール、(S)−2−ペンタノールはそれぞれ、2.2分、4.5分、4.7分に溶出する。
[実施例15] 形質転換体による(S)−2−ペンタノールの製造
実施例14により調製したpSE-HOD1を含む大腸菌HB101株の凍結乾燥菌体を生体触媒として利用した。100mM ラセミ体2−ペンタノール、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)及び凍結乾燥菌体300mgを含む反応液20mLを500mLのフラスコ中、30℃で反応させた。反応2時間後にラセミ体を100%として収率44%で98%eeの(S)−2−ペンタノールが生成した。
本発明に係るNAD依存性のR体特異的アルコール脱水素酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクターで形質転換された形質転換体は、光学活性アルコールの生産に有用である。更に、本発明に係る光学活性アルコールの製造方法は、該酵素を高発現する形質転換体を利用した効率的で光学純度の高い各種光学活性アルコールを提供する。
ピキア・オフナエンシス由来のR体特異的アルコール脱水素酵素遺伝子を導入した発現プラスミド(pSE-HOD4)の構築図。プラスミドのマップ中で、P(trc) はtrcプロモーターを、T(rrnB)はrrnBT1T2ターミネーターを、ampはアンピシリン抵抗性を示すβ−ラクターゼ遺伝子を、oriはプラスミドの複製起源を、ropはROP−protein遺伝子を、laqIqはラクトースリプレッサーを、RADHは本発明のR体特異的アルコール脱水素酵素遺伝子を表す。 ピキア・オフナエンシス由来のR体特異的アルコール脱水素酵素遺伝子と枯草菌由来のグルコース脱水素酵素遺伝子を導入したプラスミド(pSG-HOD1)の構築図。プラスミドのマップ中で、P(trc) はtrcプロモーターを、T(rrnB)はrrnBT1T2ターミネーターを、ampはアンピシリン抵抗性を示すβ−ラクターゼ遺伝子を、oriはプラスミドの複製起源を、ropはROP−protein遺伝子を、laqIqはラクトースリプレッサーを、BsGlcDHは枯草菌由来のグルコース脱水素酵素遺伝子を表す。 ピキア・オフナエンシス由来のR体特異的アルコール脱水素酵素遺伝子とマイコバクテリウム・バッカエ由来のギ酸脱水素酵素遺伝子を導入したプラスミド(pSF-HOD1)の構築図。プラスミドのマップ中で、P(trc) はtrcプロモーターを、T(rrnB)はrrnBT1T2ターミネーターを、ampはアンピシリン抵抗性を示すβ−ラクターゼ遺伝子を、oriはプラスミドの複製起源を、ropはROP−protein遺伝子を、laqIqはラクトースリプレッサーを、McFDHはマイコバクテリウム・バッカエ由来のギ酸脱水素酵素遺伝子を表す。

Claims (8)

  1. 下記(1)から(3)に記載のR体特異的アルコール脱水素酵素をコードする、下記(a)から(e)のいずれかに記載のポリヌクレオチド;
    (1)作用
    還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを補酵素として、ケトンを還元し、光学活性アルコールを生成する。酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを補酵素としてアルコールを酸化し、対応するケトンもしくはアルデヒドを生成する。
    (2)基質特異性
    (i)還元反応の補酵素として還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを、酸化反応の補酵素と酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを利用する。
    (ii)(R)−1,3−ブタンジオールを酸化して4−ヒドロキシ−2−ブタノンを生成する。
    (iii)(R)−1,3−ブタンジオールに対する活性が、(S)−1,3−ブタンジオールに対する活性よりも20倍以上高い。
    (3)分子量
    ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量が約38,000。

    (a)配列番号:1に記載された塩基配列を含むポリヌクレオチド、
    (b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
    (c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
    (d)配列番号:1に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、
    (e)配列番号:2に記載のアミノ酸配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
  2. 請求項1に記載のポリヌクレオチドが挿入された組換えベクターを発現可能に保持した形質転換体。
  3. 請求項2に記載の形質転換体を培養し、発現産物を回収する工程を含む、下記(1)から(3)に記載のR体特異的アルコール脱水素酵素の製造方法。
    (1)作用
    還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを補酵素として、ケトンを還元し、光学活性アルコールを生成する。酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを補酵素としてアルコールを酸化し、対応するケトンもしくはアルデヒドを生成する。
    (2)基質特異性
    (i)還元反応の補酵素として還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを、酸化反応の補酵素と酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを利用する。
    (ii)(R)−1,3−ブタンジオールを酸化して4−ヒドロキシ−2−ブタノンを生成する。
    (iii)(R)−1,3−ブタンジオールに対する活性が、(S)−1,3−ブタンジオールに対する活性よりも20倍以上高い。
    (3)分子量
    ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量が約38,000。
  4. 請求項2に記載の形質転換体もしくはその処理物をケトンに作用させ、光学活性アルコールを製造する方法。
  5. 請求項4に記載のケトンが4−ヒドロキシ−2−ブタノンであり、生成する光学活性アルコールが(R)−1,3−ブタンジオールであることを特徴とする、請求項4に記載の光学活性アルコールの製造方法。
  6. 請求項4に記載のケトンが4−クロロアセト酢酸エチルエステルであり、生成する光学活性アルコールが(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルであることを特徴とする、請求項4に記載の光学活性アルコールの製造方法。
  7. 請求項2に記載の形質転換体もしくはその処理物をラセミ体アルコールに作用させ、光学活性アルコールを製造する方法。
  8. 請求項7に記載のラセミ体アルコールが(RS)−1,3−ブタンジオールであり、生成する光学活性アルコールが(S)−1,3−ブタンジオールであることを特徴とする、請求項7に記載の光学活性アルコールの製造方法。
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