JP2005216817A - 直接メタノール型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 燃料電極体の外表部に電解質層を構築し、該電解質層の外表部に空気電極層を構築することで形成される単位セルが複数連結されると共に、該各単位セル20には液体燃料を貯蔵する燃料貯蔵槽10に接続される浸透構造を有する燃料供給体30又は燃料電極体が連結されて液体燃料が供給される燃料電池Aであって、前記液体燃料貯蔵槽10に、毛管力を有する多孔体及び/又は繊維束体からなる液体燃料吸蔵体10aを含むことを特徴とする直接メタノール型燃料電池。
【効果】 燃料極に直接液体燃料を安定的に供給し、簡便に使用済み燃料の処理を可能とすると共に、燃料電池の小型化をなし得ることができる。
【選択図】図1
Description
これらの中でも、液体燃料の供給に毛管力を利用した各液体燃料電池等が知られている(例えば、特許文献3〜7参照)。
これらの各特許文献に記載される液体燃料電池は、燃料タンクから液体燃料を毛管力で燃料極に供給するため、液体燃料を圧送するためのポンプを必要としないなど小型化に際してメリットがある。
(1) 燃料電極体の外表部に電解質層を構築し、該電解質層の外表部に空気電極層を構築することで形成される単位セルが複数連結されると共に、該各単位セルには液体燃料を貯蔵する燃料貯蔵槽に接続される浸透構造を有する燃料供給体又は燃料電極体が連結されて液体燃料が供給される燃料電池であって、前記液体燃料貯蔵槽に、毛管力を有する多孔体及び/又は繊維束体からなる液体燃料吸蔵体を含むことを特徴とする直接メタノール型燃料電池。
(2) 前記液体燃料貯蔵槽が交換可能なカートリッジ構造体であることを特徴とする上記(1)に記載の直接メタノール型燃料電池。
(3) 前記カートリッジ構造体から液体燃料を燃料供給体に、前記液体燃料吸蔵体よりも大きい毛管力を有する多孔体及び/又は繊維束体からなる中継芯を通して、液体燃料を継続的に供給することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の直接メタノール型燃料電池。
(4) 前記燃料供給体又は燃料電極体の毛管力が前記中継芯の毛管力よりも大きいことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の直接メタノール型燃料電池。
(5) 前記カートリッジ構造体に含浸された液体燃料を燃料供給体に供給する燃料電池であり、上記カートリッジ構造体に含浸された液体燃料が、視認性を有する透明又は半透明の樹脂で形成され、少なくとも液体燃料と接する面には液体燃料はじき層を形成してなる液体燃料誘導管を介して燃料供給体に供給されると共に、前記カートリッジ構造体からの液体燃料終了サインをカートリッジ構造体に形成した視認部を介して前記液体燃料誘導管を視認することにより検知する上記(2)〜(4)の何れか一つに記載の直接メタノール型燃料電池。
(6) 前記視認部の内壁に平滑な部分と微小な凹凸を持つ部分を設け、それらを組み合わせることにより、液体燃料の終了を使用者に検知させる表示を設けたことを特徴とする上記(5)に記載の直接メタノール型燃料電池。
(7) 前記カートリッジ構造体が前記燃料供給体よりも下に位置した状態で継続して燃料供給が可能であることを特徴とする上記(2)〜(6)の何れか一つに記載の直接メタノール型燃料電池。
(8) 前記液体燃料が着色されていることを特徴とする上記(1)〜(7)の何れか一つに記載の直接メタノール型燃料電池。
(9) 前記燃料供給体の終端に使用済みの燃料貯蔵槽を接続し、使用済み燃料貯蔵槽として前記カートリッジ構造体が利用可能な上記(1)〜(8)の何れか一つに記載の直接メタノール型燃料電池。
請求項2〜4の発明によれば、液体燃料貯蔵槽の交換を簡単にすることができると共に、燃料電池をどのような状態(角度)、逆さ等に放置しても、燃料貯蔵槽から各単位セルの個々に直接液体燃料が逆流や途絶を起こすことなく、安定的かつ継続的に燃料を供給することができる。
請求項5〜8の発明によれば、液体燃料終了サインを目視により簡単に検知することができる。
請求項9の発明によれば、簡便に使用済み燃料の処理を可能とすることができる。
図1(a)〜(c)は、本発明の基本的な実施形態を示す直接メタノール型燃料電池(以下、単に「燃料電池」という)Aの基本形態(第1実施形態)を示すものである。
この燃料電池Aは、図1(a)〜(c)に示すように、液体燃料を収容する燃料貯蔵槽10と、微小炭素多孔体よりなる燃料電極体21の外表部に電解質層23を構築し、該電解質層23の外表部に空気電極層24を構築することで形成される単位セル(燃料電池セル)20、20と上記燃料貯蔵槽10に接続される浸透構造を有する燃料供給体30と、該燃料供給体30の終端に設けられる使用済み燃料貯蔵槽40とを備え、上記各単位セル20、20は直列に連結されて燃料供給体30により燃料が順次供給される構造となっている。
また、この燃料電極体21の外表部には、白金−ルテニウム(Pt−Ru)触媒、イリジウム−ルテニウム(Ir−Ru)触媒、白金−スズ(Pt−Sn)触媒などが当該金属イオンや金属錯体などの金属微粒子前駆体を含んだ溶液を含浸や浸漬処理後還元処理する方法や金属微粒子の電析法などにより形成されている。
また、空気電極層24としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等を上述の金属微粒子前駆体を含んだ溶液等を用いた方法で担持させた多孔質構造からなる炭素多孔体が挙げられる。
また、燃料供給体30により供給される液体燃料は、燃料電池セル20で反応に供されるものであり、燃料供給量は、燃料消費量に連動しているため、未反応で電池の外に排出される液体燃料は殆どなく、従来の液体燃料電池のように、燃料出口側の処理系を必要としないが、運転状況により供給過剰時に至った際には、反応に使用されない液体燃料が貯蔵槽40に蓄えられ阻害反応を防ぐことができる構造となっている。
なお、50は、燃料貯蔵槽10と使用済み燃料貯蔵槽40を連結すると共に、燃料貯蔵槽10から各単位セル20、20の個々に燃料供給体30を介して直接液体燃料を確実に供給するメッシュ構造などからなる部材である。
更に、この実施形態の燃料電池Aでは、ポンプやブロワ、燃料気化器、凝縮器等の補器を特に用いることなく、液体燃料を気化せずそのまま円滑に供給することができる構造となるため、燃料電池の小型化を図ることが可能となる。
この液体燃料の終点検知管10cは、本発明で使用される液体燃料の吸蔵体10aを使用する場合に、吸蔵されている液体燃料が不可視であるために、液体燃料の使用終了や終了間際であることが使用者に検知されず、突然の停電などにより不利益を被らせることが考えられる。このような事態を防止するために、本実施形態では、吸蔵体10aの液体燃料誘導芯10dと中継芯10bとの間に視認性を有する透明又は半透明の樹脂で形成された液体燃料が通過する液体燃料誘導管となる終点検知管10cを設け、上記液体燃料誘導芯10dの下部と中継芯10bの上部を、図3に示すように、終点検知管10c内に挿入した構造の燃料電池とし、これにより、液体燃料が終点検知管10cの中に存在していないことを燃料貯蔵槽10の透明又は半透明となる視認部10eを視認することによって、吸蔵体10aの中に液体燃料が存在していないことを目視により確認することができるものである。
なお、上記液体燃料誘導芯10dは中継芯10bと同様の材質から構成されるものである。また、燃料貯蔵槽10内の吸蔵体10aを複数設け、これらの各吸蔵体10a…の液体燃料吐出部に上記終点検知管を夫々設けることにより、各々の吸蔵体中にあった液体燃料の終了を検知することも可能となる。
更に、終点検知管を使用する場合、終点検知管10cの毛管力は、吸蔵体10a(誘導芯10d含む)及び中継芯10bのいずれよりも低くすることで、吸蔵体10aでの液体燃料の終了を遅滞なく表示することができる。また、強い衝撃が加わる場合以外は終点検知管10c内部で液体燃料が「切れる」ことなく実用上問題なく使用を続けることができる。
本実施形態の燃料電池Cは、液体燃料貯蔵槽を交換可能なカートリッジ構造体とした点で、上記第1実施形態の燃料電池Aと異なるものである。
このカートリッジ型の液体燃料貯蔵槽60は、図5に示すように、支持体70内に収納される構造であり、先端部に中継芯10bを保持する保持部61と後端部に固着された尾栓部62とを有する筒状の本体部63から構成され、この本体部63内部には液体燃料が含浸された吸蔵体10aが収納されると共に、該吸蔵体10aに中継芯10bが接続された構造からなるものである。また、このカートリッジ型の液体燃料貯蔵槽60の吸蔵体10aに接続された中継芯10bは、支持体70内に収納される燃料供給体30に接続されている。なお、図示しないが、燃料供給体30の先端(図5の矢印方向)には、上記第1実施形態と同様に燃料電池セル20、20…に接続される構造となっている。
また、前記カートリッジ構造体60から液体燃料を燃料供給体30に、好ましくは、上記第1実施形態と同様に、前記吸蔵体10aよりも大きい毛管力を有する多孔体及び/又は繊維束体からなる中継芯10bを通して、液体燃料を継続的に供給することが望ましい。この場合には、カートリッジ構造体60が前記燃料供給体30よりも下に位置した状態でも継続して燃料供給が可能となる。
本実施形態の燃料電池Dは、液体燃料貯蔵槽を交換可能なカートリッジ構造体に液体燃料の終了サインを簡単に視認することができる点でのみ、上記第3実施形態の燃料電池Cと異なるものであり、上記第2実施形態の燃料電池Bと同様の作用効果を発揮するものである。
この燃料電池Dでは、カートリッジ構造体60aに含浸された液体燃料(着色剤による着色含む)が、視認性を有する透明又は半透明の樹脂で形成され、少なくとも液体燃料と接する面には表面改質剤等の処理による液体燃料はじき層を形成してなる液体燃料誘導管64及び中継芯10bを介して燃料供給体30に供給されると共に、前記カートリッジ構造体30からの液体燃料終了サインをカートリッジ構造体60に形成した透明又は半透明の視認部65を介して前記液体燃料誘導管64を視認することにより簡単に検知することができるものである。
なお、図示しないが、燃料供給体30の先端(図6の矢印方向)には、上記第3実施形態と同様に燃料電池セル20、20…に接続される構造となっている。また、本実施形態では、支持体70も液体燃料の終了サインを確実に確認するためには、透明又は半透明の視認性を有する構造体となることが好ましい。
例えば、燃料電池セル20は円柱状のものを用いたが、角柱状、板状の他の形状のものであってもよく、また、燃料供給体30との接続は直列接続のほか、並列接続であってもよい。
更に、各実施形態の燃料電池の構造の一部を相互に変更して使用することもできる。例えば、上記第1実施形態の液体燃料貯蔵槽10の代わりに、上記第3実施形態の液体燃料貯蔵槽を交換可能なカートリッジ構造体60又は上記第4実施形態の液体燃料の終了サインを簡単に視認することができるカートリッジ構造体60aを取り付けた構造としてもよいものである。
更にまた、これらの実施形態のカートリッジ構造体を、燃料貯蔵槽や使用済み燃料貯蔵槽として使用した後で、液体燃料を適当な充填方法により注意深く再充填することにより、何度でも燃料貯蔵槽として利用可能である。
10 燃料貯蔵槽
10a 吸蔵体
20 単位セル
30 燃料供給体
40 使用済み燃料貯蔵槽
Claims (9)
- 燃料電極体の外表部に電解質層を構築し、該電解質層の外表部に空気電極層を構築することで形成される単位セルが複数連結されると共に、該各単位セルには液体燃料を貯蔵する燃料貯蔵槽に接続される浸透構造を有する燃料供給体又は燃料電極体が連結されて液体燃料が供給される燃料電池であって、前記液体燃料貯蔵槽に、毛管力を有する多孔体及び/又は繊維束体からなる液体燃料吸蔵体を含むことを特徴とする直接メタノール型燃料電池。
- 前記液体燃料貯蔵槽が交換可能なカートリッジ構造体であることを特徴とする請求項1に記載の直接メタノール型燃料電池。
- 前記カートリッジ構造体から液体燃料を燃料供給体に、前記液体燃料吸蔵体よりも大きい毛管力を有する多孔体及び/又は繊維束体からなる中継芯を通して、液体燃料を継続的に供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の直接メタノール型燃料電池。
- 前記燃料供給体又は燃料電極体の毛管力が前記中継芯の毛管力よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の直接メタノール型燃料電池。
- 前記カートリッジ構造体に含浸された液体燃料を燃料供給体に供給する燃料電池であり、上記カートリッジ構造体に含浸された液体燃料が、視認性を有する透明又は半透明の樹脂で形成され、少なくとも液体燃料と接する面には液体燃料はじき層を形成してなる液体燃料誘導管を介して燃料供給体に供給されると共に、前記カートリッジ構造体からの液体燃料終了サインをカートリッジ構造体に形成した視認部を介して前記液体燃料誘導管を視認することにより検知する請求項2〜4の何れか一つに記載の直接メタノール型燃料電池。
- 前記視認部の内壁に平滑な部分と微小な凹凸を持つ部分を設け、それらを組み合わせることにより、液体燃料の終了を使用者に検知させる表示を設けたことを特徴とする請求項5に記載の直接メタノール型燃料電池。
- 前記カートリッジ構造体が前記燃料供給体よりも下に位置した状態で継続して燃料供給が可能であることを特徴とする請求項2〜6の何れか一つに記載の直接メタノール型燃料電池。
- 前記液体燃料が着色されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載の直接メタノール型燃料電池。
- 前記燃料供給体の終端に使用済みの燃料貯蔵槽を接続し、使用済み燃料貯蔵槽として前記カートリッジ構造体が利用可能な請求項1〜8の何れか一つに記載の直接メタノール型燃料電池。
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