JP4956186B2 - 燃料電池用燃料貯留体 - Google Patents
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Description
これらの中でも、液体燃料の供給に毛管力を利用した各液体燃料電池等が知られている(例えば、特許文献3〜7参照)。
これらの各特許文献に記載される液体燃料電池は、燃料タンクから液体燃料を毛管力で燃料極に供給するため、液体燃料を圧送するためのポンプを必要としないなど小型化に際してメリットがある。
このように従来の燃料電池用燃料貯留体では、燃料極に直接液体燃料を供給する際に、燃料の供給が不安定で動作中の出力値に変動が生じたり、安定な特性を維持したまま携帯機器への搭載が可能な程度の小型化は困難であるのが現状である。
この燃料電池は、今までにない優れた機能を有するものであるが、カートリッジ型燃料貯留体が加熱されて高温状態となった場合に、液体燃料の沸騰、気泡の発生、燃料の吹き出しなどが若干生じるなどの課題がある。
(1) 燃料電池本体に連結自在となる燃料貯留体であって、該燃料貯留体を、液体燃料を収容する燃料収容容器と、燃料流出部と、該燃料収容容器後端に設けられた封止体と、燃料流出部と封止体との間に、該液体燃料を封止すると共に、液体燃料の消費に伴い移動する追従体とから構成し、前記燃料収容容器内部が燃料流出部と追従体とにより少なくとも密封された燃料貯蔵室と、封止体により外気からは隔絶密封された状態の前記追従体を押圧する手段として燃料貯蔵室に封入された液体燃料よりも高い蒸気圧を持つ組成の揮発性液体が封入されている加圧室とを備えたことを特徴とする燃料電池用燃料貯留体。
(2) 加圧室に封入される揮発性液体は、少なくとも加圧室の容積と燃料貯蔵室の容積とを合計した容積を飽和蒸気圧にできる量が封入されている上記(1)記載の燃料電池用燃料貯留体。
(3) 加圧室には、空気置換可能な密閉弁が少なくとも1つ備えている上記(1)又は(2)に記載の燃料電池用燃料貯留体。
(4) 密閉弁は、揮発性液体の100℃における蒸気圧下においてもリークしない密閉弁からなる上記(3)記載の燃料電池用燃料貯留体。
(5) 液体燃料がメタノール液、エタノール液、ジメチルエーテル(DME)、ギ酸、ヒドラジン、アンモニア液、エチレングリコール、ショ糖水溶液及び水素化ホウ素ナトリウムから選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の燃料電池用燃料貯留体。
(6) 燃料電池本体は、燃料電極体の外表部に電解質層を構築し、該電解質層の外表部に空気電極層を構築することで形成される単位セルが複数連結されると共に、上記単位セルには上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の燃料電池用燃料貯留体に接続される燃料供給体が連結されて液体燃料が供給される構成となる燃料電池。
請求項2〜7の発明によれば、燃料貯留体が加熱されて高温状態となっても、更に液体燃料の沸騰、気泡の発生、燃料の吹き出し等を防止することができると共に、燃料電池本体に直接液体燃料を更に安定的に供給すると共に、高温保管時においても液体燃料の損失が極めて少ない燃料電池用燃料貯留体が得られることとなる。
F 液体燃料
G 揮発性液体
10 燃料収容容器
11 燃料流出部
11a 弁体
12 追従体
13 燃料貯蔵室
14 加圧室
図1〜図2は、本発明の基本的な実施形態を示す燃料電池用燃料貯留体Aの基本形態(第1実施形態)を示すものである。
本第1実施形態の燃料電池用燃料貯留体Aは、燃料電池本体に連結自在となる燃料貯留体であり、液体燃料Fを収容するチューブ型の燃料収容容器10と、燃料流出部11と、燃料収容容器10内に収容された状態の液体燃料Fの後端部に、該液体燃料Fを封止すると共に、液体燃料Fの消費に伴い移動する追従体12とを備えると共に、前記燃料収容容器10内部が追従体12により少なくとも密封された燃料貯蔵室13と、外気からは隔絶密封された状態の前記追従体12を押圧する手段が封入されている加圧室14とを備えたものである。
燃料収容容器10としては、例えば、光線透過性を要求されない場合であれば、アルミニウム、ステンレスなどの金属、合成樹脂、ガラスなどが挙げられるが、前記した液体燃料の残量の視認性、ガス不透過性、製造や組立時のコスト低減及び製造の容易性などから、好ましくは、上記各特性を有するポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリルニトリル、ナイロン、セロハン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどの単独もしくは2種以上の樹脂を含む単層構造、2層以上の多層構造からものが挙げられる。多層構造の場合は、少なくとも1層が、前記した性能(ガス透過度)を持つ樹脂で構成されていれば、残りの層は通常の樹脂でも実使用上問題はない。このような多層構造のチューブは、押出し成形、射出成形、共押出し成形などにより製造することができる。
この弁体11aは、液体燃料供給部材を挿入することで燃料収容容器12と内部とを連通させ、燃料収容容器10内部の液体燃料Fを外部へ供給させる直線状のスリットからなる連通部11bが形成されると共に、前記弁体11aが燃料流出部11又は弁体アダプターに収納された際に、弁体外縁部11cにより弁体11aが径方向に圧縮されることで、前記連通部11cに圧縮力が作用するようにしたものであり、本実施形態では図2(b)に示すように楕円状であって、短径方向Yに連通部となるスリット11bを設け、長径方向Xに外縁部11cを圧縮するようにとしたものであり、スリット11bが閉じる方向に圧縮力が作用する。
前記燃料流出部11には、図2(d),(e)に示すようなアダプター11eが設けられ、アダプター11eは筒状に形成され、その内周面にストッパー部11f,11fが形成された本体部11gと、筒状に形成された固定部材11hとからなり、ストッパー部11fと固定部材11hとの間で上記構成の弁体11aを挟持してなるものである。
弁体11aとアダプター11eとの組合せに関して、図2に示すように、楕円形状のスリット弁と円形状のアダプターの場合が挙げられ、また、逆に、円形状のスリット弁と楕円形状のアダプターとしてもよく、この場合、スリット弁のスリット方向をアダプターの長径とすることが必要である。
この構造の弁体11aにより、使用休止(未使用)時にも空気などの異物の浸入を防止する構造となっている。これは、空気などの浸入により液体燃料収容容器10内の圧力増加などによる燃料漏れ、噴出しなどの事故を防止するためである。
これらの弁体11a、アダプター体11eの材料としては、収容される液体燃料Fに対して保存安定性、耐久性、ガス不透過性、燃料供給管に密着できる弾性を有し、上記特性を有するものであれば、特に限定されず、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリルニトリル、ナイロン、セロハン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、二トリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどのゴム、熱可塑性エラストマーが挙げられ、通常の射出成形や加硫成形などによって製造することができる。
また、これらの液体燃料の濃度は、燃料電池の構造、特性等により種々の濃度の液体燃料を用いることができ、例えば、1〜100%濃度の液体燃料を用いることができる。
この追従体12としては、液体燃料Fに対し溶解、拡散しないことが要求される。液体燃料Fに対し溶解、拡散してしまうような場合、燃料貯蔵槽となる燃料収容容器10内の液体燃料が漏出、蒸発してしまい燃料貯蔵槽としての役割を果たせないばかりか、液体燃料Fによって追従体12を構成する物質が燃料電池本体の燃料極に浸入し、反応に悪影響が出ることが考えられる。これらの条件を勘案して、本発明に用いる追従体12の好ましい特性等が選択される。
好ましい追従体12としては、表面自由エネルギーが液体燃料Fより低いことが望ましく、前記した燃料収容容器10、燃料流出部11の弁体の場合と同様、燃料収容容器10と追従体12との隙間に液体燃料が浸入、外部へ漏洩することを防止できる可能性を高くすることができる。これらの条件を鑑み、追従体12の材質、表面状態などを適宜選択することが可能である。
この加圧室14は、燃料収容容器10の後端部側に設けられるものであり、追従体12の上面と密閉弁を備えた封止体15とにより形成されるものであり、この両者の空間部が加圧室となるものである。
以下において、メタノール水溶液を液体燃料Fとする場合を例にとり説明するが、本発明の液体燃料は、これに限定されるものではない。
すなわち、加圧室の初期の圧力を101kPaとすると、20℃→80℃に温度上昇しても、その圧力は、122kPa(1.2倍)にしかならないものである。このとき液体燃料であるメタノール蒸気圧は、12kPa→181kPa(10倍以上)に変化する。
この場合、液体燃料の沸騰を防止するためには、加圧室14は液体燃料の蒸気圧以上に加圧されていることが必要であるため、液体燃料の蒸気圧よりも、高い蒸気圧の組成の液体を封入されていることが必要である。
ここで、本発明でいう「蒸気圧」とは、同じ温度で比較したときの物理的な蒸気圧そのものを指す。また、本発明で規定する「揮発性液体」とは、少なくとも、常温常圧下で液体の物質であり、20℃の蒸気圧が101kPa以下の溶剤を指す。
一般において、「蒸気圧の高い組成の液体」とは、例えば、50wt%メタノール水溶液を用いるとき、これよりも高濃度のメタノールは、蒸気圧がより高い液体といえる。
以下に、100%メタノールの蒸気圧を下記表1に示す。また、メタノールと水の混合溶媒(メタノール水溶液)の蒸気圧を下記表2示す。
更に、揮発性液体Gの蒸気圧は、液体燃料Fの蒸気圧よりも大きい(若しくは近い)必要があるため、あるメタノール濃度の時の蒸気圧よりも、高い蒸気圧を有する液体、若しくは高い蒸気圧を有する組成の液体である必要がある。
用いる揮発性液体Gとしては、好ましくは、20℃の蒸気圧が4〜100kPa、更に好ましくは、10〜50kPaである組成の液体であるものが望ましい。
20℃の蒸気圧が4kPa未満の液体では、燃料の加圧に十分な圧力でなく、一方、100kPaを超える液体では、常温で気体であるため、充填等の取り扱いが困難となる。
これにより、液体燃料Fが残り少なくなった状態であっても、液体燃料の沸騰を防止することができる。必要となる揮発性液体Gの封入量の計算式としては、加圧室14の容積をAml、液体燃料容量をBml、液体燃料のある温度での蒸気圧CkPaとすると、(A+B)×C/(22.4×1000)=Xmolである。
この場合、揮発性液体の分子量をD、比重をEとすると、必要となる揮発性液体の「量は、X×Dg、X×D×Emlとなる。
必要となる揮発性液体Gの量は、比較的少ない量となる。例えば、加圧室の容積が20ml、液体燃料容量が100mlの燃料貯留体(タンク)に、60wt%のメタノール水溶液の液体燃料を充填し、100℃での耐熱性を付与するために、100wt%メタノールを用いると、加圧室14に充填する100wt%メタノールの量は、0.19g(0.15ml、液体燃料に対して、0.15%、数滴充填)を封入すればよいことになる。
以上により、加圧室14に封入される揮発性液体Gは、少なくとも加圧室14の容積と燃料貯蔵室13の容積とを合計した容積を飽和蒸気圧にできる量が封入されていることが好ましい。この構成により、容積や液体燃料の種類、揮発性液体の種類によって変化させることができる。
本発明は、上記メタノールの例示に限定されるものでなく、上記表3に示される揮発性液体などを用いることができる。また、メタノール水溶液を液体燃料Fとする場合を例示して説明したが、本発明の液体燃料として、上述の如く、ジメチルエーテル(DME)、エタノール液、ギ酸、ヒドラジン、アンモニア液、エチレングリコール、ショ糖水溶液及び水素化ホウ素ナトリウムなどの液体燃料も各既知である各温度における蒸気圧を参考にして上記と同様にして各液体燃料に好ましい揮発性液体Gを使用することができるものである。
この密閉弁は、揮発性液体の100℃における蒸気圧下においてもリークしない密閉弁からなるものが望ましい。
上記例示した場合で考察すると、100℃のメタノールは350kPa程度になるので、空気と併せて500kPa程度の耐圧性能があれば、十分となる。それほど高い目標ではないため、どのようなバルブ構造であっても十分と考えられ、この条件を満足するバルブ構造であれば、その構造は特に限定されず、例えば、図2に示した燃料流出部11に備わるものと同様の構造となるスリット構造のバルブが使用でき、すなわち、上記密閉弁を備えた封止体16として上述の図2に示される構造となる弁体11aを含む燃料流出部11が使用でき、また、後述する図6に示すバルブ〔向きを逆(上側)にしたバルブ〕も使用することができる。
すなわち、燃料電池本体Nは、図3及び図4に示すように、微小炭素多孔体よりなる燃料電極体21の外表部に電解質層23を構築し、該電解質層23の外表部に空気電極層24を構築することで形成される単位セル(燃料電池セル)20,20と、燃料貯留体Aに接続される浸透構造を有する燃料供給体30と、該燃料供給体30の終端に設けられる使用済み燃料貯蔵槽40とを備え、上記各単位セル20、20は直列に連結されて燃料供給体30により燃料が順次供給される構造となっており、前記燃料貯留体Aは、交換可能なカートリッジ構造体となっており、燃料電池本体Nの支持体16に挿入される構造となっている。
この実施形態では、図1、図2(a)及び図3に示すように液体燃料Fが直接貯蔵され、液体燃料Fを収容する燃料収容容器10の下部に燃料流出部11に備わる弁体11aに挿入される燃料供給体30により、燃料が供給されるものである。
また、この燃料電極体21の外表部には、白金−ルテニウム(Pt−Ru)触媒、イリジウム−ルテニウム(Ir−Ru)触媒、白金−スズ(Pt−Sn)触媒などが当該金属イオンや金属錯体などの金属微粒子前駆体を含んだ溶液を含浸や浸漬処理後還元処理する方法や金属微粒子の電析法などにより形成されている。
また、空気電極層24としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等を上述の金属微粒子前駆体を含んだ溶液等を用いた方法で担持させた多孔質構造からなる炭素多孔体が挙げられる。
また、燃料供給体30により供給される液体燃料は、燃料電池セル20で反応に供されるものであり、燃料供給量は、燃料消費量に連動しているため、未反応で電池の外に排出される液体燃料は殆どなく、従来の液体燃料電池のように、燃料出口側の処理系を必要としないが、運転状況により供給過剰時に至った際には、反応に使用されない液体燃料が貯蔵槽40に蓄えられ阻害反応を防ぐことができる構造となっている。
なお、50は、燃料貯留体Aと使用済み燃料貯蔵槽40を連結すると共に、燃料貯蔵槽10から各単位セル20、20の個々に燃料供給体30を介して直接液体燃料を確実に供給するメッシュ構造などからなる部材である。
本発明では、燃料電池本体に連結自在となる燃料貯留体Aには、液体燃料Fを収容するチューブ型の燃料収容容器10と、燃料流出部11と、液体燃料Fの後端部に、該液体燃料Fを封止すると共に、液体燃料Fの消費に伴い移動する追従体12とを備えると共に、前記燃料収容容器10内部が追従体12により少なくとも密封された燃料貯蔵室13と、外気からは隔絶密封された状態の前記追従体12を押圧する手段が封入されている加圧室14とを備えたものであるので、燃料貯留体Aが加熱され液体燃料Fの温度がその液体燃料Fの大気圧下での沸点以上となったとしても、液体燃料Fを封止している追従体12の反対側も、加圧室14内の前記追従体12を押圧する手段となる揮発性液体Gが加熱され、液体燃料Fの飽和蒸気圧以上に加圧されているため、液体燃料Fの沸騰を防止することができることとなる。更に詳述すると、本発明となる液体燃料Fを追従体12にて封止する構造の燃料電池用燃料貯留体Aにおいて、燃料収容容器(タンク)11の後端部を封止することによって液体燃料Fよりも蒸気圧の高い追従体12を押圧する手段となる揮発性液体Gを加圧室14内に封入し、封入した揮発性液体Gの蒸気圧によって追従体12を通して液体燃料Fを加圧できる。このことによって、液体燃料Fの温度が大気圧下での沸点に達しても沸騰することなく、液体燃料Fの気化による燃料貯留体Aからの液体燃料の漏洩、蒸発を防止することができる。特に、メタノールやエタノールを液体燃料として使用する場合には、液体燃料の沸点が低いため、このような沸騰を防止する本発明の構造をとることが最も望ましい形態となるものである。また、液体燃料使用時は、上端の密閉弁となる逆止弁を開き空気置換するものである。
更に、この燃料電池では、ポンプやブロワ、燃料気化器、凝縮器等の補器を特に用いることなく、液体燃料を気化せずそのまま円滑に供給することができる構造となるため、燃料電池の小型化を図ることが可能となる。
従って、この形態の燃料電池では、燃料電池全体のカートリッジ化が可能となり、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯用電子機器の電源として用いられることができる小型の燃料電池が提供されることとなる。
なお、上記形態では、燃料電池セル20を二つ使用した形態を示したが、燃料電池の使用用途により燃料電池セル20の連結(直列又は並列)する数を増加させて所要の起電力等とすることができる。
この第2実施形態は、液体燃料の消費速度の速いものや、多量の液体燃料を搭載するために、チューブ型等の燃料収容容器10の径を大きいものを用いた場合において、追従体の追従を追従切れを起こすことなく、良好に追従させると共に、液体燃料Fの温度が大気圧下での沸点に達しても沸騰することなく、液体燃料Fの気化による燃料貯留体Aからの液体燃料の漏洩、蒸発を防止するための好適な実施形態を示すものである。
本第2実施形態の燃料貯留体Bは、用いる追従体12には、筒状の追従補助部材12aが挿入されている点でのみ、上記第1実施形態と相違するものであり、上記第1実施形態と同様にして使用に供される。
この追従補助部材12aとしては、例えば、ポリプロピレン、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリルニトリル、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、各種ゴムなどから構成されるものが挙げられる。
この追従補助部材12aの形状としては、円柱状、四角柱状、三角柱状、球状若しくは燃料貯留体断面と相似形状などが挙げられ、その長さは、追従体の全長に対して、30〜70%とすることが好ましい。
この弁体60は、本体部61にバルブ受け部61aを有し、スプリング部材やバネ部材などの弾性体62により断面逆T字状のバルブ部材63がバルブ受け部61に常時付勢されて閉じられており、液体燃料供給部材30の挿入により開かれて液体燃料が供給される構造となっている。なお、上端の封止体16は、図2のスリットバルブからなる弁体を有するものである。
この実施形態の燃料貯留体Cも、燃料貯留体が加熱されて高温状態となっても、液体燃料の沸騰、気泡の発生、燃料の吹き出し等を防止することができると共に、燃料電池本体に直接液体燃料を安定的に供給し、しかも、高温の保管時においても液体燃料の損失がなく、かつ、燃料電池の小型化をなし得ることができる。
この形態は、図7及び図8に示すように、弁体11aに挿入される燃料供給管31を介して燃料供給体30に接続される点などで、上記第1実施形態と相違するものである。
なお、図示しないが、燃料供給体30の先端(図7、図8の矢印方向)には、上記第1実施形態(図3)と同様に燃料電池セル20、20…に直列又は並列に接続される構造となっている。
例えば、燃料電池セル20は円柱状のものを用いたが、角柱状、板状の他の形状のものであってもよく、また、燃料供給体30との接続は直列接続のほか、並列接続であってもよい。
また、上記実施形態では、燃料流出部として図2(a)〜(h)に示す弁体11aを有するものを用いたが、気圧、温度変化等により燃料貯蔵槽10内に直接収容される液体燃料Fに燃料供給管31周辺より浸入する空気などの異物を防ぐものであり、燃料供給体30が挿入されて液体燃料を燃料供給体30に供給できる構造となるものであれば、特に限定されるものではない。
更に、上記実施形態では、直接メタノール型の燃料電池として説明したが、燃料電池本体に連結自在となる燃料貯留体であって、該燃料貯留体には、液体燃料を収容する燃料収容容器と、燃料流出部と、液体燃料の後端部に、該液体燃料を封止すると共に、液体燃料の消費に伴い移動する追従体とを備えたものであれば、本発明は上記直接メタノール型の燃料電池に限定されるものではなく、改質型を含む高分子改質膜型の燃料電池にも好適に適用することができるものであり、更に、大容量(例えば、100ml以上)の液体燃料を搭載する場合にチューブ型等の燃料収容容器の径を大きくした場合には、それに伴なって追従体の量を増加させたり、または、第2実施形態のように追従補助部材を挿入して、追従体の追従を追従切れを起こすことなく、良好に追従させることができる。
更にまた、燃料電池本体として、微小炭素多孔体よりなる燃料電極体の外表部に電解質層を構築し、該電解質層の外表部に空気電極層を構築することで燃料電池本体を構成したが、燃料電池本体の構造は特に限定されず、例えば、電気導電性を有する炭素質多孔体を基材とし、該基材の表面に電極/電解質/電極の各層を形成した単位セル又は該単位セルを2以上連結した連結体を備え、上記基材に燃料供給体を介して液体燃料を浸透させる構成とすると共に、基材の外表面に形成される電極面を空気に曝す構造からなる燃料電池本体としてもよいものである。
下記に示す構成の燃料流出部の弁体が相違する燃料貯留体を2種類作製し、液体燃料(70wt%メタノール液、比重0.87)2g、追従体0.30gを充填した。
(燃料収容容器の構成:チューブ1、実施例1及び2共通)
チューブ1:長さ100mm、外径8mm、内径6mm、ポリプロピレン製押出チューブ
実施例1(スリット弁、図2に準拠):
長さ5mm、外径6mm、内径1mm、ブチルゴム製、スリット長さ1.5mm
実施例2(バルブ弁、図5に準拠):
長さ10mm、外径6mm、内径1mm、バルブ本体61:ポリプロピレン製、弾性体62:ステンレス製スプリング、バルブ体63:ポリプロピレン製
(追従体の組成、実施例1及び2共通)
以下の配合組成となるゲル状追従体(比重0.90)を用いた。
鉱油:ダイアナプロセスオイル MC−W90(出光興産社製) 93重量部
疎水性シリカ:アエロジル R−974D 6重量部
(日本アエロジル社製、BET表面積200m2/g)
シリコーン系界面活性剤:SILWET FZ−2171 1重量部
(日本ユニカー社製)
100%メタノール 0.1ml
(加圧室、実施例1及び2共通)
0.3ml
(封止体、実施例1及び2共通)
図2に準拠
Claims (6)
- 燃料電池本体に連結自在となる燃料貯留体であって、該燃料貯留体を、液体燃料を収容する燃料収容容器と、燃料流出部と、該燃料収容容器後端に設けられた封止体と、燃料流出部と封止体との間に、該液体燃料を封止すると共に、液体燃料の消費に伴い移動する追従体とから構成し、前記燃料収容容器内部が燃料流出部と追従体とにより少なくとも密封された燃料貯蔵室と、封止体により外気からは隔絶密封された状態の前記追従体を押圧する手段として燃料貯蔵室に封入された液体燃料よりも高い蒸気圧を持つ組成の揮発性液体が封入されている加圧室とを備えたことを特徴とする燃料電池用燃料貯留体。
- 加圧室に封入される揮発性液体は、少なくとも加圧室の容積と燃料貯蔵室の容積とを合計した容積を飽和蒸気圧にできる量が封入されている請求項1記載の燃料電池用燃料貯留体。
- 加圧室には、空気置換可能な密閉弁が少なくとも1つ備えている請求項1又は2に記載の燃料電池用燃料貯留体。
- 密閉弁は、揮発性液体の100℃における蒸気圧下においてもリークしない密閉弁からなる請求項3記載の燃料電池用燃料貯留体。
- 液体燃料がメタノール液、エタノール液、ジメチルエーテル(DME)、ギ酸、ヒドラジン、アンモニア液、エチレングリコール、ショ糖水溶液及び水素化ホウ素ナトリウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4の何れか一つに記載の燃料電池用燃料貯留体。
- 燃料電池本体は、燃料電極体の外表部に電解質層を構築し、該電解質層の外表部に空気電極層を構築することで形成される単位セルが複数連結されると共に、上記単位セルには請求項1〜5の何れか一つに記載の燃料電池用燃料貯留体に接続される燃料供給体が連結されて液体燃料が供給される構成となる燃料電池。
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