JP2005208050A - ポリオキシアルキレン誘導体の末端活性化率分析方法 - Google Patents

ポリオキシアルキレン誘導体の末端活性化率分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリオキシアルキレン誘導体の末端活性化率を求める分析方法において、ポリオキシアルキレン誘導体が高分子量であっても正確かつ高精度で測定できるようにする。
【解決手段】末端に生理活性物質と化学結合する末端活性基を有し、分子量が1000〜100000でポリオキシアルキレン誘導体の末端活性化率を分析する。イオン性官能基を持つラベル化試薬にて末端活性基をラベル化した後、イオン交換カラムを用いた液体クロマトグラフィーで分析を行い、RI検出器で得られるクロマトグラムにおける面積百分率より、末端活性化率を求める。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリオキシアルキレン誘導体の末端活性化率の分析方法に関する。さらに詳しくは、ポリペプチド、生理活性タンパク質、酵素などへのポリオキシアルキレン修飾剤や、生分解性ハイドロゲル、リポソーム、ポリマーミセルなどの薬物送達システム(DDS)におけるポリオキシアルキレン修飾剤として用いるために、活性基を末端に有するポリオキシアルキレン誘導体の末端活性化率を求める方法に関する。
近年、医薬用途を目的とした高分子化合物の開発が盛んに行われており、そのひとつに末端活性化ポリオキシアルキレン誘導体がある。その主な用途としては、ポリペプチド、生理活性タンパク質や酵素などの生理活性物質への修飾剤や、生分解性ハイドロゲル、リポソーム、ポリマーミセルなどの薬物送達システム(DDS)が挙げられる。
修飾剤としての用途では、両親媒性高分子であるポリオキシアルキレン誘導体を生理活性物質に化学修飾し、分子量を増大させ、溶解性を向上させることにより、免疫原性や抗原性、毒性の低減、薬剤の安定性増加、体内滞留時間の延長などの効果を得ることが出来る。
ポリオキシアルキレン誘導体の構造は通常、修飾するタンパク質などの表面に存在するアミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、不飽和結合などの官能基と化学的に結合する活性基をポリオキシアルキレン末端に有する。例えば、アミノ基に対して修飾させる場合はアルデヒド基、アセタール基、パラニトロフェニル基、N−ヒドロキシスクシンイミド基などの活性基、メルカプト基に対してはメルカプト基、マレイミド基、アリル基、N−ヒドロキシスクシンイミド基などの活性基、カルボキシル基に対してはメルカプト基、アミノ基などの活性基、不飽和結合に対してはメルカプト基などの活性基をポリオキシアルキレン末端に有する。
しかし、特に低分子薬剤やペプチドを修飾する場合には、ポリオキシアルキレン誘導体と結合させる反応性官能基が少ないため、溶解性の向上などの効果が得られにくいという問題点がある。また、数多くのポリオキシアルキレン誘導体で修飾すると、薬剤やペプチドの活性点を封鎖してしまい、それ自身が持つ機能、薬効を十分に発現できなくなるという問題点がある。そこで近年は、生理活性物質の機能や薬効を低下させずに、最小限の修飾数でも効率的にその効果を得るため、より高分子量のポリオキシアルキレン誘導体が用いられるようになっている。
一方、生分解性ハイドロゲルなどは薬物の徐放運搬系として利用される。すなわち、ポリオキシアルキレン誘導体などの生体適合性高分子を用いて形成したハイドロゲル中に、難水溶性の生理活性物質などを取り込み、その生分解性を利用して活性物質の放出を制御する。それにより活性成分の血中レベルをコントロールし、より優れた効力、安全性、患者にとっての便宜性をもたらす。
生分解性ハイドロゲルで用いられるポリオキシアルキレン誘導体の構造は通常、分岐状で各末端に活性基を有しており、他のポリオキシアルキレン誘導体または生体適合性ポリマーの末端官能基と互いに架橋結合することにより網目状構造をとる。この架橋結合が分解することにより、生理活性物質が放出される。分解速度はポリオキシアルキレン誘導体の末端活性基数に依存し、それにより生理活性物質の放出をコントロールすることができる。
このような末端活性基を有するポリオキシアルキレン誘導体は、ポリオキシアルキレンの末端ヒドロキシル基に活性基を結合(末端活性化)することにより合成される。この末端活性化反応における反応率は末端活性化率と呼ばれる。言い換えると、末端活性化率とは、ポリオキシアルキレン誘導体の末端ヒドロキシル基数に対する、末端ヒドロキシル基に結合した活性基の百分率比である。
修飾剤の用途におけるポリオキシアルキレン誘導体は、薬物との高い反応性が要求されることから、末端活性化率は極めて高いものが要求される。よって、このようなポリオキシアルキレン誘導体を評価する分析法についても、正確で高い精度が求められる。
生分解性ハイドロゲルなどの用途では、分解速度はポリオキシアルキレン誘導体の末端活性基数によりコントロールすることができる。生理活性物質の放出を正確に制御するために、末端活性化率を正確に求めることが必要とされる。
また、医薬品の生理活性や安全性は、製剤中に含まれる不純物にも依存することから、目的化合物と異なる分子量や異なる活性基数を持つ不純物などの含有量は低いものが要求され、さらにそれらの不純物と分離して目的のポリオキシアルキレン誘導体のみを特異的に定量できることが要求される。
このように、末端活性ポリオキシアルキレン誘導体を用いた製剤を設計する際に、末端活性化率は極めて重要な分析項目の一つであり、正確かつ高い精度、さらに不純物との特異性を有することが重要といえる。
ポリオキシアルキレン誘導体の末端活性化率を求める、古くから知られている方法に滴定法があるが、一般に分析誤差が大きく、また分析試料の分子量が高いほどその誤差の影響は大きくなってしまう、という問題があった。
近年は、簡便かつ短時間で分析が可能であるH−NMR法が最も数多くのポリオキシアルキレン末端活性化率の分析手段として用いられている。たとえばポリオキシアルキレン末端マレイミド体の末端活性化率は、マレイミド基の水素ピークの理論積分値に対する実際の積分値から算出している(特許文献1)。
米国特許出願公開第2001/0044526号明細書
その他によく用いられている方法として、分析対象となる末端活性基に適した発色試薬でラベル化した後、特定の波長で吸光度を測定し、先に作成した標準体の検量線を用いて活性化率を算出する方法(吸光度法)がある。例えば末端メルカプト基の定量法としては2,2−ジチオピリジンや4,4−ジチオピリジンのような発色試薬と反応させた後、波長410nmでの吸光度を測定する方法が良く知られており、ポリオキシアルキレン誘導体にも応用されている(非特許文献1)。また、末端p−ニトロフェニルカルバメート基を持つポリオキシアルキレン誘導体は、塩基性溶液中で完全に加水分解させた後、遊離したp−ニトロフェノールを波長400nmで吸光度を測定し定量することにより、末端活性化率を求めている(非特許文献2)。同様に末端アルデヒド基を持つポリオキシアルキレン誘導体では、Schiff試薬を用いた吸光度法が用いられている(非特許文献3)。
Shmuel Zalipsky, Int. J. Peptide Protein Res. 30, 1987, 740 F.M.Veronese, et al, Applied Biochemistry and Biotechnology, 11, 141(1985) J. Milton Harris, et al, Polymer Chemistry Edition, 22, 341(1984)
しかし、ポリオキシアルキレン誘導体の末端活性化率をH−NMR測定で求める場合、分析試料の分子量が大きくなるほど、ポリオキシアルキレン鎖中のプロトンピークのマルチプレットが大きくなり、ノイズの増大やベースラインのゆがみなどに影響を与える。そのため高分子量のポリオキシアルキレン誘導体ほど、末端活性化率を求めるときの測定誤差が非常に大きくなってしまうという問題があった。
一方、吸光度法は、H−NMR法と比べると、一般に測定誤差は少なく、高分子量でも誤差が大きくなることはない。しかしこの方法における活性化率は、モル吸光係数および分析試料の分子量から算出しており、この分子量はあらかじめ水酸基価やGPC分析などにより測定しているため、その測定誤差が活性化率に大きな分析誤差を与えるという問題点がある。また、目的分子量よりも低分子量または高分子量の末端活性化体が不純物として存在する場合、測定結果は実際の活性化率から大きく乖離する。
通常、ポリオキシアルキレン誘導体を合成する際、原料のポリオキシアルキレンの末端水酸基に活性基を持つ低分子化合物を結合させる方法が用いられているので、生成物中に活性基を持つ低分子化合物が残存することが多い。しかしこのような分析試料の末端活性化率を、吸光度法を用いて測定すると、発色試薬は残存する活性基を持つ低分子化合物とも反応するため、実際よりも高い活性化率が得られてしまう。
また、H−NMR法や吸光度法で求められる末端活性化率は全末端官能基数に対する活性化された官能基数の割合でしか示されないため、たとえば構造的に対称で等価な2つ以上の活性基を有するポリオキシアルキレン誘導体の場合、活性化された官能基数ごとの含有率を求めることはできない。また、分析対象と同じ活性基を持ち、異なる分子量の不純物が含まれている場合についてもそれらを分離することができない。たとえば、片末端活性基を有するポリオキシアルキレン誘導体の製造時、目的分子量の二倍分子量の両末端活性化体が副生することが多い。このような両末端活性化体は、生理活性物質との修飾反応において、架橋反応を引き起こすため、特に好ましくない。しかし、上記の理由により、それらは目的の物質と分離して定量することはできない。
本発明は、ポリオキシアルキレン誘導体の末端活性化率を求める分析方法において、ポリオキシアルキレン誘導体が高分子量であっても、あるいは目的物と異なる末端活性化体が不純物として存在する場合であっても、高精度で測定できる分析方法を提供することを目的とする。
本発明は、末端に生理活性物質と化学結合する末端活性基を有し、分子量が1000〜100000でポリオキシアルキレン誘導体の末端活性化率分析方法であって、イオン性官能基を持つラベル化試薬にて末端活性基をラベル化した後、イオン交換カラムを用いた液体クロマトグラフィーで分析を行い、RI検出器で得られるクロマトグラムにおける面積百分率より、末端活性化率を求めることを特徴とする。
本発明は、ポリオキシアルキレン誘導体の末端活性化率の測定において、次の作用効果が得られる画期的な分析方法であり、医薬品等の分野においても標準的な分析方法となる可能性を有しており、産業上きわめて有用なものである。
(1) ポリオキシアルキレン誘導体が高分子量であっても正確かつ高精度で測定できる。
(2) ポリオキシアルキレン誘導体中に低分子不純物が存在する場合には、この低分子量不純物による定量の妨害を受けにくい。
(3) ポリオキシアルキレン誘導体中に、目的分子量と異なる分子量の末端活性化体が不純物として含まれる場合、目的分子量の誘導体および不純物をそれぞれを分離定量することができる。
(4) ポリオキシアルキレン誘導体が多官能末端活性基を持つ場合(複数の末端活性化率を有する場合)には、活性化された官能基数ごとの含有率をそれぞれ測定することができる。
以下に、本発明を詳しく説明する。
本発明の分析対象となるポリオキシアルキレン誘導体のポリオキシアルキレン骨格は、直鎖状でも分岐状でも良い。本発明の分析方法では、従来のH−NMR法や吸光度法とは違い、特に複数の末端活性基を有するポリオキシアルキレン誘導体において、活性化された官能基数ごとの含有率をそれぞれ求めることができることから、分岐状で2以上の末端活性基を有することが好ましい。末端活性化率数の上限は特にないが、例えば、最大14個の末端活性化率を有する場合でも分析の可能性がある。典型的には、末端活性基数が2、3あるいは4個である。
ポリオキシアルキレン骨格は、好ましくは炭素数2〜4のオキシアルキレン基からなり、具体的にはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられる。なお、これらを1種または2種以上を用いても良い。2種以上のオキシアルキレン基を付加するときのその付加状態は、ブロック状でもランダム状でも良い。また、本分析法の測定を精度良く行うためには、分析対象となるポリオキシアルキレン誘導体は水溶性を有することが好ましい。そのため、ポリオキシアルキレン誘導体のオキシアルキレン骨格にオキシエチレン基が50モル%以上含まれていることが好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
ポリオキシアルキレン誘導体の分子量は1000〜100000で、好ましくは5000〜100000である。本発明は、従来の滴定法やH−NMR法とは異なり、高分子量でも高い精度で分析することが可能である。たとえば片末端に活性基を持つ直鎖状ポリオキシアルキレン誘導体の場合、分子量が1000より大きくなると、滴定法では測定誤差が大きくなり、本発明による効果が必要となる。
本発明の分析対象となるポリオキシアルキレン誘導体は、末端にタンパク質やポリペプチド、薬物などの生理活性物質と特異的に反応する活性基を有する。末端活性基として具体的には、アルデヒド基、ニトロフェニルカルバメート基、メルカプト基、マレイミド基、アリル基、アミノ基、カルボキシル基などが挙げられ、好ましくはアルデヒド基、ニトロフェニルカルバメート基、メルカプト基、マレイミド基、アリル基が挙げられる。これらの活性基は一般に、反応触媒の添加を必要とせず、修飾目的の生理活性物質と混合するだけで容易に反応し、安定な反応化合物が得られる。また、末端活性基を2以上有するポリオキシアルキレン誘導体の場合、異なる末端活性基を有していても良い。
本発明の分析方法では、ポリオキシアルキレン誘導体の末端活性基に対して、イオン性官能基を持つラベル化試薬を用いてラベル化を行う。
イオン性官能基はカルボキシル基またはアミノ基が挙げられ、それぞれのラベル化試薬の構造は式(5)または式(6)で表すことができる。なお、式(5)、式(6)においてイオン性官能基は2つ以上有していても良い。
X−Y−COOH (5)
X−Y−NH2 (6)
X基はポリオキシアルキレン誘導体の末端活性基と特異的に反応する官能基であれば任意に用いることができる。具体的には、末端活性基がマレイミド基や末端アリル基の場合は、X基がメルカプト基であるラベル化試薬が好ましい。末端活性基がメルカプト基の場合はX基がマレイミド基、アリル基を持つラベル化試薬が好ましい。アルデヒド基やパラニトロフェニルカルバメート基などアミノ基と特異的に反応する末端活性基の場合は、式(6)のラベル化試薬では交差反応が起こって好ましくないため、式(5)のX基がアミノ基であるラベル化試薬を用いることが好ましい。
X基とカルボキシル基またはアミノ基の結合部位(Y)には炭素数1〜24の飽和または不飽和炭化水素基を任意に用いることができ、好ましくは炭素数1〜12の飽和または不飽和炭化水素基、さらに好ましくは紫外吸収や蛍光吸収を持つ不飽和炭化水素基が用いられる。炭素数が12より大きい場合は、ラベル化反応が進行しにくい可能性がある。Yが紫外吸収や蛍光吸収を持つ不飽和炭化水素基の場合、ラベル化反応後のHPLC分析において紫外吸光検出器や蛍光検出器を併用することができるため、より高感度の分析を行うことが可能である。紫外吸収や蛍光吸収を持つ不飽和炭化水素基として具体的には特にフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、アクリジニル基などが挙げられる。
カルボキシル基を有するラベル化試薬(5)について具体的に例を挙げると、末端アルデヒド基や末端アセタール基の場合には、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシンなどのアミノ酸、p−アミノ安息香酸などを用いることができ、好ましくはグリシン、p−アミノ安息香酸である。末端ニトロフェニルカルバメート基や末端N−ヒドロキシスクシンイミド基の場合には、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、アミノカプロン酸、p−アミノ安息香酸などを用いることができ、好ましくはグリシン、アラニン、アミノカプロン酸である。末端メルカプト基の場合には、マレイミドプロピオン酸などが挙げられる。末端マレイミド基や末端アリル基の場合には、メルカプトプロピオン酸、メルカプト酢酸、メルカプトナフチル酢酸、チオサリチル酸などが挙げられる。
アミノ基を有するラベル化試薬(6)について具体的に例を挙げると、末端メルカプト基の場合には、アニリノナフチルマレイミド、アリルアミン、2−メチルアリルアミンなどが挙げられる。末端マレイミド基や末端アリル基の場合には、チオエタノールアミン塩酸塩などが挙げられる。
本発明で用いるラベル化反応は、末端活性化率を正確に測定するため、定量的に反応が進行し、分解や副反応が起こらずに安定なラベル化体が得られる方法であることが重要となる。また、できるだけ操作が簡便であることが望ましい。ラベル化反応の条件について以下に詳しく説明する。
ラベル化試薬の添加量は、定量的なラベル化反応を行うため、ポリオキシアルキレン誘導体に対して過剰量であれば任意であるが、好ましくは5〜50等量、より好ましくは5〜20等量である。なお、二官能または多官能の末端活性基を有するポリオキシアルキレン誘導体の場合は、官能基数に応じて過剰量を調整することが好ましい。
必要に応じて、トリエチルアミン、ピリジンなどの塩基触媒を加えることもできる。特に末端アルデヒド基の場合には、ラベル化試薬とともに水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウムなどの還元剤試薬をラベル化試薬の等モル以上加えることにより、還元的アルキル化反応を行い、極めて安定なラベル化体を得ることができる。
反応溶媒は、ラベル化試薬の溶解性、反応性に応じ、水、緩衝液、有機溶媒またはこれらを混合して用いることができる。
緩衝液の種類およびそのpHは任意であり、ポリオキシアルキレン誘導体とラベル化試薬の反応性に応じて決定できる。例えば、末端アルデヒド基誘導体で還元的アルキル化反応を用いる場合、使用するラベル化試薬のアミノ基のpKa(解離定数)より低いpH条件下で反応することが好ましい。
緩衝液の塩濃度は任意であるが、通常10〜500mMで用いることができ、好ましくは50〜300mMが望ましい。10mMより低い塩濃度では、ラベル化試薬の使用が過剰の場合、緩衝能が働かない可能性がある。
有機溶媒としてはポリオキシアルキレン誘導体およびラベル化試薬が可溶な溶媒であれば任意であり、メタノール、エタノール、アセトニトリル、2−メトキシエタノール、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。末端N−ヒドロキシスクシンイミド基や末端パラニトロフェニルカルバメート基など、水や緩衝液中で速やかに加水分解が起こる活性基の場合は、有機溶媒のみを使用することも有効である。
反応溶媒の使用量は任意であるが、通常、ポリオキシアルキレン誘導体の10〜1000重量%、好ましくは20〜500重量%が望ましい。10重量%より少ない場合は粘性の上昇により反応率が低くなる、また末端アルデヒド基の場合におけるアルデヒド基どうしの縮合反応や末端メルカプト基の場合におけるメルカプト基どうしのジスルフィド結合反応が起こる可能性があり、これらはラベル化反応を妨害する要因となる。また1000重量%より多い場合も反応率が低くなる可能性がある。
反応温度、反応時間は任意であり、ラベル化反応に適した条件を決定することができる。
その他、末端マレイミド基の場合や、末端メルカプト基のラベル化試薬にマレイミド基を有する試薬を用いた場合などは、光による重合を防ぐため、遮光下で行うことが好ましい。
上記操作にてラベル化したポリオキシアルキレン誘導体反応溶液は、そのまま高速液体クロマトグラフィーのサンプルとし、迅速かつ簡便に分析することができるが、ゲルろ過カラムを用いて脱塩処理を行う方が好ましい。ゲルろ過カラムは分子量1000以下の低分子物質を分離することができるものであれば任意である。脱塩処理は以下の操作により行う。まず高速液体クロマトグラフィー分析における溶離液とする緩衝液でゲルろ過カラムを平衡化した後、ラベル化反応溶液を添加する。さらに溶離液を加えて先に溶出する高分子量体分画を分取し、これを分析サンプルとする。この脱塩処理を行うことにより、反応溶液中に含まれる過剰のラベル化試薬などの低分子試薬を除去し、イオン交換カラムへの吸着汚染を防ぐことができる。また高速液体クロマトグラフィーの分析では一般に、溶離液とサンプル溶解液が異なる場合に定量を妨害するゴーストピークが溶出する場合があるが、この脱塩処理を行うことにより、サンプル溶解液を反応溶媒から溶離液へ交換することができるため、ゴーストピークを防ぎ、正確に定量を行うことができる。
ラベル化することによりイオン性を付与したポリオキシアルキレン誘導体を、続いてイオン交換カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにて分離し、測定を行う。測定条件について以下に詳しく説明する。
イオン交換カラムは、ラベル化試薬(5)を用いたラベル化反応物は陰イオン交換カラムを用いる。ラベル化試薬(6)を用いたラベル化反応物は陽イオン交換カラムを用いる。イオン交換カラムは、通常長さ5〜30cm、内径2〜10mm程度のステンレス製のものを用いることができ、この中に陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー充填剤を充填して用いるものまたは既にこれらが充填されたものを用いることができる。
陰イオン交換クロマトグラフィー充填剤は、陰イオン交換官能基としてジエチルアミノエチル(DEAE)基または第4級アンモニウム基を持つものを用いることができ、好ましくはDEAE基を用いることができる。陽イオン交換クロマトグラフィー充填剤は、陽イオン交換官能基としてスルホプロピル(SP)基またはカルボキシメチル(CM)基を持つものを用いることができ、好ましくはスルホプロピル基を用いることができる。これらのイオン交換基を有する基材としては、ポリマー系ゲルまたはシリカ系のゲルを用いることができる。ポリマー系ゲルはポリアクリレート系のような親水性ゲルとポリスチレン系のような疎水性ゲルがあり、特に親水性高分子であるポリオキシアルキレン誘導体の分離に適している親水性ポリマー系ゲル基材を用いることが好ましい。
溶離液は、用いるイオン交換カラムの分離に適した緩衝液であれば任意であり、具体的には、ギ酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、モノエタノールアミン−塩酸緩衝液などを任意に選択できる。陰イオン交換カラムを用いる場合、好ましくはギ酸緩衝液、酢酸緩衝液、より好ましくはギ酸緩衝液を用いることができ、陽イオン交換カラムを用いる場合、好ましくはリン酸緩衝液を用いることができる。これらの緩衝液のように、緩衝作用を持つイオンがイオン交換体と同じ電荷を持つものの方が、より効果的に分離することができる。
また緩衝液に塩水溶液や有機溶媒またはこれら両方を任意に混合して用いても良い。塩水溶液としては塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどの塩水溶液を用いることができる。有機溶媒としては、水と容易に混和するメタノール、エタノール、アセトニトリルなどを用いることができ、その濃度は0〜50体積%の範囲で混合することができる。
溶離液のpHは使用するカラムの適用範囲内において任意であり、通常2.0〜12.0の範囲で用いられる。陰イオン交換カラムを用いる場合にはpH7.0〜10.0、陽イオン交換カラムを用いる場合にはpH4.0〜8.0の範囲で用いることが好ましい。
溶離液の緩衝液塩濃度は本発明において重要な条件の一つであり、ポリオキシアルキレン誘導体の構造および分子量によって適切な緩衝液塩濃度を設定する必要がある。一般にイオン交換カラムでは物質のイオン性の大きさの違いにより分離を行う。さらに分離度は溶離液として用いる緩衝液濃度によって調節することが可能である。
本分析方法の発明にあたり、優れた定量性および再現性が得られるピーク分離を得るために必要な、溶離液の緩衝液濃度の検討を行った。その結果、最適な緩衝液濃度はポリオキシアルキレン誘導体の一官能基あたりの分子量と相関が得られることがわかった。すなわち、緩衝液濃度は以下の式(p)により設定することが可能である。
y=a/x (p)
式中、yは緩衝液濃度(mM)、xはポリオキシアルキレン誘導体の一官能基あたりの分子量を示し、aは3000〜60000の範囲である。さらにポリオキシアルキレン誘導体の官能基数によって、イオン性の大きさは変わることから、好ましい範囲は次のように設定される。すなわち、1官能のポリオキシアルキレン誘導体ではaは3000〜30000が好ましく、二官能では15000〜30000、三官能、四官能では30000〜60000が好ましい。aが3000より小さい場合、著しく緩衝液濃度が低いためにイオン交換カラムの汚染、吸着により、分離能の低下が起こる可能性がある。
陽イオン交換カラムを用いて分析を行う場合には、aは5000〜15000であり、好ましくは6000〜12500である。aが5000より小さい場合、著しく緩衝液濃度が低いためにイオン交換カラムの汚染、吸着により、分離能の低下が起こる可能性がある。
通常逆相カラムや順相カラムなどを用いて分析を行う場合、2種類の溶離液組成を変化させるグラジエント溶出でなければ、分離が困難である。しかし本分析方法では、例えば上記のように緩衝液濃度を設定することにより、あらゆる分子量、構造のポリオキシアルキレン誘導体でも、1種類の溶離液で分離するアイソクラティック溶出が可能となった。
本発明の分析方法において、高速液体クロマトグラフィーで使用する光学検出器は示差屈折検出器(RI)を用いる。一般には、グラジエント溶出を用いて分析を行う場合、ベースラインの屈折率が変化してしまうため示差屈折検出器(RI)は用いることが難しくなる。しかし、アイソクラティック溶出の場合には、示差屈折検出器(RI)を用いて、面積百分率から算出することができる。その結果、サンプルの分子量やモル吸光係数のような分析値に大きく影響するファクターを必要とせず、正確で精度の高い値を得ることができる。また、使用するラベル化試薬が紫外または蛍光吸収を有する場合は、紫外吸収検出器または蛍光検出器をRIと併用することが好ましい。紫外吸収検出器や蛍光検出器は極めて検出感度が高いので、微量の末端活性化体でも検出が可能となる。また、RIクロマトグラム上で複数のピークがある場合に、UVピークの保持時間から末端活性化体のピーク位置を同定することが可能となる。
従って、本発明の分析方法では、一種類の溶離液を用いて溶出を行うことが好ましい。ただし、複数種の溶離液を用いて溶出を行う場合であっても、溶離液の溶離性能の変化が小さい場合には、複数種の溶離液を使用することも可能である。例えば、溶離液が混合溶剤である場合に、混合溶剤の混合比率を若干変化させながら溶出することは可能である。また、一種の溶離液によって溶出を行いながら、溶出の途中でこの溶離液に少量の別種の溶媒を添加することも可能である。
本発明の分析方法においては、液体クロマトグラフィーにより得られるRIクロマトグラムにて末端活性化率を求める。すなわち、ポリオキシアルキレン誘導体の末端活性化体と未活性化体が分離したピークとして得られるので、末端活性化体のピークの面積百分率により算出する。
本発明による分析方法では、片末端に活性基を持つ直鎖状のポリオキシアルキレン誘導体中に二倍分子量の両末端活性化体が含まれている場合でも、それぞれを分離、定量することができる。同様に、構造的に対称で、等価な二つ以上の末端活性基を持つ直鎖状または分岐状のポリオキシアルキレン誘導体の場合、活性化された末端数ごとの含有率をそれぞれ分離、定量することができる。
なお、本分析方法の対象となるポリオキシアルキレン誘導体の末端活性基の中では、ラベル化反応が簡便かつ短時間に進み、より安定なラベル化体が得られることから、末端アルデヒド基、末端p−ニトロフェニルカルバメート基、末端マレイミド基、末端メルカプト基が好ましく、末端マレイミド基、末端アルデヒド基がより好ましい。
一方、H−NMR法では末端活性基中の水素の積分値から求めるため、sp2水素はsp3水素に比べ、感度が低くなり、実際よりも末端活性化率が低く見積もられる場合がある。マレイミド基やアルデヒド基の水素はsp2水素であるため、これらの末端活性化率の測定は定量性が問題となる可能性がある。以上の点からも、本発明の分析方法で対象となる末端活性基の中では末端マレイミド基、末端アルデヒド基が、より効果が得られることから好ましい。
本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明する。
(実施例1)
CHO−(CHCHO)225−CHCHCHO (6)
上記ポリオキシアルキレン誘導体(6)(分子量10000)20mgを0.1M酢酸緩衝液(pH4.0)2mLに溶解した。次にp−アミノ安息香酸のメタノール溶液(40mg/mL)を68mL加えて溶解し、さらにシアノ化水素ホウ素ナトリウム水溶液(10mg/mL)を128mL加えて溶解した。室温で2時間撹拌反応させた。HPLC測定で用いる溶離液で平衡化させたゲルろ過カラム(PD−10(アマシャムバイオサイエンス))に反応溶液全量を添加し、さらに溶離液を加え、最初に溶出する高分子量体分画をHPLC測定用バイアルに採取した。HPLC測定を以下の条件で行った。
(HPLC測定条件)
HPLC装置 Alliance6890((株)Waters)
分離カラム ES−502N(Asahipak)
溶離液 1.5mMギ酸アンモニウム緩衝液(pH8.0)
カラム温度 30℃
流速 1.0mL/分
サンプル濃度 10mg/mL
注入量 20μL
検出器 示差屈折検出器(RI)((株)Waters)
UV(286nm) ((株)Waters)
測定試料のRIクロマトグラムおよびUVクロマトグラムをそれぞれ図1、図2に示す。図1において、ピーク1、ピーク2は、それぞれポリオキシアルキレン誘導体(6)中の未活性化体、末端活性化体に由来する。ピーク2が末端活性化体であることは、UVクロマトグラム(図2)においてピーク2と同じ保持時間のピーク2’が検出されていることからも確認できる。すなわち、ラベル化試薬としてUV吸収を持つp−アミノ安息香酸を用いたことにより、サンプル中の末端活性基を有する成分を特異的に検出することができる。ピーク2の面積百分率から末端活性化率を算出した結果、91.7%であった。さらに同様の操作を5回繰り返したときの再現精度を調べた結果を表1に示す。
(実施例2)
分析対象となるサンプルがより高分子量の場合に、本分析方法の分析結果および繰り返し再現性への影響を調べた。
CHO−(CHCHO)680−CHCHCHO (7)
実施例1で用いたポリオキシアルキレン誘導体と同じ構造を持ち、さらに高分子量である上記ポリオキシアルキレン誘導体(7)(分子量30000)について、実施例1と同様の操作により末端活性化率を測定した。なおHPLC測定条件における溶離液は0.5mMギ酸アンモニウム緩衝液を用いた。末端活性化率は83.3%であった。さらに同様の操作での繰り返し再現精度の結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1で用いたポリオキシアルキレン誘導体(6)(分子量10000)の末端活性化率をH−NMR分析により求めた。
H−NMR測定条件)
機種 JNM−ECP400
(日本電子データム(株)製)(400MHz)
サンプル濃度 20mg/mL
重溶媒 クロロホルム
内部標準 TMS
積算回数 64回
得られたH−NMRスペクトルから、メトキシ基プロトンに帰属されるピーク(3.7ppm)の積分強度を3としたとき、アルデヒド基プロトンに帰属されるピーク(9.4ppm)の積分強度の理論積分値1に対する割合から、末端活性化率を算出した。さらに同様の操作での繰り返し再現精度の結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例2で用いたポリオキシアルキレン誘導体(7)(分子量30000)の末端活性化率を比較例1と同様の操作により測定した。さらに同様の操作での繰り返し再現精度の結果を表1に示す。
Figure 2005208050
繰り返し測定を行ったときの誤差の大きさを示す相対標準偏差(%)を比較すると、本分析法は分析サンプルの分子量に関わらず、極めて測定誤差が小さいのに対し、H−NMR法は高分子量のサンプルほど測定誤差が大きくなる結果となった。また、H−NMR法の結果は本分析法に比べて末端活性化率は低い値が得られた。
H−NMR法では、分析サンプルの分子量が大きくなるほどポリオキシエチレン鎖プロトンのマルチプレットピーク(3.8〜4.3ppm)の積分強度が大きくなり、それに伴ってサイドバンドノイズやベースラインのゆがみが大きくなる。その結果、ポリオキシエチレン鎖ピークに隣接するメトキシ基ピーク(3.7ppm)の積分強度に影響し、測定誤差が大きくなる原因となる。また、ベースラインのゆがみによってメトキシ基ピークの積分強度は小さくなることがあり、その場合末端活性化率は実際より低い値となってしまう。
このように、本分析法はH−NMR法と異なり、分析サンプルの分子量に関わらず測定誤差が極めて小さく、さらに定量性の高い方法といえる。
(実施例3)
Figure 2005208050
上記ポリオキシアルキレン誘導体(7)(分子量20000)の2つのサンプル(7−1、7−2)の末端活性化率測定を行った。
上記ポリオキシアルキレン誘導体(7−1、7−2)(分子量20000)それぞれ20mgをマレイミドプロピオン酸水溶液(2mg/mL)2mLに溶解した。これを室温で3時間、遮光して撹拌した後、測定試料とした。このHPLC測定を実施例1と同様の条件で行った。ただし、溶離液は1mMギ酸アンモニウム緩衝液(pH8.0)を用いた。
測定試料(7−1)および(7−2)のRIクロマトグラムをそれぞれ図3、図4に示す。ピーク1は未活性化体、ピーク2、3、4、5はそれぞれ活性化された官能基数が1、2、3、4つのポリオキシアルキレン誘導体(7)に由来する。各ピークの面積百分率から活性化官能基数毎の末端活性化率を算出し、その合計から総活性化率を算出した。結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例3で用いたポリオキシアルキレン誘導体(7−1、7−2)の末端活性化率を以下の吸光度法により求めた。
ポリオキシアルキレン誘導体(7−1、7−2)を0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)で溶解して、それぞれ正確に0.1mg/mLの濃度に調製した(試験サンプル溶液)。
次にシステイン標準液として、L−システインを0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)で溶解して、正確に0.15mg/mLの濃度に調製した(システイン標準原液)。これを0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)でそれぞれ100倍、50倍、25倍、16.7倍、12.5倍に希釈した(システイン標準溶液希釈系列)。また、0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)をブランクとした。
5,5−ジチオビス−2−ニトロ安息香酸(DTNB)を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解して、正確に4.6mg/mLの濃度に調製した(DTNB溶液)。
ブランク、試験サンプル溶液、システイン標準溶液希釈系列それぞれ14.75mLにDTNB溶液0.25mLに加えて10分間静置して誘導体化を行った。誘導体化後の各サンプルを分光光度計(島津(株)製、UV−2500PC)を用いて410nmでの吸光度を測定した。リファレンスには0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)を用いた。
システイン標準溶液希釈系列の濃度に対する各吸光度をプロットして検量線を作成し、この検量線から試験サンプルのシステイン濃度を算出した。これを試験サンプルの分子量で換算することにより、末端活性化率を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 2005208050
表2から明らかなように、本分析法では総活性化率とともに、4官能のうち末端活性化された官能基数ごとの含量が定量できる。一方、吸光度法では総活性化率しか得られず、官能基数ごとの含量は定量できない。このように多官能の末端活性基を有するポリオキシアルキレン誘導体においては、本分析法では活性基数毎に特異的に定量することが可能である、非常に有用な方法であるといえる。
なお、サンプルのポリオキシアルキレン誘導体(7−1)は(7−2)に比べ総活性化率が低く、ポリオキシアルキレン誘導体の合成反応が完全に進んでいないことが予想される。その場合、合成原料はそのまま残存している可能性がある。
吸光度法の総活性化率が100%を超えているのは、このようなポリオキシアルキレン誘導体の合成原料である低分子のメルカプト体試薬がサンプル中に残存していることにより、吸光度が大きく上昇したことが原因と考えられる。その結果、合成反応が完全に進んでいないことが予想されるサンプル(7−1)の方が、より高い活性化率が得られてしまっている。
このように、吸光度法ではサンプル中に残存する低分子のメルカプト体が存在する場合、定量は妨害され、正確に末端活性化率が測定できない。
(実施例4)
Figure 2005208050
上記ポリオキシアルキレン誘導体(8)(分子量30000)20mgをメルカプトプロピオン酸水溶液(1mg/mL)2mLに溶解した。これを室温で3時間、遮光して撹拌した後、測定試料とした。このHPLC測定を実施例1と同様の条件で行った。ただし、溶離液は3mMギ酸アンモニウム緩衝液(pH8.0)を用いた。
測定試料のRIクロマトグラムからは3つのピークが得られた。保持時間の早いピークから順に未活性化体、片末端活性化体、両末端活性化体に相当し、面積百分率からそれぞれ1.5%、19.5%、79.0%であった。
(実施例5)
CHO−(CHCHO)225−COCNO(9)
上記ポリオキシアルキレン誘導体(9)(分子量10000)の分子量分布測定を以下のGPC測定条件で行った。
(GPC測定条件)
分離カラム PLgel MIXED−D (ポリマー ラボラトリー) 2本
溶離液 DMF
カラム温度 65℃
流速 0.7mL/分
検出器 RI
サンプル濃度 1mg/mL
注入量 100μL
得られたクロマトグラムを図5に示す。分子量10000のメインピークの左側に二倍分子量20000の不純物ピークが確認でき、0.9%含まれていた。一般に、末端がメトキシ基で封鎖された直鎖状ポリオキシアルキレン誘導体は、その原料であるメトキシポリオキシエチレンの製造時にジオール体(2倍分子量のポリオキシエチレン)が副生する。
次に、上記ポリオキシアルキレン誘導体(9)の末端活性化率を以下の手順により測定した。
上記ポリオキシアルキレン誘導体(9)(分子量10000)50mgにグリシン10mgを加え、0.1Mリン酸緩衝液(pH8.5)1mLを加え溶解した。これを室温で20時間撹拌した。HPLC測定で用いる溶離液で平衡化させたゲルろ過カラムに、反応溶液を溶離液で5倍に希釈したものを2mL添加した。さらに溶離液を加え、最初に溶出する高分子量体分画をHPLC測定用バイアルに採取した。HPLC測定は実施例1と同様の条件で行った。ただし、溶離液は1.5mMギ酸アンモニウム緩衝液(pH8.0)を用いた。
得られたRIクロマトグラムを図6に示す。メインピークの面積百分率から末端活性化率を求めたところ、78.8%であった。
また、メインピークのさらに後ろに小さなピークが検出され、保持時間から二倍分子量のポリオキシエチレンの両末端に活性基が結合しているものと推測された。よって先のGPC測定で確認された二倍分子量体0.9%のうち、両末端に活性基を有する不純物が0.7%含まれていることが確認できた。このように本分析方法では、サンプル中に分子量の異なる活性化体不純物が含まれている場合、これを特異的に定量することが可能である。
(実施例6)
CHO−(CHCHO)454−CHCHCHNHCO−MAL (10)
(MAL:マレイミド基)
上記ポリオキシアルキレン誘導体(10)(分子量20000)40mgにチオエタノールアミン塩酸塩10mgを加え、これらをクロロホルム2mLに溶解した。これを室温で10時間、遮光して撹拌した後、溶け残ったチオエタノールアミン塩酸塩をろ過して除去した。反応溶液の脱溶剤を行い、HPLC測定における溶離液8mLに溶解し、測定試料とした。HPLC測定は以下の条件で行った。
(測定条件)
分離カラム TSK−gel SP−5PW(東ソー)
溶離液 1.0mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)
カラム温度 40℃
流速 0.5mL/分
検出器 RI
測定試料のクロマトグラムを図7に示す。ピーク1は未活性化体、ピーク2は末端活性化体のポリオキシアルキレン誘導体(10)に由来し、面積百分率から末端活性化率を求めたところ90.5%であった。
実施例1の液体クロマトグラフィーの測定によるRIクロマトグラムの結果を示す。 実施例1の液体クロマトグラフィーの測定によるUVクロマトグラムの結果を示す。 実施例3の分析サンプル(7−1)の液体クロマトグラフィーの測定によるRIクロマトグラムの結果を示す。 実施例3の分析サンプル(7−2)の液体クロマトグラフィーの測定によるRIクロマトグラムの結果を示す。 実施例5のGPC測定結果を示す。 実施例5の液体クロマトグラフィーの測定によるRIクロマトグラムの結果を示す。 実施例6の液体クロマトグラフィーの測定によるRIクロマトグラムの結果を示す。

Claims (10)

  1. 末端に生理活性物質と化学結合する末端活性基を有し、分子量が1000〜100000であるポリオキシアルキレン誘導体の末端活性化率分析方法であって、イオン性官能基を持つラベル化試薬にて前記末端活性基をラベル化した後、イオン交換カラムを用いた液体クロマトグラフィーで分析を行い、RI検出器で得られるクロマトグラムにおける面積百分率より、末端活性化率を求めることを特徴とする、ポリオキシアルキレン誘導体の末端活性化率分析方法。
  2. 前記ポリオキシアルキレン誘導体がポリオキシエチレン誘導体である、請求項1に記載の分析方法。
  3. 前記ポリオキシアルキレン誘導体の分子量が5000〜100000である、請求項1または2に記載の分析方法。
  4. 前記ポリオキシアルキレン誘導体の分子量が10000〜100000である、請求項3記載の分析方法。
  5. 前記ポリオキシアルキレン誘導体が複数の前記末端活性基を有する、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の分析方法。
  6. 前記ラベル化試薬の前記イオン性官能基がカルボキシル基であり、前記イオン交換カラムが陰イオン交換カラムである、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の分析方法。
  7. 前記ラベル化試薬の前記イオン性官能基がアミノ基であり、前記イオン交換カラムが陽イオン交換カラムである、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の分析方法。
  8. 前記ポリオキシアルキレン誘導体の前記末端活性基が、マレイミド基およびアルデヒド基からなる群より選ばれた一種以上の官能基である、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の分析方法。
  9. 前記イオン交換カラムによる液体クロマトグラフィーでの分析における溶離液の緩衝液濃度(y)が、下記式(p)で表されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つの請求項に記載の分析方法。
    y=a/x (p)
    (式中、yは緩衝液濃度(mM)、xはポリオキシアルキレン誘導体の一活性基あたりの分子量であり、aは3000〜60000を示す。)
  10. 前記式(p)において、aは5000〜15000であることを特徴とする、請求項9に記載の分析方法。
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