JP2005207320A - 燃料ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 ハウジング内に収容されるポンプケーシングの変形を低減し、所望の燃料量を吐出する燃料ポンプを提供する。
【解決手段】 吸入側カバー14およびインペラケーシング16は、インペラ20を回転可能に収容している。ハウジング10の薄肉部11が吸入側カバー14をかしめることにより、ハウジング10の内側段差11aとインペラケーシング16の外側段差16aとが電機子40の回転軸方向で全周にわたって当接している。このかしめ力による当接により、ハウジング10とインペラケーシング16との間はシールされている。インペラケーシング16の外周壁には外側段差16aの電機子40側に3個の突部17が周方向に等間隔に設けられている。突部17は径方向に向き合うハウジング10の内周壁10aに向けて突出しており、ハウジング10の内周壁10aに圧入されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料ポンプに関する。
ポンプ部のポンプケーシング内に回転部材を収容し、回転子の回転駆動力により回転部材が回転して燃料タンク内の燃料を吸入し吐出する燃料ポンプが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1では、ポンプ部のポンプケーシングはハウジング内に圧入されている。
特公平2−39638号公報
しかしながら、ポンプケーシングが全周でハウジング内に圧入されると、ポンプケーシングに全周から径方向にが加わりポンプケーシングが変形することがある。ポンプケーシングが変形すると、ポンプケーシング内に収容される回転部材とポンプケーシングとのクリアランスが変化する。また、回転部材とポンプケーシングとが接触し、回転部材の回転が妨げられる。その結果、燃料ポンプが吐出する燃料量が変化するという問題が生じる。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、ハウジング内に収容されるポンプケーシングの変形を低減し、所望の燃料量を吐出する燃料ポンプを提供することを目的とする。
請求項1から5記載の発明によると、ハウジングの内周壁とポンプケーシングの外周壁とは、回転子の回転軸方向で当接してハウジングとポンプケーシングとの間をシールし、シール箇所の回転子側または回転子と反対側において、ハウジングの内周壁とポンプケーシングの外周壁とは径方向に隙間を形成している。この構成により、ハウジング内に収容されるポンプケーシングに少なくとも全周から径方向に力が加わらないので、ポンプケーシングの変形を低減できる。その結果、回転部材とポンプケーシングとのクリアランスの変化を低減するとともに、ポンプケーシングと回転部材とが接触し回転部材の回転が妨げられることを防止できる。したがって、燃料ポンプは所望の燃料量を吐出できる。
請求項5記載の発明によると、ハウジングはポンプケーシングの回転子と反対側をかしめ固定しているので、ハウジングの内周壁とポンプケーシングの外周壁とはかしめ力により回転軸方向で当接する。
請求項6記載の発明によると、ハウジングの内周壁とポンプケーシングの外周壁との少なくとも一方側に径方向に向き合う相手側に突出する突部を周方向に複数設け、この突部がハウジングの内周壁またはポンプケーシングの外周壁に圧入されている。この構成により、ハウジング内に収容されるポンプケーシングに少なくとも全周から径方向に力が加わらないので、ポンプケーシングの変形を低減できる。その結果、回転部材とポンプケーシングとのクリアランスの変化を低減するとともに、ポンプケーシングと回転部材とが接触し回転部材の回転が妨げられることを防止できる。したがって、燃料ポンプは所望の燃料量を吐出できる。
請求項7載の発明によると、ハウジングの内周壁とポンプケーシングの外周壁との少なくとも一方側に径方向に向き合う相手側に突出する突部を周方向に3個以上設けている。突部を周方向に適切に設置すれば、ハウジングの内周壁またはポンプケーシングの外周壁に突部を圧入することにより、ハウジングとポンプケーシングとの中心を容易に合わせることができる。
請求項8載の発明によると、ハウジングの内周壁とポンプケーシングの外周壁との少なくとも一方側に径方向に向き合う相手側に突出する複数の突部を周方向にほぼ等間隔に設けている。したがって、ハウジングの内周壁またはポンプケーシングの外周壁に突部を圧入することにより、ハウジングとポンプケーシングとの中心を容易に合わせることができる。
本発明ではポンプケーシングに少なくとも全周から径方向に力が加わらないので、請求項9載の発明のようにポンプケーシングを樹脂製にしても、ポンプケーシングの変形を低減できる。したがって、燃料ポンプは所望の燃料量を吐出できる。さらに、ポンプケーシングを樹脂製にすると、燃料ポンプを軽量化し製造コストを低減できる。
以下、本発明の複数の実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による燃料ポンプを図1に示す。燃料ポンプ1は、例えば車両等の燃料タンク内に装着されるインタンク式ポンプであり、燃料タンク内の燃料を吸入し燃料消費装置であるエンジンに供給する。燃料ポンプ1は、吸入した燃料を昇圧するポンプ部2と、電機子40の回転によりポンプ部2を駆動する電動機4とを備えている。ポンプ部2は、吸入側カバー14、インペラケーシング16およびインペラ20を有している。吸入側カバー14およびインペラケーシング16は樹脂製であり、特許請求の範囲に記載したポンプケーシングである。電動機4は、直流モータを構成しており、永久磁石30、電機子40、整流子70およびカバー80を有している。電機子40、整流子70およびカバー80は特許請求の範囲に記載した回転子である。ハウジング10は、軸方向の両端側に薄肉部11、12をそれぞれ有し、薄肉部11、12の間に厚肉部13を有している。薄肉部11、12は吸入側カバー14と吐出側カバー18とをかしめ固定している。薄肉部11、12と厚肉部13との境界には、ハウジング10の内周側壁に肉厚差による内側段差11a、12aが形成されている。
吸入側カバー14とインペラケーシング16との間にC字状のポンプ流路100が形成されている。吸入側カバー14およびインペラケーシング16は、回転部材としてのインペラ20を回転可能に収容している。インペラケーシング16は、内周側で軸受部材26を支持している。
ハウジング10の薄肉部11が吸入側カバー14をかしめることにより、ハウジング10の内側段差11aとインペラケーシング16の外側段差16aとが電機子40の回転軸方向で全周にわたって当接している。このかしめ力による当接により、ハウジング10とインペラケーシング16との間はシールされている。
インペラケーシング16の外径は、電機子40と向き合っている側が小さく電機子40の反対側が大きい。したがって、インペラケーシング16の外周壁には外径差による外側段差16aが形成されている。また、インペラケーシング16の外周壁には外側段差16aの電機子40側に図2に示すように3個の突部17が周方向に等間隔に設けられている。突部17は径方向に向き合うハウジング10の内周壁10aに向けて突出しており、ハウジング10の内周壁10aに圧入されている。そして、ハウジング10の内周壁10aに3個の突部17を圧入することにより、ハウジング10とインペラケーシング16との中心を合わせることができる。
図1に示す円板状に形成されたインペラ20の外周縁部には多数の羽根溝が形成されている。回転部材であるインペラ20が電機子40の回転により電機子40のシャフト41とともに回転すると、インペラ20の羽根溝の前後で流体摩擦力により圧力差が生じ、これを多数の羽根溝で繰り返すことによりポンプ流路100の燃料が加圧される。インペラ20の回転により吸入側カバー14に形成された図示しない燃料吸入口からポンプ流路100に吸入された燃料タンク内の燃料は、インペラケーシング16の連通路102(図2参照)から電機子40の一方の軸方向端部側に位置するカバー80側に吐出される。さらに燃料は、電機子40の外周を通って整流子70側に向かい、燃料吐出口104を通り燃料ポンプ1からエンジン側に吐出される。
4分の1の円弧状に形成されている永久磁石30は、ハウジング10の内周壁10aに円周上に4個取り付けられている。永久磁石30は回転方向に極の異なる磁極を4個形成している。4個の永久磁石は樹脂材32により保持されている。
電機子40の他方の軸方向端部側に整流子70が組み付けられ、電機子40の整流子70と反対側の軸方向端部をカバー80が覆っている。電機子40の回転軸としてのシャフト41は、インペラケーシング16と吐出側カバー18とにそれぞれ収容され支持されている軸受部材26、27により軸受けされている。
電機子40は、6極に分かれたコイルコア42を有している。各コイルコア42に、ボビン60、およびボビン60に巻線を集中巻きして形成されているコイル62が取り付けられている。コイル62の一方の端部は端子64と電気的に接続しており、コイル62の他方の端部は端子66と電気的に接続している。周方向に隣接する3個の端子66は、端子68により電気的に接続している。
整流子70は一体に形成されたカセット式である。整流子70は回転方向に設置された6個のセグメント72を有している。セグメント72は例えばカーボンで形成されており、回転方向に隣接しているセグメント72同士は電気的に絶縁されている。セグメント72は中間端子73を介して端子74と電気的に接続している。端子74は径方向の反対側に設置されているセグメント72同士を電気的に接続している、電機子40に整流子70を組み付けると、整流子70の端子74が電機子40の端子64と嵌合して電気的に接続する。電機子50の回転により、各セグメント72は図示しないブラシと順次接触する。
第1実施形態では、インペラケーシング16の外周壁に設けた3個の突部17がハウジング10の内周壁10aに圧入されるので、ポンプケーシングの一部を構成しインペラ20を収容するインペラケーシング16にに少なくとも全周から径方向に力が加わらない。その結果、ハウジング10内にインペラケーシング16を圧入しても、インペラケーシング16の変形を低減できる。したがって、インペラ20とインペラケーシング16とのクリアランスの変化を低減するとともに、インペラケーシング16とインペラ20とが接触しインペラ20の回転が妨げられることを防止できる。したがって、燃料ポンプ1は所望の燃料量を吐出できる。
(変形形態)
第1実施形態のインペラケーシング16では、外周壁に等間隔に3個の突部17を形成したが、図3に示すように5個の突部17を等間隔に形成してもよい。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による燃料ポンプを図4および図5に示す。第1実施形態と実質的に同一構成部分に同一符号を付す。
ハウジング110は、軸方向の両端側に薄肉部111、112をそれぞれ有し、薄肉部111、112の間に厚肉部113を有している。薄肉部111は吸入側カバー14をかしめ固定している。薄肉部111、112と厚肉部113との境界には、ハウジング110の内周側壁に肉厚差による内側段差111a、112aが形成されている。第2実施形態では樹脂製のインペラケーシング120の外周壁に突部を設けず、図5に示すようにハウジング110の内周壁に周方向に3個の突部114が形成されている。突部114は径方向に向き合うインペラケーシング120の外周壁に向けて突出しており、インペラケーシング120の外周壁に圧入されている。
インペラケーシング120の外径は、電機子40と向き合っている側が小さく電機子40の反対側が大きい。したがって、インペラケーシング120の外周壁には外径差による外側段差120aが形成されている。
ハウジング110の薄肉部111が吸入側カバー14をかしめることにより、ハウジング110の内側段差111aとインペラケーシング120の外側段差120aとが回転軸方向で全周にわたって当接している。このかしめ力による当接により、ハウジング110とインペラケーシング120との間はシールされている。また、インペラケーシング120の外周壁にハウジング110に設けた3個の突部114を圧入することにより、ハウジング110とインペラケーシング120との中心を容易に合わせることができる。
以上説明した本発明の上記複数の実施形態では、ハウジングの内周壁またはインペラケーシングの外周壁の一方側に径方向に向き合う相手側に突出する突部が複数設けられ、これら突部が相手側に圧入されているので、ハウジングにインペラケーシングが全周にわたって圧入されていない。したがって、ハウジングにインペラケーシングを全周にわたって圧入する場合に比べ、インペラケーシングに径方向に加わる力が低下する。これにより、インペラケーシングが樹脂製であってもインペラケーシングが変形することを極力低減し、インペラケーシングに収容されているインペラ20とインペラケーシングとのクリアランスの変化を低減できるとともに、インペラケーシングとインペラ20とが接触することを防止できる。したがって、燃料ポンプは所望の燃料量を吐出できる。また、インペラケーシングおよび吸入側カバー14を樹脂製にすることにより、燃料ポンプを軽量化し、製造コストを低減できる。
(他の実施形態)
上記複数の実施形態では、ハウジングの内周壁またはインペラケーシングの外周壁のいずれか一方に複数の突部を形成したが、形成する突部は1個以上であれば偶数でも奇数でもよい。また、ハウジングの内周壁またはインペラケーシングの外周壁の両方にそれぞれ1個以上の突部を設けてもよい。また、ハウジングの内周壁またはインペラケーシングの外周壁のいずれか一方に設ける突部は、ハウジングおよびポンプケーシングと別部材にしてもよい。
また、ハウジングの内側段差とインペラケーシングの外側段差とが全周にわたって当接しているシール箇所の回転子側においてハウジングの内周壁またはインペラケーシングの外周壁のいずれか一方に突部を形成したが、シール箇所の回転子と反対側に突部を形成し、この突部を相手側に圧入してもよい。
また、ハウジングとインペラケーシングとが回転軸方向で全周にわたって当接することによりハウジングとインペラケーシングとの間がシールされているのであれば、ハウジングの内周壁およびインペラケーシングの外周壁に突部を設けず、ハウジングの内周壁とインペラケーシングの外周壁との間に全周にわたって隙間が形成されていてもよい。
また上記複数の実施形態では、ポンプケーシングを構成するインペラケーシングおよび吸入側カバーを樹脂製にしたが、インペラケーシングおよび吸入側カバーの一方を樹脂製、他方を金属製にしてもよい。また、インペラケーシングおよび吸入側カバーの両方を金属製にしてもよい。
本発明の第1実施形態による燃料ポンプを示す断面図である。 第1実施形態のインペラケーシングを回転子側から見た図である。 第1実施形態のインペラケーシングの変形形態を回転子側から見た図である。 本発明の第2実施形態による燃料ポンプのインペラ周囲を示す断面図である。 (A)は第2実施形態のハウジングを整流子側から見た図であり、(B)は(A)のB−B線断面図である。
符号の説明
1 燃料ポンプ、10 ハウジング、11、12 薄肉部、11a、12a 内側段差、13 厚肉部、14 吸入側カバー(ポンプケーシング)、16、120 インペラケーシング(ポンプケーシング)、16a、120a 外側段差、17 突部、110 ハウジング、114 突部

Claims (9)

  1. 回転子と、
    前記回転子の回転駆動力により回転し燃料吸入力を発生する回転部材、ならびに前記回転部材を収容するポンプケーシングを有するポンプ部と、
    前記回転子および前記ポンプ部を収容するハウジングと、
    を備える燃料ポンプであって、
    前記ハウジングの内周壁と前記ポンプケーシングの外周壁とは、前記回転子の回転軸方向で当接して前記ハウジングと前記ポンプケーシングとの間をシールしており、このシール箇所の前記回転子側または前記回転子と反対側において、前記ハウジングの内周壁と前記ポンプケーシングの外周壁とは径方向に隙間を形成していることを特徴とする燃料ポンプ。
  2. 前記ハウジングの内周壁に内径差による内側段差が形成されており、前記ポンプケーシングの外周壁に外径差による外側段差が形成されており、前記内側段差と前記外側段差とが前記回転子の回転軸方向で当接して前記ハウジングと前記ポンプケーシングとの間がシールされていることを特徴とする請求項1記載の燃料ポンプ。
  3. 径方向に向き合い前記隙間を形成している前記ハウジングの内周壁と前記ポンプケーシングの外周壁との少なくとも一方側に径方向に向き合う相手側に突出する突部を設け、前記ハウジングの内周壁または前記ポンプケーシングの外周壁に前記突部が圧入されていることを特徴とする請求項1または2記載の燃料ポンプ。
  4. 前記突部は周方向に複数設けられていることを特徴とする請求項3記載の燃料ポンプ。
  5. 前記ハウジングは前記ポンプケーシングの前記回転子と反対側をかしめ固定していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の燃料ポンプ。
  6. 回転子と、
    前記回転子の回転駆動力により回転し燃料吸入力を発生する回転部材、ならびに前記回転部材を収容するポンプケーシングを有するポンプ部と、
    前記回転子および前記ポンプ部を収容するハウジングと、
    を備える燃料ポンプであって、
    前記ハウジングの内周壁と前記ポンプケーシングの外周壁との少なくとも一方側に径方向に向き合う相手側に突出する突部を周方向に複数設け、前記ハウジングの内周壁または前記ポンプケーシングの外周壁に前記突部が圧入されていることを特徴とする燃料ポンプ。
  7. 前記突部は3個以上設けられていることを特徴とする請求項4または6記載の燃料ポンプ。
  8. 前記突部は周方向にほぼ等間隔に設けられていることを特徴とする請求項4、6、7のいずれか一項記載の燃料ポンプ。
  9. 前記ポンプケーシングは樹脂製であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の燃料ポンプ。
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