JP2005191431A - 熱電変換器 - Google Patents

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和実 大竹
Yasufumi Shibata
靖文 柴田
Tsutomu Sakakibara
務 榊原
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Abstract

【課題】 電極及び熱電変換素子間での成分の相互拡散を防止でき、熱電変換素子の溶解や不純物の生成、該不純物による接合界面の剥離を防止し、熱電変換特性を安定化する。
【解決手段】 N型熱電変換素子10及びP型熱電変換素子11(クラスレート化合物)とCu共通極14(及びCu対向極15,15’)との間にFe層12(Fe層13)を備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱電変換器に関し、詳しくはクラスレート化合物を用いた熱電変換器に関する。
ゼーベック効果を利用した熱電変換素子は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することが可能である。この性質を利用し、産業・民生用プロセスや移動体から排出される排熱を有効な電力に変換することができるため、熱電変換素子は、環境問題に配慮した省エネルギー技術として注目されている。
熱電変換素子の性能は、性能指数ZT=α2σT/κ〔α:ゼーベック係数、σ:電気伝導度、κ:熱伝導度、T:測定温度〕で表すことができるが、高い性能指数を示す熱電変換素子としては従来から、ビスマス・テルル系材料、シリコン・ゲルマニウム系材料、鉛・テルル系材料などを用いた熱電変換素子が知られている。また、アルミニウムをドープした酸化亜鉛粉を成形、焼成してなる熱電変換素子も知られている(例えば、特許文献1参照)。
さらに近年では、新規な熱電変換素子の材料としてクラスレート化合物が注目されている(例えば、非特許文献1参照)。
上記のような熱電変換素子を用いた熱電モジュールは、熱電変換素子に温度差を与えたときに熱電変換し熱から電流及び電圧を取り出せるように構成される。したがって、熱電変換素子と接合する電極(Cu,Ni等)を設ける必要があり、電極の接合には高温域でも耐え得るように銀ろう等のろう材(接合材料)が用いられている。ところが、発電時の温度は約600℃程度の高温域にまで及ぶため、ろう材成分やCu,Ni等の電極成分、熱電変換素子成分は相互に拡散し、熱電変換素子が溶解したり、あるいは電極/熱電変換素子の接合界面で電極成分等の不純物が生成され、接合界面が剥離する、電極/熱電変換素子間に不純物層ができる等を招来して熱電変換特性の低下や電流が流れなくなる現象を招来する。
このような熱電モジュールに関連する技術としては、蓄熱材を備えた熱電発電装置に関するものがある(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−118296号公報 特開平5−167104号公報 Proc. 21th Int. Conf. on Thermoelectrics, 2002, pp.77-80.
しかしながら、CuやNi等を電極材料として用い、これを熱電変換素子と接合してなる熱電モジュールにおいて、各成分の相互拡散に伴なって生ずる熱電変換特性の低下などを来たすことなく、安定的な電力供給を可能とする技術は未だ提供されるに至っていないのが現状である。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、高温下での電極及び熱電変換素子間における電極材料や熱電変換素子、ろう材等の接合材料などの成分の相互拡散を防止して、熱電変換素子の溶解や、電極及び熱電変換素子間での不純物の生成、該不純物による接合界面の剥離を抑止し、安定した熱電変換特性を発揮し得る熱電変換器を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
上記目的を達成するために、本発明の熱電変換器は、クラスレート化合物と電極との間に鉄層を設けて構成したものである。ここでの鉄層は、鉄(Fe)の割合(鉄純度)が99.9%以上の層である。
鉄は、従来より電極材料として用いられている銅(Cu)やニッケル(Ni)等に比し、クラスレート化合物が共存する高温環境条件下において溶解等を起こさず安定であり、この鉄層を熱電変換素子としてのクラスレート化合物と電極との間に設けて非接触に構成することによって、高温でのクラスレート化合物や電極材料、ろう材等の接合材料などの各成分の相互拡散を抑え得るので、クラスレート化合物の溶解、クラスレート化合物及び電極間での不純物の生成、不純物生成に伴なう接合界面の剥離を効果的に防止することができる。また、鉄は熱時の伸縮を示す線膨張係数がクラスレート化合物に近く、クラスレート化合物と相性もよく逆に鉄層/クラスレート化合物間で相互拡散を招来することもない。その結果、温度環境に依存しない安定な熱電変換特性が得られ、電気特性の低下を伴なわない電力供給が可能となる。
本発明の熱電変換器は、クラスレート化合物と鉄層との間に、鉄とゲルマニウム及びガリウムの少なくとも一方とを含む中間層を更に設けて構成することができる。中間層に含まれるゲルマニウム及び/又はガリウムは、クラスレート化合物の構成成分であることからクラスレート化合物との接合強度を高めることができ、鉄は鉄層をなすことから鉄層との接合強度を高めることができる結果、クラスレート化合物と鉄層との間の剥離強度をより向上させることができる。
上記の中間層は、鉄とゲルマニウム及びガリウムのいずれか一方とを含む鉄化合物で構成することができる。少なくとも鉄とゲルマニウム又はガリウムとが化学結合してなる化合物が介在するので、上記のようにクラスレート化合物と鉄層との間の剥離強度を効果的に向上させることができる。
また、上記の中間層は、少なくとも鉄とクラスレート化合物とが複合化された複合層に構成することができる。複合層は、鉄とクラスレート化合物との少なくとも二種が複合化されてなる層であり、例えば、鉄粒子とクラスレート化合物粒子とを複合化させて層状にしたもの等が挙げられる。ここで、複合は鉄及びクラスレート化合物の粒子同士が固着して固定化されている状態である。
上記のように、クラスレート化合物と電極との間に鉄層を設けて熱電変換器を構成する場合、クラスレート化合物及び鉄層の少なくとも一方にケミカルエッチング処理を施すようにすることが効果的である。少なくとも一方(例えばクラスレート化合物)にケミカルエッチングを施して凹部を形成し、この凹部に該凹部のある一方の側と向き合う他方の側(例えば鉄層の一部)が入り込むように埋入させて構成することで、クラスレート化合物と鉄層との間の剥離強度をより向上させ得ると共に、クラスレート化合物及び電極間の接合と焼結とを一括して行なうようにすることができる。
例えば、クラスレート化合物にケミカルエッチング処理を施す場合には、予め成形しておいたクラスレート化合物にケミカルエッチング処理を施して凹部を形成し、凹部が形成された面上の全体に凹部が埋まるようにしてFe粉を載せた状態で一体的に焼結を行なうことによって、凹部にFeを埋入した構造に成形できる。また逆に、鉄層にケミカルエッチング処理を施す場合には、上記同様にケミカルエッチング処理を施して形成された凹部のある鉄層の上にクラスレート化合物の粉を載せて一体的に焼結することで、凹部にクラスレート化合物を埋入した構造に成形することができる。また、クラスレート化合物と鉄層との両方にケミカルエッチング処理を施して凹部を形成し、クラスレート化合物側の凹部に鉄(鉄層の一部)を、鉄層側の凹部にクラスレート化合物を埋入するようにしてもよい。
また、クラスレート化合物と鉄層との間に更に中間層を設けて熱電変換器を構成する場合にも、上記と同様にクラスレート化合物及び中間層の少なくとも一方にケミカルエッチング処理を施すようにすることで、接合及び焼結を一括して行なうことができると共に、クラスレート化合物との間の剥離強度を向上させることができる。
本発明によれば、高温下での電極及び熱電変換素子間における電極材料や熱電変換素子、ろう材等の接合材料などの成分の相互拡散を防止して、熱電変換素子の溶解や、電極及び熱電変換素子間での不純物の生成、該不純物による接合界面の剥離を抑止し、安定した熱電変換特性を発揮し得る熱電変換器を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の熱電変換器の実施形態を説明する。なお、下記の実施形態において、電極にCuを用い、N型熱電変換素子をなすクラスレート化合物としてBa8Ga15Ge31を、P型熱電変換素子をなすクラスレート化合物としてBa8Ga18Ge28を用いた場合を中心に説明する。但し、本発明においてはこれら実施形態に制限されるものではない。
(第1実施形態)
本発明の熱電変換器の第1実施形態を図1を参照して説明する。本実施形態は、電極と熱電変換素子であるクラスレート化合物との間にFe層を設けて構成したものである。
図1に示すように、本実施形態における熱電変換器1は、Ba8Ga15Ge31で構成されたN型熱電変換素子10とBa8Ga18Ge28で構成されたP型熱電変換素子11とを備えており、N型熱電変換素子10及びP型熱電変換素子11は、この両者と接合する単一のCu共通極14及びこれと対極をなすCu対向極15,15’と各々電気的に接続され、Cu対向極15及び15’は負荷(電球)を介して電気的に接続されている。そして、Cu共通極14側を加熱(heat)すると共に、Cu対向極15側を所定の温度が保たれるように冷却することにより、温度差が与えられたときに発電できるようになっている。
N型熱電変換素子10及びP型熱電変換素子11は各々、加熱側Fe層12と冷却側Fe層13とで挟まれた構造に構成されている。加熱側Fe層12は、N型熱電変換素子10とCu共通極14との間に介在して両者と接合され、また、P型熱電変換素子11とCu共通極14との間に介在して両者と接合されており、各熱電変換素子及びCu共通極14は相互に通電可能なようになっている。また同様に、冷却側Fe層13は、N型熱電変換素子10とCu対向極15との間、P型熱電変換素子11とCu対向極15’との間にそれぞれ介在して接合され、相互に通電可能なようになっている。
N型熱電変換素子10及びP型熱電変換素子11は、上記のBa8Ga15Ge31及びBa8Ga18Ge28で構成する以外に、他のクラスレート化合物を用いて構成することができる。他のクラスレート化合物としては、例えば、一般式II8(III,IV)46:〔II=Ba,Sr,アルカリ金属,アルカリ土類金属;III=Ga,Si,Sn,Al,遷移金属;IV=Ge,Si,Sn,遷移金属〕で表される立方晶系のクラスレート化合物が挙げられる。これらから、N型用、P型用に適宜選択して用いることができる。
上記の中でも、Ba8GaxGe46-xで表される立方晶系のクラスレート化合物が好適であり、前記xは14≦x≦22を満たす範囲が好ましい。具体的な化合物例として、Ba8Ga16Ge30、Ba8Ga15Si31、Ba8Ga16Si30、Ba8Ga18Si28、Ba8Ga14Sn32、Ba8Ga15Sn31、Ba8Ga16Sn30、Ba8Al16Si30、Ba8Al16Ge30、Sr8Al16Si30、Sr8Ga16Si30、Sr8Ga16Ge30等が挙げられる。
N型及びP型の各熱電変換素子の作製は、例えば、微粒子状に粉砕されたクラスレート化合物を(場合により別のクラスレート化合物を併用する場合は、微粒子状に粉砕された別のクラスレート化合物と共に有機溶剤中で超音波攪拌器等により攪拌、分散して分散液とした後の乾燥後)成形し、成形されたクラスレート化合物を焼結することによって行なうことができる。なお、成形と焼結とは別々に行なう以外に、成形すると共に焼結するようにすることもできる。
成形すると共に焼結する場合、加圧成形しながら焼結することで好適に作製できる。加圧成形しながら焼結(加圧焼結)する方法としては、ホットプレス焼結法、熱間等方圧加圧焼結法、放電プラズマ焼結法等のいずれの方法も用いることができる。中でも特に放電プラズマ焼結法が好ましい。放電プラズマ焼結法においては、焼結温度は600〜900℃が好ましく、650〜850℃がより好ましく、焼結時間は30〜90分が好ましく、40〜60分がより好ましく、加圧時の圧力は20〜50MPaが好ましく、25〜45MPaがより好ましい。
また、複数のクラスレート化合物により熱電変換素子を構成する場合には、クラスレート化合物の一つを粒子状に粉砕、焼結して多孔体とし、この多孔体の空隙に他のクラスレート化合物を含浸させて作製することができる。含浸は、例えば溶融状態のクラスレート化合物中に多孔体を浸す方法などで行なえる。
加熱側Fe層12及び冷却側Fe層13は、Fe純度99.9%以上に構成された層であり、例えば、成形焼結後のN型熱電変換素子及びP型熱電変換素子の表面に上記純度のFe板を接合したり、あるいは成形後のN型熱電変換素子及びP型熱電変換素子の表面に上記純度の鉄粉を存在させて加圧焼結する、等して設けることができる。特に後者では、クラスレート化合物で構成されるN型,P型の熱電変換素子の焼結処理を行なうと同時にFe層をも形成することが可能である。ここでの加圧焼結は、上記クラスレート化合物において加圧焼結する方法と同様の方法を利用して行なうことができる。
熱電変換器1には加熱側Fe層12及び冷却側Fe層13が設けられ、加熱側及び冷却側の両方の側においてFe層を有するが、加熱側のみに設けるようにしてもよい。つまり、加熱側のCu共通極14と熱電変換素子との間だけでなく冷却側においてCu対向極15とN型熱電変換素子10との間及びCu対向極15’とP型熱電変換素子11との間にFe層を設けることで、非作動時における高熱の影響を受けて電極やクラスレート化合物等の成分が相互拡散するのを抑え、冷却側でのクラスレート化合物の溶解や不純物の生成、不純物生成に伴なう接合界面で剥離の発生を防止し得る点で効果的である。
Cu共通極14及びCu対向極15,15’は銅板で構成され、加熱側Fe層12及び冷却側Fe層13の表面とAgろう等のろう材を用いて接合されており、通電可能なようになっている。ろう材は高温耐性が比較的高く一般に用いられる。
熱電変換器1に対し、Cu共通極14のFe層が接合されていない側から加熱(heat)すると共に、Cu対向極15,15’のFe層が接合されていない側を冷却してCu共通極14側との間に温度差ができるように所定の温度域に保ち、電気的に繋がれた回路内に電圧が発生した場合には負荷(電球)に電流が流れて点灯される。
本実施形態では、一対のP型/N型からなる熱電変換素子で構成された熱電変換器を中心に説明したが、Cu対向極15に更にP型を、Cu対向極15’にN型を更に接続し、NI型とPI型、PI型とNII型、NII型とPIII型のように順次交互に接続されたN型/P型/N型/P型の熱電変換器や、P型/N型の熱電変換素子がさらに複数組接続して構成された熱電変換器の場合についても同様である。
(第2実施形態)
本発明の熱電変換器の第2実施形態を図2を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態のN型及びP型熱電変換素子とFe層との間に更にFeGe2からなるFeGe層を設けて構成したものである。なお、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
図2に示すように、本実施形態におけるP型熱電変換素子11と加熱側Fe層12との間には、更にFeGe層16が設けられている。FeGe層16は、化合物FeGe2を用いて形成されており、各熱電変換素子の構成成分であるGe元素と加熱側Fe層12の構成成分であるFe元素とを含有し、Ge元素は熱電変換素子中のGe成分とFe元素はFe層と結合しやすいことから、N型熱電変換素子11と加熱側Fe層12との間の接合強度を効果的に高めることができる。
FeGe層16は、例えば、成形焼結後のP型熱電変換素子(及びN型熱電変換素子)の表面にFeGe2の板状体を接合したり、あるいは成形後のP型熱電変換素子(及びN型熱電変換素子)の表面にFeGe2粉またはFe及びGeの混合粉を存在させて加圧焼結する、等して設けることができる。後者では第1実施形態における場合と同様に、クラスレート化合物で構成されるN型,P型の熱電変換素子の焼結処理を行なうと同時にFeGe層を形成することができる。
本実施形態の場合には、FeGe層16の形成後、第1実施形態と同様にして更にFe層を形成するようにすることができる。なお、上記の加圧焼結する方法については既述の通りである。
また、熱電変換素子の組成など場合により、FeGe層はFeGe2とFe及び/又はGeとの混合組成に構成されていてもよい。
また、FeGe層16の層厚としては特に制限はないが、10〜100μm程度が望ましい。
なお、上記ではP型熱電変換素子11が設けられている側を説明したが、N型熱電変換素子10と加熱側Fe層12との間(図1参照)においても同様である。
本実施形態では、上記のようなFeGe層を設けた態様について説明したが、FeGe層に限られず、FeGe層に代えてFe及びGaを含むFeGa層、例えば化合物FeGa3を用いて形成された層を設けても同様の作用効果を得ることができる。すなわち、N型熱電変換素子10及びP型熱電変換素子11はいずれもGa元素を有して構成されているため、このGa元素と加熱側Fe層12の構成成分であるFe元素とを含有するFeGa層を設けることで、N型,P型各々の熱電変換素子と加熱側Fe層12との間の接合強度を効果的に高めることができる。また、FeGa層はFeGa2とFe及び/又はGaとの混合組成に構成されていてもよい。
また、熱電変換素子としてGe、Ga以外の他の元素を含むクラスレート化合物を用いて構成する場合は、他の元素をFe元素と共に含む層を設けるようにすることで上記同様の作用効果が得られる。
(第3実施形態)
本発明の熱電変換器の第3実施形態を図3を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態のN型及びP型熱電変換素子にケミカルエッチング処理を施して構成したものである。なお、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態におけるP型熱電変換素子11には、複数の凹部20が形成され、凹部20の各々には鉄(Fe)が埋入されており、P型熱電変換素子11中に埋入されたFeのアンカー効果によってP型熱電変換素子11と加熱側Fe層12とが強固に接合されるようになっている。
凹部20は、ケミカルエッチングにより形成することができ、サイズや形状等については特に制限はなく、所望に応じ適宜選択すればよい。ケミカルエッチングの方法は、酸剤などを用いた公知のエッチング法を利用して行なうことができる。
例えば、予め所望の形状にBa8Ga18Ge28からなるP型熱電変換素子11を成形し、このP型熱電変換素子11のFe層を形成しようとする面にケミカルエッチングを施して所望の形状(サイズ、大きさ)の凹部20を所望位置に複数形成した後、凹部20が形成された面上の全体に凹部20が埋まるようにして鉄(Fe)粉を載せ、その状態のまま少なくともFe粉を載せた面に圧を加えながら加圧焼結を行なうことによって、凹部20の内部に向かって突出する凸状構造を持つ加熱側Fe層12を形成することができる。なお、加圧焼結は既述の加圧焼結する方法により行なえる。
また逆に、加熱側Fe層12側にケミカルエッチングを施してアンカー効果を得るようにしてもよい。この場合は、加熱側Fe層12を構成する鉄(Fe)板の所望の面にケミカルエッチングを施して所望の形状の凹部を所望位置に複数形成し、その後凹部が形成されたFe面上の全体に凹部が埋まるようにしてBa8Ga18Ge28粉を載せ、そのままP型熱電変換素子11が成形されるように加圧焼結を行なうことによって、加熱側Fe層12を該層の凹部内部に向かって突出する凸状構造を持つP型熱電変換素子11と接合させて設けることができる。
本実施形態のように、熱電変換素子及びFe層の一方にケミカルエッチングを施して凹部を設けこの凹部に他方の素材が埋入された状態を形成することで、一回の操作、例えば鉄粉等を載せた面を加圧しながら焼結する操作によって接合と焼成とを同時に行なうことができる。
(第4実施形態)
本発明の熱電変換器の第4実施形態を図4を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態のN型及びP型熱電変換素子とFe層との間に更にFeとクラスレート化合物(Ba8Ga18Ge28、Ba8Ga15Ge31)とからなる複合層を設けて構成したものである。なお、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態におけるP型熱電変換素子11と加熱側Fe層12との間には、更に複合層17が設けられている。複合層17は、Fe粉とBa8Ga18Ge28粉とが複合化した状態、つまり二種の粒子が互いに固着して固定化された状態に構成され、P型熱電変換素子11をなすBa8Ga18Ge28自体と加熱側Fe層12をなすFe元素とが含有されてなり、前者は熱電変換素子と後者はFe層と結合しやすくP型熱電変換素子11と加熱側Fe層12との間の接合強度が効果的に高められるようになっている。
本実施形態では、粒子間で固着状態を形成して複合した構成を有するが、ここでの固着は鉄及びBa8Ga18Ge28の一方の粒子の表面に他方の粒子が固定化されている状態である。
複合層17は、FeとBa8Ga18Ge28とを混合して含む状態で焼結することによって形成することができる。例えば、微粒子状のFe粉と微粒子状に粉砕されたBa8Ga18Ge28粉とをエタノール等の有機溶剤中に加え、超音波攪拌器等により攪拌、分散した分散液を調製し、調製された分散液を塗布等し乾燥させて成形し、さらに焼結することによって形成することができる。焼結は、成形後の熱電変換素子の焼成と合わせて一度に行なうようにしてもよい。
複合層を設ける場合、複合層中におけるFe粉とBa8Ga18Ge28粉との構成比(Fe/BaGaGe:質量比)は30/70〜70/30が好ましく、より好ましくは40/60〜60/40である。
また、Fe粉の平均粒径としては0.1〜10μm程度が好ましく、Ba8Ga18Ge28粉の平均粒径としては0.1〜50μm程度が好ましい。また、複合層17の層厚としては特に制限はないが、10〜100μm程度が望ましい。なお、複合層は一層に限られず、複数層を積層して構成することもできる。
本実施形態では、P型熱電変換素子側においてBa8Ga18Ge28を用いて複合層を形成した場合を説明したが、N型熱電変換素子側においてBa8Ga15Ge31を用いて複合層を形成する場合についても同様であり、また、他のクラスレート化合物を用いる場合も同様である。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
−クラスレート化合物/Fe接合体の成形−
図5に示すように、試料を加圧するパンチ32とダイス33とで取り囲むように形成された試料室36を有し、試料室36内に収容された試料を二つのパンチ32で加圧すると共に二つのパンチ32の試料室形成側と逆側にカーボンプレート37を介して設けられた電極38から直流パルス電流を流すことによって、試料室36内の試料を焼結できる放電プラズマ焼結装置を準備した。
上記の放電プラズマ焼結装置の試料室36内に、図5に示すようにBa8Ga18Ge28(平均粒径〜75μm;クラスレート化合物)30〔3.64g〕を鉄粉(鉄純度99.99%、平均粒径〜30μm)31〔片側2.72g〕でサンドイッチ状に挟むようにして収容し、0.05MPaのアルゴン雰囲気とした後、パンチ圧40MPa、加熱温度820℃、加熱時間60分間の焼結条件となるように直流電流をパルス状に流して焼結を行なった。
以上のようにして、Ba8Ga18Ge28を鉄粉と共に一体焼結し、Fe層/Ba8Ga18Ge28(P型熱電変換素子)/Fe層接合体を成形した。このとき、高温条件にて処理を行なったが鉄粉が溶解してしまうことはなく、Ba8Ga18Ge28との接合を良好に行なうことができた。
−熱電モジュールの作製及び評価−
続いて、得られたFe層/Ba8Ga18Ge28/Fe層接合体の両方のFe層の表面に銀ろうを用いてCu板を接合し、図6に示すようにFe層12/Ba8Ga18Ge2810/Fe層13を挟んでCu電極34,35が接合された本発明の熱電モジュールを作製した。
上記とは別に、放電プラズマ焼結装置の試料室36内に、Ba8Ga18Ge28(平均粒径〜75μm;クラスレート化合物)30(3.64g)のみを収容し、上記同様の条件で焼結を行ない、得られたBa8Ga18Ge28焼結体の両側の端面に直接、上記同様に銀ろうを用いてCu板を接合してなる参考用熱電モジュールを作製した。
上記より得られた熱電モジュールに対して、四端子法によって温度を変化させたときの比抵抗(Ωm)を測定し、電気特性を評価した。その結果、図7に示すように本発明の熱電モジュール(△)は、参考用熱電モジュール(○)との対比においてFe層を設けたことによる電気特性の低下は認められなかった。
以上のように、本発明の熱電モジュールは高温条件下でも熱電変換素子及び電極間における成分の相互拡散を抑止することが可能であり、熱電変換素子が溶解したり、不純物の生成による接合界面の剥離を防ぐことができると共に、安定した熱電変換特性を発揮させることが可能である。
なお、上記で用いたBa8Ga18Ge28をBa8Ga15Ge31(平均粒径〜75μm;クラスレート化合物)に代え、上記と同様にしてBa8Ga15Ge31を鉄粉と共に一体焼結し、Fe層/Ba8Ga15Ge31(N型熱電変換素子)/Fe層接合体を成形した。このときも鉄粉が溶解してしまうことはなく、Ba8Ga15Ge31との接合を良好に行なうことができた。そして、Fe層/Ba8Ga15Ge31/Fe層接合体の両方のFe層の表面に同様にCu板を接合しCu電極を形成して熱電モジュールとし、これを用いて上記と同様の方法で比抵抗を測定したところ電気特性の低下は認められず同様の結果が得られた。
(比較例1〜2)
実施例1において、−クラスレート化合物/Fe接合体の成形−で用いた鉄粉を銅粉(Cu純度99.9%;比較例1)、ニッケル粉(Ni純度99.9%;比較例2)に代えたこと以外、実施例1と同様にして一体焼結を行なって接合体を成形を試みた。しかし、一体焼結時の焼結条件(高温条件)では、銅粉、ニッケル粉はいずれも溶解してしまい、Ba8Ga18Ge28との接合を良好に行なうことはできず、熱電モジュールを作製することはできなかった。
本発明の第1実施形態に係る熱電変換器を示す概略断面図である。 本発明の第2実施形態に係る熱電変換器の一部を拡大して示す概略断面図である。 本発明の第3実施形態に係る熱電変換器の一部を拡大して示す概略断面図である。 本発明の第4実施形態に係る熱電変換器の一部を拡大して示す概略断面図である。 実施例で使用した放電プラズマ焼結装置を説明するための概略断面図である。 実施例で作製した熱電モジュールの構成を示す概略断面図である。 実施例で作製した熱電モジュールの比抵抗値をFe層非形成の場合と比較して示すグラフである。
符号の説明
10…N型熱電変換素子(クラスレート化合物)
11…P型熱電変換素子(クラスレート化合物)
12…加熱側Fe層
13…冷却側Fe層
14…Cu共通極
15,15’…Cu対向極
34,35…Cu電極
16…FeGe層,FeGa層(中間層)
17…複合層
20…ケミカルエッチングされた凹部

Claims (7)

  1. クラスレート化合物と電極との間に鉄層を有する熱電変換器。
  2. 前記クラスレート化合物と前記鉄層との間に、鉄とゲルマニウム及びガリウムの少なくとも一方とを含む中間層を更に有する請求項1に記載の熱電変換器。
  3. 前記中間層は、鉄とゲルマニウム及びガリウムのいずれか一方とを含む鉄化合物からなる請求項2に記載の熱電変換器。
  4. 前記中間層は、少なくとも鉄とクラスレート化合物とが複合化された複合層である請求項2に記載の熱電変換器。
  5. 前記クラスレート化合物及び前記鉄層の少なくとも一方にケミカルエッチング処理が施された請求項1に記載の熱電変換器。
  6. 前記クラスレート化合物及び前記中間層の少なくとも一方にケミカルエッチング処理が施された請求項2〜4のいずれか1項に記載の熱電変換器。
  7. ケミカルエッチング処理が施されてなる凹部に、該凹部のある一方の側と向かい合う他方の側の一部が埋入されてなる請求項5又は6に記載の熱電変換器。
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