JP2005190766A - 高圧放電ランプ点灯装置およびプロジェクター装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】石英ガラスからなる放電容器の内部に一対の電極が対向配置するとともに放電容器外部にトリガ電極が配置した高圧放電ランプと、この高圧放電ランプに交流の放電電流を供給する給電装置から構成される。前記給電装置は、前記トリガ電極に対して点灯始動時に高電圧を発生させるスタータ回路3と、少なくとも2個のスイッチング素子を有するインバータ回路と、このインバータ回路の後段であって放電ランプと直列に接続されたコイルと、前記スイッチング素子に対しデッドタイムを設けながら交互にオンオフ駆動する制御部とを有し、前記コイルのインダクタンスは210μH以下であることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
液晶パネルを使う方式は、1枚式と3枚式があるがいずれの方式であっても、光源からの放射光を3色(RGB)に分離して、液晶パネルにおいて画像情報に対応させた光を透過調整して、その後、パネルを透過した3色を合成させてスクリーン上に投射させる方式である。
一方、DLPを使う方式は、光源からの放射光をRGBの領域が分割形成された回転フィルターを介して空間変調素子(光変調デバイスともいい、具体的にはDMD素子などをいう)などを時分割で照射し、このDMD素子で特定の光を反射させてスクリーンに照射するものである。DMD素子とは、1画素ごとに小さな鏡を数百万個敷き詰めたものであって、一つ一つの小さな鏡の向きを制御することで光の投射が制御される。
DLP方式は、液晶方式に比較して、光学系が簡易であるとともに3枚もの液晶パネルを使う必要がないことから装置全体が小型簡易化するメリットがある。
これらプロジェクター装置の光源は、高圧放電ランプ、特に超高圧水銀ランプがよく使われる。
回路の構成は、直流電源VDCと、スイッチング素子Qxを有する降圧チョッパ回路1と、スイッチング素子Q1〜Q4からなるフルブリッジ回路2と、点灯始動用のスタータ回路3からなる。
回路の動作は、直流電源からフルブリッジ回路2に電圧、電流を供給しながら、フルブリッジ回路2のスイッチング素子Q1,Q4、スイッチング素子Q2,Q3を交互にオンして、放電ランプ10に交流矩形波電圧を供給し、高圧放電ランプを点灯させるようにしたものである。また、放電ランプ10の始動時には、上記スタータ回路3から放電ランプ10に高電圧パルスが印加されてランプを始動させる。
このランプ電流のなだらかな立ち上がりは、ランプ電流がゼロではないまでも不十分な供給量となるため放電ランプの光出力を低下させる大きな要因となる。
しかしながら、空間変調素子を使い、回転カラーフィルタなどを用いた色順次式プロジェクター装置において致命的な問題になる。これは空間変調素子や回転フィルターを使う場合は、数10μ秒レベルにおける光出力の変動であっても投射画像の精度に大きな影響を及ぼしかねないからである。
そして、前記給電装置は、前記トリガ電極に対して点灯始動時に高電圧を発生させるスタータ回路3と、少なくとも2個のスイッチング素子を有するインバータ回路と、このインバータ回路の後段であって放電ランプと直列に接続されたコイルと、前記スイッチング素子に対しデッドタイムを設けながら交互にオンオフ駆動する制御部とを有し、前記コイルのインダクタンスは210μH以下であることを特徴とする。
そして、前記点灯装置は、石英ガラスからなる放電容器の内部に一対の電極が対向配置するとともに放電容器外部にトリガ電極が配置した高圧放電ランプと、この高圧放電ランプに交流の放電電流を供給する給電装置からなり、この給電装置は、前記トリガ電極に対して点灯始動時に高電圧を発生させるスタータ回路3と、少なくとも2個のスイッチング素子を有するインバータ回路と、このインバータ回路の後段であって放電ランプと直列に接続された210μH以下のコイルと、前記スイッチング素子に対しデッドタイムを設けながら交互にオンオフ駆動する制御部とを有し、前記制御部は、前記回転フィルター及び前記空間変調素子とは非同期にスイッチング素子をオンオフ駆動することを特徴とする。
そして、前記点灯装置は、石英ガラスからなる放電容器の内部に一対の電極が対向配置する高圧放電ランプと、この高圧放電ランプに交流の放電電流を供給する給電装置からなり、この給電装置は、前記一対の電極に対して点灯始動時に直流高電圧を印加するスタータ回路と、少なくとも2個のスイッチング素子を有するインバータ回路と、このインバータ回路の後段であって放電ランプと直列に接続された210μH以下のコイルと、前記スイッチング素子に対しデッドタイムを設けながら交互にオンオフ駆動する制御部とを有し、前記スタータ回路は、前記放電ランプと並列に接続されてコンデンサと、このコンデンサに対する充電回路と、放電ランプと直列に接続されて当該コンデンサの直流高電圧に対する逆流防止ダイオードと、定常点灯時にこの逆流防止ダイオードを短絡させるスイッチ回路から構成され、前記制御部は、前記回転フィルター及び前記空間変調素子とは非同期にスイッチング素子をオンオフ駆動することを特徴とする。
また、本発明者は、放電ランプに点灯始動時に直流高電圧を印加する、いわゆるDCスタータ方式の放電ランプにおいても、同様の効果を有することを見出した。
点灯装置は放電ランプ10と給電装置から構成される。給電装置は直流電圧が供給される降圧チョッパ回路1と、降圧チョッパ回路1の出力側に接続され直流電圧を交流矩形波電圧に変化し高圧放電ランプ10(以下、「放電ランプ」ともいう)に供給するフルブリッジ型インバータ回路2(以下、「フルブリッジ回路」ともいう)と、放電ランプに直列接続されたコイルL1、コンデンサC1と、スタータ回路3から構成される。
なお、降圧チョッパ回路1、フルブリッジ回路2、スタータ回路3により給電装置を構成し、放電ランプ10を含めて点灯装置が構成される。
フルブリッジ回路2は、ブリッジ状に接続されたトランジスタやFETからなるスイッチング素子Q1〜Q4と、スイッチング素子Q1〜Q4の駆動回路G1〜G4から構成される。なお、スイッチング素子Q1〜Q4には、各々に並列にダイオードが逆並列に接続されることもあるが、この実施例においてダイオードは省略している。
上記スイッチング素子Q1〜Q4は、制御部を介して駆動回路G1〜G4により駆動され、放電ランプ10に交流矩形波電流を供給して、放電ランプ10を点灯させる。
上記スイッチング素子Q1〜Q4を駆動するに際し、スイッチング素子Q1〜Q4の同時オンを防止するため、前記したように、交流矩形波の極性切り替わり時に、スイッチング素子Q1〜Q4を全てオフにする期間(デッドタイムTd)が設けられる。
なお、放電ランプ10に供給される交流矩形波出力の周波数は60〜1000Hzの範囲であり、例えば200Hzである。また、上記デッドタイム期間は、通常0.5μs〜10μsの範囲内であり、交流矩形波出力の周波数が200Hzの場合は、デッドタイムTdは例えば1μs程度に選定される。
(a)(b)(c)いずれも横軸は時間を示し、縦軸は(a)は電流量、(b)は電力量、(c)は光出力値を示す。(a)において、電流波形I1はスイッチング素子Q1、Q4をオンしたときに流れる電流波形であり、波形I2はスイッチング素子Q2,Q3をオンしたときに流れる電流波形を示す。両波形の間に形成される電流量ゼロの期間Tdは、いわゆるデッドタイムを示す。
いま、電流波形I1に着目したとき、デッドタイムTdの後に立ち上がり期間T1が存在する。
本発明は、この立ち上がり期間T1こそが放電ランプの光出力を低下させて投射画像の精度に影響を及ぼすことを突き止めている。
スイッチ素子Q5はSCRサイリスタなどから構成される。スイッチ素子Q5が駆動回路G5によって導通すると、コンデンサC2の充電電圧が高電圧トランスT2の一次巻線に発生して、ニ次巻線にも絶縁破壊用トリガ電圧が発生する。
この回路構成により、放電ランプ10の点灯始動時にトリガ電圧を発生させると、トリガ電極Etと放電容器内の電極との間で、石英ガラス(放電容器の構成材料)を介在させた、いわゆる誘電体バリア放電を発生する。この誘電体バリア放電により、放電容器内にプラズマが発生すると、このプラズマを種として、放電容器内の第一の電極と第ニの電極の間で予め印加された無負荷開放電圧により放電が発生する。
トリガ電圧は5kv〜20kvであり、例えば13kvである。また、無負荷開放伝電圧は250v〜400vであり、例えば350vである。
この回路構成は、点灯始動時のみ必要となる高電圧発生用インダクタンス(高電圧発生用トランスのニ次巻線)が、点灯始動後において電流供給経路に存在しないという点で極めて有利である。
具体的に説明すると、図5に示す回路構成では放電ランプが点灯した後においても、ランプ電流はインダクタンスの高い二次巻線を流れることになる。
本発明は、このニ次巻線こそが、前記した電流立上がり期間T1の長期化の原因になることを突き止めて、当該インダクタンス成分を外すことで放電ランプの光出力の低下防止と投射画像の精度低下防止を達成している。
なお、図5に示す回路において、切替スイッチなどを用いて点灯始動後は二次巻線を電流供給経路に用いない回路構成も理論的には可能であるが部品点数が増し、回路構成が複雑、大型化することから望ましいことでない。特に、プロジェクター装置は小型化が著しいため回路構成の簡素化が強く求められるからである。
インダクタンスは、厳密には、コイルL1のみではなく、放電ランプ10の定常点灯時に形成される電流ループにおけるインダクタンスの総和でなければならない。しかし、代表的には、コイルL1のインダクタンスによって決定されるため、本発明においては、コイルL1のインダクタンスに着目して数値規定している。従って、インダクタンスの数値規定は、より好ましくは、定常点灯時における電流ループ、すなわち、コンデンサCx、フルブリッジ回路2、コイルL1、放電ランプ10、フルブリッジ回路2、コンデンサCxにおけるインダクタンスの総和であるが、実用的な効果という観点からコイルL1を数値規定することとしている。
図1の回路と降圧チョッパ回路1及びフルブリッジ回路2は構成、動作が同じであり、スタータ回路3のみが異なっている。従って、降圧チョッパ回路1、フルブリッジ回路2の説明は省略する。
スイッチ素子Q5はサイリスタなどの素子から構成される。コンデンサC2の電圧が所定値になるとスイッチ素子Q6が導通してトランスT2を介してコンデンサC3に充電がされる。コンデンサC3に所定の高電圧が充電されると、コンデンサC3は放電して、放電ランプ10に対して電流が供給される。この放電電流は直流であり、これにより放電ランプ10が放電開始する。ダイオードD2はコンデンサC2の放電電流がフルブリッジ回路2へ逆流することを防止するものであり、放電ランプ10が放電開始した後は、スイッチSWが閉じることでダイオードD2は短絡する。
その後は、フルブリッジ回路2から所定の電流がスイッチSWを介して放電ランプ10に供給される。
従って、コンデンサC3は放電ランプ10に直流高電圧を印加するコンデンサであり、ダイオードD2はコンデンサC3の直流高電圧に対する逆流防止ダイオードであり、スイッチSWは逆流防止ダイオードD2を短絡させるスイッチ回路となる。
なお、コンデンサC3は放電ランプ10と並列に接続する構成に限定されず、例えば、逆流ダイオードD2と並列に接続させてもよい。
また、コイルL1をノイズ防止という観点のみで小さいものに設定できる。結果として、図1に示した回路と同様に放電ランプの光出力の低下と投射画像の精度低下を防止できる。
放電ランプ10は、石英ガラスからなる放電容器によって形成された概略球形の発光部11を有し、この発光部11には、一対の電極20が互いに対向して配置する。また、発光部11の両端部から伸びるよう封止部12が形成され、これらの封止部12内には、通常モリブデンよりなる導電用金属箔13が、例えばシュリンクシールにより気密に埋設されている。一対の電極20は軸部が、金属箔13に溶接されて電気的に接続され、また、金属箔13の他端には、外部に突出する外部リード14が溶接されている。
水銀は、必要な可視光波長、例えば、波長400〜700nmという放射光を得るためのもので、0.15mg/mm3以上封入されている。この封入量は、温度条件によっても異なるが、点灯時150気圧以上で極めて高い蒸気圧となる。また、水銀をより多く封入することで点灯時の水銀蒸気圧200気圧以上、300気圧以上という高い水銀蒸気圧の放電ランプを作ることができ、水銀蒸気圧が高くなるほどプロジェクター装置に適した光源を実現することができる。
希ガスは、例えば、アルゴンガスが約13kPa封入され、点灯始動性を改善するためのものである。
ハロゲンは、沃素、臭素、塩素などが水銀その他の金属との化合物の形態で封入され、ハロゲンの封入量は、10−6〜10−2μmol/mm3の範囲から選択される。その機能はハロゲンサイクルを利用した長寿命化も存在するが、本発明の放電ランプのように極めて小型で高い内圧を有するものは、このようなハロゲンを封入することが放電容器の失透防止を主目的としている。
また、この種の放電ランプは、小型化するプロジェクター装置に内蔵されるものであり、装置の全体寸法が極めて小型化される一方で高い光量が要求されることから、発光管部内の熱的影響は極めて厳しいものとなり、ランプの管壁負荷値は0.8〜2.0W/mm2、具体的には1.3W/mm2となる。
このような高い水銀蒸気圧や管壁負荷値を有することがプロジェクター装置やオーバーヘッドプロジェクターのようなプレゼンテーション用機器に搭載された場合に、演色性の良い放射光を提供することができる。
さらに、降圧チョッパー回路に存在するコンデンサCxは、点灯始動時と定常点灯時において、容量が変化するような構成を採用することができる。この構成は、例えば、コンデンサを並列に複数個接続して、スイッチ素子により回路構成を切替えることが考えられる。
光源装置100は、放電ランプ10のアーク輝点と凹面反射鏡30の第一焦点が一致している。凹面反射鏡30の第二焦点はロッドインテグレータレンズ300の入射端に位置しており、凹面反射鏡30からの反射光は回転フィルター200を介してロッドインテグレータレンズ300に入射する。放電ランプ10は給電制御装置30により給電制御が行なわれる。フィルター200はフィルター制御装置210により回転制御されて、DMD素子500は制御装置510で制御される。
なお、放電ランプ10は、例えば、定格電力120W、定格電流1.6Aで点灯する。凹面反射鏡30の前面開口には光透過性のガラス部材31が装着している。
回転フィルターは、カラーフイールとも呼ばれ、円盤状のガラスから構成される。フィルターには赤(R)、緑(G)、青(B)の領域がそれぞれ扇型に形成されている。
光源装置100からの反射光は、回転フィルター200上に形成される光透過領域201を透過する。フィルター200が回転することにより、光透過領域201に対応する色が順次、後段のロッドレンズに導かれることとなる。従って、赤(R)、緑(G)、青(B)が時間分割的に投影されるため、瞬間的にはいずれかの色しか投影されないが、人間の視覚的にはこれらの色あるいはその混合色が画像として認識される。なお、赤(R)、緑(G)、青(B)以外に、白(W)を設ける場合もある。白(W)は画像を全体に明るくするためのものであるが、この実施例では便宜上省略する。
ここで、フィルター200は、例えば、180Hzで回転(毎秒180回転)するため、1秒間に赤、緑、青が180回投影されることとなる。
ここで、本発明の高圧放電ランプ点灯装置においては、放電ランプの点灯周波数は、空間変調素子の駆動周波数や回転フィルタの色変化の周波数と同期を図る必要がなく、独立して周波数制御できる点で効果がある。
このため、放電ランプの給電装置は、空間変調素子と同期を図るために同期端子や同期制御回路、さらには空間変調素子の駆動周波数に応じて周波数を変化させる周波数選択回路などが必要になる。
このため、給電装置は回転フィルターの色変化の周波数と同期するために、同様に同期制御に関する回路が必要となっていた。
この現象は必ずしも明らかではないが以下のように推測できる。すなわち、ランプ点灯中に電極先端付近の高温部から蒸発したタングステンは発光管に存在するハロゲンや残留酸素と結合して、例えばハロゲンとして臭素(Br)が封入される場合は、WBr、WBr2、WO、WO2、WO2Br、WO2Br2などのタングステン化合物として存在する。これら化合物は電極先端付近の起相中の高温部においては分解してタングステン原子または陽イオンとなる。そして、温度拡散(気相中の高温部=アーク中心から、低温部=電極先端近傍に向かうタングステン原子の拡散)および、アーク中でタングステン原子が電離して陽イオンになり、陰極動作しているときに電解によって陰極方向に引き寄せられる(ドリフト)ことによって、電極先端付近における気相中のタングステン蒸気密度が高くなり、電極先端に析出して突起を形成するものと考えられる。
第一に、ランプ電圧の変動である。上記突起はランプの製造完成時であって未点灯の段階では存在しておらず、その後の点灯に伴い生成、成長するものである。突起の形成は、ランプの種類などにもよるが、例えば80〜100分の経過により概ね終了する。すなわち、当該突起が形成されて一応落ち着くまでの期間は、点灯時間とともに電極間距離が短くなり、放電ランプの点灯電圧も低下することになる。
第二に、光利用効率の低下である。上記突起は電極軸上に生じるとは限らない。例えば、(a)のように電極軸Lに沿って形成されるならば問題はないが、(b)のように電極軸Lから外れて形成することもある。この場合、アーク位置も電極軸Lから外れることになり、点光源として設計された光学系において、光の利用効率が低下するという大きな問題を生じる。
本発明の高圧放電ランプ点灯装置は、このような突起の形成に関わる問題についても良好に解決することができる。なぜなら、前記したように放電ランプの極性切替のタイミングを空間変調素子や回転フィルタとの同期という要素を考慮する必要がないため、突起の制御という観点を考慮して周波数制御できるからである。
図9において、電極20の先端にはコイルが巻き付けられており、当該コイルが溶けて先端に大径部を形成している。大径部の先端には突起21が形成されている。(a)は点灯周波数を変化させることなく、常に、150Hzで定常点灯させた状態を示し、(b)は150Hzの定常点灯において、間欠的かつ短期的に周波数を変化させた場合を示している。両図とも左図は点灯始動初期であって突起が形成されたときの状態を示し、右図は数百時間点灯後の電極の状態を示す。
図10において、定常点灯周波数150Hzにおいて、1分に1回のペースで低周波、例えば10Hzの点灯を介在させた電流の状態を示す。
このように、本発明の高圧放電ランプ点灯装置は、空間変調素子や回転フィルターとの関係を考慮することなく、点灯周波数を調整できるため、突起の調整を良好に行なうことができるという大きな特徴を有している。
本発明は、定常点灯時の周波数が60Hz〜1000Hzの場合に、この定常点灯周波数より低い周波数であって、かつ、1〜100Hzの周波数で点灯される。一例をあげると定常点灯時周波数が150Hzにおいて、7.5Hzの周波数で点灯させている。
周波数を変化させるタイミングは、30秒〜2分の定常周波数の点灯時間において、1周期〜5周期の短時間の低周波点灯を行なう。具体的には、1分の定常点灯周波数に1周期の割合で低周波点灯を介在させている。
従って、これらの点灯始動方式ではなく、あるいはこれらの点灯始動方式とともに、放電ランプと直列にインダクタンスを挿入する回路方式においても、本発明のようにインダクタンス値を210μH以下にすることを適用できる。
実験は、図1に示す給電装置と図6に示すプロジェクター装置を使い、コイルL1の値を変化させて、光出力の落ち込み状態を検討した。放電ランプは定格電力120W、点灯周波数150Hzで点灯させた。
具体的には、ランプ点灯始動後、定常点灯に移行した状態において、コイルL1(図1に示す)を可変させながら、各コイルL1において、概ね1分程度、スクリーンに投射された映像を見ながら映像のちらつきを判断した。なお、空間変調素子や回転フィルターと、放電ランプの極性切替のタイミングは同期させていない。さらに、各インダクタンス値における極性切替に伴う電力波形の落ち込み(図2(b)に相当する)を測定した。この電力波形の落ち込み幅は半値幅で測定した。
各インダクタンス(例えば、0μH、10.1μH、20.5μH・・・)における電力波形の落ち込み幅、映像ちらつきの状態、判定をそれぞれ示している。
この実験の結果、インダクタンスが76.1μH以下の場合は映像ちらつきがほとんど発生しておらず、インダクタンスが85.6μHから206.0μHの場合は映像ちらつきがわずかにあるが実用上問題ないことが確認された。一方、インダクタンス値が216.1μHの場合に、映像ちらつきが実用上問題となることが示される。
従って、インダクタンスが210μH以下(実験値は206.0μHであるが測定誤差などを考慮して)であれば、極性切替に伴う光出力の落ち込みと、それに伴う映像チラツキは問題ないレベルであり、結果として、空間変調素子や回転フィルターと同期を図らなくても使用できることが分かる。また、インダクタンス値が80.0μH以下(実験値は76.1μHであるが測定誤差などを考慮して)であれば、映像の美しさという点でより好ましい投射ができることがわかる。
2 フルブリッジ回路
3 スタータ回路
10 放電ランプ
20 電極
Claims (5)
- 石英ガラスからなる放電容器の内部に一対の電極が対向配置するとともに放電容器外部にトリガ電極が配置した高圧放電ランプと、この高圧放電ランプに交流の放電電流を供給する給電装置から構成される高圧放電ランプ点灯装置であって、
前記給電装置は、前記トリガ電極に対して点灯始動時に高電圧を発生させるスタータ回路と、少なくとも2個のスイッチング素子を有するインバータ回路と、このインバータ回路の後段であって放電ランプと直列に接続されたコイルと、前記スイッチング素子に対しデッドタイムを設けながら交互にオンオフ駆動する制御部とを有し、
前記コイルのインダクタンスは210μH以下であることを特徴とする高圧放電ランプ点灯装置。 - 少なくともRGBの色領域が形成された回転フィルターと、この回転フィルターの回転駆動手段と、この回転フィルターを通過した光を受光する空間変調素子と、高圧放電ランプ灯装置からなるプロジェクター装置において、
前記点灯装置は、石英ガラスからなる放電容器の内部に一対の電極が対向配置するとともに放電容器外部にトリガ電極が配置した高圧放電ランプと、この高圧放電ランプに交流の放電電流を供給する給電装置からなり、
この給電装置は、前記トリガ電極に対して点灯始動時に高電圧を発生させるスタータ回路と、少なくとも2個のスイッチング素子を有するインバータ回路と、このインバータ回路の後段であって放電ランプと直列に接続された210μH以下のコイルと、前記スイッチング素子に対しデッドタイムを設けながら交互にオンオフ駆動する制御部とを有し、
前記制御部は、前記回転フィルター及び前記空間変調素子とは非同期にスイッチング素子をオンオフ駆動することを特徴とするプロジェクター装置。 - 石英ガラスからなる放電容器の内部に一対の電極が対向配置する高圧放電ランプと、この高圧放電ランプに交流の放電電流を供給する給電装置から構成される高圧放電ランプ点灯装置であって、
この給電装置は、前記一対の電極に対して点灯始動時に直流高電圧を印加するスタータ回路と、少なくとも2個のスイッチング素子を有するインバータ回路と、このインバータ回路の後段であって放電ランプと直列に接続されたコイルと、前記スイッチング素子に対しデッドタイムを設けながら交互にオンオフ駆動する制御部とを有し、
前記スタータ回路は、前記放電ランプに直流高電圧を印加するコンデンサと、このコンデンサに対する充電回路と、放電ランプと直列に接続されて当該コンデンサの高電圧直流放電電流に対する逆流防止ダイオードと、定常点灯時にこの逆流防止ダイオードを短絡させるスイッチ回路から構成され、
前記コイルのインダクタンスは210μH以下であることを特徴とする高圧放電ランプ点灯装置。 - 少なくともRGBの色領域が形成された回転フィルターと、この回転フィルターの回転駆動手段と、この回転フィルターを通過した光を受光する空間変調素子と、高圧放電ランプ灯装置からなるプロジェクター装置において、
前記点灯装置は、石英ガラスからなる放電容器の内部に一対の電極が対向配置する高圧放電ランプと、この高圧放電ランプに交流の放電電流を供給する給電装置からなり、
この給電装置は、前記一対の電極に対して点灯始動時に直流高電圧を印加するスタータ回路と、少なくとも2個のスイッチング素子を有するインバータ回路と、このインバータ回路の後段であって放電ランプと直列に接続された210μH以下のコイルと、前記スイッチング素子に対しデッドタイムを設けながら交互にオンオフ駆動する制御部とを有し、
前記スタータ回路は、前記放電ランプに高電圧直流放電電流を供給するコンデンサと、このコンデンサに対する充電回路と、放電ランプと直列に接続されて当該コンデンサの直流電流に対する逆流防止ダイオードと、定常点灯時にこの逆流防止ダイオードを短絡させるスイッチ回路から構成され、
前記制御部は、前記回転フィルター及び前記空間変調素子とは非同期にスイッチング素子をオンオフ駆動することを特徴とするプロジェクター装置。 - 前記給電装置は、前記放電ランプに対して、定常点灯周波数として60Hz〜1000Hzの範囲から選択された周波数で点灯制御するとともに、間欠的に短時間だけ当該定常点灯周波数よりも低い周波数であって、かつ、5Hz〜100Hzの範囲から選択された周波数で点灯することを特徴とする請求項1あるいは請求項3の高圧放電ランプ点灯装置。
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