JP2005186064A - 不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法 - Google Patents
不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005186064A JP2005186064A JP2004350643A JP2004350643A JP2005186064A JP 2005186064 A JP2005186064 A JP 2005186064A JP 2004350643 A JP2004350643 A JP 2004350643A JP 2004350643 A JP2004350643 A JP 2004350643A JP 2005186064 A JP2005186064 A JP 2005186064A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- catalyst
- carboxylic acid
- unsaturated carboxylic
- producing
- unsaturated
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Catalysts (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Abstract
【課題】
機械的強度が大きく、かつ長期にわたり安定して、かつ高収率で対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸製造用触媒の新規な製造法を提供する。
【解決手段】
オレフィン、第3級ブチルアルコール、又はメチル第3級ブチルエーテルを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してそれぞれ対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造する際に使用される、モリブデン、ビスマス、及び鉄を少なくとも含む触媒の製造方法であって、上記触媒成分を含む混合溶液又は水性スラリーを乾燥し、得られる乾燥物の含水率を0.3〜4重量%に調整して打錠成型することを特徴とする不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法。
【選択図】なし
機械的強度が大きく、かつ長期にわたり安定して、かつ高収率で対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸製造用触媒の新規な製造法を提供する。
【解決手段】
オレフィン、第3級ブチルアルコール、又はメチル第3級ブチルエーテルを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してそれぞれ対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造する際に使用される、モリブデン、ビスマス、及び鉄を少なくとも含む触媒の製造方法であって、上記触媒成分を含む混合溶液又は水性スラリーを乾燥し、得られる乾燥物の含水率を0.3〜4重量%に調整して打錠成型することを特徴とする不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、オレフィン、第3級ブチルアルコール、又はメチル第3級ブチルエーテルを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してそれぞれ対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造するための触媒であって、機械的強度が大きく、かつ、長期にわたり安定して、かつ高収率で対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造できる触媒の製造方法に関する。
従来、プロピレンを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してアクロレイン及びアクリル酸を製造するための触媒、また、イソブチレン、第3級ブチルアルコール、又はメチル第3級ブチルエーテルを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してメタクロレイン及びメタクリル酸を製造するための触媒については種々提案されている。
これらの触媒は、目的物の対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を高収率で製造できることはもちろんであるが、同時に、充分に大きい機械的強度を有し、かつ長期間の工業的な使用に耐える耐久性を有さなければならない。
従来、これらの反応に使用される触媒の特性を改善するために触媒調製時に種々の有機化合物を使用し触媒の細孔を制御することが提案されている。このような例として、特許文献1、特許文献2、特許文献3などが知られている。この方法による場合、触媒製造時に種類や粒度を変えた有機化合物を添加し、使用した有機化合物を熱処理により除去することにより、触媒の細孔径を比較的自由に変えられる利点がある。しかし、この方法の場合には、有機化合物を除去する際に有機化合物の燃焼による触媒の焼結や、有機化合物による触媒の還元が生じるために、活性化処理が煩雑であるとともに触媒性能の再現性に欠ける問題がある。
また、触媒の性能や機械的強度を改善するために、特許文献4には、触媒製造時に活性炭を使用することが開示されている。即ち、上記触媒成分の混合物を焼成し、得られた焼成物に所定の粒径の活性炭を混合し、賦型して熱処理するものである。しかし、この場合も、目的とする不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の収率についてさらに改善する余地がある。
かくして、触媒性能を改善、向上させることが容易で、かつ再現性に優れた新たな触媒の製造方法が求められている。
特開招58−98143号公報
特許平3−109946号公報
特許3278246号公報
特許3251641号公報
上記のような従来技術に鑑み、本発明の目的は、オレフィン、第3級ブチルアルコール、又はメチル第3級ブチルエーテルを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してそれぞれ対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を高収率で再現性よく有利に製造でき、かつその機械的強度も大きく耐久性の高い触媒の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を進めたところ、不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造するための、モリブデン、ビスマス、及び鉄を少なくとも含む複合酸化物触媒を製造する場合において、触媒成分を含む混合溶液又はそのスラリーを乾燥して成型する際の該乾燥物中に含まれる水分量が得られる触媒の有する活性や機械的強度などの特性と大きく結びついており、これを適切な範囲に制御することにより上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明者の研究によると、後記する実施例や比較例に見られるように、触媒成分を含む混合溶液又はそのスラリーの乾燥物に含まれる水分量を0.3〜4重量%に制御して成型することにより、目的とする不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を高い収率で再現性よく製造でき、かつ機械的強度が高くかつ安定した触媒成型体が得られることが見出された。上記乾燥物の含水率が0.3重量%より小さい場合には、良好な特性を得るための必要な成型圧力が高くなり、安定した特性の触媒成型体が得られない。一方、含水率が4重量%より大きい乾燥物の場合には、成型に続く焼成工程により触媒の特性が変化してしまい安定した特性の触媒成型体が得られない。
かくして、本発明は、下記の構成を要旨とすることを特徴とするものである。
(1)オレフィン、第3級ブチルアルコール、又はメチル第3級ブチルエーテルを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してそれぞれ対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造する際に使用される、モリブデン、ビスマス、及び鉄を少なくとも含む複合酸化物触媒の製造方法であって、上記触媒成分を含む混合溶液又は水性スラリーを乾燥し、得られる乾燥物の含水率を0.3〜4重量%に調整して打錠成型して成型体とすることを特徴とする不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法。
(2)成型体は、外径が3〜10mm、内径が外径の0.1〜0.7倍、長さが外径の0.5〜2倍であり、かつ長さ方向に開口しているリング状である上記(1)に記載の不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法。
(3)触媒が下記一般式(1)を有する上記(1)又は(2)に記載の不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法。
MoaBibCocNidFeeXfYgZhQiSijOk (1)
(式中、Xは、Na、K、Rb、Cs及びTlからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yは、B、P、As及びWからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zは、Mg、Ca、Zn、Ce及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Qはハロゲンである。また、aからkはそれぞれの元素の原子比を表わし、a=12の時、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10、c+d=1〜10、e=0.05〜3、f=0.0005〜3、g=0〜3、h=0〜1、i=0〜0.5、j=0〜40の範囲にあり、またkは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの製造方法で得られた触媒を使用してオレフィン、第3級ブチルアルコール、又はメチル第3級ブチルエーテルを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してそれぞれ対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造する方法。
(5)オレフィンがプロピレンであり、不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸がそれぞれ、アクロレイン及びアクリル酸である上記(4)の方法。
(1)オレフィン、第3級ブチルアルコール、又はメチル第3級ブチルエーテルを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してそれぞれ対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造する際に使用される、モリブデン、ビスマス、及び鉄を少なくとも含む複合酸化物触媒の製造方法であって、上記触媒成分を含む混合溶液又は水性スラリーを乾燥し、得られる乾燥物の含水率を0.3〜4重量%に調整して打錠成型して成型体とすることを特徴とする不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法。
(2)成型体は、外径が3〜10mm、内径が外径の0.1〜0.7倍、長さが外径の0.5〜2倍であり、かつ長さ方向に開口しているリング状である上記(1)に記載の不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法。
(3)触媒が下記一般式(1)を有する上記(1)又は(2)に記載の不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法。
MoaBibCocNidFeeXfYgZhQiSijOk (1)
(式中、Xは、Na、K、Rb、Cs及びTlからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yは、B、P、As及びWからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zは、Mg、Ca、Zn、Ce及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Qはハロゲンである。また、aからkはそれぞれの元素の原子比を表わし、a=12の時、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10、c+d=1〜10、e=0.05〜3、f=0.0005〜3、g=0〜3、h=0〜1、i=0〜0.5、j=0〜40の範囲にあり、またkは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの製造方法で得られた触媒を使用してオレフィン、第3級ブチルアルコール、又はメチル第3級ブチルエーテルを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してそれぞれ対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造する方法。
(5)オレフィンがプロピレンであり、不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸がそれぞれ、アクロレイン及びアクリル酸である上記(4)の方法。
本発明の方法によれば、モリブデン、ビスマス、及び鉄を少なくとも含む複合酸化物触媒を製造する際、該触媒成分を含む混合溶液又はそのスラリーを乾燥して成型する際の該乾燥物中に含まれる水分量を特定範囲に制御して打錠成型するという新規な発想に基づく手段により、機械的強度が大きく、かつ、長期にわたり安定して、かつ高収率にて、オレフィン、第3級ブチルアルコール、又はメチル第3級ブチルエーテルを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してそれぞれ対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造できる触媒が提供される。
本発明で製造される触媒は、オレフィン、第3級ブチルアルコール、又はメチル第3級ブチルエーテルを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してそれぞれ対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒であって、モリブデン、ビスマス、及び鉄を少なくとも含む複合酸化物触媒である。かかる3つの成分を含む複合酸化物触媒であれば、本発明はいずれの触媒にも適応できるが、なかでも、下記式(1)で表される触媒が好ましく適用できる。
MoaBibCocNidFeeXfYgZhQiSijOk (1)
なお、式(1)中、Moはモリブデン、Biはビスマス、Coはコバルト、Niはニッケル、Feは鉄、Siは、ケイ素、Oは酸素であり、また、X、Y、Z、Q、a〜k、及びkは、上記に定義したとおりである。なかでも、本発明で製造される触媒は、上記式(1)において、Qは塩素原子であるのが好ましく、また、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10、c+d=1〜10、e=0.05〜3、f=0.0005〜3、g=0〜3、h=0〜1、i=0〜0.05、j=0〜40の範囲が特に好ましい。
MoaBibCocNidFeeXfYgZhQiSijOk (1)
なお、式(1)中、Moはモリブデン、Biはビスマス、Coはコバルト、Niはニッケル、Feは鉄、Siは、ケイ素、Oは酸素であり、また、X、Y、Z、Q、a〜k、及びkは、上記に定義したとおりである。なかでも、本発明で製造される触媒は、上記式(1)において、Qは塩素原子であるのが好ましく、また、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10、c+d=1〜10、e=0.05〜3、f=0.0005〜3、g=0〜3、h=0〜1、i=0〜0.05、j=0〜40の範囲が特に好ましい。
本発明の製造方法では、上記触媒の各元素成分を含有する原料化合物を、製造する触媒の組成に応じて必要な所要量を水性媒体中に適宜溶解又は分散させることにより、触媒成分を含む混合溶液又はその水性スラリーが製造される。各触媒成分の原料は、それぞれの元素を含む、硝酸塩、アンモニウム塩、水酸化物、酸化物、硫酸塩、炭酸塩、ハロゲン化物、酢酸塩などが用いられる。例えば、モリブデンとしては、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、塩化モリブデンなどが使用される。水性媒体には、必要に応じて粘度を調整するためにアルコールなどの非水溶媒を添加することができる。
上記の触媒成分を含む混合溶液又は水性スラリーは、各成分の偏在を防ぐために好ましくは充分に攪拌、混合することが好ましい。次いで、触媒成分を含む混合溶液又は水性スラリーは乾燥されるが、該乾燥は種々の方法で実施できる。例えば、通常の噴霧乾燥機、スラリードライヤー、ドラムドライヤー等を用いて粉体状の乾燥物を得てもよいが、特に噴霧乾燥機による乾燥が好ましい。
本発明では、成型に付される触媒成分を含む、好ましくは粉体状の乾燥物中の水分量を制御することが重要であり、上記したように、乾燥物の含水率は0.3〜4重量%にせしめられる。乾燥物の含水率は式(2)のように定義される。
なお、式(2)において、W1は、乾燥物を150℃、10時間蒸発乾固した場合の重量であり、W2は、乾燥物の重量である。
含水率 = (W2−W1)/W1×100 (2)
本発明において、成型に付される乾燥物の含水率を上記の範囲に制御する方法としては、触媒成分を含む混合溶液又は水性スラリーを乾燥する際の条件を制御して行ってもよいし、また、一旦製造した乾燥物に水分を噴霧するなどの手段により適宜の加湿を施すことにより行ってもよい。いずれにしても、乾燥物の含水率は、上記の範囲に制御することが必要である。なかでも、本発明では、乾燥物の含水率は、好ましくは0.4〜3重量%である。
含水率 = (W2−W1)/W1×100 (2)
本発明において、成型に付される乾燥物の含水率を上記の範囲に制御する方法としては、触媒成分を含む混合溶液又は水性スラリーを乾燥する際の条件を制御して行ってもよいし、また、一旦製造した乾燥物に水分を噴霧するなどの手段により適宜の加湿を施すことにより行ってもよい。いずれにしても、乾燥物の含水率は、上記の範囲に制御することが必要である。なかでも、本発明では、乾燥物の含水率は、好ましくは0.4〜3重量%である。
乾燥物の成型方法としては、成型のし易さ及び成型体の性状からして打錠成型が採用される。成型体の形状については、球状、円柱状、リング状などのいずれでもよく、また、大きさなどについても種々の大きさを適宜選ぶことができる。しかし、なかでも、成型体は、リング状であって、外径が3〜10mm、内径が外径の0.1〜0.7倍、かつ長さ(高さ)が外径の0.5〜2倍であり、長さ(高さ)方向に開口している形状のものが圧力損失が小さいなどの点からして好適である。
上記の成型にあたっては、成型物の機械的強度、粉化度を改善するために一般に知られているガラス繊維などの無機繊維、各種ウィスカーなどを使用してもよい。また、触媒物性を再現性よく制御するために、硝酸アンモニウム、セルロース、デンプン、ポリビニルアルコール、ステアリン酸など一般に結合剤として知られている添加物を使用することもできる。
本発明では、上記のようにして得られた触媒の成分を含む乾燥物の成型物は続いて焼成される。焼成は、酸素含有ガスの存在下に好ましくは400〜650℃、特に好ましくは450〜600℃にて好ましくは1〜15時間、特に好ましくは、3〜12時間にて行われる。焼成は、雰囲気焼成炉を用いることができる。雰囲気焼成炉としては、例えば、固定床反応器に触媒を充填し雰囲気ガスの流通下で外部から加熱する方法、前記固定床反応器が熱交換型である方法、マッフル炉内部に雰囲気ガスを流通する方法、トンネル炉内部に雰囲気ガスを流通する方法、キルン炉内部に雰囲気ガスを流通する方法等を用いることができる。焼成における雰囲気ガス流量の制御の容易さを考慮すると、好ましくは固定床反応器に触媒を充填し雰囲気ガスの流通下で外部から加熱する方法、より好ましくは熱交換型固定床反応器に触媒を充填し雰囲気ガスの流通下で外部から加熱する方法を用いることができる。雰囲気ガスは、空気のほか、空気と窒素などの不活性ガスの混合気体を用いることができる。経済的に有利なことから、好ましくは空気を用いることができる。
本発明で製造される触媒を使用し、オレフィン、第3級ブチルアルコール、又はメチル第3級ブチルエーテルを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化し、それぞれ対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造する方法は、既存の方法により行うことができる。例えば、反応器としては、固定床管型反応器を用いて行われる。この場合、反応は、反応器を通じて単流通法でもリサイクル法であってもよく、この種の反応に一般的に使用される条件下で実施できる。
例えば、プロピレン1〜15容量%、分子状酸素3〜30容量%、水蒸気0〜60容量%、窒素、炭酸ガスなどの不活性ガス20〜80容量%などからなる混合ガスを、内径が好ましくは15〜50mmの各反応管に充填した触媒層に250〜450℃、0.1〜1MPaの加圧下、空間速度(SV)300〜5000hr-1で導入される。また、本発明では、より生産性を上げるために高負荷反応条件下、例えば、より高い原料濃度、又は高い空間速度の条件下でも運転することもできる。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定して解釈されるものでないことはもちろんである。なお、下記において、転化率、選択率、収率は、次の式で算出される。また、触媒の落下強度は下記により求めたものである。
・転化率(モル%):(反応したプロピレンのモル数/供給したプロピレンのモル数)×100
・選択率(モル%):((生成したアクロレインのモル数+生成したアクリル酸のモル数)/反応したプロピレンのモル数)×100
・収率(モル%):((生成したアクロレインのモル数+生成したアクリル酸のモル数)/供給したプロピレンのモル数)×100
・落下強度 :垂直に立てた内径25mm、長さ1mのステンレス鋼製パイプ内をその上部から触媒20gを落下させ、厚さ2mmのステンレス鋼製の板で受け止め、板上に残った触媒重量を測り、10メッシュの篩いでふるい分け、以下の式により落下強度を求めた。
落下強度(%)=(篩上に残った触媒重量/落下させた触媒重量)×100
・選択率(モル%):((生成したアクロレインのモル数+生成したアクリル酸のモル数)/反応したプロピレンのモル数)×100
・収率(モル%):((生成したアクロレインのモル数+生成したアクリル酸のモル数)/供給したプロピレンのモル数)×100
・落下強度 :垂直に立てた内径25mm、長さ1mのステンレス鋼製パイプ内をその上部から触媒20gを落下させ、厚さ2mmのステンレス鋼製の板で受け止め、板上に残った触媒重量を測り、10メッシュの篩いでふるい分け、以下の式により落下強度を求めた。
落下強度(%)=(篩上に残った触媒重量/落下させた触媒重量)×100
実施例1
パラモリブデン酸アンモン155.6gを加温した純水500mlに溶解させた。次に硝酸第二鉄29.7g、硝酸コバルト85.5g、及び硝酸ニッケル42.7gを加温した純水150mlに溶解させた。これらの溶液を、充分に撹拌しながら徐々に混合してスラリーを調製した。次に、純水40mlにホウ砂1.4g及び硝酸カリウム0.74gを加温下に溶解させて、上記スラリーに加えた。次に、シリカ66.2gを加えて、充分に撹拌した。続いて純水20mlに硝酸3.0mlを加えてさらに硝酸ビスマス35.6gを加えて、撹拌混合した。
パラモリブデン酸アンモン155.6gを加温した純水500mlに溶解させた。次に硝酸第二鉄29.7g、硝酸コバルト85.5g、及び硝酸ニッケル42.7gを加温した純水150mlに溶解させた。これらの溶液を、充分に撹拌しながら徐々に混合してスラリーを調製した。次に、純水40mlにホウ砂1.4g及び硝酸カリウム0.74gを加温下に溶解させて、上記スラリーに加えた。次に、シリカ66.2gを加えて、充分に撹拌した。続いて純水20mlに硝酸3.0mlを加えてさらに硝酸ビスマス35.6gを加えて、撹拌混合した。
このスラリーを加熱乾燥した後、空気雰囲気で300℃/1時間の熱処理に付した。得られた粒状固体に純水を加え湿式粉砕し、得られたスラリーを噴霧乾燥機にて入口温度300℃、出口温度125℃の条件で乾燥した。得られた乾燥物の含水率を測定したところ1.5重量%であった。
上記乾燥物にグラファイト1.5重量%添加し、打錠成型機にて外径6mm、内径3mm、高さ4mmの錠剤に成型した。
上記乾燥物にグラファイト1.5重量%添加し、打錠成型機にて外径6mm、内径3mm、高さ4mmの錠剤に成型した。
次に打錠成型品を焼成容器に入れ、少量の空気を流通させながら510℃、4時間の焼成を行い、複合酸化物触媒を製造した。
仕込み原料から計算される触媒は、次の原子比を有する複合酸化物である。
Mo:Bi:Co:Ni:Fe:Na:B:K:Si=12:1:4:2:1:0.1:0.2:0.1:15
この触媒の落下強度を測定したところ、98.5%であった。
この触媒30mlを内径20mmのステンレス鋼製ナイタージャケット付反応管に充填し、プロピレン8容量%、空気67容量%、水蒸気25容量%の混合ガスをSV1800(hr-1)で導入し、反応浴温310℃でプロピレンの酸化反応を実施したところ、プロピレン転化率 98.3%、選択率 95.2%、収率 93.7%が得られた。
仕込み原料から計算される触媒は、次の原子比を有する複合酸化物である。
Mo:Bi:Co:Ni:Fe:Na:B:K:Si=12:1:4:2:1:0.1:0.2:0.1:15
この触媒の落下強度を測定したところ、98.5%であった。
この触媒30mlを内径20mmのステンレス鋼製ナイタージャケット付反応管に充填し、プロピレン8容量%、空気67容量%、水蒸気25容量%の混合ガスをSV1800(hr-1)で導入し、反応浴温310℃でプロピレンの酸化反応を実施したところ、プロピレン転化率 98.3%、選択率 95.2%、収率 93.7%が得られた。
比較例1
噴霧乾燥機の出口温度を160℃とした以外は実施例1と同様に触媒を調製した。乾燥物の含水率は0.2重量%であった。この触媒の落下強度を測定したところ、90.1%であった。
実施例1と同様にプロピレンの酸化反応を実施したところ、プロピレン転化率97.9%、選択率 95.0%、収率 93.0%であった。
噴霧乾燥機の出口温度を160℃とした以外は実施例1と同様に触媒を調製した。乾燥物の含水率は0.2重量%であった。この触媒の落下強度を測定したところ、90.1%であった。
実施例1と同様にプロピレンの酸化反応を実施したところ、プロピレン転化率97.9%、選択率 95.0%、収率 93.0%であった。
比較例2
噴霧乾燥機の出口温度を95℃とした以外は実施例1と同様に触媒を調製した。得られた乾燥物の含水率は5.0重量%であった。
この触媒の落下強度を測定したところ、91.5%であった。
実施例1と同様にプロピレンの酸化反応を実施したところ、プロピレン転化率97.8%、選択率 94.8%、収率 92.7%であった。
噴霧乾燥機の出口温度を95℃とした以外は実施例1と同様に触媒を調製した。得られた乾燥物の含水率は5.0重量%であった。
この触媒の落下強度を測定したところ、91.5%であった。
実施例1と同様にプロピレンの酸化反応を実施したところ、プロピレン転化率97.8%、選択率 94.8%、収率 92.7%であった。
本発明の方法により製造された触媒は、オレフィン、第3級ブチルアルコール、又はメチル第3級ブチルエーテルを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してそれぞれ対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造するために使用される。製造された不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸は、各種化学品の原料、汎用樹脂のモノマー、吸水性樹脂などの機能性樹脂のモノマー、凝集剤、増粘剤となどとして広範な用途に使用される。
Claims (5)
- オレフィン、第3級ブチルアルコール、又はメチル第3級ブチルエーテルを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してそれぞれ対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造する際に使用される、モリブデン、ビスマス、及び鉄を少なくとも含む複合酸化物触媒の製造方法であって、上記触媒成分を含む混合溶液又は水性スラリーを乾燥し、得られる乾燥物の含水率を0.3〜4重量%に調整し、打錠成型して成型体とすることを特徴とする不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法。
- 成型体は、外径が3〜10mm、内径が外径の0.1〜0.7倍、長さが外径の0.5〜2倍であり、かつ長さ方向に開口しているリング状である請求項1に記載の不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法。
- 複合酸化物触媒が下記式(1)を有する請求項1又は2に記載の不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法。
MoaBibCocNidFeeXfYgZhQiSijOk (1)
(式中、Xは、Na、K、Rb、Cs及びTlからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yは、B、P、As及びWからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zは、Mg、Ca、Zn、Ce及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Qはハロゲンである。また、a〜kはそれぞれの元素の原子比を表わし、a=12の時、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10、c+d=1〜10、e=0.05〜3、f=0.0005〜3、g=0〜3、h=0〜1、i=0〜0.5、j=0〜40の範囲にあり、また、kは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。) - 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法で得られた触媒を使用してオレフィン、第3級ブチルアルコール、又はメチル第3級ブチルエーテルを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してそれぞれ対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造する方法。
- オレフィンがプロピレンであり、不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸がそれぞれ、アクロレイン及びアクリル酸である請求項4の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004350643A JP2005186064A (ja) | 2003-12-04 | 2004-12-03 | 不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003405586 | 2003-12-04 | ||
JP2004350643A JP2005186064A (ja) | 2003-12-04 | 2004-12-03 | 不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005186064A true JP2005186064A (ja) | 2005-07-14 |
Family
ID=34797577
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004350643A Pending JP2005186064A (ja) | 2003-12-04 | 2004-12-03 | 不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005186064A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007105716A (ja) * | 2005-09-16 | 2007-04-26 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | メタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒の製造方法 |
JP2008155126A (ja) * | 2006-12-22 | 2008-07-10 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 金属成分含有触媒の製造方法 |
JP2012020240A (ja) * | 2010-07-15 | 2012-02-02 | Nippon Shokubai Co Ltd | 不飽和アルデヒドおよび不飽和カルボン酸製造用触媒とその製造方法、および不飽和アルデヒドおよび不飽和カルボン酸の製造方法 |
JP2017060909A (ja) * | 2015-09-24 | 2017-03-30 | 三菱化学株式会社 | 複合酸化物触媒 |
-
2004
- 2004-12-03 JP JP2004350643A patent/JP2005186064A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007105716A (ja) * | 2005-09-16 | 2007-04-26 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | メタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒の製造方法 |
JP2008155126A (ja) * | 2006-12-22 | 2008-07-10 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 金属成分含有触媒の製造方法 |
JP2012020240A (ja) * | 2010-07-15 | 2012-02-02 | Nippon Shokubai Co Ltd | 不飽和アルデヒドおよび不飽和カルボン酸製造用触媒とその製造方法、および不飽和アルデヒドおよび不飽和カルボン酸の製造方法 |
JP2017060909A (ja) * | 2015-09-24 | 2017-03-30 | 三菱化学株式会社 | 複合酸化物触媒 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101513300B1 (ko) | 불포화 알데히드 및/또는 불포화 카르복실산의 제조법 | |
KR102422025B1 (ko) | 불포화 알데히드 및/또는 불포화 카본산 제조용 촉매 및 그의 제조 방법 그리고 불포화 알데히드 및/또는 불포화 카본산의 제조 방법 | |
KR20160004252A (ko) | 불포화 알데히드 및/또는 불포화 카르복실산 제조용 촉매의 제조 방법, 및 불포화 알데히드 및/또는 불포화 카르복실산의 제조 방법 | |
JP4242597B2 (ja) | 不飽和アルデヒド合成用触媒とその製造方法、およびその触媒を用いた不飽和アルデヒドの製造方法 | |
JP4424180B2 (ja) | 不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸製造用触媒の製造方法 | |
JP4442317B2 (ja) | 複合酸化物触媒の製造方法 | |
JP2006007205A (ja) | 複合酸化物触媒及びその製造方法 | |
JP6504774B2 (ja) | アクリル酸製造用の触媒および該触媒を用いたアクリル酸の製造方法 | |
US20050261520A1 (en) | Process for producing catalyst for production of unsaturated carboxylic acid | |
JP2005169311A (ja) | 複合酸化物触媒の製造方法 | |
JP3797148B2 (ja) | メタクリル酸製造用触媒の製造方法およびメタクリル酸の製造方法 | |
JP2005186064A (ja) | 不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造用触媒の製造方法 | |
JP6845473B2 (ja) | 触媒の製造方法 | |
JP5069152B2 (ja) | 不飽和カルボン酸合成用触媒、その製造方法、およびその触媒を用いた不飽和カルボン酸の製造方法 | |
JP2005305421A (ja) | 複合酸化物触媒の製造方法 | |
JP2005187460A (ja) | 不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造方法 | |
JP4811977B2 (ja) | メタクリル酸合成用触媒の製造方法 | |
JP6136436B2 (ja) | 触媒の製造方法 | |
WO2005053839A1 (ja) | 不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸製造用触媒及びその製造方法 | |
US7279442B2 (en) | Process for producing catalyst for production of unsaturated aldehyde and unsaturated carboxylic acid | |
JP2005161309A (ja) | 複合酸化物触媒の製造方法 | |
JP4970986B2 (ja) | 複合酸化物触媒の製造方法および該触媒を用いた不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸の製造方法 | |
JP6487242B2 (ja) | アクリル酸製造用触媒の製造方法とその触媒、ならびに該触媒を用いたアクリル酸の製造方法 | |
WO2005113139A1 (ja) | 複合酸化物触媒及びその製造方法 | |
WO2005089943A1 (ja) | 複合酸化物触媒の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070711 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081007 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090224 |