JP6136436B2 - 触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不飽和アルデヒドを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化して対応する不飽和カルボン酸を製造する触媒の製造方法に関する。
アクロレインやメタクロレイン等の不飽和アルデヒドを分子状酸素により気相接触酸化して、アクリル酸やメタクリル酸等の不飽和カルボン酸を製造するための複合酸化物触媒の1つとして、モリブデン及びバナジウムを活性元素として含むMo−V系触媒が知られている。
このMo−V系触媒は、触媒を構成する各元素の供給源となる化合物(供給源化合物)を一体化して前駆化合物を調製し、必要に応じて乾燥、成形等の工程を経た後、焼成することにより製造される。
焼成条件としては、一般的に供給源化合物を混合し、乾燥して得られた触媒の前駆化合物を、必要に応じて成形した後、300℃〜500℃程度で1〜10時間焼成する方法が知られている(特許文献1、2等)。触媒前駆体中のアンモニウム塩等は一般的な焼成条件によって容易に除去され得る。
特公平6−9658号公報 特開2008−238098号公報
しかしながら、触媒の前駆化合物の構成成分が異なると、最適な焼成温度や焼成時間が異なる場合があった。また、活性を向上させる目的で、単に触媒の前駆化合物中のモリブデン含有量を多くすると、通常、選択性が低下する。
そこで、この発明は、焼成条件に影響する条件を見出し、モリブデン含有量を多くすることにより活性を向上させる一方で、高い選択性を維持または向上させる適切な焼成条件を見出すことを目的とする。
本発明者らは、焼成工程について研究を重ねた結果、不飽和アルデヒドを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化して対応する不飽和カルボン酸を製造する触媒の製造方法において、上記触媒として下記式(1)で示される複合酸化物触媒を用い、上記触媒を触媒の前駆化合物を焼成することにより製造し、かつ、上記焼成工程における酸素濃度と上記触媒前駆化合物に含まれるモリブデンの含有割合と硫酸根の含有割合との関係が下記式(2)を満たすことにより、上記課題を解決したのである。
(Mo)12(V)(X)(Cu)(Y)(Sb)(Z)(Si)(C)(O) (1)
(式中、各成分及び変数は次の意味を有する。XはNb、Wから選ばれた少なくとも一種の元素を示す。YはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選ばれた少なくとも一種の元素を示す。ZはFe、Co、Ni、Biから選ばれた少なくとも一種の元素を示す。但し、Mo、V、Nb、W、Cu、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Sb、Fe、Co、Ni、
Bi、Si、C及びOは元素記号である。a、b、c、d、e、f、g、h及びiは各元素の原子比を示し、0<a≦12、0≦b≦12、0<c≦12、0≦d≦8、0≦e≦500、0≦f≦500、0≦g≦500、0≦h≦500、iはCを除いた上記各元素の酸化度によって決まる数である。)
0.025≦酸素濃度/(硫酸根含有割合×モリブデン含有割合)≦0.15 (2)
(式中、酸素濃度は焼成工程における酸素濃度(体積%)を示し、硫酸根含有割合は、触媒の前駆化合物中の硫酸根の含有割合(重量%)を示し、モリブデン含有割合は、触媒の前駆化合物中のモリブデンの含有割合(重量%)を示す。)
また、上記触媒の前駆化合物に含まれるモリブデン含有割合を12重量%以上40重量%以下とする。更に、前記触媒の前駆化合物中の硫酸根含有量を、0.5〜5重量%とする。
さらに、前記前駆化合物を用いて製造された触媒により、アクロレインを分子状酸素で気相接触酸化してアクリル酸を製造することができる。
焼成工程における酸素濃度、並びに触媒の前駆化合物中の硫酸根含有割合及びモリブデン含有割合の間に所定の関係を満たすことにより、得られる触媒の選択率及び収率をより高くし、活性を向上させることができる。
この発明にかかる触媒(以下、「本件触媒」と称する場合がある。)の製造方法は、不飽和アルデヒドを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化して対応する不飽和カルボン酸を製造する触媒の製造方法である。
上記本件触媒は、触媒の前駆化合物(以下、「触媒前駆化合物」と称する場合がある。)を焼成することにより製造される、下記式(1)で示される複合酸化物触媒である。
(Mo)12(V)(X)(Cu)(Y)(Sb)(Z)(Si)(C)(O) (1)
なお、式中、各成分及び変数は次の意味を有する。XはNb、Wから選ばれた少なくとも一種の元素を示す。YはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選ばれた少なくとも一種の元素を示す。ZはFe、Co、Ni、Biから選ばれた少なくとも一種の元素を示す。特に、XはNbであることが好ましく、ZはNiであることが好ましい。
但し、Mo、V、Nb、W、Cu、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Sb、Fe、Co、Ni、Bi、Si、C及びOは元素記号である。
また、a、b、c、d、e、f、g、h及びiは各元素の原子比を示し、0<a≦12、0≦b≦12、0<c≦12、0≦d≦8、0≦e≦500、0≦f≦500、0≦g≦500、0≦h≦500、iは上記式(1)の元素のうち、Cを除いた上記各元素の酸化度によって決まる数である。a、b、c、d、e、f、g及びhのより好ましい値は、0<a≦12、0<b≦12、0<c≦12、0≦d≦8、0≦e≦500、0≦f≦500、0≦g≦500、0≦h≦500である。さらに、特に好ましい値は、0.1≦a≦6、0.1≦b≦6、0.1≦c≦6、0.01≦d≦6、5≦e≦300、5≦f≦300、1≦g≦300、5≦h≦300である。さらに0.8≦c≦1.6のとき本発
明での効果が大きい。
なお、a〜iは、Mo原子を12としたときの値であり、場合によっては、自然数でない場合がある。
本件触媒の製造方法において、焼成工程に付される原料である触媒前駆化合物は、通常には、供給源化合物を一体化させる工程を含む方法により得られる。
この「供給源化合物」とは、上記本件触媒を構成する元素を供給するための化合物である。また、「供給源化合物を一体化する」とは、本件触媒を構成する元素の供給源化合物を、水性媒体系において混合し、必要に応じて熟成処理することをいう。
すなわち、供給源化合物を一体化する方法としては、(イ)供給源化合物を一括して混合する方法、(ロ)供給源化合物を一括して混合し、さらに熟成処理する方法、(ハ)供給源化合物を段階的に混合する方法、(ニ)供給源化合物を段階的に混合し、さらに熟成処理する方法を繰り返す方法、及び(イ)〜(ニ)を組み合わせた方法が含まれる。
なお、「熟成」とは、化学大辞典(共立出版)にも記載があるように、「工業原料又は半製品を、一定時間、一定温度等の特定条件の下もとに処理して必要とする物理性、化学性の取得、上昇あるいは所定反応の進行等をはかる操作」をいう。本発明においては、上記一定時間は1分〜24時間の範囲であり、上記の一定温度は室温〜200℃の範囲である。
上記供給源化合物は、少なくとも本件触媒を構成する元素の酸化物、又は炭化ケイ素化合物を除き、少なくとも酸素の存在で加熱により酸化物に転化可能である化合物であればよい。
例えば、Mo及びVの供給源化合物としては、これらの元素の酸化物、ハロゲン化物、アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム塩、硫酸塩、亜硫酸塩、水酸化物、水素酸を用いることができる。また、これらの元素の有機酸塩を使用することもできる。有機酸塩としては、カルボン酸塩、カルボン酸アンモニウム塩、アセチルアセトナート、アルコキシド等が挙げられる。
Moの供給源化合物の具体例としては、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、モリブデン酸、ケイモリブデン酸アンモニウム等が挙げられる。また、Vの供給源化合物の具体例としては、バナジン酸アンモニウム、五酸化バナジウム、シュウ酸バナジウム、硫酸バナジウム等が挙げられる。
また、本件触媒にMo、V以外の元素を含む場合に使用する各元素の供給源化合物は、触媒を構成する元素の供給源化合物として通常用いられる化合物を適宜選択して用いればよい。
上記式(1)で表される本件触媒を製造するために使用する、Mo及びV以外の元素の供給源化合物としては、炭素の供給源化合物を除き、各元素の酸化物、ハロゲン化物、アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム塩、水素酸、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、水酸化物、並びにカルボン酸塩等の有機酸塩を使用することができる。
例えば、Nbの供給源化合物としては、水酸化ニオブ、シュウ酸ニオブアンモニウム化合物、ニオブアンモニウム等が挙げられ、Cuの供給源化合物としては、硫酸銅、硝酸銅、塩化第一銅等が挙げられ、Sbの供給源化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン等が挙げられ、Niの供給源化合物としては、塩基性炭酸ニッケル、酸化ニッケル、硝酸ニッケル、水酸化ニッケル等が挙げられ、Siの供給源化合物としては、コロイダルシリカ、粉状シリカ、粒状シリカ等が挙げられる。
また、Si及びCの供給源化合物としては、緑色炭化ケイ素、黒色炭化ケイ素等を使用することができ、これらの炭化ケイ素は微粉体のものが好ましい。
また、本件触媒の製造方法においては、触媒を構成する元素の一部を含む複合酸化物を前形成しておき、これを供給源化合物として使用することもできる。例えば、本件触媒がSb及びNiを含む場合には、Sb−Ni−Oで示される複合酸化物を、Sb、Ni及びSiを含む場合にはSb−Ni−Si−Oで示される複合酸化物を、それぞれ供給源化合物として使用することが好ましい。
また、供給源化合物を一体化する際には、アルミナ、ムライト、耐火酸化物等の担体材料も供給源化合物と一緒に混合して一体化することができる。
供給源化合物を一体化させる方法について、好ましい具体的態様を以下に挙げる。まず、供給源化合物の水溶液又は水分散液(以下、「スラリー溶液」と称することがある。)を調製する。このスラリー溶液は、供給源化合物を水と均一に混合して得ることができる。スラリー溶液における供給源化合物の使用割合は、製造する本件触媒の構成元素の原子比に応じて決定すればよい。
上記スラリー溶液における水の量は、各供給源化合物を完全に溶解又は均一に分散できる量であれば特に限定されないが、例えば、後述する乾燥の条件を勘案して適宜に決定することができる。水の量は、通常、各供給源化合物の合計100重量部に対して100〜2000重量部である。水の量が上記所定量未満の少量では化合物を完全に溶解できず、又は均一に混合できないことがある。また、水の量が多量であれば、熱処理時のエネルギーコストがかさむおそれがある。スラリー溶液の調製過程における混合や攪拌を通じて、供給源化合物の一体化は進行するが、一体化をさらに促進するために、好ましくは室温〜200℃、特に好ましくは70〜100℃で、好ましくは1分〜24時間、特に好ましくは30分〜6時間、熟成処理するのが好ましい。
そして、このスラリー溶液を乾燥することにより、上記触媒前駆化合物を得ることができる。この乾燥は、通常の方法により行うことができ、スラリー溶液を充分に乾燥でき、粉体が得られる方法であれば特に制限されない。例えばドラム乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等が好ましい方法として挙げられる。噴霧乾燥は、スラリー溶液から短時間に均質な粉体状態に乾燥することができるので、本発明に好ましく適用できる方法である。
上記乾燥の温度は、スラリー溶液における供給源化合物の濃度等によっても異なるが、通常90〜200℃、好ましくは130〜170℃にて行われる。かかる乾燥により得られる粉体の粒径は、好ましくは10〜200μmとなるようにするのが好ましい。このため、乾燥後、粉体を粉砕することもできる。
得られた上記触媒前駆化合物は、そのまま焼成してもよいが、成形工程を行ってから焼成することが好ましい。この成形工程は、通常の方法、例えば、(A)打錠成形、(B)押出成形、(C)担持成形等の方法により行われる。成形体の形状は、好ましくは球状、円柱状、リング状等の適宜の形状である。
成形をする際には、バインダー(成形助剤)を使用することができる。例えば、打錠成形する場合には、シリカ、グラファイト、結晶性セルロース等のバインダーを上記触媒前駆化合物100重量部に対して好ましくは約0.01〜50重量部程度使用することが好ましい。また、押出成形する場合には、シリカゲル、珪藻土、アルミナ粉末等のバインダーを上記触媒前駆化合物100重量部に対して、好ましくは約0.01〜50重量部程度使用することが好ましい。また、必要によりセラミックス繊維、ウイスカー等の無機繊維を触媒粒子の機械的強度向上材として用いることもできる。しかし、チタン酸カリウムウイスカーや塩基性炭酸マグネシウムウイスカーのような触媒成分と反応する繊維は好まし
くない。強度向上のためには、セラミックス繊維が特に好ましい。これらの繊維の使用量は、粉体100重量部に対して好ましくは1〜30重量部である。上記バインダー及び機械的向上剤は、通常、予め上記触媒前駆化合物と混合して用いられる。
また、上記バインダーとして、セルロースやポリビニルアルコール等の高分子化合物を用いることができる。これらの高分子化合物は、供給源化合物を混合し、必要に応じて乾燥等をして得た上記触媒前駆化合物を成形する際に添加することが好ましい。また、この場合、高分子化合物の添加量は、焼成前の乾燥状態の触媒前駆化合物に対し、0.01〜10質量%であることが好ましい。
上記の触媒前駆化合物又はその成形体は、焼成工程を行うことにより、本件触媒とすることができる。この焼成工程は、焼成温度が300〜450℃かつ保持時間が0.5〜10時間であることを特徴とする。焼成温度が300℃未満の場合は、触媒の活性相が十分に形成されないおそれがある。一方、焼成温度が450℃以上の場合は、触媒の活性相が分解するおそれがある。また、保持時間が0.5時間未満の場合には、活性相が十分に形成されないおそれがある。一方、保持時間が10時間を超える場合には不経済である。
上記焼成工程は、分子状酸素の存在下で行われる。このときの分子状酸素の焼成工程内の必要な濃度(体積%)は、上記触媒前駆化合物に含まれる硫酸根及びモリブデンの含有割合(重量%)に影響を受ける。具体的には、下記式(2)の条件を満たす必要がある。
0.025≦α≦0.15 (2)
なお、上記式(2)において、αは、「酸素濃度/(硫酸根含有割合×モリブデン含有割合)」を示す。ここで、酸素濃度は焼成工程における酸素濃度(体積%)を示し、硫酸根割合は、触媒の前駆体化合物中の硫酸根含有割合(重量%)を示し、モリブデン含有割合は、触媒の前駆体化合物中のモリブデンの含有割合(重量%)を示す。
上記αの値は、0.025以上とすることで、アクリル酸の選択率を高くすることができる。さらに、上記αの値は、0.15以下とすることでアクロレイン転化率を高くすることができる。その場合、反応温度を下げることができ、その結果、触媒の長期運転が期待される。上記αの値は0.025以上、0.08以下が好ましい。
高い触媒性能の発現にはMoを主成分とする複合酸化物の酸化状態の制御は重要である。反応に適切な酸化状態にするには、焼成においてモリブデン含有割合に比例して酸素濃度を高くする必要がある。また、硫酸根は焼成温度付近で分解し、その際にMoを主成分とする複合酸化物の表面を還元する。そのため硫酸根含有割合に比例して酸素濃度を高くし、硫酸根により還元された表面を酸化する必要がある。ただし、酸素濃度の好ましい上限としては、燃焼時の流通気体中の10容量%である。10容量%より多いと、Moを主成分とする複合酸化物が過度に酸化され、触媒性能が低下するという問題が生じる場合がある。
また、上記モリブデン含有割合は、上記式(1)の元素構成比の範囲内であることを前提として、その割合を調整すればよい。その含有割合の下限は、前駆化合物に対し、12重量%以上であり、15重量%以上がより好ましい。12重量%以上とすることにより、アクロレイン転化率を向上させることができ、反応原料であるアクロレインの負荷をあげることができる。一方、上記その含有割合の上限としては、前駆化合物に対し、40重量%以下であり、30重量%以下が好ましく、25重量%以下がさらに好ましい。40重量%より多いと、アクリル酸選択率が低下するという問題点を生じる場合がある。また、前記の好ましい範囲内とすることにより、α(酸素濃度/(硫酸根含有割合×モリブデン含有割合))を本発明の範囲としたときに、効果をさらに発揮することができる。
また、焼成後の触媒におけるモリブデン含有割合は13重量%以上が好ましく、17重量%以上がより好ましい。13重量%以上とすることにより、アクロレイン転化率を向上させることができ、反応原料であるアクロレインの負荷をあげることができる。一方、焼成後の触媒におけるモリブデン含有割合の下限は、50重量%以下であり、40重量%以
下が好ましい。50重量%より多いと、アクリル酸選択率が低下するという問題点を生じる場合がある。
ところで、硫酸根は触媒原料中のSO、SOを意味し、上記硫酸根含有割合は、触媒前駆化合物の重量に対して、触媒原料中のSO、SOの合計をSOとして換算した重量が占める割合を示す。上記した各元素の供給源化合物として硫酸塩や亜硫酸塩を使用した場合に触媒前駆化合物中に硫酸根を含有する。また、硫酸や硫酸アンモニウム等の金属を含有しない硫酸化合物によっても添加することができる。特に硫酸根としてSO4を用いると本発明での効果が大きい。上記硫酸根含有割合を調整するには、使用する供給源化合物の種類を調整することにより、硫酸根含有割合を所定範囲内にすることができる。以上に列挙された化合物、装置等は、市販のもの、本技術分野において通常用いられるものを使用することができる。焼成工程に供する触媒前駆化合物又はその成形体中の硫酸根の含有量は、触媒前駆体化合物全量に対して、0.5〜5重量%がMoを主成分とする複合酸化物の酸化状態を制御する点で好ましい。
以上の方法で製造される本件触媒は、不飽和アルデヒドを分子状酸素又は分子状酸素含有ガスを使用して気相接触酸化し、対応する不飽和カルボン酸を製造するための触媒として、好ましくはアクロレインを酸化して、アクリル酸を製造するための触媒として使用することができる。すなわち、オレフィン、例えばプロピレンの気相接触酸化によりアクリル酸を製造する工程を、オレフィンの酸化による不飽和アルデヒドの製造及びその酸化による不飽和カルボン酸の製造の2工程に分割して実施する場合に、後段反応に用いる触媒として本件触媒は有用である。
不飽和アルデヒドを分子状酸素又は分子状酸素含有ガスを使用して気相接触酸化し、対応する不飽和カルボン酸を製造するためには、既存の方法を使用することができる。例えば、反応器としては、固定床管型反応器を用いることができる。この場合、反応は、反応器を通じて単流通法を用いてもリサイクル法を用いても行うことができ、この種の反応に一般的に使用される条件下で実施できる。
例えば、アクロレイン1〜15体積%、分子状酸素0.5〜25体積%、水蒸気0〜40体積%、窒素、炭酸ガス等の不活性ガス20〜80体積%等からなる混合ガスを、内径が好ましくは15〜50mmの各反応管の各反応帯に充填したMo−V系触媒層に250〜450℃、0.1〜1MPaの加圧下、空間速度(SV)300〜15000hr−1で導入することにより、アクリル酸を製造することができる。本発明では、より生産性を上げるために高負荷反応条件下、例えば、より高い原料ガス度、又は高い空間速度の条件下で運転することもできる。かくして、本発明で製造された上記本件触媒により、高選択率及び高収率でアクリル酸を製造することができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げてこの発明を詳細に説明する。なお、この発明はその趣旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
アクロレイン転化率、アクリル酸選択率、アクリル酸収率は、下記の式(3)〜(5)のように定義する。
(3)アクロレイン転化率(モル%)=100×(反応したアクロレインのモル数)/(供給したアクロレインのモル数)
(4) アクリル酸選択率(モル%)=100×(生成したアクリル酸モル数)/(転化
したアクロレインモル数)
(5) アクリル酸収率(モル%)=100×(生成したアクリル酸モル数)/(供給し
たアクロレインモル数)
<測定方法>
[アクロレイン転化率、アクリル酸選択率]
得られた触媒を20〜28メッシュに粉砕し整粒したもの0.3gを、内径4mmのU字型反応管に充填し、この反応管を加熱したナイター浴に入れて組成ガス(アクロレイン5体積%、酸素8体積%、スチーム15体積%、窒素ガス72体積%)を導入し、SV(空間速度;単位時間当たりの原料ガスの流量/充填した触媒の見かけ容積)を14900/hrとして反応させた。
因みに、ナイター浴は、アルカリ金属の硝酸塩からなる熱媒体に反応管を入れて反応させる塩浴をいい、この熱媒体は200℃以上で溶融し、400℃まで使用可能で除熱効率がよいので、発熱量の大きな酸化反応に適した反応浴である。
〔実施例1〜4、比較例1〜4〕
酸素を除く構成成分の実験式が表1に示す組成である複合金属酸化物を以下のようにして製造した。なお、使用した各供給源化合物の量は、表1に示す量である。
塩基性炭酸ニッケルを純水に分散させ、これにシリカ及び三酸化アンチモンを加えて十分に撹拌した。
このスラリー状液を加熱して濃縮し、乾燥した。得られた乾燥固体をマッフル炉にて800℃で3時間焼成し、生成固体を粉砕して60メッシュ篩を通過する粉体を得た。(Sb−Ni−Si−O粉末)。
一方、純水を80℃に加熱し、パラモリブデン酸アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウムを順次攪拌しながら溶解した。これに硫酸銅を純水70mlに溶解させた硫酸銅水溶液を加え、さらに水酸化ニオブを加えて攪拌し、スラリー液を得た。
このスラリー液に、上記Sb−Ni−Si−O粉末を撹拌しながら徐々に加えて充分に撹拌混合した。このスラリー状液を130℃に加熱して乾燥し前駆化合物を得た。この乾燥品を粉砕して24メッシュ以下として、これに1.5重量%のグラファイトを添加混合し、小型打錠成形機にて成形した。
得られた成形体を表1の焼成温度で成形体を焼成し、触媒を製造した。
得られた触媒を用いてアクロレイン転化率、アクリル酸選択率を測定した。結果を表1に示す。熱媒温度はアクロレイン転化率が99%となるよう調整した。
Figure 0006136436
実施例1と比較例1との比較、および実施例3と比較例3および比較例4との比較により、αを0.025以上とすることでアクリル酸選択率が向上することがわかる。実施例2と比較例2との比較により、αを0.15以下とすることで低い熱媒温度でアクロレイン転化率を99%とすることができる。すなわちアクロレイン転化の活性が向上することがわかる。実施例3と実施例4の比較により、αを0.08以下とすることで、より低い熱媒温度でアクロレイン転化率を99%とすることができる。すなわちアクロレイン転化の活性がさらに向上していることがわかる。
以上の結果から、焼成工程において、上記式(2)の条件を満たすことにより、アクロレインの気相接触酸化反応を効率よく行なえる活性の高い触媒を製造できるため、触媒単位あたりのアクロレイン転化量が向上し、さらに触媒のアクリル酸選択率も改良されることが分かる。

Claims (4)

  1. 不飽和アルデヒドを分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化して対応する不飽和カルボン酸を製造する触媒の製造方法において、
    上記触媒は、下記式(1)で示される複合酸化物触媒であり、
    上記触媒は、触媒の前駆化合物を焼成することにより製造され、
    上記触媒は、触媒前駆化合物に対するモリブデン含有割合が12重量%以上40重量%以下であり、かつ、焼成後の触媒におけるモリブデン含有割合が13重量%以上50重量%以下であり、
    上記焼成工程における酸素濃度は10容量%以下であり、
    上記焼成工程における酸素濃度と上記触媒前駆化合物に含まれるモリブデン含有割合と硫酸根含有割合との関係が下記式(2)を満たすことを特徴とする触媒の製造方法。
    (Mo)12(V)a(X)b(Cu)c(Y)d(Sb)e(Z)f(Si)g(C)h(O)i (1)
    (式中、各成分及び変数は次の意味を有する。XはNb、Wから選ばれた少なくとも一種の元素を示す。YはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選ばれた少なくとも一種の元素を示す。ZはFe、Co、Ni、Biから選ばれた少なくとも一種の元素を示す。但し、Mo、V、Nb、W、Cu、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Sb、Fe、Co、Ni、Bi、Si、C及びOは元素記号である。a、b、c、d、e、f、g、h及びiは各元素の原子比を示し、0<a≦12、0b≦12、0<c≦12、0≦d≦8、≦e≦500、≦f≦500、≦g≦500、0≦h≦500、iはCを除いた上記各元素の酸化度によって決まる数である。)
    0.025≦酸素濃度/(硫酸根含有割合×モリブデン含有割合)≦0.15 (2)
    (式中、酸素濃度は焼成工程における酸素濃度(体積%)を示し、硫酸根含有割合は、触媒の前駆化合物中の硫酸根含有割合(重量%)を示し、モリブデン含有割合は、触媒の前駆化合物中のモリブデンの含有割合(重量%)を示す。)
  2. 前記cは、0.8≦c≦1.6であることを特徴とする請求項1に記載の触媒の製造方法。
  3. 前記触媒の前駆化合物中の硫酸根含有量が、0.5〜5重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の触媒の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法で製造された触媒を用いて、アクロレインを分子状酸素で気相接触酸化することを特徴とするアクリル酸の製造方法。
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