JP2005169264A - 粉砕方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明はガラス、セラミックス等の固形粉末の湿式粉砕において、凝集が発生せずD90%粒径が1μm未満となる粉砕方法および粉砕物を提供することを目的とする。
【解決手段】 ガラス粉末、セラミック粉末等の固形粉末を水、アルコール類、炭化水素類等の液体によりスラリー化し、このスラリーの温度を50℃以下に保ちながら前記固形粉末を粉砕し、(D90%粒径)−(D50%粒径)≦0.30μmを満足させるようにした。
【選択図】図1
【解決手段】 ガラス粉末、セラミック粉末等の固形粉末を水、アルコール類、炭化水素類等の液体によりスラリー化し、このスラリーの温度を50℃以下に保ちながら前記固形粉末を粉砕し、(D90%粒径)−(D50%粒径)≦0.30μmを満足させるようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、ガラス、セラミックス等の固形粉末の微粉砕技術に関し、特に、凝集を防ぐ微粉砕技術に関するものである。本発明でD50%粒径とは累積分布50%(平均粒子径)の値であり、D90%粒径とは累積分布90%の値である。
従来、固形粉末の粉砕は、乾燥状態の粉砕原料を粉砕媒体で粉砕する乾式粉砕と、粉砕原料を水などの液体と混合してスラリー状としたものを粉砕媒体で粉砕する湿式粉砕とが行われていた。乾式粉砕は粉体の乾燥等の工程がなくコスト的にメリットがあるが、粉砕原料の微粉化に伴い粉砕媒体の衝突エネルギーが粉砕に使われるエネルギーに十分使われなくなり、粉砕のエネルギー効率が著しく低下するため、D90%粒径を1μm未満にすることは困難であった。
近年のエレクトロニクスの発展に伴い、電子部品の小型化、薄型化が急速に進行し、それに用いられる材料も微粉化が要求されて、D90%粒径で1μm未満の粉体が望まれるようになってきた。そこで、生産コストが高いが、より微粉化できる湿式粉砕が用いられるようになり、特に、スラリーを循環させながら粉砕を行う、「循環式媒体撹拌型粉砕機」による粉砕が用いられていた。
このような循環式媒体撹拌粉砕機は、粉砕を行うにしたがってスラリーの温度が上昇しスラリーの粘度が上がるので、スラリーの粘度を上げないために、粉砕室を冷却しスラリーを間接的に冷却する方法(特許文献1)や、スラリーに冷却装置により冷却された水を注入する方法(特許文献2)が行われていた。
しかし、最も微粉化できる循環式媒体撹拌型粉砕機で、ガラスやセラミックス等の固形粉末をスラリー状として、スラリーの粘度を管理しながら粉砕しても、D90%粒径が1μm未満とならないバッチが生じていた。
本発明者がこの原因を調査したところ、凝集が発生していることを突き止めた。そこで、この凝集の要因を鋭意研究したところ、スラリーを形成する溶媒が水であっても、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールなどのアルコール類やノナンやドデカンなどの炭化水素類等の非水系のものであっても凝集が生じ、そのデータを詳細に解析すると、スラリー温度が高くなるほど到達平均粒径が上昇していることが分かった。また、粘度とD90%粒径との関係は同じ粘度のスラリーであっても、スラリー温度が高いほどD90%粒径の値は高くなっていることも分かった。
したがって、本発明はガラス、セラミックス等の固形粉末の湿式粉砕において、凝集が発生せずD90%粒径が1μm未満となる粉砕方法および粉砕物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に対応する発明は、ガラス粉末やセラミックス粉末等の固形粉末の粉砕方法において、固形粉末を液体によりスラリー化し、このスラリーの温度を50℃以下に保ちながら前記固形粉末を粉砕する。このように、スラリー温度を50℃以下とすることによって、水系や非水系のどのような液体でスラリーを形成しても、固形粉末のD90%粒径を1μm未満とすることができる。好ましくは45℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。
固形粉末の凝集の主な要因は、ファン・デル・ワールス力によるものである。このファン・デル・ワールス力は粒子間での作用力(引力)のことであり、比相互作用力は粒径の二乗に反比例して大きくなる。したがって、粉砕を行ない粒径が小さくなるにしたがい比相互作用力が大きくなり凝集が発生しやすくなる。また、粒子の表面が活性化されることも凝集の要因となるので、スラリー温度を下げることによって、活性化エネルギーを下げ凝集の一因を抑えている。
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する固形粉末の粉砕方法において、ガラス粉末やセラミックス粉末等の固形粉末をスラリーとする液体を水、アルコール類、炭化水素類とした。水を用いて、固体粉末をスラリー状とする場合には、固体粉末の成分に水に溶出する可能性のあるアルカリ金属元素(Li、Na、K)、アルカリ土類金属元素(Mg、Ca、Sr、Ba)およびホウ素が含まれていないものが好ましい。これは溶出によって固形粉末の成分組成が変化するためであるが、凝集に影響を与えるものではなかった。すなわち、あらかじめ上記成分の水に対する溶出量を把握しておけば、組成変化は低く抑えることができる。一方、アルコール類や炭化水素類を用いてスラリーを形成する場合には、溶出しやすい成分はほとんどなかった。
請求項3に対応する発明は、固形粉末を微粉砕した粉砕物において、ガラス粉末およびセラミックス粉末のいずれかの固形粉末を、水、アルコール類および炭化水素類のいずれかの液体によりスラリー化し、このスラリーの温度を50℃以下に保ちながら前記固形粉末を微粉砕した粉砕物のD90%粒径とD50%粒径とが、(D90%粒径)−(D50%粒径)≦0.30μmの関係を満足するものとした。この関係を満たす粉砕物の粒度分布曲線は、凝集と思われるピークがほとんど見られない正規分布曲線が得られる。さらに、(D90%粒径)−(D50%粒径)≦0.20μmの関係を満足する粉砕物の粒度分布曲線は、凝集と思われるピークのない正規分布曲線を得ることができる。
本発明によれば、固形粉末が含まれるスラリー温度を50℃以下としたことにより、粉砕物の凝集を抑えることができ、固形粉末のD90%粒径を1μm未満とすることができる。
図1を参照して本発明の実施例を説明する。図1は、循環式媒体撹拌型粉砕機の概念図で0.1〜1mmφの粉砕媒体が導入可能でアジテータが備えられた粉砕室1と、粉砕室1から排出されるスラリーの温度を測定する側温部2と、この側温部2をとおってスラリー温度を調節するための熱交換器3と、この熱交換器3から排出されたスラリーを溜めるホールディングタンク4と、このホールディングタンク4から排出されるスラリーを粉砕室1へ送り出すポンプ5から形成されている。
固形粉末の微粉砕は、特定粒径以下に調整した固形粉末に水又は非水系の液体を混合しスラリーとしたものをホールディングタンク4に投入して、ポンプ5を用いてスラリーを循環させると同時に粉砕室1でアジテータと粉砕媒体により固形粉末を微粉化している。
この実施例は図1の循環式媒体撹拌型粉砕機を使用し、粉砕する固形粉末の原料と混合する液体の種類を変化させたときの例である。
まず、固形粉末はSiO2−CaO−BaO系、SiO2−CaO−BaO−Li2O系およびB2O3−ZnO−SiO2系の3種類のガラス粉末を用いた。このガラス粉末は、目開き45μmの篩を通過する粗粉砕品である。このガラス粉末と混合してスラリーとするための液体は、水、エタノールおよびイソプロピルアルコールの3種類を用いた。
そして、上記ガラス粉末と液体とを表1に示す固形分濃度となるように、10リットルのスラリーを作製し、これをホールディングタンク4に供給し、ポンプ5で循環流量を4リットル/分とし、粉砕室1内のアジテータの回転数を1800rpmとし、粉砕室1内に0.3mmφ、3kgのジルコニア製ボールの粉砕媒体を入れ、スラリー温度を30℃以上50℃以下の温度範囲となるように温度調節した低温域と、50℃を超え60℃以下の温度範囲となるように温度調節した高温域に分け湿式粉砕した結果(試料1〜27)を表1に示す。なお、微粉砕したもののD50%粒径およびD90%粒径は、日機装株式会社製のマイクロトラック粒子径分布測定装置で測定した。図2に凝集のない場合の粒度分布曲線101と凝集のある場合の粒度分布曲線102を概念的に示した。凝集のない場合は曲線101のようにピーク103のみであるが、凝集のある場合には曲線102のようにピーク104及び凝集により発生したピーク105の二つのピークが存在するようになる。
表1の結果を以下に説明する。
(SiO2−CaO−BaO系ガラス粉末のとき)
溶媒を水としたとき、スラリー温度が32℃、45℃の低温時では、D90%粒径が0.50μm、0.55μmと良好に微粉砕されていた。また、マイクロトラック粒子径分布測定装置の測定で同時に得られる粒度分布曲線を見ても、0.37μm、0.41μmをピークとする図2に示す曲線101のような粒度分布曲線が表示された。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.12μm、0.14μmであった。一方、スラリー温度が59℃の高温時では、D90%粒径が1.24μmと所望とする微粉砕がされていなかった。また、粒度分布曲線を見ても、図2に示す曲線102のような曲線となっており、凝集により発生したと見られるピーク105に相当するものがはっきりと表示され、0.49μmと1.06μmを二つのピークとするものとなっていた。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.69μmであった。
(SiO2−CaO−BaO系ガラス粉末のとき)
溶媒を水としたとき、スラリー温度が32℃、45℃の低温時では、D90%粒径が0.50μm、0.55μmと良好に微粉砕されていた。また、マイクロトラック粒子径分布測定装置の測定で同時に得られる粒度分布曲線を見ても、0.37μm、0.41μmをピークとする図2に示す曲線101のような粒度分布曲線が表示された。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.12μm、0.14μmであった。一方、スラリー温度が59℃の高温時では、D90%粒径が1.24μmと所望とする微粉砕がされていなかった。また、粒度分布曲線を見ても、図2に示す曲線102のような曲線となっており、凝集により発生したと見られるピーク105に相当するものがはっきりと表示され、0.49μmと1.06μmを二つのピークとするものとなっていた。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.69μmであった。
溶媒をエタノールとしたとき、スラリー温度が32℃、44℃の低温時では、D90%粒径が0.53μm、0.58μmと良好に微粉砕されていた。また、粒度分布曲線を見ても、0.41μm、0.41μmをピークとする曲線101のような粒度分布曲線が表示された。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.11μm、0.15μmであった。一方、スラリー温度が60℃の高温時では、D90%粒径が0.93μmと所望とする微粉砕はされていた。しかし、粒度分布曲線を見ても曲線102のような曲線となっており、0.45μmのピークと凝集により発生したと見られる0.82μmの小さなピークが表示されていた。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.38μmであった。
溶媒をイソプロピルアルコールとしたとき、スラリー温度が34℃、43℃の低温時では、D90%粒径が0.55μm、0.56μmと良好に微粉砕されていた。また、粒度分布曲線を見ても、0.41μm、0.45μmをピークとする曲線101のような粒度分布曲線が表示された。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.15μm、0.12μmであった。一方、スラリー温度が58℃の高温時では、D90%粒径が0.91μmと所望とする微粉砕はされていた。しかし、粒度分布曲線を見ても曲線102のような曲線となっており、0.45μmのピークと凝集により発生したと見られる0.82μmの小さなピークが表示されていた。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値が0.35μmであった。
この結果から、SiO2−CaO−BaO系ガラス粉末では、溶媒の種類に関係なく、スラリー温度を高温域の状態で粉砕すると凝集しやすいことが確認できた。また、溶媒に水を使用した場合、高温域でD90%粒径や粒度分布曲線から明らかに凝集が生じていることも確認できた。一方、溶媒にエタノール、イソプロピルアルコールを使用した場合、高温域で粉砕しても、所望とするD90%粒径≦0.10μmを満足するものが得られるが、粒度分布曲線に凝集による小さなピークが表示されていた。この点について、検討したところ(D90%粒径)−(D50%粒径)の差値が、0.20μm以下であれば粒度分布曲線に凝集によるピークのない正規分布の曲線を得ることがわかった。
(SiO2−CaO−BaO−Li2O系ガラス粉末のとき)
溶媒を水としたとき、スラリー温度が32℃、43℃の低温時では、D90%粒径が0.49μm、0.56μmと良好に微粉砕されていた。また、粒度分布曲線を見ても、0.37μm、0.41μmをピークとする曲線101のような粒度分布曲線が表示された。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.14μm、0.12μmであった。一方、スラリー温度が56℃の高温時では、D90%粒径が1.30μmと所望とする微粉砕がされていなかった。また、粒度分布曲線を見ても曲線102のような曲線となっており、0.49μmのピークと凝集により発生したと見られる1.06μmのピークがはっきりと表示されていた。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.71μmであった。
溶媒を水としたとき、スラリー温度が32℃、43℃の低温時では、D90%粒径が0.49μm、0.56μmと良好に微粉砕されていた。また、粒度分布曲線を見ても、0.37μm、0.41μmをピークとする曲線101のような粒度分布曲線が表示された。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.14μm、0.12μmであった。一方、スラリー温度が56℃の高温時では、D90%粒径が1.30μmと所望とする微粉砕がされていなかった。また、粒度分布曲線を見ても曲線102のような曲線となっており、0.49μmのピークと凝集により発生したと見られる1.06μmのピークがはっきりと表示されていた。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.71μmであった。
溶媒をエタノールとしたとき、スラリー温度が33℃、44℃の低温時では、D90%粒径が0.55μm、0.56μmと良好に微粉砕されていた。また、粒度分布曲線を見ても、0.41μm、0.45μmをピークとする曲線101のような粒度分布曲線が表示された。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.16μm、0.14μmであった。一方、スラリー温度が59℃の高温時では、D90%粒径が0.99と所望とする微粉砕はされていた。しかし、粒度分布曲線を見ても曲線102のような曲線となっており、0.45μmのピークと凝集により発生したと見られる0.82μmのピークが表示されていた。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値が0.45μmであった。
溶媒をイソプロピルアルコールとしたとき、スラリー温度が35℃、45℃の低温時では、D90%粒径が0.59μm、0.59μmと良好に微粉砕されていた。また、粒度分布曲線を見ても、0.41μm、0.41μmをピークとする曲線101のような粒度分布曲線が表示された。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.16μm、0.15μmであった。一方、スラリー温度が60℃の高温時では、D90%粒径が0.84μmと所望とする微粉砕はされていた。しかし、粒度分布曲線を見ても曲線102のような曲線となっていたが、0.49μmのピークと凝集により発生したと見られる0.82μmのごく僅かなピークが表示されていた。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.24μmであった。
この結果から、SiO2−CaO−BaO−Li2O系ガラス粉末でも、溶媒の種類に関係なく、スラリー温度を高温域の状態で粉砕すると凝集しやすいことが確認できた。また、溶媒が水の場合は、ガラス組成中にアルカリ成分(Li2O)を主成分として含むので、アルカリ成分が溶出していたが、低温域で凝集が発生することはなかった。さらに、粒度分布曲線についても、上記と同様の検討を行ったところ、(D90%粒径)−(D50%粒径)の差値が、0.20μm以下であれば粒度分布曲線に凝集によるピークのない曲線を得ることがわかった。ただし、(D90%粒径)−(D50%粒径)の差値が、0.24μmのものをペースト化して、塗布試験を行ったところ、ピークのないものと同様の評価結果が得られたことから、ごく僅かなピークであれば(換言すると、凝集が少なければ)、凝集のないものと同様に取り扱える。そこで、許容量を調査したところ、上記差値が0.30μm以下であればよいことがわかった。
(B2O3−ZnO−SiO2系ガラス粉末のとき)
溶媒を水としたとき、スラリー温度が32℃、43℃の低温時では、D90%粒径が0.53μm、0.54μmと良好に微粉砕されていた。また、粒度分布曲線を見ても、0.34μm、0.37μmをピークとする曲線101のような粒度分布曲線が表示された。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.17μm、0.14μmであった。一方、スラリー温度が59℃の高温時では、D90%粒径が1.19μmと所望とする微粉砕がされていなかった。また、粒度分布曲線を見ても曲線102のような曲線となっており、0.53μmのピークと凝集により発生したと見られる0.89μmのピークがはっきりと表示されていた。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.57μmであった。
溶媒を水としたとき、スラリー温度が32℃、43℃の低温時では、D90%粒径が0.53μm、0.54μmと良好に微粉砕されていた。また、粒度分布曲線を見ても、0.34μm、0.37μmをピークとする曲線101のような粒度分布曲線が表示された。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.17μm、0.14μmであった。一方、スラリー温度が59℃の高温時では、D90%粒径が1.19μmと所望とする微粉砕がされていなかった。また、粒度分布曲線を見ても曲線102のような曲線となっており、0.53μmのピークと凝集により発生したと見られる0.89μmのピークがはっきりと表示されていた。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.57μmであった。
溶媒をエタノールとしたとき、スラリー温度が35℃、45℃の低温時では、D90%粒径が0.58μm、0.56μmと良好に微粉砕されていた。また、粒度分布曲線を見ても、0.41μm、0.41μmをピークとする曲線101のような粒度分布曲線が表示された。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.17μm、0.15μmであった。一方、スラリー温度が57℃の高温時では、D90%粒径が0.84μmと所望とする微粉砕はされていた。しかし、粒度分布曲線を見ても曲線102のような曲線となっており、0.45μmのピークと凝集により発生したと見られる0.75μmの小さなピークが表示されていた。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.31μmであった。
溶媒をイソプロピルアルコールとしたとき、スラリー温度が36℃、43℃の低温時では、D90%粒径が0.54μm、0.59μmと良好に微粉砕されていた。また、粒度分布曲線を見ても、0.41μm、0.49μmをピークとする曲線101のような粒度分布曲線が表示された。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.16μm、0.14μmであった。一方、スラリー温度が58℃の高温時では、D90%粒径が0.82μmと所望とする微粉砕はされていた。しかし、粒度分布曲線を見ても曲線102のような曲線となっていたが、0.49μmのピークと凝集により発生したと見られる0.75μmのごく僅かなピークが表示されていた。このときの(D90%粒径)−(D50%粒径)の値は0.22μmであった。
この結果から、B2O3−ZnO−SiO2系ガラス粉末でも、溶媒の種類に関係なく、スラリー温度を高温域の状態で粉砕すると凝集しやすいことが確認できた。また、粒度分布曲線についても、上記と同様の検討を行ったところ、(D90%粒径)−(D50%粒径)の差値が、0.20μm以下であれば粒度分布曲線に凝集によるピークのない正規分布の曲線を得ることがわかった。また、上記したSiO2−CaO−BaO−Li2O系ガラス粉末と同様に、上記差値が0.30μm以下であれば、凝集のないものと同様な評価結果が得られた。
以上をまとめると、スラリー温度が低温域では粉砕するガラス粉末の種類、水および非水系の溶媒の種類に関係なく凝集のない微粉末を得ることができる。このように、D90%粒径で1.0μm未満の粉砕物を得ることにより、コンデンサーの主原料粉末の大きさに近づかせることができ、コンデンサー用助剤として用いても、従来よりも均一な混合ができ性能の優れたコンデンサーを得ることができる。また、回路基板として使用されている低温焼成基板の小型化や薄型化も可能である。さらに、表示装置として使用されるPDP、FEDおよびVFDなどの接着層や誘電体層等を薄くしたり、隔壁の厚さをより薄くしたりすることも可能となる。
なお、上記した実施例では循環式媒体撹拌型粉砕機での例であったが、ガラス粉末等の固形粉末が循環しない回転ボールミルや空気圧で固形粉末同士を衝突させ粉砕する湿式ジェットミルなどでも温度を50℃以下に保てば凝集のない又は凝集の少ない粉砕物を得ることができた。
本発明の製造方法で得られた粉砕物は、D90%粒径が1μm未満であるので、コンデンサー用の助剤として利用しても有効に利用することができ、ガラス粉とセラミックス粉とを用いて低温焼結基板を作成すれば、従来よりも肉厚の薄い基板を得ることが可能である。また、フィラーやバインダー等を加えてペースト化することにより、PDP、FEDおよびVFDなどの表示装置の材料として好適なものが得られる。
1…粉砕室、2…温度計、3…熱交換器、4…ホールディングタンク、5…ポンプ
Claims (3)
- ガラス粉末やセラミックス粉末等の固形粉末を液体によりスラリー化し、このスラリーの温度を50℃以下に保ちながら前記固形粉末を粉砕することを特徴とする粉砕方法。
- 前記液体が水、アルコール類、炭化水素類であることを特徴とする請求項1記載の粉砕方法。
- ガラス粉末、セラミックス粉末および磁性粉末のいずれかの固形粉末を水、アルコール類および炭化水素類のいずれかの液体によりスラリー化し、このスラリーの温度を50℃以下に保ちながら前記固形粉末を微粉砕した粉砕物のD90%粒径とD50%粒径とが以下の関係を満足することを特徴とする粉砕物。
(D90%粒径)−(D50%粒径)≦0.30μm
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