JP2005168166A - 負荷特性演算装置及びモータ制御装置 - Google Patents

負荷特性演算装置及びモータ制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 偏加重が大きい負荷においても、負荷特性を正確に測定できる負荷特性演算装置を提供する。また、偏加重の影響を受けずに精度よく制御可能なモータ制御装置を提供する。
【解決手段】 モータが発生するトルクを検出するトルク検出手段と、モータの速度を検知する速度検出手段30と、検出したトルク(T*)と速度ωとに基づき粘性摩擦係数と動摩擦と偏加重の少なくとも1つを演算する負荷特性演算手段70とを有する。負荷特性演算手段70は、検出したトルク(T*)の大きさ、検出した速度ωの大きさ、検出した速度の時間変化の大きさのうちの少なくとも1つが、それぞれに対して設定された所定値以上となる場合の、トルクと速度の検出値に基づき演算を実行する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、モータの負荷特性を演算する装置に関する。また、モータの負荷特性を考慮しながら、位置指令、速度指令、あるいはトルク指令に基づいてモータを制御するモータ制御装置に関する。
従来のモータ制御装置として、例えば、特許文献1に、トルク、速度の情報を3組用いて、動摩擦、粘性摩擦、およびイナーシャ(慣性負荷とも呼ぶ)を同定するものが記載されている。
図5に、特許文献1のモータ制御装置の構成図を示す。上位コントローラ904は電動機901に負荷をかけた状態で、定期的にサーボコントローラより出力トルクT、位置フィードバックから角速度ω、差分等の周知の方法で求めた角加速度aを取り込み、一時記憶バッファ941に記憶する。そして、一時記憶バッファ941の中で下記式(1)のトルクT、動摩擦トルクD、粘性摩擦係数R、慣性負荷Jが一義的に求められるような3サンプル分のデータを負荷演算器942に入力し、慣性負荷J、動摩擦トルクD、粘性摩擦係数Rを求める。
T − D − R・ω = J・a ・・・(1)
より具体的には、図5において、時刻t0、t1、およびt2の3サンプル分のデータ(T0、ω0、a0)、(T1、ω1、a1)、および(T2、ω2、a2)を式(1)にそれぞれ代入し、下記式(2)のような連立1次方程式を作成する。そして、式(2)おいて、J、D、およびRについて解くことにより、慣性負荷J、動摩擦トルクD、粘性摩擦係数Rを求める。
T0 − D − R・ω0 = J・a0 ・・・(2)
T1 − D − R・ω1 = J・a1
T2 − D − R・ω2 = J・a2
特開平6−225564号公報
従来のモータ制御装置では、偏加重が大きい負荷の負荷特性を正しく測定できない、という問題点を持つ。
図6は負荷の模式図である。図6(a)、(b)は、偏加重がないときの負荷の模式図を示す。このような負荷の例として、地上に対し水平面に置かれた電動スライダーがある。従来のモータ制御装置を用いて、このような負荷の負荷特性は正しく測定できる。すなわち、図6(a)のように台が右向きに移動するとき、動摩擦トルクD、および粘性摩擦トルクR・ωは左向きに作用する。また、図6(b)のように台が左向きに移動するとき、動摩擦トルクD、および粘性摩擦トルクR・ωは右向きに作用する。このように、負荷に作用する外力は、動摩擦トルクD、および粘性摩擦トルクR・ωのみであり、式(1)が成り立つ(回転の向きを正とする)。そのため、従来のモータ制御装置は、偏加重がない負荷において、正しい慣性負荷J、動摩擦トルクD、および粘性摩擦係数Rを測定できるため、負荷特性を正しく測定できる。
図6(c)、(d)は、偏加重があるときの負荷の模式図を示す。このような負荷として、例えば、地上に対し垂直面に置かれた電動スライダーがある。従来のモータ制御装置を用いて、このような負荷の負荷特性は正しく測定できない。すなわち、図6(c)のように台が下向きに移動するとき、動摩擦トルクD、および粘性摩擦トルクR・ωは上向きに作用する。また、重力m・gは逆の下向きに作用する。一方、図6(d)のように台が上向きに移動するとき、動摩擦トルクD、および粘性摩擦トルクR・ωは下向きに作用する。また、重力m・gは同様に下向きに作用する。このように、負荷には、動摩擦トルクD、および粘性摩擦トルクR・ωのみが作用するのみならず、重量m・gも作用する。台が下向きに移動するとき下記式(3)が成り立ち(回転の向き、すなわち下向きを正とする)、台が上向きに移動するとき下記式(4)が成り立つ(回転の向き、すなわち上向きを正とする)。このように、回転の向きが変化すると、動摩擦Dに対する重力m・gの向きが変化する。そのため、従来のモータ制御装置は、偏加重が大きい負荷において、正しい動摩擦トルクD、および粘性摩擦トルクR・ωを測定できず、負荷特性を正しく測定できない。
T − (D − m・g) − R・ω = J・a ・・・(3)
T − (D + m・g) − R・ω = J・a ・・・(4)
本発明は、上記の問題点を解決するものであり、偏加重が大きい負荷においても、負荷特性を正しく測定できる負荷特性演算装置を提供することを目的とする。また、偏加重の影響を受けずに精度よく制御が可能なモータ制御装置を提供することを目的とする。
本発明の負荷特性演算装置は、モータが発生するトルクを検出するトルク検出手段と、
モータの速度を検出する速度検出手段と、検出したトルク及び速度に基づき、負荷特性として、粘性摩擦係数、動摩擦及び偏加重のうちの少なくとも1つを演算し、出力する演算手段とを有する。
演算手段は、検出したトルクの大きさ、検出した速度の大きさ、検出した速度の時間変化の大きさのうちの少なくとも1つが、それぞれに対して設定された所定値以上となる場合の、トルクと速度の検出値に基づき演算を実行するようにしてもよい。
また、演算手段は、モータの正転時に演算される粘性摩擦係数とモータの逆転時に演算される粘性摩擦係数とを平均して得られる平均粘性摩擦係数と、モータの正転時に演算される動摩擦とモータの逆転時に演算される動摩擦とを平均して得られる平均動摩擦のうちの少なくとも1つを求めるようにしてもよい。
また、演算手段は、速度とトルクの検出値に基づき逐次最小二乗法を用いて、粘性摩擦係数と動摩擦と偏加重のうちの少なくとも1つを演算するようにしてもよい。
本発明に係るモータ制御装置は、上記の負荷特性演算装置と、負荷特性演算装置から出力される粘性摩擦係数と動摩擦と偏加重のうちの少なくとも1つに基づき、速度ゲイン及び速度積分時定数を用いてモータが発生する出力トルクの指令であるトルク指令を生成し、出力する速度制御手段と、トルク指令にしたがいモータ駆動電圧を生成し、出力する駆動手段とを備える。
また、モータ制御装置は、負荷特性演算装置から出力される粘性摩擦係数、動摩擦及び偏加重のうちの少なくとも1つに基づいて、速度制御手段から出力されるトルク指令を補正するトルク指令補正手段をさらに備えてもよい。このとき、駆動手段は、補正されたトルク指令にしたがいモータ駆動電圧を生成し、出力する。
また、モータ制御装置は、位置ゲインを比例定数として速度指令を生成、出力する位置制御手段と、粘性摩擦係数および動摩擦の少なくとも1つに基づき、速度ゲインに対する位置ゲインの比率を示すゲイン比率と、速度積分時定数のうちの少なくとも1つを変更するゲイン変更手段とをさらに有してもよい。
ゲイン変更手段は、ゲイン比率が粘性摩擦係数及び動摩擦の少なくとも1つの増加に応じて大きくなるように、ゲイン比率を変更してもよい。
また、ゲイン変更手段は、速度積分時定数が粘性摩擦係数及び動摩擦の少なくとも1つの増加に応じて小さくなるように、速度積分時定数を変更する。
上記のトルク指令補正手段及びゲイン変更手段は、平均粘性摩擦係数及び平均動摩擦に基づいて上記のような補正や変更を行ってもよい。
本発明によれば、トルクと速度とに基づき粘性摩擦係数と動摩擦と偏加重との少なくとも1つを演算することにより、モータの負荷特性をより正確に演算できる。
また、速度の大きさ、トルクの大きさ、速度の時間変化の大きさの少なくとも1つが、対応する所定値以上のときのトルクと速度とに基づき負荷特性の演算を実行するため、ノイズの影響を小さな情報を利用でき、精度の高い負荷特性を演算できる。
また、粘性摩擦係数と動摩擦と偏加重との少なくとも1つに基づきモータが発生する出力トルクの指令であるトルク指令を補正することにより、偏加重が大きい装置において簡単な演算でトルク指令を補正し、回転方向が変化しても同一ゲインで同特性を実現できる。
また、粘性摩擦係数および動摩擦の少なくとも1つに基づき、速度ゲインに対する位置ゲインの比率を示すゲイン比率及び速度積分時定数の少なくとも1つを変更することにより、摩擦に対する最適な制御係数を設定することができ、最適な特性(例えば、整定時間が短縮されるというような特性)が得られる。
また、粘性摩擦係数および動摩擦の少なくとも1つの増加に伴いゲイン比率が大きくなるように、ゲイン比率を変更することにより、摩擦に対する最適なゲインを設定することができ、最適な特性(例えば、整定時間が短縮されるというような特性)が得られる。
また、粘性摩擦係数および動摩擦の少なくとも1つの増加に伴い積分時定数が小さくなるように積分時定数を変更することにより、摩擦に対する最適な積分時定数を設定することができ、最適な特性(例えば、整定時間が短縮されるというような特性)が得られる。
また、モータ回転の正転時と逆転時のそれぞれにおいて求めた負荷特性を平均することにより、ノイズの影響を小さくでき、精度の高い負荷特性を演算できる。
また、速度とトルクとに基づき逐次最小二乗法を用いて粘性摩擦係数と動摩擦と偏加重との少なくとも1つを演算するという構成により、リアルタイムに負荷特性を演算しこの負荷特性に応じた制御をすることにより、応答性が速い制御を実現できる。
以下、本発明に係る負荷特性演算装置及びモータ制御装置の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
(モータ制御装置の全体構成)
図1は、本発明のモータ制御装置の構成図である。モータ制御装置1は、ロータリーエンコーダ4、指令発生器5、位置指令受信器6、位置受信器7、駆動器8、位置偏差演算器10、位置制御器20、速度検出器30、速度偏差演算器40、速度制御器50、トルク指令補正器60、および負荷特性演算器70を含む。
位置偏差演算器10、位置制御器20、速度検出器30、速度偏差演算器40、速度制御器50、トルク指令補正器60、および負荷特性演算器70の機能は、マイクロコンピュータが所定のプログラムを実行することにより実現できる。
モータ制御装置1にはモータ2が接続され、モータ制御装置1によりモータ2のロータの回転が制御される。また、モータ2には、負荷3が、カップリング等を介し連結され、モータ2のロータの回転に応じ所定の動作を行う。
ロータリーエンコーダ4は、モータ2のロータ軸に連結され、モータ2のロータの位置を示す信号をモータ制御装置1に出力する。
指令発生器5は、モータ2のロータの位置指令を示す信号をモータ制御装置1に出力する。
位置指令受信器6は、指令発生器5が発生した位置指令を示す信号を受信し、位置指令を示す数値である位置指令θ*を作成する。
位置受信器7は、ロータリーエンコーダ4が発生した位置を示す信号を受信し、モータ2の回転子の位置を示す数値である検出位置θを作成する。
位置偏差演算器10、位置制御器20、速度検出器30、速度偏差演算器40、速度制御器50、トルク指令補正器60、および負荷特性演算器70は、位置指令θ*、および位置θを入力し、マイクロコンピュータによりサンプリング周期Ts毎に演算を行いトルク指令T*を作成し、トルク指令T*を駆動器8に出力する。
駆動器8は、トルク指令T*、および検出位置θを入力し、モータ2の出力するトルクがトルク指令T*どおりになるように、モータ2の端子電圧を制御する。すなわち、駆動器8は、トルク指令T*に応じてモータ駆動電圧を生成し、出力する
位置偏差演算器10は、位置指令θ*と検出位置θとを入力し、下記式(5)のように位置偏差eθを作成し、出力する。ここで、eθ(i)は、今回のサイクルにおける演算での位置偏差である。また、式(5)には含まれないが、eθ(i−1)は、前回のサイクルにおける演算での位置偏差を示す。以下、今回の演算の値を(i)によって表し、前回の演算の値を(i−1)によって表す。
eθ(i) = θ*(i) − θ(i) ・・・(5)
位置制御器20は、位置偏差eθと負荷特性ベクトルψとを入力し、下記式(6)のように速度指令ω*を作成し、速度指令ω*を出力する。なお、Kppは位置比例ゲインであり、後述のように、負荷特性ベクトルψに依存し変化する。
ω*(i) = Kpp(i)・eθ(i) ・・・(6)
Kpp(i) = Kpp(ψ(i−1)) ・・・(7)
速度検出器30は、検出位置θを入力し、それを微分し速度(検出速度)ωを求める。ここでは、微分する代わりに差分をとることにより下記式(8)のように速度ωを求めている。Tsは前述したようにサンプリング周期である。
ω(i) = {θ(i) − θ(i−1)}/Ts ・・・(8)
速度偏差演算器40は、速度指令ω*と検出速度ωとを入力し、下記式(9)のように速度偏差eωを作成し、速度偏差eωを出力する。
eω(i) = ω*(i) − ω(i) ・・・(9)
速度制御器50は、速度偏差eωと負荷特性ベクトルψとを入力し、下記式(10)のように補正前トルク指令Tp*を作成し、補正前トルク指令Tp*を出力する。なお、Kvpは速度比例ゲインである。また、τviは速度積分時定数であり、後述のように、負荷特性ベクトルψに依存し変化する。また、Σは積分を示し、積分開始時点(jで示す)の速度偏差eω(j)から今回の演算(iで示す)の速度偏差eθ(i)の総和である。なお、J(i−1)はイナーシャであり、その求め方は後述する。
Tp*(i) = Kvp(i)・J(i−1)・{eω(i)
+ Σ(eω(i))・Ts/τvi(i)} ・・・(10)
τvi(i) = τvi(ψ(i−1)) ・・・(11)
トルク指令補正器60は、補正前トルク指令Tp*と負荷特性ベクトルψとを入力し、下記式(12)のようにトルク指令T*を作成し、トルク指令T*を出力する。Thは、トルク指令補正量であり、後述のように、負荷特性ベクトルψに依存し変化する。
T*(i) = Tp*(i) + Th(i) ・・・(12)
Th(i) = Th(ψ(i−1)) ・・・(13)
負荷特性演算器70は負荷特性を演算し、出力する。なお、負荷特性には、イナーシャJ、粘性摩擦係数R、動摩擦D、及び偏加重Gが含まれる。具体的には、負荷特性演算器70は、検出速度ωとトルク検出値とを入力し、これらの値に基づいて負荷ベクトルψを作成して出力する。なお、本実施形態としては、実際にトルクを検出する代わりにトルク指令値T*をトルク検出値として用いる。また、トルク検出値として、モータ電流等からモータモデルを用いて演算により求めたトルクの推定値を用いることもできる。ここで、負荷特性演算器70の動作について詳細に説明する。
(負荷特性演算器)
前述のように図6は負荷の模式図を示した図であり、図6(a)、(b)は、偏加重がないときの負荷の模式図であり、図6(c)、(d)は偏加重が大きいときの負荷の模式図である。座標の正の向きの取り方により、偏加重の向きが変化するが、運動方程式は、下記式(14)のとおりである。
T = J・a + R・ω + Td ・・・(14)
なお、Tはトルク、Jはイナーシャ、aは加速度、Rは粘性摩擦係数、ωは前述のように速度、Tdは、動摩擦Dと偏加重Gとの合成値である。図6(c)、(d)において、下向きを正と定義する。
図6(c)のように、負荷が下向き、すなわち正の向きに動くとき(速度ω>0)、下記式(15)のように、動摩擦Dの向きと偏加重Gの向きとが逆である。また、図6(d)のように、負荷が上向き、すなわち負の向きに動くとき(速度ω<0)、下記式(16)のように、動摩擦Dの向きと偏加重Gの向きとが一致する。このように、回転方向が変化すると、動摩擦Dに対する偏加重Gの向きが変化し、合成値Tdが変化する。
T = J・a + R・ω + (+D−G) (ω>0のとき) ・・・(15)
T = J・a + R・ω + (−D−G) (ω<0のとき) ・・・(16)
トルクT、加速度a、および速度ωが既知であり、かつ、十分な組の情報があれば、逐次最小二乗法を用いて、イナーシャJ、粘性摩擦係数R、および合成値Tdを求めることができる。そこで、正転時と逆転時のそれぞれの場合について、イナーシャJ、粘性摩擦係数R、および合成値Tdを求め、正転時と逆転時の合成値Tdから、動摩擦Dと偏加重Gとを求める。以下、これを具体的に説明する。
負荷特性演算器70は、まず、速度ω、加速度a、トルク指令Tに基づいて状態を決定する。具体的には、負荷特性演算器70は下記式(17)に基づいて状態フラグ(Flag)を設定する。
Flag = "F" (ω> ω0、|a|>a0、|T*|>T0のとき)
Flag = "R" (ω<−ω0、|a|>a0、|T*|>T0のとき)
Flag = "S" (上記以外) ・・・(17)
ここで、ω0、a0、およびT0は、それぞれ状態を決定するために使用する速度ω、加速度の大きさ|a|、およびトルク指令の大きさ|T*|の閾値を示す正数である。
速度ωが閾値ω0より大きく、加速度の大きさ|a|が閾値a0より大きく、かつトルク指令の大きさ|T*|が閾値T0より大きいとき(これらの3つの条件が全て成り立つとき)、状態フラグFlag="F"とする。この場合は、状態フラグは、正転時用の演算を行うことを示す。
速度ωが閾値−ω0より小さく、加速度の大きさ|a|が閾値a0より大きく、かつトルク指令の大きさ|T*|が閾値T0より大きいとき(これらの3つの条件が全て成り立つとき)、状態フラグFlag="R"とする。この場合、状態フラグは、逆転時用の演算を行うことを示す。
状態フラグFlagが"F"、"R"のいずれにも当てはまらない場合、状態フラグFlag="S"とする。この場合、状態フラグは、演算を行わないことを示す。
以上のように、本実施形態では、状態フラグの設定において、以下の3つの判定基準を有する。
i)速度ωが所定値より大きいか否か。
ii)加速度aの大きさが所定値より大きいか否か。
iii)トルクTの大きさが所定値より大きいか否か。
しかしながら、状態フラグの設定においては、上記の3つの基準i)〜iii)を必ず全て考慮する必要はなく、上記の3つの基準i)〜iii)のうちの少なくとも1つを考慮してフラグを設定してもよい。例えば、以下のように状態フラグを設定してもよい。
Flag = "F" (ω>ω0のとき)
Flag = "R" (ω<ω0のとき)
Flag = "S" (上記以外) ・・・(17a)
または、
Flag = "F" (ω>0、|a|>a0のとき)
Flag = "R" (ω<0、|a|>a0のとき)
Flag = "S" (上記以外) ・・・(17b)
または、
Flag = "F" (ω>0、|T|>T0のとき)
Flag = "R" (ω<0、|T|>T0のとき)
Flag = "S" (上記以外) ・・・(17c)
また、上記の状態フラグ設定の判定基準において、検出速度ωの代わりに、速度指令ω*や、位置指令θ*の時間微分{d(θ*)/dt}を用いてもよい。
設定された状態フラグFlagが"F"の場合、正転時用の演算を行う。トルク指令T*、加速度a、および速度ωと、正転時のイナーシャJf、粘性摩擦係数Rf、および合成値Tdfとの関係は、下記式(18)のとおりである。なお、駆動器8はトルク指令T*に応じたトルクをモータ2が出力するように制御するため、トルクTの代わりにトルク指令T*を用いる。また、加速度aは速度の時間微分であるが、下記式(19)のように差分を用いて求めることができる。ここで、前述のように、ω(i)は今回の演算の速度であり、ω(i−1)は前回の演算の速度である。また、前述のように、Tsはサンプリング周期である。
T* = Jf・a + Rf・ω + Tdf ・・・(18)
a(i) = {ω(i) − ω(i−1)}/Ts ・・・(19)
そして、逐次最小二乗法を用いて、式(18)におけるJf、Rf、Tdfを推定する。
入力行列φ(i)を下記式(20)のように定義する。
Figure 2005168166
また、正転時のパラメータ推定値行列ξf(i)を下記式(21)のように定義する。
Figure 2005168166
すると、正転時の予測誤差εf(i)は下記式(22)となり、正転時の共分散行列Pf(i)は下記式(23)となる。なお、正転時の共分散行列Pf(i)は3行×3列の行列である。
Figure 2005168166
Figure 2005168166
そして、正転時の予測誤差εf(i)と正転時の共分散行列Pf(i)とを用いて、下記式(24)のように、パラメータ推定値行列ξf(i)を求める。ここで、λは忘却係数であり1未満の値を用いる。
Figure 2005168166
このようにして、正転時のイナーシャJf、正転時の粘性摩擦係数Rf、および正転時の合成値Tdfを推定する。
また、状態Flag="R"の場合、逆転時用の演算を行う。トルク指令T*、加速度a、および速度ωと、逆転時のイナーシャJr、粘性摩擦係数Rr、および合成値Tdrとの関係は、下記式(25)のとおりである。
T* = Jr・a + Rr・ω + Tdr ・・・(25)
なお、正転時と同様に、駆動器8はトルク指令T*どおりのトルクをモータ2が出力するように制御するため、トルクTの代わりにトルク指令T*を用いる。また、加速度aは速度の時間微分であるが、式(19)のように差分を用いて求める。
そして、逐次最小二乗法を用いて、式(25)における、Jr、Rr、Tdrを推定する。入力行列φ(i)を式(20)のように定義する。また、逆転時のパラメータ推定値行列ξr(i)を下記式(26)のように定義する。
Figure 2005168166
すると、逆転時の予測誤差εr(i)は下記式(27)となり、逆転時の共分散行列Pr(i)は下記式(28)となる。
Figure 2005168166
Figure 2005168166
なお、逆転時の共分散行列Pr(i)は3行3列の行列である。そして、逆転時の予測誤差εr(i)と正転時の共分散行列Pr(i)とを用いて、下記式(29)のように、パラメータ推定値行列ξr(i)を求める。ここで、λは忘却係数であり1未満の値を用いる。このようにして、逆転時のイナーシャJr、逆転時の粘性摩擦係数Rr、および逆転時の合成値Tdrを推定する。
Figure 2005168166
なお、状態フラグFlag="R"(逆転時用の演算を行う状態)、または"S"(演算を行わない状態)のとき、正転時のイナーシャJf、粘性摩擦係数Rf、および合成値Tdfは、下記式(30)、(31)、(32)のように前サイクルの値をそのまま保持する。
Jf(i) = Jf(i−1) ・・・(30)
Rf(i) = Rf(i−1) ・・・(31)
Tdf(i) = Tdf(i−1) ・・・(32)
なお、状態フラグFlag="F"(正転時用の演算を行う状態)、または状態フラグFlag="S"(演算を行わない状態)のとき、逆転時のイナーシャJr、粘性摩擦係数Rr、および合成値Tdrは、下記式(33)、(34)、(35)のように前サイクルの値をそのまま保持する。
Jr(i) = Jr(i−1) ・・・(33)
Rr(i) = Rr(i−1) ・・・(34)
Tdr(i) = Tdr(i−1) ・・・(35)
そして、負荷特性ψを下記式(36)のように演算する。負荷特性ψは、イナーシャJ、粘性摩擦係数R、動摩擦D、偏加重Gの4つの要素を持つ4行×1列の行列であり、それぞれ以下のように求める。イナーシャJは、正転時のイナーシャJfと逆転時のイナーシャJrとの平均する。また、粘性負荷係数Rは、正転時の粘性負荷係数Rfと逆転時の粘性負荷係数Rrとの平均とする。そして、式(14)(15)(16)の関係を用いて、式(36)のように、正転時の合成値Tdfと逆転時の合成値Tdrとから動摩擦D、および偏加重Gを求める。
Figure 2005168166
このように、速度ωとトルク指令T*とに基づき、逐次最小二乗法を用いて、正転時、逆転時のパラメータ推定行列ξf、ξrをそれぞれ求め、負荷特性ψを求める。このように、逐次最小二乗法を用いて負荷特性ψをサイクル毎に演算することにより、リアルタイムに負荷特性ψを演算できる。そして、この負荷特性を用いて各種の補正を実行することにより、応答性が速い制御を実現できる。
(位置比例ゲイン)
本実施形態では、位置制御器20は位置比例ゲインKppを式(7)に示すように負荷特性に基づいて変化させる。図2は、本実施形態において位置制御器20における粘性摩擦係数Rに対する位置比例ゲインの変化を示した図である。図2に示すように、粘性摩擦係数Rが大きくなると、位置比例ゲインKppが大きくなるように、位置比例ゲインKppを変化させる。具体的には、下記式(37)のように変化させる。
R(i−1) < R11のとき
Kpp(i)=Kpp1
R11 ≦ R(i−1) < R12のとき
Kpp(i)=
Kpp1+(R(i−1)−R11)・(Kpp2−Kpp1)/(R12−R11)
R(i−1) ≧ R12のとき
Kpp(i)==Kpp2 ・・・(37)
すなわち、粘性摩擦係数Rが大きくなると速度比例ゲインKvpに対する位置比例ゲインKppの比率(ゲイン比率)が大きくなるように、位置比例ゲインKppを変更する。これにより、摩擦に対する最適なゲイン(位置比例ゲインKpp、速度比例ゲインKvp)を設定することができ、最適な特性(例えば、整定時間が短縮されるというような特性)を得ることができる。
負荷が剛体であるとき、負荷の伝達関数GL(s)は下記式(38)のように表される。ここで、sはラプラス変数である。
Figure 2005168166
すると、位置指令θ*から位置θの伝達関数G(s)は下記式(39)のように表される。
Figure 2005168166
粘性摩擦係数Rが大きくなると、ダンピングが改善されるため、その分だけ位置比例ゲインKppを大きくしても、振動などが発生しない。そして、その分だけ位置指令ゲインKppを大きくできるため、伝達関数のカットオフ周波数が大きくなり、整定時間が短縮できる。
なお、位置比例ゲインKppを粘性摩擦係数Rに応じ変化させたが、他の負荷特性に応じ変化させてもよい。特に、粘性摩擦係数Rと動摩擦Dは同様の特性を持つため、動摩擦Dに応じ位置比例ゲインKppを変化させてもよい。また、粘性摩擦係数Rと動摩擦Dとをある割合で加算したものに応じ位置比例ゲインKppを変化させてもよい。また、速度ω等に応じて、粘性摩擦係数Rに応じて位置比例ゲインKppを変化させる制御と、動摩擦Dに応じて位置比例ゲインKppを変化させる制御とを切り替えてもよい。また、位置比例ゲインKppと同様に、速度比例ゲインKvpを負荷特性に応じて変化させてもよい。つまり本発明の要諦は、粘性摩擦係数Rや動摩擦Dのような負荷特性に応じ、位置比例ゲインと速度比例ゲインとの比を変化させることであり、種々の変形が可能であり、それらの変形も本発明の範囲に含まれる。
(速度積分時定数)
本実施形態では、速度制御器50は速度積分時定数τviを式(11)に示すように負荷特性に基づいて変化させる。図3は、本実施形態における速度制御器50における粘性摩擦係数Rに対する速度積分時定数τviの関係図である。図3のように、粘性摩擦係数Rが大きくなると、速度積分時定数が小さくなるように変化させる。具体的には、下記式(40)のように変化させる。
R(i−1) < R21のとき、
τvi(i)=τvi1
R21 ≦ R(i−1) < R22のとき、
τvi(i)=
τvi1+(R(i−1)−R21)・(τvi2−τvi1)/(R22−R21)
R(i−1) ≧ R22のとき、
τvi(i)=τvi2 ・・・(40)
以上のように、負荷特性ψに基づき速度積分時定数τviを変化させることにより、摩擦に対する最適な速度積分時定数τviを設定することができ、最適な特性(例えば、整定時間が短縮されるというような特性)を得ることができる。
一般に、静止摩擦は粘性摩擦係数Rや動摩擦Dと同様の傾向を示し、粘性摩擦係数Rや動摩擦Dが大きくなると静止摩擦は大きくなる。また、静止摩擦は停止時に負荷に対しブレーキの役割をするため、静止摩擦が大きければ、その分だけ速度積分時定数τviを小さくし、速度積分を早くすることができる。静止摩擦を速度積分が補償することで整定する(位置偏差eθがある設定された値である静定幅の範囲に入る)ため、速度積分時定数τviが小さいほど整定時間(位置指令θ*が変化しなくなった後、位置偏差eθが整定幅に入るまでの時間)が短くなる。
なお、速度積分時定数τviを粘性摩擦係数R以外の他の負荷特性に応じて変化させてもよい。特に、粘性摩擦係数Rと動摩擦Dは同様の特性を持つため、速度積分時定数τviを動摩擦Dに応じて変化させてもよい。また、粘性摩擦係数Rと動摩擦Dとに、それぞれの所定比率を乗じて加算した値に応じて速度積分時定数τviを変化させるようにしててもよい。また、粘性摩擦係数Rに応じて速度積分時定数τviを変化させる制御と、動摩擦Dに応じて速度積分時定数τviを変化させる制御とを、速度ωに応じて切り替えるようにしてもよい。また、速度積分時定数τviを直接変化させるのではなく、速度制御器50における比例器と積分器の比率を変化させてもよい。
(トルク指令補正)
トルク指令補正器60は、トルク指令補正量Thを次式(41)で示すように、前回のサイクルの偏加重Gの符号を変えたものを新たなトルク指令補正量Thとする。
Th(i) = −G(i−1) ・・・(41)
以上のように、本実施形態のモータ制御装置は、偏加重G(負荷特性ψの1つ)に基づきトルク指令T*を補正することにより、偏加重Gが大きい装置において簡単な演算でトルク指令T*を補正し、回転方向が変化しても同一ゲインで同特性(例えば、整定時間が同一)を実現できる。同様の効果(回転方向が変化しても同一ゲインで同特性であること)を得るために、回転方向により異なるゲインを利用する方法が考えられるが、2組のゲインを設定する必要があり、ゲイン設定に要する時間が長くなる。本実施形態では同一ゲインでよく、ゲイン設定に要する時間が短い。
なお、トルク指令補正器60において、偏加重Gの符号を変えたものをトルク指令補正量Thとしたが、トルク指令を他の負荷特性に応じて補正してもよい。例えば、下記式(42)のように、偏加重Gと動摩擦Dとにより補正してもよい。
Th(i)
= −G(i−1)+D(i−1) (ω>0のとき)
= −G(i−1)−D(i−1) (ω<0のとき) ・・・(42)
また、下記式(43)のように、偏化重Gと動摩擦Dと粘性摩擦係数Rとにより補正してもよい。
Th(i)
= −G(i−1)+D(i−1)+R(i−1)・ω(i) (ω>0のとき)
= −G(i−1)−D(i−1)+R(i−1)・ω(i) (ω<0のとき)
・・・(43)
(モータ制御装置の動作)
本実施形態におけるモータ制御装置1の全体的な処理の流れを説明する。図4は、モータ制御装置1における、位置偏差演算器10、位置制御器20、速度検出器30、速度偏差演算器40、速度制御器50、トルク指令補正器60、および負荷特性演算器70において実行される処理の流れを示すフローチャートである。
サンプリングタイムTs毎に発生する割り込みにより、図4に示す処理を行うサブルーチンが起動される。サブルーチンが起動されると、位置指令θ*、および検出位置θが入力される(ステップS11)。次に、位置偏差演算器10により、位置指令θ*と検出位置θとに基づき、式(5)のように、位置偏差eθが演算される(ステップS2)。
次に、位置制御器20により、位置偏差eθと負荷特性ψとに基づき、式(6)、(7)を用いて速度指令ω*が演算される(ステップS13)。このとき、式(37)にしたがい位置比例ゲインKppが演算されている。
次に、速度微分器30により、検出位置θに基づき、式(8)にしたがい速度ωが演算される(ステップS14)。
次に、速度偏差演算器40により、速度指令ω*と速度ωとに基づき、式(9)のように、速度偏差eωが演算される(ステップS5)。
次に、速度制御器50により、速度偏差eωと負荷特性ψとに基づき、式(10)、(11)のように、補正前トルク指令Tp*が演算される(ステップS16)。このとき、式(38)のように、速度積分時定数τviが演算される。
そして、トルク指令補正器60により、補正前トルク指令Tp*と負荷特性ψとに基づき、式(12)、(13)のように、トルク指令T*が演算される(ステップS17)。その際、式(41)にしたがいトルク指令補正量Thが演算され、このトルク指令補正量Thにより補正前トルク指令を補正し、補正後のトルク指令T*を得る。補正されたトルク指令T*が出力される(ステップS18)。
その後、速度ωとトルク指令T*とに基づき、式(17)にしたがい状態フラグFlagを設定する(ステップS19)。その後、状態フラグの値を判断し(ステップS20)、その値に応じた処理を行う(ステップS21〜S23)。
状態フラグFlag="F"(正転時用の演算を行う状態)のとき、速度ωとトルク指令T*とに基づき、式(18)〜(24)にしたがい、正転時のイナーシャJf、粘性摩擦係数Rf、および合成値Tdfを演算し、かつ、式(33)〜(35)にしたがい、前サイクルにおける逆転時のイナーシャJr、粘性摩擦係数Rr、および合成値Tdrを現サイクルの値として保持する(ステップS21)。その後、ステップS24を実行する。
状態フラグFlag="R"(逆転時の演算を行う状態)のとき、速度ωとトルク指令T*とに基づき、式(19)、および(25)〜(29)にしたがい、逆転時のイナーシャJr、粘性摩擦係数Rr、および合成値Tdrを演算し、かつ、式(30)〜(32)にしたがい、前サイクルにおける正転時のイナーシャJf、粘性摩擦係数Rf、および合成値Tdfを現サイクルの値として保持する(ステップS22)。その後、ステップS24を実行する。
状態フラグFlag="S"(演算を行わない状態)のとき、式(30)〜(35)にしたがい、前サイクルにおける、正転時のイナーシャJf、粘性摩擦係数Rf、および合成値Tdfと、逆転時のイナーシャJr、粘性摩擦係数Rr、および合成値Tdrとを、現サイクルの値として保持する(ステップS23)。その後、ステップS24を実行する。
ステップS24において、正転時のイナーシャJf、粘性摩擦係数Rfおよび合成値Tdfと、逆転時のイナーシャJr、粘性摩擦係数Rrおよび合成値Tdrとに基づき、式(36)にしたがい負荷特性ψを演算する。
このようにして求められた負荷特性は、正転時におけるトルク指令T*と速度ωに基づき演算された負荷特性と、逆転時におけるトルク指令T*と速度ωに基づき演算された負荷特性とを平均した値となる。すなわち、イナーシャJは、正転時のイナーシャJfと逆転時のイナーシャJrの平均となる。また、粘性摩擦係数Rは、正転時の粘性摩擦係数Rfと逆転時の粘性摩擦係数Rrとの平均となる。このように平均値を求めることにより、ノイズの影響を小さくできるため、精度の高い負荷特性ψ(イナーシャJ、および粘性摩擦係数R)が得られる。その精度が高い負荷特性ψを利用することにより、精度が高い各種補正が実現できる。
なお、上記のステップS19〜S24は負荷演算器70により実行される。
以上のように構成される本実施形態のモータ制御装置は、トルク検出値(一例として、トルク指令値を使用)と速度検出値とに基づき負荷特性(粘性摩擦係数R、動摩擦D、偏加重G)を演算する。これにより、詳細な負荷特性の記述ができ、この負荷特性を利用して各種の補正をすることができるという効果を有する。
また、本実施形態のモータ制御装置は、トルク検出値(トルク指令T*)の大きさが閾値より大きいときのトルク検出値と検出速度ωとに基づき負荷特性ψの演算を実行する。これにより、S/N比(シグナル・ノイズ比)が大きいトルク値のみを使用でき、ノイズの影響を小さくできるため、精度の高い負荷特性ψを演算できるという利点がある。さらに、各種補正は精度が高い負荷特性ψを利用できるため、精度が高い各種補正ができるという効果を有する。
また、本実施形態のモータ制御装置は、速度の大きさ|ω|が閾値ω0より大きいときのトルク検出値と速度ωとに基づき負荷特性ψの演算を実行する。これにより、S/N比(シグナル・ノイズ比)が大きい速度ωのみを使用でき、ノイズの影響を小さくできるため、精度の高い負荷特性ψを演算できるという利点がある。さらに、各種補正は精度が高い負荷特性ψを利用できるため、精度が高い各種補正ができるという効果を有する。
また、本実施形態のモータ制御装置は、加速度(速度の時間変化)の大きさ|a|が閾値a0より大きいときのトルク値と速度ωとに基づき負荷特性ψの演算を実行する。これにより、S/N比(シグナル・ノイズ比)が大きい加速度aのみを使用し、ノイズの影響を小さくできるため、精度の高い負荷特性ψを演算できるという利点がある。さらに、各種補正は精度が高い負荷特性ψを利用できるため、精度が高い各種補正ができるという効果を有する。
また、本実施形態において、位置指令θ*を示す信号の代わりに、位置指令の時間微分を示す信号を用いてもよい。
また、本実施形態のモータ制御装置は位置指令θ*に基づいて回転子位置を制御したが、本発明の負荷特性ψの演算に係る思想は、速度指令を入力し速度を制御するモータ制御装置や、トルク指令を入力してトルクを制御するモータ制御装置に適応することもできる。
本発明の付加特性演算装置は、偏加重が大きい負荷においても負荷特性を正確に測定でき、モータ負荷の測定のための装置や、モータ制御装置に利用できる。本発明のモータ制御装置は、位置指令にしたがいモータを制御するモータ制御装置に有用であり、また、速度指令にしたがいモータを制御するモータ制御装置にも適応可能である。また、トルク指令にしたがいモータを制御するモータ制御装置にも適応可能である。
本発明のモータ制御装置の構成図 本発明のモータ制御装置の位置制御器における粘性摩擦係数に対する位置比例ゲインの関係図 本発明のモータ制御装置の速度制御器における粘性摩擦係数に対する速度積分時定数の関係図 本発明のモータ制御装置の位置偏差演算器、位置制御器、速度検出器、速度偏差演算器、速度制御器、トルク指令補正器、および負荷特性演算器の演算のフローチャート 従来のモータ制御装置の構成図 負荷の模式図であり、(a)、(b)は偏加重がないときの負荷の模式図、(c)、(d)は偏加重が大きいときの負荷の模式図
符号の説明
1 モータ制御装置
2 モータ
3 負荷
4 ロータリーエンコーダ
5 指令発生器
10 位置偏差演算器
20 位置制御器
30 速度検出器
40 速度偏差演算器
50 速度制御器
60 トルク指令補正器
70 駆動器
80 負荷特性演算器

Claims (14)

  1. モータが発生するトルクを検出するトルク検出手段と、
    モータの速度を検出する速度検出手段と、
    前記検出したトルク及び速度に基づき、負荷特性として、粘性摩擦係数、動摩擦及び偏加重のうちの少なくとも1つを演算し、出力する演算手段と
    を有することを特徴とする負荷特性演算装置。
  2. 前記演算手段は、前記検出したトルクの大きさ、前記検出した速度の大きさ、前記検出した速度の時間変化の大きさのうちの少なくとも1つが、それぞれに対して設定された所定値以上となる場合の、トルクと速度の検出値に基づき前記演算を実行することを特徴とする請求項1記載の負荷特性演算装置。
  3. 前記演算手段は、前記モータの正転時に演算される粘性摩擦係数と前記モータの逆転時に演算される粘性摩擦係数とを平均して得られる平均粘性摩擦係数と、前記モータの正転時に演算される動摩擦と前記モータの逆転時に演算される動摩擦とを平均して得られる平均動摩擦のうちの少なくとも1つを求めることを特徴とする請求項1または2記載の負荷特性演算装置。
  4. 前記演算手段は、前記速度とトルクの検出値に基づき逐次最小二乗法を用いて、粘性摩擦係数と動摩擦と偏加重のうちの少なくとも1つを演算することを特徴とする請求項1または2記載の負荷特性演算装置。
  5. 請求項1記載の負荷特性演算装置と、
    該負荷特性演算装置から出力される粘性摩擦係数と動摩擦と偏加重のうちの少なくとも1つに基づき、速度ゲイン及び速度積分時定数を用いてモータが発生する出力トルクの指令であるトルク指令を生成し、出力する速度制御手段と、
    前記トルク指令にしたがいモータ駆動電圧を生成し、出力する駆動手段と
    を備えたことを特徴とするモータ制御装置。
  6. 前記負荷特性演算装置から出力される粘性摩擦係数、動摩擦及び偏加重のうちの少なくとも1つに基づいて、前記速度制御手段から出力されるトルク指令を補正するトルク指令補正手段をさらに備え、
    前記駆動手段は、該補正されたトルク指令にしたがいモータ駆動電圧を生成し、出力することを特徴とする請求項5記載のモータ制御装置。
  7. 位置ゲインを比例定数として速度指令を生成、出力する位置制御手段と、
    前記粘性摩擦係数および前記動摩擦の少なくとも1つに基づき、前記速度ゲインに対する前記位置ゲインの比率を示すゲイン比率と、前記速度積分時定数のうちの少なくとも1つを変更するゲイン変更手段とをさらに備えることを特徴とする請求項5記載のモータ制御装置。
  8. 前記ゲイン変更手段は、前記ゲイン比率が前記粘性摩擦係数及び前記動摩擦の少なくとも1つの増加に応じて大きくなるように、前記ゲイン比率を変更することを特徴とする請求項7記載のモータ制御装置。
  9. 前記ゲイン変更手段は、前記速度積分時定数が前記粘性摩擦係数及び前記動摩擦の少なくとも1つの増加に応じて小さくなるように、前記速度積分時定数を変更することを特徴とする請求項7記載のモータ制御装置。
  10. 請求項3記載の負荷特性演算装置と、
    該負荷特性演算装置から出力される粘性摩擦係数と動摩擦と偏加重のうちの少なくとも1つに基づき、速度ゲイン及び速度積分時定数を用いてモータが発生する出力トルクの指令であるトルク指令を生成し、出力する速度制御手段と、
    前記トルク指令にしたがいモータ駆動電圧を生成し、出力する駆動手段と
    を備えたことを特徴とするモータ制御装置。
  11. 前記負荷特性演算装置から出力される平均粘性摩擦係数と平均動摩擦と偏加重のうちの少なくとも1つに基づいて、前記速度制御手段から出力されるトルク指令を補正するトルク指令補正手段をさらに備え、
    前記駆動手段は、該補正されたトルク指令にしたがいモータ駆動電圧を生成し、出力することを特徴とする請求項10記載のモータ制御装置。
  12. 位置ゲインを比例定数として速度指令を生成、出力する位置制御手段と、
    前記平均粘性摩擦係数および前記平均動摩擦の少なくとも1つに基づき、前記速度ゲインに対する前記位置ゲインの比率を示すゲイン比率と、前記速度積分時定数のうちの少なくとも1つを変更するゲイン変更手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項10記載のモータ制御装置。
  13. 前記ゲイン変更手段は、前記ゲイン比率が前記平均粘性摩擦係数および前記平均動摩擦の少なくとも1つの増加にともない大きくなるように、前記ゲイン比率を変更することを特徴とする請求項12記載のモータ制御装置。
  14. 前記ゲイン変更手段は、前記速度積分時定数が前記平均粘性摩擦係数および前記平均動摩擦の少なくとも1つの増加に伴い小さくなるように、前記速度積分時定数を変更することを特徴とする請求項12記載のモータ制御装置。
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